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1951-11-14 第12回国会 衆議院 外務委員会農林委員会連合審査会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月十四日(水曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員   外務委員会    委員長 守島 伍郎君    理事 北澤 直吉君 理事 竹尾  弌君    理事 山本 利壽君       菊池 義郎君    仲内 憲治君       中山 マサ君    並木 芳雄君       松本 瀧藏君    林  百郎君       黒田 寿男君   農林委員会    理事 野原 正勝君       小淵 光平君    川西  清君       吉川 久衛君    足鹿  覺君       石井 繁丸君    竹村奈良一君       横田甚太郎君  出席政府委員         外務事務官         (政務局長)  島津 久大君         農林事務官         (農政局長)  東畑 四郎君  委員外出席者         外務事務官         (国際経済局第         二課長)    永井三樹三君         外務事務官         (條約局国際協         力課長)    須山 達夫君         農林事務官         (大臣官房調査         課長)     齋藤  誠君         農林事務官         (農業改良局統         計調査部長)  安田善一郎君         外務委員会專門         員       村瀬 忠夫君         農林委員会專門         員       藤井  信君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  国際連合食糧農業機関憲章を受諾することにつ  いて承認を求めるの件(條約第七号)     ―――――――――――――
  2. 守島伍郎

    ○守島委員長 ただいまより外務委員会農林委員会連合審査会を開会いたします。慣例によりまして、私は委員長を勤めますから、さよう御了承願います。  国際連合食糧農業機関憲章を受諾することについて承認を求めるの件を議題といたします。まず政府側より提案理由説明を求めます。島津政務局長
  3. 島津久大

    島津政府委員 ただいま議題となりました国際連台食糧農業機関への加盟の件につきまして、提案理由を御説明いたします。  国際通食糧農業機関は、今次大戰後の世界食糧問題の重要性にかんがみ、設立されたものでありまして、その後国際連合と協定しまして、その專門機関となつておるものであります。  国際連合食糧農業機関には現在六十六箇国が参加をいたしております。食糧及び農業の問題は、世界の平和及び繁栄に関係するところが大であるという立場から、各国民の栄養及び生活水準を向上し、食糧及び農産物の生産及び分配の能率を改善し、並びに農村住民状態改善することを目的としております。そのために、同機関は第一に栄養食糧及び農業に関する情報を収集、分析、頒布し、第二に栄養食糧及び農業に関する各種研究及び知識の普及、並びに天然資源の保全、食糧及び農業生産物の加工、販売、分配等改善について、加盟国行動を促進し及び勧告し、第三に、加盟国技術的援助を與えることをおもな任務といたしております。  わが国のこの機関への加盟が実現いたしますれば、これによりまして、わが国は、栄養食糧及び農業に関する各種資料報告等を受けるごと並びに世界栄養食糧及び農業の現状を把握することができ、わが国食糧及び農業政策の立案に資すること多大なるものありと存じます。またFAOが主催する諸会議に参加し、わが方の希望ないし意見を述べる機会を得、さらにわが国加盟国間特にアジア地域諸国との間で食糧及び農業技術相互交換を行う上に資する次第であります。  わが国加盟に伴う負担といたしましては、FAOへの報告義務分担金の支払い及びFAO提案した條約を受諾した場合の当該條約の規定を履行する義務等であります。分担金は、FAO分担金比率等参考にいたしますと、日本の場合は二%程度でありまして、来年度は十一万ドル、今年度は十一月から加盟するといたしまして、第四・四半期分二万五千ドルと推定いたされます。  政府は、この機関加盟することの利益にかんがみまして、十月二日FAO事務局長わが国加盟を申請しましたところ、事務局長から、わが国加盟申請は、来る十一月十九日からローマで開かれる総会審議にかけられること、及びわが国によるFAO憲章受諾書は、総会の開会前に事務局長に寄託するよう要望される旨の通報がありました。  以上の次第でありますから、何とぞ愼重御審議の上、すみやかに御承認あらんことをお願いいたします。
  4. 守島伍郎

    ○守島委員長 それでは質疑を許します。野原委員
  5. 野原正勝

    野原委員 このたび国際連合食糧農業機関べの加盟につきましての議案が提案になりまして、ただいま提案理由を承り、あるいはまた関係参考資料等を届けられたのでありますが、十分これを見る時間がなかつたので、詳細にわたつて質問は今日まだ用意されておりません。しかし原則的に見まして、国際連合食糧農業機関が考えておる事柄につきましては、日本農業の今後の進歩発展のためにも、まことにけつこうな機関であり、これに加盟することによつて日本農業世界水準に達すると同時に、農民生活あるいはまた栄養、すべての問題がいろいろな意味において、従来の小さな日本という島の中から解放されて、世界の大きな国際的な條件の中にその水準を向上して行くということが考えられますので、たいへんけつこうだと思うのであります。ただ私は日本農業というものの特性にかんがみまして、ここに考えてみたいと思いますことは、日本農業は言うまでもなく世界農業の中で、非常に集約化されて、すでにもう頂点に達したと言つてもいいほど、天に登るというほど山の上まで開拓され、段々畑があり、場所によつてはほとんどどんな狭い沢の中でも利用して水田をつくつておるというような状態で、農業といたしましては、技術的に見ましても、歴史的に見ましても、およそ日本農業くらい集約的な農業は、他に類例がないのであります。非常に特殊な日本農業というものの地位だと考えておるのであります。加盟しております国々は六十六箇国でありますから、中にはまだ非常に粗放な農業をやつているところもあり、あるいはまた非常に集約的な農業をしておる国国もあると思いますけれども、これだけの大人口をもつて、こうしたような農業形態をとつておる国は、おそらく日本以外にないと私は考えるのであります。こういう特殊な日本農業が、今ここに新たにこうした機関加盟をいたしまして、はたしてどれほどの得るところがあるだろうかということを考えてみると、どうも私は字句の上、あるいは考えておる事柄については、たいへんけつこうなことであるけれども、はたして日本農業の今後の進歩発展に、どこまでこれが役立つものであるかということに対しては、どうもまだ十分納得が行かないというふうに考えております。もしここに、たとえばこの機関任務というものにつきまして、国内及び国際的行動を促進して行くなどということがありますが、この(a)から(f)までの事柄等を見ましても、それぞれうたつております事柄はたいへんけつこうでありますけれども、それぞれその国の状況に適合したいろいろな施策をやり、また情報交換、またいろいろな技術交換等が考えられておるようであります。しかし本質的に見まして、こういうものがこの機関の使命であるかどうかはよくわかりませんが、一体日本のように八千数百万人の人口が、わずか四つの島の中におる。そうしてすでに国策として余すところなく開拓をやつて、あるいは土地改良なり、農業水利なり、農業技術改善進歩、あらゆる方面を取入れて、そうしてなおかつ食糧自給がなかなか容易でない。われわれは毎日二百数十万トンの食糧を輸入して、ようやくにして国民が食べておるのであります。何としましてもこの際国内における食糧自給態勢はどうしてもこれはやらなければならぬことなのであります。そこで一体この国際連合農業機関はどういうところまで考えておるのか、私その点を聞いてみたいと思います。世界事情等われわれいろいろな角度から見ますと、まだまだ六十六箇国の国々の中には今後の農業というものを将来べの期待からして考えますと、まだ開かれないところが非常に多いのであります。もう開かれてしまつてどうにもならぬというところの方が少いので、まだこれからというところが非常に多い。しかも中には日本国土の数倍に当るような地域で、農業的にはほとんど未開発地域であるというようなところがたくさんあります。そういうところはそのままにしておいて、日本のような狭いところはそのままの姿でもつて食糧自給態勢を考えて行かなければならぬというようなことについては、国際連合食糧農業機関憲章では一体どういうところまで考えておるか、世界の全人類農業を行い、食糧生産に従事したいという、きわめてまじめな考え方を持つておるときにおいて、開かれないでほうつておかれるようなところが一体どういうことになるだろうか、日本のような耕して天に登るというようなところが、その上にまだなけなしの土地まだも切り開いて、そのためにどんなに災害の原因になつてもかまわずに、開拓もどんどん進めて行くというようなことに、未来永劫までそういう方法で行かなければどうにもならぬということであるかどうか。この国際連合農業機関加盟するについて、世界農業水準をできるだけ均等にして、まじめな農民がその生産を続けて行くことができるという、世界的な視野に立つ農民の配置が考えられ、生産努力が公正に認められる世界人類食糧生産というふうな点において、いわゆる世界農地開放と申しましようか、そういうところまでこの憲章が幅を持つものであるならば、これはたいへんけつこうであると思います。
  6. 守島伍郎

    ○守島委員長 野原君にちよつと御注意申し上げますが、大体一人三十分ずつにしていただきたいと思いますから、なるべく……。
  7. 野原正勝

    野原委員 私の申し上げますのは、ささいな点はどうでもよろしいというわけではありませんが、根本の問題は、こういう憲章ができたということになると、何かしら私はそこにほのぼのとした、敗戰日本農業の中から何とかして少しでもすがりたい、将来べの希望を持ちたいという、やさしいこういうけつこうな一つ機関に、われわれが加盟を許される段階になつたということに対しましては、何となくほのぼのとした希望を感ずるような夢を持ちたいのであります。われわれがまじめな試みとして努力をするならば、将来われわれ日本農業地位が考えられるということがもしあるならば、私どもにとりましては非常な喜びであろうと思います。  それからもう一つ続けて伺いたいと思います。もう一つの問題といたしましては、日本農業が、農業地位という点から見まして、先ほど申しましたように非常に高い水準に置かれておる。單位面積からの収穫を上げる意味においては、おそらく世界における最高水準であると私は思うのであります。いろいろの角度から見まして、このことは私は断言できると思います。そのことは要するに狭い国土に大勢の人が住んでおつたから、やむにやまれないそうした環境が生み出した零細農業であり、集約農業であつたわけであります。機械化農業とか、いろいろな別な面から見ました農業としては、あるいは地勢的に見まして取入れ得ない部門がたくさんあるので、非常に零細農業にふさわしいようた、素朴な手工業的な、手で掘り返すような農業を繰返しておりますが、しかし個々の土地そのもの、一坪の土地といえどもむだにしない、畦畔まで利用するという農業の行き方については、おそらく世界最高水準であると私は思うのであります。すぐお隣の小国がやや日本農業に似ておりますけれども、これとても全体から見ますと、まだまだ日本農業から見ると水準は低いのであります。日本でわれわれつくつております米のごときも、原産地は南方であります。熱帶の作物がだんだん取入れられて、今日のような、日本においてはほとんど北海道全士にわたつてまで国内全部が水稻をつくつておる。しかも非常に改良されておるというようなことは、これは過去三千年からの歴史、われわれの民族のたつとい努力の結晶だと思うのであります。こういつた点を考えると、日本農業の非常に高い技術水準をもつて、私どもはこの機会に進んで、遅れておる東南亜農業諸国に対して技術指導をする。敗戰国があまり大きなことを言うことはどうかというような卑下した考え方もとはありましたが、ようやくにしてわれわれは独立国家として今回認められる段階になりましたので、今度はむしろ遅れておるそういつた東南アジア農業地帯に対しては、日本のすぐれた農業生産力技術をむしろ持つて行くということも考えられると思うのてありますが、これと同時に日本に対しましては、まだ酪農という点に関しましては、日本ははなはだ遺憾ながら非常に遅れております。これは地勢的にも日本の将来は、酪農国家の可能な希望を十分持てる條件をたんさん備えておりますので、われわれは東南アジア等に対しましては、日本農業特性を生かして、十分技術指導を担任できると思いますが、同時に遅れている酪農問題につきましては、先進国のスイスであるとか、あるいはデンマークであるとか、その他の国々から十分技術指導を仰ぐ、技術の交流を願つてわれわれの農業水準を高めるということをいたしたいと考えるのであります。  先ほど申しましたように、私はまず第一点といたしまして、この国際連合農業機関憲章によつて日本の今までの宿命的にどうにもならないとされておつたような――国際的に日本農業はあまりに零細化しておる。これではいかに日本がまじめな民主国家として努力しようとも、食糧自給態勢はなかなか容易でない。あのすぐれた農業技術を十分に活用させるだけの考え方を持つて、新しく日本農民に対して、耕作し得るような、植民地と申しては失礼でありますが、適当な土地が開放されるであろうか、またそういうことが体この憲章には何か考えられておるだろうかという点をひとつ伺いたいのと、またわれわれは進んで、東南アジアの遅れておる農業地帶に対しまして、われわれの技術を十分に開放する用意がある。また遅れている酪農等に対しては、遠慮なく各国技術を頂戴したいという点について、そういう積極的たものがこのFAOの性格、任務の中にあるかどうか、その二点だけをお伺いしたいと思います。
  8. 島津久大

    島津政府委員 ただいまの御意見の第点でございますが、日本のただいま置かれております環境からしまして、農業がこういう状態にあるというお話でございます。そういう点からしまして、未開発の広大な地域世界の各地域にまだある。これに関して日本が何らか貢献するなり、あるいは日本農業の活躍の場面を與えらるべきであつて、またそういうことがこの憲章に予想されておるかどうかというような御質問だと思います。憲章からいたしましては、ただいま御意見のありましたような、日本農業を他の地域において活用するというようなところまで具体的には考えられておらないものと思います。しかし、これらの点は、今後日本がこの機関に加入しましたあと、まじめに協力いたしまして、そして日本農業実情、あるいは日本全体の環境そのものなどにつきまして、関係国理解を得ますならば、自然それらの点につきまして、何らか国際的な協力ができるような分野が開けて参るはずだと私どもは考えおるのでございます。しかし、具体的に今日の段階でどういう方向に行き得るというような見当は、まだない次第でございます。要するに、日本のまじめな国際的な協力というものがもとになつて将来展開し得るということ、これは常識的にもちろんのことと考えられます。  第二点の、特に東南亜地域その他につきまして、日本農業技術的な援助をする。それがこの憲章にうたわれておるかどうかという点でございますが、もとより、技術援助を與えるということは、この憲章の中の重要な項目になつております。現に東南アジア方面にぼつぼつ日本技術者などが出かけて参つておるのであります。その中にすでに農業関係人たちも多少行つておると思うのであります。この憲章によることはもちろんでございますが、それ以外の方向からも、日本農業技術東南アジア方面に出て行つて援助して、それらの地域開発に貢献するということは、当然これから実現することと思うのであります。それからまた酪農その他遅れている面について、加盟することによつて何か得るところがあるかどうかというお話でございますが、これらの点は專門関係省の方から説明があることと思いますが、そういうような他国に援助を與える点はできるだけ援助をいたしますし、また足りないところは、この機関加盟することによつて十分日本として利益を得るような仕組みになつておると私どもは確信をいたしておる次第であります。
  9. 野原正勝

    野原委員 局長説明で、将来においてはまじめに加盟国としての義務を果すことによつて漸次理解が進んで来たときには、そういうことも考えられるのではなかろうかという御見解でありましたが、私もそうなくちやならぬものだと思つております。そこで日本農業特性というか、日本農民がいかにまじめに努力しておるかということを、率直に世界各国によく御理解願うような努力をすることが、何よけも先決であると私は思う。せつかくこの国際連合農業機関加盟を許されたあかつきにおきましては、総力を結集して日本農業実態、われわれの当面している困難な諸問題を、率直に加盟国のすべてに十分御理解できるように努力をする、そのためには政府はあらゆる機関を動員いたしまして、その日本の主張、実態を知つてもらうための努力をしてもらわなければならぬと考えているのであります。一体日本一つの島の中にとじこもつて唯我独尊をきめこんでおつたのが、ああしたとんでもない戦争をしでかし、あるいは敗戰を喫した一つ根本原因でもあつたろうと思うのであります。国際連合農業機関加盟を許されたという場合におきましては、このときこそ、われわれとしましては、思う存分、日本農業のあらゆる姿、実態をよく世界各国理解してもらつて、その理解が進めば、必ず日本農業に対しては同情が集まつて来ると思うのであります。いかに日本農業というものは、農民が苦労したか、特に今度の農地改革等におきましても、おそらく農地改革というものをこんな短かい期間にやり遂げた国は、世界のどこの国にもないと私は思うのであります。共産主義の国は別といたしましても、少くも個人の私有財産権を十分尊重する国々自由主義国家群において、この日本のような形で地主も、あるいは小作人も、双方の理解協力によつて、短時日の間にこうした農地改革ができ上つたという事例は、これはマツカーサー元帥も、まさに一つの驚異であり、非常なる成功であつた、としばしば申しておりますけれども、それほど日本農民は、日本りつぱな民主国家になるということに対して、どんな犠牲もいとわないというような涙ぐましい努力をして参つたのであります。それでもなおかつ日本農民は、食つて行くことさえもなかなか容易でないというような実態なのでありまして、そういう点につきまして、われわれはこの際当面の仕事として、全力をあげて国際連合農業機関に対しまして、日本農業の置かれておる地位に対する理解と認識を高めるような、万全の対策を持つて臨まれんことを切望してやまないのであります。同時にまた、われわれは今日においては、それは口にすべきことでないかもしれませんが、とにかくいくら働けども楽にならないこの日本農民生活を考えるときに、世界の全体の国土、そしてまた農民、これを国際的視野から考えてみると、日本農民だけがあまりにもみじめだ、悲惨であるということは、何としてもこのままでは済まされない問題であろう。何と申しましても、私ども日本国民の気持の中にそうした悲願があるという点は、適当な機会に十分こういつた公開の機関を通じて、日本農民の率直な願望を主張して一向さしつかえなかろうと考えるのであります。そういう点に関しましてひとつ今後の政府善処努力を期待いたしまして、私の質問を終ります。
  10. 守島伍郎

    ○守島委員長 それでは小淵君。
  11. 小淵光平

    小淵委員 提案理由説明並びに野原委員質問で、お話の要領は大体了解できたのでありますが、やや具体的の問題について、少しくお伺いをいたして行きたいと思つております。  この国際連合農業憲章一條を見ますと、「この機関は、次の事項について、国内的及び国際的行動を促進し、」云々と書いてありまして、そこに(a)から(f)までの六つの各條項が並べられてあつて、これについては具体的のことはこれから将来の問題であるというお話も先ほどあつたようであります。しかしこういう機関加盟する上からは、この精神に基いて加盟後どうしようということも、やや考えておらないということもないと思つておりますので、たとえばというような意味けつこうでありますから、一応考えておるところを御質問申してみたいと思います。
  12. 齋藤誠

    齋藤説明員 お答えいたしたいと思います。憲章一條の二項の中で(a)から(f)までの項目につきまして国内的及び国際的行動を促進するという点につきまして、いかなる用意を持つておるかという御質問のように拜聽したのでありますが、FAOの行いますところの国際い的な行動及び国内的な行動つては、勧告という形に基いて行われるのでありまして、勧告というものにつきましての一般的な性質は、法律的な拘束力を別に持つものではないというふうに了解しておるのであります。従つてこれらの勧告に基きまして、国内実情に即しまして、われわれ日本にとりまして農林業に寄與する面につきましては、これらの勧告從つて、できるだけそれを採用して行くという方法をとるべきであると考えておるわけであります。從つてこれらの具体的な勧告の内容につきましては、いまだ日本加盟しておりませんので、従来から行われた勧告の一、二の事例はありますけれども、その全般については十分わかつていないのであります。しかし勧告の中には、一般的な勧告と、それから特定国対象とした勧告がございまして、たとえば一般的な勧告につきましては、この(a)項にありますように、各種の「栄養食糧及び農業に関する科学的、技術的、社会的及び経済的研究」を行う、こういうふうな項目につきましては、たとえば水産物の利用の問題についての研究は、国際的に共同して行うべきであるというふうな決議がなされておるわけであります。そういうふうな決議が行われますと、その決議從つて各国は自国の関連する問題について、できるだけそれに沿つて研究を進めて行くとか、あるいは技術改良につきましての勧告が一般的に行われますと、それにつきまして関連した項目について、各国が共同の歩調で、できるだけその問題について研究を進めて行く、こういうふうな一般的な勧告が大部分であります。それ以外に特定国対象としたところの勧告がございまして、たとえばある国につきましての灌漑計画を具体的に立てるという場合に、FAOがこれを引受けて調査し、その調査の結果に基いて勧告する、その勧告從つて具体的実行をはかる、こういうことになるわけであります。例をあげて申し上げますと、たとえばタイにおける農業水利灌漑計画につきましてはFAO調査し、その調査に基いた勧告タイ国政府が現在実行しつつある。こういうようなことになるわけでありますが、そこで具体的な勧告がかりに今後日本に行われました場合におきましては、それに応じた措置をとることが必要であろうと思います。今申し上げましたような状況にありますので、具体的に今日本でこれからどういうことを用意すべきかということについては、目下研究している段階で、具体的なものとしては用意いたしておりません。ただ言い得ることは、これらのFAOの事業の活動につきましては国内的に普及宣伝し、その趣旨の徹底をはかるということは、加盟国として当然やるべき措置でありますので、これらの趣旨の普及宣伝、たとえばFAO各国食糧農業事情についての印刷物、刊行物を発行しておりますが、これらをできるだけ各界、あるいは農民団体、農村に流して行くというような、そういう具体的な措置はできるだけ早くとつて行くべく準備を進めて参りたいと考えております。
  13. 小淵光平

    小淵委員 この具体的なことはいずれにしてもわからない。加盟後漸次これらの項目從つて、これに基礎を置いて漸次進んで行くのだというお話でありますので、もちろん具体的のことは、そうであればきまつておらないことは当然なことであります。今お話の中に、一般的または特定国というようなお話がありましたけれども日本の場合はあらかじめ特定国になるとか、あるいは一般の六十六なり六十七なりの加盟の国と同等に取扱つてつて、特定に何か問題が生じたときには特定国というふうに指定してやつて行くかどうか、この特定国であるとか一般加盟国であるとかいうことについてちよつとお話が出ましたので、これをお伺いいたしたいのであります。
  14. 齋藤誠

    齋藤説明員 特定国に関する勧告というのは、いきなりFAOが積極的に取上げるというのではなくして、その加盟国からFAOに要請があつた場合において行われるのでありまして、日本の場合におきましても、もしさような要請をFAOにするということになりました場合にとられる勧告であります。
  15. 小淵光平

    小淵委員 第一條の3を見ますと、(a)に「諸政府が要請する技術的援助を與えること。」ということがあるようですが、日本の場合何か要請をしてその援助を與えてもらうというようなことができるかどうか。たとえば畜産振興が現在日本の急務である、アメリカ等における畜産技術であるとか、デンマーク、スイス等の有畜農業の経営のやり方というようなことについて何か要請をしようとか、あるいは東南アジア方面農業生産力の高揚のために、日本技術を提供しようとか、そういうことを多分さしておると思うのでありますが、この東南アジア方面に、たとえば日本の蚕糸業のごときが、今漸次伸びようというふうにも考えられておるわけなのでありますが、さような一條の3に掲げてある「諸政府が要請する技術的援助を與えること。」ということは、こちらからさきに申し上げましたようなことを要請して、技術の提供を受ける、またはこちらから技術を提供するというようなことを考えておることが、この3に書いてあることかどうかということをお伺いしたいと思うのです。
  16. 齋藤誠

    齋藤説明員 今のお話の中に、こちらからたとえば畜産振興等について、技術援助を受けたいという場合に、その3の(a)号に該当するかどうか。あるいは東南アジアに対して養蚕の技術等について、こちらから積極的に輸出するというような方法が考えられるかという御質問であります。大体そういうふうに考えておるのでありますが、今までの技術援助の内容を見ますと、大体は調査団の派遣であるとか、あるいは專門家の派遣であるとか、あるいは留学生の派遣であるとかいう方法が、技術援助になつているのでありまして、そういう趣旨から考えてみますと、たとえば畜産の振興の場合におきましては、これはFAOとは関係がありません、が、すでに北海道にはデンマークから畜産関係の人が来ておりますし、今後畜産の経営などの問題につきましても、そういうような意味において十分な関心はわれわれも持つておるわけであります。それから東南アジアに関する方法といたしましては、これまた直接FAOとの技術援助という関係で参つておるわけではありませんけれども、すでに南方から蚕糸研究のために日本に来て、留学しあるいは研究しておるような人もおるわけであります。そういうような方法が今後FAOを介していろいろ行われて来るのではなかろうか、こういうふうに考えておるわけであります。
  17. 小淵光平

    小淵委員 第六條に、「総会は、專門的及び地域的常任委員会をおくことができ、」とありますが、この地域的常任委員会というのは、結局これに加盟しておる世界国々の中で特に必要な国に、こういう機関が設けられるのではないかと推察いたすのでありますが、日本農業国としてはきわめて集約的先進国として取扱われておるわけであります。この日本地域的常任委員会という機関が設置されるということが、もちろん将来の問題でありましようけれども加盟した後にこんな問題も日本としては希望が持てるかどうか、その辺について御質問申し上げたいと思います。
  18. 永井三樹三

    ○永井説明員 地域的の事務局の委員会という点についてお答えいたします。この地域的というのは大体世界を広い地域に、似たような地域にわけて考えておるわけなのであります。現在FAOといたしましては、近東地域事務局、欧州地域事務局、それから北アメリカ地域事務局、極東地域事務局、南アメリカ地域事務局、こういうふうに五つの事務局にわかれて、その地域特有の問題を処理するということになつておるわけであります。日本の場合に特に関係のあるのは極東地域事務局といつていいかと思いますが、これは現在バンコツクに置かれておりまして、おそらく日本がこれに加盟を許されたあかつきには、地域としては極東地域の中に入る、あるいはその地域の事務局を日本に持つて来るとか、日本に置かれるかどうかとかいう問題は、また今後の問題かと思います。
  19. 小淵光平

    小淵委員 極東の地域常任委員会はバンコツクに置かれておるというお話でありますけれども、「專門的及び地域的常任委員会」とあります。專門的ということを考えました場合に、日本の蚕糸業のごときは、世界では日本をおいてはないほど特別な專門的なものであり、もちろんここでいう地域ということになれば入るので、たとえばバンコツクに地域常任委員会が置かれるとすれば、そこから機構をよく調べてみなければわかりませんけれども、常識的にいうと、派出所であるとかあるいは何か出先のようなことで、世界の平等な地域よりは何か特別な機関が今のところ何も考えられないものでありましようか、その辺をお伺いいたしたいと思います。
  20. 永井三樹三

    ○永井説明員 お答えいたします。「專門的及び地域的」とこう書いてございますが、これは別に專門的、地域的に置くという意味ではございませんので、FAOとしては中央の機関にそれぞれ專門の委員会を置いておるわけであります。現在憲章の規定に基きまして置かれておりますのは、專門の委員会としては、農業委員会、経済、統計、販売、配分、漁業、林業関係の委員会、栄養に関する委員会、農村福祉に関する委員会、この三つの常置の諮問委員会が置かれてあります。さらにそのほか理事会が指名する委員会として商品問題の委員会、国際機関の連絡委員会、財政、これは会計の面であります。その他技術的な委員会、こういう必要の都度委員会が設けられますが、地域委員会というのはこういうのとはまた違いまして、その地域全体についての委員会ということでありまして、従つて一つ一つの問題、非常に細分された問題について地域的にあちらこちらに委員会を置くということはおそらくないと考えております。もし蚕糸業のような問題をFAOで取上げて、何らかの研究機関なり委員会を設置するということになりますれば、もちろん日本なら日本に何らかの連絡機関を置くということもあり得ることだと思いますが、現在のところはそう小さな委員会までわけてはいないように考えております。
  21. 小淵光平

    小淵委員 次に分担金の支払いの問題でありますけれども提案理由説明に「二%程度で、来年度は十一万ドル」とこうあります。そしてこの附属書の会計年度予算、ここに総額二百五十万ドルとしてありまして、ここに加盟国のパーセンテージがずつと出ておるのでありますけれども、このパーセンテージは、体何があの基準になつてこういう%というものが出て来るのですか、その出し方をちよつとお伺いいたしたいと思います。
  22. 永井三樹三

    ○永井説明員 このFAO国際連合專門機関でございまして、これの分担金の算出の仕方につきましては、一般に国際連合加盟について共通の負担率がきめられております。これは現在主として九四九年度の国民所得を基礎といたしまして、各国の負担率をきめております。これが、これ以外の專門機関、たとえばユネスコに加入するような場合におきましても、一つの標準となるわけであります。FAOに加入する場合におきましては、その国連のきめておりまするところの一般の負担率のほかに、その国の、特に農業の所得と国民所得の比率、人口のうちのどの部分が農業に属しているか、それからその国の輸出の中で農産物の輸出がどの程度の重要性を持つておるかというような、特に農業から来るところの所得、収益というものを勘案いたしまして、国連の共通の仮負担率を修正してきめるということになつております。国連の仮負担率は、一九四九年の日本国民所得を総額八十二億ドルと国連の統計局で見積つておりまして、それに基きまして一応一・七五%ないし一・六〇%というものがきめられております。これに今申しましたような、日本農業所得の関連を考えあわせまして、一応私どもで約二%という算定を出しましたが、これはもちろん、こういつた負担率と日本農業というものを考えまして、このFAO分担金を決定する委員会で決定されるので、今からそうきまつておるわけではございません。私どもの大体の予想では、国連の負担率から見て、それから同様の国連の負担率を持つておりまするほかのFAO加盟国がきめられておる率と比較してみて、おそらくそんなところではないかと算定しております。
  23. 小淵光平

    小淵委員 その国の国民総所得と、それから農業所得を勘案して、この率がきめられて行くということになりますと、たとえば日本の所得が四兆億なら四兆億あるといたしますと、この日本の四兆億円を三百六十円レートで換算したもので、そういう計算が出て来ることになると推察いたすのでありますが、そうすると、たとえば国内経済と正常な為替推定額というものとの上に、非常に大きな違いが出て来る場合があるのじやないかと想像するわけであります。たとえば現在の三百六十円レートが適正なものであるかどうかということについても、これはなかなか疑問があるわけでありますし、現在インフレ傾向にある日本といたしましては、三百六十円レートがはたして適正なものであるかどうか。イギリスのポンドにいたしましても、そういうことが言えると考えられるわけであります。そうすると割合を出して行くということは、国民総所得を基準に置いて行くということでは、世界一つのものにしてこのパーセンテージを出す関係から、なかなか困難な問題だと想像いたすのであります。もちろん国民総所得、日本の国の総所得は一応計算はできるのでありますけれども、これを六十六なり七なりの国を一つに集めたものであるかどうか、この点をちよつとお伺いいたしたいと思います。
  24. 須山達夫

    ○須山説明員 今の点は国際連合におきまする分担金の、国際連合に入つていない国の仮負担率をきめる場合に、どのようだ計算をしておるかというお尋ねであろうと思います。国際連合におきましては、私の承知いたしておりますところでは、ただ三百六十円というものかけで計算しておるものではなくて、ただいま正確な資料を持つておりませんけれども、統計学的な特別な計数をかけ合せましてやつております。国際連合としてはできるだけ各国に公平であるようにという趣旨で、日本からとつた日本円で出した資料の上に、特定の計数をかけ合せて算出をいたしおる、そのように承知をいたしております。
  25. 守島伍郎

    ○守島委員長 小淵君、あと五分しか時間が残つておりませんから……。
  26. 小淵光平

    小淵委員 今私のお尋ねいたしたのは、国際連合分担金のことをお尋ねしたのではなくて、農業機構に加盟する附属書の予算に八パーセンテージが示されておる、これの出し方は国民総所得に大体のウエートを置いてやる、あと残された問題は農業所得をそこに勘案してやるというお話でありますから、それをお伺いいたしたのであります。いずれにいたしましても世界中のものをつに集めて、しつかりした納得のできるような率が出て来るものかどうかというところに疑問を持つておるわけてあります。もちろん日本の国の経済の全体を動かすような問題ではありませんから、あるいは全国民に納得できるようなところまではどうかと思いますけれども、やや納得のできるパーセントによつて支出することが適正のように考えるので、その点をお伺いいたしたわけであります。国際連合の負担金のことで、何かかけ合せて出ておるのだというお話でありますけれども、これは経済の上の非常にむずかしい問題でありますから、端的になかなか出ないことでしようが、もし資料でもありましたら後刻でけつこうですが、お示し願えれば非常にありがたいと考えます。今お答えできなければさようなことで御処置願いたいと思います。
  27. 須山達夫

    ○須山説明員 初めの点だけお答えいたします。第点は、この附属書の二に掲げました分担金の割合をお話になつておりますが、これは国際連合ができておらなかつたときで、FAO自身が自分で算定したわけであります。これは第一会計年度の予算としての表がここに掲げてあるわけであります。一九四五年のときのことであります。現在は分担金の計算の仕方がどういうふうになつておるかといいますと、先ほど永井説明員から申し上げたようでありますが、その内容の詳しいことはまた永井説明員からあることと思います。
  28. 守島伍郎

    ○守島委員長 それでは時間がありませんから資料を出してもらうようにお願いします。
  29. 小淵光平

    小淵委員 あと一点……。この第十六條に「魚類及び林産物」とあります。これは農業という言葉の派生語でこういうのが出て来るというような説明があるようでありますけれども、これにはもちろん水産業あるいは水産物、林産物、林業、それらのものが切含まれて農業という解釈で、世界全体のものを考えている、こういう考え方でよろしいので、ございましようか、この点お伺いいたしたいと思います。
  30. 永井三樹三

    ○永井説明員 その通りでございます。FAOに関する限り、農業と一般的に言う場合にはその通りに解釈されます。
  31. 守島伍郎

    ○守島委員長 それでは石井君。ちよつとお断りいたしますが、非常に皆さん御熱心でございまして、錯綜しておりますから、二十五分くらいでお願いします。
  32. 石井繁丸

    ○石井委員 大体日本においてはFAOに入る前から、あるいは農業報告、あるいは今回国際小麦協定等に参加いたしまして、実質上においてはFAO協力参加のような態度をとつて来ておつたのであります。今回いよいよこの主軸であるFAOに入れるということは、非常に喜ばしいことであります。そこでこれに入つたからにおきましては、日本も十分にその職責を果すようにいたさなければなるまいと思うのであります。  まず第一番に、今度のローマに開かれる総会において、確実に日本が参加できる見通しがあるかどうか、その点について御回答を願つておきたいと思います。
  33. 永井三樹三

    ○永井説明員 今度のローマの総会に加入申請をいたしまする前に、内々可能性がありやなしやということについて、アメリカ政府を通じまして打診をしてもらつた結果、ほぼ各国日本の加入を支持してくれるという見通しが立ちましたので、今度申請した次第でございまして、私どもといたしましては、間違いなく加入が許されるものと考えております。
  34. 石井繁丸

    ○石井委員 加盟できますと、今後は日本政府においても責任を持つてこれに協力するということになるのでありますが、本機関の番の重要なる問題は、御承知の通り農業関係に対する情報の提供あるいはその交換ということになるのであります。非常に農業関係におけるところの調査統計というものは精密にやられて、そうして各国から集まつた資料が具体的に統計せられまして、初めて本機関が十分なる活動ができるわけであります。政府としまして、これに参加した以上は、この機関の要請に応じて、責任ある情報等が提出できるようになつておるかどうか。せつかく加入したけれども、竹本の国の農業関係情報等は適正ではない、あるいは求められたる資料が迅速に提出ができないということによりまして信用を失墜するようなことがあつては、はなはだ遺憾でありますが、これらの点についていかに対策が立てられておるか、その点について伺つておきたいと思います。     〔「行政整理をすればできない」と呼び、その他発言する者あり〕
  35. 守島伍郎

    ○守島委員長 お静かに願います。
  36. 永井三樹三

    ○永井説明員 現在FAOに参加いたしまして、これに協力する態勢といたしましては、農林省、安定本部、外務省、厚生省、このFAOの内容に関係いたしまするところで、連絡の委員会を持ちまして、これに対応して行く態勢を整えております。さらにこのFAOに対応する国内的な態勢として、FAOにおきましては、国内委員会というものの設置を勧告しておるのでございますが、これは各国ともいろいろな形でできており――まだできてない国もございますが、私どもの方におきましては、今後そういつた態勢をさらに組織的に考えるように研究をいたしております。それに先だちましては、今申しました各省の連合委員会をつくりまして、正確なデータが提出し得るように態勢を整えておるわけでございます。
  37. 石井繁丸

    ○石井委員 これについて大体農業資料の提出の中心は、農林統計調査になると思うのでありますが、現実にそんなようなかつこうになつておるかどうか、これを伺つておきたいと思います。
  38. 齋藤誠

    齋藤説明員 これまでFAOに関する各種の統計は、農林省で大部分作成して出しておりますが、この中には月次報告とそれから年次報告と二種類ありまして、月次報告の方は大部分が統計でありまして、統計調査部の方から出ております。年次報告につきましては、先ほど永井説明員からお話がありました通り、農林省のほか厚生省、それから経済安定本部等と連絡いたしまして出しております。
  39. 石井繁丸

    ○石井委員 幸いに農林統計の調査についても、作報時代からの努力によつて、最近やや軌道に乗つて来たと思うのでありますが、今回非常に農林省において大幅の行政整理がありまして、特に農業統計におきましては半数以上の人員の整理がある、こういうふうな形になつておりまして、各出先機関等から聞きますと、こういうふうな無計画な大幅整理によつては、せつかく軌道に乗つて来て、自分たちとしても権威ある統計調査ができかかつたのが、すつかり蹂躪せられてしまう、こういうふうに嘆いておるわけであります。かような大幅の整理があつた後においても、責任のあるところの月例報告等農業統計においてできるかどうか、これらの点についてひとつ農林省においての御答弁を伺つておきたいと思います。
  40. 安田善一郎

    ○安田説明員 農林省の統計調査部の定員につきましては、いろいろの経過をもちまして政府案ができまして、衆議院も政府案通りに御審議の上可決せられたようでありますが、私どもとしましては大臣、政府のおきめなさいましたところに従いまして、極力国際的にも通用がされまする統計調査のできるだけ正確な実施をいたしまして、FAOの加入後におきまして、これらの調査統計が報告として使用、通用できるように努力をいたすつもりでありまして、その間におきましても相当非常勤職員等をもつてつて、国際規格に合いますような調査をすることを目途として政府案等もできた関係もありまして、その旨を大臣からも、また私ども事務当局からも、国会の定員法に盛られておりまする農林省統計調査の人員と、これによつて努力して完遂できます程度の統計調査の内容を申し上げまして、御審議願つておる次第でございます。まだ参議院の方におきましても種々御論議もあるようでありますし、かたがたこれが食糧の統制撤廃を前提として調査内容を組み、また相当無理な人員の能率増進や定員外の非常勤職員をもつて、あるいはその他の労務をもつて実行いたしますようなことを前提にいたしておることもありますので、この間をぜひ公正な国会の最終審議にまちまして、その御審議に従いまして、国際通用が可能な、また国内農業政策上も必要な統計調査をいたすようにいたしたいと存じておる次第であります。
  41. 石井繁丸

    ○石井委員 安田部長の説明としますと、いろいろ立場上なかなか言づらいところもあると思うのでありますが、真意を察しますと現在の大量整理においてはとうてい責任が持てない、こういうのが真意であろうと解するのであります。われわれといたしましても参議院において協力して、統計職員の削減につきましては最小限度にとどめるように、また自由党においても心ある人々は、さようなことにおいては国際的な責任ある報告はできないということは感じておられるだろうと思うから、こういう点を極力努力して、責任ある国際的な報告ができるように、権威のあゑ農業の統計報告ができるようにしたいと思うのであります。特に日本において非常にりつぱな農業関係の統計調査等ができるかどうかということは、アジア各国に対する範を示すゆえんでありまして、こういう場面からも極力努力しなければなるまいと思うのであります。本日政府の責任ある人の出席がなくて、この点についての答弁を聞き得ないということを残念に思うのであります。また機会を得て責任ある答弁を求めることにいたします。  次にお伺いしたいことは、政府技術の問題ということを中心として言われておるのでありますが、今後アジア各方面においての農業技術改善ということになりますと、おそらく化学肥料を非常に使う、こういう場面が出て来るだろうと思うのであります。そこでこの機関において、各国から技術援助という場面に基いて化学肥料等を使いたい、こういうようなことから、日本に対してひとつ化学肥料をそういう国々に出してやつたらどうか、こういうような勧告があり得るのでは血かろうかと思うのでございますが、こういうような点はどういうふうにお考えになつておるか、お尋ねしたいと思います。
  42. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 東南アジアの方から硫安、過燐酸石灰等、化学肥料そのものを日本に対していろいろ輸出してくれという声は、FAOに加入前から、現在内々話はあるのでございます。将来東南アジア開発等におきまして、日本がかつてとりましたような化学肥料による増産という方向も当然考えられることであります。しかしただいまのところ日本の肥料の生産能力は、相当余力はあるのでございますが、電力、石炭等の事情から、なかなか多くの量を輸出するわけには、特に本年等は参らないのであります。そういう勧告がかりにありました場合には、われわれはもちろんこれに協力するような肥料の増産ということは考えなくてはならないと思いますけれども、現実的にはまず国内農業というものを考えまして、その余力ある場合において、これらの方面協力して行くという態勢はかえたくないというように、実は考えておるわけであります。
  43. 石井繁丸

    ○石井委員 おそらく今後におけるところの東南アジアからの肥料に対する要求は、次第に熾烈になつて来るであろう、東畑局長の申されるようになろうと思うのであります。そこで現在においては、国内の需要に辛うじて間に合うだけであり、さような要求があつてもなかなか応じ切れない、こういうふうな農林当局の御意見である。これはもちろんでありますが、しかしながらやはり日本先進国家として、あるいはまたこのFAOにおきまして、強力なる発言ができ、あるいはまた各国に信用されるというためには、十分に肥料等も輸出できるように措置を考えておかなければなるまい、かような要求等が今後次第にふえて来た場合に、これられの要求が満たせるような準備がとらなければなるまい、こう思うのであります。ひとつ外務省方面におきましても、農林省等と連繋されまして、かような要求がFAO会議において決定され、勧告された場合においても、十分なる協力ができるような態勢を十分整えるよう、現在から心がけていただきたいと思うわけでありますが、さような点について外務省はどういうふうにお考えになつておりますか、お尋ねしておきたいと思うのであります。
  44. 永井三樹三

    ○永井説明員 まつたくごもつともに思いまして、私どもの方といたしましても、農林省と応接に連絡をし、この問題はFAOのみならず、各国との貿易協定その他においても同様に取上げられる問題でございまして、御趣旨に沿つて安定本部、農林省、通産省とも連絡してやつて行きたいと考えております。
  45. 石井繁丸

    ○石井委員 最後に一点だけ。これは先ほど野原委員も申されたのでありますが、いろいろな点から日本はあらゆる場面において海外との友好関係を増しまして、そうして日本国民がいろうな立場にならなければいかぬ、特に平和的なるかような農業機構に参加するということは、日本国民が今後海外においていろいろな形において進出をする場合において非常にいい結果になる、かような発言がありましたが、これは一つの達観であろうかと考えるわけなのであります。太平洋戰争に敗れたので、今度は急にこの機関を利用して国際的に土地開放しろ、こういつたのでは少し極端に過ぎますが、ある意味におきまして、日本国民が歓迎せられる形において、進出の道を開かなければなるまい、こういうふうに思われるわけであります。おそらく今後この委員会において、農業移民の問題、あるいは技術移民の問題等もいろいろ論議されようと思うのでありますが、そういう点が今まで論議されておつたかどうか。これに対して日本に対する各国の風当りは、どんな状態であるかを一点伺つておきたいと思うのであります。  それからもうつ。確説ではないようでありますが、アメリカの東南アジア開発計画の中において、ニユーギニアの開発問題等がいろいろと論ぜられておるようであります。これに対しては濠州の労働党におきましては、そういう記事が出ると、ただちに労働党の大会等を開きまして、日本のニユーギニア開発は反対というような決議をしておるわけでありますが、ニユーギニアの開発等につきまして、世界の輿論等はどういう形になつておるかを承つて、私の質問を終りたいと思うわけであります。
  46. 永井三樹三

    ○永井説明員 第一点の、今後FAOにおいて向うの理解を得るように進めて行くというお考えにつきましては、まつたく私どももそのつもりで参加して行きたいと思つております。  第二点の農業移民の問題でございますが、私の知る限りにおきまして、農業移民という問題はFAOで取上げられたことはないと考えております。ただこのFAOの中で技術援助ということは非常に大きなプロブレムになつております。そういう点から農業の指導者あろいは専門家を送つて開発に寄與するというような面は、今後FAOの活動の中でだんだん大きな点を占めて来るのだろうと私どもも想像しております。  それから第三に、アメリカの東南アジア開発に関連いたしまして、ニユーギニアのことがございましたが、今日までニユーギニアの開発ということが、アメリカの計画の中で具体的に進んで来ておるとは、私ども寡聞にして聞いておりません。
  47. 守島伍郎

    ○守島委員長 それでは竹村君。ちよつと竹村君に申し上げますが、あなたの方から横田君も御質問がございますから、二十五分でござとますけれども、二十分くらいで切り上げていただければなおけつこうであります。
  48. 竹村奈良一

    ○竹村委員 この国際連合機関に加入いたします場合に聞いておきたいのは、実はこの機関に加入いたします場合に起る問題は、今参議院で問題になつておりますが、平和條約あるいは安保條約に対して反対しておる国が入つているわけです。たとえば中国あるいはインド……     〔「中国は国民政府だけだ」と呼ぶ者あり〕
  49. 守島伍郎

    ○守島委員長 お静かに願います。
  50. 竹村奈良一

    ○竹村委員 こういうような国との関係は体どうなるのか。おそらく今たれかが言われたように、中国は国民政府だけを考えておられるかどうか。またインドとの関係は一体どうなるのか。この点をひとつ伺つておきたいと思います。
  51. 島津久大

    島津政府委員 ただいまの御質問の御趣旨がはつきりいたしませんですが、こういうような国際機関日本が入ることにつきまして、もともとこれは大した政治的な問題でもございませんし、ただいまおあげになりましたような、たとえばインド、これも現在の平和條約には入らなかつたわけでありますけれども日本がこういうような国際協力をする場合は大賛成であろうと私は思うのでありまして、その点問題はほとんどないと思うのであります。
  52. 竹村奈良一

    ○竹村委員 どうもこれは政治的にはあまり関係ないと言われますが、これはやはり大きな国際的な、政治的な関係があると考えるので、そういうことを質問したのであります。しかしそれではお伺いいたしますが、たとえば中国の方は蒋介石政権だけが問題になつており、韓国の場合において南朝鮮だけを問題にしておるというようなことになりますと、その以外にたとえばソ連が入つていない、あるいはチエコスロヴアキア及びイランは加盟国でないということが明らかになつておるわけであります。そういたしますと、国際連合食糧農業機関というこういう機能が、いわゆる上昇のほとんど三分の二以上の国土を占める国等が入つていなくして、世界の一般的な農業情報、あるいは生産状況等を完全な形において把握することはでき得ないと思うのでございますが、どの点について一体どういうふうに考えておられるか。いやそうじやなしに、ああいう地球上における鹿大な三分の二以上の国土を占める国が加入していなくても、完全な農業情報その他がこれによつてつかめるのだと考えておられるのかどうか、この点伺いたいと思います。     〔発言する者多し〕
  53. 守島伍郎

    ○守島委員長 お静かに願います。
  54. 島津久大

    島津政府委員 小麦協定の際にも同様な性質の御質問があつたわけでありまして、今回もおそらくはそういうふうな御質問が出るだろうと予期はしておつたわけであります。これは世界の国全部が入れば、世界的な農業に関する協力が完全になることは申すまでもないことでありまして、御指摘のように、ソビエトその他入つていない国があるのは、これは現実の姿であります。それかと申しまして、その爾余の国が国際的に協力をしてはならないという理由はないのであります。できるだけ国際的な協力をしようというふうな機関の趣旨だろうと思います。それらの点はわれわれの立場としまして、ソビエトのことをどうこう言う立場にはないわけでありまして、これでもちろん全世界の完全な協力ということは言えぬかもしれませんが、現状においてこれはりつぱな国際機関であろうと思います。従いまして、これに日本協力するのは当然であると考えます。
  55. 竹村奈良一

    ○竹村委員 それでは問題をかえますが、先ほどの答弁によりますと、この機関はあまり政治的な機関ではない、こういう御答弁であつたのでございますが、そういたしますと、政治的な機関ではないと政府が自認しておられる以上、少くとも日本の現在置かれている地位から考えまして、もちろん吉田政府にこれを望むのはどうかとも考えますが、しかし日本の隣邦である中国あるいはインド、その他の東南アジア諸国とは最も友好関係を結ばなければならないとわれわれは考えるわけであります。そうしなければ、日本の存立はあり得ないとわれわれは考えている。そういたしますと、たとえばこういう農業問題の技術の面においても少くとも積極的な努力をいたしまして、あの厖大な中華人民共和国等ともこういう何かの形において、日本の国が政治的な立場でない農業技術の面において独自の交流をし、あるいは情報交換をやつて行き、親善の道を開いて行くような考えを政府は持つておられるかどうか。私は当然そういう努力をせなければ、ますますこの條約締約後においては、日本と最も対立的な形になつて行く、こういうふうに考えるのでございますが、こういう努力をする用意は現在の政府にあるかどうか、この点を伺つておきたいと思います。
  56. 島津久大

    島津政府委員 協力ができる情勢になりますれば、もちろん協力をいたすわけであります。
  57. 竹村奈良一

    ○竹村委員 先ほども聞いておりますと、何べんも言つているのでございますが、これはあまり政治的なものではない、こういうふうに言われたので、私はこういう質問をするわけであります。従つてたとえば農業技術交換、あるいは情報交換、あるいはこの中に書かれているものを見ますと、第一條の中のいろいろな問題の中に、「食糧及び農業生産物の加工、販売及び分配改善」というようなことが書かれている以上、少くとも中華人民共和国とも国民的な立場で独自に行う努力が、日本政府によつてなされることが当然であると思うのですが、それでも、その時期が来るまでというよりも、むしろこちらからはそういう積極的な努力をやらないという考えでありますかどうか、もう一ぺん聞いておきたいと思います。
  58. 島津久大

    島津政府委員 これはFAOの機構に関する問題でございまして、それ以外に別に中共地域農業技術的な協力をするように努力すべしという御意見でございますが、これまた小麦の審議の際にも同様の御意見があつたのでございます。これは日本の方ももちろん労力をすべきでございますし、相手のかも努力してくれるはずだと考えます。
  59. 竹村奈良一

    ○竹村委員 そういう問題を押し問答しても、しようがないと思いますので、これはやめます。
  60. 守島伍郎

    ○守島委員長 竹村君、あなたの時間はあと十分に限つていただいております。そういう議論したつてしかたありません。
  61. 竹村奈良一

    ○竹村委員 それでは、一つこの中でお伺いいたしたいのですが、たとえば第一條機関任務項目の中で、「適当な国内的及び国際的農業信用の供與のための政策の採用、これは一体従来までにこの加盟国においてなされたこういう実質的な方法、つまりどの国に対してこういうようなことが、この機関でなされたか、この点を伺つておきたいと思います。
  62. 永井三樹三

    ○永井説明員 御質問は、第一條の第二項にございまする国内的、国際的農業信用の供與のための政策の採用をどの国に対して何かしたかという御質問でございますが、私の今存じておるところでは、このそういう特定の国に何らしかの信用を與えるとかいうことをたことはないと了解しております。
  63. 竹村奈良一

    ○竹村委員 なかつたらしようがないですが、その次に書かれている「農業商品についての取極に関する国際的政策の採用」、これは非常に広汎な問題を含んでおると思うのですが、この件についてこの機関から加盟国に対してどういうようなことをやつたか、承りたい。
  64. 永井三樹三

    ○永井説明員 (f)に掲げてあることにつきましては、たとえば国際的に食糧の問題を取上げまして、この前御審議を願いました小麦協定をつくる会議を開くのは、このFAOからいわば発議をして会議が開けて、その結果小麦協定ができたというようなことも、この項目に基づくFAOのフアンクシヨンの一つと考えられるのであります。
  65. 竹村奈良一

    ○竹村委員 そういたしますと、ここで日本がもし加入いたしまして、小麦協定あるいはその他のそういうようなものが勧告されれば、それに従う一応の義務が生じて来ると思うのですが、  ここでお聞きいたしたいことは、たとえば現在アメリカあるいはその他におけるところの農業生産に対して、日本の現在のような農業生産の形において、はたして対応できるかどうか。この点について外務省あたりは、特にお考えになつていると思うのですが、この点はどうですか。
  66. 永井三樹三

    ○永井説明員 今の御質問の点について、ややはつきりしない点があると思いますので、御説明申し上げますが、この(f)につきまして、小麦協定なら小麦協定を、FAOが小麦協定の会議を開催して、そういう協定を促進するというようなことが、このFAO任務でございまして、FAOできめた、たとえばこういう会議を開いたから全部それを聞かなければならないというのじやなくて、この小麦協定には、この会議においてきめられることについては、各国がその独自な立場から、また検討して、よければ入る。入らない国もあるというのが、このフアンクシヨンでございます。それから今の日本農業が海外の農業と対応できるかどうかという点につきましては、総括的に私としてお答えすむ材料は持つておりませんか、個々の問題について、具体的にどういうものが問題になるかという点を考えて、場合々々によつて検討しなければ、御返答はできないわけであります。
  67. 竹村奈良一

    ○竹村委員 その根本論について聞いておりますと、これも長くなりますので、私は現在の日本農業が、そういう国際農業と太刀打ちできるような立場にない。そういう政策を政府はとつてない。こういうように考えるのですが、この点の論議は、また別の機会に農林大臣とでもいたしたいと思います。ので、もう一点だけ聞いておきたいのです。3の(b)の「関係政府が連合国食糧農業会議勧告及びこの憲章を受諾することから生ずる義務の履行について当該政府援助するために必要とされる使節団を、当該政府協力して組織すること。」このことも私は非常に重要だと思うのです。たとえば日本のような立場におりますと、ここでこういうようなことが決定されますならば、当然日本農業というものは、一つの、たとえばアメリカ圏の支配のもとに置かれるような心配を私はするわけであります。そうなつて参りますと、日本農業というものが、非常に植民地的な性格を、ますます強めて来ると考えるのでございますが、これは一体、従来までそういうことをやられた国は、どこの国に対して、この機関によつてやられたか、そうしてまたどういうことをなされたか、この点を聞いておきたいのであります。
  68. 永井三樹三

    ○永井説明員 今の(b)の点に関連して、使節団を組織するということについでの御質問かと思いますが、これはこういうことでございます。連合国食糧農業会議勧告食糧農業会議というのは、この憲章をつくつた会議をさしているわけであります。この憲章に参加してこの義務を受諾する国に対して、もしその国の政府が何らか援助をしてほしいという希望があれば、こういう援助を得るということを定めてあるだけでございます。
  69. 竹村奈良一

    ○竹村委員 今の答弁では実ははつきりわからないのですよ。だから聞くのですが、一体その会議勧告を受諾することから生ずる義務の履行について、当該政府援助するため、つまりこの農業会議でいろいろな、日本に対してこうやれという勧告がある、ところが日本政府はこれを受諾する義務を履行することに困難を感ずるその場合にその義務を履行さすために、日本政府援助するために必要な使節団を派遣すると、こういうのですから、必ずこれをやらすために使節団を派遣する、こういうことにつきましてそれは日本農業にとつて、はなはだ困つたことになる、困つたことになるようなことが勧告された場合でも、どういう使節団を強制的に派遣して来るのか、その点を聞いておきたい。
  70. 永井三樹三

    ○永井説明員 これはこの憲章をつくるために開いた連合国食糧農業会議のことをさしておりまして、その場合何かこの勧告を受諾した国が、もしその受諾したことについての履行について援助をほしいという場合には、援助してもよろしいということが書いてあるだけでございまして、現状におきまして何らそういう実例はございません。
  71. 守島伍郎

    ○守島委員長 吉川君。
  72. 吉川久衛

    ○吉川委員 大分委員長は時間をお急ぎのようでございますから……。
  73. 守島伍郎

    ○守島委員長 いや。あなたには二十五分差上げます。
  74. 吉川久衛

    ○吉川委員 しかも政府の責任のある方がおいでになつておりませんので、そこで政治的と申しますか、政策的な問題をお尋ねすることはできませんから、ひとつ事務的と申しますか、技術的と申しますか、この点についてごく簡單にお伺いしたいと思います。  この機関加盟することによりまして、国内においてはどういうような戸れに対応する機関ができて、またそれはどこの省の所管になりますか。
  75. 永井三樹三

    ○永井説明員 先ほど御答弁申し上げました通り、FAOにおきましては、国内国内委員会という一つの組織をつくることを勧告しております。それに基いて、国内委員会をつくつておる国もあり、またつくつておらない国もございますが、日本といたしましては、今後何らかのそういつた国内委員会をつくるべきか、いかなる省の担当のもとにつくるかは、目下関係の省との間に具体的に各国の例を徴しまして研究中でございます。それまではさしあたり先ほども申しました通り、関係の省の連絡委員会をもつて当面の国内組織としてやつておるわけでございます。
  76. 吉川久衛

    ○吉川委員 私はその委員会を主管する省が――おそらく外務省と農林省の共管になると思いますが、もしそうでなくて、外務省の主管になるということになりますと、いろいろ問題が起きて来ると思うのですが、外務省にはただいま農業に関する部門が何かございますか。
  77. 永井三樹三

    ○永井説明員 特別に農業に関する部門は外務省には、ございません。ただ現在国際経済局がございます。そこの中で海外との関連する経済関係の仕事を担当することになつております。
  78. 吉川久衛

    ○吉川委員 私は少くとも外務省と農林省の主管であつてほしいと思うのです。なぜかと申しますと、私は日本国民経済の復興の基盤は農村からという信念を持つております。しかるに農林省の諸君が非常に気が弱いのか心臓が弱いのか知りませんが、結論には大蔵省の連中にしてやられて、非常に農政は弱体でございます。そのために日本経」済の復興を妨げることはなはだしいものがあるのを見て、私は遺憾に思つております。これは大蔵省の諸君が日本農政に対してはなはだ不勉強であり、無関心であることから発するものであります。今の政府の責任は当然でございますけれども、これはいかなる政府のときにおいても、大蔵省の諸君の農政に対する冷淡なる態度といいますか、軽視的な態度は一貫いたしております。農林省の諸君の蹶起を要望してやまないのでございますが、いまだいまだその効果が現われておりません。そこでこの問題がもし外務省の主管になるとするならば、外務省の諸君に十分農業の問題について関心を持つていただきたい。そこで外務省に経済関係機関があるようでございますが、農業関係機関を強化して、農林省の要求を十分いれていただきたいと思うのでございます。今日本の国の経済の復興問題等につきましては、海外から食糧輸入をしよう、すなわち外国の食糧に依存して、日本丁の食糧問題の解決を今の政府は考えておいでになるのでございますけれども、これはきわめて危險千万なことでございます。この消費の物品を、海外から輸入することのみに急にして、その他の工業用等の生産資材の購入がそのために非常な阻害をされまして、日本経済の復興に一大支障を来しておることは、大衆の認めておるところでございます。どうかこの点については十分の御配慮をお願いいたしておきたいと思います。  それからただいま共産党の竹村君からも御質問があつたのでございますが、私もこの問題を伺いたいと思つていたのです。これに対してはきわめて不明確なお啓えでわれわれも了承できません。私はお答えやすく御尋ねをいたしたいと思います。この機関は、「国内的及び国際的行動を促進し、且つ、適当なときは、これを勧告する。」とございますが、その勧告の内容について――この項目に関する幾積日かの内容のうちの一点について竹村委員は質問されたのでございますが、私は総括的に、この勧告の――法律ではないから、効果といいますか、効力といいます、か、もつとわかりやすく申しますと、受諾国の義務の限界と申しますか、そういうものについてお答え願いたいと思います。
  79. 須山達夫

    ○須山説明員 ただいまの御質問は、第一條の第二項に関する御質問で、ございまして、勧告を受諾したことから生ずろ義務という方は、第一條の第三項の(b)の方に書いてある字句でございます。憲章の建前から申しますと、連合国食糧農業会議勧告を受諾したときには、義務が生ずるということは明確に書いてございますが、食糧農業機関の方が勧告をした場合には、いかなる法律的義務が発生するかという点については明文がないのでございます。明文がなければそれではどうなるかということになるわけでありますが、普通国際機関勧告と申しますのは、勧告という言葉が示しますように、法律的にどうしてもそうしなければいけないという意味ではないわけでありますから、それに従うことがいいと認めた国はそういうふうにやるだけのことであります。従つて法律的には縛れらないということで回答は盡きると思います。
  80. 吉川久衛

    ○吉川委員 ただいまのは、第一條第三項(b)号の場合も含まれてのお答えであつたと思われます。そうすると、これはまあ道義的に処理されるということになるわけでございますね。そう解してよろしゆうございますか。
  81. 須山達夫

    ○須山説明員 道義的と申しますか、法律的ではないが、勧告というのは、それに従つて行動した方がいいという意思の表明に対して、その機関のメンバーである国はなるべくそれに従つてつた方がいいという、何と申します。か、道義的な――なるべくそれに従つた方がいいという言葉で盡きるわけでございます。
  82. 吉川久衛

    ○吉川委員 私の解釈と同じようでございますから、これ以上はお尋ねいたしませんが、私はこの問題についてなぜ重大に考えるかと申しますと、これは農政局長がおいでだからおわかりだと思いますが、先日肥料の需給調整の問題が出たのです。ところがどなたかのつるの一声で、とうとうおじやんになつてしまいました。今われわれは非常に憂慮をいたしているのですが、その経過等については、農政局長は重大な責任をお感じだろうと思いますし、また主管大臣も責任をお感じになつておいでになると思いますので、これは農林委員会でお伺いすることにいたしますが、その後肥料の需給事情はますよす惡化をいたしまして、ただいま日本は無政治状態であります。天候によりて肥料ができたりできなかつたりするような状態であります。従つてただいまのところは、春肥の手配に狂奔をいたしておりますけれども、電力事情のために肥料需給が非常に悪化しておるやさきに、台湾へ一万トン、フイリピンへ一万トンを輸出しておる。そうでなくても不足して困つておるときに、ここに政治的な意味を持つた輸出によつて来年の食糧確保、増産は絶対に期待できない、農民は非常に危惧いたしております。こういう問題が出て来るのですが、吉田内閣はFAO機関に加入されなくとも、独自の立場でもこのような暴政を行つている。しかるところへこれに加盟することによつて日本食糧事情が安定をするような援助をいただけるならば、相互扶助の援助が與えられるならば、われわれは非常に安心をするのでございますけれども、吉田内閣は自己の立場だけでも農民を非常に不安な状態に陷れ、日本の食生活、経済生活に非常な不安を抱かせるような行為をとつておられる。その内閣がこのたびFAOに加入されるとするならば、今度は海外からのいろいろな制約を受けて、さなきだに少いところの肥料の輸出をやらなければならないというような問題が起きたとすれば、これは重大でございます。そういうことを憂慮いたしますので、私はこの勧告の効力といいますか、受諾した国の義務の限界というものについて非常に心配をいたしていたのでございますが、どうも道義的な責任程度のものであるというお答えでございますから、いささか安堵をいたしたわけでございます。  その次に、これは社会党の石井君からもお尋ねになつたことでございますが、私はこのFAO加盟することは、まことにけつこうなことだと思つて喜んでおる一人でございます。しかしながらこれに加盟することによりまして、本憲章の前文にございますところの相互報告の問題でございます。この報告をするためには、どうしても国際的な信用を得るような、科学的な基礎の上に立つたところの調査研究国内でできていなければならないと思います。その点について安田部長さんは非常に不安のような御様子でございましたが、私は部長の答弁にまつまでもなく、今の日本調査機構ではまことに不十分であるということを、全国をまわつて歩いて痛感をいたしております。この問題は農林大臣にお伺いしなければならない、あるいは行政管理庁の長官に伺わなければなりませんから、これ以上お伺いしてもむだだと思いますが、政府の仕事に協力をしておいでになる事務当局の方々よ、まだ衆議院でこの問題は決定をしたわけではございませんから、皆さんも大いに政府與党に協力なさつて、そうしてこの農業統計調査の整理の問題だけは、取消されるように御努力を私からお願いをいたしておきたいのであります。  日本の今日の農業状態を考えますと、私は非常に憂慮にたえないのでございます。戰前六千九百万人といわれた人口が、今日は八千万を越え、しかも昭和二十五年度の統計を見ますと、人口の増加は実におびただしいものがございます。二十五年度中に生れた数は二百三十五万六千八百五十六人といわれ、死んだ者が九十万八千八百一人、差引いて百四十四万八千五十五人といわれております。自立経済審議会の策定によりますと、昭和二十八年度末までに八千八百二十万四千人になるといわれております。四割五分の国土を失い、この厖大な人口をかかえて、資源といえば言うに足らないような現状において、私は資本主義を行つていたならば、これは弱肉強食である。それでは社会主義はどうかというと、これまた生産を減退いたしまして、とても日本の経済は成り立ちません。どうしても資本主義をアウフヘーベンし、同時に社会主義をアウフヘーベンして、ほんとうに世界につながるところの協同社会政策を打立てて行かなければならない。FAOの精神はここにあると考えるのでございます。こういう意味において、日本民族が平和的に海外に移住をいたしまして、そうして未開発地域開発のために貢献するところの分野は、大きなものがあると思うのでございます。外務省の諸君は特にこういう面に思いをいたされて、今後の国際的ないろいろの交渉過程においても、このことを頭に置いてひとつ交渉されることを私は希望をするのでございます。FAOの問題は、かような方向にまで進展されることを切望して、私の質問を終りたいと思います。
  83. 守島伍郎

    ○守島委員長 次は横田君。
  84. 横田甚太郎

    ○横田委員 政府からどのような人が来ておられるのか知りませんが、とにかく日本の米と金をまいておられる自由党の大臣、それに利をつけるところの役人、あるいはこれに命令をされておるところの役人が、やがてお困りになるだろうと心配して聞くのですが、国連食糧農業機関憲章を見ますと、基本食糧の国際割当の項目があります。これによりますと、大体食糧が足りないときには国際割当をやるというようなことが書いてありますね。それで聞きたいのです。もしこの機関に入つておりますと、日本食糧が足りない場合でも、日本の肥料を出せというようなことが言われるのじやなかろうかということが、大体吉川委員とか石井委員から尋ねられました。それに対してあなたたちの答弁は、大体道義的な勧告程度であろう、あるいは援助を要請される程度であろう、こういうようなことを言つておられる。ここに一つの疑問がある。現在は何も明文はないのです。日本が外国に肥料を出さねければならない明文はないのです。ないにもかかわらずアメリカは日本から肥料をとつて行くのです。そうして自分のところの固まりの惡い肥料を日本に押しつけるのです。今度こういう国際割当という文句が入つてつたならば、日本の肥料を外国に出せというようなことを言いはしないか、これを言わないと言われるが、言わないような根拠があるのだつたら、一体何を基礎にしてこんなことを言われたのかというのが一点です。  それから食糧の問題なのですが、自由党の食糧をあずかつておられる大臣諸君は、まだ懲りずに二十七年になると米の統制撤廃をやる、こう言つておられる。ここに書いてあるように国際割当をすることの必要は、国際的に見ぼしてどこかに食糧の過剰生産国があつて、どこかに過小生産国がある。その間のやりくりのために国際割当をするのだ。そうすれば日本の場合どれに当るかといえば、足りない国になるのですかう、足りない国の場合には、日本はやはり今までのような統制と配給を続ける方がいいのじやないか、そうして供出を強要する方がいいのじやないか、こういうことを強要するのじやなかろうかと私は思うのです。これも現在ドツジ氏が何の言う権限もないにもかかわらず言つておる。言つておる根源は経済的な基礎で言つているのであつて日本国内からは大体政府当局におましても、米にいたしまして六千万有余り、麦とか雑穀を合しまして二千二百万石、合せて八千二百万石の米、麦、雑穀がとれている、これが大体日本人を養つているところの食糧であります。ところが外国から来ているのは二百五十万トンから三百万トン、約二千万石足らずの食糧であります。このわずか四分の一の食糧が入つて来るために、日本農民がつくつた米は非常に安く買いたたかれる、そうしてむちやくちやに強奪される、こういう関係にあるのです。というとアメリカの押しつける、自分のところの産物である小麦、あるいはアメリカの世話する小麦の値段を維持するために、これに政治的な意味を加味して、日本を支配するためにやられているというのが、すなわち配給と統制であつて、現在の配給と統制を日本人的な観点からそれを間違つて――頭の狂つた右翼的な考え方であつたのですが、自由党の大臣諸君が統制撤廃と言われたところが許されなかつたというのは、これはアメリカの意図しているところの配給と統制であつて、それが日本を強圧しているところの一番経済的な原因だと思うのです。現在においてすらすでにこういうことをやつている。そしてここには「その結果基本食糧の不足が存続する間、食糧、飼料、種子、農機具及び肥料の国際割当を勧告する臨時機関として国際緊急食糧協議会が設置された。同協議会はFAO総会第三会期において、FAO理事会が設置されるに伴い廃止され、その任務は一九四八年一月一日以降同理事会に引継がれた。」こう書いてあるのです。だからここで一点承つておきたいのは、肥料並びに国内食糧の統制あるいは配給、供出、こういうものが明文にないにもかかわらず、現在外国人によつて指揮され、外国人の利益のために左右されておる。ところがもしこういうところに入つてしまいましたならば、ますますその指揮監督系統は強くなるのではなかろうかというのがわれわれの心配だ。ところがそうではないとさいぜん答えられておるのですから、そうでないという理由を明らかにしていただきたいのです。
  85. 永井三樹三

    ○永井説明員 御質問のありました食糧割当の協議会というものは、今度の戦争の直後の、世界的に非常に食糧が不足したときの緊急施策としてとられたものでありまして、FAOとしてこういうことをやるということが任務ではございません。またFAOが、かりにこういつた緊急の食糧不足があつた場合に、割当の機関をつくる場合におきましては、その割当の機関の中においし日本は十分な発言権を持つのでありますから、今御指摘になつたような心配はない。また国際機関のこのFAOり性格といたしまして、勧告をつくる物合に、日本はその中に入つておることによつて、十分われわれの考えを述べることもできます。反対をするのは品由でございます。その点はこの国際恢関というものは各国の共同の機関でありまして、上から命令する機関でないということが大原則でございますので、そういう御心配はないと思います。
  86. 横田甚太郎

    ○横田委員 十分の発言権を持つておると言われますけれども、現在六十六箇国入つておる、そこにが加わるのでしよう。負けた日本がひよろひよろ入つて行くのでしよう。そこでどうして発言権を持たせるのです。しかも日本で小麦が余つておるから外国へ送つてやろうというのではない、小麦をもつと安く入つてつてくれないかと頼んでおるのです。こういう国柄です。その点は外務省がいばつておられるかもしれませんが、天皇がいばつておる時代の外務省と全然かわりかない。そのような答弁が大体気に入らぬのであります。そこで伺いますが、もしこれに入りますと、現在入つておる価格とどういうような開きが出て来るのですか。現在より高く入つて来るか、安く入つて来るか、その点についてのお見込みをちよつと承りたいのです。
  87. 永井三樹三

    ○永井説明員 そういうことはこの国際農業機関の直接の任務、仕事では、ございませんので、入ることによつて直接には左右されないと御了解を願いたいと思います。
  88. 横田甚太郎

    ○横田委員 これの仕事じやないと言われます、けれども、これの審議をしておるのです。入つた後はここに食糧を依存しなければならないのですから、ての場合に金を払うのはわれわれでおりまして、われわれが金を払うのですから、高く入るか安く入るかというここは大問題になつて来る。だから見込みを聞いておるのであつて、見込みがわからないのだつたら、わからないということをはつきり言うべきです。大体日本の外務省は……。
  89. 守島伍郎

    ○守島委員長 横田君、あなたの時間はほんとうに少いのですから、要領だけを御質問願います。公平にやりますからどうぞ……。あと四分くらいです。
  90. 横田甚太郎

    ○横田委員 そうしますと、総括的に聞きますと、こういう点が聞きたいのです。一ページを見ますとこういうことが疑問になつて来るのです。簡單にいえば、現在日本国民栄養並びに生活程度は国際的に見てどのくらいだと思つているかということが一つ。それから日本農業能率の改善には、どのような点が当然問題になつて来るだろうかということを、これは農政局長に聞きたいのです。それから国連食糧農業機関加盟いたしますと、加盟しているところの国で農業技術の向上しているのは小麦の生産国がおもであります。米産国はみな日本より劣つたところの米産技術の中にまだ眠つているのであります。日本農業の中心は米麦だ、しかも麦のつくり方は違う、こういうように言われておるような條件もとにおいて、日本がこれに入りましてどういうふうな国際的な援助を受けられるだろうかというのが一つ。それからもう一つは大体国連食糧農業機関に入つておる国々では搾取が中心になつておるのですから、農業の編成ということが中心になつておるのです。これに対してとにかくどういうふうな形において米をつくる、小麦をつくる、それに労力を少くすることにおいて米をよけいにとろうか、こういうふうな技術のやりくりが中心になつておるのです。ところが社会主義的な農業の行き方はそれとは逆でありまして、米なら米、麦なら麦の習性を中心にいたしまして、農業の大発展を計画しております。一例をあげますと、米の場合には熱帶植物であるがために、これを種子の間に熱で加工する、あるいは麦の場合には冷たいものによつてこれを作用さす、そのような点が考えられておるのです。そういうような技術的な援助をわれわれは望む場合に、世界に二つの対立があつて、それぞれ朝鮮においては飛行機まで飛ばして互角な勝負をしておるのですから、両方から援助を求めたいにもかかわらず、その一方に入つた場合には、さきに申しましたような、欠陷があり、その欠陷というのはわれわれが小麦国であるならば、やや満足することができるのですが、米作国であるがゆえにわれわれのたよりになるものはあり得ない。だから技術の向上を得られるように思つているというこの文句は一体どういうふうに解釈したらいいか、この点を承つておきたい。特に日本農業におきましては、東畑さんよく御存じのように、動力脱穀機ができたがために飛躍的発展があつたのであります。こういうような飛躍的発展を意図されているかどうか。この機関技術援助によつてどういうような見通しになるかということも承つておきたい。
  91. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 私以外にも御質問があつたようですが、農業能率の増進をはかるということは世界各国とも必要なことでありまして、日本農業といえども農業の能率を増進するということが基本だと考えます。その間におきまして、日本日本としての特殊な條件がありますので、各国そのままの條件を持つて来ましても、それはもちろん役に立たないし、また日本のいろいろな技術を向うにそのまま普及しま旧しても、もちろん生産性は上らないと思います。米の問題等につきましても、日本の米は生産性の高いことは世界に有名でありますけれども、なお日本の米の品種そのものにつきまして、ます改良して行かなければならない。その場合に、アジア等のいろいろな米の品種等も取入れまして改良すること自体も不可能ではない。そういう方面で、米自体につきましても、国際的な協力することによつて日本技術そのものも伸びて参るというように考えております。これに加入しました上で、日本自体の農業問題もよく発言する機会を得られますし、また世界のいろいろな最新の技術も取入れることができる。このこと自体日本農業技術そのものの改善にも非常に寄與するのではないか、こういうふうに考えております。
  92. 守島伍郎

    ○守島委員長 横田君もう時間がありませんから……。黒田君、時間がありませんから簡單に。
  93. 黒田寿男

    ○黒田委員 私は、主として農林委員会の委員の方に今日は質問していただくことにしまして、ただこの際、資料の御提出を願いたいと思い、そのことだけお願いしておきます。その前にちよつとお聞きしますが、今まで国連農業機関統計その他の文献は総司令部を通じ送付されて来たが、最近はわが国関係当局に直接に送付されるものが多くなつたというように御説明になつておりますが、これは農林省に来るのですか。外務省の来宅のですか。あるいは両方に来ておるのでありますか。
  94. 齋藤誠

    齋藤説明員 従来は司令部から参つておりましたが、最近では、定期的ではありませんが、随時農林省に参つております。また一部外務省にも参つております。
  95. 黒田寿男

    ○黒田委員 私どもは、農林省でも外務省でもどちらでもよろしいのですが、この国際連合食糧農業機関の活動を、今政府で御説明になつたよりももう少し詳しく知りたいと思いますので、資料の提出をお願いいたしたいと思います活動の内容は、抽象的にはこの憲章にも書いてありますけれども、具体的に知りたいと思いますので、第一は総会において決定せられた政策、それから第二は加盟国に対する勧告、いかなる国に対しいかなる勧告が過去においてなされたか。第三は、加盟国に提出せられた條約、第四は公的国際機関に対してなされた勧告、このようなものについて、これはすでに昨年までの総会において取扱われた問題について申し上げたのでありますから、私が今申しましたよう次各問題についてそれぞれ該当したものがあるかどうか、これも私どもにはよくわかりませんが、あればその範囲において資料を御提出願いたいと思います。私ども国際連合食糧農業機関一九四八年九月付の農林省の出しておられる「世界食糧農業事情の現状と見透しに関する調査」、このくらいのものしか持つていないので、もつとこの機関の活動について具体的に知りたいと思いますから、ただいま申しました四つの問題に関する資料を、これは農林省の方にも来ておるものまた外務省に来ているものを総合しまして至急お示し願いたいと思います。
  96. 齋藤誠

    齋藤説明員 今まで来ておりますものは主として統計関係を中心としておりますが、これまでの全決議あるいは勧告すべての資料をそろえる段階にまだ至つておりません。今回ローマに行きました人にも、それらの資料をできるだけ集めて帰るようにお願いしております。従つて、今までの会議にオブザーヴアーとして出席して持つてつたような資料が二、三ある程度でございますが、その程度でよろしゆうございますか。
  97. 黒田寿男

    ○黒田委員 むろんわが国は正式に加盟しておりませんので、過去においては司令部ないし司令部に随伴して政府関係官が御出席になつただけのことでありますから、完全にそろつているとは思いません。なければよろしいのですが、あればある範囲内においてこの説明書に書いてある以上の活動の状況を知りたいと思いますので、お願いいたします。
  98. 守島伍郎

    ○守島委員長 連合審査会はこの辺で散会いたします。     午後零時四十八分散会