○松田
政府委員 委員会といたしましては、率直に申し上げまして、
電気事業再編成、この問題についても、再編成が行われますまでには、いろいろな経緯をふんだことではございますが、しかしいやしくもポツダム政令の形式によると、いなとを問わず、今日
電気事業の再編成が行われまして、日本発送電というような、一種の国策
会社のような形で
開発を従来
行つて来たところに、相当
電源開発の遅れて参
つておる理由も確かに私はあると思うのであります。もちろん、当時戦時中のことでもあり、
資材の点、あるいは
資金の点、あらゆる点で相当の制約は確かに受けたと思いますけれども、しかし実質的に考えまして、そういつたような
企業形態においてしばらくの間
電源開発を大幅に受持つたというところに、やはり今日
電源の
開発が相当遅れて参
つておるという
事情もあると思います。実際的に申しましても、再発のできます前におきましては、
水力にしましても、年三十万とか、四十万
キロワツトの
開発をいたしておりましたのが、日発ができましてからというものは、従来の
計画をそのまま継続的にやりました分については別といたしましても、新しく日発として
計画された内容等から見ますと、相当そこに開きがあるように思うのであります。そういうようなこととも相まちまして、いわゆる九
会社に分割をいたしまして、そうしてあくまで民有民営という形式で今後の
電源開発を、最も民主的な、自由主義的な
経済のもとにおいてや
つて参ろうという根本の考え方が、再編成の上に出ておると思うのであります。それからまた、いろいろ国策的な
会社の
形態として従来運営して参りましたものを考えましても、何も日発に限らぬのでありますが、大体においてその成績というものは、いわゆる民営の形でや
つて参りましたのに比べて、相当予算に縛られるとか、あるいはその他臨機応変に仕事を進めて行く上に相当の支障を来すとということが、その
形態上やむを得ぬ点はありますが、結局そういうような
意味で、十分な実績を上げて来ていない、そういうような過去の苦い経験も考えまして、また将来外資導入等のことを考えますような場合におきましても、日本の
企業形態というものが、ときどきの情勢におきまして、いろいろ変化をするというようなことにつきましては、
外国の信用を得るというような上におきましてもいかがかと思われるような点もございまして、そういう
意味で、どこまでも民営の線を表に出して、この問題を解決して行きたい。従
つて、たとえば只見川でありますとか、熊野川でありますとか、あるいは四国の吉野川でありますとか、そういつたような大
電源開発地帯を
開発する上におきましては、もちろん従来の九つの
電力会社でそれぞれそれを担当してもらうということはいがかと考えております。今日の
電力会社として十分
開発をしてもらわねばならぬ
地点もたくさんあるのでありますから、そういつた場合に、大
規模の
電源地帯を
開発することを兼ねてやりますことは、両方の進捗の上に相当の障害が来るであろうという
意味で、ただいま只見川について申しますならば、東京とか東北の
電力会社がそれぞれ出資をし、またその他
民間からも出資をしてもら
つて新
会社をつくるというような、新しい
会社によ
つてそういつた大
規模の
電源開発に專念して行くことは必要と思
つております。しかしながら、それを一挙に公社というような形で運営して参りますことは、
先ほど申しましたような線から申しまして、いかがかと考えております。もちろん今日最も
開発の上で考えねばならぬ点は
資金の問題でございますので、その
資金を獲得するという上から申しますと、最近の情勢から申しますれば、いわゆる市中に
資金の重点を置くということは、なかなか困難で、言
つてもなかなか希望
通りの
資金を集め得ない実情もございますので、どうしても国の財政
資金と申しますか、いわゆる国家
資金を相当注入してもらわなければならぬと思
つております。そういう
意味で、私どもといたしましては、そういう新
会社に対して、国家
資金を相当融資の形で出してもらいたいと考えておりますが、またそれがあらゆる面から見て、どうしても出資の形で出してもらわなければならぬというような事態に立ち至りましても、いわゆる新商法等にございます償還株式のような形式を伴つた形として、一時的に
政府が出資をする、そうして将来あるいは外資の導入があり、その他、他の方法によ
つて会社が
資金を獲得し得る情勢になれば、
政府の方に出資した分だけはお返しをするというような形にいたしまして、その間
企業形態といたしましては、あるいは半官半民と申しますか、そういうような形になるかと思いますが、どこまでも運営の面から申しますならば、純然たる民営の
形態においてこれを実行して行くべきであ
つて、公社というものにつきましても、正確にどういう組織のもとに、観念のもとに行われるかということは、まだはつきりはきま
つておらぬようでありますけれども、いずれにしましても、国営ないしはこれに近いような
形態において運営をして参るということは不適当ではないか。こういうような考えで、私どもの方といたしましては、少くとも民営の
形態で、いわゆる
会社組織で、新
電源開発というものについても当
つて行くべきではないか、かように考えておる次第であります。