○林(百)
委員 引揚げの問題について各
委員が非常に御熱心に関心を持
つておられることについて、われわれも同感でありますが、ただ今の
引揚げ問題の扱い方が非常に反ソ反共的な、政治的な道具に使われているきらいが非常に多いのであります。先ほど
高橋委員の
お話の中にも、無責任な発言をする者があるという
お話、それは自由党の方から見て非常な無責任な発言をするという印象を受けた方もあるでありましようが、われわれ共産党の側から見ても、また無責任な発言をする人が多いし、従来の
引揚げ問題の動き方がむしろ非常に国際的に見て反ソ反共の道具に使われているきらいが非常に多いのであります。こういう行き方では、私
たちは今の
引揚げ問題の指導者の皆さんのやり方、並びにこれを受けて
国会で審議するこの仕方、従
つてそのための本
委員会を存置するということにも賛意を表しかねるのであります。第二の問題としては、やはり
引揚げ問題については実情を知るということが一番重要だと思うのであります。たとえばシベリアの抑留者三十七万あるというのが、国連への通告にはたしか七万、
あとは死んだとかいうようなことで、これは
数字も減
つているようでありますし、またこの引揚者の数についてもいろいろの問題があ
つて、必ずしも一致しておりません。それから中共にいる人に対しても非常に無理に中共に抑留されているという見方をする人と、むしろ今の
日本の政治にあきたらずして、中国に安心していて、
日本の国がもつと民主化することを心から熱願している人があるのであります。たとえば松川事件につきましても、中国にいる
日本の
人たちからすでに一万ドル、あの事件の無罪になるために
日本の民主的な
人たちの活躍を願うということで、金まで送
つて来ておるという
人たちもあります。ですから必ずしも中国にいる
人たちが、自由党の
委員の一部の方の言われるように、もうま
つたく泣きの涙でいるとも見られないのであります。いずれにしてもそういうことも実情を知
つて、
家族の
人たちに実情を伝えるということが一番重要だと思うのであります。それにはやはり全面講和をして、中国あるいは
ソビエトとの交友の道を開いて行く。そのためには、反ソ反共でも
つていろいろな実情を知らせろということは無理であります。中国とかソ同盟だとか、こういう
国々とどうして友好
関係を結ぶかという方向に
努力をしないでおいて、そういう実情を知らせないと
言つてもそれは無理だと思います。そういう
意味で、全面講和へ
努力する方向と逆な方向へむしろ
引揚げ問題を利用して行こうとしておるきらいも見えるのであります。こういう
意味で、われわれ全面講和を心から熱望しておる側から言いまして、現在の
引揚げ問題の扱い方については非常に反対であります。それから第三の問題としては、
引揚げの問題の大きな要素の中には、未
復員者を
引揚げるということと同時に、
引揚げて来た
人たちの生活をどう保障するかということがやはり非常に重要な問題だと思うのであります。将来はやはりこういう問題についても十分な関心を持たなければならないと思うのであります。こういう点からいいまして、今のこの
委員会の行き方について私
たちはどうしても納得できない点がありましてむしろこういう現在の
引揚げ問題の動き方をそのまま許し、それを側面かち応援するような政治的な道具に使われる危険のあるような
委員会だ
つたならば、これはすでに存続する必要はないと私
たちは
考えるのであります。従
つて私
たちは現在のこの
国会の中における引揚
委員会の存続については、遺憾ながら賛意を表することができないのであります。これを打切
つてもら
つてそれぞれの問題は各常任
委員会において十分解議する機会がありますから、私はこの
委員会は今会期をも
つて打切るべきものだ、こういうふうに
考えます。