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有田(喜)
委員 節電なり、また産業用
電力をできるだけ食わぬようにするような
国民運動を起すとか、いろいろな手を打つ必要があると私は思いますし、また一方使用の合理化というような点も必要があると考えますが、何と申しましてもそういうことの中心とな
つて動くものは、今日の形態でいえば
電力会社がやらなければいかぬ。ところが
電力会社は何と抗弁されようと、やはり株式会社である。営利
組織なんです。公共用事業で暴利をむさぼることは取締られるかもしれないが、やはり営利会社である。営利会社というものは
電気を
使つてもらつた方がありがたい。非産業用
電力の方がありがたい。それを押えて採算に合わぬ方に
電力をたくさんまわすということは、営利会社の必然の傾向と相反するのであります。そこで企業形態というものを考えなければならぬ。この前も他の観点から若干申し上げたのでありますが、料金の面
一つを見ましても、
電気事業の経営が、はたして現在の形態
組織でよいかどうか、相当疑問に思う。これは
安定本部の方ですでにお考えにな
つておるかと思いますが、五箇年
計画の新
開発の問題であります。その新
開発の
電力料金はどのくらいになるか。計算されていないかもしれませんが、相当高いものにつくのです。少くとも今の料金の倍くらにはなる。それはだれがかぶるか。直接
需用家に行かないで、
電力会社がかぶらざるを得なくな
つて来る。ところがこれを大口消費者からいえば、新規
開発のものをもらうよりも、既設の
電力会社からもらう方が安い、だから既設会社からもらう。そうすると結局高い新規
開発の
電力は、既設会社がそれを買
つて、今までの安いものとまぜ合せて、比較的中間の
電力料金とする、こういうことをせざるを得なくな
つて来る。そのときに、今度は買う方の地帶のそれぞれの
電力会社でありますが、
電力会社そのものから申しますと、たとえば
関西電力は東京
電力から
電気をもらつた方が安く手に入る。新規
開発のいろいろの形態が出て来ましようが、公党事業であろうが、あるいはパブリック・コーポレーションの
開発であろうが、何ぼパブリック・コーポレーションでもやはり高い。そこから直接もらうよりも東京
電力からもらつた方が安い、こういうことにな
つて、その間に相当私は矛盾したものが出て来ると思
つている。そうすると、買う方にしても、営利会社であるものに、お前は高いものを買えということはどうしてもいえない。そこで事業形態が営利会社でない他の
組織になれば、そういうことが比較的調整ができる。ことに、営利会社であ
つても、この前の
日発のような全国
一つのものであるならば、他の
開発会社から買
つても、自分のところが大きいから、全国
一つのものだから、既設のものと
一緒に混ぜ合せて、自然に調節したものが売れる。今の九分割でありますと、せつかく
電源を
開発しても、経済問題で相当行き詰まる面が来はせぬかと私は懸念する。そこらの点は
政府の方でもあまり気がついてないかもしれないが、よほどそういうことを考えてやらないと、今日
電力不足で
電源開発、
電源開発と言
つておるが、
開発したところが、それがどういふうに配分されるかということによ
つて料金問題が行き詰まる。
政府はこの前九分割したときに、各地帶間の融通は簡單に行くとおつしやつたが、なかなか融通は簡單に行
つてない。
先ほどだれかの
質問に対して、今回の
電力危機は分割の結果ではないと弁解しておられた。なるほど
異常渇水が大きな
原因であり、また
石炭手当が足りなかつたことも大きな
原因であるが、しかし地帶間の融通が円滑に行かなかつたということも大きな
原因である。その証拠に、九月の末に私中国
方面に行
つて来たが、下関に行くと
電気はまつ暗である。門司の方に行くとこうこうと
電気がついている。一寸手前にいてネオンサインがついている。片方は
電気が消えてまつ暗である。こういうことは何と申しましても分割の結果である。
一つの会社で、
日発のようなところでや
つていたならば、ああいう極端なことは起らない。多少地帶間に差はあ
つても今回のような大きな差はない。関西と関東を比較しましても、関西はたいへんなんです。東京に帰
つて来ますと、規制はされておるけれ
ども関西のようにひどいことはない。今まで
日発当時にはそういうことはなかつた。関西、中国地帶が今日のような
渇水状態にな
つて電力が不足しても、全体的に三割くらいの規制で済んだかもしれない。しかし分断された結果、関西、中国は五割の規制で、そのため産業が破壊され、非常な社会不安が起
つている。これは何と申しても分断の影響だろうと思う。それから、気がついてないかもしれないが、
日発一つでや
つていたときには、九州に貯炭があつた。これさえ用意しておけば、一社の内部のものであるから、関西が
電力不足であるというときには、九州の
電気を尼崎に持
つて来た。ところが分断されたものだから、関西、中国が困
つてお
つても九州の
電力会社は平気でいる。平気でいるのは当然なすです。それぞれの責任でや
つているのだから当然なんだが、何とい
つてもこれは分断の
一つの弊害である。分断であるから自主的であるのは当然のことであるが、自主自主といわれるために、かえ
つて日本全体からいえば、
電力の混乱が起
つている。九分割は決して正当ではなかつたと私は思う。おそらく今後
開発を見たときに、今
ちよつと
指摘した一点から申しましても、新規
開発の
電力は、こういうぐあいに悪かつたというので相当問題が起
つて来る。その証拠に今日
政府は融通命令を出そうとしておるが出されない。融通契約をや
つておる。一部や
つておつたけれ
ども料金の面で行き詰ま
つてしま
つて、未解決に終
つておるというのがまだ相当ある。融通命令、融通命令とおつしやるが、命令は出されない。
公益事業委員会は伝家の宝刀だから出さないとおつしや
つておりますが、実際は出し得ない。さらに自信がない。と申しまものは、
公益事業委員会はロード・スパツチをやる
組織、すなわち給電
組織がない。人のものを見ておるだけである。そのことをもししくじつたら伝家の宝刀はさつぱりだめだから出さないでおられる。これは出さないのじやなくて出せないのだと私は思う。今御説明がありましたけれ
ども、各会社の人間を
使つてやる。それで円滑に行けばけつこうでありますが、しかし今の
組織は毎日毎日変化するところの水量に応じて、それぞれ日常の
電力の需給というものが非常に混乱を来す形体だと私は思う。その点は私は
公益事業委員会といたしましても相当反省されてしかるべきものではないかと思う。これは私の見解ですが、もし私の見解に対してそうでないとおつしやるならば、もう少し論議を重ねてもいいと思いますが、私はすなおな気持からさように思う。
公益事業委員会もあれをつ
くつたから九分割を守らなければならぬというように意地にならずに、
日本の
電気をどうしたらいいかという大きな気持で、こだわらずに今後の
電源開発、また
開発された
電気が最も有効に
日本の発展のために使われるようにという
意味合いにおいて、愼重に、とらわれざる見地から御検討願いたいと思う。これは希望ですが、もし御意見があれば承ります。