○小峰
証人 公共事業の隘路というものにつきましては、もうすでにいろいろな方面で盛んに論じられている問題であります。大体認証制度、それから今の單年度の問題、あるいは
予算繰越しの問題、継続費の問題、それに
監査の重複の問題、こういうようなのがあると思うのであります。これに対しまして、
簡單に私の考えをちよつと申し上げてみたいと思います。
まず認証制度でありますが、認証制度はやめてほしいというような声も、実は相当強いのであります。結局今のように
公共事業費を大ざつぱな
予算といたしまして
国会の議決を経る、こういうことになりますと、どうしてもこれは認証を——認証というのは、結局は
予算の振りわけであります、
予算を
工事ごとに振りわけるのが認証でありますが、これをやらざるを得ない。
従つて認証制度を廃止するということになりますと、昔にもど
つて、あるいは継続費なりなんなりを置きまして、そうして利根川改修費、あるいは東海道線の
改良費こういうようなそれぞれの
予算の振りわけを大蔵省の査定のときにしなければいけないわけであります。現在は大蔵省の査定のときには大きくわけておきまして、それぞれの
工事への振りわけは
国会の議決を経てからやる。こういう建前をと
つているので、認証制度が必要であり、そのために
予算の配付が遅れる、こういうようなことにもなるわけであります。これは結局どちらかに、認証制度を置くか、あるいは
予算を初めから個々に分割してしま
つて、認証制度を廃止するか、こういう問題になると思うのであります。認証制度を置くとなりますると、現在程度の手数はしかたがないのじやなかろうか。と申しますのは、従来は一番やかましいときは年四回にわけて認証した時代がございます。さらに二回になり、ことしからは年一回の認証をしているのであります。それでも
予算が若干今申しましたような
事情で遅れまするが、
公共事業を現在のような大まかな
予算で
国会が議決をされる、こういうことにな
つておりますと、今の程度の認証はやむを得ないのじやないか、
従つて予算の配付が若干遅れるということに必然的にな
つて来るわけであります。その辺は認証制度をやめるといたしますると、
予算を初めから分割して、今申し上げました利根川改修費とか、淀川
災害復旧とかいうようなことで分割して議決されるほかはないのであります。
認証はそのくらいにいたしますが、次に
予算が單年度という点であります。これは先ほども申し上げましたように、やはり長期にわたる
工事がどうしても相当出るのでありまして、直轄たると
請負たるを問わず、やはり継続費的なものを設けてやるのが実際に合うのではないか。その方がいろいろなむりをしないで済むのではないかと考えております。
それから
予算の繰越しの問題でありますが、どうも繰越し制度というものは、日本では非常に昔からやかましいのであります。最近は大分非難もございまするし、会計
検査院でも毎年のようにもつと
簡單にしたらというような
検査報告を載せて、
国会に報告しておられる。そのせいかどうか大蔵省でも非常に取扱いが
簡單にな
つております。現在では
契約書さえつければよろしいというような、繰越し
承認をするというくらい
簡單にな
つております。ところが困
つたことには
直轄工事であります。
建設省の相轄
工事のようなものになりますと、契約がないわけであります。支出負担行為のあるものに限
つて予算の繰越しを認めるというのが現在財政法の規定にございます。
従つて直轄工事などでは支出負担行為というものはございません。契約はないのであります。そういうものについては過年度はあり得ない。しかも繰越しはあり得ない、こういうことになるのでありまして、
予算ではつきりと繰越しをお認め願ういわゆる
予算明許の繰越しという制度がございます。この制度によ
つていただくほかは繰越しができないということになるのであります。この辺には大きな
公共事業費としての隘路があるように私は思うのであります。
それから
監査、
検査、こういうものの
監督の重複の問題、これが隘路の
一つとしてあげられているわけであります。これも私は同感であります。現在
公共事業費に対する
検査は会計
検査院もや
つております。それから大蔵省の財務部もやる。いろいろなものが
監査検査ということで
関係しているわけであります。これはどうも何とか
簡單にしていただくのが
仕事をや
つて行くのにも非常に楽になるのじやないか。現在
工事事務所長というのは、私どもが
地方を歩いてみますと、少し
工事の実態から浮き過ぎているような感じを持つのであります。下の者まかせにして
自分は浮いてしま
つている。そのために経費のつけがけをされたり何かしているように思うのであります。それが浮いてしまう
一つの
原因は
外部の人との応接ということが大きな
原因にな
つているようにも思うのであります。もちろんこれが全部とは決して考えておりませんが、相当大きなウエートを示しているように思うのであります。入りかわり立ちかわりずいぶんいろいろな人が行くようであります。
検査にはわれわれも参ります。それからほかの
監査も参りますし、ずいぶんいろいろな人が行くようであります。これの応接が所長あたりの非常に大きな
仕事になるのではないか、それも考えられますので、何とか一元化することが必要ではないかと思
つております。