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説明員(
平井寛一郎君) お
手許に
資料を差上げてあると思いますので、その中の
図表にな
つておりますものを
御覧を頂きたいと思います。
前回は九月
前半までの
状況について御
報告申上げたのでありまするが、その後の
出水状況を御
報告致したいと思います。九月における
日本全国における九カ年
平均の
自然流量は、この
図表のとこりに横に月別に書いてあります段でおわかりになりますように、おおむね三百八十万キロ弱になるのでありまするが、スケールは
自然可能出量という段で
御覧願いたいと思います。これに対しまして九月を通じましての
出水の
成績はその鋸の歯のようにな
つております
出水のカーブの九月のところで
御覧になりますように非常に少いのでありまして、後半に入るに至りまして更にその
状況が悪化して来ておるのであります。九月分の、九月の丁度中旬の
平均は、この附近にちよつと雨もございましたので、それを合せますと八一%にな
つておるのでありまするが、下旬の
平均は七五%に下
つております。九月を通算しましての
平均は七八%、こういうふうで九月における
自然流量は
平均二割強、月を通算しましても二二%も下廻
つたような
実績を以て遂に推移したのであります。この二割の
数量は、
石炭に換算したしますると約五十万トン
程度に概算当るのであります。御
承知のよりに九月という月はおおむね
台風が上旬とか中旬とかに、いわゆる二百十日前後に来るわけでありますが、本
年度は珍らしく八月以降九月に
亘つて、遂に
台風らしいものは内地に上陸しないままで来たのでありまして、他の面においては非常によか
つたのでありますが、
電力の面におきましては、これが非常に深刻な
事態を呈したのであります。なお十月に入りましての
出水状況は、月初めにはちよつと御
承知のように、東京辺りとかこういう
海岸線には若干雨があ
つたのでありますが、山奥には殆んどこれが降らなか
つたのであります。併しそれにしましても十月一日は少し水が出来まして
全国平均が八九%に戻
つたのでありますが、二日にはそれが七七%と下り、それからは殆んど直線に七三、六九、六八、だんだん下りまして八日現在におきましては六五%という非常に深刻な
渇水状態にな
つておるのであります。
一方こういうふうでありまするので、大体
水力の
発電というものは、御
承知のように
自然流量による流れ込み式の
発電の
利用と、もう
一つは
貯水池の
利用なのでありますが、
貯水地のほうも夏場から秋に掛けましての間に、雨の降るのを期待しながら無理をしてだんだん
貯水を喰い込んだままでお
つたところへ、
台風が来ないものだからして、この減りました
貯水池の
状態はそのままだんだん底を衝く
方向に追込まれつつあるのでありますが、
全国のそれぞれの
貯水池における
貯水状態というものは、現在では
満水の
状態の、
数字は
あとで申上げますが、大体
満水の
状態の四割を下廻
つておるような、四割よりもつと少い三分の一に近い
状態にな
つているのであります。何とか雨が降りますと、これによ
つて相当調整能力も復元するのでありますか、
現状におきましては、例えば
中国の例をと
つて見ましても、
貯水池の大
部分は殆んど底を衝いてしまいまして、わずかな
流入量を時間的に
調整をする
能力がある
程度に後退してしま
つておるのであります。この
貯水池の
減退による
部分をば
石炭に換算しますと、これも
相当の大きな
数字になるのでありまして、少し前の
数字でありまするが、やはりこれが約五十万トンの
石炭に当ることにな
つておるのであります。こういうふうで
水力の
状態は、
自然流量も
貯水池の
状態も非常に苦しい
状態に、この二カ月に亘る
渇水のために追込まれて
しまつたのでありまして、一方
石炭の
状況はどうでありまするかと申しますと、九月
前半における
状態までは
前回の本
委員会の席上で御
説明申上げたのであります。その後の
状態もなかなか苦しい
状態を続けておるのでありまして、この曲線、
図表の言上で波線で太く引いてありますのが
貯炭の
状況の意味であります。九月の
前回の
委員会で御
報告しました二十万前後の
状態がそのまま横這いを続けておるような
状態でございます。石灰の
消費の
計画数量と
実績はこの
図表の下のところへ
数字で書いてございますが、例えば九月におきまする
消費計画が四十三万九千トンでありましたのが、
実績が五十七万二千トン、約十五万トン上廻
つて焚いておるのであります。それから九月末における
貯炭の
実績はここにありまするように十八万九千トンという苦しい
数字のままで来ておるのであります。
受入れは、丁度四月以降の
累計で申しますると、三百十三万トンの
計画に対しまして、
実績としては二百六十八万トンしか入
つておらないというふうな
状態であります。各月の
状態はずつと横に
御覧願いますとわかるのでありますが、併し
消費の
累計を見ますると、丁度四月から九月までの
計画消費量が二百十六万三千トンでありましたものが、
実績といたしましては二百七十六万二千トン、丁度六十万トンほど、約三割近く上廻
つて消費をいたしておるのであります。これは
年初の
予想よりも
需要がぐんぐんと伸びて来ましたための
消費量のためと、それからその後における
渇水というものが重なりまして
供給力のほうで
石炭量がこれだけ殖えて、それで凌いで来たわけでありますが、同時にこれは
受入れの
成績の不良と重なりまして、九月末の
貯炭が依然として二十万トン前後という苦しい
状態にあるわけであります。
火力発電所のこの九月から十月にかけましての
計画動員は約十五万
キロワツト程度あるのでありまするが、その後の炭の入り
状態が非常に悪くて
貯炭が殆んどなくて入
つたものをその日暮しに使
つておるというような
状態に近いものでありまするために一日で使
つてしま
つて、
あとは空にするわけには行かないというようないろいろな
事情で、現在におきましては今申しましたように
年初計画よりは全体としましては
相当に上廻
つた消費をしておるのでありまするけれ
ども、炭質の低下と
石炭の量の
部分的な
不足とが重なりまして、実際の
供給力はそれより若干下廻
つておるというふうな
状態なのであります。
こういうふうでありまして、普通ならば九月の末には大体
台風が来ることによ
つて貯水も
満水をし、それから川の水もおおむね平年前後を、場合によ
つては
渇水をすることがあ
つても雨で戻
つておる。大体
平均年前後の量に動くのでありますが、そういうふうな異常な
状態が続きましたために、これらを
石炭に換算いたしますると
自然流量だけでも
相当大きな
数字になりまするし、
貯水池の
減退を合せますると実に大きな穴があいておるのでありまして、これは到底今のこの九月の
火力の
能力だけではカバーし切れないのであります。
こういうふうな
状態でございまするので、九月の六日以降今日まで一週間区切りで何とか水の出るのを期待しながら
法的措置による
制限段階を実施しておるのでありますが、この
状態は先週までのところでは、この三日までの
状態といたしましては
九州、北海道、四国を除きました他の本州の
地域に対しまして
法的措置を、例えば
特別大口に対しまして約三割
程度の
法的制限を実施しておるのでありますが、
現実の
状態は更に今申上げましたような
出水の
状態の悪化、
石炭の
入手の不円滑というふうなものが禍いたしまして、その
法的措置よりもかなり又上廻
つた制限を……、
制限というよりはこれはいろいろと
お願いをして、そうして自主的に
需給を減して頂いておるというふうな形でありまするが、
制限を実施しておるのでありまして、この
状態が
相当各
地区とも深刻にな
つておるのでありまして、我々
関係者といたしまして又非常に苦慮しておるところであります。この四日以降につきましては更に
九州の
状態も
相当悪化して来ましたものでありまするからして、
九州につきましても同じような
法的措置をとることにして今日に及んでおる次第であります。
以上実情を御
報告申上げたのでございまするが、更にこれに対しましてどういうふうな
措置をと
つておるかと申しますると、順序といたしましては
只今のような
法的措置を続けておるのでありまするが、これがこの十日を以て、
あと二日ほどで日数が切れるのでございますが、その
あともやはり
相当な大きな
出水がない限りはこの
状態の緩和も期待できないものでありまするから、取りあえずの処置としまして、従来の
制限段階を若干更に強化をして、今
関係方面と
打合せをしておるのであります。そういう
方法によりまして、一応
現実の
制限の
状態の混乱を一応法的に裏付けをすることによ
つてできるだけ防止をすると共に、
石炭の
対策につきまして更に引続き各
方面と折衝して善処しておるのであります。下期の
石炭の
受入態勢につきましては、この書類がまだお
手許に参
つておりませんそうでございますので、後ほどお届け申上げることにいたしまして、口頭で概略の御
説明をいたしたいと思います。
下半期における
電力用の
石炭の
所要量は大体四百二十万トンを
受入れしたい、こういう
見通しでございます。この四百二十万トンの
所要量が、九月末現在における
貯炭成績も思わしくないのでありまするから、そうした点をも考慮いたしまして、この
受入れは第三
四半期中にそのうちの二百五十万トン
程度をば
受入れをして置きたい。そうして第三
四半期中の
消費を差引いても十二月の末、いわゆる冬の
本格的渇水の
段階になりまするまでに約八十万トンの
貯炭を用意することによ
つて一—三月の
最盛需要期に大きな穴のあかないようにするという
方途を立てまして、この線に沿いまして先月の初め以来鋭意これが
入手に
電気事業者をも督促し、又通産省、
安定本部等へもいろいろと
連絡をいたしまして骨を折
つておるのでありまするが、
現状におきましてはこの点につきまして特に
担当官庁でありまするところの
資源庁のほうで非常に御配慮を頂いておりまして、
電気事業者と
石炭事業者との間に立
つていろいろと
斡旋を願
つておるのであります。で、できるだけ従来
大手筋のほうの
受入れが少か
つたのを、
大手筋の
受入れをもできるだけ殖やして、結局おおむね半分くらいを
大手のほうに期待するように
お願いしているのであります。又
九州におきましても従来の
数量よりはむしろ殖える目に
お願いはするというような
方法をと
つているのであります。で、従来一部の
消費者を通じました
関係上、非常に
受入れ等に苦労しました面につきましても、その後の経験に基きましていろいろとこの辺の改善の方策を講じておるのであります。そうして丁度第三
四半期の
石炭の買付の
契約が近くまとまる
段階にな
つておるのでありますが、
大手筋につきましては
只今までに聞いておりますところでは、約八十三万トン
程度は
大手筋のほうで
契約が願えそうな様子に進みつつあるのであります。併しそれでも
電気事業者の側といたしましてはなお足らないのでありまして、更にそれ以上を
お願いすべく
関係方面に
打合せをいたしておるわけでございます。
九州のほうにつきましても、それぞれの炭鉱に
お願いし、或いは
消費者のほうにも御
連絡を願うようにしまして、そうして今月下それぞれ個々に当
つておるのでありますが、今
資源庁のほうでもいろいろとこの面について内面的に御援助を願
つておりまして、近く
資源庁では中央だけではこうした
方面には話が具体的にまとまらない面もあるので、
九州のほうへも、現地に
担当官がお出でにな
つて、そうして御
斡旋を願うというところまでお話をや
つておるのであります。こういうふうな
関係で今第三
四半期の
石炭の獲得、
契約の
見通しを一日も早く
はつきり
とつけたいと
思つてや
つているのでありますが、恐らく近いうちにはそれの大体の最終の
見通しがつくものと思うのでありまして、その工合によりまして更に必要な
措置について各
関係方面に
お願いをしなければならないと
思つております。
それから
発電力の
増強の面につきましては、その後も
電力会社のほうにそれぞれの問題について強くプツシユしておるのでありまして、本
年度の
発電力は
水力におきまして約二十二万
キロワツト、
水力約二十万
キロワツト、それから
火力のほうは新増設と、
設備の復旧とを合せまして、やはり二十二万
キロワツト程度、それからそのほかに自家用の
水力及び
火力が、
水力が約五万
キロワツト、
火力が約六万
キロワツトが本
年度中に完成いたすのでありまして、一部はすでにでき上
つておるのでありますが、そういう面で新たな
供給力は約五十万
キロワツト余り殖えることになります。
ロス軽減の問題につきましても鋭意
電気事業者のほうでこれの
推進に当るように鞭撻をいたしておるのでありますが、何分にも
供給力の新規の
増強という面では今
年度において今申上げましたより以上の大きな
数字はなかなか期待できないのでありまするが、併し
石炭の苦しい面の穴埋めの
一つといたしましては
重油を混焼し、或いは
重油を燃焼する、そういう
方法をもできるだけとり上げることにいたしまして、特にこれは関東、中部、近畿の三
地区において
推進を図
つておるのであります。
只今までに
見通しのつきましたところでは、今
年度分といたしまして
重油の量にして約八万トン、
石炭にいたしますると十五、六万トン
程度のものになるのでありますが、これだけの
消費計画は本
年度中についての
消費という
見通しが立
つておるのでありまして、更にこれ以上の増加について鋭意検討をいたしておる次第であります。又
インド炭の輸入という問題につきましても具体的に
資源庁のほう、乃至は
消費者のほうといろいろ
打合せをしまして、できるだけ入る
方法はないかと目下検討いたしております。
委員会といたしましても少くとも三十万トン
程度を入れてもらいたいとい
つて各
方面に話を進めておる次第であります。こういうふうにいたしまして新規の
設備の
増強、或いは
ロス軽減、或いは
石炭の代替になるような燃料の
受入れというような
方法をと
つておるのでありますが、それでも当面のこの非常な
渇水の
状態から見まして、又それからもう
一つは今
年度の下期全体を通じての
需給の
予想等から見ましても、どうしても絶対量において
不足をするということが
予想されるのでありまして、これはこの前
資料に基きましていろいろ御
説明申上げたと
思つておるのでありまするが、お
手許にありまする
昭和二十六
年度下期
電力需給対照表にございまするように河の水が大体八カ年
平水並の
出水があり、又これをば十分に使う
貯水池も予定通りあり、又
石炭も
下半期に四百二十万トンが確保できるものとして見ましても、
下半期を通じまして毎月六乃至九%の
不足をするというふうな
数字が
予想されるのであります。これは
年初以来の
需要が
予想以上にぐんぐんと延びて来ましたのが、こういう面において
数字とな
つて反映しておるものでありますが、その上に実際には
渇水の
事態が加
つて来ている。この
見通しは
渇水が激しければ、それだけ
石炭によ
つてこれを穴埋めでき得るならばよいのでありますが、できない場合にはそれだけどうしても
供給力が低下するわけなんでありまして、又
石炭のほうはこの
下半期に四百二十万トンという線を確保するのも非常に容易でないという深刻な
状態にありまするので、
渇水が殖えましたからとい
つて、その
部分をどの
程度更に増加し得るかという点については、非常に困難な
状態が
現実にあるのであります。
こういうふうな
事情にありますので、
下半期を通じての
需給調整につきましては、どうしても
計画性のある
制限段階をあらかじめきめておきまして、そうしてこれをその
段階を、例えば
只今我々のほうで考えておりますのはおおむね五
段階程度にして、そうしてその
状態に応じて
段階を或いはやわらげ、或いは切り詰めるというふうにて、特定の月にな
つて非常な破綻の起るということを極力避けるという
方途に出たいと考えているのであります。この案につきましては実はもうきめたいとうところにあるのでありますが、いろいろな
関係方面との
打合せ等におきまして、話合としてもまだまとま
つていない面が残
つておりますので、今日におきましても
委員会として
最終決定をするところまで
至つておらないのであります。おおむねの
考え方は
制限段階を五
段階に考えて、そうして
一般産業と、或いは
公共事業というような
特殊産業等によ
つては、そういう業種によ
つて多少の取扱いの差等を設けて、そうして
制限率を
段階に応じてきめる。これは
キロワツトについても
段階を作りそれから、
キロワツト・アワーについても
制限の目標の
段階を作
つて置いて、そうしてそれをあらかじめ
需用家の皆様によく周知して置いて頂いて、そうしていつからはこの
段階に入るというふうな
扱い方で行きたいと
思つておるのであります。又当然この禁止すべき、我々
禁止需用という言葉を使
つておるのでありますが、
需用の種類に応じましては、こういう非常に苦しい
段階においては、或いは
使用をやめて頂くというふうなことも考えなくちやならないのであります。そういう面も考えております。それから時間的に
使用を禁止し、或いは
休電日を指定することによ
つて、
使用に
制限を加えるというふうな
方法を併用いたすことを考えております。こういうふうにいたしまして、
下半期の
制限をできるだけ均らして薄く済ましたいと思うのでありますが、
石炭も
貯炭の僅か二十万トン足らずしかない
段階、
状態であり、炭が
現実に苦しいところへ、
貯水池のほうもうんと減
つてしま
つておる、こういう今の
段階において、
渇水のほうが先へ参
つておりまするため、に、
調整能力となるべき面が非常に今申しましたように苦しいので、
制限が非常に今深刻にな
つて来ておるのであります。これを何とかして一刻も早く何等かの
方向へ持
つて行きたいのでありますが、何分にも
渇水による影響というものが、すでに今日では三割五分も
渇水をしておるというふうな
状態でありまして、三割五分の
渇水というのは、一ケ月を通じまして
石炭に換算いたしますと、実に大きな
数字になるのでありまして、現在の
火力の
設備ではどういたしましてもそうした
数量は到底焚けないという
事態のために、期の初めにおいて非常に深刻な
渇水で、
需用家の皆様に御迷惑をかけました。(「もつと簡單に」と呼ぶ者あり)
それから七—九の
電力の
融通の問題でありますが、これは
電力会社の間においては、大体この
融通契約を結んでおるのでありますが、この
契約通りを
守つてお
つたのでは、どうしてもこの
地域間の
制限の
程度が非常に差等が激しくなるのでありまして、
委員会といたしましては、これをできるだけ運用を円滑にするように、各
需用者に強く要望をしておるのでありまして、現にこの土曜日から
委員会の強い
斡旋によりまして関東、中部の両
地域から
電力を出しまして、そしてこれを東北、北陸、関西、
中国、それからもう
一つ九州からも出しまして、そして足りない
地域との間に若干の
融通調整を今までよりも強化するという
措置もと
つております。以上であります。