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肥爪政府委員 工事でございますが、電信電話工事並びに営繕工事におきまして、多額の繰越額を生じましたのはまことに遺憾に存ずるのであります。これにつきましては、
逓信省が二十四年六月一日、
機構改正によりまして
郵政省、
電気通信省の二省に分割されまして、あらゆる面に非常な影響を及ぼしたことと、また
年度当初は暫定
予算によりましたために、使用
計画の面におきましても、本
予算成立後、司令部と数次の折衝を経ました上、
年度中途におきまして実行
計画が定まりました。その上、本年から実施せられました工事
計画票
制度は、
本省を初め各段階の
事務ふなれによりまして、
予算令達を一層遅延させまして、御
指摘のような工事
関係予算の六・七%が
年度後半に令達される結果と相な
つたのであります。かかることが工事の施行時期当を得ないとか、あるいは
資材の
調達当を得ないとか、また
関係部門間の連絡不十分のため、工事が跛行したというような、以下御
説明申し上げますような結果を引越したのでありまして、今後は十分注意をいたしまして、かかることのないようにいたしたいと存ずるのであります。
工事の施行時期当を得なか
つたため不
経済な支出と
なつたものとしましての五五八号でありますが、これは北海道の岩見沢電気通信管理所で、
昭和二十五年三月に施行いたしました幌向・奈井江間の市外線路碍子とりかえ工事が、二十四年十一月に
本省から北海道電気通信局に指令があ
つたものでありまして、寒期の悪條件のもとで施工したために、適当な時期に施工した場合に比べまして七十二万円の多額な支出と
なつたということでございます。本線路は戰時中以来、人員経費の
不足によりまして、破損碍子も数年間とりかえなか
つたために、通信疏通上、並びに回線障害の一大がんと
なつてお
つたのであります。
〔
委員長退席、
田中(不)
委員長代理着席〕
このような状況のところ、
一般保守費に充当する経費が二月中旬
本省から増額の
見通しがつきましたので、回線の復旧を早急に実施して、サービスの向上によりまする増收をはかれば、たとい冬の施行に伴う経費の増加はありましても、十分カバーし得るものと考えまして実施したのでありまして、冬期積雪地方におきましては、支線のとりかえとか、電柱の根継ぎとか、地下ケーブルの補強等の降雪下の作業は困難でありまするので、これらの工事は適当な時期に全力をあげて施行することといたして、冬期を避けたのではありまするが、天候の安定しているときは、十分できまするところの碍子のとりかえとか、掃除とか、あるいは線條の手入れ等を実施することが得策であると考えた等の
事情もありまして、施行したものでありまして、かかる御
指摘を受ける結果と相な
つたのであります。今後は冬におきましては経費のかさむ無理な外線工事は、なるべく避けまして、適当な時期に工事を実施することといたしたいと存じます。なお
関係責任者に対しましては、
嚴重注意をいたしたのでございます。
次は、五五九号でございますが、これは北海道電気通信局で、
昭和二十四年中、旭川・北見峠間市外電話線路工事の工事費といたしまして、四千三百十四万七千円を支出いたしましたが、これは設計
予算が三千六百十五万一千円の工事でございまして、請負費以外は七月に令達されて、一番最初に着工いたしますべき請負部分の請負費が、十月末に示達に
なつたために、十一月から着工されて一番條件の悪い冬に施工する結果となりまして、多額の経費を要し、二十五
年度に入
つてから、六月までに二百五十二万六千余円、またさらに完成までに百二十万五千円を要する
見込みでございまして、再用予定品を新品にした経費増を差引きましても、設計額に比較いたしまして五百六十二万円を多額に要したというのであります。これは工事施行の時期を失したためであるとの御
批難であります。これにつきましては、御
指摘の
通りで、工事請負
予算の示達が遅れました理由は、
公共事業認証額のわくの制約と、
公共事業手続の遅延とによ
つて、第二・四半期の認証として示達したためでございます。請負
予算を早期に示達いたしまして、よい季節に工事を行
つたならば、
相当額の経費を節約できましたもので、今後はできる限り早期に
予算を示達いたしまして、適当な時期に施行するように
努力いたします。なお
関係責任者に対しましては、訓告の処分をいたしたのでございます。
次に、
資材の
調達当を得ないため工事が著しく遅延したものという件でございます。その五六〇号につきましては、これは近畿電気通信局で、京都壬生電話局に千二百端子を増設することとしまして、
昭和二十五年三月に大阪電工株式
会社に局内基礎工事を請負わせましたが、官給材料の一部
物品の
調達が適当な時期に行われなか
つたために、わずか三%の工程を残しまして、三月末の期限を逐次延伸して、八月実地
検査当時中止されていた
状態であります。そのためにこれに関連する二工事も施行が遅れて、まだ完成されていなか
つたということでございます。これは本工事用の主要
物品は、
昭和二十四年八月に準備手配をしたのでありまするが、メーカーの生産がはかばかしく行かなか
つたために、
契約は二十五年三月に締結されたのであります。ために工程の大部分は繰越されねばならない
状態にありまして、工事担当の通信局といたしましては、
本省準備品がなくても工事ができる基礎工事をまず請負に出しまして、主要機器の入手によりまして、逐次工事を進める予定でございましたが、
関係部門間の連絡が不十分なために、早急に必要といたしまするA五号ヒユーズ等の準備
調達が遅れまして、御
指摘を受けたのでございますが、今後は
関係部門間の連絡を密にいたしまして、このようなことを繰返さぬように十分注意をいたしたいと存じます。なお本工事は、
物品の到着によりまして
昭和二十五年十月十二日に完成をいたしました。また関連工事もそれぞれ十月十二日と十一月十六日に完成いたしたのであります。この
関係責任者に対しましては、訓告等の処分を
行つたのでございます。
五六一号は、長岡電気通信管理所で、
昭和二十五年三月に直営で施行した塚山広田間の電柱
建設撤去、裸線張りかえ等の市外電話
施設工事
——これは復旧でありますが、この市外電話
施設工事は、二十四年四月当時の長岡工事局が受命いたしましたが、電柱百七十三本の未着のために、工事を延期しまして、二十五年二月その到着によりまして着工したために、冬季に施行しまして、適当なる時期に施行したときに比べまして、約七十万円多額に経費を支出したという点でございます。これは御
承知のように二十四年六月に
機構改正がございまして、工事用
物品の管理配給
機構が大幅に改正せられましたのと、また時期的にも田植えのときでありましたので、起工予定を九月と変更し、電柱もクレオソート注入杉柱として
計画したのでございますが、この種の電柱は新潟配給局には三十七本しかございませんで、残余の電柱は九月末を納期として購入手配をいたしましたが、購買
予算の
関係とか、注入場の注薬管の毀損等のために、納期も十二月二十三日に延期をされました。しかし本工事は復旧工事でございまして、急ぐ
関係もございましたので、当初の
計画を変更いたしまして、電柱の規格を変更充当して工事の進捗をはか
つたものでございます。以上の
事情によりまして、施工に時期を得なか
つたという結果とな
つたのでありまして、まことに遺憾に存ずる次第であります。今後はかかることのないように、十分注意をいたします。なお
関係責任者に対しましては、訓告処分をいたしたのでございます。
次は五六二号でございますが、工事が設計
通り施行されていないものということでございます。これは
昭和二十四
年度本省建設部と北陸通信局
建設部で施工いたしました麻生津富山間の市外電話ケーブル敷設工事を、大明電話工事株式
会社外四社に請負わせましたが、その結果は仕様書によりますと、ケーブルの土かぶりが九十六センチ以上または九十四センチ以上なければならないのに掘鑿の結果は九十センチ以上あ
つたところはない
状態でございまして、今かりに平均九十センチといたしまして計算すると、約五十四万円を多額に支出したというのでありまするが、本件工事は石のかどとか石のかたまり等によ
つて、敷設ケーブルを毀損しないように、掘鑿したみぞの底にこまかい土を適当に敷き詰めて平坦にしたのと、また施工地帶は土質が軟弱でございまして、大体地表面下約四十センチ程度で湧水するために、掘鑿後にケーブル埋設までに土砂が多少崩壊したり湧出したりいたしまして浅く
なつた等の
事情もございます。また路面復旧も、県に委託したものでございますが、第一回の補修を行
つたばかりで、さらに第二次、第三次等の補修を行う等の
事情もありました。しかし一面請負工事区間が長距離にわた
つたのと、短期間に施工しなければならなか
つた等の
事情も、ございまして、局所、的に現場
監督の適正を欠いた点もございまして、まことに遺憾に存ずるのであります。今後かかることのないように
関係責任者に対しましては、
戒告等の処分をいたしましたが、工事
監督者全員に対しましても、工事現場におきまする
監督を一層嚴密周到にするように注意を喚起いたしたのであります。なおまた最近通研においてこういう
監督が適切にできるような機械の考案もいたしておりますので、将来はそういうものを使いまして、十分遺憾のないことを期しておる次第でございます。
次は五六三号でございますが、これは担当部門間の連絡不十分によりまして、工事施行が不
経済支出と
なつたものでございます。
本省建築部で
昭和二十四年九月、池田
建設株式
会社に大津局床仕上げ工事を請負わせ、十二月完成したが、そのうちの電池、電力両室の床仕上げその他計三工程は施工不良であり、また当然設計中に含まれるべき温濕度調整裝置も、
本省建設部が局内工事施行の際に設置するごとに変更になる等のため、越えて二十五年七月に至り、これらの基礎から掘り返して改修をや
つて約九十万円の工費を徒費した。また清水
建設株式
会社が請負い施行いたしました新潟中継所新築工事でも、約三十万円の手もどり工事を実施している。これらは建築部と
建設部の連絡が十分に行われなか
つたためであるということであります。大津局の件につきましては、これらの工程は建築部におきまして設計いたしまして図面仕様書の
通り施工したのでありまするが、電力、電池室の床仕上げ工事につきましては、後日温濕度調整裝置を附加する必要が判明いたしましたために、電力裝置の設計変更を行いまして、それに伴いまして各機器の設備位置の大幅配置がえを要するに至
つたのが主因でございます。また地下油槽は、本工事施行後、周辺の整地等によります雨水浸入防止のため、また冷却水槽も右のほか保守上の便宜のために改修を加えたものでございます。この大津、新潟両局とも、いずれも建築部施行工事が、局内工事よりも
相当先行いたしまして、その設計時期においては局内工事の詳細設計が行われていなか
つたことと、また局内工事用の機器も、技術的な改良進歩によりまして、短期間にその種類寸法が変化して、そのために裝置の位置とか仕様に変更が生じた等の原因によるものでありまして、
関係部門間の連絡が不十分であ
つた点はまことに申訳ない次第でございます。今後はかかることのないように、建築部施行と局内工事との時期を調整して、また
関係部門間の連絡を密にするように適切なる措置をとることにいたします。なお
関係責任者に対しましては、訓告の処分を
行つたのでございます。
次は工事の進捗が跛行しまして、その完成が著しく遅延したものでございます。五六四号の豊中・姫路間の搬送電話
施設は、
昭和二十一
年度におきまして、二十
年度末までに完成することを目途として
計画して、
本省施設局と近畿電気通信局で分担着工いたしましたが、着工以来満四年余にわた
つて施工して、
検査当時まだ開通に至
つていないばかりか、二十一、二十二
年度に新築した箕谷中継所は未使用のまま放置していたので、腐朽はなはだしくなりまして、使用不能で、二十五年二月に三百十四万円をかけて全面的に改修工事を行
つた。これは施行が跛行したためにこのような結果に
なつたものであ
つて、一連工事の同時完成をはかるべきであるというのでございます。これは御
指摘の
通りで、工事の順序といたしましては、建築
関係ができ上り、ただちに局内工事に着工し、局内工事が完成するころに同時に線路工事も完成、全部が竣工するようにしなければならないのでございますが、本工事は
終戰直後でありまして、当時住宅、労働
事情もやかましく、また
予算的制約等もございまして、まず局舎官舎建築から施工することといたしまして、
昭和二十一
年度から実施段階に入
つたのでありますが、
予算の削減とか、また土地の買收がうまく行かぬ等のことで、箕谷の局官舎、姫路の官舎のみ完成したのであります。次いで二十二
年度には認証の
関係で豊中の敷地しか買收できず、二十三
年度に至りましてやつと建築
関係が大部分竣工したというような
状態でございまして、建築
関係が三年を要し、また線路、局内工事も、二十二、二十三両
年度ともに、
予算削減によりまして一部の機器を準備し得たにすぎませんで、二十四
年度におきましては、
年度当初暫定
予算のために本
予算成立まで見送らざるを得ないというようなことであ
つたのであります。また
計画当初においきましては、本工事の完成によりまして、既設の裝荷ケーブルを撤去して、
資材の
回收をはかることを目標としたものでございますが、このように長年月を経まして、
資材の状況も好転したために、回線の増強に目標を切りかえたというようなことがございまして、遅延の一原因ともな
つたのであります。このようなことが御
指摘を受ける結果と
なつたものでありまして、
関係部課におきまする
計画上の齟齬も認められますので、この点遺憾に存ずる次第でございまして、今後はかかることのないように十分注意いたします。その後本工事は二十五年七月完成いたしましたので、御了承願いたいと存じます。
五六五号は、大阪和歌山間の市外電話ケーブル工事は
本省建設部の手で
昭和二十四年十月完成したが、その線端の和歌山電話局内の裝置工事が、一部の工事材料未着による未完成と、また当初
計画上考慮していなか
つた通話減衰耗のために、途中に中継器を設置しなければ通話不能であることによ
つて、未開通のまま遊休化しているということでございますが、工事材料品の一部到着遅延ににつきましては、
機構改革並びに
取扱い規定の改正等によりまして担当部課の
事務手続の遅延及び準備要求
計画の不備等もあり、一方当時メーカーの生産工程も思わしくなか
つた等の理由によりまして、かかる結果にな
つたのはまことに遺憾に存ずるところであります。通話減衰耗につきましては、当初本工事
計画は大阪から堺、浜寺、泉大津、岸和田、和歌山及びこれら相互間の回線を收容するために
施設したものでございまして、これら各地相互間の直通通話用といたしましては、支障のない通話損でございます。またこれ以遠の回線につきましては、通話損が大きくなりますので、これらの回線には二十六年四月までに岸和田または和歌山電話局に中継器を設置いたしまして、二十六年の七月までに全部開通いたしたわけであります。
以上でございます。