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天野(四)
説明員 まず最初の二九五ないし二九七の
予算の使用当を得ないもの、これについて御答弁申し上げます。
まず最初は二九五でありますが、国税庁で、
関係各国税局及び税務署に、酒類密造取締りの経費の一部を、警察に配分するよう指示いたしましたため、
関係局署におきましては、自動車借上げ料といたしまして四百四十一万九千二百五十円を支拂
つておりますが、実際は警察
関係経費に使用したものであるという点でございます。
近年酒類の密造は、犯則者の激増とともに、悪質集団をなすものが非常に多くな
つておりますために、正規の酒類の売れ行きは予想をはるかに下まわりまして、酒税確保、ひいては国政の運用に重大な支障を来すおそれのある状態に立ち至
つたのでございます。このために酒類密造取締りの
責任当局といたしまして、また酒税確保の
責任当局といたしまして、万難を排しまして取締りを強行し、その成績は
相当見るべきものがあ
つたのでありますけれども、悪質集団密造部落の取締りにつきましては、実際問題といたしまして、警察
当局の大規模な援助がなくては、とうてい実施不可能な状態でございますし、そのために警察官の不時呼集とか、急速出動等の回数は、警察
当局の予想以上に達しまして、自動車の借上げ料等その経費も莫大な額に上りました、国警
当局におきましてももちろんでありますが、
予算のきゆうくつな自治体警察におきましては、特に事実上行動不能な場合も発生いたしまして、やむなく取締りの実施を断念せざるを得ないこともありました。反面酒類密造取締りが、その性質上行動の迅速と企図の秘匿を必要といたしますので、
会計法上の成規の
手続をとることが困難でありますために、酒類密造取締りにつきましての
責任当局といたしましては、やむを得ず本経費のために
予算に計上されている額のうちから、ほぼ所要と
認められる額の最小限度を一括警察
当局に交付いたしまして、取締り計画の強力な遂行の一助としたのでありまして、そのやむを得なか
つた事情もあ
つたとはいえ、
本件は
予算執行上当を得なか
つたこととはもちろんでございまして、その点はまことに遺憾でございますので、今後は正当
支出するように努力して参りたいと思
つております。
次の二九六の、国税庁で、織物消費税の特別整理に要する経費の一部を、織物査定補助員の表彰経費の一部に充てるよう指示いたしましたために、
関係の税務署におきまして、織物査定場の借上げ料等といたしまして、六百三十万三百五十七円を支拂
つたとしておりますが、実際は織物査定補助員の表彰等に使用したものであります。
これについて、いきさつを御
説明申し上げますと、当初は織物消費税廃止後におきまする残務整理の促進をはかるために、必要経費として
予算を配賦したのでありますが、織物査定
事務に三十数年の久しい間献身的努力を寄せまして、この税の
賦課徴收に多大の功労のありました集合査定場の査定補助員をこの際表彰いたしまして、感謝の意を表しなければ、将来の税務行政全般にも悪影響を及ぼすものと考えられ、かくては残務整理を急速円満かつ完全に終了させることが至難と
認められましたので、急遽当初の
方針を変更したのでありますが、これに伴う経費の
支出面におきまして、必要な
手続をいたします時間的余裕がなか
つたために、やむを得ずそのまま実行に移したため、
会計検査院の
検査報告の
通り予算執行上当を得なか
つた結果となりました点はまことに遺憾でございまして、何とも陳謝の言葉はございません。
次の二九七の、名古屋国税局外六箇所で印刷製本代、自動車借上げ料等といたしまして三百七十七万九千六百八十三円を支拂
つたとしてございますが、実際は食糧費、接待費等に使用したものでございます。これについては何の答弁のしようもございません、
検査院御
当局の
検査報告の
通りでございまして、財政法規に違背いたしましたこのような
予算の使用はまことに遺憾でございます。
一般に嚴重な
注意を與えまして、将来この種の事故を繰返さないように、
十分注意をいたしたいと思います。なお
本件責任者に対しましては、必要な
処分を行いました。
続いて二九八、二九九の、未完成建物の購入費等を
支出しその現金を一時流用したものでございます。二九八の、関東信越国税局におきまして、
昭和二十四年八月から十二月までの間に、氏家外二税務署庁舎購入代金といたしまして八百八十万円を
支出しておりますが、このうち氏家外一税務署庁舎購入代金の六百四十万円は、庁舎新築
工事代金の内拂いをするために、既設の建物を購入したこととして
支出したものでございます。その現金を保留いたしまして、当該庁舎新築
工事代金の
支拂いに充てられましたほか、一部を他の宿舎の購入費に一時使用し、また鹿沼税務署庁舎購入代金として
支出しました二百四十万円も、その現金を保留し、うち百七十八万円を他の庁舎及び宿舎の購入費等に一時使用していたのでございます。
これにつきまして実際を申し上げますと、
本件は
会計検査院の
検査報告の
通りでございます。氏家税務署外二税務署新築買收にあたりまして、請負
業者が中途におきまして資金難に陷リ、予定の
工事竣工が危ぶまれましたためにこれを放置することができませんでしたので、やむなく未完成の建物を完成したものとして購入いたしまして、その資金を交互に一時利用し、所期の
目的達成をはからざるを得なか
つたのでございます。また当時税務
職員の異常な増加に伴いまして、宿舎の確保が税務行政運営上、欠くことのできなか
つた状況にありましたので、この資金を一時その購入費に使用したのでございますが、かような
処置をとりましたことは、財政法規上当を得なか
つたものでありまして、はなはだ遺憾でございます。なお
責任者に対しましては、今後このようなことのないように嚴重に
注意いたしました。
次に二九九の、札幌国税局で、
昭和二十三年八月から二十四年八月までの間に、札幌財務局帶広地方部分室購入費外五件の代金といたしまして、八百二十二万四千八百円を
支出しておりますが、購入建物に手直しを要する箇所があ
つたことなどのために、そのうち百五十六万七百三十三円を保留いたし、これを他の庁舎購入費等に一時使用していたものでございます。
そのいきさつは、税務機構の画期的な拡充強化に伴いまして、
職員の大量増加に対処して庁舎等の施設の拡充をはかりますことは、喫緊の重要事でありましたために、庁舎の買收にあたり、計画
通り実行することが必要であり、不完全な建物をも、やむを得ず購入せざるを得なか
つたのであります。
従つてその補修費の契約を履行させるために、
保証金として一部を留保し特に緊急を要した費途に前記保留金を一時使用したのでありますが、もとよりこれは財政法上当を得ない
処置でありまして、将来かかることのないように嚴重
注意いたしております。
その次は三〇〇の、建物の購入にあたり
処置当を得ないものでございます。これは大阪国税局で、
昭和二十五年三月壽工業株式
会社から旭税務署分室及び泉大津税務署分室用として、改造補修済み建物購入費として四月に二十四
年度予算から二百七十一万六千三百九十二万円を
支出していますが、旭税務署分室は二十五年十月末、改修
工事未完成の建物でありまして、泉大津税務署分室は七月改修
工事を完了し、十月移転登記を完了したものであります。
この経過でございますが、戰後の税務機構拡充によります税務
職員の著しい増加に対処いたしまして、税務の適正な執行を期する
建前から、庁舎の拡充は最も急を要したのでありますが、たまたま
昭和二十四
年度末に壽工業株式
会社所有の建物で売りに出ているものがありましたので、補修
工事を加えまして購入することが時宜に適した
処置であると
認めましたが、いろいろの事情から改造、補修
工事が遅延いたしましたので、所有権移転登記及び実際の
支拂いもまた遅延した次第でありまして、結果的には、
年度区分を乱り、財政法規上当を得なか
つたことはまことに遺憾でございました。
責任者に対しましては、今後かかることのないように嚴重に
注意いたしました。
それから最後の三〇一番の、庁舎増築等の
工事施行にあたり、
処置当を得ないものでございます。これは金沢国税局で、
昭和二十四年十二月に金沢税務署庁舎を購入したものとして、株式
会社辰村組に二百七十九万六千二百五十円を
支出したものでありますが、実際は八月に二百三十一万二千三百円で庁舎の増築
工事を前記
会社に請け負わせて、別途十月に四十八万三千九百五十円で旧庁舎の模様がえ、その他附帶
工事を同
会社外二名に請け負わせたものであります。なお庁舎の増築
工事を請け負わせるにあたりまして、予定価格を二百八十九万円として指名競争入札に付しましたところ、低入札者の入札価格二百十七万二千円は、予定価格の八〇%に達しなか
つたとしてこれを排除いたしまして、二番札の二百三十一万二千三百円で契約を結びました。
これについて経過を申し上げますと、建物購入費を請負費に流用する
手続を怠りまして、購入費として処理し、電燈、給水、消火栓等の
工事は、増築
工事に付随するものでありまして、その他の模様がえ等は、当然増築
工事に伴い生ずる
工事でありますために、これを合算したのでございます。なお最低入札者を排除して二番札入札者と契約を結びましたことは、
工事の完全を期する
目的で行
つたものでありますが、
会計検査院報告書の
通り、財政法規に違背いたしましたことはまことに遺憾でありまして、今後このようなことのないように
十分注意いたします。なお
責任者に対しましては、嚴重な
注意をしておきました。
以上をも
つて説明を終ります。