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1951-10-02 第11回国会 参議院 法務委員会会社更生法案等に関する小委員会 閉会後第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月二日(火曜日)    午前十時三十三分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○会社更生法案内閣送付)   —————————————
  2. 伊藤修

    委員長伊藤修君) では会社更生法案等に関する小委員会を開きます。  前回に引続きまして質疑を継続いたします。便宜私から二、三質問さして頂きます。  第百七十一条によりますと、第二項の異議のある場合とは、本権に異議のある場合であるか、或いはその議決権異議のある場合か、若し本権に異議のある場合ならば、同条により議決権につき異議があつた場合はどうなるのか、本文では規定を欠くように思われるのですが、どうですか。
  3. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 百七十一条第二項の異議のある権利という言葉は、議決権について異議のある権利という意味でございます。
  4. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 第百七十三条についてお尋ねしますが、更生計画によつてその権利影響を受けない者」とは、第百二十一条第一項第五号及び百二十二条の請求権のみかどうか、第二百二十条によれば更生債権者更生担保権者等についてもあり得るものと考えられるのですが、どうですか。
  5. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) この第百七十三条第一号の「更生計画によつてその権利影響を受けない者」というのは、例えばその債権全額弁済を受けるような更生債権者更生担保権者というようなものを指しておるのです。第百二十一条、第百二十二条に掲げる請求権といえども更生計画によつて減免されるということはあり得ますから、そういうふうな場合にはこの第百七十三条第一号には該当しない趣旨でございます。
  6. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 二百二十条によれば更生債権者更生担保権者等についてもあり得るものと考えられるのですが、そういう場合はどうですか。
  7. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) さようでございます。先ほど申しましたように、全額弁済を受けるものは、これは百七十三条の第一号に該当いたします。
  8. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 次に、百七十八条、第百七十九条についてお伺いしますが、第百七十八条に従つて作成される資産価額評定表は、第百七十九条に従つて作成される財産目録資産の部と完全に一致するわけであるが、第百七十九条一本に統一したほうがよいのではないでしようか。評価の基準となる時期も実際上両者共通されるものと思われるのですが。
  9. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 第百七十八条と第百七十九条の財産評定の時期、財産評定の標準の時期と申しますか、これは大体仰せのように一致するかと存じますが、第百七十八条のほうは、特に手続規定したものでございまして、単に通常の会社財産目録作成のように、会社のほうで、或いは管財人が特別の手続を要せずに資産を評価して目録作成するということでなくて、裁判所書記官とか、執行吏公証人というような者の立会の下に公正にやるということを要求したものであります。従いまして、これは各別の条文にしたほうが適当かと思つてこのような規定にしたのであります。
  10. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 先ほどちよつと触れたことがありますが、百八十六条、管財人のない場合、会社管財人立場会社立場とを兼ねることになるのでありますが、実際上無理ではないでしようか、常に管財人を置くことにしたほうがいいのではないでしようか。これは先ほどもそういう問題が提出されたのでありますが、この条文から言つてもさように考えられますが、どうですか。
  11. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 管財人を置かないで更生手続を進めて行くということは、これは更生手続の公正を期する立場から申しますと、好ましくないと考えられる場合があるかということは十分に心配されるところでありまするが、この前にもちよつと御説明しましたように、これは費用の関係等から管財人を置かなくても更生手続がうまく運び得るような場合がないとは限らない、そういうふうな場合に管財人を置かなければ手続が進め得ないということになつておると、結局において更生手続が利用されないということになるので、そういうふうな場合には管財人を置かなくてもよいという例外を認めたのであります。それでこの場合には会社が公正にその手続を進め得るという十分なる期待が持たれる場合にのみこういうふうな例外の措置を認めるべきであるというふうに考えておりますので、これは裁判所監督よろしきを得れば運用も不可能ではないのではないか、まあこういうふうに考えておる次第であります。
  12. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 次に百九十一条についてお伺いしますが、審査人に対し第六十九条の訴訟手続受継及び第八十二条の否認権行使を認めない理由をお伺いしたいのですが。
  13. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) この第百九十一条の第一項には、「その他裁判所の命ずる事項を行わせることができる。但し、会社業務及び財産管理を行わせることはできない」。というふうにありまして、裁判所は適当と認める場合にはこの訴訟の遂行と否認権行使をも審査人にさせ得るとこういうふうに考えております。
  14. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 第百九十一条のこの条文は例示的に挙げたのであるか、或いは特定的にこの権限を明示したのであるか、ちよつとその趣旨がわからなくなつて来るのです、そうなると……。若し御趣旨のようならば重要な事項であるですから、この百九十一条に列挙された中にやはり訴訟受継及び否認権行使というものの権限行使を与えるというほうがはつきりしていいのじやないでしようか、これは重要場事項ですから。そういうふうにすべてその他の中に含めて扱う趣旨ですか。条文の解釈上そういうふうには見えないですがね。
  15. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) ここに掲げておりまする事項、これは審査人にやらせるのが通常適当であると考えられる事項を例示的に挙げたのでごいます。
  16. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 例示的に挙げたとするならば、なお更訴訟の受継とか否認権行使、最も本法の場合において否認権行使は重要な事項ですが、そういうものをも例示的に挙げるべきでしようが、その他の事項を例示的に挙るということはちよつと考えられないですね。
  17. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) これはこの管財人職務のうち、会社業務及び財産管理を除いた部分は必要に応じて命じ得る、併しながらその内容はこれは非常に多岐に亘つておりますので、一々ここに列挙することを避けたわけであります。そしてこの否認権行使なんかは非常に重要なことであるということは申すまでもないとでありますが、これは或る程度財産管理及び処分を担当しておる人にやらせるということであればよろしいのですが、こちらの審査人にはそういうふうな権限がないわけでありますから、必ずしも査審人にはこういう職務を行わせることは適当とも言えないというふうな考えもございまして、特に掲げなかつた次第であります。
  18. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 御説明によれば結局管財人という職務の中から会社業務及び財産管理ということだけは大体抜く、そのようなことだけは審査人に行わせる、こういうのならば、更生計画作成だとか、その他調査を報告する場合におきましても最も基本的なものじやないでしようか。こういうものが、こういう権利関係が確定しなかつたならば、この百九十一条の前段、第一項に明示された手続というのは進行できないのじやないでしようか。してみれば当然常に伴うところの権限行使であると考えられる場合、ここに明示するほうがいいのじやないでしようか。明示してないと何だかこれだけは審査人権限じやないというふうに考えられるですね。殊に御説明によりますれば、裁判所の命ずる事項を命じなかつたならばこれはできないということになつてしまいます。
  19. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) この「裁判所の命ずる事項」と申しますのは、審査人が任命された場合には、常に審査人権限はこの範囲であるということがきまつておるわけではございませんで、審査人を選任いたしましても特に裁判所の命ずる事項のみを行わせる、こういうふうな趣旨でございます。
  20. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、この第一項に明示されておるこれらの事項をも裁判所は含めて命ずるわけですか、常に……。
  21. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 例えば調査報告のみを命ずることもできます。更生計画案作成のみを命ずることもできます。個別的に命令し得るという趣旨であります。
  22. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 百九十八条についてお伺いしますが、数多の更生計画案同時裁判所に提出されることが予想されると思うのですが、そういうような提出された計画案は、全部計画案審理のための関係人集会に付議されるのかどうか。又その前に裁判所が取捨選択するのかどうか。これらの取扱に関する規定を欠いておるように思うのですが、この点について御説明をお伺いいたします。
  23. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 数個計画案が提出されました場合に、その計画案裁判所審査いたしまして、その計画案が公正、衡平なものであるかどうか、或いは遂行可能なものであるかどうかというふうな点を調べた結果、その要件に合致しないものは、これは関係人集会決議に付する必要はないことになつております。これは第二百七条に規定しております。こういうふうな要件を備えているという計画案はこれはすべてこの決議に付することになります。で、決議に付される順序が問題でありまするが、そのうちの一つでも可決されますると、こがれ計画案になる、こういうふうなことになろうと思います。
  24. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると数個計画案をですね、先ずこれは議事運営になりますが、第一にかけられた案というものが一番重要視されて来るようなことになるでしようか。それからその順序ということは非常な重要性を持つものでしようが、そういうことは裁判所が行うのですか。管財人が行うのですか。
  25. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) それは裁判所がやるということになつております。
  26. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは同時数個のものを集会議案として出す、出さしめるというほうがいいのじやないでしようか。そうして集会においてその最もいいと思うものを出さしめるという行き方のほうがいいのじやないでしようか。一つずつ出して行くのですか、第一案、第二案と……。
  27. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) これは特に一つ一つ出せとか、或いは同時に出させるとかいうような条文としては制限が明示されておりません。すべて同時に審議し得る余地もあるかと思いまするが、これは方法として果して可能なものであるかどうか、今A案B案C案同時に一括して決議するということは、これは或いは相当困難なのじやないかというふうに考えておるのでございます。この数案を提出する場合に、計画案を順次提出する場合におきましても、関係人のほうでA案B案C案を考えてC案が一番いいというふうに思われる場合には、恐らくA案B案のほうほ反対して結局においてC案が成立つということになるのじやないかというふうに考えております。
  28. 伊藤修

    委員長伊藤修君) だから私のお伺いしたいのはA案B案C案と仮に三案ある場合において、三案同時に出して三案のうちの最もいい点をとつて例えばA案を、B案C案のいい点をとつてA案修正するというような考え方も出て来るでしようし、又A案ばかり見ておればB案がいいかどうかわからないですから、同時に出せばどの案が一番いいかということが審査集会議題対象になると思うのですが、これは任意だというのか、或いは裁判所が必ずその順序をつけるというのか、本法趣旨同時に出すという趣旨か、その点を明らかにしたいのです。
  29. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) このA案B案C案と三つあるというふうな場合ですと、その案は集会前にあらかじめ各関係人に送達されております。ですから関係人はどんな案が集会にかかるかということはあらかじめ承知しておる筈であります。同時にかけなくても十分そういうふうな点は不都合がなく運び得るのではないかと考えております。それから計画案変更ということは、これは案を一旦送達した後は原則として許さない、関係人の利害に関しない事項のみは許しますが、これは余り実質的な意味変更意味しないのですから、実質上は変更を許さないと考えていいと思います。そういうわけでありまするから、それは計画案内容というものは十分あらかじめわかり得るわけであります。決議方法といたしましては、やはりA案B案C案裁判所の裁量によつて順序をつけるということになつております。
  30. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 裁判所同時に出そうと、順序を付して出そうと任意であると、こう解釈してよろしいですね。
  31. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) この同時に出すという方法は、実は私そういう点は余り詳くしないのでわからないのでありますが、そういうふうなことが可能であるかどうか、或いは非常に明瞭を欠くのではないかというふうな気もいたすのでございますが……。
  32. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それからその運営はどうあろうと、そういうことができるかどうかということです。同時提出もできるかどうか。
  33. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 同時に提出して同時に可決しますのですか。
  34. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 同時に提出して、例えばB案ならB案だけを採決することができるかどうか。議案として提出する集会議事対象に、同時対象にな得るのかどうか、一つ一つ片付けて行くのか、若し一つ一つ片付ける場合においては、A案が可決されればB、Cというものはどういう形で廃案になるのか、効力ですね、それをお伺いしておるのであります。
  35. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) この議題に供することは、これは同時でも可能と思いますが、決議同時ということはできないと思います。
  36. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは勿論決議一つでしよう。議題にかけるのに審査対象として、集会議事対象として幾つかの案を見て比較検討して行けるかどうかということなんです。一つしか出さずにあとは伏せておいて気に入らなかつたB案だ、B案が駄目ならCだというふうにどれも気に入らなければ全部否決されてしまう虞れもある。
  37. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) それは同時議題に供して十分相互に検討して可否をきめるということはできると思います。
  38. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それからそのうちの数個更生計画案のうちで決議されて残つた残余計画案というものはどうなるか。
  39. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) これは一つ成立した以上は、決議としてはそれで十分でありまして、その以後のものはこれはもう決議に付することはできない。
  40. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 決議はできますが、法律上の効果廃案になるのですか、どうですか。法律上の効果はその更生計画案というものはどうなつて行くか。
  41. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) これは決議されるに至らなかつたもの、可決されるに至らなかつもたの……。
  42. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 至らなかつたというのはどう処理するのですか。
  43. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) そのままです。
  44. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そのままそうい計画案があつたという事実が残るだけですね。
  45. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) さようでございます。
  46. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 二百五条についしお伺いしますが、修正命令修正点を明示してするのか、その方式をお伺いしたいのですが、又提出者修正しばかつたときは裁判所みずから修正し得るのかどうか。
  47. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 修正命令修正点を明示していたします。それから裁判所修正をみずからするということはこの段階では認めておりません。
  48. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 二百九条についてお伺いしますが、本条陳述性質及び効力についてお伺いしたいのですが、例えば更生計画条項には何某が債務を負担する、こう具体的に規定されることが考えられますが、この債務を負担したり担保を供する旨の意思表示はいつ如何なる形式でするのか、それが法律上にどういう結果をもたらすか、要するに陳述というものの法律上の性質効力をお伺いしたいと思います。
  49. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 二百九条の陳述をさせる理由は、これは更生のために債務を負担し又は担保を供する者に対しては更生手続終了更生債権者表記載等に基きまして強制執行ができるというふうになつておりまするし、又更生計画効力を直接受けるというふうなことになつております。そういうふうな効力を認めるためには、単に書面でそういうふうな趣旨意思表示をしたということでは不十分でありますので、みずから又は代理人によつてこの手続に参加して、参加と申しますか、この手続においてみずから又は代理人が出頭してその旨の陳述をする。これは丁度裁判上の和解なんかにおきまして、やはりみずから出頭した人、これが訴訟当事者以外の者でみずから出頭して債務を負担するという陳述をした人、その人に対して調書に基いて強制執行ができるというふうなことが認められておりますが、それと同じような趣旨で……。
  50. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 私のお伺いしているのは、この債務負担陳述性質ですね、いわゆる単独行為によるところの債務負担意思表示、そうであるかどうか、若しそうであるとするなら、ば、いわゆる形成権に属するのですが、それはいつ効力を発生するのですか、そのとき普通単独行為による債務負担ならば、意思表示同時にその効力が発生すると考えられるのですが、その点明らかにして頂きたい。
  51. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) その点はやはり単独行為というものではなくて、この債務負担契約申込と申しますか、そういうふうな性質を持つて、そうして決議によつてこれが相手方に受諾される、そして裁判所の決定によつてそれが認可されると結局裁判上の和解と同じような効力を生ずるというふうに考えることができるわけであります。
  52. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると債務のない場合をも想像されますね。勿論担保がない場合も想像されますが、その担保を供与する義務がそこにおいてその意思表示によつて生ずるとか、或いは債務なきにかかわらず債務がそれによつて生ずるというようなことでなく、あなたの御説明意味だと債務を負担する、及び担保を供する旨の意思表示をしてその決定するという受諾の意思表示があつて初めて成立する、こういう意味ですか、契約申込というような形になるのですね。相手方のある陳述かどうかということです。相手方のない陳述なら単独行為による意思表示であるから、意思表示をしたと同時に、法律的効力を生じなければならない。
  53. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 相手方のある行為である、こういうふうに考えます。債務を負担する場合、債務引受契約申込というふうな性質を持つております。
  54. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 申込性質を持つておる、こういうふうに解釈していいですね。
  55. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) そうです。
  56. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 第二百十七条の共益債権は随時弁済ができるとあつてこれについては別段の手続を要しないと解されるのですが、第五十四条第一項第一号の規定によりますと、裁判所の許可を要すると説明されたのですが、若しそうといたしますと規定の体裁の上から、その旨本条に明記する必要があるのではないでしようか。
  57. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) この五十四条の規定は、更生手続開始後の管財人行為に対する裁判所の規制といいますか、監督内容を明らかにいたしたものでありまして、これが一般的の規定であります。そうして而もそのうちには例えば第八号のうちに共益債権の承認というような字句もございますので、共益債権関係におきましても、この規定がかぶつて来るということは十分窺われるのではないかというふうに考えます。従いまして二百十七条に特に五十四条の規定の適用があるという趣旨を明示しなくても足りるのではないかというふうに考えております。
  58. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 立法趣旨が成るべくわかりやすい法律を作るとおつしやつておるのですから、余りかぶつて来るとかどうとか、法律的に研究しなければわからんようでは困ると思います。やはり簡単にここに明らかにするほうがいいのではないでしようか、そういう御趣旨なら……。
  59. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) そういう趣旨で入れることは差支えないと思いますが、ただ他の規定との権衡上、ここにはあつて、ほかのところはないとほかのところはかぶらないじやないかと言われる虞れがあると思いますので、そういうふうな点も考えなければならないと考えます。
  60. 伊藤修

    委員長伊藤修君) まあ立法趣旨はかぶつて来るというふうに解釈してよろしいのですね。
  61. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) さようでございます。
  62. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 次に二百十八条ですね。その本条のような場合は、当然更生手続廃止されるものと考えられますが、この手続廃止との関係はどうなるのでしようか。又このような場合は破産手続を開始すべきであると思われるのですが、本条は破産宣告のない場合を言うのですかどうですか。
  63. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 二百十八条の定めておるような場合は仰せのように廃止になることになると思います。廃止なつた後の共益債権弁済方法もこれによるというふうになると思います。  それから更に廃止破産宣告があつたような場合に、なお弁済未了のものにつきましては、これは破産における財団債権というふうなことになると思います。
  64. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 二百十九条についてお伺いしますが、字句の点ですが、第一項に権利変更する条項を定めなければならないとなつているのですが、必ずしも常に変更を要するとは考えられないのですが、この字句が余り強過ぎるのではないでしようか。
  65. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) これはやはり権利変更しなければならないというふうに考えております。
  66. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、本条において共益債権弁済について、更生計画に定めることを要するとなつておるが、この趣旨はどういう趣旨ですか。特に二百十七条との関係において……。
  67. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 共益債権は随時弁済すべきものでありますが、更生計画作成当時は勿論、更生計画認可後におきましても、なお共益債権時々刻々手続終了までは発生しておるわけであります。のみならず過去の共益債権におきましても、まだ弁済ができてないものもあるわけですから、そういうものの弁済方法を必ずきめなければいけないというのが趣旨であります。
  68. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 第二項の列挙されている条項は、更生のために必要な条項であるからそのいずれをとるかは任意にするとも、かような条項は常に必要であると思われる。従つてこれは任意事項としないで絶対的記載事項とすべきであると思われるのですが、要するに計画には更生債権等の調整という消極面と共に、事業の建直しという積極面が必要であると思うのですが、第一項はこの消極面の絶対性を規定して、第二項では同様に積極面の絶対性を規定するようにしたらどうであるか。
  69. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) この立案、この条文趣旨更生計画における法律上の要件最小限度規定したものでありまして、勿論更生計画であります以上は、どういう方法会社更生を図るかということが最も計画の眼目でなければならないわけであります。従いまして、この計画全般としては、こういうふうな全般的な計画はあつて、それが法律上に現われた場合にはこうなるということを書かなければ、計画としての意味はないことになると思いますが、併しながらこの計画におきましては、第二項に掲げておるような例えば営業の譲渡とか、或いは資本の減少、新株発行というふうなことは必ず入れなければならないかということは、これは場合によつてやらなくてもよろしいわけであります。単に例えば債権者債権を半減してもらう、半分に減じてもらうと、その結果会社更生ができるという場合もある、そういう場合は第一項で足りるわけです。第二項もその他更生のために必要な条項を定めなければならないというふうにいたしますと、却つて誤解を生ずるのではないかというふうにも考えた次第であります。ここでは要するにこの法律上の最小限度の条件としてこういうふうな規定の仕方をいたしたのであります。
  70. 伊藤修

    委員長伊藤修君) この第二百二十一条についてお伺いいたしますが、この二百二十一条の中に、弁済資金調達方法を明示しなくてはならないと、こう書いてあるわけですが、この具体的の明示の方法ですね。どういうことを予想されておるのですか、法律は。
  71. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) これは例えば会社財産に余裕のあるような場合には、あらかじめ弁済資金を供託して置くというふうな場合も考えております。これは二百五十六条第二項にありますが、こういうふうな担保がある、担保を設定しておるというような場合にはこれは一番確実なる弁済資金の調達方であります。そこまで至りませんでも、例えば定期に一定の収入があるというふうなことが明らかであれば、その収入を弁済に充てるというふうなことを定めるとか、或いは会社業務運営従つて必ずこの程度の収入があるということが確実に認められて、それが弁済に充て得るということが相当確実であればそういうふうな方法でもよろしいのではないかというふうに考えております。
  72. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、予定されるものは書くことはできないわけですか。例えば市中銀行から一億なら一億の融資を受ける、或いは政府からこの事業に対しては近く法律もでき、それから補助もあるというような未知数のそういうものも、弁済資金調達方法として明示できるのですかできないのですか。或いは会社の事業上の売掛代金というものがあり、これを何年かに取立てて、そうして弁済資金に充てるということも書けないものですかどうですか。含むかどうか……
  73. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) それは含むと思います。ただ相当確実性がないと意味がなくなる虞れがあるというだけのことだと思います。
  74. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 一応そういうことが確実と認められる場合には、いわゆるここにいう、債務弁済資金調達方法として明示することができる、こう伺つてよろしいですね。
  75. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) そういうふうに考えます。
  76. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 二百二十三条「適確な措置」と、こうありますが、これはどういう意味ですか。
  77. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) これは異議のある更生債権があとに確定して、これに対して弁済をしなければならないというふうな場合に、そのために計画の遂行が困難になるというふうなことのないように、この弁済に十分な措置を計画において定めるという趣旨であります。
  78. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いや、私の伺うのは、適確という意味は、どの程度をさして言われておるのか。こういう言葉をお使いになる意味ですね。
  79. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 適確という意味でありますが、これは場合によつて必ずしもこうなければならないというふうなことは言えないと思いますが、まあ一番適確な方法を考えますれば、異議のあるものについても、通常の確定した債権と同じような弁済をするつもりで計画を立てて置くというのが一番適確と思います。
  80. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 他の法律用語と比較いたしますと、どういうような用語に当るのですか。わかつたようなわからんように思いますが。
  81. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) これはちよつと適当な言葉が見当らないのでありまするが、適当確実という趣旨であります。
  82. 伊藤修

    委員長伊藤修君) わかつたようなわからんような…。
  83. 一松定吉

    ○一松定吉君 適当にして確実なんだろう。
  84. 伊藤修

    委員長伊藤修君) では二百三十条につてお伺いします。これは逐条説明のときにお伺いいたしまして、第一項は更生債権者更生担保権者又は株主に対して新株を割当る場合とありますが、元の株主に新株、債権者の場合は別として、株主に新株を与えることが会社更生に如何なる意義を持つのですか。そういう場合もあるのでしようか、無償株を渡すのに。
  85. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 例えば優先株主に対してその優先株を普通株にする代りに、一株について半株ずつといいますか、二株について一株ずつの新株を与えるというふうなことは考えられると思います。
  86. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 優先株発行だけの場合でしようか、その他想像されますか。一体現在優先株式など発行している会社があるですかなあ。法律規定はありますけれども、その場合だけですか。ほかに何か実益があるのですか。経済界の実際の事情としては、優先株なんというものは、我々はよく例にひつぱるが、昔の尾西鉄道くらいなものでしよう、日本で。聞いたことないですね。余り……。
  87. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) この優先株の発行というものは非常に少いのじやないかと思いますが、将来そういうことが相当生ず得るかも知れないということも考えますので、こういう規定も存置して置く必要があるのじやないかと考えたのであります。
  88. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると優先株式発行の場合だけですね。その他はもう予想されませんが、立案者としてどういう予想の下に立案されたか。どうも我々考えてみても、実益があるのか、ないのか、立案のときに御考慮があつたかどうか、お伺いして置きたい。御考慮がなければよろしいが。
  89. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 立案する際、いろいろ考えたのでありますが、今思いつくのはその程度です。
  90. 一松定吉

    ○一松定吉君 ちよつと今のところでわからんのですが、その新株の額面、無額面の別だね、それはどういうのですか。
  91. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 新株との関係ですね。
  92. 一松定吉

    ○一松定吉君 額面、無額面の別はどういうのですか。
  93. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 新株の額面、無額面の別といいますのは、額面のある新株を発行するか、或いは無額面の株式を発行するか……。
  94. 一松定吉

    ○一松定吉君 無額面というのは何かということを聞くのです。
  95. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 無額面株式は本年の七月一日から施行になりました商法の一部を改正する法律によりまして認められました株式でありまして、通常の額面株式のようでなく、額面のないものです。
  96. 一松定吉

    ○一松定吉君 額面のないものというのはどんなことですか、金額がないのか。
  97. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 金額がございません。
  98. 一松定吉

    ○一松定吉君 そうすると、ただ株券というものを発行するのかね、金額がない、その株券の価値というものは表面に現われていない……。
  99. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 発行価額というものがございますが、額面というものはございません。で結局観念的に言いますれば何々会社の株式一株ということで……。
  100. 一松定吉

    ○一松定吉君 何々会社の株式……。
  101. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 株式一株ということで、その実体はその会社の発行済の株式の総数分の一の価値を持つているものであるということになると思います。
  102. 一松定吉

    ○一松定吉君 そうすると、その会社の公称資本の何分の一とかいうことに表記するのかね。つまり私の聞きたいのは、株主の権利は株数によつて権利行使がきまるのでしよう。そうすると無額面の株というと、ただ何々会社の株と書いてあるだけで、株の価値というものは幾らの価値があるのか、額面の株式に対しての価値如何と、こういう問題ですね。或るものは五十円払込で千株持つておる。この無額面の株というのは金額も何もないので、従つてその株券の行使が、株券の数によつて行使する権利の価値というものがどうなるのかということを聞きたいのです。例えば五十円株、千円株というと五万円の価値があることはわかるね。ところが無額面ということになつて来ると、ただ何々会社の株券ということだけでは幾らの株の価値に相当するのかということはわからんね。
  103. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) その点でありまするが、株の価値というのはまあ二通りおつしやつた点からも考えられると思うのでありますが、一つは社内における例えば株主総会における議決権の数、これは株式数で行きますから、別に額面がなくても差支えないと思います。それから経済的な価値のほうはこれは仮に額面がございましても、現在の株価というものは決して額面の価値と同じじやないというわけでありまして、実際の価値は、例えば三越あたりでは額面は五十円ぐらいでありますが、今千円以上しておる。又非常に悪い会社でありますと、五十円の額面でも一円でも引取り手がないというような実際上の状態になつております。額面というものはもはや余り大した意味はないのじやないか。単に発行の当時の一つの標準の価額というくらいの意味しかないのじやないかという考え方もできるわけでありまして、そういうふうなことからアメリカあたりではむしろ無額面株のほうが多いという実情だと聞いております。
  104. 一松定吉

    ○一松定吉君 株券の券面が五十円、三越で五十円の払込のものが相場は今五百何十円だね。そうすると五十円の株主に対して配当が例えば十割なら十割ということは、五十円の株一株というものを基礎として配当の株がきまるのだね。そうすると金額も何もない無額面だと、その無額面のものに対して利益の配当はどういうようにするのですか。割合は……、比例は……。ただあなたの言う通り五十円払込の株が或いは会社によつては二百円もする、松竹のごときは今僅か六十何円、大映は七十何円しておる。或いは船会社のものは五十円払込が会社によつては五百円もする。鐘紡は何百円もしておる。それは一株に対する取引価額。額面価額は五十円だから、その五十円に対しての配当のときには、利益配当ですね。一株については五割の配当をする、或いは八割の配当をするということによつて基礎の株数のきまつておることによつて配当の金額がきまる。それはわかる。ところが無額面ということになつて来ると、ただ株主であつて一松が三越の株主ということはわかるが、一松という株主に対して幾らの配当をするのか、その配当の基礎となる価値はどうしてきまるのかということを聞きたい。
  105. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 配当のいわゆる配当率というものが、今までは額面の金額に応じてその何割ということで算出上非常に便利なやり方ができたわけでありますが、無額面の場合はそういう点は或いは不便かと思いますが、併しながら発行価額の何割というようなことで、それに近いような計算……。
  106. 一松定吉

    ○一松定吉君 発行価額はないのじやないか、無額面だから……。
  107. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 発行価額というのはございます。
  108. 一松定吉

    ○一松定吉君 新たに払込又は現物出資をさせないで新株を発行させるのでしよう。
  109. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) あなたの言われますのはこの第一項の場合ですね。
  110. 一松定吉

    ○一松定吉君 だから発行割額はない。
  111. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 特にここに要件としては掲げておりませんが、この三項に「新株の発行によつて増加すべき資本及び準備金の額」というのがございまして、全般的にわかつているというふうに考えているのです。この配当率の点は、額面があれば、計算上は非常に便宜でありますが、一株について何円ずつを発行するというようなことでも足りるのではないかというふうにも考えられますので……。
  112. 一松定吉

    ○一松定吉君 私は実際の運用を聞いておるのです。あなたの考えを聞いておるのじやない。無額面の株主に対しては、例えば権利行使、株主権の権利行使、何株券を配当するのか、配当のときは何株券の価値に相当するものを配当するのかということをどうしてきめるかということを尋ねているのです。無額面でしよう。金額があるやつなら五十円払い込みをする。千株だと千株というものがその株主権の、例えば百株を持つて一つ権利行使をすることができるというようなことをきめられる基礎ができるのですね。無額面だから基礎がないからそれをどうするかと聞くのです。
  113. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それに関連して、補足して聞きたいのですが、なんじやないですか、アメリカなどの株式も無額面が多いということを聞いておりますが、それは会社設立の場合、資本金何億円ときめますね。そうしてそれをやはり株は、何株ということはきまつておるのですね。資本金と株数はきまつているでしよう。だから要するに株券に対して株金額はない。それを最初売出すときに果して資本金を株数で割つた値段で売買されるか、多少それも問題があるでしよう。やはりプレミアム付きとか株数で割つたものが五十円であるか、五十円で売買されるか、百円になるか、四十円になるかということは最初から違うのですね。だから最初から額面というものはないわけですね。ですから配当も資本金に対して何割配当というものがあつて、一株に対して何割という配当じやなしに、資本金に対して何割という配当があるので、それが株数で割られたものが配当になる、私はそういうふうに了解しておりますが。
  114. 一松定吉

    ○一松定吉君 そうすると、株券に対して株金額は今の通りないとすれば、この無額面株の権利というものは何できまるのですか、無額面の株については、例えば額面株の株券百株を持つている無額面のものの権利が同じだとか何とかという基本がなければ、権利行使もなければ配当も受けられない。それを聞いておるのです。
  115. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 株数については平等であります。
  116. 一松定吉

    ○一松定吉君 一株は一株でしよう。無額面株一株でしよう、その無額面株一株に対して幾らの配当をするのだとか、無額面株一株の株主はどういうふうな株主権の行使ができるかということは、何かそこに基礎がなければできんじやないか。その基礎は金額できめなければ、定款できめるとか、或いは総会の決議できめるとか何とかなければ……。ただ一松は何々会社の株主だというだけで、一株に対する株主権の行使はできるか、一松は一株の株券を持つておるけれども、幾らの配当を受けるのだということはわからんじやないか、それを聞くんです。
  117. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) これは額面に関係なくそういうことがきめ得る……。
  118. 一松定吉

    ○一松定吉君 ということは定款できめるとか……。
  119. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 商法で詳しい規定がございます。
  120. 一松定吉

    ○一松定吉君 新法は見てないからわからんが、見せてくれ給え。
  121. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは商法できまつておるのです。株主権行使においては変りない。無額面株一万株持つておると、額面株一万株持つておると同じなんです。無額面何株と……。
  122. 一松定吉

    ○一松定吉君 無額面株何株というのか。
  123. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 無額面株一株の発行価額が五十円で発行しておるとすれば、それにプレミアムがついておりますと、例えば七十円で発行する……。
  124. 一松定吉

    ○一松定吉君 そうすると無額面株というものは発行の金額はきまらないだけで……。
  125. 伊藤修

    委員長伊藤修君) きまらないのです。無額面株は、五十円の額面株を発行しておる会社が、無額面で五十円はプレミアム付百円で発行する、五十円だけは発行利潤として別に積立てる。そうして株主権行使は平等なんです。無額面株一万株も、額面株一万株も株主権の行使は平等なんです。別に配当は総資本を株数で割つてやるのです。
  126. 一松定吉

    ○一松定吉君 無額面株は一株の価額をきめないだけで、額面株を百株持つていると、無額面株百株持つていると……。
  127. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 同じことです。その代り会社が成績が悪いと五十円では売出されんから四十円で売出すか、二十円で売出すしかないのです。そこに無額面株を発行するところの立法趣旨があるわけです。
  128. 一松定吉

    ○一松定吉君 私はそれを知らんかつたから……。
  129. 山田佐一

    ○山田佐一君 新法ではそうなつているのです。
  130. 一松定吉

    ○一松定吉君 それを見せ給え。
  131. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  132. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 速記を始めて。  それじや次に移りまして、二百三十四条について、この新会社は多くの場合更生会社と営業譲渡、営業の賃貸借、或いは委託経営等の関係を結ぶことを前提として設立されるものと思われるのですが、本条においても二百二十五条に相当することを定めるような規定をしなければならないではないでしようか。
  133. 一松定吉

    ○一松定吉君 何条かね。
  134. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 二百三十四条。
  135. 一松定吉

    ○一松定吉君 ちよつと委員長に尋ねますが、これは何ですか、疑問のあるところだけを今抽出して質問をしておるわけだね、あなた自身で……。
  136. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 一条からずつと……。
  137. 一松定吉

    ○一松定吉君 私なら私が二百三十五条で疑問があるときは質問していいわけだね。
  138. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうです。
  139. 一松定吉

    ○一松定吉君 それならわかつた、あなたが議事進行でいつておるから……。
  140. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうじやないのです。私がただ口火を切つておるわけです。
  141. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 更生されるべき会社と新会社との関係におきましては、事実上営業の譲渡というふうに見えるような関係更生計画によつて定められるというふうな場合は、十分考え得られるわけでございますが、この法案におきましては、旧会社と新会社との間の営業の移転という関係は単なる二当事者間の、即ち二つの会社の間の契約関係というふうには見ないで、更生計画案自体によつて会社を設立して行く。その場合に旧会社から新会社に移転すべき財産はこういうふうになる、それから旧会社の株主には新会社の株式をどういうふうに割当てるというふうに計画で定めまして、その計画決議自体によつて会社から新会社への財産の移転の効果を生ぜしめるというふうな建前になつております。従いまして二百二十五条のような規定は設ける心要がないというふうに考えます。
  142. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 併し新会社設立の場合、更生債権者に対して一部出資させて株式を引受けさせるというようなこの更生計画も考えられるのですね。
  143. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) そういうふうなことは考えられます。
  144. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういう場合においてやはり本条においてその手当をして置く必要ないでしようか。
  145. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 二百三十四条の第二項はそういう場合も含めた規定であります。
  146. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 第二項でそれがわからんのですがね。
  147. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 第二項の第二号の段階です。「並びに更生債権者更生担保権者又は株主に対してあらたに払込又は現物出資をさせ、又はさせないで株式を引き受けさせるときは、」とありまして、あらたに払込又は現物出資をさせるということに……。
  148. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そこへ含まれておる、そこへ……。そうするとこの「あらたに」ということは、更生債権者が引受ける場合も、全然又新たに引受ける場合も皆含めるわけですか。
  149. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) ここの「あらたに」とありまするが、例えば額面五十円の株式を一般にも五十円で発行する、更生債検者にも五十円で発行するということでありますれば、特に更生債権者に対してあらたに払込さして言々ということは必要ないので、特に区別する必要はございませんから、そういうふうな場合は含んでおりませんけれども、一部の払込みをさして、そのほかは従前の債権の価格というものを認めて、その両方の合計に対して新たに株式を発行するというふうな場合を考えております。
  150. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 例えば更生債権を半額認め、それで出資を半額、例えば二十五円づつなら二十五円を、この旧債権に二十五円を新らしく金で払込むとか、こういう引受方式もここで行使せるわけでありますね。
  151. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) さようであります。
  152. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、例えば銀行が従来一億の貸がある、その一億を出資し、新たに追加出資として一億取り、そうして二億の新株引受をさせる、こういうことができるわけですね。
  153. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) さようでございます。
  154. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 二百三十七条ですね。本条の「同じ種類の権利」とありますが、二百三十六条第一項によつて分類された権利を指すのか、又はその更生担保権について第一順位、第二順位について差等を設けることが許されるのですか。別段の定めとは特に不利な定めを許すのかその点……。
  155. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 二百三十七条に「同じ性質権利を有するもの」とございますのは、必ずしも二百三十六条の第一項の各号に掲げる権利を同じ性質権利と見ているわけではございません。従いまして更生担保権の中にも順位の差等を設けるということは差支えないと思います。それから別段の定めをするというふうなことは、若し衡平の観念に反しないとすれば不利なことにしても、これは差支えないと考えております。
  156. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 二百三十九条ですね。特別の利益の供与は、更生手続関係においてのみ無効とすべきではないか。
  157. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 更生計画の条件によらない秘密の特別利益供与のような行為は、これは更生手続以外の関係においても有効と認めるということは適当でないと考えまして、これはその以外の関係においても無効にする、有効にしないほうが適当であると考えております。これは和議法、破産法等におきましても、こういうふうなことになつているかと思います。
  158. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か更生計画で将来なになにの人を以て人的構成を作るとかいうような場合に、そういう人を迎えるためには何か特別な利益とか金銭的利益ばかりではないですが、精神的利益、名誉とかそういうこともありますが、そういうことは更生計画には何ら関係はないのであるから差支えないのじやないでしようか。
  159. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 更生計画に何らの関係なくそういうふうな利益ということが考えられますか、どうですか。いずれにいたしましても、そういうふうな場合でも更生計画で正々堂々と記載して、そうして事を運ぶべきであるのじやないかと考えます。
  160. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 例えば更生計画によつて十年間において全部更生して、更生債権が補填され一切迷惑をかけない、会社は元通りの、例えば一割配当なら一割配当の会社なつた暁にはどうする、その会社はその人に対して多年の功労に報ゆるために退職金をどうするとか、或いは特別賞与を何する、或いは将来二十年先、三十年先、或いはその人の一生涯、会社に大功績ある恩人として、会社はその人に何らかの地位を与える、隠居されたら何でも与えるというようなこともあり得ると思います。そういう一つの楽しみ、こういう楽しみによつて全力をその人に尽して頂ける。こういうことも人を迎えるためには、これはあり得ると思うのであります。それは更生手続とはちつとも関係ないのであります。広い意味で言えば特別な利益ということになるのです。今はその人は金は要らないのだ、おれはこの事業をして完成さしてやろう。併しその人に報いるためには、二十年先になつてからそのときの株主がおればいいのですが、二十年も経てば代も変るし、人も変つて来るから、その人の過去の御努力に対する報いということは果し得ないかもわかりませんから、あらかじめそういうことを現関係者は、そういう人に報いる定めをして置いて、全力を尽して頂くということも会社更生の場合は考えられるのですが、そういう必要があり得ると思うのであります。現在は報酬は何も出さない、無給でもやつてもらえる人があるのであります。そういうのはむしろ特別の利益ということに広い意味ではなりますね、この場合どうするか……。
  161. 一松定吉

    ○一松定吉君 条件というのをきめて置けばいい。どういうことを条件に入れるか……。
  162. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 今のお話でございますが、非常にむずかしい問題じやないかと思いますが、やはり将来の会社を拘束する、そうして将来の……。
  163. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 更生計画にはちつとも関係ないのですよ。それは更生手続進行、遂行には関係ないことであります。少くとも影響を及ぼさないですよ、研究して置いてもらつてもよろしいですが……。
  164. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 若し全然更生計画関係がないというふうな性質のものでございますれば、これは特別の利益を与えるというふうな行為の中に入つて来ないと解釈するのがいいのじやないかと思いますが……。
  165. 伊藤修

    委員長伊藤修君) だから立法措置としては、但し更生手続関係のないものはこの限りでないというふうな条件を用いる必要があるかないかということであります。それを皆特別の利益という包括的に全部無効にするという規定だけで果して更生計画というものの目的を達し得るかどうかということであります。
  166. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) それは非常にむずかしい問題でありまして、そういうふうな境界線といいますか、非常にむずかしいデリケートな場合はいいのだというふうな但書を付けるということは、却つてこれは或いは弊害を生ずるというふうなことも考えられないでもないと思います。これは単なる事実上の了解としてやるというふうなことであれば格別、明らかに会社更生債権者更生担保権者、株主等の利害に関係するというふうな場合は、これは許さないというふうに考えたほうが適当じやないかというふうな気がいたすのであります。
  167. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 了解事項といつても、それは大体更生法の二百三十九条によれば、そんな約束は無効じやないかと言つて、二十年先になつてから裸で以てその取締役がおつぽり出されてしまうということもそれはあり得るね。
  168. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) なおこの点は研究することにいたします。
  169. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それでは四カ条は終りまして、二百四十二条について更生計画案につき同意を得られなかつた組の者のために第一項に掲げるような条項を定めるときは、当然に他の組の者の権利影響することとなるのですが、その場合でも改めて、他の組の同意を得る必要はないのかどうか。そうすると極めて不当な計画になる恐れはないのでしようか。
  170. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 二百四十二条第一項につきましては、御指摘のように、例えば他の更生債権者等の組の同意を得ずに認可するというふうなことになるわけでありますが、これは全般的な要件としてやはり二百四十一条の第一項に掲げるような条件を具備しているという必要があるわけでありまして、これに反するような計画なつた場合には、これは裁判所としては認可できないわけであります。認可した場合にはこれは抗告で争い得るというふうなことになるわけであります。こういうふうな二百四十二条のような処置は、これは本当に止むを得ない場合にやれるものというふうに考えております。
  171. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 二百五十六条の「必要な命令」とは具体的にどんなものを指すのですか。
  172. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 例えば会社に対して債務の履行を命ずる、或いは管財人に対して会社の設立行為を速かにすべきことを命ずる、そういうふうなことであります。
  173. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、その債務が完済に至るまで常に裁判所債権者が言うて来れば……どうせ債権者が言うて来なければわからんでしようが、拂つてやれということを常に言うてやるのですか。
  174. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) これは管財人がありますれば、管財人が自発的にどんどん義務としてやるわけであります。併しながら管財人のない場合、これも会社が恐らくどんどん自発的にやるでありましようが、それがうまく励行されないような場合というふうな非常に例外的な場合をこういうふうな処置で救おうというわけであります。
  175. 伊藤修

    委員長伊藤修君) この命令に服しないものはどうするんですか。
  176. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 三百三条によりまして過料に処し得るということになります。
  177. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 二百五十三条についてお伺いしますが、認可決定後に更生債権者表等の記載の効力として、更生手続終結後強制執行ができることになつておるんですが、なぜ手続終結後でなければならないのか。計画の定めによつて期限の到来したものについては、終結を待たず強制執行ができるものとしてはどうでしようか。
  178. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 更生手続中は管財人がありますれば管財人管財人がなければ整理委員、或いは会社が自発的にみずから債務の履行をして行く。そうして裁判所はそれを監督して、場合によつて命令でそれをどんどん励行させるというふうな建前になつております。そういう場合に個々に強制執行を許すということは手続を混乱に陥れて好ましくないと考えますので、そういうふうな自発的な手続自体の効力として債務の履行の実現を図るというふうな考え方をしております。
  179. 伊藤修

    委員長伊藤修君) もう一つ二百八十二条についてですが、本条は清算を内容とする計画の場合にも適用するんですかどうですか。
  180. 位野木益雄

    説明員位野木益雄君) 二百八十二条は理論上は清算を内容とする更生計画についても適用があると思います。併しながら清算を内容とする更生計画しかできないような会社についてこういうふうな事態が生ずるということは通常の場合は予想されないわけであります。非常に経済界の激変、激動があつたというふうな場合には、そういう事態も生じないとは限らないと思いまするが、通常はそういうことは余りないと思いますので、事実上は二百八十二条は清算を内容とする更生計画の場合には余り適用がないだろうというふうに考えます。
  181. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 大体逐条の質問は終りましたが、何か御質問がございましたら……。  この際お諮りいたしたいと存じますが、さきに当小委員会におきまして、大阪、神戸、京都、名古屋の各財界人の御意見をお伺いしたのですが、東京においても証人若しくは参考人の形において当委員会において各学識経験者、財界人の代表のかたの御意見を伺つたら如何でしようか。よろしうございますか。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  182. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 御異議がなければその日取り、或いは人の選定ということは委員長に御一任願います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  183. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それでは御一任願うことにいたしまして、本日はこの程度で散会いたします。    午後零時十四分散会  出席者は左の通り。    委員長     伊藤  修君    委員            山田 佐一君            齋  武雄君            岡部  常君            一松 定吉君            須藤 五郎君   事務局側    常任委員会専門    員       長谷川 宏君    常任委員会専門    員       西村 高兄君   説明員    法務府法制意見    第四局参事官  位野木益雄