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石井(昭)
政府委員 実は戰争中、相当の旅館を
鉄道において買收したという例が各所にございます。その一つの理由といたしましては、戰争中に
鉄道業務が輻湊して参りまして、従事員を他の地方から持つて来て、そこにつぎ込まなければならない。ところが住居
関係がないというようなことと、法律上強制せられておりまする職員の訓練
関係等のために、宿泊所を必要としたというようなことがございました。一方それに対しまして旅館業者の方が、物資の統制その他の
関係で
営業がやりにくくなつたというようなことで、ちようど
意見が合致いたしまして、いろいろ買收されたこともあるようであります。また戰争がはげしくなりますと、いつ空襲されるかもわからないというようなときに、そう言つては何でございますが、捨値同様でお売りになつたのもなきにしもあらずだと思うのでございます。かような寮が相当ふえましたのは、終戰後におきましても、
実情といたしましては非常に必要であつた。と申しますのは、御
承知のように人員の配置が都市付近、工場付近等で非常にきゆうくつな反面、それ以外の土地では非常に楽になつておるということで、宿泊所の
関係その他からその必要があつたのであります。最近はだんだん食糧事情あるいは住宅事情もよくなつて参りましたし、また宿屋のようなものを利用するよりは、新しくその目的に合致しました合宿所等も
建設されて参つております。従つてその必要がなくなつて来たところも多いようであります。全般的に申しますと、そのような寮は大部分
払下げをいたして参つておると考えております。現在もまたそういう原則で、利用しなくても済むきわめて利用度の少いものは、大体払い下げるという方向で進んでおるようであります。これは経営合理化の一環でもございますし、また旧
所有者としても非常に御熱望の方も多いようでございますので、そういう措置をだんだん講じておるようでございます。今日残つておりますのは、
鉄道の寮といたしましても、きわめて利用度の高いところが残つておるようであります。ただいまお話のございました当該寮につきましては、私どもも実は詳しい数字を持つておりませんので、はつきりお答えできないのは残念でございますが、
国鉄の方といたしましては、よく利用しておるとのことでございます。従いましてそういう見地から、地元におきまするお話合いがつかないでおるのではないかと思われるのでありますが、御
請願の
趣旨もございますし、具体的な例でございますので、なお一層よく調査をいたしまして、もし利用度がきわめて少いようなところでございますれば、旧
所有者に
払下げをするのが最も妥当な方法だと考えております。非常に利用度が高いようでございますれば、これにかわるべき施設なり、他の方法があるかないかということ等を検討した上で、御返答させていただきたい、かように存ずる次第でございます。