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1951-11-09 第12回国会 衆議院 経済安定委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月九日(金曜日)     午前十時二十一分開議  出席委員    委員長 圖司 安正君    理事 志田 義信君 理事 多田  勇君    理事 永井 英修君 理事 竹山祐太郎君       岩川 與助君   小野瀬忠兵衞君       寺本  齋君    奈良 治二君       渕  通義君    細田 榮藏君       有田 喜一君    笹山茂太郎君  出席政府委員         総理府事務官         (公益事業委員         会事務総長)  松田 太郎君         経済安定政務次         官       小峯 柳多君         経済安定事務官         (産業局長)  近藤 止文君  委員外出席者         專  門  員 圓地與四松君         專  門  員 菅田清治郎君     ――――――――――――― 十一月九日  委員稻村順三君辞任につき、その補欠として勝  間田清一君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 十一月七日  釧路原野未墾地利用調査に関する請願(伊藤郷  一君紹介)(第七七一号) の審査を本委員会に付託された。 同月六日  四国西南地域総合開発区域指定拡張に関する  陳情書(第四七六号) 同月八日  重油価格改訂に関する陳情書  (第六〇三号)  講和後の経済基本政策に関する陳情書  (第六一七号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  連合審査会開会要求に関する件  電力需給計画に関する件     ―――――――――――――
  2. 圖司安正

    圖司委員長 これより会議を開きます。  行政機関職員定員法の一部を改正する法律案につき、連合審査会開会申入れの件についてお諮りいたします。行政機関職員定員法の一部を改正する法律案は、ただいま内閣委員会審査いたしておるのでありますが、本案は各行政機関職員定員に関する法律案でありまして、内閣委員会は、本日地方行政、農林、人事、労働の各委員会連合審査会を開会することとなつておるのであります。本委員会といたしましても経済安定本部所管に関する職員定員に関し、これら各委員会と同様、本案審査のために内閣委員会連合審査会開会申入れを行いたいと存じますが、御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 圖司安正

    圖司委員長 御異議なしと認めます。それではさよう決しました。  この際暫時休憩いたします。     午前十時二十二分休憩      ————◇—————     午後二時二十二分開議
  4. 圖司安正

    圖司委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  それでは前会に引続き、電力需給計画に関する件を議題とし、質疑を継続いたします。渕通義君。
  5. 渕通義

    渕委員 まず最初に、電力需給計画に基きます政府電力開発五箇年計画というふうなものが新聞に発表され、また経済安定本部におきましては、着着と立案中であるとの報に接するのでございますが、電力五箇年計画もけつこうでありますけれども、この電力開発のためのダム築造による地元町村のこうむる災害が、非常に倍加しておるという現実をば直視しなければならないのでございます。この問題に対しまして、今までの電力開発方法によりましても、何ら電力開発によつて損害をこうむる者に対する防除対策なるものの法案があることを聞かないのでございます。私は、この点は電力五箇年計画をやられる上におきまして、まことに重大な欠陷ではないかと存ずるのでございます。たとえば、諸外国におきましては、電力会社は、必ずその水源地帶におきましては相当の面積のレザーヴ・フオーレストを持つておるのでございます。しかるに日本の現在の水源地帶に参りますと、何らのレザーヴ・フオーレストがない。こういつた状態でいくら五箇年計画をやろうとも——電力ができましても、年々歳々災害によりましてこうむる地元民の不幸というような問題が、非常に大きな社会問題と化しておるのでございます。現在全国各地ダム地点に参りまずと、すでに十年、十五年たつておるダム地点におきましては、その地点の住民は転居せざるを得ないような状態に立ち至つておる現状であります。こういつた問題に対しまして、政府当局は、五箇年計画立案と同時に、いかなる対策を持つておられるか、一言承りたいと思います。
  6. 小峯柳多

    小峯政府委員 御指摘のようなことは、まことに残念なことでありまして、電源開発公共事業との関連を十分密接にしなければならないと考えております。御指摘のような外国例等も御指示いただきましたので、よく研究いたしたいと思います。
  7. 渕通義

    渕委員 ただいまの御答弁を追究するというわけではございませんが、研究するということでございまして、一応了承いたしたのでございますけれども、私はすでにこの問題につきましては、かなりの案がなければならぬと感じておるのでございます。この電力五箇年計画立案されるに際しまして、そういつたものに対する研究をなされておるかどうかということを承りたい。
  8. 小峯柳多

    小峯政府委員 私の答弁が足らなかつたのだと思いますが、洪水を調節して、それを電気に使うという新しい公共事業のやり方は、おそらく今後の電源開発に関しましても非常に大きな重さを持つだろうと思います。五箇年計画などを事務当局で研究してくださつておりますが、当然今御指摘なつたようなことは加味いたしまして、電源開発することによつて地元民に御迷惑のかかるようなことは絶対にしないような方法で、施行あるいは計画にあたつて十分気をつけて参りたいと思つております
  9. 渕通義

    渕委員 そういつたことの実現するの近からんことをお祈りいたしております。ただ現実的な問題といたしまして、現に多くの災害をこうむつておるということは、そういつた点に対する日本政府対策がなかつたからであるということだけを御銘記願いたいと思います。  次に昨今の電力状況をながめてみますると、これはひとえに渇水とか天候異変、こういつた問題にかなり大きなウエイトがかかるでありましようけれども、これを掘り下げてみまする場合、公益事業委員会活動分野というものが、はたして完全に動いておるかどうかという問題に疑問を抱かざるを得ないのでございます。かつて日発が存在いたしておりました時代においては、今日ほどのきゆうくつな面はなかつたと私たちは存じておるのでございますが、最近の状況によりますと、ブロツク独占の姿が現われて参りました。いわゆる独占資本主義と申しましようか、ブロツク独占というものは、普通の独占よりももつと強い独占の形態をなしております。従つて公益事業委員会が命令しようとも、そのブロツク独占利益追求立場に立ちまして、なかなか思うように動いて行かないという現実が、現に昨今の大阪附近におけるところのダムの貯水の問題にいたしましても、現われていると思います。こういう点につきまして、政府当局公益専業委員会動き方が不活発であるということを、お認めになるかどうか、一点お伺いいたします。
  10. 小峯柳多

    小峯政府委員 御承知のように新しい形で電力会社が発足いたしておりますので、今御指摘いただいたようなことに関して、やはり欠けるところがあるのではないかとも思つております。しかし最初分割案をきめましたときにそれぞれ予定しました一応の計算等もありますので、今御指摘のような点で思うように動かない面もあるのではないかと思います。しかしこれまた御指摘のように、電力の問題は、当然政府といたしましても、大きい意味でその調節は十分しなければならぬと思いますので、公益事業委員会等にもそういうふうな希望あるいは要請を伝えまして、御了知願うつもりであります。
  11. 渕通義

    渕委員 次に昨今の電力事情によりまして、国民は非常に不安におののいておるのでございますが、その一番大きな問題は、生産力の低下という問題でございます。私は現在政府当局が考えておるところの、業種別に対する電力配給計画といつたものができておるはずと思います。特に肥料工業のごときは農村では重要なる問題を占めておりますので、こういつた点につきまして、かなり綿密な計画を御発表願えたならば、肥料に対する農民の関心もまた一段と高くなり、あるいはまた肥料価格の暴騰を押える一つの過程ともなるのではないかと思うのであります。最近のごとき電力事情によりまして、肥料に対して電力配給がないというようなことが伝えられるわけでもございませんけれども電力にとつて一番感度が高く、ぴんと響くものは肥料工業でございまして、これに対しまして今日肥料の買占めという問題が巷間伝えられておる。こういつた面を未然に防ぎまして、肥料価格の安定をはかり、農民生活の安定に資する、こういう立場に立ちましても、経済安定本部当局におきまして堂々とこの問題につきまして国民に納得の行くような、業種別電力計画をばはつきり御明示願いましたならば相当安定すると思いますが、安定本部立場から安定するような施策をお願いしたいと思います。
  12. 小峯柳多

    小峯政府委員 お話のありましたように、電力の問題と生産との関係は非常に憂慮すべき問題であります。特にこれまた御指摘になりました肥料との関係でありますが、私どももその重大性をよく承知いたしておりますので、事肥料に関しましては、石炭一緒電気に関する割当等も特別に考慮しなければならぬという意味合いにおきまして、この苦しい電力事情の中からも優先的に取扱つて来ておるつもりであります。今御指摘のように具体的にというお話でありましたので、産業局長からその辺の事情をさらに詳しく答弁いたさせることにいたします。
  13. 近藤止文

    近藤(止)政府委員 肥料に対する電力割当の問題につきましては、去る九月に肥料緊急増産に関します閣議決定をいたしましたときに、電力を優先して確保するということを決定いたしたのであります。その方針に従いまして第三・四半期以降肥料に対する電力割当は、計画通り生産ができる電力割当てるということにいたしておるわけであります。ただその後に渇水事情がひどくなつて参りまして、九月の末から十月、今月にかけまして、割当量のほかに使用する絶対量を制限するという状態になつてつておるのでありますが、その場合におきましても、肥料につきましては第一段の制限と申しますか、ほとんど制限をしない程度電力のわくをきめまして、そうして増産をはかつておるわけであります。なおこの制限の問題につきましては、現在公益事業委員会におきまして一定制限規則を考えておるわけでありまして、おそらく十二月以降の関係になると思います。その場合肥料につきましては、石炭と同様に第一種の需要として取扱つてもらうように、経済安定本部の方からも強く公益事業委員会要請いたしておりますし、また公益事業委員会におきましても、そういう線で制限規則をきめられるように伺つておるのでございますが、この点は現在まだ最終的に関係方面その他と打合せ決定をいたしておりませんので、これがきめられます場合には、先ほども申しましたような趣旨で、肥料増産にさしつかえないような配慮をいたしたいと考えておるのでございます。  なお肥料生産の実績でございますが、今年の八月に始まつて来年の七月に終ります肥料年度におきまして、硫安その他の肥料につきまして一定生産計画を持つておるわけであります。それによつて国内需要とある程度の輸出の需要とを充足するということに相なつておるのでございますが、八月、九月におきましては、実は予定計画以上の生産がございまして、約二万トン近くの増産ということになるのでございます。十月に入りまして、ある地域によつて非常に水が欠乏いたしまして、電気がなくなつたような事態が起りまして、これが予定計画よりも減産するというかつこうになつたわけであります。十一月以降におきましてはそういうことのありませんように、極力電気確保をはかりまして、年間肥料年度といたしましては、計画通りあるいはそれ以上の増産をいたすように持つて参りたい、かように考えておる次第でございます。
  14. 渕通義

    渕委員 そうしますと大体第三、第四・四半期におきましては、肥料に対する限りにおきましては百パーセントの電力確保する、こういうように了承してよろしいですか。
  15. 近藤止文

    近藤(止)政府委員 私どもはそういうように考えまして、いろいろ最善の案をこしらえているのでありますが、将来非常に異常な渇水が起りました場合に、なおかつ肥料工場に百パーセントやれるかどうかということは問題でございまして、ある程度渇水の場合におきましては、肥料工場にはその所要量を十分割当ることができると思います。要するに渇水の度合いの問題が今後ございますので、それらの点で最悪の場合が起るかどうかわからないのでございます。大体現在程度状態でございますならば、肥料に対する電力は十分確保できると思つているわけであります。
  16. 渕通義

    渕委員 今年の電力状況は、昨年に比較いたしますと非常に窮迫いたしておりますが、石炭事情のごときは、御承知のように昨年より増産されている現状でありまして、問題は天候に支配された点が一番大きなウエートであります。第二点といたしましては、今申し上げたように電力組織が変化を来しましたので、その間に生じましたネツクと合せまして、その結果電力の減産が現われたのではないか、この二点について承りたい。
  17. 松田太郎

    松田政府委員 公益事業委員会の方からお答えいたしますが、今日の電力事情の緊迫いたして参りました原因、特に昨年に比べて最近のような事情になつております原因を申し出すと、大約いたしまして三つあると思います。  第一の点は、いわゆる電力需用が非常にふえて参つていることでございます。特に昨年の六月でございますか、例の朝鮮動乱以降は特に特需の関係等におきまして需用がふえまして、大体最近におきましては、年間前年に比べまして一三%から一五%くらいの需用増に相なつているのであります。その需用増に対して電力供給が伴つていないという点が第一点であります。第二点は、先ほど指摘異常渇水、本来ですと九月ごろはいわゆる台風の時期でありまして、相当水に惠まれる月でございますが、御承知のような状況で、非常に渇水いたしました点、それから第三点は、石炭手当において、特に関西地区においては率直に申しまして不十分の点があつた。この三つの点が大体今日の電力危機を来したおもな原因だと思つております。     〔圖司委員長退席多田委員長代理着席〕  それから第二の、再編成をいたしましたことが電力危機を招来した一つの大きな理由になつているのではないかということでありますが、私どもはさほどにそのことが今度の電力危機における大きな原因をなしているとは思いません。と申しますのは、この電力需用増に対しまして電力供給がこれに伴わなかつた点を簡單に申し上げると、戰前から戰時にかけまして、日発当時においていろいろ電力開発についても努力をしてもらつたのでありますが、何分にも戰時中における資材あるいは資金等のきゆうくつ状態もそれに加味されまして、あるいは機構的にも多少問題があつたと思いますが、そういうようなことで非常に電源開発あるいは送電、配電等の施設につきまして、十分打つべき手が打つてなかつた、それからまた終戰後におきまして、当時各方面からいろいろな政策的見地からの要望もありまして、たとえば電源開発に対する一例をとりますと、見返り資金のことにつきましても、昭和二十四年に至りまして初めてついたような状況であります。それ以前は日発その他におきましても、自己資金においてまかない得る程度のことをやつて来て、二十四年度に至り約百億の見返り資金がつき、また二十五年度においても百億の見返り資金がついたのであります。特に二十五年度は、再編成関係その他から、はつきりきまるまで百億の見返り資金がつきませんで、結局二十五年度の末に資金がついたのでありますが、本年度は百五十億がすでにきまり、さらに百億程度のものが追加されることになつております。そういうようなことで二十六年度末におきまして、水力、火力を合せまして——大体終戰後水力につきましては五十四万キロワツト火力につきましては三十一万九千キロワツト、合計八十五万九千というような増加が、大部分二十四年度から二十六年度にかけてふえて参つたというような状況でございまして、そういう供給需用関係が、実はだんだん追いつきつつあると思うのでございますが、一方需用が激増して来るのに対して、供給が不十分であつたという点が一番の原因であります。あと自然の現象としての渇水は、これはもうどうもいたしかたがないと思いますが、石炭の点について申しますならば、再編成の際に、再編成に対する石炭手当等について、十分な引継ぎがなかつたというような点が、関西電力等における石炭入手等に対する一つ欠陷であつたのではないかと思つております。しかしながら再編成のために、今度の電力危機を招来したというぐあいにお考えいただくのは、少し酷ではないか、かように考えております。
  18. 永井英修

    永井(英)委員 ちよつとお伺いしたいのです。有田委員からこの前の委員会ちよつと質問がありましたが、火力がこの夏ごろから非常に酷使せられておると思われますが、この渇水期に現在予想されておるような電力を起すことができるかどうか、その一点。それから下期に四百七十万トンの石炭確保されるというが、はたしてこれができるかどうかという問題、この二点についてまず御説明を願います。
  19. 松田太郎

    松田政府委員 下期の計画に対しましては、大体安定本部の方ともいろいろ打合せをいたしまして、最近における需用増加傾向等を考えて、年度当初の計画よりも、九%程度需用増を考えておるのでありますが、御承知のように、先ほど申しましたような供給力状況でありますので、かりに石炭が四百七十万トン確保でき、それから出水に対しても、過去九箇年の平均程度の水が出るといたしましても、やはりそこに需用に対して六%ないし七%程度の減があると見ざるを得ぬと思うのです。これがさらに出水関係が九〇%程度であり、また石炭確保がかりに五十万トン程度落ちまして四百二十万トン程度といたしますと、やはり一五%ぐらいの減になるのではないか。それからまたさらに水の関係だけが八〇%ぐらいに落ちますれば、かりに石炭が四百七十万トン確保されましても、一七%前後というものが、需用に対して供給が伴わないということになるのではないかと思つておるのであります。そういう意味天候の方は何とも申せませんけれども、大体私どもの従来の経験から推しますれば、今日のような現象が必ずしま将来続くとも考えておりません。大体例年に比べまして一〇%程度ぐらいの渇水というものを、やはり覚悟はしておく必要があるのではないかと思いますが、それを二〇%ないしはそれ以上というところまで心配する必要もないのではないかと思つております。  それから石炭の問題につきましては、各方面の非常な御協力によりまして、特に経済安定本部、通商産業省、ひいては各炭鉱業界の方々の非常な協力によりまして、ほとんど出荷命令にも近いようなところまでの措置を現在してもらつておるのであります。いわゆる行政措置と申しますか、各炭鉱業者の方に対するいろいろな指導によりまして、石炭確保協力を願つておりまして、幸いにして現状におきましての、たとえば関西電力の例をとりますならば、九月末ごろは貯炭が一万七、八千トン程度しかなかつたのが、今日におきましては六万八千トン、約七万トン近くにまで参つておるのであります。全国的に申しましても十九万トン程度でございましたのが、今日では三十万トン程度になつておるというような情勢になつて来ておりますので、今後の御協力によりまして、われわれとしましても何とか四百七十万トンの石炭確保して参りたい、またできるのではないかと思つておりますが、その中にたとえば外国灰の問題もございます。それからまた石炭重油によつて置きかえるという意味で、重油を輸入するという計画も入つておるのであります、従つてそういう外国に依存するような面もございますので、われわれとしましては行先あるいは五十万トン程度、本年度内に間に合う石炭としては、欠けることがあるのではないかと率直にいつて考えておりますが、いずれにいたしましても、今申しましたような線で、極力各方面の御協力によつて、四百七十万トン前後の炭の確保に期待するということを考えております。また不幸にして多少石炭の入荷が落ち、あるいは出水状況が悪いという場合には、先ほども御質問がございましたいわゆる電力融通措置について、十分な手を打つて参りたいと思つております。現在でもその問題につきましては、従来の日発のございました当時に、日発に置かれましたいわゆる中央配電指令所というようなものに、ある程度似通いました組織として、現在省電力会社からなる中央配電連絡会議というものを持ちまして、そこに対しては、非常事態が特に参りましたような場合には、委員会の方として、どの貯水池の水をどの程度使わなければいかぬ、どれ以上使つてはいかぬ、また火力発電につきましても、どの程度たかなくてはいかぬというような指示をいたしまして、それと自然流量一緒にした供給力に応じて、極力各地域間のアンバランスにならないような融通措置を、各社が自主的に協力して、その結果を見ますように指導いたしております。万が一各社委員会等指示に従わないといつたような最悪事態がかりに起りました場合には、委員会といたしましても融通命令等法的処置を講ずることにやぶさかではないのであります。そういうふうにいたしまして下期の渇水に対しましてはできるだけの応急策を講じて、各方面に御迷惑を少しでもかけないように努力いたしたい、こう考えております。
  20. 永井英修

    永井(英)委員 その四百七十万トンのうちに大体外国炭がどれくらい、それから重油が大体何万トンぐらい計画されておるか、それをひとつお伺いします。
  21. 松田太郎

    松田政府委員 大体そのうちで印度炭米炭カナダ炭等を加えまして、約三十万トンの石炭を輸入したい、こういう計画になつております。それからまた重油につきましては、石炭と一部置きかえますなり、あるいはカロリーの低い石炭カロリーを上げて燃燒できるように、助燃方法として使うという意味で、約九万キロリツトル程度のものを考えておりますが、これをカロリー的に石炭に換算いたしますと約二倍になりますので、石炭にいたしますれば約十八万トン程度重油を輸入しようということになつております。
  22. 永井英修

    永井委員 新聞によりますと外国炭は約六十万トンと書いてありましたが、それはこの三十五万トンと重油を換算した十八万トン、それでもちよつと足らないわけですが、新聞に出ている六十万トンというのは、実際はやはり三十五万トンくらいしか入らないのですか。
  23. 松田太郎

    松田政府委員 この点につきましては安定本部の方からお願いいたしたいと思います。
  24. 近藤止文

    近藤(止)政府委員 新聞に六十万トンの石炭を輸入するということが出ておつたのでございますが、実はこれは正確に申しますと六十万トンという数字ではございませんで、五十万トンという数字でございます。六十万トンの数字はあるいは製鉄用に使います炭の分がそこに入つて六十万トンという数字が出たと思いますが、正確には電力用には五十万トンを考えておりまして、米国及びカナダから三十万トン、インドから二十万トンという要請を現在いたしておるのでございますが、実際にそれが買い付けられ、輸送の関係、船積みの関係等におきまして、この冬場の渇水に間に合うという数字は、先ほど公益委員会事務総長から申し上げたような数字になるわけでございます。多少買い付けましたものが遅れて入つて来る、あるいは入つて来ないという数字が入つておりますので、実は手がたく先ほど数字を申し上げたわけでございます。なお重油の点は先ほど事務総長からお話申し上げました通りでございます。
  25. 永井英修

    永井委員 それから自家発電のことをちよつとお伺いしたいと思います。従来日発時代においては自実発電をずいぶん強制的にやられたのでありますが、この自家発電の場合でも、現在の單価で申しますと、むしろ電力会社から買つた方が自分の所で起すよりも安いという所が相当多いようであります。ここへ出ている発電もそのうちに含まれておるかどうか知りませんが、こういう事態ですから、おそらく自家発電も相当やられるだろうと思いますが、そういうような場合に非常に経費の高くかかる自家発電を運転した場合、この補償というようなものが考えられておるかどうか、この点お伺いしたいと思います。
  26. 松田太郎

    松田政府委員 この点につきましては特に経済安定本部、通商産業省からも強い御要請がありまして、私どもの方といたしましても、渇水期に直面いたし、特に最近のような電力事情でございますので、現在設備として十分に働き得る、また石炭も十分つき得る所につきましては、ほとんど全部と申してもいいくらいに、自家発の動員をお願いいたしておるのであります。その形は、自家発電をされますと、電力割当料金として電力会社から買われる値段よりも、コストとしては非常に高くつく場合が多いのであります。しかしそういうこともいつておられないので、電力会社はその高いコストで買い求めまして、その上で割当をいたす、言いかえれば安い料金で売つているというようなことも出ております。しかし最近特に要望の強い点は、まだ修理を施せば相当動き得るところもあり、また石炭を十分つければ動き得るというところは、そういう修理はあくまでも自家発を持つておられるところでやり、またそれに必要な石炭につきましては、今の四百七十万トン以外に考えてみようというお話安定本部からありまして、従つてその場合に従来と同じような行き方で、電力会社としても委託発電の形式でやつてもらいたいという御要望がございます。大きく申しますならば、そういうものにつきまして国家発に補償なり何なりしていただくことが必要ではないかと、委員会としては思つておるのでありますが、しかし何分にも急場に間に合せなければならぬ点だと思つて、一応委託発電の形式によつてできるだけ増強をはかりたいということで、目下安定本部の方とも具体的な数字、それに必要な石炭量等について検討しておるような次第でありまして、その点がはつきりいたしますればできるだけの範囲において政府委託発電の形式で電力の増強をはかりたい、かように考えております。
  27. 永井英修

    永井委員 電力開発の問題ですが、電力開発には開発と同時に送電線というものを考えなければなりませんが、この送電線も相当の建設費がかかると思います。電力開発の費用の中に送電線はおそらく入つていないのではないかと考えますが、これは一体どういうふうにお考えになつておりますか。
  28. 小峯柳多

    小峯政府委員 私ども経済安定本部で立ております計画の中には、送電線の分も含めております。
  29. 有田喜一

    有田(喜)委員 先般大体の質問をしたのでありますが、少し違う観点からお伺いしたいと思います。  日本の今後の電源開発ということはきわめて重要なことであります。そこでまず伺いたいのは、わが国の包蔵水力というのは、今どの程度あるか、その中で経済的に行ける包蔵水力はどのくらいありますか。
  30. 松田太郎

    松田政府委員 その点につきましては、従来委員会として大ざつぱに調べておりました点をかいつまんで申し上げますが、もちろん推定のことでございますし、こういう点については経済安定本部の方とも今後十分検討願つてきめなければならぬ点でございますから、そのお含みの上でお聞き願いたいと思います。大体包蔵水力の中で、従来のような水路式の方法によつて開発可能な包蔵水力は、全部で二千万キロワツト程度と考えております。それにダム式と申しますか、いわゆる貯水池式の方法で、水をためることによつて考え得る包蔵水力は約千万キロワツトと考えております。両者を合せまして、約三千万キロワツト程度が今のところ可能ではないかと考えておりますが、そのうち、御承知のように、今日では六百万キロワツト程度がすでに開発されておる、こういう現状とおぼしめし願いたいと思います。
  31. 有田喜一

    有田(喜)委員 今の数字政府の方で調査して相当根拠を持つた数字でありましようか、大体の見当から来られたものでありますか。
  32. 松田太郎

    松田政府委員 もちろんある程度の調査はいたしてありますが、調査はいたしてありますが、詳しい調査というところまでいたしてございませんので、おつしやる意味から言えば、大体の見当と申し上げる以外にないと思います。
  33. 有田喜一

    有田(喜)委員 大体の見当は困るのであつて日本の唯一の天然資源は水力資源であります。政府はここに観点を置いて、水力調査なり、こういう未開発地域に対する御調査が続けられなければならぬと思うのでありますが、今どういう水力調査の方法をやつておられますか。
  34. 松田太郎

    松田政府委員 ただいま委員会としてやつていることは——もちろん従来の通産省当時から引続いて行つていた調査でございますが、本年度においては約千五百万円程度の包蔵水力の調査費というものをもらいまして、それによつて特に委員会の各支局が各地方に出向きまして、各電力会社協力をしてもらつて、包蔵水力等についての検討をいたしております。しかしながらただいまお話のように、今後電源開発の五箇年計画等をいたします際には、もちろん並行してこの問題を着々進めて参る必要があると思います。予算的な措置等についても、さらに御検討を願わなければならぬと思つておりますが、いずれにしても政府全体としても、この点については今後十分怠りなく調査を並行して進めて参りたいと存じております。
  35. 有田喜一

    有田(喜)委員 大分調査をやつていらつしやるようでやや安心するのでありますが、その水力調査の際に、根本的に考えていただきたいことは、何と申しましても、水力を開発する上においては、治水並びに河水統制との調節ということを考えながらやつて行かなければならぬ。つきましては、もちろん電気を根本に置いて調査をしなければなりませんが、治水関係の、あるいは工業利水あるいは農業用水といつた他の方面の水理調査と合せて、総合的にやらなければならぬと思います。そういう点について、政府は紙の上ではそういうことをやつておるとおつしやるだろうが、実際的にどこまで力を入れてそういう検討をされているか、できればこれは安本の方からお答え願います。
  36. 小峯柳多

    小峯政府委員 御指摘の点を含んで一応国土開発審議会の方で取上げているつもりでありますが、まだまだ十分満足するような程度までは行つておりません。先ほど公益事業委員会事務総長からお話のありましたことに比べますと、私どもの方でも資源調査会等で水の問題もやつております。また予算の関係もありますが、国土調査法でぜひ水資源の徹底的調査をやりたいと思つて、案だけは立てておりますが、残念ながら十分実施するところまでは行つておりません。
  37. 有田喜一

    有田(喜)委員 私はこの問題は今後の日本の自立経済並びに産業の発展の上から行きましても、政府としてはよほど真劍な態度でやつてもらわなければならぬと思います。政府もそこに目をつけて大いにやるというふうに伺つて、意を強うするのでありますが、口先だけではなしに、ただちにこれを実行に移されるよう、真劍な態度でやられるように重ねて念願いたす次第であります。     〔多田委員長代理退席永井委員長代理着席〕  それから今国土総合開発計画お話がありましたが、先般国土総合開発審議会が何か十九地帶の指定をいたしましたが、それと今回の安本で計画されている電力開発五箇年計画との関連はどうなつておりますか。これはただ観念の上ではなしに、実際はどうなつているかを伺いたい。
  38. 小峯柳多

    小峯政府委員 特定地域の指定は、御指摘のように大体内定しておるのでありますが、あの特定地域を選ぶ場合に、その地域のリーデイング・フアクターになつているものが、それぞれの地域で違つております。災害防除を中心にしてやるものやら、農作物の増産をリーデイング・フアクターにするものやら、また電力の問題等もございますので、そういう意味合いでは関連はありますが、今度の計画とそれがぴつたり調整できているという意味ではありません。電気の方を中心にいたしますれば、それは多少はずれても取上げることになりましようし、ことにまた特定地域の問題では、非常に大きい電源地帶である只見川だとか、熊野川だとか、琵琶湖等は、ちよつとあの地域の概念では取切れませんでしたから、一応はみ出していることを御承知願います。
  39. 有田喜一

    有田(喜)委員 私は国土総合開発は非常にけつこうなことと思います。しかしこの間の答申によりますと、もちろんけつこうなことには違いないが、あまりに幅が広過ぎて、はたして日本の今日の国情からかようなことができるかどうか、相当疑問を持つのです。目標をお立てになるのはけつこうだが、單なる机上計画であつてはつまらない。そこで今日日本の国土開発においては、何と申しましても電源開発が根本だ。せつかく国土総合開発をやられるならば、この際電力開発ということを考えて、そこから日本の実情に合うように、現実的な開発をやつていただきたいということを私の希望として申し上げておきます。  次に今後の日本開発一つ問題を残すのは、未開発水利権の問題でなかろうかと思いますが、現在未開発水利権というのはどの程度でありますか、お聞かせ願いたい。
  40. 松田太郎

    松田政府委員 お尋ねの件に対するお答えにはならぬかもしれませんが、今日未開発水利権の問題は各所に残つていると思います。現に私どもの方でいろいろ電源開発計画を実施いたしております際に一番問題になるのは、たとえばある県において総合開発というような点からいたしまして、県としてこの開発をして行きたいという場合に、いつも問題になるのは水利権の問題でございます。現状におきましては水利権に対する許可の権限は各県知事にございまして、その際に各県知事が申請に対して水利権を許可する必要があると認められます場合には、その意見をつけられて、公益事業委員会の方に協議せられることになつているのであります。公益事業委員会はその際に公益事業委員会としての意見を申し上げる。その際には必ず建設大臣の方と協議しまして、その結果の意見を申し添える。しかしながらその意見を最後的に採用せられるかせられないかということは、知事の方に許可権限がございますので、結局知事の判断いかんということになるのであります。今後電源開発を大幅に、しかも早急に行つて行かなくてはならぬという場合に、おそらく一番問題になるのは、この水利権の調査の問題をどう行つて行くか、これが絶えず地元その他各方面で争いの的になりまして、しかもそれを解決して行く道が容易に発見せられないということになると、せつかくりつぱな五箇年計画ができましても、実際問題としては、そういうような点から開発も十分に、しかもすみやかに行つて行けないという情勢になつておりますので、私の方でもいろいろ考えておりますが、経済安定本部の方でも当然お考えになつていることではありまするが、今後五箇年計画というものを実際実行して参る上におきましては、この水利権の調整に対して、何らかの立法的な措置、その他の強い方法を考えて参りますことが、今後の開発計画の上に最も大切な事柄だと私は考えております。
  41. 有田喜一

    有田(喜)委員 現在府県知事が水利の許可をやつておる。ここに私は問題があると思う。電源開発がただ單に県の範囲内のものであつたならば、あるいは簡單に行くかもしれませんが、今後の電源開発は数府県にまたがるところの電源開発をやらなければならぬ場合もあるし、またそれほど大きなものでなくとも、たとえば五万キロとか十万キロ程度のものでも、河川が数府県にまたがつておる関係上、県の立場を越えたいわゆる国家大の立場からやらなければならない場合もある。公益事業委員会と協議したのでありますが、それは非常に弱い。やはり水利権のもとを、府県知事よりもつと大きな立場から、いわゆる国家大の見地からやつて行く必要がある。そういう点を政府はよほど思い切つてやられないと、真の意味電源開発に非常な支障を来す。そういう点は、建設省のみならず安本としてもよほど考えてもらいたい。ややもすると建設省は治水官庁であつて、治水本位なやり方——もちろん治水は大事なことでありますけれども、私はしよつちゆう言うのでありますが、電力というものは利水の最たるものであります。法律でいえばこれは商法、民法になります。治水は刑法で、あまり荒すものを取締る。あまり警察とか刑法とかいうものが重点になつてつては、なかなか民法、商法の商的活動ができない。そこで利水ということを十分中心にしておいて、そうして治水をぐつとかみしめてやる、その調整が非常に大事である。建設省でやると、ことに府県でやると、見地が小さくなると同時に、利水ということに対して非常に理解が薄い場合がある。こういう点は、安本といわず、政府としてよほど大きな立場から十分な調整をはかつて日本の真の国土開発、真の電源開発をやる、真の治水と利水との調査をはかる、こういう見地からしつかりやつていただきたい。  なおさつき伺つたことの御返事がなかつたようですが、私のもう一つ心配しておることは、もうすでに水利権を得ておるものがあるが、あるいは府県で、あるいは電力会社で、あるいは自家用で権利を持つておるだけであつて、一向開発しない。開発したくても開発の能力がない。そこでその未開発水利権の整理の問題が起つて来るのでありますが、これはなかなかやつかいな問題であります。何かそれに対する法律的手段によつて権利の居眠りをやらないようにして、そうして先ほど申しましたような大きな見地から、電源開発をやつて行く施策を考慮して行かなければならぬと思います。そういう点に対して、もうすでに政府はそういう立法なりその他の道を講じかけないといけないと思いますが、何ら具体的にまだそういう話を聞かないのであります。しかし私が知らないのかもしれません。何か政府がそういうことに対して法的の方法も考えつつある、あるいは研究しておるというならば、その点をひとつ明らかにしていただきたい。
  42. 小峯柳多

    小峯政府委員 未開発水利権の問題あるいは水利権の許可の問題等、まことに御指摘通りでありまして、ことにこの五箇年でやるというふうなことを計画を立てましても、その問題が解決いたさないと、絵に描いた餅になるわけでありまして、私どもの方の役所といたしましても、今の問題は十分研究しておりますので、比較的早く実現することになろうかと考えております。
  43. 有田喜一

    有田(喜)委員 今の問題は、もうすでに研究の域を通り越して、今にも電源開発をやらなければならぬ日本現状なのですから、小峯政務次官のお考えを私は信頼しておりますが、真剣にひとつこの問題を実行に移すように、大いに検討して、すみやかに何らかの方法を講じていただきたい、かように存じております。  それから次に電気料金の問題について少し聞きたいのでありますが、電燈料金と電力料金を比較しましたときに、原価的にいつてどういうことになつておるか。私の大体の想像では、電燈料金は原価計算をやつてみれば相当高いものについておる。電力料金の方は、原価的に見れば比較的採算の合わぬようなものになつておると思いますが、公益事業委員会なりその他の立場から、原価的に見て、電燈料金と電力料金との原価割合はどの程度になつておるか、それをひとつ承りたい。
  44. 松田太郎

    松田政府委員 ちよつとここに数字的なものを持ち合せてございませんが、大体電気料金を決定いたしますに際しましては、いわゆる電気料金の算定基準というものをつくりまして、各大口電燈でありますとか、小口電燈でありますとか、あるいは大口電力、特別大口電力というような需用種別に応じまして、それぞれ原価を配分いたしまして、いわゆる原価計算的に決定しております。言いかえれば政策料金というものはしないことに建前をいたしております。従いまして産業方面に参りますような、専用線を使つておりますとか、あるいは専用線でないまでも、比較的簡單な承継方法によりまして電力の参つております工場方面と、それから配線その他のいろいろ段階をふみまして家庭の方面に参つております方面とは、比較的に申しますれば、お話のように、家庭方面におけるコストの方が割高になつておるのが現状ございます。
  45. 有田喜一

    有田(喜)委員 政策料金をやらないというお話でありましたが、原価的に見れば家庭用電燈の電気の方が少し高いと思うのであります。これはやはり産業政策を考えてさようなことにされておるのではなかろうかと思うのですが、そういうことでなくして、原価的にやはり総括原価から配分してそうやつておるというのならば、これは産業用電気の料金をかえなくちやならぬ。やはりこれは政策料金でそうなつておるのではないでしようか。
  46. 松田太郎

    松田政府委員 その点につきましては、建前といたしましては今申し上げましたような線で参つております。特に今回の料金決定に際しましては、多少その辺に対して、率直に申しますと、その筋からの話もございまして、料金の値上率におきましては、お話のようなこともある程度含みまして、家庭用の方が上つておるという実情であります。今産業方面に対しましていわゆる政策料金は全然ないのかということになりますと、現在の料金を算定いたします基準としては、そういうことは考えない建前になつておりますが、御承知のように現在の料金は、電力割当料金と申しますか、いわゆる標準電力料金という比較的安いもの、それから割当以上に使いました場合に急に高くなります火力料金という二本建の制度になつておるのでございます。従いまして標準電力料金は幾ら、火力電力料金は幾らということはきまつておりましても、実際問題といたしましては、各産業に割当てられましたいわゆる標準電力料金として受け得る電力量がどれだけあるかということが、結局は最後において電力料金全体として、高いか安いかということになつて参るのであります。そういう場合に特に問題になりますのは、三千キロワツト以上の電力の配分の問題でありますが、この問題につきましては、特に産業政策全般をおにらみになつておる経済安定本部の方で、今申しました特別大口電力に対する割当をおきめいただいて、それを委員会としてはそのまま踏襲するという形に現在なつております。この際たとえば化学肥料のような特に重要な産業、言いかえれば輸出等にも非常に力を入れなければならぬというような産業に対しましては、大体使う量のほとんど全部に近い程度経済安定本部の方におかれましても、標準電力料金で行き得る意味で、その必要量を割当てておられますし、また産業界においても相当採算のとれるようなところに対しては、政策的意味も加味せられて、割当を幾分減らして、あとは火力料金でやつてもらいたいというような方針をもつてお考えになつておるようなところもあるようであります。そういう意味でいわゆる電力料金自体については、今申しましたような趣旨でやつておりますが、結局料金制度の現状に照らしますと、おのずからその辺に対する産業政策的な見地は含まれておる。こう私は考えてよいのじやないかと思つております。
  47. 有田喜一

    有田(喜)委員 私も産業政策なりその他の政策が加わつて決して悪いとは思いませんが、しかし公益委員会の方では政策料金は考えないのだとあまり強く世間に言われ過ぎておつた。需用者はそうは知らぬですから、そうかなあと思つておるのです。しかし実際調べてみると電燈料金は非常に高いのです。これは大きな意味の見地からいつて日本の産業ということ考える上から、その産業料金が割安になつておることは、これは悪いとは思いませんが、それならば良心的に、やはり政策はある程度加わつておるということを言われた方が、国民を欺瞞しなくてよいと思います。何と申しましてもこれは大きな意味の政策が加わつておると思います。またそうあつた方がよいと思います。  そこで小さい問題ですが特にお願いしておきたいのは、料金に政策を加えるということは、あつた方がよいと思います。最近においても農村の電化ということが相当起つて来ておるのですが、最近特に料金の改訂によりまして、もみすり機あるいは揚水ポンプなんかの動力料金が非常に高い、従来の何倍というようなことになつておる。そういうときには地方に向つて、これは原価計算でこういうことになつておるということを言われる。もちろん根本的に見ればそういうことになるかもしれないが、あまりに極端にこういうものを上げると、せつかく伸びんとしておるところの農村の電化ということの妨げになりはしないか、全体の電力経済から行けば小さなことであつて、決して農村の電気を割安にされても、会社の経営にはそう大きな響きを持つて来ないと思いますので、こういう点を相当頭に置いて、あまり極端な値上げをやらないように、政策を加味しながら農村の電化がもつと促進されるように行政をやつていただきたいと思いますが、これに対する公益事業委員会の見解が承れれば仕合せだと思います。
  48. 松田太郎

    松田政府委員 農村における電力、特に脱穀調製でありますとか、あるいは灌漑排水用の電力でありますとかいう点につきましては、使用期間等においても一年中使われるというものではございません。特別な時期にまとめて使われるものもありますので、そういう特殊なものの料金に対して多少あんばいをし得るということは、電力料金の算定基準の上にも含みのある規定をつくつておりますので、われわれといたしましても、他の方にはそういう規定の運用をなるべく避けるようにいたしておりますが、特に農村関係電力につきましては十分関心をもつて、われわれとしてもできるだけのことをいたしているつもりであります。今回の改訂に際しても、農林省からはその点に対する強い御要望があり、十分農林省と検討をし、農林省の御了解も得た上で、ただいまの農村関係電力料金をきめている状況でございまして、委員会としても特に農村関係電力については今後も十分に関心を持ち、食糧の増産の上に寄與し得るように努力して行きたいと考えております。
  49. 有田喜一

    有田(喜)委員 現在のところではあまり十分ではない。公益事業委員会では加味されていると言われているかもしれないが、実情から言いますと、従来の料金から非常に割高になつている。今後大いにその方面に配慮するということを聞いて私は安心しておりますが、近い改訂の機会において、農村の電化のため特別の関心を持つて、できるだけ料金が低廉に行くように行政をやつていただきたいと念願しておきます。  それから今日のような電力の非常に足りぬときにおいて、割引制の追加料金あるいはまた超過料金と言いますか、火力料金が高いことは、需給がバランスがとれておるときには相当妙味のある制度だと思いますが、今日のように需給のアンバランスのときには、こういう料金制度は意味がないと思う。こういう点は相当公益事業委員会で研究されていると思いますが、日本電気が不足がちなのですから、むしろこういう制度は根本的に検討して改変する必要があると考えております。この点について公益事業委員会はどう考えておられますか
  50. 松田太郎

    松田政府委員 電力割当制度につきましては、有田委員も御承知のように、従来からいろいろな経過をたどつて今日の状態になつているわけでありまして、こういうような現況が相当長く続きますと、今の電力料金制度についてもよほど根本的に考え直さなければならぬと考えております。それでわれわれといたしましては、まず第一にこういうような事態を早く直しまして、できるだけ電力の需給のバランスがとれるようにはかつて参ることが何よりも大事なことと思つております。これと申しましても五箇年計画なり考え方によつては相当の期間もかかりますので、今後におきましての電力割当制度、特に標準料金と火力料金という両制度を維持して行くことがいいか、一本化にして行くのがいいか、また一本化にして行くにつきましても、その間において逓増料金というような方法をとることがいいかという、いろいろな研究は、実はわれわれの方としてもやつているのであります。ただいろいろな事情がございまして、今回の料金改訂の際には、並行してそういう問題を解決したいと思つていたのでありますができませんでございましたが、今後そういう研究は十分続け、安定本部の方にも、またその他の関係方面の方にも、十分の理解をしていただきますようにわれわれも努力いたしまして、その必要を各方面としても認めてもらつて、いよいよ実行する際には、この制度についての根本的な改正なり、考え方を改めて参ることに努力したいと思いまして、目下委員会といたしましては表には出しておりませんが、この点については研究中でございます。
  51. 有田喜一

    有田(喜)委員 最近の電力の使用の内容でございますが、大体非産業用電力というものは、私の見当では、従来は全体の電力の中の一五%ないし二〇%程度であつた。最近非産業電力の使用が非常にふえておる。戰後電力の余つた時代に他の燃料が不足であつた。そのゆえに電力を代用した。その余弊がまだ残つておるように思います。電力が十分あるときには、非産業電力も大いに使つた方が、多々ますます弁ずでありますけれども、今日のような電力の不足時代におきまして、非産業用電力が相当の大幅を占めておるということは、電力政策からいいましてちよつと検討の余地があると思う。公益委員会は御如才なく手を打つておるとは考えられますけれども、しかしその後の内容を見ておると、なかなか非産業用電力は下らない。私はこの点非常に懸念いたします。今どういう手を打ちつつあるか、また今日のような状態でよいということは、よもや考えておられないだろうが、そういうことに対する御見解を承りたい。
  52. 松田太郎

    松田政府委員 お話のように昭和十年当時におきましては、総消費電力量に対しまして、家庭用といいますか、電燈用の電力量の占めます比率が一六・七%程度であります。また昭和十八年当時は七・六%、それが昭和二十四年以降と申しますものは、大体二〇%あるいは二〇・七%というように上つております。それからまた、これは比率で申しましたが、使用量から申しますと、昭和十年当時が二十八億キロワツトアワーでございましたのが、本年度あたりの当初の計画これはいろいろ過去の実績等を加味しての計画でございますが、五十九億六千九百万キロワツトアワー程度を見ておりますので、約倍になつておる状況でございます。従つてこれは、お話のように産業用と非産業用との関係から申しまして、相当大幅に非産業の方に食われておるということが確かに申せると思うのでありまして、この点は外国等の例を見ましても、電力供給量がふえて行くのと大体同じ線で、産業方面生産カーヴが上つて来ておるのでありますが、日本現状におきましては、お話のように電力供給のカーヴと産業の生産カーヴとは、必ずしも一致しておらないのであります。そういう意味で、何とか非産業用の電力と申しますか、電燈方面の規制を何らかの方法でできるだけしたいと思つておりますが、結局これは今日の燃料政策全体に関係して参るものでございまして、そういう政策が十分加味されませんと、ややもすれば光のみに使われずに、熱源として使われる。一例を申しますれば、電熱器等の使用が相当ふえて参つておるというところにも、一つ欠陷はあると思います。日本が大いに文化生活を向上して行きます場合には、将来においては家庭生活における電力の使用も大いに合理化せられ、また同時に活用されて行かなければならぬと思いますが、少くとも日本現状におきましては、産業用の方の電力を極力供給しなくちやならぬ。そういう意味で、われわれといたしましては、特に公益事業委員会といたしましては、ひとしく所管をいたしておりますガスの供給について、できるだけの措置を講じて、特に熱源といたしましては薪炭等の問題と併行して、ガスの使用によつて熱源をまかなつてもらいたい。そして電熱器等のいわゆる電気を熱源として使うことを、おのずから避けてもらうようにせざるを得ないのであります。これはかりにいろいろの立法措置を講じましても、またいくら口やかましく宣伝をいたしましても、やはりこれに代替し得る熱源を電気以外に求めることが一番大事なことである。そういう意味で燃料政策全体の問題として、われわれといたしましてはガスの供給方面に、できるだけの措置を講じて参りたいと考えております。  もう一つ、この問題について非常に大きな問題は、例の送電等のロスの問題でございます。この前も申し上げたかと思いますが、何分にも現状におきましては三割近くの電力のロスがございます。その中には盗用あるいは專用等の点もございますが、主として大きな点は、やはり送電ロス等の問題でございますので、この点につきましては五箇年計画を実行して行く上におきましても、将来の目標を二三%程度くらいには持つて参りたいということで、これに対する措置といたしましても、五箇年計画の中には、安定本部の案の中にももちろん入つておると思いますが、委員会といたしましてもそういう点には相当の力を入れ、資金を注入してロスの軽減をはかつて行く、そして産業方面に対する電力供給をふやして参るということも、あわせて考えて行かなければならぬと存じております。
  53. 有田喜一

    有田(喜)委員 節電なり、また産業用電力をできるだけ食わぬようにするような国民運動を起すとか、いろいろな手を打つ必要があると私は思いますし、また一方使用の合理化というような点も必要があると考えますが、何と申しましてもそういうことの中心となつて動くものは、今日の形態でいえば電力会社がやらなければいかぬ。ところが電力会社は何と抗弁されようと、やはり株式会社である。営利組織なんです。公共用事業で暴利をむさぼることは取締られるかもしれないが、やはり営利会社である。営利会社というものは電気使つてもらつた方がありがたい。非産業用電力の方がありがたい。それを押えて採算に合わぬ方に電力をたくさんまわすということは、営利会社の必然の傾向と相反するのであります。そこで企業形態というものを考えなければならぬ。この前も他の観点から若干申し上げたのでありますが、料金の面一つを見ましても、電気事業の経営が、はたして現在の形態組織でよいかどうか、相当疑問に思う。これは安定本部の方ですでにお考えになつておるかと思いますが、五箇年計画の新開発の問題であります。その新開発電力料金はどのくらいになるか。計算されていないかもしれませんが、相当高いものにつくのです。少くとも今の料金の倍くらにはなる。それはだれがかぶるか。直接需用家に行かないで、電力会社がかぶらざるを得なくなつて来る。ところがこれを大口消費者からいえば、新規開発のものをもらうよりも、既設の電力会社からもらう方が安い、だから既設会社からもらう。そうすると結局高い新規開発電力は、既設会社がそれを買つて、今までの安いものとまぜ合せて、比較的中間の電力料金とする、こういうことをせざるを得なくなつて来る。そのときに、今度は買う方の地帶のそれぞれの電力会社でありますが、電力会社そのものから申しますと、たとえば関西電力は東京電力から電気をもらつた方が安く手に入る。新規開発のいろいろの形態が出て来ましようが、公党事業であろうが、あるいはパブリック・コーポレーションの開発であろうが、何ぼパブリック・コーポレーションでもやはり高い。そこから直接もらうよりも東京電力からもらつた方が安い、こういうことになつて、その間に相当私は矛盾したものが出て来ると思つている。そうすると、買う方にしても、営利会社であるものに、お前は高いものを買えということはどうしてもいえない。そこで事業形態が営利会社でない他の組織になれば、そういうことが比較的調整ができる。ことに、営利会社であつても、この前の日発のような全国一つのものであるならば、他の開発会社から買つても、自分のところが大きいから、全国一つのものだから、既設のものと一緒に混ぜ合せて、自然に調節したものが売れる。今の九分割でありますと、せつかく電源開発しても、経済問題で相当行き詰まる面が来はせぬかと私は懸念する。そこらの点は政府の方でもあまり気がついてないかもしれないが、よほどそういうことを考えてやらないと、今日電力不足で電源開発電源開発と言つておるが、開発したところが、それがどういふうに配分されるかということによつて料金問題が行き詰まる。政府はこの前九分割したときに、各地帶間の融通は簡單に行くとおつしやつたが、なかなか融通は簡單に行つてない。先ほどだれかの質問に対して、今回の電力危機は分割の結果ではないと弁解しておられた。なるほど異常渇水が大きな原因であり、また石炭手当が足りなかつたことも大きな原因であるが、しかし地帶間の融通が円滑に行かなかつたということも大きな原因である。その証拠に、九月の末に私中国方面に行つて来たが、下関に行くと電気はまつ暗である。門司の方に行くとこうこうと電気がついている。一寸手前にいてネオンサインがついている。片方は電気が消えてまつ暗である。こういうことは何と申しましても分割の結果である。一つの会社で、日発のようなところでやつていたならば、ああいう極端なことは起らない。多少地帶間に差はあつても今回のような大きな差はない。関西と関東を比較しましても、関西はたいへんなんです。東京に帰つて来ますと、規制はされておるけれども関西のようにひどいことはない。今まで日発当時にはそういうことはなかつた。関西、中国地帶が今日のような渇水状態になつて電力が不足しても、全体的に三割くらいの規制で済んだかもしれない。しかし分断された結果、関西、中国は五割の規制で、そのため産業が破壊され、非常な社会不安が起つている。これは何と申しても分断の影響だろうと思う。それから、気がついてないかもしれないが、日発一つでやつていたときには、九州に貯炭があつた。これさえ用意しておけば、一社の内部のものであるから、関西が電力不足であるというときには、九州の電気を尼崎に持つて来た。ところが分断されたものだから、関西、中国が困つてつても九州の電力会社は平気でいる。平気でいるのは当然なすです。それぞれの責任でやつているのだから当然なんだが、何といつてもこれは分断の一つの弊害である。分断であるから自主的であるのは当然のことであるが、自主自主といわれるために、かえつて日本全体からいえば、電力の混乱が起つている。九分割は決して正当ではなかつたと私は思う。おそらく今後開発を見たときに、今ちよつと指摘した一点から申しましても、新規開発電力は、こういうぐあいに悪かつたというので相当問題が起つて来る。その証拠に今日政府は融通命令を出そうとしておるが出されない。融通契約をやつておる。一部やつておつたけれども料金の面で行き詰まつてしまつて、未解決に終つておるというのがまだ相当ある。融通命令、融通命令とおつしやるが、命令は出されない。公益事業委員会は伝家の宝刀だから出さないとおつしやつておりますが、実際は出し得ない。さらに自信がない。と申しまものは、公益事業委員会はロード・スパツチをやる組織、すなわち給電組織がない。人のものを見ておるだけである。そのことをもししくじつたら伝家の宝刀はさつぱりだめだから出さないでおられる。これは出さないのじやなくて出せないのだと私は思う。今御説明がありましたけれども、各会社の人間を使つてやる。それで円滑に行けばけつこうでありますが、しかし今の組織は毎日毎日変化するところの水量に応じて、それぞれ日常の電力の需給というものが非常に混乱を来す形体だと私は思う。その点は私は公益事業委員会といたしましても相当反省されてしかるべきものではないかと思う。これは私の見解ですが、もし私の見解に対してそうでないとおつしやるならば、もう少し論議を重ねてもいいと思いますが、私はすなおな気持からさように思う。公益事業委員会もあれをつくつたから九分割を守らなければならぬというように意地にならずに、日本電気をどうしたらいいかという大きな気持で、こだわらずに今後の電源開発、また開発された電気が最も有効に日本の発展のために使われるようにという意味合いにおいて、愼重に、とらわれざる見地から御検討願いたいと思う。これは希望ですが、もし御意見があれば承ります。
  54. 松田太郎

    松田政府委員 ただいまのお話の点はまことにわれわれとして傾聽しなければならぬ点でございますが、また同時にわれわれとしても考えてみなければならぬと思う点は、いわゆる再編成、九分割をいたしましたことは、やはり将来の日本電力政策と申しますか、電源開発をやつて参ります上において、どういう方法で行くべきかという点を、いろいろ検討せられて再編成が行われたことと思うのであります。もちろん今日のような事態を考えてみた場合に、それに対してはいろいろ議論の的になるような点もあると思いますが、私は率直に申しまして、やはり再編成というものは一朝にしてその成果が上るのでなしに、そこにやはりある期間というものは、各社の努力に時間を許さなければならなぬのではないか、再編成ができまして約半年もたたないうちにこういうような状況になり、特に先ほどお話のような異常渇水であるとか、あるいは石炭問題でありますとかいうような、非常な事態が偶然にも起つてつたのであります。従つて本来でありますれば、各社としましてもできるだけ電源開発を行う、あるいは石炭等についてもまだまだ十分な手当をするとか、あるいは送電線等の修理についても、あるいは新増設等についても、もちろんいろいろの措置を講じなければいかぬのでありますが、そういう態勢に完全に至ります間に、こういう事態が起つたのだと私は思うのであります。従いまして、こういうことがあつたから一概に再編成が不成功に終つたと言うことは、多少議論としては飛躍しておるのではないかと私は思うのでありまして、そうい意味で、結属いつかはこういう態勢にしなければならぬという前提をとりまして、いろいろな再編成が行われました以上は、やはりかすにある程度の時間をもつてしなければならぬと私は思うのであります。従つて理想的に申しますならば、今の電力の融通の問題でありますとか、あるいは先ほどお話地域差料金の問題でありますとか、そういう問題は自然各地域間において解決すべきである。言いかえればいつまでもよそから電力供給を受けるとか、あるいはいつまでも隣から電力料金の開きについて交付金をもらうとかいうようなことを早くなくしまして、そうして各地域においてそれぞれの電力会社が自分の努力によつて電源開発をして行くというところに、このねらいがあつたのだと思うのであります。それが先ほど申しましたように、期せずしてわずかの期間内にこういつた自然的な現象も伴いました事態が発生したために、いかにも再編成をいたしたことが悪い結果を来したようにとられがちでありますが、そこはやはりすなおにその辺の事態を考えてみる必要があるのではないかと思つております。  それから先ほどからお話融通措置等の問題につきましては、私どもとしてはもちろんこういう際でございますので、各電力会社の方が結集いたしまして、日発のございましたときと同じような意味で、融通の措置も講じ、それによつて料金の問題等については、いわゆる融通契約とは別に、解決の策を講ずるということにいたしまして、また電力会社としてもそれに対しては腹をきめております。従つてわれわれとしても先ほどちよつと申しましたような点については、命令こそいたしませんけれども、実際は命令したのと同じようなことを各社に申しつけまして、非常事態における電力の融通をしてもらうようにしてありましたが、実はルース台風の関係でそこまで行かずに済んだという状況もございます。従つて今後万が一あのときのような非常事態が参りましたならば、一応われわれとしては、先ほど申しましたような線で、各社間の協力によつて、従来の融通契約とは別に融通措置を講じてもらいたいと思つておりますが、それがどうしてもでなない場合には、やはり融通命令もやむを得ないのではないかと思つております。この間も有田さんにお答えしたと思いますが、そういうことがありますから、今回の熊野川でありますとか、只見川の開発の規模あるいは開発形態等について、別途の機構を考えるべきではないかという点については、やはりその間の情勢をいろいろ御検討を願つ上で、また今日国全体として再編成を行いました以上は、やはりそのよつて来た根本の考え方というものを中心として考えて行く必要があるのではないかと考えております。いかにもお言葉を返すようでありますが、私として考えておりますことを率直に申し上げておきたいと思います。
  55. 有田喜一

    有田(喜)委員 別に議論するわけではありませんけれども、融通の点から申しますならば、公益委員会はもはや融通命令のできようはずはないのだ。そこでしかたがないものだから、各電力会社を集めて、日発当時の連中を利用されておる。言葉をかえて言えば、これは日発当時の方が電力の融通がうまく行つておつたという証左です。分割したら融通ができないから、やはり旧日発当時と同じような機構をつくつて、同じようなやり方をする。そうしてあとに残つたものは料金問題で、それで行き詰つた。融通がうまく行つている間は緊急措置でやつたけれども、腹の中では各電力会社は満足しながらやつているのではない。料金問題を残されて、今後落ちついたらそこにいろいろな問題が起つて来ると思う。これは何と言われましても、分割すればするほど電力地帶間の融通がうまく行くはずはない。これは明らかである。また各会社が効果を発揮しないうちに、こういう不幸が起きた、確かにその通りである。しかし私は現在を批判しているのではなしに、将来を見通しながら、よほど政府も考えなければならぬということを言つているのです。なるほど各地帶間にそれぞれ水利の分布があるならば、それでよいかもしれませんが、なんぼ各社に一生懸命やれやれと言つても、たとえば中国地帶で水力を幾ら開発しろと言つても、そこにはおのずから限度がある。どうしてもあそこは火力をたかざるを得ない。ところが火力は何といつても高いものですから、需用を満そうと思えば高い電気で中国は売らざるを得ないことになる。今水力の方のキロワツト・アワー一円でございましたか、とにかく調整料金はありますけれども、あれは何といつても不自然です。火力地帶と水力地帶とそれぞれ違うのだから、何ぼ各社を激励されても、なかなか企業意欲は起らない。それはこの前も申しましたから繰返しませんけれども開発しても、新しく開発した地帶は料金が高い。それをまたこの次の改訂のときに調整するとおつしやるかもしれないけれども、何といつても時間的ずれがある。働いて一生懸命電源開発をやれば、その会社は料金を上げなければならぬことになる。そこにやはり一つの矛盾が出て来ている。それから地帶間の料金、これは関西電力が東京電力から買うのなれば、おそらく東京電力の古い安い発電所、それから最近の高い発電所、あるいは火力発電所、みんな総合されたもので受電されるでしようが、そうすると自分が開発するよりも、よそから電力を買つた方が楽だということになる。また新規のものから買うよりも、隣の電力会社から買う方が安いということになる。その辺なかなかむずかしい問題が起つて来る。それでやはり受入れの方は営利会社ではなく、他の組織がやる。開発の方はいろんな形態でやられるものがやつたらいいと私は思う。どんどん開発して、そうしてそれを受入れて、全国的に公平に、しかも使用の合理化をはかりながら配分ができる、これは私はいいと思つております。私は将来を見通して言つたのであるが、開発上ではなしに、料金の面から相当難関にぶつかるときが来るだろうと思います。今からよくそういうことを考えて、つまずきが来ないように、日本電力事業を盛り立つてつていただきたい。分割で少しいいかなと思われたことは、私は外資導入があるのではないかということをやや期待しております。しかし外資の導入は私は相当困難だと思う。ことに日本電力会社が今日のような不始末を来している現状からいえば、なかなかむずかしい。新聞の報道であるからよくわかりませんが、安本長官が関係方面に行かれたときの話によると、政府が配当保証あるいは元利の保証ということをやつて行くならば、外資の導入必ずしも不可能でないといわれておる。配当保証、元利保証をやるということは、普通会社では何ぼ政府がやろうといわれてもできない。政府がそれだけの責任を持つなら持つだけ、政府みずからが特殊な会社なりあるいはコーポレーシヨンといつたような他の形態を考えなければならない。これは必然のことだと思う。分割したからこれで最後まで押して行くのだという気持でなく、日本電力をどういうように育成して、円満に発達させ、電源開発をいかにうまく進めるか、そうして日本の産業をどういうふうに興隆させるか、こういう見地から一層の鞭撻を賜わらんことを念願して、私の質問を打切ります。
  56. 永井英修

    永井委員長代理 本日はこれにて散会いたします。     午後三時五十八分散会