運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-10-26 第12回国会 衆議院 行政監察特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月二十六日(金曜日)     午前十時五十五分開議  出席委員    委員長 篠田 弘作君    理事 佐々木秀世君 理事 島田 末信君    理事 塚原 俊郎君 理事 内藤  隆君    理事 小松 勇次君 理事 山口 武秀君       大泉 寛三君    岡西 明貞君       川本 末治君    志田 義信君       田渕 光一君    福田 喜東君       八木 一郎君    柳澤 義男君       椎熊 三郎君    藤田 義光君       加藤  充君  委員外出席者         証     人         (東北地方建設         局長)     伊藤  信君         証     人         (建設省河川局         防災課長)   賀屋 茂一君     ————————————— 本日の会議に付した事件  証人出頭要求に関する件  公共事業費をめぐる不正事件     —————————————
  2. 篠田弘作

    篠田委員長 これより会議を開きます。  前回に引続き公共事業費をめぐる不正事件について調査を進めます。ただちに伊藤証人より証言を求めます。伊藤信君ですね。
  3. 伊藤信

    伊藤証人 そうです。
  4. 篠田弘作

    篠田委員長 あらかじめ文書をもつて御了承を願つておきましたが、証人として証言求むることになりましたのでさよう御承知ください。  これより公共事業費をめぐる不正事件について証言を求むることになりますが証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことと相なつております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき。またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者、またはこれらの職にあつた者がその職務知つた事実であつて黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知になつていただきたいと思います。  なお証人が公務員として知り得た事実が職務上の秘密に属するものであるときは、その旨お申出いただきたいと思います。  では法律の定むるところによりまして証人宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書の御朗読をお願いします。     〔証人伊藤信宣誓〕     宣誓書  良心に従つて、真実を述べ何事もかくさず、又何事もつけ加えないことを誓います。
  5. 篠田弘作

    篠田委員長 では宣誓書署名捺印してください。     〔証人宣誓書署名捺印
  6. 篠田弘作

    篠田委員長 これより証言を求めることになりますが、証言証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際はその都度委員長の許可を得てなされるようお願いいたします。なお、こちらから質問をしておるときはおかけになつていてよろしゆうございますが、お答えの際は御起立を願います。  証人はいつから現職に就任されましたか。
  7. 伊藤信

    伊藤証人 昭和二十三年十二月一日です。
  8. 篠田弘作

    篠田委員長 その前は何をやつておられましたか。
  9. 伊藤信

  10. 篠田弘作

    篠田委員長 新聞でも御存じでしようし、またきのうあなたの直接監督を受けられる方々がここで尋問を受けておりますから、大体おわかりになつておると思いますが、最上川上流並びに下流工事におきまして、莫大な幽霊人夫あるいは架空工事といつたような、何と申しますか、から点検というようなことで、数億円の金を出して、その中から接待費であるとか、あるいはまた器材の購入、やみ給与やみ手当というようなものをやつてつたということで、本委員会で取上げられた問題でありますが、これはあなた御存じですか。
  11. 伊藤信

    伊藤証人 知つております。昨年来東北地方建設局管内におきまして、二、三の箇所におきましてさような不祥事件を起しましたことはまことに遺憾でありまして、すべて査察監督の任にある局長責任でありまして、深くおわびを申し上げます。この事件につきましては、私は赴任当初から大体予想しておりました。しかし北上川下流事務所におきまして、多額工事費残つてつたというようなことにつきましては、警察で取調べられる直前に知りました。それから最上川上流におきましては、二十五年度以降においてもこういう事件があつたということは、警察の取調べによつて初めてわかりました。
  12. 篠田弘作

    篠田委員長 そうしますと、そういうから点検幽霊人夫を出して、二億数千万円というような金を浮かして、それによつて予算あるいは法律で認承を受けた以外の面に使つたというような事件が、警察で起きる前にあなたは承知していたのですか。
  13. 伊藤信

    伊藤証人 大体承知していました。
  14. 篠田弘作

    篠田委員長 それはどういう理由で承知していましたか。
  15. 伊藤信

    伊藤証人 最上川下流におきましては、すでに第一線の担当者である事務所長並びに工務部長から証言があつたと思いますが、二十二年、二十三年の大災害におきまして、特に最上川北上川という方面は甚大の損害を受けております。その当時といたしましては、私どもはこの災害復旧をできるだけ早くということで、それに専念しておりました。ところが、当時は社会的な混乱と物資の不足というようなことのために、なかなか直轄工事を円滑に進めて行くことができないというような状態にありましたので、やむを得ず不当な手段によりまして金を捻出いたしまして、そういうもので必要な資材とかそういうものを購入しまして、工事の円滑な推進をはかつたのであります。
  16. 篠田弘作

    篠田委員長 それでいろいろきのうからの証言で、東北地方一つ地理的条件というものから、工事を進めて行く場合に、大体冬はできないし、雪解けはできないし、秋のあらしのときはできないというので、真夏の間百日くらいだということを証言されましたが、これは事実ですか。
  17. 伊藤信

    伊藤証人 これは大体河川工事につきましては、特に最上川下流事務所におきましては百日くらいしか仕事はできません。その他の工事につきましては、多少まだ仕事はできると思います。
  18. 篠田弘作

    篠田委員長 これはどうですか。今まで東北地方でも、北海道でも、寒いところでは大体同じ条件だと思うが、そういう問題についてあなた方責任者自体本省を動かすとか、あるいはまた政府を動かす、あるいは国会を動かして、そういう問題に対する何か解決の手続のようなものをとられたことはありますか。
  19. 伊藤信

    伊藤証人 それはあります。私は就任以来すぐ局長会議がありまして、その席で大臣並びに次官からやみ給与をやつちやいかぬ、工事を適正にやらなければいけないというような指示を受けまして、それを局に持つて帰りまして、事務所全部にもそういうことを伝えたのでありますが、なかなかいろいろの事情でできない。予算四半期ごとにわかれて来るし、その四半期ごとにわかれて来るものも均等にわかれて来る。これは東北の実情に即しない。東北におきましては、大体春先から夏、この時期が工事適正期であります。この時期になるべく多く使えるようにということは再三要望したのでありますが、なかなかそういうぐあいに予算の配付ができなかつたのであります。
  20. 篠田弘作

    篠田委員長 これはもちろんいろいろ個人的な欠陥も多いようであるけれども、また制度欠陥も相当あると思う。そこで全国的なこの予算制度を直すということは——もちろん東北あるいは北海道一部のために直すことはできないが、そういう特殊な条件にある場合に、均等な予算をたとい組むとしても、それを何か、法律を改正することはできないかもしらぬが、事務規定でもかえて、こういう脱法行為ではなく、合法的に使うということはできないのですか。
  21. 伊藤信

    伊藤証人 そういう方法はありません。
  22. 篠田弘作

    篠田委員長 今のところないのですか。
  23. 伊藤信

    伊藤証人 はい。
  24. 篠田弘作

    篠田委員長 それからあなたの方の地方建設局から各工事事務所長接待費とか、あるいはやみ給与費用割当行つていますね。これはあなた御存じですか。
  25. 伊藤信

    伊藤証人 承知しております。しかし接待費割当行つておりません。ただ私の方の局といたしましては、局の費用をまかなうために、事務費の一部と工事費の一部を充てまして、それで局の経費をまかなつて参つたのであります。ところが、その本局におります補助員、これは人夫でありますから、どこまでも工事費から出さなければいけないということになつております。ところが、本局では工事費がありませんものですから、従つてこれは現場に依頼しなければならないということになるわけであります。それで各現場工事費に応じまして、補助員給料手当、こういうものを依頼したのであります。その依頼するときに、私たちも二十四年からは粛正しなければならないということを考えましたものですから、その使途をはつきりさせるために、公文書に準ずる依頼状部長名で出したのではないかと考えております。責任の所在をはつきりさせるために部長名依頼状を出したものと思います。
  26. 篠田弘作

    篠田委員長 責任はつきりさせるという態度は、それは言いかえれば、自分らが個人的に使つたんじやないかということを見せるためにそういうことをしたんだろうと思う。しかしそれはあくまでも違法である。違法であることを公文書をもつて部下の者に命令するということは、これは常識上考えられないが……。
  27. 伊藤信

    伊藤証人 命令ではありません。依頼したのであります。
  28. 篠田弘作

    篠田委員長 上の者から公文書をもつて下の者にやれば、普通の場合命令だ。とにかくそういうことは常識上考えられないが、それは補助員というのは最上川下流なら下流工事をやるために補助員がいるわけでしよう。そうじやないですか。
  29. 伊藤信

    伊藤証人 それはいりますが本局でも東北六県では二十何箇所の事務所がございまして、これらの事務を総括してやつております。これらの事務費用に応分して補助員給料とか手当を分担してもらつて、それを合せまして、本局経費の一部に充てておつたのであります。それは建設本省の方でも本局のものとして認めておつた費用であります。しかし先ほども申しましたように、補助員給料というものは、補助員はあくまでも人夫ですから、工事費から出さなければならぬ、工事費本局にない、従つて補助員給料手当現場に依頼しなければならなかつたという事情であります。
  30. 篠田弘作

    篠田委員長 補助というのは事務員補助員じやなくて、人夫という名目で、ほんとうは事務をやらしているじやないですか。
  31. 伊藤信

    伊藤証人 そうです。
  32. 篠田弘作

    篠田委員長 それならば、むしろ最上川なら最上川下流工事にこれこれの人間が必要であるということにして、工事費から出すようにとつておいて、そしてそのうちの何人かを本所の手伝いにやるということで、派遣するような方法をとつたらいいじやないですか。
  33. 伊藤信

    伊藤証人 最近ではやつております。
  34. 篠田弘作

    篠田委員長 それは要するにあなた方考え方が足らなかつたわけですね。
  35. 伊藤信

    伊藤証人 そうです。
  36. 篠田弘作

    篠田委員長 それからこういうような事件で、それぞれの責任者をどういうふうに処分しておりますか。
  37. 伊藤信

    伊藤証人 私の事務所におきましては、最上川上流でありますが、これは二十四年以来私が再三、こういうことはもうすでに事情がかわつているのであるから、考え直して、この辺で切りかえなければいかぬということを申したにかかわらず、二十五年度以降もこういうことをやつてつた予算関係から行きましても、そう多額の工費でなかつたものですから、正式の手続工事がやれたわけです。それをまた二十五年度も越えてやつてつたというようなことで、事務所長に対しましては依願免手続をとりました。
  38. 篠田弘作

    篠田委員長 どこの事務所長ですか。
  39. 伊藤信

  40. 篠田弘作

    篠田委員長 依願免ではないということだつたが……。
  41. 伊藤信

    伊藤証人 依願免であります。
  42. 篠田弘作

    篠田委員長 事務所長依願免でないと言つておる、事務所長をきのう呼んでみたら。
  43. 伊藤信

    伊藤証人 それは最上川下流事務所の方でございます。
  44. 篠田弘作

    篠田委員長 上流の方はやめたか。しかし上流の方は工事が小さかつたのではないですか。
  45. 伊藤信

    伊藤証人 小さかつたのでございます。小さいのにもかかわらず、正規手続をやれるにもかかわらず、二十五年度以降にもなおそういうことをやつてつた。そうしてやみ給与の方は事前に手続をすれば、当然正規人夫として出せるにもかかわらず、そういう捻出額でもつて支払つたというようなことで、程度の差でございますけれども、程度が多いと認めまして、私としては依願免手続をとりました。また出張所長に対しましては、一箇月の減俸、それから情状酌量の余地のある者につきましては、戒告の手続をとりました。他に、きのう証言をしたと思いますが、事務所長を交代いたさせまして跡始末に当らせまして、現在では非常に粛清いたしまして、模範的にやつております。
  46. 篠田弘作

    篠田委員長 それではその跡始末は、大体あなたのやられたことは了承できるのですが、跡始末だけじやなしに、最初監督そのものが、非常に不徹底というか、不熱心というか、まあ仕事も非常に多いことであろうとは思うけれども、むしろその最初監督欠陥があるのじやないか。工事事務所というのは、あなたの管轄内に幾つありますか。
  47. 伊藤信

    伊藤証人 二十三あります。
  48. 篠田弘作

    篠田委員長 それであなたは一年間に全部一応まわりますか。
  49. 伊藤信

    伊藤証人 大体一年に一度ぐらいまわります。
  50. 篠田弘作

    篠田委員長 あとはどうしておりますか、あなたのまわらなかつたところは。
  51. 伊藤信

    伊藤証人 それは工務部長なり、企画部長なりがまわつて、随時監督しております。
  52. 篠田弘作

    篠田委員長 そうしますと、大体あなたは一度、部長は何度ぐらいまわりますか。
  53. 伊藤信

    伊藤証人 部長は二度ぐらいまわります。
  54. 篠田弘作

    篠田委員長 それは一人の部長がかね。
  55. 伊藤信

    伊藤証人 そうです。
  56. 篠田弘作

    篠田委員長 そうすると工務部長庶務部長がまわつておるのか。
  57. 伊藤信

    伊藤証人 そうです。
  58. 篠田弘作

    篠田委員長 そうすると、大体年に五回ぐらいはまわつているわけですね。
  59. 伊藤信

    伊藤証人 そういうわけです。われわれといたしましても、直轄工事の監査ということにいくらか欠陥があるということは認めております。それで最近では、事件にかんがみました、監察制度を強化しなければならぬということで、建設本省におきましても、監察室を強化しております。それに伴いまして、地方建設局におきましても、従来の企画部企画課というのを検査課に改めまして、今後十分に工事場実態把握、それから検察、こういうものに当らせたい、こう思つております。
  60. 篠田弘作

    篠田委員長 それからこれは最上川下流工事所長証言だが、大体こういうことをやるということは、上司の暗黙の了解というか、黙認という言葉を使いましたが、しかしよく聞いてみると、実際は相談しているそうですな。
  61. 伊藤信

    伊藤証人 そうだろうと思います。
  62. 篠田弘作

    篠田委員長 それはあなたのところまで行つてないのか。
  63. 伊藤信

    伊藤証人 私は二十三年の十二月から参りましたものですが、大体前局長もそういうことは相談を受けていると思います。私も一応相談を受けております。
  64. 篠田弘作

    篠田委員長 しかたないということだね。
  65. 伊藤信

    伊藤証人 そういうわけです。昨日も証言があつたと思うのでありますが、最上川下流の切投げ工事というのは、あれは請負工事であります。私の解釈からすれば、あれは請負工事であつたのであります。ただ予算が来なかつたために局長が正式に契約ができなかつた。それで事務所長が本契約に準じて見積りを徴しまして、事務所長と当事者とが契約をしたのでありまして、これは請負工事であります。切投げ工事じやありません。
  66. 篠田弘作

    篠田委員長 直轄工事じやありませんか。
  67. 伊藤信

    伊藤証人 いや、直轄工事でありますけれども、直轄の一部を請負いにしたのでございまして、その金の出し道が、正式に一ぺんに出せないものですから、直轄工事をしたかのごとくして、金をまとめて出した、こういうことであります。切投げ工事というのは大体一つ工事がありますと、それを区切りまして、その区切つたものを、一定のところを幾らでやれということでやるのが切投げ工事だと思います。たとえば堤防の土の運搬を幾らでやれ、一立米幾らでやれ、こういうことになります。それから護岸にいたしましても、何百平方米ある。これを一平方米幾らでやれというのが切投げ工事であります。
  68. 篠田弘作

    篠田委員長 その請負わしたというのは同じだが、方法が違うわけだね。
  69. 伊藤信

    伊藤証人 そういうことです。
  70. 篠田弘作

    篠田委員長 ところがきのうの所長証言によりますと、切投げ工事をやつた、こういうことを言つたのだ。
  71. 伊藤信

    伊藤証人 それは切投げ工事請負工事誤りであります。
  72. 篠田弘作

    篠田委員長 そうすると、あなたは所長証言誤りだというわけですね。
  73. 伊藤信

    伊藤証人 切投げと請負解釈の違いだと思いますが、私はどこまでもそれは請負だと思つております。
  74. 篠田弘作

    篠田委員長 しかし直営工事ということで、正規契約を初めからしておらないで、途中から自分らの都合でもつて請負をさせる、あるいは請負をさせないけれども、させたようなかつこうにしてやるということを切投げ工事というのじやないですか。
  75. 伊藤信

    伊藤証人 私の方で直轄工事を受けて、それを請負工事にさせてはいかぬという規則はありません。
  76. 篠田弘作

    篠田委員長 規則はない、だけれども正規契約しておらないのでしよう。だからそういうことを切投げ工事というのじやないですか。
  77. 伊藤信

    伊藤証人 私たちはそういうふうに考えておりません。
  78. 篠田弘作

    篠田委員長 所長とあなたの考えは非常に違うが、社会の通念はどうだ。
  79. 伊藤信

    伊藤証人 そういう通念です。切投げ工事というのは、ある一箇所で工事がありまして、その工事を数区分にわかちまして、部分的に請負わせるのを切投げ工事というのです。
  80. 篠田弘作

    篠田委員長 同じことじやないか。
  81. 伊藤信

    伊藤証人 大体全体の工事請負わせるのは請負でございます。
  82. 篠田弘作

    篠田委員長 それはそうだろうが、しかしそれなら同じことじやないか。
  83. 伊藤信

    伊藤証人 われわれの通念としては……。
  84. 篠田弘作

    篠田委員長 全体といつても、最上川を上から、下まで請負わせるわけには行かないから。
  85. 伊藤信

    伊藤証人 たとえば護岸工事がある、そのうちの石積みを一平方メートル幾ら、こういうことで渡すのを私たちは切投げ工事と言つております。
  86. 篠田弘作

    篠田委員長 あなたはそういうふうに解釈しておるが、所長はそうは言つていない。所長とあなたとどつちが土木に詳しいかということで、その問題はきまる。
  87. 伊藤信

    伊藤証人 それが私たち通念であります。
  88. 篠田弘作

    篠田委員長 それは本質的の問題でなく言葉の問題だからどちらでもいいが、しかし本質的には正規手続をしておらないにもかかわらず、自分たち都合請負をさせたようなかつこうにして、あるいはさせたかつこうにして金を請求させて、その金を自分らが使つてつたということだね、結局。
  89. 伊藤信

    伊藤証人 いやそういうことではないと思います。
  90. 篠田弘作

    篠田委員長 そういうこともある。
  91. 伊藤信

    伊藤証人 そういうことではないと思います。
  92. 篠田弘作

    篠田委員長 では幽霊人夫というのは、どういうのか。
  93. 伊藤信

    伊藤証人 実際仕事はこれこれのところでやれということで、請負契約を結びまして、その金を全体から出した、こういうことでありまして、やみ給与とかそういうものに使つた金は、ほかから出した。
  94. 篠田弘作

    篠田委員長 どこから出した。
  95. 伊藤信

    伊藤証人 やはり同じ人夫賃でございますけれども……。
  96. 篠田弘作

    篠田委員長 どこから出したのですか。
  97. 伊藤信

    伊藤証人 やはり工事費から出したのです。
  98. 篠田弘作

    篠田委員長 工事費はわかつておるけれども、実際において使つていない人夫使つたことにして、そうして金を支払わせてそれから出してやつたのでしよう。
  99. 伊藤信

    伊藤証人 そうでございます。
  100. 篠田弘作

    篠田委員長 あなたはそれでは何を言おうとしておるのか、切投げ工事でない、そうして正式の請負工事であるから、やつたことは違法ではない、こういうことを言おうとしておるのか。
  101. 伊藤信

    伊藤証人 違法ではあります。
  102. 篠田弘作

    篠田委員長 では何を言おうとしておるのか。
  103. 伊藤信

    伊藤証人 実際請負工事をやらせた、その実際の工事にかかつた金を請負人に払つておるわけであります。その全体の予算がありまして、その浮いた金をいろいろの費用に充てた、こういうことを言いたいわけでございます。
  104. 篠田弘作

    篠田委員長 とにかく最上川下流工事だけでもつて八億七千五百万円なんだね、いいですか。昭和二十二年から二十五年までに八億七千五百万円の工事費なんだ。その中から一億八千万円というものを浮かしておるわけだ、下流だけで。その浮かした金というものは全部幽霊人夫で浮かしたわけなんだいいですか。そうして現金にかえておいて、何か物を買つた給与をする、あるいは接待をするという場合に、その中から出しておつたのだ、いいですか。だからそういう金を使つてつたということが非常によくないということであつて、ただ言葉の上で切投げ工事であるか、請負工事であるかということによつて、それが何も正当化するわけじやないでしよう。
  105. 伊藤信

    伊藤証人 そういうわけです。
  106. 篠田弘作

    篠田委員長 結局においてあなたはそういう幽霊人夫をつくつて一億八千万円ほどの金を浮かして、それをやみ給与接待使つておるということを認めるのですか。
  107. 伊藤信

    伊藤証人 まあ認めております。
  108. 篠田弘作

    篠田委員長 まあということはどういうことですか。
  109. 伊藤信

    伊藤証人 大体……。
  110. 篠田弘作

    篠田委員長 大体じやなくて、それを認めるかどうかです。どつちなんです。
  111. 伊藤信

    伊藤証人 認めます。
  112. 篠田弘作

    篠田委員長 認めればそれでいい。
  113. 伊藤信

    伊藤証人 それで約一千万円くらいは間接費として使つております。
  114. 篠田弘作

    篠田委員長 あとは……。
  115. 伊藤信

    伊藤証人 あと工事に還元しております。
  116. 篠田弘作

    篠田委員長 一千万円じやないようだね。
  117. 伊藤信

    伊藤証人 大体事件の概要を、間違つて伝えられておると思いますが、申し上げますと、北上川下流におきましては……。
  118. 篠田弘作

    篠田委員長 北上川のことは聞いていない。
  119. 伊藤信

    伊藤証人 最上川下流におきましては、二十二年から二十五年の間、総経費が八億七千三百万円余でありますが、そのうち捻出した額が一億七千八百円、工事費に還元したものが一億六千六百万円、間接費が千五十三万円ぐらいになつております。そのうち接待費使つたのが八十八万円であります。金を残したのが百三十一万円でございます。これは数字を書いて参りましたが正確でございます。
  120. 篠田弘作

    篠田委員長 これは最上川下流工事ですか。
  121. 伊藤信

    伊藤証人 そうです。
  122. 篠田弘作

    篠田委員長 それは、こまかい数字はちよつと違いますが、大体所長の言つたことと、あなたの言われたことと合つているわけです。そこで接待費の問題ですが、この接待というものが、まるつきりしないというわけにもいかぬと思うのですが、しかし何とかくふうを加える方法はないものですか。たとえば一人の人間接待するのに二十人の人間が出て接待する、そうしてお客は一人だけれども、接待費は二十人分かかるということは、しよつちゆうどこでも見られることです。そういう根本的な問題をおいて、接待費が足りないから、幽霊人夫使つて出すというやり方そのものについて、あなたがたは当の責任者として、どういうふうに考えておりますか。
  123. 伊藤信

    伊藤証人 私たちはそういうことのないように常に皆の者を戒めております。
  124. 篠田弘作

    篠田委員長 そういうことのないようにとは……。
  125. 伊藤信

    伊藤証人 一人のお客さんが来たといつて、二十人も出て接待するということのないようにしておりまして、最上川下流につきましても、そういうことはないと思います。ただ最上川下流につきましては、未曽有の大災害を受けたものですから、従来この工事に携つておりました先輩とか、あるいは関係方面からいろいろと意見を聞きまして、計画の万全を期したい、こういうことで多数お客さんに来てもらつたこともあります。そういうものの費用に充てたのではないかと思います。
  126. 篠田弘作

    篠田委員長 それはきのうからいろいろ証言されておるのだが、ぼくはおかしいと思うのだ。少くともあなたがたは技術者であり、一つの権威なんです。それが先輩だとか、いろいろな前任者とかそういう人たち接待して、その知恵を借りなければ、あと工事ができないということはないだろうと私は思うのです。その人たちにおみやげを持つてつたり、その人たちを料理屋へ呼んだりして相談しなければ、あと工事はできないということは、私は考えられないが、その点はどうですか。
  127. 伊藤信

    伊藤証人 われわれも相当川の工事に携つておりますが、川にはそれぞれの特徴がありまして、われわれといたしましても十分自信は持てない、そういう場合に慎重を期するために、そういう人たちの意見を参考までに聞くということはしております。それから建設省の方におきましても、治水調査会を設けまして、それらの先輩方の意見を聞いております。
  128. 篠田弘作

    篠田委員長 意見を聞くということは、悪いことじやない、非常にいいことですけれども、その聞くために違法をおかしてまで、おみやげを持つてつたり、接待をしなければならないというところに悪いところがある。
  129. 伊藤信

    伊藤証人 おみやげを持つてつたことはありません。
  130. 篠田弘作

    篠田委員長 いやあるという。おみやげを持つてつたという。あなたは知らないのじやないか。たとえば東京に来る場合に、東京に住んでいる先輩におみやげを持つて来るとか、あるいは招待をするために接待費がかかつて、こういうもので出さなければならないということを言つている。
  131. 伊藤信

    伊藤証人 私のところではそういうようなことはないと思います。
  132. 篠田弘作

    篠田委員長 あなたのところではない……。そうですが。それで今後のなんといいますか、粛正というか、どういう方法でやつて行くつもりですか。
  133. 伊藤信

    伊藤証人 今度の事件にかんがみまして、われわれが当時考えました、仕事さえできれば、国のためにさえなればという考えは間違つてつた。今後は大いに反省して自粛自戒して、再びこういう事件を繰返さないということに努めております。事件後は特にそういうことを強く感じまして、局長として強い訓示を出しまして、現場の一人一人がこれを見て仕事をしろというような方針まで授けて、現在自粛自戒しております。
  134. 篠田弘作

    篠田委員長 それであなたがこの事件の結果自粛自戒して、しかも強い訓示を出しておるのだが、その訓示そのものは実行されていますか。
  135. 伊藤信

    伊藤証人 大体二十五年、二十六年度におきましては、実行されていると思います。
  136. 篠田弘作

    篠田委員長 実行された結果は、それが工事に悪い影響を及ぼしているというようなことはありますか。
  137. 伊藤信

    伊藤証人 ことしは多少はありました。
  138. 篠田弘作

    篠田委員長 それはどういう点ですか。
  139. 伊藤信

    伊藤証人 それは予算が来ないために、年度当初予算が足りなかつたというために、契約ができなかつたというような場合がありました。それは契約予算が来るまでとめておくということでやつております。
  140. 篠田弘作

    篠田委員長 そのほかに接待しないために、工事にさしつかえしたということはありますか。
  141. 伊藤信

    伊藤証人 そういうことはありません。
  142. 篠田弘作

    篠田委員長 そうすると、予算の分割の方法が悪いために、時期が来ても予算が来ないために、工事ができなくて仕事に影響したということはあるんだが、交際費を使わないから、接待をしないからというようなことで影響したということはありませんね。
  143. 伊藤信

    伊藤証人 ありません。
  144. 篠田弘作

    篠田委員長 そうすると、幽霊人夫使つて接待費を出しておつたということは、これはまつたく不必要なことなんですね。
  145. 伊藤信

    伊藤証人 その当時の情勢から見ればやむを得なかつたと思います。北上川につきましても最上川下流にいたしましても、ずたずたに満身創痍のごとく切れたものですから、これらの始末につきまして、各方面の意見を聞いた、そのために接待費がかさんだ、こういうことであります。
  146. 篠田弘作

    篠田委員長 そうすると今後もずたずたに切れるような大きな災害があると、幽霊人夫接待費を出さなければならぬということになりますか。
  147. 伊藤信

    伊藤証人 今後はそういうことがないように、そういう必要があれば、本省の方にその旨を要求しまして、本省の方からそういう費用を持つて来てもらうというような方法でもとつてもらおう、こう思つております。
  148. 篠田弘作

    篠田委員長 それから工事ばかりに使つた接待費でなくて、本省関係使つた接待費というものも相当多いんじやないですか。本省から視察に来る、あるいは何か頼みに来たときに物を持つて行く、そういうことに使つた接待費は多いんじやないですか。
  149. 伊藤信

    伊藤証人 これは私たち責任でございますけれども、東北地方建設局には、工事を持つておりませんから、そういう接待費を出す道がないわけです。それで各方面から客が来ますと、現場にまわすわけです。現場に視察に来るわけですから現場にまわすわけです。そうすると、現場で最小限度接待するということになるわけです。
  150. 篠田弘作

    篠田委員長 そういう方面の、あなたが今部下を訓示して、自粛自戒してそういうことをなくしたということは、あなたの部下に対する方針でしよう。ところが上の者が来たときにどうするか、上の者にも訓示するかね。
  151. 伊藤信

    伊藤証人 上の者は、われわれが局長会議か何かに出たときに、上の人も自粛してもらいたい、私どもの方も自粛するということで、確約を得ております。
  152. 篠田弘作

    篠田委員長 それはできますかね。
  153. 伊藤信

    伊藤証人 私たちは現在やつておりません。それで各地建に——私のところにも寮がありまして、そういうところにとまつていただいて、出張旅費の範囲でまかなえるというようなことをやつております。
  154. 篠田弘作

    篠田委員長 便宜を与えるということは、出張旅費も少いし、また遠くから来た人には、晩飯ぐらい食わせるのが日本人としての礼儀だし、外国人にもあることなんだが、度を過すということはいけないから、何かそこで最も少い経費で便宜を与え、しかも気持のいい接待をやるというふうな方法を考えなければ、接待費が足りないからすぐ幽霊人夫でもつて接待する、そういうことになつたら際限がないと思う。そういう意味で上の方も下の方も自粛して、それによつて何も工事に影響がないということであれば、そういうふうにしなければいけないし、どうしてもいるものであれば、それは前もつてそういう幽霊人夫とか何とかいうものでなしに、方法を講じなければまずいと思うのです。  大体あなたのところでは今後の問題について上にも下にも十分認識してもらつてつておるという話でありますから、私の質問は大体このくらいにして終ります。どなたか御質問ありませんか。
  155. 加藤充

    ○加藤(充)委員 使用しない材料を買い入れたようにして、金を浮かした事実もあるかのごとく聞いておるのですが、その点はいかがですか。
  156. 伊藤信

    伊藤証人 最上川上流におきましては、多少そういうものもありましたので、今度の処分をしたわけであります。
  157. 加藤充

    ○加藤(充)委員 そうすると、その反面から言いますと、使うべき見積りになつておる資材を手を落して使わなかつたということになるわけですね。
  158. 伊藤信

    伊藤証人 最上川上流につきましてはそういう面も多少はあります。
  159. 加藤充

    ○加藤(充)委員 そうすると工事自体が見積書に反して不完全なものになつてしまつたということに相なると思うのですが、その点はいかがです。
  160. 伊藤信

    伊藤証人 現在工事を実施したものにつきましてはそういうことはないと思いますが、最上川上流におきましては一部工事残つております。やらずに残つております。
  161. 加藤充

    ○加藤(充)委員 やらずに残つておるというのは、警察の手入れがあつたりなんかしてやれなかつたというのでしようか、あとからまたいかなる方法かで、別口の工事費の中からその穴埋めをして一時融通した。使うべき資材を使わずに使つたような体裁をとつたものを、今度は別の方から穴埋めして使つて工事を完全にするという意味ですか。そのために残つたという意味ですか。
  162. 伊藤信

    伊藤証人 最上川上流につきましては、現在残金が六百九十八万円あります。このうち工事をやつて金を払わないのが二百万円余あります。他の金は残工事に充てる金でありまして、この金が使えれば予定の工事は完全にできるわけであります。
  163. 加藤充

    ○加藤(充)委員 説明はどうにでもあとから弁解がつくだろうと思うのですが、使用しない材料を買入れたという形で金を浮かすということは、これは単に予算の流用だとか、その使い道がどうだとかいうような法的な、あるいは道徳面からの検討だけでなしに、工事自体が不完全に終つている。今の予算などの実際からいいますと、ぎりぎりの予算しか来ないのであります。そこに最低の技術的な良心が生かされる。ぎりぎりのところの予算措置しか講ぜられておらないのが実情でありましようが、その工事が手抜きになつておりますと、その技術的良心の限界が破れることになりますから、当然その工事は不完全であり、ちよつとしたことになればすぐに被害が出て来る。そうすれば人的に、物的にその被害の犠牲になるものはその地方民である。あなた方が監督者として、あるいはまた技術者として、その良心が麻痺している面、そうしていろいろな理由に藉口してやらなければならない多少の原因も認めるにやぶさかではございませんけれども、私はここで一番問題になるのは、地方民が工事のやり方によつて災害の最大の犠牲を受けることになる。これは単に口先であとから警察の手が入つたから、あるいは方々から監察の手が加えられたから、一ぺんの悔悟をいたしました、対策を講じましたということでは、決して被害は永世に解決できないものである。  最後にあなたにお尋ねしたいのは、そういう点で良心に誓つて、技術者として、監督者として悔いがないものか、これだけの不正をやつて悔いが絶対なかつたという自信があるかどうか。     〔委員長退席、内藤(隆)委員長代理着席〕
  164. 伊藤信

    伊藤証人 最上川上流につきましては事件直後ただちに事務所長をかえまして、はたして工事が完全にできているかどうかということを確かめさしたのでありますが、一部その後の河状の変化によりまして、工事を多少省略したという点がありますが、大体所定の工事はできていると思います。二番目にお尋ねになりました工事が自信が持てるかということにつきましては、私は自信が持てると思つております。
  165. 加藤充

    ○加藤(充)委員 やみ給与の問題ですが、やみ給与を支払うためにいろいろな違法脱法の処置を講じなければならなかつたというのですが、そこでお尋ねしたいのは、やみ給与の支払いというのは、支払わぬでいいのを支払つたというような性質のものであるかどうか。そういうことであるならば、あなたの責任はまた重大ですが、その点を確かめたいと思います。
  166. 伊藤信

    伊藤証人 当然支払わなければならぬものを支払つたのであります。
  167. 加藤充

    ○加藤(充)委員 そうすると補助員給与の問題は、大きく言えば、これはやみ給与という中に入ると思いますけれども、超勤手当あるいは補助員給与の問題、これを含めてこのたびの不正事件の原因の一つになつたのでありますがそれらの問題は今はどういうふうに処置がなされておりますか。この問題の徹底的な処理なくしては、なくすようにいたしますというあなたのお話だけでは、問題が片づいておらないと私は考えます。
  168. 伊藤信

    伊藤証人 補助員の問題に対しましては、これの給与については、結局不正手段によつて捻出した額で支払われるということで、不正事件の起る根源でありますので、われわれも機会あるごとに中央に要望いたしまして、現在は補助員のわくも二倍、東北地建にいたしますと本定員が千百名ぐらいでありますが、大体その程度のものを補助員として認めていただきまして、給与並びに諸手当、こういうものを正式に通牒をいただいて出せる道が講じてあります。
  169. 加藤充

    ○加藤(充)委員 その程度補助員給与の解決の問題では、そのわくからはみ出した補助員給与の解決はまだ困難だという事情はございませんか。
  170. 伊藤信

    伊藤証人 私の方といたしましては現在約三十億に近い工事量があるのでありますが、無制限に補助員を採用するということは、国の税金でまかなわれておるということを考えまして、できるだけ人間を減らしたいと考えまして、ある基準をきめて、これ以上はふやしてはいけないということでやつておりまして、現在は二千五百名くらいを限度として各事務所に配分しております。
  171. 加藤充

    ○加藤(充)委員 それで今まで使つてつた補助員で、わくにはずれた補助員というのはどのくらいおりますか。
  172. 伊藤信

    伊藤証人 わくにはずれた補助員はあまりたくさんはないと思います。
  173. 加藤充

    ○加藤(充)委員 超勤手当の支給の問題については、どういうふうに打開の道が講ぜられておりますか。
  174. 伊藤信

    伊藤証人 現在超勤手当は一箇月に六時間ということで、われわれとしては何としてもこの少い超勤では現在の現場は担当して行けない。特に私のところでは堰堤の工事を二箇所やつております。その堰堤作業におきましては工事都合によりまして昼夜兼行でやる場合もあります。こういう作業をやる場合に、現在の超勤ではまつたく足りないのであります。こういう点で、この委員会におかれましても、ひとつ超勤の実態に即して出していただくように、特別の御配慮をお願いしたいと思います。
  175. 加藤充

    ○加藤(充)委員 超勤は一箇月六時間ですか。そうすると、災害の復旧という工事の性質から見て、一箇月六時間程度の超勤では片づかぬ、こう言われますが、災害が起き、また今やりつつある復旧工事でこういうようなやり方で昼夜兼行でなければできないというようなことになりますと、昼夜兼行でしなければならない工事の性質上、先行いたしますから、それを打切つてしまわなければ、あなたの言われたような処置は完璧ではありませんし、それを継続してやつて行けば、やはりこの給与をどこからかはじき出して払わなければ工事ができない。応急の処置ができない、こういうことになると思うのですが、その点はいかがですか。
  176. 伊藤信

    伊藤証人 現在のところはやむを得ず職員の良心に依頼しましてやつております。
  177. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員長代理 ちよつとお伺いしますが、人夫賃の立てかえ制度が廃止されてから、あなたの各事務所が非常に困つておるというような事情を聞いておりまするが、この実情はどうですか。
  178. 伊藤信

    伊藤証人 昔は人夫賃の立てかえ人という者がありまして。仕事をやりますと月に二回ずつ支払いをやつておりました。十五日、三十日が締切りであります。金を請求しまして十五日ないし一箇月をたたないと現金にならないわけでございます。その間労務者が非常に困るものですから、立てかえという制度がありまして、それは政府におきましても認めておつたわけであります。それで労務者が立てかえ賃を一円について幾らというふうに出しておつたわけであります。それでお前の人夫賃を立てかえてやるが、おれに金を受取る権利をまかせろという承諾書をとりまして、役所とは契約してあるわけであります。それで立てかえ人から人夫に直接金を払いまして、立てかえ人が役所に対して人夫賃を請求するわけであります。この制度がありまして、直轄工事は非常に円滑に行つていたわけであります。ところが予算の配付が一箇月ないし二箇月遅れるということで、大体そういう方向でやつて来たのでありますが、だんだん金高が多くなりまして、立てかえ人ではまかなえないということになりまして、それが銀行からの借金となり、最上川下流のごとき、大金も借りて、それでもつて予算の来ない間の工事をやつたということに相なるのであります。
  179. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員長代理 だからこの制度が廃止になつたことにも今度の事件の原因があるということですね。
  180. 伊藤信

    伊藤証人 そういうことでございます。
  181. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 証人に二、三お伺いいたします。昨日からの各証人によつて幽霊人夫、いわゆるから点検というものが各地に行われておるようでありますが、北上川下流工事でから点検によつて予算の一五%以上が使われ、なおかつ国庫への返納金が八百四十三万あつたというような点から見て、こうした河川工事予算というものはそれほどのゆとりがあるものかどうか承りたい。
  182. 伊藤信

    伊藤証人 北上川下流につきましては特殊の理由だと思います。ここだけであります。予算が大体一億でありますが、そのうちの一五%くらいが残つております。これは北上川下流は特殊の事情がございまして、直轄工事でやつたためであります。大体五%前後、あるいは足らないか、あるいは余るかということは普通でありますが、これは所定の工事を一割増すとか、あるいはこの金を翌年度分の方に充てるとか、認証外で他の工事に充てるとか、そういう手続を怠つたためにこういうことになつたと思います。
  183. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 これは北上川下流工事の特殊な状況だということでございますが、昨日深井工務部長証言を求めたのです。たとえば現在のような物価の変動のある場合に、最初の設計による予算編成をやる。そういう場合に二箇月、三箇月工事をしておるうちにだんだん物価が上つて、その予算をもう使い切つちやつて、足りなくなつて工事が行えないという場合があるであろう、そういうときにはどうするかと私が質問したのに対して物価の変動のあるときにはあらかじめ当初設計において二割とか三割とか見積つて設計するというような証言があつたのですが、そういうことが今でもあるのですか。
  184. 伊藤信

    伊藤証人 最近におきましては、建設本省において大体こういう標準でやれ、こういう物価でやれという指示がありますので、それに応じてやつておりますから、そういうことはないと思います。
  185. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そういうことはないとすれば、そこで当然起きて来るのは単価更正ということであろうと思う。工事中にそれが行き詰まつてしまつて金が足りなくなる。そういう場合に、この直轄工事はなおさら先の物価を見通して設計をやるなどということはあり得べきことでないと私たちは考える。ただそういうことが今日まであつたということなのであります。そうするとこの単価更正に対して、本省が地方のあなた方にどういう処置をとつておりますか。ただ工事がこういう状態であるとすれば、ただちに監察官なり調査員なんかが来て、単価更正をすぐ敏速に行つておるものであるかどうかということをお聞きしたい。
  186. 伊藤信

    伊藤証人 単価更正とかそういうものは一つもやつておりませんが、大体翌年度あたりには更正してもらえることになつております。現在箇所ごとに認証があるわけでありますが、この箇所ごとの認証ということが弊害があるのでありまして、川一本で認証していただけば、金が残つた場合には、継続事業でありますからほかの工事に使えますし、金が足りない場合には、工事を縮小するということができるわけでありまして、認証を箇所ごとにやつているというのがわれわれの一番苦痛であります。
  187. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 要するに四期にやつていたものを一期にやつている。それで認証という制度の弊害はわれわれにはよくわかりました。ただ今のように単価更正が明年度において認められるということになれば、小さい工事ならいざ知らず、大きい工事であればただちに単価更正はできないでしよう。そうした場合に、あなた方として特に東北地方工事実施状況をよく考えなければならぬと思う。暖かい地方の工事と寒い地方の工事とは非常に違う。証人によると一年間のうち百日間ほどしか工事ができないという特殊の東北地方工事が、今のように単価更正がされるということになると、今後とも河川工事その他の工事が非常に心配をされるわけです。われわれはそういうことであつてはならないと思うので、あなた方は何かこれに対して対策というようなものをお考えになつたことがありますか。またそういうものを本省に強力に申し述べるとか、あるいは陳情なり請願なりしておりますかどうか。われわれはただこの事件の全貌を明らかにするだけでなく、今後の対策を国会として考えなければならぬと思いますから、それに対するあなたのお考えを述べていただきたいと思う。
  188. 伊藤信

    伊藤証人 われわれの従事しておる直轄工事は大体継続事業の性質を持つたものでありますから、多少工事費が遅れても、工事の延期をいたせばその年はまかなえると思いますから、心配ないと思います。
  189. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 その年はまかなえるということより、われわれの希望は工事を完成させるということです。ことに災害等に対する工事は一日も早くこれを完成せしめなければならないというのがわれわれの考え方です。今日までいろいろなやみ人夫使つたとか、接待をしたとか、要するに金が十分に足りなかつたというところから問題は出て来た。そうすると、金が足りなければ工事ができない。あなたの証言によれば、別の金があるからそれを流用するというが、小さい工事ならそれでできます。しかし大きな工事の場合はそれができないじやないですか。そういう場合はどうするのですか。
  190. 伊藤信

    伊藤証人 これはやはり中央と相談してきめる以外に方法はないと思います。
  191. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 だんだんそういう結論に達して来るのです。そうなるでしよう。そうすると、この単価更正というものが明年度において認められるなどというようなやり方ではいけないという結論になるじやないですか。
  192. 伊藤信

    伊藤証人 そうです。
  193. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 それからもう一つは、予算の編成時期ですが、予算の編成がことに東北北海道においては問題です。毎年三月三十一日に終つて、四月一日に予算が決定せられて、そして現場に配付されるのは二月、三月遅れるということになるわけであります。ほんとうに工事のできる期間に金が来ないという結果になる。だからこの土木事業、ことに東北地方災害工事などというものに対しては、国家がこれに対する予算編成を時期的に改訂しなくてはならぬじやないかというような考えを私は持つておるのですが、それに対してあなたはどういうお考えを持つておりますか。
  194. 伊藤信

    伊藤証人 御承知の通り、私たちも大いにそれを要望しておるのであります。
  195. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 大体それで私の考えと一致したのですが、もう一つ承りたいのは、最上川下流工事等において、予算成立前に金を借りて工事に着手したことがあるのですね。予算がきまらない前に請負師からかあるいは銀行からか、だれから金を借りて工事をやつたという事実があるのですが、御存じですか。
  196. 伊藤信

    伊藤証人 そういうことはないと思いますが、よく調べてみます。予算が成立してからだと思います。
  197. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 きのうの工務部長証言では、それをやつた証言している。速記録を調べればわかりますが、それではなぜやつたかと聞いたところが、地元の要望が非常に強かつたので、予算成立前に工事にかかりました、こういう証言をしておるのですが、そうではないのですか。
  198. 伊藤信

    伊藤証人 よく調べてみます。
  199. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員長代理 他に御発言がなければ、これにて伊藤証人に対する尋問は終了いたしました。証人には御苦労さまでした。
  200. 伊藤信

    伊藤証人 一言希望を述べさせていただきたいと思いますが……。
  201. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員長代理 これに関連してですか……。いいでしよう。
  202. 伊藤信

    伊藤証人 昨日来、直轄工事に対しまして、委員の方々のうちに非常に疑問を持つておられる方もあるようでございますが、直轄工事の現地を見ていただけば、ただちにわかることと思いますので、機会がありましたならば、委員の方々もぜひ御視察を願いたいと思います。  それからもう一つ、われわれといたしまして、かような席でしやべるのは非常に不得手であります。そのために自分の行つたことに対しても、表現が十分にできない、こういう点はまことに遺憾です。しかしわれわれは誠心誠意、国のためということでやつたということだけは、ひとつお認めを願います。     —————————————
  203. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員長代理 引続さ賀屋証人より証言を求むることにいたします。賀屋君ですね。
  204. 賀屋茂一

    賀屋証人 はい。
  205. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員長代理 あらかじめ文書をもつて御了承願つておきました通り、証人として証言を求むることになりましたので、さよう御了承願います。  ただいまより公共事業費をめぐる不正事件について証言を求めることになりまするが、証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないこととなつております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人、または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者、またはこれらの職にあつた者がその職務知つた事実であつて、黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知になつておいていただきたいと思います。  なお証人が公務員として知り得た事実が、職務上の秘密に関するものであるときは、その旨を申出願いたいと存じます。  では法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書の御朗読を願います。     〔証人賀屋茂一君朗読〕     宣誓書  良心に従つて、真実を述べ何事もかくさず、又何事もつけ加えないことを誓います。
  206. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員長代理 それでは宣誓書署名捺印してください。     〔証人宣誓書署名捺印
  207. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員長代理 これより証言を求めることになりますが、証言は、証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際には、その都度委員長の許可を得てなされるようお願いいたします。なお、こちらから質問をしておるときはおかけになつていてよろしゆうございますが、お答えの際は御起立を願います。  では証人賀屋君は、現在の職にいつおつきになりましたか。
  208. 賀屋茂一

    賀屋証人 昭和二十三年二月であります。
  209. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員長代理 防災課長としての賀屋君は、石川県に起つた天狗橋事件を御承知でありますか。
  210. 賀屋茂一

    賀屋証人 概略は存じております。
  211. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員長代理 天狗橋災害復旧補助申請に対して、建設省がとつた処置についてひとつお答えを願いたいと思うのでありまするが、まず査定について原地調査の報告はどういう内容だつたのですか。
  212. 賀屋茂一

    賀屋証人 天狗橋関係は、これはほかの申請と全部一緒になつて申請されておりました。査定官からの復命によりますと、天狗橋は大体一千万円程度の申請であつたのでございますが、これは九月のジエーン台風で受けた災害復旧ということになつて申請されております。査定官が参りましたのは十一月でございまして、査定官は県におきまして、天狗橋の状況の概略を聞いて現地査定に出かけたという復命でございます。行つてみましたところがこれは現地へ行つたのは十一月十二日かと聞いておりますが、この天狗橋が落橋をいたしまして、申請された状況とかわつた、すでに落ちておつたところに参りましたので、査定官といたしましては、落ちたものを復旧するという災害復旧計画は、一応県としては立つて来たのでありますが、採択について疑問があり、工法についても疑問がありますので、採択を未決定にして、保留として帰庁したわけであります。以上のような状況であります。  なお天狗橋が落橋しましたときの状況は、現地で多少聞いたようでありますが省略いたします。
  213. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員長代理 その査定官が行つたときは、すでに落橋しておつたわけでありますね。
  214. 賀屋茂一

    賀屋証人 さようであります。
  215. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員長代理 石川県はさしあたり県単で、四百七十万円で復旧工事を完了しておるそうでありますが、それに対する補助金等を申し出ておつたかどうですか。
  216. 賀屋茂一

    賀屋証人 四百七十万というのは、現在石川県が単独でかけた費用だろうと思うのでありますが、それに対しましては国庫負担の申請はいたしておりません。
  217. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員長代理 そうすると、最初にその全体の中へ天狗橋も入つて申請をしておつたけれども、現地へ行つてみると落橋しておつた関係で査定官がこれを査定することを躊躇して来た、猶予して来た、そこで県は県単工事で四百七十万でやつてつて本省への国庫補助を申請していない、こういうわけでありますね。
  218. 賀屋茂一

    賀屋証人 さようであります。
  219. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員長代理 地方公共団体から災害復旧補助費要求に対する査定を求めて参りまするが、その査定の手続をごく簡単に述べてくれませんか。
  220. 賀屋茂一

    賀屋証人 災害の査定でございますが、災害が発生いたしますと、手続を県の方に持ち出してやりまして、概況の報告はもちろんして来ます。そうしまして県の方で復旧につきまして、国庫補助申請をしたいというものを、これも様式はすでに示してあります。この示した手続に基きまして国庫負担申請をして来るわけであります。この中には道路あり、橋梁あり、河川あり、いろいろまざつておりますが、すべて工事番号をつけてありますが、この工事番号もきまつた手続で、こういうふうな順序によつてつけるのだということを明細に示してあります。これに基いて申請するわけであります。これは申請でございますが、ただいま申しますのは添付された書類のことでありまして、これは私の方ではもくろみ書と称しておりますが、もくろみ書と申しますと、災害の箇所が羅列してございまして、番号があり、場所がこまかく字まで記載してございます。橋でありますれば、橋の名前まで書いてあります。それから復旧をする工事の概要、延長はどのくらいであるとか、あるいは護岸をするとかいうような概要が書いてございます。そして県が申請いたします。申請工事の額も書いてあります。これをもくろみ書と称しておりますが、これが添付されます。それからどの場所であるというのを管内図にこまかく番号をつけて、河川、道路、これは町村なり県工事の区別もし、河川道路の区別もこまかく区別することになつておりますが、これを管内図にこまかくつけたものを添付して来ます。それから県は災害が起きた原因の気象状況もこまかくつけて来ております。規定ではもくろみ書をつけ、設計書をつけるということになつておりますが、設計書はこれは非常に多いのでございまして、設計書までも本省の方へ持ち込んで来ません。これは県の方で申請するときにすでにできますので、検査のときに提出することにいたしまして、府県の方で保留させております。規定では設計書を添付するということになつておりますが、取扱いとしては添付を申請まではいたさせませんで、県の方に保留させております。こういうものを申請して来るわけであります。これが来ますと、これを受理いたしました主務大臣の方では、非常災害かいなかということを一応協議されるのでございますが、非常災害であると認められますと、検査官を任命いたしまして、実地検査をさせるわけであります。これが大体検査に至りますまでの状態でございます。
  221. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員長代理 先般の土木部長証言中にあつたのですが、一千万円以上の、そのときのもくろみ書の中に、箇所は何箇所ほどありましたか、記憶ありませんか。
  222. 賀屋茂一

    賀屋証人 何箇所ということは記憶がありませんが、去年あたりの石川県の程度くらいの災害でございますと、一千万円以上というものは、そうたくさんはないと思います。数についてはちよつと記憶はございません。
  223. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員長代理 石川県から先般出頭した証人証言では、県は単に災害復旧のもくろみ書を添えて、補助申請をするだけで、補助額は査定で定まるのであるから、補助申請についての責任はないというような証言をしておるが、この点はどうですか。
  224. 賀屋茂一

    賀屋証人 形から申しますとその通りであります。しかしながら、どんな申請額を吹きかけてもよいということではありません。これを申しますと、法律がありますし、政令があり、省令があり、さらにこまかい要綱をきめておりまして、原形復旧及び超過工事はこういうものまで超過工事でできるというふうな、こまかいものがきめてありますので、大体それに準拠されるのでございまして、もちろん県も準拠されておりましようが、これに準拠されて出されるのであつて——これについては県も申請しておられますから、これに基いて出されるのであつて、ただ県の言われることは、おそらく自分らはそれに基いて出しておるあとはどう決定するかは検査官がきめるのだから、自分らに責任はないということであろうと思いますが、準拠されるものは明らかになつておりますので、その点を逸脱したような申請額を持ち出されることはないと思います。
  225. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員長代理 広汎な災害のあつた場合、本省がその査定についての現場調査をする場合に、標準があるか、範囲があるか。その現地調査ができない場合には、これはどうされるのですか。
  226. 賀屋茂一

    賀屋証人 これは人の都合、人の数がきまつておりますし、それから日数に制限されまして、復旧でございますので、復旧計画を早くきめてやらなければならない。早くきめないと、地方に対する負担金もきまらないというので急がせます関係で、全箇所を実は見たいのでありますが、見られない場合がありますので、現在では現地査定は全体の六割以上をなるべく現地で見るという方針をとつておるのでございます。その他のものにつきましては、災害工事のように短期間でやりますので、ほとんど徹夜作業で、机上査定と称しておりますが、書面で見るのでございますが、これには全部被害を受けた写真を添付させまして、写真で実は判定して復旧設計をつくるのでございます。これを机上査定と申しております。
  227. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員長代理 要するに、何百という箇所を一々現地につくことができないから、机の上で査定をする場合がある。しかしその場合に、県の申請に水増しの要求が往々じやなくあるということは常識のように聞いておりますが、どうですか。
  228. 賀屋茂一

    賀屋証人 私あたり、今まで体験したことから申しますと、机上査定の方がかえつて査定はきつくなつておるような形に見えます。これは現地に行きますと、実情がわかりますが、机上査定は写真で見ますから、査定官ともなりますと、盲めつぽうはとりませんので、写真で判定するときは、かえつて査定はきつくなつておるような事情でありまして、地方におきましても、机上査定をしてくれということは希望しない。なるべく現地を見てくれという希望でございまして、机上査定をしたから、水増しをそのままのみ込むのだというような形には私は考えておりません。かえつてきついと思つております
  229. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員長代理 大体災害復旧補助工事は、いわゆる原形復旧ということが原則のようになつておるのですが、ある程度の改良も認めておるのでしようか。
  230. 賀屋茂一

    賀屋証人 これは本年施行しております法律にも明記してございますように、改良工事は認められております。これにつきましても、こまかく改良工事を認められる場合はこんなものだということは、要綱をこまかく示しておりまして、法律では、原形復旧が不可能な場合、内容から申しますと、原形復旧が非常に困難な場合とか、あるいは現地の実情に照して、原形を復旧したのでは再び災害を繰返すというものにつきましては、原形復旧をすることが非常に不妥当でございますので、これには改良を加えて、再び災害を受けないという設計をたてるわけでございます。これにつきましても、要綱の方に、超過の場合はこの程度超過をしてもよろしいのだということをこまかくきめまして、府県の方に示達いたしてございます。
  231. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員長代理 原形復旧に改良を加える場合には、その限度をこまかくきめてある、こういうわけですね。
  232. 賀屋茂一

    賀屋証人 そうでございます。
  233. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員長代理 市町村の復旧費について、これまた相当水増しがあるといわれておるが、そのまま工事請負う場合、業者に不当利得をさせるようなことには相なつて来ぬでしようか。
  234. 賀屋茂一

    賀屋証人 われわれはそういう面を監督いたしますときに、市町村工事については、そういう感じを持つております。しかし、さき申しますように、市町村の工事も県工事も同じように厳格な査定をいたしておりますので、復旧費の査定されました金額で請負わされたからといつて、その中に多くの利潤が見てあるのだということになつておりませんので、業者が非常に利益をするのだということは考えられません。但し実情から見ますと、県工事につきましては、入札等で相当競争もありますので、落札が査定額よりも安く落ちるような場合も見えますけれども、町村工事に至りますと、そういうことが非常に少い。査定額そのままが請負になつておるというのが多いのでありまして、その点はもう少し市町村の請負その他についてよく見なければならぬだろうということは感じておりますが、まず査定工事費仕事をされました場合には、その中に利潤がたくさん見てございませんので、その査定通りに仕事ができます以上は、業者が特に利益するのだということは、われわれとしては考えられません。
  235. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員長代理 それではお聞きしますが、市町村の災害費の負担分には、往々にして虚偽があるということををわれわれ聞いております。しかしあなたが今おつしやつた証言に基いて、そういうことがあまりないというならば、それはどういう根拠で……。たとえば決算等を調べたことがあるのですか。
  236. 賀屋茂一

    賀屋証人 これは私の方の災害の実施状況の監督でございますが、検査にも間に合わないような状況でございますので、中間的に指導監督することは、非常に手が足らないのであります。それでわれわれは市町村の工事については、実はさつき申しましたように、多少警戒の目を持つておりますが、一々町村に行つてこまかに帳簿を調べさすということはなかなか困難でございますので、前年もいたしましたと思いますが、今年に至りましても、これはやむを得ませんので、集合監査を実はいたしておるのであります。これは関東、東海あたりに災害が発生いたしますと、これは一律に行きませんので、一地に集めまして、設計書、これに対する実施実績、経理簿等の調査を——県の土木出張所単位を標準にとりますが、そういうところに町村の書類、設計書を全部持つて来させまして、そこで監査をいたしまして、悪いところはどんどん直させるというような方法をとつておるのであります。また中間検査等におきましては、これは町村等へどんどん行きまして、予算書、決算書等は随時監査いたしておりますが、なかなかわかつておりません。それと災害復旧はやり放しではないのでありまして、全部終了いたしますと清算をやらせます。これは町村工事のときも同じでございますが、全部清算をいたしまして、もしその中に適当でない支出がありましたら、どんどんこれは国庫補助の対象から除外して行く。そのために実際金がかかつた内容で、適当でない金がありました場合には、これは除外されますから、それに対する国庫補助を還付するという処置をとつておりまして、この清算は場合によつたら、予算書もとりますし、支出されました町村の内容までとりまして、綿密に調べておりますので、清算の点にまで至りますと、不当なものは絶対に中へ入らないという自信をわれわれは持つております。
  237. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員長代理 災害の復旧工事というものは緊急を要するから、勢い設計とか、工事監督等も粗漏になりやすいと私は考えられます。こういうことについて建設省はどういう処置をとつておられますか。
  238. 賀屋茂一

    賀屋証人 これは御承知のように、毎年公共土木施設につきまして災害が発生しておりますので、少い年でも四万、多い年には七万近くも起きるのでありますから、多少設計が粗漏になりはせぬかということは、われわれとしても重々考えております。災害の査定金額を見積りますのは、われわれは他の事業はよく存じませんけれども、比較的的確なものではなかろうかと思いますのは、単価その他につきましては、あらかじめこれは研究させまして、不当な単価では見積らせないということにしております。分掛りにつきましても同様でございます。人夫賃金あたりにつきましては労働省、物価につきましては物価庁の調べを基本といたしまして、その後の卸売物価等の変動を見て、物価、単価をきめております。それから分掛りにつきましても同様にわれわれの方で一応きめたものがございますが、それを最近の状況を勘案いたしまして、単価、分掛りのしつかりしたものをつくらせております。こういうことから計算をしておりますから、積算されたものについては私の方は相当固いものだと思つておりますが、さきに申しますように、多くの箇所を見ますので、ときには粗漏になつて、あるいは的確を期せられないというものがないとは限りませんが、これは実施の場合には必ず実施実績が来るのであります。多少でも設計よりも変更した場合には、全部変更の手続をさせまして、主務大臣の承認を経るということになつておりますので、よしんばこれをたくさん見るので、査定のときに多少粗漏がありましても、実施のときにはこれが是正されます。われわれは災害復旧については、箇所ごとにこれがきまりますので、設計はそう粗漏ではないというふうに思つております。
  239. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員長代理 それからもう一つお聞きしますが、先日来いろいろな不正事件につきまして調査をしておりますが、その中の証言には往々にして、そういう金をいわゆる幽霊人夫なり、あるいは砂利を云々というようなことをやつて、金を捻出するのは、要するに中央から来られる査定官とか、あるいはまた視察に来られる人々を饗応するための費用がないから、やらざるを得ないのだ、こういうことであります。この間もそういう証言をした者がたくさんおります。しかしこれはどうですか、建設省といたしまして、たとえば査定官を出す場合、そういう人人はどこで多く査定されますか。旅館等でやつておると聞きますが、そういう場合に変なことが生まれて来るのではないでしようか。その実情をお聞きしたい。
  240. 賀屋茂一

    賀屋証人 災害が起りますと、災害の査定のために、われわれの方は職務でありますので、必ず行きます。しかし検査は、御承知のように短期間にこれが起りますので、今年のように十月ごろに起るということになりますと、十二月の末ごろまでに、どうしても検査をして復旧設計を樹立し、それから復旧に要する金額も確定しなければいけない。それというのは、災害で復旧計画を早く立てなければならぬというのは当然でございますが、早くいたしませんと、国庫負担の率がきまらないわけであります。これを早くきめてやりませんと、府県、市町村の財政の関係もきまりませんので、その意味もありまして非常に急いでおります。そのために短い期間で実は査定をやらすのであります。府県の災害の検査の状況を申しますと、まず二、三人くらいから、大災害を受けましたところになりますと、五人、六人と査定官が行く場合もございます。日数にいたしましても二、三、四、五日、一週間、あるいは十日近くも行くこともありますが、一人の検査官が一日に検査をして設計を確定するのは、大体百箇所、多いときには百五十、二百というものを一日にこなすような実情でございますので、私といたしましては、課員が検査官で出ますが、まことに相済まぬことでありますが、課員を実は酷使してやらしておるような状態でありまして、査定現場をごらんになればわかりますが、ほとんど課員は夜遅くじやなくて、徹夜して四時、五時までかかつてつております。朝はすぐ飛び出して行つて、現地調査をやつているということでございまして、私はわれわれの検査官が地方で接待を受けるなどという間隙はほとんどないと思います。もしそういうことをやつておりますと、短期間のうちにまとまつて来るものがまとまらぬというのが実情でございます。しかし私の方はこの災害の検査で地方で雑費がかかるということも心得ております。それでこれはお互いに考えなければならぬということで、実はただいま委員長は旅館等でというお話でございますが、旅館等でやつていることが多いのでございますが、私の方はこれは再三県の方に勧告して、災害査定のまとめなんかを夜旅館でやるな、なるたけ県庁、出張所あるいは学校等、公共施設を借りてやれということを再三督励しておるのでございます。これは二回や三回ではございません。通牒を出してもらつて督励しておるわけでございます。これはなかなか実行されませんでしたが、最近ぼつぼつ府県の出張所などでやつておることを聞いております。これは今後も督励して行きたいと思います。こういうふうな状況で、検査については雑費がかかりませんように、県と協力いたしましてわれわれは努めておる状況であります。
  241. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員長代理 他にお聞きになることはございませんか。
  242. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 二、三証人にお伺いいたしますが、大体今回の不正事件を調査して参りますと、便宜主義でやる。それから今のお話の、接待費などというものはごくわずかで、接待する人が大部分飲んでいたということもわかるのです。そういう点はいずれいろいろな立場からお話を承りますが、いずれにしても、こういう不正事件が起きるということに対しては、今後万全の措置を講じなくてはならぬと思います。そうするとわれわれといたしましては、いろいろな証人から承つて、従来までの認証制度というものが、四半期ごとにやつていた。それを今度は一年ごとにやつているが、この認証制度というものの改正をしてもらいたいという証人言葉が非常に多いのですが、これに対して建設省としてはどういうお考えを持つておるのか、これをひとつお聞かせ願いたい。
  243. 賀屋茂一

    賀屋証人 認証でございますが、これは従前は四期にわけて認証したということもございます。本年度になりますと、一時認証であります。これは事務の取扱いからいいますと、非常に手数であります。県の方から出してもらうことも、県の方も非常に手数でありますので、手数を省略することからいいますと認証はやめてもらつた方がいい。われわれの実施の面からいつても少しも効果がございません。遅らすのみでございますからやめてもらいたいと思います。しかしわれわれの方は、認証のために府県の実施が非常に遅れるということは現在はございません。四期にわけたりすると非常に困難でございますが、現在では認証のために工事の着手とか実施が非常に遅れるということはしておりません。
  244. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 これは研究の余地があると思いますが、われわれの方でも十分研究しなければならぬと思います。それから認証とは違いますが、予算関係で、たとえば東北、北陸、北海道というような工事期間の非常に短い土地においては、国からおりるところの金が設計工事に間に合わない。そのために災害復旧が延びて行くということがままあるようですが、これに対して建設省は、ああいうような特殊事情にある東北、北陸、北海道などという方面に対しての国庫補助、あるいは今後の予算編成に対しての特殊なお考えなり御構想がありますか。
  245. 賀屋茂一

    賀屋証人 別に特殊ということはございませんが、これは四期に分けて認証いたしておりましたときは、東北、北陸、北海道という雪国につきましては、認証いたしますのに三期、四期に延ばすという方針はとりませんで、一期、二期についてはどんどん持つて行く。四期には東北、北陸、北海道方面には全然もう配分がないという考えで、四期にいたしますときは、そういうような配分を繰上げて、もし金額で四等分されました場合は、残るのは暖かい九州その他が遅れて行くというような手を打つております。しかしながら、予算のきまりますのが四月から以降になりますので、四月、五月になつてまだ本年度実施する工事がどつちを向いておるかわからぬというようなことはないようにいたしております。金を早く出すことは先ほど申した通りでありますが、年間の仕事をほぼ見当をつけさせてやるということが一番必要なのでありまして、これは予算がきまりますれば、ほぼ仕事の緩急とか、復旧工事の事業の緩急によりまして、年間の事業を速急にきめてやるようにいたしております。ただ年間どのくらいやるのだということを地方が計画されるのは年度当初でありますから、その間の配分だけが問題になるのでありますが、これは現在のように認証が一回になりますと、この点は問題がなくなりますけれども、四期のときは先ほど申しましたように、寒冷地は一期二期のうちにやるという措置はとつてつたのであります。
  246. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 日本のような北から南に延びておる地形では、ことに雪国などに対しては、特別の処置を講じなければならぬと思いますが、今お聞きいたしますと、できるだけ東北、北陸、北海道という方面については便宜をはかつておるようですが、今後ともそういう方面の方々には特に敏速にやつていただきたいということを希望申し上げるとともに、もう一つ私は先般来言つておるのですが、日本のような北から南に延びておるような国では、単に工事ばかりでなく、他の方面においても、予算関係で何をいつても三月三十一日で終つて四月一日で始まるのですが、そういうことから考えて、建設省の工事的な考え方からいつて予算時期を十二月末日に終つて一月一日から始めるというような予算編成でもした方が非常に便宜じやないかと考えられるのですが、そういう点について、建設省の公務員としてどうお考えになりますか。
  247. 賀屋茂一

    賀屋証人 それに対しましては的確な意見を持ちませんが、今の予算の年度がわりの時期が四月であることは適当とは考えられません。もう少し早くした方がいいということは考えられるのでありますが、十二月が一番いいということはちよつと申し上げかねますが、現在の年度初めは少しかえた方がいいのじやないかという考えを持つております。
  248. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 最後にもう一つ承りますが、先般来の証言を聞いておりますと、設計などをやる場合に物価の変動が非常に多い。それであらかじめ物価の値上りを予想して設計なり予算なりを組むこともあるというようなことでありましたが、いやしくも直営事業、国が直接やる事業として、そういうような将来を考えて設計するというようなことは、あまりにも便宜主義だと私たちは考えるのです。それに伴つて当然起きて来るのは単価構成の問題ですが、単価構成を敏速に建設省でやれば、そういう将来の物価指数の値上りまでももくろんだ設計などというものは、あるべきものじやないと思いますが、この単価構成に対して建設省としてはどういう処置をとつておりますか承りたい。
  249. 賀屋茂一

    賀屋証人 災害査定では物価値上りの将来を考えてはきめておりません。たとえば今年でございましたら七月なら七月、災害の検査を始めるという一番近いときに大体方針をきめまして、そのときの状態というものを単価にしておるわけであります。そうなりますと、変動がはげしくなりますと、箇所ごとにつきまして申し上げますと相当足らないものが出て来るわけであります。実は状態から申しますと、二十五年度までについて考えて、そう災害復旧では物価変動で齟齬を大きく生じておるということはないはずであります。ないと申しますのは、箇所ごとにはありますが、これは設計変更が認められます。主務大臣の承認を経まして、設計変更を認めるわけであります。それで災害箇所ごとに設計をつくつておりますので、箇所によつて実施することが一年、二年遅れますから、非常に状態がかわつて来ます。そうすると単価を変更しなくて実施設計をかえなければならぬということが起つて参ります。設計変更は非常にたくさん起るのでありますが、かえつて査定よりも安くできた場合もあり、あるいははなはだしく金額が増して来る場合もあります。この操作で今まで、二十五年度までの状態を申しますと、割合に査定した金額に不足はございません。これは御承知の通り、鉄材その他につきましては途中で下つた場合があり、こういうことが左右しておると思うのでございますが、査定しました範囲で大方は片づきます。二十六年度になりましてからはこれは非常に高くなつておりますから、残つた仕事すベてが査定通りできないという状況であります。でありますが、これは実施する箇所を除いてしまうというわけには行かないのでございまして、どうしても不足の穴ができます。穴はどうしても補正予算等で追加して出してもらうという方法をとらなければ、私の方といたしましては事業量を減して行くことができない。改良工事でございますと一千メートルやるものを、あるいは金が足りなくなつたから八百メートルでよして、また続けて行くという手があるのでございますが、災害は箇所でありますから、中途半端で置いておくことはできない。どうしても穴は穴で埋めて行かなければならない。これは補正予算等で増してもらうよりほかには方法がない。実はそういうことを要望しておる次第でございます。
  250. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 操作のできるときの単価更正ならいいですが、今のようなどんどん物が上つて行く場合に、先ほどの東北建設局長の話を聞くと、単価更正が明年度予算編成、年度がかわつてからでないとそれは認められないというようなことを、証言しているのですが、そういうことでは、ただいまおつしやつたように工事を中途でやめるというわけにも行きませんですが、それに対する何か便宜、というよりも処置があるのじやないですか。
  251. 賀屋茂一

    賀屋証人 災害につきましては先ほどから申しますように、箇所が非常に多いものでございますから、それで何万という県によつて申しますと、一県にその年の災害が三千、五千とあることがあるのでありますが、それを込めた金を一つの大きなわくにしておりますので、実は復旧が促進できません。金額はたくさんあるわけでありますが、そういたしますと、わくは相当大きなものがありましても、実施するのはその五割ぐらいも実施されません。五割実施するといたしましたところが、金額が単価の値上りで増して来ますと、残りの金を実は動かしてそれで落しているわけであります。そうしますと、いよいよ最後に残つて来るところに穴がある。これを実は今にらんでおるのでありますが、そのくらいの程度は補足してもらつて、現在は設計変更で進めております。
  252. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員長代理 ちよつと小松君、本会議関係もありますから、なるべくひとつ簡潔に……。
  253. 小松勇次

    ○小松委員 災害復旧の設計は地元の府県が主として設計されておると思いますが、この設計を査定されて災害復旧の金額がきめられておると私は思うのであります。そういう場合には書類上だけでその査定をするのか、やはり現地に一々御出張になつてその査定が行われておるのかどうか、その点はどうですか。
  254. 賀屋茂一

    賀屋証人 災害査定はこれは原則として現地に行つて現場を見て設計書をきめるわけであります。これは県で現場を見て一応設計書をつくられますが、検査官がさらにその設計書を携えてこわれた現地に参りまして、そうして復旧計画が適正かどうか、検査官の考えに合うかどうかということ、また実情に合うかどうかということを実地に見るわけであります。でありますが、さきにもお答えいたしましたように、これは非常に数が多うございますので、全部を見かねるのでございます。非常な山奥の箇所についても一件一件見たいのでございますが、それはできかねるのであります。それで現在では大体全部のものの六割程度以上は必ず見ようという方針で、実は進んで来ておるわけであります。
  255. 小松勇次

    ○小松委員 その現地に御出張なさる場合に、その災害の箇所数の大小を問わず、その被害の程度によつて現地をごらんになるのですか。
  256. 賀屋茂一

    賀屋証人 被害の程度ということはございませんが、大体われわれの方で総被害あるいは総箇所数ということを勘案しましてきめるのでございますが、被害がひどい所を大体実査するのであります。被害の大したこともない所は実査しないという方針ではございませんができるだけ見ようという方針であります。
  257. 小松勇次

    ○小松委員 なおさような方法によつて復旧額がきまつたものに対して、さらにまた実施設計をなさるということがあるというお話であつたのですが、どなたがこの実施設計をおつくりになるのですか。
  258. 賀屋茂一

    賀屋証人 実施設計と申しましたが、災害査定をいたします設計は、たくさんのものをやりますから、そう綿密なものはできかねるのであります。こまかいものは査定、設計がすぐでき、実施設計になり得るのでありますが、大きなものになりますと、もう一度現地をはかりまして、はかることははかるのでありますが。たとえば橋梁にいたしましても、河床の二メートル下には岩盤があるのだという予想で査定いたしますと、実施の場合には実際に当つて見なければなりません。そして現地に合うような設計——現地を査定したときには見込みに多少違つたことも生じて来ますので、これに合うような設計を、現地を細密に調べた結果によつて、査定のときに考えたよりも違うとなれば設計を建直す。これは県の方でやります。県の担当者が実施設計図を直すわけであります。それが災害の査定の方法でもかわつて来ますと、これは実施設計と申しましても、設計変更をやはりその主務省に伺つて来るわけであります。主務省と協議して実施設計がきまつて来るわけであります。
  259. 小松勇次

    ○小松委員 そうすると県の方でこれを請負に出す場合には実施設計が確定してから出すことになりますか。
  260. 賀屋茂一

    賀屋証人 大体そうです。
  261. 小松勇次

    ○小松委員 それからなお先ほど来書類上の検査のお話も承つたのでありますが、書類上の検査だけでは不正があるかないかということはわからぬと思いますが、工事が完全に設計通りにされておるかいなやということに重点を置かなければならぬ。そこであなたの方では、工事竣工の場合に、何千万円以上のものは本省から出張して検査をするということがあると思うのでありますが……。
  262. 賀屋茂一

    賀屋証人 それはございません。ございませんが、私の方で中間検査——私の方で、でき上つた工事が悪いとかなんとかいう考えではございませんで、実は実施しておるときに中間指導にまわしておるわけであります。実施しておるときに中間指導をやらせるのが一番効果的でありまして、でき上つたときにわれわれが見ましても、全部のものをたたいて来るわけではありませんので、わかりかねることがございます。中間指導は、府県工事でありますれば知事の責任においてやりますので、県の方で県の係官が常に現場についておつて監督をいたします。われわれの方もそのときに時々技術官あるいは事務官を中間検査にまわしまして、現に仕事しておるときに、監督と申しますか、指導と申しますか、ときどきまわしておるわけであります。これがなかなか何万箇所あるものでありますから、一々工事実施中に歩きまわるというところまではいつておらないのであります。これは不十分だと思いますが現在の段階では徹底して中間検査を実施するというところまで行きません。これは実はしたいと思つておるのであります。
  263. 小松勇次

    ○小松委員 いろいろこまかいことを聞きたいと思いますが、時間の関係がありますからやめます。災害復旧工事は原形復旧を主とされておることと思いますが、最近原形復旧に重きを置くのか、改良を加えたものに指導方針をかえておるのか、今はどういうお扱いでしようか。
  264. 賀屋茂一

    賀屋証人 改良に方針をかえておるというわけではございません。災害でございますから、本来は原形復旧に違いないのでありますが、日本のような施設不十分なようなところになりますと、工事で認められますような改良をいたすと、相当改良がふえて来ます。われわれは改良とか原形復旧とかいうことにこだわつておりません。ただ復旧しましたものが再び災害をこうむらぬようにするのだということが主でありまして、この方針でいたしますと、相当今実施いたしております工事からいたしますと、改良の費用がかかるのであります。
  265. 岡西明貞

    ○岡西委員 建設省の直営工事につきまして、出先の建設省の役人の方々に、特にこのたび官紀の紊乱等によりまして、かような不正事件が頻々と起つたということはまことに遺憾にたえないと思います。特にこのたびの証人の方々の陳述を聞いておりますと、何か御本人の方々が無責任な考え方、あるいは無定見な考え方をしておる人も多々あつたように見受けるわけであります。しかしながら今までの証人の陳述によりまして、かような不正事件も故意にやらんとするならばできるというような感じをわれわれは受けたわけであります。特に毎年わが国においては災害がいつも起つているわけでありますが、将来ともにかような災害が起り、かつまたかような不正事件が起るのではないかということを今後も憂えるものでありますが、あなたは建設省の防災課長といたしまして、将来かような不正事件の取締り、あるいは防止する建前から、この問題に対する省としての対策がおありになれば、概略をお聞きしたいと思う。特にあなたがかような事件を防止するために何かお考えになつておるけれども、実際それを実行する段階にいろいろ隘路があるという点がありましたら、御参考までに承りたいと思います。
  266. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員長代理 ちよつと証人に申し上げますが、すこぶる大切な質問だと思いますけれども、しかし時間も相当迫つておりますから簡潔に要領よく願います。
  267. 賀屋茂一

    賀屋証人 お断りいたしておきますが、実は私の所管は直轄工事その他について所管いたしておりませんので、府県の災害だけですから、これを主体にお答え申し上げます。実は国庫が負担しております国庫負担の関係災害復旧工事につきましては、これはわれわれの調査いたしました結果を見ましても、その中には不正なものはないと私は断定したいのであります。これは会計のごときものも、災害関係は一般の県では会計が出納いたしておりますが、これは会計簿でやつておりますが、それ以外に別途に分離して経理さしております。そしてその他工事いたしておりますようなものにつきましては、すべて台帳——機械台帳、あるいは備品台帳、それから経理簿、こういうふうにやつておりますが、国庫負担の関係のものにつきましては、さらに仕事が終了いたしますと調査をいたしまして、こまかく清算までやるわけであります。もし適正でない支出がありましたら、国庫負担の関係費用から出しておりましても認めません。それで結局県や市町村などの実施したところが責任を負わなければならぬようなことになつておりますので、非常に厳格にいたしております。この点におきましては、私の所管しております国庫負担の関係災害復旧工事につきましては、不当なる支出はないと私は確信を持つておるわけであります。でありますが、ただいまお尋ねがありますように、災害復旧仕事は遅れがちでございます。それで陳情その他が多いわけであります。私は仕事ができる程度まで、緊急に復旧せねばいけないだけの仕事は即時やらすべきである、これができないもんでありますので、陳情して自分のところを先にやつてもらおうということが介在して来て、そこに情実というものが起りやすい、これを懸念します。  それからもう一歩進んで災害復旧につきまして考えますと、復旧の計画、これは一県について何千箇所といたしましても、まず本年度これだけの予算がつくならば、これこれをやるという、県の不動の方針をお立てになる、この方針が必要じやないかと思います。これは県によつて方針をお立てになつておりますけれども、それをもう少しがつちりしたものにしてもらいたい。それから多少でも不正があると考えますれば、予算を編成いたしますときに、びつこの予算ではいけない。たとえば事業を実施しますと、事業には普通調査費が伴う、調査費のごとき必要な経費予算でつけておくようにいたしませんと調査ができません。調査費がないと工事費を使用して調査をしなくちやならぬというのが原因じやないか、それだから予算編成も事業実施の円滑に行くような、びつこでない予算をつくる。それから接待費のお話もございましたが、接待費のようなものにつきましては、これは適正な食糧費その他はいるのでございます。府県において会議を開かれましても、お茶の一つも出さなければならないということになれば、食糧費もいる。これも正当な予算化した必要最小限度のものはつつておくということが必要じやないか、こういうように即断でございますので、適正じやないかもしれませんが、そういうようなことを予算面において、実施の方面につきましても円滑に行くような方向にこれを立て直して行かなければならないと、こういうように思つております。
  268. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員長代理 他に御発言がなければこれにて賀屋証人に対する訊問は終りました。証人には長時間御苦労でございました。     —————————————
  269. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員長代理 この際お諮りいたします。本日はもう一人建設省監察官石破二朗君の出頭を求めているのでありますが、本日は平和条約及び日米安全保障条約の本会議がありますので、委員会を再開して証人訊問を行うことは事実上困難になるものと思われますから、三十日午後一時に出頭時日を変更いたしたいと存じます。御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  270. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員長代理 御異議がなければさように決しました。  次会は三十日に開くことにいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時四十七分散会