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1951-11-14 第12回国会 衆議院 人事委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月十四日(水曜日)     午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 田中伊三次君    理事 田中 重彌君 理事 藤枝 泉介君    理事 淵上房太郎君 理事 平川 篤雄君    理事 松澤 兼人君       足立 篤郎君    加藤隆太郎君       塩田賀四郎君    西村 久之君       八百板 正君    柄澤登志子君       岡田 春夫君  出席政府委員         内閣官房副長官 剱木 亨弘君         総理府事務官         (大臣官房審議         室長事務代理) 増子 正宏君         地方財政委員会         委員      木村 清司君         総理府事務官         (地方財政委員         会事務局財務部         長)      武岡 憲一君         地方自治庁次長 鈴木 俊一君         人事院事務官         (事務総局給與         局長)     瀧本 忠男君         大蔵事務官         (主計局給與課         長)      岸本  晋君         労働基準監督官         (労働基準局         長)      亀井  光君  委員外出席者         総理府事務官         (地方自治庁公         務員課長)   佐久間 彊君         労働基準監督官         (労働基準局給         與課長)    宮島 久義君         参  考  人         (大阪市長)  中井 光次君         参  考  人         (全国自治団体         労働組合協議会         副委員長)   淺羽 富造君         参  考  人         (神戸市長)  原口忠次郎君         参  考  人         (京都市理財局         長)      中根 武夫君         参  考  人         (横浜市助役) 船引 守一君         参  考  人         (名古屋市長) 手島 博章君         参  考  人         (宇都宮市長) 佐藤和三郎君         参  考  人         (高槻市長)  阪上安太郎君         参  考  人         (津田沼町長) 白鳥義三郎君         参  考  人         (全逓信従業員         組合中央執行委         員長)     永岡 光治君         参  考  人         (日本自治団体         労働組合総連合         委員長)    徳永 利雄君         参  考  人         (官庁労働組合         協議会議長)  佐藤 忠夫君         参  考  人         (専修大学教         授)      大友 福夫君         專  門  員 安倍 三郎君     ――――――――――――― 十一月十四日  特別職職員給與に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第四五号) 同月十三日  姉崎町の地域給指定に関する請願佐久間徹君  外一名紹介)(第一一四四号)  野洲町の地域給指定に関する請願河原伊三郎  君紹介)(第一一四五号)  宗像郡下の地域給引上げ請願高橋權六君紹  介)(第一一四六号)  和田村の地域給指定に関する請願寺島隆太郎  君紹介)(第一二四二号)  和歌山県下各市町村地域給指定に関する請願  (田渕光一君外一名紹介)(第一二四三号)  富士町の地域給引上げ請願宮幡靖紹介)  (第一二四四号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  一般職員給與に関する法律の一部を改正す  る法律案内閣提出第二六号)     ―――――――――――――
  2. 田中伊三次

    田中委員長 これより人事委員会を開会いたします。  ただいまより昭和二十六年度における国家公務員に対する年末手当の顯の特例に関する法律案、及び一般職職員給與に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、審査を継続いたします。  本日は特に一般職職員給與に関する法律の一部を改正する法律案について深い関係をお持ちになる方々、及び学識経験者を十五名お招きいたしまして、この法案審査参考となる御意見を承りたいと存じます。この法案についてかくのごとく参考意見を承わるゆえんは、この法案国家公務員の大半を占めておる一般職職員給與改善に関するものであることもに、他面地方公務員給與に、多大の影響を及ぼすものであるという観察をいたしまして、特に一般的な関心を持つ重要な法律案であると考えるからでございます。  参考人各位に、委員長より一言ごあいさつを申し上げます。本日は公私御多忙のところを、わざわざお招きを申し上げましたにもかかわらず、遠路御出席をいただきまして、委員会を代表いたしまして、ここに御礼を申し上げます。何とぞ本日は、忌憚ない御意見の開陳を願いたいと存ずるのであります。  参考人の御意見を承る前に、一言御注意を申し上げますが、御意見をお述べになります前に、御職業と御氏名をぜひ一言お述べ願いたいと存じます。発言時間につきましては、大体時間に制約などを加えないで、十分承りたいという念願でおるわけでございますが、会期の切迫等都合がございまして、そうも参りません。やむを得ずお一人十分以内ということで、御意見を承ることにいたしたいと存じます。その範囲内でお述べを願いたいと存じます。なお発言順序でございますが、時間等の御都合もあるここと存じますが、適宜順序委員長において定めて参りたいと存じますから御了承を願います。  それでは最初に大阪市長中井光次君。
  3. 中井光次

    中井参考人 大阪市長中井でございます。  本日当委員会において大阪市に勤務する職従業員給與改訂の問題に関し、その事情を開陳し、国会の御理解と御配慮とをお願いする機会を得まし  たことは、まことにありがたく感謝にたえない次第であります。政府職員給與ベース改訂については、すでに法案及びその予算を提出され、国会において御審議中で、近く十月にさかのぽつて実施される見込みと承つております。今回政府が行わんとする給與改訂は、申すまでもなく一般物価高騰、特に最近における各種公益企業料金改正に伴う生計費上昇と、一般民間賃金との均衡上とられた措置でありまして、今日の経済情勢のもとにあつては、まことに当然な施策であると存じます。大阪市の場合におきましても、事情はまつたく同様であります。特に当市における物価は、本年当初以来、常にわが国最高水準にあること建総理府統計局の調査に明らかでありまして、その発表する消費者物価地域差指数によりますると、東京都の一〇〇に対し、全国においてただ大阪市のみが昨年以来これを上まわつて、たとえば本年四月ないし六月平均において、総合指数食糧指数とも全国第一の物価高を示しております。かような環境のもとに生計を営む本市職員につきましては、むしろ急速にその給與改訂する必要が痛感されるのであります。しかるに大阪職員給與水準が、政一府職員に比べて高いということと、及び財政事情がきわめて窮迫せる事情にあるという理由から、給與改訂は不必要であるとして、政府はそれに必要とする何ら特別の財源措置をも講じておらないのであります。そもそも給與水準比較は、まことに困難のことに属するのであります。と申しまするのは、比較対象がそれぞれの年齢、勤続年数職員構成等諾條件を検討せずして、單に給與平均額のみをとつて、その可否を論ずることは無意味であり、また大阪市職責のごとく、全国最高物価水準土地柄生計を営む者の給與と、政府職員のごとく全国平均給與とを比較することは、はなはだ不適当であります。でまた大阪市にあつては、交通水道等公企業を営み、土木、建築、港湾等土建業を営むなど、サービスを中心とする現業体が、都市行政において大きな部分を占めております。これら現業に従事している職員は、同一職務に永年勤続することによつて、よくその特殊な職務を遂行し得るのでありまして、自然給與比較的高くならざるを得ないのであります。人事院は今回の給與改訂に際し、かような給與差の設定を勧告しているのでありますが、このような傾向にある給與を、監督行政を主体とする政府職員給與とただ単純に比較することは、正しい結果を得がたく、無理であります。特に政府職員の場合に見られまするいわゆるベース給以外に、超過勤務手当及び旅費予算額の多額なること、たとえば超過勤務手当旅費とを合せ、政府の一人一箇月二千五百六十六円に対し、大阪市は八百十一円であります。その他官舎設備充実等実質給與が市に比して多額に存在することは、世間周知のことでありまして、軍に名目賃金であるベース給の高低のみをもつて給與水準を論ずることは不当もはなはだしいと存じます。このことは横浜神戸両市において、港湾移管に伴い最近実施しました政府職員引継ぎの際に、その実牧を保証するために、本給を三号給ないし五号給と大幅に引上げることを必要としました実例によつても明白であります。まして、今回政府職員給與ベース改訂する目標が、單に実質賃金の従来の水準を維持せんとするにすぎないのでありまして、何ら賃金を実質的に増額せんとするものではないのであります。このような事情のもとに政府職員給與改訂されるに際しまして、ひとり大阪職員給與のみが、そのまますえ置かれねばならないという理由は、まつたく見出し得ないのであります。私は国家行政の一環としての、かつはまた講和後の国家経済推進上、最重要な地位を占めまする大阪市政の円満な運営を期する上から見まして、職員給與水準上昇政府案に基いて実施いたしたいと存じておるのでありますが、今これに要する経費について見まするに、これを政府案通り実施いたすとしますると、現在職従業員総数二万九千七百余人に対し、基本給、年末手当、退隠料、共済組合及び健康保険組合に対する補給金その他を合せまして、本年度において六億四千万円、平年度にして十一億二千万円を必要とするのでありますが、これが財源措置につきましては、以下述ぺまするようなまつたく困難な事情にあるのであります。すなわち大阪市の財政事情については、巷間さながら金があり余つてでもいるような声を、しばしば耳にするのでありますが、これはまつたく実態をきわめずに、ただ漫然と大都市とこれを包含する府県とを混同してしまつた謬論にほかならないのであります。財政力に余裕を生じているのは、実は大都市をかかえた東京都や大阪府の、ごとき大府県なのでありまして、大都市、なかんずく大阪市の台所はまさに文字通り火の車で、しかもそれが次第にその度を加えつつあるのであります。現に、昭和二十五年度は、御承知通り、かのジエーン台風による災害救助並びにその復旧復興費として、十億余り市費負担に迫られた反面、税収入は、新地方税法の施行が遅延した上に、災害による減収も加わつて、わずかに六十七億にとどまり、その上従来の地方配付税制にかわる平衡交付金制度の実施による減収大都市起債承認額低下等によりまして、予定収入が著しく減少したために、既定予算について九億余り更正減額行つたのみならず、さらに執行において極力抑制に努力いたしたのであります。それとともに他方市税その他事業収入確保に全力を傾注いたしたのでありますが、結局、十五億の歳入欠陷はどうしても避けがたく、やむなく翌年度歳入を繰上げ充用せざるを得ない事態陷つたのであります。なおこのほかに事業繰越しあるいは支払い繰延べをいたしましたのが八億近くありますので、結局二十五年度実質的赤字は二十三億に達するわけであります。このような事態のうちにあつて編成された本年度予算が、徹底的な緊縮方針で貫かれていることは申すまでもないのであります。ところがその後公共事業災害復興事業等政府認証事業がほぼ確定いたしましたが、当初計画の上に今これをそのまま実施いたすとしますれば、本年度末の収支不足額は実に四十数億に達するものと推定されたのであります。ここにおいて先般使用料、手数料その他の事業収入について、全面的に単価あるいは料率を引上げ、できる限りの増収策を講ずるとともに、すでに当初予算において徹底的な緊縮方針で計上された経営的物件費及び僅少の単独事業費等既定経費についても、さらに天引削減あるいは全面的執行中止をする等、思い切つた抑制を断行し、かつその上、一般並びに災害復興公共事業といえども、その一部を返上することとして、総額十五億に上る市費負担軽減をはかつたので、結局二十八億の赤字にまで食いとめることといたしているのであります。もちろんこの中には問題の給與ベース改訂に要する経費は見込んでおりませんから、これを加えますと約三十五億と相なるわけであります。すなわち現状のままで推移するならば、実質赤字はますます累積するばかりという、まことに本市政開闢以来のゆゆしき事態に直面いたしているのであります。このような緊縮財政をしながら、どうしてこうなるのか、当面の給與問題にいささかそれを感じもいたしますが、いま少上くその原因を申し述べさしていただきたいと存じます。これは、明らかに大都市なかんずく本市特殊事情を無視した現行地方税財政制度そのものの欠陥にあるにほかならないのであります。はたしてしからばその欠陷とは何であるかと申しますに、まず第一に新地方税制そのものにある欠陷であります。事業税入場税遊興飲食税等大都市施設関係の深い、しかも弾力性に富んだ税種が、ことごとく府県に移譲されましたことは、何としても大都市特に大阪市としては非常な痛手で、これがために大阪府市の間では、シヤウプ勧告の所期の目的が、まさに反対となつてしまつたのであります。すなわち本市は二十五年度、新税制によつて六十七億の税収を得たのでありますが、これは二十四年度に比し三割六分の増収にしか当らず、シヤウプ勧告による一般市町村必要増収率五割に、はるかに満たないのに引きかえ、勧告では増牧を必要とせられなかつたはずの大阪府か、四十一億から一挙に六十九億と六割八分の増牧を得ることとなつたのであります。今かりに、旧税制の仮定のもとに、本年度における市税収入を推定しまするに、その調定見込み額は百四十五億円となり、現行法による場合よりも、四十億円の増が期待せられるのであります。これによつて明らかなように、大都市特に大阪市にあつては、新税制によつて実質的には、かえつて大幅の減収という不可解な結果を惹起したのであります。しかも旧制度のもとにおいては、この上に地方配付税配付されるのであり、二十四年度総わく六百七十七億の中ですら、本市分として九億近くのものを収入していたのでありますから、もしこれを本年度仮定いたしますれば、十億以上の配付は間違いないのであります。このように新旧制度の経過を十分に検討しますれば、現行地方税制のもとにおいて、大都市なかんずく大阪市などに、平衡交付金は無用だというが、ごとき観念は、まつたく無謀きわまるものといわざるを得ないのであります。しかるに現在行われております平衡交付金算定基礎には、大きな幾多の欠陷がありまして、本市に対しては、その普通交付金は交付せられないのであります。それは平衡交付金の算出に用いられる基準財政需要額と称する標準行政費算定にあたつて一般市町村対象としているために、大都市ことに本市の特殊な行政実態から必要とせられている多額の特殊財政需要がほとんど没却されて、顧慮されないからなのであります。たとえば社会福祉費について、本市では住宅、失業対策に多くの金を要し、二十五年度九億六千万円の一般財源を充当しでおるにかかわらず、基準財政需要額というものでは、主として生活保護児童福祉関係経費のみを対象として、わずかに一億一千万円でいいと算定しており、実際に所要しました額のわずか一割二分にも当らないのであります。また衛生費についても、下水や屎尿塵芥等処理費が考慮せられないために、九億九千万円の市費充当額に対し、二億二千万円で二割二分、港湾費が二億八千万円に対し二千五百万円で一割に足らないという見方で、その他大学教育、河川、公園、水害対策等についても、まつたく同様なのであります。さらにまた本市人口増加は年々歳々、宇都宮、川口あるいは岸和田程度の中都市を、一つずつふやしている有様で、まさに一般市町村とは比較にならぬ比率をもつて膨脹しつつあり、かつまた本市行政が道路、橋梁等土木事業にしても、保健衛生産業経済にしても、また警察消防にしても、おおむね晝間の活動人口約三百万人をその対象としているにもかかわりませず、一律にこれを二十五年の国勢調査人口百九十五万人で測定されているので、まつたく実態とは乖離してしまつているのであります。従つて今もしかりに、このような基準財政需要額標準行政費として行政を施そうといたしますれば、本市の機能はたちまちにして頓挫してしまうこと明らかでありまして、かかる不合理きわまる経費の測定によつて、実は本市については税収入が超過するものとしているのであります。しかもこのような架室超過収入と称するものが、実はまた大都市、なかんずく本市に対する起債許可額の逐年減少の理由とせられているのでありまして、これまことに不合理といわざるを得ないのであります。  以上かくのごとき現行税制そのものの持つ欠陷、並びに平衡交付金地方債制度運営方法の不合理性、これらが是正されずにこのまま推移いたしますれば、いかに本市自体がその経費緊縮合理化に努め、その固有財源について、あらゆる増収策を講ずる等、その財政運営に意を用いましても、結局本市財政の窮状はいよいよその度を加え、実質赤字は累積するばかりで、いかんとも対処し得ないこととなりますので、これらの諸点については、先般来他の大都市と相ともに携えまして、貴院並びに関係各方面に、しばしば陳情懇請を続けている次第でございます。  いささか財政事情の御説明が長くなりましたが、右のごとき財政現状からして、今回の給與改訂財源については、いかに一般物件費徹底的節減事業収入確保はもちろんのこと、人件費の縮減、事業打切り等を考慮いたしましても、とうていこれを捻出することはできませず、しかも現下の労務事情よりこれを放置し得ないという実情にあることを十分に御賢察くだされた上、これが財源措置として、平衡交付金の増額並びにその配分の合理的適正化、及び特別貸付金融通措置等につき、特別の御盡力をお願いして、公に奉仕する地方公務員についても、政府職査員同様の取扱いができまするよう、ぜひともこれが対策を仰ぎたいのであります。  右長らく御溝聽を煩わし、ありがとうございました。何とぞ右陳述事情がを御了承賜わりまして、国会として急速かつ強力に、格段なる御措置を賜わりたく、切に切にお願いする次第であります。
  4. 田中伊三次

    田中委員長 御質疑は後に一括してお願いいたします。  次に淺羽富造君。
  5. 淺羽富造

    淺羽参考人 ただいま御紹介をいただきました全国自治団体労働組合協議会委員が長淺羽富造であります。  まず意見の発表に移ります前に、本人事委員会といたしまして参考人として御招請いただきまして、その意見を発表する機会を與えられましたことに対しまして、委員長並びに委員各位に対しまして、衷心より感謝の意を表します。  私は今時の一般職職員給與に関する法律の一部を改正する法律案に対しまして、反対意見を持つものであります。その反対理由の第一点は、日本国憲法精神を蹂躪するものであるという点であります。すでに御承知通り、われわれ日本官公庁労働組合といたしましては、一万二千円の要求を掲げまして運動を続けております。また人事院におきましては、これも御承知通り、一万一千二百六十三円の勧告をいたしております。われわれといたしましては、この人事院勧告である一万一千二百六十三円に対しましても、不満の意を表するものでございますが、この一万一千二百六十三円の人事院勧告をすら下まわるところの、わずかに一千五百円にすぎないがぺース・アップを規定するところの本法律案に対しまして、反対意見を持つものであります。そもそも人事院を設けました趣旨につきましては、官公吏に対しまして従来持つておりましたところの労働三権を否定いたしまして、そのかわり公正な立場から公務員給與に対して、その措置をとるために設けられたのが人事院であることは、申し上げるまでもないところであります。その人事院勧告である一万一千二百六十三円をすら蹟聴するところに、本法案に対する重大なる反対意見を持つものであります。  申し上げるまでもなく、官公吏といえども一定の労務を提供して、これに対する反対給付として賃金を受けておるものでありまして、本質的に申し上げますならば、公務員といえども一労働者であることにかわりはないのであります。従つて労働三権を與えらるべきは、本質的には当然そうあるべきものと思料いたしております。この労働三権の制限につきましても、憲法第十四條あるいは憲法第二十八條の違反であるとの見解を持つものでありますが、かりに百歩を譲りましで、現在まで行われておるところの、このやり方を承認するといたしましても、この人事院勧告を無視するところに、重大なる問題がひそむものであると考えるわけでありまして、われわれといたしましては不満はありますけれども、一応第三者的な公正な立場からいたしました人事院勧告一万一千二百六十三円を蹂躙いたしまして、本法案を提出することは、人事院を設けました趣旨を没却するものであると同時に、日本国憲法精神を蹂躪するものであると考える次第でございます。これが本法案に対する反対意見の第一点でございます。  次に第二点といたしまして、本法案の内容について申し上げてみたいと思います。政府の考えておりますところの千五百円の引上げは、一万六十二円のベースとなるということを言つてれりますけれども、舟山大蔵次官の言明にもありまするように、現在のベースが大体八千三百円とが踏みました場合に、九千八百円にしかならないのであります。このことは新俸給表によつて算出しても同じ数字が出て参ろのであります。所得税軽減によつて実質的に一万六十二円になると言いますけれども、現在の諸物価高騰、すなわち交通費あるいは電気料ガス料金等の値上げによりまして、わずかに千五百円のベースアップによりましては、逆に実質賃金低下を来すものであると考える次第でございます。  さらにまたわれわれといたしましては、現在の給與形態におきましても、あまりに上に厚く下に薄い給與形態がとられておりまして、これに対しまして反対見解を持つておるものでございますが、今次改正が行われるといたしますならば、この上に厚く下に薄いという給與形態が、さらに拍車をかけられる結果に相なります。現在の上下差は、現行の八千円ベースにおきまして八三倍となつておりますが、今次改正法律案によりますれば、その上下差は九・三倍となりまして、上に厚く下に薄い給與形態が、さらに上に厚く下に薄い結果と相なりまして、われわれの考えております下に厚く上に薄い考え方とは逆行するものでありまして、この点に対しましても反対見解を持つものであります。さらにまた昇給の期間につきましても、一見期間的には有利なように見えておりますけれども、昇給の額につきましては、現行の八千円ベースよりもさらにその倍率が悪くなつておるのでございます。  次の反対理由といたしましては、勤務地手当でございますが、これは人事院勧告をかつてに修正いたしまして、百四十五件の格下げを行つております。この点も反対であります。そのほかいろいろ反対理由がございますが、大ざつぱに申し上げましても、以上申し上げました点から、この法案の内容についても反対見解を持つものであります。  次に私は地方公務員としての立場から、さらに付言いたしたいと思うわけでございますが、現在この法案がかりに国会を通るといたしました場合に、地方公務員の場合がどうなるかということであります。今中井大阪市長も申されました通り、現在の地方財政はきわめて窮迫を告げております。従いまして、われわれといたしましては、この窮迫せる状態を救うために、平衡交付金の増額を要求いたして参つております。もちろんこの考え方につきましては、あくまでも当面的な考え方でありまして、抜本的な地方財政の確立にはならないと考えております。われわれの考え方といたしましては、日本国憲法におきまして、特に一章を設けて、地方自治を規定し、また地方自治法を制定いたしておりますととは、日本の民主化の必須の要件として、地方自治の確立がなければならないという趣旨であると了解をいたしております。しかるに現在の地方財政制度は、いわゆる中央集権的な制度であり、しかも現在政府の行つておりまするところの財政政策は、さらにこれに拍車を加えまして、地方財政はすでに危機に瀕していると申し上げても、過言ではないと存じます。従いまして、この地方財政の確立のためには、抜本的な改革が必要であると考えるわけでありまして、この地方財政確立の裏づけなくして、地方自治の確立はあり得ないと考えておりますが、しかし当面われわれとしては、地方公務員のペース改訂国家公務員と同様に行うためには、現在政府が考えておりまするところの起債百億、平衡交付金百億の、かかる少額なるものでは、とうてい地方公務員給與改訂は困難に逢着することは、火を見るよりも明らかでございます。大蔵当局を初めといたしまして、現政府は、地方公務員給與は、国家公務員比較いたしまして、高いということを申しておりますが、市町村に例をとりましても、市町村の吏員の本俸が、平均六千七百十五円であり、国家公務員が六千四百三十円、従つてその差額の二百八十五円というものが、市町村公務員が高いということを言つておりますけれども、これはまつたく機械的な考え方でありまして、市町村の吏員といたしましては、土着の人も多く、従つて二十年、三十年の勤続年数を持つ者も顧れでなく、従つて平均年齢もきわめて高いのでございます。こういう実情を無視いたしまして、機械的に割出した大蔵当局の地方公務員が高いという数字は、まつたくその根拠薄弱であるといわざるを得ないのでありまして、むしろ私はいかにして平衡交付金を減らさんかというところから、逆にりくつをつけて来たものであると、断定せざるを得ないのであります。今地方財政は、先ほど申し上げました通りきわめて窮迫を告げております。従つて地方公務員給與も、決して高くはないのでありまして、現在の八千円ベースはおろか、六千三百円ペースのまますえ置かれておる市もあるやに聞いておりますし、また一例を申し上げますならば、北海道の小樽市におきましては、同一の級、同一の号俸でありながら、一割五分低い数字をはじき出しまして、それによつて給與を行つておるという実情でございます。かかる実情を考えますならば、現在の地方財政はきわめて窮迫を告げておると同時に、これに従つて地方公務員給與も決して高くないということが、はつきり言えると考えるわけでございます。従いまして、当面この地方財政の危機を救うことによつて、地方の行政を円滑に行うと同時に、地方公務員給與改訂を、国家公務員給與改訂と差のなきよう御配慮いただきたいと考えるわけでございます。時間の関係上以上で終りますが、以上申し上げました点をよろしく御採択いただきまして、本委員会として、この千五百円のベース・アップをしようとするところのこの法案の規定、従つて当面われわれ人事院勧告の即時実施と、なお地方公務員につきましては、平衡交付金の増額につきまして、格段の御配慮あらんことをお願いいたしまして公述を終ります。
  6. 田中伊三次

  7. 原口忠次郎

    ○原口参考人 私は神戸市長原口忠次郎でありますが、お呼出しをいただきましてまことにありがとうございました。  国家公務員給與改訂の問題と関連いたしまして、神戸市においてけ必然的に給與改訂の必要に迫られて、この財源対策について苦慮いたしておるのであります。現在神戸市は有給職員の一万四千七百四十八人を擁し、基本給與額一人平均一万一千五百二十八円の給與を支給しておるのであります。いまかりに国家公務員と同様に甲均一千五百円を軍純スライドしてベース改訂いたしますと、その追加所要額は年間三億三千七百万円となり、これが二十六年度内の所要額は一億六千八百万円となるのであります。これが財源の捻出については現在のところ、まつたく不可能であります。と申しますのは、昭和二十六年度予算につきましては、徹底的緊縮方針にのつとりまして、人件費については新規採用の全面的停止、物件費の極端なる圧縮をはかつたのでありますが、臨時経費といたしまして、六・三制、戦災復興、住宅建築、失業対策事業費の増大、戦災復興費の増加及び政府諾施策に伴う新規財政需要、並びに今回の給與改訂を予定いたしますとき、歳出総額は七十億六千万円となり、これが財源対策といたしましては、公共事業に対する補助金、起債、その他の特定財源のほかに、なおかつ一般財源の所要額約四十六億円と相なるのであります。しかるに、確実な収入といたしましては、市税の二十七億のほかに、平衡交付金を一応昨年度並といたしまして、なお約十七億円以上の不足と相なるのであります。以上の財源不足にかんがみまして、本市においては経常経費徹底的節減をはかるとともに、公共事業においては、住宅、戦災復興、災害復旧等緊急事業についても認証額の五〇%程度の繰延べ、単独事業については当初計画の六〇%程度の打切りを行う等、忍びがたきを忍び、経費の大幅節減をはかつたのでありますが、なおかつ本年度末において、十四億円程度の歳入欠陥が予想されるという、真に憂慮すべき事態に直面いたしているのであります。第一表の御参考をお願いいたします。かように大都市財政がはなけだしく窮迫するに至りました原因を究明いたしますと、大都市の特殊性より多額の特殊財政需要に迫られておりながら、税、財政制度上において一般市町村と一律に取扱われ、何らこの点についての配慮が樹立されていないということを特に御銘記願いたいのであります。その第一は平衡交付金算定の問題であります。すなわち別冊の資料第三表において示しますように、昭和二十五年度平衡交付金基準財政需要額は、歳出決算見込み額のわずかに五二%程度にすぎないのであり、画一的な算定方法によるその結果は、とうてい本市財政需要が適正に算定せられていないのでありまして、これを是正し真に実態に即した御考慮を願わねばならないのであります。  次に、新しい税制度によつて、旧税制度によるよりも、より多くの財源を與えられたかの問題でありますが、現行地方税制による昭和二十六年度市税収入見込みは、現年度分において二十三億4千万円となる見込みであり、反面、旧税制が現在まで存続するものと仮定して計算いたしますと、同じく現年度分におい三二十五億円、すなわち現行税制において十一億六千万円の減収と相なるのでありまして、これは先般の税制改正において、事業税入場税等を府県税とせられたため、大都市税制が著しく弾力性を欠いた結果でありまして、経済情勢の変動に大きく左右される大都市財政需要が無視されているのであります。第二表を御参考をお願い申し上げます。  ここで再び元にもどりまして、今回のベース改訂についてでありますが、われわれはしばしば関係当局側より、大都市職員給與は、国家公務員に比べて高いとのお話しを聞くのであります。なるほど名目賃金については一応高いといたしましても、実質賃金の面からこれを詳細に検討いたしますと、資料別表四に示しますように、市内の主要官庁の給與額に比較いたし、実質的にはさほどの違いがないのであります。そして、去る四月一日神戸市が、港湾の全面管理に際しまして、運輸省より七十五名の職員を採用するとき、みな五号ないし六号俸を上げなければ採用できなかつたことは、何を物語りましようか。かりに多少高いといたしましても、資料に示すごとく、戰前から県及びその他の官吏に比して高いという社会、経済的な沿革があり、さらに国家公務員に比べて本市職員は、平均年齢も著しく高いという実情にありまして、これを考慮いたしますとき、本市給與は決して不当に高い給與ではないのであります。また大都市では交通事業あるいは水道事業等の公企業をも経営いたしております関係上、民間企業との関連をも考慮を要するのでありますが、最近本市における民間給與実態調査の結果では、別表第四の三に掲ぐる通り、その給與水準はきわめて高いのでありまして、現在の給與ベースが多少国家公務員より高いという事情は、地方労働委員会もつとにこれを認め、昭和二十二年より別表のごとくこれが裁定を下しておるのであります。今もし財政的な理由をもつて国家公務員ベース・アップをするにもかかわらず、本市職員について実施できないという事態が惹起するものと仮定いたしますならば、労働攻勢等によりまして、本市行政機能はまつたく停止し、収拾おくあたわざる事態が惹起することが予測され、ひいては全国的な政治問題となるおそれがあるので、国家公務員と同様に何らかの財源対策を講じ、平衡交付金その他の方法により、すみやかに政府において処置せられるよう、本委員会各位の格別の御配慮と御支援のほどを、特に懇願いたす次第であります。  なお時間の関係上、意を盡さない諸点につきましては、別冊資料により御賢察のほどお願い申し上げます。  長らく御清聽をわずらわしまして、厚く御礼申し上げます。
  8. 田中伊三次

    田中委員長 この際ちよつとお諮りいたしますが、横浜の平沼市長、名古屋の塚本市長、京都の高山市長、この三市長はやむを得ざる御用件で、御欠席のお知らせでございます。その代理として、本日横浜市の船引助役、名古屋市の手島助役、京都市の中根理財局長がお見えになつておりますから、三市長の代理として御意見を承ることに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり]
  9. 田中伊三次

    田中委員長 それではさように決定いたします。  次に、京都市の中根理財局長。
  10. 中根武夫

    ○中根参考人 京都市理財局長の中根武夫でございます。高山市長がまかり出ましで申し上げるはずでございましたが、ただいま天皇陛下が京都市に行幸中でございますので、私がかわりまして事情を申し上げさしていただきたいと存じます。  京都におきましての給與改訂の問題でございまするが、すでに大阪神戸両市長さんが詳しくお述べになりましたように、その必要性は、私たち十分痛感いたしておるのでございます。しかしながら、いかんせん京都市財政は極度の窮迫の状態にありまするので、給與改訂の財源は全然捻出方法がないのでございます。給與改訂の必要性は、すでに両市長さんからお話になりましたので、私は財政立場から申し上げさせていただきたいと思います。  京都市財政はどういう現状になつているか、これにつきましては、お手元にお配り申し上げました「京都市財政の実体」という印刷物に詳細しるしてありまするので、これによりまして、計数的にごく概要だけを申し上げたいと存じます。印刷物の十三ページの中ごろに書いてありまするように、地方自治強化のために、シヤウプ勧告に基きまして、昨年八月から実施されました地方税法改正によりまして、京都市の自然増収入は、単純に決算額だけから比較いたしますると、二十五年度は二十四年度に比べまして、八億五千万円の増収と相なつたのでございまするが、平衡交付金と補助金におきまして相当な減額となり、歳入といたしましては、差引七億三千万円の増収なつたのであります。しかしながらこの増収は、旧地方税法に属する過年度調定分その他の収入を含んでおりまするので、新旧税法による税収を嚴密に区分して比べますると、同じく十三ページの下の方にしるしてありまするように、約五億六千万円の税収の増加、歳入全体といたしましては、先ほど申し上げました平衡交付金あるいは補助金の減額がありましたので、四億三千六百万円の増加にすぎないのでございます。この税收入の増加に対しまして、歳出面におきましては、朝鮮動乱による物価騰貴に基く物件費の増加、新地方税法実施に要する徴税費、失業者激増に対する失業救済事業の増加、さらにジェーン台風の来襲があり、その復旧費支出等によりおびただしく支出の増加を要することに相なりましたので、事業執行中止、繰延べを行うほか、行政各般にわたる経費の縮減を断行いたしまして、表面上はとにかく印刷物の二ページにありまするように一応一億円の黒字と相なつたのでありますが、これは二十五年度に当然支出すべかりし人件費の一部を、赤字のおそれが非常に多かつた関係上、二十六年度予算に計上して支出した結果によるものでございます。それで実質的にはすでに税法改正の行われた年自体におきまして、約七千万円の赤字と相なるわけでございます。  それでは今年度でございますが、二十六年度における收入見込みは、これも印刷物の十三ページに書いてあるのでございまするが、単純計算によりましで、平衡交付金、補助金を前年同様に交付せられるものと見まして、二十五年度に比べまして約二億五千万円の減少と相なるのでございます。今年度は前年度、すなわち二十五年度に比べまして、地方税は法人税の自然増により増収があるように伝えられておるのでありますが、京都市は消費都市でございますので、所得税の減税による市民税の減額は、会社、工場の少い関係上、法人に課する市民税の増収ではカバーできない、これが減収のおもなる理由でございます。かように收入は減ずるのに、一方支出は物価が前年に比べまして約五割程度の騰貴となつておりますので、物件費を多く要する。人件費は七九ベースの実施による増加分の一年分を計上せねばならない。失業者は一向減らない上に生活要保護者は増加の一途をたどつておる。さらに七月には大水害があつたというありさまで、十九ページにしるしておりまするように、現在においてさへも年末手当やただいま論議の対象となつております給與改訂費さらに水害復旧費を計算に加えなくても七億円の赤字と相なるのであります。市財政はまさに空前の危機に直面いたしておるのであります。それでもし普通経営に属する約一万三千人の職員に対して、政府職員に準ずる年末手当を支給するといたしますれば、約一億四千万円、また政府職員と同じように給與改訂を行うといたしますれば、半箇年分で約二億円を要するのでありまして、かりに水害の復旧費を出さなくても、今年度赤字は十億をはるかに越えまして、財政は破綻するのほかはないのであります。巷間しばしば大都市財政に余裕があるようにうわさされておるのでありますが、印刷物の八ページをごらんいただきましたならば、るる御説明申し上げなくても、これによりまして財政窮迫状態の全般を、御想像願えるのではないかと思うのであります。すなわちおびただしい歳入不足に対処するために、事務、事業執行の中枢的系統とでも申しまするか、その経営的物件費におきましても、政府予算の編成の基準單価の約五分の一という、ほとんど執行不能と思われるような単価にまで引下げまして、予算を組んでおるありさまであります。従いまして事業の中止や縮小などは、この経営物件費の計上の仕方から御想像いただけるのではないかと存ずるのであります。かようにして大きな赤字を必要とする財政実情にあります今日、京都市一般職員に対する給與改訂は、その改訂方法がいかようでございましようとも、冒頭に申し上げましたように、財源捻出の方法は全然ないのでございます。しかしながら物価高にあえいでおる今日、京都市職員だけは給與改訂を行わないといたしますならぽ、その影響は実に憂慮にたえないものがあるのでございます。何とぞ地方財政の実情に御回構いただきまして、地方行政の円滑なる運営のため、財源問題につきまして格別の御援助を賜わりますよう、ひとえにお願い申し上げたいと存じます。長らく御溝聽をありがとうございました。
  11. 田中伊三次

    田中委員長 横浜市長代理船引助役。
  12. 船引守一

    ○船引参考人 横浜市助役の船引であります。給與ベース改訂の必要性につきましては、先ほど来、大都市の市長さん方がお話になつたのであります。横浜市においても、その必要性は痛感しておるのでありますが、京都のお話にありましたと同様に、結局はこの財政の問題にからんで来るのであります。横浜市で今度の給與ベース改訂政府にならつて行いますとしますと、年間三億、二十六年度におきまして半箇年一億五千万円を要するのであります。三億円あるいは一億五千万円と申し上げましても、皆さんにはピンと来ないのでありますが、横浜市の一般経済の純計予算を申し上げますと、五十七億円であります。五十七億円に対しまして三億円の必要がある。こういうようなことに相なるのであります。  そこで二十五年度までの赤字を調べて見ますと、現在一億余円の赤字を生じておる。それから二十六年度赤字を生じますのが、十三億余円生ずる。合計しまして、十四億円ほどの赤字を生ずるのであります。これではどうしても切りまわしができませんので、いろいろプリントに書いてありますように、くふうをしまして、節約をしてみたのでありますが、それでも約十億円ほどの赤字を生ずる、こういう形に相なつておるのであります。その十億円ほどの赤字の中で、本年度は一億五千万円ほどの給與ペース改訂の財源がいる。こういうことになつておるのであります。  一体こういう赤字の起る原因は何であるか。これは先ほど来大都市の市長さんからお話がありましたが、都市行政の中で、いわゆる国の委任事務と考えられますのは、戦前は五割五分程度であつたと思うのであります。ところが今日では大体八割を越しているのではないかと思います。それほど国の行政事務が地方に流れておる。この流れ方は、いわゆる地方自治の強化というような、りつぱな名目もあるだろうと思います。あるいはその他国の行政事務の簡素化というような名目で流された点もあるのではなかろうかと思うのであります。ところがこれに伴つて財源が流されていないということであります。一例を申し上げてみますと、これは皆さんも御承知だろうと思うのでありますが、二十三年度において警察、消防の制度の移管がありました。この移管に伴うところの支出と財源の流し方の一例を見ましても、財源が流されましたのが、横浜で申し上げますと一億九千余万円であります。ところがこれに要する経費は四億二千余万円、差引き二億二千万円というものの負担になつておる。こういう形が他の面においても非常に多く出て来た結果、地方財政の窮迫を告げたということに相なると思うのであります。  それからもう一つは、横浜で申しますと、全税額の四割に相当するところの固定資産税、これは御承知通り、一でありますが、先ほど大都市の市長さんがお話になりましたように、伸びがない。固定資産というものは、物価の非常に確定いたしました安全な財源変動が一番最後に来るものであります。一番伸びがない。従いまして、歳出、いわゆる所要経費が、物価に伴つて刻々変動して行くのに、その財源であるところの固定資産の変動がない。こういうのも一つの原因ではなかろうかと考えられるのであります。それから特に横浜特殊事情がこの資料に書いてあるのでありまして、また図面で差上げておいたと思いますが、横浜特殊事情は、土地と建物が非常に多く接取されておる。ことに港湾設備においては実に九割接収されておる。土地で申し上げますと、大体東京都の二区分くらいの土地が接収されております。それから家屋におきましても、プリントに数字が書いてありますが、四十七万八千余坪接収されております。こういうことで、非常に税収入が上らない。こういう原因も特殊事情ではなかろうかと考えられるのであります。  私たちがこういう給與改訂をしなければならぬという必要に迫られながら、金がないので、いろいろその実情を政府に述べて、御援助を願つておるのでありますが、私たちの率直な感じを申上げますと、今私たちの都市における財政の窮乏を訴えて、そうしてそれをまつたく親切に、真剣になつて取上げてくれるところが、遺憾ながらないと言つてもいいのではないかと思うのであります。これはたいへん失礼な言葉であるかもしれませんが、実際そういうことを実感するのであります。これは一例を申し上げますと、公共事業につきましても、われわれは共共事業は返上しなければならぬ実情にあるということを申し上げる。これは公共事業を委託されました各省に行つてみると、その通りである。それはわれわれも努力するが大蔵省べ行つてくれ、こういう話である。ところがわれわれが大蔵省に行つてみると、それは各省へ行け。それではどこべ行つていいかわからない。結局総理大臣のところに行つて陳情するよりしようがない。こういうことになるのであります。親切にわれわれの都市財政を考えてくれるところがない。ことに先ほど申し上げましたように、地方団体の行政の約八割は、国政でないかと考えられる今日において、そういうことではたいへん遺憾だと思うのであります。  今日幸いに人事常任委員の方が積極的にお聞き願うということは、これはわれわれはほとんど経験したことのない、非常に感激にたえないところであります。それほど私は今日まで二箇月の間、都市の方々が陳情して苦しい体験を得ておるということを、最後につけ加えまして、陳述を終りたいと思います。なおこの詳細なことにつきましては、プリントに差上げてありますから、ごらんを願いたいと思います。
  13. 田中伊三次

    田中委員長 名古屋市長代理、手島助役。
  14. 手島博章

    ○手島参考人 私は名古屋市の手島助役でございます。今まで都市側の方が述べられましたのと大体似たような点が多いのでありますが、また名古屋だけの特殊事情もありますから、御溝聽を煩わしたいと考える次第であります。  大都市における財政窮乏の現状につきましては、しばしば各方面に対し陳情、嘆願いたしておる次第でありますが、この機会におきまして名古屋市財政の概況を申し上げてみたいと存ずる次第であります。  ややともいたしますれば、大都市財政的に裕福であるかのごとき風評を聞くのでありますが、これは誤れるもはなはだしいと言わざるを得ないのでありまして、大都市財政の実際は、年を追うて窮迫の度を加えまして、特に本年度におきましては、目前に控えております給與改訂につきまして、見返り財源もなく、まつたく窮乏の極に達しているのであります。しかるに一部におきましては、大都市に対する平衡交付金の不交付が論議せられているやに仄聞いたしますが、平衡交付金趣旨から見ましても、また本市の実情からいたしましても、まつたく当を得ない暴論と言わざるを得ないと存ずる次第であります。  しからば何ゆえに財政の窮乏がここに至つたかということを顧みますれば、一方におきましては法令の新設改正に伴う経費の増加、たとえば社会福祉主事の設置、生活保護法の改正、食品衛生法等による衛生監督、営業規正、結核予防法の改正人事委員会の設置または公共事業費の市費負担額に対する起債認証額の抑制、あるいは数次にわたる警察消防職員を含めた給與改訂物価の騰貴、その他いろいろ財政需要額の累増にもかかわりませず、他方におきましては税收入については税制改正後の運営が、いまだ軌道に乗つておりませんので、ために十分の徴税成績を上げ得ないという点はあるのでございますが、税収入が最小限度の財政需要にも即応しないということが、大きな原因となつておるのでございます。現行税制による税調停見込額は三十八億円余となつておりますが、今かりに旧税制のままでありますれば、税調停額は四十六億円余となる見込みでありまして、約八億円余の減牧となつているような次第でございます。  結局前述の累増する経費に対しまして、税收入の固定が財政逼迫にますます拍車を加え、財政収支の均衡を強行保持するためには、限度を越えた経常費の圧縮、臨時事業費の打切り等を余儀なくせられておる次第であります。名古屋市におきまする現在の本年度財政収支の不足額は、給與改訂に要しまする経費約二隠円弱を含めまして、約十一億円余となる見込みでありますが、少しでも不足額を減少するために、さらにこれに再検討を加えまして、御配付申し上げました別表第一に示すごとく、人件費におきまして約四千万円弱公共事業費において六・三制だけは実施しなければなりませんが、その他の一部の削減を見込みまして、なおこれに単独事業費の打切り、経営費の節約をしている等、でき得ろ限りの努力をいたしましても、なお八億円の赤字はとうてい不可避の現況となつている次第であります。  職員の定員につきましても、法令の改正によるもの以外は、ほとんど増員を実行いたしておりません。たとえば二十四年度におきましては、自治体警察、公設消防の設置に伴う増を除けば約四鬼、二十五年度におきましては、税制改正による徴税機構の拡充並びに保健所の拡充に伴う増を除けばこれまた約四%、二十六年度におきましては社会福祉主事の設置、衛生監督関係職員の設置、建築審査関係職員の設置に伴います増を除けば約二%、それぞれ前年度に比べまして一般職について減員をいたしまして、その財政の健全化を企図して参つたのでありますが、法令の改正等によります人員の増加が結局減員の効果を無に至らしめるばかりか、別表の第二に示しておりますごとく、かえつて総体的な増員を招来いたしまして、これに伴う経費の増嵩が地方財政に著しい圧迫を加える結果となつておるような次第でございます。  次に常に問題の焦点になりまする職員給與について申し上げたいと存じます。本市に奉職いたしております職員は、教育公務員を除きまして現在約一万六千七百人でありまして、職員の一人当り平均給與額は、給料、扶養手当、及び勤務地手当等を合せて一万七百円となつております。これに対しまして今回政府国家公務員に対してなされんとする平均千五百円増額の給與改訂を実施しますには、年間約三億七千二百万円を必要といたしまして、本年十月から昭和二十六年度分所要額は大体一億八千六百万円となる見込であります。全職員一万六千七百人のうち、交通及び水道の公営企業に従事するものは、両者合して五千四百人ばかりありますので、これらはそれぞれの使用料増額にその財源を求めることといたしましても、残余の一万一千三百人分、このうちには自治警察及び消防職員五千百人を含んでおりますが、これらは税その他一般收入に、その財源を求める以外に道がないのでありまして、これに教育公務員を加えますと、年額約三億八千万円、さしあたり本年度所要額約二億円は、上来申し述べました本市財政状態では、別表三の示上ますごとく、人件費が総支出より見て高率でないにもかかわらず、支弁不可能と相ならざるを得ない実情にあるのでございます。  新聞紙上等で拝見いたしますところによりますと、地方公務員は、総じて国家公務員より現行給與が高いから、今回は国家公務員には給與ベース改訂を行つても、地方公務員にはその必要なし、あるいは行うといたしましても、国家公務員よりも低率のものでよろしいとの御見解のもとに、政府地方公務員給與引上げに関しまして十分の財政措置を考えておられないとの趣きでありますが、もしこのような報道が真実でありますならば、私どもは政府御当局の御見解には納得か参らないのであります。その理由を次に申し述べてみたいと存じます。  第一には、地方公務員、特に名古屋市職員現行給與は、今回のベース改訂を置きざりにしてよろしいほど、国家公務員に比べまして実質上、上まわつていないということであります。  さきに申し上げました基準給”額一人平均一万七百円は、政府の指示されまする理論給與、あるいは八十万人を越えまする国家公務員の総平均よりは、やや高いかもしれません。しかしながらこれには大体次の三つの理由があるのでございます。  第一点は、平均扶養家族数が、比較政府職員より多いことと、職員の全員が五級地すなわち特地に勤務するために、手当額の高いことが、その明白な理由の一つであります。  次に、勤続年数比較的長く、かつ職員の年令構成が高い。その上民間事業労務者類似の職種が非常に多くありまして、ために一般賃金との均衡上、労務並びに技術職員給與に多額を要すること、これは都市行政の複雑多様性から来る不可避のものでございます。  次に都市職員は、昭和二十一年七月の給與統制以前から、国家公務員よりはその給與がやや上まわつていた沿革的な事実があるのであります。と申しますると、往時は国家公務員には叙位であるとか、叙勲等のごとき恩典がありましたが、官吏に比較しますれば地方公務員は栄進の希望が少く、かつ統治的行政よりは保育行政の面が多いのでありまして、権力を伴わぬ活動でありまするがゆえに、より多くの忍耐と努力が要請せられました結果、官吏より公吏の方が給與の面において少し高いのは当然とされた時代から、漸次その感覚は圧縮されては参りましたけれども、なおかつ若干の沿革的の影響は免れないものがあると思うのであります。かくのごとくいたしまして、本市職員給與は従前の地方自治法関係法令及び現行地方公務員法の規定に基きまして、ほとんど国家公務員給與体系と基準とをそのまま準用実施いたしつつ、しかも必然に現在の姿になつておるのでありまして、市独自の剰余の財力があつて特別な増額を行つたり、あるいは附加給與行つた結果によるものではないのであります。市職員給與が不当に高いというがごとき非難は、少くとも私のところにおきましては当らないものと信ずるのであります。  第二に、以上のような実情におきまして、今回国家公務員給與改訂を行われるにもかかわりませず、ひとり私ども地方公務員のみこれを行わずに、あるいは行うとしてもそれ以下の低率にいたすといたしまするならば、それで事態は円満に推移するかどうかという見込みの点であります。私は遺憾ながら重大の結果を招来するのではないかをおそれるのであります。  翻つて見まするに、去る昭和二十一年以来の公務員給與は、数次にわたつてその改訂が行われました。折からようやく活発化し、時に不測の事態さえ招来するかに危ぶまれた労働攻勢のさ中にありまして、これら給與改訂の行われる都度、あるいはまた給與改訂期以外の随時に、私どもは職員団体によろ猛烈な賃上げ闘争に対処じつつ、なおかつ、今日の給與水準を維持し得ましたことは、実にただ一点、政府基準によるとの強い理念を貫いて参つたからであります。申し上げるまでもなく都市財政は、敗戰の焦土から立ち上る過程においてきわめてきゆうくつなものがあり、なかんずく人件費の年年著しい膨脹は、まことに苦難な財政上の重圧でありました。他面またこの市民生活の窮迫とともに職員の訴える生計上の苦痛は、まことに無理からぬものがあり、財政さえ許すならば、思い切つた給與の増額もはかりたい実情ではありましたけれども、私どもの過去六年間堅持した不動の方針は、ただ国民の代表が国会において定めた線までは何としても支給したいが、それ以上は断じてできないという強固な線であつた次第であります。幸いに名古屋市は、生活環境等にも比較的恵まれた土地柄でもあり、ただいま申し上げた理念を強く貫いて参りましたために、さしもの労働攻勢もその乗ずるところもなく推移して参りましたが、この期に及んでその唯一の政府基準さえ実施できないこととなりますれば、数年来の名古屋市当局は、ここに重大な食言をすることとなり、職員団体はとうていこれを容認しないばかりでなく、一部不半分子にはその策動に絶好の好餌を與えろ結果となつて、市政の運営上少からぬ支障を来すおそれが多分にあるのであります。以上はなはだくだはだしく申し上げましたが、どうぞよろしく御了承願います。
  15. 田中伊三次

    田中委員長 それから次は宇都宮市長佐藤和三郎君。
  16. 佐藤和三郎

    佐藤(和)参考人 私、宇都宮市長佐藤和三郎であります。本日の参考人としての一応の考え方を申し述べたいと存じまするが、まず第一点でありまする今回の国家公務員ベース・アップの場合における地方公務員に対しての取扱いをどうするかという点であります。これは私ども当然同様の措置地方公務員に対しましても講ずる義務があると存ずるのであります。御承知通り、従来の官吏その他公務員と申しますものは、月給その他においても、家、宅地を買つて安楽に暮せるような時代があつたわけでありますが、現在の公務員でそれだけの余裕があるという公務員は、一人もないと私は思つております。おそらくは生活に汲々としておるわけでありまして、これは同様にわれわれ地方公務員に対しても言い得るわけであります。今回さらに国家公務員に対してと同一の処置を講ずるに、ただ一つの問題となりますことは、一応新聞紙上その他において、あるいは政府筋の方において、地方公務員国家公務員よりは上まわつた給與をやつておるじやないか、かようなことを言われておるのであります。一応その関係につきまして、私ども全国市長会におきまして統計をとつた関係によりますると、多少上まわつた点があるのであります。これは事実であります。現在二百七十程度の都市がありまするが、そのうち回答を寄せられたものが二百二十四市であります。大都市といたしましては、大阪、京都、名古屋「横浜等は未着でありまするが、大体二百二十四市の統計をとりました結果、今年一月政府国家公務員は御承知通り七千九百八十二円ベースであつたわけでありますが、現在の政府国家公務員関係につきましても大体八千五百六十九円程度のものであろうと存じます。この二百二十四市の平均を見ますると八千六百四十九円であります。わずかに八十円上まわつておるという程度であります。それを統計的に見ますると、一万二千円以上のものは五市であります。一万一千円以上のものが八市あります。それから一万円以上が十六市、それからただいま国家公務員のペースの八千五百六十九円程度のむのが六十六市、八千円以上のものが五十四市、七千五百円以上が四十一市、七千円以上が二十五市、それから七千円未満が九市、かような状況になつておるのであります。しかしこれが多少上つたといたしましても私は当然であるということは言い得ると思うのです。と申しますのは、何といいまして都市公務員は、ほとんど全部物価水準の高い都市に住んでおるのでありまして、国家あるいは府県公務員等におきましては、相当物価の安い農村方面に住んで勤務されておるのが多いのであります。それからもう一つは、国あるいは都道府県に比しまして、勤続年数が長いということであります。従つて家族も多いということは、それは今まで各市長からもお話があつた通りであります。それからもう一つは、市関係におきましては、新たな増員ということは最小限度にとどめておるわけでありまして、国あるいは府県のように、厖大に一時に大きくなるというようなことはなかつたのであります。従いましてこれらの点から申しましても、新しく増員された給與の少い者が少いということが言い得るわけであります。それからなおもう一つは、実質賃金と申しまするか、実際の手取りの賃金であります。これは地方公共団体においても府県の場合には、県内出張の旅費において相当カバーできるわけであります。しかし市において、ことに私どもの方においては、一日かけまわつて出張いたしましても五十円であります。しかも管外出張というのは、ほとんどないといつても過言ではないのであります。よそに会議があるという程度のものでありまして、市内でしか仕事はないのでありまするから、旅費においてカバーできるということはないのであります。かような点本十分お認め願いたいと存ずるのであります。さらに従来の一般公務員の通弊と申しまするか、国あるいは府県というものには有能な者が就職する。しかし都市に対しては、大都市はいざ知らず、中都市方面にはあまり志願しない。市役所にいるのかというて軽蔑する風潮があるので、有能な士が入らない。だから有能な士を入れるのには、多少月給を高くしてやるということが当然考えられる、かようなことにおいて、多少の増額があつたといたしましても、実質関係におきましては、まだまだ県あるいは国家公務員より下まわつているという現状にあるわけであります。当然今度のベース・アップにあたりましては、政府同様に、われわれ一般公務員に対しましても、ベース・アップをいたしたい、かように考えているわけで、あります。その場合における第二点といたしまして、しからば地方財政ベース・アップによつてどういう影響を来すか、この点であります。これはすでに参考人各位からも申されておるわけでありまして、私はあらためてくどくど申し上げる必要はないのでありまするが、ただここで昨年のシヤウプ税制によりまして、非常に地方公共団体が有利になつた、財源がゆたかになつた、余裕があるのだということは、非常にこれは誤解でありますことを、ひとつまずもつてお認め願いたいと存ずるのであります。と申しますのは、特殊なろ市町村においては、もちろんこれは有利なものがあるでしよう。大工場が幾つもあるとか、あるいは発電設備の大きなものがあるということになりますれば、固定資産税その他において相当な金がとれるわけであります。しかしながら、まず私、宇都宮市の例を一応とつて申し上げますると、改正前でありまする昭和二十四年度におきましては、大体二億の租税収入があつたのであります。しかし改正後の昨年におきましては一億七千万円であります。どうして減つたかと申しますると、入場税において五千百万円の附加税がとれておつた、事業税附加税におきまして五千四百万円、遊興飲食税において一千三百万円、こういうものが御承知通り県にみな行つてしまつておるわけであります。その改めて参つた市民税関係において御承知通り、これは昨年度所得税を基本としてかけるということにおきまして一億しかとれないわけであります。さらに固定資産税については、大工場も何もない消費都市であるわれわれ宇都宮市といたしましては六千三百万円、しかも戦災をこうむつて今もつてバラツクであります。これ以上とれつこはない。かような関係からいたしまして、非常に減つて来ております。今年度は御承知通り固定資産の再評価その他によりまして上つては参りましたが、それでも一億八千万円、まだまだ一昨年よりは二億二千万円以上も下まわつているという現状であります。しかも反対に、給與その他物価高ということにおきまして、事業面においてもすべて経費は何倍かの上昇をしなければならぬという状況にあることになりますれば、決して地方公共団体が、シヤウプ税制改正によりまして、ゆたかになつたとは言い得ないのであります。過般地財委の荻田局長がお見えになりましたときにも、十分この資料によつて調査を願つたのでありますが、なるほどこういう都市もあるのかということを認識されたのであります、でありまするから、これは宇都宮の一つの例でありますが、ただいま大都市の市長あるいは助役の各位から申されたように、全国市長会議において調べたところではほとんど現在の九〇%の都市というものが、赤字財政に苦しんでおるのであります。その一つの理由といたしましては、もちろん滞納というものがあるからだ、滞納をとつたらいいじやないかと政府の方は言つておりますけれども、滞納をとつても動きがとれないというのが、現在の都市財政の内容であるのであります。かような情勢において、従来政府においてもベース・アップの場合におきましては、財源措置を講じていただいておるわけであります。しかるに昨年の税制改正以来、ゆたかになつたのであるから、財源措置は講ぜられないということで、投げやりになつておることは、各位におかれましても、すでに御承知通りであります。しかし現在の地方財政というものが、かような実態を持つておるのでありますから、しかも国家公務員と同様に地方公務員に対しましてもペース・アップをするという場合に、いかようにしてこれを支給するかに今の悩みがあります。しかじやらねばならぬのです。現在の情勢からいたしますれば、ほとんど税金で市の吏員を食せる、ただ仕事をするわずかな公共事業を全部やらないとしても、それでも寝食いをするという現状であります。しかしこれとてもやらざるを得ない以上は、単独事業を全部打切つてもやるという以外に方法はない。しかしこれでは地方は治まらないのであります。どうかこの点につきまして、ただちに財源を與えろ、こういうふうにお願いを申し上げても、これはどうにもならぬと存じますので、当面の問題としては、どうしても地方財政平衡交付金の増額をやつていただく、しかも適正にこれが配分していただくという以外に道がないのであります。この点につきまして十分御考慮を賜わらんことをお願い申し上げまして簡単でありまするが、私の意見を終りたいと思います。
  17. 田中伊三次

  18. 阪上安太郎

    ○阪上参考人 高槻市長阪上安太郎でございます。われわれ全国市長会が、一番困難を感じておりますところの国家公務員給與改訂に伴う都市給與改訂をいかにすべきかという点につきまして、われわれの意見を聞いてやろうという人事委員会のおはからいを得ましたことにつきまして、衷心から感謝申し上げます。  ただいまの諮問の第一点につきまして、簡単に意見を申述べたいと思いますが、こういう御質問は賜わらなくても、この点につきましては大方結論は皆さん方でお持ちだろうとわれわれは考えるわけであります。経済情勢の推移とか、あるいは生活費の高騰というようなことによりまして、国家公務員給與改訂をされるということでありますならば、これに伴いまして地方公務員給與改訂を、いかにすべきかという点につきましては、これは当然甲乙をつけられるべき問題ではないであろうという考え方を、われわれは持つておるのであります。従いまして結論といたしましては、原則的には当然最低限国家公務員並に昇給をする改訂をなさるべきであるという考え方を、われわれは持つておるのであります。なお最低限と申し上げましたが、それは地方公務員特殊事情に基くところの言い方でございます。そこでその特殊事情を若干申し述べたいと存ずるわけでありますが、その特殊事情として考えられますことは、第一番には人事交流ということが市町村ではどうしてもできない、こういう点でございます。るる御説明申し上げる必要もないと存じます。ただわれわれがこの問題を考えますときに、特に現在の地方財政の非常な困難に逢着いたしておるという観点から、少くとも優秀なる人材を地方公務員としてわれわれは獲得しなければならぬ、こういう考え方を持つのであります。そうしてこの優秀なる人材によりまして、現在の公務員の人員というものをできるだけ縮小することによつて、地方財政というものを確立して、そうしてやつて行きたいという考え方が先に立つのであります。こういう考え方をいたして参りますならば、むしろ国家公務員よりも、あるいは都道府県公務員よりも、それ以上の給與をしなければ人材は得られないということも御了承願えると思うのであります。  次に問題になります点は、特殊事情といたしましては、都市公務員の構成の問題であります。最近承るところによりますと、あるいはまた地方財政委員会等から発表いたしておりまする数字等を見ますると、また大蔵省当局がお持ちになつておるような考え方からいたしますると、先ほどからもるる発言がありましたことく、地方公務員は相当額国家公務員よりも給與ベースが上まわつておるというようなことを言われておるのでありまするが、これは上まわつておるのがあたりまえでございます。この場合にそういう論をなさるといたしますならば、当然都市公務員の構成ということを明らかにされなければならぬと思うのでありますが、人事院勧告等を見ましても、むしろ国家公務員の方の構成の内容というものは、ほとんど明らかにされておらないというのが現状でございますから、それと同じような流儀によりまして、地方公務員の構成の内容を検討せずして、ただ平均賃金を云々というようなものの考え方につきましては、われわれは納得できないのであります。  そこでこの構成でございますが、まず第一番に考えなければならぬことは勤続年数の問題たと思います。次に二番目に考えなければならぬことは、多少封建的であるかもしれませんが、やはり学歴というものも考えなければならぬと思うのであります。その第一番目の勤続年数等につきましては、なかなか把握できないところの計数でございますが、われわれが獲得いたしましたところの数字によりますならば、現在の国家公務員勤続年数というものは、大体六年と若干になつておるようにわれわれは推定いたしております。それから都道府県の方は一体どうなつておるかということでございますが、これまた七・何がしの数字になつております。ただいまちよつと資料を自席の方に持つてつておりますので……。先般私が陳述に上京して参つた際に、大阪府の勤続年数というものを調べたのでございますが、これが一〇・七七というところの数字が出ております。市町村特殊事情から考えましても、ただいま申し上げましたような数字に、はるかに上まわるところの勤続年数市町村の吏員は持つておるということが、推定できるのではないかと思うのであります。それからこれに伴いまして当然世帯人と独身人の問題が出て参ります。当然勤続年数がしまつておりますれば、世帶人ど独身人の比率におきまして、国家公務員よりもはるかに地方公務員の方が多いということが考えられるのであります。  それから次に学歴の問題であります。これは初任給その他におきまして、相当関連性を持つものとわれわれは考えております。かつて地方公務員、ことに市町村の吏員の学歴というものは、歴史的に考えてみましても、国家公務員に比べて、はるかに下位にあつたものということがいえるのであります。ところが近年、ことに終戰後におきましては、複雑なる行政事務というものが増加いたして参りまして、その一例を法的に考えてみましても、生活保護法であるとか、あるいは農地調整法であるとか、食糧確保臨時措置法、これらのものは農業委員会等に現在はかわつております。あるいは職業安定所法、警察法、学校教育法、保健所法、伝染病予防法、国民健康保険法、地方財政平衡交付金法、その他シヤウプの改正税法というようなものを考えてみましても、かつてないところのきわめて複雑なる事務を、市町村の吏員はとらなければならぬという立場に置かれております。税務吏員あるいは社会福祉司であるとかいうような、あるいはまた最近は学校給食等、これはきわめて特別な例でありますけれども、そういつたことを完遂するためには、やはり栄養士というものもこれに入れて行かなければならぬ。これはほんの一例でありますけれども、こういつた事務を完全に途行して行くためには、ある一定の資格を持つた任用をなさなければなりませんということは、御了解願えると思うのであります。こういつた点を考えて参りまするならば、現在の地方公務員というものは学歴的にも歴史的に見ましても、かつて市町村公務員よりも、はるかに上まわつたものをとつてつておるということが考えられるのであります。先ほども申し上げました一部政府の方で考えておられるようなこの論につきましては、おそらく市町村吏員というものは、旧来と何らかわるところのないところの低い程度の吏員によつて占められておるというような考え方が、これに加わつておるのじやないかということを私どもは考えるのであります。戸ういつた点を考えて参りますならば、少くとも先ほど申し上げましたように、今回の昇給等につきましての改訂に偉いましても、単に上まわつておつたところの分を、政府の原案通りに満たして行くというような考え方じやなくして、それ以上の給與、すなわち今回の国務家公員に政府がとらんとするところの改訂昇給率によりまして、地方公務員に対する給與確保しなければならない、こういう考え方をわれわれは持つているのでございます。  次に考えられますることは、国家公務員がそのごく一部の例を除きまして大部分の方々は、大体において地域給の相当高い場所において勤務されているのではないか。こういう点がわれわれひとつ取上げなければならぬと考えております。市町村は御承知のごとく全国津々浦々にまで行きわたつております。こういつた点につきましても、さらに給與ベース平均額というものは、地方公務員の方ふ上まわつてしかるべきであるという考え方を持つのであります。  以上のような観点に立ちまして、先ほども申し上げましたように、御諮問の点につきましては、最低限国家公務員昇給率に準じて地方公務員給與改訂をいたしたい、かような意見を申し上げなければならぬと考えております。さて次の第二の御諮問でございまするが、今申し上げましたようなことをやつた場合には、地方財政はいかなる影響を受けるであろうか。またそれに対するところの対策はどうであるか、こういうことになるのであります。地方財政か受けますところの影響というものは、われわれは、今回の補正予算に際しまして、全国市長会の代表者といたしまして、るる政府当局並びに国会の方に陳情を重ねて参つておりまするので、今さら申し上げる必要もないと思います。ただここで申し上げておかなければならないことは、現在われわれがお願いをして、要求いたしておりますところの数字というものは、平衡交付金の増額並びに起債のわくの増加でありますが、それは地方財政委員会の、衆参両議院にあてられましたところの最後の意見書によつて、われわれは要求いたしております。しかしながらこの要求というものは、われわれの最低限の要求であるということをお考え願いたいと思うのであります。あの数字は、御承知のごとく昭和二十六年度におきますところの地方財政規模、これは地財委並びに大蔵省おのおの立てられたと思うのでありますが、その地財委の地方財政規模に基いたものであります。しかしながらこの計画外に市町村が大きな負担をしておるということは事実でございます。われわれは国家の現在置かれておる立場というものを十分に考えておりますものでありますから、この最低の要求をしておるにすぎないのであります。一例を申し上げますると、地方財政が困難を来しておるという理由によりまして、どうにもならぬという結果、PTA等におきまして多くの負担をかぶせております。警察後援会という名におきまして、多くの寄付を市民に要請しております。消防団という名におきまして多くの犠牲を払わしております。これらのものを考え合せますと、少くとも市町村は三百億以上の政府財政計画外の支出をいたしておるのであります。また国家並びに都道府県からわれわれに対しまして相当額の地元負担を要請されております。府県等にわれわれが高等学校の誘致をお願いする場合、あるいは保健所の新設をお願いする場合、あるいは母子寮、授産場、あらゆるものの府県の施設を要求する場合におきまして、その建設費の相当額をわれわれは地元負担として出しております。また国の施設等によりますところの簡易裁判所であるとか、あるいは地方検察庁の建設であるとかいうようなものにつきましては、これまた多くの――少くともその国家予算の倍以上の負担をわれわれはいたしております。これはほんの一例でございますけれども、そういつをころのわれわれの負担というものは、全然この地方財政委員会並びに政府の二十六年度財政計画の外に出てしまつておるのであります。その他補助金等の観点から考えてみましても、先ほど申し述べました戰後十幾つに相当するところの委任事務を伴う、地方財政法に基いて当然国が補助しなければならぬ分につきましても、きわめて少いところの補助しかいただいておらぬという現状であります。そういつた実情にありますので、地方財政の困窮は実に、目に余るひどい状態に立ち至つております。従いましてただいまのような改訂地方公務員にいたすといたしますならば、少くとも二百億以上の所要経費が必要になつて来るのであります。地方財政委員会の本年度に見込みまし六ところの給與改訂に要するところの費用だけを計算いたしましても、これは申し添えておきますが、御承知だと思いますが、地方公務員国家公務員よりも上まわつておる分に対して、国家公務員並にその差額を補填するという建前に立つたところの計画でありますが、これからながめてみましても、百二十五億は当然必要という数字が出ておるのであります。これは市町村の分でございます。府県を含めますと四百億近くになります。また都市だけを考えてみましても七十六億に近いものが必要となつております。かような悲惨な状態に置かれるということが、この改訂をやるとするならば当然伴うて参るのであります。さてこれに対する対策として一体どうすればいいかということでございますが、もちろんただいま申し上げましたような地方財政の危機に際しまして、これを地方みずから捻出するということは、多少の行政整理というような、わずかなものをもつては、とうてい補うことはできないのであります。これらの点につきましては、当然という言葉が妥当であるかどうかは存じませんが、少くとも国においてこれは配慮していただかなければならぬという考え方があるのであります。  そこでいかなる方法において考慮してもらえばいいかということでありますが、この点につきましては、私は今まで述べられました各市の方々の御意見と、ほぼ同様でありまするけれども、特にこの際お願いいたさなければならぬと思う点は、これを地方財政平衡交付金によつてカバーするということにつき奮しては、必ずしも妥当ではないという考え方を持つております。むしろこれは新たなる税源を賦與されなければならぬという考え方でございます。そうして税制改革は早急に行われるものではないし、地方吏員は毎日飯を食つて行くものでありまするから、その間におきましては、暫定措置として特別補助金を相当額出すべきである、出してもらいたい、こういう考え方であります。なぜしからば平衡交付金によらないかということでございまするが、少くとも現行平衡交付金配付手続要領によりましては、大きな不公平を来すという観点を、われわれは申し上げなければならぬと思うのでございます。この算定基礎によりますると、第三号補正というものが行われておるのでありまするが、この第三号補正のよつて来るところの数字は、人事院の今回の勧告によるところの地域給の支給区分によつておるのであります。この人事院の地域給の支給区分というものが適正であるならば、われわれは問題はないと思うのであります。われわれの観点から申し上げますならば、これは必ずしも適当でないという考え方を持つております。その具体的な例につきましては、御質問がありますればお答えいたしたいと存じますが、こういつた不完全なるところの地域給によつて、それを基礎としたところの第三号補正を用いて、カバーするところの平衡交付金というものを考えて参りますならば、この方法が適正に是正されない限りにおいては、平衡交付金によることはできないという考え方を持つものであります。  最後にわれわれといたしましては、もしそういう財源措置が得られなかつたときに、一体地方公務員改訂をどうするかという、これに関連したお答えを意見として申し述べなければならぬと思うのでありますが、この点につきましては、われわれはいかような手段を用いても、どうしてもこの地方公務員給與改訂というものは、少くとも最低限国家公務員並にやつて行かなければならぬという、かたい決意を持つております。できなければどうするかと言つたつて、これをやらなければしようがないという考え方にあります。殺人的な、人を殺すようなところの、そういつた行政は、われわれ市町村長としては断じてできないという考え方を持つております。従いまして、その場合におきましては、あるいは委任事務も拒否」なければならぬ、公共事業も返上しなければならぬという考え方に立つておるのでありますが、遺憾ながらわれわれとして情ないことには、われわれが委任事務を拒否して、はたして市民は幸福であるかという問題が出て来るのであります。そういつたわれわれのジレンマの上立つて、そうして官僚的な中央集権的なこの行き方を押しつけられるということになりますれば、よつて来るところの姿は、これは皆様方によつて当然答えは出していただけるものと思いまして、以上陳述を申し上げました。よろしくお願いいたします。
  19. 田中伊三次

  20. 白鳥義三郎

    ○白鳥参考人 ただいま御紹介にあずかりました白鳥でございます。本日は、地方公務員ベース改訂につきまして、私たちの叫び声をお聞きとりいただく機会を與えられたことを感謝いたします。最近、と申しましてももう前からのことでございますが、大蔵省の方の発表の数字を見ますと、何か市町村公務員給與が、国家公務員に比べてはるかにいいという数字が出ているようでございます。どうもこれは私たち町村に関係する限り、どういたしましても納得できません。そこで実はこの八月に全国町村会で近県の――あまり遠い所だと往復の通信の期間がかかりますので、近県の七百七十七の町村の実情を調べたのでございます。その結果によりますと、三役つまり町長と助役と収入役、この三役の方の本俸の平均が一万八百四十円、吏員の本俸の平均が六千二百九十一円、雇傭負の方の本俸の平均が四千百六十円、全部を合算いたしましてそれを平均いたしますと、それが六千二百八十一円でございます。そのほか手当が一千六円ございます。合計いたしまして、すべての手当をひつくろめて七千二百八十七円という数字が出ております。もちろん全国的には九千八百有余の町村があるのでございますから、それを全部集計せなければ、あるいは正確な数字はつかめないかもしれませんが、私たちが通信の日数をできるだけ節約しようというので、近県だけをとりましたので、全国平均から見ますと、あるいは上まわつているのではないかとも思うのでございますが、今全国の統計がございませんので、まことに不本意でございますが、七百七十七箇町村の実態を御説明申し上げまして、御参考に供する次第でございます。こういうようにはつきり数字がつかめているのでございますが、それにもかかわらず、政府の方では、地方公務員の方が国家公務員に比していいんだ、そういうようなことを言う方もありますし、中にはとんでもないことをおつしやる方がある。相当有力な方でございますが、その方の御意見によりますと、国家公務員のペースが上つたからと言つて、何も町村吏員の給與を上げなければならぬという理由はないのだ、お前たちはいつまででも低い賃金でやつてつていいんだ、こういうような私たち町村の責任者といたしますと、実に聞くにたえないお言葉を聞いたことがございます。物価が上り、生活費が上る。そこで国家公務員の方も給與を上げる。諸会社の給與はすでに上つてしまつております。府県の方の公務員平衡交付金等でめんどうを見てやる。町村の吏員だけお前たちだけ、元の低い給與を一歩も上げる必要はないのだ。どう考えましても私は、これはあまりに暴言じやないかと考えている次第でございます。  一体にこういうような実情にありますが、さて全国的に見まして、町村の吏員のペースを改訂すると、どれくらいの経費がかかるかと概算いたしましたところ、大体三十億くらい――これはごぐ内輪な数字でございますが、いるのじやないかということになります。一人当り千五百円といたしまして、十月からそれを実施するとして、一人当り九千円、それから年末手当の差額が三千三百九十円、それを全国の吏員数が二十二万一千人と推定されますのでこれに乗じますと、大体二十七億三千万円余りに相なります。それに超過勤務手当の値上りその他のものを入れますと、大体三十億くらいが所要経費となつて出て来るのではないかと考えております。  次にこれだけのものを今の町村の財政で、まかなえるかどうかということでございますが、これは私直接には津田沼の町長をしております。そこで津田沼の実態を申し上げますと、これは比較的に人口も多いし、東京都にすく近くでございますので、財政もそう窮迫しているというわけではございません。今年の当初予算に比べまして、最近警察の方もやめましたので、追加更正予算を編成しなければならぬと思つて、実はせんだつてから予算の編成に当つているのでございますが、それを概算いたしますと、約五百万円ばかり当初予算を減額しなければならない事情にございます。と申しますのは、当初考えておりました町民撹は所得割が約五百万円減つてしまつております。二十四年度に比べまして、二十五年度所得税が非常に減額になつたものでございますから、従つて第一方式をとりました私たちの町では、町民税が約五百万円減つております。しかし一方法人割の所得割がかけられることになりましたので、法人割の所得割が約百五十万、差引いたしまして上二百五十万の減と相なつております。それから自治体警察の廃止に伴いまして、平衡交付金が当然減つて参りますので、それらを勘案いたしますと、大体五百万円くらい財源を縮小しなければならぬということになつております。それから一方私どもの町でベース・アップをいたしますと、役場の吏員、保育所の職員、水道関係職員、そういつたものを全部合せまして、あるいは学校の給仕等全部合せまして、約八十万円ばかりの財減が必要でございます。六・三制の実施のための工事をすでに行いましたので、大体百二十万円ばかり、当初予算すら見ますと物価が上つたので、不足がございました。それらを一緒にいたしますと、約七百万円ばかり財政を縮小しなければならぬことになろのでございます。それを私は一応はこう考えるのでございます。小学校の校舎を二百万円ばかり最初計画してありますものを打切る。それから保育所の一棟、これは私の方には非常に戰災者、引揚者が多うございますので、ぜひ保育所を設けてもらいたい、子供を預ければ勤めにも出られるから、ぜひ設けてもらいたいというのでそれを計画いたしまして、大体二百万円と当初予算では組んであるのでございますが、これを打切る。それから失業対策事業を約四百何十万円かで計上してございますが、今これを打切る。そういたしまして、あるいはまた役場の改築等をやめるといたしますと、どうやらつじつまが合うことになりますが、一体先ほども高槻市の市長さんからお話がございましたように、そういうような事業を私として原案をつくつて、町会に出す勇気がございません。六・三制が始まりましてからもう五年になりますが、いまだに二部教授をやつている現状を、もう一年二部教授を続けてくれということは、私町の責任者として、父兄にどうしてもそういつたような原案を出すことができません。あるいはまた失業対策にいたしましても、四十家族か五十家族の者が、すぐに対策事業をやめれば生活保護の手にかからなければならないというようなことを、私としてどうしても計画する勇気がございません。そうしますと、一体これをどういうふうにしたらいいのでありましようか。吏員の給與は先ほど申しました通り国家公務員に比べましてはるかに下でございます。ここでぜひ上げてやらなければならないが、それにもかかわらず、私には何らの策が盛られません。また一面から考えますと、先ほども市長さんの方からお話がございました通りに、今町村には法令によらない負担がたくさんございます。社会福祉事業のものが県に移管になりました。そうしますと、すく社会福祉事務所で町村の協議会というものをつくつて、半年で三十万円、五十万円の予算を立てて、町村にその費用の分担を押しつけて参ります。農業委員会ができる、すぐそこべやつて参ります。自治体警察を返上した、そうするとすぐ国警の方では、また治安協力会というものをつくつて、先だつても約五十万円の寄付を持つて来ております。それから司法保護の予算がないというので、一人当り二円くらいの負担金をかけております。こういうような法令に基かない費用を、私たちがそれを拒絶しても、それはできるのでありますから拒絶すればいいと思うのであります。しかし悲しいことには、それらの大半はもう支出してしまつているのでございますから、今年の間には合わないということにもなるのでございます。従いまして、これらの経費が、ぜひ諸先生方の御援助をいただきまして、平衡交付金の増額によつてまかなうようにしていただきたい、こういうふうにお願いを申し上げる次第でございます。  なおこの機会に、ひとつ村の財政事情を御参考のために公述させていただきたいと思います。実は先だつて平衡交付金の配分について、はたして地財委の方で考えております財政需要額が、私たちの実態と合うかどうかということを調べるために、千葉郡の十二箇町村の調査をいたしました。それによりますと、はつきり申せますことは、千葉郡の十二箇町村の中には、四つの町がありまして、あとは全部村でありますが、この町と村とでは、その財政需要額と現実に支出した二十五年度の決算額、あるいは二十六年度予算現計とを比較いたしますと、きわめて明瞭な傾向が現われております。町の方では、自治体としてやらなければならないような仕事、たとえば教育費だとか、土木費だとか、消防費、そういつたものに相当多額に支出しております。地財委の方で算定しております財政需要額は七〇%でございますが、それよりもはるかに多くの支出をしておりますが、村の方べ参りますと、それが財政需要額を満たす額にも達しないのが、ほとんど全部でございます。つまり自治体が自治体としての機能を果し得ないという現状にございます。なぜそういうことになつているかと申しますと、結局その他の行政費あるいは産業経済費、このうちの大部分は農業委員会の費用、もとで申します農地委員会経費、農調委員会の費用でありますが、その費用の方が予算の大半を占めてしまつている。そちらの行政費の方で食つてしまつているために、自治体がどうしてもやらなければならない独自の仕事ができないのであります。そのうちの最もはなはだしいと思われます椎名村の予算書を、私最近手に入れたものですから。そのうちの一、二を御参考のために申し述べさせていただきたいと思います。  まず教育費を見てみますと、教育費では小学校の費用として地財委の計算によりますと、四十何万円かを支出するのが基準のようでございますが、現実にこの村の予算書によりますと、小学校費は十二万九千三百円にすぎません。純経費を見ますと、おどろくことに二万二千円しかない、これしか計上できないのでありますが、中学校の経費の方は、約三十万円が財政需要額でありますが、ここで五十三万四千八百円計上してございます。これは村としては空前のことだろうと思うのでございますが、その内容を見ますと、増築費に五十万円充てております。従つてその他の中学校を経営する一切の経費が、わずかに三万四千八百円でございます。これで一つの学校が維持できるかできないか、これは諸先生方のすでにおわかりのことと存じます。どうしてこれをやつているかといえば結局これはPTAの会費等でやつておるのでございまして、事実私も学校に参りまして、先生方、校長先生の意見も聞き、村のPTAの予算を拝見いたしましたが、村の財政で当然まかなうべきものが、PTAの会費でこれをまかなつている状態であります。消防費等も、実は私最初こういう考えを持つておりました。町などでは比較的に消防費はかからないが、村に行くとよけいかかるのではないかという気がしていたのであります。と申しますのは、消防費と申しましても、結局これは自由消防でございますので、消防団員の数によつてつて来るはずであります。普通の、ふだんの訓練手当、あるいは警戒手当、そういつたものが大部分でございますので、従つて私どもの町で、たとえば人口が二万三千幾らございますが、ここで三百五十人の消防団員がおりますから、椎名村のように二千五百人の人口しかないところでも、まさか私どもの町の十分の一の三十五人の消防団員でいいはずはないのでございまして、やはり二百五十人とか、そこらの消防団員は擁さなければならない。そうしますと、私どもの方の町でかかるとそう大差のない費用が、やはりかかるだろうと思つてつてみたのでございます。それがおどろくことにきわめて軽少な額して載せて、ございません。九万四千四百四十円しか載せてないのでございます。これは結局部落負担になつております。土木費等におきましても、これは私の方の町と同くじらいの面積がございますので、相当道路があるのでありますが、その費用は、私どもの町の十分の一よりはるかに下まわつております二十万二千円であります。一平方里あるいはそれ以上ある村の道路を維持、修理し、あるいは橋梁を管理して行くのに、今どき二十万やそこらの金額でできるはずはない、それでもやつているのであります。これは部落の負担、そこの住民がそれぞれ勤労奉仕をして、あるいは石を持つて来る。あるいはガス殻を持つて行く、馬車をくり出すとか、牛車をくり出すとかして、ようやく村の道路を維持しているのであります。当然これは自治体としてやらなければならない。教育についても、消防についても、土木についても、みな村の経費が貧弱であるために、部落の負担でやつておる。これではもう村の財政というものは破綻してしまつているんだといつても、あえて過言ではないと考えるのでございます。役場費の方はどうなつているかと申しますと、役場費の方では、財政需要額よりもはるかにこれは上まわつておるのでございますが、その役場吏員の給料はどうかと申しますと、これは実にお話にならない。大体におきまして五級程度であります。そしてなおかつ勤務地手当はございませんし、超過勤務手当はこの村では全然出しておりません。それから扶養手当も、これは村会で、妻君も何か仕事をしているのだから、扶養手当を出す必要はなかろうというようなことで削つてしまつたということでありまして、子供さんだけに扶養手当を出している。宿直料も、日直料も労働基準法によらないで、百円ぽつきりずつ差上げてあるそうであります。旅費は役場の方の旅費が年額四万円しかないので、正当な旅費も出すことはできない。他の官庁が本俸の少いところを旅費で補うというような、そういう芸当はしたくてもできないのであります。またこういうような村では、旅費の捻出の余地は全然ないのであります。しかも劣悪な勤務條件にあるのでありますから、この際ぜひ諸先生方の御援助をいただきまして平衡交付金か何かによつて、何らかの措置をとつていただきたいと、重ねて懇願申し上げます。  以上であります。
  21. 田中伊三次

    田中委員長 全逓信従業員組合の委員長である永岡光治君。
  22. 永岡光治

    ○永岡参考人 私は全逓信従業員組合中央執行委員長の永岡光治であります。ただいまから一般職職員給與に関する法律の一部を改正する法律案について、私どもの立場から御意見を申し上げたいと思います。  まずこの引上げの金額について、私どもの意見を述べたいと思うのでありますが、御承知のように、現在の給與ベースは、昨年の五月、当時の経済状況に基きまして人事院勧告したものを、しかもその金額よりははるかに下まわつた金額で実施されておるのが、現在の給與ベースであるわけであります。ところで人事院の今度の勧告によりますと、昨年の五月に比べて本年の五月では、成人の独身者において四千二百円、つまり約二六%の騰貴を来しておるということを言われておるのでありますが、これに対して政府の方では、それは四千円にしかなつていないのだ、こういうことを言つておりますガ、しかしどうしてそうなつておるかということをいろいろ追求してみますと、実は本年一月に現在の給與ベースが実施になつたのだから、そのときと比較すればいいんだというようなことを言つております。こうなつて来ますと、何回勧告されてみましても、その基準にとつた月からはるかに遅れて、しかも低く実施される。それでもう今までのは御破算だということで、いつもいつもばかを見ているのが、この国家公務員給與ベースのあり方だ、こういうふうに私どもは感じられますので、これでは非常に耐えられないのであります。今回の人事院勧告を見ましても、わずかに食費の値上り程度しか見込んでいないように聞いておりますが、御承知のようにガス、電気、交通費あるいは通信費、そういうものが非常に大幅に引上げられておりますが、こういうものもやはり当然見なければならないし、政府言つておるところの千五百円なるものが、いかに現在の実情に即さないかということは、これだけを見てもわかると思うのであります。先ほど大都市の市長さんの方からも、いろいろ公述があつたようでありますが、承つておりますと、国家公務員よりも高い給料をもらつておる所もあるのだけれども、しかしそれでもやはり現在の生活が苦しいのだから、どうしても引上げてやらなければならぬので、国会議員の皆さん方の方で、何とか平衡交付金ででも補助していただいて、何とかこれを解決してくれないかと言われておるのであります。現在の国家公務員より上まわつた給料をもらつておる人の場合でも、なおかつそうでありますので、いかに国家公務員給與引上げについて、現在の金額で不満であるかということは、この市長さん方の言をもつてしても明確であろうと私は考えるのであります。そうしてこの標準世帯のCPSの最近の東京の例をとつて見ますと、標準世帯で大体一万六千五百円ぐらいになつておるそうでありますが、国家公務員の場合をとりまして、大体どういう程度の俸給をもらつておる人に当るかと申しますと、十級の三号という人に当るわけであります。そうしますと役所の場合でどういう地位にある人かと言いますと、古参の係長ないしは課付事務官と申しますか、役所では非常に高い地位にある人がやつとこの程度の俸給しかもらえないということになつておるわけでありますので、これを見ても現在の私どもの給與がいかに低いか、そうして今度の引上げがいかに不満であるかということを、明確に物語つておると思うのであります。  それからもう一つは、俸給表政府人事院勧告とは違つた体系で出されておりますが、現在私どもの俸給体系で、一番生活が困つておるのはどこの階級かと申しますと、総体的に全部困つておりますが、わけても困つておるのは、五級職から八級ないし九級職に至るところの中堅暦の生活が、非常に困つておるのでありますが、これが人事院勧告比較いたしまして、政府案によりますと、この中堅層の開きが何ぼくらい開きがあるかと申しますと、四号から中には六号近いものになつておるわけであります。にもかかわらず、非常に高い俸給をもらう人は、人事院勧告に比べて、わずかに一号しか下つていない、こういう矛盾した俸給表が出ておりますが、こういう点につきましても私どもは、実際困つておる生活の層を、政府はほんとうに真剣に考えてくれておるのであろうかどうかということについて、大きな疑問を抱かざるを得ないのであります。先ほど自治労協の淺崩君から、人事院勧告を実施しないことは、憲法を無規するものであるという趣旨のことを言われ、人事院の権威を高めて、ぜひ勧告を実施してほしいという趣旨のことを言われました。私はあえて繰返しませんが、とにかくこの俵給表に盛られておる金額なり体系を見た場合に、非常に不満であるのであります。聞くところによりますと、最近に内閣総理大臣が二万円以上の給料の引上げをされるようなことであり、あるいは大臣は一万五千円、おそらく国会議員の皆さんにも大幅な金額の引上げがあろうかと考えておるのでありますが、まさにそれだけ生活に困つておるし、物価高になつておるわけであります。そういう二万円ないし一万五千円という大幅の引上げを認めなければならない現段階に、国家公務員に至つては千五百円程度でよろしいという結論は、どこから出るかということについて、私どもは大きな不満を抱かざるを得ないのであります。それだけの金額は必要であろうと思います。従つて私どもにつきましても、少くとも人事院勧告の程度のものは、人事院勧告そのものは、どうしてもここで実施してもらいたいということを、強く希望するものであります。これは生活の改善のみならず、現在の日本の置かれておる立場から、いろいろと民主主義がどうだこうだという批判も出ておる時代でもありますので、国家公務員から罷業権を奪い、せめて国家公務員立場を守る機関として設けられた人事院の存在というものの権威を高めて、皆がこれに従うという方法をぜひとつていただきたいと思うのであらます。私はイギリスその他のこともいろいろ聞いておりますが、イギリスでもこういう仲裁制度はあるそうでありますが、勧告されますと、いまだかつて政府がこれを拓否したためしがないと聞いております。私はそれこそがまさに真の民主主義国家のあり方だろうと思うのであります。生活状態を見ましても、経済状態を見ましても、日本とイギリスと比べて、イギリスがその日本よりは裕福とは考えられません。苦しい状態にあるイギリスですら、なおかつこの勧告には文句なしに従う、これがイギリスの民主主義の高さ、国民の品性の高さを物語るものでもあるわけであります。ぜひ日本の場合も、こういう権威を高めて、日本の秩序を保ち、民主主義をどんどん伸ばしていただきたいこいうことを、切に念願するものであります。  さて一般的な問題はその程度にいたしまして、私はたまたま郵政従業員組合の役員をやつております関係上、企業官庁関係の問題について若干触れてみたいと思うのでありますが、今度の法律案によりまして、企業官庁の職員につきまして特別な俸給表が設定されるということになつておりますが、この趣旨そのものは私どもは賛成であるわけであります。ただその内容につきまして、その適用の範囲なり、その俸給表の金額なり、体系なりについて大きな不満がありますので、これを申し上げてみたいと思うわけであります。  まず適用の範囲でありますが、御承知のように、郵政の場合を例にとりますと、地方貯金局、地方保険局、それから郵便局、これの職員だけが該当するようになつておるのでありますが、しかしこれは事業実態を見ます場合に、人事行政の上から見ましても、業務運行の円滑の土から見ましても、非常に私は大きな疑問を抱かざるを得ないのであります。私どもの主張は、これは郵政従業員全部に適用してもらいたい、あるいは電気通信従業員全部に適用してもらいたい、それがこの特別俸給表を生かすほんとうの精神ではないか、こういうふうに考えておるのであります。事実今郵政省あたりの職員の全部は、どういう経歴を踏んで来ておるかといいますと、給仕、小使、あるいは筆耕等は別といたしまして、全部現業を経て来た人であります。本省あるいは郵政局あたりで約一万ぐらいの者がおりますが、全部現業を経て来た人ばかりであります。それは現場を知らなければ運行できないのが、企業の実態であるからであります。ちようど例を申し上げますと、国鉄公社であり、一般の例をとりますれぼ、これは電気産業関係の本社が、実は郵政省に当るわけであります。現場の実情を知らなければできないのが実態であります。従つて郵政省本省というものは、監督関係の仕事は全然持つていないのであります。すべて事業をいかに円満に、いかに経費を節約して運行できるか、こういうことに重点が置かれている。いわゆる企画事務をやつておるのが、この企業官庁であります。そうしてそれに基いて現実に仕事に携わつておるものが、これが郵便局あるいは貯金局、保険局、こういうことになつておるのでありますが、そのために、これは一体となつてこの企業を運行しておるのであります。よく現業官庁といいますが、現業官庁でないのであります。企業官庁であります。この点はひ  とつ明確に認識してほしいと思います。現業という言葉は適当しないのであります。企業官庁であります。従つてこの点から考えて、私どもはこの一体となる立場からして、現場であり、あるいは管理部門であるという区別なしに、一本にならなければならない必然性がここにあるということを申し上げたいのであります。この前大蔵省の政府委員の方は、人事交流は郵政省等につきましては、ほとんどないということを言つておりますが、私先ほど申し上げましたように現在郵政省の職員は、給仕、小使、筆耕を除いた全部は、現場から入つておる人だ、従つて人事交流は上からも下に行き、下からも土に来るというここで、全部が交流されているのであります。これはもちろん郵政省から大蔵省、あるいは他官庁に行くということは、大蔵省の政府委員のおつしやつたように、交流はない、いや交流できないという、ここに企業官庁と監督官庁のわかれが出て来ておるのであります。そういう意味からして絶対にこれは全部を対象とした俸給体系を宮この中で実現してもらいたいということを特に主張するのであります。現在これがもし二つにわかれたままで運行されるということになりますと、どういう結果が出て来るかということを二、三申し上げてみたいと思うのであります。  第一点には、他官庁に比べて役づきの職員が郵政省には非常に少いのであります。私どもが調べました範囲によりましても、運輸省とか、厚生省、農林省等は、役づきの職員と称する数が、全体の三割ないし六割を占めておる。ところが郵政省あるいは郵政局等ではどの程度の率かと申しますと、わずかに一割四分にしか達していないのであります。そうしてこれは、郵政関係の学校を出て、長く郵政省に職を奉じよう、この仕事に自分の一生をささげたいということで入つておる職員が多いのであります。従つて勤続年数も非常に長いのであります。にもかかわらず、こういうような昇進の道が開かれない結果になつております関係上、現在では非常に不遇な立場にあります。従つていわゆる俸給の頭打ちというものが、現在二十五万数千の職員の中で、四万一千人を越えるほど出て来ておるという状況であります。これは他の官庁で見ますと、係長程度の役づきになるのには、せいぜい五年ないし十年くらいでなれるのでありますが、郵政省の場合では二十年ないし二十五年の長い期間を要するのが例であります。こういうものを打開しなければならないのでありますが、もしそういう形で二つにわかれますと、現場では多少頭打ちが救われる。ところがそれが、経験を経て企画業務をやらなければならぬとして、本省あるいは郵政局に入つて来た職員は、二、三年するうちに、自分と同じ條件で現場におつた人よりは、はるかに低い給料になつて来る、こういう矛盾が出て来るのであります。これではやはり一体となつて、企業官庁の事業を円満に運行することは非常に困難である、私どもはこう考えておるわけであります。従つて、ぜひこの点は全部を含めたもので検討を願いたい、こういうのが第一点であります。  それからもう一つは、頭打ちをひとまず是正するということで、三号ないし四号を現在延ばしていただいた、そのことはいいのでありますが、しかしその程度では、やはり先ほど申しました長い間の私どもの苦しい不遇な状態というものは解決できません。企業官庁でありますから、ほんとうに企業が生きて行けるような俸給体系をほしいのであります。従つて一般官庁の俸給表従つてやるということではなしに、特別な一つの俸給の立て方というものを、私どもはこの中で打出していただかなければ困る。そうしてそれは一日も早ければ早いだけ郵政事業従つて国家全体の発展のために、裨益するところが非常に大である、こういうふうに私どもは考えて、この点を特にお願いするわけであります  それからいま一つは、人事院勧告には企業官庁の性格といたしまして、奨励手当のことがうたわれていると思うのでありますが、しかしこれはどうしたことか、今度の政府法律案にはいれられておりません。御承知のように私どもの職場では非常に定員が不足して困つておりますが、定員法があるために、いくら事務量がふえましても、定員が増員されない限りは人員をふやすことができない、非常に困つた制度になつている企業官庁でありながら、企業官庁の本質を抜いたところのわくで縛られておるために、非常に無理な仕事をさせられるのはこの企業官庁の運命であるわけであります。そういう職員に対しまして、何らかの報償をするというのは、これはあたりまえだと私どもは考える。その意味で人事院もおそらく勧告を出したのであろうと解釈しておりますが、これはいれられてないということについては、大きな不満を持つものであります。従つてこれはぜひこの国会におきまして復活してもらいたい、このことをお願いするわけであります。  それからいま一つは休職者に対する給與の問題について、触れてみたいと思うのであります。これは私どもの職場を見ますと、青森の鉄道郵便局というのは、現在の定員が約三百ちよつとでありますが、長期欠勤者、つまりこれは結核関係の患者でありますが、これがどの程度あるかと申しますと三十八名であります。一割強であります。こういうような職場の実態でありますが、これは多かれ少なかれ郵政事業の各職場に、共通する問題でありますが、これほど長期欠勤者を出す職場でありますので、こういう諸君に対しての療養についての保障がなされなければ、非常に困るのでありますが、現在部内全体を見まして、要注意者と称せられる者が、どの程度あるかと申しますと、二割二分に達しておる。こういう諸君につきましても、早期にこれは診断を受けさせ、そうして早く直つてまた職場に復帰してもらわなければならぬのでありますが、これがどうも事務量がふえる割に定員が少い。今度の定員を見ますると、来年の事務量はどんどんふえておりますにもかかわらず、定員は落すという無謀なことが計画されているのでありますが、どうしで、も負担がかかるのであります。こういうことからもこの長期欠勤者、こういう者についての保障は十分見ていただかなければならぬのでありますが、今度の法律案におきましては、二年間給與の八割を保障して休ませることになつておりますが、私どもは今までの実績からいたしまして、この点だけを皆さんにぜひ入れてもらいたい。  それはまず最初の一年は病気欠勤として扱つてもらつて、次の三年を有給の休職にしてもらいたい。あとの二年――これは結核患者は非常に長い療養を要しますので、あとの二年は無給でよろしいが、とにかく休職にしておいてもらいたい、こういうことを強く主張しておるのであります。ところが今度の法律案によりますと、それがわずか二年にしかなつておらない。同じ公務員でありながら、教員関係については三年ということが認められておりますが、一般官庁等の作業の状況から見ましても、企業官庁におきましては、非常にこういう病気が職業病と言われるほど、罹病率が多いのでありまして、この点はどういうことがありましても、ぜひ国民の健康の向上からも――これは期限が切られておりますと、現在の実情といたしますと、首を切られるということが恐ろしいあまり、いろいろとごまかして職場に帰つて来るわけであります。そうしてそれが病菌をまいてまたふやすという結果になりますので、そういうことのない上からいたしましても、ぜひこの療養期間の二年ということについては、休職期間、給料を出して休ませる期間が二年ということは、どんなことがあつても、三年以上にはどうしてもやつておかなければならぬということを申し上げるのであります。  以上いろいろ申し上げましたが、大部分の方々が申されておりますので、できるだけ重複を避けて申し上げた次第でありますが、いずれにいたしましても、とにかく人事院勧告そのものは、どういうことがあつても、万難を排してぜひ実施してもらいたいというのが、私どもの強い主張であることを重ねて申し上げまして、私の公述を終る次第でございます。
  23. 田中伊三次

    田中委員長 次は日本自治団体労働組合総連合委員長徳永利雄君。     〔「休憩々々」と呼ぶ者あり〕
  24. 田中伊三次

    田中委員長 委員各位に申し上げますが、これはなるべく早く済ませてお帰りいただくように処置をしたいと思います。ごしんぼう願います。徳永利雄君。
  25. 徳永利雄

    ○徳永参考人 日本自治団体労働組合総連合の徳永でございます。私ども地方自治体に職を奉じております者をもつてつくられておりますので、主としてそういつた観点からお話申し上げたいのでありますが、御承知のように国家公務員国家公務員法で、地方公務員地方公務員法で、それぞれ給與形態につきましては、独自に定め得るということになつております。国家公務員に対する今般の人事院勧告、あるいはこういつたような改正法律案の提出、こういつたようなものが出されましたが、私どもの中でも現在までに山梨、熊本両県では、すでに県の人事委員会から給與勧告がなされております。その他の府県でもそういうような動きがあります。また私どもも法律の建前からしまして、そういうことを希望しておるわけであります。しかし私どもがこういうふうに希望いたしておりますけれども、率直に申し上げましで、いまだに地方自治体の首長は完全な自主性を持つておるというふうには言えないのが実情であります。従いまして国家公務員給與がどうきまるかということが、私どもの給與に大きい影響を及ぼすわけであります。そういう観点から、今回の国家公務員給與に対する意見をまず申し上げたいのであります。  国家公務員は、もちろん地方公務員も、今まで特に戦後六年間あるいは財政的に、あるいは公務員という特殊な立場において、いろいろな制約を受けて来ました。また私どもに対する国民の関心も非常に強かつたわけであります。こういうふうなことを利用されたかと存じますが、公務員一般国民大衆この離間策を講ずるようた策謀が、たくさん行われたというふうに私は感じます。こういうことが原因しまして、私どもは非常に苦しい給與状態に置かれて現在に及んだのであります。この実際の数字より見ましても、去年のベースアップの際に使いました数字を見ましても、すでに人事院勧告東京都の独身者の生計費と、それから私どもの要する経費だというふうに見ました人事院との数字の間には、四千円の差があります。私どもの大体の標準世帯になつておりますところの三人世帯につきましても、二千六百六十円という計数の差が出ております。また私どもの給與一般民間給與比較しまして、全産業の平均を見ましても、大体におきまして昨年から三千円ないし五千円くらいの給與の差が出ておるのであります。こういうふうに私どもが特別に公務に携わるからといつて、低い給與で少く食つて済むわけではないのでありますガ、こういうふうに大体におきまして四、五千円の少い額を與えられて来たのであります。これは当然国家としてあるいは地方自治体として保障せなければならないところでありますが、最初申し上げましたように、不幸にじてこれはなくなされて来なかつた。しかも今回の人事院勧告を見ましても、あるいは政府給與法の改正案を見ましても、私どもとしましては非常に不満の多いものであります。  まず第一番に本法の構成でありますが、六三制におきますところの最低給と最高給との倍率は七であつたのでありますが、現行給與では十二三倍になり、人事院勧告では十五・一、今回の政府案では十三・八、こういう倍率を示して来ております。これは明らかに人事院あるいは政府が、われわれの職場の中に職階制を導入して、国会議員初めたくさんの国民大衆が心から願つておるところの官公庁の民主化を阻害するような職制の圧迫の方向が、ここに出て来ておる、こういうことを私は言いたいのであります。もちろんその絶対額におきましては、非常に少い額であるということは先ほど述べた通りであります。こういうふうにしまして、すでにここ六年間特に朝鮮事変が起りましてから、いろいろな形でアメリカシステムの職階制度が入つて来まして、皆さんの希望しておる民主化は、どんどんはばまれて行つておるのであります。しかも給與が少くなることによつて最も好ましくない不正、腐敗が暴露されておるのであります。われわれは給與があれば、われわれも少くとも常識を持つておると思つております。また一般水準よりも知能も劣らないという自信も持つておるのであります。それがなぜ不正腐敗に走らなければならないかということを、特に国会議員は注意しなければならないと思うのであります。こういうふうな観点から見まして、今回の給與の絶対額において、その給與形態において私どもは今回の法案に対しまして、絶対に反対するものであります。  次に私ども地方公務員の場合を申し上げたいのでありますが、第一番に、先ほどから市長さん方もほとんど同じように述べられましたが、私どもの給與が高い、こういうふうに言われておりますが、先ほど来市長さん方がお述べになつたように、事実高いところもあります。しかしそれについてはやはり必然性があるのでありまして、その点につきましては、重れて私申し上げませんが、こういつたような地方公務員が高いという給與を、どういうような意図で出したかという点に、私は非常に不満があろのであります。大蔵省の調査だと称する数字によりますと、この調査の対象なつた者は、都道府県は全部、市は全部、町は一県に一町村は一県に一村、こういう調査であります。課長以上につきましては全員調査、係長につきましては一課につき五名の割合、係員につきましては、事務系統三名、技術系統六名、特殊の労務者、小使、守衛、運転手、交換手、タイピストこういつた各職種について十名程度の調査になつておるのでありますが、この調査の実情が、どういうようなものを調査したかという内容について説明がなく、われわれが数次大蔵省に足を運んでも、その説明がないのであります。これは先ほど市長さんが御説明になつてもおりました通り、私どもの手元ではわからないのであります。しかし私どもがいかに調査されたかを実際に見ましても、一つだけ実例をあげますが、愛媛県では、先ほど申し上げましたように、課長以上は全員について調査しております。係長につきましては、三十五名でしたか調査いたしておりますが、この係長の調査につきまして、私どもの調査したところによりますと、課の主任、課長代理をとつて調査しておるのであります。国家公務員の場合と地方自治体の場合は、職制が現在でも相当違つております。県庁の例をあげてみますと、愛媛県の場合は、課には二百人に近い課員を擁しておる課があります。そこの課長代理として主任という名前をあげておるものは、わずかに一名であります。そのほかに係はもちろんありますけれども、係長という職制をつくつておりません。しかもこの課長代理、主任はもう課長に近い、庁内吏員の中で最も高い者であります。全部二級吏員であります。この最も高いところによつて調査したものが、国家公務員の課長あるいは係長、係員のパーセンテージの二十三何パーセントですか、そういうふうな数字によつて、愛媛県の場合は、四千幾ばくの吏員の中に千八十二名の係長がある、こういうような数字を、簡単に国家公務員の職制の歩合をあてはめて、最も高い給與のところを調査して、それに千八十二名をかけて出された数字であります。こういつたような数字、それから係員につきましてはわからないのでありますが、こういうふうな調査によつて出されました数字が、一般府県職員では四百六十二円、教育職員では三百七十五円、市町村では五百七十六円高い、こういうふうな数字になつて現われて来たのであります。私どもあるいはひがみかもしれませんが、こういうような実際の調査の内容を私どもが見ましたときに、これは平衡交付金を減らすための裏づけとして利用され介のではないか、こういうことがはつきりと見られるのであります。  なおこれを発展させるならば、再軍備予算を編成するために、こういつたような手が打たれたのではないか。こういうことが感ぜられるのであります。もしこういつたような給與形態がなされるならば、国家公務員の場合も地方公務員の場合も、また国の官庁であろうと、地方の自治体であろうと、皆さんが最も希望されないような結果を招来すると思うのであります。従いまして私はこういうような観点からしまして、私どもが掲げでおりますところの生活実態、あるいはその他の産業労働者一般生活水準、こういつたようなものから考えまして、私どもは平均一万二千円ベースの要求をいたすものであります。最低につきましては、私ども七千五百円という数字を出しておりますが、これをあくまで貫徹したいし、また皆さんに御協力をお願いしたいのであります。一万二千円という数字が出されましたが、これは産業労働者の数字から見ましても何ら不当でなく、むしろ低位にある数字であります。内容の点につきましては、なお給與形態、号俸の刻み方の問題、特殊勤務の支給の問題、あるいは地域給のきめ方に対する合法性の問題、あるいはまた扶養家族の手当に対する問題、こういつたような問題につきまして、皆さんの明敏な御調査あるいは御意見によりまして、私どもが要求しておりますような給與形態、あるいは給與の絶対額の確保に御努力をお願いしたのであります。  以上私の考えておりますことを申し上げました。
  26. 田中伊三次

    田中委員長 官庁労働組合協議会の議長佐藤忠夫君。
  27. 佐藤忠夫

    佐藤(忠)参考人 私は官庁労働組会議長の佐藤忠夫であります。  今国会に上程中の給與法を、直接にその適用を受ける非現業国家公務員立場から、若干要点を申し上げてみたいと思います。  そこで私どもがこれから申し上げる主張の根拠が、どこから出発しておるかこいうことから、やはり前提として申し上げなければなりません。むずかしい理論は別といたしまして、私の方の傘下の組合の職員の状況というものを申し上げてみたいと思います。まず文部省におきましては、全体で千五百人の定員でありますけれども、病気で一年以上休んでおります長期欠勤者が六十八人、それから要注意者が百三十人おります。経済安定本部におきましては、これは約四百名の官庁でありますが、長期欠勤者が三十一名、裁判所におきましては、二万一千の職員中、長欠が七百五十三名おります。次に労働省におきましては、本省の職員数は一千百七十六人でありますけれども、九十人の長期欠勤者がおります。要注意者に至りましては、三百人おります。次は人事院でございますが、長期欠勤者は三十二名、要注意者は百三十名、すでに要注意者の方では勤務を短縮して、午前とか午後にわけまして勤務をする特殊な取扱いを受けておるのが二十七名おります。この職場は一千三百名の職場であります。それから特別調達庁におきましては、長欠が二百十名、要注意者が三百名、これは全職員数が六千五百人いるわけでございます。  今四つ、五つの官庁の長期欠勤者のの数、それから要注意者の数を申し上げたわけでございますけれども、これのほとんど九〇%までが結核患者であります。これはわれわれがいかに劣悪なる條件で働いておるかということを、一番端的に現わしている。  それから訴えるものといたしましては、全職場にわたるわけでありますけれども、ここに労働本省の調査の結果、代表的なものを申し上げてみたいと思います。これは職員からとりました職員の声であります。現在の俸給ではとても生活して行けません。これ以上現在の俸給が続けば、子供二人をかかえ心中でもと考えますが、子供のためとこれもできず、いつそのこと身を売つてと思うのですが、これもできず、ほんとうにどん底生活にあえいでいる。早くベースアップをしてください。お願いいたします。これは未亡人の女子職一員の声であります。そのほかに、オーバーも買えない、借金は積もる一方である。いよいよとなつたら首でもつろうかと真剣に考えている、こういうのもあります。それから二十五歳の男子の職員で、二年間で二貫目以上減つた。一年に一貫目ずつ減ると言つております。それから配給米すら配給日に自分の手元に入らない、つまり生きて行けない、最低の生存すら危くなつておるということを訴えております。それから本年七月以来いかに切り詰めても、毎月の赤字がふえる一方で、友達から四千円借り、共済組合からは三千円借りた。しかし今度の俸給日までにはわずか八百円しか手元にない。政府公務員を見殺しにするつもりか、私はひそかに暴動を是認する、こういう状態では暴動もやはり認めざるを得ないじやないか。こういうことを訴えております。これは單に労働本省の職場だけではなくして、各官庁の、われわれの職場にこういう声が今いろいろ湧き上つておるということでございます。  さてこういうような苦しい立場から、私どもはどうしても皆様方にお考えいただいて、しかも具体的な美処を要望いたしたいというわけでございますけれども、一体最近の物価の値上りというものは、皆さん自身が御承知通りでありまして、今日の低い給與ペースでは、先ほどから申し上げた通りの実情である。そこで今回の法案は、一体どういうかつこうで上程されているかということにつきまして申し上げますと、まず人事院勧告が行われたわけでございます。先ほどから申される通り人事院勧告はひとまず公平な立場からなされたということは、一応今日の官庁の組織としては、人事院はそういう勧告をなすことになつておりますし、少くとも政府案よりは合理性を持つていると私は思います。しかしながら人事院勧告にしても、必ずしも言われるほどに合理的なものではないということを二、三申し上げてみたいと思います。  まず第一番目は、勧告の内容の中に、基本的なものといたしまして、お米を幾ら食べるかということであります。御承知通り厚生省の国民栄養調査によりますと、私どもは全国平均いたしまして一日に二千五百三十カロリー、これは実績でありますが、こういうことを発表しております。ところが人事院のあのベース勧告の基礎になつたその計算から見ますと、千九百三十七カロリーの計算をしておる。私どもは人事院に行つて、山下という人事官に、なぜこういうことをやるかということをお尋ねしたときに、石のまじつたあの外米を輸入するのに日本には米かたくさんある、日本人はたくさん食つているという数字を出してはまずい、従つてこういう数字が政策的に出て来ておるのだということを、山下人事官が申しておりました。これはぜひ人事委員長から本人に聞いてもらいたいと思いますが、およそ厚生省の栄養調査の方で、これだけ食べているのだというしつかりした数字が出ておるにもかかわらず、人事院がそういう非常に低い、しかも非常に政策的な、国際的基礎を持つた政策によつた数字を出して、それが今度の勧告の基本になつておるということは、重大な問題であると思います。こういう考え方それ自体が、非常に今回の人事院勧告並びに政府案自体の反動性を現わしておる、こういうことを私どもはまず指摘しなければならないと思います。  次は食糧費でございますけれども、これも重大であります。人事院勧告によりますと、一日の食費は八十二円であります。一日八十二円でだれが食つているか。およそニコ四の自由労働者でさえ、これ以上を必要とするのではないか、私はそういうふうに思います。その他月に住居費が二百五十円、それから光熱費が三百五十円、被服費が三百九十円、雑費といたしまして、修養、娯楽等のようなものだと思いますけれども、これが一千円、こういう劣悪なる生活内容、パンを食べてもバターのかけらさえつけられない、ましてや紅茶やコーヒーは飲めないというようなこと、それから主として動物蛋白等は、魚だけ食べておつて、鯨の肉あるいは牛や豚の肉は食わない計算になつておる。しかも本年度かくあるであろうという、安本の電給計画に基いている。あるであろうということと、現在われわれがかくかくであるということとは非常に違うのであります。従いまして、こういうようなところにも人事院勧告のでたらめ性というものがあるので、根本的な重大な問題として、ぜひともお考えをいただきたいということでございます。  次は一体こういうデータを科学的にやるにはどうしたらいいか、さすがの人事院におきましても、民間の勤労者と比較しております。しかしこの前の勧告は百人以上の事業所からデータをとつたが、今回の勧告は五十人という中小零細事業所を対象としておる。これが非常に重要であると思います。つまり現物給與とかそういうものを受けていない労働者、あるいは労働基準法に違反して、夜おそくまで働いておるような職場、こういうところからデータをとつておりますために、結果といたしまして勧告案の数字は非常に低くなつておる。仕事の内容も全然違う。会社の人たちならば、たとえばライターをつくつておる会社では、現物給與を受ける、それをよそに売つて金にかえるということはできますけれども、私どもはそういうことさえできない。一般商人は商品の値を上げることはできるかしりませんが、私どもはほんとうに言を上げてしまう、そういうことになるわけであります。それが勧告案の非常に重要な点であると思います。  それから上下差の開きにつきましても、これは先ほどから御発言がありました通り、非常に大きくなつておる。私どもは、次官や大臣がこれでいいとは思つていないのです。これを削れとは言つておりません。下をせめて食べて行ける賃金にしてほしい、そういう意味で下を厚くしてくれ、それで上を薄くという意味は、私どもの要求でも、十五級職の方は五万円の数字になつております。上を削れとは決して言つていない。先ほどこの公聴会が始まる前に水谷文部政務次官が、どんどん主張してくれ、われわれの給料も上るのだからと言つておられました。やはり上げてあげたいと思います。私たちの立場としては、そういう立場から発言しているわけでありまして、当然国会議員の皆さん方も、それに先行されるのか、準ずるのか知りませんが、そういうぐあいにわれわれ考えております。  次には政府案についてでございますが、全体的に申し上げまして、この政府案が先ほど言つたような人事院勧告案すら下まわつておるという点は、再び喋々を避けますけれども、一番国家公務員で数の多い五級、六級の方の上る率は、わずかに一七%前後であります。一番公務員でたくさん数がおるところには低くしておる。そして一番上の方は、驚くなかれ三五%も上げておる。金額にいたしまして一万三千円でございます。なお一級一号というところでは若干上げまして、二〇考の上昇率、六百円を追加しております。この一級一号というのは、架室の人物でありまして、現在の職場では、もうほとんどないと言つてもいい。ほとんどないところだけは財源の関係から少し率を上げて行く、こういうことが政府案ではなされておる。これもぜひ申し上げたいと思うところであります。それから現在の法案にあります予算の範囲内においてということで、昇給を若干、前の給與法のときに期間を短縮したわけでありますけれども、予算の範囲内においてでありますから、定期昇給すら予算がないという理由のもとにできないという状況が、各職場で起つております。定期昇給というものは、生活給であります。これをほうつておけば、たいへんねことになるのであります。そういう定期昇給ですら、財源がないということでございますので、そういう点につきましても、ぜひこの法案で、たしか十九條だつたと思いますけれども、予算の範囲内においてという文句を削つてもらいたい。  それから頭打ちですが、各級各号の頭打ちが、非常に最近ふえて来ておるのでございます。タイピストならば、いくら優秀でも、長年勤めても、物価が上つても、六級しか上らない。運転手とかいろいろな職種にそういう状態が起つて来ております。このわくを広げていただきたい。それから人事院勧告は八月から実施と香りておるが、なぜ政府は十月にしたのか、こういう点につきましても、非常に私ども不満を持つておるところであります。公務員の財源は、先ほど徳永君も言いました通り、私どもはないとは考えておりません。この財源はあると思います。直接軍事費あるいは間接的な軍事費に相当する厖大な額がちやんとあります。その他生産部門に支出する厖大な額、これをちよつぴりわれわれの方へいただけないものか。こういうことは皆さん方が一番よく御存じであろうと思いますので、あえて詳しくは申し上げませんけれども、財源においても見通しができるのじやないか。特に先ほどから各自治体の市長さん方が、声をそろえて言つておられますことも、すでに自治体の行政は、いろいろな関係から、もう破壊しております。そういうような場合に平衡交付金ということも、私に国家公務員立場からも、ぜひお取上げいただきたい。そういう財源も、賢明なる政治を行いさえすれば、必ずあるというふうにわれわれは考えるものであります。最後に、私たちは今申し上げました理由から、どういうことをお願いするかということでありますが、まずこれは何もぜいたくをしようというのではなくて、まつたく人事院と同じ方式で計算したマーケット・バスケット法によりまして、月に一回だけは牛肉を食べるというような、その辺を操作いたしますると、どうしても満十八才で八千七百円をいただかなければやつて行けない。これは最低生活でございます。次は人事院勧告では一箇月になつておりますが、年末手当を二箇月、これはどうしてもいただきたい。この要求の根拠のこまかい数字は、お手元に差上げました資料に十分書いてございますので、一々申し上げませんが、年末手当はどうしても二箇月いただきたい。またお盆の夏期手当も一箇月、これを制度化していただきたい。それから生活補給金といたしまして、五千円を即時支給していただきたい。この五千円という数字は、今とにかくこれだけいただきたいという数字でありまして、現行のわれわれの給與とCPIの物価による物価の差だけでも、朝鮮動乱以来はもうすでに四万円は計算上赤字を出しておるということになつております。これを本年の八月以降にしましても、五人家族では二万七千三百三十六円の赤字を出しておる。国家公務員平均であります三人家族で二万八千七百九十八円の赤字を出しております。私どもは五千円だけはどうしてもいただきたいという生活補給金の要求をしているわけであります。  それから超過勤務手当は、これは実際働きましても、こき使うだけこき使つて、そうして正当なる労働時間による超過勤務手当が、各職場とも支給されておりません。ここにもただ法律超過勤務手当をやることになつているということで、これは擬装民主主義であります。法律がなつておるということと、実際行われているということとは非常に違うのでありまして、こういう点につきましても、ぜひわれわれの要望を御採択いただきたい。特にきようの公聴会は、全国におります公務員が非常に注目をいたしております。私どももとれからすぐニュースで全国へこの状況を伝えたいと思います。どうか皆さんに先ほど申し上げましたような私どもの意向をぜひとも御採択いただいて、修正をしていただくように、この席上をかりましてお願いいたしたいと思います。私の公述はこれで終ります。
  28. 田中伊三次

    田中委員長 最後に専修大学の大友教授にお願いいたします。
  29. 大友福夫

    ○大友参考人 今回の給與改訂案につきましては、日ごろ賃金問題を専攻しております者から見まして、非常に多くの問題がありますが、そのうち根本的な二つの点について私の意見を、一応他の参考人発言と重複する点もありますが、申し上げたいと思います。公務員給與が、生計費の変動に即応して、民間給與と調整均衡するように、これをきめねばならないということは、国家公務員法にも明示されておるところでありますし、この改正案の提案理由の中にも、そのような意味のことが述べられておる。ところがこの改正案の内容を毒見いたしますると、軍に財政事情理由として、この大切な二つの必要條件がまつたく無視されておる。この点が第一の問題であります。さきにこの国会政府に提出されました人事院勧告案では、一応五月現在の標準生計費を計算しまして、民間給與とこれを調査した結果とをにらみ合せて、その水準を一万一千二百六十三円に算定しておるわけでありますが、この人事院勧告案にいたしましても、先ほども他の参考人から発言がありましたように、決して私どもから見ましても合理的な、公正なものであるとは言えないものであります。先ほどお話がありましたように、問題の標準生計費算定にしましても、これはできるだけ低い生活水準を基礎とするように、すべての算定の仕方が組まれている。実際よりも低いカロリー摂取量、あるいは極端に安く上るようなマーケツト・バスケツト・システムというような方式がとられてきめられております。民間給與とのバランスという問題にしましても、平均よりも大体二、三割は安い中小企業にこれをならしてその調整をはかつておるというような点む見られるのであります。従つてもし適正な標準生計費算定いたしまして、実際の民間給與と均衡をはかつて給與をきめますと、おそらく人事院勧告案のペースよりも、少くとも五割以上は高額なところにその答えが出るのではないだろうかと考えております。ところが今回の改正案では、まつたく算定の根拠がなしに、かかる人事院勧告案よりも、さらに一割以上も切下げられた、金額にしまして壬二百一円む低いところに、このベースがきめられており、しかもとれが十月から実施ということになつておるのであります。もう一つ問題は、人事院勧告案にいたしましても、すべてこれは本年五月を基準として作成されております。その後物価騰貴による生計費の増加がますます激しいことは、われわれ自身の生活体験が物語つておるのであります。また一方民間給與の傾向にいたしましても、五月に比べますと、すでに九月現在で平均一割近くも増大しておることが、政府統計によつて明らかであります。ことにこの十月、十一月、まだこれは統計の結果が出ておりませんが、この十月、十一月の賃金値上げの傾向は、最近の各産業における賃上げ傾向を見てむ明らかなように、おそらくこれが大幅に増大して行くだろうということが予想されるのであります。従いましてこの給與案を十月から実施いたすといたしますと、おそらく民間給與との開きは、三割から四割になるのではないだろうかと考えるのであります。このようにまつたく実情を無規したといわれるこの給與改訂案が実施されようとしているのでありまして、このような改正案では国家公務員が公共に奉仕するという重大な責務を果すということは、とうてい期待できないのであります。公務員は争議権もなく団体交渉権もないので彫りまして、政府は当然この公務員の生活を保障する義務がある。しかるにこの当然な義務と責任とをまつたく忘却して、人事院勧告案さえもこの改正案は無税したものと私は思うのであります。次に、申し上げなければならない第二の問題でありますが、これは先ほどお話もありましたように、このような低い水準給與をきめておきながら、さらにこの号級別の給與の格差が、現在よりもさらに上に厚く下に薄いというようにつくられていることであります。お話のようにこの案によりますと、大体下級、中級職員の増給率は一割五分から二割前後という平均になつております。とれに反しまして、上級職員は三割前後む増給することになつております。そとで上と下との開きは現在よりも大きくなる。ことに四級職から八級職は、大体金額で申しますと、俸級が四、五千円から一万円前後の層でありますが、との下級ないし中堅層の増給率は非常に低くなつております。四級―八級という暦は、一般職公務員の全体の中で占める割合は大体三分の二であります。これがいわば公務員の幹になる活力の層でありまして、この大切な職員層がこの案では不当に圧迫されるという結果になるのであります。反対に全体の一割足らずの九級以上の、大体課長クラス以上の給與が大幅に引上げられておる、こういう結果になつております。この号級別の給與に格差をつけろという方式は、この改正案の中で人事院勧告案を率先して積極的に尊重した唯一の部分であります。その他の点はまつたく尊重していないのでありまして、給與水準を一割以上も切下げておる、あるいは実施期日も八月か十月になり、休職者の給與についても全額が八〇%になるというように、すべて尊重していないのであります。この号級別の給與格差は、人事院よりもさらにより以上これを大きくしまして、ますますその不合理性を深めております。  要するに結論といたしまして、公務員の実際の生活並びに民間給與との均衡をまつたく無観しているこの低い給與水準、しかも不当な号級別給與の格差をつけて、官庁の民主化と逆行するようなこういう改正案は、これは提案理由にあります提案の根本趣旨である公務員の生活の安定をすみやかにはかるというようなこととは、まつたく反対のことでありまして、あるいは公務員給與水準が、先ほど来しばしば発言がありましたように、地方公務員ベースとなり、またそれが全民間給與にも影響しておりまして、これはひとり公務員給與の問題ばかりではなしに、全国民の生活水準をこの改正案によつて切下げて行くという役割を勤めるのではないか、そういう意味におきまして、この改正案はすみやかに再考慮をすべきものと私は考えるのであります。  以上要点のみを私の意見として申し上げました。
  30. 田中伊三次

    田中委員長 参考人の方々に一言申し上げます。本日の参考人の皆様の御意見で、地方公務員給與実態、またはその給與財源の実態について、まことに重要な参考となりました。午後はこの御発言について若干の質疑があろうかと存じます。おさしつかえのない方は、できるだけお残りをお願いいたしたいと思います。  それでは暫時休憩をいたします。     午後二時十七分休憩      ――――◇―――――     午後三時三十二分開議
  31. 田中伊三次

    田中委員長 それでは休憩前に引続いて会議を開きます。  昭和二十六年度における国家公務員に対する年末手当の額の特例に関する法律案及び一般職職員給與に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括議題にして、質疑を継続することにいたします。  なお午前中、参考人より意見を聴取一いたしましたが、何か参考人に対する御質疑があれば、この際済ませておきたいと存じます。参考人に対する質疑は、政府の質疑と交互にやらないように、参考人の諸君に対する質疑だけをまとめてとり行いたいと思います。
  32. 松澤兼人

    ○松澤委員 五大市の方にお伺いしたいのですが、この五大市の共同の意見書によりますと、二ページに、五大市の基準賃金国家公務員のそれよりも高額なことを否定できないであろう。しかし必ずしも政府職員実質賃金が五大市の職員よりも低いということはない、かように書いてございまして、横浜市において、港湾管理に関し、政府職員を市の職員として引継いだ場合に、三号俸ないし五号俸昇給せしめておる、こういうふうに書いてあるのであります。大体において政府職員と市の職員との間に、この程度のいわゆる基準賃金の開きがあるということは、これによつてわかるのでありますが、しかし必ずしも名目賃金が、三号ないし五号昇額されても、実質的に言いまして、これで政府職員が従来受けていただけの生活規模を維持することができるかどうかということに、一つ問題があると思うのであります。と申しますことは、他の資料にも示されてありますが、たとえば超過勤務手当につきましても、あるいは旅費につきましても、国家公務員の方が、地方公務員よりも多少上まわる給與を受けておるということが、他の資料によつて明らかなのであります。そこで私がお伺いしたいことは、三号ないし五号昇給されたといたしまして、生活規模あるいは生活水準と申しますか、実質的な生活が、国家公務員の場合と地方公務員の場合と切りかえになりました前後、はたしてどういうふうな違いがあるかという点をお伺いいたしたいのであります。
  33. 田中伊三次

    田中委員長 横浜市の船引助役にお答えを願います。
  34. 船引守一

    ○船引参考人 横浜市の助役の船引でございます。  ただいま、横浜市の調べました調書につきましてお尋ねがありましたので、お答えいたします。この調書はもちろんありのままを書いたのであります。ここに名前が載つておりませんが、名前を書きますと、さしさわりがありますので、ローマ字で書いてあるわけで、わざとそういう書き方をしたわけであります。それでここのローマ字に当る人は、実在しておるので、うそではないのです。ここに書いてありますように、横浜市に港湾関係が委嘱を受けた――これは神戸さんも同様でありますが、それに伴いまして、国の職員横浜市の職員に引継いだのであります。ところが端的に申しますと、なかなかきげんよく横浜市の職員になつてくれないのであります。これは客観的な見地というよりも、立観的な考え方があるのかもしれません、なかなかきげんよくなつてくれない。そこでここに書いてあります号俸、すなわち三号ないし五号俸を上げても、なかなかまだ納得をしなかつたのであります。向うの気に入るようにということになると、十五号俸ぐらい上げますと満足してくれる、こういうのが実態であります。しかしながらそんなに上げますと、横浜市の現在の同種類の地位あるいは仕事の内容を管理しております職分から申し上げますと、とうていつり合わない。三号ないし五号俸上げて、ようやく横浜市の同程度の地位の人とつり合うことになるのであります。それ以上は上げることができない。ところがこれがたいへん問題であつて、先ほど申し上げましたように、きげんよく来てくれないのであります。これは金額の点から申し上げますと、最後の欄の二番目に書いてありますように、これだけ減つている、減るから来ないのであります。それから最後の欄にありますように、公舎がない。官吏の方は、ほとんど公舎を持つておられるが、横浜市の職員になりますと公舎がないのであります。こむは家賃がどうとかいうよりも、非常な不便なことであります。この表は大蔵省べ出したのでありますが、大蔵省の役人としては、いろいろりくつがあります。たとえば、ここに書いてありますところの超過勤務手当というのは、時間外にやるのだから普通の基準賃金じやない、だから払えというのですが実際上はそうは行かない。ただりくつだけの問題であつて、市の職員であれば、超過勤務をやつても、事実はもらえないような状態になるのであります。それから月額手当というようなものも、私は官吏でないので、実態のことはよくわかりませんが、なかなか意味愼重なものであると思うのであります。しかもこれは税金がつかない。一番上のEという人の月額旅費は手取り三千円、普通の給與で行きますと、六千円ぐらいもらわなければ三千円の手取りにならないのであります。従いまして、実際問題として、なかなかきげんよく来ていただけなかつたというのが実情であります。それではその後の生活の程度はどうかというお尋ねでありますが、おそらく個人々々であれば不満で、いたし方なしに来たというようなことになつているのではないかと思うのであります。それからこの調べをいたしますためには非常に苦労したのであります。われわれが先ほど主張したように、地方公務員政府職員実質賃金とは違わないんだ、むしろ低い場合もあるということを申し上げた。ところがこれを調べるのに、そういう資料を政府べ出すんだというので、なかなかほんとうのことを言つてくれない、たいへん苦労したのであります。たいへんよけいな話でありますが、以上お答えします。
  35. 松澤兼人

    ○松澤委員 もう一つお尋ねいたしたいのであります。どなたにお尋ねいたしてもよいわけでありますが、多少中小都市関係から、坂上高槻市長がおいでになりますか――おいでにならなければ、委員長からどなたにでも御指名くださいまして、御答弁願つてけつこうであります。  問題は、地財委で計算の基礎としております大蔵省の、地方公務員国家公務員よりも高いということが、はたして実際それだけ高いのかどうか、これが第一の問題であろうと思うのであります。私は、やはり高いことには、それ相当の理由があつて、あるいは沿革があつて今日に至つているのである、あるいは都市の特殊性からそういうことになつている、特に大都市におきましては、一般の民間給與とのつり合い等を考え、そういう結果になつていると考えるのであります。これを地財委の計算のように高いという一定額を差引いて、その上に多少のプラスをするという計算のやり方は、私はおもしろくないと思うのであります。これは私の意見でありますが、都市側あるいは市町村側といたしまして、こういう特殊の給與体系をお認めの上に、も上も財源が許すならば、千五百円のべース・アップをなさるお考えであるか、あるいはまた財源の点は別といたしまして、やはりここで高いだけのものは削つて、一定額をプラスするという方針が妥当であるとお考えになりますか、この点について御答弁をいただければけつこうだと思います。
  36. 田中伊三次

    田中委員長 それでは原口神戸市長、恐れ入りますがお答えを願いたいと思います。
  37. 原口忠次郎

    ○原口参考人 神戸市の職員の俸給が高いと言われておりますが、その高いのには今御質問にありましたように、今までにいろいろな條件がございます。差上げております四表の一に「昭和十四年度における市内主要官庁職員本市職員との本俸比較表」というのがございますが、この表でごらんいただきますと、昭和十四年以後神戸市の市長の俸給は年俸二万円、助役は八千円であつたのであります。そのときの総理大臣は年俸九千六百円、大臣が六千八百円、次官が五千八百円であります。当時の神戸市の一般公吏の月収は八十六円、兵庫県は六十四円となつております。そうしますと神戸市の方が二十二円兵庫県庁より高いわけであります。この二十二円を今日の修正率で百三十八倍いたしますと、三千三十六円ということになります。また神戸市と神戸税関との差額がその次の右の方にございますが、税関との比較は当時十八円高かつたのですから、それを物価指数で直しますと二千四百八十四円になります。表面上の俸給を見ましても、当時すでに市の職員が月給において一般公務員すなわち県庁あるいは税関などより高かつたということを表わしております。るういうわけで神戸市の職員一般公務員より今日高いと言われますけれども、もしも名目賃金が高くなつておるということであれば、昔からこういうふうな環境でございまして、特に最近に高くなつておるということは、一つもわれわれは認めないのであります。これは先ほどどなたからかお話がありましたように、昔から昔からと申しますと語弊がありますが、昔は市の職員を得るのに、たとえば大学あたりを出ました優秀な人はなかなか入りにくい、従つて優秀な人をとるには、俸給を高くしてとるという一般的な習慣があつたわけであります。また大都市物価が非常に高い、だからどうしても俸給が高くなる、こういうふうないろいろな條件があつて昔は高かつたのですが、今日市が財政的に非常に困つて来ますと、それは職員の俸給が高いのだ、こういうふうなことを言われるのであります、これは私ども非常にふしぎに思うことでございまして、大都市に住まつている者は、物価の高いところで生活しているから高いのは、当然じやないかと思いますけれども、計算いたしますと大分高くなつているから、高いと言われれば、なるほど少し高いと申し上げるよりほかにしかたがないが、しかし今日国家公務員ベース・アップされるときに、今まで高いというのは生活がそういうふうであつて高くなつておつたのと、国家公務員が上げられるのに、われわれの方の職員至げられない、金がないから上げられないということは、私はとうてい不可能なことだと思います。といつて、それではどうするか、金がないのに上げないわけには行かない、そうするとどうするかという御質問でございますが、私は借金してでも上げるよりほかにしかたがないと思います。借金して上げるということは、結局地方自治を破綻に導く元だと思います。私どもは借金して上げて、そうして将来地方自治がうまく行くものではないと思つておりますから、今お願い申し上げておるのでありまして、そういうふりなことをやりたくないために、何とかここの急場を救つていただきたい。こういうふうに私どもは申し上げているわけであります。これが金がないから上げなくてよいというなら、非常に簡単でございますが、どちらをとつても今の姿のままでは、地方自治の破壊であるから、これを何とかひとつ認めていただきたい、こういう趣旨でございます。
  38. 松澤兼人

    ○松澤委員 専修大学の大友教授に、ちよつとお伺いいたしたいのでありますが、先ほど御説明を聞きまして、現在でも民間給與等の間には、千五百円のぺース・アップであるならば大きな開きがあるが、また物価騰貴その他から考えてみて、今後相当の開きになるであろう、あるいは三割ないし四割くらいの開きになるであろうというお話を聞いたのでありますが、この点につきまして、何か数字でもございましたならば、簡単に御説明いただければ幸いだと思います。
  39. 大友福夫

    ○大友参考人 ただいまの御質問に答える資料を、あいにく持ち合せておりませんが、間接的に今の御質問に答えられると思いますので、ちよつと手元にあります資料で御説明いたしたいと思います。  先ほども申しましたように、勧告案自身が五月現在を基準にしまして、民間給與と調整をはかつているのでありますが、その場合にも民間給與というものは、先ほど申しましたように、中小企業に重点を置いた調整でありまして、しかも五月の給與水準というのはこれは例年の例でありますが、年間の給與のカーブから言いますと、きわめて低い月である。今年の賃金指数の動きを見ますと、四月と五月ではほとんど変化がありません。ところが指数で申しますと、五月に二八の指数が、六月になりますと一四〇にはね上つている。その後この傾向はずつと持続するのでありまして、つまり最も給與水準が低くとどまつている五月をベースにして、この人事院勧告案自身が作成されているのであります。従つて五月から現在手元にあります資料の九月の賃金指数を比較いたしますと、総額において七・九%の増額になつております。毎月きまつて支給する金額では九・一%、これが九月にすでに増額になつておるのであります。従いましてたといこの五月に中小企業ではなしに、真に民間の平均賃金にならおうとしても、すでに九月においては九・一%の開きが出て来る。ましてこれが十月、十一月になりますと、御承知のような各産業の賃上げ傾向が高まつておりますから、ここではおそらく一〇%から二〇%前後の指数の増加が予想されるのでありますから、そうなりますと五月に適正な調整をいたしましても、すでに十月今後は二割から三割は開きが出て来るのが当然ではないか、こういうふうに考えるのであります。実数が手元にありますと、その点具体的にお話できるのでありますが、実数の資料がありませんので、指数だけでこの点御説明申し上げます。
  40. 松澤兼人

    ○松澤委員 もう一つお伺いいたしたいことは、大体人事院給與の定め方は、将来の見通しということは考えないようでありますが、大友教授のお考えで今後物価の趨勢というものに対する概略のお考えを承ればけつこうだと思います。
  41. 大友福夫

    ○大友参考人 今後の趨勢でございますが、これはもうすでに私がここでおそらくくどく述べる必要はないと思いますが、すでに新聞などにも発表されております。安本の物価の今後の上昇の推定指数におきましても、来年の三月までには七%の増額がその諸計画のいわば根拠として見込まれているのであります。この七%という数字は実際見ますと非常に低目だと思いますが、大体おそらくこの十一月から始まつた運賃それからガスその他の値上り、これが引続きおそらく年末べかけてぐつとしら上りになりまして、その状態が来年の初めまで持続するのではないか、こういうふうに予想される、これは例年の物価の傾向が大体そういうあれをたどつております。ことしもそれを促進するようないろいろな要因が重なつておりますから、当然この安本の七%を上まわる物価上昇は確実ではないか、こういうふうに考えます。従つてもし勧告するなりあるいは改正案をきめる場合には、そういつた将来の上昇率というものを推定の上、それを見込んで決定しなければ、それによつて生活する人々の生活というものは、実質的にはそれだけ切下げられるという結果になるのではないかと思うのであります。
  42. 田中伊三次

    田中委員長 平川さん。
  43. 平川篤雄

    ○平川委員 二点だけちよつとお伺いして、教えていただきたいことがあるのです。先ほど民間給與との均衡という点で、実際には人事院案より五〇%以上高額になるだろうというお話であつたのでありますが、これにはおそらく人事院の例の給與のカーブをそのまま是認せられてのお考えであろうと思うのであります。しかし私の考えでは、このカーブというものについて、実はちよつと不審があるので、先生の御意見をお聞きしたいと思うのであります。大体ただいま人事院のカーブは、最低を例の十八歳の成年男子の一箇月の標準生計費というものにとりまして、あとは大体国家公務員に対応するような、民間のいろいろな仕事に携わつておる人の給與を辿つて、カーブをつくつておるように思われるのであります。しかし私どもこれは民主党の大体の考え方なのですが、現在ではやはりなれ最低の生活費というものを保障して、その上に能率給を重ねて行くという方策をとる方が、ただいまのところでは妥当だというふうに考えておる。私どもしろうとですから、詳しいものは知りませんが、東京なんかに遊学している学生の下宿料にしても、月に四千五百円くらいになつておるのです。こういうようなことを考えると、確かに先生のおつしやつたように、四千円や三千九百九十九円では無理だと私も思うのでありますが、そこはそれにいたしましても、そのあとの較差が、上に厚く下に薄くなつておるという傾向は、やはり私どもも同感なのであります、けれども一体それじやどのくらいの較差にしたのが妥当なのかということになりますと、実ははつきりした根拠がわれわれはつかめない。それで人事院の民間給與に追つかけて行くような考え方というものも、無理もない考え方かしらというふうに思わざ七を得ないのでありますが、先生などの専門的なお立場から見て、あのカーブというものは一体どういうふうに書くのがよろしいのか、はつきりしたものがあれば、この際お示しいただきたいのが一つであります。もう一つは、公務員給與を上げると、民間の賃金がどんどん上つて行くというようなことが、愚論であると思いますが、しきりに公務員給與を上げなしための宣伝として用いられるのであります。しかしもう公務員給與が民間より低ドということは周知の事実なのでありますが、一体さような心理的な影響で、どんどん民間の給與まで押し及ぼして行くというような傾向が現実にあるかどうか、これはひとつ先生の御経験か方お話を願いたいと思います。その二点であります。
  44. 大友福夫

    ○大友参考人 給與のカーブをどのようにしたらいいかという御質問でありますが、実際適正なカーブというのは、全体の生活水準とにらみ合して、その上で決定されなければならないものであります。従つてまず何よりもすべての人が最低の生活を確保できるという点、これが基本でありまして、それにさらに号給その他、そういう職員について、どの程度に増額して行くかという点は、全体の国民の生活水準が非常に高く、そしてまたそういつた経済状態にある場合には、それがかなり全体として大幅に上つて行くということが可能なわけです。しかし現在のように、国民生活の水準が戰前の六割とか七割とか言われているような状態では、そういうカーブを大幅につけるということは、結局そのしわ寄せが全部下に行つてしまうのであります。ですから現在のような日本の実情においては、このカーブはできるだけ少くするというのが、国民が全体として生きて、行くための、またみんなで協力して生きて行くための民主的な賃金の体系ではないか、こういうふうに私は思うのであります。  それから第二のご質問でありますが、これは御質問の内容とまつたく私も同意見なのでありまして、公務員給與一般より低い、そういつた給與が多少上るからといつて、それによつて民間がそのように上昇するということは、まずあり得ない。一般給與上昇は、モーメントから言いますと、下る場合には、低い給與がきめられますと、その低い方に下つて行くわけです。高い方には決して給與はならされて行かないのであります。これはいわば現在の社会における賃金の法則であります。従つてそうい一つたことはまつたくの愚論であろうと私も考えております。
  45. 八百板正

    ○八百板委員 今のお話に関連いたしますので、大友先生にお伺いをいたしたいと思うのであります。先ほどお述べいただきましたお話の中に、民間給與との均衡をとつて行きまするならば、人事院勧告よりも五割以上の高額となつて現われるであろうというお話が述べられたのでありまするが、さらにそのあとで、しかも政府案はこれよりも一割以上切下げ、さらにまた十月より実施するという意味合いにおいて、非常に下まわるものであるというお話であつたのであります。そのあとで、民間との開きは三、四割の開きとなるという数字をお述べになつておられるのでありますが、この関連が少しわかりにくいので、もう少し詳細に教えていただきたいと思う次第でございます。
  46. 大友福夫

    ○大友参考人 先ほどの御質問で、民間給與との開きが現在において非常に高率なものになるということを御説明申し上げましたので、その点は前の繰返しになりますので、説明を省かせていただきたいと思います。従つてまず第一に、民間給與と調整した五月基準のとり方自身が、平均よりも」割ないし二割低い中小企業とならして調整がとられているということ、その後民間企業の平均は、すでに九月までに九一%、十月になると、おそらくこれか二〇%上になると思うのであります。従つて基準においてすでに一割ないし二割の開きがあり、そして十月においては、これがさらに二割以上開きが出て来るわけでありますから、通じまして三割から四割の開きが出て来るであろう、こういうことになるのであります。その程度のお答えしかできませんが大体そういうふうなことになります。
  47. 八百板正

    ○八百板委員 それから先ほど大友先生のお話で、人事院勧告した中で取入れたものは、下の方を薄くし、上の方を厚くするという取り方を一層ひどくしただけであつたという御指摘があつたのでありますが、政府の今までの説明を伺つておりますと、今日給與政策の上においては、能率給的な考え方を加味して行く必要がある段階であるから、従つてこういうふうな較差をはなはだしくしたのであるというような説明があつたのでありますが、そうでありますならば、能率を一層高めることを必要とされておりますところの企業官庁等においても、当然にそういう考え方が取入れられ、たとえば奨励金等においてそういうような考慮がとらるべきであろうと思うのでありますが、逆にそういう方面においては考慮がされておらないというような面を見ますと、そこに大きな矛盾があるように考えるのでありますが、賃金問題を専攻しておられる大友先生は、今日能率給的な考え方を取入れる段階であると理解した政府見解に対して、どういうお考えをお持ちであるか、この際お聞かせをいただきたいと思うのであります。
  48. 大友福夫

    ○大友参考人 能率給という問題は、一応各人が最低の生活を保障された上での話でありまして、それが破られて能率を上げることは、まつたく考えられないのであります。従つてまずその点が十分保障されているか、いないかということが問題であります。今度の改正案では、能率給といいながら、実は中堅層以下の人々の生活を破壊して、その能率をまつたく発揮し得ないような状態に置いているのでありまして、これは決して能率給ではないのであります。むしろ、他の参考人から発言がありましたように、これはいわゆる職階制をますます強化して、官庁が戦前のような状態にこれを逆転する、そういつた役割しか果さないのではないか。決して公務員の能率を高める給與にはなり得ないものだ、こういうように私は考えるのであります。
  49. 八百板正

    ○八百板委員 ただいまのお考え方をさらにもう少しお伺いいたしたいと思うのでありますが、今日御承知のように、政府は、悪性インフレを押えるという立場に立つて賃金政策をとつておるものであるとわれわれは考えるのでありますが、この低賃金政策によるところの、いわば日本の経済再建と申しましようか、資本の蓄積と申しましようか、そういう政策を通じて、日本の資本主義的な資本の蓄積を行おうとしておるところに、今日政府がとつておりまするような低賃金政策の根拠があるだろうと思うのでありますが、こういうふうな点に関連いたしまして、賃金引上げた場合における、政府のいうような悪影響、そういうようなものがどういうふうに現われて来るものであるか、そういうふうなことにつきまして、先生の給與政策、経済政策との関連において、ひとつ概略のお話を承りたいと思います。
  50. 大友福夫

    ○大友参考人 低賃金政策がインフレを克服するための一つの手段として用いられるということ、その点は、一面において、たとえば日本の戦後のインフレをデイス・インフレにし、そしてまたある程度インフレを帳消しにしてしまうという場合に、この要因がかなり大きな作用をしたということは出て来るのでありますが、しかし逆に、それでは賃金が上ることによつてインフレが引起るかということになりますと、その逆の場合は必ずしもそういうことは言えないのであります。この点は、たとえば現在アメリカなどにおいても、賃金とインフレの問題というのは盛んに論争されている問題でありまして、單に賃金が上るからインフレがそれによつて高まるというようなことは断定し得ないし、また非常に多くの問題があるのであります。経済学的に申しますと、私自身はそういうことはあり得ないというのですが、その御説明を申し上げますと非常に長くなると思いますので、とにかくそういつたことは一面的には言えない。従つてそういう理由公務員給與引上げの問題を押えて行くということは、理論的にも、また実際的にも、それは単なる詭弁ではないか、こういうように私は考えます。
  51. 田中伊三次

    田中委員長 柄澤君。
  52. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 これはどの市長の方でもけつこうなんでございますけれども、実はぎようるるとして、地方財政の危機につきまして、各市町村長からいろいろな御苦労を承つたのでございます。御心配のような予算がすでに当衆議院では通過いたしまして、その後におきまして、與党も加えました卒衡交付金に対しましての決議が実は両院で行われておるわけでございます。私どもといたしましても心配いたしておりました以上の実情を、きようは御報告になりまして、この事態の成行きにつきましては、まことに暗濃たるものがあると思うのでありますが、実はぎよう午前中に地方行政委員会で、皆様がぜひお聞きになつてお帰りになつた方がよろしいような政府側の発言が、ございましたので、委員長にお諮りしたいのでございますけれども、参考人の方の御意見を承りましたあとで、ちようどそこに地方自治庁の鈴木さんがお見えになつたようでございますので、この方の御発言をお求めすることを御許可願いたいと思います。
  53. 田中伊三次

    田中委員長 柄澤君に申し上げますが、参考人はお急ぎの方が多い。そこで参考人に対する質疑は簡單に先に済ませて、政府側に対する質問は、まだ今日も明日もしつかりやりますから、参考人だけにお願います。
  54. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 地方の方が旅費をおかけになりまして、はるそれ遠くから国会に聞いてもらいたいというのでお見えになつたのでございまして、お帰りになりますのには、やはりひとつの目途を持つてお帰りになつた方がけつこうだと思います。私どもの質疑はもちろん今後十分盡したいと思つているのでございますが、今日お見えになりました市長さん方に非常に関係のある御発言地方財政委員会でございましたので、ひとつこれを私はぜひ聞いていただきたいと思うのでございます。このことにつきまして、あまり時間をとりますのはいかがかと思いますので、すぐ入りたいと思うのでございます。  地方財政の危機に関連いたしまして、打切りになる工事その他につきまして、相当重要なものがあげられていると思うのでございます。災害がますます増大いたしまして、いろいろ予算の点なんかのこともございますが、そういうようなことが地方財政の危機のために打切られるということは、非常にたいへんなことであり、よけいなマイナスになるのではないかと思います。ジェーン台風などの災害の復旧ができない先に、またいろいろの諸工事の打切りのために、さらに厖大な予算が計上されなければならないというように、ちようど雪だるまがだんだんと太つて行きますような、あぶない状態が起きているのではないかということを、私どもは心配いたします。そういたしますと、ますます地方財政は逼迫するということで、そういう打切り予算が大体どのくらいに上つておるのでありましようか。今日おいでになりました市長さんの各位から承れればけつこうでございます。
  55. 田中伊三次

    田中委員長 原口市長、簡單にお答え願います。
  56. 原口忠次郎

    ○原口参考人 神戸市におきましては、公共事業、単独事業合わせまして、市単独に持ち出す分は三億五千万円、これを工事費に換算いたしますと、大体八億近い工事費でございます。八億近い工事費を打切るために、市の持ち出す分が三億五千万円ばかりございませんために、全体の工事費八億近くを打切るという結果になつております。この工事を打切るために、そのあとに来るいろいろの波錠が非常に大きく来るということは、御指摘の通りでございます。
  57. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 それらの経費が打切られますことによりまして、よけいな破綻が来るということは、火を見るよりも明らかな実態にある場合に、平衡交付金に求める以外に道はないということで、非常に懇願するというようなお話であつたのでありますが、この点につきまして、もし平衡交付金が増額されない場合には、どういう事態になるか。むしろ来年度は減額すべきであるというような意見すらも、政府の方ではあるというふうに承つておるのでございます。そういう場合にはどういような対策をお立てになるか、どういうふうなことが生まれるかというようなことにつきまして、承つておきたいと思います。
  58. 田中伊三次

    田中委員長 柄澤君、御発言はなるべく御自由にお願いをいたしたいのですが、ここの御発言は、地方公務員給與実態、その給與財源の実態についてに限つていただきたい。
  59. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 関連がございますので。
  60. 田中伊三次

    田中委員長 関連はあるが、それの関連を延ばして行つたのでは、夜を日についでやつても解決はできぬ。そこで原口市長、恐れ入りますが、給與財源の関連の限度で、簡単にお答えをいただきたい。
  61. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 それではもつと具体的に進めたいと思うのでございますが、給與関係してでございます。先ほどの御意見の中に、国からの委託業務が非常にふえたというお話がございました。五割五分であつたものが、七割とか八割とかいうふうに委託業務がふえたというお話でございまして、これは当然国から補助をもらわなければならないという御意見があつたと思うのでございます。こういうようなことがありますのに、一面におきまして、全逓が独立採算制になりました場合に、当然政府から支払わるべきものが支払われないというような條件がございまして、ますます赤字が増大いたしまして、給與も出て来ないし、郵便料金も上げなければいかんということで、大衆に対する負担と従業員に対する負担によつて、それが補われようとしているという実例があるわけでございます。地方自治体におきましても、委託業務がふえて、国が当然やるべきものを地方自治体が引受けながら、その経費が国からもらえない。取上げられるものだけは府県等へ取上げられまして、地方の自治体、市町村がその経費をまかなつてもらえないということも、一つの今度の原因になつているのではなかろうかと承つたのでございますが、そういうことと関連いたしまして、それらの業務に要しております人員、給與というものがおわかりで、ございましたならば、ここで御説明願いたいと思うわけでございます。
  62. 船引守一

    ○船引参考人 その話は私が申し上げたのでございます。五割五分というのは、その資料を持つて来ればよかつたのでありますが、たしか戰前の調べであります。その後ふえたのは、最近調べようと思つてとりかかつているのでありますが、まだ正確な数字は出ていないのでありまして、私の先ほど申し上げましたのは遺憾ながら推定であります。いずれ調べ上りましたならば、もし必要があればお知らせしてもいいと思いますが、大体そういうような見当になつていると思います。
  63. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 それではちよつとお伺いしておきます。見当ということでございましたが、全体の予算の約八割でございますと、金額にしてどのくらいになりますか。
  64. 船引守一

    ○船引参考人 横浜で申し上げますと、横浜の純計予算が先ほど申し上げましたように五十六億であります。五十六億が総経費であります。
  65. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 横浜などは特に今度の政府が結びました両條約後の特殊な條件を含んだ土地柄といたしまして、私どもやはり深い興味を持ち、全国民もやはりこの成行きにつきましては非常に関心を持ち、心配しているものだろうと思うのであります。先ほどのお話によりますと、港湾の九割、東京都の二区分の接収、四十七万八千余坪の家屋の接收というようなことから、税收入がまつたく上らないというお話でございまして、さぞかしたいへんな財政の追追だろうと拝察するのでございます。どこにも頼むところがなくて、この二箇月の間どうしていいかわからないで自分は苦しい経験をして来たというお話でございますけれども、こういう特殊事情に対しまして、何らか政府からの意思表示と申しますか、そういうものがあつてしかるべきだと思うのでありますが、そういう点につきまして、それらの関係しているところの事務を取扱います公務員の割合は、どのくらいになつているものでございましようか。戰前に五割五分くらい委任事務をやつておつたのが八割になつたとおつしやろ中に、ただいまのような特殊事情が入つているのでございましようか。それとも各府県全部がそういうような事情になつているのでございましようか。その点につきまして承つておきます。
  66. 船引守一

    ○船引参考人 お答えいたします。何割かということは、大体私の推定では七割から八割くらいだろうというのが、大体当つておると思うのであります。これは調べてみないと正確なことはわかりませんが、最近でも、この一箇年間で、大体十五種くらいの仕事が移管されておるのであります。これについての資料はあとから出してもいいと思うのであります。他の公共団体がそのくらいの率になつているのかということについては私はよく知りませんが、大体そうじやないかと推定いたします。これは横浜では大体そうじやないかと思うのであります。  それから接収をされましたいわゆる接収に伴う事務という右のは、横浜市にはないのであります。これは国がやつております。ただ先ほど申し上げましたのは、土地で、東京都の二区分、数字で申し上げますと二百三十一万九千余坪という厖大な地域であります。港湾も九割、それから家屋においては四十七万八千坪、これだけ接収されておるために、産業は上らないと同時に税金がとれない。これは横浜で推定してみますと、全経費が五十六億と申し上げましたが、大体一割か一割五分くらいの減収になつておるかと思います。これは横浜特殊事情であることを附加した次第でありまして、他の府県のことは私はよく知りませんが、大体そうじやないかと思うのであります。
  67. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 他方自治庁の方にちよつと伺いますが……。
  68. 田中伊三次

    田中委員長 参考人はもういいですね。
  69. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 参考人にもまだ市長の方に対する質問と、十あとは労働組合関係がございますけれども、その間にちよつと今の点に関連して鈴木さんに……。
  70. 田中伊三次

    田中委員長 たとい関連しておつても、国会の取扱いに政府委員参考人を交互にやるなどという例はありません。参考人に対する質疑を先にやつてください。
  71. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 いつでもそうやつていたのではありませんか。例はたくさんございますよ。     〔「ないとは言えない」と呼ぶ者あり〕
  72. 田中伊三次

    田中委員長 それはございません。参考人にあまり時間をとらせることは、非常に迷惑に思われると思うので、なるべく早くお帰りを願いたいと思つておりますから、政府への質問はあとでゆつくりおやりください。参考人に対する発言の約束の時間はあなたとは十分ですから、急いでやつてください。
  73. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 それでは譲りまして、官労の方の方に伺いたいと思うのでありますが、きよういろいろ御説明がございましたところの官労の窮状について、御要求になつております生計費の基礎になつておりまするものは、理論生計費でございますか。それとも皆様方の実態生計費になつておるかということを承つておきたいと思います。
  74. 佐藤忠夫

    佐藤(忠)参考人 お尋ねの点につきましては、お手元に差上げてあります私どもの公務員給與実態、この印刷物の中の一番最後の方に表が載つておりますが、米とか、うどんとか、玉ねぎとか、だいこん、これは実際の価格を載せたわけです。ここで非常にはつきりしますことは、マーケットで実際に買つた値段、つまり現在の市場価格というものを、まつたく人事院と同じ算定方式でやつたところが、いかんせん人事院と違つた数字が出た。つまり御質問の要旨に対しましては、そういう意味で理論生計費ではございません。だいこん、菜つば、ねぎという市場価格を集計いたしましたものですから、実態生計費ということでございます。従つて私どもとしては、これを割るということは死ねということになる、こういうふうに考えておるわけでございます
  75. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 私どもがふに落ちませんのは、私は多少栄養の方をやつたことがあるものでございますから、特にそういうことを感じるのでございますが、千九百三十七カロリーという換算になりますと、外米輸入のために、こういうカロリーをとつているということにしなければ、外米を輸入してもらおうという日本の立場を説明するわけにいかないというような基礎から出て来ているのだ、こういうようなきようのお話でございましたが、それは事実でございますか。それはいつどこでだれがそう言われたか。
  76. 佐藤忠夫

    佐藤(忠)参考人 私もそうでない方がいいと実は思つていたとき――したまたま私の記憶では九月だつたと思います。先ほどそう言つた方は人事院の山下さんだと言いましたが、私の記憶違いでありまして、淺井さんだそうであります。その点まず訂正いたします。私どもはそういう政策的な数字であるということは夢にも由心つていなかつたところ、実は御当局の方からそういうことをおつしやつたわけであります。従いまして、この計算の基礎になつております一千九百三十七カロリーというこの根拠は、私どもにどう説明しろ、と言われても、実はそういうわけで説明ができない、これはよちしく人事院御当局に根拠を説明していただかなけわばならない、こういうふうに考えます。
  77. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 できればここで人事院の方の御答弁が願いたいのですが、どうしても委員長が御許可にならなければ、この参考人を呼びましたことが、まつたく死んでしまうような形になるのでございます。形式的にただ呼んで意見を聞いたというだけになるのでございますが、もう一ぺんいかがでしようか。
  78. 田中伊三次

    田中委員長 別個にお願いいたします。
  79. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 どうかひとつそれをこの委員会で動議として出したいと思いまいます。
  80. 田中伊三次

    田中委員長 そういう動議はお出しにならずに……。時間は委員長とあなたとの紳士協定による十分間の時間を過ぎております。  それでは岡田春夫君。
  81. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 議事進行について……。
  82. 田中伊三次

    田中委員長 議事進行は許しません。
  83. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 きようは非常にいろいろた問題が出まして、高槻市長などは政府から委任事務。
  84. 田中伊三次

    田中委員長 発言の許可を求めて発言をしてください。
  85. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 先ほどから許可を求めてやつております。
  86. 田中伊三次

    田中委員長 質疑がなければ次に移りますよ。
  87. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 ございます。
  88. 田中伊三次

    田中委員長 どうぞ。
  89. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 動議はお取上げくださらないのですか。
  90. 田中伊三次

    田中委員長 取上げません。
  91. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 議事進行について、それに関連した発言を述べてよろしゆうございますか。
  92. 田中伊三次

    田中委員長 質疑をしてください。
  93. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 動議を採決していただきたい。
  94. 田中伊三次

    田中委員長 いや質疑を……。
  95. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 その理由を申し上げます。
  96. 田中伊三次

    田中委員長 その理由はいりませんから、質疑を継続してください。そうしないと時間がたつ一方です。あなた十分の約束でしよう。熱心な御質問であるから時間を過ぎても、だまつてここで拝聴しているわけですから、十分の約束だつたでしよう。その十分間を過ぎて何ですか。どうぞ質疑を続行してください。
  97. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 動議をお取上げにならないのでございますか。人事院の方はお見えになつておるではありませんか。
  98. 田中伊三次

    田中委員長 政府委員は来ておりますが、政府委員参考人との答弁を混合するということはできません。(「それは前例があるよ」と呼ぶ者あり)やつた委員会があるとすれば、その委員会運営が誤りです。そんなことをすべき筋合いのものではありません。どうぞ質疑を継続してください。
  99. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 あの事態が非常にはつきりいたしませんので、一言弁明さしていただきたいと思いますのは、きよう高槻市長が、政府からの委任事務を拒否しなければならないような事態が起きるというような、非常に重大な発言があつたのでございまして、やはり相当なものを持つてお帰りいただきたいと思うので、私ど玉が参考人を無視するのではなく、むしろ参考人に敬意を表する立場から、ただいまのような動議を出したのでございまして、それをお取上げ願わないことには、やはり参考人を尊重しない、当委員会を侮辱するということになると思うのでございます。御再考を煩わしたいと思います。
  100. 田中伊三次

    田中委員長 柄澤君に委員長意見を申し上げますが、本日の参考人の招致は、参考人にいろいろなおみやげを持つてつていただくことが目的でございません。参考人のお持ちになつております御意見をつつしんで舞聽いたして、審議の重要資料といたしたいということが、本日の質問の目的でござ  いますから……。わかりますね。その限度を越えざるように御質問を願いたい。
  101. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 私どもが人事委員会審議を進めますために、参考人をお呼びしたのでございます。ところが時々刻々と方針がかわりまして、米の統制がゴ言でかわるように、やはり毎日のように各委員会におきましては地方財政の問題、米の統制の問題、定員の問題におきまして、政府の方では御方針がおかわりになるのでございます。それらにつきましてきよう午前中にありました地方財政関係の重要な政府発言やその他につきまして、やはりこれを知つていただいて参考人の御意見をさらに聴取いたしたいというのが、なぜ私どもの人事委員会審議の上におきましてじやまになるかということでございます。それで賢明な委員長に対して動議を出し、御再考をお願いいしているわけでございます。
  102. 田中伊三次

    田中委員長 柄澤君に申し上げますが、他の委員会の結論、他の委員会の動向を、一々ここに持ち込まれてはこの委員会審議にはさしつかえがある。他の委員会でどういうことがあつたかということを、ここに持ち込まれても困るのです。この委員会では参考人に質問をするについては、参考人発言せられた言葉の中で理解のできがたいこと、そういう事柄について釈明を求めるという限度を越えないでやらないと夜が明けてしまう。ですからその限度を越えないように願います。その秩序を立てませんと、国会で国民の「代表が質疑をしているのですからおかしいです。その次に質疑があれば続けてください。官労の方々も随分長い時間お待ちになつているのですから、そんなつまらないことを言つておるときではない。
  103. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 つまらないことというのは非常に暴言だと思いますので、お取消しを願います。
  104. 田中伊三次

    田中委員長 りくつに合はないということです。
  105. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 他の委員会云々というようなことは、私ども関係のあります委員会とは連合審査すら開いておりますので、委員長のやはり御判断にもよりまして、密接な関係のあるものの連合審査を開いて、審議を進めるという先例もあるわけであります。つまらないことというような暴言は取消していただきたい。どうしても御許可がなければ質疑を進めたいと思います。
  106. 田中伊三次

    田中委員長 許可をいたしません。質疑を進めてください。
  107. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 どうか参考人の方も、こういう状況をごらんになつてお帰りをいただきたい。
  108. 田中伊三次

    田中委員長 どうぞ質疑をお進めください。
  109. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 質疑を続行いたしたいと思います。先ほどの官労の方にお伺いいたしたいと思いますけれども、きよう実は大友参考人から御説明があつたのでありますが、全官公の給與をこのようにきめますことは、結局一般の国民の生活水準を切り下げることにもなるというような御意見も出たのでございます。吉田首相が講和会議後お帰りになりまして、日本の労働者の低賃金の問題を、非常にいろいろな場合に御主張になつているのございます。それらの方と合せまして初めてきまりますベースでございまして、非常に関心を持つているわけでございますが、皆様方の官庁には、皆様方以下の給與をもつて働いている、職員の待遇を受けません非常勤の人々が、四十七、八万あるのでございます。この事実は一般にはまつたく知らされておりすせん。この非常勤職員という扱いは、定員法のいかに不備なるかを証明しておるものでございますが、これらの給與につきまして、官労として、どのくらいの額になつておるか、皆様方の給與とどのくらいの比較になつておるかというようなことにつきまして、資料には人員だけは出ておりますが、それについて出ておりませんので御説明願いたいと思います。もしありませんでしたら全逓の方でもけつこうでございます。
  110. 佐藤忠夫

    佐藤(忠)参考人 官労よりもむしろ全逓方面に多いと思うのですが、官労の場合は中央官庁が多いので、そういう意味におきましては、たとえば私は文部省の例を申し上げますと、文部省はとかく他官庁よりは、知的労働者といいますか、知識の相当高い人を臨時職員に採用する場合があるわけです。それからアルバイトの学生を採用することも場合によつてはありますけれども、ある特殊な外国の非常に重要な、しかも教育上参考になる文献を訳するとか、こういう言につきましては、たしか今出されておりまする法案でも、一日相当多額に上つておると思います。しかしそれは、ごく一部で、大部分の非常動職員というのは、やはり大体において、学生アルバイトの単価が一般に三百円とか四百円とか言われておるような、そういう程度だろうと私は思つております。なおこれは業種、仕事の内容によりまして、非常に違う性格のものですから、建設省の地方建設局あたりの、測量とか、工事監督とかいう場合は、かなり高度な技術を必要とするので、そういう面におきましては、一日に五百円とか六百円とか、そういう単価が出ていると思います。しかし押しなべまして、先ほどおつしやいました四十七万の非常勤職員というものは、平均はわれわれのベースよりはるかに低い、それから身分的な保障もなされていない、そういうことははつきりと言えると思います。
  111. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 全逓の方がこの問題では非常に関連があるように承りましたが…てん。
  112. 田中伊三次

    田中委員長 全逓従組の委員長おられますか。
  113. 永岡光治

    ○永岡参考人 お答え申し上げます。実は私どもの場合には、定員法があるために、事務量が定員できめられておりますが、事務量は御承知のようにお客さん本位でありますので、どんどんふえておるのであります。従つてどうしても定員でまかなえないものは、非常勤を雇つてやらなければならない、こういうことが私どもの事業実態であるわけであります。それでどの程度になつておるかということでありますが、これは明らかに定員でやれば一人当りたとえば八千円とか一万円とかいうことになるわけでありますが、それを定員にせずに非常勤ということでやると、実際の事務量は同じ人が同じ数ではかすのですから影響はありませんが、その非常勤については、定員より安く雇つておる、こういう実例が現在出ておるわけで、非常に私ども遺憾に思つておるわけです。それをぜひ定員に振りかえてくれと要求しておりますが、これもできておりません。今資料をちよつとくつてみますと、ここに一つの例が出ておりますので、参考になると思いますから申し上げますが、今度年末のお年玉はがきその他がたくさん出ますが、なかなかはけないので、臨時要員を雇わざるを得ないのでありますが、昨年が一人当り日給百四十五円です。今年は百九十円になつておる。ですから一月まるまる働いたとしても五千七百円、従つて公務員のべ一スの約半額ということになるわけであります。
  114. 田中伊三次

    田中委員長 柄澤君、どうですか。もう大分時間が……。
  115. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 もう二、三点です。
  116. 田中伊三次

    田中委員長 もう一、二点……。(笑声)
  117. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 先日実は郵政大臣にお伺いしましたときには、これらのものは定員に繰入れなければならないというようなお話だつたのでございますが、定員と給與の総額というものは、官房長官にお伺いいたしましたところが、給與の総額のわくの方だけオーケーがとれるのだそうです。しかしその内訳になりますとオーケーが出ないという。そうしますと、地方自治体の仕事の実態、全逓の実務の実態というものから割り出して、あのわくがきまるのじやなしに、給與総額というものをきめて、それに割り当てて、首を切れとか、長欠をどうはずせとか、あるいは超過勤務を払うなとか、いや超過勤務の未払い分をどうとか、どうもそういうことが生れて来るように、私どもは今の政府のやり方を考えているわけです。それを明らかにいたしますのには、あなた方の方の定員のことと長欠のことは、やはりみな密接な関係があると思うので、ございまして、未払いになつております超過勤務の額とか、そういうようなものもひとつ明らかにしていただきたい。それからただいま申されました非常勤の人員が何名くらいで、金額にすればどのくらいになるかというようなことも、わかりましたら、ひとつお知らせ願いたい。
  118. 田中伊三次

    田中委員長 永岡君、おわかりですか。
  119. 永岡光治

    ○永岡参考人 お答え申し上げます。非常勤の数でありますが、常勤的非常勤、つまり毎日勤務している非常勤です。おかしな文句を使つておりますが……。(笑声)この常勤的非常勤が約八千名あります。それから超過勤務手当はどのくらい支払つておるかということでありますが、これは三分の一であります。約三分の一と見て間違いございません。これははつきりした裏づけも出ております。と申しますのは、今度参議院の方の郵政委員会で取上げられまして、郵政委員長以下各委員及び専門員が現場を実地に調査されました結論に見ましても、三分の一ないしそれ以下、二割五分程度しか払われていないということが明確になつて来ております。その程度でよろしゆうございますか。何かまだほかに質問に答えておらぬところがありましようか。
  120. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 非常勤は金額にしてどのくらいのものか、わかりましたら…
  121. 永岡光治

    ○永岡参考人 それを今度のベースにかけてもらえば大体出ると思うのですが、一万円として八千五百円……。それは常勤的非常勤でありますが、そのほか私が申し上げましたように、臨時に事務量がふえて処理しなければならぬ臨時要員というのが、まだ数千名あるわけであります。
  122. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 勤務時でございますけれども、四十八時間、五十一時間、七十二時間というような、基準法からまつたくはずれました勤務時間が、全逓信従業員組合の場合にはあるというような資料をいただいておるわけでございます。これにつきまして、二十五年の一月でございましたか、人事院でそういう職階制が制定される前だつたと思います。制定されるまでの暫定的な措置として、この時間をやつてくれというような話があつて給與局長の瀧本氏が、必ずこれは科学的な調査をやつて埋め合せるようにする――埋め合せるというのじやない、そういうことのないようにするという言質を、あなた方の方に與えたということを私ども聞いております。そういうことがあつたかどうか。これは確かな筋から聞いておるのでございますけれども、どうでございますか。
  123. 永岡光治

    ○永岡参考人 お答え申し上げます。ただいま御指摘の点は普通局を除いた、いわゆる特定局というところに多い勤務であります。この問題については、御指摘のように、はつきり何年何月何日であつたかは記憶いたしておりませんが、これは前から懸案の問題でありまして、四十八時間制を実施するときの、たとえば七十二時間も勤務している特定局の職員の勤務時間を、どうするんだということが取上げられまして、このままの形ではぐあいが悪い、何とかしてこれは一応再考して是正したいということは、私どもはつきり人事院の方から約束をもらつたように確認しております。
  124. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 これはきのうの新聞にも、非常動その他の承認を得ないようにするとか、人事院勧告をどうとかするというような、公務員の身分保障その他に一つの役割を果して来ました人事院の権限が、非常に削られるというようなことが、新聞にも載つており、ましたので、特に聞いておきたいのでございますが、今のようなことを給與局長の瀧本氏が約束をされたあとに、これが実施されたか、されないかというようなことも伺いたい。されていないわけでございますね。
  125. 永岡光治

    ○永岡参考人 まだ未解決であります。
  126. 田中伊三次

    田中委員長 柄澤君どうですか。
  127. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 あと一つだけ……。実はぎよう午前中に地方財政委員会で論議になつておりまして、市長さんの方からですら一大阪市などにおきましては、決して国家公務員よりも地方公務員が、特に優遇されているようなことはないということです。神戸の場合なども、三級四級引上げた場合すらあつて、超勤とか旅費とか入れると、むしろ低いというような場合もあるという、大蔵省と逆の言質もきようばいただいたわけでございます。それにもかかわらず、大蔵省の資料を元にして、ふしぎなことに地方自治庁が、地方の公務員のあなた方の意見を聞いたり、あるいは市長さん方の意見を聞いたりなすつたか、それは知らないのでございますけれども、教職員三百七十五円、市町村五百七十六円、府県四百六十二円、あなた方の方が高いものとして、それを基準にして、そしてすでに六日の閣議で、それを引いたものをベース・アツプの基準として用いたというような御発言があつたそうでございます。そうしますと、大体あなた方のベースの運命は、今のところでは閣議では決定したというような形になつておるわけでございますが、地方自治庁がふしぎなことに、別な省である大蔵省の調査を元にしてやつておるというようなことになるわけでございますけれども、あなた方の意見を求めたことがあるかどうか、あるいは市長さんの御意見を求めたことがあるかどうか。市長さんがそこにおいでになるのですけれども、どうも委員長が横暴で発言を許してくれませんので、あなた方の方の意見だけひとつ聞いておきたいと思います。
  128. 徳永利雄

    ○徳永参考人 お答えいたします。ただいまの御意見を、私ども自治庁の方から積極的に求められたことはありません。私どもの方ら申し上げたことはあります。市長さんの方あるいは府県知事の方につきましては、確実なることを存じておりませんので、私から答えられませんから、御了承願いたいと思います。
  129. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 そういうことになりました場合に、今ですら非常に困窮されておるということでございますけれども、何とかやれるだろうというのが政府の腹なんでございます。黙つておるのだから何とかやりくりしているんだ。炭鉱なんかでもそうでございますけれども、ぼつく騒ぎ出したから、いよいよ食えなくなつたのだろうというのが、大体使用者側の考えなんでございますが、今の皆様方のやりくりの実態でございますね。としてやりくりしておられるのか、もしこのままで給與が決定された場合には、どうなるのかというようなことにつきましてひとつ……。きようは市長さんでも、委任事務がやれなくなる、拒否しなければならぬというような御決意が漏らされておりますので、その点をひとつ承つておきたいと思います。
  130. 田中伊三次

    田中委員長 徳永君、今の御質問の点は重要ですから、詳しくお話願いたいと思います。
  131. 徳永利雄

    ○徳永参考人 お答えします。委員長がせつかく詳しくということでございますので、詳しく申し上げることにいたします。  先ほど来市長さんからも言われましたし、私も一、二の例を申し上げましたのですが、第一番に給與が低いということ、それから大蔵省の数字によりますと、先ほど御指摘のように、高いというふうに言われておるのでありますが、もう一つ先ほど申し上げなかつた例をまず申し上げたかと存じます。それはちようど神戸の市長さんもお見えになつておりますが、これは神奈川県庁で発表になりましたので、御了承のことかと存じますが、今年の十月一日現在の調査によりますと、神奈川県庁では本俸が六千七百六十一円、扶養手当が八百九十円、地域給が千四百円、合計九千五十一円になつておるのであります。大蔵省が出しましたところの、いわゆる理論給與が八千三百四十九円ということになつておりまして、この数字を正しいものとしますと、差引七百二円高くなるわけでありますが、ここで問題は、けさほど来ずつと述べられました扶養家族の数、地域給の支給の比率、勤続年数、こういつたようなものが問題になるのでありまして、神奈川県では扶養家族数が一七二人になつております。私どもの聞いておりますところでは、国家公務員平均は一六九人であります。また地域給につきましては、神奈川県では  一八・七九%になつております。国家公務員地方公務員全般を見ますと、これは自治庁の資料によりますと、一九四になつております。それからなお勤続年数につきましては、神奈川県は七七年、国家公務員平均の六七二年に比較して、約一年高いわけであります。こういうようなものは、現在の給與ベースではちようど中間どころになります。ところが一回の昇給が約二百円に相当するわけでありますが、こういうものを勘案して計算して見ますと、どうしてもこの点だけで二百六十一円、約二百六十円くらい高くならなければならないのであります。そうしますと、大体九千二百八十四円でなければならない、こういう数字になるわけであります。そうしますと、実際にはいろいろな要件を考え合せてみますと、国家公務員平均の、八千三百四十九円といつた数字と比較して、必ずしも高くないという数字が出ておりますし、先ほども私愛媛県の実例をあげて言いましたが、実際に大蔵省が調査しました実態では、これは自治庁でも大蔵省でも、おそらく実情は知つていたのだと思うのです。ほとんどの県が、係長という制度をとつておらないのです。係長という格付はしておらないのです。それにかかわらず係長というものを、課長の一歩手前まで来ておる課長代理、課の主任と称するものの実態を調査して、これに二三・七%という数字を、全体の占める割合の数字をかけて、平均がこうだというふうな数字を出しているわけでございます。こういうところに一番不合理があるわけでありまして、私どもの数字は、そのほかの要素もありますが、必ずしも高くないというふうに考えておるのであります。  なお御指摘になりましたように、予算通りましたが、これは私どもの給與は差引かれたもので、実際に上げる余地がなくなつておるのです。しかし私どもは、生きるためにあくまでこれをかちとらなければならない、こういうふうに考えております。私どもの関係の知事あるいは市町村長も、ほとんど、首切りの問題とあわせて、ベース・アップはやらなければならない、ぜひやりたいと、こう言つております。もしこういうことであるなれば、先ほど来市長さん方が言われましたように、最も大切な地方の固有の事業すら、やれないということになると思います。従つて、こういうような実情では、ちようどことしの九月に熊本県の県庁の職員組合では、財政危機突破大会を県民大会という形で持ちまして、そこで、おそらくことしの十月かあるいは十一月になつたなれば、四千余りの県職員が全部辞職をせなければならないのではないか、もし良心的に県庁職員として仕事をしようという考えであるなれば、全部やめなければならないのではないか、やめることがあるかもしれないという決議をしたことがあります。もしわれわれが、実際に今の給與のままで行くなれば、そういう事態が発生しないとも限りません。もちろんわれわれは公務員としての立場をあくまで守つて行きたいと存じます。しかし今の段階では、大体におきましてそれもできません、なかなか現在の給與では食えません。私どもの調査したところによりますと、大体二千円くらいの借金か、あるいは今まで持つておりました家財の売払い、こういつたようなことによつて、今まで生活をささえて来ておるのであります。もし政府が今度強行しました予算でやるなれば、今申し上げましたように、おそらくは地方財政が破綻して、事業もできないだろう。もしできないとすれば、まず第一番に委託業務を拒否するのが、これは地方自治体としては当然のことだと思います。そういうことも起つて来るだろうし、最悪の場合には総辞職といつたようなことにもならないとも限らない、こういうことを私ども非常に心配して――事実上地方の市長とも意見が一致いたしておりますし、市長さん方も御承知だと思いますが、市長会でも一これは全部に諮られたかどうか知りませんが、市長会から市長に出した通達というのか何というのか知りませんが、その中には、職員組合と共同で、この平衡交付金の問題、べ一ス・アップの問題、あるいは民主的な事業運営について、共同して闘いたいということを促されたような事実もあるのであります。いかに市長さん方、知事、町村長が、この平衡交付金の問題、地方自治体の行政の問題につきまして、真剣に闘つているかという、一つの証左になると思います。私どもも市長とそれぞれ目的は一つなんであります。その方向べ努力したいと、このように考えておるわけであります。
  132. 田中伊三次

    田中委員長 岡田君。
  133. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 まず第一に、市長さんで残つておられる方はどなたですか。
  134. 田中伊三次

    田中委員長 市長さんでは、神戸の原口市長さん。それだけですね。
  135. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 いや市長というのは、ここで正式に参考人として出席された人です。たとえばその代理とか……。
  136. 田中伊三次

    田中委員長 原口さんだけですね、いらつしやるのは。
  137. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 そんなことないでしよう。横浜の方は帰られたのですか。
  138. 田中伊三次

    田中委員長 横浜ですか。横浜の方は会議があるから帰りました。
  139. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 京都は。
  140. 田中伊三次

    田中委員長 京都は初めから局長です。
  141. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 それでは二人おられるのですね。
  142. 田中伊三次

    田中委員長 ええ、京都は局長がおります。
  143. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 私の伺いたいのは、小さな市の場合を、一応ここで参考人として呼んでおられるから、五大市長だけに伺つても、必ずしも小さい市の場合の実情がわからない点があつてはいけない、そういう点から……。高槻その他の市の方はおられますか。
  144. 田中伊三次

    田中委員長 高槻はいない。
  145. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 宇都宮は。
  146. 田中伊三次

    田中委員長 おりません。
  147. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 津田沼は。
  148. 田中伊三次

    田中委員長 おりません。それから岡田君、大体はきよう東京におとまり願わずに、なるべくお引揚げを願いたい。旅費日当の手当も、それだけしかできておりませんから、大体短かい時間で、十分くらいで……。
  149. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 それはよくわかりましたが、私たちも国会審議を十分にするために伺うわけでありますから、もちろん参考人には糺を盡さなければなりません。必要があれば、委員長の交際費で出されたらいいだろうと思います。
  150. 田中伊三次

    田中委員長 なるべく早くお帰り願うように……。
  151. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 まず第一に、先ほどから大分問題になつておりました大蔵省の調査の問題ですが、この大蔵省の調査が、昨日の人事委員会における大蔵省の答弁によりますと、たとえば市役所の場合においても調査をする場合には、係長あるいは係員の中から、ごく少数の人を無作為に摘出して、それによつて統計をとつたのだ、こういうように昨日答弁をいたしておるわけであります。しかも無作為にこれをだれがとつたかという問題については、その市町村の長にこれはまかしておる。こういうことを実は言つておるわけでありますが、そういうような事実があつたのかどうか、そうしてまたそういう事実があつたとするならば、どういう方法でこれを抽出されておるか、この点をまず第一に、この点はどなたでもけつこうでございます。お答えを願いたいと思います。
  152. 田中伊三次

    田中委員長 原品さん、御迷惑ですが……
  153. 原口忠次郎

    ○原口参考人 大蔵省の調査されるとき、私の市の調査をされるのに、どういうふうにしてされたかということを、不幸にして私存じておりません。
  154. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 どなたかほかの市の方で、御存じの方がございましたら……。
  155. 田中伊三次

    田中委員長 参考人の方で今のことを御存じの方はございますか。――ないようです。質問を続けてください。
  156. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 御存じの方がないようですからやむを得ません。  その次に、これは結論的に伺いますが、原口さんでもけつこうですけれども、先ほど市長並びにその代理の方によつて、大蔵省の調査というものは、実情を明らかにしたものじやない、こういうような意味のことを相当発言をされておられるようであります。しかしこれは国政上きわめて重要な点でありますので、実際に出ております八千百二十円、これは府県の場合ですが、市町村の場合には八千三百二十九円、この数字が一体妥当なものであるか、的確なものであるのかどうか、こういう点で御感想があるならば伺つておきたいと思います。
  157. 原口忠次郎

    ○原口参考人 私は、大蔵省の言われるベースは、私の市に対して妥当であるとは思つておりません。
  158. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 ただいま私の市というお話が、ございましたから、神戸の点ははつきりわかりました。横浜並びに京都からも御証言願えれば、たいへんけつこうだと思います。
  159. 中根武夫

    ○中根参考人 私も神戸市長と同じ意見でございます。
  160. 船引守一

    ○船引参考人 調査はデータのとり方だろうと思います。調査そのものは間違つていないのじやないかと思いますが、データのとり方による点であると思います。
  161. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 大体今の最後のお話によりましても、必ずしも妥当ではないというように、われわれ考えられるわけでありますが、その点はともかくとして、神戸の場合あるいは京都の場合においても、妥当でないということが非常にはつきりいたして参りました。ですから、これは先ほど柄澤さんの委員長に対する要求もありましたように、政府側の意見を聞かないと、政府側としては不利になつて来る。この点について、この公述人の発言機会を、政府側を有利にさせるためにも、委員長は與えるべきであつたと私は考える。そういう点をわれわれは親切心でやつたのですけれども、これは委員長が認めないからしようがないので、私は続いて申し上げます。まず第一にこれは原口さんでけつこうですが、地方公務員給與というものは、御承知のように地方自治法の改正によりまして、今度はその自治体においても人事委員会が設けられた、そういうようなことで、市とその職員組合との間において賃金の問題についてお互いに交渉し合う、ここで自主的に給與ベースというものが決定されることになつておることは言うまでもない。そういうような法律上の精神から申しましても、たとえば地方の公務員に対する給與ぺースについて、中央がどのようなことを勧告なり指示なりいたしましても、これは実際問題として法律的な拘束力を全然持つておりません。従いまして、ここではつきり伺つておきたい点は、地方自治体としては、中央からのいろいろな指示なり勧告というものに対して、何ら法的拘束力がない、これは自主的に給與ベースというものをきめること、ができるのだ、こういうようにわれわれ考えておりますが、この点について御意見を伺いたいと思います。
  162. 田中伊三次

    田中委員長 岡田君、参考人発言に関連して説明しなさいよ。そういうことを広汎にわたつて質問しておつたと、朝までやつても、とてもできませんから……。
  163. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 給與問題ですよ。
  164. 田中伊三次

    田中委員長 だからその点を……。はなはだ恐れ入りますが、原口市長、もう一ぺんどうぞ……。
  165. 原口忠次郎

    ○原口参考人 お答えいたします。ただいまの御発言通りだと思つております。私どもがここべ参りまして、いろいろ陳情申し上げておるのは、私どもの市の職員ベースアップができない、なぜできないか、それは財源がないからできないので、財源を何とかしていただきたいということを申し上げておりまして、幾ら上げる、どうするということについて、それは政府が、お前のところは高いのだ、国家公務員程度までは認めるけれども、それ以上高いのは、お前の方でかつてに上げたのだから高いのだ、それだからそれ以上は平衡交付金も見られないということをよくおつしやいますので、決して国家公務員比較して、われわれのところは高いのではないということを申し上げておるのであります。
  166. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 今の点で、はつきりして参りましたのは、給與の問題は自主的にきめるのだ、しかし財源上の点で、政府から拘束を受けるような場合はある、こういうようなお話だろうと思うのです。先ほどあなたの御意見を伺つておりますと、たしか社会党の松澤君が伺いましたことについてのお答えだつたと思いますが、金が足りなければ借金をしてでもこれはするのだ、こういうように非常に強い決意を明らかにされておつたと思うのであります。この場合、借金をしてでも自主的にきめられた給與は払つて行くのだ、こういう強い決意に対して、その借金というのは、私ちよつと伺いたいのですが、起債ということを意味するのでございますか、どうですか。
  167. 原口忠次郎

    ○原口参考人 先ほどの私の答弁で、借金と申し上げましたが、借金というのにもいろいろございます。起債あるいは一時借入れ、いろいろございますが、やはり借金してやらなければならなくとも、その借金にも限度がございます。貸してくれる人さえあれば、私は神戸市が少しくらい借金いたしましても、破産するとは思いませんので、うんと借りて、この急場を切抜けて、そうして工事もやりたい、市民の要求にもこたえ、自分のところの職員の要求も満足さしてやりたいと思いますが、不幸にして貸してもらえるところは、ございません。結局政府に泣きついて、政府から何とかしていただきたいというのが、今日の現状でございます。
  168. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 そうすると、借金をしてでも払うと言つたのだけれども、実際問題として、神戸ではなかなか金を貸してもらうところもないから、結局は交付金にたよらなければならないのだ。こういうお話なんですが、そうすると、借金をしても払うということは、これはうそであるかということになるのですが、借金をしてもお払いになる、と先ほどはつきりお話になりましたが場……。
  169. 原口忠次郎

    ○原口参考人 神戸市では、すでに今日借金を大体八億円いたしております。これ以上借金をすることは、もうとうてい不可能でございまして、借金をしてでもと申しましたが、貸してもらえるところがあれば、借金してでもやりたいのであります。しかしすでに八億円も借りております。これ以上借金することは、もう自治体がほとんど破壊に瀕する。ですから借金をしてでも、ベースアップはしなければならない状態になつておりますが、そういう状態になつておりますので、何とかしていただきたいということが、私の陳情でございます。
  170. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 いわゆる哀情なり、あるいは陳情の御趣旨はよくわかりました。しかしながら、これは借金をしてでも払うということが、地方自治法の精神であろうと思うのです。自主的に給與の額というものが決定されて、この額について自治体が払わないということはできないのであります。当然これは人事委員会その他を通じましても払つて行かなければならぬ。ですから前段における原品さんの御意見というのは、これは地方自治法の精神従つてお話になつたのだ。ところが実際問題としてこれが払えないという点は、財政上の点なのでありますが、これは特に神戸のような場合においてさえ、なおかつ借金ができないということなら、先ほど証言のございました津田沼の町長さんのお話の例の、ごとく、小さな弱小町村においては実際問題といたしまして、これは払うにも払いようがない。たとえば起債のわくにつきましても非常に小さな限度になつておるだけに、財源というものが出て来ないということが、非常にはつきりしておると思うのであります。そこでわれわれはこれはどうしても現在の物価の状況を考えて見ました場合において、あるいはどういうふうにしてでも、これは払つていただかなければならぬ、そうしてまたこれは、地方自治法に従つても当然のことであります。そうすると皆様方の要望は地方財政平衡交付金に対して増額の要求というものが、もつと強く出て来るか、あるいはまたこの平衡交付金が思うように来ないとすれば、委任事務を拒否するという形にまで、これは先ほどの大阪の高槻市の御意見もありましたように、このような形までとらざるを得ないということになつて来ると思うのであります。特に委任事務の問題については、自治労連の徳永委員長からも発言がありましたが、実際問題としてそうせざるを得ない実情であろうと思うのであります。委任事務を拒否しなければ自治体としてはやつて行けない。しかも払うにも払えないのだが、払わないでは済まされない。これは地方自治法の違反をやつても払わないでは済まされないことであろうと思います。こういうような窮状になつております場合に、特に神戸市長さんの場合においては委任事務の拒否、こういう点についてもお考えになつて、最後まで自主的にきめらるべき給與というものを守つて行かれる御意思があるかどうか、この点を伺つておきたい。
  171. 原口忠次郎

    ○原口参考人 神戸市におきましては先ほど御説明申し上げましたように、ただいまでは公共事業五〇%、単独事業六〇%を打切つて今日行つておる状態であります。一方においては私どもは政府べ陳情すると同時に、市の収入を少しでも多くするように努力いたしております。神戸市は非常に何と申しますか、大きな市の財産を持つております。また土地その他のものを持つておりますので、今日の段階においては市が持つておりますいろいろのものを処分してでも、この急場を切り抜けたいということで、今進んでおりまして、そういうふうにいろいろの手を使いましてできるだけ収入を増し、そうして政府にも陳情し、そうしてできるだけ地方自治の精神にのつとつて政治をやつて行きたい。こういうことで進んでおりまして、御質問のようなことについてはまだ考えておりませんので、即答するものを持たぬのは残念であります。
  172. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 それでは最後に原口さんにもう一言だけお伺いしておきたい。先ほど借金といつても、いろいろあるというお話でしたが、八億円という数字までお話になつておりますが、これは主としてその借金というのは起債ではありませんか、どうですか。
  173. 原口忠次郎

    ○原口参考人 ただいま八億と申し上げましたのは、大蔵省から短期融資を一時借入れで、借りておる金でございます。そのほかに市債を十二、三億持つております。
  174. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 いろいろありがとうございました。しかし資金運用部資金としては、すでに六百億近くの金があるわけであります。これは来年に繰越す額だけでもそれだけだそうでありますが、この起用部資金の金の出どころというものは、一体どういうところにあるかも当然御承知のはずであります。皆さん方が当然ここから出させ得る可能性は相当あるはずであります。こういう点についても十分今後御考慮を願つていただく必要があろうと思います。借金の借りようがないから、給與はたまつたけれども払わないということでは、これは地方自治法の精神に違反するわけであります。この点ははつきりとひとつ原口さんお考えおきを願いとうございます。  次に全逓の方にお伺いいたしたいのですが……。
  175. 田中伊三次

    田中委員長 それでは市長さん、組合関係のお三方のほかはどうぞお引取りください。まことに恐縮でした。
  176. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 先ほど非常勤職員のお話が全逓からあつたのですが、超過勤務の実情、その点についてひとつ具体的な事例でお伺いしたいと思うのですけれども、八王子の郵政局だと思いますが、あなたのところでお出しになつておる新聞によると、超過勤務を実際には五十七時間超勤しておる。ところがその場合にもらつた手当が六時間分しかもらつていない、こういう実例が今出ているのです。こういう実例が単に八王子だけでなく、各地に相当出ておるのじやないかという点をわれわれ心配いたしております。この点についてはその地方的の実情、あるいはまた超過勤務全体についても、もう少し詳細に実は承りたいわけなのであります。もし御承知でありましたならそういう点についてお伺いしたい。
  177. 永岡光治

    ○永岡参考人 超過勤務の実情は、ただいま八王子の郵便局の事例が指摘されましたが、大体そういう傾向は全国的の傾向でございます。それでこれは無理もないことでありまして、どうしてそれだけの仕事が出るのかということでございますが、最近郵便物は非常に上昇の傾向をたどつております。これは政府から出された資料をごらんになるとわかりますが、十数億の郵便物が、ここ数年来上昇の傾向をたどつておりますので、これをはかすにはどうしても人が必要なわけであります。ところが、やはり定員法に縛られております関係上、そう思うようにできない、こういうことからどうしても結果的には超勤をたくさんやらざるを得ないという形になるわけであります。窓口関係、貯金、郵便切手等の窓口でありますが、特に貯金関係は四時にしまいになるわけでありますが、ところがしまいになりましても、あとの整理が非常にたいへんなのであります。窓口の関係者は御承知のように、会計法規によつて出納員というのが任命されております。従つて欠損が出ますと、その本人の負担になる。ですから、どうしても本人はその日のうちにいわゆる日計と申しますが、それを整理しなければならぬ責任があるわけであります。そうしますと、上の人が残ると怒るにいたしましても、どうしても残らざるを得ない。これはよく私どもは他の官庁の例を引きまして、他の官庁も大体そういう傾向でありますが、どうしてもただ働きということをしておつては、やはり今の管理者の方では実際どれだけ定員が必要かということがわからないのじやないか、だから定時が来まして、どうしても残らなければならぬ場合には、所属の長のいわゆる業務命令を出してもらつて、そして居残りをやつたらどうかということを申し上げるのでありますが、これがまたなかなかうまく行かぬのです。やはりいろいろと情実関係もありますし、感情的にもしそういうことをやると、あとでまた行政整理等で首を切られるのではないかというようなことで、どうしてもこれはおじけがつきますし、中には非常に良心的な局長もありまして、居残り簿はつけるのであります。通常これは鉛筆で最初書いておくわけです。これはどこの職場でもそうです。ところが原資は御承知通り予算で縛られております。わずかに平均一人一箇月五時間、そうしますと、その配算が来まして、さてそれをどうするかということになりますと、人事院に出します報告書には万年筆で書き直して、その程度の勤務時間しかないということで報告をせざるを得ない、こういう実情になつておりますので、私どもとしては超勤をやることが本意ではありません。どうしても増員をしてくれ-先ほど青森の例を申し上げましたが、長期欠勤が約一割もある局もあります。全体として大体今度郵政委員が出て歩いたところでも、関東地方の郵便局ですが、要注意者が一割二分強になつております。それだけの超勤、労務過重をしいられておりますので、この点で私ども非常に悩みを持つておるのであります。先ほど申し上げましたように、すでに常勤的非常勤すら解決できない際に、定員を整理するということはちよつとおかしいではないか。佐藤大臣は、これは通常国会には事務量の増加としては出さねばならぬと言つておるのですが、それならばよけいな手数をかけるよりも、この際定員を落すようなことはしない方がいいのじやないかというようなことまで、お願いしておるのでありますが、どうもおつき合いでやらなければならぬというような趣旨のことを言つておりますので、私どもとしては非常に事業立場を考えて困つたことだと思つておりますが、この企業官庁、特に郵政事業の内容を申し上げますと、御承知のようにこれは鉄道の場合ともまた違うわけです。鉄道の場合はいくらお客さんが詰めかけても箱に制限がありますから、どうしても多くを運ぶことはできませんが、郵便の場合は、ポストや郵便局にぽんぽんほうり込まれますと、はかなければならぬのであります。ですから、夜おそくなつても、やはりはかなければならぬ。ことに私どもの労務過重で、超過勤務をやつて予算で押えられて、原資の手当が正確にもらえないというような実態が出て来ております。こういう実情がありますので、現業の、特に定員なり、あるいは超過勤務手当の支給の方法なりというものについては、国会の方でも真剣に取上げていただいて、合理的に支給される方法を、ぜひお願いしたいと考えるわけであります。
  178. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 たいへんによくわかりましたが、そうすると原資の関係で、超過勤務は実際よりももつと少くしか実は出ておらない。それでも、これは人事院の計算であつたと思いますが、年間に九十一億円というような超過勤務の支出があるわけであります。この九十一億円のうちで、これは予定されたものか実際に支給されたものか、はつきり記憶は、ございませんが、この九十一億円ほどもあるような額の、実際上の超過勤務しておる時間と申しますか、実際上の超過勤務の状況、こういう点が一体どういうようになつているか、もしわかりましたならば、簡単でもけつこうですからお教えを願いたいと思います。  それからもう一つは、超過勤務の手当が実際にどの程度支給になつておるか、この全体の数字がわかりましたら、お伺いいたしたいと思います。
  179. 永岡光治

    ○永岡参考人 金額がどの程度になつておるかということでありますが、九十一億はおそらく国家公務員全体の予算ではないかと考えております。私ども全国から資料を調査しておりますが、私どもの郵政省の職場では三分の一を越えておりません。実際の支給額は、これは間違いないところであります。その点だけはつきりしておりますので、郵政省で、はたしてこれがどれだけの金額になるかということは、今すぐ具体的な数字はお答えできないと思いますが、もし御必要であれば後ほど届けても、けつこうであります。
  180. 田中伊三次

    田中委員長 永岡君にちよつとお尋ねしますが、実際の超勤に対して、何割何分ぐらいの手当が與えられてあるかということの統計が何かおありですか。
  181. 永岡光治

    ○永岡参考人 今調べております。大体三割以下に下ることは絶対にないと思います。
  182. 佐藤忠夫

    佐藤(忠)参考人 その三割というのは各省みな同じだと思います。
  183. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 そうすると三分の一が実際に支給されておる。そうすれば逆に言えば、九十一億円が三分の一に当る、従つて二百七十億円の超過勤務が実際上行われておる、こういうことになりますね。
  184. 永岡光治

    ○永岡参考人 そうです。
  185. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 次に佐藤さんにお伺いしたいと思うのですが、先ほどの官労の要求給與額の中には、これはおそらくそうだろうと思うのですが、八月以降の主食の値上りあるいはその他の値上り、この点は要求された時期が大分前であつただけに、当然入つていないだろうと思うのです。こういう点の、主食の値上りその他を換算した場合の数字が出ておりますかどうか。それからまたこの主食の値上りその他が、実際見込まれておりますかどうか、こういう点を伺いたいと思います。
  186. 佐藤忠夫

    佐藤(忠)参考人 私どもの資料の二十八ページにございます、算出の基準の時点は、昭和二十六年五月となつておりまして、しかもその算定の方法につきましては、先ほど申し上げましたように人事院方式を採用しておる。時点は五月でございます。従いましてこの註に書いてございますが、「八月よりの主食及び電気料金の値上りは含まれていない。」ということに当然相なるわけでございます。先の方を見通したかということにつきましては、私ども実はざつくばらんに申し上げますが、やはりこれだけの給與をしていただきたい。こういうふうに要求いたします場合に、従来組合が要求したのは、何かこう不当な金額を要求しておるというような一般的印象を與えておつた、でありますから、まあこれは一歩後退ではありますけれども、かりに一歩後退して、人事院方式でやつてすら、こういうことになる。しかも五月で押えてすら、こういうことになるという方が、訴え方としては非常に強いのじやないか、こういう効果をねらいまして、しかも人事院勧告は将来は見通しておりません。先ほど大友教授の方からの話もありましたが、ああいう何割も将来明らかに暴騰することがありますけれども、なおかつあの五月の資料によつて、将来を見通していない。そういう意味で、私どもとしてはまあ実につつましい要求であるというふうに考えておる次第であります。
  187. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 まあ非常につつましいという実情はよくわかりました。そこで今度政府がこの給與ベース改訂をするということになりますと、実際十月からということになるわけですが、五月のつつましい給與から見て、十月は当然上つて来なければならぬ。そうするとあなたの方でおつくりになつ給與ペースの要求というものは、もし十月に合せるとするならば、大体どれくらい、何割くらいがふえなければいけないか、こういう点がもしおわかりになりますれば、お答え願いたいと思うのですが……。
  188. 佐藤忠夫

    佐藤(忠)参考人 私どもの給與算定の基準といたしましては、物価とそれから民間の生活実態、特に民間勤労者とのかね合いから出て来るわけであります。その詳しい資料はお手元に差し上げてありますけれども、御質問のしようなふうに計算いたしますと、的確なる数字はこれは計算しませんと出ませんのですけれども、かりに十八で押えるとするならば、大体私ども最低生活給という考え方でございまするが、これで参りますと、大体一万円です。税込み八千七百円というふうに言つておりますから、満十八歳で一万円くらいいただかなければ、実際生活していけないというふうに私は考えております。
  189. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 大分遅くなつて参りましたので簡単にやりますが、先ほどから大分佐藤さんの御意見等を伺つておりますと、主食のカロリ治計算の点においても、あるいはまた今年度給與ベースをつくる場合の調査の対象の問題につきましても、あるいはマーケツト・バスケットの点につきましても、相当現実とは違いのある調査が、人事院において行われておる。人事院は科学的であるということを看板に揚げておるが、実際はこれはきわめて実情と違う調査が進められて、その上で給與ベース算定されていると、われわれも先ほどのお話で聞いておりますと、感ずるわけであります。これについては瀬本さんも一言なかるべからざるところで、ございましようが、これは瀧本さんからもあとで委員長からぜひ発言を求められていただきたいと思いますが、このような調査のとり方というものは、佐藤さん、結論的に伺いたいのは、人事院はきわめて科学的ではなくて、政治的な意図のもとにおいて給與の基礎の算定を行つているという跡が、非常に見えるような感じがいたします。これについて佐藤さんもし御意見があれば伺いたいと思います。
  190. 佐藤忠夫

    佐藤(忠)参考人 お答えいたします。先ほど大友教授からも述べられましたが、いかにして低いベースをつくるか、勧告するかという考えのように思えるということが、最も端的な表現であろうと思います。実はこの間人事院総裁とお会いしました際に、勧告のデータ、内容、資料でございますけれども、八級、八グレードの職員で満十七歳の人が二人いる。そういう資料があつた。そういうことは、ラジオではありませんが、架空の人物で、(笑声)そういう杜撰きわまる内容があつた。それを指摘したところ、すでにそのときは勧告が出た直後なんです。従つて理論的に考えますと、人事院勧告の総額がかわるべきものなんですよ。ところがはつきりと政府並びに国会に出されておる資料には、これは私の間違いか知りませんが、その八級という、地方庁でいえばもう課長クラスの満十七歳の人を抹殺してあつた。つまり逆にいえば、国会議員の皆さんのお手元に間違つた資料を、意識的に出しておられるのではないかというふうに考える。そういうふうなことからも、やはりこれは意識的に低いベースをあれするのじやないか、結果としては少くともそういうことになつておる。しかしこれは単なる一例でございまして、私がどうしても一つだけ申し上げたいのは、やはりこの根本であります。千九百三十七カロリー、これです。こういうことは適当なる御説明を人事院からいただきませんと、これは私どもとしてはふしぎ千万である。なおかつ厚生省の栄養調査で、同じ政府のやつておるところではすでに二千五百三十カロリーとつておる。こういう実績があるにかかわらず、どうしてこれを持ち出されたのか、そういうことも、やはり冒頭に申し上げました、また質問の御趣旨になるかと存じますが、相当意識的な――相当どころではない、意識的なものが百パーセントあるのではないかというふうに考えるわけです。
  191. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 非常によくわかりました。今お話の通りに、これはきわめて政治的な算定方式であろうと私は考える。その証拠に、今度の給與ベース算定方式を見ておつても、独身男子一人の食費が一日八十二円お済む、こういう点を見てもこれは明らかであります。まさか人事院の人は一日八十二円で生きておるはずはないと思う。こういう点が推し進められて行くならば、二百四十円のニコ四も高いから、今度は八十二円に下げるということにもなつて来るかもしれぬ。こういうことにもなるので、少くとも科学的であると人事院が言われておるならば、数字的にわれわれに見せられるこの筆が、一人の食費が八十二円で済むなどというような数字の上での操作というものは、行つてもらいたくないと思うのです。しかしこれは佐藤さんに伺うというよりも、人事院の方に聞くべき点でありますから、この点はよしますが、最後にもう二つ忘れておつたのがあるのですが、先ほどの永岡さんの御意見を伺つておると……。
  192. 田中伊三次

    田中委員長 岡田君、君の意見をおつ上やらずに、質問をしてください。
  193. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 質問をしております。おれの意見を言わなければ質問にならぬ。
  194. 田中伊三次

    田中委員長 君の意見を言わなくても質問はできます。人の意見を聞けばよろしい。
  195. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 先ほどの永岡さんの御意見を伺いますと、超過が非常にふえておる。これは実際上人手が足りないのだということになるわけなんですが、そこで今度の給與法を見てみると、予算の範囲内でという点が見えておつてしかも具体的なこの数字を見ると、各級別に定数がつけられておる。しかも実際問題としては昇給期間にまた期限がついている。こういう形でいろいろな点の拘束が出て来ておると思う。こうするとさなきだに定員が足りない上に、ますます実際の実人員が足りないような拘束が起る結果になる、こういう点で非常に不自由な点が出ておると思うのですが、こういう点を伺いたい。
  196. 永岡光治

    ○永岡参考人 お答え申し上げます。御指摘の通りでありまして、現在私どもの国家公務員には級別定数で、それぞれの級の定数がきめられておる。さらに昇給期間によつて制限をされておる。私ども考えるのに二重の制約を受ける必要はないではないか。だから昇給期間をきめるならば、級別の定数は抜きにしてそのままやつてもらいたい。でないと、先ほど郵政省の実例を申し上げましたが、二十五万の中で頭打ちが四万二千人も出るというようなばかげたことになつて、その人はなかなか浮ばれない、こういうことになるので、ぜひこの制限はひとつ撤廃してもらいたいと思います。
  197. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 最後に大友さんにお伺いしたいのですが、今日、組合あるいは市関係、あるいはまた学識経験者としての大友さんから御意見がありました中で、官公吏給與ベースの基準として対比されましたことは、絶えず民間の給與が対比になつているのです。ところがこの民間の給與といえども、われわれの考えによれば、決して民間の労働者が楽な賃金をもらつているものではないということは明らかであると思うのです。毎月勤労統計の数字等も、相当操作の上で政治的な意図を持つて最近つくられつつあることを、私たち知つております。実情として民間の産業労働者賃金ベース「これと、毎月勤労統計の数字との関係、これがまず第一。第二の点は、実際にこの毎月勤労統計でさえ、この給與が一応正しいとしても、この給與統計によつて出て来る数字で民間労働者は食えるのか、食えないのか、この点をお話いただければけつこうだと思います。それでなおかつ食えないとするならば食えない賃金よりまだ低い官公吏給與では、ますます食えないということが明らかになつて来るわけであります。
  198. 大友福夫

    ○大友参考人 御質問に十分お答えできる資料を持つておりませんが、毎月勤労統計が、実際の民間給與を正しく反映しているかどうかという点については、これは統計上の問題で、やはりいろいろ問題があることは、御承知通りであります。むしろ毎勤は、先ほど言いましたように、規模によつて非常に給與の開きが出ておりますが、そういう点からいいますと、毎勤に出ている給與の金額というものは、実際は全体の傾向からいいますと、多少大き目にあれが反映しているというようなことが言われるのであります。しかしそれにもかかわらず、実際その毎勤に現われている金額で、民間の労働者その他一般労務員が生活が可能かどうかという点は、これはお手元にあります官労の資料の前半の部分に、その具体的な数字が載つていると思いますので、これが事実生活できない状態になつているということは、最近の非常に広汎な賃金攻勢が、それを反面から物語つているのではないか、こういうふうに考えます。資庁がございませんので、その推度しか申し上げることができません。
  199. 田中伊三次

    田中委員長 参考人の皆様、たいへん遅くなりまして……。まことにありがとう存じました。  政府側よりは、内閣官房から劔木副長官、地方財政委員会の木村委員、武岡財務部長、地方自治庁から鈴木次長、佐久間務員課長人事院からは瀧本給與局長、大蔵省から岸本給與課長、それから内閣官房審議室長代理で増子事務官が出席をしておられます。なお柄澤君の御要求の、労働関係で亀井労働基準局長、それから給與課長の宮島君が御出席になつております。  これから政府に対する質問を続行いたします。
  200. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 ちよつと伺いたいのですが、今の政府委員に対するわれわれの質疑応答というのは、先ほどの参考人の公述に関連したもので当然答弁をいただきたいという点で、柄澤君からも質問があつたと思うのです。この点についての質疑をやるというのですか。
  201. 田中伊三次

    田中委員長 何もかも政府側に対する質問は全部やる。
  202. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 何もかもでは、ちよつときようは困る。もう六時過ぎですし、何もかもといつても、そういつまでもやれないだろうと思いますし、自由党の諸君がもつと御出席になつて、せめて定数をそろえてからやつていただくようにお願いいたします。
  203. 田中伊三次

    田中委員長 ちよつと委員長意見を申し上げます。会期が大分切迫しておるし、そしてわずかなベースアップであるが、このペースアップが時間的に非常に重要な段階に来ておりますから、今晩は時間が遅くなるまで質疑を続行したいと思います。しかし放棄せられれば別です。  柄澤君。
  204. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 議事進行についてちよつと申し上げます。
  205. 田中伊三次

    田中委員長 質問してください。――放棄されますか。
  206. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 社会党も民主党も出席いたしておりませんし、政府に対する質疑は……。
  207. 田中伊三次

    田中委員長 出席いたしておらないものは、しかたがないでしよう。一々首になわをつけて連れて来られぬじやないか。
  208. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 岡田委員から。
  209. 田中伊三次

    田中委員長 柄澤君、質問をしてください。
  210. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 動議を出します。
  211. 田中伊三次

    田中委員長 質問、質問。柄澤君、質問。――質問しませんか。――岡田君、質問。――質問しませんか。質問者がありませんから、本日はこれにて散会いたします。明日は午前十時より開会いたします。     午後六時八分散会