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1951-10-23 第12回国会 衆議院 行政監察特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月二十三日(火曜日)     午前十一時十三分開議  出席委員    委員長 篠田 弘作君    理事 佐々木秀世君 理事 塚原 俊郎君    理事 内藤  隆君 理事 小松 勇次君       大泉 寛三君    岡延右エ門君       岡西 明貞君    鍛冶 良作君       川本 末治君    志田 義信君       野村專太郎君    八木 一郎君       大森 玉木君    藤田 義光君       加藤  充君  委員外出席者         証     人         (元佐賀鳥栖         土木出張所長) 石動丸十郎君         証     人         (元佐賀地方検         察庁検事)   樺島  明君         証     人         (佐賀県副知         事)      舘林三喜男君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  公共事業費をめぐる不正事件     ―――――――――――――
  2. 篠田弘作

    篠田委員長 会議を開きます。  前会に引続き公共事業費をめぐる不正事件について調査を進めます。ただちに証人より証言を求めます。石動丸十郎君ですね。
  3. 石動丸十郎

    石動丸証人 はい。
  4. 篠田弘作

    篠田委員長 あらかじめ文書をもつて御了承を願つておきました通り、証人証言を求めることになりましたので、さよう御了承願います。  これより公共事業費をめぐる不正事件について証言を求めることになりますが、証言を求むる前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者、またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて、黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないこととなつております。しかして、証人が正当の理由なくして宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知になつておいていただきたいと思います。  では法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書を朗読してください。     〔証人石動丸十郎君朗読〕    宣誓書   良心に従つて、真実を述べ、何事もかくさず、又何事もつけ加えないことを誓います。
  5. 篠田弘作

    篠田委員長 それでは署名捺印を願います。     〔証人宣誓書署名捺印
  6. 篠田弘作

    篠田委員長 これより証言を求めることになりますが、証言証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際にはその都度委員長の許可を得て答えるようお願いいたします。なおこちらから質問をしているときはすわつていてよろしゆうございますが、お答えの際は御起立を願います。  証人経歴を簡単に述べてください。
  7. 石動丸十郎

    石動丸証人 経歴ですか。
  8. 篠田弘作

    篠田委員長 経歴……。
  9. 石動丸十郎

    石動丸証人 私は昭和五年五月ごろより佐賀土木課に奉職いたしました。それから以来各土木出張所に転勤を命ぜられ、昭和二十二年四月佐賀武雄土木出張所長を命ぜられ、昭和二十三年十一月から神崎土木出張所長を命ぜられ、昭和二十四年十二月より佐賀土木部河港課勤務を命ぜられ、昭和二十五年十月鳥栖土木出張所長を命ぜられ、昭和二十六年一月まで鳥栖土木出張所長を命ぜられております。
  10. 篠田弘作

    篠田委員長 証人昭和二十四年九月及び同年十一月佐賀久留米線外三箇所の道路修繕費用として架空砂利購入によつて二十五万円余りの砂利代金を収納したといわれておるが、これは一体何に使つたのですか。
  11. 石動丸十郎

    石動丸証人 それは私神崎土木出張所長のときでありました。佐賀土木部道路課より情を明かし接待費が足らないから、砂利を出すようにして書類をつくつてくれということで私頼まれてつくりました。
  12. 篠田弘作

    篠田委員長 佐賀土木部道路課から接待費が足らないから砂利買つたことにして金を送つてもらつた
  13. 石動丸十郎

    石動丸証人 はい。
  14. 篠田弘作

    篠田委員長 買わない砂利買つたことにして送つてもらつた、こういうことですね。
  15. 石動丸十郎

    石動丸証人 はい。
  16. 篠田弘作

    篠田委員長 上司命令によつて……。
  17. 石動丸十郎

    石動丸証人 上司命令によりまして私送りました。
  18. 篠田弘作

    篠田委員長 それは道路課のたれが言つて来ましたか。
  19. 石動丸十郎

    石動丸証人 私聞きましたのは、道路課課長補佐、その係の人から頼まれてつくりました。
  20. 篠田弘作

    篠田委員長 課長補佐というのは牟田という人ですか。
  21. 石動丸十郎

    石動丸証人 いいえ、大庭です。二十四年ですか……。
  22. 篠田弘作

    篠田委員長 二十四年九月から……。
  23. 石動丸十郎

    石動丸証人 二十四年九月は桃崎という課長補佐です。
  24. 篠田弘作

    篠田委員長 そのとき幾ら出した。
  25. 石動丸十郎

    石動丸証人 そのとき三回にわたつて頼まれました。
  26. 篠田弘作

    篠田委員長 三回で何ぼくらい。
  27. 石動丸十郎

    石動丸証人 はつきり記憶いたしませんけれども、三回で約三十万円程度じやないかと思います。
  28. 篠田弘作

    篠田委員長 三回に三十万円ですね。それはあなたのところで一つも使わなかつたわけだね。
  29. 石動丸十郎

    石動丸証人 私の方はただ書類をつくつて請求書を出してくれということで、一つも使つておりません。
  30. 篠田弘作

    篠田委員長 三回で三十万円ですね。その次は……。
  31. 石動丸十郎

    石動丸証人 あとで頼まれた分ですか。
  32. 篠田弘作

    篠田委員長 ええ。
  33. 石動丸十郎

    石動丸証人 その次は昭和二十五年、昨年です、道路課河港課から情を明かし堤防架空工事を一箇所、それから砂利を一箇所頼まれました。
  34. 篠田弘作

    篠田委員長 それは幾らぐらいですか。
  35. 石動丸十郎

    石動丸証人 堤防架空工事は二十七万ほどと思います。それから砂利は十二万程度だと思います。
  36. 篠田弘作

    篠田委員長 それもやはりあなたのところで堤防をやらないのにやつたということにして、だれかから受取りをとつたんですね。
  37. 石動丸十郎

    石動丸証人 受取りとは……。
  38. 篠田弘作

    篠田委員長 請負師から受取りでもとつたのですか。
  39. 石動丸十郎

    石動丸証人 それは、河港課で今のように接待費が足らないから、堤防工事をしたように書類をつくりまして、そうして請負人に請求させました。
  40. 篠田弘作

    篠田委員長 接待費が足らないといつて、一年間にあなたのところだけで三十万、五十五万、六十何万、約七十万円ぐらいの金を持つて行つたのですか。
  41. 石動丸十郎

    石動丸証人 一年間というものは、二十四年が三十万、二十五年が二十七万と十二万……。
  42. 篠田弘作

    篠田委員長 それで四十万ですね、毎年そういうことをして持つてつたわけですか。
  43. 石動丸十郎

    石動丸証人 いえ、私は毎年頼まれておりません。二回にわたつて頼まれたのです。
  44. 篠田弘作

    篠田委員長 その接待費というのは一体どういう接待に使われたか、あなたは知りませんか。
  45. 石動丸十郎

    石動丸証人 それは私直接にあたつていないからよくわかりませんけれども、話を聞いてみれば、本省方たちおいでになつた場合に使つているそうです。それについて一つお話があります。少し数字的に申し上げますが、大体佐賀県の総予算が四十四億六千万ほどありまして、うち土木費が十七億二千六百万円ほどあります。それが佐賀県の総予算でありまして、そのうち食糧費というものが総額において大体二千四百七十一万ほどあります。そうしてそのうち土木部食糧費が七百三十九万ほどになつております。これは予算でありまして、実際土木部でもらえたものは約三百万ほどだそうであります。それから県の交際費というものは大体九百四十四万あります。そのうち土木部でもらつているのが二十万ということになつております。県の交際費が九百四十四万ありまして、土木部において二十万というのは、わずかな交際費ではないかと思うのであります。また食糧費の七百三十九万というものも、うち三百万円ほどしかもらつていないのであります。これは二十五年の例をあげておるのですけれども、それで大体本省――本省といつたら語弊があるかもしれませんけれども、中央からおいでになるお客さんには、土木関係だけでも相当接待費がいるわけであります。特に土木部災害予算をとるわけでありまして、その災害予算は大体県の総予算の約六二%は事業費といたしまして、この災害費をもらつているわけであります。そういう関係から、中央からおいでになるたびに、一災害を受ける場合、約三百万ほどの接待費がいるようなことも聞いております。大体の予算において、接待費に使う食糧費などが、県の予算が十分でないために、こんなから工事とか何とかをやらなくちやいけないのではないかと、話を聞いておるのです。私は県そのもののあれではないですけれども、出先土木出張所長として、情を明かして、いつも所長会議などある場合は接待費が足らないということを聞いておつたわけであります。
  46. 篠田弘作

    篠田委員長 今のあなたの説明によつて県交際費が足らないということを聞いたが、一体一災害が起ると三百万円くらいの接待費を使うというのはどんな接待をやるのですか、接待といつてもいろいろそれこそ程度があると思います。
  47. 石動丸十郎

    石動丸証人 それは程度があると思います。まあ一災害といつても、二十四年災害あたりは、佐賀県は全額において二十二億ほど予算をもらつたわけであります。そのときは予算をもらうには二箇月くらい徹夜をいたします。
  48. 篠田弘作

    篠田委員長 二箇月も徹夜ができますか。
  49. 石動丸十郎

    石動丸証人 それは毎晩というわけではありません、延べにおいて約二箇月くらい徹夜作業をいたします。
  50. 篠田弘作

    篠田委員長 徹夜作業をやるのですか。
  51. 石動丸十郎

    石動丸証人 書類づくりです。予算をとるには設計書をつくらなければなりません、災害が起きてすぐかかりまして、本省査定を受けるまでは、それくらいの余裕がいるわけであります。そういうもの全部を入れて、さつき申し上げました金額くらいいりはしないかと思います。
  52. 篠田弘作

    篠田委員長 係員書類をつくるのに二箇月くらい徹夜をする、こういうものにも手当をやつておりますか。手当というか、食糧費を出すというか……。
  53. 石動丸十郎

    石動丸証人 食糧費を出すというのは、出先である土木出張所においては特に夜業をする……。
  54. 篠田弘作

    篠田委員長 だから接待費の中から夜業費も出ておるわけですか。
  55. 石動丸十郎

    石動丸証人 幾らかもらつております。
  56. 篠田弘作

    篠田委員長 そうすると接待費の方が多いわけですか、本省から来た方々の接待のために、一災害あると三百万円も使うというわけですね。
  57. 石動丸十郎

    石動丸証人 そうです。
  58. 篠田弘作

    篠田委員長 あなたはその接待に出たことがありますか。
  59. 石動丸十郎

    石動丸証人 出たことがあります。
  60. 篠田弘作

    篠田委員長 どういう程度接待ですか。
  61. 石動丸十郎

    石動丸証人 それはぜいたくなごちそうとか何とかいうことはありませんけれども……。
  62. 篠田弘作

    篠田委員長 芸者をあげて騒いだりいたしますか。
  63. 石動丸十郎

    石動丸証人 そんなことはいたしません。
  64. 篠田弘作

    篠田委員長 そんなにたくさんいるわけはないじやありませんか。
  65. 石動丸十郎

    石動丸証人 そんなにいるわけはないといいましても、本省から来られるときは約一週間くらいはぶつ通し約七十人くらいはついて行きます。
  66. 篠田弘作

    篠田委員長 七十人もですか。
  67. 石動丸十郎

    石動丸証人 県下全部呼ぶのが七十人です。
  68. 篠田弘作

    篠田委員長 それで……。
  69. 石動丸十郎

    石動丸証人 それで一週間くらいは査定にかかるわけであります、そのときに県下全部寄つて検査を受けるわけです。大体旅館査定を受けておつたわけです。
  70. 篠田弘作

    篠田委員長 現場で受けないで、旅館で受けるのですか。
  71. 石動丸十郎

    石動丸証人 もちろん昼は現場査定をやつて夜は旅館査定をやるのです。
  72. 篠田弘作

    篠田委員長 査定を受けるといつて、毎晩々々宴会をやるわけですか。
  73. 石動丸十郎

    石動丸証人 宴会は全然やりません。
  74. 篠田弘作

    篠田委員長 何に使いますか。旅館にとまるのは、出張旅費をもらつて行つておるのではありませんか。
  75. 石動丸十郎

    石動丸証人 出先としては、出張旅費はあまりもらいません。
  76. 篠田弘作

    篠田委員長 そうすると、どういうことですか、たとえばあなた方の持場で、現在住んでいないところに行つた者はどうなりますか。
  77. 石動丸十郎

    石動丸証人 それは宿泊料程度はもらいます。
  78. 篠田弘作

    篠田委員長 そのほかに何をほしいのですか。
  79. 石動丸十郎

    石動丸証人 しかし宿泊料といつても、規定で行きますから、まあ宿泊料が五百円か、今の宿泊料はそれくらいと思います。
  80. 篠田弘作

    篠田委員長 非常に少いわけですね。そうすると接待費といつても、本省から来た人を料理屋に呼んでごちそうしたという接待費もあるけれども、そういうもの以外に何というか、係員出張費もそこに含まれておるわけですね。そういう意味ですか。
  81. 石動丸十郎

    石動丸証人 出張費はそれは別です。
  82. 篠田弘作

    篠田委員長 係員が飯を食つた代が入るわけか。
  83. 石動丸十郎

    石動丸証人 ええ、それに出張費をもらつてたちも……。それから宿泊料なんかは払うわけです。
  84. 篠田弘作

    篠田委員長 しかし宿泊料は実際は払わないのじやないか。
  85. 石動丸十郎

    石動丸証人 いや、われわれは払つています。
  86. 篠田弘作

    篠田委員長 本省から来た役人はどうか。
  87. 石動丸十郎

    石動丸証人 それは直接あたつていませんからどうか知りませんが、話を聞けば宿泊料も全部払つているらしいです。それから帰られる汽車賃とか……。
  88. 篠田弘作

    篠田委員長 しかし七十人が一週間おつたとしても、七、七、四十九だから四百九十日、そうすると一人延べにして一日一万円にしても四百万円なんだが、その中で出張旅費とかいろいろなものを使つたら三百万円なんて……。
  89. 石動丸十郎

    石動丸証人 その前金の準備まで入れて私は申し上げたわけです。
  90. 篠田弘作

    篠田委員長 そうすると今一番大事なことは、交際費が足りないということはわかつたわけなんだ。しかしあなたの説明を聞くと、一災害三百万円も交際費がいる。そういうときに予算をもらう手段としてあなた方がやつているのだと思うが、あなた方はそれを、交際費が足りないから架空工事をやつて出してもやむを得ないじやないか、これはあたりまえだというふうな考え方のようにあなたの今しやべつていることが聞えるわけだ。
  91. 石動丸十郎

    石動丸証人 いいえ、それはあたりまえということは申しません。まあ私たちは実際の事務的とか何とかということははつきりわかりませんですから……。
  92. 篠田弘作

    篠田委員長 所長に事務的なことがわからなかつたらどうする。
  93. 石動丸十郎

    石動丸証人 いいえ、県の大体の予算においてはわかりませんです。私は出先出張所長として出先のことはわかりますけれども、県の大体の予算のあれはわかりません。
  94. 篠田弘作

    篠田委員長 そうすると、あなたは出張所長だから相当えらいわけだ。実際あなたはそう思つていないかもしれぬけれども、地方に行つた相当えらい。ところがそういう人が、言いかえれば指導者的な立場にある人が、県の予算が足りないからお前買わない砂利買つたことにして金を送れ、あるいはまたつくらない堤防をつくつたことにして金を送れ――少しでもつくつたものをよけいかけたというならまだ話がわかるが、全然つくらない堤防で何十万円、全然買わない砂利で何十万円、そういうことをあなたは上司に頼まれたからといつて平気でそれをやつて来たのか。あるいはまたそれに対して、上司にこういうことはまずいというような抗議でも申込んだことがあるか。
  95. 石動丸十郎

    石動丸証人 いや、それは話したことがあります。
  96. 篠田弘作

    篠田委員長 そのときにどう言つたか。
  97. 石動丸十郎

    石動丸証人 それは、やるということにおいては非常にわれわれとしても悪いということは思うわけです。しかしよく交際費が足らないとか何が足らないとかということを、いつも所長会議などの場合に聞いて、やつぱりそういうふうな情を明かして頼まれれば……(「共謀するのか」と呼ぶ者あり)共謀というわけじやありません。まあ出先としてやむを得ぬ……。(笑声
  98. 篠田弘作

    篠田委員長 やむを得ぬというのはどういうわけか。自分の首をつなぐ上においてやむを得ないのか、それともほかに何かやむを得ない事情があるのか。上の者の言うことを聞かなかつた場合には、自分一身上に影響するからやむを得ないというのか。それともあなたが土木部立場において上の者に同情して、これもしかたないというのか。どちらか。
  99. 石動丸十郎

    石動丸証人 一身上とかそういう意味じやないけれども、やつぱり今申し上げたように上の者に対してそういうふうに………。
  100. 篠田弘作

    篠田委員長 それでは今後もあなたはやむを得ないということであれば、これだけの問題でなくして、今後あなたが所長をしている限りにおいては上から頼まれれば――これはやつたんだが、今後もこういう問題を頼まれたときには、やはりやむを得ないからといつてやはり架空工事でもやるのか。
  101. 石動丸十郎

    石動丸証人 それはそういうふうになるかもしれません。(笑声)そういうふうにして実際足らないということでは、出先として非常に……。
  102. 篠田弘作

    篠田委員長 それじや請負師に対してつくつていない堤防に受取りをよこせということで、あなたは請負師からとつて、それを本庁に送つてつて、金を払わせるかつこうにして、遊興に使わせるわけだね。
  103. 石動丸十郎

    石動丸証人 はい。
  104. 篠田弘作

    篠田委員長 そういう場合に請負師の方から抗議は来ないか。
  105. 石動丸十郎

    石動丸証人 別にそんな抗議は……。頼むにしてもそういう事情を話すわけです。
  106. 篠田弘作

    篠田委員長 受取りを出して、金を払つたということになれば、請負師には税金がかかるじやないか。
  107. 石動丸十郎

    石動丸証人 税金はもちろんやります。
  108. 篠田弘作

    篠田委員長 どつからやるか。
  109. 石動丸十郎

    石動丸証人 その中から。
  110. 篠田弘作

    篠田委員長 なるほどね。そのうちからどのくらい払う。
  111. 石動丸十郎

    石動丸証人 約一割か一割五分やつております。
  112. 篠田弘作

    篠田委員長 非常に今まで全国的にこういう不正事件があるわけですね。ところが調べてみると、大体五十万円の工事をしておいて、百万円かかつたということでやるようなことが今までにも刑事事件にもなつて出て来ているわけだ。あなたのところのように、金額は三百七十万円ばかりだけれども、その三百七十万円まるまる何もしないでもつてつているという県は今までにないわけだ。だからこれは交際費は足りないというけれども、ほかの県もこういうふうにしているのなら同情すべき余地があるかもしれないけれども、ほかにそういうところはない。あなたのところだけ、佐賀県だけそういうまるまる全部を架空工事でやつているという例は今日本にないわけだ、少くとも。これはどういうわけで佐賀県だけがそういうことをやつているのかあなたにわからぬか。
  113. 石動丸十郎

    石動丸証人 全部仕事をやらぬでとつたということは、その事情はわかりません。
  114. 篠田弘作

    篠田委員長 しかし今話したところによると、そうじやないか。
  115. 石動丸十郎

    石動丸証人 よその県は幾らかしているですか。
  116. 篠田弘作

    篠田委員長 たとえば五十万円の工事を六十万円かかつたということで接待費を捻出したということは、今まで聞かないわけじやない。再々刑事事件になつている。検事局調べでそういうことはないわけじやない。全国的にあるわけだ。けれども、あなたのところみたいに何にもつくらない堤防をつくつたとか、何にも買わない砂利買つたということはないわけだ。われわれの調べるところでも。それを佐賀県だけが特にそういう幽霊工事ばかりをやつているということは、何か佐賀県には特にそういう金のいる理由かなんかあつたのか。それはわからないか。
  117. 石動丸十郎

    石動丸証人 わかりません。
  118. 篠田弘作

    篠田委員長 そうすると、あなた方は結局において業者とのなれ合いになつているわけだが、上の者から金がないから架空工事をやつて金を出せと言われたときに、あなた方は大してふしぎにも思わないで、仕方がないで出している。あなた方自身が金が足らないときにはまさか上に言うわけに行かないが、そういうときにはどうするか。請負師に頼んで情を明してやるか。
  119. 石動丸十郎

    石動丸証人 私の出張所としましては県に相談に行きます、足らないときには。しかし出張所には一銭の食糧費も何もない。
  120. 篠田弘作

    篠田委員長 食糧費というのは要するに宴会費、そういう意味じやないの。食糧費というのは何か食糧を特に……。
  121. 石動丸十郎

    石動丸証人 夜業したりそれから何かした場合に使う食糧です。
  122. 篠田弘作

    篠田委員長 それはあなたのところには一銭もないの。
  123. 石動丸十郎

    石動丸証人 ええ、出張所には一銭もありません。
  124. 篠田弘作

    篠田委員長 夜業する率は本省よりも出張所の方が多いんじやないか。
  125. 石動丸十郎

    石動丸証人 多いです。その場合は今のように県に食糧費を幾らかもらう。
  126. 篠田弘作

    篠田委員長 その場合には会議か何かの席上で堂々と言うべきじやないか。一銭の食糧費もないということを。
  127. 石動丸十郎

    石動丸証人 それは会議のときに申しております。
  128. 篠田弘作

    篠田委員長 それで今まで一ぺんももらえない。
  129. 石動丸十郎

    石動丸証人 予算という正式のものはありません。
  130. 篠田弘作

    篠田委員長 そうすると佐賀県には土木出張所は幾つくらいあるか。
  131. 石動丸十郎

    石動丸証人 今八つあります。
  132. 篠田弘作

    篠田委員長 その八つの出張所一つもないわけですか。
  133. 石動丸十郎

    石動丸証人 ありません。
  134. 篠田弘作

    篠田委員長 それは全部県庁で押えているのか。
  135. 石動丸十郎

    石動丸証人 県庁で押えている――さつき申し上げた食糧費とか何とかいうものは押えているかどうか知りませんが、少しも正式な予算の費目には……。
  136. 篠田弘作

    篠田委員長 来たことはないか。
  137. 石動丸十郎

    石動丸証人 ありません。
  138. 篠田弘作

    篠田委員長 そうすると、たとえば指名入札をするなんということはありますね、一つ工事をやつて
  139. 石動丸十郎

    石動丸証人 はい。
  140. 篠田弘作

    篠田委員長 そういう場合には、あなた方所長に対して相当運動があると思うのだが、そういうときには……。
  141. 石動丸十郎

    石動丸証人 指名をさしてもらうための運動ですか。
  142. 篠田弘作

    篠田委員長 そうそう。
  143. 石動丸十郎

    石動丸証人 指名をさしてもらうということで特に個人的に運動ということはありません。その指名をするについてはその人の能力とか資産とかいうことを考えて所長指名するだけで……。
  144. 篠田弘作

    篠田委員長 能力とか資産とかいう一つわくがあるというわけだね。しかしそのわくの上にあてはまる者が一人であつた場合はいいけれども、そういう者が三人も四人もあつた場合には、その工事自分にやらしてくれということで、君のところへ来るんじやないか。それとも指名入札で一番安いものにさせるかね。
  145. 石動丸十郎

    石動丸証人 そうです。
  146. 篠田弘作

    篠田委員長 そういう問題で、あなたは今まで収賄したというようなことはないか。
  147. 石動丸十郎

    石動丸証人 収賄というものはございません。
  148. 篠田弘作

    篠田委員長 収賄でなくても、金をもらつたことはないか。
  149. 石動丸十郎

    石動丸証人 いいえ、ございません。
  150. 篠田弘作

    篠田委員長 検事局調べでは三つばかりもらつている。現金をもらつていることになつているんだが、そういうことはないか。
  151. 石動丸十郎

    石動丸証人 それは金をもらつたことはありませんけれども……。
  152. 篠田弘作

    篠田委員長 ごちそうになつたことはあるんだね。
  153. 石動丸十郎

    石動丸証人 ごちそうになつたというか、そんな正式のごちそうじやなく、コツプ酒で飲んだことはあります。
  154. 篠田弘作

    篠田委員長 金をもらつたことはないんだね。
  155. 石動丸十郎

    石動丸証人 金をもらつたことはありません。
  156. 篠田弘作

    篠田委員長 もらつたことになつておるが、そういうことはうそかね。
  157. 石動丸十郎

    石動丸証人 それはもらつたことはありません。この関係事件について、私じやなくて、もう一人神崎出張所長がそういうことになつておりますが、その人の収賄は全然知りません。
  158. 篠田弘作

    篠田委員長 しかし一方からいうと、そういう交際費が足りないという場合に、情を明かして架空工事をやつて金をもらう。あなたが当面の責任者として、あなたが使つている請負師のところに行つて、からの受取を出させる、そういうようなことをやれば、今度ほんとうに工事をして、それを検査するというようなときに、あなた方は厳密な検査というものはできないのじやないか。
  159. 石動丸十郎

    石動丸証人 検査は県から参ります。
  160. 篠田弘作

    篠田委員長 あなたがやらないで県から来る……。
  161. 石動丸十郎

    石動丸証人 私の方では、工事が一応竣工すれば、所長の名において県に竣工届を出すわけです。その場合に県から……。
  162. 篠田弘作

    篠田委員長 県がそういう架空工事をやらせて、あなたに情を明かした。あなたがまた請負師に情を明かして、そういう不正なことをやつている以上は、県が来たつて厳密な検査はできないと思うが、そういうことはないのですか。
  163. 石動丸十郎

    石動丸証人 それは河港課なら河港課で、話合いか何か知りませんけれども、検査には来られます。それで課の人、係の人は、つくる以上は、一人でつくつたわけではないわけですから、何人か話合いの上で……。
  164. 篠田弘作

    篠田委員長 そうすると交際費をもらう方と、検査を厳重にやる方は別ですか。使う者は使う者で、検査を厳重にやる者は別におるのですか、そういうことはないでしよう。
  165. 石動丸十郎

    石動丸証人 検査といつても同じ課の者が参ります。
  166. 篠田弘作

    篠田委員長 そうすると、たとい工事に粗漏なものがあつても、厳重なことが言えないだろう。
  167. 石動丸十郎

    石動丸証人 それは言えます。検査検査で厳重にやります。
  168. 篠田弘作

    篠田委員長 検査検査、不正は不正で別々に区別してやつておるわけですか。人情としていつたら、うそをついて、つくらないものをつくつたとして、金を不正に使つておいて、今度工事したところだけ厳重に言うということは、人情としても普通の神経ならできないじやないか。それはちやんとできるか。
  169. 石動丸十郎

    石動丸証人 検査に行く人がですか。
  170. 篠田弘作

    篠田委員長 同じ土木の人間が来て……。
  171. 石動丸十郎

    石動丸証人 しかしそれは検査に来る人は……。
  172. 篠田弘作

    篠田委員長 そういうことがまた災害一つ理由になるのじやないか。粗漏な堤防をつくり、不十分な堤防をつくつて、それが風が吹いていたむ。その経費がほしいためにまた接待費を捻出するという、そういう悪循環があると思われるが、そういうことはないか。
  173. 石動丸十郎

    石動丸証人 そういうことはありません。検査検査で厳重にやります。
  174. 篠田弘作

    篠田委員長 もらう方は別か。そうとう区別がはつきりできるのだね。
  175. 石動丸十郎

    石動丸証人 もらう方は別かとおつしやいましても、その工事は私の方の関係は一箇所です。
  176. 篠田弘作

    篠田委員長 君の関係は一箇所ですが、今聞いただけでも一箇所だけでない。前後五回にわたつて、二十四万円、二十五万円、二十七万円、十二万円、こういうようなぐあいにして出しているでしよう。たびたびそういう請負師に情を明かして、からの堤防だとか、からの砂利だとか、買いもしないものを買つたことにして、受取りを出させる。そうすると君と請負師関係は非常に親しくなるか、あるいは悪い意味では通謀しているわけでしよう。そうした場合に君の監督者としての責任が果せるか。君ばかりでなく、君の上の人も十分に監督が果せない。そうすると工事に粗漏があつても、君の方では完全なものとして金を払つてやる。そうするとその粗漏な工事のために次の台風が来るとまたいたむ。その復旧工事のためにまた金をもらう、そういう悪循環があるのではないかと思うので、そういうことはないかということを聞いているのです。
  177. 石動丸十郎

    石動丸証人 検査検査で厳重にやります。
  178. 藤田義光

    ○藤田委員 大体委員長の質問で、つくべきところはついておりますが、二、三お伺いします。  まず第一に、佐賀県の土木部の疑獄事件というものは、政治的な問題から発生したといううわさを聞いております。今なくなつたから死人に口なしだが、前沖森知事が再選を期して、土木部長も知事に立候補するという動きがあつたので、この土木部の疑獄事件を摘発したというようなうわさを聞いておるが、そういう点は……。
  179. 石動丸十郎

    石動丸証人 それは私ども十分聞いております。
  180. 藤田義光

    ○藤田委員 それを聞いておるだけでなくして、事実そういう動きがあつたかどうかを聞いておるのです。
  181. 石動丸十郎

    石動丸証人 事実と申しましても、それは私は直接当つたこともないのですから、話だけを聞いておる。大体みんなの話を総合してみますと、沖森知事と、佐野君の、そこに幾分か動きがあつたといふうなことが原因ではなかつたかということも聞いております。
  182. 藤田義光

    ○藤田委員 そうすると、証人証言によれば、もし土木部長が知事に出るという野心を起さなかつたなら、そういう事件は長年そのまま伏せられた、何十年かこういう事件が続いておつたというようなふうに解釈してよいかどうか。
  183. 石動丸十郎

    石動丸証人 その方はわかりませんです。
  184. 藤田義光

    ○藤田委員 前土木部長が立候補するためにこの事件が表面化した。従つて土木部長が立候補の意思を示さなかつたならば、沖森前知事もこの事件事件にしなかつたであろうというようなうわさが、佐賀県内では常識になつておるように聞いておりますが、その点はどうですか。
  185. 石動丸十郎

    石動丸証人 今おつしやる通りに私ども聞いております。
  186. 藤田義光

    ○藤田委員 証人は土木事務所長に出る前は県の土木部におつたのですか。
  187. 石動丸十郎

    石動丸証人 はい。
  188. 藤田義光

    ○藤田委員 土木部工事に関しては、どういう方法で工事施行者をきめておつたか、その点を承りたい。
  189. 石動丸十郎

    石動丸証人 工事の入札関係ですか。
  190. 藤田義光

    ○藤田委員 入札請負の関係です。
  191. 石動丸十郎

    石動丸証人 それは指名競争入札というものをやります。工事を始める前に一応設計を立ててから、予算がありますから県に伺いを出します。そしてその伺いをするときに請負人の指名をいたします。そのときにさつき申し上げましたように、請負人の能力とか、資産とか何かを調査して、そしてその工事はだれが適当であるかというようなことになります。     〔委員長退席、内藤(隆)委員長代理着席〕 それから入札をいたしまして、その日に開札して、落札した場合は二日以内に掲示をするということになつております。
  192. 藤田義光

    ○藤田委員 その点で落札金額というものはいつも最低の金額で落しておつたか、あるいは引札というような制度を採用しておつたといううわさを聞いておりますが、その点はどうですか。
  193. 石動丸十郎

    石動丸証人 いいえ、その点は、一番最低者が落札いたしておりました。
  194. 藤田義光

    ○藤田委員 それから指名の最後の決定権者はたれであつたか。
  195. 石動丸十郎

    石動丸証人 それは初め出張所長指名をいたしまして、県に伺いをしたときに、それ以外にふえるとか減るとかいうことは、県の土木部でやることはあります。
  196. 藤田義光

    ○藤田委員 そうしますと、知事とか副知事は指名あるいは落札者の決定には全然権限がない。大体土木部長ないし課長で、工事に関する一切の決定はなされておつたと解釈してよろしいんですか。
  197. 石動丸十郎

    石動丸証人 知事まで行く書類は、金額に応じてありまするけれども、まあ実際は部長で決定しておつたと思います。金額が大きい場合には、予算関係もありますから、知事の方まで書類がまわることもあります。たいがい決済の方は部長でやつてつたと思います。
  198. 藤田義光

    ○藤田委員 入札をする場合、証人出張所長時代に、大体予算金額を親しい業者に内示して、このくらいの金額ならば落札できるというようなことを内通したといううわさも聞いておりますが、その点はどうですか。
  199. 石動丸十郎

    石動丸証人 いいえ、そういうことは絶対ありません。これは設計書において、県の予定価額というものが入つて参ります。たとえば百万円の予算設計であれば、そのうちから幾らか差引いた予定価額というものが、これはしつかりと封筒に密封してあるのが入るわけですから、その金額は全然わかりません。だから内通したとか何とかいうことは絶対ありません。
  200. 藤田義光

    ○藤田委員 その密封するのはだれがするのですか。
  201. 石動丸十郎

    石動丸証人 それは県の課長であるか部長であるか、まあ私が知つている範囲では、部長がするときもありますけれども、たいがいその課の課長じやないかと思います。
  202. 藤田義光

    ○藤田委員 そうすると指名は、大体最初に指名の案をつくるのは、出張所長が全権を握つてつて、上から押しつけられて来たことは全然ないのですか。
  203. 石動丸十郎

    石動丸証人 それは押しつけられてということはありませんけれども、指名をして一度伺つて決済になつて来た場合に、よく見ると指名がふえている場合があります。だからこれを入れてくれとか何とかいうことはありません。向うから直接入つて来るのですから。
  204. 藤田義光

    ○藤田委員 沖森前知事がこの問題を取上げたために表面化したというようなうわさは、どこでだれから聞きましたか。
  205. 石動丸十郎

    石動丸証人 だれからということはよく存じませんけれども、私このことによつて検挙されまして、帰つてから聞いたのですが、だれからということは――みんなの話を総合してそうではなかろうかということを今思うわけであります。
  206. 藤田義光

    ○藤田委員 これらの接待費の一部は、前土木部長が知事に出るための選挙資金に充てられたということを聞いたことはありませんか。
  207. 石動丸十郎

    石動丸証人 それはこの事件前に、新聞の方に土木部長が知事に出るという声明も出まして、運動資金は何百万つくつておるというようなことが新聞に出たことがあります。それで、部長が運動資金を幾らつくつたかということは知りません。新聞によつて知つたわけです。
  208. 藤田義光

    ○藤田委員 県庁の現職の知事、部長等が、現職のまま知事に立候補する場合には、各土木事務所長あたりは相当大きな金づるになる。土木事務所あたりには分担金をきめられて、それを払わなくてはならぬというようなことを、これは佐賀県とは限りませんが、うわさが盛んに伝わつておりますが、そういう事実は、今まで証人は体験したことはないですか。
  209. 石動丸十郎

    石動丸証人 ええ、ありません。
  210. 藤田義光

    ○藤田委員 そうすると、こういう問題を起した根本の原因はどこにあると、証人は考えておりますか。
  211. 石動丸十郎

    石動丸証人 根本の原因は、先ほど申し上げましたいろいろの接待費が足らないからというのが、根本じやないかと思います。
  212. 藤田義光

    ○藤田委員 それは私の聞かんとするところを答えていないのですが、災害その他の予算を獲得するために接待費がかかるというようなことを、先ほど委員長の質問に証人は答えておりましたが、大体災害などの場合には、相当水増しして要求するのではないのですか。実際の災害費よりも被害を大きくして本省に要求するというようなことが、常識になつておるのではないですか。
  213. 石動丸十郎

    石動丸証人 いいえ、それは佐賀県においては、被害を増すというような、そんなはつきりしたことは今までないわけです。たとえば延長十メートルが災害を受けた場合、十二メートルか十五メートルという延長増しくらいのことはありますが、(「それが水増しじやないか」と呼ぶ者あり)それは水増しといつても、取付関係でやつておるわけであります。
  214. 藤田義光

    ○藤田委員 証人の表現がまずいので、私は証人の言い方を善意に解釈しておりますが、いわゆる原形復旧費のほかに、改良費を加えて要求するのではないかということを言つておるのです。
  215. 石動丸十郎

    石動丸証人 改良費を含んでというのですが、それは災害予算をとりまして、これは改良した方が効果的にいいというようなことは、本庁の許可を受けております。だから改良費にという、そういうような初めからの考えは、私の関係においてはやつたことはありません。
  216. 藤田義光

    ○藤田委員 九州特に佐賀県のごときは年々ものすごい災害を受ける、受けるたびに本省から相当多数の人が現地を視察し、調査をする。貴重な国民の血税から予算を出すためには、当然の処置である。日本の醇風美俗の範囲内で、せつかく東京から見えたから、地元のみやげの一つも食べていただくというような範囲のことを、われわれは問題にしておるのでありません。が、年年ものすごい災害を受ける九州で、特にこういうことが事件化するようなことになりますと、九州地方の公務員の執務の意欲が相当低下するおそれがある。それで証人は、この際必要な経費ははつきりと申されないと、これは国会の速記録に残つて、今後の仕事に非常な支障を来す。そういう意味から、この際証言は厳正にやつてもらいたいと思います。先ほどの委員長の質問に対して、二十五年度の予算の例をとつていろいろ説明されましたが、土木部食糧費三百万、交際費二十万というのは、大蔵省等の資料に基く数字と違いまして、非常に少くなつております。これではとうてい年間の十分な折衝もできないじやないかと、われわれはむしろ同情しておりますが、その点は、大体毎年このくらいの限度の接待あるいは食糧費で済ましておるのか、その点を伺います。
  217. 石動丸十郎

    石動丸証人 各年度について私はつきりわかりません。
  218. 藤田義光

    ○藤田委員 土木事務所長は、毎年きまりましたこれらの食糧費交際費うちから、どのくらい本庁から配分を受けておつたか。
  219. 石動丸十郎

    石動丸証人 出張所には、その正式な費目は配当がありませんから、口頭で、夜業しなくちやいけないから、食えないから、というようなことでもらつておりました。
  220. 藤田義光

    ○藤田委員 そうしますと、昨年度の大きな災害があつた場合、あるいは一昨年もありましたが、一昨年は二十二億も災害費をとられておるが、その際夜業までして書類をつくらなくちや間に合わぬ。夜業した場合の時間外の手当あるいは食糧費等は、予算ではとうてい――九州は特に災害が多いために不足しておると思う。どうしてそういうものを当初予算に予定計上しておらぬか。また足りなかつたものを、これは事件になつておりますが、事件にならなかつた年はどういうふうにして補充しておつたか、その点を証人の知つておる範囲内で忌憚なくお述べを願いたい。
  221. 石動丸十郎

    石動丸証人 それは知つておる範囲内では私申し上げますけれども、大体私は出先の技術関係の方でありまして、予算関係の方はよく存じませんですが、それで大体こういうことは、今度事件が始まつて何ですけれども、前からもやつてつたんじやないかと思います。それは私が所長にならない前に、所員としておつたときも、こういう話を聞いたことがあります。前からもやつてつたんじやないかと思います。予算の範囲までは私はよくわかりません。
  222. 藤田義光

    ○藤田委員 証人のあとに舘林副知事が証人に出られる。この方はわれわれの聞知しておる範囲内では最近着任されたばかりで、この問題の核心はおそらく知つておられぬと思うから、なるべく証人にお聞きしておきたいと思いますが、現在地方の財政、特に府県町村の財政は非常に困つておるということは、証人は知つておりますか。
  223. 石動丸十郎

    石動丸証人 それは知つております。
  224. 藤田義光

    ○藤田委員 困つている際に、こういう事件が発生しますると、地方財政には非常なむだがある、不必要な金を使つておるために、みずから苦しんでいるという印象を国民のみならず、外国にも与える。いろいろな法律予算の問題で、地方自治体が現在以上に不利な立場に追い込まれる危険がありますから、この際証人としては、なるべく公正な立場で、恐れずひとつはつきりと証言していただきませんと、証人の思いつきの答弁が、非常に今後禍根を残すことになりますから、あと二、三お伺いしておきます。  この土木事務所長とて検挙されておりますが、この事件に関連して、何番目に検挙されたか。
  225. 石動丸十郎

    石動丸証人 私は一番初めに検挙されました。
  226. 藤田義光

    ○藤田委員 検挙される前に、うすうす知事と土木部長の間のトラブルに関してうわさを聞いたことはありませんか。
  227. 石動丸十郎

    石動丸証人 前に聞いたことがあります。
  228. 藤田義光

    ○藤田委員 しかもこの問題を知事が国警の隊長と相談して大きな問題にする、そうして土木部長が知事に出れぬような画策をしておるというようなうわさは聞いたことがありませんか。
  229. 石動丸十郎

    石動丸証人 私が検挙される前はそんな話は聞きませんでした。帰つてから聞きました。
  230. 藤田義光

    ○藤田委員 証人は何日くらい勾留されておりましたか。
  231. 石動丸十郎

    石動丸証人 私は約二十日前後と思います。
  232. 藤田義光

    ○藤田委員 検事勾留が切れて、判事拘留になりましたか。
  233. 石動丸十郎

    石動丸証人 判事勾留か何か知りませんでしたけれども、二十日ちよつと越えたと思います。
  234. 藤田義光

    ○藤田委員 この事件を契機に、土木部長は知事に立候補はされなかつたというような事実は、何も知つておりませんか。
  235. 石動丸十郎

    石動丸証人 立候補はされなかつたようです。
  236. 藤田義光

    ○藤田委員 いや、この事件が大きな原因になつて、知事を断念したというようなうわさは聞いておりませんか。
  237. 石動丸十郎

    石動丸証人 それはこのことについて、部長は責任をとられて、役所をやめられたということはありますが、知事を断念されたということは、これは聞きませんです。
  238. 藤田義光

    ○藤田委員 県の幹部が東京に陳情に来る際に、各課、各事務所等から旅費を集めなくては、知事の旅費の範囲内では、あるいは部長の旅費の範囲内では、上京もできないという実情にある。特に九州は遠隔の地なるがために、出張旅費が非常な厖大な金額になつておる。それで証人が土木事務所長時代に、こういう県の幹部の上京旅費の割当を命ぜられたことはありませんか。
  239. 石動丸十郎

    石動丸証人 いえ、ありません。出張所にそういう名目で出張旅費を割当てられたことはありません。
  240. 藤田義光

    ○藤田委員 一回もない。
  241. 石動丸十郎

    石動丸証人 はい。
  242. 藤田義光

    ○藤田委員 証人がここに呼び出されたとき、どういう問題を聞かれると思つて上京して来られたか。
  243. 石動丸十郎

    石動丸証人 私も突然電報が参りまして、何が何だかわからなかつたですけれども、まあ聞かれる範囲は、どうしてこの事件が起つたかということはもちろん聞かれるだろうと思つておりました。
  244. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員長代理 ちよつと証人に聞きますが、砂利を食つたり、セメントをなめたり、いろいろやつて、その三百万円の接待費、これは中央から、たとえば本省でもいいんですが、建設省から査定等に来た場合にはこれを使つた、こういうことにあなたは……。
  245. 石動丸十郎

    石動丸証人 査定ばかりじやありませんです。もちろん中央からおいでになつたときの費用であります。査定ばかりじやない。
  246. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員長代理 これは私は建設省の弁明をするのじやないが、庇護をするのじやないが、中央から来たということにいわゆる便乗して、あなたの地方の、あなた方がやつたんじやないですか……
  247. 石動丸十郎

    石動丸証人 いえ、それはありません。
  248. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員長代理 三百万円というものは、ほとんど中央から来た者の接待費だ、こういうんですな。
  249. 石動丸十郎

    石動丸証人 そうでございます。
  250. 大泉寛三

    ○大泉委員 買いもしない砂利や、あるいは修理もしない堤防の領収書を頼まれて発行するあなたと、また土木業者が、この領収書は必ずほかに流用されておるということはわかりますが、しかし料理屋なり宿屋なり、あるいはその消費先に対して、やはり領収書というものはもらうということは――品物を買わない人からさえも領収書をとるのだから、ましてや消費先から領収書をとつているということは、わかりませんか。
  251. 石動丸十郎

    石動丸証人 それはとつております。それは一晩とまるたびごとに払つたんじやないと思います。一時旅館から借りて払つたのが多いのじやないかと思います。
  252. 大泉寛三

    ○大泉委員 そうすると、領収書と金というものは合わないで、だぶついている金がある。その金の行方というものは、あなたは疑いませんか。領収書を発行してくれろとあなたに頼んだ人が、それを着服したり横領したりしたとは、あなたは思いませんか。
  253. 石動丸十郎

    石動丸証人 それは一箇所の旅館で、あれば、私もそういうふうに頼むことは、聞いていることもあります。旅館一つ一つつたり、また領収書を一つ一つ見せてくれということはいたしませんから、そう着服するということも考えておりません。
  254. 大泉寛三

    ○大泉委員 しかし領収書が二枚あつて金額が倍になるというようなことで、金だけがどつかにもぐり込むというようなことも考えられないですか。
  255. 石動丸十郎

    石動丸証人 それは考えれば考えられるかもしれないですが、金は向うが直接払つて、私は頼まれた金額をやつているだけで……。
  256. 大泉寛三

    ○大泉委員 あなた以外に領収書を発行している同僚はありませんか、――あなたのように頼まれて架空な領収書を発行している同僚があると思いますか、ないと思いますか。
  257. 石動丸十郎

    石動丸証人 それは今度の事件において、各土木出張所佐賀、古湯、神崎というようなものにもあると思います。
  258. 大泉寛三

    ○大泉委員 そうすると、あなた以外に、架空な領収書を同僚が発行しているということですね。買いもしない領収書、架空な領収書を発行しているあなたと同じような立場の人がほかにありますか。
  259. 石動丸十郎

    石動丸証人 あります。
  260. 大泉寛三

    ○大泉委員 やはり発行しているということですね。
  261. 石動丸十郎

    石動丸証人 そうです。
  262. 大泉寛三

    ○大泉委員 そこで料理屋とかあるいは宿屋とか、そういう飲食店の消費先からも、必ずこれは領収書はとつているわけですね。
  263. 石動丸十郎

    石動丸証人 それはとつております。
  264. 大泉寛三

    ○大泉委員 どうしてもそこに金が浮いて来るわけだ。会計から出した金が、それはあなたのように善意に解釈しても、いわゆる接待費が足りないから、それに埋め合したというようなことだけでなく、金の使い先が、いわゆる無名の金がどこかに残つている着服されているところがなければならないわけです。そう思いませんか。
  265. 石動丸十郎

    石動丸証人 それは思つたこともあります。というのはただいまちようど裁判中でありまして、そんなことが出たことも、今度のことで初めて知つたわけであります。
  266. 大泉寛三

    ○大泉委員 どういう人がそれを着服したと思われますか。
  267. 石動丸十郎

    石動丸証人 着服といつても、その着服の意味が、自分でとつたということじやないと思いますけれども……。
  268. 大泉寛三

    ○大泉委員 これ以上お伺いしても同じですから、これでやめます。
  269. 小松勇次

    ○小松委員 簡単にお尋ねしますが、証人のお話を承りまして、証人自分の県に災害が生じた場合に、その災害の復旧に対して、県の希望通り、これが査定が通るように、いろいろの努力をされたということは、よくわれわれは認められるのでありますが、そのためにいろいろ接待もしたというような関係でありましようが、あなたは、先ほどから承りますと、昭和五年から佐賀県にお勤めになつていらつしやる、非常に長い間勤めていらつしやるのでありますが、その間にも災害がたくさんあつたと思う。そういう際に年々やはりこういうぐあいに接待費をお使いになつてつたのですか。
  270. 石動丸十郎

    石動丸証人 そうです。
  271. 小松勇次

    ○小松委員 そうすると、その接待費の捻出は、どういうぐあいにしてされておつたか。
  272. 石動丸十郎

    石動丸証人 その捻出は、私さつき申し上げましたように、はつきりと知りませんけれども、こんなこともあつたのじやないかと思うております。
  273. 小松勇次

    ○小松委員 こんなこともあつたのじやないかと思うということは、やはり架空工事や、砂バラスをごまかして、それによつて接待費を捻出しておつたということですか。
  274. 石動丸十郎

    石動丸証人 それもはつきり覚えませんが、私の考えではやつたんじやないかと思うだけです。
  275. 小松勇次

    ○小松委員 あなたは先ほど、予算の話もいろいろあつたのですが、二十四年度あたりは、土木の交際費はどのくらいあつたのですか。
  276. 石動丸十郎

    石動丸証人 それは私予算関係の方ははつきりわからないので、ただ二十五年は、今度の事件があつたから知つたので、大体私の方は、さつき申し上げましたように、予算の方面ははつきりわかりません。
  277. 小松勇次

    ○小松委員 そうすると、大体年々こういうような方法によつて接待費を捻出しておつたということは、大体あなたのお話によつて、さように想像してさしつかえないと思うのですが、そこで承りたいのは、本省からなり、あるいは地建の方たちが出張されたときに、この地元県として接待をするということが、慣例になつておるのですか、どうですか。
  278. 石動丸十郎

    石動丸証人 それは今まで私が知つている範囲では、接待しておつたようです。慣例と申しますか、慣例みたようになつてつたように思います。
  279. 小松勇次

    ○小松委員 まあ大体慣例になつてつたのでしよう。二十五年度に本省からおいでになつたという方は、どういう方がおいでになつたのです。どういう方を接待したのです。
  280. 石動丸十郎

    石動丸証人 本省からお見えになつたのは、防災課、河川局あたり、とにかく土木関係、それから昨年は衆議院のお方もお見えになり、参議院の方もお見えになり、大臣もお見えになつたと思います。そこでそういうふうな接待をされる場合に、知事さんが大体は接待されるときもあるのですけれども、土木関係の場合は、土木部で払つてつたわけです。     〔内藤(隆)委員長代理退席、委員   長着席〕
  281. 小松勇次

    ○小松委員 それでは衆議院や参議院の方がおいでになつたのも、土木関係のことは土木費でお支払いになつたのですか。
  282. 石動丸十郎

    石動丸証人 そうです。
  283. 小松勇次

    ○小松委員 そうすると、その接待費というものは、こういうような財源によつてこれをまかなつたのですか。
  284. 石動丸十郎

    石動丸証人 それをまかなつたのも、多分これから出ておつたと思います。私はさつき申し上げるように、予算についてのことはわからぬものですから……。
  285. 小松勇次

    ○小松委員 そうすると、内容はよくおわかりにならぬのですね。
  286. 石動丸十郎

    石動丸証人 接待費の金の払いとか何とかいうものはわかりません。
  287. 小松勇次

    ○小松委員 衆議院議員や参議院議員、大臣なんかが行つて、こんな費用によつて接待したというようなことは重大な問題だ。
  288. 石動丸十郎

    石動丸証人 大体土木関係は、土木の費用で払つてつたという話を聞きました。
  289. 小松勇次

    ○小松委員 これは重大な問題です。衆議院や参議院の方がおいでになつたのは、衆議院から委員として派遣された方がおいでになつたのですか、個人の資格でおいでになつたのですか。
  290. 石動丸十郎

    石動丸証人 個人でありません。災害視察とか何とかで……。
  291. 小松勇次

    ○小松委員 二十五年度は何人ぐらい衆議院から参りましたか。
  292. 石動丸十郎

    石動丸証人 二十五年は何名かよくわかりません。
  293. 小松勇次

    ○小松委員 参議院の方も数はわかりませんか。
  294. 石動丸十郎

    石動丸証人 わかりません。
  295. 篠田弘作

    篠田委員長 それは調べればすぐわかります。
  296. 小松勇次

    ○小松委員 そこで、私はよくわからぬのですが、災害工事の国庫補助という補助金は、工事費幾らぐらいから国庫の補助があるのですか。
  297. 石動丸十郎

    石動丸証人 国庫補助は十五万以上だと思います。
  298. 小松勇次

    ○小松委員 そこでお伺いしたいことは、先ほどあなたのお話を承つておりますと、私の聞き違いかどうか知りませんが、こういう費用を捻出するために堤防工事費として二十七万円を設計して、その金を受取つたということになつております。二十七万円という工事だとすれば、国庫の補助がなくてはならぬと思うのです。
  299. 石動丸十郎

    石動丸証人 いや、その金の出先は私聞きましたけれども、公共事業費からは出ていないそうです。みな県費から出ております。
  300. 小松勇次

    ○小松委員 この工事費は全部県費の工事ですか。
  301. 石動丸十郎

    石動丸証人 ええ、県費で接待費は出ているそうです
  302. 小松勇次

    ○小松委員 いや、あなた方が架空工事を設計したものは、みな県単独の工事なんですか。
  303. 石動丸十郎

    石動丸証人 県単独の工事であります。国庫補助というそういうものは全然できるわけもございません。
  304. 小松勇次

    ○小松委員 二十七万円とおつしやつたから、二十七万円の工事……。
  305. 石動丸十郎

    石動丸証人 二十七万円でありましても、県の単独事業です。
  306. 小松勇次

    ○小松委員 それがもしも国庫の補助工事であるならば、国の検査を受けなければならぬと思うのです。そのことを私は聞きたかつたのですけれども、それは県関係工事であるから、それはその程度に承つておきます。  そこでさらに承つておきたいのは、あなた方の方では、こういう架空工事を見積るのに、いろいろの人に依頼したと思うのですが、こういうことはいつも同じ人に依頼するのですか。たとえば砂利の問題、堤防の問題、道路の問題、こういう架空工事の請負をさして、その請求書を出させる人はいつも同じ人なんですか。
  307. 石動丸十郎

    石動丸証人 請負人ですか。
  308. 小松勇次

    ○小松委員 請負人です。
  309. 石動丸十郎

    石動丸証人 私の関係では同じ人に頼みました。
  310. 小松勇次

    ○小松委員 そうすると、その人たちはあなたの県の工事という工事はことごとく指名入札に入つている人ですか。
  311. 石動丸十郎

    石動丸証人 そうです。
  312. 小松勇次

    ○小松委員 入るときにただわれわれが心配するのは、そういうような人は弱点があるし、そういう人とはいろいろな悪縁が結ばれる。そこで工事関係者から、いろいろな不祥な事件が起つて来ることを懸念するのですが、そういうことは、今まで入札上にもなかつたのですか。
  313. 石動丸十郎

    石動丸証人 ありません。
  314. 小松勇次

    ○小松委員 そういう人たちに対して、工事を入札でなくして、随意契約したということはございませんか。
  315. 石動丸十郎

    石動丸証人 随意契約は私の関係ではございません。
  316. 小松勇次

    ○小松委員 あなたの方では随意契約という制度はないのですか。
  317. 石動丸十郎

    石動丸証人 随意契約したことはありません。
  318. 小松勇次

    ○小松委員 それからさらに一点お伺いいたしますが、あなたの方の災害工事で雑手当というのがありますね。この雑手当工事雑費とは違うのですか。
  319. 石動丸十郎

    石動丸証人 工事雑費と思います。
  320. 小松勇次

    ○小松委員 工事雑費と同じものですね。――その工事雑費は一体どういうものに使う性質のものですか。
  321. 石動丸十郎

    石動丸証人 工事雑費というのは、いわゆる消耗品とか、それから事務費もいくらか入つています。
  322. 小松勇次

    ○小松委員 さらにそれは係りの方の手当なんかにお使いになることはありませんか。
  323. 石動丸十郎

    石動丸証人 手当は出ていないと思います。
  324. 小松勇次

    ○小松委員 私どもの調べによりますると、その工事雑費は三百五十万円のうちを、総務部長さんに五万円、土木部長に十万円とか、その他部員にこれを分配したというようなことを聞いておりますが、そういう事実はございませんか。
  325. 石動丸十郎

    石動丸証人 その事実は私存じません。やつたかやらぬかということは……。
  326. 小松勇次

    ○小松委員 まだそういうことは聞いておりませんか。
  327. 石動丸十郎

    石動丸証人 そういうことは聞いておりません。
  328. 小松勇次

    ○小松委員 あなた方は分配を受けたことはありませんか。
  329. 石動丸十郎

    石動丸証人 いいえ、分配を受けたことはありません。分配を受けたというのは、その金から出ているかどうかは知りませんけれども、昨年の災害手当として各出張所所長が二万円、それから所員が平均四、五千円というようなあれはもらいましたです。
  330. 小松勇次

    ○小松委員 それは普通の予算に計上された費用から出たとあなた方思つておりますか。
  331. 石動丸十郎

    石動丸証人 それは私何から出たかわかりません。
  332. 小松勇次

    ○小松委員 そういう費用であなた方が接待費を捻出したその余りから分配にあずかつたということはあなた方は感じなかつたのですか。
  333. 石動丸十郎

    石動丸証人 接待費から出ておるか何かということもわかりません。
  334. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あなた今出張所長をやめているのだろう。いつどういう形でやめたのですか。
  335. 石動丸十郎

    石動丸証人 この事件がありまして退職願を出しましたが、退職できないで今休職になつております。
  336. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 また先ほどあなたから聞くと、ほかの者も、古湯とかまたどこかの出張所長調べられておるが、それはみな休職になつておりますか。
  337. 石動丸十郎

    石動丸証人 休職になつておりません。現在そのまま勤めております。ほかの人はみな出ております。
  338. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 江副又次というのも起訴されていますね。
  339. 石動丸十郎

    石動丸証人 起訴されて今休職です。
  340. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それを聞いておる。
  341. 石動丸十郎

    石動丸証人 二人だけです。そのほかは全部……。
  342. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 ほかは調べられましたか。
  343. 石動丸十郎

    石動丸証人 調べられて勾留されました。そして起訴猶予ということになつております。
  344. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 起訴猶予になつている者は休職にもならぬし、退職もしておらぬのですか。
  345. 石動丸十郎

    石動丸証人 退職もしない、現在前のように勤めております。
  346. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そこで起訴猶予となれば、何か疑いがあつたものと思うのだが、その疑いの事件はあなた方と同じような……。
  347. 石動丸十郎

    石動丸証人 同じです。その各出張所長も私と同じで、みな頼まれてつくつたわけです。
  348. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 架空工事をつくつて金をとつた……。
  349. 石動丸十郎

    石動丸証人 そうです。そして県にやつて……。
  350. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そこで私は聞きたいのだが、一体あなた方は、こういうことは悪いことだと思つておりますか、これは昔からのしきたりで、その任に当つたらやらなければならぬものだと思つておりますか。
  351. 石動丸十郎

    石動丸証人 それはやることについては悪いと思います。しかしさつき申し上げましたように、そういうふうに情を明かして頼まれたものですから私はやつたので……。
  352. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 上の人から頼まれたからあなたとしてやるのはいいが、あなたが自分の監督下にあつた請負師に、架空工事の領収書を書けと言つたとき、どういうふうに思つたか、それがわれわれ問題だ。
  353. 石動丸十郎

    石動丸証人 それも私は県からこういうふうにいわれてつくらなくてはならぬからと、情を明かして頼んだ。
  354. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 悪いとは思わなかつたか。
  355. 石動丸十郎

    石動丸証人 それはまあ悪いと思いました。
  356. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 悪いことを自分の監督下の者に言つたら、その次からあなたは口があかぬことになる、なかなかいえぬことだと思う。それを私は聞きたい。
  357. 石動丸十郎

    石動丸証人 それは個人的であれば、そういうことは絶対業者に対してできないと思うのですけれども、上司の方からのお話もあつたから、そこの問題はどう申し上げていいか、ちよつと――。個人的にやるということはこれはもう悪い……。
  358. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それからさつき請負師に対して幾らか渡しておる、一割五分とか言つたが、それはあなた方の方でこれくらいだというてやるのか、向うからこれくらいもらわなければ困るといわれてやるのか、それともそういうものには何割やるべきだという目途がついておつたのかどうか。
  359. 石動丸十郎

    石動丸証人 そんな目途なんかついておりません。一割か一割五分くらいやつたらいいだろうという見当でやつた
  360. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 君らの方からこれくらいやつたらいいだろうと思つてつたら、向うもけつこうでございますと言つてとるのかね。
  361. 石動丸十郎

    石動丸証人 けつこうというか、そんな気持か何か知りませんけれども……。
  362. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あなたの相手方になつた請負師は起訴されておりますか。
  363. 石動丸十郎

    石動丸証人 起訴されておりません。
  364. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あなたの方でこれだけの工事請負師にもどしをやつた金は、合計幾らくらいですか。
  365. 石動丸十郎

    石動丸証人 請負師にやつた金――私の関係ですか。
  366. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうです。
  367. 石動丸十郎

    石動丸証人 私の関係ではまあ四、五万円くらいと思います。
  368. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 先ほど委員長の質問に対して、答えられたところによると、架空工事の金が四十万円二つ、約八十万円になつていましたね。
  369. 石動丸十郎

    石動丸証人 そのくらいです。
  370. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすると、一割にしたつて八万円、一割五分にすれば十二万円だ。どうだい、そのくらいかね。
  371. 石動丸十郎

    石動丸証人 それはさつき、はつきり一割とか一割五分とかいうことを申し上げたのですけれども、少くやつた
  372. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 ほんとうのことを言つてごらん、いいかげんじやなく。
  373. 石動丸十郎

    石動丸証人 やつたのはそれだけです。五、六万円です。
  374. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それは何も労せずに、ただ領収書を書いただけで、向うはとつた金だね。
  375. 石動丸十郎

    石動丸証人 税金関係で、……。
  376. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それは不問に付されているのか、起訴猶予か。
  377. 石動丸十郎

    石動丸証人 起訴猶予です。
  378. 大森玉木

    ○大森委員 そうすると、一割五分ぐらいはやつておるということであつたのだが、今聞くと、五、六万円しかやつていない。一割五分だと、今のお話のように十二万円になる。そのあとの残りは何かあなた方も書いたり世話をしたのだから、これくらいのものはちよつとお茶菓子でも買うておいたらいいじやないかということで、その仲間にあなた方もお入りになつているのじやないか。
  379. 石動丸十郎

    石動丸証人 いや、その中から出張所にもらつたこともあります。
  380. 大森玉木

    ○大森委員 それはそういうことがあるのだね。
  381. 石動丸十郎

    石動丸証人 それはさつき申し上げましたように、出張所には何も雑費もないからいるだろうというような名目で、もらつたのです。
  382. 篠田弘作

    篠田委員長 他に御質問はありますか。――御質問がなければ、石動丸証人に対する尋問はこれにて終了いたします。証人は長い間御苦労さまでした。  暫時休憩いたします。午後は一時半より再開をいたします。     午後零時三十三分休憩      ――――◇―――――     午後一時四十九分開議
  383. 篠田弘作

    篠田委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  証人の尋問をいたします前に、昨日の当委員会におきまして、石川県知事柴野和喜夫君に証言を求めましたところが、その中に取消しをしたいという点があるということで、委員長あて文書をもつて取消の要求がありました。速記録を訂正することはもちろんできないのでありますが、この文書を読み上げまして、速記録の末尾にこれを追加するということを御承認願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  384. 篠田弘作

    篠田委員長 御異議なしと認めます。  それでは文書を読み上げます。    御 願  十月二十二日行政監察委員会二証人トシテ出頭シ陳述シタル事項中委員ヨリ「六・三制二基ク学校建設ノ為ノ起債ヲ許可スル権限ハ誰デアルカ」トノ趣旨ノ御質問ガアツタノニ対シテ「ソレハ教育委員会ノ権限デアル」旨ノ答弁致シマシタガ調査ノ結果右ハ全ク証人ノ思ヒ違ヒデアリ起債ニ関シテハ六・三制即チ公共事業トシテ学校ヲ建設スル分ニ付テモ知事ノ所管事項デアルコトが判明致シマシタ  甚ダ申訳ノナイ次第デアリマスガ御訂正ノ御取計ヒヲ御願ヒ申上ゲマス   十月二十三日      証人       石川県知事 柴野和喜夫    行政監察委員長篠田弘作殿     ―――――――――――――
  385. 篠田弘作

    篠田委員長 それでは引続き次の証人の尋問をいたします。いだいまお見えになつておられる証人は樺島明君ですね。
  386. 樺島明

    ○樺島証人 そうです。
  387. 篠田弘作

    篠田委員長 あらかじめ文書をもつて御了承を願つておきました通り、証人として証言を求めることになりましたので、さよう御了承を願います。  これより公共事業費をめぐる不正事件について証言を求めることになりますが、証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係にあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にあつた者またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて黙秘すべきものについて、尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知になつておいていただきたいと思います。  なお証人が公務員として知り得た事実が職務上の秘密に関するものであるときは、その旨申出願いたいと存じます。  では法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書の御朗読を願います。     〔証人樺島明君朗読〕    宣誓書   良心に従つて、真実を述べ、何事もかくさず、又何事もつけ加えないことを誓います。
  388. 篠田弘作

    篠田委員長 それでは署名捺印願います。     〔証人宣誓書署名捺印
  389. 篠田弘作

    篠田委員長 これより証言を求めることになりますが、証言証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際にはその都度委員長の許可を得て答えるようお願いいたします。なおこちらから証言を求めるときはおかけになつていてよろしゆうございますが、お答えの際は御起立を願います。  証人はいつから現職に就任されましたか。
  390. 樺島明

    ○樺島証人 現職と申しますのは……。
  391. 篠田弘作

    篠田委員長 検事です。
  392. 樺島明

    ○樺島証人 任官しましたのは昭和二十一年八月、日にちははつきり覚えておりません。八月です。
  393. 篠田弘作

    篠田委員長 佐賀地方検事になられたのはいつですか。
  394. 樺島明

    ○樺島証人 昭和二十二年四月の多分五日ではなかつたかと思います。
  395. 篠田弘作

    篠田委員長 佐賀県土木不正事件の捜査をされたのはあなたですね。
  396. 樺島明

    ○樺島証人 いたしました。
  397. 篠田弘作

    篠田委員長 その経過について述べてください。
  398. 樺島明

    ○樺島証人 そのことについてあらかじめ御了解を得たいと思いますが、私はその事件を終りましてすぐ転任いたしました。本年四月五日付で横浜地方察庁検事に転じ、その後まつたく資料を見ておりません。公判にも関係しておりませんので、記憶程度で申し上げたいと思います。なおもしお許しが願えればその際私が作成したメモを持つておりますので、これを見せていただければ比較的確実ではないかと思います。  捜査の経過と概略を申し上げますと、本年一月十五日佐賀鳥栖土木出張所長石動丸十郎の、多分最初は収賄被疑事件つたと思います。それを受理しましてから、これは単なる石動丸だけの事犯だ、こういう見通しでおりましたところが、捜査の過程でそれが他に波及するようになりまして、結局二月二日までに十九名、いずれも身柄によつて送致を受け、七名在宅のまま送致を受けました。送致はいずれも佐賀県国警本部捜査課で、その間検察庁としまして受理、捜査を遂げて、二月二十七日までに一応処理を終りました。結局県の土木部関係七名、請負業者三名、これがいずれも公文書偽造行使、詐欺などの事犯によつて佐賀地方裁判所に公判請求せられました。
  399. 篠田弘作

    篠田委員長 午前中に石動丸十郎君を尋問したのでありますが、石動丸十郎君は自分のやつた行為を全部ここでもそのまま率直に認めております。これはもちろん本人もいいことだと思つておりませんが、本人は上官からの指図によつて情を明かして頼まれたからそれをやつた、こう言つておりますが、この起訴のあとを見ると、むしろその命令した方は、道路課長にしても、部長にしても、起訴されておらないで、命令を受けた方――実際において上の命令によつて愚直に近いまでにそれを忠実に守つた方が全部起訴されておるというのはどういういきさつですか。
  400. 樺島明

    ○樺島証人 その点につきましては、まず石動丸十郎だけのことで最初は尋問を始めましたところが、それが県の道路課課長補佐、これは桃崎といいますが、それから名前ははつきり覚えておりませんが、そのまた下の事務官、それを通じて石動丸十郎に話があつたように記憶しております。その回数は何回もありますが、簡単に申しますと結局捜査の結果によりまして、課長補佐桃崎あるいは大庭というところから指示したということは証拠上言えます。しかし今部長というお話がありましたが、課長からそういう話があつたか、少くとも課長がそのことを当時認識していたかどうか、つまり共謀関係につきましてははつきりした認識がない、課長は調と申しておりますが、調はその当時そういうふうな方法で接待費その他が捻出されておるということについての認識がない、こういう結論であります。
  401. 篠田弘作

    篠田委員長 実際の証拠としては、課長補佐桃崎あるいは大庭という者から電話がかかつて来たということは、あなたのおつしやる通りでありますが、しかし課長補佐やそういう事務官が莫大もない交際費自分たちのかつてで使つたとは思えないのであつて、結局これは土木部交際費に使われておる。そうすれば部長も課長も交際費予算というものはすでにわかつておるのだから、それ以上の交際費を使つておるということになれば、どこからかそれを持つて来たという不審を当然抱くべきであるし、自分らが何もそういう事情を知らないからといつて、何百万円という交際費をかつてに使つていいというわけはないと思う。その点について課長あるいは土木部長をあなたは調べましたか。
  402. 樺島明

    ○樺島証人 その点は調べました。特に調課長は十何日間だつたかと思いますが、身柄を拘束して調べました。今委員長のおつしやつたような考えで、大体私もその線で、当然これは上司が知らないはずがないという見通しのもとに調べに入つたわけであります。その間いろいろありましたけれども、先ほど申しましたように、調課長はそういう方法で捻出されておるということのはつきりした認識がない。また課長補佐からも、一言も直接そういうことを具体的に進言してその伺いを立てたことがなかつた、こういうのであります。
  403. 篠田弘作

    篠田委員長 そうすると課長は知らずに何百万円もの交際費を使つてつたわけですか。土木部で費消したものが総額で三百七十万円といわれておるのだが、それは全部一人で使つたわけじやないだろうから、公式な課長に対する交際費というものはきまつておるはずだから、それ以上の交際費を使つてつて、それがどこから出たということを聞きもしなければ、要するに耳をふさいで鈴を盗むというような上の方の態度だと思うけれども、そういう点はあなたはお感じにならなかつたのですか。
  404. 樺島明

    ○樺島証人 その点は感じました。その何百万円というものは、検察庁の道路課関係調べでは百三十九万円ばかりになつておりますが、その点大庭及び桃崎課長補佐を中心にして、何らかの課長の意図を知る程度に、こういう方法で今度の接待費不足分を出したということで、何か課長に意思を通じたようなことはないかというような点を相当研究して捜査したわけでありますが、どうしてもこの点についてはない。またそういう証拠以外の点から見まして、これは最後の方でわかりましたが、調課長個人の性格は、日ごろ非常に清廉な人でありまして、仕事についてはきわめて熱心である。特にそういう予算の使途関係については厳格だというような部下の供述であり、また土木部長なども申しておりました。
  405. 篠田弘作

    篠田委員長 近年公共事業費に対する公務員の綱紀紊乱ぶりは、即に佐賀県ばかりでなく、各府県にもあるのでありますが、昨日は石川県の問題を調べましたが、これは課長まで拘束されて調べておりますが、土木部長になると全然何も知らない。検察庁もただちよつと呼んで参考人程度調べたくらいになつておる。これはよその県のことでありますが、どうもこの国費の濫費の問題は、むしろ命令を受けた下僚に責任が帰せられて、その下僚が進退を決して上に及んでおらない。しかも使つた者は下僚よりも上の者が使つておる。この法律上の解釈はおそらくむずかしいと思いますけれども、こういう一つの風潮に対して検察庁はどういうふうに考えておりますか。
  406. 樺島明

    ○樺島証人 おつしやる通りでございまして、私たちも直接そういう指示なり命令によつて動いておるという関係よりも、なるべく根拠、大元のところを究明いたしたいと思つておるわけであります。従つて捜査の際にも、そういうところがわれわれの大体着眼でございました。いかんせん捜査いたしましても、われわれのやつておることは、すべて証拠に基く判断でありますので、人的、物的そういう具体的な有罪の証拠を十分握らなければ、これをもつて刑事被告人とまではどうしても行かない場合が往々にあるのであります。私たちとしてはその上司なり、とにかく上の方のことを究明することが必要だと考えております。
  407. 篠田弘作

    篠田委員長 たとえば交際費をどこの料理屋で使つたとか、どこの宿屋で使つたとかいうことは調査されたでしようね。
  408. 樺島明

    ○樺島証人 それは調査いたしました。
  409. 篠田弘作

    篠田委員長 その場合に、そこへ出席していた人はどういう人が出席しておつたかということを御調査になつたですか。たとえば課長が出ておつたとか、ほかにだれが出ておつたというようなことを……。
  410. 樺島明

    ○樺島証人 そういうことは調査いたしました。一つ一つの詳しいことはわかりませんが、大体の事実としては、土木部長、あるいは部長が出ない場合には、部長代理として河港課長、とにかく課長は大体出ております。
  411. 篠田弘作

    篠田委員長 それからもう一つお尋ねしておきたいのですが、衆議院あるいは参議院の議員の視察団が佐賀県に行つたときに、このごまかした金の中からごちそうされたという事実は、お調べになつた経過からなかつたですか。
  412. 樺島明

    ○樺島証人 そういう議員団がおいでになつたことは記憶しておりません。
  413. 篠田弘作

    篠田委員長 それが先ほどもちよつと問題になつたのですが、あなたのお調べになつた中にそういうことがなければ非常にけつこうだと思いますが、国会としても国政調査に議員団が派遣され、また儀礼的な接待を受けた場合に、こういう金でもつて会議員が接待を受けたということになれば非常に恥辱でありますから、一応お聞きしておくのですが、あなたのお取調べの中には、国会議員が、参議院、衆議院を問わず、ごちそうになつたということはないと思いますがどうでしようか。
  414. 樺島明

    ○樺島証人 なかつたと思います。
  415. 篠田弘作

    篠田委員長 そうですが。どなたか委員の方で御質問ありますか。
  416. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 大体わかつておるようだから委員長は聞かなかつたのであろうと思うが、私はあとの質問をするために前提として聞きますが、先ほど石動丸証人から聞きますと、この事件の大要は、土木部道路課もしくは河港課において、中央から来る官吏を接待する金が非常にいる、そこでその金がないから、各現業員であるところの出張所長に金の捻出方を命じて、出張所長はからの工事をつくる、もしくは買わない砂利及びセメントを買つたこととしてそういう見積書をつくつて、そして常に自分の下で仕事をしておる請負師に金の領収書を書かせてこれをとる、そして補佐なり何なりを通じて課長のもとまで金を送つた、こういう事件のように聞きましたが、間違いありませんか。
  417. 樺島明

    ○樺島証人 今おつしやつたのは大体土木部道路課関係の違反事実ではないかと思います。河港課は少しかわつております。たとえば川の堤防なり、石垣、川の浚渫、こういうことを実施したことがないのに、いわゆる工事竣工届というような書類を、同様県の課長に提出して、部長あるいは課長代理から決済を受けて会計にまわつて、その金が課長の方に土木業者から渡されておる、こういうことであります。
  418. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすると、聞きたいのは、一旦請負師が金をとつて、それを出張所長がさらに受取つて、それから上の方へ持つて行つておりますか。それともただ土木業者に領収書を書かせるだけであつて、金を出張所長がみずから受取つておりますか。どうですか。
  419. 樺島明

    ○樺島証人 それは出張所長石動丸みずからが直接県の会計に行つて収納したものも一回か二回あつたかと思います。しかし大部分はやはり業者が県の会計に行つてつたように聞いております。
  420. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 土木部長が受取つて、その金をおもにだれに渡しておりますか。
  421. 樺島明

    ○樺島証人 大体請負業者は銭をとつて来まして、そのまま出張所長に渡す、出張所長はそのまま県の課長あるいは課長補佐、これは予算関係はすべて課長補佐が大体取扱つております。課長補佐またはその下の係の事務官のところに持つて行つて、そこで業者に対して事業税の引当て二割くらいをやつたほか、やはり出張所長出張所接待費として一割かそこらを渡すというようなことが多かつたようであります。
  422. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 課長補佐が受け取つて、その補佐がさらに課長に渡しておるようですが、それは間違いありませんか。
  423. 樺島明

    ○樺島証人 課長に渡したのはあまりないと思います。輔佐が大体そういう金を握つております。
  424. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 さつきあなたが言われた百三十九万何がしというのは、私の方へ来ておる資料によると、両方の輔佐から持つて行つて、課長に納まつた金が百三十九万何がしになつているのですが、これは間違いですか。
  425. 樺島明

    ○樺島証人 私が申しますのは現物のことであります。金は課長補佐までだと思います。課長には直接行つていないと思います。
  426. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 われわれの手元へ来ておるのでは、課長補佐が二人おりまして――桃崎というのと大庭というのがおりますね。その両方から、合せて百三十九万何がしというのが課長の方に行つておりますが、それはひとつ考えておいてもらいましよう。そこで聞きたいのは、この接待費を支払うのはたれですか。
  427. 樺島明

    ○樺島証人 大体そういう方面は課長補佐が担当しておりまして、その都度課長補佐が直接行つて支払う場合もあるし、その下の事務官にやらせる場合もあり、そういう二つの方法をとつております。
  428. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それでは接待をする主体はだれです。お客様を呼ぶのは補佐が呼ぶのですか、課長が呼ぶのですか、部長がお呼びになるのですか。
  429. 樺島明

    ○樺島証人 それはお客の程度によりまして、部長で招待する場合もあります。またそれほどでない人は課長のところでやります。しかし本省関係などは大部分部長でやると思います。     〔委員長退席、塚原委員長代理着席〕
  430. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすると、部長は接待しておるが、その接待費はどこから出るか知らないでやつておるのですか。部長なり課長なりは……。
  431. 樺島明

    ○樺島証人 その点は、大体先ほどもちよつと触れましたが、その都度どういう費用で接待をするかということについては、あまりはつきりした話はやつていない。その当時に話す場合もあるし、その後になつて、支払い期になつて課長補佐のところで検討する、こういうのもあり、はつきりしたそういう打合せに基いて招待するということは、捜査の上では直接には出ておりません。
  432. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 先ほど証人から聞きますと、そういうものに対する予算はない。しかしながら接待はせなければならぬ。こういうことで金が足らぬのだ、こう聞きましたが、予算の足らぬということは、下の者よりもむしろ課長及び部長が一番よく知つておる。その予算の足らぬことを知りながら、お客を招待する者が部長及び課長だ、こういうことになりますと、金がないけれども、呼んだのは課長及び部長である、こういわざるを得ぬと思うが、その点あなた方の方ではそうお感じになりませんでしたか。
  433. 樺島明

    ○樺島証人 そういうふうに感じております。従つて、われわれの捜査の主眼とするところもそこに集中したわけであります。先ほど申しましたように、いわゆる証拠関係から見ましてはつきりしたものが出ない。この点は、直接には調課長及び土木部長は事件としては何ら出ておりません。
  434. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうしてみると、具体的なことはわからぬが、金がないのに接待をしている。するとどこからか下の者が金を用意しているということは、認識のある者ならばわかるが、これはどうですか。
  435. 樺島明

    ○樺島証人 土木部長を調べ、また調課長も調べましたが、遺憾ながらその点については納得するような点はありませんでした。
  436. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そこでこの事件について先ほどお聞きいたしますると、土木部の者七名、請負業者三名と聞きましたが、その名前と仕事の係をお聞きします。
  437. 樺島明

    ○樺島証人 県の河港課道路課と両方ありますが、河港課の方では課長平尾修一、同じく課長補佐牟田優、それから道路課の方は、課長補佐桃崎藤三郎、同じく課長補佐大庭俊春の両名、道路課ではもう一人事務官の主事で森永繁、それから土木出張所関係では神崎土木出張所長江副又次、鳥栖土木出張所長石動丸十郎、県関係では以上であります。業者の方では、大石喜次郎、坂井文一、高島市五郎、以上三名であります。
  438. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 出張所長として起訴になつたのは石動丸と江副であります。そのほかの出張所長調べられたと聞いておりますが、どの出張所長とどの出張所長とをお調べになつたかをお伺いいたします。
  439. 樺島明

    ○樺島証人 そのほか出張所長としましては、許田重清これは古湯の土木出張所長、黒田喜八、佐賀土木出張所長の二名であります。事務主任としては、県庁関係道路課関係の事務官内田敏行、古賀邦次それから河港課関係で末次一男、副島輝雄以上であります。
  440. 塚原俊郎

    ○塚原委員長代理 樺島君ちよつとお尋ねしますが、内田敏行は道路課ですか。
  441. 樺島明

    ○樺島証人 捜査当時は農地課にいたのです。  それから出張所関係の事務官としては古湯土木出張所の鈴木照雪。
  442. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 わかりました。そこでこれだけのものをお調べになつた結果、上の者は別としまして、土木出張所長とその下の者についてお聞きしたいのですが、土木出張所長としては石動丸と江副だけのようですが、ほかの許田とか黒田、それから許田の下におりました鈴木照雪というような者も同様の事実があつたように聞いておりまするが、それはいかがでしたか。
  443. 樺島明

    ○樺島証人 その点につきましてあるのはあるのですが、しかし程度はずつと低い、この両名に比較しまして罪質ともに非常に少なかつたというふうに記憶しております。
  444. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすると今の言葉によりますと、同様の事件はあつたが、低度が低いからということでありましたが、それをどういう処分にされたのですか。
  445. 樺島明

    ○樺島証人 越訴猶予にしました。
  446. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 ところが私らのところに来ております資料によりますと、許田自身は七十四万三千何百円、その下におりまする鈴木照雪は百二十六万四千何百円、こういう事実が上つておりまして、石動丸や江副よりもこの方面の事件が非常に関係者も多いようですが、そういう事実はなかつたのですか。
  447. 樺島明

    ○樺島証人 事実はその通りでございますが、許田につきましては、七十四万というのは、ほとんど鈴木が主としてタツチしておりました。鈴木が県からいわれて、その都度これは事後に報告したものもあつたと思いますが、大体事前にこういうことをいわれたからと許田に一応報告して書類を作成するという方法ですが、その得た金は古湯の出張所にはほとんど行つておりません。何万かごくわずかの金が行つていたと思いますが、しかもその金は大体鈴木が出張所の材料代か何かに正当に使つていたと思います。  それから鈴木は、なるほど百二十六万という金額になつておりますが、これはもと道路課におりました同僚であるため、その同僚なり、またはかつての直接の上司である課長補佐から、そういうふうに書類をつくつてくれということをいわれる。道路課としましても、ほかのあまり知らないところに頼むよりも、かつて自分の課にいた同僚の方が話しやすいという点から、鈴木の方に多数こういうふうな機会があつたわけであります。それで鈴木も、しかたなくこれについて書類を作成しているようでありますが、これも今申しましたように、その書類作成だけで、金の問題については、全然行つておりません。全額道路課にそのまま行つております。
  448. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 次に請負人側の方ですが、請負人側で起訴されたのは、今お聞きしますると、坂井、高島、大石とこの三人だというですが、これは三人とも贈賄で起訴されておるようですが、間違いございませんか。
  449. 樺島明

    ○樺島証人 そうです。
  450. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすると、今いうそのから工事及びから売買の領収書を出して金を受取つたという事実については、犯罪が成立せないものとお認めになつたのですか、それともどういう……。
  451. 樺島明

    ○樺島証人 もちろんこれは共謀で、犯罪が成立するという見解ですが、その分まで起訴するという程度ではなかろうというわけであります。
  452. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 次いで承りたいのは、この件で起訴せられた者は、現在――現在というか、あなたのわかる程度でよろしいのですが、その当時から今までで、身分上どういう処分を受けておるかを、御承知の程度承りたい。
  453. 樺島明

    ○樺島証人 その点につきましては、捜査が一段落したころ、多分県の方から書類でだつたと思いますが、処分について承知しましたが、ほとんど全部にわたつて処分を受けたと聞いております。
  454. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 どういう処分になつていますか――私の方から知つているだけ申しましよう。起訴になつた者は休職の処分を受けているが、そのほかの者は全部そのままで在職していると聞いているのですが、それはいかがですか。
  455. 樺島明

    ○樺島証人 不起訴になつた者で、道路課の調課長は一旦退職しました。どこかの道路課長か何かに、あとで行つたということを聞いております。そのほかは転勤、減俸などの処分を受けていたと記憶しております。
  456. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そのまま在職しているということは、間違いありませんね。
  457. 樺島明

    ○樺島証人 大部分――ほとんど全部在職しているだろうと思います。
  458. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それではこの道路課長や河港課長の上である土木部長には何かありましたか。
  459. 樺島明

    ○樺島証人 土木部長は、処分ではなくて、この事件のために引責辞職したということを聞いております。
  460. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それではこういうことですか。土木部長及び道路課長は責任を感じて退職した、そのほかの起訴された者は休職処分にあつている、そのほかの者は、懲戒その他の行政処分はあつたようであるが、大部分元通りの職についている。こういうことになるわけですね。
  461. 樺島明

    ○樺島証人 転勤その他の処分を受けているわけです。
  462. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 われわれ、あなたが証人に出られて、ここで議論するわけじやないのですが、これを前もつて申し上げておきますが、われわれの今日ここで調べますことは、公務員たる者が国家の金を使いもしくは県の公金を使う上において、かようなやり方をするということは、非常に国政上困る、そういう点から調べておるのであります。この意味から申しまして、われわれは犯罪のことは第二に置いて聞くのでありますが、今あなたのお話によりますると、県の公務員としてやつたことは、これはもちろんはなはだ不都合であることは問題ない。さらにこれと結託して、仕事もせないのに領収書を書いて、金を受けとつておる。それが常に県の仕事をする請負人である。かようなことが横行するということになれば、これは県費及び国費をいかに使われるかは、もう想像に余りあるものであるし、工事そのものの正確も絶対に期せられないこういうところからわれわれはこの点を重視して調べておるわけであります。ところが今のあなたのお話から見ますると、起訴せられた者は、これは休職になつているからよろしいのですが、そのほかの者は、行政処分を受けたかしらんが、外から見ると、こういうことをやつたが元の通りの職についてやつておる、それからそういう手段で金を受けとつて、なるほど税金払つたかしらんが、相当の利得をしておるところの請負人も、贈賄した者以外は何らの処分がない。しこうしておそらくこれは相かわらず県の仕事をやつておることだろうと想像されます。しかもこの鈴木照雪のごときは、鈴木照雪の命を受けて領収書を書いた請負人は五人もいる、そうして鈴木照雪が同じ職についておつて、その下で請負人が相かわらず仕事をしておる、こういうことになると、非常にどうも、こんなことをやつてもさしつかえないものだと世間では見られないかという憂いを持つのでありまするが、これは別にあなたを責めるわけではありませんが、この点はどうお考えになつて御処分になつたか、これをまずお聞きしたい。
  463. 樺島明

    ○樺島証人 今おつしやつたような、身分上の行政処分ということにつきましては、われわれとして、何らこれに対してくちばしを入れるということはできないことであります。ただ捜査の結果、起訴できるかできないかということだけの判定でございます。しかしながら今おつしやいましたような、結果から見れば、そういうあまりおもしろくないような結果にも一部なつておるところがあるかと思いますが、これは県の方の場立でどういう考えでこういうことをしたか、あとで考えました。処分としては、その当時感じたことは、はたしてこれでいいかということについて私も幾らか考えたのであります。
  464. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 これ以上議論しても何ですからよろしゆうございますが、ただ鈴木照雪の点ですが、これは今申し上げましたように、五人の請負師に百五十万円ないし三十万円からの受取りを出させて金をとらしておる。そして合計百二十六万何千円という大きなものなんです。これは金は大きいけれども起訴するほどでないと思われたのは、ほかに贈賄、収賄等もないから、これくらいのことはいいというお考えであつたか、それともそうではあるが、金も大きいが、何かこれを見のがしてやつてもよろしいんだというような理由があつたのか。
  465. 樺島明

    ○樺島証人 これは先ほども申しました通り、回数は五回、金額は多きにわたつておりますが、特殊な、同僚なりあるいは上司からの命令とまでは行きませんが、指示であり、やむを得ずそういう書類を作成してやつた、こういう関係にすぎない。だんだんそれによつて業者を利得した、また出張所自体としてその金を使つたというようなことはありません。ほかの起訴している者に比較しまして、犯状としましてはきわめて軽いものだと考えております。
  466. 塚原俊郎

    ○塚原委員長代理 ほかにありますか。
  467. 加藤充

    ○加藤(充)委員 それではお尋ねいたしますが、検挙の糸口といいますか、発端いかんということは、先ほどあなたの証言の中に簡単に触れられたと思うのですが、大体その点について、これは聞込みか、投書か、あるいはまたそれを取上げた警察はどこなのか、そういうことについて述べていただきたいと思います。
  468. 樺島明

    ○樺島証人 警察は冒頭に申し上げました通り、国警佐賀県本部捜査課であります。端緒といたしましては、大体これは聞込みじやないかと思つております。
  469. 加藤充

    ○加藤(充)委員 今鍛冶委員の方からもお尋ねがあつたようですが、被疑取調べの範囲、起訴処分をどこで区別したか、それから起訴された者については、起訴の罪名ならびに起訴の理由、そういうことで御説明があつた点は、程度が低いものはそういうようにした、あるいはそこまでは起訴するには至らないと考えたので、詐欺事犯の罪名は不起訴にした、ただ贈賄だけでやつたというようなお話があつたのです。その程度というようなことについて、今申し上げたような諸点について、いろいろ区別をされたのですが、それと関連して、程度というものはどういうふうなところに重点を置いて処置をされたのか。一部分御説明は確かにあつたと思いまするけれども、いま少し詳しく、もつと総括的に全面的に御説明を願いたいと思う。
  470. 樺島明

    ○樺島証人 処理の基準ということにつきましては、本件は先ほども申しました通り多人数にわたつておりまして、いずれも基準が同一だというわけではないのであります。各人それぞれそのタツチしておる程度その回数、金額、こういうようなそのタツチの程度、それから、そういうことによつて得た金、これの使途について関係しておるかどうかという、大体全般的に共通するような基準として、全般をそういう点について検討したわけでありますが……。
  471. 加藤充

    ○加藤(充)委員 末端の者は回数が多くても額が多くても、末端の立場にあつた者として、職制的に、あるいはその者の職場の係のかわりました点について、個人的な前の上司関係との間柄とかいうようなことで、軽微にお取扱いになつたということについては、私は一応うなずけるのでありまするが、そういう論理そういう追究の仕方をいたしますれば、当然に最後の責任を持つた者を羽がい締めにして、やむなく下級末端の職員をそこの場面に押し込んでしまつたもの、この原因を与えた者、しかも与えたばかりじやなく、その不正に取得されたる金品で飲食その他の領得をいたした者は、重い処罰を受けなければならない。そうしなければ、先ほどおつしやつた立場並びにその方法というものは、理論が一貫しないと思うのですが、しかるに何ぞや、経済部長だとかあるいは道路課長だとか、一、二の事例をあげても、ここらあたりが問題にならないのでは論理一貫せざるばかりでなく、処分、捜査の内容、やり方についても了解に苦しむところが残ると思うのです。そういう点について、あなたの先ほど述べられた程度の低いものを起訴にしたおとりはからい――経済部長あるいはここに表によつて私どもが調べました材料をもとにいたしますれば、道路課長というようなものが問題にならなかつた、これはどういうことでありますか、矛盾いたしませんか。
  472. 樺島明

    ○樺島証人 その点につきましては、先ほど来の問いに対しまして答えた点がございます。なるほどおつしやる通りに、私たちとしましても、その根源をつかむということは、単にこの事件だけに限らず、すべてそういう心がけでおります。従つて捜査の方法としても、着眼をそこに置いておるわけなんですが、どうしても外部に現われる物的、人的証拠から判断しますと、直接その衝に当つた者ないしそれから二段、三段程度関係だけしか現われないのが、非常に多い。今おつしやいました調課長なり、土木部長ということにつきまして、はつきりいたしました認識というものがなければ、これの共謀ということは立証しがたい。常識的に考えますると、いかにも不徹底な感じがいたします。私もそのように感じますけれども、訴訟法の立場上そういうことは徹底できない場合があります。
  473. 加藤充

    ○加藤(充)委員 大体先ほど私が検挙の糸口、発端というようなものを聞いても、それは県庁の捜査課でやる。捜査課というような扱い方はなかなか大がかりなもので、機構も充実しております。しかしその反面に、ともすれば政治的な事件の中に利用されるような傾向を幾多の実例で私ども見るのでありますが、この問題なんかも、一応は土木部長や道路課長あたりは問題にしないというような形の政治的な――あなたの方じやないが、警察あたりで意図を持つてつたと思われるような事柄、それが結局あなたの方へ来て、証拠の収集だとか、あるいは証拠固めというようなところで困難を感ずるし、またそこまでやらなくても、一応捜査、検挙を打切りにしてもよろしいというような体裁の書類ができて来てしまつてつた。私の言つたのは非常に政治的に申し上げ過ぎたかもしれませんが、警察で検事局に出す書類の中に、そういうふうな、どこかに欠陥が、不完備なところがあつたようなことを、あなたはお調べの中で、書類の技術的な体裁の上から感得されるようなことはありませんでしたか。
  474. 樺島明

    ○樺島証人 今お尋ねのことにつきましては、これは捜査の経過で触れませんでしたが、最初石動丸の事件は、石動丸だけの個人的の事件だ、こういう警察の見通しでありました。その事件を受理する前に、一応私がその相談にあずかりまして、その後発展するとともに、ほとんど毎日捜査課と打合せました。私の方に招致して、その進展状況を監督、指示しまして特に先ほどから問題になつております調課長及び土木部長、この両名についてはほとんど警察にやらせるということなく、積極的に検察庁で大体担当して、警察はむしろ実質的にはそれに協力させるというような方法でやりました。従つて今おつしやつたような政治的な意図で、それが手心が加えられたようなことはないかというお尋ねにつきましては、全然警察としてもそういうことはないと、これは私は断言できると思います。
  475. 加藤充

    ○加藤(充)委員 最後の一点ですが、証拠固め、証拠収集に非常に人的に、物的に、また証拠の性格上困難だつたというようなことをおつしやつたのですが、どういう点が困難だつたのか、実例をあげて説明を願いたいと思う。というのは、土木部長、道路課長の調というのですが、こういう両名に対して、どういうふうな方法で家宅捜査その他の捜査をやつたか。あるいは検束、勾留、留置というようなことをやつたか。それで集まつて来た証人その他の者については、何人ぐらいどういう方法で調べたか。そしてまたその結果集まつた証拠というものは、起訴猶予処分に付したというのであるならば、一応犯罪の推定をするだけの材料は集まつたのだと思うのでありますが、その最後の判断をいたすまでに、あなたが集められた証拠というものは幾ばくのもの、いかなる種類のものであつたか、それを御説明願いたい。
  476. 樺島明

    ○樺島証人 相当こまかいことで、今お尋ねになりましたようなことは、最初申しました通り、すでに六箇月以上たつておりまして、その後全然私は転任してタツチしておりませんので、具体的に言えとおつしやると、現在はつきりした記憶はないのです。
  477. 加藤充

    ○加藤(充)委員 それでは今私が例示したのが、一々御記憶になければいたし方がありませんが、ただ物的その他人的に証拠の収集が困難だつたというのは、あなたの方側に、調べる方側に、そういう困難があつたのか。方法は尽したけれども、結局証拠があげられる方に証拠があげにくいような事実原因があつてあがらなかつたのか、その収集に困難だつたという困難というのは、どういう性質のものであつたか、具体的に御説明願いたい。
  478. 樺島明

    ○樺島証人 今おつしやいましたことで、証拠収集の困難ということは、これは調課長について申しますならば、そういう書類について調課長が判を押しておるのはない。これは見ていると基礎づけられるものはなかつた従つてはたして調課長がそれにタツチしておるかどうかということについては、課長補佐なりまたは本人からの供述、こういうことが期待されるわけであります。その点については、課長補佐自身はまつたく全然そのにおいもかがさない程度に――話したことはないということは申しません。ある程度何か含ませたというようなことは、その機会に言つておるかもわからぬという程度でありまして、それ以上の具体的な明確なことは出ておりません。
  479. 加藤充

    ○加藤(充)委員 そうすれば、先ほど鍛冶委員のお尋ねにもあつたようでありまするが、私どもが手元に持つておりまするこの犯罪一覧表の図示化したものでありますが、それによつて見ますならば、そこに表示されている金額だけのものは、少くともそれだけはそこに集められて、たとえば道路課長の調については、百三十九万三千二百五円ですが、というものが集まつたという事実、それから問題の接待その他のよからざることに山積しているその金は、だれが払つたかは別問題といたしまして、そういうふうに出得べからざる、通常常識人であるならば、そういう出場がないような接待に参列している。しかも招く方として、主人側の役割を果しておるという事実だけは明らかになつたのでありましようか。
  480. 樺島明

    ○樺島証人 この一覧表の百三十九万円というのは、両方の補佐の取扱つた金額の合計、それがそのまま調課長の方に行つているというわけではございません。先ほど申しました通り、両方の補佐が直接それを取扱つているのです。それからちよつと失礼ですが、後段についてもう一回……。
  481. 加藤充

    ○加藤(充)委員 金は課長補佐の大庭、桃崎というようなものが出したかもしれません。あるいは道路課長の名前で払われたのか、そういうところはわかりませんが、とにかくそういう金が課長補佐のところまで来ておつて、そうしてその金は常識人としては正当な金だと思われない金、それが接待に使われている。その接待道路課長が床柱を背景にすわつたというような事柄まで事実として明らかになつているのですか。
  482. 樺島明

    ○樺島証人 調課長も数回出席していたのだつたと思います。道路課関係では全部が全部これで出ているわけではなくて、予算食糧費相当あるわけであります。従つて調課長が予算食糧費程度は大体承知しておりますが、はたしてそれで足りるかどうかということについては、内心は考えていた点があつたかどうか、それはわかりませんが先ほど申しましたような取調べの過程では、そこまでははつきりしていないのであります。
  483. 加藤充

    ○加藤(充)委員 あなたにこれ以上お尋ねしてもしかたがありませんが、また私どもの方はそういうことを問題にするつもりもないのですが、いずれにしても、土木部長あるいは道路課長というようなものは、行政官として下級の者をそれぞれ監督しなければならない責務の重い地位にあるものだと思われまするが、そういうようなところへ、ただ自分のところへ判が押してないからとか、あるいは自分が現金を扱つていないからといつて、一回ならず数次――毎回は出なくても、そういうふうなところへ列席しておつて、こういうような問題が、あなたの方は刑事関係の責任を追究するところでありまするから、これは別個でありましようけれども、部下がそういうふうなことをして、自分までは刑事責任の追究は及ばなかつたけれども、それぞれ処罰をされておる、あるいは起訴猶予処分にあつているというようなことになりますると、あなたのお答えとして、常識人としてけつこうなんですが、これは監督不行届きであり、不十分であり、あるいは同じ穴のむじなと疑われてもしかたがないところまで深入りしているものである。証拠は上らないから刑事責任は追究できなかつたけれども、行政官として監督責任の著しき懈怠であるというようなお考えは、一般人としてあなたはお考えになりませんか。
  484. 樺島明

    ○樺島証人 その点は先ほどもちよつと申しましたように、私も十分そういうふうに感じております。従つて調課長について捜査が終つてから、その処分ということについて、県の方から、検事はどう思つておるかないしその処理の見通しはどうかということを聞かれた。起訴当時に、調だけは、そのタツチしておる程度では直接には出ていないけれども、監督不行届という点は重々認めて、これは当然やめるのが至当ではないかというような私個人の考えを述べたことがあります。
  485. 加藤充

    ○加藤(充)委員 私どもは証拠不十分なものをやれというようなことを言つておるものでは断じてないのであります。しかしながら、最近いろいろな家宅捜査だとか起訴だとかいうようなものが行われておるのですが、職権の行過ぎと思われる節々を、われわれは幾多の実例において見のがすわけには行かないのであります。しかるに、この事件に関連して検査庁のやり方というものは、そういうふうな実例から見ると、非常にえこひいきな、へんぱな措置がとられておると私どもは理解せざるを得ないような節々があるわけであります。その点をわれわれは明確にいたしたいと存じて質問をしたのでありますが、時間が十分ありませんのに、私だけで独占するのもどうかと思いますから、私の質問はこれで終ります。
  486. 塚原俊郎

    ○塚原委員長代理 ほかに御発言がなければ、樺島証人に対する尋問は、これで終了いたしました。証人には長時間御苦労さまでした。     〔塚原委員長代理退席、委員長着席〕     ―――――――――――――
  487. 篠田弘作

    篠田委員長 引続き舘林証人より証言を求めることにいたします。  ただいまお見えになつておられる証人舘林三喜男君ですね。
  488. 舘林三喜男

    ○舘林証人 はい。
  489. 篠田弘作

    篠田委員長 あらかじめ文書をもつて御了承を願つておきました通り、証人として証言を求めることになりましたので、さよう御了承を願います。  これより公共事業費をめぐる不正事件につきまして証言を求めることになりますが、証言を求むる前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係にあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にあつた者またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由なくして宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知になつておいていただきたいと思います。  では法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書を朗読してください。     〔証人舘林三喜男君朗読〕    宣誓書   良心に従つて、真実を述べ、何事もかくさず、又何事もつけ加えないことを誓います。
  490. 篠田弘作

    篠田委員長 それでは署名捺印願います。     〔証人宣誓書署名捺印
  491. 篠田弘作

    篠田委員長 これより証言を求めることになりますが、証言証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際にはその都度委員長の許可を受けてなさるようお願いいたします。なおこちらから質問をしているときはおかけになつていてよろしゆうございますが、お答えの際は御起立を願います。  証人はいつから現職に就任されましたか。
  492. 舘林三喜男

    ○舘林証人 昭和二十六年の六月の十日であります。
  493. 篠田弘作

    篠田委員長 ことしの六月十日ですか。
  494. 舘林三喜男

    ○舘林証人 はい。
  495. 篠田弘作

    篠田委員長 証人はただいま本委員会において調べております佐賀土木部不正事件が起つた後に就任されておりますが、昨年土木部不正事件のあつたことは御存じですね。
  496. 舘林三喜男

    ○舘林証人 私向うに参りまして、この事件は県としては大きな問題でありますし、また今回就任いたしました……。
  497. 篠田弘作

    篠田委員長 証人にちよつと申し上げます。あなたが言いたいこともあるようだけれども、それはあとでこちらが聞いたときに言つていただきたい。こちらの委員長の質問にだけ答えてください。
  498. 舘林三喜男

    ○舘林証人 大体概要については存じておるつもりであります。
  499. 篠田弘作

    篠田委員長 それで聞くところによると、まあ事件のあらましは委員会でも調査しておりますし、ただいま樺島検事も述べられましたからわかつておりますが、あなたが何かこの事件の対策のために特に赴任されたというようなことを聞いておりますが、そういうことはありますか。
  500. 舘林三喜男

    ○舘林証人 もちろんそれも一つの任務でありましたけれども、まだいろいろ総合的に県政をいかに振興するかという立場から赴任したわけであります。
  501. 篠田弘作

    篠田委員長 あなたは赴任されてからこの不正事件の善後策、あるいは今後の不正防止の方法についてどういう施策をとられたか、それを述べてください。
  502. 舘林三喜男

    ○舘林証人 それにつきましてはいろいろかような事件の原因とか、県内と申しますか、県庁内の空気というようなもの、あるいは一般的に申しまして公務員の空気が現在いかにあるかというようなことをいろいろ申し上げたいと存じますが、お許しをいただきたいと思います。
  503. 篠田弘作

    篠田委員長 いいです、述べてください。
  504. 舘林三喜男

    ○舘林証人 まず私、この土木事件につきまして、就任いたしましていろいろ調査いたしまして感じましたことは、戦後における一般的な綱紀弛緩ということが、やはり佐賀県におきましても反映しておるのではないか、かように感じておるわけであります。いろいろ具体的実例等はあとで御質問等ありましたら申し上げたいと存じます。とにかく全般として私たちつて官吏として経験あつたものから申しますと、非常にその点について感じの違いがある。いわば私たちのように長く官界で勤めたものから申しますと、ちよつと理解できないような感じがいたしました。従いましていかにこれをはつきり打開して綱紀を粛正するかということは、私参りまして最も関心を強くし、また要求せられた点であります。結局一番感じますことは、かような事件の起りました原因といたしましては、もとよりまつた佐賀県の財政が極度に逼迫していた、この点に置かるべきだと思います。ことにこの逼迫を打開するためには、ほとんど県の財政の大半というものが中央に依存している。佐賀県におきましては、本年の予算におきましても七九%は中央依存であります。わずかに県の歳入といたしましては、三十五億近くの予算の中で県税が六億近くでございまして、六億と申しましたら、私いつも東京をうらやましいと思いますけれども、入場税におきまして、東京では、たとえば歌舞伎座一軒で一年間に三億の収入がある。もしも歌舞伎座のようなものが、かりに佐賀県にありましたら、二箇所の歌舞伎座の収入で、それが県税をまかない得るというような状態でありまして、しかも県税六億の金を得るには、御承知の通り地方税法が改正になりまして、現在佐賀県のように、五三%は農民が占めているようなところでは、農民からまつた税金をとるような財源もなく、従いまして中小工業者を、何と申しますか、痛めつけるようなものであるとか、あるいは入場税とか、遊興飲食税という、小さい県においてはほとんど徴収が困難であり、また寡少であるというようなものに県の財源があつて、ほとんど他の平衡交付金であるとか、あるいは起債であるとか、国庫補助金であるというようなものは、すべて中央に依存しておるような状態で、従いましてかような中央依存の状態、さらに申しますと、行政的にもまつた中央依存の状態でありまして、たとえばいろいろの許可、認可などにつきましても、やはり県を初めとして、市町村自身も上京して陳情しなければならないというような状態であります。また予算そのものが、中央予算の各地方に対する配付等も、まつたく一年に数回ばらばらと来ますし、また中央におきましての数々の補正予算等によりまして、まつたく県の計画的な予算編成というものができないという感じで、地方の財政、行政ともに計画性を持たないし、まつたくばらばらで、しかも窮乏の底にあえいでいる。従いましてどうしてもしばしば東京に行かなければならぬ。また地方自治というもので知事公選を与えられましたけれども、文字通り地方自治というものは名目だけにすぎないという言葉で極論することができると思うのであります。従いまして、さようなことがこの事件の根本的な原因の一つではないかということが、まず第一に申し上げたい点であります。そのためには、なるべく東京に出張することをなくするように、県といたしましても、また市町村といたしましても、出張を少くして効果を上げるようにするために、東京事務所の拡充、強化というようなことは、県としては実につらいのでありますけれども、これをやらざるを得ない。さような意味で今年の六月から東京事務所を強化してやつておるわけであります。  それから先ほど申しました全般的な綱紀の弛緩でありますが、終戦後の一つの特徴と申しますか、どうしても私たちが理解できないような数々の問題がある。これに対しましては、いかにして吏道を振粛するか――古い言葉でありますが、私はこれ以外にはないと思います。戦争前におきましては、官界におきまして一種の観念的な精神の過剰があつた。しかしまたその逆に終戦後におきましては、公務員の社会におきまして、まつたく精神というものを過小に評価するという、私たちの割切れない問題がありまして、そんな立場から申しますと、中央におかれましても吏道精神の高揚をぜひやつていただきたい思いますし、またわれわれ佐賀におきましても、しばしばさような講習会等をこの五、六月から開いて、いわば吏道の精神と申しますか、公僕精神と申しますか、さような意味の修練ということに非常な力を注いで来ておるわけであります。
  505. 篠田弘作

    篠田委員長 ちよつと証人に御注意申し上げますが、あなたの話されていることは、副知事として一般行政の問題について話しておられる。それは要するに、地方行政委員会とか、そういう担当の委員会がありますから、そこでお話願いたい。私どもの聞いていることは、この犯罪の事実に対してどういう対策をとられたかということを聞いておる。
  506. 舘林三喜男

    ○舘林証人 県といたしましては、この事件に対して正式の行政上の処分といたしましては、土木部長に対しましては監督上の不行届ということで譴責の上退職、道路課長に対しましては諭旨退職、その他の者に対しては譴責というようなことを行いますとともに、土木人事につきましては、根本的な交流を重ねた次第でございます。また地方行政につきましては、県におきましては行政監査委員会を新しく設置いたしまして、これは副知事が委員長となり、そうして常時かような事件の再発を防止するという措置をとりました。それから先ほど申しましたように、根本的な吏道の涵養という意味から、職員の研修費等の増額をいたしまして、継続的に職員の教養、訓練ということをやつております。それからまた地方自治法において行政監査委員制度というものがありますが、この監査委員制度の活用ということについて特に重点を置きまして、従来よりも継続的になお精細に、現地について検討して行くという制度をとつております。
  507. 篠田弘作

    篠田委員長 一般的にはそういう政策をとつておられるということはわかりました。また土木部長及び課長に対して退職を命ぜられたということも、今ここで初めてわかつた。ところがその建設工事の入札制度というものが、一体どういうふうに合理化されたか。あるいはまた先ほども質問しましたように、役所そのものが上から下部に対して命令をして、その下部の者がまた請負師に依頼をして、しかも情を打明けて依頼をして、やりもしない工事をやつたかのごとくにして受取りを出させる。しかもそれに対しては税金を払いもとしている。こういう長いしきたりがずつとあなたの県にはあるので、これに対する工事の監督というものについては、今どういうやり方をしておられますか。
  508. 舘林三喜男

    ○舘林証人 この指名入札につきましては、実は佐賀県におきましては、終戦前は百三十の請負業者があつたのでありますが、終戦後急速にふえまして、現在六百の請負業者がおるわけであります。そして現在の法規の建前から申しますと、そのいずれを落すということは一切できない。建設業法によりますと、等級だけはきめてありますけれども、それを拒否することはできないという建前になつておりますが、現在におきましては条例を改正いたしまして、原則として額によりましては指名入札制度をする。その指名入札制度におきましても、すべて第一線の土木出張所指名入札を禁止いたしまして、土木部長自身が指名入札につきましての指名者を決定する。かようなことでなるべく第一線においての情実等が生じないようにしております。
  509. 篠田弘作

    篠田委員長 第一線の情実が生じないようにというけれども、その情実は第一線ではなくてむしろ上からの命令であつたのじやないですか。
  510. 舘林三喜男

    ○舘林証人 過去においてはさようであつたと思いますけれども、現在におきましては、さような点につきましては、人事の上からも、あるいは監督の上からも、特に知事がその点については重点を置いてやつておりますので、現在においては、県本部においての情実ということは、私はあり得ないと思つております。
  511. 篠田弘作

    篠田委員長 今までも交際費が非常に少なかつた。しかるにあなたの説明通り地方財政の上においても、行政の上においても、計画性がない。それは県の財政の七九%も中央に依存しておるからだというあなたの説明なんだが、知事がかわつて、あなたがかわつたからというて、急に地方の財政に計画性ができたとも考えられないし、七九%の中央依存が五〇%に減つたとも考えられない。そうすれば、そういう実際の実情というものがかわらないのに人間だけがかわつて、従来の予算通りの交際費で、はたしてあなたのところの県というものがやつて行けるかどうか。やれないとすればまた同じようなケースを繰返して行くのではないか。こういうふうに私は考えるが、あなたはどういうふうに考えますか。
  512. 舘林三喜男

    ○舘林証人 まつた委員長のお説の通りでありますので、実は先般も県会と交渉いたしまして、十二月県会におきましては、さらに食糧費並びに交際費を増額する、かように考えております。
  513. 篠田弘作

    篠田委員長 どのくらい増しますか。
  514. 舘林三喜男

    ○舘林証人 現在交際費においては二十六年度予算が四百八十万円でありますが、大体それと同じ額くらい増したいと思つております。
  515. 篠田弘作

    篠田委員長 約千万円くらいにするわけですね。食糧費はどうですか。
  516. 舘林三喜男

    ○舘林証人 食糧費は今大体どれくらいいるかということを算定しておりますが、食糧費につきましても、十二月になるとほとんど不足するので、これにつきましても大体現在組んでおる予算の倍額であります。これにつきましてははつきりと県会とも交渉済みであります。
  517. 篠田弘作

    篠田委員長 そうすると、六億しかない、あなたの説明によると歌舞伎の二軒分しか県民税がないという中から、交際費を一千万円にふやすということは事実上可能ですか。
  518. 舘林三喜男

    ○舘林証人 その点は必ずしも矛盾しないと思います。かような食糧費の増加とか交際費の増加は、当然に必要な経費だと思つておりますので、かような点につきましては、当然財政上苦しいのでありますけれども、やらざるを得ないと考えております。
  519. 篠田弘作

    篠田委員長 あなたの考えによると、今まで不正をして使つた交際費というものは、あくまで合理的な交際費であつた、必要であつたのだ、ただ財源がないから不正をしたというように聞えるが、そうですか。あなたは、不正をやつて使つた交際費というものに対して、実質上の検討、あるいは道徳上の検討を加えているかどうか、それをひとつ承りたい。
  520. 舘林三喜男

    ○舘林証人 県といたしまして感じましたことは、実際去年の実情等から申しまして、当然交際費並びに食糧費を増額して使うべきものだと思つております。従いまして、これを増額しないでかような措置をとらせて、かような事件を起しましたことにつきましては、私たちむしろ当事者に対しまして深くお気の毒に存ずる次第であります。
  521. 篠田弘作

    篠田委員長 そうすると、綱紀が紊乱しておつたからそういうことが起つたのではなくて、当然必要なものであるが、予算的措置がなかつたために、部下の犠牲においてやつたというように聞える。やつた者は罪人ではなくて、気の毒な犠牲者であつたというように聞えるが、そういうようにあなたは解釈していますか。
  522. 舘林三喜男

    ○舘林証人 私は直接の関連でそういわれるということはどうかと思いますが、とにかくかような事件が起りましたにつきましては、根本的な原因としては綱紀の問題がいろいろからんで来るけれども、当面さようなものを出すにつきましては、とにかくさような非合法な立場で出させるということはいけない、私はかように考えておるのであります。
  523. 篠田弘作

    篠田委員長 そうすると、その事件当時に使つたところの交際費というものは、ことごとく合理的なものであつたということを一応認めなければ、そういう交際費の増額というものはできないわけですね。
  524. 舘林三喜男

    ○舘林証人 合理的と申しますよりも……。
  525. 篠田弘作

    篠田委員長 必要であつたというのですか。
  526. 舘林三喜男

    ○舘林証人 必要と申しますか、その使途等において、ある意味で非常に同情すべき支出であつたと、実はかように考えております。
  527. 篠田弘作

    篠田委員長 そうすると、その使途について、あなた方として検討を加えて改正する余地はないということに聞こえるが、そうですが。
  528. 舘林三喜男

    ○舘林証人 もちろん使途の個々につきましては、この点についてはよかつた、この点については気の毒であつた、この点については悪かつたといろいろ見解の相違等はあるだろうと思いますが、全面的にこれは非常に悪かつたとかよかつたとかいうことは言えない内容のものが相当あると思います。
  529. 篠田弘作

    篠田委員長 各県によつて、酒を飲む量も違うだろうし、また宴会の習慣も違うから一概には言えないと思うけれども、佐賀県としては、中央から視察に来たり、あるいは検査に来たりする役人その他に対してどういう程度接待をやつているのですか。やはり一概には言えないと思うが、たとえば中央の課長級とか技官というようなものが台風の跡を見に来たというようなときには、やはり料理屋へ連れて行つて芸者でも上げなければ承知ができないというような、そういう習慣があるのですか。
  530. 舘林三喜男

    ○舘林証人 先ほど申し上げましたように、県といたしましては、新しく副知事に就任いたしましてから、さような接待につきましては、できるだけ万人の納得していただけるようなものにいたしたいと思いまして、原則として知事公舎並びに私の公舎でやるというふうにいたしております。
  531. 篠田弘作

    篠田委員長 それでもやはり交際費は一千万円に増額し、食糧費も増額しなければいかぬ、こういうわけですね。
  532. 舘林三喜男

    ○舘林証人 もちろんすべてその人によつてでありますから、たとえば、知事官舎あるいは私のところ、あるいは職員組合とか各団体等の建物等もそれぞれありますので、そんなところでもちろんやつておりますけれども、とにかく従来よりも減額したもので出せるのではないか、かように考えております。
  533. 篠田弘作

    篠田委員長 それから中央に何か陳情に来たり、あるいはその他の問題で中央に来るときには、地方からおみやげを携えてやつて来る習慣が相当あるそうですが、われわれは現実に見たことはありませんが、そういう習慣が佐賀県にもありますか。
  534. 舘林三喜男

    ○舘林証人 必ずしもないとは申し上げられませんが、ただこれは、何も現在の中央官庁の現職の方だけにという意味でも何でもありません。たとえば佐賀県といたしましては、東京の先輩等にいろいろお世話になつておりますから、さようなものに対するおみやげ等はやはりあることはあります。
  535. 篠田弘作

    篠田委員長 おもに現職でない人に、敬意を表するために持つて来るということですか。
  536. 舘林三喜男

    ○舘林証人 大体そういうことであります。
  537. 篠田弘作

    篠田委員長 そういう場合には個人ですか。県費で持つて来るのですか。
  538. 舘林三喜男

    ○舘林証人 それは大体交際費であります。
  539. 篠田弘作

    篠田委員長 県費で、交際費の中から先輩に対して持つて来るということになると、出張して来る人によつて先輩が違うと思うのだけれども、そういう場合はどうなるのですか。
  540. 舘林三喜男

    ○舘林証人 それは県費で持つて参りますけれども、大体東京の先輩等に対しましていろいろお願いすることもありますから、それは交際費の名目で支出しているわけであります。
  541. 篠田弘作

    篠田委員長 それは佐賀県の先輩という意味ですか。来る人の先輩という意味ですか。
  542. 舘林三喜男

    ○舘林証人 大体佐賀県の先輩というものが多いです。あとは、課長とか係長等が県からたくさんのおみやげを持つて行くということは、私は寡分でありますけれども聞いておりません。
  543. 篠田弘作

    篠田委員長 実際問題として、課長とか係長とかが各官庁に出張するときに、そういうものが必要なのじやないですか。佐賀県の現職をしりぞいた先輩にそんな県費を持つて行くということは事実は少いのじやないですか。
  544. 舘林三喜男

    ○舘林証人 もちろんそれは、佐賀県の先輩以外の者にも出しますけれども、決して官庁の人にばかり出しているのではないということを申したのであります。
  545. 篠田弘作

    篠田委員長 官庁に現在おらぬ人に対しても県費でおみやげを持つて行く。その上に、現在の中央官庁の役人に対しても持つて行くというのでは、佐賀県はなおさら窮乏の上にも窮之を重ねるということになりますが、そうではないのですか。
  546. 舘林三喜男

    ○舘林証人 それは内容的にいろいろあると思いますが、必ずしもそうではないと考えております。
  547. 篠田弘作

    篠田委員長 架空工事、幽霊人夫、から出張、そういうものでにせの受取証をとる。そうして請負師にも情を打明けていろいろなことを言つておるようだが、この場合、ほんとうに工事をしたというようなときに、そこに水増しの予算であるとか、あるいは、質的にまた量的に非常に減らした工事ができて来るというようなことが考えられる。そうすると、ちやんとしつかりさしておけば何でもないものが、次の台風なり損害なりでまたこわれる。その費用をとるためにまた交際費を使うというような悪循環が、特にあなたの県の場合に多いように考えられる。それはなぜかと申しますと、たとえば五割の仕事をして、それを七割なり八割かけて交際費に使つたということはほかにもあるようでありますけれども、あなたの県のように、まつたくの架空工事をつくり上げてとつたものを、まるまる交際費に使つたというようなことは、今までこの委員会で調べたところによると例がない。そういうところを見ておつて、実際にやつておる工事そのものも、そういうように請負業者との結託の上にやらせるとすれば、非常に質の悪いものができているのではないかと思いますが、そういう点についてお気づきになつたことはありませんか。
  548. 舘林三喜男

    ○舘林証人 質の悪い業者がいるかどうかということですか。
  549. 篠田弘作

    篠田委員長 質の悪い業者というのではなく、言いかえれば、やつていない幽霊工事をやつたかのごとく見せかけて、業者に受取りをとらせて、それに金を払つて、割もどしをとつて、そうして実は交際費に充てている。あなたの県の土木部の役人というものは、部長以下、ふところから腹の底まで見すかされているわけだ。そういうふうになつて来ると、今年はたとえば、十の工事をやるのに八人くらいにして検査を受ける。中央との関係のあるものは中央から検査を受けるでしようが、県だけのものは県だけでそういうふうにごまかしがきく。中央のものは接待をしてごまかしをやるということはあり得ないから、それがまた結局台風によつてこわれ悪循環をする。そういうことになりはしないかと思うが、そういうことはありませんか。
  550. 舘林三喜男

    ○舘林証人 実は、二十三年、二十四年、二十五年と災害が非常に続きまして、その二十三年度の工事を途中までやつてまた二十四年度、二十五年度というようなことになるのでありますから、ただいま委員長が御指摘になつたようなことはまつたくあつただろうと私は思います。
  551. 篠田弘作

    篠田委員長 それに対して、今後そういうことがないようにあなたの方でももちろん心がけておるのだが、請負者をとりかえるとか、あるいはその入札の組織をかえるとかいうようなことは今までしておりませんか。
  552. 舘林三喜男

    ○舘林証人 先ほど申し上げましたように、指名入札についての運営の方法をかえまして、特に土木部長自身がその指名入札の人をきめるというようなことをやつております。
  553. 篠田弘作

    篠田委員長 土木部長が出張所長にかわつたというだけで、対象がかわらなければ何にもならないので、対象についての研究というようなことは何かしておりますか。指名入札する人はかわつたけれども、される人、業者の方はかわつておらないでしよう。
  554. 舘林三喜男

    ○舘林証人 先ほど申し上げましたように、県下に土木の請負業者がおるのであります。そうして建設業協会というものが県にありますけれども、これに対して登録するような人を事実上勧誘すると申しますか、これを厳選いたしまして、建設業協会で厳選して登録された人をなるべく指名入札にあてたい。そして今後としては、建設業協会をなるべく内部的にも連絡させまして、そこと連絡をとりまして、業者の内容の実態の調査とかあるいは工事能力の調査等につきましては特に力を入れたいと思います。
  555. 篠田弘作

    篠田委員長 建設業協会に加入しない者は入札させないということになつて来ると、協会の幹部というか、いわば一部のボスによつてそういうことが決定されるということになりやしませんか。それはどういう資格ですか。
  556. 舘林三喜男

    ○舘林証人 建設業協会というのは、民間の建設業者の団体です。
  557. 篠田弘作

    篠田委員長 入会資格はどういう資格ですか。
  558. 舘林三喜男

    ○舘林証人 入会資格におきましては、私どもとして特に希望したいと思つておりますのは、現在の建設業者はすべて指名入札に加入する一応の権利があるわけでありますけれども、特にそのうちで、たとえばどれほどの設備を持つておるか――現在はまつたく土建業者として届けるのに、人の機械を借りても届出ができますから、そのうち資産能力のあるもの、あるいは従来の工事実績、そういうものについて厳正な検査を行いまして、さような者に指名入札をさせたいと思つております。
  559. 篠田弘作

    篠田委員長 食糧費を増すということもけつこうですし、また土木部長あるいは課長に対して退職を命じたというようなことも、当然の処置と思いますが、しかもその事件関係しておつた人で、まだ現職に残つておる人が相当あるように聞いておりますが、これはどういうことになりますか。
  560. 舘林三喜男

    ○舘林証人 たしか佐賀土木出張所と古湯の土木出張所の二つでありますが、これにつきまして、犯罪の容疑の内容につきまして、検察当局としてこれを不起訴にいたしました以上、県といたしましては何ら措置をいたしておりません。
  561. 篠田弘作

    篠田委員長 それは犯罪がなくて不起訴になつたのですか、軽くて不起訴になつたのですか。
  562. 舘林三喜男

    ○舘林証人 その点につきましては私よく存じません。
  563. 篠田弘作

    篠田委員長 委員の方々で何か御質問はありませんか。
  564. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 証人は九月から副知事になられたのですから、その前のことはあるいは御承知ないかもしれませんが、大体において、この犯罪の大要は御承知ですか、いかがですか。
  565. 舘林三喜男

    ○舘林証人 大体において存じております。     〔委員長退席、佐々木(秀)委員長代理着席〕
  566. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そこで今の証言は重要と考えるのですが、先ほど聞きましたところによりますると、起訴せられた者は、土木部で七人だけのように聞きました。ところがそのほかにも取調べられた者は非常に多くて、たとえば主事として古賀邦次、内田敏行、それから許田重清、これは古湯の出張所長、その下におつた事務主任の鈴木照雪、河港課においては佐賀出張所長の黒田喜八、県の課における副島輝雄、こういうふうな人々が取調べの結果起訴猶予になつたと聞いておるのでありまするが、これらの人のやつた行為に対して、今の証言を聞くと、検察庁で起訴せられなかつたから別に悪いことはなかつたのだと思つておられるように聞こえますが、さように考えておられるのでしようか。
  567. 舘林三喜男

    ○舘林証人 ただいまの御質問でありますが、当時被疑者として検挙された者は、御指摘の通りの多数でありますが、実はこの七名の者、その他の者にいたしましても、過去の経歴等を調査いたしますと、大体勤続年数十五年ないし二十年を県の土木課に勤務した者であります。終戦後のいわばアプレゲールのようなふまじめな人ではありませんし、長い間土木行政のために、あるいは河港行政のために尽された人でありまして、まつたく終戦後の特殊な事情のもとにかような事件を起したのでありまして、県民に対してはまことに申訳ないのでありますけれども、箇々の事情といたしましてはまことに宥恕すべき点がありますし、また検事局といたしまして不起訴にされました以上は、県といたしましても、なるべくこの人たちを善用いたしまして、今後県の土木行政に尽していただきたい、かような気持で使つておるわけであります。
  568. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 私情においてはそうでありましようが、われわれとしてここで聞きたいことは、かようなことが世間で行われるということになれば、行政上重大なる結果を及ぼすものであるし、また県民から見ましても非常に悪い印象を与えるものと思いまするから、私情の点はわかりましたが、われわれは公の立場から承りたいのですから、そのつもりでひとつ証言を願いたいのです。なるほどあなたの御私情はわかりましたが、これらの人の被疑事実は、やらない工事をやつたといつて見積りをつくつて、請負人に、しないものを仕事をしたものとして領収書を書かせて金をとらせる。また買つてもおらない砂利、セメントその他を、買つたもののようにしてみずから領収書を出して金をとり、もしくは常に自分の下で仕事をさせておる、監督下にある請負業者に金をとらせて、それをとりもどして使つておる、こういう事実でありますが、これらはそれほど悪意のものではないからさしつかえないものと今日でも思つておいでになるのですか。
  569. 舘林三喜男

    ○舘林証人 この容疑の事実につきましては、これは当然御指摘の通りに責めらるべきものであり、また責任を関わるべきものだと思います。と同時に、今申し上げましたように、まつたく特殊の環境下におきましての、かような被疑の事実でありますし、また本人の改悛の情と申しますか、あるいは今後心機一転して県政のために土木行政をやりたいという気があるのでありますから、その点につきましては、今も私が申し上げましたようなことで処置して使つておるような状況であります。
  570. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすると、この工事関係しておる請負業者を見ますると、大石喜次郎、これが一番関係が深いようであります。松本太一、今泉貞雄、森本武雄、中村三郎、佐藤力、大島喜一、益田保一、高柳光、高島――高島は起訴になつておりません。吉田捷助、こういうような者がみんな関係しておるのですが、これは今あなたがおつしやつたように、改悛の情顕著な者として同様に県の仕事をやらせておいでになりますか。
  571. 舘林三喜男

    ○舘林証人 はなはだ申訳ありませんが、その土建業者の方につきまして、現在指名に入れておるかどうかはつきりと箇々について申し上げる材料を持ち合せませんが、多分かような土建業者に対しましては、あるいはそのうちの一部の方に対しては、はつきりと今後の指名入札をお断りしているだろうと思いますが、その他の一部の方々につきましては、現在指名入札を続けさせておると思います。箇々につきましては私よくわかりません。
  572. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 これは先ほど委員長から何べんも聞かれたのですが、つまり監督すべき役所の者が監督下の者と通謀して、公文書を偽造もしくは行使詐欺をやつておるわけです。監督の任にある者が監督せらるる者と通謀してやつておる。しこうして相かわらずその者から監督をされて仕事をするということになりますると、改悛の情がいくらあるかは知らぬが、あなた方の方で改悛の情があると認められても、われわれが今日ここで考え、また一般世人及びこの実情を知つておる県民から見まして、一ぺんに心がかわつて、正当なる仕事をしておるものとは認められないと思うのですが、それでも認められるという何か根拠がございますか。
  573. 舘林三喜男

    ○舘林証人 かような事件におきまして、まつたく被疑の事実だけで起訴の事実がない、被疑の事実があつてしかも起訴されなかつたということに対しまして、行政上の監督の方法としてやり方はいろいろあるだろうと思います。あるいはさような被疑だけの問題、被疑されたあるいは検挙されたというだけの事実をとらえまして、厳罰に処する、はつきり処断をするということも一つの方法でありましようし、また今申し上げましたような、県のやり方のような方法も、一つの方法だろうと思います。それはその当時のこの事件による県民に対する影響、あるいはこの検挙された事実によつて、どれほど社会的な制裁を本人が受けたかというような事実等もいろいろ判断いたしまして決定すべきものだと思います。
  574. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 だんだん議論のようになつてはなはだ何ですが――あなたの現職時代に起つたのではないから、あまりこまかいことは御承知でないのじやないのですか。どうもはなはだ黙つておれぬことになるのですが、起訴せられなかつたからと、こう言いまするが、起訴猶予なんですよ。事実があるが起訴せられなかつたのですよ。刑事訴追はせられなかつたが、行政上においての責任はあるものじやないか、こういうことになるのですよ。刑事上の訴追をせられなかつた以上は、そういうことはないのだとわれわれは言わざるを得ぬ、こう言われるのだが、なかつたということを言つておるのじやない、起訴猶予になつておる、あつたのだが起訴しない。今だけは勘弁してやる。あなたのおつしやることを聞いていると、起訴しない以上は何もなかつた、そんなことで一々やつておれぬということですが、どうでしよう、もう少し慎重にひとつお答えを願いたい。
  575. 舘林三喜男

    ○舘林証人 佐賀出張所長の黒田君とか、あるいは古湯の許田君のように、本人が実際改悛の情とか、あるいはいろいろその当時の社会的な制裁によつて、どれだけ本人が反省したかというような個々の問題につきまして検討いたしました結果、さようなことになつているようなわけでございます。
  576. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 私たち過去のあなた方の何を責めるつもりで言つておるのではないので、社会的な影響及び今後国政並びに県政の運営上考うべきことは考え、処置すべきことは処置してもらわなければならぬのではないかと思うから言うのです。あなたの方で、われわれはやるべきことはやつて、絶対に世間でもかようなことは思つておらぬ、また国政の運用上及び県政の運営上、少しもさしつかえないのだ、こうおつしやるならば、これはここでもう議論したつてしようがない。われわれの見たところでは、なるほど検事には、ここで何ゆえに起訴猶予したというようなこまかい議論をしたつてしようがないが、これは何としたつて、だれが見たところが、監督の任にある者が被監督者と通謀して公金を詐欺横領したことだけは間違いありませんよ。しかし検事は検事の見方からして起訴猶予にしてやつた。われわれから見たら、ほんとうはこれは刑事訴追すべきものじやなかろうかと思いますが、しなかつたものを私は責めやしません。そこで刑事上の訴追はせられなかつたけれども、行政上の責任は十分あるものと思う。たとい譴責にせられなくてもまたどういう手段にせられなくても、これに対しては、あなた方の方でも相当手段を講ぜられておるから、それでこういうことに対してどういうことをやつておるか聞きたい。それをあなたの方ではいろいろなことがあるからどうせぬでもよい、起訴にならなかつた以上はこれでいいのだと言われると、われわれの考え方と非常に違うのですが、やはりそれはその通りやり得ないのでしようか。
  577. 舘林三喜男

    ○舘林証人 私といたしまして、かようなものについて何ら責任を問われなくてもよいというような考えを持つたわけじや決してありません。ただくどく申し上げたいことは、この両名につきましては、今申し上げましたように起訴猶予ともなりましたし、そして情状につきまして若干他の者と比較いたしまして猶予すべき点もあつたのであります。また本人としての改悛の情が非常に顕著でありますので、しばらくこの両名につきましては一応譴責にとどめたい、かような気持であります。決して県民の気持等を考えないで、依然として処分を今後に残したというような考えは毛頭持つておりません。
  578. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 これらの者に対する処分その他をきめられたのは、あなたが御赴任なされてからですか。あなたの前の人の処置だつたのですか。
  579. 舘林三喜男

    ○舘林証人 もちろん私の赴任前でありますが、新らしい知事のもとにおいてこれをやられたと思つております。
  580. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あなたの前のことに対して、あなたが前任者のやつたことを弁明なさることはよろしゆうございます。これはどうしなさい、こうしなさいとは言わぬ、相当考慮してもらわんならぬと思うからです。監督すべき者が監督されている者と共謀してやつて、その監督した者が元通りおるし、監督されてともに共謀してやつた者が相かわらず工事をやつておるということになると、――これはもう先ほどから委員長から問われ、私も何べんも申しますが、たれが見たつてそのままでいいものとは思われません。これは世間に対して、これだけのことをやつているのだから今後はさしつかえないのだ、そういうことのないものだ、こういうしるしがあるものだと思つて私は聞いたのですが、どうも業者もかえないで、相かわらず県の指名の中に入れて県の仕事をさせておる、そして相かわらず共謀してやつた者が監督しておる、こうなりますと、非常に世上おもしろからざる考えを起すものとわれわれは考えます。これ以上は議論になりますから申しませんが、とくとひとつお考えを願つて――これはあなたの赴任前にやつた仕事で、あなた自身がこういう問題を今後なからしめんがために重大なる責任を負つて出たとこう言われる以上は、お考えを願いたいものだと思うのです。もうそれ以上申しません。
  581. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 最初に調べ石動丸証人ですが、この証人はまことに見るからに何といいますか、朴直な人間で、どうやら私の感じたところでは、この石動丸に大部分の責任を負わしておつたような感じもいたしました。それは私の感じでございますが、この人の証言の中に、衆参両院議員も来られた、こういう方にも饗応してあつた、こういうことがありました。その次の樺島検事に聞きましたが、検事はさような事実は取調べうちには現われていなかつた、こういう証言です。しかし私たちは、――私も建設委員会の委員をしておりまして、国政調査の関係上、全国に出ておるのですが、幸いにして私は佐賀県には参らなかつた。こういう不浄な金のごちそうは受けたことはないのですが、しかし衆参両院の国政調査に関する調査隊が行つた場合に饗応しておつた金が、いかにも不浄なものから出ておるような印象を受けたのであります。私はこれはまことにわれわれ国会としての不名誉これに過ぎるものはないと考えざるを得ない。私の経験では、地方へ参りましても、知事の主催の歓迎宴と申しますか、慰労宴、そういうものはたびたびありました。実は私たちの方では、出発する前に委員長の名において、さようなお扱いをお断り申すということを各県のそれぞれの関係者に発してあるのです。しかしながらそういう文書が行つておるにもかかわらず、御丁重な扱いを受ける場合もありますが、どうです、あなたの県の場合に、そういう方がおいでになつた場合、その接待なりそういつたものの経費は、どこから出ていますか。
  582. 舘林三喜男

    ○舘林証人 午前中、石動丸君が衆参両院議員の御接待について御説明申し上げたというお話でありますが、石動丸君は御承知の通り、その当時鳥栖土木出張所長でありますし、その前は武雄の土木出張所におりまして、実際県の本部の方の内部の交際費、あるいは食糧費等の運営につきましては、まつたく存じておらない人であります。それで何とお答えになりましたか、今初めて承りましたが、衆参両院とかそういうような方々の接待につきましては、知事の交際費から直接出しておりますということは、はつきりと申し上げます。
  583. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 私の経験によりますと、こうゆう際には、たとえば知事なり、副知事なり、土木部程度のお方が御出席になれば、それで私はいいと思う。しかるにその下つぱの、課長のもつと下つぱの方が出ておるようなことがたびたびあるのです。私はそういう点から考えると、この三百万円以上の接待というか、これはいろいろな飲み食いの金ですが、そういうものも、おそらくは中央――これは建設本省を弁護するのじやございませんが、中央から出て来たということに便乗し、あるいはわれわれが視察に行つたということに便乗して、そういう人々が飲む場合があるのじやないか。そういう場合には、知事の交際費はどれほどあるか知りませんが、いわゆる主賓よりも、接待側の方がよけいの場合が私は多いと見ておる。われわれの一行が行く場合は、大抵多くて四人、議員としては二人ぐらいが原則であると私は思う。そういう場合に二十数名も並ばれる。そういう金までも、いわゆる交際費が足らないので、かようなやりくりをするのじやないかと思われますが、この点いかがですか。
  584. 舘林三喜男

    ○舘林証人 それはただいま御指摘の通りでありまして、実際接待の方法につきまして、このたびの事件として私たち教えられますことは、中央の視察に便乗して、あるいは二人おいでになるときに五人も六人もつくということが、一番今度の事件の大きな特徴だと思います。さような意味から県といたしましても、先ほど申しましたように、なるたけ公舎とかあるいは寮を充てると同時に、ぜひ関係の特別に深い方だけに接待に当らせたいということで、その点は厳重に私申しておる次第であります。今後といたしましても、さような意味の経費節約の余地はあるのじやないか、かように考えております。
  585. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員長代理 そこで舘林証人にお聞きいたしますが、佐賀県の知事の接待費というものは、前に幾らで、現在幾らになつておりますか。交際費です。
  586. 舘林三喜男

    ○舘林証人 二十六年度の予算は四百八十万円でありまして、それで今度先ほど委員長に御説明申し上げましたように、これは十二月県会で大体それと同額を計上したいと考えております。
  587. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員長代理 そのほかに知事が単独に使える金というのはありませんか。
  588. 舘林三喜男

    ○舘林証人 この交際費四百八十万円がいわば内輪に使えるという金になつております。それ以外に食糧費というものがあるわけであります。その四百八十万円の交際費の中では、これは大体内訳といたしましては、八十万円だけが知事がほんとうに内輪に使えるという金になつております。それでその他の四百万円の交際費というものは、副知事とか、出納長とか、部長とか、あるいは地方事務所長というものに配分されております。この交際費以外に知事として正式に使える金というものは、いわゆる食糧費という形で出るわけであります。
  589. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員長代理 それは幾らですか。
  590. 舘林三喜男

    ○舘林証人 食糧費といたしましては、二十六年度予算といたしましては千六百三十九万円組んであります。
  591. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員長代理 そこで交際費というものが四百八十万円で、食糧費などというわけのわからぬもので千六百万円もとるというようなことは、これは県会でそういうものが正式に承認されておるのですか。
  592. 舘林三喜男

    ○舘林証人 実はこれは予算編成の技術の問題でありますが、従来はたとえば土木なら土木雑費という形で、一億なら一億の何パーセントはこれに組んでよいということにいたしたわけです。ところが最近アメリカ流の予算編成になりまして、食糧費というものを組むことになつております。これは本省でも地方でも同じであります。しかも食糧費というものは、これは節でございますから、流用できない。従つて足りない。従来は土木なら雑費という名前がありましたから、自由に流用できましたので、かような文書偽造事件は起らなかつたのであります。それが米国式の予算になりまして、流用がまつたくできなくなつた。そうして食糧費も非常に少い。これが実は他の一面からの事件一つの原因だと思います。
  593. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員長代理 そこでお聞きいたしますが、千六百万円の食糧費でも少いから、そういう事件がなお起きるということなんですか。
  594. 舘林三喜男

    ○舘林証人 先ほどから一番初めに申し上げましたように、千六百万円で実際いろいろ運用をやつて行きますと、ことしの十二月には若干これを増額しなければやつて行けないような内容であります。
  595. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員長代理 私は食糧費というのは初めて聞くのですが、他府県でもそういう予算名目でとつておりますか。
  596. 舘林三喜男

    ○舘林証人 食糧費は、もちろん本省予算においても、あるいは府県においても認められておりますし、その額におきましては佐賀県は最も少いのであります。
  597. 藤田義光

    ○藤田委員 まず第一に証人にお伺いしたいのは、ことしは食糧費の増額を暮の県会に付議されて決定するということをお聞きしましたが、昨年はちようど知事の選挙前であります。食糧費交際費の増額ということが、再選を期しておりました当時の知事に非常にマイナスになる。この交際費食糧費は県議会に提案しないで、現実に穴埋めをしようというところから、こういう問題が起きて来たのじやないか。一方には災害が続発しまして、災害費の獲得ということに非常な出費を要した。こういう関係が重つて、この問題が出て来たのではないかと想像されますが、その点はどうですか。
  598. 舘林三喜男

    ○舘林証人 昨年度におきましては、一応交際費といたしまして六百万ばかりの予算を組みますし、また食糧費といたしまして二千三百八十万円の予算を組んだわけでありますが、交際費といたしましては二十四年度はそれよりも多分一割か二割引いた額だろうと思います。それからまた食糧費におきましてもしかりと思います。と同時に、食糧費におきましては、その後実行予算におきまして、その額を二千三百八十万円から千九百三十万円に減らしておる。その他消耗品、旅費等におきましても、すべて二割の節減という実行予算を組んだわけであります。そんな意味から実は先ほども申し上げましたように、県のさような財源と申しますか、まつたくにつちもさつちも動けなかつたというのが、実は県議会の実情でありまして、ただいま藤田先生から御質問になりましたが、まつたくそれと同じであります。
  599. 藤田義光

    ○藤田委員 先ほど証人の言葉がありましたが、起債、平衡交付金、その他に依存しておる府県の財政が非常に貧弱である。しかも年々災害があるということを拝聴しておりますと、この問題の根本は、結局地方財政の貧困から生れて来ておると私は考えます。それでこの際土木費を増額する、あるいは佐賀県におきまして、有明干拓という厖大な事業をやつておられます。これは国営と思いますが、それに関連して県費負担もあると思います。こういう幾多の国から出る補助金制度というものに対して根本的なメスを加える必要があるのではないか、補助金制度が存続する限りは、中央集権的な残滓が強く残りまして、どうしてもこういう問題が今後跡を絶たないというふうに私たちは想像いたしておりますが、赴任後日浅い副知事の体験でもけつこうでございますが、こういう点に対する御感想を伺つて、今後のわれわれの国政調査の資料にいたしたいと思います。
  600. 舘林三喜男

    ○舘林証人 結局、もしも佐賀県に自治を与えていただく、はつきりと名実ともに自治を与えていただくということになりましたならば、まず今お話になりましたように、財政権の確立と申しますか、と同時に地方自治の行政権と申しますか、両者の独立、確立ということに対して、特別にかような委員会で御配慮をお願いいたしたい、切実に実はお願いいたしたいと思います。まつたく東京に行つていろいろな方面に陳情をいたさなければ、県の財政、行政の運用がまつたくできないというのが今日の偽らざる実情であるということは、皆様すでに御存じの通りであると思いますが、こんなことが期せずしてかような事件を起す一般的な原因になつて来ておるだろうと思います。さような意味から、ぜひ行政機構の簡素化であるとか、あるいは地方財政の確立というような問題につきましては、真剣に佐賀県のような貧弱町村の立場というものをおくみとりいただきまして、特別に国会の御配慮を私たちに対しましてお願いいたしたい。決して私はさような意味で私たちの責任をのがれるという気持は毛頭ありませんし、私たちは私たちといたしまして、全力をあげて今後かような事件が起らないように努力はいたしますけれども、その原因を取除く抜本的な方法を講じていただきたい。これは私のみならず、全地方公務員の切実なる希望であります。
  601. 藤田義光

    ○藤田委員 そこで先ほども副知事が言われましたが、府県の予算編成の方式がアメリカ式になつて来ております。それから現在の行財政の運営がシヤウプ博士の勧告を中核にいたしておりまして、ともに私はこれは主観でありますが、大失敗であつたというふうに結論づけております。こういう点を国情に合うように是正する必要があるわけでございますが、ただ現状といたしまして中央依存の度が非常に強い、しかるに九州あるいは北海道のごとき遠隔の地は、東京に県庁員が来る旅費だけでも厖大でございます。おそらく佐賀県も月五十万を下らぬと思います。北海道のごときはこれがために強力な出張所を置き、食糧費接待費のごときは一億を越えるという厖大な額を組んでおります。しかるに財政のでこぼこを是正するための平衡交付金は、遠隔の地であるという条件は何ら考慮しておらぬ、こういう点からつい遠隔の地であり、しかも北海道の総合開発とか、あるいは九州の災害とかいう特殊な条件のあるところは、現在の県の予算方式から必要な財源が捻出されないために、かかる事件が発生しておるというふうに私は考えておりますが、この点はどうでございますか。当然遠隔地であれば旅費その他の特殊の条件を平衡交付金の編成において考慮すべきではないか、こういうことがかかる問題の発生を阻止する一つの有力な条件になるのではないかと考えておりますが、その点はどうですか。
  602. 舘林三喜男

    ○舘林証人 実は今申し上げましたように、財政、行政面におきまして、自治体におきましてはまつた中央集権の実情でございますので、実は県といたしましては一応東京の事務所を拡充強化をいたしましたけれども、必ずしもそれのみをもつて十分ではない、さような立場から県といたしましてはまことに辛いのでありますけれども、あるいは知事、副知事等が上京することはもちろんのこと、たえず何人かの課長が来ておる。それだけでは足らずいたしまして、市町村といたしましては、市町村の起債の陳情等におきましては、町村長だけでは足りない。それがために課長も来る、あるいは委員長も来る、助役も説明に来るというようなことで、実は各佐賀県内の市町村としての経費も実におびただしい額だろうと思います。決して手みやげを持つて来るというような意味のものでなくて、正しく各方面に陳情するというだけでもこの額はおびただしい額だろうと思います。その意味からも当然これがもしも許されましたならば、東京からの土地の遠近ということも私は府県並びに市町村の平衡交付金の算定の場合には、当然に考えていただくべき問題じやないか、実はかように考えておるわけであります。
  603. 藤田義光

    ○藤田委員 現在の府県庁の職員は、昭和十年現在に比べまして、約八倍になつておると記憶いたしております。当時の県庁は、知事の下に大体四部長がおつたわけでございます。しかるに今日は佐賀県のごとき小さい県におきましても、部は少くとも八つくらいある。そのほかに副知事、出納長がおる。こういうように機構が厖大では、当然食糧費交際費が膨脹することは常識でございます。四百八十万の本年の佐賀県の交際費の内訳も、副知事から説明がありまして、ほとんど大部分副知事以下の方にまわつておるような実情でございます。従いまして、この交際費食糧費の額の問題をわれわれが追究するとすれば、当然機構の問題を徹底的に再検討する必要があると思いますが、証人は現在の機構で十分と思われておりますか、この機構を縮小して少数精鋭でやればこういう事件もほとんど絶滅するのではないかと考えておりますか、この点はどういうようにお考えになりますか。
  604. 舘林三喜男

    ○舘林証人 現在佐賀県におきましては、知事、副知事、出納長以外に七部三十六課であります。これは多分大正十一年、満州事変の始まるときは四部十数課だつたと思います。そうしてその人数は、警察官の三百人を入れて約千人でありますから、結局一般の職員は七百人でありますが、現存は警察官を除いて、庁員の全体の数は三千人であります。つまりそれだけ厖大なものになつて、大体四十六億の予算の中に、教職員費を入れて人件費は大体十七、八億だつたと思いますが、それだけ実は人件費によつて財政が押されておる。今後といたしましても、たとえば県として来年の三月までに恩給費であるとか、退職費の給与金とか、弔慰金とか、そんなものを準事務費で数千万円食わなくちやいけないというようなかつこうでありまして、まつたくある意味で現在の地方行政というものは、少くとも佐賀県におきましては、人員亡国と申しますか、ほんとうに人件費亡国という様相を示しているのじやないか。従いましてこれらの打開策といたしましては、どうしても思い切つた行政整理以外にはないと同時に、かような事件を起すことは、結局給与額が非常に貧弱であるということに原因いたしておりますので、なるべく思い切つた行政整理を行つて、その余剰額の一部を官公吏の待遇改善にまわしていただきたい。これは私のみでなく、佐賀県三千の官吏の、むしろ切実な願いじやないか、かように考えております。
  605. 藤田義光

    ○藤田委員 現在の役所の交際費というものは、まことに目に余るものがありまして、たとえば大蔵省の主計局が大蔵省の予算査定をやる際、ほかのたとえば銀行局が主計局の役人を連日呼んで接待しておるという情ない実情でございます。こういう実情は末端へ行けば行くほど深刻になつておるようでございまして、この点に関しましては国会としても研究されると思いますが、全国の交際費食糧費の平均と申しますか、総予算に対するパーセントのごときものをお持ちでありましたならば、この際証人からお示し願つて参考にしたいと思つております。
  606. 舘林三喜男

    ○舘林証人 県につきましてだけの食糧費の大体の予算総額における位置とか何とかを申し上げたいと思いますが、昭和二十五年度におきまして、佐賀県の総予算は三十五億であります。そのうち土木費が十二億であります。それからその三十五億の予算うちで、食糧費として充てられましたのが二千三百八十万円、それから二千三百八十万円のうち、先ほど申し上げましたように、財政上の苦しさから千九百三十万円実行予算として組んだわけでありまして、減額したわけであります。それで千九百三十万円のうちに土木費の食糧費としてはどのくらいまわしたかと申しますと、五百四十九万円であります。すなわち三十五億の予算うち食糧費が二千三百八十万円、それで実際実行予算において千九百三十万円、そのうち土木費に対しましては五百四十九万円を配付しております。なお交際費につきましては、二十五年度におきましては六百万円を計上しております。大体それだけの内容でありまして、これは決して他の県と比較いたしまして、交際費食糧費等が非常に過大であるということは考えられないと思つております。
  607. 藤田義光

    ○藤田委員 他府県のパーセントをもしお持ちでありましたならばお示し願いたい。  それから最後に、この不祥事件を契機にしまして、何か佐賀県が他の府県に卒先して、かかる不祥事件の再発を防止するための特異な方法を打ち立てられておりますかどうか、あるいは今後そういうことを計画されておりますかどうか。もし計画がありましたならば、多少詳細にわたつても、お伺いしておきたいと思います。
  608. 舘林三喜男

    ○舘林証人 第一点の食糧費につきまして、他の県の例につきましては実は持合せておりませんが、実は食糧費につきましては、予算のどこかに款か項くらいにすぽつと一本にして組んであるということでありましたならばよくわかりますが、これはすべておのおのの事業費について計上してあるわけで、これを総合することはなかなかむずかしいことでありますとともに、なかなか他の県としても簡単に通報等をしていないのじやないか、あるいは場合によりましては、長崎県のごときは、去年政策的な立場から、いわゆる食糧費という名前では一切組まないというやり方で、別な方法をやつているところもございますし、どれくらいそのために予算に組んで、そして実際どんなかつこうで使つておるかということは、必ずしも私たちとしてはわかりにくい点が多々あるわけであります。  それから第二点でありますが、結局私として一番中央に対して希望いたしたいことは、あるいは地方自治庁とかあるいは内閣自身、あるいは国会のいろいろの地方自治につきまして御監督していただく方々が、一つの講和態勢ができたかような時期に、ほんとうに官公吏が現在の日本の実情にかんがみて、公僕精神に徹するような、一種の精神的な教養訓練等を卒先してやつていただくというきつかけを、ぜひつくつていただきたいという感じを実は切実に感ずるわけであります。終戦以来六年間のあとを辿つてみますと、昨年あたりから相当官公吏の気持もその点では立ち上つて来たという感じがいたすのでありまして、ぜひさような見地から、この事件をきつかけとして、何とか県としてはほんとうに具体的な対策を打立てたい。それには何といつても私たちは根本的にはまず佐賀県の公務員のはつきりとした教養以外にはないと思うと同時に、佐賀県のような小さい県に目白押しで行くよりも、地方の人事など中央において考えていただきまして、本省において教養訓練等も開いていただき、もしできますならば地方相互間の人事の交流につきましても、思い切つてつていただきたい。そしていわば人心を新たにする、また人事の交流ということになりますと、おのずから視野も広くなりますし、また勉強もいたすわけでありますから、ぜひそんな意味で県の人事が沈滞いたさないように、ひとつ人事の交流等につきましても、格別に国会あたりで御心配いただきたい。この点は特にお願いいたします。
  609. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員長代理 ちよつと関連してお尋ねいたします。先ほどから聞いておりますと、接待費とか食糧費とかいうものが相当金額になつているのですが、この金額も他府県から見ると、そう莫大なものじやないという御証言ですが、各府県がそのようであるということを考えますときに、私ら一応改正してもらいたいという点があるのですが、県会議員とか県庁の役人とかいう者が、必要以上に慰労の形をとつて、陳情をかねて出張するというようなことは、佐賀県でございませんか。
  610. 舘林三喜男

    ○舘林証人 私は現在の普通の役所の常識から申しまして、この程度食糧費というものは、全予算からいうと、他の県と比較いたして過大では絶対ないと思つております。だからといつて、これをこのままでけつこうだと私は絶対に思つておりません。終戦後の状況を私どものような者から見て実におかしいと思いますのは、今申し上げましたように、まつた会議というものが多過ぎる。たとえば私たち内務省の役人時分は、全国の会議というものは東京でやるか、あるいは大阪、福岡という所に限られておりましたけれども、現在におきましては、ある課長の全国の会議というものをたとえば温泉地帯でやるとか、あるいは遊覧地でやるとかいうふうで、全国的あるいは九州、四国等のブロツク的の会議というものがいかにおびただしいか、こんなものはぜひとも中央で統制していただきたいと思います。これなくしては、綱紀の粛正というようなことも、いくら県がさか立ちいたしましても、実際むずかしいのじやないかという感じがするのであります。またたとえば宴会等におきましても、私今までかつて役人をやつておりました時分には、たとえば一月のうちに数回は自分の費用で金を払つた宴会ばかり多かつたのでありますけれども、私向うに参りまして五箇月になりますけれども、宴会自分の金を払つたという経験は非常に恥ずかしいのでありますけれども、一ぺんもない、しかもそれが当然のこととされているようであります。やはりほんとうに吏道精神の徹底という根本的な精神問題からたたき上げなくちやならぬのじやないかということを切実に感ずるわけであります。そんな意味でもぜひ中央でも、これが大きなきつかけでありますから、かような問題に着眼いたされましてお考えいただきたいと思います。
  611. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員長代理 中央でもいろいろ考えますが、要するにこの県会議員を出したので、また別のを出さなくちやならぬというような慰労的な陳情が多いんじやないか。たとえば東京に出張所もあり、用事を足すならば、佐賀県なら佐賀県、北海道なら北海道、そこから出ている代議士がいるんです。国会のいわゆる政治をやつている、そういう人たちとの連絡を十分にしないで、ただ自分たちがぞろぞろ七人も八人も来る。私さつきもちよつと相談に行つて来たのですが、行つてみると昼めしに招待されたのは私一人で、来ているのは地元の県会議員やら村長らや何やらで、呼ばれたのは私一人で呼ぶ方は十何人もいるのです。現に私昼めしを食つて来たのですが、そういうことが非常に他府県でもあつて、一人で来れば間に合うのだと思うのですね。その地元の代議士なりあるいは出張所員なんかに十分連絡すればいいのに、それをただ単に他との振合いを考えて、他の府県の食糧費交際費がこれだけだから佐賀県も決して多いのじやないというような考え方で行くならば、どこの県でも粛正はできないのです。佐賀県としてそういう仕事はできるだけ衆議院、衆議院のいわゆる国会議員と十分連絡をとればやれるものを、わざわざ地元からたくさん出張して陳情するというような傾向がないかどうかということをお聞きしているのです。
  612. 舘林三喜男

    ○舘林証人 まつた委員長の御指摘の通りでありまして、実はこちらに参る数日前も県下の町村長会の席上で、私よりぜひ東京出張を原則としてやめていただきたい、請願陳情等は県の出身の東京の人と連絡をとり、また東京事務所を通じてやるということで十分である。その効果の点からいつても、決して直接に行つたから特別に効果があるというものじやないということで、その点につきまして実は強く言つたわけです。実際に市町村長におきましても、今委員長が言われましたように、とにかく今の空気はそうであるからそうするというだけであつて、やはりどこかの村がやめた、そうして県庁に一任とか、あるいは中央の代議士あるいは参議院の方に一任というようなことになりますと、私はみんなが一任して来るだろうと思うのです。その気風をだれがつくるかという段階に今実際に来ているだろうと思うのです。
  613. 加藤充

    ○加藤(充)委員 簡単にお尋ねいたします。あなたは佐賀県の交際費、いわゆる食糧費、それから接待費というような面の予算が他県に比して決して多過ぎはしないということを言つたのですが、私はむしろ佐賀県でこういう問題が起きているについては、佐賀県が他府県に比してそれらの予算項目について特に少いということがあるのかないのかを確めたいと思うのです。そうしないと何か弁解に聞えてどうにもならぬのです。
  614. 舘林三喜男

    ○舘林証人 先ほど申し上げましたように、食糧費の問題につきましては、はつきりと予算の項目に浮び上つて来るのは、各事業別に、各項目別にずつと食糧費を計上してありますので、その総額が幾らかということをはつきり県で確かめるということはなかなか困難なんです。だから佐賀県と他の県との比較ということは正確にできませんけれども、いろいろ予算関係の課長会議等で事実上連絡をしているような内容等を承りますと、決して佐賀県が多いものじやない、さような意味でお答えしているわけであります。
  615. 加藤充

    ○加藤(充)委員 だから特に低いということはないのかと聞いておるのです。
  616. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員長代理 それがわからぬというのでしよう。
  617. 加藤充

    ○加藤(充)委員 私は低いからこういう問題が起きたのだということになつて、いろいろな対策もそこから考えてみたいと思つたのですが、多くないという判断ができて、特に低くないという判断ができないのが、どうも資料的に、材料的に解せない。それはしかたがないからやめますが、一応今度の予算の配分の問題でいろいろの部課あるいは部署、そういうもので食糧費接待費という名目の配分にでこぼこがあつたり、納得が行かないような、歩のよいようなところがあつたりするのではないか。最近知事あたりの交際費というものは、これは制度上いたし方がないのかもしれませんが、ただ自動車で乗りまわして歩く連中は俸給のほかに莫大な交際費を持つておる。その使い方には、いろいろ実際現場に当つたり、実際に府県の仕事をしておる連中から見ればたいへん不公平に見える。自分たちの方は歩が悪いという感じを持つ。そういうことで結局あつちでもやり、こつちでもやるというようなことで、こういうように予算をふくらましてみたり、あるいは予算わくをはずして不正な方法で事実上の接待費食糧費をまかなつて行くというようなことがあるのではないか、そういう点はいかがですか。
  618. 舘林三喜男

    ○舘林証人 確かに御指摘の通り、全体予算といたしまして、土木費は実際の事業の性質上非常に厖大になり、またその組み方について割合に他のものよりも甘いということは事実言えるんだろうと思います。とにかく道路をつくり、港湾をつくり、橋をつくる土木事業の費用というものは、県の費用の三分の一以上にもなつておる。もちろん内容については今申し上げましたようにいろいろ締めておりますが、たとえば教育費とかあるいはその他の費用等に比べますと、非常にその点がルーズになつておるという点は御指摘の通りと考えられるのであります。
  619. 加藤充

    ○加藤(充)委員 私の聞いたのと少し違うようでありますが、それから非常に吏道刷新というような面と、食糧費交際費の直接の対策として倍額増額、それから建設業協会というようなものをいろいろ対策としお考えになつたのは、それはそれなりにりくつがあることでしようが、これは委員長の先ほどのお尋ねにもあつたと思いますが、重視をいたすのは恐縮ですが、大体あなたが証言されておる昨年度の土木の不正事件の中心をなしておりまする接待の内容、程度というものについて、あなたはそれがあたりまえのやり方であり、度を過した点があるのかないのかという御判断なり御感想をお述べ願いたいと思います。
  620. 舘林三喜男

    ○舘林証人 実は一昨年から去年にかけましては、二回にわたる台風水害で県下の道路港湾等は徹底的にやられましたために、ほとんど文字通り不眠不休の状態で庁員、ことに土木関係の人は仕事をしたわけであります。しかもそれだけ忙しいのにもかかわりませず、二十三、二十四、二十五年度の土木関係の人員を調べてみますと、二十三年は三百七十三、二十四年が三百五十六、二十六年が三百七十六と、ほとんど増減のない人員で、これだけの多忙な仕事をやつておるわけでありまして、そういう意味から、超過勤務手当等ももちろん足りない。そのためにかような食糧費から使うというようなことも多々あつたろうと思いますし、また本省からもしばしば来られる。本省から来られたのに、温泉に同行したというのがすべてであつたというわけではありませんが、災害査定に来られますと、ほとんど夜を徹して、数日にわたつて実際に書類などを調べていただくということもあるわけでありまして、決してそのために特別に去年に限つて不当の接待をやつたということはわれわれとしては去年の実情から想像しても考えられないのであります。ただそれが非常に災害が多かつたために、特殊事情としてかような事態が起つた。かように考えております。
  621. 加藤充

    ○加藤(充)委員 いろいろ問題がありましようが、そうするとあなたが就任以来接待費交際費食糧費などの具体的の使い方の中で、今年の六月以降どういうような点で前年の例と比べて改善されたところがあると思われるか。先ほどから抱負経倫のほど、気構えのほどを再三お聞かせ願つておるのですが、その原則を具体的のところに当てはめて、どういうところで接待の内容、予算の使い方に改善が現われたか、実例をもつてお示しを願いたいと思います。
  622. 舘林三喜男

    ○舘林証人 一、二の例を申し上げますと、とにかく接待というものを知事あるいは私の公舎でやるとか、寮でやるとかいう意味で経費の節約をはかる、これを第一点とお考えになつていただいていいだろうと思います。それから接待人数につきまして、なるべくこれを少数にとどめる。おいでになつた方の仕事と特別に関係のある責任者だけに限るというようなことも一つであろうと存じます。
  623. 加藤充

    ○加藤(充)委員 そうすると、前にも寮でやつたり、知事官舎でやつたり、適当な方法をやれば、犯罪まで犯してこういうふうなべらぼうな接待のためのいろいろな不祥事件を起さなくても済んだということになるのですか。
  624. 舘林三喜男

    ○舘林証人 それは仮定の問題でありますから、私はつきり答えることはできませんけれども、とにかく去年は回数等も特殊の災害等の関係で非常に多かつたということをひとつ当然考えていただかなくちやいけないだろうと思います。それから現在におきましても、今申し上げましたように、たとえば寮でやるとか、あるいは公舎でやるとかしても、今後としては現在の食糧費並びに交際費だけで足りるかというと、絶対に足りないのでありまして、これについては、私は当然先ほど申し上げましたように増額を要求しておるわけであります。
  625. 加藤充

    ○加藤(充)委員 宿泊の場所などはもちろん重要な関係を持つでしようが、接待程度、いわゆる酒食の出し方、それからやらぬでもいいほど毎晩連日というような形で御招待申し上げるというような接待をしなければ――これは地方だけで行きますまいが、中央地方を通じてのこういう接待のばかげたやり方、度を越したやり方を削減してもらう。昔徳川時代でも、五人組の心得書などを見ますと、中央から税金取立て、その他役人が見えたときには、飯は何ぼ、酒はどのくらいの程度で扱えば足りるというような、心得書というか、申合せ書みたいなものがあつたようですが、そういうようなことになれば、予算の増額などをいたさなくてもできるのではないか。そうしないと、あなたが言うように地方財政は窮乏である。ほかの事業の面での増額はいたし方ないものはありましよう。私はそれに反対をするものでは断じてありませんが、中央から来た役人の接待費に、犯罪まで出さなければ扱いきれないというようなやり方こそがまつ先に打破されて行けば、私は予算の増額、交際費接待費の増額というようなことが対策の基準に置かれるよりも、もつとあなたの抱負経論の原則論から行けば処置できる面があるのではないか、こういうようなやり方をやつて行きますれば、結局負担は地元地方民にかかります。現実に飲み食いするのは一般の納税者ではありません、役人、しかも高級官僚が中心になつてこういうことをやる。たまさかこの事件でも、上級の連中から下級の職員に命令的にやらせて、そうして上の方に金を集めて、いばつた顔をして、土木部長とか、道路課長という連中がやつている。罪を着たのは末端の気の毒な人であつた。こういうやり方で、これで仕方がない、削減の方法がないのだ、増額するよりないのだということになれば、まつたく踏んだりけつたりで、ばかをみるのは地元民である。そういうことになりますと、あなたが幾ら地方財政の貧困を説いてみても、官僚中心の地方財政の貧困原因の突き詰め方にしかならないのですが、いかがですか。
  626. 舘林三喜男

    ○舘林証人 先ほどからいろいろ御質問の中で、食糧費というものが、すべて中央方面からの人の接待というようなお気持を中心としての質問だと思いますが、これは決して中央からの人の接待だけの費用に充てたわけでありませんし、たとえば県庁内においてしばしば会合を行う、あるいは地方事務所において会合を行うというような意味の会合費等は、すべてこの食糧費であります。その点をひとつぜひお含み願いたい。同時に、いわゆる接待ということにつきましては、ぜひこの内容につきまして自粛自戒したい。今年いつだつたか、九州のブロツクにおきましても、どの程度接待をするかということにつきましてのいろいろの打合せ等もやつたそうであります。そんな趣旨を考えまして、私どもは先ほど申しましたように、接待の自粛の方法を考えているのでありますが、これもぜひ私どもとして希望したいことは、お互の県がさような意味接待の自粛ということについて、厳格に申合せを守るということを私は履行していただきたいと思うのです。
  627. 加藤充

    ○加藤(充)委員 そうなつて来ますと、中央からの役人の接待ばかりではないということで、地方の会合もあり、あるいはその一部分は俸給の穴埋めに使われる。災害がしばしば起つて、残業、居残り、終夜作業も行われるようなときに、それに沿うような手当が十分に支給されない。そういうことのためにもこの金が使われたとおつしやつたから、その場対策としては、給与額の増額ということを、地方公務員についてのこの不正防止、腐敗防止対策の中にお加えになつたか。さすれば、この不正防止、腐敗防止対策としての給与の増額については、どういうふうなお気持であられるのか。そうして現在佐賀県の地方公務員としては平均どのくらいでやつておるが、それについてはどうも無理だと思う。どのくらいできれば増額してやりたい、そうして不正防止、腐敗防止の対策に加えたいとお思いになつておるか、承りたいと思います。
  628. 舘林三喜男

    ○舘林証人 給与のベース・アツプの問題につきましては、先般何か新聞に出ておりました通りで、われわれも内部的にお話がありました通り、大体一万一千円ベースということになつておるように思いますが、もとよりさようなベースでは、現在の佐賀県の実情からいつてもなかなか困難ではないか、私はかように考えております。
  629. 加藤充

    ○加藤(充)委員 大体給与総額において千五百円くらいの増額でよいのですか。
  630. 舘林三喜男

    ○舘林証人 これは私一個の私見でありますが、非常に少いと思つております。
  631. 加藤充

    ○加藤(充)委員 それであなたの対策自身、それはそれで成り立つのでありますし、それに私が意見を加える何らの資格もないのですが、あなたがいわゆる吏道の頽廃を慨嘆されたり、戦前の、しかも官公吏という言葉を言われたのですが、吏道の刷新という精神面よりも、むしろこの事件の見方というようなあなたの見方に立つてみても、下級末端で、現場で実務に当つて、実際上府県の地方業務を担当しておる人々の給与対策、こういうようなものに不十分なところがあるのではないか。だから、吏道刷新の額を掲げたり、会合をやつたり、訓示をやつたりするよりも、むしろそういうふうなところに第一の手当をなすべきことと私は思うのであります。従いまして、交際費の増額とか、吏道刷新とか、建設業者の協会の設立対策もさることながら、ぜひそういう方面で努力していただきたいと思うのですが、最後に、あなたが長らく官界にいた者として、初めて佐賀県副知事に就任以来、吏道の頽廃を嘆かれたのですが、あなたの経歴を簡単に承つておきたいと思います。
  632. 舘林三喜男

    ○舘林証人 吏道といいますか、公務員としての公僕精神が大事だと思いましたのは、実際今度の事件等を考えてみましても、あるいは今の土木の仕事のやり方を見ても、書面で参りましたものを厳格に一々会計課で現地につきまして審査するということは非常に困難でありまして、結局最末端で行われているいろいろの問題につきまして、一々監督することができないということになりましたならば、やはりその人の良心にまつとか、あるいはその人の素質によるよりほかはないだろうと思つております。そうするとそこに吏道精神の高揚、公僕道の徹底といつてもけつこうでありますが、そういう精神面が最後におきましては最も大事な要素を占めて来る。と同時に今お話になりましたように、給与面におきましての待遇の改善、これはどうしても中央においてやつていただきたい。現在の県の財政状態からはその点については十分できないのでありますから、ぜひ中央においてベース・アツプをやつていただきたいと思います。  それから私の経歴はずつと内務省におつたのであります。
  633. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員長代理 よろしゆうございますね。――他に御発言がなければ舘林証人に対する尋問はこれで終了いたしました。証人には長い間御苦労さまでした。  本日はこれにて散会いたします。次会は明後二十五日午前十時より開会いたします。     午後四時五十一分散会