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1951-11-13 第12回国会 衆議院 外務委員会 第7号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十六年十一月十三日(火曜日) 午前十時三十四分
開議
出席委員
委員長
守島
伍郎
君
理事
北澤 直吉君
理事
竹尾 弌君
理事
山本
利壽
君
小川原政信
君 菊池 義郎君
栗山長次郎
君 仲内 憲治君 中山 マサ君 並木 芳雄君
松本
瀧藏
君 林 百郎君 黒田 寿男君
出席政府委員
外務事務官
(
政務局長
)
島津
久大君
委員外
の
出席者
検 事 (
特別審査局監
査第二課長
) 西本
定義
君
外務事務官
(
管理局渡航課
長) 星 文七君
経済調査官
(
査察部
第三課 長) 山口 一夫君 専 門 員 村瀬 忠夫君 ――
―――――――――――
十一月十二日
委員青木孝義
君及び
尾関義一
君辞任につき、そ の補欠として
橋本龍伍
君及び
池田勇人
君が議長 の指名で
委員
に選任された。 ――
―――――――――――
十一月十日
国際連合食糧農業機関憲章
を受諾することにつ いて
承認
を求めるの件(
条約
第七号)
旅券法案
(
内閣提出
第二八号) 同月十二日
平和條
約
締結国代表
を貴賓として歓迎に関する 請願(
花村四郎
君紹介)(第一一〇八号) の
審査
を本
委員会
に付託された。 同日
海外
同
胞引揚促進
に関する
陳情書
(第六三四号) 同(第 六三五号) を本
委員会
に送付された。 ――
―――――――――――
本日の
会議
に付した事件
連合審査会開会
に関する件
旅券法案
(
内閣提出
第二八号)
国際連合食糧農業機関憲章
を受諾することにつ いて
承認
を求めるの件(
条約
第七号) ――
―――――――――――
守島伍郎
1
○守島
委員長
ただいまより
外務委員会
を
開会
いたします。
旅券法案
、
国際連合食糧農業機関憲章
を受諾することについて
承認
を求めるの件を
一括議題
といたします。 まず
政府側
より逐次
提案理由
の
説明
を求めます。
島津外務省政務局長
。 —————————————
島津久大
2
○
島津政府委員
旅券法案
の
提案理由
を御
説明
いたします。 すでに御承知の
通り
、本年九月八日にサンフランシスコにおいて、大多数の
連合国
と
わが国
との間に
平和條
約が調印されましたが、この
平和條
約の発効に先だち、最近
連合国最高司令部
は、従来
最高司令部
が保持していた
日本人
の
国外渡航
に関する
許可権
を、
日本側
に返還する
意向
のあることが明らかとなりました。 このことは、わが方といたしましては非常な朗報でありますので、
占領下
に適合するよう制定されました
旅券
に関する現行二
政令
を廃し、至急
日本政府
が自主的に
渡航行政
を行い得る新
旅券法
を制定する必要が生じた次第であります。 次に
旅券法案
の
内容
について御
説明
申し上げます。本
法案
は現在施行されております
二つ
の
ポツダム政令
、すなわち
連合国最高司令官
の
許可
を得て
海外
に
渡航
する者に対して
発給
する
旅券
に関する
政令
、
昭和
二十五年
政令
第十一号、並びに
日本政府在外事務所
の
発給
する
旅券
及びその取り扱う
旅券事務
に関する
政令
、
昭和
二十六年
政令
第二百八十五号を廃止しまして、
日本政府
が、
日本国
の主権に基いて
旅券
を
発給
すること、及び国際的に認められた
旅券制度
を基調としまして、これに
日本固有
の
特殊性
を適度に加味して、
旅券
の
種類
、
効力
、
発給方式等
を新たに制定しようとするものであります。 この
法案
の主たる点をあげますと、第一に
旅券
の
自主的発給
、第二に
旅券
の
種類
、第三に
旅券
の
発給
その他の
手続
、第四に
旅券発給
の制限、第五に
旅券
の
効力
、第六に
手数料
、第七としまして
旅券
にかわる
身分証明書等
に帰するのでありますが、以下この
法案
を逐條的に御
説明
をいたします。 第
一條
におきましては、
旅券法
を制定する
目的
を
規定
し、第二條におきましては、この法律に用いられる
用語
の
定義
を
規定
しております。この
定義
によりまして、
日本政府
が
発給
する
旅券
を、
公用旅券
と
一般旅券
に分類することを明らかにいたしております。 第三條におきましては、
一般旅券
の
発給申請
の
手続方法
と、これを受ける
官庁
と、
申請
に必要な
書類
を明示いたしております。またこの
発給申請
を受ける
官庁
が、
国内
と
国外
とで異な
つて
いることをも明らかにいたしております。また
申請
を受ける
官庁
につきましては、
国内
においては
原則
として
都道府県知事
でありますが、急を要する場合は
外務大臣
が受理できることにな
つて
おります。 第二項におきましては、これら必要な
書類
も、その
申請人
の
身元いかん
によりまして、ある程度省略してさしつかえありませんので、これを省略し得ること、並びに省略してさしつかえない場合を
規定
いたしております。また省略し得る場合は、
国内事情
や
国際情勢
の変化により異な
つて
行く
性質
のものでありますので、具体的な場合を特に
外務大臣
が指定することといたしております。 第四條におきましては、
公用旅券
の
発給請求
を行うものと、その
方法
と、これを受ける
官庁
と、
申請
に必要な
書類
を明示いたしております。
発給請求
をするものと、これを受ける
官庁
とが、
国内
と
国外
で異な
つて
いることも明示いたしております。以下これを受ける
官庁
が
国内
と
国外
で異な
つて
おりますが、これを一々反復することを省略させていただきます。第
五條
につきましては、
旅券
の
発行権
の所在を明らかにいたしております。
旅券
は
国外
に通用することを主要な
目的
とする公文書でありますから、
外務大臣
が
発行
いたすことにな
つて
おります。言いかえますと、この
発行権
は
外務大臣固有
の
権限
でありまして、どこの国でも
外務大臣
が
発行
いたすことにな
つて
おります。また
国外
においては
領事官
が
発行
することとな
つて
おりますが、これは
外務大臣
の委任によるものであります。
旅券
の
発行
には事前にまず
申請書
を
審査
の上、その
申請
が妥当と認められる場合に、備えつけの
旅券冊子
に
必要事項
を記載し、または具備せしめて、
旅券
を作成することを必要といたします。その
あと
で
発行原簿
に登録して、その
当該旅券
に
日付
と
番号
を与えます。この
発行原簿
に登録して
当該旅券
に
日付
と
番号
を与える
行為
を
発行
と申すのであります。
旅券
の
日付
と
番号
は
旅券
の基本となるので、人間にたとえますと、
出生年月日
と
氏名
に当り、
査証
、出国、通過、
入国
、滞在及び旅行に、常にその
当該官憲
によ
つて
記録され、検察される記標となります。
従つて発行原簿
は
戸籍簿
に該当することとなり、一旦登録を行えば、みだりにこれを抹消、修正することのできない
性質
を持つものであります。 第六條におきましては、
申請
に基いて
発行
されました
旅券
は、いかなる
官庁
がこれを
申請人
に
交付
するものであるかを明らかにいたしております。すなわち
一般旅券
については第一項で、
公用旅券
については第二項で、
国内
の場合と
国外
の場合にわけて明示いたしております。また
一般旅券
の
交付
につきまして、
国内
においては
都道府県知事
が
交付官庁
でありますが、急を要する場合は
外務大臣
が
都道府県知事
の名義で
申請人
に直接
交付
できることにな
つて
おります。 以下
一般旅券
と
公用旅券
ではその都度項をわけて明示いたす建前をと
つて
おりますので、特に区別して
説明
申し上げることを省略いたしたいと存じます。 ここで
ちよ
つとお断りいたしておきたいことは、
発給
と
発行
と
交付
の
用語
であります。
発行
とは先ほども申し上げます
通り
、
外務大臣
または
領事官
が
発行原簿
に登録して
当該旅券
の
日付
と
番号
を決定付与する
行為
であり、
交付
とは
申請人
にこの
旅券
を引渡す
行為
であります。この
発行
と
交付
を含めたものが
発給
ということにな
つて
おります。 第
七條
におきましては、
発給申請
をいたしました
あと
で、
申請人
が先に
申請
いたしました
渡航目的
または
渡航先
の
変更
を受けようとする場合の
手続
を定めるためのものであります。
渡航目的
や、
渡航先
の
変更
は、
発給申請
の
審査目標
を全的に
変更
させるものであります。すなわち甲の
渡航目的
または
渡航先
においては
旅券
の
発給
がさしつかえなくても、乙の
渡航目的
または
渡航先
においてはその
渡航先国
の
国内法
がその
入国
を認めないことがあります。ここにおきまして、
渡航目的
または
渡航先
の
変更
を受けようとする者は、新たに
旅券発給申請
をしなければならないことを明示するものであります。
書き
かえ
発行
及び再
発行
の場合も含まれることはもちろんであります。またこの問題は
日本出国
前にのみ起きる問題でありますので、
国外
の場合を包含いたしておりません。 第
八條
におきましては、
渡航先
の
追加
を受ける場合の
申請
の
方法
、
出願先並び
に
申請
に必要な
書類
を明示いたしますとともに、第三條の場合と
同様申請
に必要な
書類
で省略し得るもの及びその場合を
規定
いたしております。
渡航先
の
追加
は
渡航先
の
変更
とは
性質
が異な
つて
おりますので、第
七條
とは区別いたしましてその
手続
を明示いたした次第でございます。 第九條におきましては、
旅券
の
発行
後第
七條
または第
八條
に
規定
いたします
渡航目的
及び
渡航先
のことを除きましたその他の
事項
で、しかも
旅券
に記載してある
事項
に
変更
を生じた場合、すなわち
氏名
または
本籍地等
が
変更
となりましたとき、その
旅券
の
書き
かえ
発給
を受けようとする場合の
手続方法
、
出願先並び
に
申請
に必要な
書類
を明示いたすものでございます。また旧
旅券
の
返納
を必要とする
理由
につきましては、同一人が
二つ
以上の
有効旅券
を所持することにより生ずる弊害を防止するがためのものであります。 第十條におきましては、
旅券
の
交付
を受けました者が、
旅券
を紛失し、焼失し、もしくは著しく毀損したこと等によりまして、
旅券
の再
発給
を受けようとする場合の
手続方法
、
出願先並び
に
申請
に必要な
書類
を明示いたすものでございます。旧
旅券
の
返納
につきましては、第九條で
説明
いたしましたと同様の
理由
に基くものでございます。 第十
一條
におきましては、
旅券
の
発給
を受けようとする者が、十五才未満の子を同伴いたす場合、
申請人
がその子を自分の
旅券
に併記を希望するときの
手続方法
を明示いたしたものでございます。併記される子の限度を三人といたしました
理由
は、
旅券面
に併記し得る箇所が三人分しか余白を持たないがためであります。
年齢
を十五才に限定いたしましたのは、併記される子の
年齢
を
規定
した各国の
移民法
に抵触することを避けることもに、実際
上併記
を必要とする
年齢
として、妥当と考えられる
年齢
を選んだがためであります。 第十二條におきましては、
数次往復用
の
旅券
につきまして
規定
いたしております。
日本
の
旅券
は第十
八條
の
効力
のところで
規定
しておりますように、
原則
として、
帰国
とともに無効となることとな
つて
おります。しかし
申請人
によりましてはたびたび
国外
に
渡航
を必要とする場合があり、
帰国
の都度
旅券
の
申請
をすることがきわめて不便に感じられる場合があります。こうした
申請人
のために二年間は何回でも
国外
に
渡航
のできる
旅券
を
発給
できる
例外的措置
を講じたものであります。しかしその
性質
からいたしまして、この
旅券
は、でき得る限り確実な身元の者に対して
発給
を必要とするばかりでなく、その
用務
が
数次往復用
の
旅券
を必要とするものであることを前提といたします。この
数次往復
を必要とする
用務
であるかいなかは、将来いろいろ変動を見るここと考えられますので、
外務大臣
におきまして、その都度その
用務
の
種類
を指定いたすことが最も適正を期することができるからでございます。 第十三條におきましては、
一般旅券
の
発給
または
渡航先
の
追加
を制限する場合を、第十四條におきましては、第十三條によりまして
発給
または
追加
をしない場合の
申請人
に対する通知につきまして、また第十
五條
におきましては、第十三條及び第十四條に基く
決定通知
に対し、
異議
のある場合の
異議
の
申立て方法
並びに
異議申立て
に対する
裁決
及びその
裁決
の結果、
外務大臣
または
領事官
のとるべき
措置等
を
規定
しでおります。 第十六條におきましては、
旅券
の
所持人
が
旅券面
に行う
署名
のことを
規定
いたしております。
旅券
は本人の
署名
を記入いたすことにより、
不正旅券
の行使を防止するごとに役立てております。 第十
七條
におきましては、
旅券
の
不正使用
を防止するため、
旅券
を紛失または焼失いたしましたときの
名義人
の
届出義務等
を
規定
いたしております。 第十
八條
におきましては、
旅券
の
効力
につきまして
規定
いたしております。 第十九條におきましては、
旅券
を
返納
する場合を
規定
いたしております。 第一項におきましては、現に有効な
旅券
の
返納
を命ずる場合でございます。現に有効な
旅券
といえども、
制限規定
の第一項に掲げてある
事項
に該当することが
あと
で判明し、またはそういう
事態
に
あと
で立ち入つたとき、これを回収する必要があります。また錯誤、
過失
による
発給等
の場合を救済するとともに、
本人保護
の見地からもこれが
発給
を取消すことを必要とする場合もございます。 第四項及び第五項におきましては、失効または無効と
なつ
た
旅券
の
返納
並びにその
返納先
を
規定
いたしたものでございます。 第六項におきましては
返納
した
旅券
のうち、その保存を希望する
名義人
に対し、これを還付し得る
旅券
の範囲と、
還付手続
を
規定
いたしております。 第二十條におきましては、
旅券
の
手数料
につきまして
規定
いたしております。 第一項及び第二項は
国内
において徴収する場合を、第三項は
国外
において徴収する場合を
規定
いたしております。
国外
における場合は外貨で徴収いたしますが、
国別
によ
つて
ことごとく異な
つて
おりますので、他の
法令
に譲ることといたしております。 第四項は
関係官庁
の
過失
により
書き
かえ
発給
を
行つた
場合の
手数料免除
を明示しております。 第五項におきましては、現段階では明示困難でありますが、将来
渡航
を想定されます
移民等
に備えたものでありまして、終戦前
移民一般旅券手数料
が、非
移民一般旅券手数料
に比し三分の一だりた事実をも勘考、これが
減額
をはかりたい
意向
のもとに、
政令
によ
つて
その
減額
のでき得ることを
規定
いたしたものでございます。 第二十
一條
におきましては、
査証
の
必要性
を明示いたしております。
旅券
は
発行
によ
つて旅券そのもの
の
効力
は発生しますが、
渡航先国
に通用するためには、
渡航先国出先官憲発給
の
査証
を必要といたします。往々
旅券
さえあれば
国外渡航
が可能であるとする
一般
の誤解を防止するに必要な
規定
でございます。第二十二條におきましては、
申請者等
の様式を
規定
いたしております。、 第二項におきましては、
支払い能力
を立証する
書類
や
渡航先
及び
渡航目的
によ
つて
特に必要とされる
書類
について
規定
いたしております。これを
外務大臣
の告示に譲りました
理由
は、この
種書類
は
国内
においては
為替管理
の
方式
により、
国外
においては
外国
の
国内法
によりときどき
変更
がありますので、本
法案
のような
恒久法
に織り込むことができないがためであります。 第二十三條におきましては、
旅券そのもの
に関する
違反行為
を処罰することを
目的
といたす罰則を
規定
いたしたのであります。 第二十四條におきましては、第二十三條の
違反行為
は
国外
でも行われる次第でありますから、これに備えて
国外犯罪
の処罰を
規定
いたすものでございます。 第二十
五條
におきましては、第二十三條の各号に定められた
違反行為
を
行つた者
の
国外逃亡
を防止するため、
行政処分
により
外務大臣
が
当該旅券
を没取できることを
規定
いたしたものでございます。
附則
の第一項におきましては、
連合国最高司令官
から
自主的旅券発給権
の委譲される目が確定いたしておりませんので、別に
政令
をも
つて
施行期日
を定めることの必要があるからでございます。
附則
の第二項におきましては、本
法案
の
実施
により廃止されるべき
政令
をあげております。
附則
第三項から第六項までは、本
法案
の
実施
に伴い、従前の
法令
との間に生ずる
過渡的ギャップ
に対処する方針を明らかにいたしたものであります。
附則
第七項及び第八項におきましては、ある特定の
地域
への
渡航
に対しては、
旅券
にかわる
身分証明書
を
発給
し得ること、並びにその
手数料
を徴収し得ることを
規定
いたしております。 これを
政令
に譲りました
理由
は、
自主権委譲
の際までその
地域
その他を明確にすることができないからでございます。 以上がこの
法律案
を提案いたします
理由
及びその
内容
の
説明
であります。何とぞ慎重御
審議
の上、御可決あらんことをお願いいたします。 次に議題となりました
国際連合食糧農業機関
への
加盟
の件につきまして、
提案理由
の
説明
をいたします。
国際連合食糧農業機関
(
略称FAO
)は、今次大戦後の
世界
の
食糧
問題の
重要性
にかんがみ設立されたものであり、その後
国際連合
と協定しで、その
専門機関
とな
つて
いるものであります。
国際連合食糧農業機関
には現在六十六箇国が参加しております。
食糧
及び
農業
の問題は、
世界
の平和及び繁栄に関係するところが大であるという立場から、各国民の
栄養
及び
生活水準
を向上し、
食糧
及び農産物の生産及び分配の能率を改善し、並びに
農村住民
の状態を改善することを
目的
としております。そのために、同
機関
は第一に
栄養
、
食糧
及び
農業
に関する情報を収集、分析、頒布し、第二に
栄養
、
食糧
及び
農業
に関する各種の研究及び知識の普及、並びに
天然資源
の保全、
食糧
及び
農業生産物
の加工、販売、
分配等
の改善について
加盟国
の行動を促進し及び勧告し、第三に、
加盟国
に
技術的援助
を与えることをおもな任務としております。
わが国
のこの
機関
への
加盟
が実現しますれば、これによ
つて
、
わが国
は、
栄養
、
食糧
及び
農業
に関する各種の
資料
、
報告等
を受けること並びに
世界
の
栄養
、
食糧
及び
農業
の現状を把握することができ、
わが国
の
食糧
及び
農業政策
の立案に資すること多大なるものありと存じます。また、
FAO
が主催する諸
会議
に参加し、わが方の希望ないし意見を述べる機会を得、さらに、
わが国
と
加盟国
間、特に
アジア地域
の
諸国
との間で
食糧
及び
農業
の技術の
相互交換
を行う上に資する次第であります。
わが国
の
加盟
に伴う負担としましては、
FAO
べの報告の
義務
、
分担金
の
支払い
及び
FAO
の提案した條約を受諾した場合の当該條約の
規定
を履行する
義務等
であります。
分担金
は、
FAO
の
分担金比率等
を参考にしますと、
日本
の場合は、二%程度で、来年度は十一万ドル、今年度は十一月から
加盟
するとしまして第四・
四半期分
二万五千ドルと推定されます。
政府
は、この
機関
に
加盟
することの利益にかんがみまして、十月二日
FAO
の
事務局長
に
わが国
の
加盟
を
申請
しましたところ、
事務局長
から、
わが国
の
加盟申請
は、来る十一月十九日からローマで開かれる総会の
審議
にかけられること、及び
わが国
による
FAO憲章
の
受諾書
は、総会の開会前に
事務局長
に寄託するよう要望される旨の通報がありました。 以上の次第でありますから、何とぞ慎重御
審議
の上、すみやかに御
承認
あらんことをお願いいたします。
守島伍郎
3
○守島
委員長
それではまず
旅券法案
について質疑を許します。
松本
君。
松本瀧藏
4
○
松本
(瀧)
委員
関連質問
を簡単にしてみたいと思うのであります。まず最初に
政府
にお聞きしたいことは、
司令
一部の
入国手続
が大幅に
日本政府
に移されるようにな
つて
から、
在外事務所
における取扱いが、以前よりも煩雑に
なつ
たということを私各地で聞いて参つたのでありますが、そういう事実はありましようか。もしあつたとしたならば、その
理由
は一時的の
現象
であるかどうかということを、
ちよ
つとお尋ねしたいと思います。
島津久大
5
○
島津政府委員
ただいまお話がございましたように、
旅券
を
日本
の
在外事務所
が取扱うようになりまして以来、
手続
的なことで多少やはり煩瑣に
なつ
たということはあります。
松本瀧藏
6
○
松本
(瀧)
委員
私もGHQに
申請
した当時の方がもつと簡単に
行つた
、
在外事務所
に依頼するようにな
つて
から、非常にめんどうにな
つて
来たということを聞いているのでありますが、それは切りかえどきの一時的の
現象
であるか、あるいはもし簡単にできるものであるならば、将来どういうぐあいになるのか、あるいは今の煩雑な
事務
は、切りかえの
手続
上によ
つて
そういうことにな
つて
おるのか、それを承りたい。
星文七
7
○
星説明員
今の御
質問
は、主として
アメリカ
に住んでおる
日本人
のことであろうと思うのですが、
司令部
が
日本人
の
入国
について、十一月一日から
日本政府
に完全に
権限
を委譲したという
事態
が起りまして、それ以後
アメリカ
に住んでおります
日本人
が一時的にも、あるいはまた永久的にも
日本
に帰
つて
来る場合には、
在外事務所
の
旅券
の
発給
を受けないで、
国籍証明書
、あるいは
アメリカ
ヘの再
入国許可証
というものを持
つて
来れば、
日本
に入れるということになりまして、その点は十一月初めに
在外事務所
の方に訓令を出しまして、
アメリカ
に関する限り非常に簡単に
なつ
たと思います。ただこれは
アメリカ
と
日本
との間の特別な
除外例
でありまして、たとえばブラジルに住んでいる
日本人
なんかが
日本
に帰
つて
参ります場合には、やはりほかの
外国
をたくさん経由して来なければなりませんので、その場合には
旅券
の
発給
を必要とするわけでありますが、
アメリカ
に関する限り、
アメリカ
に住んでいる
日本人
が
日本
に帰
つて
来る場合においては、
旅券
の
発給
を必ずしも必要としないということでありまして、非常に簡単にな
つて
おります。それが
現状
であります。
松本瀧藏
8
○
松本
(瀧)
委員
その
説明
を聞きまして非常に安心したのでありますが、最近ハワイその他の土地をまわりましたときに、
国籍証明等
の要求がありまして、非常に煩雑で、急に国に帰りたいとい
つて
も帰れなかつたという
事態
がありましたので、新たにそういうように簡素化されたことは非常に喜ぶものであります。 次にやはりこれに関連してお聞きしたいことは、
わが国
におきまして、
輸出貿易
が
国家経済
の復興に重要な地位を占めておることは言うまでもないことであります。ことに
インヴイジブルトレード
、目に見えざる
貿易
の収入というものが、今後
わが国
にと
つて
大きな財源にならなければならぬと思うのでありますが、これにつきまして、
外務省
といたしまして、この
インヴイジブルトレード
、ことに
ツーリスト
・
インダストリー
を促進するために何か努力しておられるか。もししておるならば、どういう状況にあるかということを、
ちよ
つとお聞きしたいと思います。
島津久大
9
○
島津政府委員
ただいまの御
趣旨
は、
観光事業等
によりまして、
外国人
をなるたけたくさん
日本
に来てもらうという
趣旨
だと思いますが、もちろんそういうような方向で努力はいたしておるわけであります。特別に
外務省
としまして、その点何か
措置
をとるというようなことは別にしてないと思いますが、なるたけそういうような
事業
は促進したいと思います。
松本瀧藏
10
○
松本
(瀧)
委員
最近この問題が非常に
一般
の関心を集めるようにな
つて
来たのでありますが、特に
西欧諸国
の
ツーリスト事業
を調べてみますと、もつとも
資料
は非常に
制限
されておりますので、断片的であるかも、しれませんが、これらの
諸国
におきまして
政府
が非常に力を入れておることを知るのであります。ことに
統計
を見ますと、一九四九年の
ツーリスト
が、
西欧諸国
に
アメリカ人
だけで二十五万一千人入つおります。これは単なる
民間ツーリズムスト
であ
つて
、その落した金が二億七千万ドル以上にな
つて
おるのでありますが、それがさらに昨年はもつと大きな数字になり、今年ではこれが三億四十二万ドル、しかも
ツーリスト
の数が三十五万人という数にな
つて
おるのでございます。戦前におきましても、非常にインヴイジブル・トレードに力を注ぎましたこれらの
諸国
は、一九二七年から三七年の十年間の
統計
を見ましても、毎年その平均が二億ドルであり、これが
輸入超過
を補うために三〇%にも役だ
つて
おるという事実を知るのであります。また戦後におきましては、特にこれらの
諸国
は
ツーリスト
・
インダストリー
に非常な力を注いでおりますが、ことにフランス、イタリア、
ドイツあたり
の例を見ますと、七三%から八〇%増を一年間に見ておるのであります。ここに
ECA
の少し古い
資料
ですが、これを見ますと、普通の
一般貿易
を一〇〇といたしますと、それに対して
ツーリスト
・
インダストリー
がフランスでは八一・七%に上
つて
おります。イタリアにおいては四二・一%、アイルランドにおいては二九四・一%、デンマークにおきましては五三・八%、これは全部ではありませんが、ただ漫然と拾
つて
みましてもこういう数字が出るのでありますが、要するにこれらの
政府
は非常に
ツーリスト
インダストリー
に力を入れております。特にホテルの設備、交通の便、なかんずく
入国
の便というものに非常に力を入れておるのでありますが、こちらに、これも
ちよ
つと一夜づかみで調べた
資料
ですが、
アメリカ
合衆国との双務協定あたりにおきましても、これだけの国がヴィザなしに短期滞在を許すというような、いろいろな便宜をはか
つて
おるのであります。こういつた意味からいたしまして、やはり
査証
とか、移民官の取調べの問題であるとか、あるいは税関の問題、ことにみやげ品に対するところの無税制度であるとかいうような、いろいろな
入国手続
きの便宜ということが、今後非常に大きな問題になるのではないかと思うのであります。これは最近の
アメリカ
滞在中、各地のいろいろな人に会いましたときに、
日本
に行きたいのだが非常に
手続
がめんどうだ、もう少し簡単になれば手軽に行けるのだということを聞いて参つたのであります。従
つて
今後特に
アメリカ人
に対しての
入国手続
を、両国間の協定等あたりにおきまして、もつと簡素化する方針ありやいなや、これを最後にひ
とつ
お聞きいたしまして、私の
質問
を打切りたいと思います。
島津久大
11
○
島津政府委員
ただいま詳細
資料
をお示しいただきまして、
ツーリスト
・
インダストリー
がいかに重要であるかということの御意見を伺いましたが、まことにごもつともでございます。
日本
に関しましても、私どもも外人の筋から、
日本
は非常にその点恵まれておるので、ひ
とつ
大いに力を入れてやるべきだというようなアドヴアイスを受けておるわけです。所管
官庁
の方でもその点は十分研究もしておりますし、した
入国
を簡単にするというような点は、これまた当然考えなければならないことでございます。ところが現在のところでは、
外国人
の
入国
の
許可
につきましては、なお
司令部
の
権限
に属しておりまして、
外国人
の
査証
も
日本政府
の
権限
にはまだ委譲されておりません。従いまして現在のところは、その点を簡素化するということは実現は困難だと思います。しかし将来の問題といたしまして、ただいま御指摘になりましたように関係の国と話合いをしまして、相互的に何らかとりきめをしまして、
査証
を免除いたしますとか、いろいろな点で往来を簡便にするという
措置
がとらるべきものであると思いますし、また條約の
効力
発生その他の事情にも伴いまして、早晩そういうような
措置
をとりたいと思
つて
おります。なお外客の誘致、その他につきましては、
外務省
といたしましても
在外事務所
におきまして、できるだけ宣伝ないし情報の提供ということには努めて参りたいと思
つて
おります。
守島伍郎
12
○守島
委員長
並木君。
並木芳雄
13
○並木
委員
最近の
海外
渡航
希望の情勢についてお伺いしたいと思います。公用別、
一般
別の
海外
渡航
希望者の分析をしていただきたいと思います。
星文七
14
○
星説明員
御
説明
いたします。
旅券
を
発給
いたしましてから、今年の十月三十一日までの状況ですが、終戦以来この
旅券
の
発給
は全部で一万四百八十九とな
つて
おります。各年度別に申し上げますと、二十一年度が八、二十年度が十二、二十三年度が百六十三、二十四年度が八百五十七、二十五年度が増しておるのでございます。 今御
質問
の公務員でございますが、公務員ということで分類した
資料
を今手元に持
つて
いないわけでございますが、
昭和
二十四年の末までの
資料
がございますので、これを御
説明
申し上げたいと思います。 二十一年、二十二年、二十三年、二十四年と通計いたしまして、留学及び文化関係で、公務員で出ておりますのが全部で五十二とな
つて
おります。それからそのときの
一般
が留学及び文化関係で五百七十四人、公務員はその五百七十四人に対して五十二でございます。 それから商業関係、商用関係、コマースの関係で出ておりますのが、公務員が八十二でございまして、
一般
人が二百八十三、それからその他、これはいろいろな
目的
にな
つて
おりますが、これは公務員はゼロでございます。合計いたしますと、二十一年、二十二年、二十三年、二十四年、この四年間を通じまして公務員が百三十四、
一般
人が九百六という数字にな
つて
おります。その後二十五年度、二十六年度の数はございますが、これは
目的
別にわけた
資料
を持
つて
おりまして、公務員というかつこうで出した
資料
は持
つて
おりません。これは必要ならば
あと
で提出いたします。
並木芳雄
15
○並木
委員
行先別の
統計
はできておりませんか。
星文七
16
○
星説明員
これは持
つて
おりませんですが、一人の旅行者につきましても、
アメリカ
その他たくさんの行先を持
つて
おる者もございますので、これは調べるのに非常に時間がかかりますので、今私の手元には数だけしか持
つて
おりません。しかし大体われわれの観測といたしまして、
アメリカ
が半分以上、六〇%くらいになるのではないかと思
つて
おります。
並木芳雄
17
○並木
委員
アルゼンチンとかブラジルでは最近の情勢はいかがですか。
日本
から希望者があつた場合に、たやすく
渡航
の
許可
がおりるようにな
つて
おりますかどうか。
星文七
18
○
星説明員
ブラジル、アルゼンチン等一時旅行者につきましては、そう困難な
入国
上の問題はないのですが、ただ向うに永住しようとする人、つまり移民として行こうとする者につきましては、アルゼンチン、ブラジルにつきましても、いろいろめんどうな規則ある関係で、なかなかそう容易ではないようでありますがへ最近特にアルゼンチンには永住の
目的
で行かれる方が相当の数に上
つて
おるようであります。
並木芳雄
19
○並木
委員
ソ連とか中共方面への希望者というものは、やはりあるにはあるだろうと思うのですが、私ども全然わか
つて
おりませんが、今までどうだつたのですか、実績などわか
つて
おりましたら……。
星文七
20
○
星説明員
全然ございません。ソ連、中共などは全然わかりません。
並木芳雄
21
○並木
委員
申出者もないということですか。
星文七
22
○
星説明員
そうでございます。
並木芳雄
23
○並木
委員
もし希望者があつた場合には、どういう
手続
がとられますか。
星文七
24
○
星説明員
現在の制度では
申請書
を
外務省
に持
つて
来られる。この
申請書
に行先国その他を書かれて、ソ連に行きたい人はソ連と書いて
申請書
を出される。それを
外務省
が総
司令部
へ取次いで、最終的に総
司令部
で決定して、いけないものはノー、よろしいものは
旅券
を
発給
してもよろしいということで、
外務省
へ返
つて
来て、それに基いてわれわれが
旅券
を出しております。現在のところ、ソ連並びに中共に行こうという希望を持
つて
、われわれのところに願書を出した人はないわけであります。
並木芳雄
25
○並木
委員
その方面は特に禁止をされておるというようなことはありませんか。
星文七
26
○
星説明員
実際そういう
申請
を取次いで
司令部
に出したことがございませんので、
司令部
の
意向
もわからないのであります。
並木芳雄
27
○並木
委員
外電などによりますと、ソ連では外交官などに対しても相当旅行の
制限
をしている、あるいは
旅券
の
発行
を渋る場合があるというようなことですけれども、そういう方面の情報か調査はありますか。ソ連における旅行
制限
、それから外交官に対してすら相当の
制限
を与えているというようなことについての、情報をお知らせ願いたいと思います。
星文七
28
○
星説明員
現在のソ連でどういう旅行
制限
を行
つて
おるかという情報は、われわれは全然入手いたしておりません。
並木芳雄
29
○並木
委員
外交官は治外法権が与えられるのですから、大体
国内
の旅行とかいうようなものに対して、
制限
を与えないのが
原則
であると、私どもは考えておるのですけれども、外交官に対してすら旅行その他の
制限
を与えている国は、ほかにどこかありますか。
星文七
30
○
星説明員
現在までのところ、いわゆる外交官というかつこうで外交
旅券
というものを
日本政府
はまだ
発給
しておりませんので、従
つて
今まではそういう問題は全然起
つて
いないのであります。
並木芳雄
31
○並木
委員
独立したあかつきはこれからだんだん起るのです。今起
つて
いないのはあたりまえだと思うのですけれども、独立した国から外交使臣が行
つて
いる国もあるのですから、その調査ができていますかと聞いているのです。いかがですか。
星文七
32
○
星説明員
特にソ連への
入国
の御
質問
だと思いますが、それにつきましては、現在のところ私どもに全然情報がございません。
並木芳雄
33
○並木
委員
政府
としては今
海外
渡航
を
一般
に奨励しておるかどうか。これは外貨との関係などもあ
つて
むずかしい問題だろうと思います。ある時期においては大いに奨励もするし、外貨が欠乏してくれば一時
制限
しなければならぬというようなことはあるのですけれども、一番の悩みは、今まで私の聞いたところでは、やはり外貨の問題のようでありますが、何か便法は講ぜられないですか。つまり現実に
渡航
した国で外貨が入手できぬ、こういうことが非常に
渡航
の
制限
となりますので、何か
渡航
者の便宜のために、円を外貨にかえる
方法
というようなことも講ぜられないかどうか。もし現在まで講ぜられておらないとすれば、
政府
の方針はどうか。今後は大いに
海外
に
渡航
者を出して行くべき方針であろうと私は思うが、それに対する方策をお聞きしておきたいと思います。
星文七
34
○
星説明員
現在におきましては、
一般
外貨予算に
海外
渡航
費というものが計上されているわけでございます。それからまた輸出業者の輸出によ
つて
かせいだ外貨によ
つて
、市場開発、
貿易
の伸張のために優先外貨制度というものもあるわけでございます。もちろん額は限られたものでございますが、円と外貨を交換し得る道は開かれているわけであります。ただ外貨が非常にきゆうくつなものでありますから、
審議
会を設けまして、
目的
なりいろいろそういつた点の
審議
を加えて、そうして
渡航
者に円と交換に外貨を渡すという制度は持
つて
いるわけであります。今後外貨の方がいくらかでも楽になりますれば、そういつた方面で外貨を与えて
渡航
するという人が多くなるのではないかと考えております。
山本利壽
35
○山本(利)
委員
関連して。最近琉球方面へ行く場合には、向うから滞在資金の保証ということが必要なようでありますが、
アメリカ
なり南方方面の各国の住民から、こういう人間が来た場合には、滞在中の費用はこちらで持
つて
やるといつたふうな、手紙か何か証明的なものが来れば、
渡航
が楽に許されるかどうか、その点
ちよ
つと伺いたい。
星文七
36
○
星説明員
それは今御指摘のように、沖縄方面のみならず、
一般
の諸
外国
への旅行につきまして、向うで滞在費を持ちます、また交通費も持ちますといつたはつきりした保証が与えられれば、
海外
渡航
ができるという制度にな
つて
おります。
山本利壽
37
○山本(利)
委員
先ほどの
松本
委員
の御
質問
に関連してお尋ねしたいが、今回の
旅券
交付
に関する規則というものは、戦前の
旅券
交付
に関する規則と比較して、非常に簡素化されておるか、あるいは何かの事情でさらに複雑にな
つて
おるか、その全般的なことについてお伺いしたい。
星文七
38
○
星説明員
戦前
旅券
規則という省令がございました。本文十
七條
と
附則
から
なつ
た割に簡単なものでございました。大体
内容
は今ここに御
審議
願
つて
いる
旅券法
と大差ないわけであります。しかし憲法の関係なんかからいたしまして、いろいろ不備な点がございましたので、戦前の
旅券
規則と現在の
政令
の
二つ
をいろいろ考えまして、それからまた新しい各国の
旅券制度
なんかを考慮いたしまして、今回の
旅券法
をつくつたものでございまして、
内容
的には戦前とそうかわつたところはないわけであります。
山本利壽
39
○山本(利)
委員
もう一つだけ。先ほどアルゼンチンへ移民として
渡航
する者がある程度あるようなお話でありますが、それは再
渡航
とか、あるいは呼び寄せ移民とかいつた
種類
のものでありますか。全然新たな移民が少数でも許されておるかという点と、もう一つは、先ほど
松本
委員
からのお話では、
外国
から観光客として
日本
に来る者に対して、
手続
きをもつともつと楽にしたらどうかというお話があつたのですが、今度は
日本
から
海外
へ出る場合、文化の農とか、その他いろいろな意味で今後奨励すべきだと思うのですが、そういう場合に、ある一つの観光会社とか団体とかいうものが取扱つた場合に、多数のものをその会員として、連名で一括して
旅券
を
交付
するという便法が、今度の規則で許されておるか、あるいは一人々々の旅行
手続
をして、団体を組んで行くようにな
つて
おるのか、でき得るなれば、この連名式で一括して取扱われるというふうなことを講じておく方が、
入国
の場合でも非常に奨励になるのではないか、私はそういうふうに考えておりますが、そこら辺を……。
星文七
40
○
星説明員
アルゼンチンの御
質問
でございますが、大体大部分呼び寄せ移民でございます。
入国
の方が相当
制限
がございますものですから、大体近親者の呼び寄せということにな
つて
おります。 それから第二の連名式の点ですが、これはこの
旅券法
では、そういうことを予定しておりません。しかし将来移民、あるいはまた大多数の者が観光に出るといつたような場合に、御指摘のような点はやはり考慮しなくてはならぬのじやないかと思いますが、この
旅券法
においてはそういうことは
規定
しておりません。一々一人ずつ
旅券
を持
つて
行くということを前提としております。
並木芳雄
41
○並木
委員
またさつきの続きでありますが、
海外
渡航
の奨励という見地からお尋ねしておきたいのです。それは若い者に
渡航
希望者がずいぶん多うございます。特に留学して勉強しようという人々ですがへ現在までのところでは向うに特別の知人があるとか、特に学校の招聘が歩つたとかいう限定された者に限られております。私はどうしてもこれを
政府
としては、計画的に相当大勢養成して留学さすべきであると考えておるのですけれども、そういう点についての
政府
の所見をお伺いしたいと思います。
星文七
42
○
星説明員
まつたく御
趣旨
の
通り
だと思います。ただ外貨の関係で、今でも留学生の大半は、
アメリカ
ヘ、いわゆるガリオア資金で、
アメリカ
の金で行く人が大部分を占めております。しかもまた留学する学生の資金も、大体
アメリカ人
あるいはまたその他の
外国人
が出すというのが大部分でありまして、自費留学という者は、いろいろな資金の関係、外貨の関係等で、非常に少い。しかしこれまた外貨の関係でそういうことが許されるなれば、もちろん大いに奨励すべき問題であると思います。
並木芳雄
43
○並木
委員
また
海外
から
日本
に留学をしようという人も相当あるのじやないかと思うのです。そういうものに対する
旅券
の
交付
状態は、どういうふうにな
つて
おりますか。
日本
では国際学友会というものがあ
つて
、相当
外国
からの留学生のめんどうも見ておりましたし、これからもまた見てもらわなければならぬと考えますが、そういう点に関連して、
海外
からの
日本
への
渡航
希望者の状況をひ
とつ
。
星文七
44
○
星説明員
外国人
の
日本
入国
につきましては、現在までのところ、
日本政府
は全然関与していないものでございますから、どれほどの
外国人
留学生が
日本
に来ているか、その
外国
の
旅券
の
発行
ということは明らかでないわけであります。最近東南アジアの
諸国
から、学生というわけでもございませんが、
日本
の美術その他を研究するために、
日本
へ来るという者が逐次ふえているようでございます。その数がどれほどに達しておるかということは、
日本政府
は全然関与してない、全部
外国
の
政府
あるいは
司令部
という関係でや
つて
いるものですから、その間のことはよくわかりません。
並木芳雄
45
○並木
委員
しかしこの
旅券法
というものが通過すれば、これに基いて、
日本
の
政府
の意思というものが、ほぼ完全に近いほど働いて来ると思うのです。今後
海外
から
日本
に
渡航
希望の方方に対して、
政府
としてはどういう態度で臨むか、ある特定
地域
の人に対しては
入国
の
制限
をするというような計画はあるのかないのか、そういうことをお伺いしておきたいと思います。
星文七
46
○
星説明員
この
旅券法
は、
日本人
が
海外
に出るときに出す
旅券
のことのみを取扱
つて
おりまして、
外国人
が
日本
に来ることについては、全然この
旅券法
では取扱
つて
いない。全然
旅券法
の範囲外の問題でございます。
栗山長次郎
47
○栗山
委員
先ほどの
政府
委員
の御
説明
で、戦前はこの種のことは省令をも
つて
処理しておつたという御発言があつたのでありまするが、今日特にこれを
法律
でしなければならぬという
理由
を承
つて
おきたいのであります。あるいはまた国会の
審議
権の尊重というようなことでこう
なつ
たのであるか、それとも
海外
渡航
ということが、従前にも増してもつとウエートを増したことであるか、想像はつきますけれども、
政府
委員
の口から聞いてみたいと思います。
島津久大
48
○
島津政府委員
この
旅券法
の
内容
に、
渡航
の
制限
でありますとか、あるいは
手数料
、ないしは罰則、そういうような
規定
がございますので、これらの点は、今日におきましては当然
法律
事項
であるという解釈から、この
法律案
を提出した次第であります。
栗山長次郎
49
○栗山
委員
いま一つは、
旅券法案
の
審議
でありますけれども、
旅券
の
発給
内容
といたしますもののうちの重要なるものに、
海外
渡航
移民がありますが、これは当然
外務省
の他
官庁
に率先して関心を持つべき問題と思います。民間にあ
つて
も、
海外
移住協会等——私などもそれに関係しておりますが、設立して、せつかくこの方面に調査研究を進めております。しかし先ほども同僚
委員
諸君の御
質問
に対する
政府
委員
の答弁に出ておりました
通り
、問題は
渡航
の金の問題になるわけであります。それで
海外
移民の場合——留学の場合は、現下の逼迫した国情からしばらく第二点に考えるとしても、人口問題の解決上、
海外
で
日本
の移民を歓迎するところがあるならば、これは相当金を出しても、将来の根本的な解決策の一つとして
実施
すべきものである。たとえばブラジルならブラジルの方面に行く場合に、十分なる調査をいたしておりませんけれども、聞くところによれば約二十万円の金がかかる。とうていこれは一移民の立場の
渡航
者の出資し得る金ではありません。そこで両方の国でも
つて
もつと相談をすれば、
渡航
費を下げることもできるかと思います。かりに半減して十万円に
なつ
た。そういうような場合に、
外務省
を中心とし、
日本政府
の側にあ
つて
も、またわれわれも協力して、たとえば
海外
移民金融金庫というようなものまでもつく
つて
、そうして移民の奨励をなすべきであると私は考えます。今の
法律案
と直接の関係はありませんけれども、
内容
の一部をなすものとして、お考えおきを願いたいと思います。今何か所見があれば、聞いておきたいと思います。
島津久大
50
○
島津政府委員
ただいま御意見の点はごもつともと思いますので、私どもといたしましても、具体的に研究を進めたいと考えております。
並木芳雄
51
○並木
委員
それではもう一点だけ
質問
しておきます。それはこの
旅券法
の通過によ
つて
、沖縄とか小笠原とか台湾とか朝鮮とか、
わが国
との関係が必ずしも的確でない
地域
への
渡航
というものは、容易になるかどうか、今までこれらの
地域
への
渡航
実績、希望者、そういうようなものについてお尋ねしておきたい。
星文七
52
○
星説明員
この
法律
が成立いたしますと、
司令部
の方で今まで持
つて
いた
日本人
の
海外
旅行に対する
許可権
というものを、全部
日本政府
に返すということが明らかに予想されます。そうなりますと、今までは
外務省
で
外務大臣
が
旅券
の
発給
をいたします前に、ともかく最高
司令
官の
許可
をとらなければならなかつたわけでございます。これは
旅券
をも
つて
渡航
し得る国、つまり
アメリカ
、フランス、あるいは朝鮮も台湾もそうでございますが、南西諸島、つまり
アメリカ
の極東軍の管轄する
地域
へ行く者につきましては、
旅券
を
発給
いたしませんで、
身分証明書
という、簡単な
旅券
にかわる証明書を
発給
しておつたわけであります。この証明書も、やはり
連合国最高司令官
の
許可
をとらないと、
外務省
で
外務大臣
が
発給
できなかつたのであります。こういう点につきましては、
旅券法
が
通り
ますと、その点で非常に簡単にな
つて
早くなるというふうに考えます。ただ南西諸島、つまり
アメリカ
極東軍管轄
地域
へ行く場合には、証明書は連合軍最高
司令
官の
許可
なしで、
日本政府
だけで
発給
し得るといたしましても、これらの
地域
の特殊な関係から、この島々へ入ります前に、入島
許可
書というものをどうしてもとらなければならぬと思います。このことにつきましても、
司令部
の方で最近非常に考えてくれておりまして、これから従前に比べてよほど楽になるのではないか。また実際早く
渡航
が実現できるというふうになるのではないかと予想されます。
中山マサ
53
○中山
委員
先ほどの呼び寄せの問題でございますが、これは少し本筋を逸脱するかもしれないと思いますが、私は濠州の軍曹の人から手紙をもらいました。そしてこの人は、呉のある一女性と
日本
に進駐中内縁の結婚をした人でございますが、もし
日本
にすべての
権限
が移
つて
参りましたときに、
アメリカ
の人たちが
日本人
を呼び寄せるような
方法
でも
つて
、内縁の夫を
日本
に呼び寄せられるような
方法
があるものかないものか、私はその
方法
を
質問
いたしました手紙をいただいておりますので、ここで少し筋が違うとは思いますけれども、伺
つて
おきたい。むろん今の状態ではできませんでしようけれども、
平和條
約等すべてのものが一
通り
治まりましたあかつきに、
日本政府
ではそういうことを御
許可
になるかどうか。私も返事を書かなければなりません関係上、妻が呼び寄せ得る
権限
を与えられるかどうか。濠州に連れて帰りたいにも、向うでは入れてくれないから、向うの籍を廃棄して
日本人
になりたい、六回か七回不法
入国
をしては、返されて監獄へ入つたりしておりますので、国
会議
員として何とかしてくれないかという手紙をいただいたのでございます。
星文七
54
○
星説明員
それはまず第一に、濠州の
政府
でそういう
目的
の人に
旅券
を出すかどうかという問題と、それから
あと
日本
へ
入国
できるかどうかという問題は、現在施行されております
入国
管理令、これはまた
法律
に切りかえられますが、その
法律
の中に、
外国人
が
日本
へ人国する場合のいろいろな
規定
を設けているわけであります。また
日本
に滞在する期間についてもいろいろ
規定
を設けているのであります。
中山マサ
55
○中山
委員
それはもう
日本人
になるというのです。濠州の籍を捨てて
日本人
になりたいのですから、少し話が違うと思います。
星文七
56
○
星説明員
国籍法によ
つて
日本国
籍というものを取得すれば、これは問題なく
日本人
になりますから、
入国
が自由になるわけであります。
中山マサ
57
○中山
委員
その
方法
はどうして
とつ
たらよいのですか。
守島伍郎
58
○守島
委員長
ちよ
つと私からお話しますが、それはいろいろな規則がございまして、ここのところでそのために非常に時間をつぶすことはあまり適当でないと思います。
外務省
から直接あなたに御
説明
すればおわかりになると思います。いろいろな規則がございますが、その規則に当てはまりさえすれば、
日本
に来て永住することができる。しかし
日本
の国籍をとるについては、その規則に適合するかどうかどうか、そういう問題がございます。ここで今お話すると時間をとりますから、別の機会にしていただきたいと思います。——北澤君。
北澤直吉
59
○北澤
委員
まず第一に明らかにしておきたいのは、今度
司令部
では、
日本人
の
海外
渡航
に関する
許可権
を
日本側
に返還する、こういうようなお話でありますが、そうしますと、今後は
日本人
が
外国
へ出る場合には、
外務省
が完全に自主的にこれを決定する、これまでのように
司令部
の同意なり
許可
を得る必要はない、こういうふうに解釈しでよいのですか。
星文七
60
○
星説明員
その
通り
であります。
北澤直吉
61
○北澤
委員
それから
外国人
が
日本
に来る場合、先ほど
政府
の
説明
によりますと、
司令部
の
許可
がいる。従
つて
外国人
が
旅券
を持
つて
来る場合には、
外国人
の
旅券
の
査証
は
日本政府
でなくて、
司令部
がやると了解してよいのですか。
星文七
62
○
星説明員
その
通り
で、ございまして、いわゆる
外国人
の
日本
入国
許可
というものは、
査証
人国ということにな
つて
いるわけでございます。
北澤直吉
63
○北澤
委員
今度廃止になる
連合国最高司令官
の
許可
を得て
海外
に
渡航
する者に対して
発給
する
旅券
に関する
政令
、これによりますと、
日本人
が
外国
へ出る場合、いろいろな
目的
が書いてあります。留学、あるいは文化等いろいろ書いてありますが、今後は
日本人
が
外国
へ出る場合には、こういう
目的
なら
外国
へ行
つて
いいが、こういう
目的
では行
つて
はいかぬ、こういうような
海外
渡航
の
目的
の
制限
があるかどうか、その点をお尋ねいたします。
星文七
64
○
星説明員
これは今御
審議
願
つて
おります
旅券法
の第十三條に、
旅券
を
制限
する場合を書いてあります。そういうことに該当すれば、
旅券
が
発給
されない。
北澤直吉
65
○北澤
委員
次に
日本人
が
渡航
する
渡航先
でありますが、
世界
の国の中には
日本人
の
入国
を認めるところもあり、認めないところもあると思いますが、現在のところ、
世界
の国々で
日本人
の
入国
を認めない国はどういう国でありますか。
星文七
66
○
星説明員
アメリカ
でも、
日本人
が移民として
アメリカ
に行こうという場合は、
アメリカ
の
移民法
によ
つて
制限
しております。また濠州は御承知のように、最近
日本人
の商社の者は
入国
を許すということにしておりますが、そのほかの
目的
を持つた
日本人
は濠州に入ることができません。そのほかシンガポール、マレーにつきましても、
日本人
の
入国
は
制限
されております。二、三の例でありますが、そういう例がございます。
北澤直吉
67
○北澤
委員
先ほどからも同僚の
委員
から
質問
があつたのでありますが、そうすると、ソ連、中共、そういうところは
日本人
の
入国
は認めておらぬ、こう解釈してよろしゆうございますか、その点を伺
つて
おきます。
星文七
68
○
星説明員
これは現実に今まで
行つた
ことも、そこへ行こうと希望した
日本人
もおりませんし、また実際に
日本人
に対する向うの
入国
の
制限
ということはどういうことにな
つて
おるか、
資料
を全然持たないのでございます。
北澤直吉
69
○北澤
委員
次に伺いたいのは、この
旅券
を
発給
する
官庁
ですが、
国内
では都道府県の知事がこれを
発給
する、こういうふうにな
つて
おります。給与する場合には
外務大臣
が渡してやる。そうしますと、戦争前の
外務省
の官制によると、
外務大臣
はある
事項
については府県知事を指揮監督する、こういうような
規定
があつたのでありますが、現在の地方自治法によりますと、
都道府県知事
は中央
官庁
のようなかつこうをしておる、中央
政府
とは独立した立場を持
つて
おる。そういうふうに今日におきましては、
都道府県知事
と中央
政府
、特に
外務大臣
との関係は全然なく
なつ
たのでありますが、こういうふうに
旅券
について
都道府県知事
が出すとなりますと、その範囲内では、
外務大臣
は必要ある場合にはある程度
都道府県知事
を監督と申しますか、そういうふうなことができるかどうか、この点を伺いたいと思います。
星文七
70
○
星説明員
いま
都道府県知事
が
旅券
の
発給
ができるというふうにおつしやいましたけれども、これはそういうふうに
規定
しておりませんで、
旅券
の
発行
は
国内
においては
外務大臣
、
国外
においては
領事官
、ただ
旅券
の
発給
の
申請
をいたしますものが
都道府県知事
を通じて
外務大臣
に行うことができる。また
旅券
が一旦
発行
された場合に、これを
外務大臣
が直接渡すかわりに
都道府県知事
を通じて
交付
できるということだけを
規定
しておりまして、その間に監督といつたような問題は生ずる余地がないと考えます。
北澤直吉
71
○北澤
委員
ただいまの点はわかりました。 それから次に伺いたいのは、
アメリカ
では
旅券
を
発行
する場合におきまして、例の反共
法案
ですが、ああいうものに上りまして、共産党員が
外国
へ出る場合には
旅券
を
発行
してはいかぬ、こういうふうな
規定
ができかか
つて
おるのではないかと私は思うのでありますが、
日本
の場合におきましては、
日本人
が
外国
に出る場合には——もちろん今のところはないのでありますが、将来——これは機微な問題でありますが、ただ一つ参考のために、
アメリカ
におきましては、
外国
に出る場合に共産党員に対しては
旅券
を
発行
しない、こういうふうな制度が現在できておるのかどうか伺いたい。
星文七
72
○
星説明員
アメリカ
で今反共法というものが
旅券
とどういう関係を持
つて
いるか、私よく承知していないわけでございますが、実際
アメリカ
で
旅券
の
発行権
を持
つて
おるのは、
日本
の
外務大臣
に相当する国務長官であります。この国務長官が
旅券
を
発行
する上についての専権と申しますか、そういうものを持
つて
いるわけでありますが、実際共産党員の
国外渡航
に対しては、
旅券
の
発給
を拒否しているというのが実例でございます。
北澤直吉
73
○北澤
委員
次に伺いたいのは、この
旅券法案
によると、「北緯三十度以南の南西諸島その他特に
外務大臣
が定める
地域
に
渡航
する者に対しては、当分の間、
政令
で定めるところにより、
身分証明書
を
発給
するものとする。」とあります。そうすると、これは今の占領行政が続いている間のことでありまして、占領行政がなくなりますと、北緯三十度というものはどうなりますか、北緯二十九度になりますか、その点をひ
とつ
はつきりしていただきたい。
星文七
74
○
星説明員
これは講和條約が発効すれば当然北緯二十九度というふうになると思います。その場合には
法律
を改正しなければいかぬというふうに思います。
北澤直吉
75
○北澤
委員
もう一つ伺います。今度の講和條約によりますと、
日本
は南西諸島、南方諸島は領土権を放棄しないということにな
つて
おります。従
つて
南西諸島、南方諸島におる
日本人
は、依然として
日本
の国籍を維持するというふうにわれわれは了解するのでありますが、そうしますと、南西諸島、南方諸島におる
日本人
、こういう者に対する
旅券
はどうなりますか。こういう者が
外国
に旅行する場合におきましては、これは
アメリカ
の
政府
が
旅券
を出すのであろうと思いますが、国籍は
日本人
である、しかし
旅券
は
アメリカ
が出すというのは、
ちよ
つと問題があるのでありますが、私の想像では、国籍は
日本人
であるけれども、南方諸島、南西諸島におる住民が
外国
へ旅行する場合には、あそこを統治する
アメリカ
政府
が
旅券
または
旅券
に類似する文書を
発行
して、それによ
つて
海外
に旅行する、こういうふうに私は想像するのでありますが、この点お伺いいたします。
島津久大
76
○
島津政府委員
ただいま御
質問
の点は、その他の問題とも関連いたしまして今後話合いをした上で決定さるべき
事項
であります。現在のところどういうふうになるかということは、
ちよ
つと判明いたしておりません。
北澤直吉
77
○北澤
委員
こういう問題は非常に機微な問題でありまして、
日本側
と
アメリカ
側との交渉によ
つて
きまるものと思うのであります。しかし国籍が依然として
日本
の国籍を持
つて
おるということになりますと、そこに非常に大きな問題が起ると思う。これに関連して伺いたいのは、例の関東州の
旅券
——旅順、大連など関東州、これは
日本
が中国から租借した。従
つて
あそこにおつた中国人は、国籍は中国人である。そうすると関東州におつた中国人が
外国
へ旅行する場合には、
旅券
を一体中国から出したのか、あるいは
日本政府
が出したのか。そういう実例は一体どうな
つて
おつたか、もし
外務省
で研究したものがあつたら、お伺いしたいと思います。
星文七
78
○
星説明員
今その点について
資料
を持
つて
おりません。後刻調べました上で御返答申し上げたいと思います。
守島伍郎
79
○守島
委員長
林君。
林百郎
80
○林(百)
委員
同僚
委員
からもいろいろ
質問
があつたのですが、
日本人
が
外国
への
旅券
を
発行
してもらう場合の資格について、どういうものについては
許可
しない、どういうものについては
許可
するとか、その資格、條件を
ちよ
つと示してもらいたいと思います。これは
ちよ
つと條文にもあるようですが、大体の基準を示してみてください。
島津久大
81
○
島津政府委員
旅券
の
発給
上の
制限
はどうな
つて
おるかという御
質問
でございますので、その点につきましてお答え申し上げます。
旅券
は
国内
に
発給
いたします公文書とは性格が異な
つて
おるのでございまして、相手国がございます以上は、自国の
国内法
や
国内事情
だけからでなく、やはり
渡航先
の
国内法
あるいは国際事情、そういうものも考慮に入れて
発給
する必要があるわけであります。例をあげますと、
渡航先
の国が、
法令
によりましてその
入国
を禁止しておるものに対してこちらで
旅券
を出しますと、
渡航先
の出先官憲は
査証
をいたさないということになります。これがために
本人
が
手数料
を払いましたり、いろいろな
手続
に時間や費用を浪費するということになります。またもしこの事実を
渡航先
の国の出先の官憲が気づかないで
査証
を与えたといたしますと、
本人
は知らずに
日本
を出て行く、そうして
渡航先
の国の上陸港に到着する、もとよりその国の法規によ
つて
入国
が禁止されておりますから、また引返して行かなければならぬ、そういうことにもなるわけであります。また死刑、無期または長期十年以上の刑に当る罪につきまして訴追を受けております者や、禁錮以上の刑に処せられまして、その執行を終るまで、または執行を受けることがなくなるまでの者に対しまして、無差別に
国外渡航
を
許可
するということは、司法権の発動を妨げることとなりましてよろしくないという事情がございます。また不正な
行為
によりまして、
旅券法
上の罰則に該当するような者に
旅券
を
発行
いたしますことは、これまた
制限
すべきことは申すまでもないところでございます。またそのほか
本人
が
国外
に
渡航
することによりまして、
日本国
の利益や公安が害される
行為
を行うおそれがある、そういうような場合に
旅券
を
発行
しないことも、国の治安を保持する上からこれまたやむを得ないと思います。
旅券発給
に
制限
を加える国は
日本
ばかりではございません。ただいま関係課長から御
説明
申しましたように、米国におきましても、国に対して忠誠を欠く
行為
のあつた者、福祉や国の政策に反する
行為
をする者、または国際信用を落すような者、こういう者には
旅券
の
発給
を拒否することにな
つて
おります。
林百郎
82
○林(百)
委員
第十三條の五号がやはり私は問題になると思うのであります。というのは「
外務大臣
において、著しく且つ直接に
日本国
の利益又は公安を害する
行為
を行う所があると認めるに足りる相当の
理由
」とありますが、そのときの
外務大臣
の属する政権の
性質
によ
つて
、自分の政権と相いれないような政策を持
つて
いる人の、
海外
渡航
を許さないというような政治的な
制限
が出て来るのではないかと思うのであります。たとえばパリに
世界
平和
委員会
の会合がある、ここへ
日本
の平和
委員
を派遣して、今の吉田内閣のと
つて
おる戦争政策あるいは軍事基地化の政策、そういうものを
世界
に訴えたいというような場合には、吉田内閣の政権の性格からい
つて
、これでも
つて
旅券
を
発給
しないというようなことになる危険があると思うのでございます。この「著しく且つ直接に
日本国
の利益又は公安を害する
行為
を行う虞があると認めるに足りる相当の
理由
」というのは一体どういうのですか。これで政治的に実際の
旅券発給
を
制限
することができると思いますか、この点について、どう考えておられるか、
政府
の責任ある答弁を聞きたいと思います。
島津久大
83
○
島津政府委員
ご
質問
の「著しく且つ直接に
日本国
の利益又は公安を害する
行為
」、これがいかなるものであるかということでございます。具体的に一つ一つ、例示することは簡単ではございませんが、たとえば次のようなものが該当するかと考えます。多量の金塊、貨幣、そういうものを不法に
国外
に持ち出そうとする者、または麻薬を密輸入する
目的
をも
つて
海外
渡航
を計画する者、
国内
に暴動を起させる
目的
で、その連絡または準備のために
海外
渡航
をしようとする者、または
国内
の治安を害するような破壊的な文書、図書を
国内
に持ち帰る企図をも
つて
渡航
しようとする者、拳銃その他銃砲、火薬類を不法に
国内
に持ち帰ることを
渡航
の
目的
とする者、そういうようなことが一例になりはしないかと思います。御懸念のように、そのときの
政府
の政治的な考えで左右されるということは万々ないわけであります。その当人が特定の政党員であるとかあるいは特定の主義を持
つて
おるということだけでは、この
制限
の
規定
にはかからないという解釈をと
つて
おります。
林百郎
84
○林(百)
委員
そうすると、たとえば共産党員が
アメリカ
へ行きたいということで、
旅券
の
発給
を
申請
いたしましたら……。もしおりるなら私は
申請
してみたいと思います。
島津久大
85
○
島津政府委員
ただいま申し上げますように、共産党であられるというだけで
渡航
ができないということにはならないのであります。ただ
旅券発給
に際しましてはこの法文にもございますように、法務府と十分連絡をとりまして、先ほど申し上げましたような事例をあげましたようなことがないかどうか、確かめました上で
発給
することになろうと思います。
林百郎
86
○林(百)
委員
法務府の人が見えておつたら答弁していただきたいのでありますが、
旅券発給
の
申請
をした者が今言つたように、
国内
に暴動を起そうとする意図を持
つて
おるとか、暴動を起そうとするための文書を連絡するために行くと疑うに足る相当の
理由
というのは、具体的の場合はどういう場合が相当の
理由
になるのですか。
西本定義
87
○西本
説明
員 その具体的な場合に諸般の事情を総合いたしまして、さような事実の
行為
を行う危険があるかないかを認定するわけであります。結局相当の
理由
という点につきましては、通常人の合理的な判断によりまして、嫌疑を肯定することができる
理由
があるというような場合にのみ、この第五号に該当するものと考えるわけであります。従
つて
単なる風説、流言あるいは単なる情報一本というようなものでは、絶対に発動しないということはこれは申すまでもないのであります。いわゆる諸種の
資料
を総合して、何人が考えても、一応さような認定をすることが、合理的であるというような事情のある場合にのみ、この第五号に該当する、さように考えております。
並木芳雄
88
○並木
委員
私はさつき
政府
委員
の出て来るのをお願いしておきましたところ、経済調査庁
査察部
第三課長山口一夫さんが見えましたから、先ほどの私の
質問
に関連して、この際ぜひお伺いしておきたいと思うのです。それは
海外
渡航
などに関連してどうしてもドル貨がほしい、こういう心理状態に乗じて起る犯罪でございますけれども、私の方の地区は、特に立川とか横田とか、そういう基地を控えてそのケースも多い。要するにドル貨の売買でございます。軍票の売買と申しますか、そういうものについて、もうやがて
日本
は独立するのだから、ドルを持
つて
いれば、今度はそのまま役に立つのだとかいうようなことによ
つて
、取引も行われておるやに聞いております。私自身はその軍票だかドルだか、そのほんとうのもの自体を見たことはありませんから知らないのでありますけれども、こういう点を総合してみますと、どうも厳重な取締りの対象とな
つて
いるのだというようなことが、
一般
大衆に徹底しておらないのじやないかと思うのです。それでぜひこの際軍票の取引、売買などというものは、いけないのだということをここでお示しをいただいて、最近調査も行われておるそうでありますが、その調査の実態もここで詳しく明らかにしていただきたいと思うのであります。また私はこういうものは、
日本人
ばかりの責任でもないと思うのです。第三国入側においても、相当の責任があるのじやないかと思いますが、そういう方面に対する取締りはどんなふうにな
つて
おるのかということも、あわせてお伺いしておきたいと思います。
山口一夫
89
○山口
説明
員 軍票の問題につきましては、経済調査庁におきまして過去約一年にわたりまして、主として
外国人
用物資の横流れの媒介手段として、軍票が
国内
においてやみ取引されております実情から、取締りを継続して今日に至
つて
おります。すでに今日まで佐世保・呉・名古屋・静岡等の各地におきまして、相当大規模なブローカーを逮捕いたしましたし、また昨日東京におきましても、一部のブローカーを逮捕いたしたのであります。今後におきましても引続き軍票の取締りを継続して参るつもりでおります。経済調査庁が軍票の取締りをいたしました動機は、主としてこれが先ほど申し上げましたように、
外国人
用物資の横流れの媒介にな
つて
おるということでございまして、さらに詳しく申し上げますれば、現在
国内
において
外国人
の日用品を販売することを許されておりますスペツシヤル・シヨツプ、SPSと申しておりますが、SPSが物資を販売いたします場合に、軍票によ
つて
販売ができる関係上、実際にSPSから買う資格がない者が、軍票を手に入れてSPSから買う、あるいは悪質なSPSにおきましては、軍人、軍属に売つたように見せかけますために、軍票を集めまして、円で売つた跡始末をやみで買い集めた軍票によ
つて
するというような状況がございます。またさらにSPS自体が、
国内
でやみもうけをいたしました円を
海外
に送金いたします場合に、それを軍票にかえまして
海外
に送金するというような事例がきわめて顕著でありますために、経済調査庁におきましては、このやみの媒介とな
つて
おります軍票の取締りをいたしておるわけであります。経済調査庁といたしましては、現在経済調査庁法によ
つて
指定されております
連合国
占領軍財産等収受所持禁止令によりまして、この収受所持の段階において取締りをいたしますことによりまして、この悪質の媒介たる軍票の流通を遮断するという
目的
で、ただいま取締りをや
つて
おります。
並木芳雄
90
○並木
委員
その取締りの実況はどんなふうにな
つて
おりますか。
山口一夫
91
○山口
説明
員 ただいままでに軍票自体の取締りといたしましては、先ほど申しました佐世保その他各地におきまして、この夏以来相当のブローカーをあげております。ただいま詳しい
資料
を持ち合せませんが、昨日東京で
実施
いたしました取締りにおきましては、朝鮮人、ポルトガル人並びに
日本人
合せまして男女十六人の者を逮捕いたしました。所持しておりました軍票千三百三十六ドル六十セントを押収いたし、ただいま取調べ中でございます。 そのほか直接軍票の現物をこちらが取上げない場合におきましても、たとえばSPS等を調査いたしまして、それによりましてSPSが過去において相当軍票の取引をしていたというような実情が立証されました場合には、通商産業省の方に連絡いたしまして、SPSの営業を取消すというような手段によりまして、昨年来相当不良SPSの一掃をはか
つて
参
つて
現在に至
つて
おります。数字的にはどのくらいということは、全部ははつきり申し上げかねますが、ただいまわか
つて
おる範囲におきましては、ただいま申し上げました東京の分を除きまして、今日まで佐世保、呉、鳥取、名古屋、静岡等の各地におきまして、告発をいたしました者の総数が六十五人、逮捕いたしました者が七十六人、違反金額が三十六万六千六百二十二ドルということにな
つて
おりますが、むろんこれは強制調査によ
つて
上
つて
参りました数字でございますので、このほかにもただいま申し上げましたようなSPSの店舗の閉鎖その他によりまして、実際の軍票の流通が遮断されました数量は、相当の数量に上
つて
いるというふうに考えております。
並木芳雄
92
○並木
委員
状況はわかりましたが、悪質なものは別でございますけれども、中には全然事情がわからないでひつかかる人もいるわけです。
政府
はこの取締り、あるいは
違反行為
であるということに対して、どういうふうに今まで周知徹底せしめて来たか。私はそういう方面の予防方面の努力において欠くるところがなかつたかと思うのです。あるいはこれは経済調査庁の直接の仕事ではないかとも思うのですけれども、どんなふうに周知徹底をして来たか、取締りにあた
つて
十分民権を尊重しつつや
つて
おるかどうか、取締りの場合の実際の
方法
について最後にお尋ねしておきたい。
山口一夫
93
○山口
説明
員 経済調査庁の仕事は、本来違反事件を検挙するというのが
目的
じやございませんで、違反事件が起らないように予防的な
措置
を講じて、
国内
の経済活動撹乱に対して防遏の
措置
を講ずるのが本来の
趣旨
でございますので、従
つて
軍票の問題につきましても、特に軍票の集中的に集ま
つて
参りますSPS等に対しましては、十分その
趣旨
を徹底いたし、告発に至りますまでに戒告、警告そのほかの手段によりまして、十分に注意を喚起いたしております。 それから取締りの方針といたしましては、末端におきまして、たとえばいわゆるパンパンが向うの軍人から軍票をもらう、またみやげ物販売店が軍人から押しつけられて軍票をもらうというような、末端における個々の事件につきましては、一々それを取上げまして調べるというようなことはいたしませんで、それらが集まりまして、小ブローカー、中ブローカー、あるいは大ブローカーの段階に至りました場合に押えるという方針で、やみ軍票の最も多く集ま
つて
参ります段階で集中的に取締りをいたしております。昨日の東京の取締りにおきましても、過去約四箇月間の調査によりまして、最も集中的に軍票が集ま
つて
おると考えられます数寄屋橋から銀座一帯にかけての軍票のブローカーの中心地をねらつたわけであります。末端の個々の収受につきましては一々これを取締るというような
方法
はと
つて
おりません。
黒田寿男
94
○黒田
委員
林君が先ほど
質問
された問題に関連して少しお尋ねしておきたいと思います。 第十三條の問題であります。第一の「
渡航先
に施行されている法規によりその国に入ることを認められない者」こういう
事態
がありますときには、
外務大臣
は
一般旅券
の
発給
はしない、こういうことにな
つて
おるのでありますから、もとより
日本
の
政府
で、「その国に入ることを認められない者」というのはどういう者であるかという
外国
法規、具体的にどこの国にどういう法規があるか、ということがおわかりにな
つて
いると思います。私どもそれを知
つて
おきませんと、将来
渡航
しようとする場合に不便が生じますので、これは今でなくてもよろしいから、できるだけ早く、たとえば
アメリカ
には、イギリスには、またフランスには
外国人
が
入国
することを拒むことについてどういう
法律
があるか、これに関する
資料
を至急御提出願いたいと思います。これは
外務省
にはおわかりにな
つて
いるはずであります。
外務省
はそれに照して
許可
するかしないかを決定するのでありましようから、わか
つて
いると思いますので、至急にお示し願いたいと思います。
守島伍郎
95
○守島
委員長
至急出させます。
黒田寿男
96
○黒田
委員
その次は第五号ですが、先ほど林
委員
の
質問
に対しまして、法務庁の
説明
員の方からお答えがありまじたけれども、非常に抽象的であります。「著しく且つ直接に
日本国
の利益又は公安を害する
行為
」と通常の判断で認定することが妥当と考えられるような場合というように表現をされましたけれども、これでは答えにならぬと思います。こういう抽象的な考え方でいいかげんな認定をされると問題が起る。そこで私は具体的にはどういう罪に当る場合かということをお示しにならなければ答えにならぬと思います。特定思想を持
つて
いるというだけでは、これは
島津
局長も申されましたように、それが
発給
を拒む
理由
にはならない、どういう思想かということは問題にならない。だから「著しく且つ直接に
日本国
の利益又は公安を害する
行為
」とは、具体的に
日本
の
法律
で申せば何であるか、これがわからなければ、私どもは国民として、安心ができぬと申しますと、
ちよ
つと言葉づかいが適当でないかもしれませんが、とにかくむやみに第五号に該当するとい
つて
渡航
を禁止せられるということにな
つて
は困る。ですから具体的にどういう犯罪に当るような場合に「著しく且つ直接に
日本国
の利益又は公安を害する」と認められるか。この犯罪が示されて、そしてこの犯罪に該当するような場合ということになればこれはまた別問題であります。この点法務庁関係の方から具体的に犯罪名をお示し願いたい。こういう犯罪に当る場合に「著しく且つ直接に
日本国
の利益又は公安を害する
行為
」となるのだ——
島津
局長からは多少具体的にお話がありましたけれども、もう少し
法律
的にはつきりと御
説明
願えれば、その点明瞭になると思うのであります。
西本定義
97
○西本
説明
員 この問題につきましては、先ほど局長より御
説明
がありました
通り
でありますが、第一に申し上げておきたいのは、思想だけでは絶対に
制限
しない、事実がなければならないという点は、これははつきり申し上げておるのであります。 次に具体的に犯罪を明示せよという御
質問
でありますが、いろいろの場合が想像されますから、これを一々申し上げるということはむずかしいと思います。そこで先ほど予想される犯罪あるいは不法
行為
の形態を二、三御
説明
申し上げましたが、あのような場合には一応犯罪の類型に当るように考えられる、また犯罪の構成要件を充足する前の危険な
行為
ということも考えられる。われわれといたしましては、第五号に該当する犯罪の型なりあるいは不法な
行為
を全部明示して申し上げるということは至難と考えますが、さき申し上げました事例に類するような場合で御了解を願いたいと考えるわけであります。
黒田寿男
98
○黒田
委員
これは法務総裁に
質問
した方がいいかもわかりません。
日本人
が罰せられるような場合は罪刑法定主義という大
原則
がある。われわれが何らか国民として一人前の取扱いを受け得ない、普通の人なら
外国
に行けるのに、お前は行けない、こう言われるような場合には、何かそこにはつきりとした
理由
がなければならない。はつきりした
理由
を示されないでそのような処置がとられれば、そこに政治の専制というものが起る。国民の民主主義的権利を守ることができない。基本的人権を守ることができない。そこで犯罪を具体的に示して、これに当る場合、これに当る危険がある場合に初めてそういう犯罪として刑にも処せられるし、また第十三條のような場合も起り得ることになるのであります。でありますから
日本人
に対して、いやしくも普通人より区別した取扱いを第十三條第五号で行おうというのであるならば、それがいかなる犯罪に当る場合かということを具体的に明らかにしなければ、民主主義国の
旅券法
であると私は言うことはできないと思う。何も
日本
にこの場合に該当するような
法律
が何千何万とあるわけではありません。しかも「著しく且つ直接に」という形容詞がついておる。こういう限定がついておるのでありますから、こういう場合に当る犯罪は何であるかということを、二、三の例示というようなことでなくて、もつとはつきりとお示しにならなければなりません。少しも困難な問題ではない。
世界
中の
法律
の中から探せというのではありません。
日本
の
法律
の中から例示せよというのであります。限定された條件のもとで数え上げられる
法律
名にすぎないのであります。それをはつきりさせないでおくと、国民に対する基本的人権の蹂躙という
事態
が起り得る。私は、この問題は、はつきりさしておかないと、将来に問題が起ると思いますので、お尋ねしてみたのであります。しかしこれは
事務
官では無理だと思いますので、私はきようはこの点の
質問
は打切ります。あらためて法務総裁にでも御
質問
いたしたいと思います。
守島伍郎
99
○守島
委員長
本日の質疑はこの程度で打切ります。 —————————————
守島伍郎
100
○守島
委員長
お諮りいたします。
国際連合食糧農業機関憲章
を受諾することについて
承認
を求めるの件につきまして、農林
委員長
より
連合審査会開会
の申出がございましたので、この際本件につきまして、農林
委員会
と連合
審査
会を
開会
いたしたいと思いますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
守島伍郎
101
○守島
委員長
御
異議
なければさようとりはからいます。 本日はこれにて散会いたします。明日は午前十時から外務農林連合
審査
会を開きます。 午後零時二十一分散会