○吉川委員 私の解釈と同じようでございますから、これ以上はお尋ねいたしませんが、私はこの問題についてなぜ重大に考えるかと申しますと、これは
農政局長がおいでだからおわかりだと思いますが、先日肥料の需給調整の問題が出たのです。ところがどなたかのつるの一声で、とうとうおじやんにな
つてしまいました。今われわれは非常に憂慮をいたしているのですが、その経過等については、
農政局長は重大な責任をお感じだろうと思いますし、また主管大臣も責任をお感じにな
つておいでになると思いますので、これは
農林委員会でお伺いすることにいたしますが、その後肥料の需給事情はますよす惡化をいたしまして、ただいま
日本は無政治
状態であります。天候によりて肥料ができたりできなか
つたりするような
状態であります。
従つてただいまのところは、春肥の手配に狂奔をいたしておりますけれ
ども、電力事情のために肥料需給が非常に悪化しておるやさきに、台湾へ一万トン、フイリピンへ一万トンを輸出しておる。そうでなくても不足して困
つておるときに、ここに政治的な
意味を持
つた輸出によ
つて来年の
食糧確保、増産は絶対に期待できない、
農民は非常に危惧いたしております。こういう問題が出て来るのですが、吉田内閣は
FAOの
機関に加入されなくとも、独自の立場でもこのような暴政を行
つている。しかるところへこれに
加盟することによ
つて、
日本の
食糧事情が安定をするような
援助をいただけるならば、相互扶助の
援助が與えられるならば、われわれは非常に安心をするのでございますけれ
ども、吉田内閣は自己の立場だけでも
農民を非常に不安な
状態に陷れ、
日本の食
生活、経済
生活に非常な不安を抱かせるような行為をと
つておられる。その内閣がこのたび
FAOに加入されるとするならば、今度は海外からのいろいろな制約を受けて、さなきだに少いところの肥料の輸出をやらなければならないというような問題が起きたとすれば、これは重大でございます。そういうことを憂慮いたしますので、私はこの
勧告の効力といいますか、受諾した国の
義務の限界というものについて非常に心配をいたしていたのでございますが、どうも道義的な責任程度のものであるというお答えでございますから、いささか安堵をいたしたわけでございます。
その次に、これは社会党の石井君からもお尋ねにな
つたことでございますが、私はこの
FAOに
加盟することは、まことに
けつこうなことだと思
つて喜んでおる一人でございます。しかしながらこれに
加盟することによりまして、本
憲章の前文にございますところの相互
報告の問題でございます。この
報告をするためには、どうしても国際的な信用を得るような、科学的な基礎の上に立
つたところの
調査研究が
国内でできていなければならないと思います。その点について安田部長さんは非常に不安のような御様子でございましたが、私は部長の答弁にまつまでもなく、今の
日本の
調査機構ではまことに不十分であるということを、全国をまわ
つて歩いて痛感をいたしております。この問題は農林大臣にお伺いしなければならない、あるいは行政管理庁の長官に伺わなければなりませんから、これ以上お伺いしてもむだだと思いますが、
政府の仕事に
協力をしておいでになる事務当局の方々よ、まだ衆議院でこの問題は決定をしたわけではございませんから、皆さんも大いに
政府與党に
協力なさ
つて、そうしてこの
農業統計
調査の整理の問題だけは、取消されるように御
努力を私からお願いをいたしておきたいのであります。
日本の今日の
農業の
状態を考えますと、私は非常に憂慮にたえないのでございます。戰前六千九百万人といわれた
人口が、今日は八千万を越え、しかも昭和二十五年度の統計を見ますと、
人口の増加は実におびただしいものがございます。二十五年度中に生れた数は二百三十五万六千八百五十六人といわれ、死んだ者が九十万八千八百一人、差引いて百四十四万八千五十五人といわれております。自立経済
審議会の策定によりますと、昭和二十八年度末までに八千八百二十万四千人になるといわれております。四割五分の
国土を失い、この厖大な
人口をかかえて、資源といえば言うに足らないような現状において、私は資本主義を行
つていたならば、これは弱肉強食である。それでは社会主義はどうかというと、これまた
生産を減退いたしまして、とても
日本の経済は成り立ちません。どうしても資本主義をアウフヘーベンし、同時に社会主義をアウフヘーベンして、ほんとうに
世界につながるところの協同社会政策を打立てて行かなければならない。
FAOの精神はここにあると考えるのでございます。こういう
意味において、
日本民族が平和的に海外に移住をいたしまして、そうして未
開発の
地域の
開発のために貢献するところの分野は、大きなものがあると思うのでございます。外務省の諸君は特にこういう面に思いをいたされて、今後の国際的ないろいろの交渉過程においても、このことを頭に置いてひとつ交渉されることを私は
希望をするのでございます。
FAOの問題は、かような
方向にまで進展されることを切望して、私の
質問を終りたいと思います。