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1951-11-02 第12回国会 衆議院 海外同胞引揚に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月二日(金曜日)     午後一時五十五分開議  出席委員    委員長 若林 義孝君    理事 池見 茂隆君 理事 小西 英雄君    理事 庄司 一郎君 理事 坂口 主税君       青柳 一郎君    門脇勝太郎君       菊池 義郎君    佐々木秀世君       竹尾  弌君    田中 啓一君       玉置  實君    中山 マサ君       南  好雄君    柳原 三郎君  出席政府委員         厚生事務次官         (引揚援護庁援         護局長)    田邊 繁雄君  委員外出席者         大蔵事務官         (理財局外債課         長)      上田 克郎君         主  計  官 岩動 道行君         厚生事務官         (引揚援護庁復         員局経理部長) 白井  勲君     ————————————— 十月三十一日  委員柄澤登志子君辞任につき、その補欠として  高田富之君が議長の指名で委員に選任された。 十一月二日  理事柄澤登志子君の補欠として高田富之君が理  事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  未復員者給与法に関する件  在外公館借入金に関する件     —————————————
  2. 若林義孝

    若林委員長 これより会議を開きます。  この際お諮りをいたします。去る十月三十一日、理事柄澤登志君が委員を辞任せられておりますので、理事補欠選挙を行いたいと思いますが、これにつきましては、従来の例により委員長において指名いたすに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 若林義孝

    若林委員長 御異議なきものと認めます。それでは高田富之君を理事に指名いたします。
  4. 若林義孝

    若林委員長 未復員給与法に関する件につきましては、先般来委員会におきましてこの改正につき検討を進めて参り、先日お手元に配付いたしました改正要綱により政府当局と交渉を進め、かつ立案を進めておるのでありますが、いまだ検討を要する点がありますので、さらに政府当局よりお尋をいたしたいと思いますが、委員各位発言を許します。——この際田邊援護局長より発言を求められました。これを許します。田邊援護局長
  5. 田邊繁雄

    田邊政府委員 未復員者給与法の中で、本日参議院の本会議を通過いたしました改正案でございますが、現在未復員者給与法及び特別未帰還者給与法によつて療養を受けております者の療養期間が、今年の十二月に切れるものが大部分でございます。これは未復員者給与法の中に復員後三年間治療をするという規定がございます。これは二十四年の一月一日から施行になつたわけでありますが、その前に、つまり二十三年の十二月までに帰つた人たちにつきましては、二十四年一月一日から三箇年間ということに相なつております。従いましてそういう方々は今年一ぱいで療養期間が満了するということになるわけであります。ところが現在療養しておられまする方々はまだ病気がなおつておりませんので、ここで打切られますと、自分の費用でなおさなければならぬということになりまして、こういう方々の職務上きわめて遺憾な点が生じますので、今回政府においても予算的な措置を講じ、また国会の方においてもこの改正案を立案されまして、今後三年間さらに延長するということに一応改正案が進められつつあるような次第でございます。なお未復員者給与法には、傷害一時金という規定がありまして、療養終つてなおつた際に傷が残つておる場合におきましては、一定傷害金を出すということに相なつております。その金は実は二倍に直さなければならなかつたのでありますが、これは一般の給与の改訂と並んで直さなければならなかつたものが今日まで遅れておりまして今年の四月にさかのぼつてそれを増額するということに相なるわけでございます。われわれといたしましても、かような改正がすみやかに成立いたしまして、復員者療養しておる者等がこの恩典に浴し得ますように希望してやまないものでございます。  なおこの機会に未復員者給与法及び特別未帰還者給与法全般につきまして今われわれが考えておりますことを率直に申し上げて御参考に供したいと思うのであります。  未復員者給与法昭和二十二年に制定になつたわけであります。これは新憲法が成立いたしまして、軍人という制度が廃止せられたときに、元陸海軍に所属していた方々に対して未復員者という一種の身分を設定いたしまして、その方々給与を出すという制度を設けたわけであります。未復員者という身分は、政府に対して一定の勤労を提供するわけではございませんので純然たる政府職員とは違いまするけれども、きのうまで軍人、軍属として国家から一定処遇を受け、俸給等をいただいておつた方が、新憲法ができた翌日からただちにこういう給与をなくしてしまうということはとうていできませんので、こういう未復員者給与法という法律制定になつたものと思うのであります。今日からこれを振り返つてみますると、この法律自体にはいろいろ考えさせらえる点が相当あるように思われます。向うで働いて向う給与をもらつて生活している人々に対して、日本政府給与をやるという観念が少し実情にそぐわない点がありはしないか、帰つて来ない間は全部ためておいて、帰つて来たときに過去の給料を全部拂うということもちよつと実情にそぐわない点がありはしないか。しかも今日この未復員者給与法運用の仕方は、この未復員者給与法でもらいまする俸給なりあるいはこれに付属しておりまする扶養手当を、援護を要しまする留守家族に前渡しすることによつて留守家族援護をしておるということが今日の実情でございます。特別未帰還者給与法もまつたく同じでありまして、身分法という建前をとりながら実は援護法的な機能を果しているのが今日の実情であります。その結果どうしても建前と実際の機能との間に相違がございまするので、運用上いろいろの矛盾を生じているような実情でございます。この点はどうしても考えなければならぬ問題であると思われまするので、われわれも従来からずつと研究はいたしております。未復員者給与法というものができましたときには、近い将来において引揚げが完了するという気持で実施しておつたものであります。しかるに終戦後六年にもなりますのにまだ引揚げ見通しもつかない今日におきましては、むしろ未復員者なりあるいはその他未帰還者留守家族そのものに対する特別の処遇をする、援護をして行くという観点に立つた立法が望ましいのではないか、かように考えておるわけであります。もちろん特別未帰還者給与法等改正する場合におきまして、いろいろむずかしい問題はあろうと思いますが、未復員者と同様の実情にあるということから、その家族援護するというやり方は、今日になつてはどうも運用上におきましても、観念の根本におきましても、おかしい点があるのではないかと思われる次第でございます。この点につきましては近い将来、ごく最近の機会引揚同胞対策審議会を開きまして委員各位の御意見も伺い、できるだけ早い機会において意見をきめたい、かように考えております。従いまして本日議題となつております未復員者給与法の一部を改正する法律案要綱の第一点でございますが、月額千円を千五百円に上げるということにつきましても、單に給与という観点から上げるべきではないのであつて、やはり留守家族処遇なり援護という点から考えて行かなければならぬと思うのであります。そういう観点に立ちますと、やはり中心問題になつておりまする戰歿者遺族というものとの均衡考えて行かなければならないのではないか、近い機会戰歿者遺族処遇内容がきまつて来ると思うのでありますが、それとにらみ合せて、しかも一方未復員者給与法等建前改正して、同じようなレベルにおいて問題を考えて行く必要があるのではないか、かような考えをいたすわけであります。この点につきましてはわれわれも委員各位のお教えを受けなければならぬと思いまするが、未復員者ないし未帰還者の問題は、むしろりくつの問題といたしましては、傷痍軍人なりあるいは戰歿者遺族の問題との関連で非常にむずかしい問題でございます。今後大いに勉強して行かなければならぬと思いますが、皆様方におかれましても十分われわれに対していいお考えをお教えいただければ非常に幸いである、かように考えております。
  6. 若林義孝

    若林委員長 ただいまの当局の御説明に関して御質疑はありませんか——中山マサ君。
  7. 中山マサ

    中山委員 そういたしますと今の千円を千五百円ということも、いつまで延期になるのでございましようか。このお金の額を、この法律がかわるまでは千円で置こうとおつしやるのですか。
  8. 田邊繁雄

    田邊政府委員 今日戰歿者遺族は、いろいろの関係から一切の給与を停止されておるわけであります。目下厚生省等におきまして早く方策を決定いたしまして、少くとも来年度からはこれを実施したいということで急いでおるわけでありますが、まだ正式にどの程度ということにはきまつておらない状況でございます。こたがきまつて、それとやはり均衡をとるようにして行きたいというのがわれわれの考えでございます。従いましてその未復員者給与法という建前をまたかえて行くという必要があるのではないかということを申し上げたわけでございます。従いましてそれら一連の問題といたしまして、次の通常国会等においてこういう所要の改正をしていただいたらどうであろうか、こういうふうに考えておるわけであります。
  9. 中山マサ

    中山委員 遺家族に対しては、その当時一時金としてお渡しになつていらつしやるのでございますが、まだ中共には少くとも七万おるというようなことを私どもは主張して参つておりますし、まあ外務省では二十三万なくなつたという御発表もいたしておりますけれども、それもどこまでほんとうだか私は実は信じられないのであります。二十三万という発表に対して実際私は驚きましたし、そしてまたこれまでも、戦後死んでおるという公報が入つてお葬式まで済んだのに、ひよこひよこ帰つて来た人も私の近所にもおりますし、二十三万が実際皆死んでおるとも考えられないのであります。そういたしますと遺家族関係とはまた趣を異にするように思うのでございますが、少くとも私どもはまだ外地に残つておるという以上は、にらみ合せてとおつしやるそのお言葉ちよつと私受取りかねるのでございます。どういうふうににらみ合せていらつしやるお気持なのでございましようか。
  10. 田邊繁雄

    田邊政府委員 未帰還者立場戰歿者遺族立場とはもちろん本質的には違います。しかし戰歿者遺族に対して、当局は当然処遇しなければならぬものを押えているのであります。何もやつておらない。その間に未帰還者立場は違うからといつて、千円もらつているのをさらに千五百円に上げる、これは無條件にするのはどうだろうか、やはり実質的に調整をとつて行く必要があるのではないか。もう一点処遇内容でございますが、未復員者の方は千円を千五百円に上げてしまつた、ところが遺家族の方はいろいろな関係からそこまで行けないということになつたら、またおかしなことになりはしないか。そこで両方関係をよくにらみ合せて、処遇内容においてはできるだけ調整をとれるようにして行く方がいいのではないか。平たい言葉で申しまするならば、未復員者なり未帰還者家族の方から申しますれば、帰つて来ない間は、その方が生計の中心であつた場合には、戰歿者立場と形式的には同じ立場であるわけであります。そういう観点から両方調整をとつて行く必要があるのではないか、こういうふうに申し上げた次第であります。
  11. 若林義孝

    若林委員長 御発言はありませんか——では発言がなければ御質疑はこの程度でとどめておきたいと思います。  ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止
  12. 若林義孝

    若林委員長 速記を始めて。ただいまの御懇談におきまして、各委員より種々な御意見がありましたが、まだ検討を要する点もあると思われますので、なお慎重に検討を加えまして、一日も早くその実現を期すべく、一層の研究を進めることにいたします。  次に在外公館等借入金に関する件につきましては、昨日大蔵委員会海外同胞引揚に関する特別委員会連合審査会におきまして、在外公館等借入金返済の実施に関する法律案につき、穗積眞六郎君外七名の参考人よりこれに対対する意見を聽取したのでありますが、委員各位も御承知のごとく、各参考人意見は、主として借入金換算率の点並びに同一人に対する合計額五万円を限度とする打切りの点等については、反対を表明しいるのでございまして、特にこの在外公館等借入金の性質より見まして、借入金提供関係者意見は慎重に検討を要するものであり、当委員会としてはこの点を考慮するとともに、委員会において検討を加えて参つた点をあわせて、大蔵委員会と緊密な連携をとりまして、でき得る限り借入金提供者の納得の行くべき方向に努力いたしたいと思います。なお委員各位におきましても、この点につきまして多くの意見があると思いますので、この際委員各位より御意見開陳していただき、一層の検討を加えたいと存じます。御意見の御開陳を求めます。
  13. 小西英雄

    小西(英)委員 在外公館借入金の問題ですが、私は委員の一人として、また満州にも十数年おつた関係上、そのときの心境からして、まつたく言語に絶する状態にあつた際に、自分のふところからそれを政府に貸したものだと思いますので、こういう場合に一定限度、たとえば五万円とか十万円とか限度をきめて打切るべしという精神で行くならば、今後に例を残して、あるいは海外移民など日本として今後どうしても考えなければいかぬ場合に、またそういう機会がないとも限らぬという場合に、限度をきめて切つてしまうという精神日本の将来に対して非常に悪い影響があるものと考えるのであります。金額倍加率あるいはきのうも、利子を付けてなんぼ渡すというふうな意見も出たように承つたのですが、そういうことよりも根本的には比例をしてきつちり渡してやる。何十倍とか何倍とかいうようにきめて一様に渡してやる。とにかく五万円で打切るというようなことは、まつた日本の今後のためによくないと私は考えております。
  14. 玉置實

    玉置(實)委員 大体在外公館借入金は当委員会におきましても、また昨日の連合審査会におきましても、参考人の御意見開陳によりまして大体の結論に到達したと思うのでありまするが、なお最後の結論に達しますまでに、われわれ当委員会といたしましてもさらに慎重に検討を要すると思うのでありまするが、ただいまの委員長の御発言のように、昨日の連合審査会におきましての大体の見通しは、要約いたしますると二点に盡きると思う。総額五万円をオーバーいたしますものを全部切捨てにするということは、すこぶる政治的にもまた法理的にも不備な点があるのではなかろうか、これが第一点であるように思うのであります。第二点は、問題の換算率でございまするが、この二つの問題に大体要約して考えますならば、われわれといたしましても参考人意見はもちろんのこと、この在外公館等借入金の実体なるものを相当調査いたしてみますると、やはりこの二つの問題をもう少し掘り下げまして、法理的にもまた当時の事情をももう少し深く実態を把握いたしませんと、この臨時国会におきまして、やぶから棒に出したような調子であの法律案を可決いたしまするならば悔いをあとに残すと思うのであります。この換算率の問題も、昨月の参考人意見を拜聽しておりますると、大体日本外地の間の物価指数根拠になつておるように承つたのでありまするが、この当時の物価指数を比較考量いたしましてあの換算率がかりにでき上つたものだと仮定いたしまするならば、ここにも相当、むづかしいりくつを申しますると、無理な点があると思うのであります。つまり給与ベースの問題はいつも問題になつておりまするし、またごく最近は恩給の引上げを実施いたしましたような調子からみまするならば、かりに当時の物価指数に基いてあの換算率ができ上つたといたしましても、それは六年前のことであります。六年前の債務をただいま返還するといたしましたならば、これも相当貨幣価値の下落という点から考えまして、政府といたしましても考慮の余地があるのではないか、こういうふうにも考えられるわけであります。また五万円を越えまする金額は全部切捨てごめんだという考え方も、ある意味から申しますると財産権の侵害ともいえまするし、政府借入金提供者との双務契約でこの問題が起きたとも考えまするので、委員長におかれましてはこの二つの点に問題を集中していただきまして、当委員会におきまして大体の結論をこの方向に向つてお導きいただきまするように要望する次第であります。
  15. 若林義孝

    若林委員長 この際暫時休憩をいたします。     午後二時四十三分休憩      ————◇—————     午後三時二分開議
  16. 若林義孝

    若林委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  在外公館借入金に関する件について御意見のある方はございませんか。
  17. 池見茂隆

    池見委員 昨日の参考人お話を承りまして特に私が感じますことは、今回の在外公館支拂いのことについて最高五万円でもつてその金額が限定されておるという点につきまして、非常に大きないわゆる波紋を及ぼすところがありはしないか。この五万円ということは、大蔵省としてどういつた見解のもとに立案されたか、その要領をひとつお聞きしたいと思います。
  18. 上田克郎

    上田説明員 お答えいたします。これが通常意味における国の債務でございますと、もちろん一定額債務が初めきまつておりまして、たとえば国債などのように、正当な法律上の根拠のもとに国が一定額債務を負いましたものみつきまして、それを返済するにあたりまして一定限度を設けるということは確かにいかがかと思われるのでありますが、昨日も御証言がありました通り、この借入金性格と申しますものは実に多種多様な形ででき上つている、そういうふうに申せると思います。従いまして法律論でたいへん恐縮でございますが、法律的な解釈といたしましては、この借入金現地での金額そのものがただちに国の債務にその際になつた、特に円の債務になつた、そういうような債務ではなくて、例の在外公館等借入金整理準備審査会法の第一條第二項に基きまして、この種の借入金につきましては将来法律の定めるところに従い、かつ予算範囲内において将来返済すべき国の債務であるということを承認されたものだと考えております。従いまして一種の国の債務としての追認である。しかもその追認する範囲につきましては、将来の法律予算とを考えてこれを確定するのである、そういうような性格のものだとわれわれは解釈いたしております。このことは昨日岡崎参考人が中途でおやめになりましたが、外務大臣から在外公館長あてに、昭和二十年の九月七日訓令が出ておりますが、たいへん恐縮でありますがこの全文を読みまして、今申し上げたいことが無理な解釈ではないということの御参考にいたしたいと思います。「在留民処置に付ては此の上とも各館に於て万全の策を講ぜられ遺漏なきを期せられ度。  之に要する経費相当多額に上るものと察せられ之が一部は勿論出来得る限り各現地事情に応じ民団、民会日本人会等をして引受けしむべきものと思考するも結局大部分は国庫に於て負担する外なきに至るべし。  然る処之に対する予算の計上困難なるのみならず送金亦不能の情況なるを以つて差当り現地に於て便宜凡有方法により支弁し置かれ度し。  後日之を整理することと致すべきに付、其の使途、金額明細出来得る限り証憑書類等を整備し保存し置かれ度。」  そういうふうな電報になつております。そうして御承知通り在外公館が借入れたものがもちろん多うございますが、在外公館等と書いてございまして、そのほか邦人自治団体、もしくはこれに準ずる団体の借入れられたものも国の債務として取扱うことになつております。借入れの方法あるいは條件、そういうものが区々にわたりますことは、すでに参考人方々の御証言で御承知通りでございまして、確かに大局的に見れば国が拂うべきであつた金額、そういうものを、それではどれだけだときめるときの法律、それが今度の法律だと私は考えております。従いまして、さきの国会において通過いたしました在外公館等借入金返済準備に関する法律の第二條では、そのような性格借入金でありますことを勘案いたしまして、返済方法基準ということの中に「前條の法律案において、借入金返済方法は、国民負担の衡平の見地から、公正且つ妥当な基準に基いて定められなければならない。」そういう條文が入つたものと承知いたしております。従いまして純法律論的に言いますと、どういう拂い方をするかということは今度の法律皆様の御決定を持つ、そういう性格のものだと考えておりますので、政府考えました五万円という金額は多分戰争犠牲者、その他政府がまだやらなければならないと考えられますいろいろな債務、そういうものにつきましてのことを考慮いたしまして、この程度が妥当である、そういう決定がなされたものと考えております。
  19. 池見茂隆

    池見委員 今の外債課長法律的なお話は、聞いておれば一応ごもつとものようでありますが、少くとも当時出されたその訓令内容から見ましても、これは国の債務である。債権債務というものはそこに明確に存在しておつて、今お話のように、他の戦争犠牲者あるいはこれに類する等の支弁もそこにはある。そういつた点から、いわゆる国民負担という線もよく考えて、この五万円程度決定することが一応妥当ではないかというようなお話のように聞き取れますが、これはいわゆる一方的な考え方であるということを私は申し上げたい。こういつた国の負債というものは、何をさておいてもこれは優先的に支拂わなければならない性格の金であるということはあなたもよくおわかりだろうと思います。そうしたならば、たとえばこの法律が通過するというような場合においてもしいわゆる大口の貸付者が五万円で打切られた場合においては、そこに私は民法上のいろいろな債権債務に対するところの複雑なる法律問題が生ずることを懸念するのです。またきのう聞きますと、この五万円以上の貸付者は、パーセンテージからいつてそうたくさんないというふうな実情から考えましても、私はこういつた一定の線を引くということは国民感情的に、また国の政治を行う上からも、また一方において当時この金がいかなるものに使用されたかという、この使用された費途の面からいつて、これは人道的にも拂わなければならない問題ではなかろうかと考えております。またこういつた面につきましては、大蔵委員会等もいろいろ見解等もありましようから、一応私としての意見を申し述べておきます。
  20. 若林義孝

    若林委員長 他に御発言がなければ、在外公館借入金に関する件についてはこの程度にいたしたいと存じます。     —————————————
  21. 若林義孝

    若林委員長 なおこの際お諮りをいたします。大蔵委員会に付託になりました未復員者給与法等の一部を改正する法律案につきましては、当委員会としても先般来より検討を続けて参りましたものと同じ内容でありますので、委員長といたしましては、当委員会の意向を大蔵委員会において発言をいたすべく申し入れたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 若林義孝

    若林委員長 それではさよう申し入れることにいたします。本日はこれにて散会いたします。     午後三時十三分散会