○林(百)
委員 問題は根本的に
考えが違うわけです。私の次の
質問を聞いてから答えていただきます。
銀座のまん中にも女工哀史があるのであ
つて、昨日の朝日新聞に、不二コロンバンの喫茶店の女給さんたちが、組合をつく
つて闘
つているという記事が出ております。これは明らかに
労働基準法が無視されているということから、この組合の闘いが起きまして、今都労委へ提訴しているのです。この要求を見ますと、休憩室をつく
つてもらいたい、休憩時間を一時間ください、超過勤務手当を支払
つてください、月給制度にして昇給制度をつく
つてください、全員に作業衣を支給してください、馘首者を帰してください、こういう要求を店主に出しました。ところがたちまち組合の三人が料亭に呼ばれまして、そのうちの書記長は首を言い渡された。その
あと女子従業員は男子の使用人、重役、顧問弁護士に取囲まれて組合に入
つたか入らぬかという詰問を受けて、組合に入
つたと言
つた者は、全部その場で辞表を書かされた。これが非常にひどいということで、レストラント従業員組合から都労委へ提訴に
なつたというような事実があるのであります。問題はこのことで私の方の柄澤代議士が中央区の
基準監督官に面会を求めたところが、その
基準監督官の言うことには、実は
基準監督官の人員が少くて、一人当り大体二千件の監督の受持ちを持たなければならない。それで大体五、六年に一回しか工場をまわることができないような現在の状態だ。
従つてどうしても自分の手が届きかねるから、
基準法違反の事実があ
つてもやれないということを訴えたそうです。六年に一回ということは、あるいはどうか知りませんが、とにかく
基準監督官はみずからそう言
つて柄澤代議士に訴えた。それから北海道では監督官が六十三人で、一箇月の旅費が大体二千三百円しか出ない。二千三百円では二泊三日の監督しかできないということで、
基準監督官が、非常に今の
条件のもとでは、十分
労働基準法を実行せしめるだけの責任を持てないということを、はつきり言
つているのであります。また長野県の監督官からも私のところへ、今でもこういう状態である。これ以上人員を整理されたのでは、とうてい
労働基準法の完全なる実施を監視するなどということは、不可能だということを言
つているのであります。そこで私のお聞きしたいことは、実際りつぱな
法律があるのと、事実それが実行されるのとは別だと思うわけであります。こういうように
基準監督官は非常に責任が重過ぎて、今の
労働条件ではその責任を果すことができないということを、切々として訴えているのでありますが、これに対して
労働大臣はどういうふうにお
考えにな
つているか、お聞きしたいと思うのであります。笑いごとではないと思います。