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参考人(小
汀利得君) 私の
考えておるのは、いろいろ
税制の改革もさることながら
制度なんかよりも大体税を少しとり過ぎている、これを減すということを眼目としております。あんまり税が苛酷であるために
経済界が萎縮しておるのです。例えば
通貨ですね、どれくらい
たんす預金にな
つているかということは
はつきりわかりませんが、大体
專門家たちの想像によると恐らく四千億円を出ているというのですが、その半分は
たんす預金にな
つているのじやあるまいか。
ちよつとこれは極端な見方のようですが、必ずしも馬鹿にはならないと思われることは、この間から
投資信託ということをや
つておりますが、どうも我々はあれほど行かないだろうと
思つていたら意外なる成績のようでありましてなかなか売れるのですね。そういうところを見ても、これは勿論
たんす預金の大
部分であるはずはなくて、恐らくそのうちの一小
部分が
投資信託に来ていると思うのですけれどもそれが何十億とどんどん売れている。今の調子でいくと六、七十億から百億ぐらいは或いは大して問題なく行くのではないか、それから先は又別問題ですが。そういうようなことについて見ましてもどうも出た
通貨がいわゆる
たんす預金にな
つて金融機関に集らない。
従つて産業資金にならないで寐ているということは甚だ面白くないことで、まあ第一、そういう点からい
つても今の税は取り過ぎている。
それから税を余計取る結果
有害無益の
政府の諸
機関が殖えて、これは
中央地方ともで甚だ困る。大体僕ら
民間人から見ると
政府の諸
機関の大
部分は有害なもので殆んど益を伴うことは少い。それはことことく有害であり無益ではないけれどもその害と益の
部分を分けてみたら大体において害のほうが大きい。それだから
行政整理を思い切
つて中央地方ともや
つて概していえば
有害無益の
政府の諸
機関をなんとかしなければいかんです。これは
皆様に非常なお骨折を
願つてもなかなか
人情の弱点でそう
簡單にこわせない、実際問題として。そこで私の
考えではこれはでき得べくんば税を遮二無二取らないということで以て
行政整理を強行したい、こういうように
考えております。その点については
あとでむしろつるし上げを
願つてだんだん泥を吐いたほうが
却つていいかと思いますが、それだけの問題を出すだけでとどめておきますが。
そこでこないだから讃賣の
特派員でしたかね、の話を
新聞で見ると、
ドツジが、
日本で
減税をやろうとしていることには非常に大いに批判的だと、
アメリカの
世論はこれを喜ばないようなことを書いてありました。これは私は
ドツジが
日本の
実情を知
つてくれればそういうことについて
文句はないだろうし、又
アメリカの
政治家も、それから
一般の
世論も
日本の
実情を見たら納得してくれるだろうと、こういうふうに
考えております。それは一々
数字等を覚えておりませんし、それから
皆さんの前で挙げる必要もないのですが、何しろ
向うでは税が苛酷だとか、それから
増税だとかい
つたつてそれはもう
余裕綽々たるもので、相当
日本に比べたら高いところから比較的低い税を取
つておりますから、あれならば
増税もそう払うほうじや苦情は言うけれども苦痛じやないですが、いわば乞食みたいな極く僅かな
収入しかない
日本では、こうその苛酷に取立てられたのではこれは
国民の
労働意欲も我々初めなくなるし、いわんやいわゆる大衆というものは大分、その点はまあよくここまでこの
課税にもかかわらず直
つてくれたというのは
敗戰ということをよく意識しているからだと
思つて、まあいわゆるその
国民精神の案外健全なのに感心しておりまして、ま
あとにかくこういう高い税を取
つて、而もそれが使い方を見ると御
承知の
通り非常に大きな
部分が
人件費に消えて行く。大体
民間の
事業ででもあれば
人件費が三分の一を超えるようなものはこれはもう
不健全事業で、半分にでもな
つたら到底ものにならない
仕事ですから、それが
政府諸
機関では甚だしいところでは一〇〇%も
人件費に出るそうですが、まあそれが一〇〇%は極端な例であ
つて、とにかく四分の三
人件費に出るというようなことではそれはどうも甚だ面白くない。そのために非常に
官公吏も能率が上らないで
害惡を流し、非常にその何ですね、いやな空気を
官吏、
公吏の間に漂わせるのみならず、それが延いて
民間の
仕事の邪魔をする。例えばこれも
皆さんも大抵御
承知のことですけれども、税で取ると
言つても
国税庁関係から取りに行く、
調べに行く、都道府県が
調べに行く、市町村が
調べに行く、これをその三
通りに
調べるというようなことは、それは
理窟はあろうし
法律は今そういう建前にな
つておるだろうが受けるほうはたまらない。それは成るほど
調べに行くほうでは
屁理窟を並べれば、その受ける者の厭がるというのは、何かそこに不正があるからだというようなことで、不正も何もなくとも結局そういうような面倒なことは大体
民間人は嫌いなんで、それだからこそ
親讓りの
商売をしているとか、
そこらで
商売を始めたりしている、その
法律が非常に詳しいとか、それから書き物が上手だというと、まあ
官吏か
公吏に大体なるような
傾向を持
つている。そういうような人がな
つておるから
人間の
傾向としても
収入やいろいろなことを面倒くさく
調べられることは厭なんだ。例えば生理的にでも別に何にも
欠陷がなくても、男でも女でもあんまり精密に例えば裸にして
調べられるということは誰だ
つて余りいい気持ではない。そういうまあいわば
人情というものには一種の
秘密性、プライバシイを重んずる
傾向があるので、特に
財産とかを、つまり、積極的の
財産も反対のほうもあるが、
余り詳しく
調べられたくないということは
人情で、やはりどこの
税法、
税制を見てもそういう点については考慮してや
つている。そういう点からい
つて、今の
制度でその三
通りにも
調べに行かれては受けるほうは堪らない。
それからこの何ですね、
税金について別に何らの怠慢とか懈怠がなぐも
ちよい
ちよい呼び出される。これは特に
政府のほうから頼まれていわゆる
税法これは名前はないのですが、いわゆる税の
懇談会というものに行
つたときに、初めからやかましく
言つて漸く少し改良してもら
つたのですが、私らも何度か呼び出された。
呼出は今日の九時に来いと言う。
呼出は大抵朝十時頃
葉書が配達されることにな
つておる。そしてその
葉書の
文句を見るとこれは
刷り物だから消すのを怠
つておると思うが、やれ仕入元帳、売上何とか、何とかかとか八つくらい書いてそういう物を持
つて来いと書いてある。こつちは勿論
商売人ではないのでそんなものを持
つて行かなくてもいいということはわかるけれども、一体何を聞きたいから来いというのか、そういうことはちつとも書いてなくて何時に出頭しろと、それも三日か、四日か、一週間か、十日前によこすならいいが、指定の時間よりも遅れて届く。これは郵便の問題も勿論ありましようけれども、それよりは前日に出してそんなに朝早く来るはずはない、そのくらいのことは心得て置かなければならない。そういうこともかまわずにや
つているということは、これはそれ以後ですね、改めて
質問の
内容を必ず書く、これこれについて聞きたいということを書くことにさしたのです。それからそれのみならずもつと
余裕を置き、時にも
余裕を置き、それから
相手の選択を許すように、例えば、何月の何日の午前九時から午後五時までの間に来てもらいたい、又でき得べくんば例えば五時に営業をおしまいにしたらその
あとで行けば間に合うようにするとか、するのが本当だろうと思う。これはまあ
労働基準法の
関係なんかで人の出の
関係があ
つてそれはできない。できないじやないが非常に困難だというからそれはその仕方がないとしましても、そういう点でも甚だ不都合で、どうも善良な
国民が何らの怠慢とか違法とかがなくしてただ
呼出される、まあ我々は税のほうは
簡單な
所得で払うだけだし、
あとは
地方税の何でいいのですけれどもいろいろな複雑な
商売などをしている人はそれだけで非常な不愉快である。こういうようなこともつまり
税務行政も大体その
役人が勝手に
国民を、
納税者を呼び出したりするということは不都合千万であるから、そういうことも当然改めなければならん問題だと
思つております。今後もまだそれは改良の余地はあると思うが、これ
はついでですから申上げて置く。
それからこれは元に戻
つて今の
ドツジなんかはいろいろ
日本の
減税ということに同情を持たないということは、これは
日本でこうまでまずいことをや
つている、こうもその財政の支出は濫費であるということを、詳しいことを知らないだろうと僕は思う。これは知
つてもらわなければならないし我々も又知らす義務がある。こう思うのですが、知
つてもらえば成るほどこれはひどい、これでは
日本ではそのよその国が
増税するとしても、
減税をするというのは当り前だということがわかるだろうと思う。そういうことも非常に大事な問題であると思う。
それから
さつき申上げたその税を取るために非常に多くの
官公吏を
雇つていて、それが
民間に害になることはこの実例を申上げますと、それはやや抽象的にいうと百万円の
会社がある、その百万円の
会社に対して今のようにつまらない
書類をあれこれと出せということを要求すると、そこでは百万円ぐらいの若し
法人とすれば、それは家族でや
つたにしても殆んど主人は学問などというものをしないで経験でや
つている。それから細君にしてもよしんば元の女学校は出ていてもそんなことには馴れないから、
帳面付けなどということ、
書類を書いたりすることも得意な人は幾人もいない。そこで今なら
商業高等学校を出た者を一人ぐらい雇わなければならん。そうするとこれは少くも給料その他を入れて
人件費一万円ぐらいはかかります、そうすると年に十二万円、即ち何事もなくてこれだけかかる。これを病気で休むとか病院に入れてやらなければならんとか、いろいろな問題が起らないにしてもその資本の一割二分というものはこの
事業からいうと何ら
仕事に寄与することのない、ただ
政府、つまり
中央地方の
政府その他から要求される
書類を出すために人を置かなければならない。だからこれが若し一人で百万円の
会社なら大抵そう大勢置くほどの
書類も要らないでしようが、千万円ぐらいの
会社になるとなかなかいろいろな点で
書類もあるし、
届書もあるしそれからいろいろな
賃金等の
源泉課税の問題とかいうようなことで元は要らなか
つた人を雇うことになる。そのために仮に千万円の
会社が五人
雇つて一万円ぐらいとしても年六十万円出る。これは六分の配当ができるかできないかという問題で、そういう点からい
つて非常に
産業の発展を妨げている。こういうことがありますのでどうしても私どもからいうと税を下げる、遮二無二税を下げるということをしない限り、これでいい気にな
つて税をとらしておくと、限りなくむしろ
民間の
仕事を妨害する、これを助成するのでなくてむしろ妨害するような方向へ
向う場合が非常に多いので、その点からい
つても
減税をしなければならない。大体こういうようなことを先ず頭の中へおきまして、それでいろいろ現在の
税制を一応どういうふうにいじ
つたらどういう影響を生みながら
減税ができるかということを今
考えておるところでありますが、その案はまだできませんし、それから二十二日に大体いわゆる税の
懇談会をや
つて、そこで大抵は結論を出そうかというところですが、どうもその時に出ますかどうですか、
ちよつと困難じやないかと私は想像しているのですよ。もう少し或いはもう一回ぐらいや
つてみないと、まあ今国税のほうは四月の十八日に一応答申しまして、それは
新聞に発表になり
皆様御
承知の
通りですが、私今申上げておるのは
地方税ですけれども、その
地方税がそういうわけで、まだまあ一週間や
そこらどうも答申までにかかるのじやないかと思いますが、私がその
内容を申上げるのは不適当だと思いますので、それは勘弁して頂きたいと思います。
まあ大体これくらいの前置にして
皆様からいろいろ御
質問というか、みんな
專門家の
先輩後輩の大家ばかりですから、
一つお聞きにな
つてお答えできることならお答えをする。それから又私の
考えを申上げたいこういうことでどうでしよう。