○山崎(岩)
委員 ただいまは、か
つて国鉄のエキスパートとしてまことに令名の高
かつた
岡田委員から、詳細にわた
つて質疑が繰返されまして、それに対して
安本の
今泉政府委員並びに
黒田局長さんから御懇切なるところの御答弁がございましたので、私はここに二、三点蛇足ながら加えまして、
政府の御
意見を承りたいと思います。
昨年本
委員会から、
北海道並びに東北
地方にわたりまして、国鉄並びに
港湾、まあ陸海空に関しまするところの諸調査の目的をも
つて派遣せられまして、ただいま御
質問されました
岡田委員も一行に加わ
つて、本年は八月十三日に八戸港を振り出しにいたしまして、東北、
北海道り
港湾の調査をして参りたのであります。本年は同じく八月に、本
委員会から七人の調査員が派遣されまして、これまた
北海道の諸
港湾と東北における諸
港湾の調査をして参つたのでありますが、その
港湾の実情はまことに悲惨なものである。戦時中におきましてはほとんど手をかけていない、まつたく荒れるにまかせているような
状態でありまして、これで一体どうして
日本の産業経済の復興というものができるものかというような、まことにさびしい気持を持
つて帰
つて来たのであります。しかるところ、ただいま
政府委員の御
説明のうちにも、まことに身に迫るような苦衷を述べられたのでありまするが、国破れて山河あり、しかしながらその山河さえも今日の
状態では健全ではない。なぜならば終戦後数回にわたる恐るべき台風によ
つてそれも蹂躙せられて、今日ではほんとうに荒廃し切
つておるのでありまして、たたかれたり打ちのめされたりの
状態が祖国
日本の姿であるということを、私どもは今質疑応答の中に切切に胸に感じたようなわけなのであります。しかし
日本もいよいよ完全独立になるのでありまして、来年の三月ごろには私どももはえある国際社会の中に、一独立国家の国民としてこれから参加して行くのである。どうしても私どもの手によ
つて、祖国
日本の再建をはか
つて行かなければならぬ。その再建の原動力は一体何であるかという点から観察してみますならば、それは言うまでもなく、陸海空のこの運輸の
関係が、いかにスムーズに取運ばれるかという一点に帰するかを考えておるのでございます。昨
日本委員会におきまして、いろいろ質疑応答がありました。
岡田委員からも詳細なるところの
質問が
政府に向
つて発せられまして、
政府当局からもいろいろ懇切なる答弁があつたのでありまするが、現在における駅頭
滞貨というものは、約二百万トンといわれておるのであります。
北海道におけるところの
滞貨であ
つても、これはもう六十万トンを上まわ
つておるのでございます。しかるところ国鉄は、貨車がない、あるいは機関車が故障であると、いろいろな難点をあげまして、この
輸送カがいかに衰退しておるかという点について、私どもに対して、むしろいろいろな点から困つた一点張りの答弁をしておるのでございまするが、私はここに一点どうしてもふに落ちないことがある。これは私は、本
委員会において数回にわた
つて国鉄並びに
政府当局に対して質疑をしておるのでありまするが、なぜ一体
政府は、あるいは国鉄は、海運の運輸を考えないのかという点なのであります。
北海道におけるところの
滞貨の実情をいろいろな点から申し述べまして、青函連絡船の窮状を訴えておる。青函連絡船は浮流機雷のために、非常な拘束を受けておるのでありまして、そのために十六運航が十四運航に減つた。あるいは夜間航行というものがなく
なつた。そこであののど仏をとちつめられてしま
つておるために、
北海道と
内地におけるところの運輸の
関係が、まことに拘束を受けておるということを述べておるのでありますが、青函連絡船におけるあの窮状を打開する道は、私は特にあると思う。それは何だというならば船舶を利用することなんだ。なぜ船舶を利用しないのか。たとえば青函の
関係においてそこに隘路があるのであつたならば、なぜ小湊港を利用して、あの可動橋を利用しないか。繋船
岸壁を利用しないのか。あるいはなぜ八戸港を利用しまして、八戸港における
荷役の
関係を円満に取上げる考えはないのであるか。こういう点についても数回にわた
つて私は答弁を求めておるのでありまするけれども、いろいろな点からいたして、ただ国鉄は国鉄並の鉄道の
関係の隘路の点だけを述べておるのでありまするが、私はまことに遺憾にたえない。
そこで私は、今
黒田局長さんにお尋ね申し上げたいのでございまするが、この運輸の
関係において、二百万トンのこの
滞貨を払拭する道は一体何だというならば、やはり船舶の利用、海運の利用なんだ。その海運の利用に対して、国鉄当局と、それから
港湾の当局である
黒田局長さんとの間において、何らかの打合せをされたというような事実が今日まであつたかどうか。その点一つお尋ね申し上げたい。どうも国鉄は国鉄のことばかりにとらわれておりますが、
運輸省の
港湾局長である
黒田さんといろいろ連絡をと
つて、八戸港の利用は一体どうすればできるか。もし八戸港を利用して東北本線を利用するということが、やはり鉄道の
関係で都合が悪いのであつたならば、青森県並びに岩手県におけるところの物産を八戸へ持
つて来て、八戸から
東京湾へ運ぶ手をなぜ講じないのか。そういう点をなおざりにして、ただ貨車が足りないとか、あるいは機関車が故障であるとか、その他の隘路を申し述べるということは、あまりに策がなさ過ぎはしないか。
日本がこれから独立して行かなければならぬ、一人立ちして行かなければならぬという今日の段階においては、あまりにくふうがないと考えて、私はふしぎにたえない。この点について
黒田局長さんは、国鉄当局からそういう御相談を受けたためしがあつたかどうかをまずお尋ね申し上げたい。
〔岡村
委員長代理退席、大澤
委員長代理着席〕