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1951-11-02 第12回国会 衆議院 建設委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月二日(金曜日)     午後一時三十七分開議  出席委員    委員長 藥師神岩太郎君    理事 内海 安吉君 理事 鈴木 仙八君    理事 村瀬 宣親君 理事 前田榮之助君       淺利 三朗君    宇田  恒君       小平 久雄君    瀬戸山三男君       西村 英一君    三池  信君       増田 連也君    池田 峯雄君  出席国務大臣         建 設 大 臣 野田 卯一君  出席政府委員         経済安定技官         (建設交通局         長)      小沢久太郎君  委員外出席者         建 設 技 官         (河川局長)  目黒 清雄君         建 設 技 官         (河川局利水課         長)      山本 三郎君         経済安定技官         (建設交通局開         発課長)    新井 義輔君         専  門  員 西畑 正倫君         専  門  員 田中 義一君     ――――――――――――― 十一月一日  災害復旧に関する陳情書  (第四二三号)  道路整備事業費国庫に関する陳情書  (第四二九号)  七月水害に対する応急復旧工事急速実施復旧  費全額国庫負担陳情書  (第四四九号)  北信五県を管轄区域とする建設省地方建設局設  置に関する陳情書  (第四六〇号) を本委員会に還付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  河川総合開発に関する件     ―――――――――――――
  2. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 これより会議を開きます。  河川総合開発に関する件について調査を進めます。まず河川総合開発に関連する電源開発計画について、関係当局よりその説明を聴取することにいたしたいと思います。  なお、建設大臣は他に差迫つた用事があるそうでありまして、長くおられないそうであります。最大限二時ごろまでだそうでありますからそのお考えで、できるだけ簡明に説明を願いまして、なおそれに対し御質問があれば、簡單に要点だけをお願いしたいと思います。
  3. 内海安吉

    内海委員 御説明の前に一言大臣に伺つておきたい。  一昨日の委員会において、同僚の上林山君並びに西村君その他多数の人より、今度のルース台風に対する善後措置につきましていろいろ質問があつたようであります。大臣におかれても、十分この間の事情を了とせられて、その後わずか二日間の間に相当御盡力なさつておるということを、本日のラジオで実は承つたようなわけであります。おそらく上林山君も言われた通り、この委員会全体をあげて、このたびの台風善後措置についてはすみやかに決定したいと思つておるでありまして、大臣もこの意味をよく了とされて御奔走なされまして、安本大蔵省方面に対して十分な御折衝があつて、すでに閣内においても何か具体的な対策もきまつたるがごとく報道されておるのでありますが、まず河川法も大事でありますけれども、現段階においてわれわれが常に考えておるところの災害対策について、幾らか進展を見せておるよであります。ひとつその後の経過について御説明を承りたいと思います。
  4. 野田卯一

    野田国務大臣 ルース台風災害に対する対策につきましては、昨日夜安本長官官邸におきまして、経済安定本部建設省農林省運輸省等大臣、次官、局長連中が集まりまして、種々対策を協議したのであります。  御承知のように、この問題に対する対策は非常に広汎にわたつておりまして、数十項目になるかと思いますが、その中のおもなる点を取上げまして一つ一つ検討いたしたわけであります。今後は経済安定本部がこの対策とりまとめ役に相なりまして、それを中心にして各省対策を練るということにいたしたのであります。しかしながら中をよく洗つてみますと、結局急を要する対策は、財政上の問題と金融上の問題がおもなものでありまして、財政上の問題といたしましては、補正予算の問題とつなぎ資金の問題であります。それから金融上の問題につきましては、どうして、またどの程度金を出すかという問題でありまして、財政上の補正予算の問題につきましては、補正予算を出す以上は、これは司令部関係もありまして、ある程度の固まつた資料がございませんと、その予算編成は困難ではないかと思つております。われわれの方の仕事の準備の都合等から申しましても、補正予算を出すために十分とまでは行きませんでも、一応の資料をまとめるのには、やはり十二月にならなければできないのではないかというふうに思われます。従つて補正予算を今臨時国会に提出することは困難ではないかというふうな見通しを持つておるのであります。しかしながら復旧事業施行は急速を要しますので、御承知のようなつなぎ資金を出す必要があるということになつたのでありますが、このつなぎ資金につきましては、本来普通の考え方から行きますと、どれくらい補正予算が出るかということを確かめまして、その補正予算の何割とか、その内渡しみたいな形に普通は考えて参つたのでありますが、今回はそういう従来の考え方をとる時間的いとまがないだろうというので、ごくあらましで、各省が今まで実地に係官を派して調べたところ、あるいは県からの報告その他によりまして、大体確かめましたところを中心といたしまして、それにある程度査定率と申しますか、それをかけ、またそのうち国庫がどの程度負担をするかということを算出いたしまして、その何割かを至急つなぎ資金として出す、こういうよな考え方に到達をいたしまして、昨晩から今朝にかけましてどのくらいのつなぎ資金がいるか、具体的数字を出す作業を継続いたしておるのでありまして、もう今ごろはほぼ数字検討もできたかと考えております。実は本日の閣議にそのつなぎ資金の金額を提出いたしまして、閣議決定を得たい、こう考えて大分急いだのでありますが、どうしてもそれに間に合わなかつたので、私は閣議の席上におきましては実は間に合わなかつたが、この次の閣議にはぜひきめてもらいたいと思うからということの報告をし、了解を求めておいたような次第でございます。  その他災害補助率引上げの問題、たとえば超過工事、すなわち復旧以上に改善の加わつた工事につきましては、補助率が現在は二分の一にすぎません。一定率の二分の一でありますが、復旧であればそれが全額国庫負担にまで行き得るという、この間の調整をどうするかというよなことも昨日議題になつていろいろ討議をいたしたのであります。その他十五万以下のものにつきましては、現在国庫補助をする方法がないのでありますが、これをどうするかというようなことも論議されたのであります。その他農業関係あるいは教育関係の施設につきましては、これが損害を受けました場合には国庫補助し得るのは定率でありまして、すなわち二分の一であるとかあるいは六割五分とか三分の二というふうにきまつてしまつておりまして、財政力の関連がございません。この点においても将来修正を加える必要があるのではないか、この間何か研究をいたしまして財政力見合つたようにいたす必要があるのではないかというようなこも検討いたしました。なお政府補助をいたしましたあと、すなわち地方負担分につきまして、はたして地方がそれを支弁し得る力ありやいなやということも検討いたしたのでありますが、地方にはあまりその力がないのではなかろうか、従つてその分につきましては起債というものを特に認める必要があるのではなかろうか、こういうようなことも昨日皆の意見が大体一致いたしておるのであります。  なお金融の問題につきましては、漁船、漁網、そういうものに対する被害が甚大でありまして、これにつきましては御承知のように、漁船については漁船保険があるのでありますが、これに加入する者がきわめて寥々たるものでありまして、大部分は無保險の状態にある。それが漁船を失いましてその日の生業にも困るようなことになつておりますが、これについてはどうするか、金融的措置をどうとるかというよなことにつきましても、農林省において特別な対策を立てるための立案を今急いでおるということでありまして、これも急いでもらうということにいたしたのであります。  それから住宅対策につきましては、緊急仮設住宅については御承知のように災害救助法によりまして、全壊いたしました家の数の一割までできることになつておりますのを、二割とかあるいはそれ以上に引上げるようにくふうするという問題も出ております。また公営その他の住宅に対するものといたしましては、御承知公営住宅法によりまして、こういう災害時においては、災害によつて全壊または流失した家屋の三割に相当する公営住宅を建て得る。その場合には国庫はその三分の二を補助するという規定がありますので、これを発動いたしまして、まず六千戸程度はこの方法によつてカバーしなければならないのではなかろうか、こういう話になつておるのであります。そのほか融資住宅、すなわち住宅金融公庫の融資による住宅建設につきましては、本年当初予算に対しまして、ただいま御審議中の補正予算で六十億予定されておりますから、その中から十億をさきまして融資をはかる。これによつて約六千戸が建てられるのではなかろうか、こういう話も出ておつたのであります。  なおそのほか中小企業者災害にやられまして職を失うとか、あるいは店を失うとか商品を失つて、あすからの生活に困るというよな者に対して、生業資金を貸し付けて生活の再起をはからなければならぬという問題につきましても、至急検討するということに相なつたのであります。先ほど申し上げましたように、安定本部中心となりまして、今後引続いてこれらの対策を迅速に立て、そうしてほぼ成案を得たものから閣議にかけてきめて行く、こういう態勢になつておることを御了承願いたいのであります。
  5. 内海安吉

    内海委員 まことに大臣の御努力に対しては感謝するものであります。補正予算つなぎ資金、あるいは起債住宅問題等についてもいろいろ角度から交渉なさつて、漸を追うて進展を見ておるということはわれわれの希望通りでありまして、まことにけつこうであります。ちようどこの問題につきましては、何といつて委員会中心としていろいろな陳情や要望があるのでございますから、どうぞ今後におきましても交渉経過等について、おさしつかえない範囲において委員会に刻刻御報告願いたいと考えております。以上であります。
  6. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 では河川総合開発に対する概要だけをひとつ説明願います。
  7. 野田卯一

    野田国務大臣 河川総合開発内容につきましては、この席に河川局長が出席いたしておりますので、後ほど私、に引続きましてただちに説明をいたさせることにいたしますが、建設省といたしましては、河川開発は総合的でなければならぬというかたい信念を持つておるのであります。最近におきましては、河川総合開発は上流に多目的ダムをつくりまして、これをもつて一面におきましては洪水調節をいたし、他面におきましては、水力発電、あるいは灌漑用水、あるいは飲料水、あるいは工業用水を供給するというふうに行かなければならぬという考えを持つて進んでおるのであります。具体的に現在この方針によつて国が直轄で手をつけておりますところが全国に五箇所あるのでありますが、昭和二十七年度以降におきましては、目下調査中に属する数箇所の地点につきましても、この総合開発計画に基くダム建設に着手いたしたい。こういう方向で進んでおるのであります。あと具体的な計画局長から説明いたしまして、なおまた大きな方針につきまして、御質問があればお答えいたしたいと思います。
  8. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 この際建設大臣は二時までしか時間がないそうですが、何か大臣質問がありますか。——西村君。
  9. 西村英一

    西村(英)委員 時間がないようでありますから、こまかいことは後ほどにいたしまして、大臣にお伺いいたしておきたいと思います。多目的ダムをつくる、それから総合開発をぜひやらなければならぬという御趣旨ごもつともであります。そういたしますと、これから電力の開発にいたしましても、相当莫大な開発をしなければならぬ。また一方洪水調節もしなければならぬといういろいろ多目的があるのでありますがこれらのことをめぐりまして、各事業との利害の調節をどういうふうにするか、これは現在の河川法の建前からもある程度はできましようが、現在の河川法では満足ではない。ことにまた現在の機構から申しましても、水の調節をする制度その他機構の点につきましても、相当考えなければ大規模洪水調節計画をしたり、あるいは大規模電源開発をするということには多大の支障があると思う。従いましてあるいは法律的に、あるいは行政のやり方、制度その他機構の点につきまして、また差迫つておりまするところの行政機構改正等につきましても、これらの点を考えましてどいうふうなお気持でおられるか。国土省というような案もちらちら見えておりまするが、それらの水利権めぐつた調整について、制度機構その他の問題について、大臣はどいうふうにお考えになつておられますか。今後大規模ダム建設するということにつきまして、多目的であるために非常に重大なポイントでありまするので、特にお聞きいたしたいのであります。
  10. 野田卯一

    野田国務大臣 河川総合開発を推進して行くために、機構上においていろいろ考える必要があるのじやないかという御趣旨の御質問でありまして、私も同感であります。しかしながら政令諮問委員会総理大臣に答申いたしました答申案の中にあります国土省建設という問題につきましては、私はこの席におきまして同案に関しまする意見を述べることを差控えたいと思います。何と申しますならば、この問題は目下政府最高首脳部において検討中でございまして、いろいろと申し上げるにはまだ早い段階でありますので、差控えたいと思います。しかしながら組織がどう変化いたしますかは別といたしまして、われわれといたしましては、できるだけ各方面と緊密な連絡をとりまして、この大きな目的を完全に達成するために遺憾なきを期したいと思つております。私が接触しております範囲におきましては、新聞その他におきましてちらちらといろいろなことが出ておりますが、河川総合開発をやらなければならない、河川開発は総合的でなければならない、水利権の問題もからむのでありますが、水の利用はやはり多目的でなければならぬということにつきましては、関係方面意見は一致しておると私は信じております。私の接触しておる範囲におきましては、各方面ともこの点について異論はありません。従つて私はよく話合つて行けばそんなに大きな摩擦とか、いろいろな支障を来さないでやつて行けるのじやないかと考えております。ときどき誤解が起りますのは、お互いの意図が十分にわからない場合でありまして、よく話合えば大体円滑に解決を見るのではないかと考えておるのであります。今その線に沿つて仕事を進めておるということを申し上げておく次第であります。
  11. 淺利三朗

    淺利委員 ただいま総合開発の御意見もありましたが、何人もこの開発の促進については、理論上異論のないところであります。ただこれをいかに実行するるかという問題です。最近の新聞で見ますと、建設省安本において、何か総合開発法実行をするだめの施行規則のようなものを考えておられるということも見えております。またさきに利根北上開発法案参議院で通過いたしまして、衆議院においてこれが懸案になつておる。また自由党においてもこの問題に対して目下成案をつくろうとして、特別委員会を設けておるのであります。政府はそういう実行案についての何が構想があるのかないのかということが第一点であります。
  12. 野田卯一

    野田国務大臣 ただいま総合開発の問題につきまして、政府においてはこの実行に関する法律等を用意しておるかというお尋ねでございましたが、実はこの問題は国土総合開発法に関連いたしまして、国土開発法施行に関する法律を目下検討しておることは事実であります。安本中心にいたしまして、建設省も参加せられて研究をいたしております。この趣旨は、現在の国土総合開発法というものが計画を立案する程度にとどまつて、その実行をイン・フオースというか、これをしいて求める力が非常に薄弱なため、單なる計画倒れになるというきらいがありますので、この国土総合開発審議会におきまして決定をするとか、あるいはその他の関係機関において決定をいたしました国土総合開発実行に一種の裏づけを持たしたい、こういう意図から新しい法律をつくろうという方向に進んでおるのでありまして、安定本部の案もありますが、その内容につきまして、多分に疑問の点もありますので、目下関係省がこれを検討中であるという実情であります。できれば通常国会に提出いたしまして御審議を願いたいと考えておるのであります。  なお河川総合開発の問題につきましては、先般の国会におきまして、参議院に例の利根川発法案及び北上川開発法案が提出されまして、参議院を通過し、衆議院の方にまわつて来ておるのでありますが、この問題の処理につきして、国会いおきましていろいろと検討を加えておられます。最近一案を得られたというお話を聞いておるのでありますが、その内容をここで申し上げるのはいかがかと思います。大体におきましてやはりこれも計画をしつかり立てる、またその立てた計画が、予算的その他の面におきまして重要視されることを要望する仕組みになつておると私は了解しておる次第であります。
  13. 淺利三朗

    淺利委員 ただいまの問題については、要するに現在の政府が、現行の法律のもとにおいてはこれを推進する実行力がないということから、議会において考えておるのであります政府自体においてもそういうことを考えておるならば、早くその成案構想を示されて、国会と十分な連絡をとつていただきたいということを申し上げおきます。  その次に、特殊地域指定全国で十六箇所か指定されるということでありますが、これはすでに指定されたのかどうか、またこれを推進する上においてはどういう方法をやるか。予算措置についてはどういうことをされるか。その点について伺いたい。
  14. 野田卯一

    野田国務大臣 国土総合開発地域指定の問題につきましては、建設大臣安定本部長官の方から総理大臣にこういう所を指定してやつたらどうかということを出してございます。目下総理大臣から国土総合開発審議会安本長官及び建設大臣から申し出て来たように指定していいかどうかということを諮問しておられまして、審議会におきまして目下審議中に属しております。われわれといたしましては十一月中にもこの審議会審議が終りまして、総理大臣指定をしていただくということを期待しておるわけであります。  なお総合開発実行のための予算的措置の問題につきましては、今大蔵省交渉中に属する問題があるのでございまして、その一つ総合開発に関する計画を立てる調査費というものを私の方と安定本部から大蔵省に要求をしております。この問題は折衝の初期の段階にあるのでありまして、結果はまだ申し上げられるまでに至つておりません。とにかく開発計画はしつかりしたものでなければならない。ただあり合せの材料をもつてごくぞんざいにつくるということは、総合開発意味をなしませんので、もう少し具体的にしつかりしたものをつくつていただく。それがためには政府から相当補助と申しますか、調査費を出して各府県でやつていただく、こういう方向に進まなければならぬのじやないかと考えております。  なお総合開発内容をなす、たとえば河川改修なりあるいは電源開発なりという点につきましては、特別にそれだけの予算を編成するということではなしに、ダム建設であるとか、あるいは河川改修であるとか、その他いろいろ多方面にわたるのでありますが、それぞれの予算におきまして、ここは特定地域に属しておつて、これの開発は国家的に非常に要請されておるのだという意味合いにおきまして、予算編成上おのずからそこに重点が置かれるということに相なると存じております。
  15. 淺利三朗

    淺利委員 今のお話では、目下調査費を計上しておるということですが、調査々々ということでいつまでかかつてこれが実施に移されるのか。その不安があればこそ、利根北上のごときは特別の立法を要求しておるのであります、要するにこの二つの地域においては十分な調査ができておつて予算さえとれれば、ただちにこれが実行できるという段階にあるのであります。でありますから全国的に見て調査費をとつて、それからやるというよなゆうちようなことでなしに、大局より見て最も重点的に、優先的に着手せねばならぬという所は、ただちに実行するようにわれわれは希望して、そこで法的措置を講じていただきたいと考えておるのであります。ことに今御説明のように、総合開発の費用は各省においてそれぞれの科目によつてこれを計上するというようなことであれば、従来とほとんどかわりがないのであります。むしろ一般公共事業費のうちにおいて、治山治水費が別わくであるかのごとく、総合開発費というものを別わくに設けて、積極的にこの事業を推進するという予算措置を講ずる必要があるわれわれは思うのであります。現在河川中心とする総合開発は毎年毎年災害を繰返して、国土が荒廃し、年年マイナスを加えて行く。これをすみやかに防止することが一つ要点であり、また重点であると思います。同時に積極的に只見川とか吉野川のごときを開発することによつて非常なる経済上のプラスになり、生産土プラスになるというものも、また重点的に見るべきであると思うのでありますが、それらのうちにおいてこれから調査を要するものはむろん調査費をとつてお調べになるのもいいでありましようが、すでに調査のできておる、しかもこれは全国的の視野から見ても重要であるというものは、ただちにこれを予算化することを建設省においてお考えを願いたいと思う。かつまた総合開発費は別わくをもつてこれをきめる、こういうふうに願いたいのでありますが、そういうお考えがあるかないか、それを重ねて伺つておきたい。
  16. 野田卯一

    野田国務大臣 公共事業費の中に総合開発に関する経費だけを別わくにして組むという考えがあるかどうかということでありますが、この点私も予算編成につきましては多少技術的なことも心得ておりますので、いろいろ検討をしておるのであります。今のところにおきましてはこれを別わくにして出してしまうというところまでには結論は行つておらないというふうな実情でございます。なお研究したいと思いますが、総合開発は、御承知のように、公共事業のみならず、鉄道を敷くとか、通信機関を設けるとか、あるいは鉱山を開発するとか、いろいろ多方面にわたつておるのでありまして、公共事業総合開発全体の一部分に当るわけであります。それについて特にわくを設けることの、わくの適否その他につきましては、なお検討を加えだいと思います。しかしこれは総合開発に対する熱意が足らぬとか何とかということでは決してございませんので、この点誤解のないように願いたいと思います。  なお調査費について申し上げましたところ、北上川等すでに相当計画ができておる所においてはどんどんやつたらいいじやないかという趣旨の御意見がありましたが、私もまつたく同感でありまして、北上川のごときは、今度十九地域指定されましたが、その中で一番計画が具体化しておるのでありますが、こういうふうに計画が具体化している所、あるいは建設省といたしましてもすでに何年か前から具体的に手をつけて、来年完成せんとするダムもあるが、こういう所につきましては、この計画をますます推進して行く。現在予算もとつておりますが、さらに来年度も相当予算をとりまして、強力に推進をして行く方向には全然かわりはありませんので、この点御安心を願いたいと思います。
  17. 淺利三朗

    淺利委員 別わく問題を私が主張いたしますのは、本年度の北海道の開発計画については一般公共事業費から大わく予算をさかれた。たとえば道路のごときは北海道に大部分とられて、全体の事業に非常に影響を及ぼしたことがあるのであります。これを一般公共事業費の中に組んでおきますと、そういうふうにお互いにぶんどり主義が行われる。それよりも国土総合開発のためには、その目的を明らかにしたところの別わく予算を組むということに積極的に重点を置いていただきたいという趣旨であります。ぜひこれは御検討の上そういうふうに願いたいのであります。  あまり時間がないようですから、ごく大ざつぱなことをもう一つつておきたい。河川改修に伴つて電源の開発が最も重点であります。電源の開発をするについてはどういう構想であるか。今政府においては何か公営事業としてやるとか、あるいは特殊会社を設けてこれを推進するとかいう計画もあるそうであります。ことに現在問題になつておりますのは、胆沢川のダム水利権の処理が決定しない、一方において工事が進んでおる。そこで建設省においては電源開発のための施設も建設省自体において直轄してやるといことでありますが、そういう場合における予算措置はどうなるのか。現在の建設費の中からこれをさくということならば、既定の工事計画は進まぬ、こいうことになると思うのでありますが、そういうことについての処置もあわせてこの際伺つておきたい。
  18. 野田卯一

    野田国務大臣 現在わが国におきます電源開発の態様は、御承知通り九つある電力会社がやつておりますもの、あるいはいろいろな鉱工業の会社が自家発電をいたしているもの、あちいはまた政府みずから直轄でダムを多目的のためにつくつているもの、あるいは県という地方団体がやつておりますもの等いろいろわかれているのでありまして、政府はこれらのそれぞれにつきまして、今後どれだけどの種類のものをさいて、どの種類のものを伸ばして行くということよりも、むしろいずれもこれをそれぞれの実情に即して促進して行きたい、こういうふうに考えているものと私は考えているわけであります。この問題につきましては、ただいま一応の案が安定本部で用意されまして、関係閣僚の中でこれを十分検討するということになつているのであります。もちろん国自体でやるものもありますれば、県でやるものもある。あるいは電力会社あるいは普通の会社といろいろわかれておりますが、今お話の国が経営しております北上川関係ダムでありますが、もう来年ごろは完成するものもありまして、そこから水力発電が二万キロくらい送れるという具体的な問題もあるので、これに要する——たとえば水の取入口をつくるためにいる経費、そういうようなものは水利権の問題が片づかない、あるいはどこがやるということがはつきり片づかない限りにおきましては国がやるという方針で進んであります。  なお新聞紙上でも報道されましたが、今政府並びに自由党におきましては、大規模電源開発をするために特別な法人をつくつたならばどうかということを検討いたしております。これ一は只見川であるとかあるいは熊野川であるとか、あるいはその他の大河川の電源を大規模開発するためには、そういう特別な機関をつくらなければ国内的にもむずかしいのではないか。すなわち相当多額の財政資金を放出するにあらざれば、大規模電源開発はむずかしいのではないかという問題と、将来電力事業に外資を導入する場合におきましては、いわゆる政府または政府的機関でないとむずかしいのではなかろうかという、現下の外国の事情等にかんがみまして、こういうものが計画されていると私は了解しているのであります。要するに政府としてはあらゆる手段を盡しまして、なるべくすみやかに電源の大規模開発をはかりたい。それがためにいろいろな考慮をめぐらしているというのが実情でございます。  なお水利権政府がかわつてと申しますか、だれがやるということはきまつておらないのでありまして、そういうものにつきましてダムはどんどんできて来る、それで当然水力発電への水の取入口をつくらなければならぬというよな問題につきましては、政府の方でそのことができるよな予算的措置を講じて行くのが適当である、こういうふうに考えております。
  19. 西村英一

    西村(英)委員 関連して……。大規模電源開発に触れられましたが、ちよつと大臣にお伺いしたいことがあるのであります。考え方の問題ですが、今の安本考え、あるいは建設省考えておりますこれの実行機関として開発公社を考える場合に、全国的な規模でもつて、全部それに包含して考えるか、あるいは河川別に考えるか。河川別に考えるという考え方一つあるわけでありまして、大規模考えるといいましても、これは非常にたいへんな問題になると私は思うのです。それで熊野川総合開発とか、あるいは先般も出ました利根総合開発、これらの総合開発などはわれわれもあまり乗気でなかつたのは、抽象論ばかり多くて具体的な問題がなかつたからであります。それぞれの公社をそれぞれの地域につくつてやるというやり方と、一つのまとまつた大きい公社をつくつて、それで全部やらせるという行き方と、この二つが非常に研究を要するものだと思います。そして建設省考えているのは、そのダム中心にしたものを全部包含した公社をつくりたい、こういうような案が今出ているようでありますが、それらの考え方について、これは非常に重大なところでありまするが、ひとつ大臣に何か構想がありましたらお聞きしたいと思います。
  20. 野田卯一

    野田国務大臣 かりに名づけますれば、水力開発公社というよなものにつきまして、これを幾つかの会社にする。すなわち只見川を受持つ会社、あるいは熊野川を受持つ会社、あるいは北上川を受持つ会社、こういつたように幾つかの会社にするか、あるいは單一の公社をつくりまして、それが全部一を——全部をと申しましてもおもなものだけでありますが、それをやるかかいうことにつきましては、お説のように両論ありまして、二つの考え方がございます。一応これは試案、あるいは仮案の程度でありますが、一応の案といたしましては建設省では單一の公社を考えております。しかしそれにつきましてまた水系別にしたらいいじやないかという意見もございまして、これは目下検討中に属しておるというよな実情であります。
  21. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 大臣は他に用件があるそうでありますから、大臣に対する質疑はこの程度にとどめまして、引続き目黒河川局長及び安本の小沢建設交通局長から説明を聴取することにいたします。
  22. 目黒清雄

    ○目黒説明員 最近の電力事情から申しまして電源開発の問題が必至となりまして、これと河川総合開発との結びつきをお話申し上げたいと思います。  現在電力設備としましては、五百五十万キロといつておりますが、昨年のように水の多いときには六百五十万キロ出したのですが、もうすでに今年は渇水のために割つておりまして、これにはとうてい達しません。それでやはりいろいろの説によりますと、今後五年間には三百八十万キロくらい起さなくてはならない、またその需用が予想されるということをいつておるのであります。  そこでこういう問題に対して建設省はどれだけの役割をしておるかということをちよつと申し上げますと、現在河川総合開発事業をやつておりますが、もしこれが完成するといたしますと、これは国営と府県営になりますが、三十一万四千キロが完成するわけす。現在は少し違つて参りましたが、昨年の九発電会社が着手しておりますダム事業を完成しても三十万キロ以内である。建設省がやつているのは、九発電会社がやつている事業と発電量が同じ程度仕事をしておるのだといヶことを申し上げたいのです。これは一般にはあまり認識されておりませんで、往々にして誤解を招いておるのであります。こういうわけでわれわれは多目的ダムをつくつて発電の開発相当しておるということであります。こういうふうな多目的のために発電をやるということは必然的に起つたのでありますが、主要なる目的河川洪水調節から起つてこういう結果になつておるのでありますが、昨年来アメリカにおいて大統領が水資源政策委員会というものをつくりまして、この政策委員会報告書を一応大統領に出したその資料がありますが、アメリカの例を見るとその点が非常にわかるのであります。アメリカは御承知通りああいう国でありながら、民間の開発と国の開発との開きが、最近非常に出て来ました。最初は民間会社が主として水力発電——もちろん火力発電が相当多いのですが、水力発電もやつておりましたが、最近十年間の発電の量を見ますと、国が大部分をやつておる。数字で申し上げますと、一九四〇年には二四%だけ国がやつておつた、ところが最近、一九五〇年には四四%まで国がやつておる。そういうふうに発電量が多くなつて来た。この事実を見ますると、やはりアメリカにおいては総合開発の見地から、資源を総合的に活用するという必要に迫られて、それが一つのポリシーになつて現われたのだと思うのでありますが、なお法律を見てみましても、アメリカの水力法といいますか、フェデラル・パワー・アクトには、はつきりこう書いてあります。水力法は、水力開発河川の総合的多目的開発計画の一部として実施することを要求する。第二には、公共の開発に対して国の開発は民間あるいは公共団体で開発するものより優先権が與えられる。第三には、許可申請の点で、民間の会社から許可申請のあつた場合には、その水資源の開発は国によつて行かどうかを決定する責任がある。それからその許可をする。こういうふうに一応国がやるかやらぬかを決定するようになつております。  またアメリカの電力開発のポリシとしてありますものは、やはり水力開発河川のすべての利益ある目的に関する総合開発の一部として開発されなければならぬ。総合開発の水力開発に関する限り、公共のものには優先権を與えなければならない。その優先権は、まず連邦の計画が先である。その次は州、その次は市というふうになつております。しかも連邦以外の水力開発は、低料金政策をとつております。こういうふうにアメリカの水力開発のポリシーはすべて国がやらなければならぬということになつて参りだので、国が多く開発しておる。このアメリカの例を見ましても、国が電力を開発することと、民間が開発することの可否は、多くもう議論され盡した結果だろと信じております。こういうふうなわけでありまして、われわれはこの多目的ダムについて、くどくどとその効用を申し上げる必要はないと思うのでありまするが、ここで見逃してならぬのは、かりに電力会社かあるいは民間会社が開発いたそうといたしますれば、必ずその民間会社はその開発によつてペーしなければならぬということを先に頭におくだろうと思うのであります。これは当然の結果であります。そこで大体日本の開発が水路式によつて開発されたゆえんのものは、ここに存するのではないか、一番安く、一番手取り早く、一番資金が早くまわつて来るというのが、水路式だとわれわれも信じております。従つて洪水調節をやるようなダムに至つては、だんだん民間会社の手をつける希望を持てなくなつて来たのではないか、また一方そのダム一つ目的にのみ使つたのでは、あまりにも不経済である、洪水調節と灌漑用排水とその他の目的を同時に果すことによつてのみその電力は低廉なる電力料になるという結果でありまするから、どうしても一つ目的では成り立たぬということだろと思うのであります。しかももう一つの利点は、最近のTVAに現われた結果でありまするが、洪水調節の設備とか、研究とかが進んで参りますると、今まで線を引いて水の利用を限定しておつたものが、場合によりますと、一つの水を二つの目的に使えるようになつて来た。これを具体的に言いますと、ダムの一番上の水は、洪水調節のためにある水位まで下げておかなくてはならぬというふうな行き方が、だんだん洪水予防の研究が進むにつれまして、ある程度は水位を上げて電力に使えるという結果になつてつたのであります。こういう研究なり、またこういうことをやることは、下流の洪水のことを考えまして、その操作は絶対に民間の人にはまかし得ない。従つて国でこれをやらなければならぬというのがアメリカの現状であろうと思います。かようなわけでありますから、われわれはどうしても河川総合開発と電力とは当然結びつかなくてはならぬと思います。これが往々にして電力に重点が置かれた結果、将来の洪水調節機能を失うような計画はもつてのほかであるという気持があるのであります。
  23. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 それでは同じく小沢君。
  24. 小沢久太郎

    ○小沢政府委員 経済安定本部におきましてただいま緊急電源開発計画というものを実は立てておる。であります。まだ決定には至つておりませんで、研究中でございまして、最後案としてここにお示しするまでには行つておりませんけれども、研究の過程について一応御説明を申し上げます。  それは最近の電力事情のために非常に生産を阻害していることは、私から申し上げる必要もないことでありまして、これがために早急に電源開発をしようというのでありますが、その考え方としては一応三十一年度の経済規模を、戰前に比較いたしまして、鉱工業生産を一九〇に押えました。そういたしますと、去年の電力需用量が四百六十二億キロワット・アワーでございます。その計算の基礎といたしまして元に換算いたしますと、五百八十億キロワット・アワーというふうになるのであります。これは二十五年度におきましては山元におきまして大体三百七十三億キロワット・アワーという数量でございます。そういうように一応考えられるのであります。そうしますと、それをどういうふうに実現するかという問題になるのでございますけれども、これまで着工しております方々のダム、これは旧日発でやる、あるいは県営、あるいは直轄河川の直轄工事でやつておるそういうもので、電気の効果の大きいもの、そうして早くできるというようなものを選びまして、大体計画したのでございますけれども、そいたしますと、年額といたしまして四千四百七十億の所要資金になるのでございます。一応そういうような資金が一体どういうふうに捻出されるかということが問題でございまして、その資金の捻出方法ということをただいま研究中でございますので、その資金が出るということになりますればよいし、もしも出ないということになれば、またこの計画をすつかり変更しなければならぬという次第でございまして、それで先ほどまだこれは最後まで行つていないのだと申しましたのは、そういうわけでございます。それでは一体どういう経営形態でやつたらよいだろうか、これはまだこまかいところまで研究しておりませんが、一応考えられますことは、たとえば電源開発公社というようなものをつくることも一つ構想でございます。それを先ほどから御発言にありました一社にするか、県別にするか、あるいは地方別にするかという問題もいろいろございますが、これも決定に至つておりませんで、ただそういう考え方があるといことでございます。それから自家発電、これは今までやつておつた方法であります。それから公営というものも考えられます。この公営の中には、たとえば国の直轄事業でずが、建設省河川を直轄でやつている事業ダムまでやるか、あるいはその後の発電までやるかということは、そこにいろいろ問題があります。そういうふうに、国でやるか、県でやるか、あるいは公社でやるかというように、経営方式にはいろいろありまして、その経営方式をどいうふうにするかということの問題になりますけれども、これはいろいろの方式を観念的に考えるのではなしに、実際に即して、早く実現できるような方式を考えなければならぬということで、どうするかということは決定に至つておりません。そういう方法があるのだということを今考えつつある次第でございまして、要はその資金が一体捻出できるかできないかということにかかつておりますので、その点をただいま研究中だという状態であります。
  25. 西村英一

    西村(英)委員 両局長お話を承りましたが、新聞を読んだ方がよくわかるわけですが、小沢さんにちよつとお聞きしたい。やはり発表してはいけないところもあるでしようが、今あなたのおつしやつたようなことは、たいがい新聞に出ておりますので、基礎の資料だけはひとつお出しになつていただいた方がよいと思います。それからいろいろな案が各所で出ておりますが、安本としてはそれの比較検討したものくらいは委員にお配りになつた方がよいのではないか、ことに安本としてこういう案はこういう点が悪いのだ、こういう案はこういう点がよいのだという比較研究したものくらいはお配りにならないと、討議のしようがない。まだきまらないのだということばかりおつしやるが、最後の線はきまらないでしようが、基礎データなしにやつているわけでもありますまいから、それは十分あなた方の方でお持ちだろうと思いますので、それをひとつ希望しておきます。  それから河川局長の目黒さんは、さいぜん電源開発については九配電会社でやつておる、われわれはダムをやつているのだが、そのダムをやつている事業にも、世間が知らないような電源の開発ができるのだ、こういうお話でありましたが、これは世間が知らないはずです。あなた方は発表しないのだから。ダム建設は昨年見返り資金で相当に着手したのでありまするが、その当時から総合開発の目標をおそらくやつたのだろと思う。それをしいて隠しておつたのだ。それは構想がまとまらなかつたから隠しておつたのだろと思うのですが、ダムだけつくれば、あとはどうにかなるだろうというよなことじやなかつたかと思うのです。私はその点につきまして、ダム相当の電力が起るのだということは世間が知らないはずはないので、それはあなた方の方に大いに罪があると思う。  第一にお伺いいたしたいことは、現在電力を中心にして九配電会社でやらせる、もう一つ、自家用発電所を慫慂する、これはよくわかるのですが、一方現在の九配電会社にやらせている箇所及びこれから九配電会社に開発させよという箇所は、河川総合開発の点から行くとはなはだ支障の起るものであるか、あるいはあまり支障が起らずに、電源だけでもつて開発がスムースに行くものであるかどうか。配電会社にやらせるのは、洪水調節等はおそらく考えないでしよう。電源開発自体に有利な地帯を考えてやるでしよが、それが河川総合開発から見ましたら、どの点まで許せるのかといろ点をまずお聞きしたい。
  26. 目黒清雄

    ○目黒説明員 われわれのところで既得水利権といいますか、すでに日発時代から水利権を與えたもので、当然單独に開発していいという水利権、これが相当まだ未開発のまま残つております。数はちよつとわかりませんが、そいうものに開発する場合には、河川総合開発とは抵触しないのです。ところがそれと違つて、新しい水利権を獲得しよう、あるいは開発しようということになりますると、それが現在われわれが考えておりまする河川総合開発と抵触する場合があるのであります。そこでこれの調節をどうするかというのが、おそらく近く具体的に問題になると思うのです。その場合にアメリカのように、洪水調節が第一位だと法律的に規定されているものならば、今のようにはつきりいたしますが、日本の現状においては、まだ洪水調節の位というものを第一位に持つて来ておりませんから、場合によると電力が第一位になるかもしれぬ。ですから調整が非常に困難である。先ほど申しましたアメリカの例は、はつきり最初洪水調節考えて、次に電力というふうになつておりますから、トラブルが少いのでありますが、日本の現状ではその調整が必要だ、こういうふうに考えております。
  27. 西村英一

    西村(英)委員 今までの水利権のととろはやらせるが、これからのところは河川総合開発の見地から大いに考えると言われるが、その行き方はどういうものでやろうとしているのですか、法律を改正してやろとしているのですか、何かそこに今までの行き方と違う行き方をしなければ、これは相当なトラブルが起つて、現在のよなやり方ではなかなからちが明かない。ことにまた大規模電源開発というようなことになると、ますますその点が困難になつて来ると思います。さつき大臣にも制度の問題をちよつとお話いたしましたが事務当局はどういうような考え方をしておられるのですか。
  28. 目黒清雄

    ○目黒説明員 そういう地点は九電力会社にやらせるのが妥当か、あるいは他の機関がやるべきか、あるいは国家機関がやるか、公社がやるかという問題が一つあるのです。もう一つは、九電力会社のやるのが妥当だとした場合にどうするかという問題があると思います。そとでわれわれは、場合によれば——これはまだ試案でありまするからはつきり申し上げられませんが、共同でその仕事をやつていいのではないか。たとえば現在本曽川に丸山のダムがあります。これはすでに着手している。しかし本曽川の現状からいうと、当然相当程度洪水調節をやらなければいかぬ、またそうすることが下流の将来の河川改修からいつて経済的である。という見地から、ダムの構造の一部をわれわれの方で負担するか、これは考えておりませんが、その行き方、方法としてはそういうものがある。そうしてそのコントロールをこちらが握るという行き方をとろうかと考えているのであります。場合によるとやむを得ずそういう方法がありまするが、しかし根本的な問題としては、そういう総合開発を九配電にやらせるのがいいのか、公社がやるのがいいのか、国がやるのがいいのかということが根本だろうと思います。
  29. 西村英一

    西村(英)委員 先般の新聞に公社案が発表されておりましたが、あの案によりますると、ダムを公社でやらせる、あるいは発電を公社でやらせる、こういうふうな案のように承りましたが、今建設省でまとめられておる案は、ダムを公社でやり、発電の方も公社でやるというふうな行き方でございますか。
  30. 目黒清雄

    ○目黒説明員 公社といたしました場合にどういう形態になるかというお話ですが、その点は、まだいろいろ議論がありまして、はつきりきまつておりません。しかしながら根本は、どんな形であろうと、ダムをどちらがつくろうと、水を調節することは建設省がやるのだというのがこの根本であります。従つてそのために、おそらく発電は公社としたり、あるいはその他にして、発電力に対する建設費の割合が相当高くなることは事実でありまするから、それをどういうふうに公共事業費負担するのか、あるいは他の方法でそれをカバーして行くのかというような問題も起ろうかと思うのであります。また一つの行き方としては、ダム建設建設省がやつて、発電は公社なりにやらせるという考え方も起つて来ると思うのでありますが、その辺の行き方は、建設省としてもまだ論議中なのであります。
  31. 西村英一

    西村(英)委員 それと違つた方面からですが、最近文芸春秋に中谷教授は、ダムの埋没という随筆を書いておりまするが、結局ダムは埋没するのがあたりまえでありまして、何年で埋没するのかということが問題だろうと思います。あれにいろいろな評が出ておりまするが、建設省といたしまして、現在これからやろうというダムにつきましては、大よそダムの壽命が何年くらいという計算をいたしておると思いまするが、その点はどうですか。たとえば五十里のダムは何年の壽命であるというような資料があると思いますが、既往の資料あるいは現在着手いたしておりまするダムの壽命の点につきまする資料がおありですか、どうですか、その点をひとつ……。
  32. 目黒清雄

    ○目黒説明員 ダムの埋没は相当ありまして、これは悩みの種であります。そこで何年で埋まるかということでありまするが、アメリカの川でありますると、この点は調査ができ、はつきりするのであります。といいますのは、アメリカの川は、非常にこまかい土砂が浮いておりますので、ほとんど赤い川でありますから、この調査は、非常に簡單でありまして、砂その他の含有量を調べることができます。ところが日本の川は、砂利が多いものですから、この流出量を調べることがなかなか困難であります。そこで中谷さんが例の文芸春秋に書いてある通りに、砂利の流出量を調べる一番基本的な研究を今やつておるという段階なるのでありまして、それをもう少し推進すべきだという議論も、中谷さんの随筆の中に現われておると思うのであります。でありますから、現在の姿では、まだはつきり砂利の流出量を調べることができないと思うのでありまするが、また一方、ダム建設費の償還の方から考えますると、大体五十年くらいで償還をするということで、大体五十年で埋まつてしまというダムなら、元をとつてしまろということになると思うのであります。しかし十年あるいは二十年くらいで埋まるよなダムでありますと、これは目的に沿わなかつたという結果になります。その点は、結局上流の砂防工事をダム建設すると同時にやらなければならぬということに相なると思うのであります。ダム建設する場合に、上流の砂防工事を無視するということの警告をあの雑誌で発表しているものと信じております。五十里の話ですが、五十里は、その点につきまして最初から調査を続けておりますし、また同時に上流の砂防工事もやつておりますので、われわれとしては、上流の砂防工事を治めて、そのライフをなるべく長くしたいというつもりであります。
  33. 西村英一

    西村(英)委員 結局それぞれのあまり詳しいデータがないらしいのですが、あれば提出していただきたいと思います。要するに総合開発と申しましても、利用の面だけ総合的でなく、つくる方も総合的でなければならぬ。そこで一つの警告を発して、砂防及び植林等も、ダム建設する場合にはやらなければならぬということが言われておりましすが、まさにその通りであります。そういうものの総合性を欠いておつて建設省ダムのみを單独に知ろうとしておるよでありますが、ダムをやります場合に、植林及び治山、砂防の点の総合性について、どういうふうなお考えを持つておるのですか。
  34. 目黒清雄

    ○目黒説明員 われわれといたしましては、できるだけ調整をとつてもらう意味におきまして、ダムの上流地点の砂防工事、植林と積極的にやつてもらいたいということを安本に申し入れております。安本もこの点を了とせられまして、その点の予算相当出してもらうことになつております。ただこれを徹底的にやります場合には、東京の小河内でやつておりますように、水源地をある程度買収するというような手を使わなければならぬ場合もあると思いますが、それは非常に広汎な地域でありまして、それほどまでには現在われわれは考えておらないのでありますが、でき得るなら、やはり総合的な意味におきまして、砂防、植林を積極的にやつてもら、われわれでできます砂防工事はもちろんやりますが、林野庁の植林も積極的にやつてもらということを希望しておるわけであります。
  35. 西村英一

    西村(英)委員 部分的な問題になりますが、かつて猿ケ石のダムによつて起るところの電力の開発を東北興業が非常に希望し、熱心に請願をしておつたように聞きますが、ああいうような東北興業というような自家用に使う特殊な地域に出願を許可するというよな方法はとらずに、やはり一本に全国開発して行きたいというのですか。特殊な地域については、特別な自家用として許可して行こうというやり方をとるのか。また熊野川水系の北山川は、かつて自家用として出願があつたというように聞いておりますが、出願があつたか、またこの出願の許可をしようとしたのであるか、どういうふうないきさつになつているのか、許可しないとすれば、その理由等につきましても、わかつておる範囲で御説明を願いたい。
  36. 目黒清雄

    ○目黒説明員 猿ケ石のダム、ことに洪水調節ダムですが、先ほど申し上げました通りに、最初この工費の負担割合というものをきめなくてはなりません。その負担割合をきめる場合には、ある水位以上はからにしておくという基礎のもとにきめるのであります。そういたしますると、将来それがいろいろの点でその部分が利用されるとかいうことに相なるので、これを一般の私企業のものに許可することは、場合によりますと非常に利益を與えるという結果に相なる心配があるので、われわれとしては私企業には許可できぬという建前をとつておるのであります。そこで、それならば東北興業は私企業かあるいは公社式のものかというようなことになりますると、ある意味ではそういう色彩も濃厚なものでありますが、その点におきましてまだ疑問がありますので、一方東北電力というこれも公益機関が存在するというよなことで、その間で相当行き悩んでおる。そこでわれわれ考えますのは、こういうものをやらせる場合には何かはつきりした形体がほしいということから、いろいろ、考えているものが公社というような形になつて来ておるのであります。  それから北山川の問題につきましては、会社から出願ありましたが、一応府県に出て知事がこれを認可するかどうかということに相当つておる。従つて中央の方には参らぬうちに現在にまで立ち至つた、こういうのが事実であります。     〔委員長退席、内海委員長代理着席〕
  37. 西村英一

    西村(英)委員 もう一点伺います。ダム建設いたしますと、その発電地帯は貯水池であるからして、補給用の問題がなくなるというお考えをいたしておるようでありますが、私は補給用は少くなるけれども絶無にはならないと考えておるのです。一体ダム建設してそれによつて発電をすれば、火力発電所はいらないものだというようなこれは安本もそういう考え方が強いと思うのですが、ダム建設して発電するものについては、補給用は全然考えなくてもいい、従つて石炭はそのために使わぬでもいいというようなお考えをどの程度いたしておるかその点をお伺いいたしておきたいと思います。
  38. 新井義輔

    ○新井説明員 電気のことでございますから私からお答えいたします。ダム建設いたしましても火力は必ずいるということを申し上げたいと思います。ただ貯水池式の発電をいたしますれば、火力をたく炭の量が少くなるということを考えてただいま計画しております。
  39. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 河川総合開発のことを質問申し上げだいのでありますが、その前に、ルース台風のまゆに火のついておりますものについて、これは建設大臣にお伺いしようと思つたのでありますけれども、とりあえず第一期の融資を十億二千五百万円なさつております。ケイト台風のときには二回にわたつて十三億五千五百万円を融資いたしたのでありますが、この十億二千五百万円の今回の融資はどういう割当をしたのであるか。たとえば鹿見島は一億八千万円、大分は一億円、宮崎はそれより下つて九千万円、こうなつております。これは災害額に比例してはいないと恵うのであります。また同じ県について見ましても、ケイト台風の場合は愛媛県は八千万円でありましたが、今回ほ三千五百万円、総額は十三億と十億との比率であります。これは第一期でありますから、第二期も出るでありましようが、八千万円と三千五百万円と、この融資の割当の基準はどういうふうにいたされましたか。
  40. 内海安吉

    内海委員長代理 この問題は先ほど建設大臣からもお話がありましたが、補正予算の、救済等に関する問題は安本においてすべて統一してやつておるという御答弁のようでありますから、この際小沢政府委員の御答弁を願います。
  41. 小沢久太郎

    ○小沢政府委員 つなぎ融資の金額の決定ということでありますが、これは一応集まりました被害の報告を基礎といたしまして、それから一律に按分したのでございます。(「一律になつていないですよ」と呼ぶ者あり)それは報告した次からだんだんとかわつて参りますから、ある時を切りましてこれに並行してやつたのです。ですからある府県は高くして、ある府県は低くしたということはございません。ただ問題は、被害報告をある県はあるときは高くし、あるときは低くしたということで、だんだんと是正して参りますから、あとから見れば、なるほどでこぼこがあるかもしれませんが、われわれの計算した基礎の日にちをとりますと、みな同じ比率であります。それに対しまして第二次の問題でございますが、実は三日から連絡委員会を開きまして、さつそく各省集まつてやろうということでやつておる次第でございまして、できるだけ早く第二次を出したい、そういうふうに考えております。
  42. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 被害報告の額に按分をしたということが確かであれば、それでけつこうだと思うのであります。また第二次の割当もそれによつてやるというのならばわれわれも了承できます。それで査定が終るのには二箇月ばかりかかるという建設大臣お話であつたのでありますが、査定の見通し等をつけておつては第二次の割当はとても間に合わぬのであります。これは一体いつごろやるつもりでありますか。何が間に合わぬから遅れておるのですか。もう報告は終つたと思います。そのあとは査定でありますが、その査定は二箇月後といろのでありますから、何で遅れておりますか。
  43. 小沢久太郎

    ○小沢政府委員 このつなぎ融資は、今年の災害国庫補助を見返りに貸すということでございます。問題は今度の災害によりまして、それを査定いたしまして、今年どのくらい行くだろうということを基礎にいたしまして、その見返りとしてつなぎ融資を出すわけでありまして、それでは今度の災害に対しましてどのくらいの国庫補助が行くかということが問題になるのであります。それで実は前の災害に対しまして四十五億出しております。それから五億砂防対策の方に行つておりまして、約三十億ぐらいしか残つておりませんが、それだけでは実はわれわれ事務当局といたしましては不足でありまして、補正予算をとつていただかなければ困ると思つておりますので、首脳部におきまして方針をきめていただきまして、それによつて見返りとしてつなぎ融資が出るというようなわけであります。それにつきましてもきのうの晩一応の方針をきめていただきまして、またきよう午前中もやつたし、また三時からやる予定でありまして、そういう見通しがついたらさつそく出すということでございます。
  44. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 査定は三箇月後になるということで、それを待つわけには行かぬのでありますから、早急に建設出していただくことを要求いたします。  次に河川総合開発の方に移るのでありますが、ここに本年九月の謄写刷りで、昭和二十七年度分河川総合開発事業特別事業特別会計歳入歳出概算要求書というものがありますが、特別会計をつくろうという御方針でこういうような要求をなさつたのでありましようが、その交渉経過はどうなつておりますか
  45. 目黒清雄

    ○目黒説明員 まだ問題の起きません当初におきましては、国が現在着手しておるダムは、特別会計で発電までやりたいというので予算要求を出しておりましたが、ただ先ほどお話しました通り、現在はいろいろの案が出て参りましたので、それらは一応たな上げになつております。
  46. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 今までとかくいろいろな案が出て参つたのでありますけれども、先ほど淺利委員も御説明になりました通り地方総合開発地域等が十三箇所もきまつておつたような場合にも、いわゆる調査費程度で一向実際の仕事はできないという情勢であります。この特別会計麦設置するという問題につきましても、もちろん審議の余地はあるでありましようが、確かに一つの思いつきでありまして、これによつて工事が早く進捗するならば非常に有効な方法考えるのでありますが、この計画に対し安本の方の御意見はどういうふうになつて、おりますか。
  47. 小沢久太郎

    ○小沢政府委員 その問題につきましては、建設省から一応説明を受けましたが、また通産省からもいろいろ電気のことにつきましてやはり独自の意見を聞きました。通産省の意見といたしましては、とにかく電気を起すためにダムをつくる、しかしそのダム洪水調節にも役立つのだから、公共事業補助を要するということでございます。そういう意味建設省あるいは通産省のいろいろな意見も聞きまして、それから先ほど申しました電源開発の経営をどうするかというようないろいろな案を加味いたしまして、たとえば事業者がやるとか、県がやるとか、国がやるとか、公社でやるとか、そういようなことを今構想として考えつつあるわけでありまして、結論まで行つていない次第でございます。
  48. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 先ほど安本の小沢局長説明に、昭和三十一年度までに四千四百七十億円の資金があれば、鉱工業生産を一九〇の指数にまで上げることができるというようなお話があつたのであります。一方建設省としては、河川総合開発の観点からいろいろな御計画が立てられておると思うのでありますが、昭和三十一年度というような計画等もむろん必要でありますが、とりあえず電気はあれほど大騒ぎをしたのでありますから、明年、明後年くらいの電力の見通しと河川総合開発関係といいますか、安本においてその点どういう御計画を持つておられるか、それがやがて河川総合開発の二十七年度予算に当然組み入れらるべきであると思つておりますが、電力の方面から見た関係を承りたいと思います。
  49. 小沢久太郎

    ○小沢政府委員 これまでは普通の公益事業委員会でやつておりました電気と、県でやつておりました電気、つまり県で洪水調節などにからんでやつた電気というようなものは、別々と言つては語弊がございますけれども割合に関連がなかつたのでございますが、今度われわれの方でつくりました三十一年度までにこれこれの計画をやるというその計画の中には、ただいま建設省の方でやつておりますダムのうちで早くできそうなもの、つまり早く着工したもの、あるいは金額が少いものを組み入れて一応計画をつくつてあるわけで、それが先ほど申しました四千何百億という計画であります。
  50. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 ただいまお尋ねしたのでははつきり御答弁が得られないようでありますので、私はこの程度でとどめておきますが、来年度の河川総合開発計画予算考えますときには、今年あれほど大騒ぎをし、まだ解消していない電力問題が当然国民の頭にはぴんと来るのであります。これらを考慮しつつ来年度の公共事業費等は組み立てられるべきものであると思うのであります。そこで私は早い機会に資料を出していただきたいのでありますが、今小沢局長の申されました三十一年度までの計画、三十一年度までが目標でありますけれども、とりあえず、明年、明後年をどうするかという問題でありますが、その計画書を至急に出していただきまして、それにマツチした総合開発考えてみたいと思います。
  51. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 先ほど安本の小沢局長からまだ決定版でないから資料としては出せない、ただ四千四百七十億の資金の計画が立たないからというお話がありましたが、資金の計画だけではないとは思いますが、言葉じりをとらえれば資金が計画通りに行かない、その他のことは計画が進んでいるということだと思います。そうすると安本考えておられるのは、先ほど河川局長からお話になりましたような、総合的な多目的な発電も入れた計画で進めておられるのかどうですか。
  52. 小沢久太郎

    ○小沢政府委員 一応われわれが考えている案の中には、建設省考えております多目的ダムが入つている次第でございます。
  53. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 今度は河川局長にお尋ねいたします。河川局長は先ほどアメリカその他の例を引かれて、いわゆる多目的ダムが日本においてどうしても必要である、そのために強力に進みたいという意見を申されたのでありますが、私どももそれに賛成をいたしております。ところが現在建設省でやつておられる北上川水系の猿ケ石の田瀬ダム、それから胆沢川の石渕ダム、鬼怒川の五十里ダム、その他にもありますが、これは多目的ダム計画になつていると思いますつ猿ヶ石の方は渇水調節と申しますか、渇水と利水調節、その二つの目的であります。石渕ダムの方はもう一つ加わりまして渇水の調節と発電利水、もう一つたんぼまで水を流そうという三つの目的を持つている。五十里ダムも同じ目的のようであります。その他もありますが、多くの例を言うまでもなく、これは今日着手したことではないのであります。戰争中から始まつて、そのときは電気だけであつたようでありますが、石渕ダムは来年度は完成したいという計画になつており、田瀬のダムも二十八年度くらいまでには完成をするという予定になつておると私は思うのでありますが、そういうダムが今着々建設されておる途中である。それなのに多目的ダムを、発電まで入れてどこが管理をしてどこが建設をするかという方向がきまらないということは、私どもに言わせると、きわめておかしな話である。現在石渕のダムの方は、少くとも発電の工事をするためには、今年度中に取入口をつけなければ、あとの工事、いわゆる発電の工事が非常に困難になるというようなことも現場で聞いておるのでありますが、さてその発電工事はだれがするのかという方針が今日まできまらない。河川局長の気持は私よくわかります。それは全部国家の力でやるか、あるいは国家の力が入つた先ほどの特別な公社をつくつてやらせるかという、一歩譲つたらそこまでの考え方であるということを、私は今の説明を聞いていてわかるのでありますが、大体そういう根本的な方針が——これは先ほど村瀬委員からも言われたが、言われるまでもなく、現在治水、利水、特に電源開発というものは国家の最大の要請になつておる。先ほどもお話があり、少しくどくなりますが、電気のことでは毎年四苦八苦しておつて、工業その他の生産力が一向伸びない。日本が最大の目的としておる輸出工業も、その制約によつて、日本の自立経済ができないということは、万人が認めておる。しかもそのための電源開発ということは、何も今度のルース台風が来るまでの騒ぎではなくてへ毎年同じことを繰返しております。そこでルース台風が来るのを日本全国の国民が拜んでおつた。拜んでおつて、ようやくにして来て、一千数百億の損害を受けて、今日その災害対策災害地の住民が右往左往して、東京はそのために人口がふえたという実情であります。そういうことをしておつて、それをやらなければならないという根本の国の重大問題をその目的のために建設されておりながら、先ほども話をちよつと聞いておつても、建設省考え方はこうである、また通産省はこういう考え方を持つておる。もちろんそういうふうに各係官の方々に熱心に研究してもらのは非常にけつこうでありますし、敬意を表しておるますが、そういう国の安危にかかわるよな重大な仕事がいつまでも机の上の議論倒れになつておるということは、国民としては実に心外しごくであります。どこにそういう原因があるのか、ひとつ話を聞かしていただきたい。あなた方の力でできないということでありますれば、またそういうために日本国民全体が苦しむということでありますれば、国会国会で別にその根本の方針をきめなくてはならぬと思います。どこにそういう原因があるのか、ひとつ聞かしていただきたい。
  54. 目黒清雄

    ○目黒説明員 われわれが河川総合開発事業をやりましてから、発電のことをどう考えていたかということの経過を申し上げておきたいと思うのでございますが、われわれは発電は当然できるものというふうに考えまして、これの対策を最初から練つてつたのであります。そこで最初から申し上げました通りに、公共性を持つた発電であるし、負担関係が非常にむずかしいので、できるならば発電は県でやつてもらいたいというつもりがあつたのであります。そこでそれに乗つて来たのが物部ダムであります。これは発電は県営でやるというふうに旗じるしをあげたわけです。そけいけわけで他のダムは、さつきの猿ヶ石あるいは胆沢もありましたが、そういういきさつで延びておつたのであります。いろいろ考えてみましたが、これはとうていいろいろな姿ではだめだから、われわれとしては国で全部発電をやつた方がいいという考えで、特別会計の要求を出したのが、もうすでに過去の話であります。それが今村瀬さんのお話の結果になつておるのであります。そこでそういうことをやつておりましたところに、たまたま電力飢饉の問題が起きて来た。そこで問題はこんがらがつてつたのであります。でありますから、われわれの見方は、電力飢饉の起る前からすでに発電計画を立てて、国が発電をすべきだという意思表示をしておつたのであります。そういうことで、そこにあと電力飢饉があつて、いろいろ起きて来たというのが事実でありますから、これはわれわれも大いに研究いたしますが、やはり議会でも研究していただかなくちやならぬ大きな問題だと考えまする
  55. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 今の説明では私わかりかねるのであります。そういう計画をしておつたが、電力飢饉が来たからそれが行き悩みになつておる——電力飢饉が来れば来るほどそれを推進しなければならぬと思うのでありますが、電力飢饉は今年だけではありません。今度の場合は夏中雨が少かつたから特別ではありましたけれども、電力が足らぬということはもう戦争中からわかつておる。それを今度の電力飢饉が来たからその発電計画が行き悩んだというのは、実にこつけい千万だ。その原因を聞きたい。
  56. 内海安吉

    内海委員長代理 一体この猿ヶ石ダムというのはいつから始まつたのか、何か海軍省がやつたように聞いておりますが、その辺からひとつ沿革的に聞かしてもらえばよくわかります。
  57. 目黒清雄

    ○目黒説明員 それではその経過だけを御説明いたします。猿ヶ石は戦争中に軍事的な目的で一応基礎ができ上つて——十六年だつたのですが、その後御承知通りに見返り資金が参りましたので、見返り資金を重点的にダム建設に取上げたのであります。でありまするから、それがダム建設の画期的な変化であります。こういうふうになつたのは見返り資金が来たからであります。なぜそういうふうな結果になつたかと申しますと、ダムは御承知通り多くの金を要するので、とうてい普通の今までの公共事業費わくのみではこれを片づけて行くことができませんので、やりたいと思いながらずるずるべつたりそのままになつておつたが、幸いにして見返り資金が来て着手をし、そのあとは公共事業費でつけて行つた。でありますから、そういう意味におきまして総合開発の一応の進歩が見られたということであります。
  58. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 私はその猿ケ石だけを問題にしておるのではないんです。もくどく申し上げません。電力が必要である。電源開発ということは国家をあげて叫んでおる。今年の電力飢饉によつて電源開発総合開発仕事が行き悩むという理由がわからないから、どこにそういういきさつがあつて、だれがそれをじやましておるのかということを聞きたい。
  59. 目黒清雄

    ○目黒説明員 あるいは総合開発が行き脳んでいるというふうにおとりになつたかもしれませんけれども、総合開発が行き脳んでおるのではなく、総合開発をも少し推進すべきだ、現在やつておるものをそれ以上にもう少し総合開発をやるべきだというのがわれわれの意見なのでありまするが、その積極性が、今の総合開発で行くのか、あるいは電力プロパーで行くのかというところが今行き脳んでおるとわれわれは考えておるのであります。
  60. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 総合開発で行くのか電力プロパーで行くのかという議論はもうなくなつたと思いますそれで私は先ほど念のために安本当局に、一体電力だけで行かれるのか、総合開発で行かれるのかと言うたところが、それは総合開発で行くのだということであつた。安本は国政の調整をやつておられるところでありますから、その議論は私は聞きたくないのでありますが、まだそういうことがあるのでありますか。通産省がそういうことを言うのかどうか、はつきりひとつここで承りたい。
  61. 小沢久太郎

    ○小沢政府委員 これは先ほども申し上げましたように、総合開発で行くというふうにやつておるのであります。
  62. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 そういうふうに方針がきまつてつて、それが一向推進されないというのは、何か理由があるような気がしてしようがないのですが、ざつくばらんに言われたらどうですか。なかつたら推進が遅れるはずはない。
  63. 目黒清雄

    ○目黒説明員 実はわれわれの方では金がほしいのでありまして、金さえもらえばいいのです。今のわれわれの公共事業費わくは、結局ダム建設費だけなのであります。しかもダム建設費のうちの一部であります。そのダム建設費の倍くらいの金が電気事業につかなければ電力開発はできない、こういうことでありますから、この電力資金をどうするかということがわれわれの悩みなのであります。それですから電力資金を国が特別会計で一応出して、あとで回収するという行き方もありましようし、見返り資金はだめでしようが、ほかの政府資金をそれに利用するという方法もありましようし、そういうところが結局資金の分配でまだはつきりしないところがある、こういうことです。
  64. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 電力開発が必要である。しかもそれは多目的ダムにして電力もともにやるという方針は大体一致しておるよでありますが、それに金も出さない。それではやらないのと同じであります。そこでちよつと今河川局長が金の問題にひつかけられて逃げられるような感じが私はいたしたのでありますが、そういう仕事をするのに、いかなる形態でやるのがいいかということが問題になつております。そこで建設省公共事業ダムだけつくる、それでは電気の方はどうするか、そうなつて来ると総合性というものがそこに欠けて来ておるのであります。そこで先ほど私が申し上げたように、河川局長も大体その意見であろうと思うのでありますが、これは私から言えば国営でやつた方が一番仕事が早い。またそうでもしなければ、日本では議論だけ多くて、決して仕事は進みません。しかし一歩譲つて、多少ほかの顔を立てようということで、河川局長は公社案まで譲つてもいいという気持があるが、そういう点がまとまらないのはどこに原因があるのかということをお聞きしたい。
  65. 小沢久太郎

    ○小沢政府委員 実は先ほども申し上げましたように、今河川局長が金の問題について申しましたけれども、ダムをつくりますのに、この部分だけは公共事業の工事費で持つ、この部分は電力で持つ、——発電所をつくるとか、あるいは電気機械を買うとか、それは財政資金で出すとかいうようなことで、その間がちぐはぐになると、片一方でたくさんつけても、片一方でつけなければ意味がないということです。これまでそういうちぐはぐがありますので、実は今度の電力緊急開発の面におきましては、たとえば公共事業でこれだけつけたのだから、電力の方はこれだけつける。その資金のバランスはどうするかということをやつておる次第であります。それから経営の面でございますけれども、これは公社にいたしましても、一々違うのでありまして、その結果実はわれわれの間でも意見がございましてまとまらないということでございます。そこは研究しておりますけれども、お互いに意見がありまして、利点ばかりではなく欠点もあります。そういう点でまとまらないというのが実、情でございまして、実は隘路があるといいわけではないのでございます。
  66. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 そういうことで今年も過ぎてしまいます。来年もまたその議論が続くと思う。来年また台風が来て騒ぐことも事実であります。そこで今電気の方の資金がどうだとか言いましたが、そんなことは電力会社にまかせておけば必ずやる。先ほど河川局長が言われた。うつかりこれを電力会社にやらせたのでは、一営利会社をもうけさせるおそれが多分にあります。多目的ダムにおいては、全部の水を完全に電気に利用することはできないから、場合によつては流してしまう、場合によつてたんぼにも流すということで、発電力の正確な計算ができないという問題もあると思います。そこでそこの調整をとるということは、営利会社を中に入れたんじや始まらない。全部のダムまで買い取つてしまうという実力があれば別ですが、そういうことは何百年たつても間に合わないと思います。そこでそういうことは考えないで、何が日本で一番重大かということを考えて話を進めてもらえば、そういう小さいことで進まないわけはない。これは今年に始まつた問題でない。それで猿ヶ石はいつからやつておるのかと委員長が言われる。もう石渕のダムが来年はでき上る。水がたまつて取入口を掘るのに非常に困るという実情になつてからでも、まだその方針ができまらないで、電気が起らないという実情になつておる。それで国民が助かるかということであります。どうせ同じ金をかけるならば、工事費が安くて済むときに取入口をつくれ、取入口は早くつくればつくるほど、電気も早く起るでしよう。水をためてからでは非常に工事がしにくい。金をよけいかけて、しかも電気はずつと遅れて起る。こういう政治のあり方というものは実に私にはこつけいしごくである。そこの調整がとれないというのは、何か原因があると思うのでありますが、これ以上追究いたしません。皆さん一生懸命国家のために努力してもらつておると私確信を持つておりますから、もし皆様以外にそういう妙な介在物があるということであつたならば、国会は黙つておらないから、あるのならあるように言つていただきたい。こういうことを申し上げたのであります。  これ以上は追究いたしません。問題は、国民がどれほど困つておるかということと、ただ国民が困つておるといことだけでなくて、日本の産業がどのくらいこのために伸びが遅れておるかということは、安本当局は十分御承知だ。電源開発ということは、何も今日始まつた問題ではありません。それがそういういざこざによつて進まないということは、日本のためにまことに不幸である。これだけを申し上げておいて、ひとつ早く調整して早く仕事が進むように希望しておきます。
  67. 内海安吉

    内海委員長代理 ただいま瀬戸山さんの御質問はごもつともだと思います。本日は周東長官の御出席を求めておつたのでありましたけれども、いろいろ政務の都合で出て参りませんから、この次の機会に出席願いまして、瀬戸山さんの御質問の、河川総合開発から見たるダム建設、電源の開発というような根本的な問題は、国務大臣から答弁を求めることにいたします。
  68. 西村英一

    西村(英)委員 瀬戸山君の質問に関連して承りたい。総合開発が進まないのは、何か特別な原因があるように承つた。その原因が何であるかということについて説明ができない。そういうことは、私は調整がとれないということのみでなくて、それ以外に何か目的があるようなことに聞えるのですが、どうもわからない。と申しますのは、單独目的事業をやれば、これは早い。電気事業にいたしましても、また洪水調節の面だけからいたしましても早いのですが、総合開発となりましたために、意見がまとまらなくてもたもたするわけである。遅れるわけだ。そこでかんじんかなめのところは、早く河川の管理をし、主管庁である建設省がもつと力を入れてもらわなければならぬ。こういうことになるので、総合開発になりますれば、関係箇所が多いからなかなか、案がまとまらない。單独開発と非常に違うと思う。それ以外に何か別な原因でまとまらない原因があるならば、これは十分正直に申してもらいたい。私たち国会といたしましても、十分検討しなければならぬと思う。それでさいぜんも申しましたよに、総合開発と申しましても、電源開発が主体になつておるようでありまして、建設省の現在かかつておるあの五箇所のダムにつきましても、三百数十億の金がいるのでありますけれども、そのうちの七〇%は電源開発なんです。ところが建設省電源開発の点については、何らの考えもなしにダム建設にとりかかつたわけであります。まあこれは過去のことでありますから言いませんが、二十七年度も同じように総合開発の最も重点である電源開発をどうしようかということを考えないのでは、新しいダム建設はなかなか許しがたいと思われる情勢にあるわけです。総合開発であるからしていろいろむづかしくなつた。確かに総合開発はなかなかむづかしい。従いましてより以上に馬力をかけてもらいたい。それには河川の主管省である建設省が、もう少し積極的な案を出してもらいたい。電源開発がいろいろ取上げられたときに、建設省ダムを出して、しり馬に乗つて行くような形ですが、これでは河川の管理者としての値打がないと申さざるを得ないのであります。その点を私は特に申しておきたいと思います。
  69. 小平久雄

    ○小平(久)委員 先ほど来いろいろな御質問があつたわけであります。また今後の重大問題としての電源の開発ということについても、あるいはいろいろな企業形態等についても御議論がありましたが、私はそういう点に関連しまして、本日ちようだいしてあります資料について、どうもふに落ちない点がありますので、一点お尋ねしたいのであります。  先ほど河川局長さんから、電力会社が開発しておるダム等の発電の施設、それから建設省総合開発でやつておるもの、それらが大体同じくらいあるというお話もありました。そこでこれはどこでつくつたのか知りませんが、「工事中及本年度着手予定水力発電所一覧表」というものを見まする、電力会社でやつておるものにつきましては、すでにやつておるものが單価から申しますと、一キロワット・アワー当り十八円五十銭、それから二十六年度に電力会社が着手予定のものというのが十八円三十銭、それから国で工事中のものが十八円二十銭、こういうぐあいで、国でやるものはとにかく一番安くできるような表が一応出ておるわけなのであります。そこでキロワット当りの建設費から見ましても、国でやつておるものが平均十万円でありまして、若干他に比べて高いようでありますが、いずれにいたしましても、キロワット・アワー当りからいいますと、先ほど申しました通り若干安く上る予定であります。しかも内容を見ますると、電力会社がやつておるものは、ダム式のものは少いというか、少くとも国でやつておるものは全部がダム式である。こういう点から見ると、おそらく国でダムをつくつてつておるというのは、少くとも河水統制が主目的でやつておるものであります。その方がかえつて安くできて、電力会社が本来営利のためにやつておるものの方が、キロワツト・アワー当りが高くつく。しかもこれはすでに以前からやつておるのでありましよから、物価の関係等から考えると、その開きがますます大きいではないか。こういう点は一体どういうところから出ておるのか、われわれにはちよつと解せないのでありますが、御説明を願いたい。あるいは別の資料の、総事業費といろ欄から見ましても、国の直轄でやつておる工事についての総事業費というのは、電気関係だけでございます。しかしそれにしても片方の民間のものに比べて、ダムまでつくつてこの程度——どうしてこういうことになるのか、その辺がどうも解せませんので、ひとつ説明を願います。
  70. 目黒清雄

    ○目黒説明員 確かに電気の負担からいえば安くなるのが当然であります。これは総合開発の特色ともいうべきものであります。と申しますのは、ダムそのものを電気の発電量だけで割つてみれば高いのでありますが、ダムは公共的な目的があります。洪水調節とか、灌漑用水とか、そういうものに相当する額だけは、当然これは国が負担すべきものであるから、差引いた残りの勘定で行きますと、当然安くなる。こういうことなのであります。でありますから多目的でやるのは安くなる。その安くなる割合の出し方は、もう一冊の資料の方に書いてあります。そういうわけでその出し方も——またアメリカの話をして悪いのですが、実はTVAの例をとつてつたのでありまして、そのアメリカで長年研究された例をとつてみますと、結局安いということになるのであります。それならばこれだけを会社がやつたらどうなるかというと、会社としては河水調節の分まで持たせると高くてできません。そこで会社は当然ほかの目的のない水路式のものに手取り早く手をそめるというのが現状であります。またダム式に変更する傾向は、西村さんもおつしやる通りなかなかとれないというのがほんとうなのであります。
  71. 小平久雄

    ○小平(久)委員 そこで御説明は承りましたが、別の資料に総事業費というのとその内訳があつて、また別に共同費用という欄がありますが、これは何ですか。共同的な建設費じやないのですか。
  72. 山本三郎

    ○山本説明員 ちよつと御説明申し上げます。たとえば猿ヶ石川の三十九億五千六百万円とありますのは、ダムをつくり発電所をつくる全体の費用でございます。それから同内訳の中に公共事業と別途事業と書いてありますが、そのダムをつくつたために発電がこれだけでき、あるいは治水のためにこれだけ毎年被害が減少できる、その効果率によりまして総体の事業公共事業と——猿ヶ石の場合は電気事業だけでありますから、電気事業で持つべき分にわけたのであります。それは効果率からわけたのであります。それから共同費用と申しますのは、この場合でありますとダムの費用でございまして、そのダムは電気に竜役立つし、また治水のためにも役立つ施設の事業であります。結局ダムの費用が共同費用ということになるのであります。総事業費の中で両方で負担すべき部分の全体の費用であります。
  73. 小平久雄

    ○小平(久)委員 そうすると、共同費用はダムの費用と電気の方の関係と両方で負担すべき費用だということになりますと、先ほど申した発電所一覧表の欄の総事業費というのが、結局こちらの資料で行くと別途事業、つまり電気事業プロパーのだけが載つておるよでありますが……。
  74. 山本三郎

    ○山本説明員 プロパーだけではございません。
  75. 小平久雄

    ○小平(久)委員 しかし私は自分の県だからちよつと調べてみたのでありますが、鬼怒川の五十里というのがありますね。別途事業が二十二億六千七百万円、そうすると別の表においても二十二億六千七百万円と載つておる。しかもこれを見ると、五十里の関係でも共同費用がさらに三十七億もかかつておる。そうしますとこの表から出ておる、先ほど冒頭に申した建設省でやつておるところの発電のキーロワツト・アワー当りの單価、これは全体ですが、平均して十八円二十銭というのはどうも結論がおかしくなつて来る。もつとぐつと大きいものになつて来なければならぬ。
  76. 山本三郎

    ○山本説明員 総事業費の内訳は、公共事業と別途事業でありまして、共同費用というのはまた別の科目でありまして、総事業費の中の共同でございますから、その内訳の次に二本棒を引いていただけばよろしいわけであります。ですから電気事業者の負担すべきものは別途事業だけでよろしいわけであります。
  77. 小平久雄

    ○小平(久)委員 質問の趣意と違います。両方に関係がある……。
  78. 山本三郎

    ○山本説明員 共同費用というのはダムの費用でございまして、公共事業費の中にも、別途事業費の中にも含まれておりますが、総事業費は公共事業と別途事業を合せたものであります。
  79. 小平久雄

    ○小平(久)委員 だからおかしい。総事業費のほかに共同費用というものがかかるのじやないか。
  80. 山本三郎

    ○山本説明員 ないのであります。
  81. 三池信

    ○三池委員 先ほどからいろいろ国土開発について御意見がありましたが、大体ダム建設というものは総合開発というような問題が取上げられておる前からやつておられたと思うが、どうでございますか。
  82. 目黒清雄

    ○目黒説明員 総合開発という言葉は最近の言葉で、その前にありましたのは河水統制事業というものが古い時代からあります。それで山口県における錦川、あるいは神奈川県における相模のダムというようなものが河水統制事業という名前でやつております。ただこの時代には補助が非常に少かつたのであります。
  83. 三池信

    ○三池委員 ダム建設はそういうふうに治水の方面から前からやつておられた。先ほど来電力開発などの問題がこれに関連して非常にむずかしい問題になつておりますが、ダム建設そのものの当否は、私の経験から異論がある。といいますのは、先ほどから局長の御説明のように、日本の河川はまだ調査のデータがない。だからせつかく高い金をかけて数年間の日子を要してつくつたダムが、わずかに三年あるいは五年で大半の機能を失つてしまうというような例が、日本のダムにはあるはずであります。そういうように高い金を使い、長時日をかけてせつかくつくつたダムの効果を発揮する期間が非常に短い。しからばその次には洪水調節あるいは、治水の点ではどういう施策をするかというような問題になりますと、私はこれは根本的な重大な問題を含んでおると思う。先ほどもダムが埋まらないためには、植林をし、砂防をしろというようなお話でありますけれども、植林といいましても、これは三年や五年で効果を現わすものでない。その植林の効果を現わすのには、もうすでにダムが埋まつてしまつたというよろなことがあるはずであります。従つてこのダム建設によつて、治水あるいは河水統制の問題をやるその適否に対しては根本的な検討を要することになつて来ると考えております。さつきから総合開発が非常に遅れるというので、大分目黒河川局長は方々から御質問を受けられたようでありますが、このむずかしい、進まないという原因は、要するに治水と利水とは必ずしも一致するものではない。ある意味においては相反するものだ。それを一致させようとするところに非常にむずかしい、調整のできない点があるのじやないか。従つて建設省電源開発というしり馬に乗つてダムをつくるということでは困る。もつと元気を出してしつかりやれという話でありましたけれども、私はむしろこれは逆である、電源開発ダムのしり馬に乗つて来ておる。だからむしろ早く電源開発ダム建設のしり馬に乗せることが電源開発という刻下の要請に沿うのではないかと思う。この電源開発そのものは私は建設省よりもむしろこれを総合的に所管している安本が早くダム建設のしり馬に乗せてくれなければならぬというふうに考える。電気の問題は所管は通産省がやつている、あるいは灌漑の問題は農林省がやつているということでありますが、安本自体がその直接の所管を持たないがために、もしのんびりしておられると、今言つたような遅延をする原因になるのではないかと思う。むしろ早く安本は刻下要請の電源開発を、建設省がせつかく着工をし、建設を進めているダム建設のしり馬に乗せなければならぬ。これを国家がやるか、公社をつくるか、あるいは電力会社にやらせるかいう問題がいろいろあると思うのでありますけれども、要するにダムというものは、治水の面でも公共事業として国家がやるんだという一大方針でやつておられるならば、割当をどうするとか、経費の分担というような枝葉末節にこだわつて電源開発が遅れるということは、これは本筋を非常に逸脱している。この面についてはむろん電力会社は営利会社でありますから、なかなか金を出し澁るでありましよう。しかしながらそういう問題にはむしろとらわれないで、刻下の要請の電源開発ダム建設のしり馬に早く乗せるように安本に非常にやつてもらわなければならぬと思う。  しかし私はこれについてぜひ安本中心になつて考えていただかなければならぬことは、総合開発あるいはダム建設が方々にできますと、これが建設省の治水の面から起るダム建設であろうと、あるいは灌漑用水のごとき農林省が主となつてやる面であろうと山間の僻村はこのためにたいへんな迷惑を受ける。従つて相先伝来の耕地をつぶし、あるいは家を埋没し、そうしてそこに長く住みなれた人が離村をしなければならぬというような問題が起るのであります。これはたいへんな犠牲をしい、多額の金を使つてつておる問題でありますが、現在この補償の問題で私は安本に非常に考えてもらわなければならぬと思うのは、個人の補償というものは、現在たとえば耕地一反当り幾ら、林野は幾ら、あるいは墓場は幾ら、さらに詳しくはかきの本一本幾らというよな点まで補償をやつておられるのであります。しかしながらそいうように直接損害を受ける個人に補償をしてもらつても、そういう人たちが村から離れるために、そこの公共団体自体がやつて行けないという事態が起るのであります。現に私はそういう数箇所の例にぶつかつている。そういうものに対して国家は補償の道を現在考、えておられるであろうか、これを承つておきたい。
  84. 内海安吉

    内海委員長代理 どうでしよう。こいう根本的な問題になつて来ますと、先ほどの瀬戸山さんの御質問と同じようなことになるように考えられますが、この次の機会に安本長官の出席を求めまして、そうして十分徹底するまでの御質問をなされたらどうかと思います。いかがでございますか。
  85. 三池信

    ○三池委員 けつこうでございます。
  86. 内海安吉

    内海委員長代理 瀬戸山さん、それでよろしゆうございますか。——ほかに御質問がありましたら……。
  87. 淺利三朗

    淺利委員 河川局長の言われたことについてちよつと私の確かめておきたいことは、既設の発電会社の出願しているものはそのままでよろしいが、新規に発電するものは総合計画の一環として認める方針である、こういうお話のようでありました。すでに許可はしておつても、工事にまだ着手しないという河川においても、やはり総合計画の見地から検討すべき余地がありはしないか。従来の発電工事は、先刻述べられました通り会社独自の計画だけで最も採算的に建設したダムが、遂に何年か後にはそれが埋まつてしまつた例もある。これは要するに上流における砂防工事なり植林というものができておらないで、総合的な計画なしにそういうことをぽつつとやつたからそのようなことになる。また只見川のごとき、すでに日発が願い出ておつた地点は、最近にはまた新潟県との争いもある。そういう場合に、これを総合的にやるについて既設の許可そのままでいいかどうかという問題が必ず起つて来る。その場合において過去のものは過去のものとすれば必ず悔いを残すことがありはしないか、この水の利用について、あるいはまたその地点の選定等におきまして、二、三箇所のものを一箇所にすれば大量に出るというよなダムもあるだろう。それも一応は検討してしかるべきではないか。それが先刻のお話では、前のものはそのまま認めて新規のものだけというように承つたけれども、そこにちよつと疑点があつたので確かめておきたい。
  88. 目黒清雄

    ○目黒説明員 さつきはつきり申し上げましたが、一応前言は訂正いたします。水利権をすでに獲得したものはその水利権をなるべく尊重して行きます。許可できるものはできるだけ許可して行きたいという方針でありますが、その中で総合開発的に見てこれは水利権を再検討した方がいいというものはまた再検討するつもりでおります。それから新しく水利権を出願して来たものでも、総合開発の見地からそれほど重要でないと思われるものは許可して行く、総合開発的に十分考えて行かなければならぬというものは慎重に考えて行く、こういうつもりであります。
  89. 内海安吉

    内海委員長代理 それでは本日の質疑はこの程度といたします。次会の日程は公報をもつてお知らせを申し上げます。  これにて散会いたします。     午後三時五十三分散会