○参考人(寺山源助君) 私は
国鉄の
委員長の寺山でございます。
ここに
国鉄四十七万の
労働者並びにその家族の生活苦境を打開して、社会的な使命であります輸送の増強を一層高めるための要件でありまする賃金べースの改訂問題につきまして、参議院の皆様から御
審議を煩わすことになりましたことは、この各位の御配慮に対しましては深く感謝を申上げます。更に又この際お詫びと御礼を申上げ、一層の御協力をお願いいたしたいことは、先般来桜木町におきまして惹起いたしましたあの不祥
事件でございまするが、この点は
国民大衆各位に我々
国鉄従業員といたしましても深くお詫び申上げますると共に、この悲惨な
事柄を契機といたしまして、
国鉄のあり方について国会におきまして十分なる
責任を持
つておられまする皆様に深甚なる御配慮を切にお願いをいたしたいのであります。私
どもといたしましては、根本的な
国鉄の予算、
国鉄経営の
実情に沿
つて更に一層の御配慮をお願いいたしたいのでございますが、それはそれといたしまして、輸送の安全につきまして
国鉄労働組合も又社会的に負わされておりまするところのこの大きな
責任に対しましては、この重責を痛感いたしまして、六月の新潟の全国大会におきましても満場一致安全に関しまする
決議を採決をいたしました。更に一層の安全への努力を着々いたしつつある
現状であることを申添えまして、各位の御
了解と又国会としてのこれに対しまするいろいろな御配慮をお願いいたしたいと
考えるのでございます。
さて
国鉄労働者といたしまして、昨年参議院におきまする御
審議によりまして八千二百円ベースとなりました。この間
国鉄労働者は輸送力の増強というものが
日本の
経済の根幹であるということを痛感いたして、定員法以来とみに加わりました非常な劣悪な
労働条件の中で、本当に孜々といたしまして精進をいたして参りました結果、昭和二十五年度におきましては、先般
国鉄白書にも明らかにされておりまするように、三十数億という極めて顕著に業績に貢献をしたのでございます。併しながらこの間朝鮮事変によりまする物価の高騰は日一日と速度を加えまして、八千二百円べースではとてもその生活は保ち得られない。その生活安定の意義を失いまして、本年の春以来
国鉄労働者は極めて生活の苦境に立つに至
つたわけでございます。そこで私
どもは本年の三月中央
委員会の
決議を以ちまして、四月以降の賃金べース一万一千五百円を以てスライド制の新賃金として要求することにいたしまして、
国鉄当局に団体交渉を申入れたのでございます。それからすでに六カ月にも相成りまするが、こ間ますます生活は困窮から困窮へと陥
つて参りましたにもかかわらず、解決はますます遅々として進みません。四十七万の
国鉄労働者の焦慮と苦悶はようやく輸送の障害とさえなりつつあるような次第でございまして、これから申上げるその
経過を十分にお聞きとり御
審議の上、どうぞ適切な御
審議を速かにとられまするように、
国鉄の
労働者を
代表いたしまして心から要望をいたすわけでございます。
先ず団体交渉を申入れましてからの概要を御
説明申上げますが、調停案提示に至りまするまでの概要を簡単に申上げます。三月十三日に二十六年四月を一万一千五百円として、以下物価の高騰に比例いたしましてスライドして生活の安定を図り得るようにという趣旨に立ちまする新賃金の要求を提出いたしまして、当局との団交を重ねましたが、交渉はなかなか進みません。四月の十七日になりまして、
国鉄の当局は文書を以ちまして、今直ちには応じがたいという旨を述べて要求を拒否して参りました。止むなく四月の十九日に中央調停
委員会に申請をいたしましたところ、六月の五日まで何回かに亘
つて御
審議を受けました。この間
只今公述いたしました藤林調停
委員長より、調停は従前の経験からして非常に困難であるけれ
ども、やはり調停による紛争解決を求めるかどうかというような、
先ほどおつしやられましたような御
質問があ
つたことは事実であります。これに対しまして、私
どもは公労法の精神に副いまして当然でありますと御返事をいたしたのであります。言うまでもなく、労使の紛争は本来団体交渉のみで解決することが本則でございまして、調停の上に仲裁機関があるにせよ、調停機関に解決願うべきことは当然でありまして、今日までの経緯よりいたしまして、問題の
国鉄当局にあ
つて、公労法十六条の趣旨を本当に守る決意ありや否やの
質問がなさるべきもあ
つたと
考える次第でございます。従いまして私
どもは当然である旨お答えはいたしましたが、そのことは調停の内容が今日の問題にな
つておるようなことにな
つてもよいなどという
意味では全然なくて、又御
質問もそのような趣旨には到底理解できなか
つた言葉であ
つたわけでありまして、六月の五日に調停
委員会より給與改善の緊急性を認められまして、昭和二十六年度における職員の新賃金は平均月額一、万八百二十四円とする調停案が提示されましたのは
先ほど委員長が申されました
通りであります。そうしてその際調停案の十九項に示した
通り補正予算の必要な措置をとる可能性を
考えて立てた調停案である旨の
答弁もございました。それから主文第一項の必要な措置とは何であるかという御
質問がありまして、これに対しまして補正予算の編成であるという旨の御返事がございまして、我々といたしましても普通当然の
意味においてそのまま受取
つたわけでございます。ところが又今日二カ月以上に及んでも労使間の常識的処置でありまする賃金協定が
成立しないで紛争と
なつたのでございます。私
どもはこのとき、この調停案は債権債務
関係を両者に負わせないとか、又は賃金協定は締結できない内容だとかの
お話は何ら伺
つておりませんし、又調停案主文又は理由書を拝見いたしましても、かような解釈は
一般常識の上からは生まれて来ないから、丁度六月五日から八月までの間は新潟におきまする
国鉄の
労働組合としての全国大会を開催しておりましたのでこの調停案は即日大会の
審議するところとなりました。そうしてこの大会の小
委員会でありまする給與
委員会におきまして、深更……全く遅くまで
審議をいたしまして、更に翌日の本会議にかけて
審議をいたしました結果、金額の点、それから並びにスライド制を否定された点などは不満なところがありましたけれ
ども、原則として受諾の
立場を取るということを了承いたしまして、回答文その他は本部に一任をすることとして、賃金
水準の改訂の速かに実現する最善の方途をとることを本部に一任するという旨の
決議と
なつたわけでございます。大会におきまして役員の改選がございましたが、新役員はこの大会の
決議を以て六月十五日調停
委員会へ次の趣旨の回答をいたした次第でございす。即 第一に、調停案第二項は第一項の具体的実施の方途であること、と言いますのは、月平均一万八百二十四円ベース改訂、打切りがいつからそれを実施するか不明確ではありますが、第二項の補正も全くベース切替後と同じく四月から実施まで一人当り平均二千四百円を支給する
意味であることを確信いたしたのでございました。第二には調停案は
一般賃金と物価生計費の本年三月までの上昇率がそのまま推移するであろうとの観測を以て算定されたので、この推定が余りにも低過ぎる、余り低きに失する場合には調停案にとらわれず新たに
考えなければならないと
考えたわけでございます。以上の二点が当然許される
考え方であることを条件として受諾の回答をいたしました。
国鉄当局も又六月十五日に実施に努力する旨の回答をいたしましたのでありますが、その時の受諾という文字が回答文にないのが問題に
なつたのでありますが、調停
委員会に赴いた当局の
代表が、調停受諾と解釈してよろしいかとの
質問に対して、そう解釈されても結構であるという旨の証言をいたしたので組合側もさように受取りました。同日附を以ちまして中央調停
委員会は
成立の宣言を公式にされ、紛争の解決を明確にしたわけでございます。私
どもといたしましては、労使双方が調停を受諾したことを全く心から喜びましたことは言うまでもございませんが、民主的
労働組合として労使間の問題が業務に支障を及ぼすことがなくて妥結に至ることを望むのは当然でございます。従いまして
国鉄当局に対し鋭意完全実施までの努力を要望した次第であります。調停案の理由書にもあり、且つは又我々も知り尽くしておりますように、
国鉄財政の現在では調停案全額を実施する余裕がございません。
従つて国鉄当局は完全なる支払をする能力を今日では欠いております。併しながら能力を今日では欠いておると言いながら、このことは
国鉄の当局が調停全額を協定して調印をなし得る能力を欠いているということには、そういうことにはなりません。なぜならば言うまでもなく公労法の十六条は資金上予算上不可能なことであ
つても妥当なことであれば協定し調印をなし得る能力を付与されているからでございます。私
どもはこういう点から調停案の双方の受諾によ
つて双方が債権債務の
関係が生じたと
考え、あとは具体的な点についての取りきめを行
つて協定調印をすることが公労法に副う
一般常識と
考えた次第でございました。これは今日労使間の常識でありまして、
一般的な通例でさえございます。今日まで私
どもは始終調印はいたしたものの債権債務の伴わない協定をしない、いわゆる債権債務を伴わない協定はしないという例は聞いたことがないのでございます。
従つてその後の交渉
経過といたしまして、組合は直ちに調停案の趣旨に副
つた賃金協定組合案を当局に提示いたしましたところ、六月の二十五日に加賀山総裁との会見の席上当局は不明確な
態度を先ず示しまして若干の猶予を求めました。次いで六月の二十七日の会見におきましては、調停案の受取り方に組合と違
つた点があると申しまして、その後十数回に亘る交渉にもかかわらず実施に努力はするが、協定には応じられないという
立場を逐次明らかにして参
つたのであります。この問夏期手当の問題がありまして若干の時日の停頓がありますが、その後においても何ら進捗いたしませんで、八月の十一日の回答も又交渉は不調に終
つて、剰え組合が仲裁申請するのも止むを得ないというようなことに至りました。八月の十四日補正予算の編成について大蔵省へ要請に参りました組合の
代表が、
先ほど藤林
委員長も
ちよつと申されましたが、大蔵省の主計局長から
国鉄当局が調停案を受諾したと解釈してはおらないという旨の意外な
発言を承わりまして、我々は非常に驚き、更に大蔵次官にその向を質しましたところ、その点自分としても不明確であるというので明答をそらしておりました。この点は誠に奇々怪なことでありまして、すでに補正予算の編成は二十二、三日頃までには終了するという話もあるのに、大蔵省自体がこういう
態度で
審議に当
つているという原因がどこにあるかということを我々は静かに
考えると同時に、且つ激しい忿懣の情を押えることができないのでございます。次いで八月十七日に
国鉄当局は正式に我々が要求いたしました協定締結には応じないという回答をいたし、更に調停案の第二項の趣旨に副うべース改訂の補正第一回として八月二十三日に二千円支払いせよとの要求も拒否して参りました。すでに最近では人事院の勧告案が、今日あたりの新聞で見ましても、それによりますれば公務員の新賃金は一万一千二百六十三円であるよにう承わ
つております。現業職員でありまするし、且つは最も重労務の輸送を担当しておりまする
国鉄職員賃金がこれよりも安く一万八百二十四円の調停案であることの矛盾もさることながら、その調停案ですら大蔵省で奇々怪々な
取扱を受け、
国鉄当局も又公労法で当然の協定に応ずべき当事者能力を持ちながらこれに応じないという不誠意に対しましては、今や
国鉄職員は折角労使双方が受諾し、平和裡に賃金紛争が解決をするであろう希望を全く打ちしだかれるのではないかという、この生活苦境の中で重大な決意を固めざるを得ないというような
立場に追いつめられておる次第でございます。
国鉄労働者の
現状は細かく申上げなくてもおわかりと思いまするけれ
ども、あの動乱以来特需生産資材の値上りによりまして、それによる消費物価はここ一年間三五%以上上昇を示しておりますことは皆様のすでに御承知の
通りでございますが、そのうち米価の引上げと、或いは電気料金の値上げ、地方税源泉徴収等、生活の窮迫はどん底に落ちて全く破局に瀕しております。更にガスや水道の料金の値上ということもそれぞれ企画されているというようなことも伝え聞かされておりまする今日、収入は依然として八千四百円べース据置きに、日増しに殖えて参りまする
現状におきましては、今全国から組合本部に続々寄せられまするところの
決議案、或いは申入書、抗議書、或いは組合役員それぞれの文書で間に合わず、あらゆる
代表者が本部に押しかけて参ります等、この
一つ一つが苦しい職場と台所の中から惨み出る血の綴りであるということは、いささかの誇張もございません。このままにしておいたならばどんな状態に、如何なる事態が惹起されるかもわからないというような状態でございます。このような苦しい生活と闘いながらも組合員は、いわゆる
国鉄労働者は輸送の重責を痛感いたしまして、飽くまでその責務を発揮しようと努力をいたしておるのでございまして、各位もその点はすでに十分御了承を頂いて本日のような御
審議を頂くことに
なつたのだろうと存じておるのでありますが、これを輸送目標と
委員の面から見ますと、昨年まではいわゆる一億三千万トン増送ということにそれを目標といたしまして、かなりの現場におきましても無理と
労働強化を我々は忍んで参りました。最近におきましては遥かにこの目標を突破いたしまして、朝鮮動乱がああいうような一時鎮静の状態になりましても、一億五千五百万トンの増送を目指して計画し進んでおるような
実情でございます。一方このように輸送実績、目標は殖えて行く、その半面裏付となる人員の面については先だ
つての定員法以来十七万近くの人間が整理乃至削減が行われております。業務量は二十四年度に比べますと、貨物においては三千万トン殖えておる。旅客輸送の人員は二割も増加しておるという、かように多くな
つておるのでございますが、当然そこには数字では想像されないいわゆる
労働強化の厳しさが職場を包んでおるのでございます。現在体力管理法に基ずきまして、病気で休養を命ぜられておりますものは一万三千名余りもおるのであります。これらも
労働強化によりますところの大きな犠牲であるということが
考えられる。こういう今日のように失業者が殖え、そうして就職難で困
つておるときに、我々の働いております職場の中からどんどんと退職者が、みずからの希望によ
つて退職者が殖えておる。大操車場におきましても新規採用者がこの就職難の世の中に相ついで集団的に職を去
つて行くのであります。という
現状は給料が安い上に、非常に苦労な、過酷な
労働過重として堪えられないという大きな有力な証拠でございます。最近に入りまして大阪の吹田操車場のごときは、助役、運転係の現場の指導者がどうにも
方法がないと言
つて手を挙げておるような
実情が、どんなにか
労働強化という面が目に見えるか、我々が堪え忍んでおるかということがおわかりになることと
考えるのでございます。又
国鉄職員の大多数は御承知のように夜寝ずに働くという仕事をしております。二十四時間勤務で、徹夜交代の勤務をいたしておるのでありますが、その苦労というもの、肉体的な苦労というもの、更に夜働くのでありますから、夜中に物を食べます。その夜食料が一晩三十円が最低でありまして、四十円というようなところから三十円というものが大多数でございます。このおかず代にも足りないという
実情や、人手不足のために、夜中には
基準法によりまして、或いはそれぞれの折衝によりまして当然四時間睡眠ができるのでありますが、連続して四時間眠むるということができない状態のものが大半なのであります。この超過勤務を終了し勤務をいたしますと同時に、更に時間外勤務をいたします。人手が足りませんからみすみす帰れません。超過勤務をいたしましても、超過勤務手当の予算が満足でないために支払われないというような所もあるので、完全に支払われておるという所ばかりではない。こういう
実情も相当にあるのであります。
又
国鉄の現場の業務が
一般の公務員に比べまして、大衆の生命をお預りしておるのだ、これは世間からもひどくその点を
指摘されると同時に、我々も大切な仕事に携
つておるというこの重責は痛感をいたしておりまするが、併せて職員自身極めてみずからの身体に対する危険な作業に携
つておるのであります。多いときには、一年の統計を見ますると、五百名以上も仕事のために死んでおります。殉職をいたしております。三百七、八十名というような平均から見ましても、我々の同僚の殉職がどんなに多いかということでございます。こうや
つて我々が御
審議を頂いておりまする本日におきましても、一名乃至二名というものが、どこかで輸送のために殉職しておるというのが
実情でございます。如何に激しい苦労な仕事であるかということがおわかりにな
つて頂けることと存ずるのであります。
国民の生命を預
つて身に危険を感じながら、
経済の苦闘の中にありながら、負けたりとはいえ
ども我々の郷土、祖国の再建を念じて
経済の復興に熱情を捧げておりまするこれら職員の前にいささかでも忘れてならないことは、罷業権を奪われた組合として平和的な解決
手段の調停案が一日も早く実施され、ペース改訂の実施されることにすべてを賄けまして、ただひたすらに
政府、国会及び当局の誠意に期待をいたし、切望いたしまして、黙々としてこの暑い中職場で働き頑張
つておる職員の
実情を十分に御了承願いたいのであります。
以上申上げましたように、要求提出以来ここにすでにカ月でありまして、今日まだ紛争の解決点に達しておらないということについて、私たちは皆様の本当に深甚なる御考慮を願いたいと思うのであります。これを要約いたしますると、第一には、調停案を双方受諾した民主的基盤を確認をして、
政府において国会提出の補正予算に際し、その金額、即ち四月以降一人当り二千四百円のべース・アツプが可能になるという予算を編成されたということでございます。本調停案は人事院勧告を数字的に下廻り、二千九百二十円ペースを設定した当初から
国鉄の特殊
事情でございますね、この特殊
事情として設定された公務員との開き、差を総体的に比べると、それが今日においては含んでおりません。併しながら受諾という
国鉄労働組合としてみずから踏み歩いて参りました
責任をとると共に、紛争の平和的な解決を願うものでありまして、従いまして、調停案が完全に実施される限りにおいては、今日人事院勧告を下廻ろうと、これを卒直に受け容れて社会的
責任を果したいと決意をいたしておる次第でございまするから、この辺の微衷を十分にお汲み取り下さいまして、皆様の御協力を切に要望する次第でございます。
第二には、賃金調停の
成立についてでありますが、本来これは労使間の問題でございまして、且つは又公労法の上から当然過ぎる組合の主張であると
考え、
国鉄当局側の何か含みを持
つた態度は我々は却
つて法律の枠を紊すものと
考えておる次第でございます。この点につきましても、皆様の適切な御判断、御配慮をお願いしたいと存じます。又この際
ちよつと申し添えさして頂きたいのでございまするが、皆様の深甚な御
調査、御尽力をお願いしたいことに年末手当の問題がございます。これは公務員は本年予算に半月分、これはまあ少々少きに失するとは
考えておるのでございますが、この半月分の年末手当が計上されておりますが、然るに
国鉄は予算総則におきまして、年末手当を支給しないと規定されて一銭の計上もなされておりません。これはまあどういうわけか。一体如何なる理由によるものでありましようか。今日に至
つても私たちは理解に苦しんでおるのでございます。第一次仲裁裁定によ
つて国鉄に給与金の
制度を決定するようにこの裁定を受け、その後昨年の三月、本日
労働委員長をなさ
つておられまする
中村先生が運輸
大臣との
質問応答によりまして一歩前進を見ておるのにかかわらず、
国鉄当局はいろいろな口実を以てまだ裁定に基く賞与金
制度も行われておりません。まあかくのごとき年末手当に関する不均衡な本年の
実情は全く
国鉄労働者四十七万がひとしく重大な不満を以て、
政府の
方針に対しましても全く批判を向けざるを得ない
立場に置かれておるわけでございまして、皆様の深甚なる御
審議と御配慮を願
つて止まない次第でございます。
最後にいろいろと願い申したいことがございまするが、時間の
関係もあ
つてこれを以て一応御
説明に代えたいと存じまするが、
最後に申添えたいことは私たち
国鉄労働組合は今日の
日本の
労働運動の中におきまして、
責任ある且つ民主的な組合として行動いたしますると共に、輸送という重大な
責任を背負
つておることを常に認識しております。
従つて労使の紛争を平和裡に解決をいたし、生活の安定を図りたいと、そしてそのモデルになりたいという念願をいたしております。さりとても私たちは平和解決を願うの余り理不尽な方式や、或いは又安易な妥協は健全な組合の到底受入れるべきものではないと確信しておるものでございます。今日
国鉄における
労働負担の過重や、業務の向上、生活費の高騰に対しまして、
政府並びに国会、
国鉄当局が今日こそ当然調停案の完全なる実施をなすべき
責任と義務があることを御認識されたいと
考えるものでございます。
国鉄の
労働者が異常な決意を以て調停案の実施を注視しておることを御洞察願い、若しこのことが実現することなくば、私は中央
国鉄労働組合の中央闘争
委員長といたしまして、ますます事態の悪化、組合員の悪化に対しまして、心から憂慮をすると共に、みずからその解決のために先頭に立
つて政府の反省を促すべき行動に出でざるを得ない
立場に置かれることを思いおる次第でございます。講和の調印がなされようといたしまする今日、この辺のところについて各位の十分なる、而も深甚なる御賢慮を以て四十七万
労働者の生活安定が図られますように努力を深く要請いたしまして
説明に代え、この
説明を終る次第であります。どうぞよろしくお願いいたします。