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1951-11-12 第12回国会 衆議院 人事委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月十二日(月曜日)     午前十一時六分開議  出席委員    委員長 田中伊三次君    理事 藤枝 泉介君 理事 淵上房太郎君    理事 平川 篤雄君       加藤隆太郎君    塩田賀四郎君       田中  豊君    西村 久之君       本間 俊一君    今井  耕君       勝間田清一君    柄澤登志子君       岡田春夫君  出席政府委員         内閣官房副長官 菅野 義丸君         総理府事務官         (大臣官房審議         室長事務代理) 増子 正宏君         人事院総裁   淺井  清君         人事院事務官         (事務総局給與         局長)     瀧本 忠男君         大蔵事務官         (主計局給與課         長)      岸本  晋君         労働政務次官  山村新治郎君  委員外出席者         専  門  員 安倍 三郎君     ————————————— 十一月十二日  委員成田知巳君辞任につき、その補欠として勝  間田清一君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 十一月十日  高槻市の地域給引上げ請願淺香忠雄君外一  名紹介)(第九二六号)  横須賀町の地域給引上げ請願外一件(多武良  哲三君紹介)(第九二七号)  神岡町の地域給指定に関する請願平野三郎君  紹介)(第九二八号)  瀬野村の地域給指定に関する請願宮原幸三郎  君紹介)(第九二九号)  佐川町の地域給指定に関する請願成田知巳君  紹介)(第九三〇号)  森町の地域給指定に関する請願金光義邦君外  三名紹介)(第九三一号)  公務員給與改訂に関する請願久保田鶴松君  紹介)(第九八三号)  安浦町の地域給引上げ請願宮原幸三郎君紹  介)(第九八四号)  沼津市の地域給引上げ請願遠藤三郎君紹  介)(第九八五号)  安下庄町の地域給指定に関する請願佐藤榮作  君紹介)(第九八六号)  横手市の地域給指定に関する請願笹山茂太郎  君紹介)(第九八七号)  御厨町の地域給指定に関する請願中村純一君  紹介)(第九八八号) の審査を本委員会に付託された。 本日の会議に付した事件  昭和二十六年度における国家公務員に対する年  末手当の額の特例に関する法律案内閣提出第  一九号)  一般職職員給與に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第二六号)     —————————————
  2. 田中伊三次

    田中委員長 これより人事委員会を開会いたします。  ただいまより昭和二十六年度における国家公務員に対する年末手当の額の特例に関する法律案内閣提出第一九号、及び一般職職員給與に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第二六号、両案を一括して議題といたしまして、質疑に入ります。質疑は通告の順序によつてこれを許します。まず藤枝泉介君。
  3. 藤枝泉介

    藤枝委員 第一に人事院に、今回の給與勧告につきましてお伺いいたしたいと思います。  このたびの勧告におきまして、いろいろ御苦心をなさつた点はわかるのでありますが、その中でも重点になつておりますのは、十八歳の成年男子のいわば理論生計費とでも申しますものをお出しになりまして、それから俸給表をつくつておられるように考えるのであります。そこで、十八歳の成年男子給與の問題でありますが、御説明によりますると、一種理論生計費的な考え方をお持ちのようでございますが、その中心になつておりますのは経済安定本部の、本年度における食糧バランスシートによつて考えになつておる点でありますが、その点で、人事院のお考えといたしましては、どこまでも国民生活水準公務員にも給與すべきだという考え方から、この食糧バランスシートとでも申しますか、そういうものを中心に、今後もお考えなつ行くのか、あるいはまた理論攝取カロリー的なものを中心にお考えになつて行くのか、その点をまずお伺いいたしたいと思います。
  4. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ただいまの人事院標準生計費算出方法でございますが、標準生計費は満十八歳に達しまする者を対象といたしましてやつておるわけでございます。今御指摘のように、経済安定本部で策定いたしておられます食糧バランスシートというものに基きまして、食糧費に関する部分計算いたします。従いましてそこから先の計算は理論的にやるわけでございますが、単身青年者に必要であるとされている一日の攝取カロリー、たとえば二千四百カロリーでありますとか二千五百カロリー、こういう数字を元、といたしまして、もしやるならば、これは完全な理論生計費ということになるであろうと思うのであります。われわれがやつておりますのは、そうではないのでありまして、食糧バランスシートの方から出て参ります国民一人当りに許されるところのカロリー、これを単身青年の場合に直してみますと、現在では二千三百三十六カロリー、こういうことになるのであります。その範囲でそこから先を理論的に組み立てておる、こういうことになろうかと思います。もう一つ食糧以外の住居費でありますとか、そのほか各種の費用になりますと、これはCPSの方から出して参つておるわけであります。従いまして全体がいわゆる理論生計費というふうにも言えないだろうというふうに思います。要するに現在のわが国において許されておりまする事情に基きまして、組み立てておる一つ標準的な生計費である、こういうふうにお考え願いたいと思います。
  5. 藤枝泉介

    藤枝委員 ただいまの御説明でわかつたのでありますが、そういたしますと、今後食糧バランスシートの上において、たとえば水産の増産であるとか、畜産の増産というようなものがありまして、国民一人当りの攝取し得べき食糧相当に増加された場合には、当然それは標準生計費に入つて来るものということは、逆に言えば常に国家公務員については、国民生活水準を維持すべきものというところに重点を置かれておると考えてよろしゆうございますか。
  6. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 公務員に許されまする生活水準というものは、国民一般平均よりも上であるということも、これは多くの納税者は納得しないでありましようし、また下であるということも納得しない、納得しないといいますか、そういうことはまことに不合理な話であると思う。従いまして、将来にわたりましても、公務員給與を算定いたします際に考えまする生活内容というものは、国民一般水準ということにかわりはないであろうというふうに考えております。
  7. 藤枝泉介

    藤枝委員 そのようにして出された今度の勧告でありますが、食糧、特に米の問題につきましては、八月からの米の値上げ計算に入れておられる。しかしその他の問題は、これを考慮の外に置かれておるように思うのであります。また一面、現在この国会にかかつておりまする所得税のいわゆる基礎控除引上げその他の問題は、この勧告を出されるまでにはそういう問題が起つておりませんから、当然現行の税率で考えておられると思うのでありますが、現在におきましては、一方において電気その他の問題、あるいは運賃等値上りがある。一方ただいま国会にかかつておりまする所得税の、ことに給與所得者低額所得者についての減税の問題があるのでありますが、これらをあわせ考えまして、結論的に四千二百円と出された数字がどのように動くか、そういう試算をなさつたことがあるでしようか。
  8. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 人事院か八月に勧告いたしました際には、当時確定しておりまする條件のみを考慮に入れまして算定いたしたわけであります。従いまして、そのときにおいて減税あるいは免税点引上げが、どういうふうになるかというようなことは、原案として伝えられるものは聞いてはおりますが、これは確定いたしておりません。そのほかたとえば電気ガス水道というようなものにいたしましても、あるいは郵便料金鉄道運賃にいたしましても、確定いたしておりませんので、これは一応算定に入れなかつたということは御指摘通りでございます。それでは一体そういうものが全部現われて来た場合にどういうふうになるであろうかということにつきまして、われわれといたしましても一応の目安はつけているわけであります。すなわち今回の米価改訂以降、各種運賃料金等値上げというようなものによりまして、ほぼどれくらい今後生計費に影響するであろうかというような見当はつけているのでありますが、大体四%ないし五%程度の影響があるであろうというような見当をつけておりますが、もつともこれはただいま申し上げたようなものだけでありまして、今後いろいろなそういうものが値上りましたために、第二次的にめぐつて来るところの値上りというようなものがあるであろうというようなことを、指摘される向きもあるのであります。われわれはそこまではやつておりません。減税によりまして、ほぼどれくらいな家計費軽減があるかということを試算いたしてみまするならば、これは収入、階級あるいは扶養家族数によりまして、おのおの違うのでありますから、的確なことはなかなか申し上げられませんが、おおむねやはり四%ないし五%程度家計費軽減があるであろうというふうに見ております。従いまして両者を勘案いたしまするならば、われわれが勧告いたしましたもので、当分の間はこれはほぼバランスがとれるというふうに考えておる次第であります。
  9. 藤枝泉介

    藤枝委員 全般論として今のお話はわかりますが、この十八歳の四千二百円というところで、どう響くかはまだ御計算になつておりませんか。
  10. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 四千二百円のところで的確な計算はいたしておりませんが、これはさつそくいたしまして、ごらんに入れたいと思います。
  11. 藤枝泉介

    藤枝委員 それではその点は後に伺うここといたしまして、次にこの四千二百円、いわゆる十八歳青年男子標準生計費というものを、この勧告給與表によりますと、二級三号に格づけされておるのであります。御説明によりますと、二級の平均年齢が十八・六歳、そうして二級のまん中が四号であるから三号に格づけしたと、こういうふうに伺つているのでありますが、それは単にそれだけの理由なんでありますか、それとも二級三号に十八歳の者が一番多いという意味でありますか、その点を……
  12. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 先ほど御指摘になりましたように、公務員の現在二級であります者の平均をとつてみますと、十八・六歳になるわけであります。それから二級のところで俸給表の幅の中心というものが四号になるわけであります。従いまして十八・五というあたりは二級四号よりは少し低いだろう。すなわち十八歳の者の平均というところは二級四号よりは低い二級三号と押えるのが適当であろう。そういう事情に基きまして、二級三号と押えた次第であります。
  13. 藤枝泉介

    藤枝委員 そうしますと、現在の国家公務員の二級者を全部一号から六号までやりますと、そのうちの二級三号に十八歳の者が一番多いという意味じやないのですね。ただ今のように理論的に考えて、平均が十八・六であるから、そのまん中の四号よりももつと低い三号であるべきと理論的に出された、こう考えてよろしうございますか。
  14. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 その通りであります。
  15. 藤枝泉介

    藤枝委員 そこで今度は人事院から勧告を受ける内閣側にお伺いいたしたいのでありますが、人事院勧告を財政の許す範囲において努めて人事院勧告を尊重する建前のものとに、今回の俸給改訂を行うと説明されておるのでありますが、ただいま私がお尋ねをいたしました十八歳の一種理論生計費とまでは行かないにいたしましても、相当理論的に組み立てられました十八歳の四千二百円という数字につきまして、内閣側としてはどのようなお考えを持つておられるか。この点をお伺いいたします。
  16. 菅野義丸

    菅野政府委員 お答え申し上げます。先ほど人事院の方から標準生計費の御説明があつたのですが、内閣の方といたしまして、そのいろいろの要素を分析いたしまして、食糧費被服費あるいは光熱費住居費また雑費と、こういうようなものは人事院とまつたく同じ数字とつたのであります。その合計は四千四百九十円になるのでありますが、先ほどの御説明にもありましたように、主食、米価値上りにつきましては、八月から実施されておりますので、これは考慮に入つておりますが、そのほかの電気あるいは水道ガス、塩、旅客運賃あるいは通信費というようなものの値上りは入つておりませんので、それを物価庁の資料によりましてしさいに検討しまして、どれだけ生計費に影響するかということを調べました結果、それぞれパーセントがありますが、結果におきましては米価以外の値上り増加分、すなわち人事院標準生計費に入つておらない分が、百三円という数字になるのでございます。しこうして、その次に当然考慮に入れなければならぬと思いますことは、当国会に提案しておりまするところの所得税減税案でございます。これはことに低額勤労者につきまして、相当減税をいたしておりますので、これを考慮に入れますと、人事院所得税計算は、現行所得税法によるものでありまして、基礎控除は三万円になつておりますが、政府の今回提案いたしましたのは基礎控除が五万円になつておりますので、それを考慮に入れますると、この二級三号あたり公務員所得税は、ゼロになります。これに対しまして、人事院では二百十四円を見込んでおりますが、今回の減税案が成立いたしますと、これはゼロになります。地方税につきましては、人事院と同様に標準課税率の一八%というのをとつておりますのでこれは動きません。ただ金額におきましては多少動きますが、率は同じでございます。そういうふうにいたしますると、結局人事院が四千百九十八円という数字を出したのに対しまして、今申し上げましたようないろいろな要素を、加えるものは加え、引くものは引きまして計算いたしますると、三千九百九十九円という数字になりまして、結局ラウンド・ナンバーで四千円という数字になるわけであります。すなわち十八歳の男子標準生計費といわれるものは、人事院勧告の四千二百円に対しまして、その後のいろいろな要素を加えまして、人事院計算方法によりますると、四千円になるという結果になりまして、これを今回の一般職給與改正に対する法案附表俸給表標準にいたした次第であります。
  17. 藤枝泉介

    藤枝委員 それではこの基準の問題につきましては、それだけにいたします。  次に、今回人事院勧告におきましても、企業官庁についての特別俸給表をお認めになりまして、これはかねての懸案でありますし、これらの企業官庁における職員給與実態から申しまして、当然な、妥当な御処置であると考えておるのであります。ただそこで今回の特別俸給表適用を受ける企業官庁を、これだけに限られました理由がお聞きいたしたいのであります。と申しますのは、一例をあげますと、特許庁に、ああいう特殊な官庁ですから、特別な印刷をやつている者がある。これは印刷庁の工場に勤務する工員と同一の性質の仕事をしているのであります。しかもその数も、的確な数字を覚えておりませんが、相当数に上つておると思つておりますが、こういつた同じような性質を持つている職員従つてまたたとえば頭打ちの問題その他についても、今回適用を受ける企業官庁職員と同じような状態にあるものがあるのでありますが、これらの者をはずされまして、ここの一号から六号にあげられたものだけに限られました理由をお伺いいたしたい。
  18. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 人事院職階制に基きまする新しい給與体系というものを現在研究準備中であります。その職階制に基く給與準則におきましては、おのおのその職務内容に応じましたような分類をいたし、そしてそれに適当したような給與の表をつくるということができるわけであります。しかし今回特に企業官庁に対しまして特別俸給表を設定いたそうという理由は、そういつた職務内容に対して特に考えたわけではございません。今回考えましたのはそういつた国家企業の経営に当つておりまする官庁——指摘のように、郵政印刷、造幣、通産のアルコール、林野の五官庁でございまするが、そういうような企業官庁におきましては、一般の行政的な官庁と趣きを非常に異にしておる点がある。すなわちそういう官庁業務の本態といたしまして、これは一般行政官庁とは違うわけでありまするし、またそういう企業官庁は能率を上げるという点について、ほかの官庁よりも特別の任務を持つておるということが言えるであろうと思うのであります。従いましてそういう企業官庁につきましてのみ、今回は特別俸給表を設定するということにいたしたいと思うのであります。さらに業務内容等が類似しているというような点をとらえるということになりますれば、これはむしろ抜本的に、職階制に基きまする給與準則で、職務内容を同じくしておりまするようなものを同じくするという趣旨の場合に、考えたいというふうに存じておる次第であります。今回はあくまでこの企業実態というものに即応いたすという意味におきまして、この範囲を限定いたした次第であります。
  19. 藤枝泉介

    藤枝委員 今の説明はわかるのでありますが、これらの企業官庁がたとえば国鉄専売公社のように、公共企業体というようなものになる性質と申しますか、なつた場合には非常に違う。また一面からいえば、国鉄専売公社等との関連の上で、特に郵政、電通というようなものが、常に問題になつておりますることは十分承知いたしておるのであります。従つて、そういう特別会計あるいは独立採算制をとつておる企業官庁というものを、第一段階としておやりになつたという御趣旨はわかるのでありますが、とにかくこれらの人たちも、一般公務員として同じ処遇を受けておる。しかも他にやはり職務内容といたしましては、これらの人たちと同じような職務内容であり、また給與実態からいつて頭打ちその他の点では、これらの企業官庁職員と同じように、いろいろの不便を感じておる職員の分野がありといたしますならば、これはやはりこの際救済すべきではなかつたかと私は考えるのでありますが、この点ひとつ総裁からお答えを願いたいと思います。
  20. 淺井清

    ○淺井政府委員 御趣旨非常に御同感でございまするが、われわれといたしましては、今回のいわゆる特別俸給表はまず一歩を踏み出したということを考えております。これでよく運用を見まして、給與準則提出も間もないことであろうと思つておりまするが、その場合におきましては、御趣旨をよく考えまして、善処いたしたいと存じております。
  21. 藤枝泉介

    藤枝委員 これに関連いたしまして、実は教育公務員学校先生たちについても、特別な俸給表をつくつてもらいたいということは、非常に熾烈な要求があります。また教育尊重の上から行きまして、多少一般公務員とは違つた取扱いをするということも、妥当な処置ではないかと思つておるのでありまするが、今回は単に今総裁がおつしやるように、一歩を踏み出したという意味においては了承いたしますけれども、教育公務員についての特別な俸給表の作成、その他についてどのような御意見を持つておるのでありますか、人事院としてのお考えを伺いたい。
  22. 淺井清

    ○淺井政府委員 実はお尋ねをこうむつて、はなはだ恐縮にたえないのでございまするが、かつて六三べースを実現いたしましたときの給與法改正につきまして、たしか衆議院の方の修正の御発案で、教員特別俸給表について適当な勧告をせよ、こういうふうに相なつておりますのを、実は今日まで実現しませんことは、はなはだ恐縮に思つておりまするが、この教員特別俸給表に関しましては、十分研究を続けておるわけでございまするが、そこの辺はいろいろ困難があるように思つております。  第一点といたしましては、教員につきましては、一般行政官庁のような職階制というものの適用がございません。そこできわめて簡素な、教授、助教授というような程度の区切りになるだろうと思つております。  それから第二点といたしましては、人事院教員俸給表をつくりましたために、地方公務員である教員が全部右へならえをするということに相なります。ところが人事院の所管いたしておりますいわゆる国家公務員としての教員は、そのほとんど大部分というものは国立大学教員でございます。中小学校以下は非常に少い。ところがこれによつて右へならえをいたしまするところの地方公務員たる教員には、非常に中小学校先生が多い。人事院がきわめてささやかなる部分について規定いたしましたことが、数十万の地方公務員に影響するという点が、非常に問題となつておるようでございます。さらにまた国家公務員たる中小学校先生と、地方公務員である中小学校先生との間には、給與ベースが少し違つておるようにも思つております。私の記憶が間違つてなければ、地方公務員の方が高いようになつております。そういう点からいろいろ困難があるのでございまするが、これは今回の法案の中には含まれておりませんけれども、給與準則のときには、これはどうしても割切つてしまわなければならぬ。つまり提出しなければならぬ、かように考えております。
  23. 藤枝泉介

    藤枝委員 給與準則の問題がちよいちよい出るのでございますけれども、この点は私から希望を申し上げまして、至急に、できるだけ早い機会に給與準則をおつくりになりまして、そうしてこの一般職俸給法律によりましては解決できないいろいろな問題について、至急解決をお願いいたしたいと思います。  次にこれは地域給に関連した問題であります。地域給地域区分の問題につきましては、おそらくまたこの前の、前々国会でございますかにも相当議論がありました。またこの委員会においても、いろいろ御意見が他の委員の方々から出るだろうと思いますので、区分については私は何にも申し上げません。ただ地域給考え方について御意見を伺いたいのであります。この前五月十七日に人事院地域区分について勧告をなされて、その勧告内容を貫くところのいろいろな原則をお示しになつておつたのでありますが、その中にいろいろ理論的に割出して参るけれども、一方現在受けておる給與を引下げるということは、大きな給與政策からいつて好ましくないという意味で、当時一方においてはベース・アップというようなことも考えておらなかつたために、たとい数字の上で出て参つたその答えが低くなつてつても、現在受けておる地域給の率を引下げないという一つの大きな原則を立てられたと思うのであります。これは委員会における人事院側の御答弁にも、そうあつたと私は記憶しておるのでありますが、今回給與改訂勧告をなさるに際して、その五月十七日の現状をそのまま持ち込まれたというのは、何か論理的に多少そぐわない——やはり本俸を上げるならば、その際に下げるべき地域においては下げる、そうして合理的に出すのが、ほんとうでなかつたかと思うのでありますが、それを今回の勧告によつて見ましても、五月十七日に出されました勧告をそのままお使いになつておる。特にその下げるべきものを下げずに現状を維持されたということは、どういう理由をお持ちでありますか、その辺を伺いたいと思います。
  24. 淺井清

    ○淺井政府委員 まことにごもつとものお尋ねでございますが、人事院といたしましては、地域給というものは将来実は廃止いたしたいと思つております。これがためにいろいろなことに支障を来しますし、これは将来廃止したいと思つておるのでありますが、ただ現状におきましては、これはまだ廃止する段階になつてない、こういうふうに考えております。そこでさいぜんのお尋ねの点でございますが、去年の暮れに五分下げた、それは下げないという原則はまだどうも捨てかねると思いまして、その点一応こういうふうにやつた次第でございまして、その点に関しましては、これは政策の問題でございますから、理論的に、それはおかしいじやないかと仰せられれば、まことに恐縮なことでございますが、まだただいまのベース引上げ程度において、これをすつかり御破算にしていいものかどうか。ことにまだあの勧告は一回も実現されておらないのでございまして、つまり五段階地域給というものは、勧告程度にとどまつておりまして、今回初めて実現するという段階になつておりますから、これは一応実施を願つて、さらに将来において根本的な改革をいたしたいと考えております。
  25. 藤枝泉介

    藤枝委員 理論的な、合理的な、科学的なことをモットーとされる淺井総裁として、少し苦しい御答弁のようでございますが、お気持はまさにわかるのであります。五段階にいたしますことそのもの、あるいは現在すでに五段階が多過ぎるであろうとか、そういつた議論はあろうと思います。この議論はよしまして、一応現段階において五段階にすることそのものについて、私は議論をしているのではないのでありまして、そのうちの区分の中で、五月十七日の勧告をなされた当時においても、これは数字の上からと申しますか、いろいろな結論からは当然下げてしかるべきだ。しかし下げることによつて真に手取りそのものが下るということは、給與政策上まずいという意味において、その当時においてはわれわれも了承したのであります。今回特に政府原案でなくて、人事院勧告においては、相当引上げを予定されておるのでありまして、その際におきまして、そういう地域給をはじき出す他の原則からは、当然下げるべき個々の地域につきまして、これを引下げられなかつたということが、私には何かふに落ちない点があるので、その点をもう一度御説明願いたいと思います。
  26. 淺井清

    ○淺井政府委員 ごもつともでございますが、地域給という実は給與体系においてはささやかなる部分を占めておる問題が、かように大きな問題になつておりますこと自体が、どうもりくつだけでは押せないものがあるように考えております。そこでさいぜん私の申しましたことを繰返すほかはないのでございますが、人事院といたしましては、一応ただいまの案で五段階の案を実現いたしまして、その後においてもう一ぺん考え直す、こういうふうに存じておる次第でございます。
  27. 藤枝泉介

    藤枝委員 地域給の研究につきましては、もちろん最善を盡されると思いますと思いますので、今後の研究をまちたいと思います。というよりも、この地域給の問題が、今総裁のおつしやるように、給與全体からといたしましたならば、まさにささやかなるべき問題であるにもかかわらず、このように大きな問題になつているのは、この地域給の問題が非常に複雑になつておるからだと思いますので、もう少しきれいに割切れるように、しかもそれは常にささやかなる問題であるべきように至急に御研究を願いたいと思うのであります。この点につきましては、人事院勧告をそのままお使いになつ内閣側といたしましても、ただいま淺井総裁がお話になりましたような点を考慮して、この原案を出されたものと思いますが、さよう了承してよろしゆうございますか。
  28. 菅野義丸

    菅野政府委員 人事院勧告によります勤務地手当の問題につきましては、まつたくただいまの御質問の通りであります。政府といたしましても、勤務地手当のごときものはなるべく早く廃止いたしたい、廃止してもいいような状態に給與体系をつくり上げたいという希望を持つております。なおまた勤務地手当地域区分につきましては、人事院で非常なる努力をしておるのでありますが、これには手数ばかりでなくて、たくさんの人間と費用がいるのでありまして、政府はそういうむだなことをはぶく意味におきまして、こういう勤務地手当等につきましては、人事院勧告をそのまま尊重して行きたい、こういう考えでおります。ちよつと申し上げておきます。
  29. 藤枝泉介

    藤枝委員 なおこの勤務地手当区分に関連いたしまして、五月十七日におきましては、先ほども申し上げましたように、現状維持という原則が強く出た、その結果といたしまして、また地域区分法律で定めるというこの法律の建前からいたしまして、従来官署指定をされておりましたところにおきましても、村のうちを細分されてまで指定するような勧告をなされておつたのでありますが、このたびはそれをまた元へもどすと申しますか、官署指定というような制度をつくりまして、そうした村の字を指定するというようなことを原則としておやめになつたようでありますが、その理由はいかなるものでありますか。これは人事院の方にお願いいたしたいと思います。
  30. 淺井清

    ○淺井政府委員 ごもつともの御尋ねと存じておりますが、この地域給につきまして非常にこれが問題化しますのは、国家公務員に対してのみわれわれがきめます地域給が、そのまま右へならえをして地方公務員に及ぼす、そして国家公務員のある小さな区域のきわめて少数の人員に対して、地域給を與えますならば、同時にその地域における地方公務員も全部それにならう、こういう点に問題があるのでございまして、非常に多くの陳情等が、人事院へ殺到いたしておりますが、こういう右へならえをする地方公務員側の、非常に大きな動きがあるようにも考えておるのであります。そこで小さな字を指定いたしますれば、われわれの考えといたしましては、そこに存在しております一つの官署に勤務するもののみ考えますが、同時にその字にある地方公共団体の施設の職員も同様になり、これは今度その地方公共団体の理事者の方から申しますれば、非常に小さな区域にあるものまで勤務地手当を受け、それに近接する者は勤務地手当を受けない、こういう矛盾も生じまするので、これは官署手当の制度を復活いたしまして人事院といたしましては、国家公務員だけを考え、もしそれにならうべきものありと地方公共団体の方で考えまするならば同様の制度をとろう、不必要と認めるならばやめよう、地方公務員に対する地方公共団体のいわゆる自主性を認めた方が、かえつて問題がうまく行くのではないか、こう考えてやつたのでございまして、これもささやかな問題ではございまするけれども、要するにここに示されておりまする大きな問題は、地域給をただちに右へならえをさせる、そうしてこれが平衡交付金にまで影響して来るという点に、大きな問題があるように存じておりますが、この大きな問題の方は人事院の所管ではないように存じております。
  31. 藤枝泉介

    藤枝委員 ただいま淺井総裁が言及されまして、私もさように思つておるのでありまして、これは後ほど地方財政委員会の方で御出席の際にお聞きいたしたいと思つておつたのであります。勤務地手当地域区分は、全国的に非常に大きな問題になつておりまして、大部分は今淺井総裁の言われたように、ただちに地方公務員がこれに右へならえするというところに、相当な問題があるだろうと思うのであります。今総裁のお答えで、人事院といたしましては、どこまでも国家公務員本位で考えておられる、もちろん今の官署指定というようなことにつきましては、多少地方公務員のはね返りをお考えになつて、前の考え方を改められたということでありますが、後ほど地方財政委員会の方に質問申し上げる前提といたしまして、ここでもう一度念を押しておきたいと思うのであります。人事院といたしましては、国家公務員の体系から考えまして、この地域給というものを考えておるという建前は、どこまでも貫かれておられるであろうが、もちろん地方公務員を全然考えないということはないだろうけれども、人事院の建前としては、地域区分考える場合に、あくまでも国家公務員について考えておるのだというふうに、了承してよろしゆうございますか。
  32. 淺井清

    ○淺井政府委員 お尋ね通りでございます。
  33. 藤枝泉介

    藤枝委員 地域区分の問題はその程度にいたしておきまして、これは地方財政委員会の方の御出席を得まして、さらにお尋ねいたしたいと思います。  次に今回休職者の給與問題を法文化されまして、この点はまことに妥当な処置だと考えておるのであります。こういうことを申し上げるのはいかがかと思いますけれども、おそらく現在でもこういう制度はございませんでしようけれども、長期欠勤者につきまして、いろいろ職場のうるわしい風習といえば風習かもわかりませんけれども、適当な時期に一日出席するというようなことによつて、事実上は俸給を與えて、しかも相当長期にわたつて欠勤しているというような現状にあると、私は考えておるのでありますが、こういう休職者の給與の制度をはつきり確立せられました以上、そうした便宜の処置、これもほんとうに特例的なものは別といたしまして、今まで行われたようなずるずるべつたりの便宜の処置につきましては、今後この法律を実施される責任官庁である人事院としては、どのようにお考えになつておりますか、お伺いいたしたいと思います。
  34. 淺井清

    ○淺井政府委員 お尋ねまことにごもつともに存じております。ただいまのやり方を見ますと、休職を命じませんで在職させておる、こういう状態でございます。そうして長期に欠勤いたしておりまする者の大部分、私の記憶が間違つておりませんければ、七割五分程度というものは結核の疾患にかかつておる者でございます。なぜかような処置がとられておるかと申しますれば、要するに国家公務員法によりますれば、休職者に対しましてはいかなる給與も払えないのだ、給與準則で規定するもの以外は、いかなる給與も払えないというわくがはまつておるからでございます。従いまして、任命権者といたしましては、休職を命じたいけれども、休職を命ずれば給與を給することができない、そこでやむなくこれを在勤者として取扱つておるというのが、ただいま申されましただらだらした処置ということでございまするが、これは今回のこの規定を設けますることによつて解消する次第でございます。現に教育公務員に対しましては、学童からの隔離という特殊の意味もございまするが、有給休職の制度が認められておりまするから、これと権衡を保つ意味におきまして、かような規定が適当であろう。そうしてこれによつてもはや従前のような状態はなくなるだろうと思つております。
  35. 藤枝泉介

    藤枝委員 最後に一つ、これは年末手当の問題でありますが、給與課長がお見えですからお尋ねいたします。一昨日の提案理由の御説明の中に、本年の特殊な事情考えて、年末手当を半箇月を〇・八箇月にする、六割方増額すると言われておるのでありますが、この二十六年度における諸般の事情に顧み、特に若干増額という、この諸般の事情という意味は、八月から米が上つたというような問題が一番大きく響いておるのでありますかどうか。そうしてまた〇・三箇月だけふやしたその基準は、どの辺にお求めになつたのか、その点を大蔵省側から答弁願いたい。
  36. 岸本晋

    ○岸本政府委員 政府は今回給與改訂を行いましたのは、本年一月朝鮮事変以来の物価生計費の上昇というものをカバーするために、本年一月ベース改訂を行いましたが、その後やはり物価生計費の上昇はとまらない。同時に八月以降からはいろいろ米価電気水道その他の料金改正が見込まれるというような状態でございます。それがためにベース改訂もでき得れば早く実施したい、八月ごろからやりたいという気持でございましたが、いろいろ諸般の事情がございまして、どうしても八月から実施できないということになつたわけでございます。十月から今回のベース改訂実施ということになりますと、最初予定しておりました八月と十月の間の二月分、この間のベース改訂分だけは、からになるわけであります。従いましてその八月、九月分につきましては年末手当でカーバする。ちようどベースが今度のベース改訂によりまして一万円になりますので、その〇・三分と申しますと、大体三千円、今回のベース改訂が一箇月当り千五百円といたしますと、大体三千円でもつて、二箇月分の遡及ができる、こういう基礎のもとに増額いたしたわけでございます。
  37. 藤枝泉介

    藤枝委員 私の質問はそれではこの程度にいたします。ただ地方財政委員会の方の出席を待ちまして、その方に対する質問だけを留保いたしまして、この程度で終了いたします。
  38. 田中伊三次

    田中委員長 地方財政委員会政府委員は明日にしてほしいというお話でございます。それでは午前中はこの程度にいたしまして、午後は一時より開会をいたします。     午前十一時五十四分休憩      —————・—————     午後一時五十四分開議
  39. 田中伊三次

    田中委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  ただいまより昭和二十六年度における国家公務員に対する年末手当の額の特例に関する法律案及び一般職職員給與に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括議題として質疑を続行いたします。平川篤雄君。
  40. 平川篤雄

    ○平川委員 少し全般的なことをお伺いしておきたいと思います。これは菅野さんにお伺いしたいのでありますが、最近地方自治の関係の方の役所で、いろいろ今回の千五百円ベース・アップに際して、地方との均衡をとるために十分に出すということになれば、多少地方公務員の方が上つているので、その方を引下げるというような方針が出ているようでありますが、それに伴つて一つ考え方として、やはり給與なんかというものは、その地方の実態に即してやらなければいけないので、すなわち一般給與水準の低いような地帯では、これを一率に高い給與を與えることは意義をなさないのであつて、むしろその地方では地方の実上に即して多少の下つた基準でもいいのだ、こういうふうな言説をする人が地方自治関係の人たちの中にあるのでありますが、内閣としてさような考え方で、現在給與というものをごらんになつておるかどうかということを、ひとつ確かめておきたいと思います。
  41. 菅野義丸

    菅野政府委員 お答え申し上げます。地方公務員給與につきましては、国家公務員の規定に準ずるということが、第一原則でございますが、これは地方の歳入等の関係上、いろいろな違いがあることは現状通りでありまして、政府は地方自治の本旨にのつとりまして、これを上げろとか下げろとかいうような指示をするつもりは毛頭ございません。従いまして原則といたしましては、地方公務員はそれぞれの地方公共団体の財政の都合によりまして、特殊性を考えてきめるということは当然でありまして、その点について政府はとやかく言う権限もなければ、またそういう意思もないのでございます。ただしかしながら、平衡交付金という制度がございまして、それによりまして、国の経費を、一部分歳入の足りないところに交付することになつておるのでございますが、その平衡交付金等の財政措置の計算につきましては、何らか標準がなければ計算ができないのでございます。そこで現在の状態を基準にして、平衡交付金を支払うということになりますると、これは地方で上つたものをそのまま認めるということになりまして、平衡交付金の制度の上からいいましても、いかがかと思われますから、一応国家公務員給與に準ずることになつておりますので、国家公務員給與基準に照しまして計算はいたしております。しかし平衡交付金というのは、必ずしも地方団体の歳入の全部ではございません。非常に一部分でございまして、租税その他の収入でもつて、まかなうのが原則でございますので、その範囲内でいかようの給與にするかということは、それぞれ地方の議会等できめる。これについて決してああしろとかこうしろという指示はしないつもりでありしはす。
  42. 平川篤雄

    ○平川委員 そういう地方の財政あるいは国の財政に、ある程度制約せられるということはわかるのでありますが、同時に考えて行かなければならないことは、民間でも同じ考え方でありますが、国家が公務員をあるいは地方自治体が公務員を雇います場合には、目的があつてこれをやつておることなんであります。従つて国の仕事であるとか、地方自治体の仕事とかいうようなものが、円満に運営せられるということが根本でなくてはならない。従つてそこから要求する人物というものにも、一定のわくがあるわけであります。それを引きつけて、そして十分に国家なり、あるいは地方自治体の業務なりを遂行せしめるためには、ある一つの基準というものがなくてはならぬと思うのでありますが、そういう面について給與をお考えになる際には、どういう御方針をもつて進んでおられるか、これもちよつとお聞きしておきたいのであります。
  43. 菅野義丸

    菅野政府委員 民間企業につきましては、これはそれぞれの企業体のきめることでありまして、政府といたしましては人事院勧告に基きまして、この民間給與の趨勢を見まして、それを加味して国家公務員給與をきめるということは、法律の命ずる通りでありますが、国家公務員地方公務員との関連につきましては、先ほどお答え申しました通り、これは政府地方公務員に対してどういう給與をやれという、個々の地方公共団体に対する指示の権限もありませんので、その点は、将来も現在の地方自治の制度を堅持する以上はいたさないつもりでございますけれども、ただ希望といたしましては、同一の箇所に勤務しておりまする国家公務員地方公務員との間には、やはり均衡を保つて行くように地方公務員給與もあつてほしいという希望は持つております。またこれが法律のいうところの、地方公務員給與国家公務員給與に準ずるという趣旨であろうと考えておりまして、その間に非常な不均衡がないようにありたいという希望は持つておりますが、さればといつてただいま御質問にありましたように、政府が地方自治に対してとやかく言つて、これとまつたく同じにしなければならないというようなことを指示する気持はございません。
  44. 平川篤雄

    ○平川委員 ちよつとそれは私が質問申し上げたここと違うのでありますが、私のお聞きしたかつたのは、最近御承知のように、公務員に対して、就職せんと欲する一般の若い人たちの魅力が急速に減退をしておる。素質なんかも非常に悪くなつてつて、ことに新聞紙上なんかをにぎわしておりますいろいろな汚職事件なんかというものは、たいてい二十二とか二十三とかいうような人たちが出て来ておるのでありますが、こういうような経験のない人たちが、末端の税務行政などをやつておる。従つてそういうようなところから、いろいろな問題が起つて来るというようなことは国民だれもが知つておる。戦争中、戰前にもさようなことはなかつたのではありませんでしようけれども、最近に至つてだれもがこの素質の低下ということを言つておる。また相当の高級官僚の人たちにおいても、昔のように官僚出身の者が大臣になれるという希望もなくなつたので、いいかげんなところになつたら、ひとつ衆議院なり参議院なりに打つて出ようというようなことを、皆考えておるような趨勢であります。こういうようなことでは、ほんとうの事務職員として、あるいは技術職員として十分に国家や地方自治体のいわゆる公共の仕事に携わることはできないのじやないかと思うのです。こういう点をカバーして行きますのには、どうしても給與の額というものが問題になる、あるいはその職務によつて與えられる名誉というものも問題になりましようし、また勤めたあとの恩給とか年金とかの制度の問題も出て参ると思うのであります。こういうような点について、今において根本的に方針をお立てにならぬと、ますます悪くなるのではないかと思う。この前の通常国会のときに私はやはり同じことを申したのでありますが、大学の法科とか経済科とかいうものの卒業生の大部分官庁べ入ることを、昔は希望しておつたように思われますが、最近は公務員の試験なんか、どちらかというと程度の悪い方が行くのではないか。われわれの知つておる限りにおきましても、官庁の希望を十分に満たすだけの人物が集まつて来ておらないのじやないかというようなことが心配せられるのであります。ことに教育職員などにおきましては、これは御承知になつておると思いますが、最近小学校などの教員になろうと志している者は、大学の教育学部なんかにもほとんどないのであります。高等学校を望んでおるものが相当ある、そういうような実情がだんだん出ておるのであります。もつぱら地方の財政の許す限りと言つておられたのでは、将来どういうことになるだろうか心配になるので、その点についての何かのお考えがありはしないかということをお聞きしたのであります。
  45. 菅野義丸

    菅野政府委員 御質問の御趣旨を間違えまして、まことに恐縮に存じます。ただいまの御質問にお答えいたしますが、御説の通り、最近の公務員に対する希望者は、戰時中あるいは戦前の希望者に比べて確かに数も少く、また質的にも必ずしも最優秀の者が来るというふうには認められない点がございます。しかしながらこの点は、給與制度ということも、もちろん非常に大きな要素でございまして、この点が志望者の方向を決定する大きな要素になるということは、いなめない事実でございますが、新しい憲法のもとにおける新しい国家公務員なり、地方公務員の制度全体がやはり問題になると思います。ことに教育公務員等につきましては、その資格の点であるとか、その他教育制度全般につきまして、相当検討すべき点があるのではないかと存じます。給與の点につきましては、国家公務員法では民間の給與と同一にしろとは言つておりませんけれども、それを相当考慮してきめなければならないということになつておるのでありまして、人事院勧告及びこれを受けて、政府も財政の許す限りそういうふうにしようと努めておる次第であります。ただいまの御質問の点について、いかなる具体的の方策を持つているかということにつきましは、ただいま申し上げる段階になつておりませんが、この傾向が戦後の特別な現象でないということになりますると、やはり根本的に公務員制度なり、あるいは教育制度なりの改革ということをして、最も優秀な人が喜んで公務員になるような傾向にすべきではないかと考えておる次第でございます。ただいまどうするかという点について、まだ具体的に考えておりませんが、給與の点についてはそういうふうに考えております。
  46. 平川篤雄

    ○平川委員 最近の政府のおやりになつております施策というものは、今の御理想に反して、いずれも公務員たることをやめてしまいたいようなことばかり行われている。これは例をあげれば切りもないことであります。最近の行政整理でありますが、これなどにいたしましても、いろいろ全般を考えてみるのに、経費の節減ということ以外には考えられていない。もしあれが、人員の整理に伴つて、民間の給與を下まわらない程度給與を出すということが実現されておれば、まだそこらに同情の余地はあるのでありますが、一向その方は考えずに、人事院勧告よりもずつと低いベースをとられて、しかも首切りだけはどんどんやる。これではお話ならないので、そんなことをおつしやいましても、いつになつたらできるのか。実際考えておられるのかおられないのか。われわれには何としても信用することのできない言葉であるように思われる。一体今回の人事院勧告については、この前八月でありましたか委員会が開かれたときに、非常に政府の意向も汲んでくれたりつぱな勧告であつて、十分にこれを取入れたいというお話であつた。その当時私は、月千五百円アツプといううわさが、しきりに飛んでいるがどうかということを聞きましたら、そういうようなことはないというようなことであつたのですが、その後再三新聞に漏れて来るのはやはり千五百円。今度出てみますと、やはり千五百円アツプである。一件この経済の実態、あるいはわれわれの生計費が、どういうふうに動いておるかということに無関係に、千五百円ということをおきめになつたのではないかというふうに、邪推せざるを得ないのでありますが、そこに、千五百円アツプということについての、何かはつきりした根拠があるのですか、どうですか。その点をお伺いいたしたい。
  47. 菅野義丸

    菅野政府委員 先般八月でありましたか、人事院勧告が出ましたあと、衆議院の人事委員会が開かれまして、私どもそれに出席して意見を求められたのでありますが、そのときに私は、予算の点についての検討はまだ終つておりませんので、その点の意見は保留したつもりでございまして、その他の二点について政府考えておりました点を採用していただいたので、人事院内閣との意見が一致したということについては、非常にありがたいというような意味意見を申し上げたと記憶しております。その二点というのは、一つ俸給表における上下の差が、先般の勧告に比べますと、相当に開いておるということであります。それからもう一つは、標準生計費をとりまする俸給表の級号の場所が、前回は二級一号にとつておりましたのに対しまして、政府はこの前のベース改正のときには二級四号にとりまして、その点いろいろ委員会等でもつて御審議があつたのでありまするが、今回の勧告には二級三号、政府の案とほぼ近いような点にとられておる、この二つの点を取上げまして、早々の際でありますから詳しいことはまだ拝見しておらなかつたのでありますが、その二点について私は同感の意見を申し上げておいたと記憶しております。ただいま御質問の千五百円のベース・アップというのは、今回の給與法の改正案の骨子でございますが、これは決して単なる財政の面だけからきめたのではないのであります。もちろん国の公務員給與をきめるのでございますから、それがどれだけの国民の負担になるかということは、非常に考慮すべき大きな点でございまして、これを度外視しては考えられませんが、単にそれのみでもつてきめまして、公務員にどういう生活をしてもいいんだということになりましては、公務員を使つておりまする政府といたしまして、これはまことに妥当でないことになりまするので、公務員の生活も確保できるし、また国民の負担もなるべく少くしようという二つの要請を調和したのが、千五百円のべース・アップの案でございます。かりに今回の人事院勧告をそのまま採用するとして計算いたしますると、現在の給與に対しまして、三割以上の増加になります。二千七百円ぐらいのべース・アップになるのでございます。千五百円のベース・アップをいたしましても、本年の一月ベース改訂がございまして、その後の民間給與の趨勢あるいはCPIの関係、その他等を見ますと、物価の値上りを完全にカバーし、また従来のべース・アップの実施のときに比べまして、民間給與等の差額は一番少いような線に入つて来るのであります。つまり一月以降民間給與の実際の値上り以上に、千五百円で公務員給與は増額されるというような結果になりますので、これだけの点を国家公務員給與について見れば、必ずしも勧告通りにしなくても、公務員の生活というのは決して不当に苦しくはないということを確信いたしまして、一方これによる財政負担ということも考えまして千五百円ということをきめたのであります。決して御質問にありましたように、何らの考慮もなく、ただ単に勘で千五百円ということを流布して、それを法律案に書いたというようなことではないのであります。御要求があれば詳しく数字をもつてお答えいたしますが、そういうわけでございます。
  48. 平川篤雄

    ○平川委員 御要求があればとおつしやいますけれども、それこそ給與の一番大事なところでありますから、御説明を願いたいと思うのでありますが、その前に人事院の方にお伺いいたします。今官房副長官のお話になりましたように、千五百円でいいということになれば、勧告というものはどうなんでありますか。これは明らかに一割強も大本政府案より上まわつておるのでちりますが、どちらに誤りがあるのであるかということを承りたい。
  49. 淺井清

    ○淺井政府委員 人事院といたしましては、勧告をいたします場合には、国家の財政ということは考えません。それはまた考うべき権限もないわけでございます。今回は内閣といたしましても、人事院といたしましても、国家公務員給與引上げという線においては、完全に一致いたしております。また奨励手当の問題は別といたしまして、人事院のこの給與の体系というものは、ほとんど全部内閣によつて採用されたと申してもよろしいように思つております。ただ問題は、ただいま仰せの金額の問題、これが一番大事だと仰せられればそれまでのものでございまして、これは一番重要な点でございますが、ただ人事院といたしましては、人事院勧告の線というものを正しいものと信じております。しかしながらこの場合国家財政全体の立場から、どのように金が給與に振向けられるかということは、これは国会及び内閣のお仕事であろう、さように考えておる次第でございます。
  50. 平川篤雄

    ○平川委員 二千七百円と千五百円のアップの間に、はつきり意見が対立しておるようであります。どちらがほんとうに科学的に正しいのか、ひとつ人事院内閣の側で、しつかり論争してみてもらわなければいけないのじやないかと思いますので、官房副長官の方から千五百円の根拠をひとつお示し願いたいと思います。
  51. 菅野義丸

    菅野政府委員 それでは申し上げますが、あらかじめ申し上げておきたいと思いますことは、今も人事院総裁からお話がありましたように、公務員給與という問題になりますと、国家公務員法の規定するところによつて、なるべく多い方がいいことは当然でございまして、政府といたしましても財政の負担さえ許せば、人事院勧告をそのまま採用して改正法律案を出したいのでございます。しかし政府の方といたしましては、どうしても国民の負担ということを考えなければなりませんので、その二つの要請を、どの点で調和させるかということに苦慮する次第でございます。先ほどちよつと申し上げました消費者の物価指数とか、あるいは民間の給與であるとかいうようなものと比載してみたいと思うのでございます。全都市の消費者物価指数を見ますと、この前八千円ベースができました本年一月現在を一〇〇といたしますと、大体十月の推定は一一九・三という数字になるのでございます。それから工業労働者の平均賃金を、毎月勤労統計によつて見ますと、同じく一月を一〇〇といたしますと、十月には一一八・一で一八%余り上つておるわけでございます。今回給與改訂をいたしますと、二十六年一月を一〇〇といたしまして、公務員平均給與というものは一二二・九という数字になるわけでございます。そういうふうにいたしまして、民間の給與に比べましても、あるいは消費者の物価指数に比べましても、完全にその値上りをカバーしているということが言えると思うのであります。現在のこの客観的情勢、ことに国の負担の状態から考えまして、現在の給與を三割以上も上げるということが、はたして国会で御承認になり得るかどうか。この点は公務員給與という面からばかり見れば、あるいは首肯されるかもしれませんけれども、一方税を負担する国民の負担という点から見まして、政府としては責任を持つて、どうしても三割以上の値上りというような案はつくれないのでございます。そういう意味におきまして、遺憾ながら先般の人事院勧告は、金額の点についてそのまま採用するということはできなかつたのでございますが、一応値上りをカバーする最も妥当な額を千五百円ときめまして、改正案を出した次第でございます。  なおお断り申し上げておきますが、失ほど午前中にも問題になりましたように、人事院勧告の一番基準になつておりますところの二級三号の標準生計費は、四千二百円となつておるのでありますが、この四千二百円には米以外の電気であるとか、ガスであるとか、あるいは鉄道運賃、通信料等の値上り要素が入つておらないばかりでなく、今回政府提出いたしました所得税減税、ことに低額の勤労所得者になるべく減税したいという減税案趣旨は、これは時日の関係上無理からぬことと思いますが、入つておらないのでございます。従いまして、政府がそういう要素を全部取入れまして、差引計算した結果によりますと、二級三号に持つて行くべき標準生計費は、ちようど四千円という結果になるわけでございます。その点につきましても非常な違いがあるのでございまして、もしかりに人事院勧告をそのまま受入れて案をつくるといたしましても、それは修正しなければならぬ、こういうように確信しておる次第でございます。
  52. 平川篤雄

    ○平川委員 人事院の方の資料をお示し願います。
  53. 淺井清

    ○淺井政府委員 人事院といたしましては、もうすでに勧告をいたしますときに、その付属資料等において、詳細このベース説明をいたしてございますから、今内閣の申しましたことに対して、ここで云々することは必要でないと考えております。ただかえつて反対に、人事院勧告の基準時以後においての値上り、それから今回の減税、これを内閣において補正をいたしまして四千円ということになりましたのは、当然の補正であろうと思つております。
  54. 平川篤雄

    ○平川委員 私は人事院勧告説明資料によつて、グラフをつくつてみたのでありますが、民間給與人事院のカーブというものは、ほとんど一致しておるような結論が出ておるのでありますが、それは今の総裁の言われるのと少し話が違うように思いますが、その点どうでございますか。
  55. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 人事院で新しい俸給表を作定いたします場合には、先ほどお話がございましたように、標準生計費と民間給與調査によつてつておるわけでございます。大部分は民間給與調査によつておりますが、ただ二級三号のあたりは十八歳の人の生計費を見るということで、標準生計費を使つております。この両者が二大根幹になつておるということは、説明資料等で十分説明されておる通りでございます。先ほどからお話がございましたが、人事院といたしましては、昨年の五月から今年の五月まで、どれだけ上つておるかというようなことは、一応やはり問題になるところであろうとは思うのであります。しかしながら人事院の新しい俸給表の作定にあたりましては、昨年の五月からその後において幾ら上つたから、この程度上ればよろしいというようなことはやつておらないのであります。あくまで本年の五月の実情というものに基きまして、すなわち標準生計費にいたしましても、あるいは民間給與にいたしましても、本年の五月の状況を基礎にして作定いたしておると思います。それで先ほど御指摘のように、民間給與が大体よく合つておるとおつしやるのは当然のことであります。合してつくり、平均のところを使つたのでありますから、もちろん合つておると思います。ただ本年五月の状況に主食の値上りということだけ見込みましたから、その後におきましていろいろ値上りしたものもありますし、鉄道運賃あるいは郵便料金等の値上りもあるわけであります。こういうものは見込んでないのであります。一方また減税ということが、相当確実になつてつているわけでありますが、そういう要素を見込めば一体どうなるかということにつきまして、これは推定になるので、そこから先ははなはだ相済まぬと思うのでありますが、われわれの見当によりますと、全体的に見まして、減税あるいは免税点引上げのために生計費軽減される度合いと、米麦以外の値上りとは大体見合つているのではなかろうか。従いまして、人事院勧告いたしました俸給表は、妥当なものであるといわざるを得ないのであります。
  56. 平川篤雄

    ○平川委員 総裁はときどき政治的に物を言われるからいけないのでありますが、今の局長の事務当局のお話の方が、私どもは納得が行くのであります。大体物価の値上りによつて、実質賃金はもう低下しているのであります。その際に、今人事院では二千七百円平均給與を上げるのだという案を出しておられることは、実質賃金の上から行つたら、それでも決してアップになつていない。それを政府案の百円余りも下まわる給與になることは、これは直接生計費に響いて行く問題なんで、今の総裁のお話のように、妥当だと言われることになれば、これは勧告をそのまま政府案にすりかえてもいいというお考えなんでありますか。これは淺井総裁からはつきり伺いたい。
  57. 淺井清

    ○淺井政府委員 それは私の申したことを、よく御了解にならなかつたじやないかと思います。人事院といたしましては、初めから自分の勧告が正当であると、私お断りしたところであります。ただ減税、その後の値上りによる補正を政府がやつていることは、これは妥当であると申したのでございます。
  58. 平川篤雄

    ○平川委員 もう一ぺんはつきりしておきたいのですが、それでは金額の上から申しますと、千五百円アップでは十分でないとお考えになつておられるわけですね。
  59. 淺井清

    ○淺井政府委員 その点は人事院といたしましては、勧告の点を支持いたしますが、ただ問題は、国家財政の立場から、どれほど給與に振り向けられるかという問題を除外して、国会で御審議ができるかどうかということから申し上げた次第であります
  60. 平川篤雄

    ○平川委員 権限外のことをおつしやるからいけないのであります。それは私どもの方で、あるいは政府の方で財政上どうかという問題は考えればよろしいのであつて、さつき淺井総裁からお教えいただいた通りでありますが、もう一度くどいようでありますが、総裁にお聞きいたしますけれども、ただいま二級三号を四千円と置いてつくりました政府のあのカーブ——カーブと申しましても、実際ふところに入つて来る金額の意味でありますが、それで御満足になつていない。こう了承してよろしゆうございますね。
  61. 淺井清

    ○淺井政府委員 もしも私が権限外のことを申して悪いと申しますならば、政府委員といたしまして、政府提出いたしました法律案を批判することも権限外だと思つております。ただ問題は、いろいろな要素を勘案いたしまして、国会でよろしく御審議を願いたい、こう念願するだけでございます。
  62. 平川篤雄

    ○平川委員 よろしく審議するためには、もう少し今のその後の調整ということを、徹底的に調べてみなければならぬと思うのでありますが、人事院では八月以降米、塩、砂糖、電気ガス水道、そういうものがずつと上つて参りまして、さらに他の物価も上つて来ておるのでありますが、そういう点と今の減税とを見合して、どの程度のカーブになるかということについて、おつくりになつておる資料がございますなら、御提出を願いたい。また政府の方も大蔵当局の方に、そういうような資料がございますならば、御提出を願いたいのであります。それを突き合せてあなた方の御意見を聞かなければ、この点は解明できないのではないかと思います。もしただいまあれば、ひとつお示しを願いたい。
  63. 菅野義丸

    菅野政府委員 これで十分かどうかは存じませんが、今調べたところだけを申し上げます。主として標準生計費計算だと存じまして、その点を申し上げますが、もしこれで十分でなかつたならば、あらためて資料を提出いたしますから、御要求願います。標準生計費の算定には、いろいろの要素がございますことは人事院勧告説明書にある通りでありますが、一応食糧費、それから被服費光熱費住居費、雑費、この点につきましては、人事院の案も今回の改正案の政府の案も、まつたく同じでございまして、食糧費が二千五百円、被服費が三百九十円、それから光熱費が三百五十円、住居費が二百五十円、雑費が千円、合計四千四百九十円ということになります。その次に先ほど御質問にありました米以外の値上りの分を、人事院ではこれは時の関係上どうしても入れられなかつたことは無理からぬと思いますが、政府案はこれを入れております。米以外の値上りの増加分を、人事院案は零でありますが、政府案では百三円と計算いたしまして入れております。そうしますと、それまでの合計が、人事院案では四千四百九十円でございますが、政府案は四千五百九十三円ということになつております。これは勤務地手当の被支給地で換算いたさなければなりませんので、これを換算いたしますと、人事院案は三千五百九十二円、政府案は三千六百七十四円となります。これをかりにAといたしておきます。その次に考えなければならぬのは税の関係でございますが、所得税の点につきまして人事院案は二百十四円という数字をあげております。これは現行法律を基礎といたしたものでありまして、人事院勧告を出されるときには、もちろん今の減税案はなかつたのでありますからやむを得ないと思いますが、今回の国会提出されております所得税法によりますと、基礎控所が三万円から五万円に上つておりますので、この十八歳の標準生計費には一応所得税はつきません。従つて政府案は零でございます。地方税に対しましては、人事院の案は標準税率の一八%をかけております。これにつきましては、政府案もまつたく同じでありまして、ただ金額が違つて参りまして、人事院の案によりますと、六十四円となつておりますが、政府案は二十五円でございます。それから共済組合の掛金、これが人事院案は三百二十八円になつておりますが、政府案は三百円になつております。その所得税以下を合計いたしますと、人事院案で六百六円、政府案は三百二十五円という数字になります。これをBといたしますと、AとBを寄せたものがこの標準生計費の額になるのでありますが、人事院案では四千百九十八円、すなわちラウンド・ナンバーにして四千二百円、政府案では三千九百九十九円、ラウンド・ナンバーで四千円、こういうことになるのであります。平川委員 人事院の方ではどうですか。瀧本政府委員 二級三号のところの計算は、実質的に人事院が意図しておりますことが、政府案によつて十分実現されていると思つております。
  64. 平川篤雄

    ○平川委員 ちよつと副長官にお伺いいたしますが、この百三円というのは、今の電気とか、ガスとか、鉄道運賃、通信料といようなものを、全部見込んであるのでありますか。
  65. 菅野義丸

    菅野政府委員 それにつきましては、物価庁の資料等を見まして、値上り率を申しますと、電気が三一・八%、水道が三五%、旅客運賃が二七%、塩が二〇%、ガスが二五%、通信六八・六%等の値上りを見ております。これが生計費に響く金額を計算してみますと、百三円ということになります。
  66. 平川篤雄

    ○平川委員 人事院の方では、標準生計費の点について四千百九十八円案よりも三千九百九十九円案が大体において妥当だとお認めになつているという発言であつたと了解してよろしいですか。
  67. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 この点につきましては、減税というものが当時はつきりしておらぬ関係から、人事院勧告いたしました際にも、減税ということがもしあるならば、これはその点についてまた考えなければならなということがつけ加えてあつたわけでありまして、ただいまも官房副長官からお話がございましたように、われわれの案をつくりました以後において、はつきりした事情がいろいろあるわけでございまして、そういうものを取入れられて計算しておりますし、それから見かけの四千二百円、四千円という数字は違つておりますが、しかしながら実際に必要とする金額ということになつて参りますと、勤務地手当のそうつかない地域におきまして、人事院案で参りますと、三千五百九十二円ということになつておりますが、政府案で参りますと、三千六百七十四円ということになつておりますので、二給三号について申しますならば、もし人事院が出しておつたものを改正するといたしましても、それから減税を見込むといたしますならば、やはりこのような計算になろうかと思つております。
  68. 平川篤雄

    ○平川委員 この標準生計費の点は、大体それで一応了解をいたしておくといたしまして、そのあとの八十二号俸に参りますところの値上りというものは一体どういうふうな根拠でおやりになつておるのか。
  69. 菅野義丸

    菅野政府委員 今回の人事院勧告は、非常に科学的にこの点を計算いたしまして、従来は基準になりまするところの十八歳の独立の生計を営む男子標準生計費を基準といたしまして、七十号を民間給與との振り合いでもつてきめまして、それを等比級数で結んだ線を俸給表にしておつたのでありますが、今度の勧告におきましては、人事院は非常な手数とこまかい計算をいたしまして、各級ごとの民間給與との比較をして、その近似値をつないだ曲線をつくつておるのでございます。従いまして、このカーブといいますか傾向は十分尊重せらるべきものであると政府の方も考えております。しかしながらこの十四級六号、七十号でございますが、この金額をきめるのが非常に大事なことでありまするが、その点は人事院勧告におきましては三万八千円ときめてあるわけでございます。これは民間の相当職の人たち平均をとつておるようでございまするが、政府といたしましては、民間の取締役級の平均の給額三万三千九百九十六円というものを基準にいたしまして、大体それと似た三万三千六百円という数字で、十四級六号をきめたのでございます。その間をつなぐ曲線といたしましては、これは従来は等比級数でもつてやつたのでございますが、人事院の先ほどの非常な御研究の結果を尊重いたしまして、その曲線になぞらえてつくつておるのでありまして、平均いたしまして一割強の不足になりまするが、曲線の傾向といたしましては、人事院と同じグラフを画くような結果になつておる次第であります。
  70. 平川篤雄

    ○平川委員 最初の標準のところで行きますと、今のように全体といたしましても二百円ほどの違いしかないのであります。そこにはりくつがあるのでありますが、ここらへやつて来ると、もう政府案と人事院案は五千円も開きがついて参り、十八歳の男子が一人以上養えるだけ差がついて来ておるわけです。等比級数で結んでおると言えば、いかにもこれは科学的のように思われるのでありますが、実質的な裏づけというものは、その間には何もない。出発点と帰結点があるだけで、あとはもう机の上でやられたにすぎないのであります。それについて人事院勧告は、各特別のそれに相当する民間給與平均を出してやつておられると、私は一応信用しておるのでありますが、そのカーブの方が科学的なのであつて、最後の点と初めの点とを等比級数で結ぶ、人事院のカーブによく似ておるものを持つて来るといつたようなものでは、どうも科学的とは私は思えない。取締役の三万三千九百何十円かを一つの指標に置くということについては、人事院としてはどういうふうにお考えになつておるのか、三万八千円でなしに、それをとるということについては……。
  71. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 政府案の曲線をわれわれが技術的に検討いたしてみまするならば、二級三号のところは、われわれの方が四千二百円になつておりますのが四千円になつております関係上、カーブの形が下の方が少し上つているようになつておるのであります。そのほかの点は、おおむねわれわれが検討しました結果は、われわれの数字の、八八%という数字をお用いになつているのではないかというふうに、われわれ考えてお手わけです。八八%という数字をラウンドにしまして、そうして表をおつくりになつておるというふうに見ております。従いまして、そういう意味において、予算が足りなければ、そういうことになるかと思うのでありますが、技術的に見れば、八入%ということで数字をおつくりになつておるのではないかというふうに見ております。
  72. 平川篤雄

    ○平川委員 この出発点を標準生計費にして、カロリーが幾らだとか、税金が幾らだとかいうことで出されるということは、その限りにおいては一つ根拠があると思うのでありますが、そのあとの上昇率ということについては、まあ数字だけで申せば、今のように八八%というものを使つておられるのではないかと思う、と給與局長が言われるのであります。そうすると一割二分というものは、民間給與より下まわつておるということは明らかなのです。ここのところは、先ほど一番最初に私がお聞きしたように、官吏の給與をよくすることによつて、能率も上げ、そしてまたいわゆる公務員に優秀な人物を呼び寄せなければならぬ大事なところになろと思います。給與の政治的な意味というものは、むしろここらにあるのではないかと思うのであります。従つて出発点がどうこうということは、おしまいまでずつと行きましてたとえば減税が上の方にも及ぶから、その税金はこれだけ、物価の値上り率がこれだけというので、ずつとやつておられるなら話がわかりますけれども、そうでなしに、一律に一割二分というものがずつと下つておるというのでは、やはり問題が残ると思いますが、そこらのところには何か政府として、はつきりした根拠があるのでありましようか。
  73. 菅野義丸

    菅野政府委員 先ほど申し上げましたように、人事院給與表のカーブは、いろいろな非常にたくさんの資料に基いた、相当手数をかけたカーブでありまして、この傾向といいますか、各級間の関係は、十分尊重すべきであると政府も信じております。従いまして、それを基準にいたしましてやつたのでございまするが、上の方の標準の十四級六号を、かりに人事院勧告通り三万八千円という数字でとりますると、この前の給與ベース改訂のときに非常に問題になりまして、政府案はずいぶんお叱りを受けたのでありますが、上下の差というものは非常に十倍以上に開いてしまいます。今回の人事院勧告は、上下の差を十倍強にいたしておりまするが、この前の八千円ペースのときの上下の差は八・三倍でございます。政府といたしましては、なるべく上下の差というものは、能率給とかいうような意味合いにおきまして開くべきであるとは思いまするが、一挙に十倍強というように上下の差を開くということはいかがかとも思いまするし、ちよつと勧告より下まわつておりまするが、今度の改正案では九・三倍になつて提出されておるような次第であります。十四給六号の点を三万八千円にするということは、人事院の資料を十分に尊重する意味において、望ましいことではありまするが、これを三万三千六百円にいたしましても、取締役の平均給には達するのであります。この点がいいか悪いかということは、国会でお考えいただきたいと思いまするが、民間給與と申しましても、やはりいろいろな数字のとり方によりまして、この統計は非常にまちまちでございます。高いところをとれば非常に高いものになりまするし、そうかといつて民間給與と同じといいましても、低いところのものも相当あるのであります。これは局長の最高給でありまするが、取締役級のものと同じならば、これは国家公務員もがまんすべきではなかろうか、こういうふうに考えて三万三千六百円をとつたのでございまするが、その間のたくさんの級別の俸給額は、決してこれは等比級数でもつていいかげんにやつたのではございませんが、先ほど人事院給與課長からお話がございましたように、大体はおおむね一割強の差はついておりまするが、人事院勧告によるカーブを尊重して、それになぞらえてつくつてございます。多少修正はございますが、おおむねそれを尊重してやつておるのでございます。どうしても財政の都合上、全面的にこれを採用するということができない場合には、実際の実施案をつくる場合におきましては、こうするより仕方がない、これが最善の方法であるというふうに考えまして、俸給表をつくつたような次第であります。
  74. 平川篤雄

    ○平川委員 最低の給與とそれから最高の給與が何倍になるというのも、これも非常に観念的には、はつきりいたしておるのでありますが、実際的には大した問題ではないのであり、むしろ私どもとしましては、公務員に優秀な人物を得ますために、旧制大学あるいは新制大学あるいは新制高等学校の卒業生というような、いわゆる新卒を採用いたしますところの給與というものが、民間よりも上まわるということに、少くともそれを下らないということに重点を置かれなければならぬと思う。食うに足るだけのものをやつておれば、それでいいというのは、あまりこれは国家公務員給與考える上に実がなさ過ぎる、もう少し政治的にお考えなつた方がいいのじやないかと思う。そうなれば人事院のカーブより下の方は上に行つて、それで取締役のところはそれでいいという考え方になると思う。そうなればもつともつと縮まるわけです。そういうカーブのとり方をおやりにならぬといかぬというのが、私が当初にああいう質問をしたわけなんでありますが、そういう点ではどうでございますか。結局あまり動物的な食えるだけという標準を最初だけおとりになつて、あとはいいかげんにカーブをとつて机の上でつくるから、給與としての政策が何ら出ていないのではないかと思うのです。そういう点で政府の御意見を承りたい。
  75. 菅野義丸

    菅野政府委員 公務員給與を、民間の給與のいずれに比べましても、上まわるような給與にできるということは、まことにけつこうなことであつて私ども大いに望む次第でございまするが、しかしかりにそういうことになりますると、また非常な財源を必要としますばかりでなく、また国家公務員法が命ずるところの趣旨からいいましても、必ずしも民間給與以上のものを出すということは、要求されていないんではないかと考えております。それは均衡をとるということが大事じやないかと思う次第であります。今回の給與改訂によりまして、国家公務員給與ベースと民間賃金水準との権衡は、どうであるかということを検討してみますると、これは毎月勤労統計による全国の工業平均賃金との関係だけでございますが、現在のいわゆる八千円ベースの実施当時の本年の一月におきましては、公務員平均給與というものは、全国工業平均賃金の八七・一にすぎなかつたのでございます。それが四月には八二・五、七月には八〇というように漸次民間が上つて参りまして、公務員がすえ置きでございますから、比率は下つて参りました。今回の給與改訂によりますと、一挙に九〇・七というような数字になるわけでございます。この点は結局本年の一月に現在の給與改訂をやつたのでありまするが、そのときに比べましてもはるかにいい比率を見せておる。これが一〇〇あるいは一〇〇以上になるということは、非常に望ましいのでございますが、現在の公務員給與は沿革的に見ましても、民間給與より上まわつておるということはできないのでありまして、ことにこのような現在の財政状態から行きますと、これを一挙に民間給與より上まわるというような制定の仕方はできないというような結果になるのであります。
  76. 平川篤雄

    ○平川委員 ここでちよつとお伺いしますが、この前予算委員会で大蔵大臣が、政府案でも二百三十億、数字ははつきり覚えておりませんが二百三十億ふえるのに、人事院案をやるということになると四百三、四十億もふえなければならぬ。そういうことになるから、とてもだめだということを言われて、私ちよつとふしぎであつたのでありますが、この人事院のカーブ通りにいたしますと、どのくらいの予算になるのでありますか。
  77. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 もし人事院案で参るといたしますれば、人事院は予算のことはあまりわからぬのでありますから、十分的確なことは申し上げられないのでありますが、かりに八箇月分といたしまして政府機関、それから一般特別会計を入れまして二百四十億くらいになります。それから国鉄、専売そのほかが約百二十億、地方公務員が四百億くらいでありましようから、全体で七百六十億くらい、八箇月分といたしますれば、そういうことになります。
  78. 平川篤雄

    ○平川委員 政府案では幾らになりますか。
  79. 菅野義丸

    菅野政府委員 政府案の方は、一般会計におきまして二十六年度において増加する額は、七十三億余でございまして、特別会計が七十八億、合計百五十二億という数字になります。このほかに政府機関、公社であるとか、地方公務員等がございますが、その数字はあとから申し上げます。
  80. 平川篤雄

    ○平川委員 いつでも給與の審議のときには、最初の標準生計費のところでごたつきまして、あとカーブの点になると全然りくつも何もないのであるが、今回はとにかく人事院が一応その資料は高いものをとられたかどうかしれませんが、民間給與のカーブをずつとたどつて行つたということは、やはり一つの進歩であり、考えて行かなければならぬところであると思うのであります。それに対して政府案では取締役給に相当する、このくらいなら文句はなかろうという三万四千円ばかりのところに目安をおきまして、その間を理論的にカーブをひつぱつて行かれたというのは、あまり私どもは科学性を認めることはできない、結果として、それでは民間給與より上を出すわけに出かないときめておいでになるのでありますが、そこは私は言いのがれだと思う。やはり大事な国務の遂行でありますから、十分な給與を出して、むしろ優秀な人物を集めろというのが今の民間の声であり、国民の声だと思う。それを頭から民間給與と同じようなものを出すわけには行かぬときめておられるところに、一つの問題がある。もう一つはやはり公務員にいろいろ公務員法その他によつて非常な制限を加えておきながら、労働法の十分な権利を行使することのできない状態において、かような給與をいつまでもとつて行かれるということに、私どもは不安を感ずるのであります。ただいまはともかくといたしまして、最初私がお聞きいたしましたように、総合的に将来はこういうふうな給與の体系をとるのだという考え方があれば、けつこうなのであります。それがないというのはどうもおかしいと思う。  ことに最近米麦の統制撤廃などによつて明らかに政府の御方針が示されておりますように、何でもかんでも自由に競争して、いいものはいいもののように売られるのがあたりまえだ、こう言いながら、米価とそれから給與だけは特別なわくで、政治の力で押えて行こうという考え方には、非常に大きな矛盾があると思う。私はこういう言葉を使うのはいやなのでありますが、いわゆる収奪をする、農民と労働者を収奪するということをよく言いますが、そういう言葉が出るのも無理がない。そういう点について何ら明るい希望を持たすことができない給與の体系じやないかというふうに思うのでありますが、この点につきまして、ひとつ将来にわたる計画を早く明らかにされたい、こういうふうに念願するわけであります。
  81. 菅野義丸

    菅野政府委員 ただいまの点につきましては、先ほどもお答え申した通り政府といたしましても、公務員給與を十分にいたしまして、ことに民間給與との関係上、同じもしくは上まわるような給與にすることについては、何ら反対するものではないのでございます。しかしながら私が先ほど申しましたのは、一挙に民間給與と同様あるいはそれを上まわるというようなことは、現在の客観的な情勢から考えて、政府といたしましてはとても考えられないことであるというふうにお答え申し上げたのでございます。講和会議が済みまして、日本が独立いたしましても、現在の状態におきましては非常な財政難に向うと思われるのでありまして、外国の補助もなくなり、いよいよ日本が独立の経済の中で立つて行かなければならないというときに、公務員給與を民間の給與と同様にする、あるいはそれより上まわるということをこの際一挙にやることは、何としてもできない相談でありまするが、将来財政状況がよくなつて参ります場合におきまして、公務員給與を改善するということにつきましては、またその結果、そういうふうにして優秀なる人が公務員に喜んでなるようにするようにしたいということにつきましては、まつたく同感でございまして、その点につきましては、将来そういうふうに近づけて行きたい、かように考えております。     〔委員長退席、藤枝委員長代理着席〕
  82. 平川篤雄

    ○平川委員 地方財政の方に関連をいたしますことは、また政府当局の方にお尋ねをすることにいたしまして、今の問題については一応これで中断をしておきたいと思います。  人事院の方で今度五月に勧告になりましたあの地域給の案を、政府がそのまま使つておるのでありますが、その際今までの官公署指定というのを新たにやられたようでありますが、これについての方針はどういうことになつておるのでありますか。
  83. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 官公署指定と申しますのは、現在そういうものがあるわけであります。それで人事院の五月十七日の勧告案におきましては一応表に出しました次第であります。これはそういう特別の官署が、個別に行政的に指定し得るというようなことは、あまり好ましくないことではないだろうか。これはやはり国会で御審議願つて、御決定願うことが一番よろしいだろうということで、全部出したわけであります。ところがいざ表の上に出してみますると、この官公署指定というものは、なかなか一般の人が理解しにくい。なぜあの字だけがこういうふうになつておるのだろうかということで、そういう点が一つの困難を起しているわけであります。そういう点を考えまして一応あそこに予定いたしました官署は、すなわち字をきめます際にわれわれが予定いたしました官署は、これを全部官署指定にいたす、こういうことなのであります。さらに考えてみまするに、今後ある地域給のついております地域に当然あるべき官署が、何らかの理由で、たとえばその地域内に敷地が得られたいというようなことで、やむを得ず郊外に官署をつくる場合か往々にしてあるわけでありますが、その場合には、生計費が高い、すなわち地域給をつける対象となるべきところに、その官署の人がおおむね住んでいるという事情もありますから、従いましてそういう官署につきましては、今後といえども、もし必要があれば指定するということになるではないかと思つております。しかしながら当面の問題といたしましては、あれによりましてあらゆる官署を、みんな、手が届けば拾うというような考えは毛頭ないのであります。現在あの表に上げております字から落しましたものをまず指定する。その後におきましては、愼重に十分検討いたしまして必要のあるものだけやつて行く。しかしそれはただいま申し上げましたように、その官署に通勤いたしますものが、おおむね地域給のついている地域から通勤しておるというような事情があることが、前提になろうかと思います。すなわち官署指定という方法によりまして、現在は地域給が勤務地主義によつておりますが、ある程度居住地主義というものとの妥協をいたす、こういうことになろうかと思います。
  84. 平川篤雄

    ○平川委員 ただいまの勤務地主義が多少妥協するという点は非常に重大なことであつて、私はそれは賛成でありますから、できるだけそういうふうにしてもらいたいと思いますけれども、やたらにそれがふえて来て、これがまた昔の大蔵省給與課にありましたときと同じように、相当な運動の根源になりはしないかということについて、非常に心配しております。はつきりした理由があつてならけつこうでありますが、大体ただいまの官署指定というものは、今のお言葉ははなはだきれいであるが、実はあの時代にやつておりました妙な残滓を、みんなこの中へとじ込めているのだと言えるのであります。つまり奇妙なところが官公署指定になつている。それをああいうふうに字などを出しますと、いかに言つてもみんなに見せる場合には不体裁で、どういうわけであろうかという疑いを特たせるから、この際のけてしまつて、この分は裏へかくして官公署指定をしよう、こういうような必要があなた方にあるのではなかろうかと思うのであります。そういうようなものを現に含んでおるのでありますから、将来非常にむずかしい問題になりはしないかと、私は心配するのであります。この際私ひとつ特に確かめておきたいことは、最近そういう役所があるために、特別に指定せられたと思われる地帯がちよいちよいあるのであります。山の奥の方の国立病院などが一、二でなく実際にあることを、私は知つておるのであります。ところが聞いてみますと、やはりこういうところはつけてやらないと看護婦が来ないとか、お医者さんが来ないとかいうような理由があるように思う。私はこれは別個に考えられなければいかぬと思う。どこまでも勤務地手当であります以上、従来の方針をずつと貫かれるべきであつて、今のような特別の地帶であるから人を集めるのに困るということになりますれば、これは勤務地手当以外の方でやらなければならぬと思うのであります。これはもちろん勤務地手当一つになつておるのでありますが、そこらの点、はつきり御方針をきめておられるならばお伺いしておきたいのであります。
  85. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 先ほども申し上げましたように、われわれは今後新しく官署指定をしようという積極的な意図は持つておらないのであります。従いまして従来あつたものをやつて行くということであります。しかしこれはやはり考えてみますと、先ほど申しましたように、ある地域給のついておりまする地域から、ほんのわずかはずれておるというような官署がないとも限らないわけであります。そういうものにこの地域給がつかないということになりますと、非常な困難があろうかと思います。従いまして原則といたしましては、従来ついておつた官署を指定することが原則でありまするが、ただ、今度といえども十分よく検討いたしまして、真に必要があるもの、たとえば勤務地手当がついている地域から二キロ以内に、そういう官署がある場合にこれを指定するというような厳格な標準をとつて行きたいというふうに思います。
  86. 平川篤雄

    ○平川委員 二キロという数字を出されると、非常にこれは厳格になるのでありますが、そういう意味の厳格はあまりやられない方がいいというのが、私の昔からの持論であります。二キロと切られますと、あと三十メートルをどうするかという問題が必ず起つて来るのです。やはりそういうふうにあまり厳格にお考えにならずに、実質的にやつていただきたいと思うのであります。  副長官にちよつとお伺いしたいのでありますが、現在の平衡交付金の配分にあたつて、勤務地手当がついておりますところは、ただ給與費ではなく、ほかのものにも全部特定のパーセンテージがふえるということを聞いておる。この際、今官公署指定を受けましたような官公署を持つておる市町村については、どういうふうになりますか。
  87. 岸本晋

    ○岸本政府委員 勤務地手当の問題は、現在のところ国と地方で、特に差別待遇はないのでございます。ただいま勤務地手当がつくとつかないとで、ほかの給與が違うというような御質問でございますが、さような事実はないと考えております。平衡交付金の計算におきましても、俸給、扶養手当、勤務地手当というものをひつくるめまして、どのくらいの財政需要があるかということを算定いたしたのであります。今回の給與改訂の場合におきましても、国が勤務地手当の支給率を改訂いたしました場合、地方においても同様な改訂をいたしましたならば、どのくらいの給與額が増額になるかということを計算いたしまして、平衡交付金の基礎に取入れておるわけであります。
  88. 平川篤雄

    ○平川委員 給與は大体国家公務員給與法に準じてやろということになつておる。そうすると、今の特別な官公署が指定になつたといたしますと、自然ふり合い上、そこの村の吏員も教員も、それぞれ勤務地手当が必要だということが起つて参ります。そういうよ‘うな場合に、地方の財政需要を考えますときに、平衡交付金に今の勤務地手当分だけ算入せられるという態度は、はつきりしておられますでしようか。
  89. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 平川君に申し上げますが、その問題につきましては、明日地方財政委員会の方からの出席を求めておりますので、その際に御質問願つた方がいいのじやないかと思いますが、一応申し上げておきます。
  90. 平川篤雄

    ○平川委員 はい、わかりました。関連して伺つているのですが、官房副長宮の方に、何かそれについて……。
  91. 菅野義丸

    菅野政府委員 非常にこまかい技術的な御質問で、私申訳ないのですが、よく実情を存じておらないので、明日その方面の担当者が参りますから、そのときひとつお聞きを願いたいと思います。
  92. 平川篤雄

    ○平川委員 これはあなたの問題でありますから、あなたの態度をきめておつていただかなければ困ると思う。私が申し上げるのははなはだ技術的のようでありますが、実際はこれは非常に大きな問題になるだろうと思います。ですから、政府が、平衡交付金の中にそれを算入するかどうかということは、あらかじめきめておつていただかないと混乱が来ると思う。地方財政委員会などに聞きましても、おそらく、こういう方が妥当だという意見を言うだけであつて、それでははつきりしたものにならない。やはりこれは官房副長官の方から、はつきりした意思表示をしてもらうのが一番いい問題でありますから、そこをひとつお聞かせいただきたい。
  93. 菅野義丸

    菅野政府委員 地方公務員の勤務地手当の問題につきましては、先ほども申し上げた通り、これは政府がどうしろ、こうしろという指示はできないのでありまして、あくまで地方公共団体の自治にまかせてある問題でございますから、実際におきまして、その土地に勤務しておりまする地方公務員につけるつけないは別でございますが、平衡交付金の算定にあたりましては、国家公務員の方へ勤務地手当をつけます場合におきましては、地方公務員ももちろんつけるものとして計算しております。問題になりますのは、官署の指定をした場合のことでございますが、原則から申しますと、国家公務員でその土地にあるその官署に勤務している者につけるという意味でありまして、その官署に勤めていないところの、同じ字に勤務している地方公務員につけるべきではないというふうに考えておりますが、しかしこれは、地方公共団体がそれをどういうふうに解釈して、勤務地手当を取扱うかということにかかつて来ると思います。具体的な問題につきましては、地方財政委員会がきめるここと思いまするが、私個人の見解を申しますると、最初の人事院勧告にありましたように字名で指定しておりました場合におきましては、そこにある地方官署に勤めておりまする地方公務員には、当然つけるべきであると思いますが、官署指定になりますと、その点ちよつと疑問があると思います。しかしながら実際の取扱いといたしまして、地方公共団体が、その同じ部落ならば部落にあるところの地方の官署に勤める人につけるならば、これはわずかなことでありましようから、平衡交付金の計算に入れてさしつかえないというふうに考えております。
  94. 平川篤雄

    ○平川委員 人事院に伺いますが、この勤務地の指定は、地方の学校とか、あるいは役所とかいうものに適用されるのですか。
  95. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 人事院勧告しております地域区分は、国家公務員を対象として考えてあるわけであります。
  96. 平川篤雄

    ○平川委員 私もそう了解しておるので、これは菅野副長官は、なお一層御研究を願いたいと思います。今のように、国家公務員の勤めておる官署を、実際は指定しておるのです。地域をまとめておる。そういたしますと、これはりくつから言えばやはり今おつしやつた通りでありますけれども、実質的にはやはり同様の問題が起つて来るだろう。のがれればのがれられないことはありませんけれども、当然これは平衡交付金をつける場合も、考慮せられねばならぬことになるのではないかと思うのであります。同時にこれは人事院給與局長の方にお願いをしたいのでありますが、今のようなお考えでありますから、二キロだの何だのということを一層考えてはいけないのであります。広い経済的な実情によつて、やはり地域考えをもつて御指定にならないと、政府の今の平衡交付金の問題とからんで、非常なむずかしい問題になるのではないかと私は思うのであります。この基準についてもなお御研究をお願いしたいと思います。私は一応これで終ります。
  97. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 柄澤登志子君。
  98. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 労働省関係の方の御出席をお願いしていたのでございますが、まだお見えになりませんか。
  99. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 柄澤君に申し上げますが、労働政務次官は、今労働委員会に出ているそうですが、間もなく出席の予定だそうでございます。
  100. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 官房副長官に御質問申し上げたいと思います。人事院勧告がございましてから、もう相当の日数を経ておりまして、すでに衆議院では予算も通過いたしまして、送付になつているわけでございます。今日あたりたしか定員法も決定になつて、あすあたりの本会議に上程されるだろうということになつておりまして、全官公庁の職員の行政整理と給與の問題というものは、実に大きな注目の的になつているわけでございます。政府としては機構改革を前提としての行政整理ということが、当初の御方針であつたと思うのでございますけれども、このたびの人員整理は、機構改革をやらぬ人員整理ということが、はつきりいたしておるのでございます。私どもから考えますれば、内閣委員会が各省設置法の改正をいたしまして、機構改革によつて行政整理が行われるというのではなく、むしろこのたびのは人事の問題に関しての行政整理ではなかろうか、かように考えられる節があるわけでございます。そういう観点から申しましても、実は人事委員会が特に開かれまして、この問題について内閣委員会で問題にする立場とまた異なつた立場から、当然これが審議され、予算審議以前にやられていなければならなかつたと思うのでございますが、それがほとんど流会々々に終りまして、開くに至らなかつたという状態は、まつたく遺憾千万なことだと思うのでございます。このようなやり方に対しましての政府の方針がはつきりしないということが、まことに国民の不安を増大していると思うのでございます。その点につきまして政府として経費その他を節約して、国民に迷惑をかけないという理由の反面には、国民に対するサービスが低下しているという面も出て来るのでございまして、逆に国民の負担が重くなるという場合があるのでございます。そういう点なども考えますれば、電気通信省の例でございますけれども、人事院勧告を出しまして、不足の人員に対しましてはふやしてやるべきだというようなことを、これは大阪の天王寺でございますが、勧告を出して行政措置をやつておいでになる場合があるのでございますが、そういうことを人事院におさせにならずに、政府が一方的に、機構改革をやらないで頭から天引きの行政整理をおやりになつたということは、私どもといたしましては、国民の負担を軽くするという名のもとに、隠れた何らかの理由、根拠がなければ納得させることができないと思うのでございます。そういう点につきまして、ひとつ官房副長官から御答弁を賜りたいと思うのでございます。
  101. 菅野義丸

    菅野政府委員 国会の中の各委員会の運営につきましては、政府はとやかく申し上げることはできませんので、その点は省略いたしまして、結局そういうふうなことになつたのは、政府法律案提出が遅いからであるというふうに了承いたしましたが、この点につきましては、もちろん予算と同時に提出すべきはずでありまして、私どももその準備を進めておつたのでございまするが、手続が順調に参りませんために、先週の終りに提出いたさなければならなかつたようなことにつきましては、まことに遺憾でございまして、おわび申し上げます。  なお行政整理の点につきましては、定員法の方でいろいろ御説明申し上げているわけでございまするが、今回の行政整理は、結局国民の負担を軽くするということは、単に人員を減らして財政方面でもつて国民の負担を軽くするというばかりでなく、官庁が、ことに終戰後いろいろな点につきまして非常に国民の負担になるような報告とか、あるいは監督等の仕事をふやしておりますが、これをなるべく簡素にいたしまして、そういう面からする見えない国民の負担を軽くしようという趣旨に出ております。従いまして、今回の行政整理は、単に現在の仕事をしている人を減らすということではなく、仕事を減らしてその仕事に対応した人を減らして行こう、それから同じ仕事をするにしても、能率を上げてもらつて、そうしてなるべく少い人数でもつて仕事をして行こう、しかもその仕事は国民の迷惑にならないように、できるだけ簡素なものにしよう、こういう趣旨から出ておるのでございまして、わずかな人間でもつてたくさんの仕事をさせるために、窓口等で国民に御迷惑をかけるというようなことは、政府の少しも考えておらないところでありまして、統制経済等に基きますところの非常な煩瑣な仕事をできるだけやめまして、そうしてそれに対応した人を減員して、国民の負担を軽くして行こう、こういう趣旨に出ているわけでございます。なお行政機構の改革をしてからでなければ整理すべきではないじやないかという御意見でございましたが、これはそういう見方もございますけれども、ただいま申し上げましたような趣旨の行政整理でございますので、仕事と対応した行政整理であります。従いまして機構の改革によつて多少の人数の変更はあると思いますけれども、行政機構の改革ができたからといつて、それによつて人を非常に大量に減らしたりするようなことは、まずないというふうにお考えになつていただきたいと存ずる次第であります。
  102. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 仕事を減らしてというお話でございましたが、仕事を減らすことによりまして、当然全体の行政の立場からお考えになりますならば、そのことが国民の利益にならなければ、これは結果においてはマイナスになると思うのでございます。統制のことも、今度は定員法について修正案をお出しになつたように承つておりますが、しかし今までの実績から見ますと、たとえば石炭の統制を解きました場合にも、これは何ら国民にはプラスになつていないという実績があるわけでございます。現にまた鉄道の場合でもそうでございます。定員が減らされて、はたして運賃が安くなつたか、あるいは輸送量が実際に国民の経済生活を円滑に推し進めているかと申しますと、それはまつたく別な立場に立つて、逆になつているということは事実が証明しておるわけでございます。ただいまのような御説明では、この重大な人事院勧告も無視するごとき給與法、あるいは定員法というものは納得できないのでございます。もつと別なところに深い根があつて、大きな立場からおやりになるのだという御説明がなければ、納得できないのでございます。石炭なんかは統制を解きますと、どんどん上る、そうして暖房用炭もたけない、民需産業にはほとんどまわらないというような状態、鉄道にいたしましても定員法で首を切り、また資材費を下げましてから、どうなつたかといえば、三鷹事件のようなものが起きておる。三鷹事件だけではございません。せんだつての桜木町事件なんかも起きております。これも政府ははつきりこうおつしやつておる。旅客輸送なんかはあとまわしにいたしまして、貨物輸送に全力をあげます。ということを言われました運輸委員会の直後に、桜木町事件というものが起きておるのでございます。そういたしますると、国民の損害を少くするという理由で、給與あるいは人員の問題をおきめになりましても、私どもはそれだけでは納得いかないのでございます。ですから具体的に、今、政府がどんな大方針のもとに給與をこれだけ押えるのだ、あるいは人員をこれだけ減らすのだというようなことが出されませんと、私どもは国民のため、国民のためという美名でやられておりますことが、どうも一つ一つ返されておりますので、納得がいかないのでございます。なぜ私どもがこういうことを申し上げますかというと、普通の労働者と違いまして、公務員には御存じのように争議権というものがございません、やれなくなつております。そういう状態で人事院勧告というものがそれを保障するのだということになつているわけでございます。私が申すまでもなく、このことは十分御承知だと思うのでございますけれども、その人事院勧告からはるかに下まわつたものが、今すでに予算に組まれまして、人事委員会の開かれる前に、もう開始されておるのでございます。ですからただいまこうしていたしますことは、衆議院としてはまるでただ便宜的と申しますか、形式的に開いたというような、実に遺憾千万な形で人事委員会が開かれ、皆様の御説明を承つているわけでございますが、これに対して一体国会が責任を持つのか、人事院勧告をほんとうに実施するのが、公務員に対する政府のきめた法律的な身分保障であるのか、閣議できまつたものが、国会のすべてを無規して、どんどん通されて行くのが政府の方針なのか、その点につきまして、はつきりした御答弁がいただきたいと思います。
  103. 菅野義丸

    菅野政府委員 一つの物事が起りました場合に、これを見る見方というものは非常にたくさんございますので、御意見のような見方もあるということは了承しておりますが、私どもの考えておりますところを申し上げますると、石炭の値上りが必ずしも統制撤廃の原因によつてつておるというふうには考えておりません。その需要なりあるいは供給なりの状況等から考えなければならぬのじやないかと思います。なおまた国際価格等も考えなければならぬと思います。それから鉄道の事故等も、これは統制とは関係がございませんが、人員を減らしたから起つたのだというふうには必ずしも言えないと思います。  なおまた政府国会との関係を御質問になつたのでございますが、これはもちろん政府国会のもとに立つものでありまして、かりに閣議決定をどういうふうにいたしましても、国会でそれを修正し直すことは当然のことでございます。これは憲法上はつきりしていることでございます。従いまして、予算と同時に出るべきものが出なかつたことにつきましては、先ほど申し上げた通り、まことに遺憾でございましたけれども、予算の点についても、給與法の内容は御説明申し上げられるのでありまして、それを前提とした予算になつておるわけでございます。なおその他の点につきましては、これはまつたく見解の相違でございまして、ただ政府といたしましては、先ほど申し上げた以上に、特別に何か根本的な原因があつて、定員法の改正なり、給與改正をするのだというようなことは、まつたくないということを私は申し上げます。
  104. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 副長官に、おわび申し上げますというふうに申されまして、そこで頭をいくら下げていただきましても、どうにもならないようなのが、いつもの衆議院の例でございます。きようも労働委員会で午前中にも問題になつていたのでございますけれども、官公庁に最も近いところの一般公共企業体の労働者でも、仲裁委員会でいくら裁定いたしましても、それが予算的な裏づけがない限り、国会の御審議で御賛成を得ない限り、それは実施できぬのだというようなことをおつしやつておりました。そうなりますと公共企業体の労働者は公共企業体労働関係法により、公務員公務員法によつて特別な一般の労働組合で保障されているような組合法の保障というものがない場合に、そういう人たち政府に対する闘争、政治的な闘争というものは、やつてはいかぬのだという建前に立ちまして、法律ができて保障されておりますのに、その法律を実施して裁定されたところの最後の結論であるものが、やはり国会できまるのだということになりますると、国会に対しまして要望し、国会に対して闘争する以外に道がなくなるというふうに、政府みずからが追い込んでいるのだと思うのでございます。結局今の状態から申しますると、予算が参議院にまわるのだから、予算の参議院の闘争、つまり参議院の審議中に、何とかして予算を再補正してもらわなければ、われわれの人事院勧告も実施してもらえないというのが、今の一般の官公吏の実に切々たる気持だと思うのでございます。その責任というものは、今この委員会でおわびいたしますというようなことでは、済まされないものだと思うのでございます。いろいろの経過でもつてというようなことではなしに、どういうわけで給與法案なり、定員法案というものが予算審議の前に出て来なかつたかということにつきまして、もう少し御答弁いただきたいと思います。
  105. 菅野義丸

    菅野政府委員 私がおわび申し上げますと言つたことは、この法律の提案が予算と一緒に出なかつたということだけでございまして、その他の点につきましては、法律のきめてある通りでございまして、政府の責任か何かでもつて国会に押しつけておるというふうなお話でありますけれども、そんなことは絶対にないのでございます。御承知のごとく公共企業体労働関係法によりますると、その最後の仲裁委員会の裁定が下された場合におきまして、それが予算上資金上不可能な場合におきましては、国会提出して承認を求める。承認を求めた場合にはそれを支給することができるけれども、承認を得なければ一銭といえども出してはいけないということが、国会の審議を経た公労法の規定によつてつておるのでございます。政府がかつて国会に責任を押しつけておるということは毛頭ございません。それから先ほどから国会政府との関係をいろいろお話でございましたが、私の方で考えますことは、なるほど公務員の労働争議権とか、あるいは公共企業体の労働争議権等にはいろいろの制限はございますから、そのために人事院なり、あるいは仲裁委員会というようなものがございますが、法律上の建前は人事院でいかに研究し、りつぱな案をつくりましても、最後の判断は国会にしてもらうということになつておるというふうに考えております。それから仲裁委員会におきましても、ただ單に仲裁委員会の決定をそのまま実行するということは、財政その他の関係で非常にいけない結果になることもありますので、最後の決定は国会にしてもらう、こういうことでもつて国会をほんとうの主権の所有者であるところの国民の代表として非常にあがめこそすれ、決して責任を国会に転嫁したりなんかするような意思ではないと確信しております。結局公務員につきましても、あるいは公共企業体職員につきましても、両方とも国会が最高、最後の決定権を持つておるのであります。われわれはそれによつてつて行くよりほかにしようがないと考えております。その法律案提出の点につきましては、先ほど申し上げました通りでありまして、占領下におきましては、いろいろ他に司令部との関係において、手続上の必要なプロセスがとられなければならぬのでありますが、それが円滑に行かなかつたので、提出が遅れた次第であります。
  106. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 たいへん国会尊重の御意見がるる述べられたと思うのでございますけれども、事実は法案内容というものも提示されず、法案そのものも出ないで、予算が通過してしまつたという、この具体的な事実があるわけでございます。オーケーをおとりになるということが、手間がかかつてやれなかつたというのならば、私どもからいたしますれば、予算のオーケーが出て、なぜ給與法や定員法のオーケーが出ないか、まつたくもつて不可思議千万だと思うのでございます。定員法や給與法の裏づけなしに、予算だけなぜオーケーが出るか。いかに占領下とはいいながら、やはりこれははつきりきまつている国民生活の安定を目ざしたところの民主的な労働組合の活動の保障や、あるいは人事院というものを認め、公共企業体関係労働法規というものを認めております現在の中で、政府はどんな努力をなすつたのか、また先ほどおつしやいました公共企業体労働関係法によるところの仲裁裁定、これが決定を見ましても、最後の決定権は国会にあるんだということをおつしやつたのでございまするが、この仲裁裁定がきまりまして、公社は出せると言つておるのです。私どもの方では出せると言つておる。労働組合でもその専売公社、会社側の方の出せるというこの案に、不服ながらもまあとにかくこれでという気持をもつておる。そうだとするならば、当然大蔵大臣は公社が出せると言つたその——ほんとうは大蔵大臣に来ていただかなければ、あなたを責めましてもどうにもならないのでございますけれども、その案をもちまして予算を修正して、予算委員会に出すべきが妥当だと思うのでございます。そういうことは実際どのように行われたか、まあ副長官でいらつしやいますから、政府の責任者といたしまして、その点公務員給與とも関係がある問題でございますし、ただいままでの御答弁では、幾ら愼重に国会の審議権を尊重しておるとおつしやいましても、私ども納得ができませんので、ひとつ御答弁を願いたいと思います。  また今後尊重しておるというそのお言葉の裏づけといたしまして、どういうふうな方法をもつて、こういう問題を解決されようと努力をお続けになつておるか、あわせて伺つておきたいと思います。
  107. 菅野義丸

    菅野政府委員 予算に現われて参りますものは、給與の額とかそういう金銭に関係する面でございまするが、給與法となりますと、必ずしも予算に関係がない点がございまして、それが一体となつておりますので、いろいろその了承を得るのに困難になることがあるわけでございます。それから総額としてきまつておりましても、これを今度はその平均の増加の給與を、どういうふうにわけるかという、こまかい技術的の点もございますので、給與法の内容というものは、非常にこまかい不平等がたくさん出て来るわけでございます。そういうことについてなかなか予算の審議のときとは、別なこまかさがあるわけでございまして、そういう点が一致しなかつた理由一つであろうと私は考えております。  なお専売の仲裁裁定でございますが、かりに公社がこれを出せるということを言つたことが事実といたしましても、それはおそらく資金上のことであると思います。金は出す方法がある、出せる、こういうことであろうと思います。御承知の通り公労法では、予算上、資金上不可能の場合には、国会提出してその承認を経なければならぬと書いてあるのでございまして、かりに資金上可能であつても、予算上可能でなければ何ともいたし方ないのでありまして、政府が予算の修正をするのは、国会がこれを承認したときに限られるのでありまして、もし修正を必要とするならば、国会はこれを承認して、予算の修正を政府に命じてしかるべきであると考えております。なお私は仮定の上で申し上げましたけれども、専売公社がこれを出せると言つたということは、私はまだ確認しておりません。
  108. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 もう一つ、今のことに関連しまして伺つておきたいのでございますが、私どもはただいまの官房副長官のお言葉でも納得できないのでございますがしかし私どもだけじやなしに、これは八十万官公吏が、やはり公共企業体関係労働法並びに公務員法によりまして日本の国の法律のわくの中で闘つて、自分の生活というものが保障されるのだというふうに考えておりますのに、政府みずからが人事院勧告を無視し、公共企業体関係法規というものが、いろいろな関係上から次次とこういうふうに蹂躪されて参りますことは、政府みずからが、国会の審議権を尊重なさらぬということになりまして、国会がこれを決定するのだということになりますと、おのずから国会に対して要求し、国会に対して自分たちの身分保障を迫らざるを得なくなる。法律にたよつてはいられなくなるということを裏書きなさつた言葉というふうに了承いたしましてもよろしうございましようか。
  109. 菅野義丸

    菅野政府委員 それは私が了承するしないにかかわらず、法律の規定がそうなつておるのでありまして、人事院政府並びに国会勧告はいたしまするけれども、それがただちに法律案になるわけではないのでございます。人事院勧告が出ましても、それによつて給與を払うことは絶対にできません。従いまして、政府並びに国会はその勧告を受けまして、国会は審議の参考にする。政府はそれを参考として法律案をつくる。こういうことになつて、最後の決定は国会がなさる。それから仲裁裁定におきましても、先ほど申し上げた通り、最後の決定は国会がなさるというふうに、法律の規定によつてつておるのであります。従いまして、組合等が国会の議員の方々に、いろいろな陳情をしたりなんかするのは当然のことであると思つて、それこそよく法律趣旨を理解してやつて行くことであると私は信じております。
  110. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 そういたしますと、参議院におきまして、予算の再補正ということも可能であるというふうにお考えでございますか。
  111. 菅野義丸

    菅野政府委員 その点の問題は、憲法上の問題でありまして、この点とは関係ないと思います。
  112. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 ただいまの副長官の御答弁では満足できませんので、できれば大蔵大臣の御出席をお願いしたいと思いますので、この点につきましてはこれで打切りまして、委員長いかがでございますか、きよう閉会なされば、もしできますならば、あすまた続行して質問をやらしていただきたいと思います。まだ大分ございますのでやりたいのでございます。
  113. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 本日はこの程度にとどめ、次会は明十三日午前十時より開会するここといたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時五十一分散会