○
山崎(岩)
委員 ただいま
運輸大臣並びに
国鉄総裁から、御懇篤なる御
説明を承
つたのでありますが、しかも
運輸大臣のお
言葉は、リツジウエイ声明を引用されてのお
言葉でありまして、私もここにいささか蒙を開くことができました。今までは占領政策の面が非常に強か
つた、そこで
政府の
考えておることであ
つても、国会の
考えておることであ
つても、なかなか思う
通りに行かなか
つたのだが、今度は光風霽月と申しましようか、曇天に晴天をながめるような、まことに明朗な時期が来たのだというお
言葉でございますので、私はそのお
言葉を信用申し上げたいと思うのであります。だが本日、わが自由党の
運輸委員であられ、しかも
理事であられる大澤
委員から、まことに重大な発言をされたのであります。私は
委員といたしまして、しかも与党の
委員としまして、実は大澤
委員のお
言葉を聞きまして、まことに意を強うしたのであります。しかしながらこれは
政府当局並びに
国鉄当局に対しましては、青天の霹靂の
言葉なのであります。まことに辛辣そのもののお
言葉なのだ。何かというならば、今までのようなやり方であ
つては、この
運賃値上げは決してのまぬぞという重大な
意味を持
つておる。ここに皆様方は目を開いていただかなければならぬのであります。一体こういうことをわが与党の
理事が、どういうわけで発言をしたのか。それにはわけがある。何かというと今日まで本
委員会において決議をし、本
委員会において
りつぱな討議を尽して決定したことを、一体
政府並びに
国鉄当局において取上げたためしがあ
つたか。今日まで、加賀山
総裁の当時においては、重大なる決議を本
委員会において二件や
つておるのであります。
一つは何か、
国鉄において副
総裁を採用するということであ
つた。
一つは何だ、管理局を設くべしということであ
つた。しかもこのことは衆議院の本
委員会における決議ばかりではない。参議院の
運輸委員会においても、同様の決議がされたのであります。しかして第十国会の掉尾におきましては、本
会議においてすらこの問題が取上げられて、決議せられておるのであります。しかもこの決議というものは、一体
政府当局並びに
国鉄当局において採用されたか。今度長崎
総裁が就任されてから、初めて副
総裁が就任されたのであります。けれ
どもそれまでは就任されなか
つたのであります。しかも先ほど行政機構の改革と機構運営の面から、辛辣なる御
質問を大澤
委員がなされたのでありまするが、あの管理局設置の決議のごときでありましても、これは
運輸省当局と
国鉄当局との間には、非常に大きなギヤツプがあ
つたのだと私は指摘することができる。今日までは、
運輸省における
考え方と
国鉄における
考え方とは、まさにこれは相反するものがある。ギヤツプがあ
つたのであります。なぜならば、
大臣の権限が
国鉄総裁に及ばざるところが多々あ
つた。その例が、ただいま大澤
委員が
關谷政務次官といろいろ約束をし、いろいろ相談でこうや
つたことを見ても、
国鉄当局において取上げられたためしがないというのは、そのことを
意味するのだ。
政務次官はいやしくも副
大臣の立場にあ
つて、国会との間において重大な
連絡のポストを握
つておる方である。ところがその方の
意見でさえも、
国鉄として取上げることがなか
つた。それを大澤
委員が指摘されたのであります。それに対する
關谷政務次官のお
言葉というものは、まことに抽象的でやわらかい、ふんわりとしたものであるけれ
ども、
政務次官も政治家だ、おそらくは心の中で、まことにこれは容易ならざるものを感ぜられてお
つたに相違ないと私は
考える。なぜそういうことを申し上げるかといいますと、私
どもは第十国会において、
国鉄法の一部改正案を、私
ども議員提案によ
つて提出したのであります。そういう法律を一体何のためにわれわれが上程しなければならなか
つたのか、何のために一部改正をやらなければならなか
つたか。要するに
運輸省と
国鉄当局との間におけるギヤツプを、これによ
つて払拭して、
大臣の権限をふやさなければならないような状況を、多々ますますわれわれは見ることがあ
つた結果なのであります。ただいま長崎
総裁は私
どもに対しまして、国民の
鉄道なのだ、従いまして私
どもとしては公共企業体というものの本然の性質にかんがみて、国家的な使命を達成することのために、
努力して行かなければならぬというお
言葉を述べられております。この点、前の加賀山
総裁も同様の
言葉を述べられておられたのであります。私は加賀山
総裁に対しまして、本
委員会における決議を、あなたは尊重する御
決意があるかとお尋ね申し上げましたところが、われわれは本
委員会の決議を十分に尊重するということを言明されておる。いやしくも国会は国権の最高機関である。その国権の最高機関たる国会において決議されたことは、もちろんコーポレーシヨンとなりましても、
国鉄はそれを採用するにやぶさかでないという
答弁をされておる。しかしながらわれわれが決議をいたしまして一年有半になんなんとしておりますが、それをなし遂げることなくして加賀山
総裁は、残念ながら退任されたのであります。私は加賀山
総裁が退任されたのちにおいて、これを責めようといふ
考えはない。だが
国鉄当局なるものは、私
どもの見るところでは、このままの
状態にしておけば
国鉄フアツシヨになりかねない団体であるとにらんだ。与党たるわれわれがにらんでおるのだから間違いないのである。そのくらいに
国鉄というものは自我を通そうとして、あくまでもコーポレーシヨンのわくの中に閉じこも
つて、われわれ国会をあたかも敵視せぬまでも、いろいろ私
どもをしいたげて来たということは、満堂の諸君のすでに認めるところなのである。ここにおいて私
どもはこのままではいかぬ。
国鉄法の改正案が出ましても、
運賃の改正案が出ましても、審議するものはわれわれ
委員会である。提案するものは
大臣並びに
政務次官、局長である。そうして
国鉄はその陰に隠れて、自分だけの自我を達成しようとして、あらゆる部面においてスクラムを組んで、われわれに対抗したとよりしか判断することができない。なぜならば、私
どもの
意見をほんとうに尊重するのであ
つたならば、今日までの
国鉄当局における本
委員会の決議の取扱い方に対して、もう少し迅速に、しかも果敢になし遂げることができたものであると私は信じておるのであります。なぜこういうことを言うかと申しますと、昨年の七月二十八日に衆参両院の
委員長が、
運輸大臣と加賀山
総裁とを招ぜられた際に、これに対しまして自由党からは益谷総務会長、佐藤幹事長が出席され、民主党からは木下総務会長が出席され、衆議院の
委員会からは片岡代議士が出席された。私
ども二、三の者はオブザーヴアーとして、その会合に列席したのでありますが、その際加賀山
総裁なるものは、
青森、宇都宮、姫路、下関の四箇所に管理局を設けますということを約束した。なるべく早くやるということを約束した。但しこれは四箇所よりふやすことはできませんということをつけ加えた。しかも新聞等には絶対的に報道しないということもつけ加えた。そしてこれは
国鉄法第五十四條に基いて
大臣命令を発していただきたいということを、加賀山
総裁自体のお口から提案されたのである。それをここにおられる
山崎運輸大臣がちやんとのみ込まれた。立会いの
委員の方方がちやんとそれを承認されたのである。われわれは今日まで紳士として新聞に一言も発表することなく、本
委員会において討議することもなく、今日まで待
つて来ました。しかしその約束を果さずして、加賀山
総裁が退任されたのであります。私は加賀山
総裁の
考え方は、どういう深謀熟慮があ
つたかわかりませんが、CTSというものによ
つてわれわれは監督を受けておる。たとい
大臣命令を出そうとしても、CTSの許可がなければ
大臣命令は出せるものではありません。やれるものならや
つてごらんなさい、
大臣様と言わんばかりに、加賀山
総裁がこの約束を提案されたものと思う。しかもその当時における
山崎運輸大臣は、就任されてから一週間か二週間しか経
つていない。前の
運輸大臣の大屋さんの当時、この管理局というものが設けられた。そこで
山崎運輸大臣はいかに政界の大御所であ
つても、いかに政界の大権威者であ
つても、法律第五十四條に基いて
大臣命令を出すことの可否については、おそらく御
承知がなか
つた。われわれもまたこれに対する深い
研究はなか
つたのであります。しかもその法律第五十四條というものは遂に用いられることなくして、今日まで参
つたのであります。いかがでしよう。
大臣命令を発しなければ私はやらない。また
大臣命令を早くお出しなさい。あなたが出さないから私はやらないと言わんばかりにして、公共企業体の名の下に隠れて今日までや
つて来たのが、この行政機構改革の問題であり、同時に本委
委員における決議をとうとう採用せられることなくして、今日まで来
つておるのであります。私は加賀山
総裁と
山崎運輸大臣との間においてこういう約束をされたことは、今日まで申し上げた覚えがないのであります。これは各党の代表者もちやんと参加をされて、堂々と結んだ協約である。なぜそういう協約を結ばなければならなか
つたか。それは八月一日から今度のこの縦割制度の機構改革を実施することに
なつた。これは各党においては重大問題である。社会党としては一年間の延期案を出そうとした。これを阻止するために他の決議を出して、八月一日から実施することをとりやめさせようという運動をや
つた。そこでこういう重大時期において与党たるものがこのままの
状態で過すことはできないというので、両院の
運輸委員長が中心となり、各党の代表として総務会長、幹事長が招ぜられまして、昨年八月二十八日に会談を開き、先ほど申しましたように
大臣命令を発すること、四箇所に管理局を設けること、新聞その他には発表しないこと、こういう約束ができたが、
運輸省と
国鉄当局との間においてほんとうにスームスな働きができ上
つておるのであれば、よもやこういう約束はしようといたしますまい。私はもし前田
委員長がおられるのであ
つたならば、前田
委員長に対して一体
委員会の責任はどうするのかということを追究しようと思
つていたのですが、残念ながら
委員長は、自分の県の
鹿兒島県が災害にあいましたので、今朝立たれた。それで私は
大臣御出席のもとに申し上げたいのであります。このように
運輸省と
国鉄との間において、
大臣命令の金科玉條を振りかざさなければ
解決がつかぬということは、何を
意味するか。これは結局は
国鉄と
運輸省との間における、
一つの大きなギヤツプではなかろうかと
考えるのであります。こういう
状態では、公共企業体としての今後の
国鉄運営の上に、一体いかなる
事態を持
つて来るかと、まことに心痛にたえなか
つたので、私
どもは第十国会において、
国鉄法一部改正案というものを上程した。そして
大臣に対して相当の権限を与え、同時にまた
国鉄総裁に対しましても、二万
キロ以上にわたるところの重大なる大きな事業を持
つておる、おそらくこれほどの大企業は、世界においても指折り勘定するより以外にあるまいと思われるほどの大きな企業体を運営される
総裁である、その
総裁の立場をもわれわれはある
程度まで強めて、権力を持たせて、監理
委員会を有名無実であるがゆえに廃止をして、ほんとうに
総裁として、プレシデントとしての実権をお与えしなければならないということまで
考えたのであります。こういうもろもろのことを
考えてみれば、与党であるところのわが自由党の大澤
委員らのきようの発言は、まことに重大な発言である。これをあなた方は尋常一様に軽視することはできません。自由党としても十分に
考えて、たとい
大臣がわが党出身の大先輩であられましても、
政務次官がわれわれの同僚でありましても、私
どもとしては今後この問題に対して重大なる関心を払いつつ審議を進めながら、
国鉄当局の
考え方と
運輸省当局の
考え方を糾明して、われわれは国民に対してただすべきはただし、なすべきはなして、そうして国民の負託にこたえて行かなければならない、これが私
どもの今日の立場なのであります。この点十分に御考慮くださいまして、大澤
委員の御発言というものに重大なる関心を払われるように私は希望するのであります。