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説明員(
平井寛一郎君) 一昨日の御要望もございましたので、お手許に四枚ばかりの一枚刷りの資料を差上げてございますが、一応この資料を御覧頂きながらお聞き取り願いたいと存じます。
先ず本年の下半期の需給の予想なのでありまするが、これにつきましては昭和二十六
年度下期
電力需給対照表(全国)と書いたもので一枚刷りのものがございます。それを御覧願いたい。先ずこの
計画はおおむね年初の需給
計画の線に沿うたものでありまするから、
供給力の点につきましては年初
計画のものを
使つております。ただその後いろいろと
供給量の変更等のありましたものにつきましては
考慮しておりますが、水力は設備の許す限り当然これは深夜に対する若干の無効放流とか、或いは
計画的に停止電源をいたしまするための停止
電力等は見込んであるわけでありますが、水力発電所の能力をそういうふうに
考慮して一ぱいに出した
数字が、下半期を通じまして右に掲げた百四十五億
キロワツト時とな
つております。
火力の
発電量は、これは
石炭の量の
関係があるのでありますが、年初の
計画の線によ
つても、いわゆる年間六百五十万トンと称せられておりまする
数字の下半期分が、丁度四百二十万トンの
計画にな
つておりますが、それに基きました
火力発電量がここに出ております。勿論住友、共電その他の
火力等も入れまして、或いはその他の
火力の発電分も入れてあるわけであります。そうしたものを合わせました
供給力が、下半期を通じまして百九十五億六千九百万
キロワツト時とな
つておるのであります。これに対しまして需用のほうでありまするが、年初の
計画では大体この
供給力に合わし得るように
割当電力量等をもきめまして、そうして需給のバランスをと
つて出発したのでありまするが、その後の実際の需用は
大口、小口それぞれの分においていずれも伸びておるのであります。で、上半期のそうした実態を把握いたしまして、その上に立
つて下半期の需用量をば再調整して予想を立てましたものが、この表にある
数字でありまして、内訳の
説明を省略いたしますが、需用という欄の合計の右端に百五十五億四千万
キロワツト時とな
つております。この予想は
相当からい目に見て堅く査定したのでありまするが、どうしてもこの
程度の需用は避け得られないように思うのであります。これは需用端でありまするので、それに総合損失をば
考慮いたしますると、発電端の
需用電力量(B)ということが出ております。下から三つ目の欄、二百九億千七百万
キロワツト時の需用にな
つております。差引きますと十三億四千七百五十万
キロワツト時
不足ということにな
つております。下足率が期を通じまして約六・九%、毎月の下足の
状態は、一番下の
不足率という欄で御覧頂きますれば、若干月によ
つて出入りがありますが、二月を最高といたしまして大体七%前後の
数字を示しておるのであります。これがいわゆる年初の需給
計画から離れて
現実の、今の需用の実態の上に立
つて見た
見通しであります。
特別大口需用につきましては、年毎の製産量は殖やさないそのままの建前ではじいて 実際にはこれくらいの需用はどうしてもかかるであろうと思われるのであります。それはいろいろ
超過使用量が
相当に多いのであります。従いまして、この
不足分を賄うといたしますると、これでもう水力は一ぱい計上してございまするし、
石炭をこれ以上に廻すという
方法をとる以外に目下のところ当面の補充
方法はないのであります。従いまして
石炭だけの面で申しますると、下半期は四百一工万トンは更に百万トン以上の追加を、増量を予想しない限りにおいては、これだけの需用は賄い得ないという
状態にあるのであります。そこで大きく問題になりまするのは、下半期に
現実にいろんな
産業面との関連を見ましてどれだけの
数字を確保し得るか。これが
委員会としてこの際もうどうしてもはつきり見当をつけざるを得ない一番大事な点でありまするが、先ほど資源庁のほうからもいろいろ御
説明がありましたようないろいろの
事情にありまするので、この
不足分を全部
石炭で賄うという点は、
石炭の
供給面の均衡という点からも非常に困難であるようで、到底
お話のように進み得ないような
事情にありまするので、私
どもは最少限度の目標をば、年初の
計画程度のものは確保する、そういう
意味で、下半期は四百二十万トンはどうしても平年豊水であ
つた場合においては、どうしても確保しなければならないと見た、これが最少限度の枠と
考えておるわけであります。なおこの
計画は、氷が八カ年の
平均出水を毎月続けると予想した場合のいわゆる大体の
標準と申しますか、
平均値と申しますか、そういうものの上に立
つての予想でありまするので、豊水でありますれば、その豊水分だけは
供給量は殖えまするからして、一応
不足と申上げました
数字は、その限りにおいてはカバーし得るのであります。併し
渇水でありました場合には、この
渇水分は当然
石炭の増買といいますか、増加買付によ
つてこれを凌ぐより
方法はないのでありまして、その面にどれだけの増加買付が期待できるかということが
一つの大きな問題になるわけであります。
それからもう
一つは、この表には載せてございませんが、貯水池の
実情でありまするが、おおむねこの秋口の台風を越しますると、従来は電気需用量のそれぞれの冬場に備えるべき貯水池というものは
石炭に匹敵するものでありますからして、満水させる目標でいろいろと年初から
計画的にこれを調節しているのでありまするが今年の前半は非常に需要が伸びましたので、予想以上に貯水を使わざるを得なか
つたのであります。併しながらそういうものを何とか秋口の台風で以て取戻すという
一つの期待を持
つてお
つたのでありまするが、御
承知のように八月以来今日までに殆どまとま
つた雨量というものはございませんので、特に貯水池と申しまするのは大雨を期待しなければこの場合においてはなかなか水位が回復しないのであります。そういう
状態で、現状ではまだ満水量の半分
程度しか全国的には
平均して貯水ができておらないという
状態でありまして、ただ雨がなんとか早く来ることを特に祈ると申しまするような、大雨の来ることを念願しつつこの不安を持
つているというのが実状なのであります。
そこで次にはもう一枚の紙で、昭和二十六
年度下期出水率及び
火力用炭減少による想定
不足電力量という表がございます。上のほうに第三・四半期、第四・四半期、下期計というふうに書いてあります。非常にごてごてとした表でおわかりにくいかと思いますが、この表で御
説明いたしたい点は、
只今一応口頭で申上げましたように、危険な時期への予想としては
渇水ということがある。それから
石炭の量の確保が、
只今申しました下半期四百二十万トンの線よりも更に下廻るという
不足の面がある。それが量的にどういうふうに響くかということを御覧頂くために作
つた概算の表なんでございます。一番上に
渇水段階と書いてございます。一〇〇%、九〇%、八〇%、七〇%とパーセンテージが出ておりますが、一〇〇%と申しまするのは八カ月
平均の出水の場合を申しております。それから九〇%、八〇%、七〇%と申しますのは、それぞれ八ヶ月
平均の出水量の九割、八割、七割の出水しかなか
つた、そういうふうな
程度で
渇水した場合の予想であります。ただここで例えば七十という
数字になりますると
相当ひどい
制限が予想されるのでありまするが、下半期を通じて七十というふうなことは、過去の記録ではそういうふうにはならないのでありまするが、ただ一ヵ月とか短時日を見ますと、全国
平均して七十
程度の
渇水になることは長くあるのであります。その期間の長さ如何によ
つて若干違うのでありまするが、ここにありまする
数字は、期を通じての
平均数字として御覧を願いたいと思います。この
数字は又或る短期間の
数字をそのままで見る場合にも、
圧縮して
考えることができるのであります。
それから第二段のところに需用増加による
不足量(A)と書いてございます。これが先ほどの第一の表として御
説明申上げました
不足電力量六・九%の毎期の
数字でありますが、これは同じ
数字が第三、第四、下期とあります。
それから
渇水による
不足、最初の段の、例えば一〇〇%の場合には
渇水はないのでありまするから、
不足はないのであります。九〇%の場合には第三四半期において七億二千五百万
キロワツトアワーの
不足を生ずる。以下ずつとそういうふうな
数字でございます。
それからCの
説明がその下にございます。これは
石炭がこの
計画における数量より百万トン減少した場合、それが
キロワツトアワーでどれだけ響くかというのがここに載せてあるのであります。で、不安な要素としましては、
渇水と需用の増加による圧迫六・九%一というのは、これはもうずつとべたに
考えなくちやならんのであります。その下に、
渇水による
不足が重なる場合がある。これをA十Bと書いてあります。それから又、
渇水はしないけれ
ども、
石炭が思うように入らなか
つた場合、仮に百万トンの
石炭が
不足した場合、A十Cと書いてあります。
渇水と
石炭の
不足とが同時に重なりました場合をA十B十Cと書いてあります。実際こうしたものはいろいろな複雑な組合せをここに予想して書いておるわけでございますが、これらのいろいろな、予想される場合に対しての
計画供給力の需用に対する
不足の割合がその
不足率という欄にいろいろ出ておるわけであります。例えば一割
渇水をした場合、例えばA十BDと書いた欄のところで、
渇水がなければ六・九%、一番右の端の下期通算で見ますれば、一〇〇%のところでは、
渇水がなければ六・九%
程度の
不足であるけれ
ども、一割
渇水すれば一躍一三・八%の
不足になる。二割
渇水すれば二割
不足になるというような、こういうふうな見方であります。
渇水等がなくて、
石炭だけが
不足した場合の
数字は五・三、六・五、五・九%の
不足ということになるわけであります。で、このいろいろと予想されまする要素をできるだけ克服したいのでありまして、
渇水による
不足分は一応平水の場合に四百二十万トンという
数字に対しまして、更にその
渇水の
状態の出ました場合には、それだけの分を何とか増加してもらうように、これは又骨折らなくちやならないと
思つておるわけであります。それから
石炭の
不足のないようにあらゆる
努力を今続けておるわけでありますが、これがここ暫くの最善の
努力……、いろいろと通産省
方面でも御
協力を頂きました結果が大よそ
見通しが立ちますならば、それによ
つて具体的なめどを付けなくちやならんと思うのであります。こういうふうでありますので、下半期全体を通じては月によ
つて豊水のときもありますし
渇水のときもありますので、なかなかその辺を上手にならして行かなければならんのであります。おおむね豊水でありますならばその点は
相当緩和できると思うのでありますが、八カ年
平均の出水しかないという想定であれば、
石炭事情がよくても貯水量が一応一ぱいになるといたしましても、なかなか窮屈であるということがはつきりわかるのであります。そうしてその窮屈の
程度は、
石炭の
入手の
見通し、或いは
渇水の倍加することによりまして更に加わるのであります。これらはできるだけ
供給力回復の面に最大の
努力をいたしますが、同時にこういうふうな具体的な
数字に立
つて見ました
見通しとしては、下半期といたしましてはどうしてもできるだけ大きな見当を付けて、そうして
計画的に需給を調節して行かなければ、非常に混乱を来すことが避けられなくなるであろう。
石炭の需要があるだけどんどん焚いて行くとすれば、一月の最
渇水期に
なつたら、その
石炭は非常に大きなものになり、あらゆる
産業が窒息
状態になるということにも相成るのであります。どうしてもこうしたことを
計画的に切抜けるようにうまくや
つて行きたいと
考えております。
その下半期の
電力の需給調整の方策は然らばどう
考えておるかという点になるのでありますが、この点につきましては、実は先月来いろいろと各
方面と連絡をとりながらいろいろな
作業をやり、又打合せをやりながら今進めておるのでありますが、本日までのところではこれについてはまだその結論を得てこうだと申上げる段階に至
つておらないのを遺憾とするのでありますが、もう少し時日を要せさせて頂きますならば、およそ具体的な決定をし得るのじやないかと
思つております。これらは当然いろいろの
産業政策上の
考慮を十分に
事前にしてかからなければならんのでありますので、特にそういう
意味合から経済安定本部とは密接に連絡をと
つて進めておる次第であります。実はこの下期の
対策につきましては、その筋からもいろいろとアドバイスを受けておるのであります。当
委員会といたしましては、そうした
意味で先般来一面そういうふうな官庁
方面と連絡をとると同時に、当該
電力会社の
供給側の意向等も聴取するということにいたしまして、大体の
考え方を或る
程度集約し得るところまで来ておるのでありますが、まだ
委員会の決定に至
つておりませんので、どう変る、その
通りになるとは申上げかねるのでありますが、大体どんなふうな
考え方をしておるかという
程度を中間的な御報告として申上げまするならば、先ず何を置いてもあらゆる方途を講じて
供給力を増加する面において各段の
努力を
電気事業者にさせる、一々の項目を上げることは省略いたしますが、幾つかのアイテムを捕えまして、更に各般の
努力を続けて、そうして
供給力のできるだけの増加を図らせるというふうに骨折らすのであります。そうして足らない分につきましては、一応法的
措置を
考えまして、その法的
措置も幾つかの段階を設けまして、そうして
計画的にこれをや
つて行く、そうしていろいろな
国民経済への
影響ができるだけこう長い間に薄められて調節されるような方向に調整して行きたい、こういう
考えでおるのであります。そうして
渇水だとか、或いは
石炭の
不足だとかというようなものが、それに思わず倍加したような、不測な
事態に対応するようにその段階を一応高いところまで予想はして、如何なる場合でも大体
事前にその
制限段階というものが、大体どの範囲であるということを
国民に周知させるようにして行く。そうしてこの段階を適用するという
考え方で行きたいと
思つておるのであります。当然
キロワツト・アワーの
使用制限などの形もとらざるを得ないと思うのでありますが、同時に
キロワツトにおけるその限界を指定せざるを得ない段階に至るであろうと思うのであります。又需用によりましては、こういう需用には
使つてはいけません、という種類の需用をも指定をすることにしたいと思います。又
使用時間について
使用を限定する
方法をもとりたいと思うのであります。現在の
制限でも電燈等につきましては昼間の
使用を禁止しております。こういうのが
一つの
使用の時間の
制限であります。又似たような
意味で
休電日制をやはり布いて行かなければならんと思うのであります。
休電日制も成るべく一週間の休電の回数を少くすることが狙いなのでありますが、最も高い段階では、若干その日数を重ねなければならんという場合も一応想定しておるのであります。それから
公共事業とかそうしたものに対する
扱い方と、その他の
産業に対する
扱い方とは当然若干これは
扱い方に区別をしなければならんのじやないかと思うのでありますが、そうしたことも合わせまして、
産業種別の
扱い方につきましては、経済安定本部と目下協議中でありまして、どういうふうな
方法でやるかは目下きま
つておりませんが、いずれにしましても今のような構想でありますが、もうどうにもならなくな
つて、非常に混乱を来たすことにならないように時間的に成るべく長く薄めて、そうして
生産面或いは民生安定上の
影響も最小限度にとどめるような方途を講じたいと
考えておる次第であります。下半期の需給
対策につきまして、大体以上御
説明いたしました
通りであります。