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1951-10-19 第12回国会 衆議院 決算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月十九日(金曜日)     午後二時八分開議  出席委員    委員長 菅家 喜六君    理事 田中不破三君 理事 渕  通義君    理事 三宅 則義君 理事 八百板 正君       金光 義邦君    高塩 三郎君       高橋 權六君    田中 角榮君       船越  弘君    畠山 重勇君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局長)  河野 一之君  委員外出席者         大蔵事務官         (大臣官房会計         課長)     小川 潤一君         大蔵事務官         (大臣官房地方         課長)     太田 源藏君         大蔵事務官         (管財局総務課         長)      小林 英三君         検  査  官 東谷博次郎君         会計検査院事務         官         (検査第四局         長)      小峰 保榮君         専  門  員 大久保忠文君         専  門  員 岡林 清英君     ————————————— 十月十九日  委員藤枝泉介君辞任につき、その補欠として船  越弘君が議長の指名で委員に選任された。 同日  理事金光義邦君の補欠として田中不破三君が理  事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  昭和二十四年度一般会計歳入歳出決算昭和二  十四年度特別会計歳入歳出決算及び昭和二十四  年度政府関係機関収入支出決算     —————————————
  2. 菅家喜六

    菅家委員長 これより会議を開きます。
  3. 三宅則義

    三宅(則)委員 私は、議事進行に関して発言をいたします。毎回決算委員会には、会計検査院当局検査官が必ず出て来る、こういう慣例をつくりたいと、かつてから希望しておつたのであります。幸い本日は東谷検査官がおいでになりましたが、今後も決算委員会のあるときには出席していただいて、国民がいかにこれに関心を持つておるかという空気を洞察せられて、今後の官庁行政に関します監督なり、検査なりを十分にしていただきたいと思うのであります。予算につきましては、御承知通り大臣出席しなければ審議をしないのであります。予算決算とは、ともに必要欠くべからざる重大な案件であります。われわれといたしましては、検査官出席しないときには議事を進行しないという原則を確立したい、かように思うのでありまして、特に注意をいたしておきたいと思います。  もう一つは、本日は大蔵省関係財務局関係のことをやることになつております。かつて大蔵大臣も言うておりましたが、大蔵省自身が自分の関係いたしておりますところを、財務部使つて検査したところによりますと、各官庁とも非常に濫費があると認めたという報告をいたしておるのでありまして、各位にもこれが報告になつているわけでありますが、この際決算委員会におきましても、そういうような資料を提出していただきまして、われわれといたしまして、これをいかに解決すべきかということを論議いたしたいと思いますので、委員長におとりはからいを願いたいと思う次第でございます。
  4. 菅家喜六

    菅家委員長 お諮りいたします。ただいま三宅君から、お聞きの通り議事進行についての御意見がありました。会計検査院から必ず毎回検査官出席される。——これはなるべくひとつ御出席を願うという程度で、検査官出席しないから委員会を開かないというわけには行かないことだと思う。一昨日も各委員から、主として会計検査院に対する質問がありましたけれども、会計検査院から出席されました小林第一局長でありますかの説明が、十分でなかつたようであります。そこで本委員会としては、やはり責任ある検査官説明を求めたいという各委員からの強い御要求でありましたので、今日は会計検査院の方でも、種々事務の方の都合があつて検査官が出ることはなかなか至難であるけれども、特にそれを繰合せていただきまして、東谷検査官の御出席を願つたわけでありますから、ただいまの三宅君の議事進行のこの部分に対しては、必要の都度委員長の方において会計検査院の方に要求をすることにいたしまして、検査官出席しないから委員会を開かないという原則には、委員長は同意いたしかねるのであります。その程度でいかがでございましようか、お諮りいたします。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 菅家喜六

    菅家委員長 各委員異議がないようでありますから、この問題はさように取扱います。  第二の大蔵省関係する部分でありますが、これは大蔵省委員長より要求いたしまして、それらの資料をとることにいたします。その資料をとりまして各委員に配付することにいたします。さよう御了承を願つておきます。
  6. 三宅則義

    三宅(則)委員 ただいまの委員長のお取扱いに対しましては了承いたしましたが、いわゆる大蔵省関係調査によります資料と同時に、主計局長に来ていただきまして、国家財政の監督上、どういうものがあつたかということの説明を求めたいと思いますから、この次にはぜひ主計局長も呼んでいただいて……(「来ておる」と呼ぶ者あり)来ておりますか。それではそのつもりでひとつ真剣にやりたいと思います。
  7. 河野一之

    河野(一)政府委員 ただいま三宅さんのお話でありますが、先般来大蔵省におきましては、予算の適正な執行という見地から、直接、あるいは財務局財務部を使いまして、会計監査を実施いたしたのであります。その結果は、不正あるいは犯罪というようなものも相当ございまするが、予算執行上の見地から、相当考えねばならぬというような事例を、多数発見いたしたわけであります。そのことにつきまして、先般閣議報告いたしたのでありまするが、その資料がありますので、適当にとりまとめましてこの委員会に御提出申し上げ、御審議をお願いいたしたい、こう考えております。
  8. 菅家喜六

    菅家委員長 なお、前会に引続きまして昭和二十四年度一般会計歳入歳出決算昭和二十四年度特別会計歳入歳出決算及び昭和二十四年度政府関係機関収入支出決算を議題といたすわけでございますが、昨日田中委員その他より、種々会計検査院に対する強き希望等もありましたので、大蔵省所管中、財務局関係の分について審議をいたす前に、東谷検査官田中委員からひとつ要約して御質問願つて会計検査院の見解を明らかにしておきまして、それから次に移りたいと思います。
  9. 田中角榮

    田中(角)委員 委員長から発言要求がありましたので、私の前回の本委員会における発言を要約いたしまして、検査院側意見をただしたいと思うのであります。  会計検査院は、憲法上規定するところの唯一無二会計経理に対する検査機関であることは申すまでもないのであります。特に現在、講和会議後は自立しなければならない、そうして国民負担を軽減するために、できるだけ国家予算を縮減しなければならないというような場合、再建のために使われる国家予算が適正に執行せられておるかいなかという問題は、国民の非常に大きな関心事であります。それにつきましては、ただ会計検査院やり方いかんを見ておるのでありますが、私たちは本決算委員会において五年間の長きにわたつてずつと見ておりますと、毎年同じようなものがたくさん出て参ります。今までといわず、これからもこれと同じものが出て来るであろうということが予測せられるのであります。その意味において、どうしてこういう同じものが毎年出て来るのだろう、これを来年度から、再来年度から縮減できないだろうかということを、根本的に考えておるわけであります。私たちは今、時の与党といたしまして、われわれの最も大きな公約の一つとした行政機構簡素化整理ということを行いつつあるのでありますが、これに対しては、とかくの批評もあるようであります。しかし、私たち自由党の党員であつても、行政整理に無条件に賛成し、人間を減らすことだけを考えておるものでは絶対ありません。ありませんが、私たちは一部の人々の利益を代表するというよりも、国民大衆の意に沿わなければならないということを原則として考えておるわけであります。私は一度こう言つたことがあります。こういうふうに毎年々々同じ批難を繰返されておるような官吏、公吏は徹底的に粛正しなければならないということを言つたことがあります。会計検査院は、会計法規に照して違法性があるから、これを指摘して何らかの処置要求するということを続けておられるのでありまして、そういうことがだんだんないようにというお気持ではありましようが、その結果なかなか減らない。その減らない最も大きな原因の一つとして、会計検査院憲法の規定する権利を完全に行使をしないところに、この結果が生れて来ておるのではないか、こういうことを考えるわけであります。その権利権限を完全に行わないということは何かと申し上げますと、会計検査院は、違法性指摘すればいいのだということばかりでもつて片づけておられるのじやないか、こういうふうに考えます。ここに各省関係のものが全部出ておりまして、決算委員会でもつて各省官房会計課長が来て一々説明をするところを聞いておりますと、この二冊の本を私たちにお配りになれば、お聞きする必要はありません。委員会において、限られた時間にこれだけの数量のものをお読みになつて、これをまた会計検査院が御説明になる、こんなことをしていただく必要はありません。私たちはこういうものの中から、これを除去するためにはいかなることをやらなければならないかという、具体的なことを探究しようとするために、決算委員会が設けられて、やつておるわけであります。決算委員会に付託せられる検査報告書が、現在のままでは、報告承認案件になつております。当然これは、新憲法の精神からいつても、議決案件になるであろうことは、私が古くから本委員会において指摘をしておる通りであります。もちろん条約の批准せられる来年の四月五月、もしも憲法改正等の時期があるならば、この旧憲法と新憲法との間にあつて会計検査院がまつたく中途半端な今のような状態であることは許されない。憲法によつて唯一無二機構であるところの、権力を持つところの会計検査院というものは、今よりももつと機構も大きくし、もつと厳重なる、権威ある会計検査院になるであろうと思います。と同時に、あなた方が最終的に決定するところの決算報告というものは、議決案件になり、そのときには国会国民の名において、会計検査院とともに、国費の執行に対して万遺憾なきを期したいということを考えておるわけであります。その一つの例を申し上げますと、違法性を全部指摘しておる。各省は、大体に、これに対しては戒告処分に付しました、今手続中であります。——戒告処分の宣告を受けた人が課長になり、局長になり、次官になつておる事実を一体どう思うということであります。のみならず、あなた方はただ違法性指摘するだけであるということであつたならば、指摘せられた場合の所管者は当然処罰を受くべきであります。処罰というのは、いはゆる刑事的訴追を受けるというのではなくても、少くとも栄進その他にマイナス面を記録せられなければならないということでありますが、会計検査院からただ単に指摘されただけで、何ら赤字として記入せられておりません。この中で、先般一番大きく考えましたのは、私は、こういう各省の間でもつて、ただ大蔵省がどうだとか、法務府がどうだとかいうのではなくて、決算委員会審議の仕方として、根本的な問題をいつか論議したいと思つてつたのですが、前会簡単に発言をいたしましたので、きようもついこれを申し上げるのですが、この中に、いわゆる予算区分乱つたものというのがあります。区分乱つたものくらい大したことはない、こういうのがあります。これが一番多いようでありますが、区分を乱るというのを、もう一歩突き進んでお考えなつたときに、区分を乱りながら、しかも人員をたくさん擁し、緊急に仕事をしなければならないから、万やむを得ず庁舎増築費要求し、その増築費宴会費用食糧費用やというような品目に流用せられたものがあります。私は、こんなものは、ごく小部分であると思う。こんなものを、もし流用した者があつたならば、刑事訴追を受けておるのでありまして、これは証券を偽造したり、印鑑を盗用したりして刑事訴追を受けておるのと同じでありまして、こんなことは大したことはないのであります。公然の秘密というのではないが、こんなことはあたりまえのことだといつて宿舎官舎をつくつておる。いわゆる費目変更してやつておる。これは会計検査院が、この検査報告批難をせられておるような措置では、断じていけない。今度の補正予算八十億のうち二十億を、災害が出なかつたから過年度にまわそう、これは閣議で決定すればいいと大蔵省では言つておる。私はきのう建設委員会で、多少それには疑義があるだろうと申したのですが、いわゆる費目変更ということが簡単にできるならば、そうしてその費目変更したものの中から官舎をつくり、宿舎をつくつて特定の人に利益を供与しておる、これが処罰を受けないということは、まつたくこれは処置当を得ないものであると考えたわけです。もちろん局長課長、所長が謀議をして、この中から相当のものをつくろうじやないか、法務府においては——法務府はこの間そつと逃げてしまつたのですが、法務府であつても四十四件、四千数百万円の費目変更があります。しかもその四千数百万円は、みな宿舎その他の新営、増築購入——それであつたならば、官費でもつて堂々と宿舎の新築を要求すればいいのに、こんなことはあたりまえだ——この中のほとんど半数は費目変更であります、予算区分乱つたものというのであります。しかも歴然として謀議をなしたものがある。一つ建設局一つの出張所が、簡単にこういうものをつくつている。しかも上棟式竣工式も、官民たくさんを呼んで一ぱい飲んでおる。これはまつたく官の名において謀議をして、予算区分乱つたものであるが、これの処罰を行わない。こういう問題は、私は当然刑事訴追を受くべきものであると思う。謀議をしておるそのような御連中は、少くとも国家の能吏とし、良吏としては再びいすにつけない、これをやられれば、アメリカ予算編成方針のように、あらゆる使途まで国会が文句を言わなくてもいいのです。今のままで行くと、私は新憲法下今度はわれわれの手でわれわれが議案をし、われわれが予算執行状態国政調査を行うという——来年の四月五月、完全な独立が保持せられたときには、会計検査院が今までのような状態では立ち行くものではありません。アメリカのように予算編成を完全な法律できめるようになります。日本人はアメリカ人違つて法律をつくつたら、その法律の解釈がものすごくありますので、それこそまつた麻痺状態になつてしまう。私はそれまで要求するのではありません。同じ予算費目変更する中でも、徴税費用の中から一部警察官にこれを交付をした、警察に協力を得るためには、一部寄付をしなければならなかつたのです、あとから考えてみたら確かに悪うございましたというのがあります。これは実にかわいい。しかもある場合によつては、まさに処置当を得ておるものであるかもしれませんが、そういうものと、一部の人たち利益を得るためにつくる、まつたく故意の犯罪にも近いようなものを、会計検査院は全然区別をしておられない。この中で区別をしておられるという事件がありましたら、御説明を願いたい。ただまつた会計法規違反一点ばり、それだけでもつてつておるというのであつて会計検査院はそれだけをやればいい、しかもそれをやることだけが要求せられておるのだというのであつたならば、これは憲法上の会計検査院の機能を遺憾なく発揮しているものではありません。だから、会計検査院報告書をわれわれが手に持ちながら、大蔵省財務局監査行つた報告書も、決算委員会でやろうといつたり、あなた方の、とにかくりつぱな唯一無二のものがあるにもかかわらず、自粛をする、自戒をするという意味で、経済調査庁をつくり、もつとうんと人を増そうというようなものができて来るのです。いわゆる権限の紛淆を来すものが陸続として出て来るのです。それでもなお国民は、そういうことをやられながらも、どうも官庁連中は大したものだ。——私がただいま結論的に、予算費目変更に対して、官舎を云々ということを言いましたが、この中で、予算費目変更し、高級車を買い入れた、一年に三回か五回しか使わないところのクラブを買い入れるというようなことはございませんか。こういうところまで究明せられているでしようか。こういうところまで究明せられておつて、これを会計検査院是正要求をする。要求一つの手段としては、処置を求むることであります。これをやつておられるかどうか。私はやつておられないと思う。ただ刑事訴追を受ける者のみを対象としておやりになつておる。それ以外には、もう全部みそもくそもみな一緒だ、ただ違法性のみを指摘しているということであるならば、会計検査院の将来に対して、われわれはもつと別な角度から検討しなければならない。私は常に——そこにも東谷君もおられますが、会計検査院権限拡大一大論者なんです。しかしいくら私が言つても、さつぱり会計検査院は私の希望に沿わない。東谷さんも、検査官になられる前まで、私とは盛んにやられたのでありますが、今度新しい検査官に出られたのですから、今度はあまりチヤランポランでなく、歩一歩進めてやつていただきたい。私たちは今非常な非難を受けつつも、国民のためにこのようなことを毎年毎年続けながら、しかもその違法性指摘せられるだけであつて、職場も失わないで済むところの官僚に対して、仕事をまかせておけないという意味からも、行政整理を行いたいという気持を持つておるのです。そのために、私たちは一部の者から批難をせられ、指弾をせられてもいい。こういう一つマイナス承知しながら、断じて行わなければならないというだけに、私たちもこういうものに対しては徹底的に解明しておきたい、こういう希望がある。これは私個人考えではなく、全自由党の議員の考えでもあり、また私は自由党だけでなく、全国会議員考えだろうと思います。そういう意味において、こういうものに対していかなる処置をしたか、これからいかなる処置をとるのか、処置はできないのか、できない法的根拠は一体どこにあるか、これはこういうふうに法律を改正してもらわなければならぬのだというふうな具体的なことに対しまして、会計検査院の御意見を拝聴したい。しかもこれは検査官会議にかけなければ、こういう将来の方針とかなんとかはお話ができないのでありますから、東谷さんの個人の御意見でもよろしゆうございますが、この問題に対しては、検査官会議にかけて少しはつきりした御意見を、次会でもけつこうですから、本委員会に御報告願いたいと考えておるものであります。
  10. 東谷博次郎

    東谷会計検査院検査官 ただいま田中さんから、非常な会計検査院に対する御鞭撻のお言葉、その他いろいろ御意見を拝聴いたしたのであります。非常に御意見なり御質問多岐にわたつておりまするので、うまく整理してお答えするということができぬかもわからぬと思うのでありますが、——会計検査院機構の問題、これはあとから御説明いたしたいと思うのでありますが、会計検査院検査の目標というものであります。これは御承知のように会計検査院法に書いてあるのでございまして、会計経理を監督し、その適正を期し、是正をはかるというのであります。ただいまいろいろお言葉をいただいたのでありますが、会計検査院は、十分に適正を期しつつ是正をはかるために、処置をとらなくてはならぬと考えておるのであります。ただいろいろ多岐にわたつておりますので、順序といたしまして、大体の検査方針なども一応、ごく簡単に申し上げておきたいと思います。  これはもう御承知通りでありますが、会計検査院検査は、書面検査実地検査にわかれてやつておるのであります。その方針は、ただいま申しましたように、適正を期し、是正をはかる点にあるのでありまして、三人の検査官がおりまして、いつも実地検査なり、書面検査を始めます前に、具体的に申しますと、毎年の初めに、実は会議を開きまして、重点事項、すなわち検査の大方針を定めまして、各局課に示すのでありまして、それによりまして局課は動いております。これをごく簡単に抽象的にいえば、収入の確保、あるいは歳出の節約、進んでは能率的な歳出をしておるかどうかということを検査し、その方に向つて指導して行くというふうに、検査方針を定めておるのであります。そういうふうにやつて会計検査院検査をしておるにもかかわりませず、場合によりますと、ただいまおしかりを受けましたように、会計検査院検査が不徹底じやないかと仰せになるわけであります。これも徹底という言葉でありますが、徹底という言葉徹底的に申しますと、その言葉通りやらなければならぬのでありますが、会計検査院検査の今までの経過を見ましても、戦争中は別でありますが、戦争後はだんだんと検査徹底をしておる、今では相当程度徹底をしておると私は確信いたしておるのであります。それにもかかわらず、年々歳々不当事項なり違法事項が繰返されるのはどういうわけであるかということでありますが、これはまことに私どもも遺憾千万に存じておるのでありまして、国会報告しております批難事項だけについて申しますと、二十二年ごろからほとんど毎年倍加しておるようなわけであります。会計検査院検査徹底すれば、少なくならなければならぬじやないかという見方もあるのでありますが、他面からいえば、徹底すれば、そういう事項が多くなるということは、以前の検査は幾らか徹底を欠いておつたのじやないかということにもなるかと思うのであります。実は人手の関係をもちまして……。
  11. 田中角榮

    田中(角)委員 ちよつと私の質問が、まくらが多くて徹底しておらなかつたようですから、もう一分ばかり私は質問をし直します。まくら言葉は少し多かつたのですが、少しも質問複雑多岐にわたつておりません。たつた一箇條であります。会計検査院は、会計法規違法性だけを指摘をすることによつて能事終れりというのではなく、憲法の規定する会計検査院権利義務というものは、国家予算執行を適正ならしむるということである、こういうことを申し上げておるのであります。あなた方が、これに対して毎年毎年たくさんの違法性、いわゆる批難事項指摘をせられておるということを言うのじやないのです。そうじやなくて、同じようにあなた方はこれを指摘をしておられますが、この指摘の中には、あなた方から見ると、全部違法性指摘しておるのですから、これは同列同級のものであります。私は、これは同列同級ではない。区分をして指摘をしなければならない、これをなぜやらないかということです。特に一つ例をいうと、区分乱つたというものを必ず戒告処分だけでやつております。区分乱つたものの中で、緊急やむを得ざるために、徴税費用の中から、警察官にこれを支給したり、それからその表彰に金を使つて指摘をせられておるものがある。これは大岡裁判つたら、違法性指摘せられるよりは、むしろ予算をなかなか適正に使つたということでほうびをもらつたものです。ただ、今は法律があるからできない。しかし予算区分乱つたという中に、特に庁舎費用をもつて特定の人に利益するところの官舎をつくり、住宅をつくつておる。住宅は、当時どうしても徴税官吏をたくさん入れなければならないし、適確徴税を行うためには、住宅が必要だつたのだ。一応その論はなるのです。但し、それはここで御答弁になつて、私たちが納得するだけで、事実は納得はしておりません。同じように、宴会費や何かに使つたというのもありますが、そうじやなくて、自動車を買つた、それから年に三回か四回しか使わないところの寮を買つた。こういうものに費目変更をしても、区分乱つたというだけで、簡単に訴追も受けないような批難の仕方であつて、はたして適正妥当な批難の仕方であるかどうか、あなた方が違法性指摘するということは、むろんわかりきつた話である。だからあなた方の人員が足りないとか、機構が小さいために、検査が不徹底であるから、徹底してくださいというのは、今の検査が不徹底だからというだけではない。この批難事項として掲げたものに一歩を進めて、もう少し是正をしなければならないことをあなた方はやらないじやないか。それは今いろいろな事件が出て来ると、機構が複雑になつたとかなんとかいいますが、出納官吏一つ見てごらんなさい。昔は出納官吏というのは、出納に対する一つのスキヤンダルが起きた場合には、筆頭課長である会計課長大臣官房会計課長、すぐ部長、局長になる人たちが全責任を負わされたわけであります。だから、少くともその下には、最もエキスパートといわれる相当年齢の、経験年数の古い人が小切手を持つてつたわけです。場合によつては、課長が小切手の判をつかなければならぬ。今のように二十二や二十三の人たちに小切手をつかしたことはない。そして課長局長というものは、ただしつぱなしでいいのか。こういう稟議に判を押すだけです。そうすると、払つたでしようというだけの話です。もう二箇月も前に決裁をしたから、金はあなたのところに届いておるでしよう。届いておるか、届いておらないかもわからない。わからないから、やみ金融や何かが起るのです。そこに私がいうところの公文書の偽造が起り、有価証券の偽造問題などが起り、また公団の例を見れば、私が言わなくてもあなた方はよくおわかりだ。これは戦前における日本の官僚には、あのようなだらしのない者はおらなかつた。その上に法律を幾らつくつても、こんなものはむだです。だからあなた方は、こんなことを言つた以上、そういう会計課長は少くとも減俸処分にするとか、しかも車を買つてもよかろう、おれの官舎をつくれという局長は、少くともおやめなさい、こういうくらいの処置をおとりになることが、憲法唯一無二会計検査院の義務ではないですか、こういうことを申し上げたのですから、簡単にひとつ……。
  12. 東谷博次郎

    東谷会計検査院検査官 ただいまのお話ごもつとものようでありまするが、そこまで会計検査院ができるということ、今のやめろというところまで——言葉じりをつかむのではないのですが、そこまでは行かぬのでありまして、法律ではやはり、非違を犯した者がある、不正の行為を犯し、よつてつて国に著しい損害を与えた場合においては、会計検査院法の三十一条でありましたか、それによつて懲戒の処分を本属長官に要求するというところまでが、会計検査院に与えられてあるのでありまして、それではその点をやつておるかというと、会計検査院はやつておるのであります。七百五十件ございまするが、これについては三十一条によつて要求はいまだいたしてはおりませんが、これはその宝刀を抜く前に、国会にお出しする前に、あるいは御審議を受けるまでに、当局をして処分をなるべくさせたいというところで当局に迫りまして、それぞれ当局は処分しておるのであります。その処分の結果は、今お話のように、非常になまぬるい点もあるのであります。しかしながら、これは御参考のために申しますが、この二十四年度の検査報告関係で、当局が国家公務員法の八十二条の規定によつて懲戒処分をいたしましたものが二百六人あるのであります。そのうち免職の処分にしたものが百十二名、その他減給でありますとか、戒告というふうに処置しておるのでありまして、そのほかのものはただいまお示しになりましたように、それぞれ訓告とかあるいは厳重注意ということにしておるのでありますが、ただなんぼ注意をしても、免職をしても、ほんとうに会計事務職員がその気持になつてもらわなくては困るのであります。それならば、会計検査院検査しておる結果、お前はどう思うかということでありますが、私どもが検査しておる結果は、戦場争中は御承知のように戦争第一主義と申しますか、経理あとまわしでありましたから、しばらくおくのでありますが、終戦後はその余波及び終戦後の虚脱状態のために、会計相当乱れておつたのでありますが、その後会計検査院で見たところでは、大体年年歳々よくなつておると思うのであります。ただ事項会計検査院検査徹底と同時にふえておりますが、事態そのものは全体的には大体よくなつておる、こう見ておるのであります。何と申しましても会計経理を担当しておる方々が、ほんとうにこれは血のかたまりである、血税であるということの認識を持つてくれなくては困るのでありまして、それと先ほど——これはお言葉を返すようでありますが、田中さんは、費目は少々違つても、たとえば警察官にやつたのだからいいじやないかというようなお言葉を申されるのでありますが、そういうことは、いやしくも国会予算を議定して右に向けという予算である以上は、左に向いた方がいいと思つても右に向いて—もちろん悪いことをしてはいけませんが、やはり右に向いた方に使わなければならぬ。それが民主国家における会計官吏予算執行のあり方であると思うのであります。むろん接待費に使いましてもあるいはその他居残料に使いましても、事態そのものは私ども見まして情のくみとるべきものがあるというものは、確かにくみとつておるのでありまして、そういう場合におきましても、予算の形式に欠けておれば、やはり予算に反しておる、それは、大きくいえば国会を無視するものだというふうに考えておるのであります。先ほど、一番初め仰せになりました批難をしつぱなしかということでありますが、これは先ほども触れましたように、法律会計検査院に迫つておるのでありまして、適正を期し是正をはかれというのでありますから、検査をいたしまして、その結果が現われれば、なるべく早く是正さすようにいたしておるのであります。でありますから、この検査報告をごらんになりましても、たしか是正の分は是正しておると書いておるつもりであります。補填しておれば補填しておる。それからなお十ぱ一からげに七百五十件を波のない、あやのない書き方をしておるじやないか、すなわちどれもこれも法規違反であるし、予算違反として扱つておる、軽重の差がない、こういうふうに仰せになるのでありますが、実は非常に案件が多くてこの案件を詳しく書けば、非常に大部のものになる。なるべくこれを圧縮して書きたいということで、私ども書きたいこともたくさんあるのでありますが、一行にこれを書いたことも、ごらんになればわかるのでありますが、この中にも、非常に悪いのは、はなはだしく経理を乱つておるとか、非常に悪いとかいうふうに掲げておるのでおりまして、それならばそれを示せということであれば、私どもの方から後刻お示ししてもよろしいのであります。なお七百五十件につきまして、ただいま私が申しましたように、それでは一目瞭然かというと、だらだら書いてありますから、一目瞭然ではありませんです。そこでこれは外部には発表してないのでありますが、やはりこれをしたためましたあとに、検査官会議を開きまして、私どもは特Aと言つておるのですが、一番悪いもの、それからその次に悪いもの、その次に悪いもの、その次と、四段階にわけて実は整理しておるのでありまして、軽重はおのずから会計検査院ではつけておるわけでありますが、こちらで局長なりが説明する時分には、重いものは重いように説明しておると私は思つておるのであります。  今の御質問に対してまだ説明の足らぬところがございましたならば補充したいと思います。
  13. 田中角榮

    田中(角)委員 私が発言を申し上げる前提を、東谷さんは御承知になつておりながら、やはり公人として答弁する場合はそういうふうになるのです。もう少し言うならば、この前小林局長がやつたのです。それできようまたあなたにおいでになつていただくことになつたのだと思いますが、私が言うのは、ここに羅列しておるからどうかというようなことを言つたんじやない。案外そうじやない。私はもつと歯にきぬを着せないで、ばりばりと言いたいことを言うならば言うのですが、私もこういう発言をするのは、新しく会計検査院がいろいろな処置をしてもらいたいということで言つておるのです。いわゆる出納官吏の問題なんかは簡単なんです。あなた方が十年前に各省会計検査をやつたときに、あなた方の前に呼び出された人たちはどんな人だつたか、今呼び出される人は一体どんな人か。今局長課長に闘いたつて、何もわからぬでしよう。二十二、三の若い人があなた方の前に行つて、こうなつているのです、そうなつているのですと説明しておられるはずなんです。それだから、いろいろな問題が起きておる。そういうがんをどうして除去できないのですかということなんです。あなた方が、越権行為だと言われるのだつたら、これはしようがない。しかし越権行為ではありません。それは、憲法にいうところの会計検査院の責任というものは、ただ検査を行つて非違を指摘するだけではなく、予算執行の上に、とにかく適正を期すことが任務ですから、言うことはびしびし言つてもらわなければならぬ、言つて直させなければならぬ。その中の尤なるものとして区分乱つたということを私は申し上げたのです。しかも区分乱つたもののうちで、田中が言うには、右を向けと言つているのに左を向いたつて時と場合によつてはいいじやないか、こういうことを私が言つたようにおとりになつているようですが、そうではないのです。それは言葉のあやで、違法性指摘せられるのはいいのです。ただもつと極端に言うと、悪いものはうんとはつきりここに指摘をしなさい。それで、ここに処分表がこれだけ届いております。大体処罰をした人はだれ、処罰をされた人は一番最後の小切手の発行者であるということだけ書いてあるが、そうじやないですよ。これは、この内容をごらんなさい、完全に局長から謀議をしてそのまま買つたようなものがある、完全にそうでしよう。何月何日回収すべしという命令を出して、局長が決裁し、次官が決裁しておりながら、これに対してさつぱり責任は持つていない、金は何年たつても返らない。こういうようなものに対しては、ただその所管者だけを処罰するのでなく、もう少し上の方もおやめになつたらどうですかというくらいに、会計検査院が一歩進めて言つたならば、この批難は五分の一、十分の一に減るでしよう。こういうことをやる意思がありますか、ないですか、こういうことです。
  14. 東谷博次郎

    東谷会計検査院検査官 はなはだ手きびしい御質問だと思うのです。そういうふうに会計検査院がやる意思があるかどうかということですが、その意思があるといたしましても、今ただちにやるということは、法制上できぬのでありまして、法制を整えて行けばできることだと思うのであります。  なお、先ほど会計検査院検査に行つても、部長とか局長あるいは課長は全然説明もしないで、若い人だけが説明しておるじやないかというお言葉でありますが、実際はそうではないのでありまして、やはり会計検査院が行つて検査する場合には、少し大物が出過ぎるくらいなところが来て説明するのでありまして、むしろ私どもが検査いたしまして、ほんとうに実際の事務をやつておる課長であるとか、課長補佐であるとか、あるいはその次くらいのところが来て説明すればいいのに、上の人が来て説明するということがありがちなのであります。それはこういうことであります。私どもの方から下の者をやりますと、上の者が総括的な、大きなところで説明をしようとして、上の方の方が説明されるということが多いのであります。しかしながら、ただいま仰せのように、また実際上やつておるところは下つぱじやないかということでありますが、下にもよりけりでありまして、下にも非常に優秀な者もあつて、優秀な者を見ておそらく各官庁ではそれに任命して——任命権者は御承知のように各長でありますから、各長が任命してやらせておると思うのでありますが、私どもが、そういう非違があつた場合に、責任を追究し、最初質問をするという者は、みな課長なり局長なり、あるいは次官を相手にしてやらせておるのであります。従いまして、その責任を追究する場合も、課長局長というところで責任をとるべきじやないかということは、一応は申すのであります。申すのでありますが、処分をされる相手方の官庁におきまして、やはりこの場合における処分は、この局長にあらずしてこの課長である、あるいはこの課長補佐であるというふうなぐあいで処分をしておられるようであります。それに対して、さらにそれではいけないということは、一応口頭では言いましても、強権的に発動しておるということは、今までないのであります。
  15. 田中角榮

    田中(角)委員 まあけつこうです。
  16. 菅家喜六

    菅家委員長 一応私からも会計検査院東谷さんにお伺いしておきたいことがあるのです。大体この前の委員会、においての意見は、今田中委員が代表されて質問されたのでありますけれども、ただ一点だけ伺つておきたいのです。今の御説明を伺つて、どうしても納得の行かない部分は、年々本委員会検査報告書が出て参ります。そのうちに同じようなことが繰返されて、各官庁に数年同じ非難事項が出て参ります。これは一体どういうわけなのか。会計検査院というものが検査をして批難をして、それぞれの者を処分した報告書国会に提出されて、また委員会において検討するにもかかわらず、批難事項の同じ種類のものが数年にわたつて出て来るということは、われわれの納得できないところなんです。これをどうして除去するか、是正をされるお考えであるかということが一つ。  また国民一般の考え——今の憲法上の解釈ではありません。この前各種公団の不正事件というものを、本委員会でも調査し、特に考査特別委員会において、各種公団の不正事件というものを調査したのでありますが、国民一般が受ける感じは、これだけの各種の公団というものが不正事実を働いたのに、数年前からやつてつたことが、国費を使つておる国家機関の公団の会計検査において、なぜこれを会計検査をして未然に防げなかつたか。たとえば、その一点において、私どもは当時会計検査院に伺つたのでありますが、会計検査院の解釈は二つになつてしまつた。最後に責任者である院長を呼んで、それは間違いであるということを、国会において確認した事実があるのでありますが、あの公団の不正事件というものの調査から受けた感じは、何としても、簡単な言葉でいえば、会計検査院が少しゆるいのではないかという感じを受けるのであります。憲法上の解釈ではありません。国民一般の今日の声は何かというと、どうも会計検査院というものは少し昔と違つておる、昔は会計検査院が行くと、みなふるえ上つてしまつたが、近ごろは会計検査院の方が会計検査に行つても、まあ何か予算執行乱つた批難されたものがあれば、会計検査院のおつしやる通りであります、この次からこれは注意いたしますという答弁書が、それぞれの官庁から出て来て、同じようなことが必ずまた来年も出て来ることは明らかであります。これでは国民は納得しません。われわれまた国民の代表機関、国権の最高機関の国会としても、これは考えなければならないのでありまして、年々同じことが繰返されて、しかもそれが是正されないというこの一点、公団のごときものは、私どもはどう考えてみても、会計検査院が厳然としてやられておつたならば、あの公団の不正事実というものは半分で済んだのじやないか、国庫が不利益を受けるのは半分で済んだのじやないか——莫大な金を国庫は損をいたしております。これらの事実から見ても、今行政監察委員会というのがあつて、その行政監察委員会でもやつておりますが、われわれの方の委員会は二年前のことをやるのでありますから、もうこの委員会で取上げるときは、担当者もみなかわつております。委員からいろいろな話がありますが、まあ二十五年度の分をやるとなれば、行政監察委員会にでもまわさなければ、まだわれわれの委員会に付託になつてもないものを本委員会審議するわけにも行かないという事情もあるのであります。この一点を、法理論でなく、もつとざつくばらんにこの委員会東谷さんから御説明を願いたい。しかしながら私どもは、そういう是正ということは、先ほどもお話があつた通り会計検査院にばかり責任を負わせてもしかたがありません。やはりその担当者というものが、自分の仕事の重大性を認識しなければ、いくら会計検査院があつても、裁判所があつても、検察庁があつても、罪人は絶えないのと同じことであります。私どもの考えは、この会計法上の不正事実とか不当支出であるとか、それらの事柄について、会計検査院にのみ責任を持たせようという考えは、ごうまつもないのであります。しかし会計検査院が主として厳然とやることが第一、さらにその他の国家機関というものがその線に沿うて行かなければ、最近の官吏の不正事実——不当支出ばかりではございませんが、こういうことは直りません。きようは国会の議院運営委員会においても、出張の者は、国会会期中は断じて出張させないということを各党で申合せしたのであります。どうもその方の知識もなければ何も持たない議員が、五人十人九州の災害視察に行つても、技術的に何もわからないのであつて、むしろ国費の濫費になる。どうも最近の役人は地方に出張して非常な迷惑をかけておる。慰労休暇のような意味で出張して、国費を濫費している。これを最高機関の国会是正しなければならぬのであるから、まずその見本をわれわれが示さなければならぬのだということを、議院運営委員会で、各党の委員から強く発言がありまして、先ほどそういうことに決定したようなわけであります。私どもはひとり会計検査院に全責任を負わせて、これらの是正に当ろうという考えから申し上げておるのではないのであります。すべての機関がその線に沿うて行かなければならぬのであるが、ざつくばらんに言うと、会計検査院がどうも少し緩慢な、手ぬるい感じを国民一般に与えているということは、たいていの人の見るところだと思います。この際東谷さんから、その点を、もう少しざつくばらんに、打明けたお話でもけつこうですから、法理論を別にあえて聞く必要はないのでありますが、どうぞひとつもう一ぺんだけお話を願いたいと思います。
  17. 東谷博次郎

    東谷会計検査院検査官 ただいま、まことにごもつともなお話を伺つたわけであります。同じような不当事項が年々歳々繰返されるのは、どういうわけか、会計検査院検査が届いていないのじやないかという意味合いのようでありますが、これはただいま委員長から仰せになりましたように、一般的に申しましても、裁判所なり検察庁があつても、昔から浜のまさごは絶えないというのであります。それにたとえるわけではありませんが、私どもも実は遺憾千万に思つているわけであります。検査報告だけからいえば、年々歳歳ふえておる。減つているのならよろしいのでありますが、ふえておる。こういう事態に見まして、長年会計検査をやつている私どもとしましては、まことに心外に存じておるのであります。そういうことに対しては、どうしているかということでありますが、たとえば年度末などになりますると、よく昔から言うのでありますが、年度末相場が立つ。すなわち三月、四月になると、官庁関係に対するものが高くなるということを言われるのであります。それは何を意味しているか、予算を残しては腕がないといわれるし、何でもいいから買えというような気分が、実際上調べてみると幾らかある。それから、できもしないのに、切りが三月でありますから、六月にできようが八月にできようが、三月にできたといつて、工事でもできたことにして小切手を受ける、予算を使うというようなことがたくさんあるのであります。これはこの検査報告の中にも相当あるのでありますが、さようなことがあつてはいけないというので、新民法になつてから、何度もそうしておるのでありますが、大蔵当局なりその他各当局に対して、年度末にはこういうことがあるから、あらかじめ注意してもらいたいということを一月、二月に手を打つているのであります。あるいは内閣に対しても、打つているのであります。それに対して、ただちに大蔵省なりその他の方では、そういうことのないようにということで、自戒しておられるのでありますが、会計検査をしてみると、依然としてそういうことがたくさんあるのであります。まことに申訳のない次第だと思うのでありますが、それならば、それを厳重に処罰したらどうだと言われても、先ほどのようなことで、どうも処罰権というものはないわけであります。そういうふうにして、とにかく会計検査院としては、尽せるだけは尽し、なおそれで足らぬものでありますから、去年から始めたのでありますが、検査報告ができ上りますと、各省の次官なり、経理担当の局長に来ていただきまして、検査官のところで、実はこういういうことが年々歳々繰返されるので困る、国会においても非常に心配されているのであるが、われわれとしてもそうであるし、あなた方としても心外千万であろうというので協議をいたし、御注意を喚起しておるような次第であります。その程度ではなまぬるいといえば、そうでありますが、できる限りは尽すのでありまして、なお今後においても、ただいまのお言葉によつてさらに考えまして十分の手を尽したいと思つているのであります。  なお、先ほどの公団についてでありますが、会計検査院検査徹底を欠いているというか、思うように行つていないからあんなことが起つたのだろう、それは結果的にいえば、あるいはそうであつたかとも思うのでありますが、しかし私どもをして説明させていただくならば、われわれが調査をしておりましたから、実はあの程度で治まつておる、こう思つておるのでありまして——こういうことを申し上げるのは、実はざつくばらんに言えということでありますから、お許しを得て申し上げるのでありますが、実はああいうことをする人は非常に上手でありまして、会計検査院が行つて検査をしましても、書類ではなかなかわからぬようにしているのであります。右と左とさらにまん中とあととの四つを合せれば、このものの真実性はわかるというので、会計検査院がやつてみますと、あにはからんや、それはメーキングしているのであります。そのメーキングはどこでしているか、その相手としている。相手までは会計検査院が調べることはできぬところから、遺憾ながらいろいろな事件が発生しておるのでありますが、もし手前みそを許されるならば、ああいうことをする人は悪知恵が非常にたけておるのでありまして、私どもの及ばぬところがあるのでありまして、まことに遺憾に思うのであります。  それから一応私の感想を述べておきますが、終戦後書類をつくるといいますか、メーキングといいますか、これが多くなつたように私は考えておるのであります。書類が整つておればよろしいじやないか、すなわち会計検査院に行つても、書類が整つておれば、会計検査院は書類を見て実物を見るのでありますが、書類を見て、書類が合うし、実物が合うといえば、それで一応その検査はとじるのでありますが、そこのところの書類のメーキングの上手な人があるのであります。悪いことをするのは、そういう人であります。そういうわけでありまして、会計検査院検査方針として、えげつない検査——えげつないといつてははなはだ恐縮でありますが、御承知でありましようが、会計検査は、悪いことがあるということを前提としてやつてはいかないということを、私は言うのであります。ここが検察庁と違いまして、検察庁は煙の立つたところに行くのであります。すなわち火があるだろうというので行くのでありまして、悪いことが前提となつております。従つて場合によれば、言葉も横柄かもわからぬのでありますが、会計検査院は、いかにやつているかという状態を見るのでありますから、どういたしましても摘発主義でないのでありますが、悪いのがあれば、見なくてはならぬので、昨年あたりから、ある省のあるものに対しましては、少しえげつないけれども、こういうふうにやろうというので、実は検査官会議にかけまして、ただ普通の検査をやつてはいけないといつて、抜打ちにこことここを強引に見ろ、それからこつちに帰つて来てこういうふうにやれというように、ちよつと検察庁がやるようなことになるのでありますが、ここのところのこの部分はそうしなければ究明ができないというので、その手を使つたのもあるのであります。そういう手はあまり用いないようにはしておりますが、そういうふうにしてまで検査徹底を期するようにしておるのであります……(「まだ遠慮しているね」と呼ぶ者あり)いや遠慮といいますか、会計検査院の行き方としてはそういうふうに行くべきだという方針を定めてやつておるようなわけでありまして、ただいまの委員長の御質問に対する説明は、もし足らなかつたら補充したいと思いますが、この程度でいかがでございましようか。
  18. 菅家喜六

    菅家委員長 私は希望だけ述べておきます。ただいまざつくばらんな説明がありましたが、まだ私どもは、納得しない点があります。それは、年々こういう同一の批難事項が出て来ることは、あたかも検事局、警察があつても罪人が絶えないと同じだというようなお考えがあるようですが、これはたいへんな大間違いだと思う。それの一番いい例は、予算の使用当を得ないもの、二九五、二九六、二九七と、この種類のものは、国家の公務員としてこれがいけないという批難を受けたら、再びあつてならないものでありまして、もし二度したならば、これは厳重な処分を所管省はなさるべきものである。われわれは今後各官庁に向つて国会の許される権限の範囲内において、各省に強く要求するつもりです。ただ一片の注意ではない。去年は会計検査院でこんなことを批難したけれども、説明書を出して、申訳なかつた、自動車借上料としてまかない費や接待費に使つてはならない、それと同一種類のものがあつても、これは行つてあやまればいいのだ、委員会に行つて、まことに申訳ない、会計検査院の言う通りだ、来年から改めますと言つてしまえば、それで済んでしまうのだという考えを起します。一片の注意では批難事項などというものは決して少くなるものではない。それを私どもは言いたい。たとえばその次の二九八の、未完成建物に対する購入費の支出というものは、建物のでき上らないものに払つてはならないということならば、来年もこれと同じようなものがあつてはならない。未完成の建物に対して、今金を払うことはいけないことだ。これは警察や検事局でどろぼうや詐欺やその他のものを取締るのとは趣が違うのだということを考えなければ、たいへんなことになる。年々同じことをやつて、いくら会計検査院で未完成の建物の購入費などを一時流用してはいけないのだといつても、これは注意を受けるだけでは、いつまでたつても各官庁のこれらの公務員というものは、この批難事項に対して是正するという考えは起つて来ない。会計検査院が強くそれらの官庁要求をし、さらにまた国会も各関係官庁に強く言わなかつたならば、この批難事項というものは消えて行きません。われわれはそれをいいたい。手前みそだとおつしやるけれども、この手前みその観念を会計検査院に去つてもらわなければならぬ。手前みそで今よく行つておるのだ、公団の不正支出というものは、会計検査院があつたからとどまつたのであつて会計検査院がなかつたら、あれに二倍するだろうという考えは、もつてのほかの話だと思う。たとえばわれわれしろうとが指摘したのでありますが、会計検査院は公団が三千八百万円の受払い調書を焼き捨ててしまつたという事実を知らなかつたではありませんか。そういうことで、会計検査院があつたから、あの公団の不正支出をあれだけで食いとめたなどという手前みその考え方が、東谷さんのような検査官の人にまで考えられておられては、国民会計検査院に信頼を払わないことになります。国民の協力のない、国民が共鳴しないところに、憲法上いかなる解釈があつても、私はその存立というものは疑いを持たざるを得ないことになるのであります。私は一つ希望として、今の東谷検査官の手前みその観念を一風してもらいたいということを申し上げておきます。これは今行政監察委員会で各種の官庁をやることになつておりますが、これによつてまた会計検査院に御迷惑を願わなければならぬ。そうして私どもは国民の代表として会計検査院希望要求をするはずになつておりますが、私はまず第一にこの手前みその観念を去つてもらいたい。会計検査院は、努力しておるけれども、まだまだ足りないことは遺憾である、しかしやるというお考えならばいいけれども、会計検査院が厳存しておるから公団の不正事件もあれだけで食いとめた、年々の批難事項はどうもどろぼうや詐欺が絶えないのと同じだという考えで、こんな検査報告を出しておつたら、たいへんであります。これは別に答弁を求めておるのではなく、委員長としての希望を私は強く述べておきます。
  19. 東谷博次郎

    東谷会計検査院検査官 ただいまおしかりを受けまして、ごもつともであります。手前みそということを申しましたのは、そうではありませんで、実はたとえば二九七号などにつきましても、こういう事態に対して会計検査院は、ただ向うが注意をするというから、それで黙つておるかというと、そうではないのでありまして、今後もあくまでも追究して行くつもりでありまして、注意するという以上は、その次はないものと確信しておるにかかわらず、他のところであるのでありますが、さようなことであればあるほど、強く今後は——委員長のお言葉もありますし、会計検査院としても、当然に強く処分あるいは是正を要望し、また必ず是正さすという方向に向つて行きたいと思うのであります。なお年々歳々同じような事件とかその他不当事項がたくさんあるのでございますが、これはなるべく不当事項のないように会計検査院検査徹底しまして、こんなによくなりましたということを御報告いたしたいと念願いたしておるのでありまして、かりに検査報告に掲げるといたしましても、是正した事項——悪いことがあつて会計検査院が見つけて是正させた、こういうふうな体裁で、なるべくほとんど全部の検査報告をしたためたい、そういうふうな気持でおりますので、どうぞ先ほどの点は御了承願いたいと思います。
  20. 三宅則義

    三宅(則)委員 ただいま菅家委員長並びに田中委員から詳細な質問がありましたので、わかつておりますが、希望と答弁を承りたいことが一つあるのです。一点、二点、三点ありますから、ごく簡単に御答弁願います。  決算期は、会社等においては一年二回必ず総会を開いて報告しておるわけですが、検査院も半年くらいでなるべく検査決議ができて国会報告するようにならないものであろうかどうかということ。それから先ほど検査官言つておられましたが、年度末になりますと濫費をする、あるいは支払いをするにあたつて、できていないものを支払つておる。こういうことは、繰越しということをわれわれの私経済においては用いているのでありますが、公経済においてもそういうことを認めてもいいのではないかと思うのですけれども、検査官としてどういうふうに観察しておるか、こういう点を第一点として承りたい。  第二点のおもなるものは、先ほど田中委員も言われましたが、早船事件のごとき、係官が、ほんとうに二十二、三才の若い者がやつておる。これは少くとも局長——会社でいうと専務、常務、こういう者がサインをして判を押しておる。しかるに官庁になりますと、雇みたいな者がやつておる。これはまことに不均衡でありますから、少くとも局長あるいは次官というような者が責任を持つてつていただきたい。私経済では、出張所でありますとか、あるいは分店でありますならば、その最高の地位にある者が判を押す、こういう制度にしたらいいと思うが、検査官はこれに対してどう思つておられるか。  第三点は、先般委員長からも申されましたが、国会議員が一人か二人視察に行きますと、向うの官庁では十倍も二十倍もの人が出て来て一種の濫費をするということがある。わずかに一人か二人の出張には、向うも一人か二人出ればいいのでありますが、総出で濫費しておる。これはまことに不均衡きわまる。二人か三人だつたら、二人か三人出たらよろしい。これはぜひ是正したいと思います。以上三点についてあなたから率直に言つてもらいたい。
  21. 東谷博次郎

    東谷会計検査院検査官 一番初めの決算期のことでございますが、御承知のように国の決算は三月三十一日までのもの、それから四月までやりますけれども、それを七月三十一日もしくは八月三十一日に主計簿を締め切りまして、そうして政府の方ではその決算会計検査院によこすわけであります。最近は非常に勉強されておるのでありますが、それでも二十四年度の決算は、ここに書いてございますように、去年の十一月二十四日に会計検査院に来ておるのであります。そうして会計検査院に来まして、あの厖大な総決算なり、各特別会計決算、政府機関の決算などを見て、その検査を確定をするのであります。それも決算が来ますると、昼夜をわかたずやる程度にいたしまして、居残りをさせて検査をして、ようやく去年は年内に片づいたのでありまするが、印刷その他の関係で一月にまわつて、ことしの一月の十二日に決算を全部確認して内閣に送付しておるのであります。決算が来ましてから約四十日ばかりで確定を出しております。
  22. 三宅則義

    三宅(則)委員 来る前に事前検査しておるでしよう。
  23. 東谷博次郎

    東谷会計検査院検査官 事前検査しておりますが、来ましてから、その本物についてやらなければ、やはり決算を見たということにならないので、その本物に対してやるわけでございます。これは全部本物を一から十までやつておるのであります。二箇月よりも早いと思うのでございます。  それからもう一つは、年度末の繰越しの点でございます。これは御承知のごとく、政府予算におきましても繰越しは認められておりますけれども、この繰越しが、いろいろな事由を出したり、なかなかむずかしいのでありまして、むずかしいから、なるべく繰越しの手続をとらないで処理しようというところに無理があるわけで、私事務総長時代、衆議院におきましても、その点は何度もここでこういうふうにされたらよかろうということも申し上げ、それから会計検査院としても、意見書をたしか大蔵省でありましたか、一度か二度出しまして、その後内閣で閣議にかけられて、たしか繰越しは今では手続が相当にやさしくなつております。しかし、なおそれでももう少しやさしくしたらいいのじやないかというふうに私は考えております。  それから監督官が局長なりあるいは出張所の所長でないという点でありますが、それは私も同意見でありまして、その上の人が責任を持つて判を押すならば、その責任を持つて判を押した者に対しては説明をし、最後まで責任をとるということでなければならぬと考えております。
  24. 三宅則義

    三宅(則)委員 それを二十二、三才の者がやつておる。
  25. 東谷博次郎

    東谷会計検査院検査官 それは相手方の方でやるのでありますが、私どもは賛成しておりません。  それから出張の際の接待でございますが、これは実は私ども非常に残念に思つておるのでございまして、せつかく接待をしていただくのでありますが、接待というものは、会計検査院に関する限りは接待を受けてはならないということで、私が事務総長時代にも三回か各省の次官、それから各県知事全部にあてまして、はなはだおこがましいのでありまするけれども、会計検査院検査に行つておじやまをしておる上に、さらに饗応などのようなことをしていただいては恐縮千万であるから、饗応などを絶対にしてはいかぬというお願い書を出しておるのであります。会計検査院のために接待費をこれだけ使つたといつて、場合によると新聞などにも出るのでありますが、そこで会計検査院はついでのときに行つて調べますと、ただいまお話通りであります。会計検査院の方は三名でありますけれども、相手の方は十名か二本名、多きは三十名にもわたつておるというようなこともあるのでありまして、迷惑千万であります。これに対しましては、私は国会議員の方に言うのではありませんが、会計検査院に関する限りにおいては、接待を受けないようにするということで行きたいと思うのでありまして、そのあたりで御了承願いたいと思います。
  26. 菅家喜六

    菅家委員長 大蔵省所管中、財務局関係の分について審議いたします。報告書六十二ページ、報告番号三〇二、庁舎移改築工事の施行に当り処置当を得ないもの一件、これに対する大蔵当局の説明を求めます。大臣官房小川会計課長
  27. 小川潤一

    ○小川説明員 御説明いたします。決算報告書にあります通り、私の方の大蔵省の地方部局の長崎財務部に正式に二十四年度予算で二百四十万円がおりまして、海軍関係の旧財産を移改築して地方部局の庁舎にしたらよい、こういう建前で予算をきちつと盛つてあるのですから、その通りやればよかつたのですが、実は実行しようと思つたら、地元でもつて、いやあの建物をこわされては困る、あれは自分の方のカトリツク教会の建物に使わせてくれというような問題が起きました。これも私経済でよく考えがちなことで、それではそれを売るからその金をよこして、その金と予算を足してこつちで長崎の財務部を別に建てたらよいではないかという、いわゆる官庁会計の頭がしみ込んでいないと、ついやりがちなことでございますが、それを出先でやつてしまつて、地元の言うなりにそれじやある請負師を立てて、そいつをお前引取れ、そうしてその金と予算とを足してつくつてくれ、こういう結果になりまして、検査院の御指示通りに、いわゆる会計法規違反をやつてしまつたわけであります。これもさつきから田中先生のおつしやるように、はたして人間的違法であるか、会計法的違法であるか非常に問題でありますが、しかしとにかく会計法規によりまして国家の歳入と歳出はどこまでも二本建で別勘定で行かなければならぬ、そんな途中でもつてあつちへやり、こつちへやりされたのでは、国としては監督できないという建前で会計法はきちつとなつておりますので、これは厳然とした批難事項に値することでありまして、私ら上級官庁といたしましても、これではいかぬとはつきり言いまして、その処分もしかるべく履歴書に載るような懲戒処分をやつております。地元も、事が意外に大きくなつたので、非常に所長以下恐縮して、今後そういうことが役人生活にないようにと自重しておりますので、ひとつ御了承願いたいと思います。  なお私、会計課長を三箇年もやつておりますので、ちよつとよけいなことかもわかりませんが、この際発言させていただきたいのですが、先ほどから検査院並びに決算委員会云々の話がありました。実は私は実行者の立場といたしまして、今日までやつておりますが、検査院の検査がある、あるいは国会決算委員会に出るのだということがありますので、問題はここにわずか一冊に出ておりますが、——これを私はいつもいわゆる文鎮と称するのですけれども、経理担当者は非常に緊張します。つまり特に最近の検査院の態度は、昔の書面審査から、年二回見えまして、微に入り細にわたつて検査されまして、私を初め係官は非常に緊張して国の予算の適正な執行を期するという状況になつておりますので、事実検査を受ける立場、あるいは経理担当者として、この決算委員会に、ちよつとよけいなことかもわかりませんが、発言させていただきました。
  28. 菅家喜六

    菅家委員長 この際ちよつとお諮りいたします。それは理事補欠選任の件についてでありますが、理事金光義邦君が本日理事を辞任いたされました。ついては理事補欠選挙をこの際いたさなければならぬのであります。委員長より指名するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 菅家喜六

    菅家委員長 御異議なしと認めまして、田中不破三君を理事にお願いいたします。     —————————————
  30. 菅家喜六

    菅家委員長 委員長は、これから特別委員会の方に出席しなければなりませんので、田中理事委員長代理をお願いすることにいたします。どうぞ続いて御審議願いたいと思います。     〔委員長退席、田中(不)委員    長代理着席〕
  31. 三宅則義

    三宅(則)委員 先ほど来、会計検査院東谷検査官の答弁があり、またわれわれ委員の方からも厳重なる申し入れがあつたわけでありまするが、今会計課長お話になりました三〇二番、福岡財務部、長崎出張所のことであります。これにつきましてひとつお伺いしたいのですが、大蔵本省の方に許可を得てやつたものですか、かつてに地元の出張所長がやつたものでありましようか、その辺はどういういきさつになつておりましようか、承りたいと思います。
  32. 小川潤一

    ○小川説明員 現実の担当者である地方課長がその間のいきさつをよくよく知つておりますから、地方課長の方からお答えいたします。
  33. 太田源藏

    ○太田説明員 当時は予算がありませんので、庁舎をつくる場合には、多く旧軍用財産を移築するということによつて、できるだけ少ない経費でたくさんの建物をつくりたいという意見があつたわけでございます。当時長崎といたしましても、全部新築ではとても予算が足らぬ。移築できる建物があれば、この際二百四十万円ならば予算をつけてやろうということで話がついたわけであります。従いまして、実はどの建物を移築するかということにつきましては、中央から指示しておりません。またその建物を移築すると思つていましたところが、あとで見に行きますと、今言つたような始末になつておるといつたような関係で、中央としてははなはだ監督不十分でありまするが、全然連絡なしにやつてしまつたわけであります。
  34. 三宅則義

    三宅(則)委員 今のお話でございまするが、少なくとも契約をかわして新築するのですから、上級官庁といいまするか、どこかと相談なしに、かつてにやるというようなことは、私ども常識上考えられないのですが、どうですか。それは一体だれが許可したのですか。結果のいい悪いは別といたしまして、仕事をやるということに対して、移築すべきものであるのを新築したというのは、だれの責任であるのか、だれか責任者があるはずだと思う。その責任者がわからないで、かつてにできるはずはないと思います。もう少し監督を厳重にしなければならぬと思うが、監督者はだれですか。
  35. 太田源藏

    ○太田説明員 本省は予算を流すというのが仕事でございまして、実際に契約をするのは、当時の福岡財務部——長崎には麦部長というものがおりますが、契約上の責任者は福岡の財務部長でございます。ところが、実際にその内容を変更さすという具体的な指導をしたのは、長崎の支部長でございます。従いまして、今回の事件につきましても、支部長に対しては、法規的な責任はございませんけれども、実質的に最も罪が重いという意味で、戒告処分に付しました。それから契約上の責任者につきましては、訓戒して処分したというふうに、責任をこの場合は段階をつけて処分しました。
  36. 三宅則義

    三宅(則)委員 もう一点だけ会計課長に伺います。結論としては、そういうようにたいへん結果がいいかもしれませんけれども、やはり区分を明らかにする、そういうことをしたい場合には上長官庁と言いますか、上の人の許可を得てやるということにしないと、国政はうまく行かぬと思います。でき上つたものは、かえつて移築したものよりもりつぱにでき上つておるということになるわけですが、そういうことにつきまして、支部長がかつてにやるということになると、すべての工事が末端に行きますと、中央官庁の申したことと逆になつてしまう、あるいは方向がかわつてしまうということもあるわけですから、なるべく中央官庁の示したようにやつてもらうべきであろうと思います。もしそれを変更するような場合におきましては、その土地の財務局長の許可を得る、もしくは相談をして、ひいては本省にまで行くというふうにしたならば、おそらく会計検査院のおしかりをこうむるようなことはないと思います。私は何もでき上つたものに対して、かれこれ言うわけじやありませんが、やはり法の精神にのつとり、法の運用につきましては、上の人の許可を得ることにしなければいかぬと思いますから、一応御注意申し上げておきます。
  37. 田中不破三

    田中(不)委員長代理 次に会計検査院側より補足的の説明を願います。
  38. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院説明員 三〇二号の長崎の支部庁舎の問題でありますが、先ほど会計課長から御説明がありましたことで、大体尽きておると思います。今三宅さんのお話で、いいものができたということでございますが、これは三百万円で建物を売つてしまいまして、二百四十万円の予算を本省からもらつて、結局五百四十万円もの金がかかつたわけであります。坪数を比べましても、値段もいいようでありまして、どうしてもそういいものができたということにはならぬわけであります。どうぞその点お含みおき願います。こういうことを本省は知つていたかどうかということでありますが、その辺のところは、私らとしては別に—こういうことは会計法では非常にやかましいのでありますが、大蔵省会計検査院批難ともいうべきこういう事態がありましたのは、実は非常に珍しいことでありまして、この案件は先ほど東谷検査官からもクラスわけをしておるというお話がございましたが、私どもとしては、実は相当程度の悪い案件というふうに考えておる次第であります。
  39. 三宅則義

    三宅(則)委員 実は高橋權六委員も、御出張の際に長崎に立ち寄られました。われわれもでき上つたものは見ましたが、今局長お話によりますと、五百万円も使つておりながらあれだけのものしかできないというのは、ごもつともな御意見でありましよう。これは大蔵省ばかりというわけじやありませんが、各官庁とも区分を乱さないように、同時にまた、先ほど繰越金制度ということを言われましたが、ああいうものも、今後一応あつてしかるべきものと思うのです。繰越すべきものは繰越してりつぱなものをこしらえるという方法を講じた方がいいのであつて、できもしないものをできたと言つたり、かつて区分を乱してつくつたりすることはおもしろくないと思うのです。これに対して局長からもう一度、実際面として困難であるかないかということを御発表願いたいと思います。
  40. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院説明員 本件とは直接関係、ございませんが、予算の繰越しという問題につきまして、三宅さんから御質問がありましたので、私ども扱つている事柄について、簡単に御説明申し上げたいと思います。官庁では一般に年度末にいろいろ仕事がたまるという傾向が、昔から多いのであります。当然年度末までに使うべき予算が使えない、それから戦争中、戦争後、いろいろ物の調達であるとかいう面で、年度末までにやる予定であつた工事が、物が入らぬからできない、こういう状態が実は相当多かつたのであります。ところが会計法の建前といたしまして、予算年度の独立ということが相当昔からやかましく規定されているわけであります。従いまして、繰越しというものは、結局予算年度の独立という原則の例外をなす関係で、できるだけ繰越しを少くする。法律の上からもそういう考え方が出ますし、また担当者といたしましても、自分が使うべく義務づけられた予算を、年度内に使い切れないということは、いろいろな問題を残す関係もありまして、なるべく年度内に予算を消化してしまいたいという気持が強いのであります。制度はいろいろやかましい、担当者としても、予算は年度内に消化してしまいたい。こういうようなことが重なりまして、実際に使いもしない予算を、年度末までに使つたかのような作為をする。強い言葉で申しますならば、書類を偽造するというようなことが、昔から相当広範囲に行われておるのであります。程度のひどいものにつきましては、検査報告の中にも実は年々出ておりまして、先ほど来お話がありました、会計検査院が年々歳々同じようなことを批難しても、さつぱり改まらぬというものの、おそらく代表的なものではないかと思うのであります。これにつきましては、先ほど東谷検査官からもお話がございましたが、会計検査院といたしましては、なるべく繰越し手続を容易にするというようなことを、文書でも申しますし、検査報告にも掲げますし、いろいろ手を尽しているのでありまして、その結果と思いますが、今年の一月でありましたか、大蔵省でも繰越し手続を非常に簡単に改正されまして、現在に至つているのであります。ところが各省が相かわらずその繰越し手続をめんどうくさがるという傾向が、まだ抜け切れないのであります。これは大蔵省の取扱いも逐次簡単になつて参りましたし、逐次改つて行くものと思いますが、現在のところは、まだ決してよい状態にはなつていない、こういう状況でございます。
  41. 田中不破三

    田中(不)委員長代理 他に御質疑はありませんか。  次に報告書六十二ページ、物件、報告番号三〇三ないし三六〇、すなわち国有財産の貸付料及び売渡代金の収納処置当を得ないもの、機械の貸付料が低価に失したもの、戦時補償特別措置法による国有財産の譲渡に当り処置当を得ないもの、船舶の売渡に当り処置当を得ないもの、未完成船舶の売渡処置当を得ないもの、特殊物件売渡代金の徴収処置当を得ないもの、物納財産売渡代金の徴収処置当を得ないもの、国有財産の売渡に関し処置当を得ないもの、国有財産の管理当を得ないもの、社寺国有境内地の管理当を得ないもの、以上五十八件を一括して説明を願います。管財局総務課小林説明員。
  42. 小林英三

    小林説明員 御説明申し上げます。まず三〇三号ないし三二三号の、国有財産の貸付料及び売渡代金の収納処置当を得ないものについて御説明申し上げます。  会計検査院指摘の状況でございますが、これにつきましては、この答弁書にございますように、実は終戦後、旧軍用財産の引継ぎの問題、それから後に出て参ります物納財産のような問題が非常に出まして——これまでそうした財産は非常に少かつたのでございますが、これをいわゆる売払いの財産として、大蔵省が処分するごとになつたわけでございます。この処分の内容といたしまして、できるだけ売るという建前でやつて来たのでございますが、中にはこれを貸付という形でしたわけでございます。しかしこの件数が非常に多いため、しかも今までやつたことのないようなところで、これの貸付もやり、あるいはまた処分もするということになつたものですから、たとえば山の中にある財産を、これまで扱つたことのない、国有財産系統の者がやるというようなことになりましたので、非常な手違い、あるいは仕事の上からの徹底が不十分だということにおきまして、いろいろと貸付料の算定の仕方が不十分である、あるいはまたとるべきものも督促してとらなかつたというようなことが出たのでございます。まず三〇三号以下簡単に最近の私の方で調べましたその後の状況を報告させていただきます。  三〇三号の問題でございますが、これにつきましては、いろいろ問題が、ございまして、紆余曲折があつたのでございますが、第一回ないし第四回というようにわけまして、第一回が昭和二十六年七月末日までに納める、逐次回を追いまして第四回の昭和二十九年三月末日までに納めるということに和解をいたしまして調定したのでございます。第一回分につきましては、少し時期が遅れましたが八月四日までに収納済みになつております。以後第二回、第三回、第四回ともこのように徴収して行きたいと考えております。  三〇四号の問題でございますが、これにつきましては、昭和二十六年四月三十日に全額収納済みになつております。  三〇五号は、答弁書にございますように、全額すでに収納済みでございます。  三〇六号でございますが、これにつきましては、今年の三月三十一日までに五十五万二千余円を収納しましたが、残額については、この会社の事業不振のためにまだ収納になつておりません、目下残額に対して督促中であります。いろいろ困難な会社の状況もあると思いますが、これもできるだけ厳重に、督促して行くようにいたしたいと思つております。  三〇七号は、三月三十一日に全部収納済みでございます。売り払いまして、同時にこれまでの貸付料を弁償金として全部とつたのでございます。  三〇八号につきましても、四月三十日に全額収納済みになつております。  それから三〇九号でございますが、これは非常に大きな貸付料になつております。この播磨造船につきましては、大きな呉の造船所——昔の海軍の呉の工廠を使つておるわけでありまして、昭和二十四年のこの分につきましては、三月三十一日に八百六十八万円を収納しましたが、残額につきましては二十六年度中に全部分割して納めるということで、播磨の方と話がついたわけであります。現在四月、五月、六月、七月につきましては、各月二百五十万円ずつということでやつておりますが、これも全部納まりまして、八月、九月、十月が四百万円ずつ、それから十一月以降につきましては六百万円ずつということで収納するようにしております。なお八月までは現在入つておりますし、九月以降もさらに入るだろうと考えておりますが、なお十分督促もしております。  それから三一〇号につきましては、答弁書の通り全額収納済みでございます。  三一一号につきましては、今年の八月三十一日に二百万円入りました。残りにつきましては十一月末日、来年の三月末日の二回に分割納入するということで話がついたのでございます。  それから三一二号につきましては、答弁書の通り、全額納入済みでございます。  以上が、この貸付料の収納処置当を得ないものでございます。  次に、三二三号以下が売渡代金の収納処置当を得ないものでございますが、三一三号につきましては、やはり遅れましたけれども、収納済みでございます。それから三一四号でございますが、これは相当問題がありまして、現在までにまだ入つておりません。約束といたしましては、今年の八月までに入れるから延ばしてくれというようなことがございましたので、こちらといたしましては、法的の措置と申しますか、法務府に取立てを依頼するという措置をしなかつたのでございますが、現在もまだ入つておりませんので、法務府にお願いして、取立てをするという措置を至急講じたいと考えております。  それから三一五号でございます。これも実は完全に入つておらないのでございますが、現在競売手続をいたしまして五万円だけ入つたわけでございます。その後まだどのくらい入りますか、これもまだ残りがあるわけでございますが、この点についても適宜措置をいたしたいと考えております。  三一六号の問題につきましては、ことしの三月三十一日に全部入りました。  それから三一七号につきましても、やはり三月二十九日に全部納まりました。  それから三一八号でございますが、これは実は東海大学の方で、現在経営者がかわつたのでございます。売払いの督促のときには、前の経営者とその値段で折り合つてつたのでございますが、現在これが入つておりません。そこで新しくかわりました経営者の方で、これを負けてくれというような申出もあるそうでございますが、私どもとしては、やはり前の経営者がかわろうと、約束通り入れてもらおうと考えております。何分学校の経営上非常に苦しいようなことでございますが、できるだけ差押えというようなことなしに入れば、非常にいいのじやないかと思いまして、目下督促をしておるわけでございますが、なかなかむずかしい案件じやないかと思つております。  それから三一九号につきましては、これも四月三十日に全額入りました。  それから三二〇号でございますが、これはまだ督促しておるのでございますが、なかなか入らないのでございます。答弁書の通りで、いまだ進行しておりません。これも困つた問題かと思つております。  それから三二一号の問題でございますが、これにつきましては、浮ドツクにつきまして三月七日に売買契約を解除しまして、別にこれはさらに売り払おうというような考えを持つております。なお船舶の売払い代金につきましては、三月十四日に全部収納済みになつております。  次に三二二号でございますが、これも本年の六月十一日に全額収納済みでございます。  三二三号については、答弁書の通り、全額収納済みになつております。  次に、三二四号の機械の貸付料が低価に失したものでございます。これは会計検査院の御指摘通り、統制額の改訂があつたのに気がつかずにやつたのでございますが、これははなはだ遺憾でございまして、今後こういうことのないようにいたしたいと考えております。ただ非常に注意をさせておりますが、往々間違えるので、今後とも厳重に注意をして行きたいと思います。  次に三二五号から三二六号でございますが、戦時補償特別措置法による固有財産の譲渡に当り処置当を得ないものということで指摘を受けております。三二五号につきましては、まだ会社の方から入つておりませんが、これについては実は近く、私の方の手違いもありました点ともあわせまして、私の方から財産を売り渡すということと同時に、納入があるということになつております。遅くも本月中には片づくのではないか、こう考えております。  三二六号につきましては、すでに三月三十日に返還済みでございます。  次に、三二七号の船舶の売渡に当り処置当を得ないものということで、指摘を受けておりますが、これにつきましては会計検査院の方でも、また私の方でも相当研究したのでございまするが、非常にむずかしい問題でございます。私の方として、現在二つの解決の問題があるのでありまして、会計検査院指摘するように、この契約を解除するという問題と、それからもと売つた値段でその差額を追求するという二つの解決方法があるわけであります。会計検査院の方から、契約を解除したらという注意を受けたのでございますが、この答弁書にもございますように、長崎、佐世保、上五島間の定期航路、しかもそれに対して運輸省から航路補助をもらつているような重要なところでございますので、私の方としては、今この契約を解除するということは、相当問題がありまして、この点についてはできないのじやないか、——できないことはないのですが、妥当を得ないのではないかという考えを持つております。しからば、もとの値段と申しますか、初め契約した値段で会社の方がもう一回買い直すといいますか、その差額を自発的によこすということになるならば、私の方としても喜んで、それは問題として解決したのではないか、こういうふうに思いますけれども、会社側としては、それは払えない、こういうことでございます。これに対して実は法務府の方に正式に照会しておるのでございますが、まだ正式の回答は参つておりません。ただ法務府の方の非公式の見解といたしまして、大蔵省で売つたときには、客船に使つてはならない、客船にしないことを条件として売り渡してもよろしい、そういう状況において大蔵省で売り渡したのではないか。こういうことからすれば、もとの値段を強制的にとるということもできないのではないか、こういうようなことも承つておるのでございまして、現在これにつきましても、やはりいろいろな現地の状況なり、実際の状況を研究いたしまして、さらにこの問題に対する措置をいたしたい、こういうふうに考えております。  次は、三二八号の未完成船舶の売渡処置当を得ないものであります。これも会計検査院報告通りでございまするが、これは昭和二十六年二月二日に全額収納済みでございます。  それから三二九号から三三一号でございますが、三二九、三三〇、三三一は、固有財産の方とは関係が、ございません。
  43. 田中不破三

    田中(不)委員長代理 それではただいま案件になつておりますうち、三〇三から三二八までで一応小林総務課長説明は打切りまして、次に会計検査院当局のこれに対する説明を願います。
  44. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院説明員 三〇三号以下の案件について、簡単に御説明いたします。  三〇三号から三二三号は、国有財産の貸付料及び売渡代金の収納処置当を得ないもの、こういう案件であります。たくさん並んでおりますが、貸付の分と売渡し代金の二つにわけられるわけであります。各財務部の国有財産の売払い代金及び貸付料の収納状況を見ますと、これは全体の額でありますが、徴収決定済額が約三十六億余万円に上つております。ところが収納状況が必ずしもよくないのでありまして、収納未済額が七億六千八百余万円——三十六億に対して、七億六千八百余万円が入つていない、こういう状況になつております。パーセンテージにいたしますと二一%に当つております。このほかに会計検査院検査で判明しました徴収決定の手続未済が五千余万円に達しております。大体国有財産の貸付料は、御承知のように、前納あるいは毎年定期に納付しなければいけないわけでありますが、これを相当に長い間ほうつておいたというようなものが、ここにあがつておるわけであります。また財産の売渡し代金は、引渡しなりあるいは移転登記までに全部完納していただかなければいけないのでありますが、その処置をとつていなかつたというものなのであります。相当大きいのだけをここへ拾い出したのでありますが、小さいのはまだたくさんございます。この貸付料で一番大きいのは、先ほども御説明がありましたが、広島県の呉の播磨造船所の呉ドツクの分であります。実はこれは毎年検査報告に載るものであります。それから売渡し代金の方で大きいのは、三二〇号のやはり呉の大阪鉄鋼線工業株式会社の九百十九万円、次の広島の水野造船所の七百十四万円というのが大きいのであります。ここに並べました案件のうち、大部分はもう買受人の方で解体して、ほかへ持つてつてしまつたというのが、実は多いのであります。現存しているものもぼつぼつございますが、解体移築済みというものが大部分となつております。  それから三二四号でありますが、これは長野県の豊科に元の陸軍製絨廠の機械がございましたが、これを大建産業に一時使用させておりまして、その使用料をとつたのであります。これは機械の統制額が貸付料の基本になるわけでありますが、この機械の統制額が上つたにかかわらず、その後も依然引続いて安い統制額を基本に貸付料をとつていたそれを会計検査の際に見つけまして、百八十一万九千円を追徴してもらつた、こういう案件であります。  それから三二五号、三二六号は、戦補特別法の規定によりまして譲渡する国有財産で、三二五号の方は有益費を向うからもらうのを、徴収決定していなかつたので、検査の結果それを全額徴収するようにしてもらつた。その額が九十八万三千九百五十円であります。  それから三二六号の方はちようど逆でありまして、とるべからざるものを三菱重工からとつておりましたので、これを直す。言いかえますと、九十四万五千円ほどよけいにとつていたので、これを返すというので、ちよつと検査院としては珍しいことであります。御承知のように、租税でも徴収不足というのでとつてもらうのは多いのでありますが、徴収過は返さなければいかぬというので、やかましく言つて返すのがあります。これは今の租税の徴収過に類する案件であります。  それから三二七号でありますが、これは先ほど当局からも御説明がありましたので、大体おわかりかと思いますが、元の飛行機救難艇を二隻、最初は九州商船に対してお客と貨物と両方乗せる船として高く売り渡すということで入札に付したのであります。そのときに九州商船が七百四十五万円ほどの価格で落したのでありますが、GHQの方で、お客を乗せる船としては、元の軍用船を使つては相ならぬということになりまして、それでは貨物専用船ということで、前の入札を無効とし、また計算のし直しをいたしまして、百八十六万円で売つたのであります。七百四十五万円で入札をしたのを、わざわざ無効にいたしまして、百八十六万円という安い値段で売つたのであります。ところが、これを売り渡す前から会社の方では、お客を乗せるように改造をしておりまして、定期航路に使つていたのであります。そこへGHQの方から人間を乗せるようにしてはいかぬという指令が参りました。これを取消してもらうように、いろいろ運動をされたようでありますが、結局において今の百何十万という非常に安い値段で契約をして間もなく、旅客用に使つてもよろしいということになりまして、その前に引続きまして会社は、たしか五島列島方面だと思いましたが、長崎から五島方面の定期航路に就航させておるのであります。あとから見ますと、何のために七百四十五万円という入札を百八十六万円にしたか、さつぱりわけがわからぬような結果になつたのであります。会計検査院といたしましては、そういう具体的な事情はそれとしまして、とにもかくにも旅客用として使つては相ならぬということで安い値段で払い下げたのでありまして、それが条件になつておるのであります。それをすぐに旅客用に使つておるのでありますから、条件違反ということで、当然契約条項によりまして解除すべきではないか。これは決して解除しつぱなしにしておくというつもりで書いたのではないのであります。これは今申し上げましたように、定期航路に使つておる船でありまして、解除して国へ取上げてしまうということになりますと、方々に非常に迷惑もかかりますし、また国としても、一旦売り渡したこの船を取上げてしまわなければいかぬというのではない、国が持つていてもしようがないのであります。これはやはり定期航路に使うのが一番いいわけでありますが、ただそれとしたら、百八十六万円は少しひどいじやないか。会社は、今になりますと七百四十五万円は高い値を入れ過ぎたということを言つておられるように聞きましたが、とにかく一応そういう入札をいたしまして落ちたのであります。会社も納得ずくでこの入札をしたわけでありまして、その辺のところを適当に値段の改訂をされたらどうであろうか。それをされる経過といたしまして、百八十六万円という随意契約は、契約条件違反として一応解除の手続をとるべきではないか、こういう趣旨でここに書いたのであります。  それからもう一件ございます。三二八号でありますが、これは福岡の財務部で、未完成潜水艦四隻を佐世保船舶工業に終戦後に解撤いたさせまして、そうして御承知のように、佐世保船舶工業は艦艇解撤——旧海軍の軍艦をたくさんこわしたのでありまして、そのうちの一貫作業としてやつたのであります。ところがたまたまこれが未完成であつたために、艦艇という中からはずされまして、艦艇解撤の経理からはずれてしまつたのであります。これをそのままにしてしまつたので、別に国有財産の売払いということで処分すべきだということで批難したわけであります。
  45. 三宅則義

    三宅(則)委員 議事進行に関して……。私はいうも同じことを言うわけですが、国の財政経済を監督する委員ですから、決算委員というものの使命は重いのです。いつも私が言つていることでありますが、本日は東谷検査官が来られたわけであります。大蔵大臣は参議院の方に行つて補正予算説明しているから、これはやむを得ないとしても、管財局長さえも出て来ないということは、はなはだ不穏当だと思います。実は大蔵委員会でも、平田主税局長が来なかつたときには、委員会を散会してしまつて反省を促したことがある。こういう国有財産あるいは管財部門には重大な問題なんです、一課長にのみ依存しておつていいということではない。ですから、われわれは少くとも本委員会には大臣大臣でなければ次官もしくは局長局長が出て来なかつたときは中止するというくらいの勇気をもつて政府に反省を促す必要がある。私は大蔵委員で身内であるけれども、あえて言うことなら各省にも言わなければならぬことでありますから、本日はあとで高橋委員質問いたし、しかる後に私が質問することにいたしますが、国家を思い国民を思う念の老婆心から強い意見を申し上げます。しからざれば議事を進行しないというほどの熱意を示していただきたいと思います。
  46. 田中不破三

    田中(不)委員長代理 三宅委員の御意見まことにごもつともであり、御要求は至当であると存じます。たまたま管財局長出席される予定でありましたところが、あいにくと病気になられたそうであります。残念ながら御出席ができないという通知に接しているので御了承願いたいと思います。  小林総務課長、何かつけ加える説明がありましたらお許しいたします。
  47. 小林英三

    小林説明員 ただいま三宅委員から御注意がありましたが、私からも一言申し上げます。この決算委員会には必ず出席するようにと委員長からも申され、実はきのうも非常な熱がありまして、注射をして病躯を押して出ておつたような状況でありますが、今日は出られなかつたわけであります。
  48. 高橋權六

    ○高橋(權)委員 今当局の説明を承つていると、少しく齟齬しているところがありはしないかと思う。第一、指名入札は一度取消しになつたはずだと思う。しかる後にまた入札を随意で契約したはずです。その貨客船に使わないということについて、一札一項目入つてつた。ところで連合軍からは許可が来た。運輸省からもこの許可のあつたことを会社に通知があつた。それで会社は、大蔵省には連絡が済んでいると早のみ込みしておつたのであります。許可があれば、——この貨客船になさなければ、それで価格はいいが、貨客船になれば価格を上げなければならない、そんなばかげた計算をどこから割出したか。私はどうも会計検査院あたりの頭の置きどころがどこにあるのか疑わしい。今日五島列島は、朝鮮動乱によつて、いつ九州本島に引揚げなければならぬかという重大時期に遭遇しておるのであつて、国県道にひとしいところの航路であるから、政府当局は補助ぐらいしてもいいわけだ。しかも大蔵省に連絡がとつてなかつたから、追徴金を出さなければ取消すとかいうようなことは、子供よりも頭が悪いといわなければならぬ。私ここにお伺いしたいのは、どういう方面から割出されたか、その方法をひとつ発表していただきたい。大体飛行機救難艇を買いますときには、損傷の軽重、その他いろいろのことを第一研究しておく。会社としては、採算を離れて投機的な考えで入札しておつたと思う。まして三期間にわたつて会社は無配当であります。この船舶を取上げるようなことがあつたならば、五島列島の島民の交通は杜絶するのみならず、生活並びに生産に私は重大なる影響を来すものと思うのであります。しかも今日人間の足にひとしい航海用の船ぐらい、ただで払い下げたつていいだろうと思う。わずかの金で人間を左右すべきではない。そのほかにいろいろあるのおりますが、ここに関連しないから言わないが、先日から要求しているけれども、議題外だというので許されない。ところが、事件はどんどん進行しておる、不正な金を出しておる。そんな金こそ、議題外であつても、なぜ会計検査院当局は調べないか、そういうことを先日から言つてつたのであります。私はもう一ぺん詳しい説明をしていただきたいのであります。運輸省と大蔵省の方に許可が来たのを、なぜ連絡をとらなかつたか、会社にそういうことまで一々やらせるようなことだつたならば、主務省の必要はない。多数の職員を置いているのに、会社がそういう手続の手伝いまでしなければならないようだつたら、会社に大蔵省と運輸省の仕事を頼んだ方がいいんじやないかと思うくらいである。連合軍から許可が来ておつたのを、なぜ調べないで契約を取消すかという意味を、はつきりもう一度聞きたいのであります。そのいかんによつて、私は一度も二度も質問いたします。
  49. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院説明員 高橋さんの御質問でありますが、会計検査院からお答えできないこともあります。大蔵省なり運輸省なりの方から、お答え願うべきこともあるようでありますが、会計検査院といたしまして検査報告に掲げましたのは、先ほど簡単に申し上げましたが、当初いろいろな理由もありましようが、ともかくも七百四十五万一千円、これは貨客船として入札に付したのであります。これは指名競争であります。先ほど高橋さんのおつしやつた通りであります。指名競争で落札したのであります。そういたしまして、契約は結ばれたわけであります。そういたしますと、GHQの方から、貨客船として客を乗せるような用途に使つては相ならぬということになつたのであります。そうして当局といたしましては、今度は貨物船として予定価格をつくりかえたわけであります。この貨物船と客船ということになると、建造費も倍までは参りませんが、五、六割の相違はあるのであります。非常に値段が違うのであります。それで前には、買う九州商船の方も、定期航路に使う、お客を乗せる、こういうことで高い熱を入れたわけであります。それでお客を乗せられない、こういうことになりますと、やはり貨物専用ということで値も下るのであります。これはちよつと妙でありますが、同じ船を売るのに、貨物用と客用でそんなに値が違うのはおかしいじやないかと仰せになるかもしれませんが、これは用途によつて船の値がたいへん違うのでありまして、それでわざわざ下げたわけであります。ところが実際には、これはいろいろ先ほどから高橋さんもおつしやるように、行き違いはあつたようでありますが、すぐにGHQの方から、客船にしてもよろしい、こういう前の指令の解除を受けまして、それで客船にできるようになつたわけであります。そういたしますと、前の七百四十五万円という入札を無効にしたことが、まるきり意味がないわけでありまして、それで私どもとしては、この七百四十五万円を生かすのが一番妥当だとは思いますが、一旦死んでしまつた契約でありますから、これをそのまま生かすということも、形式的にもできないわけでありまして、そういたしますのには、やはり百八十六万円——これはお客を乗せない、貨物専用に使う、こういうことで安くした値段でありますから、これが実際に合わないのでありまして、これを適当に改訂する、その改訂する一つの手段として百八十六万円の契約は條件違反、こういうことで解除するのが道ではないだろうか、実はこういうふうに考えて、ここに掲げた次第であります。
  50. 高橋權六

    ○高橋(權)委員 今の説明で、わかつたようなところもあるが、大体公益事業に対しては、補助まで出している今日でありますから、それに対して千万円出してやつたつて、私はいいと思います。しかも五島列島は、この船をとられたらどこへ行けます。潜水艦みたいに海の中を歩いて行くことはできぬ。そういうことから、私はもしこれが貨客船であるからどうだ、貨客船でなければどうだ、そういうことは子供の言うようなことである。私は補助を出せとまでは言わぬが、補助を出したと思つて、このまま打切つて——会社としても相当改造費を使つて、多数の島民はどれだけ助かつているかしれない。もう少し人情味をもつてやらぬといかぬ。やるならやるで、ほかにまだこんなことよりも、より以上の不正事件がある。私はあくまでも事を打切つて、もし大蔵省に対して運輸省からの手続が怠慢であつたためだというならば、それくらいのことは、どうもあれは悪かつた、おれの方の通知漏れだぐらいで、多数の島民を助けるように考えてやらなければならぬと思う。私は風水害等の災害を見ましても、本土あたりは厚くして、九州あたりは度外視しておるということを考えておるのであります。しかし納税においては平等より以上に九州あたりはやらされている。石炭のごときその通り、われわれは犠牲を払つて、皆さんのために石炭を出している。その上に北海道の寒冷地まで送つてつているくらいである。そういうことを考えたら、このくらいのことは、公益事業に補助をしたと思つて打切られる考えはないか。もし打切られぬようでしたら、これはまた何かの機会にむし返しもしますが、そういうことよりも、すつからかんの人間が数千万円の金を出させた。私が警告していたにもかかわらず、住宅金融公庫は金を出した。もし私が忠告していなかつたら、まだたくさんの損害を出しただろうと思う。今は七、八百万円の損害で済んでいる。そういうことこそ、なぜによく調べないのかと言いたいのであります。その他、先日も私が申し上げたように、元の肩書きを利用して、ある選挙の費用を旧部下に出させて払わないために、その支出した人間はとうとう自殺して、その妻君たちは苦労しているというようなこと、そういうことがうやむやのうちに九州あたりでは葬られていはせぬか。そういう金こそ、私は大いに取上ぐべきことだと思うのであります。この問題については、私は大蔵省、運輸省と連絡をとり、かつまた会計検査院の方もよく御考慮くださつて、私はこのまま打切つて、九州の——ほんとうにもう朝鮮とその境に位するところの島民の不安を一掃するということでも、私はより以上にこれは補助してやつてもいいと思う。私は選挙区は別でありますが、長崎の五島列島に近いところに行つたこともある。そういうことも加味し、しかもあの砲声の聞える五島列島の民心の不安ということを考えたならば、絶対にそういう微々たるところの金をもつて、日本国民の思想を悪化させることは、私はほんとうに考えなければならぬことだと思うのであります。私はそういうことこそ話合いで打切つたつていいだろうと思う。私はそういう考えがあるかどうかをもう一ぺんお伺いしたいのであります。
  51. 小林英三

    小林説明員 ただいまのことにつきましては、会計検査院ともさらによく打合せ、この問題を進めたいと思つております。この席で打切るかどうかについては、私の方でもさらに法務府の見解なり、いろいろ研究いたしたいと考えております。
  52. 三宅則義

    三宅(則)委員 私はこの三二七の問題につきましては、やはり補助航路であり、あるいは定期船であるという面については考慮いたしますが、いやしくも国が会社と契約するにあたつては、その本質によつてこれを決定すべきものであつて、ときどき一応決定したものを、あとでまた直したりすることになりますので、それがまたもと通りに復したということは、いかにもいきさつから考えますと、おかしなものでありまして、法理論のみにとらわれるわけでは、ございませんが、よほど研究をされて、本委員会にも納得の行くようにしてもらいたい。私ども個人的に申しますならば、多少これは値段の開きがあるわけですから、これを埋め合せるということありといたしましても、当然ではないかと考えられるわけです。ひとつ今後とも研究せられ、また会計検査院ともよく打合せられまして、適当な値段をもつて折れ合うということが、ほんとうではないかと思いますが、いかがでしようか。
  53. 高橋權六

    ○高橋(權)委員 三宅氏のおつしやるのも、国を思う余りに、幾分追加でもしたらというお考え、これは国民としてほんとうであります。維持する上においては、この金のいることは申し上げるまでもありませんが、先ほど申し上げました通り、公益事業であるものに対しては補助金を出しておる。補助金を出したと思えば何でもないことだから、先ほど当局がよく打合せて善処したいという、そのお言葉を進めていただきたいと思うのであります。でき得べくんば、もしこれはそのまま打切られるようであつたならば保留していただきたい、そういう感じを持つております。それでなかつたら、今申し上げるように、当局がお打合せくださつて、公益事業に補助でも出したというような観点から打切つていただくならば、私は九州男子として、心から御礼を申し上げます。そういうことをよく考えて、打切るなり、追加するなり、あるいは取消すなり、それは皆さんに人情味があらわれたならば、そういうことを考慮していただきたい。  まだいろいろ質問したいのですが、時間もありませんので、保留しておきます。
  54. 田中不破三

    田中(不)委員長代理 ほかに質疑はございませんか。
  55. 三宅則義

    三宅(則)委員 本日はすでに四時半にもなつておりますからこの程度にて打切り、さらに保留になつている分は、次会もしくは適当なる機会にこれを審議せられんことを望みます。
  56. 田中不破三

    田中(不)委員長代理 三宅君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 田中不破三

    田中(不)委員長代理 それでは本日はこの程度にいたしまして、次会は二十四日(水曜日)午後一時に開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時二十九分散会