○参考人(高橋洋次郎君)
只今御指名頂きましたのでこの席を拝借いたしまして発言さして頂きます。
中国地方は非常に東京から遠いところにございますが、この
中国電力がほかの
地区の
電力会社に比較いたしますと、非常によく
発電に努めておられるというような両方の理由で今まで余りその苦しい
事情が中央のほうには伝わ
つていなか
つたように考えますのでございまするが、実際の
実情は
数字が明らかに物語
つておりますように、
中国地方はいずれの点から見ましても
全国で最も苦しい
状態にございます。のみならず苦しくなりました期間も
全国で最も早く八月の初めから引続き二カ月以上に亘りまして血の出るような苦しい
状態を続ておるわけであります。本日陳情に参りました趣旨もこれ以上この
状態が続きまするならば、
火力発電所の余力もすでに使い盡しております。全然これ以上焚きます余力はないのでございます。おまけに
水力の
発電所のほうがその後も雨が
一つもございませんので、
只今栗山さんのお話で十月三日現在三六%の
渇水で
全国一であるというお話がございましたが、十月六日現在二八・八であります。四分の一の出力に下
つておるわけでございます。これ以上このまま行きます場合には、
火力発電所の補修
不足のために大きな破局に突入いたしまして収集し得ない混乱を起す
状態にまで参
つておりますことを申上げたいのであります。私
どもは
全国均等の
制限率によ
つて均等な
電力配給に預りたいことを勿論念願いたしておりますけれ
ども、今日ここで参りますると、さような贅沢な
お願いを申上げに参
つたのではございませんので、今までの
全国最高三割五分の
制限率を維持して頂くために七十万
キロワツト・アワー、一日七十万
キロワツト・アワーの
電力を
九州及び関西、東京、
中部のほうから関西を経まして頂戴いたしたい、これが
お願いの趣旨でございます。若し頂戴ができないようでございましたならば、
電力融通命令を出してでもすぐ明日から頂戴できるように御配慮願いたいというのが陳情の趣旨でございます。
先ほど申上げましたように、
中国地方は最も
全国で苦しい
状態にあるということを申上げ、なお
電力会社としてもこれ以上の余力がないということを申上げましたが、これらの点につきましては
只今「
中国地方電力危機の実相を訴え救援
電力を懇願する」というプリントを差上げてございますので、そのプリントにつきまして簡単に御
説明さして頂きたいと思います。
第一番に
渇水の
状況が出ております。これは十月四日に発表になりました
数字でございますが、これは先ほど来問題にな
つておりましたように
中国は三五%、
東北は四八%、北陸は四五%、関西は六七%の
出水率でございます。
中国の十月六日現在ではそれが二八・八%に更に低下しております。
その次に記載してございますのは、
火力発電所の運転の
状態でございます。
地区内の
設備は余
つておりますが、地帶間
融通電力におすがりするという、さような心得では本当の九ブロツクになりました趣旨が失われてしまうわけであります。その点につきましては
中国のほうはその表が明らかに示しておりますように最も苦心をして最も余計
発電をしておられるわけであります。その数学につきましてちよつと御
説明申上げますと、
火力発電状況比較一覧表と申します表がございますが、その最大出力と申しますのは大体各
地区には一番左の欄にあります最大出力と申しますのは、各
地区にはその
程度の出力があるのであります。関西は百十六万キロございます。
中国が二十六万キロございます。それが如何ように動いておるかと申しますと、八月現在は四十一万キロ動き、
中国は十七万キロ、九月が二十九万キロに下り、
中国は十七万四千キロを出しております。関西が下りましたのはその次の表にありますように
石炭を使
つて貯炭がなく
なつたために落ちたのではなかろうかと推察いたしておるのでありますが、
中国は九月は落ちておりません。これを
公益事業委員会のほうで策定しておりますところの二十六
年度の年間
計画によります八月及び九月の
火力の稼働最
渇水のときに焚く稼働出力と比較いたして見ますと、関西はいずれも八月、九月とも五十万キロ出る予定にな
つております。
中国は十九万一千キロ、九月は十七万キロ出す予定にな
つておりますが、予定と実際に出した出力を比べますと、最後の比率のところのB/A、C/A、B/D、B/Eという
数字が書いてございますが、関西は八月に八三%出しておりますけれ
ども、九月は五八%にな
つております。
中国は八月は九四%、九月に一〇一%の
発電をいたしております。これ以上の
発電は到底できないというところまで
発電をや
つておるわけであります。
発電所の
石炭につきましても同様のことがいえるのでございます。九月において
中国は同じく
公益事業委員会で
計画を立てておられました
消費石炭量は
中国では五万九千三百トンでありますが、それに対しまして実際に焚きました九月分の
石炭は十一万三千六百七十九トンで、この比率を求めますなら一・九一%、二倍近い
石炭を焚いております。さような
状態でありますのにかかわらず、一方二枚目を
御覧頂きますと
貯水池の水位が出ておりますが、
貯水池はどういうふうにな
つておるかと申しますならば、毎日減水の一途を辿
つておりまして、十月三日現在で出しました
数字では、東京の猪苗代は一・七九メートルが
満水ですが、それが四十七センチでございます。関西の三浦
貯水池は四四・五五メートルが
満水ですが、それが二九・八六メートルでございます。
中国の高暮
貯水池は三三・四三メートルに対して七・一四メートル、その比率を求めますと猪苗代は二六%、関西は六七%、
中国は二二%、
貯水池の水量から申しましても一番
中国が食い込んでおるということがこれで
はつきり出て参るかと思うのであります。
その次に
電力の
制限の
状況を一覧表に出してございます。先ほど申上げました日に七十万
キロワツトの救援
電力を是非
お願い申上げたいと申しますその根拠は、その右側に小さく書いてございますように十月三日現在では
水力百六十五万二千
キロワツト・アワー、
火力が三百二十九万三千
キロワツト・アワー、
融通がゼロでも四百九十四万五千
キロワツト・アワー送
つております。これが七百万
キロワツト・アワーの大体三割減でありますが、今のまま
火力を三百二十九万トン焚くことは実際これは不可能であります。もうあちこち補修を要するところが随所に出て来ておりますので、これは三百万以上は無理である。
水力も先ほどの
出水率にございましたようにその後もどんどん下
つておりますので百二十万キロ以上は無理である、このようにいたしますと現在の制度を維持するためにも
あと七十万キロの穴があくということになります。これは
地区内でも如何に努力をいたしましても補修する途がございません。是非とも
融通電力によ
つて穴を埋めるように
お願いいたしたい。これが本日の陳情の趣旨でございます。
その次に
昭和二十六年の七月以降の
電力抑制
状況が書いてございます。これで見ますと八月の初めから十日間ずつに区切りまして
制限の割合が出ております。九月下旬では
中国がこれは勿論特殊
需用電力を除いておりますが、
公益委員会の御発表になりました
数字から年間
計画によります特殊
需用、季節的な特殊
需用を除きましたものでパーセンテイージを出しておりますが、それによりますと九月の下旬では勿論
中国が七三%、それが一番低くな
つておりますけれ
ども、八月一日からの
平均では関西が八七、
中国が八八と僅かに
中国がいいという
数字が出ております。かような大幅な
制限によりまして、それでは
中国内の工場やら町の電燈は一体どういう
状況にな
つておるかということをその次の五番目に書いてございます。これを
御覧頂きますればわかりますように、もう大分前から夜は螢送電でございます。それからリレー送電よりも螢送電のほうが電気のほうから行きますと節約の量が大きくなりますので、螢送電でや
つておりますけれ
ども、これもだんだん最近ではすでに螢送電に馴れて来ましたので、
電力の低い電球を買
つてつけるというようなのが殖えて参りました。そういうような
状況にまで来ております。それから工場のほうの影響も非常に深刻なものがあります。生産量から言いましてももう半減以下にな
つております。丁度関西のほうの鉄鋼の
関係から関西
地区の九月六日から四週間における関西鉄鋼
関係十八社の電気の
使用量と、これを七月の
実績をお比べになりました
資料を作
つておられましたので、それと
中国関係に六社ございますが、その六社の
数字を比較いたしましたものがその表に出ております。関西では五九・二%が七月
実績に比べまして六九二・%、大体四割減の電気を使
つていらつしやいますが、
中国はそれが四四・一%でありますから六割減に近い
数字にな
つておりまして、その間、一割五分だけ関西のほうがまだ惠まれておるということが
数字の上では
はつきり申上げられるかと存ずるのでございます。かような
状態でございますので、もうすでにゆつくりした
方法手段では間に合いませんので、これに結論として
お願いいたしてありますように緊急
対策といたしまして、是非とも
電力融通命令を御発動願いまして
中国地方には七十万
キロワツトアワー、毎月七十万
キロワツトアワーの救援
電力を援助して頂きたいと思いますが、いろいろの
関係でどうしてもそれが出せないということでありまするならばこれに二番目に謳
つてありますように中央官庁の御
斡旋によります
石炭乃至は
重油そうい
つたようなものを
中国のほうに頂戴いたしました量とは別にこれを、関西若しくは
九州の遊休
火力を
中国の送電分として紐付きで出すようにして頂きたいということを
お願いいたしておきます。
以上申上げましたように
中国地方としましては最後の
段階に来ておりますので、どうぞ皆さんのこの上とも御協力の下に、何とか破局に突入しないように、この危機を乗切れるような御配慮を願いたいと存じます。