○目黒
説明員 最近の電力事情から申しまして
電源開発の問題が必至となりまして、これと
河川総合開発との結びつきを
お話申し上げたいと思います。
現在電力設備としましては、五百五十万キロとい
つておりますが、昨年のように水の多いときには六百五十万キロ出したのですが、もうすでに今年は渇水のために割
つておりまして、これにはとうてい達しません。それでやはりいろいろの説によりますと、今後五年間には三百八十万キロくらい起さなくてはならない、またその需用が予想されるということをい
つておるのであります。
そこでこういう問題に対して
建設省はどれだけの役割をしておるかということをちよつと申し上げますと、現在
河川総合開発事業をや
つておりますが、もしこれが完成するといたしますと、これは国営と府県営になりますが、三十一万四千キロが完成するわけす。現在は少し違
つて参りましたが、昨年の九発電会社が着手しております
ダム事業を完成しても三十万キロ以内である。
建設省がや
つているのは、九発電会社がや
つている
事業と発電量が同じ
程度の
仕事をしておるのだといヶことを申し上げたいのです。これは一般にはあまり認識されておりませんで、往々にして
誤解を招いておるのであります。こういうわけでわれわれは多
目的の
ダムをつく
つて発電の
開発を
相当しておるということであります。こういうふうな多
目的のために発電をやるということは必然的に起
つたのでありますが、主要なる
目的は
河川洪水の
調節から起
つてこういう結果にな
つておるのでありますが、昨年来アメリカにおいて大統領が水資源政策
委員会というものをつくりまして、この政策
委員会が
報告書を一応大統領に出したその
資料がありますが、アメリカの例を見るとその点が非常にわかるのであります。アメリカは御
承知の
通りああいう国でありながら、民間の
開発と国の
開発との開きが、最近非常に出て来ました。最初は民間会社が主として
水力発電——もちろん火力発電が
相当多いのですが、
水力発電もや
つておりましたが、最近十年間の発電の量を見ますと、国が大部分をや
つておる。
数字で申し上げますと、一九四〇年には二四%だけ国がや
つておつた、ところが最近、一九五〇年には四四%まで国がや
つておる。そういうふうに発電量が多くな
つて来た。この事実を見ますると、やはりアメリカにおいては
総合開発の見地から、資源を総合的に活用するという必要に迫られて、それが
一つのポリシーにな
つて現われたのだと思うのでありますが、なお
法律を見てみましても、アメリカの水力法といいますか、フェデラル・パワー・アクトには、はつきりこう書いてあります。水力法は、水力
開発は
河川の総合的多
目的開発計画の一部として
実施することを要求する。第二には、公共の
開発に対して国の
開発は民間あるいは公共団体で
開発するものより優先権が與えられる。第三には、許可申請の点で、民間の会社から許可申請のあつた場合には、その水資源の
開発は国によ
つて行かどうかを
決定する責任がある。それからその許可をする。こういうふうに一応国がやるかやらぬかを
決定するようにな
つております。
またアメリカの電力
開発のポリシとしてありますものは、やはり水力
開発は
河川のすべての利益ある
目的に関する
総合開発の一部として
開発されなければならぬ。
総合開発の水力
開発に関する限り、公共のものには優先権を與えなければならない。その優先権は、まず連邦の
計画が先である。その次は州、その次は市というふうにな
つております。しかも連邦以外の水力
開発は、低料金政策をと
つております。こういうふうにアメリカの水力
開発のポリシーはすべて国がやらなければならぬということにな
つて参りだので、国が多く
開発しておる。このアメリカの例を見ましても、国が電力を
開発することと、民間が
開発することの可否は、多くもう議論され盡した結果だろと信じております。こういうふうなわけでありまして、われわれはこの多
目的の
ダムについて、くどくどとその効用を申し上げる必要はないと思うのでありまするが、ここで見逃してならぬのは、かりに電力会社かあるいは民間会社が
開発いたそうといたしますれば、必ずその民間会社はその
開発によ
つてペーしなければならぬということを先に頭におくだろうと思うのであります。これは当然の結果であります。そこで大体日本の
開発が水路式によ
つて開発されたゆえんのものは、ここに存するのではないか、一番安く、一番手取り早く、一番資金が早くまわ
つて来るというのが、水路式だとわれわれも信じております。
従つて洪水調節をやるような
ダムに至
つては、だんだん民間会社の手をつける希望を持てなくな
つて来たのではないか、また一方その
ダムを
一つの
目的にのみ使
つたのでは、あまりにも不
経済である、
洪水調節と灌漑用排水とその他の
目的を同時に果すことによ
つてのみその電力は低廉なる電力料になるという結果でありまするから、どうしても
一つの
目的では成り立たぬということだろと思うのであります。しかももう
一つの利点は、最近のTVAに現われた結果でありまするが、
洪水調節の設備とか、
研究とかが進んで参りますると、今まで線を引いて水の利用を限定しておつたものが、場合によりますと、
一つの水を二つの
目的に使えるようにな
つて来た。これを具体的に言いますと、
ダムの一番上の水は、
洪水調節のためにある水位まで下げておかなくてはならぬというふうな行き方が、だんだん
洪水予防の
研究が進むにつれまして、ある
程度は水位を上げて電力に使えるという結果にな
つて参
つたのであります。こういう
研究なり、またこういうことをやることは、下流の
洪水のことを
考えまして、その操作は絶対に民間の人にはまかし得ない。
従つて国でこれをやらなければならぬというのがアメリカの現状であろうと思います。かようなわけでありますから、われわれはどうしても
河川の
総合開発と電力とは当然結びつかなくてはならぬと思います。これが往々にして電力に
重点が置かれた結果、将来の
洪水調節機能を失うような
計画はも
つてのほかであるという気持があるのであります。