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1951-11-16 第12回国会 衆議院 経済安定委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月十六日(金曜日)     午後二時六分開議  出席委員    委員長 圖司 安正君    理事 多田  勇君 理事 永井 英修君       岩川 與助君   小野瀬忠兵衞君       金光 義邦君    寺本  齋君       奈良 治二君    渕  通義君       細田 榮藏君    宮原幸三郎君       村上 清治君    有田 喜一君       松本六太郎君  出席政府委員         経済安定政務次         官       小峯 柳多君         物価政務次官  郡  祐一君         物価庁次長   熊田 克郎君         経済安定事務官         (物価庁第二部         長)      永野 正二君  委員外出席者         専  門  員 円地与四松君         専  門  員 菅田清治郎君 十一月十四日  委員竹山祐太郎辞任につき、その補欠として  吉川久衛君が議長指名委員に選任された。 同月十五日  委員吉川久衛辞任につき、その補欠として芦  田均君が議長指名委員に選任された。 同月十六日  委員芦田均辞任につき、その補欠として竹山  祐太郎君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 十一月十五日  石油等統制廃止反対に関する決議案井之口  政雄君外二十一名提出決議第一一号) の審査を本委員会付託された。 同日  国土総合開発法に基く長崎県対馬特定地域に対  する漁港整備三箇年計画の追加に関する陳情書  (第八七三号)  石油統制撤廃促進に関する陳情書  (第八七四号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  価格政策に関する件     ―――――――――――――
  2. 圖司安正

    圖司委員長 これより会議を開きます。  議事に入る前に、議案が付託になりましたので御報告いたします。昨十五日、井之口政雄君外二十一名提出による石油等統制廃止反対に関する決議案が、本委員会付託と相なりました。  以上御報告いたします。     —————————————
  3. 圖司安正

    圖司委員長 それでは価格政策に関する件を議題とし、まず政府当局より説明を聴取したいと存じます。
  4. 小峯柳多

    小峯政府委員 私ども考えております物価政策の輪郭だけを申し上げまして、詳細につきましては、物価庁関係から御説明していただくようにしたいと思います。  申し上げるまでもなく、物価産業活動貿易財政金融等を集中的に表現すべきものでありますので、特に物価自体に対して手を加えるというようなやり方は、私どものとりませんところであります。むずかしい自立経済の推進の中で、基本的な需給状況を改善するために、まず輸入に努力し、また場合によつて輸出等考慮するようなこともあると思いますが、主として物価を構成する基本条件に対する手入れ方をいたしまして、物価自体には大体手を入れないという方針で参るつもりであります。  詳細は物価庁関係から説明をお願いしたいと思います。
  5. 郡祐一

    郡政府委員 物価の概況について、私から若干御説明をいたします。  朝鮮動乱の勃発以来、物価全般的に上昇傾向をたどつて参つたのでありますが、本年三、四月以降、いわゆる景気の中だるみが現われまして、物価はおおむね横ばい傾向を続けて参りました。  かように物価動きが緩慢になりました原因としては、いろいろな事情考えられますが、おもな事情考えてみますと、第一に国際価格全般的に頭打ちの傾向を示しまして、特にこれまで異常な騰貴を示しましたゴム、錫、綿花等原材料物資についての急激な価格下落が現われて参りましたこと、第二には、わが国輸出市場におきまして、従来の高値に追随できませず、買疲れ傾向が現われ、その結果繊維鉄鋼などの輸出価格が低落するに至りましたこと、第三には、政府緊急輸入促進策が功を奏しまして、原料輸入確保見通しがつき、ゴム、皮革のごときは、むしろ一時的には過剰在庫をかかえるに至り、また綿糸布につきましては、内需向き供給増加措置を講じたこと等が功を奏しましたため、従来の思惑的相場を鎮静せしむるに至つたこと等であります。このような理由から、一部の物資市場価格は三、四月ごろから反落に転じたのでありますが、この間におきましても、値上り要因が依然として続いておりますため、一部の物資価格は、引続き強気を示しておつたのであります。すなわち昨年暮れ以来国際価格も上昇いたし、また海上運賃も大幅に騰貴したことによりまして、輸入原材料価格騰貴しましたことは、漸次わが国鉄鋼、ソーダ、石油等製品原価高を招き、これがさらに高次製品価格に波及して参りました。また石炭、コークス、肥料セメント等一部の物資につきましては、その需給関係を反映して、価格が強調を続けたことが指摘されるのであります。最近十一月上旬におきまする主要物資価格を、本年三月当時の価格と対比してみますると、相当数重要物資について、依然として値下りを示しておるのであります。すなわち繊維のうち綿糸は、本年三月当時に比べてただいまの価格が五〇%、綿布が同じく五二%、生糸が七一%、人絹糸が五七%、これは十月の中旬に比べましても繊維は一齊に依然として値が下つておるのであります。ゴムは本年三月当初に比べまして十一月上旬で六六%、油脂が八一%、この二つは十月中旬から若干高くなつております。さらに鋼材、棒鋼が本年三月の七四%、薄板八四%、これも十月中旬に比べて下つておるのであります。非鉄金属のうちでは、錫が本年三月の六四%、銅が九二%、鉛の八四%、亜鉛が八四%と相なつておりまして、かような重要な物資について値下り傾向が依然として見られるのであります。しかしながら他方物資によりましては、三月以降値上りを示しておるのがございます。石炭は一三三%、硫安が一二二%、過燐酸石灰が一八〇%、もつとも過燐酸石灰の三月の価格補給金がついたものでありまするから、その点は一応考慮に入れておかなければ相ならぬのでありますが、セメントは一三二%、またこれらの物資につきましては、十月の中旬に比べて、十一月の上旬がさらに上りかけておるという傾向が見られるのであります。  以下のような情勢を最近までの物価の指標について検討してみますると、卸売物価指数についても、消費者物価指数についても、本年四、五月以降やや低落の傾向をたどりまして、八月から反騰の気配を示しております。すなわち卸売物価指数を二十五年の四月ないし六月を一〇〇としてみますと、一年後の本年四月には、総平均で一五三・五と相なつておりましたのが、本年の十月については一五八・四と上つて参りまして、十一月上旬には一五八・三、ほとんど横ばいでありますが、十月に比べまして〇・一だけ下つております。これを生産財消費財にわけてみますると、二十五年の四月ないし六月を一〇〇として一七七・五でありましたのが、本年十月には一八一・二となり、十一月上旬には一八〇・七、これもやや下つております。消費財の方は四月の一二八・〇でありましたのが、十月に一三三・八となり、十一月上旬には一三四・三と、上り気味に相なつております。すなわち四月から七月までは下り続けておりましたのが、八月からやや上り気味で、十月、十一日が横ばいになつておるという状態であります。  物価全般的情勢は以上のようでありますが、この間主食及び塩の価格電気料金を八月から改訂実施いたしましたり、さらに運賃通信料金ガス料金等については、十一月からその改訂を実施したのでありますが、これらの価格改訂は、経済全般に対しても、国民生活に対しても、その直接間接に及ぼす影響は広汎でありますし、またその影響程度も少からぬものがあると認められるのでありますから、その取扱いについては、最も慎重な考慮払つて参つたところであります。ここにこれら価格料金のうち、主要なものについて公定価格改訂理由を申し述べますれば、主食について本年一月消費者価格改訂しました際には、本年度のパリテイ指数を一九五と予定しておりましたが、その後パリテイ指数が急激に上昇しました結果、この消費者価格をそのまますえ置くものといたしますと、食糧管理特別会計相当赤字を生じますので、このような事態に対処して、消費者価格改訂については生産者側事情をも十分考慮し、さらに一般会計より食糧管理特別会計に対する繰入れを実施することによりまして、主食消費者価格が急激に値上りしないように努めたのでありまして、その結果、主食消費者価格は、八月一日より平均一八・四六%の引上げとなつたのであります。次に電気料金改訂については、すでに御承知のごとく再評価による償却費増加を織り込みますとともに、火力用炭についても相当量増加の見込み、かつ動乱後の物価騰貴に基づく物件費人件費増加を織り込んだのでありまして、全国平均では三〇・一%の値上げとなつております。国鉄運賃改訂については、本国会の御審議を経まして、最近における諸資材費値上り給与ベース改訂等理由によりまして、旅客運賃については平均二五%、貨物運賃については三〇%の引上げをいたしたのであります。  以上述べました主食電気料金国鉄運賃のほか、さしあたり公定価格改訂が予想されるものを総合して、これが生計費に対する影難について一言いたします。これら価格改訂に当つて極力値上りを押えるように努力いたしたのでありますが、価格改訂生計費に対する影響を緩和するため、所得程の軽減がどのように作用しているかを申し述べてみますると、すでに本国会において申し上げたところではありまするが、ガス料金改訂等、その後確定いたしたものもありますので、若干異動の生じました新らしい数字について申し上げますと、夫婦子二人の家計の場合において月収一万五千円でありますならば、現行の所得税額を差引しまして、家計消費に向けられる金額は一万三千五百八十二円となるのであります。このような家計に対し、すでに述べた各種の価格改訂による生計費増加額は、総計五百三十八円となるのでありますが、他方今回の所得税の改正によりますれば、七百一円の減税となりますので、差引百六十三円だけ生計費負担が軽減されることになるのであります。従いまして、少くとも今回の価格改訂による直接の影響については、家計負担増加を来さないということが言えるのであります。  次に国際物価との関係について一言いたしますると、わが国物価が国際的に見て割高であるということは、しばしば指摘されるところであります。その原因考えてみますと、貿易面に基く諸事情によるところが大きいと思われるのであります。商品類別上昇度を見ますれば、化学製品食糧品など、主として国内市場対象としている商品値上りが遅れております反面、繊維金属及び金属製品原地材料のごとき、貿易及び特需と関連の深い商品値上りが顕著でありましたことは、この間の事情説明するものということができましよう。  冒頭に述べた通り中だるみ影響は、全般的に見て輸出価格下落として国際物価との調整が行われているところであります。輸出状況については今日私から申し上げるまでもありませんが、特にわが国輸出中心となるべき二、三のものについてちよつと事情を見ますと、繊維類などにつきましては、従来の市場関係等により現状程度価格によつては、今後も相当輸出増加が期待されると考えられるのでありますが、機械、造船、車両等につきましては、一部のものは、たとえば豊田式織機とか、ミシンとか、写真機械とかいうようなものは、輸出可能であり、現に輸出が行われていますが、他の一部の、たとえば貨車とか、発電機械のようなものについては、輸出市場開拓が日なお浅いこと、並びに原材料側事情もありまして、その輸出は必ずしも容易ではない実情であります。しかしながら、もちろん輸出確保については、単に価格のみの問題ではないのでありますから、これらの物資についても、今後において市場開拓に意を用い、設備の近代化、経営の合理化等企業努力と、政府施策とによりまして、価格の安定をはかることが必要と考えるところであります。今後の物価見通しとしても、最近までの動きに徴して見まするに、若干強含みの傾向があるように思われますが、しかしながら財政金融面における適切な施策が維持されている限り、国際物価動きと遊離して、わが国物価が激しく変動するということは予測せられない現状にあります。
  6. 圖司安正

    圖司委員長 これにて本件に関する政府当局説明は終りました。この際質疑があればこれを許します。
  7. 多田勇

    多田委員 ただいま価格については手を入れない方針だというような小峯次官お話でございますが、ポ勅で出ております価格統制令をどういうような扱い方で処理されるか、この点について伺いたい。
  8. 熊田克郎

    熊田政府委員 価格統制並びに地代家賃統制二つポ勅の形で出ておるのでありますが、物価の方はだんだん統制もはずれて参りました。地代家賃の方もはずれて参りましたが、なお多少統制存続するものもありまして、ことに他法令の指定において相当のものの存続考えられております。地代家賃につきましては、今なお相当のものがマル公の範囲内になつておりまして、またこれを維持することによつて家計の安定というものが保たれておりますので、これも存続の必要があると考えております。従いまして今後も両法令の内容をしばらくいじりませんで、そのまま存続する。これはポ勅関係一般法令存続するというような規定ができることによつて存続されることになると考えます。
  9. 多田勇

    多田委員 ただいまのお話よくわかりますが、ただ他の法令によつて価格がきめられている場合が相当あるようであります。先ほどお話になりましたように、電気料金にしましても公益事業委員会電気料金を制定するというようなことで、国の価格政策に非常に大きな影響のある価格統制というものが物価庁から離れておる。価格統制令わく外になつておるというようなことを考えてみますと、ただいまのお話のように、国民生活に必要欠くべからざる部面についての価格統制というものは一応了承できますが、この際自由価格に移行するという線を強く進める意味において、ポ勅価格統制令を廃止するというようなお考えはないか伺いたい。
  10. 熊田克郎

    熊田政府委員 いずれだんだん御趣旨のような点は検討されるべきものと思うのでありますが、あるいは暴利不当高価等の基準も目下価格統制によりますので、すべてのものを離しまして、それらのものは何らかの形で今後必要なことであろうというふうに考えるわけであります。いずれだんだん検討いたしまして、今後の事態に適応するようにいたすべきものであると考えております。
  11. 多田勇

    多田委員 今お話ありました暴利関係につきましても、今まで暴利を取締まるというようなことを言いながら、実際問題として現実には取締まられたことがなかつたというような点から考えても、この際必要な部面については、他の法令によることにして、価格統制令を廃止することが先ほどから言われているような政府価格政策に合致するのではないか、こういうように考えておりますが、そうしますと価格統制令は、そのまま法律の形に移行するという線で進まれることに了承してさしつかえございませんか。
  12. 熊田克郎

    熊田政府委員 ただいまのところお話のような方向に進んでおるわけであります。
  13. 多田勇

    多田委員 価格統制令をそのまま存続するにいたしましても、価格統制相当撤廃になまりして、どんどん自由価格に移行して参りますれば、先ほどお話のありましたような意味合いから、今後の価格政策の焦点をどういう方面に置くかというような点について、政府考え方お話願いたい。
  14. 小峯柳多

    小峯政府委員 先ほど申し上げましたように、価格自体に直接手をつけませんで、価格を形成する基本的条件の改善に努力するということが、私ども自由経済をもつて政策をやつておりますものの当然の建前であると思うのであります。しかし御承知のように、世界の経済がなかなか変転きわまりない状態でありますので、場合によつて輸出に対する多少の調整ということを考えることもあり得るわけであります。また稀少物資に対する使用制限、これは昔の統制を復活するというつもりはさらさらありませんが、需給に関して多少手を打つ、また建築資材は、最近非常に建築の進み方もかなりはなやかであります。そういう関係建築資材等影響ありとすれば、建築に対しましては何ほどかのことを考える必要がありはしないかというようなことを考えておりますが、要するにそういう考え方は消極的でありまして、今までありましたような統制経済で、直接に経済活動の面を縛るというふうなことはしないで、行政上の指導等で主としてやつて行く考えでおるのであります。
  15. 多田勇

    多田委員 先ほどお話によりますと、肥料等価格が非常に上昇したようなお話でありますが、肥料が上昇しますと米価相当大きな影響があると思うのであります。先ほどお話米価をなるべく低くするというような点で、食管特別会計赤字を、一般会計その他から埋合せをして現在の消費者価格ができ上つておるというお話でありましたが、肥料値上りになる、従つて買入れ価格相当値上りになるというようなことになりますと、消費者価格もある程度値上げせざるを得ないというようなことも一応考えられると思うのでありますが、二十七年度の米価についてどういうような考えであるか、お話でさましたら伺いたい。
  16. 郡祐一

    郡政府委員 今年の生産者価格をどのように確定いたすかについては、米価審議会でもいろいろな案を提議されまして、現在の価格パリテイ方式を改めて、何とか農村の所得というものを、一般勤労者と均衡のとれたものにできないものであろうかというような、いろいろな提案をされおる。これに対しましては、関係省検討を重ねておるところでございますけれども米価審議会提案のような案をにわかに採用いたしますためには、資料等の不足のため急速には困難かと思うのでありまして、確かにお話のように統制をはずした後におきまする肥料値上り等は顕著なものがあるのであります。それで米価の決定については、ごく近い機会に国会議員もお入りを願つた新しい米価審議会で、十分検討を加えて参ろうと思つております。
  17. 多田勇

    多田委員 食管特別会計赤字を埋めるという意味だと思うのでありますが、最近十月から砂糖家庭用を除くものについて入札制をとられておるのでありますが、この入札制によりまして、たとえば金融上の問題、あるいは一般物価に及ぼす影響等、いろいろの問題が起つておるようであります。この際一層業務用だけでなしに、砂糖統制全般を解除して行くことがいいのではないか。片一方統制をして、片一方で自由にするというような行き方は、実際問題として非常に困る部面が出て来ておるようでありますが、これについて政府は現在どういうふうに考えておられるかという点と、いま一つ、砂糖を自由にしました場合に、国内生産である北海道ビートの、生産コストが非常に高い関係上、輸入砂糖と競争することが困難になるような状態になつて来ておるように聞いております。国内産糖について何らかの措置をとらなければ、北海道ビートは、ほとんど全滅せざるを得ないというような状態になつて来ておるようでありますが、これに対して消費税の面で調整をするか、あるいはまた別に調整の方法を考えておられるか、この点について、これは農林省関係でございますが、価格の面からひとつ御答弁願います。
  18. 永野正二

    永野政府委員 本年の十月ごろから業務用割当統制を廃しまして、入札制で売却して参つたことにつきましては、ただいまお述べのような事情がございます。ただ問題は、財政の必要という点だけではございませんので、最近の業務用砂糖割当実情から申しまして、今後従来のような割当制度をそのまま続行して行くことに相当な問題がございますし、それらの関係もにらみ合せまして、入札制を採用することになつたわけでございます。かつまたその対象となつております砂糖は、これを使用してできます製品が、ほとんど価格統制はないものでございまして、その入札制にいたしました結果が、一般物価影響する点はさほど重大な問題はないかと存ずるのであります。ところが家庭用一般配給砂糖統制をはずすといたしますと、各家庭が、現在ではマル公で入手いたしておるものを、自由価格で入手をするということになるわけでありますので、これは確実に各家庭にとりましては負担の増になるかと存じます。しかしながら今後の砂糖輸入状況、自由にした場合の価格見通しというような点もいろいろ研究いたしまして、これが統制を解除できるかどうかという点につきましては、現在農林省中心といたしましていろいろ研究をいたしておりますが、まだはつきりきまつた成案を得ておりませんことを御了承願いたいと存じます。
  19. 小峯柳多

    小峯政府委員 私から追加して御説明申し上げますが、砂糖ビートの問題が、第一回の入札の結果、御承知のようになかなか高いことになつてしまいまして、今事務当局から説明がありましたが、実は最初の入札の結果は、物価政策から見まして必ずしも思わしくないものでありましたので、比較的第二回の入札の期間を早めましてやりましたことは御承知通りであります。しかも第二回にやりましたときには、よほど入札価格も落ちつきまして、前より比べると安目になつたのでありますが、しかしその入札の余りが相当ありましたので、おつかけて三回の追加でやつたのであります。しかしこのわずかの経験ではありますが、業務用だけのものをビートにするということが、必ずしも物価政策でいいかどうかは非常に疑問がありますので、事務当局の御意見は慎重でありましたが、私どもはここまで来れば輸入砂糖の見当をつけ、そうしてむしろ砂糖統制を解く方に持つて行く方がいいんじやないかというので、これはまあ政治的な見解ですが、むしろ積極的に研究をさせております。
  20. 永野正二

    永野政府委員 砂糖価格統制をはずしました場合に、北海道てん菜糖生産相当影響があることは、今お述べの通りであります。この点につきましては、北海道農業の保護と申しますか、北海道の農産物の生産を維持するという建前から、むしろ農業政策の面を中心といたしまして今後の大きな政策をきめて参るべき問題だと考えます。この点につきましては、物価庁といたしましては、農林省の方と相談をして今後やつて行きたい、こういうふうに考えております。
  21. 多田勇

    多田委員 ただいま政務次官からお話がありましたように、砂糖全体の統制を撤廃しても、国民生活にそう大きな影響があるとは考えられないと思うのであります。ただいまお話のように、第一回の入札では一斤当り百五円ないし百二十五円程度つたようでありますが、第二回の入札では、百円前後、しかも第三回をやらざるを得ない程度入札希望がなかつた。あるいは第三回をやつて相当程度まだ残量があるというような状態から考えてみますと、むしろこの際統制を撤廃することによつて、自由に希望する砂糖を購入することができるというような利益の面の方が、相当大きくなるんじやないか、さらにまた現在食管特別会計赤字を埋めるという建前で、一応最低価格で押えておるようでありますが、今後輸入業者から食管特別会計関係せずに、国内消費市場砂糖が出るということになれば、現在よりも相当程度価格が低下するということは、一般の常識になつておるようであります。その点について、砂糖統制を撤廃するという方向に強く進めていただきたいという希望を申し上げておきます。  それから砂糖業務用統制を撤廃しましたために困つておる部面があるようであります。と申しますのは、主食の代替になつておりますビスケツトとかあるいは乳製品とかいつたようなものは、砂糖価格自由価格になりました関係上、相当程度つて来た。しかも現在押えられておる価格では採算がとれないというような状態で、主食の代替品をつくることは相当大きな犠牲になつておるようであります。この主食の代替になるこれらの加工品に対する価格措置を、いつごろきめられる予定であるか、この点について御質問します。
  22. 永野正二

    永野政府委員 主食代替のパン及びビスケツト等につきまして、今回の砂糖入札制度実施の結果、コスト上当然変化があつたことはお話通りでございます。これにつきましては、これらのものに対して、特に随意契約をもつて一般入札価格と切り離して、一定の価格砂糖が渡るような措置農林省の方で講じておられるのでありますが、物価庁といたしましては、その価格を基礎にして原価計算をいたしまして、これはすでに手続を一生懸命進めておるところでございますが、遠からず公定価格の改正をいたすつもりでございます。
  23. 多田勇

    多田委員 それからいま一つ、国内生産の主要な生産物である澱粉でございますが、砂糖統制が撤廃になり、しかも現在のような入札制度でなしに、自由に輸入されたものを国内市場で自由に消化するということになると、相当程度砂糖価格下落することは、先ほど申しましたように常識になつておりますが、その場合に、国内で生産されました澱粉の価格が、現在の価格では砂糖と競争でき得ない、結局は砂糖のために国内澱粉企業が衰退するというような危険があるようにいわれておりますが、こういつた場合に対しまして、澱粉に対して何らかの価格措置考えておるか。たとえば物品税を軽減するなり、あるいは減免するなり、そういつた点について何かお考えがありましたら、御説明願いたいと思います。
  24. 永野正二

    永野政府委員 砂糖と代替関係に立ちます水あめを通して、澱粉価格が今後どうなるであろうかという見通しにつきましては、先ほどお話の、砂糖統制撤廃をどういう時期に、どういう見通しで、どういう輸入数量を前提にしてやるかということと直接の関連があるわけでございまして、それらの見通しにつきましては、現在すぐ見通しを立てることはなかなか困難でございます。
  25. 圖司安正

    圖司委員長 ほかに御質問はございませんか——御質問がなければ本日はこの程度にとどめまして、次会は公報をもつてお知らせすることといたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後二時四十二分散会