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1951-11-07 第12回国会 衆議院 決算委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月七日(水曜日)     午後一時三十三分開議  出席委員    委員長 菅家 喜六君    理事 大上  司君 理事 田中不破三君    理事 三宅 則義君       高塩 三郎君    田中 角榮君       渕  通義君    船越  弘君       畠山 重勇君    上林與市郎君       井之口政雄君  出席政府委員         林野庁長官   横川 信夫君         通商産業事務官         (大臣官房会計         課長)     伊藤 繁樹君  委員外出席者         農林事務官         (食糧庁総務部         監査課長)   高橋  清君         農林事務官         (水産庁漁政部         協同組合課長) 浜田  正君         農 林 技 官         (農地局建設部         長)      桜井 志郎君         運 輸 技 官         (港湾局長)  黒田 靜夫君         会計検査院事務         官         (検査第二局         長)      大沢  実君         会計検査院事務         官         (検査第三局         長)      山名酒喜男君         專  門  員 大久保忠文君         專  門  員 岡林 清英君     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十四年度一般会計歳入歳出決算昭和二  十四年度特別会計歳入歳出決算及び昭和二十四  年度政府関係機関收支出決算     —————————————
  2. 菅家喜六

    菅家委員長 これより会議を開きます。  前会に引続いて昭和二十四年度一般会計歳入歳出決算昭和二十四年度特別会計歳入歳出決算及び昭和二十四年度政府関係機関收支出決算を議題といたします。  前会には農林省所管に対する説明を聽取いたしたので、この際質疑に移ることにいたします。質疑通告順によりこれを許します。高塩君。
  3. 高塩三郎

    高塩委員 報告第四七九号についてお伺いいたします。が、農業水利費分担金徴收処置については昭和二十二、三両年度については、すでに本院におきまして不当と決議されたところでありますが、政府はこれに対し、法令改正並びに予算的処置を講ずる等のために日数を要したことを原因といたしまして、また徴收未済の分については、すみやかに徴收をなし、年度内に完納するよう極力努力していると言つているのであります。さらに二十四年度分につきましては、二十五年の七月十五日現在、決定未済額が八千万円、さらに決定済み收納未済額が一億七千万円、合計いたしますと二億五千百余万円に上るとの報告が出ているのであります。この金額は、その後の收納によつて、今日においては多少減少しておるとの先日の報告でありましたけれども、なお相当の額が残つておるように考えられるのであります。しかもその原因については、先ほど申し上げましたように法令改正に伴い云云として、ほぼ前会と同様の説明を繰返しておるのであります。そこでこの法令改正とは、いつ施行されたものであるか、またいかなる内容を持つものであるか。またその改正のために数年にわたつて徴收を遅らせねばならなかつた事情を、政府当局において詳細に御説明願いたいと思います。
  4. 桜井志郎

    桜井説明員 法令改正と申し上げましたのは、土地改良法施行昭和二十四年ですが、その関係と、いま一つ遅れました原因といたしましては、御承知農地改革のために受益者負担になつておる受益者変更等がございまして、そのためにたいへん手遅れをしまして、国の歳入に滞りを来したということがございまして、まことに申訳ないと思つております。極力急いでおります。
  5. 高塩三郎

    高塩委員 さらに一面におきまして、最近における地方財政窮乏等徴收を困難ならしめている事情の存在することが想像されるのでありますが、政府といたしては、極力徴收努力すると言つた手前、どんな手段をとり、どんな努力現実に拂つておるか、その具体的な例を御説明願いたいと思います。
  6. 桜井志郎

    桜井説明員 現実努力といたしましては、実は内地に六箇所、地方農地事務局がございまして、この農地事務局を督励いたしまして、農地事務局長の名においてこの徴收事務に当つておるわけでありますが、これを極力督励して、府県と協議してやつておるということでございます。
  7. 高塩三郎

    高塩委員 また検査報告書の二三四ページによると、前会批難の分について、なお四千二百余万円が收納報告に接していないとのことでありますが、これについてその後の処置並びに経過はどうなつているか。また二十五年度分の徴收状況はどうなつているか。またこの水利費分担金は、法律上強制徴收ができるのであるかどうか、これもあわせて説明を承りたいと思います。
  8. 桜井志郎

    桜井説明員 恐れ入りますが、ちよつと調べさせていただきたいと思います。
  9. 菅家喜六

    菅家委員長 高塩君、今ちよつと調べ中であります。
  10. 高塩三郎

    高塩委員 それでは次に移りまして、報告第四八〇号についてお伺いいたします。これも水利の問題でございますが、本水利事業国営事業として施行するにあたつて、はたして検査報告通り十五年度の県の計画設計をそのまま踏襲し、再検討を要するために二箇年度に及ぶもその計画確立を見なかつたものとすれば、工事担当者として、あまりに不用意であつたように考えるのでありますが、政府当局はどういうふうにお考えになつておるか。
  11. 桜井志郎

    桜井説明員 御指摘通り、この問題につきましては、計画設計上十分なる検討を盡していなかつたという点におきまして、まことに遺憾の点がございます。その後十分研究を遂げてやつております。
  12. 高塩三郎

    高塩委員 それでは、そもそも全体計画確立を見たというが、それはいつのことであるか、また本格的に工事に着手した年月日がいつであつたか、その後の経過説明していただきたい。  さらに本件工事準備材料等は、現在どのように使われておるか、その点を御説明いただきたい。
  13. 桜井志郎

    桜井説明員 昭和二十四年の十二月末をもちまして、一応計画完成を見ました。ただこの問題につきましては、地元負担の問題でいろいろ反対が起りまして、工事を全面的に開始するという段階には今日なお至つておりません。その点実は地区の縮小等がありまして、いろいろ負担問題で食い違いが出て参りましたので、全面的な工事開始には至つておりません。
  14. 高塩三郎

    高塩委員 次に報告第四八二号についてお伺いいたします。過日の政府説明によりますと、一応水没地元民反対のために一時工事が遅延し、やむを得ず全体計画中の工事施行箇所を前後せしめ実施した云々とあるのでありますが、昭和二十五年度以降現在までの工事施行の結果においては、当初の計画通りのものが完成されたのであるかどうか、この点について御説明をいただきたい。
  15. 桜井志郎

    桜井説明員 施行したというふうに申し上げましたことにつきましては、いろいろ内容を申し上げますと、当該年度計画施行したという程度の意味でございまして、このダムの予定地の地質の問題で、断層が出ましたので、今日なお実設計が完備したというところまで行つておらないのでございます。当時の断裁位置変更ということになつております。
  16. 高塩三郎

    高塩委員 さらに本件批難の的となつているのは、仮事務所建設あるいは自動車購入器具購入であります。その後本来の計画上必要なものとして需要を満たしていると思いますが、それらが有効に使われておるか、庁舎、自動車、その他の器具はどういうふうになつているか、説明をいただきたい。
  17. 桜井志郎

    桜井説明員 この批難されましたものの購入あるいは建設等は、仕事の当時の計画と相前後いたしましたことは、まことに申訳ない点でございますが、今日それらのものはすべて有効に活用されております。
  18. 高塩三郎

    高塩委員 最後に、本工事全体の完成の時期はいつごろであつたか。もうすでに完成したものとすれば、これらの物件処理はどうしたか。ただいま御説明があつたようでありますが、処理したのか、使つておるのか、その点御説明願いたい。  さらに本工事に関する地方分担金徴收状況がおわかりになつたら御説明願いたい。
  19. 桜井志郎

    桜井説明員 その購入もしくは建設したものは、現在使つております。  それから地方分担金徴收につきましては、ちよつと今資料を持ち合せていますかどうか、もう一度調べましてお答えさせていただきます。はなはだ申訳ありません。
  20. 高塩三郎

    高塩委員 それでは報告第四八八号に移りたいと思いますが、これはみそしようゆ原料輸入とうもろこし価格差の問題であります。会計検査院報告によりますと、常に政府当局説明したことと会計検査院調査の結果が、同一のものが普通であつたのでありますが、この四八八号は、この報告書を見ますと、政府当局の方の御意見価格差金額を拂わなくてもいいように思うし、また会計検査院調査の結果を見ますと、拂うべきものであるというような意見が付してあるのであります。そこで具体的にお伺いするのでありますが、ここに「契約に基き」こういうことがありまするが、一体この契約というのは、昭和二十四年の六月以前であるか、以後であるか、その点おわかりならば御説明願いたい。
  21. 高橋清

    高橋説明員 お答えいたします。この前の委員会で一応御説明申し上げましたが、その際現状の説明は、当時の説明だけでございまして、その後の状況を申し上げませんでしたので、ここでつけ加えさせていただきます。この輸入とうもろこしは、御指摘のように両方の意見が対立をいたしておるように見えましたが、その後いろいろと研究いたしました結果、私どもの方が少し見落しがあつたように思いますので、みそ組合の方と会いまして、年度内に追徴金を出していただくという話がつきましたので、この点付加させていただきます。  それから第二番目の問題でありますが、契約の問題は、形式的に請書を提出し、あるいはそれに基きまして諸形式を整えましたのが六月以降の問題であります。ただ口頭をもつていろいろと話合いをいたしましたのが六月以前であるということになつておりますが、長崎とうもろこし福岡引取ることと、福岡に上りましたとうもろこし長崎引取ることと、二つの面がございましたので、それらを入れかえましたために、特定物件引渡しという点について、私どもに見落しがあつたように思います。会計検査院が申しますように、特定物件引渡しについての議論は、私どもが適切でなかつたように存じますので、先ほど申しましたような処置を講じましたような処置を講じた次第でございますから、御了承をお願いいたします。
  22. 高塩三郎

    高塩委員 ただいまの御説明で、大体会計検査院意見と一致でありますから、質問の必要もないのでありますが、参考にお聞きいたします。このとうもろこしは当初みそしようゆ原料として配給したものか、それとも当時主食の統制もきつくて、主食に非常に不足を来したので、この輸入とうもろこし主食代用として配給したものが、その品質が悪いとか、そういうような意味で辞退されたために、余儀なくみそしようゆの方の原料として転用したものであるかどうか。それから一箇所にたくさんあつたのか、それとも長崎県と申しましても、九州でありますから——列島の方の長崎県かもしれませんが、各所に散在したものを集めたのか。それに対しては相当費用もかかつたと思うのでありますが、その点につい御説明願いたい。
  23. 高橋清

    高橋説明員 前段の御質問でございますが、これは昭和二十三年までに代用食糧として輸入いたしまして、食糧として食糧公団に渡しまして、総合用配給いたそうと思つたのでございますが、変質あるいは社会情勢変化等によりまして、やむなく用途変更いたしまして、みそ用配給することにいたしたものでございます。  第二点の長崎県下の問題でございますが、各島々に分散をいたしておりましていかなる手を通じましても、これを買いもどすことが困難なようなことになつております。ここに地図がございますが、各島にこういう状態で分布されておりまして、これの集荷に非常に日数を要したのであります。この点私ども事務が遅かつたのでありますが、事情がそういうことでありますので、御了察を願いたいと存じます。
  24. 高塩三郎

    高塩委員 その当時の品物の品質はどんなものであつたか、また目方など量目が相当減つておたのではないかと思うが、その点お伺いします。
  25. 高橋清

    高橋説明員 現地の引取りの事情は、御承知のように配給公団の本部で受けまして、それを各出張所、配給店に回送いたしまして、配給をしようとしておいたものでございますので、変質等もかなりひどくなつてつたわけであります。それから目方等につきましては、お気づきのように、長崎食糧事務所みそ組合との間に、受渡しの実態がなかなかつかめないので、長崎食糧事務所の者が立合いまして、看貫をいたして引渡しをしたのであります。送りました分は百六十トンでございましたが、七トンほど帳面数量と実際の受渡し数量と違つております。ただ食糧公団配給しようとして持つておりましたものを、その姿でみそ組合に渡すということでございましたので、一言申し添えておきます。
  26. 高塩三郎

    高塩委員 ただいまの数点の御答弁によると、これらの差額金農林省というか、食糧事務所というか、業者というか、わかりませんが、そこから徴收するのは、気の毒なような感じが持てるのでありますが、これに対して農林省当局並びに会計検査院の御決意というか、もう一度はつきりと承りたい。
  27. 高橋清

    高橋説明員 この価格決定事情でございますが、六月にさかのぼりまして十月に価格決定をしたのであります。その際に、御指摘の二千九百円でなくて、もつと高い価格でということを一応原案として考えたのであります。ところが、みそ値段が、その価格改訂をいたします以前において、私ども計算をいたしました価格よりも低い値段決定をいたしたのであります。従いまして、当初の価格でそのまま決定になりますと、いわゆる欠損、あるいは用途変更したことによりまして国損を来しますものを、全部織り込み得たのでございますが、みそ価格思つたより高くならなかつたために、全体として食糧管理特別会計は次の価格決定によつて補われておらなかつたのであります。従いまして、私ども最後考え方といたしましては、食糧管理特別会計予算の執行にあたつては、常に予算を節約する、そしてできるだけ損失を少くするという考え方のもとに、どうしても追徴することが適当であるという考えにもどつたわけでありまして、こういう意味で追徴をちようだいすることにいたした次第であります。
  28. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 ただいまの御質問で、会計検査院意見はというお話でございましたが、会計検査院といたしましては、記述してありますように、価格が改訂されたならば、それから後の引渡しに対しては、請書を提出して引渡すものについては、新価格を適用すべきである、こういう意味でありまして、そのものが品いたみであるとか、別な理由があつて、もしも値引きされたとしますれば、その品いたみがあつたかどうかという事実を確認して、値引きが適正であるかどうか判断しなければなりません。本件については、そういうことがなくて、ただ旧価格を適用しているだけのことでありましたので、当然新価格を適用すべきだ、こういう結論に達した次第であります。
  29. 船越弘

    船越委員 四八二号でございますが、先ほど高塩委員の仮事務所乗用自動車、あるいは庁用器具等がその後有効適切に使用されているかという問いに対して、政府は有効適切に使用しておる、こういう通り一ぺんの答弁でございますが、これでは私は答弁にならないと思う。どういうふうに有効適切に使用されておるか、それをお示し願いたい。
  30. 桜井志郎

    桜井説明員 仮事務所は、現在ボーリング等所員事務のために、実際に使つております。それから乗用自動車の問題でありますが、これは所員が測量に出かけ——現在一番大きな問題は補償金の問題でございます。まだ決定をいたしておりませんけれども、広汎な地域の地元民補償金額の交渉をやつております。その問題につきましていろいろ飛び歩く関係上、乗用自動車の使用をいたしております。庁用器具事務所等に付随した器具といたしまして、実際に所員が使用いたしております。
  31. 船越弘

    船越委員 実はある選挙のためにこの自動車を利用しておるといううわさを聞いておるのでありますが、どうでございますか。
  32. 桜井志郎

    桜井説明員 ある選挙というと、私まつたく思い当らないのでございますが……。
  33. 船越弘

    船越委員 実は岡山の農地事務局長が、広島県の方へ出歩かれたときに、この自動車を使用された、こういうふうに私は聞いておるのです。
  34. 桜井志郎

    桜井説明員 どうお答え申し上げていいか、何も材料を持つておりませんので、はなはだ申訳ありませんが、お答えができないのでございます。調査いたしまして、お答えさせていただきます。
  35. 菅家喜六

    菅家委員長 それでは後刻調査して答弁するようにお願いします。
  36. 船越弘

    船越委員 四八九号についてお尋ねいたしたいのでございますが、この検査報告書によりますと、会計検査院の方では、特別価格を設けて支拂いをするのがよい、こういうふうな御意見でございますが、もしこういう特別価格を設けるということになりますと、北海道だけでなくして、あるいは青森、あるいは秋田、こういう方面にもまた特別価格を設けなければならない、そういうことになりまして、非常に複雑になるのではないか、こう考えられるのでありますが、検査院の御意向はいかがでございますか。
  37. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 記述が簡單なので、ただいまのような御疑念がお出になつたかと思いますが、言わんとするところは、もしもいわゆる物価庁その他といろいろ打合せた結果、特別な価格を付する必要があるならば、その価格を加味した特別価格を設けて支拂うべきではないか。それを、いわば、何と言いますか運搬費の中に、やみにかくれるといつては言葉がひどすぎると思いますが、表面に現われずにそれを拂うのは妥当ではない、いわゆる必要があるならばと、こういう意味でございますから、御了承願います。
  38. 船越弘

    船越委員 そうしますと、この特別価格を設ける必要があれば、これを設けてやる。それ以外の費目から出すのはいけない、こういう意味であつて、たとえて言いますると、商品費の中の包装及び容器類、こういう費目から出してもいけない、こういう意味でございますか。
  39. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 そういう趣旨でございます。しかしながら、特別価格を設けたときに、その特別価格が妥当であるかどうかということは、また別の問題になろうと思います。ここに言つておりますことは、そうした予算費目の点を言つておるのであります。
  40. 船越弘

    船越委員 北海道のこういう特別の事情があるということは、よくわかるのでございますが、この説明書によりますと、将来かかる事実のないように注意する、こういうふうに政府説明をしておられますけれども、その後、つまり二十五年度あたりは、こういうものについて、どういう御処理をなさつておられますか、お伺いしたいと思います。
  41. 高橋清

    高橋説明員 北海道包装資材につきましては、二十四年度以降逐次包装資材の需給が緩和をいたしましたので、この御批難をいただきました、これを機会に包装資材を直接に政府がいたしますことを廃止をいたしまして、現在では取扱つておらないのであります。
  42. 船越弘

    船越委員 今、二十五年度におきましても、特別価格というものは設けないで、政府は直接これにタツチせられない方法処理した、こうおつしやるのですか。
  43. 高橋清

    高橋説明員 その二十五年の状況を見ますと、非常に資材が豊富に出まわつて参りましたために、これを特別な方法を講じて処置するまでに至らないで供出の問題を解決をいたしました、こういうことであります。
  44. 高塩三郎

    高塩委員 次に移りまして、報告書の第四九四号についてお伺いいたします。支給額月給制にならつて月割としたということは、受給者側の生活の安定をはかる支拂い上の便宜手段にすぎないものと思われるのであります。もしそうしたならば、その差額の四百十六万余円に対しては、検收員などは、その支給権を放棄したものではないと思われるのでありますが、これに対する政府の御所見を伺いたい。
  45. 浜田正

    浜田説明員 予算上は高塩委員のおつしやつた通りであります。予算上は一俵当り幾らという請負で実際はやめておりますが、所により、場所により、時期により、数量が多い少いで、相手方の收入が多かつたり少かつたり、また隣村とこちらの村で多かつたり少かつたりする。そこで検收員同士に不公平があり、また月によつて多かつたり少かつたりするので不安定だというので、大体予算とにらみ合せながら、それをオーバーせぬように検收員月給を割出したのであります。そこで高塩さんのおつしやるように、それが余つたらどうなるかということになります。そこで、余つた場合はどうなるかということが初めからありましたので、検收員の方と相談しまして、この金は検收合会をやるような費用がいつたり、あるいは旅費が足りなかつたり、そういうことがあつたら使つてもよろしいという、何と言いますか、請書といいますか、承諾書といいますか、そういうものをとつた上で処置しております。
  46. 高塩三郎

    高塩委員 さらに預金または現金の百二万四千余円はその後どんなふうになつておりますか。
  47. 浜田正

    浜田説明員 これは先ほど申し上げましたような理由によつて一つ一つ旅費が足りなかつたら、それを幾ら出すというふうにこまかく計算をした上で使い切つておるわけであります。
  48. 高塩三郎

    高塩委員 さらに政府は、この説明書によりますと、本件の措置についてはまことに遺憾であるというような遺憾の意を表せられておるようであります。現在はどんな取扱いに改めておられるか、その点の御所見を承りたいと思います。
  49. 浜田正

    浜田説明員 薪炭会計はもう二十六年の三月で終りになりまして、その点は済んでおります。現在は問題ありません。
  50. 田中角榮

    田中(角)委員 会計検査員に伺いたいのですが、四九七、四九八の両案の内容簡單に御説明願います。
  51. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 四九七号の方は、林野庁で農林中央金庫に支拂う金があつた。それを小切手を切つて渡すべきものを、職員の阿閉某といいますが、それが小切手をほかへ自分でとつて領得して、それを後になつて、この前のこの席で、林野庁長官の方から御説明がありましたように、職員一同の醵金その他によりまして補填された、こういう事態であります。  それから次の福井の食糧事務所の分は、これは前渡資金に、これに付掛けをしまして、この百八十三万円というのを領得した。このうち、たしか二十万円ほどが回収されております。こういう事態であります。
  52. 田中角榮

    田中(角)委員 会計検査院に伺いますが、四九七の阿閉某、四九八の谷野某外一名の、会計事務に対する経験年数及び事件を起した当時の年齢を伺いたい。
  53. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 ただいまのところ、ちよつと資料がありませんので、お答えいたしかねます。あるいはそれぞれの所管の方でおわかりになるかと思います。
  54. 田中角榮

    田中(角)委員 うしろの方で政府の係員が二十五、六歳だというようなお話でありますが、私もそれをお聞きしたかつたのであります。各省で二十三年度、二十四年度、特に終戰後批難せらるべき事項、特に職員の不正によるものは、ほとんどが二十歳代のものであります。これは各省とも私は一言ずつ言つておるのでありますが、いわゆる戰争に負けてから、金に対する観念が非常に薄くなつたというところに、問題が起きておると思います。申すまでもなく、各省会計事務は最も年配者であり、しかも会計事務に対するエキスパートをもつて当てるのでありますが、戰後は本省においてもかくのごとき非常に未熟な人たち金券取扱いに参画させておる。公団の例を見ますと、まつたく何をか言わんやという状態であります。かかる状態を続けておつて国費の濫費が防がれようはずはないのでありまして、根本的にこういう問題を私たちも非常におそれておるわけであります。一々御質問しなくても、結果はわかつておりますから、端的に申し上げますと、四九七、四九八、両案件に対しての主管者の責任の処分が、非常になまぬるいということを考えるのですが、林野庁長官はどうお考えになつておられるか。ここに当時の主管課長である浜田さんが来ておられるようでありますが、巖重な注意、巖重な注意ということでもつて、かくのごとき国費の濫費をせられたのでは、決算委員会はこのまま看過するわけには相ならぬ。ましてや私が言わんとするところは、今最も大きな問題として食糧の自由販売などを農林大臣はまつたく寢食を忘れてやつておるわけであります。しかるに今朝の新聞を見ると、農林省職員組合の一部では、首切り絶対反対ということの陳情のために、徹宵農林大臣室にとぐろを巻いておる状態であります。処罰をすることに対しては非常に寛大であり、しかも一根本農林大臣に陳情をして首切りが納まるというふうに思つておるほど、あほうな農林官僚でもないと私は思つておる。要求することのみには非常に強いのでありますが、しかしこういう国費の濫費をしたり、いろいろな処罰を受くべき状態にあるときには、非常に寛大な処分をやつております。これは私は一農林省だけに申し上げておるのではありません、各省に対して全部私はこれと同じ言葉を一回ずつ申し上げております。特にこういうふうな相当大きな事件を起しながらも、巖重の注意、巖重の注意ということを三百回も続けられると、いつの間にやら当時の係長は局長になり、次官になつておる。少くとも十回も二十回も国費濫費等で嚴重なる注意をもらつたような方々は、自発的に退職をすることが妥当である。こういうことをしないから、吉田内閣は行政整理をしなければならない、こういうふうに考えておるわけであります。與党の委員が、決算委員会においてかかる辛辣な言葉を申し上げるのは、初めてだと思います。私も四、五日間、こういうことを言い続けておつたのでありますが、こういうところに行政組織の欠陷がある。私は一つ一つ羅列して批難せられたことを、もう一ぺん復唱して皆さんにお聞きしたいとは思いません。これは二十五年度からは——二十五年度も出て来るでありましようが、批難事項が絶無になるとは思つておりません。ある一部においては、もつとふえておる官庁もあります。そういう意味において、まあ農林省関係としては、特別会計を除くと比較的少いと思うのでありますが、私は、ただこの一つの例にとつた四九七、四九八のこういう問題は、二十五、六の会計事務に対する非常に未熟な人たちを使つて、そうしてこうした事件を起と、皆が金を補填したからそれで済むというものではなく、相当責任の所在を明確にして、かかるものを根絶しなければならないのであります。これを見ると、四七九から全部、嚴重なる注意、嚴重なる注意を続けておるようでありますが、林野庁長官だけお責めしてもいいとは思いません、御出席の方々は私の発言が那辺にあるかということはおわかりだろうと思います。まつたく自由党内閣は、反動内閣であるかのごときことを言われておりながら、御自分で当然責任を負わなければならぬところはりつぱに負つていただきたい。私たちからいえば、もう少し言いたいことがあるのですが、あえて言おうとは思いません。しかも與党の議員だから、根本君のところへどなり込んだから、私がしつぺ返しをやつておるのでは断じてありません。そのようなことはまあ一つのあやでありますが、とにかく各省ともそうでありますから、決算委員会は、一応すらすらと説明をして、まことに遺憾でありました、以後は気をつけますと言うだけで済まされるものではない。もしそういうおつもりであるならば、もう少し掘り下げて御質問申し上げてよろしい、こう考えております。ひとつ今からでもおそくありませんから、処分のやり直しをやると言わなくとも、やりたいぐらいの御発言はお願いしたい、こういうのであります。人事のことでありますから、答弁がなければないでいいのでありますが、二回目に申し上げるときは、もう少し辛辣に申し上げますから、意見としておとりになつてもけつこうであります。
  55. 横川信夫

    ○横川政府委員 ただいまの田中委員の御発言、まことにごもつともであります。戰争後非常に人心が弛緩いたしまして、お話のように公金に対する責任観念というようなものが非常に薄くなつてつております。私ども監督者の地位にある者といたしましては、できるだけ職員のさような点の是正に努力いたして参つておるのでありますけれども、力及ばずしてかような批難事項を受けたということは、まことに残念だと考えております。幸いにして日本人の気持も戰前のようなほんとうの日本人らしさというものをとりもどして参つておると私は考えております。なお十分注意をいたしまして、今後かようなことのないように努力を続けて参りたいと考えております。なお先ほど大沢局長から御説明がございましたけれども、少し私どもの役所の事例は食い違いがございます。それは一千万円を浮き貸しをした事件でございます。これは元利とも回收をいたしまして、当の阿閉という二十五・六歳の男でありますが、これは退職させております。なお当時の責任者は農林大臣から戒告を受けておるような次第であります。
  56. 高橋清

    高橋説明員 ただいまの御発言に対しまして、しごく私ども経理を担当しておる者として、責任を感じます。福井の食糧事務所の悪いことをした者は、お話のように、二十六歳の青年と二十三歳の青年で、経験年数が二、三年の者でございまして、この点は御指摘通りであります。食糧庁といたしましては、公務員法の第八十二條によりまして、主犯の石川を懲戒処分といたしまして、免官にいたしました。これは雇でございますが、農林技官の谷野共犯者は、国家公務員法の七十九條の第二号によりまして、休職の処分にいたしまして、現在そのままになつております。ただ福井の問題は、非常に残念なことが一つあるのであります。にせの小切手といいますか、小切手を偽造をしたものでありまして、銀行がもし非常に細心の注意をしてくだされば、防止ができたのではないかということを考えるのであります。私も行きまして、いろいろ調査しましたが、ここにサンプルをつくつておりますからごらん願います。正当の小切手は、こういう振出しをするのが正当の小切手でありますが、資金前渡官吏でございますので、指示禁止になつておる。ところがその百八十三万円をとりました小切手は、こういう小切手を持つてつたのを、とりに行きました者に銀行の窓口が言いくるめられまして、消印も訂正印もありますから、正当の小切手であるということで、拂出しをしてしまつたのであります。非常にこの点は残念で、銀行等とも話合いをし、あるいは日本銀行にも話をしたのでありますが、どうにもなりませんで、残念ながらこれだけをとられたということになつて——この点は自分たちの責任が軽くなるために申すのではなくて、どうも因つたものだと、責任を感ずる以外に方法がないのであります。この点を申し上げまして、今後十分注意をいたしたいと思います。
  57. 田中角榮

    田中(角)委員 蛇足のようでありますが、これは言葉じりをとらえるわけではありませんけれども、銀行が少し気がきいておればというのですが、気がきいておるのを、うまくはめられなければ、詐欺はできないのであつて、そういうことをお考えになるのは無理です。法律違反をやろうという人は、非常に頭のいい知恵のめぐる人ですから、これを全部押えるということはできないのであります。私の言うのは、そういうような部下を出したいわゆる責任者の罪も免れることができないのだ。非常に頭のいい部下がたくさん悪いことをするので、どうしようもないのです、というのであつたならば、係長も課長も部長も局長も大臣もいらないのであつて、そういう機構というものは、いわゆる自分の不注意、自分の力及ばずしてそういう事件を起したとしても、その上司は罪を免れることができないというくらいに峻嚴にやらないと、なかなか会計事務の適正は期せられないから、その意味においては、ある場合苛酷とも思われるかもわからないけれども、公の立場に立つて公金を扱つておられるだけに、甘んじてその譴責も受けなければならないのではないか。その処分が少し軽くはないか。しかも福井食糧事務所の谷野某は、いまだ休職だと聞いておる。しかもその法律的な最後の段階は最終判決でありますが、最終判決までには三年か五年かかるでありましよう。この間休職だというようなことは、各官庁でみなこれをやつております。しかし、もう相当明々白々である。しかも文書を偽造したということがあつたならば、断固としてこれを処置すべきである。こういうことができないのは、これはもう終戰後の官庁機構の一大欠陷なんです。これは私たちが国家公務員法の改正や、あらゆる改正をやるときには、自由党はみなボスであり反動である、労働法規改悪であるときめつけられておるのですが、こういう連中がいるから、こういう機構であるから、しかも全然下部を押えられないような官庁組織だから、やむを得ず職階制をつくろう、やむを得ず公務員法を改正しようということになるのであつて、こういうものを見ておると、われわれは非難を受ける必要はごうまつもないのです。しかもそれほどはつきりしている事例に対しても、あなた方主管者が断固とした処置を今にしてもとれないということであるならば、まあ背に腹はかえられぬから、四、五年間は休職で、月給も半分ぐらいもらえるだろうから、当分急場を国家の金でもつて埋め合せて行こうというようなことがるる続くと思いますので、かかる者に対しては早急に御処分になる方がよろしい。今までやらなかつたのさえも非常に軽きに失する。これに対して、あなた方はどうお思いになるか。私たちは軽きに失しないと思います。最高裁の判決が確定するまでは休職が至当であります、こういうのであつたら、それでもけつこうです。また農林大臣を招致して責任を追究したいと思います。私の考えはそこまで行つておるのです。ただいまも、谷野某はもちろん懲戒免官になつておると思いましたら、そうではなく休職だというようなことで、お間違いではないかとさえも思うのですが、私たちはただ一つの問題を取上げて申し上げておるのじやありません。一般的にかかる方策をとられて来たので、こういう問題に対して一々、処分の決定を持つ方々は、もう少し感覚を改めてやらなければならないのではないか、こういうことを申し上げたわけであります。     〔委員長退席、田中(不)委員長代理着席〕
  58. 田中不破三

    田中(不)委員長代理 政府側から答弁がありますか。
  59. 田中角榮

    田中(角)委員 いや、なくてもいいのです。これはもう……。
  60. 畠山重勇

    ○畠山(重)委員 私は国有林野事業特別会計一般に関して、この際処分について、本日は法制局、大蔵省はお見えになつておりませんから、林野庁並びに会計検査院、両方から御意見を伺いたいと思うのです。  前に二十三年度の特別会計決算審査にあたつて、私は林野庁並びに会計検査院質問いたしたのでありますが、そのお答えを得ずして今日に至つたのであります。ただ林野庁の佐木業務部長から多少お答えがあつたのみでありまして、林野庁はその生産にかかる産物を、五箇年にわたり予約をして処分をするということは適当であるかどうかということを例をあげて、昨年の委員会において、昭和二十四年の何月かに、秋田営林局において能代の数軒か数十軒にわたる製材業者に、その生産にかかる三十万石の材木の処分を特売または指名公売等によつて特定の人間、特定の工場に処分する、配給をする約束をした。それは書類においては契約書を作成はしておらぬけれども、その後二十四年、二十五年、今年度もその実績が現われておる。こういつたことは適法であるか、適法でないか。また適法であるとすれば、会計法上どういう條項に基いて、そうしたことをしておられるかということをお尋ねいたしたいと思います。
  61. 横川信夫

    ○横川政府委員 ただいま畠山委員の御質問に対しましてお答えいたします。委員の方々は実情を御承知がないかと思いますが、当時の事情を少しく申し述べさせていただきたいと思うのであります。  二十四年の二月でございましたが、秋田県の能代市に大火がございまして、市の生命と申すべき製材工場の大部分が燒失をいたしました。製材工場のみならず、町の目抜きと思われる通りは、ほとんど全燒いたしてしまいまして、五万の市民は明日からどうして生活をしたならばよろしいかということに迷いまして、非常に不安な気分に閉ざされておつたのであります。当時秋田営林局長をいたしておりました業務部長もこの席に参つておりますが、当時の事情はまことにさんたんたるものであつたのでありまして、日本中から非常な同情が集まりまして、各地から救恤品なども相当たくさん送られておりました。もちろん秋田県内におきましては、各町村から応援者が出て、町の復興の手伝いをするというような事情であつたのであります。御承知のように能代は木材都市でありますので、市の復興をはかるには、何と申しましても木材工場の再建にある。再建には資材の入手ということが一番の問題となつて参りまして、当時営林局も県と十分相談いたしまして、将来能代市の製材工場の復旧のために、おおむね三十万石ずつ数箇年続けて供給するように努力をしようという声明を出したのであります。そのために五万の市民はようやく安堵の色を見せまして、営々として市の復興に努力して参つておるのであります。幸いにして現在では、昔ほどには参りませんけれども、やや町の体裁を整えるように相なつたのであります。会計法規上、三十万石を五箇年間続けて供給するという條項がどこにあるかというお話のようでありますけれども、私ども契約をしたわけでもございませんし、確実にやるという私上の書面を出したわけでもございません。従いまして、昭和二十四年度に三十万石供給はいたしましたけれども、その後逐年伐採量の減少もございまして、三十万石の供給はいたしておりません。しかも約半数というものは、能代市に工場を経営しております業者に対する指名入札という方法をとつております。半分につきまして随意契約取扱いをいたしておるのでありますが、畠山委員お話のように五箇年間年々三十万石ということは契約もいたしませんし、また書面によりましてそれを約束をしたというようなこともないのであります。
  62. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 私具体的な事情は存じませんので、理論的な御質問として、理論的にお答えいたしたいと思います。  国が売渡しの契約をいたします場合には、正常な場合は、売り渡すべき物件特定しており、数量価格決定して、そこで売り渡す契約を結ぶ、これが普通の例であります。これはおおむね一年度間に引渡すというような契約になるのが通例でありましようが、それがたまたま二年間に引渡すということになりましても、会計法上は違法とは言われぬと思います。ただ物価の変動のある場合には、数年にわたつた分を一括して契約をすることは、会計官吏の措置としては妥当ではないのだから、なるべくならば特定したものを区切つて契約することが妥当だと思いますが、法律上は、特定したものであれば、数年間に引渡すものを契約しても違法ではないと思います。それが通常の契約の例であります。次に引渡すべき物件を確定せずに、ただ一つの概定の数量で売渡し契約を結ぶということは、その概定のものが特定しておつて、看貫が現在困難であるから、それは看貫したところで決定しようというような場合で、單価は確定しておるというような契約も、また適法であろうと思います。たとえばここにくず鉄がある、大体大よその目安は二万貫であるが、実際に看貫した結果それに増減があれば、増減した数量においてトン当り單価は幾らである、これも一つの適法な契約であろうと思つております。  大体国が契約を結びます場合に、売渡しの場合のもう一つの例としては、單価だけを決定しておくという契約もあり得ると思います。これは單価の協定があるだけであつて、個々の契約は、実際に向うが幾らで引渡してくれ、こちらが引渡そうという場合に契約が起きる、こう考えております。大体国が会計法上認めておる売渡しの契約の形態としては、こうしたものがあるのではなかろうかと思いますので、先ほどの御質問の、数年の分を、ただ数量だけきめて売り渡すというような契約は、もしも実際に契約があつたとすれば、これは価格決定しない、数量だけの契約ということで、国の売拂い契約としては適法ではないと考えます。ただ、ただいまの林野庁長官お話によりますと、契約をしたことでないとおつしやいますし、また事実そうであろうと思つておりますので、今のお尋ねには直接該当しないわけであろうと思います。大体そういうように考えております。
  63. 畠山重勇

    ○畠山(重)委員 契約書をつくつておらぬということは、昨年も御答弁があつたので了承していますが、しかしながら、今後五箇年にわたつて資材の保障をして三十万石ずつ與えるということに基いて、能代の特定の業者は経営しておられるのであります。それが契約書をつくつておらなければ違法でないというただいまのお話でありますが、事実その通り特定の業者がそうした随意契約を受けられていることは違法でないかどうかということについて、重ねて会計検査院にお尋ねします。
  64. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 ちよつと御質問の趣旨を、あるいは取違えておるかと思いますが、いわゆる契約書を結んでいない、口頭で契約しておる場合、こういう御質問かと思いますが、結局契約しているかどうかということを確認するためには、そこに契約書がなければ、ちよつと契約しておるということが判定できないのではなかろうかと思います。なお国の契約に関しましては、たしか三十万円でありましたか、それ以上の金額のものを売り拂う場合には、契約書を作成しなければならないということになつておりますので、契約書もない、ただ口頭で申し合せたということでは、まだ成規の契約ができたということには考えられないのではなかろうかと思います。なお今御説明がありましたのでわかりましたが、たとえばここで何か一つ加工をするために、年間大体五十万個くらいの加工をする。また大体それくらいの発注はあるだろうというので、いろいろと話をして、工場をつくるというようなことが、過去においてはちよちよいあつたと思うのであります。それで契約ができて、五十万個というものを国が購入するという義務が起きるのではなくて、それはただ一つの計画として、これくらい出るだろうという予想のもとに、その工場をつくろうとする方は、それを一つの見越しとしてやつておられるのでありまして、個々の契約はやはり実際に発注する場合に行われるということになるので、少し例が適切ではないと思いますが、そういう茫漠たる契約といいますか、そうしたものは、ちよつと考えられないのではないかと考える次第であります。
  65. 畠山重勇

    ○畠山(重)委員 私の質問があるいは徹底しなかつたために、お答えが十分でないように私は思います。先ほど林野庁長官から、能代の実情というものをお話になりましたが、その実情を私から少しく申し上げまして、会計検査院の方々にお答えを願いたいと思います。昭和二十四年二月の火災当時は、木材は統制時代でありました、従つて工場の復旧は、政府配給下においてこれを安定せしめなければならぬということは、私どもも了承いたします。しかしながら、昭和二十五年一月一日からは統制が撤廃されておる。従つて、国の産するものはその同一業態にあるものにつきましては、当然同一の待遇、機会均等でなければならぬと思います。秋田営林局の生産にかかわるものは、針葉樹において、私の想像をもつていたしますれば、大体一般の製材工場に指名入札または随意契約によつて売り拂つておるものが、五十四万一千石内外だと存じます。そして秋田県の製材総馬力数というものは、大よそ二万馬力あるだろうと思います。その二万馬力の製材工場のうち、能代の燒失せる工場は三千四、五百馬力が燒けたものと思います。それが当時復旧にあたつては、二千二、三百馬力に圧縮してできた。しかるにその二千二、三百馬力に対して、三十万石を配給保障をし、二十五年度も継続するといつたようなことでありました。ただいま幾らか減つて配給したということになつておるけれども、大体二十七万七、八千石は配給したように私は見受けられます。そこで能代地区の製材工場の実態は——その当時の製材業の従事員は七千名内外であつたかと私は想像いたします。しかるに他の方面の地区、たとえば県北の地区においては、七千名内外の従業員があつたかと思いますが、今日においてはすでにその職を離れなければならない従業員が三分の二、現在ではほとんど二千人内外という状態になつておる。こういうようなことから考えて行くと、能代地区は、すでに二十五年一箇年において、二十四年度の三十万石の配材によつて、十分製材工場としては復興し、能代市としても復興いたしておると思います。従つて、治的根拠のない、同情的なことは、私は国家公務員として行き過ぎではないかと考えられるのであります。従つてこの問題は、やはり同情一点張りによつてのみ、特定の地域の業態の向上のみをはかるというような行政であつてはいけない。しかも、今日の特売と公売とは、一石において一千円の差等があるのであります。そうなつてみると、特定の地域の能代地域の方々が、予期以上の收益をあげておる。一工場においての昨年の決算報告を見ても、秋田県の製材工場ことごとくが瀕死の状態になつて、倒産しなければならぬという状態になつて、先ほど申し上げましたごとく、失業者が他の地区においては続々として出ておるにもかかわらず、能代の製材工場においては、各工場ともほとんど一千万円以上の利益を計上しておる。これは考課状において明らかに示されておる。しかも、さらに金が余つて、新規にパルプ工場の新設をいたすとか、または製材工場以外に、大規模な木工場等を建設するといつたようになつておる今日、なお法的根拠のない行政をするということに対して、会計検査院がこの処置をさらに掘り下げて、能代の状態、秋田営林局の会計検査に当られたのかどとか、以上申し上げました根拠に基いて、法的解釈を伺いたいと思います。
  66. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 国有林材を地元に随意契約で売るということの適否の問題に関しましては、たしかこの前の国会でも相当論議があつたと思います。当時の会計検査院意見としましても、たしか申し上げてあると思いますが、現在の会計法、予算決算及び会計令の條項を見ますと、国有林材を地元業者の育成のために随意契約で売るということは、直接にこの規定によるという規定が多少あいまいである。だから、もしも必要ならば随意契約をなし得る一つの規定として、そうした場合に、随意契約で売り得るということをはつきりとしておく必要があることは、考えている次第であります。ちようど今條文を持つておりませんので、はつきりは申し上げかねますが、現在のところにおきましては、少しく拡張解釈によつて随意契約をされている次第であります。それは妥当でない、だから極端にいえば、全部競争入札にすべきだ、会計検査院としては一応こういうように考えるのでありますが、各方面のいろいろな方の意見を総合してみますと、それでは国有林そのものの将来の運営に、いろいろな点で非常に故障が出て来る。と言いますのは、木材が高く上る一方ならば、入札すればそれはどんどん売れる、もうかる。これでもいいのでありますが、一旦不況になつたときに、一定の顧客、お得意というものがなければならぬというような点がありますので、法規にはつきりと明らかにして、一定の限度の随意契約を認める必要があるのではなかろうかというように考えております。しかしながら、これはあくまでも契約の態様でありまして、価格に関しましては、いわゆる随意契約だから安く売るということは妥当でないことは当然であります。検査院といたしましても、その随意で売つておるものが価格がどうであるかということに関しましては、いろいろなデータをもつて検討しておる次第であります。今お話通りに、確かに現象的に見ますと、随意契約で売りましたものと、一般入札に付したものとの価格を見ますと、一般入札に付したものの方の値段が上つておる。それをどう解釈するか。これは、たとえば国有林材が三割ぐらい、民有林材が七割程度の市場における値段というものがありますれば、それよりも非常に安く随意契約で売つたとすれば、すぐわかるといいますか、これは安過ぎたという結論が出るのでありますが、ほとんど市場の九〇%が国有林材であるというような場合には、むしろ随意価格によつて売り渡した価格が市場価格を形式するというようなかつこうになりますので、その市場価格から見て安過ぎるという結論にならない。そこで今度は、一般競争に付したものの価格と比較して、安過ぎる。この結論を一応は持つておるのでありますが、一般競争に付したものは、いわば買いあおるものである。つまり随意契約では一定の限度の資材があつて、それ以上のものを付加してとろうとするときには、採算を無視して買いあおる異常価格である。検査院の内部でもそういう意見相当強くありまして、どこにその線を引くかということに迷つている次第であります。ちよつと話が横へそれましたですが、そうした事情で、現在においては、一応ある程度の随意契約はやむを得なかろう。しかしながら、随意契約をします場合には、もちろんそれが特定の業者を保護するための随意契約というのは、当然認められないのでありまして——特定の業者というのは、ちよつと言葉が悪いかもしれませんが、特定の個人を保護するとか、あるいは一定のサークルの業者を保護する、あるいは助成する、そうした随意契約をもしもやつておるとしますれば、これは当然不当な随意契約であろう。結論としてはそういわざるを得ないし、また当然そうだと思います。  そこで、具体的に能代の例はどうかということになりますと、実はこちらとしましても、今年も秋田の営林局には役人が検査には参つておるのでありますが、特定のサークルの人間に特に随意契約で利便を與えたというようなことに関しましては、私報告にも接しておりませんし、また検査の結果も、おそらくそうした点は出て来なかつたのではなかろうかと思います。お尋ねのように、もしも特定のサークルの人間だけに利便を與えておるということになりますれば、検査院としましても、当然それを検討しまして、その不当性を調べ上げなけばならぬと思つております。
  67. 畠山重勇

    ○畠山(重)委員 ただいま検査院大沢さんの御答弁に、特定の地域、特定の工場に対して特定の量を出したということであれば、違法行為であつて、特別に調査せなければならぬというお言葉であります。そこで私は、先ほど秋田の林野庁営林局の扱つておる特売の数量はおよそ五十四万石と申し上げました。そのうち三十万石を特定の十数人の——秋田の全馬力二万馬力のうち、二千数馬力に対して処分しておるということは、特定とみなされるか、見解を伺いたいと思います。
  68. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 私木材の事情は詳しくありませんので、馬力ではたしてそう出るものかどうかということが、はつきりとのみ込めないのでありますが、その具体的の場合におきまして、同じような製材業者がたとえば百軒ある、そのうち十七軒なら十七軒に非常に多く與えた、それが同じような企業形態であるということになりますければ、その処分方法は、何かそこに正当な理由がない限りは、おかしな処分ではなかろうか、こういうふうに考えます。ただ馬力だけで、ちよつと今の点は製材知識がありませんので、それによつてすぐ比較していいものかどうかは、お答えいたしかねる次第であります。
  69. 畠山重勇

    ○畠山(重)委員 この際私委員長にお諮りいたしたいと思います。昨年二十三年度の審査にあたつても、この問題はうやむやに葬られて、決算委員として一層徹底した調査をしてみなければならぬということになつたけれども、そのままになつてしまいました。今日大沢検査第二局長の話によつて、やはり相当愼重審査の必要がある発言だと思います。この際特別委員をもつて現地を調査し、真実そうしたことかどうかということを審査する必要が私はあると思いまするし、この際特別審査機関を決算委員会において設置いたしたいと思いますが、お諮りしていただきたいと思います。
  70. 田中不破三

    田中(不)委員長代理 委員長からお答えします。畠山君の御意見一応ごもつとものようにも思われます。従いまして本委員会の散会後に、あらためて十分に皆さんと御協議して、新しい小委員会を設けるかいなかということについて、話をしたいと思います。御了承願います。
  71. 畠山重勇

    ○畠山(重)委員 ただいまの委員長のおはからいによつて了承いたしました、この問題は重大なことであると思うのでありまして、私自分の乏しい知惠をもつて、二十五年度のいろいろな資料を営林局にちようだいに上つたけれども、営林局としては出せなかつたので、私新聞その他、配給の実績等において調査して参つた資料もございますし、委員各位の参考に差上げ、そしてこの問題はぜひとも現地における現場の調査もいたし、ほんとうに適切であつたかどうかということを審査していただきたい。この際重ねて私の希望を申し述べます。
  72. 船越弘

    船越委員 林野庁の当局に、まず項目別に御質問申し上げ、あと二、三点お伺いいたしたいと思います。  四九〇号でございますが、これによりますと、二十五年の九月の末現在收納未済額十一億五千五百余万円、こういうことになつておりますが、これはすでに債権額がはつきり確定いたしておるのでございますか、どうでしようか。それから債権額が確定しておるといたしますならば、それに対して、つまり個人保証をとつておりますか、あるいはまた個人保証ということをとらずして、はつきりした担保物権をとつておりますか、そういうことについてお伺いしたいと思います。
  73. 浜田正

    浜田説明員 お答えします。この点については、債権額が確定しております。それから個人保証あるいは抵当物権云々の問題でありますが、これは相手との間の交渉の問題でありまして、個人保証をしなければならぬという義務があるわけでなく、抵当物権を出さなくてはならぬという義務があるわけではありませんが、私どもとしましては、そういうことをしてもらわぬと債権の内容を確保できない、こういうことから何回にもわたつて折衝しまして、あるものは個人保証があり、あるいは個人保証がない場合は抵当物権があり、抵当物権も個人保証もない場合は、今度は小売りを引込みまして、三面の和解をやる。つまり政府、卸、それから小売り、この三面、三角関係の和解をやつて、そこからもとつて行く。こういうふうにやつておりまして、大体その方針でやつております。しかしこれは相手との話でやる結果でありまして、その通り全部やれるとは申し上げられません。
  74. 船越弘

    船越委員 非常に愼重な態度をとられておりますので、私自身としても喜ぶのであります。これほど多額の收納未済額がございますので、今後とも十分この点については、御留意を願いたいと思います。  それから二十五年九月末におきまして、收納未済額がこれだけある。これは将来の問題ではございますが、この中でとれないと御想像なさる額はどのくらいございますか。
  75. 浜田正

    浜田説明員 この問題は実ははつきりと想像はできません。と申しますのは、要するに金を、長い期間かかつてもとらなくちやならないので、相手方にできるだけ仕事をしてもらつて、その中から政府に納入してもらう。つまり短兵急に今すぐ強制執行をやるとかなんとかやれば、個人保証は、個人が財産を持つておられるのも限度があるだろうし、会社の抵当を持つておるものだつて、それを売つてしまつてそれで終りということでは、かえつて政府側の收納欠損が多いと、こういうことになりますので、じつくり腰をおちつけて、年期をかけてでも最後までとつてしまいたい、かように考えております。そこで今幾ら收納未済、そして收納欠損が出て来るかということは、收入を確保するやり方によつてつて来るので、気短かにぽかぽか押えるということになれば、かえつて收納欠損が多くなるのです。年期をかけながらじつくりがんばつて行けば、收納欠損は少くなるだろう、かように考えております。
  76. 船越弘

    船越委員 よくわかりました。  四九四号について御質問いたします。先ほど高塩委員からも、その点について御質問がありましたが、この薪炭荷さばき監督員及び検收員に対する手数料は、当時どのくらいでございましたか。
  77. 浜田正

    浜田説明員 検收員に対する手数料は、一俵当り一円、それから荷さばき人に対する手数料も、たしか一俵当り一円、特に東京とか大阪とか、非常に荷の殺到するところは二円、それと、百何万トンでしたか、取扱い数量をかけております。
  78. 船越弘

    船越委員 そうしますと、木炭一俵について一円と二円というものを数量にかけたものが、七百十万二千六百九十三円になる、こういうことでございますね。そうしますと、手数料の一千百二十七万一千余円というものを先に出しておられますね。これはどういう基礎に基いてこの金額が出されたのか、その点について伺いたい。
  79. 浜田正

    浜田説明員 先ほど予算の構成で説明いたしましたように、実際の取扱い数量、かけることの一円ということで出しております。
  80. 船越弘

    船越委員 実際には七百十万二千余円をお支拂いになれば足るべきものを、一千百二十七万一千余円お出しになつたのとは違うのですか。
  81. 浜田正

    浜田説明員 そこは先ほど高塩委員説明いたしましたように、検收員に対しては一俵当り一円出すのだと、こういうふうにきめて、それぞれ受取らせるわけであります。ところが実際問題になると、ある人はそれで行きますと、取扱い数量が少なければ非常に少い、ある人は多い。そのある人というのは、配置されておる場所によつて違う、それから月によつてまた違う。ある月は多い、ある月は少いというように、人によつて、月によつて違うと、こういうことになりますから、そこのところは一定しなければならぬ。今月は五百円あつた、来月は二万円あつたと、こういうようなことでは、さつぱり計画が立たぬ。一定しなくちやならぬ。そこをならしまして、内部的にあなたは月一万二千円、あなたは一万五千円だ、あなたは一万円だというように能力とあれによりまして、内部的にきめておつた、こういうことです。従つて内部的には、そのきめた月給で出る。予算上は一俵当り一円という、権利があるといいますか、何といいますか、それで出る、こういうことであります。
  82. 船越弘

    船越委員 私がお尋ねしたいのは、一俵当りの手数料はわかつておる、そうしてそれに対する木炭の出荷量もわかつておる。それで当然お渡しになるべきものが七百十万円であるにかかわらず、一千百余万円が先に出されたのではないか、こういうふうにお聞きしたのです。そうでないとすれば、一千百余万円は、一俵当りの單価に対して俵数をおかけになつ金額がこうなつたのでありますか。
  83. 浜田正

    浜田説明員 一千百余万円というのが、一俵当りにかけた金額であります。
  84. 船越弘

    船越委員 この検査報告書によりますると、三百十四万三千五百十八円は、事務所の経費などに使用され、百二万四千九百十三円は、預金または現金で保管しておつたというのですが、検査院が御調査に上られたときに、こういうものが現金または預金で保管されておつたという事実をつきとめられておつたのだと思う。ところが、こちらの説明書の方によりますると、この百二万四千九百十三円も、こういう事務の経費である、あるいは別途の経費に使用しておる、こういうふうに書いてございますが、検査院の方では、このときすでに注意を與えておるので、それから後に、またこういう経費に消費されておる。こういうことは、私は遺憾な問題ではないかと思うのでありますが、会計検査院のお考えはどうでございますか。
  85. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 この記述が簡單なので、ただいまのような御疑念が出たかと思いますが、先ほど浜田課長の方から説明がありましたように、いわゆる一円という公定手数料といいますか、規定上の手数料を拂うと、それが一千百二十七万一千円になるわけであります、それで、一番簡單方法は、これはそれぞれに応じて、全部検收員に渡してしまえば、それで経理は終るわけであります。ところが、先ほどの御説明にもありましたように、いわゆる月給制にしてならして生活を確保しようというので、各自の月給をきめましたものが、その月給によつて計算すると七百十万円で、いわゆる当時の月給といいますか、内部できめた額によりますと、七百十万円渡した。大体それだけは月給として渡した、残つた金はだれの金かといいますと、これはやはり検收員がそれだけの検收をしたのでありますから、検收員の金である。そのうちの一部三百十四万円というものは、事務所の経費などと書いてありますが、これの内容は先ほども説明がありましたように、木炭事務所が負担してやるのが相当と思われるのです。いわゆる集まつてやるところの協議会とかその他の会議に充てた。もつともこれはその検收員承知の上でやつておるという話でありますし、事実またそうだと思います。そうしたことをやつた。そこで残つた金が、検査しました当時におきまして、百二万円の残金があつた、これをどう処置するかということを検査院としましても、法規上検討して見たのであります。これを国の歳入に取立てるべきものかどうか。ところが、先ほど御説明がありましたように、一円という基準で支拂つたもので、これは検收員のものであるから、国の歳入に取立てるのはちよつと筋が違うのではなかろうか。しかしながらこうしたあいまいな金を木炭事務所という公的機関、官庁がいつまでも保管しておくのは妥当でない、だからこれの処置をすみやかにすることが必要である、こういう意思を表示したわけであります。これに基きまして各木炭事務所におきましては、これを——その処分の内容は明細には存じませんが、検收員月給の足し前としてお渡しになつたり、あるいは、協議会などの経費に使用されておる、こういうことになつておりまして、ここに書いてあります数字の百二万円というのは、検査の当日の預金残高であります。林野庁の方は、それをその後使つたということを御答弁になつておる、こういうことであります。
  86. 船越弘

    船越委員 それでよくわかりました。  次は第四九九と五〇〇号でございますが、説明書によりますと、業務分量に比して職員が非常に不足であつた、それがためにこういう過誤を来した、こういう御説明のようでございますが、こういうものについては、一応業者から請求書を出す、その請求書については、十分木炭事務所におきましては、手元の書類と引合せ、調べて支拂いになるべき問題だと思います。ところが、手不足であつたといえば、引合せなんかせずにお支拂いになつたのか、その点について……。
  87. 浜田正

    浜田説明員 もちろん政府から金を拂うについては、一々検討をして佛わなくちやならぬのであります。そういうふうにしてやつておるはずであります。ただここで問題があつて、その辺が多少粗漏になつた、といいますのは、当時卸に先刻御批難がありましたように、相当政府からの売掛金がある、政府から拂うものもある、そこで政府から拂う方は、なかなか計算がめんどうくさくてどうだこうだというので、時間をかけて拂わぬでおいて、とる方はやつさやつさと詰めかけてまでもとるというのは、いささか自分のやることをやらぬで人に納めさせることだけは、強引にやるじやないか、こういう声が事実非常にありまして、そこでもちろんこちらから拂うよりはとる方が多いのですから、できるだけ早く拂うかわりとる方も早くとるということをやらなくてはならぬというために、急いだ、急ぎ過ぎて誤算なんかも出て来たということであります。
  88. 船越弘

    船越委員 人間のやることでございますから、もちろん誤りのあることはわかるのでございますが、その程度にいたしまして次は五〇三号についてお伺いしておきたいと思います。この五〇三号におきまして、検査院の方は、成規の売渡し手続をとらないで、現品を引渡した、こういうふうに言つておられますが、成規の手続をとるということは、どういうふうなことでございますか、検査院の方から説明していただきたい。
  89. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 先ほどもちよつとお話いたしましたが、これは林産物の売拂いの規定がありまして、契約いたします場合には、契約書を調印いたしまして、同月何日までに代金を納付しろという納付告知書を発行いたしまして、その代金が納付になつたときに、その後において林産物を引渡す、これが成規の手続であります。その手続をとらないで、まず金を概算で受取つて向うへ渡してしまつた、こういうことであります。
  90. 船越弘

    船越委員 仮受金の一部を事業資金に立てかえ使用した、こういうことになつておりますが、その使用せられた理由と、どういう方面に使用したか、具体的な説明政府の方からお聞きしたい。
  91. 横川信夫

    ○横川政府委員 金額は、ちよつとただいま資料がございませんので、お答え申し上げられませんが、おおむね人夫賃、物品購入代でございます。
  92. 船越弘

    船越委員 それからこれは会計検査院批難事項の中に載つておりませんが、薪炭需給特別会計の事業費のうちの役務費の項目の中で、国家地方警察本部長官の斎藤昇その他に百三十七万円というものが支出されておるのでございますが、長官はこの事実を御承知でありましようか、あるいは会計検査院の方でも御承知でありましようか、お尋ねしておきたいと思います。
  93. 横川信夫

    ○横川政府委員 ただいまお話の百三十万円余というものは、支出しておるのでございます。
  94. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 会計検査院の方の説明にも、手数料といたしまして総額百五十四万円ですか、これが国家地方警察及び自治体警察もあると思いますが、出ております。この理由はどうしてこういうものを出したかということに関しましては、結局薪炭の供出のときの取締りといいますか、そうしたことに手数がかかる。この手数料として出しているということになつておりまして、ある程度の取締りに手数がかかつたということも事実でありますので、特に不当な支出ではなかろうと考えておる次第であります。
  95. 船越弘

    船越委員 この検査報告書の六十ページの二九五号でございます。その二九五号によりますると、「国税庁で、関係各国税局及び税務署に酒類密造取締の経費の一部を警察に配分するよう指示したため、関係局署において自動車借上料等として四百四十一万九千二百五十円を支拂つたこととしているが、実際は警察関係経費に使用したものである。」こういうふうに会計検査院の方では御報告になり、これと同様な批難事項であるように私は思うのでありますが、どういうことでありますか。
  96. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 ただいまお引きになりました六十ページの二九五号の批難の要旨は、自動車の借上料という名儀で金を出しておるのであります。それは事実自動車会社に金を拂つたもののごとく書類を作成しておるのであります。そうして実態は警察の方にまわしている。つまりこうした虚構の書類を作成して架空に支拂つておるということが、会計経理上好ましくないという点をついておるのであります。ただいまの林野庁の方の支拂いは、正式といいますか、国警なら国警の長官が受取を出しまして、そこの警察官の取締りの手数料であるということで支拂つて、書類上の作為は何もないのであります。この二九五号のは、書類上の作為のある点を強く責めておる次第であります。
  97. 船越弘

    船越委員 大体こういうふうな取締り経費というものは、警察費の方から出るべきものであつて、他の官庁からこういうものを私はとるべきものではないと思うが、どういうふうなものでありますか。
  98. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 しごく同感なのでありまして、私の方でもこうした委託費というようなものは、あるいは県を通じて警察に流れる、警察ばかりではありませんが、国家の官庁にほかの官庁の経費が一応歳出に出まして、それがまた還元して行く、還元して行くという言葉は悪いかもしれませんが、官庁の職員に一つの手数料として渡されるということは、きわめて好ましくないという考えをもちまして、何とかこれを解決しなければならぬということは、前から再三問題にもなり、考えておる次第なのでありますが、一応何といいますか、それだけの手数があるところへ手数料を拂つておるというので、一応の形式はとれておるというために、それがあくまでも違法であるとか、不当であるということにするのには、もう少しこちらが論拠を明らかにする必要があろうというので、実はただいままでもこうしたことはおもしろくないということは考えながらも、一応のはつきりした結論が出しかねるようなことになつておる次第であります。
  99. 船越弘

    船越委員 検査院の御答弁は、こういうことはあり得べからざるものであるとは考えておりながらも、これに対して何か法的根拠がない限り、自分の方ではどうにもならない、こういうふうなお考えのように承りましたが、さようでございますか。
  100. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 御質問通りであります。
  101. 船越弘

    船越委員 では、今後は会計検査院の側におきましても、こういう問題については一応一致した御意見を持たれまして、われわれといたしましては、今後はこういうものは根絶するような方向に持つてつてもらいたい、こういうふうに思いますので、御了承願いたいと思います。  長官にお尋ねいたしますが、林野庁当局の非常な御努力によりまして五十四億七千万円の一般会計から特別会計への繰入れに対して六億円余の剰余金を捻出されましたことにつきましては、私は非常な敬意を表しておるわけであります。ところがこの五十四億七千万円の金を一般会計から特別会計の方へ出さなければならないことになつ原因につきましては、すでに国会において十分討議された問題でございまするので、その点について私はお尋ねしようとは思いませんが、いろいろな検査院報告書を見ますと、実質上の二十四年度の損失は二十四億七千余万円になつておる。その損失の原因は、現物不足が五億三千百余万円、採算割れの経費が九億四千三百余万円、値引売渡しによる收入減が八億六千三百余万円、こういうふうに報告されておりまするが、政府が直接薪炭にタツチされておるのでなくして、産地におきましては集荷業者、あるいは輸送におきましては輸送業者、都市におきましては配給業者、こういうものを管轄下に置いて配給業務をやつておられる。しからばこういう損失を来した原因が、産地におけるところの集荷業者、あるいは輸送業者、あるいは都市におけるところの配給業者、こういう三段階にわけまして、どういうところに主としてこの赤字を生まなければならない原因が生れたか。この三段階のいずれに一番多く損失を與えるべき現象が起きたか、その率はどういうぐあいになつているか、こういうことについてお尋ねしたい。
  102. 浜田正

    浜田説明員 一番の損失の大きい点は、いわゆる現物不足の問題であります。現物不足の問題でも、大体国会でやかましくありました空気木炭と称せられるもの——これは問題を突き詰めまして、全部回收してしまつたのでありますから、初めは損失の原因らしかつたのですが、これは全部おちついてしまいました。残りの国損なつたものは、これは二十五年度だけでありますが、通計しますと七億というものが国損になつておる。これは海難とか、火災とかなんとかで、確かにそうであつたというもので、検査院にすでに亡失報告を出したのであります。それからその次に損失の大きいのは値引損——そこに書いてありますが、値引損約八億というものが大きい損失になります。それからその次は、この検査院批難事項にも出ておりますように、横持料の増額、それから大体同額くらいですが、指定業者の手数料の値上げ相当額、それからその次は例の五十四億七千万円というものが日銀から借りつぱなしになつてつて、どうしても返せない。それで金が入つたときに返したわけですが、それまではその利息は予算に計上されていなかつた。そんなに長くかかるとは思つていなかつた。従つてそのために一億三千万円何がしの利子を拂わなければならなかつた、こういうことであります。それから最後に大きいのは例の退職金、これは木炭の買入れと売拂いの間のマージンの中に退職金を入れてなかつた。ところが、薪炭は突然としてやめた。やめたから、職員はそれぞれどこかへ行かなければならぬ。その退職金が三億程度、こういうことであります。
  103. 船越弘

    船越委員 私がお尋ねしたかつたのは、生産地におけるところの集荷業者、途中で運搬するところの業者、それからこれを配給する業者、大きくわければ私はこの三つにかけ得ると思う。その三つにわけ得る業者の仕事の運営上、どこの部面が一番多くの損失を與えたか。私の考えるところでは、都会地における業者の薪炭の保管あるいは取扱いの乱雑なために、政府にこういう大きな損失を與えたものである、こういうふうに私は考えておる。と申しますのは、現在都会地におきましては、やはり当時の配給業者がそのまま営業を営み得る人々も相当ありまするし、あるいは解散いたしましても、やはりその業を現在やつておる人人が相当ある。ところが産地におきましては、そういうかつて政府の代行機関でありました集荷業者は、以前やつてつたような業務を継続することが、とうていできないような状況に追い込まれておる。それを解散いたしましても、かれて産地で集荷した卸屋さんというものは、かつての商売をやるだけの資力はすでになくなつておる。こういう現状を見ますと、二十四年度政府のやり方が、あまりに消費地に重点的に操作をなさつてもられたのではないか、こういうふうに私は一応疑つてみるのであります。いま一つは、運送業者にいたしましても、大部分は日通でございますが、この日通が現在の隆盛を来しました一つの原因は、やはり米麦の統制のおかげ、あるいは薪炭統制のおかげで、そうしてこの運賃というものの甘みを非常にたくさん受けているのではないかというふうに私は考える。そうしますと、どうしても産地における集荷業者がこの点について大きな損失を受けているじやないかと私は考えるのですが、御意見を伺いたい。
  104. 浜田正

    浜田説明員 問題は二つあるように考えます。第一点の生産者、集荷業者、卸売業者、このどこが一番特別会計の損を来しているかという点は、御指摘通りの整理をしました現在においては、卸段階から来る損失が一番大きい。初めは産地における空気木炭の問題がありましたが、これはとつてしまいましたから問題はない。次に輸送業者の、大部分は日通です。日通の問題は、約二億何がしとりましたが、これはとらなかつたら、日通は確かにもうけたらしい。とつたあとで国税庁が調べたところによれば、もうけたどころの騒ぎでなく、赤字になつた。産地はとつた、集荷業者はとつた。結局残つたのは消費地における値引き損、こういうもの、それから売れなかつたもので滞貨せざるを得なかつた、滞貨したために保管料がかかつた、こういうものが出て来ました。従つて特別会計側の損として今となつて一番大きい点は、消費地における卸売業者の面から出た分が、私は一番大きいと思つております。それから次は、そういうわけで産地の集荷業者が特に苦しめられて、あるいは輸送業者が苦しめられて、卸売業者が苦しめられていない、こういう判断は、私はすぐ出て来ないと思うのです。と申しますのは、値引きして売らざるを得なかつたのは、卸にもうけさせるために値引きをして売つたわけではないのです。また保管をしたのも、保管料がかかつたから、それだけの保管料を拂つたのであつて、卸だけもうけさせて、あとはもうけさせなかつたということではなかつたので、かかつたものをかかつただけ拂つた。ただ値引きをせざるを得なかつた。つまりあの乱俵の最後に残つた妙な炭を、公定価格で消費者に売れという芸当はとてもできなかつた。そういう情勢で値引きをしたのであつて、当然売れるものを値引きをした、そのために損をした、こういうものではないのであります。特に産地指定業者を痛めて、卸をゆるめていた、こういうようなことはありません。というのは、現在の都会の卸の收支状況を見ましても、相当嚴重に締めて取上げておるのであります。同時に、卸の会社の帳面まで調べ上げまして、ちよつとでも金が入れば持つて来いということで、とつておるのでありますから、特にどの点にゆるくした、どの点にきつくしたということは、やつていないと私は思うのであります。
  105. 船越弘

    船越委員 昭和二十四年の二月にたきぎの買入れ停止をなさつた、それから同じく粉炭の買入れ停止をなさつた。そして二十四年の六月に粉炭の買上げは始められたが、突然マル公は一俵について三十円下げてお買い取りになつた。こういう操作が政府の一方的な意思によりまして強行せられたために、産地におきましては、従来政府が買い上げてくださるものと信じて、そうしてたくさん生産業者から買入れをしておつた。それがこういう政府の突然の措置によりまして、産地の業者が非常に打撃をこうむつたということがございますが、御承知でございますか。
  106. 浜田正

    浜田説明員 産地の業者が、そのために打撃をこうむつたという事実は、承知しております。
  107. 船越弘

    船越委員 昭和二十五年の二月二十一日、二五林野第二八八〇号によりまして、林野庁の長官名をもつて木炭事務所長あてに通牒が出ております。この通牒によりますと、「昭和二十四年八月一日を以て、薪炭特別会計は新規買入業務を停止し清算事務に移行したが、特別会計の買入事業の終期頃に於て資金難の都合上集荷業者に対する商品費、運賃、手数料の支拂が著しく遅延し、そのため集荷業者に多大の損害を與える結果となり、又特別会計の停止時当然政府が買入すべきであつたに拘らず、資金の関係上買入できなかつたために生産者より立替拂によつて既に薪炭を受入れていた集荷業者に損害を與えたので、この救済につき集荷業者より国会並びに政府に対し損失補償の要求が提出せられた」云々、こういう通牒が出ておりますが、この通牒の趣旨はどういうところにあるのでありますか。
  108. 浜田正

    浜田説明員 生産者の損失、これはただいま船越委員が一部触れましたが、その問題につきましては、二十四年の八月に特別会計が機能を停止しまして、清算段階に入つた。その日に、すでに生産者から時の農林委員会に伺いまして、突然政府が何の予告もなく特別会計をとめた、ところが生産者団体は買つてくれるつもりで物を持つてつた。そこで政府が買つてくれないということになり、急に統制がはずれたので、右往左往、こういうことで非常に損をこうむつた、これを何らかの方法で補償しろ、こういう要求が出たわけであります。さらにその運動が続きまして、たしか二十四年の十一月の臨時国会かと思いますが、五十四億七千万円の金を一般会計から特別会計に繰入れるというときに、またその問題が再燃して来まして、そのときは農林委員会でなくて、さらに問題が発展しまして、衆参両院の大蔵委員会、また予算委員会が特にこの問題について小委員会を設けられて検討された。そうして大蔵大臣なり農林大臣も、その点については何とかしなければならぬ、こういう答弁をやり、また予算委員会の小委員長報告の中にも、この点は政府は善処せよ、こういうことになつたわけであります。そこでそういう原則がきまりまして、どのような方法で、どうやつて補償するかという事務的の問題に移つたわけです。ところが実際指定業者といいましても、県に三つか四つありますから、百幾つかあります。その一々の集荷業者に対して、特別会計が買い上げるまでに指定業者が立てかえ拂いして幾ら買つたか、それがどの程度減耗しておつたか、これに対してどの程度保管料がかかつてつたかということは、実際はわからないのです。特別会計自体の、今のたなおろし自体もはつきりわからぬようなときに、特別会計が持つていない品物の損害状態のこまかいことはなかなかわからない。そこで最も機械的にわかる方法で措置せざるを得ないじやないか。そのためちようどいい材料がある。ちようどその年の一月に、政府支拂い遅延防止法という、政府が金を拂うのが遅れて、三十日過ぎたら金利を拂うという法律が出ました。あれを適用すれば、非常に事務的にも機械的に行くというので、あの精神を少しさかのぼらそうではないか。たしか六月までさかのぼらせて、それによつて六月までに請求書を出して、五十四億七千万円の金が一般会計から入つたときに拂つた。その間の金利をもつてささやかながら集荷業者に対する損害賠償を見てくれということでずいぶんもみまして、それではそれでやろうという結着をつけまして、はつきり申しますれば、名目は金利でありますが、実際はそういう経過から見まして、集荷業者に対する損失補償、こういうことになります。
  109. 船越弘

    船越委員 そうしますと、この通牒はただ金利の補給だけでございますか。
  110. 浜田正

    浜田説明員 金利でもつて、生産者に対する損失補償したのだ、こういう結果であります。
  111. 船越弘

    船越委員 この四九〇にもございますが、「債務額についての紛争が生じ」というような言葉が使つてありますけれども、今日におきまして、この特別会計に対するところの債権債務額につきまして、業者との紛争はほとんど大部分解決がついておるとは思いますが、まだつかないものがあるかどうか、そういう点について長官にお尋ねいたしたい。
  112. 横川信夫

    ○横川政府委員 一応全部解決はついておると考えておりますが、なお一、二訴訟になつておるものがございます。それが解決しまして、国の債務があるいは生ずるかもしれませんが、特別の例外を除きましては、全部解決いたしました。
  113. 船越弘

    船越委員 私の聞いておるところでは、二十四年にある種業者から政府にお願いをしておる。ところが、政府はこれに対して明快なる回答を與えておらないために、ある種の紛争があるやに聞いております。もしそれが事案であるといたしますなれば、政府としては十分好意をもつて、すみやかにこれを解決してやるべきである、かように私は信じますが、長官はどういうふうにお考えになりますか。
  114. 横川信夫

    ○横川政府委員 もしさようなことがございますならば、私ども誠意をもつて、きわめて迅速に解決の道を講じたいと思います。
  115. 船越弘

    船越委員 ただいま長官から、誠意をもつて御解決をなさるというお言葉がございましたので、その誠意のあるところを私が確認するまで、この件については保留いたしておきます。
  116. 田中不破三

    田中(不)委員長代理 ほかに質問、ございませんか、——質問はないものと認めます。これにて農林省所管の審議は終りました。     〔田中(不)委員長代理退席、大上   委員長代理着席〕     —————————————
  117. 大上司

    ○大上委員長代理 次に通商産業省所管の審議に入ります。  通商産業省(商工省)一般会計、予算経理、報告番号五〇四号、架空の名義により賃金を支拂いこれを予算外に経理したもの及び不正行為、報告番号五〇五並びに五〇六号、職員の不正行為に因り国に損害を與えたもの、以上三件について通産当局の説明を求めます。
  118. 伊藤繁樹

    ○伊藤政府委員 五〇四号は、工業技術庁地質調査所の北海道支所で、人夫賃といたしまして六十八万円を支拂つたことになつておりますが、実際は人夫四十名に対する賃金二十二万円が付掛けになつておりまして、これを職員の給與、出張旅費及び庁舎の修繕費に充てたという批難でありますが、事実はこの通りでございます。事情は、地質調査所の北海道支所は二十三年の八日に発足いたしまして、当初どうしても五十名程度の定員をもつて発足する必要がありましたが、予算関係上四十二名に切り詰められましたので、いずれ本省の方の欠員ができ次第、東京の方からその実員をまわすということで考えておりましたが、行政整理の関係でそういうこともできなかつたのでありますが、事業の計画遂行上、どうしても必要であります関係もございまして、臨時雇を五名ほど雇いまして、それに対する俸給に一部を充てました。これが大体十八万円でございますが、そのほか地質地形の測量調査、図幅調査、地図の複写その他の事務費、庁舎の修理費用に充てたという事実であります。この件は検査報告通りでございまして、何とも遺憾とするところでありますが、責任者に対しましては、それぞれ訓告処分を與えております。  次に、不正行為の方でございますが、不正行為の五〇五号は、東京通商産業局に勤務しております岡部外二名が、二十二年の五月から二十四年の十一月の期間にわたりまして、アルコールの売りさばきに関連いたしまして不正行為をいたし、その結果三百万円の損失を国庫に與えたという事件でございます。これは專売公社という架空の名義で、外部の者と共謀いたしまして、いわゆる工業用アルコールと称しまして一般アルコールの拂下げをしたという事件と、なおその他二、三、一般のやはり同じような事件でございますが、変性しないものを変性したアルコールと称しまして、工業用アルコールとして拂い下げて、外部の者から金銭を收受したという事件でございます。この点につきましては、現に事件は刑事事件として係属中でございますが、起訴と同時に休職処分をいたしております。なお損害額につきましては追求の手続をとつておりまして、一部につきましては、法務府に正式に依頼をいたしております。  五〇六号でございますが、これは大阪の通商産業局に勤務しております山田某が、二十四年四月から二十五年一月までの期間にわたりまして、職員の架空名義によつて職員の俸給、年末手当等の名目をもつて、合計百七万円に相当いたします俸給をとつて着服したという事件でございます。この件につきましては、この説明書に書いてございますように、まだ公訴提起にはなつておりませんが、所轄警察署に対しまして横領の事実を自供いたしておりますので、懲戒免官の処分をいたしました。また監督責任者に対しましては、それぞれ戒告及び訓告の処分をいたしております。なお昨年の十二月十二日に本人から十万円の金を入金させております。なおその後毎月三千円ずつ入金するような誓約書をとつておりまして、総額現在までに二万四千円入つておる次第であります。
  119. 大上司

    ○大上委員長代理 次に報告書百二十六ページ、アルコール專売事業特別会計、予算経理、報告番号五〇七、アルコール賠償金の交付に当り処置当を得ないもの及び物件報告番号五〇八、アルコールの製造記録不明確なもの、右二件について説明を願います。
  120. 伊藤繁樹

    ○伊藤政府委員 五〇七号、アルコール賠償金の交付に当り処置当を得ないものというのでございますが、これは福岡の商工局におきまして、三楽酒造株式会社から收納いたしましたアルコール二百四十六キロリツトルの賠償金の支出の額でございます。これは物価庁と相談いたしまして、物価庁及び商工省告示をもつて出るわけでございますが、この告示を出します場合に、会社の申請を信用いたしまして、種子島産の生かんしよを原料とする、そういう認定のもとにキロリツトル当り五万五千円の計算をいたしまして、これを告示に出しまして、一千三百万円を支拂つたのでございますが、検査院の方で事実を実地検査せられました結果、七十七万貫のうち二十五万貫だけは種子島産のものでないということが判明いたしまして、御注意がありまして、もしそういうようなことがあれば、キロリツトル当り三万五千円という価格になるではないかということでございます。これは会社側におきまして、種子島産のかんしよを関係方面の意向で引取つて、それを原料に使つたことは事実でございますが、この分につきまして、この七十七万貫全部がそうでなかつたという事実でございまして、この点はわれわれの不注意でございます。爾後におきまして、これを五万五千円から三万五千円に切下げまして、過拂いとなりました四百七十七万円を返納させることにいたしたのでございます。そのうち二十六年十月二十日現在で二百万円は收納いたしておりますし、残額につきましても本年一月に全部收納させておる次第でございます。  それから最後の五〇八でございますが、これは福岡通商産業局島原のアルコール工場で、二十四年度中にそれぞれいろいろなものを原料といたしまして、アルコール九十九度品四百九十四キロリツトル、九十四度品六百九十一キロリツトルを生産したものとしているが、実際会計検査院で実地検査をしたところが、その製造過程におきます諸記録と事実が相違しておるということで、もしその製造過程の諸記録に重点を置いて考えるならば、むしろもつとよけいに出たのではないかという問題と、なお、そういう実際の製造過程の記録と、会計検査院に提示いたしました最終記録が食い違つておるようでは、製品の成績が客観的によくわからなくなるので、不当ではないか、こういう批難でございます。事実は会計検査院の御指摘通りでございますが、事実問題といたしまして、実際の製造記録の澱粉価から推定いたしまして、さらによけいなものが出ておつたのではないかという御疑念に対しましては、そういう事実はないということでございます。何ゆえそのようなことをいたしたかと申しますと、その工場の作業の原料関係及び作業工程におきましてまずいことが、ございまして成績にある一定期間非常に高低がございました。それはその通りはつきりさすべきものでありますが、そのような、日により非常に能率のよい場合と悪い場合ということを正直に表わすことを避けまして、実際出ました製品から逆算しまして、虚偽記録を検査院に提示したということでございます。この点につきましては、はなはだ遺憾な事実でございまして、当時の責任者に対しましては、それぞれ訓告処分を與えておる次第であります。
  121. 大上司

    ○大上委員長代理 以上議題とした通商産業省所管批難事項に対して、会計検査院当局に格別の御意見がありましたら、この際とりまとめて補足説明を願います。
  122. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 各件につきましては、ただいま会計課長の方からの御説明で、補足することはございませんが、百二十六ページにアルコール專売事業特別会計の概況的なことを記述してございますので、これをちよつと御説明申し上げたいと思います。  アルコール專売事業では、大体年間にアルコールを三万二千五百キロリツトル生産しよう、そうしてそのうちの約半分以上に当る一万七千二百キロリツトルは、生かんしよを原料としたものにしよう、七千三百キロリツトルはほしかんしよを原料としたものにしよう、糖蜜を原料としたもので六千七百キロリツトルつくろう、そういうような初めの予定でつくられたのでありますが、需要がないので生産を縮小しまして、実際に販売されたものはここに書いてあります二万五千六百九十五キロリツトル、そうして生産が縮小するのでありますから、検査院考えといたしましては、なるべく高い材料のものを減らして安い材料のものをつくる方に生産計画を逐次改訂されて行かれれば利益がもつと出たんではなかろうかと思うのでありますが、実際の施行状況を見ますと、生かんしよで製造されたものが初めの計画の半分以下になりまして八千四百二十五キロリツトル、ほしかんしよで製造されたものが、初め七千三百キロリツトルの計画であつたのが、実際には八千八百キロリツトル生産された。御承知通り、ほしかんしよを原料としますとアルコールの製造価格は高くなるのであります。そうした点で、もしも年間の生産計画を逐次改訂される場合に、十分なる注意を拂われたならば、もう少し製造コストを安めることができたんではなかろうかというような考えをもつて——しかしこれは一つの不当な事項と言うのには少しく過ぎるのではなかろうかと思いまして、ここに概括的な批難として掲げている次第であります。  以上御説明申し上げます。
  123. 大上司

    ○大上委員長代理 質疑を許します。
  124. 田中角榮

    田中(角)委員 簡單に一つ伺つておきます。通商産業省は比較的批難事項がないのでありまして、一般に農林省と通産省、こういうふうに考えている面から言うと、非常に経理がうまく行つているということを知りまして、欣快にたえないわけであります。しかも批難せられた事項そのものに、あまり悪質なものがないようでありますが、もう歩進んで、私の申し上げることで、来決算年度から何もなくなれば、これに越したことはないので、そういう意味で五〇四について簡單に申し上げてみたいと思います。  五〇四は、数字は非常に小さいのでありますが、これは各省共通な事項であります。いわゆる架空人夫賃の支拂い費目流用、変更、こういうのでありますが、この費目流用という問題に対しては、今行政監察委員会等でやつておりまして、建設省の関係等はほとんど全部起訴になつております。これはもちろん裁判が確定しなければわからない問題でありますが、私は、費目流用という問題は、会計法規上、やはり相当な定義を置かないと、将来たいへんなことになるのではないかということを考えまして、いろいろ会計検査院にも申しておるのであります。この処分表を見ますと、金額は小さいようですが、実行者は一技官、しかも処分はそれぞれ訓告を與えたのみになつております。大体この程度の費目流用は、最高責任者である北海道支所長が承知をして、費目変更を行つたのではありませんか。その点が一つ。そうしますと、費目変更が、いわゆる刑事的な訴追を受けるものであれば——当然これは受けなくちやなりませんし、刑事的訴追を受けないとしても、この種の費目変更をやつたために、刑事上の訴追を受けておる官庁はたくさんあります。ただ、それは費目変更だけではなく、検察の初めにおいて、横領もあるのではないかという見通しのために、きつと起訴されておるんだろうと思いますが、私はその費目変更そのものも、正確に言うと違法である。違法であるから、もちろん会計検査院批難せられておるのですが、会計法規上の違法だけではなく、もう一歩進めると、定義はなくとも、そこに刑事的な責任もあるのじやないか。ざつくばらんに申し上げると、一つの詐欺罪を構成する。そうしますと、給與を受けた当の人たちは、いわゆる臟品として回收せられてもしようがないのじやないか。まあこまかい法理論になるかもわかりませんが、そういうことも一応考えられる。この間の建設大臣の答弁にも、今年度災害費用として考えておつた八十億の予備費を過年度災害に費目変更しても、法規上違法ではないというような答弁がありましたが、私はそういう定義を簡單変更できるところに、こういう間違いが起るのだから、私たち決算委員会としては、こういうことをはつきりしておきたいと思つておるのですが、まずこの問題に関し、私が今いろいろ申し上げたことに対しまして、第二局長はどういうふうに考えておられるかということを伺いたいと同時に、まあ小さい問題ですが、最高責任者が関係しておつて、合法的にというよりも、まつたく謀議をして費目流用をしたということになると、小さな金額でも、事は大きく映るわけでありますから、これに対して責任者の処分が多少寛に過ぎはしないか。このようなことをやらなければ、官庁が完全に事務を遂行して行けなかつたのですから、その欠陷を、勇断ともいわるべき生きた行政を行つた人を、ただに会計法規の違法性だけで、あえて私はこれを責めようというのではありませんが、しかしそういう定義を正しておかないところに経理が乱れるのだ、こういう点から、私は各省みんな申し上げているのです。今までのように、ただ一つ一つ批難事項だけを取上げて申しているのではなく、こういうことを申し上げることによつて、将来これを根絶したい。特に公団等の経理を見ておりますと、まつたくかつて気ままな会計法規の解釈をやつております。しかもそれが処罰を受けないために、非常に穴が大きくなつて行くという事例がありますので、一応意見として申し上げてみたのです。ただ通産省は、大臣官房会計課長所管の事項等には、一つの違法性も批難されておらないところに、こういうことを申し上げることは、ただここまで来たならば、もう一歩進められれば、ほとんど批難せられることは絶無になるであろうということで申し上げるのでありますから、所感がありましたらお答え願いたいと思います。
  125. 伊藤繁樹

    ○伊藤政府委員 ただいまの御意見、まことにごもつともでございまして、もしこういうことが、金額が少いということで許されるならば、そこにけじめがなくなるのではないかという御意見と思います。ただ、これは弁護するようでございますが、本件につきましては、たまたまこれを会議費に使うとか、そういうことは全然ないのございまして、一応当面必要な事業の経費にのみこれが終つたという点もございまして、実は北海道の支所長も、これはある程度知つてつたというのは事実でございますが、一応行政処分としては訓告程度にとどめておきたいという意見でございます。しかも田中委員の御意見は、御意見として十分拝聽いたしておきます。
  126. 田中角榮

    田中(角)委員 蛇足になるかもわかりませんが、訓告処分というのは、訓告を三十回も五十回も受けつつ、所長から課長になり局長になり次官になつて、だんだんと出世されて行くのですが、やはりこういう違法性のことを一、二回やられたら、この次にやつたら処罰するぞというくらいなことは、当然御要求になつていただきたい。なぜならば、これと同じことで、額が大きいために起訴されている人がたくさんあるのです。五年でも十年でも休職処分のままでいる者もありますし、中には非常に額が大きいために、即日懲戒免官処分をやられている人もあるから、訓告処分だけでもつてこれで済んだということではなく、謹愼中だというくらいの御処置をひとつお願いしたいと思います。  会計検査院はどうですか。私の質問が徹底しませんか。
  127. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 田中委員の御意見でありますが、会計検査院でもそれを非常に痛感しておるのでありまして、いやしくも今までの会計経理の観念は、自分のふところを痛めなければ、少しは書類はつじつまを合せて行けばいいではないかというような、一つの今まで、と言つてはあまり語弊があるかもしれませんが、特に終戰後はその傾向が強かつた。それの具体的な例が、こうしたいわゆる架空拂いとか、あるいは年度内にできもしないのをできたとして整理をしておく。とにかくこれを事情やむを得ないからいいわいいわといつてつたんでは、いつまでたつても会計経理の明確は期せられない、百年河清を待つにひとしい。少くともこうした書類を作成して架空に支拂つた者は、それが当人のふところに入れる気持でなかつたにしても、いわゆる国の経理のためを思つてつたとしても、とにかくいけない。だから、こういう者は断然責めなければいかぬ。同時に、一方こうしたことのできる原因を尋ねてみますと、あるいは予算の繰越手続が煩鎖である、あるいは予算の初めの示達が遅いということがありますので、その方面は大蔵省方面とよく話しまして、その方の制度をまず改革して行くと同時に、こうしたことはその当人の犯意の有無にかかわらず、断固として責めなければならぬ、こう考えておる次第であります。
  128. 大上司

    ○大上委員長代理 ほかにありませんか——通産省所管の審議はこれで終ります。     —————————————
  129. 大上司

    ○大上委員長代理 次に運輸省所管に入ります。報告書一二八ページ、運輸省、一般会計、予算経理、報告番号五 ○九、予算の使用当を得ないもの——本件説明を運輸当局よりお願いします。
  130. 黒田靜夫

    ○黒田説明員 五〇九号の、予算の使用当を得ないものとしてあげられておりますものは、運輸省で港湾工事の直轄出先機関として、第一港湾建設部から第四港湾建設部までの四つの建設部があるのでございますが、昭和二十四年度中に、この各港湾建設部管下の港湾修築工事の事業費のうちから、その一部を、本省の港湾技術研究課の機械器具とか、あるいは書籍のような研究文献、備品などの購入と、それから技術研究課が移転するための経費としまして、九百余万円を支出したほか、各港湾建設部の庁舎、倉庫、職員宿舎等の修理とか、あるいは改築等の経費といたしまして五百余万円を支出したのでございます。これが会計法上当を得ていないというので、ここに御叱正を受けておるのでございますが、これに関しまして多少御説明を申したいと思います。  港湾技術に関する基本研究は、ただいまでは運輸技術研究所の中にございますが、昭和二十四年当時は、鉄道の技術研究所の第七部から、運輸省の機構改革に伴いまして、港湾局内に港湾技術研究課が併設されまして、その予算が三百三十二万余円でございました。このうち物件費が百二十六万円で、あとは人件費でございます。物件費等が非常に少額でございまして、一方港湾の事業は、外国の貿易の振興なり、あるいは産業の合理化のため、あるいは地方の産業開発の要請に基きまして、四十一億の港湾事業をやつてつたのでございます。これらの港湾事業に対する研究は、それぞれ港湾の現業をやりながらやる面もございますが、基本的な研究につきましては、技術研究課の方で実施しておるのでございます。ところが港湾技術研究課は、昭和二十三年度の鉄道技術研究所から技術研究課にかわつたのでございますが、その庁舎は初め建設省の土木研究所と、それから土木研究所の赤羽の分室がございまして、これを借りておつたのでございますが、先方もその利用したびたび立ちのきを要求されておりました。ところが、ちようど横須賀の久里浜に海軍の潜水学校の跡の建物と敷地が、港湾の技術を研究するのには一番都合がいいということでございましたので、これを大蔵省から移管を受けまして、技術研究課の研究所といたしたような次第でございまして、これに要しまするいろいろな器具、機械、文献等を、建設省から借りていた研究所から、こちらの方に移転をしたのでございます。  それからもう一つは、公共事業費をもつて港湾建設部の庁舎とか、あるいは倉庫、宿舎の修理と増築を行つたのでございますが、これらの建物は戰災をこうむつたばかりでなく、長い間修理をいたしておらなかつたので、非常にいたんで、執務上も、あるいは事業遂行上も非常に不便でございましたので、やむを得ず公共事業費の方から修理あるいは増築に充てた次第でございまして、会計経理上それが当を得ていないというのでございまして、まことに私どもとしては申訳ないと思つております。このようなことは、今後これを相戒めて、二十五年度以降はこのようなことはもちろんやつておりませんですが、当時の責任者に対しましては、訓戒とともに事の始末書をとりまして、十分今後を戒めておるような次第でございます。
  131. 大上司

    ○大上委員長代理 次に、本件に対し、会計検査院説明を願います。
  132. 山名酒喜男

    ○山名会計検査院説明員 予算使用の実体的な事由については、ただいま御説明のありました通りでありまして、会計検査院といたしましても、これの使途それ自体についての緊要性を否認するものではございませんが、一応予算の建前といたしましては、各建設部本部の庁舎及び宿舎等は、公共事業費の事務費支弁でありまして、また港湾技術研究課自体のものは、行政部費の支弁という予算の建前になつております。予算の認められることが僅少であるからというので予算の建前をくずすということは、国会の予算のわくというものを尊重する建前から、一応ほうつておけぬということで、ここに批難事項としてあげたわけでありますが、運輸省といたしましても、こういう点について将来を十分戒めておられますので、私の方といたしましては、この問題についてこれ以上追究する意思はございません。
  133. 田中角榮

    田中(角)委員 本件に対しては、今年度は何もないということでもありますから、全然申し上げることはありません。これは会計検査院の方々に申し上げるのですが、予算区分を乱るということは、やつぱり相当強くただしておいていただきたい。そうでないと、こういうことをやるところに官僚政治があるのです。こういうことをやつても処罰を受けないところに、官僚は自由裁量がやれる。自由裁量をやることが悪いという場合には、アメリカの予算のように、議会で全部わくをはめなければならないようなことになる。それでは生きた政治が行えない、こういう意味で、あまりいいことではないと私は思つておるのですが、実際予算費目を自由にかえてやる場合、今批難されておるような場合は、非常に小さなものでありまして、庁舎を修繕するくらいはいいのでありますが、その次には官舎をつくり、住宅をつくつて行く、寮をつくる、料亭の費用を拂う、自動車を買う、こういうことがほとんど費目変更でやられておるのです。これを悪いと言うのです。だから、費目変更しても平気だという観念が、一般の正当な官吏に蔓延した場合には、これは收拾すべからざる国費の濫費になる。こういうことであります。費目変更の中には、閣議決定によつて、八十億の中から二十億を、多少会計法規上の違法性に幾らか疑義があつても、まあ大体にないとせられるならば、過年度災害にまわしてもよろしいという大ぴらのものもありますし、ただいま説明せられたように、通産省では所長以下全部でもつて研究して、つい金が足らないのでやうてしまつたというようなものもありますし、幽霊人夫、はかま人夫として、その給料を拂うためにやつたのであるが、しまいには接待費に流用し、中には忌まわしい事件として横領がつきまとうものもある。こういうことでだんだん深刻になるのですから、予算区分を乱るということは、会計法規の違法上からいいますと、同じことでありますので、嚴重に取締り願いたい、こういう希望だけ申し上げておきます。
  134. 大上司

    ○大上委員長代理 以上で本日の審議は予定通り終りました。  次会は、明後九日(金曜日)午後一時より、郵政及び労働両省の所管について審議をいたす予定であります。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時二十一分散会