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参考人(
吉田一男君)
吉田でございます。本日は
岩村理事長が病中でございますので、私が代りまして参りましたことを御了承
お願いいたします。
このたび
農林省から発表されました
肥料需給調整制度案についていろいろ
検討いたしました結果、
燐酸肥料協会といたしましてもこれが
実施につきましては反対をいたします。その
理由は、
只今硫安の大仲さんから縷々述べられた通りであり、従
つて私が重複して申述べることを成るべく避けたいと思いますが、
燐酸肥料の独自の
立場から、反対
理由はお
手許に配付の
意見書にある通りで、これに基きまして二、三申上げて見たいと思うのであります。
先ずこれは無用の再
統制である。即ち昨年の八月、
肥料配給公団の廃止以来、
自由経済への移行が漸く軌道に乗り、更に
米麦統制の廃止、
行政機構の整備が伝えられておる折から、ひとり
肥料のみが一般の趨勢に逆行してかかる
統制方式を採用せんとすることは理解しがたい点でございます。先ほど大仲さんから申されました通り、特に昨年八月、
肥料配給公団の廃止の際に我々業者は、もう半年これを延ばしてもらいたいという要望をいたしましたにかかわらず、廃止をいたしまして自由にな
つたのでありまして、今更かかる
統制方式をとるということは理解しがたいと存するのであります。過
燐酸におきましては、主要原料でありますところの燐鉱石はことごとくこれを
海外に仰いでおりまして、海上運賃の変動によ
つて燐鉱石の
価格は常に変動を来たしております。而もその他原料もすべて自由
価格によ
つて購入をされておる現状におきまして、
本案のごとき
統制措置をとらんとする
施策には賛成しがたいのであります。
次に金融上の影響でございますが、本
制度は
在庫金融の効果の一端を荷うことを狙いとするがごとくでありますが、当
業界におきましては、原料、特に燐鉱石のごとき輸入
物資の引当金融並びに
工場の補修、補強に多大の
資金を仰ぎつつある現状においては、本
制度によりまして却
つて市中金融機関との緊密なる連繋を阻害せられる虞れが多分にあり、延いては
生産に対する障害が生ずると思います。更に八月一日以降燐鉱石補給金廃止に伴う当
業界の金融的逼迫は、今後
生産に至大の影響を予想せられるのでありまして、本
制度に代るにむしろ昨年の金融
措置要領の主旨に基く金融の
円滑化を図る
措置を講ずべきであると
考えるのであります。
次に
輸出と
価格との
関係でございますが、本
制度は内需優先の建前をとりまして、余力がある場合に限り
輸出を認めるという精神と解されるのでありますが、むしろ国策といたしましては過
燐酸肥料の
輸出を奨励して
増産の意慾の向上を図り、延いては
操業度の上昇によるコストの切下げによりまして
消費者
価格を低下させ、一面において時期的調節の役割をも図るような積極
政策をとるべきであると
考えるのであります。
次に御要求の資料のうち、二十六
肥料年度の
需給見込につきましては、お
手許の資料の中にはありませんから、これは口頭で申上げますが、これは今申上げました
生産率と関連がございますので、口頭で二十六
肥料年度の
需給見込について申上げて見たいと思います。
昭和二十五
肥料年度の総合
需要量でありますが、即ち
昭和二十五年の八月から二十六年の七月に至る一カ年の総合
需要量でありますが、
昭和二十五
肥料年度の
工場出荷の実績は百四十二万七千トン、これに
肥料配給公団の手持ち二十三万トンが全量放出を見たのでありますから、合計百六十五万七千トンであ
つたのであります。次に
昭和二十六
肥料年度、即ち二十六年の八月から二十七年の七月に至る一カ
年間の総合
需要量の見込であります。二十六
肥料年度の
国内需要量は、
政府におきましては百六十万トンを見込んでおられるのでありまして、昨年度、即ち二十五
肥料年度の実績から見ましても、総合
需要量は昨年度、即ち
昭和二十五
肥料年度と同
程度と見ても百六十五万トンから百六十六万トンと推定せられるのであります。
海外の
需要は現在台湾、沖縄及び韓国の
需要数量は九万九千トンであり、戦前台湾、韓国の
輸出は過
燐酸だけでも
昭和十年から十六年に至る
年間平均は約十七万五千トンの実績を収めております。
政府におかれましても
年間十万トンの
輸出を計画され、これの所要燐鉱石約六万トンの
輸出向けの外貨
資金を予定されておりますので、一応十万トンの
輸出は可能であると思われます。従
つて国内需要、
輸出向けを合せまして百七十五万トンから百七十六万トン
程度になるものと思われるのであります。
次に供給量でありますが、供給対象となりますところの
昭和二十六年の七月末の
工場在庫は十四万三千トンが一応の供給対象ではありますが、
昭和二十七年七月末に同
程度の
在庫を持つといたしますればデツド・ストツクとみなせますから、本
肥料年度、即ち
昭和二十六
肥料年度は
需要全量を
生産に待つよりほかないと思います。従
つて入目を含めば約百七十七万余トンの
生産を要するわけで、二十五
肥料年度の
生産実績百五十三万八千トンに対しましてその一割五分、即ち二十三万二千トンの
増産となりますが、これから申上げるような点から見まして、これが供給は可能と思われるのであります。即ち
生産能力は過
燐酸だけでも
年間二百四十七万トン以上の
生産能力を持
つております。それから原料、資材面でありますが、先ず燐鉱石は前
肥料年度、即ち二十五
肥料年度の入荷が、
自由販売になりました結果、外貨
資金等もおおむね適切に行われまして、買付も順調でありまして、約百万トンの輸入を見まして、本年度即ち二十六
肥料年度の八月から十二月までの
需給も本年の十二月末で二十万トン余の
在庫は確実と思われますので、何ら支障がないと思われます。従
つて今後の外貨不足による
資金割当が問題となるのでありますが、これさえ所要量確保の、外貨割当さえ適切に行われれば問題はないと思います。次に硫化鉱でありますが、過
燐酸といたしましては百七十七万トンのうち百六十万トン余の
生産担当となるのであります。硫化鉱の現行
需給バランスにおいては差支えないと思います。但し
硫安が大
増産の場合は競合の虞れはあると思います。
電力使用は極めて少量でありますので支障がありませんけれども、熔成燐肥その他に
電力を多量に使用する面で
生産に支障を生ずれば過
燐酸に皺寄せが来るのでありますが、
電力はいいといたしましても、硫化鉱に若干の不足を生ずる懸念はあると思います。労務その他の条件は先ず支障がありません。
昭和二十六
肥料年度の
需給見込については以上の通りであります。