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説明員(森田孝君)
委員長の
只今の報告に対しまして若干補足をさせて頂きます。文化財保護法で、昨年の八日二十九日に成立いたしましてから、一番
委員会として早急に必要がありまする問題は、御承知の通りに文化財保護法で指定せられておりまする旧国宝の調査であります。それが真先に行われたのであります。これは併しながら目下更に若干の未報告のもの対しましての調査を続行しておるような状態であります。それからもう
一つは、文化財保護法によりまして、
委員会規則の制定が二十数件要求せられておりまして、これに対しましての
委員会規則の制定が行われたのであります。政令は二つ要求せられておりまするが、そのうち
一つはすでに出たのであります。専門
審議会令であります。併しながらもう
一つのほうは、若干法の修正がなされなければ出せない状態にな
つておりますので、国会のほうにお願いいたしまして、法の修正をでき得る限り早くして頂きました上で、政令を出したいと
考えております。これは相続に関連しましての補助金の支給と相続税との
関係の政令であります。
それから、次が文化財、今
委員長から御報告になりました点は省かして頂きまするが、そのほかに文化財保護
委員会といたしましては、今後の文化財行政を進めて行く上においての基本的な台帳が戦災で焼けてしま
つておりますので、台帳の
整備、その
整備をするに必要な基本調査ということも非常に力を入れております。又今後の
文化財保護行政を進めて行く上におきましての前提となる調査、例えて言いますると、現在の重要文化財の防火、防災の必要な調査、或いは環境
整備に必要な調査、或いは郷土芸能、或いはその他の芸能
関係についての調査、これは旧
文部省時代におきましても全然行われていない問題でありまして、我々といたしましては、これを徹底的に行うべく手配をいたしまして、或る程度すでに集計を見て来ておるのでありまするが、目下その整理中であります。
それから、その他
本年度の
補正予算に入りまする前に、昨年の十一月頃に従来の美術刀剣等の取締りが警察だけによ
つて行われておりましたのを、政令を改正いたしまして、ポツダム政令を改正いたしまして、これが登録事務は文化財保護
委員会においてこれを行う、警察のほうは単にその所持の所締面においてだけ、つまり保安
関係の面だけを見るというようにこれを分けましたのであります。従
つて、文化財保護
委員会におきましては、文化財保護法による仕事以外に、美術刀剣等の審査に関する事務を合せ行うということにしたのであります。以上のような問題が主として今
委員長から申上げられましたほかの点であります。
予算を若干申上げますというと、
本年度の
予算は四億二
千万円に通常
予算はな
つておりますが、これの中におきましたところの重要なもので、今後
補正予算として
只今要求中のものにつきまして、若干御説明を申上げたいと思います。
一つは、重要文化財等の災害復旧費であります。昨年のジエーン、キジア台風による災害復旧におきまして、当面必要なものにつきましては、昨年度の追加
予算で計上いたしましたが、
本年度の分につきましては、時期が遅か
つた関係上、通常
予算には計上できなか
つたので、大蔵省との
話合によりまして、通常
予算における修理費を廻して、そうして差当
つて必要なジエーン、キジア台風の災害復旧費に充てて、
補正予算の場合におきまして、災害復旧費を計上して、これを通常
予算の修理の、何と申しますか、転用した
部分を補充して、通常の修理のほうを促進して行くという
話合の上で、通常
予算によ
つて災害復旧を大分賄
つて参
つたのでございます。今回補算を編成するにつきまして、七千六百方円の災害復旧
補正予算を要求したのであります。
それから先ほど
委員長から
お話になりました買取費でありますが、これは通常
予算におきましては一
千万円を盛
つておりましたが、お手許にお配りいたしました買取によ
つて、すでに九百七十万円を買取りまして、三十万円しか残
つていないのであります。そうして買取の申出のありますもの、或いはフランスの松方コレクシヨンの処置というようなことも睨み合せまして、現在におきましては、約一億数
千万円の金がなければできないような状態にな
つておるのでありますが、通常、
補正予算におきまして、一応一億円の要求を出してあるのであります。これによりまして、折衝の結果とれた金額によりまして、最も緊急性のあるもの、或いは最も重要なものから順次買取を実施して参りたいと
考えておるのであります。
それからなお奈良県におきまして、県の商工館を寄附するから、そこにその
建物を寄附するので、そこで文化財研究所を設けてもらいたいという
陳情がたしか国会に出てお
つたと
考えておりますが、この点につきまして、仄聞するところによりますと、国会のほうにおかれましても、法律改正によ
つてこれが設置を行な
つてもいいという意図の下に、種々御研究にな
つておるということを聞きましたので、
予算を計上いたすことにいたしたのであります。なお、京都の恩賜博物館、これを又国に移管を要求せられておるということでありますので、これが国に移管するに必要な準備金をも
補正予算に計上したのであります。そのほかには、なお若干の細かい、例えば美術刀剣の審査に要する
経費が三月で終ることと、更に新発見その他で続々と出つつありますので、
補正予算においてこの事務の継続を
考えて行くとか、或いは又更に来年度、内外の文化交流の意味を以ちまして、外国において展覧会を開催するために必要な準備等を整えるための
費用、それから姫路、松本の修築費の追加、或いは又旧高松宮の御所有でありました黒門の
一隅買上、それから日光の神橋の修理というような
費用が加わりまして、総計二億六千三百万円の追加
予算を一応要求しておるのであります。それから来年度の
予算、これはまだ
文部省で査定を受けて編成中でありまして、総額が幾らになるかということは若干の数字が変るとは予定しておりますが、今のところ約九億程度の
予算の要求にな
つております。主なるものは従来の保存修理、これが四億一
千万円それから特に私のほうとしましては、御承知の通りに修理につきましては六・三
予算とは違いまして、金額を余計とりましても、宮大工なり、物資の数が限定せられておりますので、この実施の能力に限度があるために、
予算のとれた額というものは幾ら高くても消化するということはできないので、その能力を限度にして、一応
予算の編成を行う結果、戦時後十年間放置せられておりました文化財の破損に対して、これを一挙に修理完成することは困難であるので、今あるのを悪くしないという意味で、文化財の予防対策、災害の予防対策ということに重点を置くという
委員会の御
方針に従いまして、この予防対策のために約一億三千五百万円の
費用を
考えておるのであります。この中味につきましては、防火、防水、それから環境整理或いは保存
施設或いは防災
施設の完備或いは管理の充実というようなことを
考えております。そのほか
本年度も
考えておりました普及宣伝という点は、又来年度はもつと慎重に計画を樹立いたしまして、国際的な文化交流のために重要美術品の展覧会なり、講演会或いは又その普及宣伝に必要な諸種の事業を行いたいと
考えておるのであります。なお東京に現在あります美術研究所は、でき得れば奈良と歩調を合せる意味で、東京文化財研究所とお名前をお変え願いまして、そうしてその中に防災科学の研究部を設けたい。それからでき得れば、又芸能の研究も設けたいというような
希望を以て一応
予算の要求を
考えて参りたいと
思つております。その他は従来の経常的な業務のための
費用であります。
大体
予算は、大変雑駁でありますが、以上御説明を申上げました。