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1951-09-19 第11回国会 参議院 大蔵委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年九月十九日(水曜日)    午前十時四十四分開会   —————————————   委員の異動 八月二十日委員高橋龍太郎君、杉山昌 作君及び九鬼紋十郎辞任につき、そ の補欠として伊藤保平君、田村文吉君 及び團伊能君を議長において指名し た。 八月二十二日委員油井賢太郎君及び山 崎恒辞任につき、その補欠として櫻 内辰郎君及び菊田七平君を議長におい て指名した。 九月十八日委員徳川頼貞辞任につ き、その補欠として愛知揆一君議長 において指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件理事補欠選任の件 ○金融政策並びに制度に関する調査の  件  (税制改正に関する件) ○委員長の報告   —————————————
  2. 小串清一

    委員長小串清一君) これより大蔵委員会を開会いたします。  先ず先に杉山理事大蔵委員辞任に伴いまして理事に欠員を生じたのでありますが、この際理事補欠選挙について委員長にその指名を御一任願いたいと思いますが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めます。それでは私から伊藤保平君を理事に指名いたします。
  4. 小串清一

    委員長小串清一君) 今日は税制改正の問題について税の懇談会委員の小汀利得君をお招きいたしました。これより御意見を拜聴いたしたいと思います。
  5. 小汀利得

    参考人(小汀利得君) 私の考えておるのは、いろいろ税制の改革もさることながら制度なんかよりも大体税を少しとり過ぎている、これを減すということを眼目としております。あんまり税が苛酷であるために経済界が萎縮しておるのです。例えば通貨ですね、どれくらいたんす預金になつているかということははつきりわかりませんが、大体專門家たちの想像によると恐らく四千億円を出ているというのですが、その半分はたんす預金になつているのじやあるまいか。ちよつとこれは極端な見方のようですが、必ずしも馬鹿にはならないと思われることは、この間から投資信託ということをやつておりますが、どうも我々はあれほど行かないだろうと思つていたら意外なる成績のようでありましてなかなか売れるのですね。そういうところを見ても、これは勿論たんす預金の大部分であるはずはなくて、恐らくそのうちの一小部分投資信託に来ていると思うのですけれどもそれが何十億とどんどん売れている。今の調子でいくと六、七十億から百億ぐらいは或いは大して問題なく行くのではないか、それから先は又別問題ですが。そういうようなことについて見ましてもどうも出た通貨がいわゆるたんす預金になつて金融機関に集らない。従つて産業資金にならないで寐ているということは甚だ面白くないことで、まあ第一、そういう点からいつても今の税は取り過ぎている。  それから税を余計取る結果有害無益政府の諸機関が殖えて、これは中央地方ともで甚だ困る。大体僕ら民間人から見ると政府の諸機関の大部分は有害なもので殆んど益を伴うことは少い。それはことことく有害であり無益ではないけれどもその害と益の部分を分けてみたら大体において害のほうが大きい。それだから行政整理を思い切つて中央地方ともやつて概していえば有害無益政府の諸機関をなんとかしなければいかんです。これは皆様に非常なお骨折を願つてもなかなか人情の弱点でそう簡單にこわせない、実際問題として。そこで私の考えではこれはでき得べくんば税を遮二無二取らないということで以て行政整理を強行したい、こういうように考えております。その点についてはあとでむしろつるし上げを願つてだんだん泥を吐いたほうが却つていいかと思いますが、それだけの問題を出すだけでとどめておきますが。  そこでこないだから讃賣の特派員でしたかね、の話を新聞で見ると、ドツジが、日本減税をやろうとしていることには非常に大いに批判的だと、アメリカ世論はこれを喜ばないようなことを書いてありました。これは私はドツジ日本実情を知つてくれればそういうことについて文句はないだろうし、又アメリカ政治家も、それから一般世論日本実情を見たら納得してくれるだろうと、こういうふうに考えております。それは一々数字等を覚えておりませんし、それから皆さんの前で挙げる必要もないのですが、何しろ向うでは税が苛酷だとか、それから増税だとかいつたつてそれはもう余裕綽々たるもので、相当日本に比べたら高いところから比較的低い税を取つておりますから、あれならば増税もそう払うほうじや苦情は言うけれども苦痛じやないですが、いわば乞食みたいな極く僅かな収入しかない日本では、こうその苛酷に取立てられたのではこれは国民労働意欲も我々初めなくなるし、いわんやいわゆる大衆というものは大分、その点はまあよくここまでこの課税にもかかわらず直つてくれたというのは敗戰ということをよく意識しているからだと思つて、まあいわゆるその国民精神の案外健全なのに感心しておりまして、まあとにかくこういう高い税を取つて、而もそれが使い方を見ると御承知通り非常に大きな部分人件費に消えて行く。大体民間事業ででもあれば人件費が三分の一を超えるようなものはこれはもう不健全事業で、半分にでもなつたら到底ものにならない仕事ですから、それが政府機関では甚だしいところでは一〇〇%も人件費に出るそうですが、まあそれが一〇〇%は極端な例であつて、とにかく四分の三人件費に出るというようなことではそれはどうも甚だ面白くない。そのために非常に官公吏も能率が上らないで害惡を流し、非常にその何ですね、いやな空気を官吏公吏の間に漂わせるのみならず、それが延いて民間仕事の邪魔をする。例えばこれも皆さんも大抵御承知のことですけれども、税で取ると言つて国税庁関係から取りに行く、調べに行く、都道府県が調べに行く、市町村が調べに行く、これをその三通り調べるというようなことは、それは理窟はあろうし法律は今そういう建前になつておるだろうが受けるほうはたまらない。それは成るほど調べに行くほうでは屁理窟を並べれば、その受ける者の厭がるというのは、何かそこに不正があるからだというようなことで、不正も何もなくとも結局そういうような面倒なことは大体民間人は嫌いなんで、それだからこそ親讓りの商売をしているとか、そこら商売を始めたりしている、その法律が非常に詳しいとか、それから書き物が上手だというと、まあ官吏公吏に大体なるような傾向を持つている。そういうような人がなつておるから人間傾向としても収入やいろいろなことを面倒くさく調べられることは厭なんだ。例えば生理的にでも別に何にも欠陷がなくても、男でも女でもあんまり精密に例えば裸にして調べられるということは誰だつて余りいい気持ではない。そういうまあいわば人情というものには一種の秘密性、プライバシイを重んずる傾向があるので、特に財産とかを、つまり、積極的の財産も反対のほうもあるが、余り詳しく調べられたくないということは人情で、やはりどこの税法税制を見てもそういう点については考慮してやつている。そういう点からいつて、今の制度でその三通りにも調べに行かれては受けるほうは堪らない。  それからこの何ですね、税金について別に何らの怠慢とか懈怠がなぐもちよちよい呼び出される。これは特に政府のほうから頼まれていわゆる税法これは名前はないのですが、いわゆる税の懇談会というものに行つたときに、初めからやかましく言つて漸く少し改良してもらつたのですが、私らも何度か呼び出された。呼出は今日の九時に来いと言う。呼出は大抵朝十時頃葉書が配達されることになつておる。そしてその葉書文句を見るとこれは刷り物だから消すのを怠つておると思うが、やれ仕入元帳、売上何とか、何とかかとか八つくらい書いてそういう物を持つて来いと書いてある。こつちは勿論商売人ではないのでそんなものを持つて行かなくてもいいということはわかるけれども、一体何を聞きたいから来いというのか、そういうことはちつとも書いてなくて何時に出頭しろと、それも三日か、四日か、一週間か、十日前によこすならいいが、指定の時間よりも遅れて届く。これは郵便の問題も勿論ありましようけれども、それよりは前日に出してそんなに朝早く来るはずはない、そのくらいのことは心得て置かなければならない。そういうこともかまわずにやつているということは、これはそれ以後ですね、改めて質問内容を必ず書く、これこれについて聞きたいということを書くことにさしたのです。それからそれのみならずもつと余裕を置き、時にも余裕を置き、それから相手の選択を許すように、例えば、何月の何日の午前九時から午後五時までの間に来てもらいたい、又でき得べくんば例えば五時に営業をおしまいにしたらそのあとで行けば間に合うようにするとか、するのが本当だろうと思う。これはまあ労働基準法関係なんかで人の出の関係があつてそれはできない。できないじやないが非常に困難だというからそれはその仕方がないとしましても、そういう点でも甚だ不都合で、どうも善良な国民が何らの怠慢とか違法とかがなくしてただ呼出される、まあ我々は税のほうは簡單所得で払うだけだし、あと地方税の何でいいのですけれどもいろいろな複雑な商売などをしている人はそれだけで非常な不愉快である。こういうようなこともつまり税務行政も大体その役人が勝手に国民を、納税者を呼び出したりするということは不都合千万であるから、そういうことも当然改めなければならん問題だと思つております。今後もまだそれは改良の余地はあると思うが、これはついでですから申上げて置く。  それからこれは元に戻つて今のドツジなんかはいろいろ日本減税ということに同情を持たないということは、これは日本でこうまでまずいことをやつている、こうもその財政の支出は濫費であるということを、詳しいことを知らないだろうと僕は思う。これは知つてもらわなければならないし我々も又知らす義務がある。こう思うのですが、知つてもらえば成るほどこれはひどい、これでは日本ではそのよその国が増税するとしても、減税をするというのは当り前だということがわかるだろうと思う。そういうことも非常に大事な問題であると思う。  それからさつき申上げたその税を取るために非常に多くの官公吏雇つていて、それが民間に害になることはこの実例を申上げますと、それはやや抽象的にいうと百万円の会社がある、その百万円の会社に対して今のようにつまらない書類をあれこれと出せということを要求すると、そこでは百万円ぐらいの若し法人とすれば、それは家族でやつたにしても殆んど主人は学問などというものをしないで経験でやつている。それから細君にしてもよしんば元の女学校は出ていてもそんなことには馴れないから、帳面付けなどということ、書類を書いたりすることも得意な人は幾人もいない。そこで今なら商業高等学校を出た者を一人ぐらい雇わなければならん。そうするとこれは少くも給料その他を入れて人件費一万円ぐらいはかかります、そうすると年に十二万円、即ち何事もなくてこれだけかかる。これを病気で休むとか病院に入れてやらなければならんとか、いろいろな問題が起らないにしてもその資本の一割二分というものはこの事業からいうと何ら仕事に寄与することのない、ただ政府、つまり中央地方政府その他から要求される書類を出すために人を置かなければならない。だからこれが若し一人で百万円の会社なら大抵そう大勢置くほどの書類も要らないでしようが、千万円ぐらいの会社になるとなかなかいろいろな点で書類もあるし、届書もあるしそれからいろいろな賃金等源泉課税の問題とかいうようなことで元は要らなかつた人を雇うことになる。そのために仮に千万円の会社が五人雇つて一万円ぐらいとしても年六十万円出る。これは六分の配当ができるかできないかという問題で、そういう点からいつて非常に産業の発展を妨げている。こういうことがありますのでどうしても私どもからいうと税を下げる、遮二無二税を下げるということをしない限り、これでいい気になつて税をとらしておくと、限りなくむしろ民間仕事を妨害する、これを助成するのでなくてむしろ妨害するような方向へ向う場合が非常に多いので、その点からいつて減税をしなければならない。大体こういうようなことを先ず頭の中へおきまして、それでいろいろ現在の税制を一応どういうふうにいじつたらどういう影響を生みながら減税ができるかということを今考えておるところでありますが、その案はまだできませんし、それから二十二日に大体いわゆる税の懇談会をやつて、そこで大抵は結論を出そうかというところですが、どうもその時に出ますかどうですか、ちよつと困難じやないかと私は想像しているのですよ。もう少し或いはもう一回ぐらいやつてみないと、まあ今国税のほうは四月の十八日に一応答申しまして、それは新聞に発表になり皆様承知通りですが、私今申上げておるのは地方税ですけれども、その地方税がそういうわけで、まだまあ一週間やそこらどうも答申までにかかるのじやないかと思いますが、私がその内容を申上げるのは不適当だと思いますので、それは勘弁して頂きたいと思います。  まあ大体これくらいの前置にして皆様からいろいろ御質問というか、みんな專門家先輩後輩の大家ばかりですから、一つお聞きになつてお答えできることならお答えをする。それから又私の考えを申上げたいこういうことでどうでしよう。
  6. 小串清一

    委員長小串清一君) 如何ですか。皆さんからいろいろ御質問をして頂いたほうが適当じやないかと思いますが。
  7. 木内四郎

    木内四郎君 小汀さんに伺いますが、この間平田主税局長向うから帰つて来て、イギリスでは所得の査定をするときに、実際の所得よりも内輪課税するとか何とかということは、我我質問をしても向うでもぴんと来ないほどに法律をそのまま適用してやつているという話なんですな。これは日本では非常に税率が多くて、税務署では百万円所得があつて百万円かけたならば相手のほうは卒倒してしまうようなふうなんだから、半分とか六割とかというようなふうに、実際の法律をそのまま適用するというよりも、内輪課税しているというような実情じやないかと思うのですが、それも止むを得ないことであるかも知れんが、そのために非常に弊害があるのじやないかと思いますが、そんな点はどんなふうに思われますか。税率をもつと下げて法をそのまま適用したほうがいいのじやないか。
  8. 小汀利得

    参考人(小汀利得君) それはどうも我々その点同意見ですね。第一、皆さん承知通り、どうもこれはお互い日本人の持つ一面長所でもあり一面短所だと思うが、何か法律ができますと、如何なる惡法でもそれをもうひどく守るですね、よく。それはもう極端に、例えば労働基準法なんというものは、労働基準局年報を見ると驚くのですが、一月でもう違反事件三万五千件というふうに挙げてありますね。見ると痰壺が所定の箇所に置いてなかつたとか、女工の寄宿舎の手摺が三センチ五ミリ低かつたとか、そんなことが何の害がありますか、これは、ちよつと速記よして下さい。
  9. 小串清一

    委員長小串清一君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止
  10. 小串清一

    委員長小串清一君) 速記を始めて下さい。
  11. 小汀利得

    参考人(小汀利得君) 税率を下げていいものはどんどん下げて、その代りこれは日本のよかれあしかれ国民性合つたようちやんと一〇〇%かける、そのほうがいいと思いますね。
  12. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちよつと減税の御意見誠に賛成なんですが、ただ行政整理お話がございましたが、行政整理によつて大体どのくらい予算が節約できるというような大ずかみのお見込ですか。
  13. 小汀利得

    参考人(小汀利得君) それはどれくらい行政整理をやるか。我々が総理に答申した案と何か今橋本行政管理庁長官のやつている案とは大変違つておるということですからどういうことになりますか。それからあなたがよく御承知のようになかなか平年度になつてどうということは何だか、最初は誰もの要望で、同胞ですから、政府税金を喰われては困るからやめてもらわなければならんが、さりとて役人になつた者が惡くてなつたのじやない、とつたほうが惡いのだから、やめさせる者にすぐ路頭に迷わせるようなことはできないから、その点で成るべく寛大に、できたら本給はそのまま半年か一年間やるとかというようなことをしたらどうか。実際は細かい計算というものはもつと何してみないとわかりませんね。ただ最初年度はそうでも、一度減らせぱ次の年からはそれはちやんとはつきり数字が出ますからね。
  14. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 小汀さんの御意見では例えば非常にラフですけれども、どの程度現状において行政上に非常な支障を来さない程度の、そんなに社会問題を起さない程度で、どの程度予算の節約ができるかということ。
  15. 小汀利得

    参考人(小汀利得君) 僕は極端なことを言うと、十五人に一人くらいでよいだろうと思う、残る者は。それは少し言い方がひどいですけれども、実は世の中は幼稚でね、その一割か二割の行政整理を大変騒ぐけれどもとんでもないことで、戰前は官吏は本当に必要なのは五人に一人だつた。それがあまり仕事をしないでおつた。それが御承知通り戰後になつて国土は狭くなり資源がなくなつたにかかわらず、どんどん殖えたわけですから、それだからその前から五人に一人でよかつたという計算ならば、本当言えば十五人に一人でいいと思う。これくらいのものだと思う。併しどうもそうもいきませんから、よくても惡くてもそこを基本にして、生活の根拠を作つていろいろやつておるのを非常な変革を起すということはよくないから、まあ理想を言えば三分の一ぐらいにするのが一番いいと思う。それは行政支障なんかかりそめにも来さないで、而も非常に国家社会進運を助けると思う。今はさつきから言うようにいろいろ社会進運を妨げておりますからね、非常に莫大な行政機構、複雑な行政機構のために。そういう考えですから、ちよつとあなたなんかとは正面衝突でこれは話が簡單につかないと思います。
  16. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 減税の場合歳出のほうについても何かいろいろ御覧、お考えがあると思いますが、歳出のほうを問題にしないで減税だけを問題にすると、例えば今後警察予備隊国家警察といつた歳出のほうがどんどん殖えて行くのに、それが減税を困難ならしめる一つの理由になつて来るわけですね。歳出の面については何かこれは当然減税の場合には考えなければならんと思うが、そのほうについては何か御意見はありませんか。
  17. 小汀利得

    参考人(小汀利得君) それは大体話合いました。歳出は相当減らすということに我々委員は一致しておるのです。大体地方税でも五百億円ぐらい歳入を減らすことを目標にして案を立てつつあるのですが、そうするとそれだけは当然歳出を減らす。で中央でもとにかく最初八百四十億円ほどの減税つたのです。それは当然歳出を減らす。ただ今年度は御承知法人税なんかがどうしても増収になるに決つている情勢つたから、そこでそうまでは減らないだろうが、その半分の四百億円前後は歳出を減らそう、こういう考えであつたのです。これは今でも変りありません、この考え方は。できたらもつと減らしてよいと思う。ただ我々さつき申上げた言葉でもわかるように、それは私の單純なる理想論を、それをそのまま今の実際政治家にぶつつけたところで実行してくれなければそれまでで、どえらいことを言つて喜んでみたところでそんなことはマスターべーシヨンですから、それでできるだけ妥協的に、少くも今の政府ならばやつてくれそうなところをまあ目標にやつたわけなんでしてね。甚だ不完全なもんで妥協的なもので心苦しいのです、詰らない。もつともつと思い切つた大なたを振わなければ日本はよくならないと、僕は確信しているんですがね。
  18. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 もう一つ、これは本筋の質問ではないのですけれども、さつき投資信託お話がありましたが、我々もあんなに投資信託が盛んになるとは思わなかつた。ところが予想外に非常に盛んになつた。あの原因を聞いたりなんかしてみますと、たんす預金が相当多かつたということが主なる原因ですが、どうも会社含み資産、含み的な利益処分に弱つてそつちに行くのが相当あるのじやないか、こういうことを言われているのですが。
  19. 小汀利得

    参考人(小汀利得君) 僕は実は最初それが主だつたんだと思うんですが、あなたもお調べになられて御存じでしようが、これは二割五分から三割で、あと四分の三から七割はやはりたんす預金一般投資らしいんですね。それで実は驚いたんですね。僕もこれはあなたと同じようにお辞儀しているのです、シヤツポを脱いでいるのです。どうも見込み違いだ、ああ行くとは思わなかつた、それでね、驚いて調べてみるとどうもたんす預金というものが莫大な額らしいんですね。勿論たんす預金というのは日本だけの現象ではなくて、アメリカはたんすじやないが金庫預金、箱、トランク、スーツ・ケース預金だか何だか知らんがこれが莫大なもので、或る人は、二百八十億のアメリカのダラーの半分はいわゆるたんす預金だろう、これは勿論アメリカ人だけではなく、ヨーロツパ人その他アジヤ人も入つているが、そういうものだろうと思うのですが、あすこは税が非常に軽いけれども、それでさえそんな大きなたんす預金があるだろうと專門家が想像しているということですから、これはやはり税というものはですね、人間というやつは聖人君子じやないのだから、人間の慾に丁度かち合うような税でなけりや駄目なんですね、限度をほぼ見極めて行かなけりや。
  20. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 今の税金のことですが、私考えるのに、取られる面から見まして非常に不公平な面があるのじやないかと思うのです。というのは例えば源泉徴収なんかの場合、我々月給から引かれる場合、これは根こそぎ一文も法律から掛値なしに取られてしまう。ところが大きい所に行くと、実際にあの法律からいつたらもつと取れるやつが相当逃がれているというふうに我々は考えられて仕方がないのです。併しそれは数字を握つているわけではありませんが、小汀さんそういう点御検討になつておられるかどうか、それはどのくらいあるだろうか、あるように思うのですが。
  21. 小汀利得

    参考人(小汀利得君) それは検討とまで大きなことは言えませんがやはり幾らか探つてみればあると思いますねそれは。ところがこうですね。我々が今の源泉でとられた上にあとからどかつと総合課税で来て、それは苦しいよりも腹が立つんですよ全く。鵜みたいに一度呑込むけれどもぐつと締められると大部分吐き出させられてしまうんだもの(笑声)、本当に癪に障つてしまう。ところがお互い月給取りは、あなたは何でいらつしやるか存じませんけれども、まだいいのです、よくわかつているのだ限度が。ところが商売人なんかになりますと、一時はひどくて、本当に青色申告というものがない前から、あの時分にまじめにやつても残酷な何か投書かなんか、日本人の惡い癖ですが人をねたんで変な投書をする者がある。同業者が投書をしたりすると、税務署としてもこれは面白いと思うだろうし、おまけに人間がむやみに大勢いるものだからそんなことでもしないと仕事がなくなるからわつといつてそれをやるということで(笑声)、一昨年昨年は商売人夫婦心中や親子心中するほどひどい目に会つた。ところが最近はそういう点がやや改善され、税務官吏も幾らか訓練ができたし又余り政府の方針も苛酷にとらないことになつたので、今度はそういうほうが緩かになつて、我々今の法律できちんととられるほうが今度比較的苛酷に見えるようになつた、こういうことですね。でどうもこれは人間のやることだからうまくは行かないもので、我々どうもこつちが月給取りでありながら商売人に同情して、あれはひどいと言つてこの春まで大いに力瘤を入れていたのですが、半年たつて見たら情勢が逆転して、今度は月給取りのほうが苛酷で商売人のほうが幾らか緩和して来たというわけですが、その点が今おつしやる大きい所なんという所にはいろいろなからくりがあると思いますね。
  22. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 ちよつとその点について、私は小さい商売人一家心中をしなければならんような者をいうておるのじやないのでございまして、もつと大きな所でありまして、私は労働運動をやつて来たのですが、どうも今朝鮮景気の恩典に浴しているというか、その景気が非常についているところの事業に行きますと、労働組合のほうでもこれくらいの儲けを隠しているのをよく知つておる。それは法律の上でも資本蓄積の線に沿つて行くなら、法律できめられた点だけを納めて行つてその残りを蓄積して行くのならよろしいが、そうでなくてそれを隠しているやつをよく知つておるようで、それを組合のほうから締めて行くと、これはもう本当に内緒で盛んに渡している。これは五億なら五億あることを知つているから、そのうちの一億だけ出せ、あとの三億だけ承知しようというわけで、会社の帳簿を握つている者はわかつている、重役より知つている、そういう点があるのじやないか。その点を税務懇談会も御検討……、何も法律を改正してやるのじやなくて、法律を改正せずに見逃がして行くというのが相当あつたと思うのです、この点。
  23. 小汀利得

    参考人(小汀利得君) いやそれはいろいろそういうこともあり得るというわけで、恐らくやつているだろうということは話合いましたが、併し今のお言葉でわかるように、それは労組もぐるになつてやはりそれをやつているのだから(笑声)、なかなか表面に現われませんね。取引に利用しているのだ。だからこれはなかなかむずかしいですね。その弱点を或る程度労組は見逃しておいて、あとから行つてさあどうだ、これをぐずぐず言うならばらすがどうだということで取引をつているのだからやはりそとに現われませんし、これは想像はできますけれども、それを今の調子で税務署が行つて今度あばこうとすると、中にはそうでもないやつがひつかかつて、ちえが足りなくて労働組合とことごとくぶつかつていて、なかなかその帳簿は正確にしているが、妙な投書が行つたり、そうでなくてもこれは怪しからん、何か惡いことをしているに違いないということでやられるからどうも五十歩百歩でして、とかくそういうことを想像でやつてしまうと、正直者がひどい目にあつて、少したちの惡い者になるとうわ手うわ手と行きますから一向何もなく口を拭つて知らん顏しているという場合が多いですね。ここには税のほうの大家が大勢いらつしやるが、それはいろいろ御経験おありだろうと思うのですがね。
  24. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それについてあなたのほうの……。
  25. 小汀利得

    参考人(小汀利得君) いやよくあなたの何はわかりました、御身分が。それは僕もそういうことは同感ですけれども、実際問題としては、なかなかそれはどこにだつて潜るやつがあるのだから、それをことごとく捉まえるということは困難ですね。その点で僕の考えるのは、やはりとにかく税率を低くする、それから單純にして、同じことならそれが正当に資本として蓄積されるようにしなければいかん、こう思います。今のようなことをして浮かしておくといい加減にごまかして使つてしまいます。労働組合にも幾らか出す、その代りあれを出したから文句を言えないだろうというので、自分のふところへ入れる、そら中に政治資金か何かにまいてしまうということもあり得るわけですからね。
  26. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 もう一つお聞きします。税金を低くするということは結構ですが、そうするとそれだけ国家の収入は減る、そのうちでこれを行政整理によつてのみ賄おう、こういうお考えの下に税制改正についての答申案をこしらえておられるのですが、その賄うのが減る分だけは、これはすべては行政整理によつて賄う、これで税を安くする、一部は安いことによつてずつと正直に納めてくれるだろう、こういう自然増収、安くするために却つて税金の額は殖えて来る、率が安くなるから額が殖えるという点はどのくらいあるか。それからこのほかに絶対量の減る分が行政整理と、こういうふうな睨合せはどのくらいに考えておられますか。
  27. 小汀利得

    参考人(小汀利得君) それはいろいろ話合つてみましたが、なかなかどうも我々專門家じやないので、幾ら出るだろうというようなそういう数字は今日まで話合つていませんが併し相当ある。例えば今の遊興飲食税のようなものは、これはもう税率を下げてそれで今あれを地方でとつていますが、国税ででもとればこれは税率を下げるにかかわらず大変殖えます。そういうようなものはありますが、所得税とか一般法人税のほうでは、それは大した大きなものが殖えるということは考えていませんね。  それから今の行政整理、なんですか、行政整理をして浮くやつを減税にするという方針か、こういうのですか。
  28. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 あなたのお話を聞くと、大体行政整理を狙つておられます。行政整理で浮かした分だけを減税に廻す、こういうふうに考えられるのですか。
  29. 小汀利得

    参考人(小汀利得君) それはとにかく思い切つて減税して、中央、地方の政府に財源を減らすことによつて行政整理を余儀なくしようというのが僕の個人的考えです。それくらい押つけて行かなければ、この将来の日本ですね、国際競争場裡に立つたいわゆる自立日本というものは、今までの乞食日本はそれでもやつて行けたろうけれどもこれからはそれじややつて行けない。それを結局そんなことでだんだん貨幣価値が下る、為替の率を変える、物価が上る、賃金ベースを上げろ、それで又それを今度どうかするというようないたちごつこをやつちやいかん。それはとにかく小犬の腹の中に象の臟腑を入れたような今の日本中央、地方の大きな行政機構、複雑な行政機構というものをこういう相応な臟腑にしようというのが僕一人の考えです。
  30. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 もう一つ、一応私も行政整理の、今の官庁機構というものは私も官庁におりましたが、一つ書類をこしらえるにしてもまあ三十くらい判をおすんですね。私自身もその判をおして貰いに廻つたんですが一週間もかかる。三十の判を捺すのに、そういう複雑なことをやつている。それを簡素化することは賛成ですが、今のは税制という問題ばかりじやなしに、あなた相当国の経済そのものから考えておられる。税制改革を考えておられるような話でありましたけれども、そこから浮いて来るやつを、人間の配置転換という点までですね、今官吏である人間をどつかへ使い道を考えなければいかん、遊ばしておくのではただ喰いさせるだけですから、この点もお考えの上にやつておられるんですか、その点一つ
  31. 小汀利得

    参考人(小汀利得君) それは大いに考えています。
  32. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 どういうふうに、それが一番大事だと思うんです。
  33. 小汀利得

    参考人(小汀利得君) 第一に極く簡單な話は、今まではそういうふうな複雑な行政機構をべらぼうな高い、そうして面倒な税制なんかで民間仕事事業意欲、労働意欲をなくしているから甚だ民間財界が振わないんですけれども、そういうものをなくなし税を軽くする、軽い税だつたり、しち面倒くさいことがないようにしたならば仕事も起ります。まあいわゆる日米経済協力だとか何だとかいつてちよつと物価が余り高くちや出ません。これは安くする方法はいろいろあるんですが、物の値が相当に、普通の値であれば相当外に出る余地がある。そこで御承知の船もこしらえなければならんし、こしらえれば幾らでも需要がある。貿易も相当海外に向つて、買つてくれれば原料を輸入するからこれで人手が要るということで、今国民経済或いは国民生活からいうと概して有害のような働きをしている官公吏の少からざる部分民間に廻すことが僕の少くとも大方針です。そうして具体的な方法としては、だから今度の行政整理はいわゆる老朽淘汰ということをやらないように若い人をやめさせる。例えば税務署なんかでも六万二千五百人いるけれども恐らく事実上は五万人くらいは戰後に入つた人ですから二十二、三で入つていればまだ二十代が多い。僕ら商売換えしたのは三十代なんです。商売換えを何度かやつてみましたけれども三十代というのは商売換えも楽です。四十を越すとよほど困難になる。だからできるだけ若いところで商売換えをさせなければいかん。こう思つているので、その点で今までの老朽淘汰を、実際は老朽じやないんですがね、朽じやないくせに少し年を取つていると朽と称して、伜がやつと中学か高等学校へ行つている、娘がやはり今でいうと高等学校へ行つている程度のやつを老朽と称して首を切つたり、あれはどうも不埓千万だと思う。第一親交が家庭内において、如何に民主々義でも老朽な親父だなんというのでは威巖も何もないことになつて、そういう馬鹿な考え方、今までの官庁の整理の基礎観念を変えさして若い人を出す。それをですね、余り怠け癖やいばり癖のつかないうちにさつさと私は自由国家に有用な生産のために働かせるようにする。これが僕の方針です。それは具体的にちやんとやつています。
  34. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 ならもう一つ、小汀さんは中外商業という新聞を出しておられて、わしも青年時代にこれを読んだんですが、その当時の意気まだ衰えずで結構ですが。
  35. 小汀利得

    参考人(小汀利得君) ますます盛んです。
  36. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 今のお話で一番僕が問題なのは、理窟は成るほどそうですが現実はその点をしつかりやつてもらわんと、あなたのこの行政整理の構想が結局は国内の治安を乱すことになる、というのは、この前にやつたんですが、私は国鉄におりまして国鉄から随分行政整理を九万くらいやられた、やつたそのあとへ行つてみますと大抵は自由労務者に行つている。而も自由労務者が職安デモをやつておるその指導者になつており、これは若いのが行つておるんです。というのはどこへ行つても使つてくれない、配置転換がされていない、やるにはやつたが実際は職安デモの指導者になつております。そうすると世の中を呪うのですね。若い者が首を切られるとどこへ行つても使つてくれない。ところが一部には社用族というような連中の夜になつて来るとさんざめきの音が聞こえる。街へ出れば何でも売つている。この若い身空で履歴書を持ち歩いても雇つてくれないとなつたならば必然これは世の中を呪うのですよ。共産党対策だとか言つて抑えることばかり言わないで、呪うやつを喜んで働かせるようにしなければならない。これが先決問題だと思うのです。これを裏付けなしにやつたんじや却つて混乱させるんじやないか。  そのもう一つは、あなたのおつしやつた日米経済協力の線から、相当日本のこしらえるものはどんどん売れて行くだろうと明るい見通しですが、大分最近のお話を聞いてもどこでもキャンセルが多い、戻つて来た品物で困つておる、売行きが思わしく行かん。そこで日米経済協力も鳴物入りで言われたほど事実はいい仕事は来ん、なかなかそう売れんということを私は聞いておるんですがね。その点が特に、それから日本でこしらえているものが何といつても市場は東南アジアから中国だと思うのですが、日本製品が売れて行くというのは極く本当に指定された品物、向うから規格を言われてこれをこしらえよ、或いは軍需工場の下請工場みたいなことをやつてつたものは買つてくれるでしようが、自由で日本産業がこしらえた、企業においてこしらえたようなものをどんどん出すというようなことになると、やはりこれは東南アジアかよく行つて南米だと私はそう思うのですが、その見通しはそういうふうに繁昌して来る見通しの上に立つて行政整理行政改革を考えておられるのですか。
  37. 小汀利得

    参考人(小汀利得君) あのね、それはその見通しの上に立つて行政整理税制改革をやつたんじやありません。それはたとえね、そういう見通しが暗くとも、暗ければ暗いほど場合によると民間の、つまり八千三百万の大多数の税をとつて、それでまあいわゆる国民の苦しみに油を注ぐようなものであつちや社会正義のために許すべからざることである。それは暗くともやつて行かなければいかんというのが少くとも僕の考えである。併し幸いにそれは理想論であつて、政治の実際はそうは行かないから、それは暗いときであればまあまあしばらくそれが明るくなるまで待たなければならないが、幸いに相当明るくなつた、そこでちようど時期はよしというわけでこれをやることにしたわけですから、決してそれが明るくなつてからやつて行かなければならんとは思つておりません。暗かろうともやらざるを得ない、いわゆる涙をふるつてやるべきことだと思いますが、幸いにしてそれが幾らか明るくなつたからなお都合がいい。こういう機会にやらなければ到頭日本は変なことになつちやつて、ふらふらになるということであつちや甚だいかん、まあこういうふうに考えております。それから僕は、ちよつと脱線ですけれども関係がありますからお願いしたいのですが、僕はもう人口制限ということについて微力を盡しておる、も大きいけれども相当骨を折つているのですが、どうもあなたがた社会党の諸君も元は僕と同意見つたけれども、近頃はどういうわけだか余り人口制限に力をお入れにならなくなつちやつた
  38. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 大賛成でございます。
  39. 小汀利得

    参考人(小汀利得君) 賛成ならば断固として刑法の堕胎の罪なんてたわけたものをとつて下さい、この臨時議会で。たわけているですよ。姦通さえ罪にならないのに堕胎というようなことを罪にしようというのは、これ又さつきいうように検事もお巡りもそういうものをひつくくろうと考える、これは残念ながら日本国民性である。而もそんなことは講釈しないでもおわかりだと思うが、或る村であの野郎どうも赤で気に入らん、あの菊川は社会党だ、あいつの妻君を一つひつかける方法はないか、あの妻君はこの間お腹を膨らしておつた、ところが近頃凹んだからすぐひつぱる、それがあいつらの根性なんだ。残念ながらこんなたわけた法文がそのまま条文に残つているというのは僕はどうかしていると思う。そのために起る弊害なんということを言つておるような時期じやありませんよ。それで保健所なんというものを村々は非常にこしらえたが、あれは僕は妊娠調節所とむしろ看板を塗りかえて、いらはいいらはいで来たやつは皆堕してやつたらいい。そんなことはパンパンの子ならなおさら堕さなければ国家社会の負担じやないか、いろいろの意味において。だからそういうことを一体なぜ議会はぼやぼやしているのか憤慨に堪えない。
  40. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 僕のほうの加藤シヅエ女史はその先鋒でやつております。
  41. 小汀利得

    参考人(小汀利得君) 加藤さんはいいけれどもあなた方にも旗を振つてもらわないと、松永さんどうですか、あなたのほうでは。
  42. 松永義雄

    ○松永義雄君 ちよつと速記をとめて下さい。
  43. 小串清一

    委員長小串清一君) ちよつと速記をとめて下さい。   (速記中止
  44. 小串清一

    委員長小串清一君) 速記を始めて下さい。  地方税のほうはまだおきめにならんが、大体ごのくらいということはさつきお話がありましたが、これについてもまだそうこの辺にしようというようなアウトラインを拜聽するわけには参りませんか。
  45. 小汀利得

    参考人(小汀利得君) 何でもいわゆる極秘で、幾らかもれましたが、それも「日本経済」にもれました。但し私は決してもらさないので、それはどうもほかからもれたようですけれどもそういうことがありますから、実際はここで私が委員諸君を出し拔いたりして申上げるということは甚だ僭越で、これは勘弁して頂いたほうがいいだろうと思いますが。
  46. 小串清一

    委員長小串清一君) 行政管理庁が今度特にああいうことをやつたんですが、地方の府県でも随分論議されて、或る程度行政改革をしなければ政府からそう金をもらうということは無理だという意見が相当地方長官のうちにもあるのですが、併し大体が地方長官は飽くまでも国の仕事をするのだから、もつとお金を殖やせ、公共事業費を殖やせとか或いは配付金をもつと殖やせというのだが、これは地方でも相当論議されておりますから、あなた方のような実際家がいろいろ意見を御発表になれば地方も反省し、政府も相当の改革ができるのじやないかと思うのですがね。
  47. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 四月十一日の答申は講和関係のことは大体考慮されての答申だつたんですか、大分日時もたつておりますから情勢も変つておりますが、一応講和関係のことも織込んで答申されたんですか。
  48. 小汀利得

    参考人(小汀利得君) 具体的に何かあなたのお考えをもう少し。
  49. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは講和関係で非常に新たに財政負担が出て来るわけです。そういう点と睨み合せて最近では自由党政調会とか政府あたりでは減税は困難である、これは政府懇談会は別でありますけれども情勢はそういう情勢になつて来ておる、そういうことも大体はつきりじやないけれども、おぼろげながらも含んでの答申なんでしようか。そうでないと又新たな情勢によつて答申し直すというようなこともできて来ると思いますが。
  50. 小汀利得

    参考人(小汀利得君) それは考えて答申したので、それから少くも僕の考えでは講和ができてもそんなに財政負担がひどく殖えやしない、又殖えるところはほかで減らせばいいので、減税は予定通りできると確信しておりますね。それでやらないのが惡いので、立派にやれるとこう思つております。
  51. 小串清一

    委員長小串清一君) 如何ですか、まだ何か……、それでは午前中の審議はこの程度にいたしまして、更に午後一時半から開会いたすことにいたします。    午前十一時五十五分休憩    —————・—————     午後一時四十七分開会
  52. 小串清一

    委員長小串清一君) 午前に引続きまして委員会を開会いたします。先般租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、当委員会の全会一致の意見で衆議院通過の法案に対する修正案を作つたのでありますが、その後司令部のリード予算課長と折衝をいたしましたがまだ了解を得られないのであります。併しこの問題はよほど重大でありますし、自分らの考えとしては最も正しい解決法と思いますので、更に私より委員会を代表してリード課長にその時情を説明をいたしたのであります。それらの書類はお手許に皆廻しておきましたが、この問題はまだ参議院に正式付議せられてからは幾らも日がないのでありましてまだ継続調査中でありますが、この書面にもあります通りこの理由書で十分だと思いますが、若し必要があればいつでも行つて説明をするということにして、到底これはこの来るべき臨時国会には無理ですし、やはり通常国会まで延ばさねばならないだろうと思つております。相当理由あるものと思い、向うでも全然否認はしていないのですから、ただこちらの言う通りには同意しませんけれども、是非同意を得たいと思つております。続いて折百衝を続ける考えでありますが、一応御報告を申上げます。若し諸君からもつとどんどんやれとおつしやればさようにいたしてもよろしうございますが、こちらから出した書面に対してまだ日にちもそうたたないのでありますが、返事をよこさないのでありましてもう少しそれを待つて、或いは返事をよこさないようなら又よこざないとして催促するということに取計らいたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 小串清一

    委員長小串清一君) それではそういう処置をとりますから御了承を願います。   —————————————
  54. 小串清一

    委員長小串清一君) 次にこれから税制改正に対する大蔵当局の説明を求めるのでありますが、差当り地方財政委員会のほうから出席しておられますし、松永委員よりの質問の御通告もありますから、松永委員より、地方財政委員会事務局財務部市町村税課長松島五郎君が着席しておりますから御質問を願います。
  55. 松永義雄

    ○松永義雄君 私の質問いたしたいことは、市町村税の固定資産税がどういうふうになつているかという点であります。最近土地家屋に対して市町村で再評価をやつておるようでありますが、それによつて若し不動産が従来より評価が上るということになると税額が増して来るのではないか、負担が増して来るのではないかといつて市町村役場では戰々兢々たるものがあるのであります。従つて若しそういうことになると一体平衡交付金はどううことになつて行くかという点も考えられるのでありまして、事は市町村財政のことでありまするけれども、国家の財政の上にも大きな影響を与えるのではないかと思われるのでありまして、その点について現状は一体どうなつているのか、この先どういうふうになつて行くか、そういう点について地方財政委員会はどう考えられているかということを御説明願いたいと思います。
  56. 松島五郎

    ○説明員(松島五郎君) 只今の御質問にお答えを申上げます。  只今市町村がおのおの評価を実施いたしておりまして、今月の末日までに法律上は一応終了することになつておりますが、事務的な都合もありまして遅れている所も若干あるようであります。今までに財政委員会が県に一つの調査方法を示しまして、サンプルで以て調査いたしました結果の数字が一応まとまつて来ておりますので、それについて御説明を申上げますと、大体土地につきましては、大都市、いわゆる六大都市方面におきましては殆んど上下がなく、京都のような所は土地についでは賃貸価格にいたしまして大体六百五十倍程度まで下るということになります。大阪は七百八十倍程度、東京が九百倍程度であります。家屋のほうは大体多少上りまして、東京都で千百倍内外、あと大阪方面においては大体千倍内外のように聞いております。これもまだはつきりした数字が全部集まつておりませんので正確なことは申上げられませんが、大体の傾向はそういうふうになつております。ところが中小都市以下におきましては、大体去年の倍数に比べまして相当上つて来ております。土地のほうは大体今資料によりますと、殆んどどこも同じような上り方でございまして、大体千二、三百倍から千七、八百倍までの間の倍数を示しております。ところが家屋になりますと、賃貸価格の関係がございまして、大体人口の稀薄な所ほど倍数の上り方が大きいということになつております。例を以て申上げますと、人口五千人未満の純農村における農家についでの中程度の各県の評価の平均で参りますと、坪当り評価額が四千八百九十九円、それに対しまして賃貸価格が一円三十七銭、倍数にしますと約三千五百倍になつております。これがだんだん人口が多くなるに従いまして、評価額が同じ中程度の家でも上つて来ております。例えば人口五万以上十万未満の都市について調査したところによりますと、これは農家を除いた專用の住宅でございますが、これが評価額が一万二千円でその倍数が二千二百倍ということになつております。それから更に人口十万以上の都市になりますと、同じような調査によりますと、併用住宅即ち店舗と住宅と併用しております普通の店屋ということでございますが、これが評価額が坪当り一万二千四百九十六円、倍数にしまして千二百五十倍、更に店舗について申上げますと、同じ十万以上の都市でありますと、評価額が一万二千百十五円、倍数にしまして千百倍、こういうふうにだんだん評価額が同じ中程度の家をとりましても倍以上に人口段階において上つて来ております。それにもかかわらず倍数で行きますと、大体倍数が逆の方向を辿つておると、こういうことになつておるのでございます。この原因がどこにあるかということになりますと、私たちは、賃貸価格のつけ方が比較的従来農村のほうが安かつた、そのために倍数が殖えて来ておるのではないかというふうに考えておるのであります。例えば下の程度のものについて申しますと、七十八銭というような賃貸価格でございます。そうしますと、この評価額を二千百四十九円に押えておるのであります。坪当り二千百四十九円に押えて、その賃貸価格に対する倍数は二千七百五十倍ということになるわけでございます。坪当り二千円の家ということになりますと、これは決して下の程度の家でも高いとは言い切れないと思うのであります。それにもかかわらず倍数におきましては三千七百五十倍という相当大きな倍数になつております。ここに賃貸価格が農村等においては比較的低かつたという点に問題があるのではないかというふうに考えております。併しながら急激に税負担の増加をもたらすということは、納税者の負担の上から申しましても到底堪えがたいところでもありまするのと、徴税事務上の円滑を期するためにも急激な負担を求めるということは実際上不可能に近いことでありますから、財政委員会といたしましては、差当つて一番最高の税負担をする者でも昨年の二倍以上にならないように軽減の措置を講ずるようにという通達を出して指示いたしておるわけであります。本来ならば税率の調整とか法的の措置をすべきでありますが、本年度は差当つて現段階のことでありますので、税負担を最高のものでも二倍以上にならないようにということで軽減の措置をいたすべきであると、こういう指導をいたしておるわけでございます。
  57. 松永義雄

    ○松永義雄君 そうしますと、今まで通り農村の町村がやつていた仕事をそのままにして税額が上るということになると税収入が殖えて来る。そうすると、平衡交付金とはどういう関係になるのか伺いたい。
  58. 松島五郎

    ○説明員(松島五郎君) 平衡交付金につきましては、差当り本年度は評価実施の最初の年でもありますので、更に全国的に見ましても均衡の措置等もやつて行かなければなりませんし、平衡交付金のほうは一日も早く決定しなければならない関係もありますので、一応今年度は賃貸価格の九百倍で、昨年と同様の税収入があるものとして平衡交付金の扱いをすると、こういうことにいたしております。
  59. 松永義雄

    ○松永義雄君 これから先意見になりますけれども、御承知通り、農村は最近は幾らか黒字であるかのごとき数字が出ておるようでありますが、併し農村の経済上の傾向というものはだんだん惡くなつて行くというのが常識ではないかと思うのですが、今までだつて農村の文化生活というものは非常に低いので、農地改良のごとき問題にいても殆んど土木費というものが十分に整えられておらないので、殆んど農村では人件費に使用されているといつても過言ではないくらいであります。そこで税を上げるということ自体が、農村では恐らく不当というか現在マキシマムに達しているので、むしろ農村の税を減らして、その上になお且つ平衡交付金をどんどん出して農地改良をやるとか、文化生活をするとか、上げて行かなければならんというふうに考えているのですが、実際どういうふうにそういう点はなつて行くのか。まあ主税局長がここにおいでになつていますが、惡く言うと今度の再評価で喜んでいるのは大蔵省で、困るのは地方財政委員会、こういつたことすら耳にするのでありますが、農村だけがこう鞘寄せになつていじめられている結果になるということは重大だと思うのですが、まあ課長さんの一つ意見を。農村の話をどう考えられるか。一体税金を上げられる余地があるのか。まあここに学者がたくさんおられるから私は一つ一つこれを申上げないのですが、そういうことがあるかないかということは、家屋の税金を上げたからといつてきまるものじやないでしようが、上げて税金が殖えるのならいいけれども、不動産なんかに税金をかけたつて一体どこから税金が入つて来るか。むしろ税が納められるかどうか。そうでなくても苦しい農村がやり切れないところへもつて来て税金を殖やすなんてえのは、どだいこれは矛盾したことであるし、そういつた一体状況についてどう考えられるかということです。
  60. 松島五郎

    ○説明員(松島五郎君) 農村に対して非常に税が重くなるというお話でございますが、只今の評価を以てしますとお話のようになるわけでございます。そこで我々といたしましても農家の評価の仕方につきましては十分考慮をして行きたいと考えまして、先般一応農家のうちでもその何十年来古い家がありまして、実際使用してない部分というのが相当多い家もあることを考えまして、世帶人員一人当りの面積というものを出しまして、それに世帶人数を乗じまして、それに更に全国平均の使用面積というものを加えたものを二で割りまして、それ以上の部分を一応遊休部分にするというふうにして、その部分についての評価の軽減をやつて行きたいというような措置も講じているわけでございます。  なお全般的な問題といたしまして農村の地方財政をどうするかというような問題につきましては、これらの評価の結果等を十分検討した上で考えて行くべきものと考えております。
  61. 松永義雄

    ○松永義雄君 大変細かくなつて行くのですが、只今遊休家屋の話があつたのですが、聞くというと大きな家に住んでいるまあ金持というか、そうした人には家族が割合に少くて、遊休面積が殖えるのじやないかといつた心配もあるということを言つております。この点はどうですか。
  62. 松島五郎

    ○説明員(松島五郎君) その問題もございますが、一応形式的にはこれだけの面積は使用している面積であつてこれだけはまあ一応遊休している面積だというふうに、もう評価額を面積で以て或る程度操作を加えて行くということにしておりますが、お話のように大きな家に入つている金持であつても、何も担税負担からそういう取扱をする必要のないという家もあるだろうと思います。  それにつきましては実際市町村、自治体が一番よくその実情を知つておると考えられますので、自治体において適宜その面についての調整を加えて行くということで解決をして行くのが、適当であると考えております。
  63. 松永義雄

    ○松永義雄君 平田主税局長が見えましたから、これに関連して質疑したいと思いますが。
  64. 小串清一

    委員長小串清一君) 如何ですか。先ず主税局長から税制改正について臨時国会に提出する見込のもの、通常国会に提出の見込のもの等の税制改正の大要を御説明願つて、それから各委員からこの税制改正に関する質問、或いは希望等も申上げるようにしたらどうでしようか。……じや一つ主税局長から、大体この臨時国会に提出する見込の税制改正、それから通常国会に提出する見込のもの等についての大要を御説明願いたいと思います。
  65. 平田敬一郎

    ○説明員(平田敬一郎君) 税制の改正につきましては目下案を取りまとめ中でございまして、まだ本日のところ内容の細目に入りまして申上げる段階に至つていないことを甚だ遺憾に思うのでございますが、大臣もお帰りになりましたので、今まで研究していたものに基きまして、いろいろな場合を考えまして最終案を取りまとめ中でございます。それで関係方面とも折衝を要しますまだ本日の段階におきまして、余り細目を申上げることができないのを残念に思うのでございますが、今の段階におきまする大体の点だけを一つ申上げまして、むしろ御質問に応じましてできるだけのことをお答えするという方向でお進め願つたらどうだろうか。或いは又お間に合いましたら御意見の点等もよく承わりまして、案が固まりますまでにおきましてできるだけ取入れるものは取入れるという方向で参りたいと存ずる次第であります。で率直に申上げまして、大体国税局といたしましては、先般例の内閣にあります税制懇談会におきまして一応その点をまとめてもらいました案がございますが、これをできるだけ我々としては実現のできるようにという考え方で基本的には進んでおります。基礎控除を引上げる、扶養控除を引上げるといつたようなことを中心にいたしまして、所得税の改正が主でございますが、それを主にいたしまして、その他の税につきましても負担の不均衡の点を極力是正しつつ、この際としまして妥当な税制改正を図るというのが考え方の中心でございます。ただ問題は全体のそういう問題になりますと、基礎控除の引上げと家族控除の引上げ、これは一番歳入に大きく響きまして相当の減が立つのであります。一方併し歳出のほうも相当増加の傾向にありまして相当の補正増をしなくちやならんことになつておりますが、歳入のほうにおきましても今年の上半期以来の法人税等の好調等がございまして相当の自然増収を期待し得る。まあ従いまして本年といたしましては案は余り税金を減らしましても大した問題はないのでございますが、問題はやはり税制の改正は来年度以降に影響して参りますので、来年度予算に関連しまして、大よその来年度予算の見当、まだ細目はきまらなくてもいいと思つておりますが、大体の見当がつきませんとなかなか本格的にきまつて来ない、こういう次第でございます。併し私どもとしましてはできる限り懇談会で一応まとまりました案につきまして、何とかして実現方を図るように努力して行きたいと、こういう考え方でいろいろ工夫いたしまして研究いたしておるわけでございます。それから細かいいろいろの問題に対しましては、退職金の課税の問題、讓渡所得課税の問題、山林所得課税の問題、その他所得税を中心にいたしましていろいろ問題があります。相続税の税率を調整する問題、富裕税の問題いろいろの問題がございますが、これらの問題につきましては、退職金等の課税行政整理等の関係もございますので急ぎますから、できる限り成案を得まして臨時国会に提出する運びにいたしたいと思つております。その他の問題につきましては、いろいろ関連するところが広うございますので、細目の改正問題はよく検討いたしまして、大体通常国会に提案しまして御審議を願うということに相成るかと存じます。従いましてそういう細目の問題になりますと更にもう少し時間を要しますので、目下各般についてそれぞれ検討中でございまして、本日は特にそういう問題につきましても御質問なり御意見がございましたら承わつて帰りたいと、かように存じておるのであります。甚だどうも具体的に申上げることができないので残念に思いますが、御質問がございますればその範囲内におきましてできるだけ今までの研究の段階の程度をお答え申上げることにいたします。一般的に最初に申上げますのはこの程度にしておくことにしたいと思います。
  66. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 主税局長にお尋ねしたいのですが、所得税の軽減を主にして税制改革を考慮するというお話で、誠に結構で、私たちも賛成なんですが、それで退職金の課税については行政整理等の関係もあつて臨時国会にお出しになる。その際に一つ考慮を願いたいと思うのですが、これは御考慮の中に入つておるかどうかということを一つお尋ねしたいのですが、北海道で石炭代というのを公務員に支給しておるのですが、一般民間企業におきましては、この間私北海道を少し廻つて参りましたが、現物で支給しておる所が多いのです。石炭をまあ三トンの枠内で会社あたりでは殆んど現物を買つて支給している。公務員でも理想的に行きますと現物支給でもいいのじやないか。現物で支給するから、だから税金がかからないというわけじやありませんし、公務員に対し支給された石炭代から税金を取られますので実際には三トン買えない。一般民間の給与と公務員の給与とは非常に差があるのでございますが、ああいうのはもつと石炭代については、実は三トン買えるように成るべくして上げるのが理想的じやないかという、こういう点から減税或いは免税について考慮されておるかどうか、この点をお伺いしたい。
  67. 平田敬一郎

    ○説明員(平田敬一郎君) お話の点につきましては寒冷地手当と申しますか、そういうものは特別の費用だから何か見てくれないかというような要望も前からございまして、私どもいろいろ研究いたしておりまして、ただこの生活費の差ということになりますと実はいろいろあるわけでございまして、都会と田舎で生活費に差があるととうことも事実でございます。例えば勤務地手当等も大都市と田舎とでは大分違つておりまして、俸給も違つておりますが、ただそういう点を所得税の控除の中に織込むということになりますと、なかなかこれは問題が簡單に行かない。地域によつて、或いは生活の一般的な態様等によりまして何か基礎控除か家族控除に差をつけるかということになるのでありますが、そういうことになりますと、ちよつと所得税といたしましてなかなかむずかしくて解決がむずかしいのではなかろうかというように考えておるのでございます。それで石炭の手当の場合にはお話通り、現物で支給する場合とのバランスの点であろうかと思いますが、現物で支給いたしましても相当まとまつたものでございますと税法上やはり課税することにいたしておるのであります。余り小さいものを一々現物支給を、俗の言葉で申しますとほじくり出すということになると、いかにも苛察になりますので、或る程度取扱におきましてこの程度以下のものは便宜調査しないということに、何と申しますか強いて追求しないというようなところで少し緩やかにやつておりますが、まあ併し現物支給につきましても相当まとまつたものを支給するということになりますと、これはやはり現金で支給した場合と同様に課税するという方向に最近ずつと来ておるのであります。そういう方向でバランスを整えるよりほかないと考えておるのでありますが、一般的に特別な地域に必要な特別な経費を何とか控除するということになりますと、営業上の必要経費ですと、やはりこれは地域の状況によりまして税法考えなくてはいかんということになりますと、生活上の費用を控除するということになりますと、これは一般の基礎控除、家族控除の問題に、さつき申しましたが、なつて来る。従いましてこのほうはむしろ全体として成るべく控除額を高くするという方向で、勿論個別的な解決になりませんが、そういう方向で少しでも緩和するといつた行き方、それよりほかないのではなかろうかと、今のところかように考えております。
  68. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 その点につきましては私はちよつと考えが違うのですが、例えば北海道に転勤を受ける、転勤しなければならんということになりますと、差当りそれだけはもう余分にどうしてもなくちやならん。あの家屋の構造、官舎の構造にいたしましても、これはなくちやその冬は越せんというやつだと思うのです。この間も行つてずつと実情を見て来ましたが、大体石炭がどうしてもあすこだけはなければならんのですね。これは一般の寒冷地とか地域給とかはちよつと趣きを異にするといえばいえないことは私はないと思うのですが、これを一つ、せめて三トン買えればいいのだが、もう二割税金を引かれるということになりますと、殆んど二トン六分より買えないことになつて、実際問題としては三トンどうしても要る。そういう点から考えまして、みんなあの辺へ行く連中はこつちへ帰りたい、転勤でも受けたら行くのはしぶしぶ腰掛けで行く。極端な例になると、裁判所なんかはひどいらしい。殆んど居つかんのでその地の人でやらしておるのだが、来る人も来る人もやめてしよつちゆう欠員である。それからまあひどいのは医者連中は、もう転勤命令でも受けてその辺に転勤するということならやめて開業でもするというようなことになつて、医療機関の連中はもう殆んど欠員ばかりで、碌な医者、碌な医者といつては失礼ですけれどもいいお医者さんが必要なだけ得られない。こういうことが国立病院等においてもあるのですが、この点等から考えまして、やはりああいう所へ行く連中には或る程度の、昔はこれはどこの官庁でも同じであつたと思いますが、私ら国鉄におるときも北海道へ行きますと、或る程度昇給もいいし賞与もあるというので若い時に一つつて来ようかということで行つたのですが、今日びはそういう点はちつともない。やはりそういう点も考えなければいかんと思うのですが、どうですか。石炭代だけは一つもう免税というくらいにするか、半額くらいにするか何とかできませんですか、それだけを切り離して考慮する、これにはかけないということは。
  69. 平田敬一郎

    ○説明員(平田敬一郎君) お話の点ですが、石炭代だけを免税にするということを仮に考えてみますと、役所で出しておるものを免税にする、営業者や農家が燃料費が内地よりも余計要るということで又特別に、営業費として使うものは当然引きますが、家庭の費用に使う燃料費を又幾らか限つて特別控除をすると、いろいろこの問題は私は簡單なようでなかなか簡單でないのじやないかと思います。従いましてさつき申上げましたように、一般の控除をできるだけ上げることによりましてそういう問題を深刻ならしめないようにする。税率等も下のほうの所得者にかかるところの税率はそれほど重くないものにするといつたような考え方で解決するよりほかないのじやないか。役所で支給します石炭だけを免税するということもちよつとこれはそれ自体としてもどうかと思いますし、簡單に解決はなかなかむずかしいと、かように考えております。
  70. 大矢半次郎

    ○大矢半次郎君 近頃新聞紙等に申告所得税の成績がよろしくない、二十六年度の予定申告も著しく惡いから、制度的にも何かの改正をしなければならんのじやないかといわれておるようですが、実情はどういうふうになつておるか、原因はどこにあるのか。又将来改正するとすればどういうことを考えられるかというような点について、御意見を伺いたいと思います。
  71. 平田敬一郎

    ○説明員(平田敬一郎君) 申告所得税の成績がほかの部門に比較しましてどうも振つてないということは、これはもう御指摘の通りでございます。勤労所得税と法人税は非常に好成績が上つております。予算に比べましても相当な増収になりそうでございますが、ひとり申告所得税だけはなかなか思うように行かないという状態でございます。これは一つは中小の事業のほうは、会社企業のごとく一般に朝鮮動乱によるいい影響をそれほど受けていないということが一つあろうかと思いますが、何と申しましてもやはり何といいますか、申告の、納税者から申しますと程度と申しますか、そういうことに対するどうも協力が十分でない。もう一つは昨年度におきましてできる限り申告納税の本旨に従いました運用をやろうというので、調査を大分いたしたことはいたしたのでございますが、一般納税者につきまして申告尊重という建前で進めたのでございますが、まあその結果がやつぱりどうも相当妥当なところで申告して頂くとよかつたのですが、やつぱり少し低いという感じが確かにあつたようでございます。まあそういうことの影響を受けましたのと、それからもう一つは御承知通り予定申告は昨年来、前年の実績額を申告すればそれで一応いいという制度にいたしております。従いましてこの予定申告におきましては今年は或る程度所得の増を予想していたのでございますが、昨年の決定を元にしますとその税額は勢い低くなつて来る。従いまして納める税は低くなり、まあそういう事情がありましてなかなか思うように行きません。そこで問題がいろいろあるんでございますが、一つはやはり私どもとしましては所得の実態な適正につかまえる、この努力を今年はもう一層やつて見たらどうか。成るべく個々の納税者につきまして、殊にこの営業者を中心に調査を徹底せしめまして、それで正しい所得を把握するということに努める、これが最大の問題だろうと思つております。  それからもう一つの問題は先ほど申しました予定申告の制度を少し変えるかどうかという問題でございますが、現在の関係からいたしましても一定の徴税率をかけまして、所得が殖えていると認められました場合には、前年度の実績に対して幾らか殖えたところで申告させるということになつております。これは尤も実行させまするにつきましてはもう少し細かい法律を要することになつておりますから、その法律は今までの状況から見ましてまだ御審議を経て成立いたしていないんでございますが、そういう途を将来はもう少し考えたらどうかという問題があるのでございますが、併しこれも今年の問題としましてはもう間に合いませんので、先に申しましたようにできる限り業者の個々に基いて実額を把握するという方向で行きまして、但し政府におきまして自信のあるところはできるだけ申告を進めますが、どうしても申告が出ない場合におきましては、或る程度の更正決定はいたし方ない、進んでやるわけではございませんが、いたし方ないという程度で行つて正しい課税をするという方向に行くべきじやないかと思います。そうやりますればまあ或る程度の成績は上るのじやないか、かように考えております。
  72. 小宮山常吉

    ○小宮山常吉君 局長にちよつとお伺いいたしますが、新聞で明年は減税するといういろいろ大臣からのあれもありましたが、一方の大臣は減税をする一方の大臣は減税などは思いもよらんというようなことが出ておるのでありますが、そういう点は一般社会にもいろいろな惡影響になるのではないかというようなことを考えたんですが、この点は局長はどういうふうに、増税になるのか、減税はやれるものかというようなことをお尋ねいたします。  それから所得税について私どももいろいろ自分が経済人のために聞かれるのですが、やはりこの前の八月末日現在の所得収入調べなんかを皆来て私に話すのですが、やはり所得税の源泉徴収法人税とは極めて好調に行つている、予算の面においても相当によい。これは所得税のほうの申告が今も大矢委員からも言われたように非常に殖えて来て、大蔵省、税務署のほうで予算にした額の本当に何パーセントぐらいにしか行つていないのじやないかということを聞かれるのでありますが、こういう点はいろいろの原因があると考えられますが、やはり大きな原因はこの税負担の間に不均衡とか不調和といつたようなことがあつて、今あなたのおつしやつたように徴税についていろいろ面倒をなさつておるということは私よくわかつておりますが、この点をもう少し考えられて何とかして頂きたいと思います。  それから所得税の源泉徴収の分と申告の分との間にやはり不均衡があるのじやないか。やはり所得税と法人税との間に不調和があるのじやないかというようなことをいわれておりますが、言葉を換えれば源泉徴収の給与削除のごときはもう少し上げて所得税のほうと均衡をとつたらどうかと、うような話があつたんですが、その点は局長は今後どんなふうにお考えになられておるかということと、それから再軍備はやらないにしても予備隊の増員はしなければならんというような場合に、こういう経費のいろいろな捻出の基礎というようなことを考えられておるかどうかということを一つお話願いたいと思います。
  73. 平田敬一郎

    ○説明員(平田敬一郎君) 最初お話がありました点は、実は先ほど申上げましたようになかなかまだ私もこの際はつきりできると言うことはできない、ということは先ほど申上げた通りでありますが、やりたいということで目下努力いたしておるのでございます。問題は先ほど申しましたように本年といたしましては相当の増収でございますが大したものでない。来年度及びそれ以降は歳出がどうなつて行くか、それがお話のようなものを中心にいたしまして或る程度の見通しを立てまして、それと一方におきまして税の自然増がどれくらい、そういうものを中心にいたしまして、これはいろいろ資料も検討しデイスカツシヨンを重ねられた上でやつときまる問題であると思うのであります。かような意味におきまして若干の意見が今の段階では出て参りますがそれがまあ現実論となつておると申しますか、そういうところではないかと私は考えておるのでございます。  それからもう一つ所得税の中の不均衡の問題であります。この点につきましては、先ほど大矢委員の御質問にお答えいたしましたように、やはり申告所得税につきまして所得の実態をつかまえる、この努力をもつと重ねる必要があるのではないか。それをやりませんと結局所得税というものは公平な所得税はできないということをつねづね感じておるわけでございまして、その点につきましてはよく個々の納税者につきまして実態を調べまして的確な所得をつかまえる、これに全力を払つて行こう。そういたしまして全体として控除を引上げる。税率を引下げてそうして負担の均衡を計つて行くというような方向に努力いたしたいと、かように考えております。
  74. 小林政夫

    ○小林政夫君 税制懇談会の案によると、基礎控除五万円ということになつておりますが、その五万円と扶養控除を引上げるということによつて納税義務者がどれだけ減りますか。それから納税額においてどれくらいのものになるのか。従つて徴税費の面においても相当節減できるような案でしようが、概数で結構ですから。
  75. 平田敬一郎

    ○説明員(平田敬一郎君) 今その精密な資料を持参しなかつたのでございますが、納税者におきましてはやはり農業者それから小営業者、これがその納税者でありますが、勤労所得者におきましても今度は少し上りましたので地方の独身者等で課税にならないクラスが少し出て来るのではないかと思います。詳細な数字は忘れましたが、あとで正確なことを申上げますが、或る程度は減り、一方においては所得が或る程度殖えますので、それと相殺いたしましてまあ減る数がきまつて来ると、かように考えております。  それから収入のほうは基礎控除の引上げということによりましてこれは恐らく五、六億ぐらいだと思います。それから扶養控除は二百五、六十億ぐらい減るのじやないか、こういう大体の見当でございます。
  76. 木内四郎

    木内四郎君 今後日本国民の負担が非常に重いかどうか、いずれの負担が重いかどうかということは賠償支払の問題に関連して非常に大きな問題になつて来るだろうと思うのでありますが、主税局長におかれては最近欧米各国を廻つて来られたのですが、勿論これは直ちにですね、税率だけによつて比較することはできないけれども、日本の税務を担当しておられるあなたとしてですね、欧米各国を廻つて来られた今日、それを比較してどういうふうに思われるか、又それをどういうふうに日本国民の負掛が非常に重いということを説明され得るか。その辺のところを聞かして頂きたいと思います。
  77. 平田敬一郎

    ○説明員(平田敬一郎君) この問題は今日まだ余り正確な数字を申上げるわけには行きませんし、それからいろいろな問題にも影響あると思いますので、できましたら速記をとりまして私の感じを申上げさして頂きたいと思います。
  78. 小串清一

    委員長小串清一君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止
  79. 小串清一

    委員長小串清一君) 速記を始めて下さい。
  80. 松永義雄

    ○松永義雄君 先ほど地方財政委員会のお話を伺いますと、町村の比較的疲弊した所に固定資産税が増額になるというお話ですが、一体それが負担に耐えられるかどうかという点を聞いておきたいと思います。
  81. 松島五郎

    ○説明員(松島五郎君) 疲弊した所というふうに、申上げたのではなくて、人口が稀薄な所というふうに申上げたつもりであります。人口稀薄な所が必ずしも疲弊しているかどうかということは相当これは問題があると思うのでございまして、殊に最近固定資産税がかかりました発電所のあります所では人口稀薄の所が疲弊した所であると申すわけには行かないのじやないかと思います。併しながら一般的に人口稀薄の所が経済的に立遅れている、ここにおいて固定資産税が上つて来るということが耐えられるかということは考えなければならん問題だと思います。この点につきましてはどういうふうに今後して行くかということは、或いは税率の調整をすべきか、評価の方法に何らかの考慮を加えりか、いろいろ考えておりますが、まだ結論を申上げる段階に来ておりませんので、いずれ確信ある結論が出ましたときに又御報告いたしたいと思います。
  82. 松永義雄

    ○松永義雄君 固定資産税の総額は一体全国でどのくらい額が殖えるということになるのですか、予想は。
  83. 松島五郎

    ○説明員(松島五郎君) 今サンプル調査で、先ほど申しましたような資料を出しておりますが、全国的な統計は今月末になりましたら一応法律上評価が終ることになつておりますが、先ほど申しましたように遅れている所が相当ありますので、それらの結果が全部集まつて見なければここで申上げることもできないし、正確な数字を申上げることはできないと思います。  一方においては大都市等に相当下がつて来ている所もありますので、今のところでは大して全体としての変化はないのじやないかというふうに考えておりますが、これは大都市の固定資産税におきます附随的の問題と関連して正確な資料が集まつてからここに御報告いたしたいと思います。
  84. 松永義雄

    ○松永義雄君 東京の建物ならば、その家に住んでいる人は、住んでいるがゆえに収益というか所得力がまああるのでしようが、私ども田舎のほうへ行くとそこに住んでいたからといつて所得力が殖えるわけでないし、それから都会の家はとにかく売買ということもたやすくできるので、評価が高くなつても東京では却つて利益するという点もないとはいえないのですが、農村へ行くとそこがもう永住の土地であるし田畑、山林を持つているので到底それは動かし得ない家である。農山村が非常に困つているというかだだん困つて来る傾向があるのですが、ますますこれは減税してこそ当然であつて、それの税額を殖やすということは妥当であるかないかという点を一つ伺いたい。
  85. 松島五郎

    ○説明員(松島五郎君) 都会におきましても何といいますか、給与所得者等の入つております家は、必ずしもその家に住んでいるから収益力があるということは言えないだろうと思います。ただあとのほうの売買の自由といいますか、そういう問題はやはり都会の家のほうがあろうということは言えるだろうと思います。その点につきましても評価の際には十分考慮して来ているのでありまして、先ほども申しましたように、大体同じ級程度の家を取りましても、人口の五千足らず乃至は一万以下のような所では五千円内外に評価している同じ級程度の家でも人口二万乃至五万の家では一万二、三千に評価しているというような実情から申しましても、必ずしもそういう条件を無視して評価しているということはないと考えます。
  86. 松永義雄

    ○松永義雄君 都会のことを考えても又同様なんですが、只今おつしやつた勤労所得者が借家しているような家は評価が上つてつて税金がそう違わないとおつしやるのですが、併し幾らかでも上ればそれは家賃のほうへ転嫁してもいいということになつているというと、結局借家人が負担するということになると思うのですがそういうことにならないのですか。
  87. 松島五郎

    ○説明員(松島五郎君) お話通り、評価が上ればその分が家賃に転嫁されて参りますので借家人の負担になりますが、ですから先ほど申し上げましたように、評価というものは一応あるべき姿において評価するわけでありますが、この評価ができたのちの取扱をどうするかということは今後研究してみたいと考えるわけであります。
  88. 松永義雄

    ○松永義雄君 そこで地方財政委員会としては、普通家賃が上つたり農村の税金が上つたりするということは、そうでなくても苦しい階級がますます苦しむという結果に陷る、その点は十分考慮して頂きたいと思います。更に主税局長にお尋ねしたいのですが、これは主税局長の仕事の範囲かどうか、今言つたように相当の固定資産税の増額を来たすと、平衡交付金なんかに影響は来ないでしようか。
  89. 平田敬一郎

    ○説明員(平田敬一郎君) 固定資産税の全体の収入がどうなるかという点は、私どもいろいろ検討いたしておるのでありますが、今財政委員会からお話されましたように、田舎のほうは概してどうも殖える所が多いということを聞いております。でございますが全体としてはどの程度殖えるか、私どもそれほど大きくは殖えないのじやないかと思つておりますが、それが相当殖えるということになつた場合におきまして、平衡交付金をどうするか、総体の問題はどうするかという問題が生ずると思います。  もう一つは平衡交付金の各地方団体ごとの配分は、やはり各地方団体の標準税収入がございますのでそれとの関係で又配分基準が変つて来る、この二つによると思います。後者の問題はいずれ評価が変りますとこれは当然変つて来る。前者の問題になりますと簡單に行かないので、いろいろな角度から考えてみなければならないというふうに思つております。今のところまだ固定資産税がそんなに殖えて平衡交付金に大きく影響するというところまでは考えておりません。
  90. 松永義雄

    ○松永義雄君 くどいようでございますけれども、最近の農村の町村の財政というものは大部分人件費で、農地改良とかそういつたような増産的な金というものは殆んどないように見受けておるのですが、そこへ平衡交付金をもつと殖やしてくれとか、或いは土木事業費の負担金か補助金かを殖やしてくれという声が出て来ると思うのですが、そうしたら農村が所得を増す措置が殖えて行かないのに、ここで何ら所得を伴わないような家屋に対してこういう税金をかけて行くことは、ますます農村はそういつた積極的の資金というものがなくなる結果、先ほどお話があつたように、これは一般民間資金と違つて取上げた金は人件費のほうに廻つて農村改良は殆んどできないということになつてしまう。どうしても平衡交付金を殖やすという考えを以て、農村の税金をむしろ減らして、そして農地改良なり土地改良を組合なら組合でやつて行くとかというふうにしなければならんという声も出て来るんじやないかと思うのです。そういう点は一つどうお考えになつておりますか。
  91. 平田敬一郎

    ○説明員(平田敬一郎君) それも一つ考え方と思いますが、ただまあ私どもは地方団体のうちでも、殊に市町村の、これは末端の地方団体として、最も地方自治の見地で伸ばすべきものじやないか。そのためにはどうしても自分の固有の財源を持つておりまして、それによりまして各市町村として妥当な政策をやつて行く。人件費が多いというお話でございますが、確かに現状はそうだと思いますが、まあできる限り人員は少くしまして必要な財源がありますればいろいろの事業を盛んならしめるように使うというような余地も、市町村の判断によつて出て参りますので、まあその辺は各市町村がよく一つ議会、理事者で考えられまして、妥当な財政措置をとつて行くというような方向に市町村自身としては持つて行くべきではなかろうか。そう言つてもなかなか日本の場合はできないから、むしろ政府ちやんと考えて平衡交付金みたいなものでやつて行く、そして比較的市町村が使いやすいものにするというような意見も確かにあろうかと思います。或いは又個別補助金をむしろ殖やしたらいいじやないかというような意見もあるようでありますが、併しどうもその点は先ほど申しました地方自治のあるべき姿ができますと、私どもとしてはもう少し市町村の自治を伸ばして行くという見地から考えまして、財源のことも考え、或いは市町村の仕事をやつて行くようにしたほうが今としては妥当じやないかと考えますが、これに対しましてはいろいろ反省的な意見もありますことですから、いろいろ研究いたしたいと思います。
  92. 松永義雄

    ○松永義雄君 もう一言で終りたいのですが、少し意見が違いますが、人員を減らせるかどうかということですがね、農村の町村の財源が都会にどんどん金が集中して都会方面は非常によくなつて来ている、農村は昔のように再び惡くなるという傾向を見て闇の金も余り入らないのだ。だからどうしたつて平衡交付金に持つて行かなければならん。とれるものならばそれは農村でとつたらいいですがとれない。それはおのおの見方でしようけれども、財政委員会のお話によると人口の稀薄な所は割合に多いというお話ですが、そういう所から無理してとつて、自治だ自治だと言つても金がなくて何の自治かということになる。而も都会のほうにどんどん金が集つて来る。これをどうするかということは昔に返つて交付金を多くするよりほかに方法はないのじやないか。これは一応の意見として申上げます。終り。
  93. 大矢半次郎

    ○大矢半次郎君 先ほど主税局長のお話では、行政整理を前にして退職給与の減税をほかの一時所得と切離しても臨時国会に出そう、誠に結構とは思いますが、ただ併しながら讓渡所得或いは山林所得その他の一時所得と相当関連した問題で、果してほかのものと切離して、退職所得だけがそういう措置をとつてつていいかどうかということを私疑問を持つておりますが、それについては、これら讓渡所得、一時所得と相関連して、或る程度こういう方向に持つて行こうという根本の構想がまとまつていなければならんではなかろうかと考えますが、その点は如何でしようか。
  94. 平田敬一郎

    ○説明員(平田敬一郎君) 誠に御尤もなお尋ねでございまして、私どもも、その他の一時所得につきましても大体の考え方はやはり退職所得をきめる際には見当をつけておかなければならんのであります。ただ退職所得源泉課税になつておりますから、一月からでもすぐ間に合うようにいたしませんと面白く行かない。これについてその他の所得は申告納税でございまして、来年の七月から始めるものでございますが、まあ少し切離してやつても間に合うんじやなかろうか。ただ考え方といたしましては、お話通り各種の所得につきまして大体の考え方をきめまして、退職所得だけは先にやるというような方向で進めておるようなわけであります。
  95. 大矢半次郎

    ○大矢半次郎君 二十五年度税制改正につき今振り返つてみると、非常に理論的に行つておるけれども非常に税制が複雑化しておつて、実際の適用から見るとそれが著しい障害になつておるのではなかろうかと思うのであります。殊にこの讓渡所得、一時所得についてその弊の顯著なるものがある。法規の上では完備しておるようで実際はもう殆んどなつていない状態になつておる。従つて今度の税制改正減税も去ることながら、租税の簡素化がこれも行政整理にも相当関連して来ると思いますけれども、その点も非常に重視してやつて貰いたいと考えますが如何でしようか。
  96. 平田敬一郎

    ○説明員(平田敬一郎君) お話通り今比較的実収が少くて面倒だという面につきましてはできるだけ思い切つて簡素化されるようにやつてみたらどうかというので目下いろいろの案を研究いたしておる次第であります。
  97. 小宮山常吉

    ○小宮山常吉君 ちよつともう一度伺いますが、特別法人税に対する課税ですがな、これはこの夏私どもは調査に廻つたときにいろいろあれから話がありました。こういうような特別税の税制からいつて、今後これを引上げるという噂もあるのですが、私どもの廻つたところでは成るたけ安くして貰いたいという声が非常に多かつたのですが、この点は局長はどういうふうにお考えですか。
  98. 平田敬一郎

    ○説明員(平田敬一郎君) 特別法人税率は昨年の改正で一般法人と一緒にしたのでありますが、日本の過去の長い間の歴史等に振返つて見ましても、一般税率と一緒でよいかどうか、もう少し実情に即するように考えてみたらどうかというので、その問題も目下研究いたしております。まだ本日この計算はどの程度がよいかというところまで結論は出ておりませんが問題として研究いたしております。
  99. 大矢半次郎

    ○大矢半次郎君 財源、法人税の租税収入が非常に多いということでありまするが、これは私もう最近数回に亘つて委員会におきまして、いろいろ法人税の税収入の見積り方は非常に過少ではないかということを質問して、結果においてはそれが現われておるのですね。或いはむしろ当初からの見積りが少なかつたのではなかろうか。一方においては個人の申告所得税の納税成績の惡いというのも、これは先ほど主税局長のお話のあつたようなもので、勿論重要な要素をなしておりますけれども、又歳入の見積り方を従来のものにとらわれてもつと減額すべきものを減額しなかつたということも起因をいたしておるのではないか。少しひねくれて考えると何らかの関係で政策的に法人のほうは少く見て、個人の申告所得税のほうは多く予算上に恥いて見ていたのではなかろうかというような感じはいたしておりますが、そのことはさておくとして、法人の税収入が非常にいいからして今度の税制改正においてはこの景気のいい法人税税率をもつと上げろと、そうして個人のほうは下げて、いわゆる減税ではなくて税の調整だといつてつて行こうというようなお考えもあるやに伺つておるのでありますが、果して法人税税率は今上げるのが適当なりや否やということは幾分私疑問も持つております。殊に今お話のありました通り、特別法人税のごときはですね、むしろ下げなければならん。一般法人税税率を上げる際には却つて調整の意味においてむしろ現在よりも特別法人税税率は引下げるべき必要があるのではないかと考えておりますが、それらの点についての御意見は如何ですか。
  100. 平田敬一郎

    ○説明員(平田敬一郎君) 税収の見積り方は私も大矢さんのほうから御指摘になりました通り結果においてそうなつたようで、これは生産が御承知通り朝鮮動乱以来五割殖えております。昨年の予算を私のほうで組みました当時、こんなに殖えるとは安本も見ておりませんし私どもも見ておりません。それから物価のほうも卸し物価が五割殖えております。これがやはり一部分法人の景気の良好ということになつて出て来ました。それと税制の改正によりまして比較的法人税につきましては正しい申告が出しやすくなつたと思いますが、一方におきましては査察官の効果も確かにあつてだんだんいい効果を出して来ておると確かに思います。そういう幾多の効果がありまして条件が備わりまして法人税の効果は非常にいいということを聞いております。恐らく予算の倍以上になるのではないかと思つておりますが、これは確かに大矢さんの御指摘の通りのような結果になりました。予想通りといいますか。  申告所得税につきましては政策的に見積つたというわけではないのでございまして、その当時においてはそれほど勇敢に見積れなかつた。確かによくなるだろうと思つておりましたが、余りはつきりした数字ではありませんでしたし、その当時において妥当な見積りをしたというようにお答えをするよりほかないと思います。  それから法人税税率の問題でございますが、先ほど申しましたように、所得税の問題と関連しましてこれは目下検討いたしておりますが、法人税につきましてはそのほかに御承知通り棚卸しの資産をどうするか、それから退職金の課税をどうするか、いろいろ課税の方法について考究すべき問題があつたようでございます。そういう問題と関連しまして、妥当な結論を下すようにしてみたい。で特別法人税につきましては先ほど申しましたように、まあ昨年一緒にして来たのですが、今までの経験等からいたしまして一緒にしたほうがいいかどうか、よく再検討してみたい、かように考えております。
  101. 小林政夫

    ○小林政夫君 退職金課税の軽減の方法ですね。これは今どういうふうな方法を考えておられますか。
  102. 平田敬一郎

    ○説明員(平田敬一郎君) これは先ほど大矢委員からお尋ねありましたが、どうもただ退職金の課税の問題について結論を出すのは妥当ではございませんので、外のものと一緒にして課税しておるのでありますが、一つの有力な案は退職金はちよつと違つた所得だから外の所得と分離して課税するか、検討しております。分離して課税する場合におきましても、特別の小さな基礎控除よりも大きな特別の控除を設けるか、税率を適用する場合におきましてもいきなり所得税法一般所得税の税率を適用をするが、現在行われている五分三乗式の方法を併せて用いるかどうか。そういう問題を今検討しておりますが、そういう問題につきましても検討して外の一時所得課税の問題と睨み合せまして一つ妥当な案を作つてみたいと考えております。
  103. 小林政夫

    ○小林政夫君 先般九州地方視察の際の報告で申上げて置いたのでありますが、退職金の場合に勤続年数によつて考慮するという考えはとり入れておられますか。
  104. 平田敬一郎

    ○説明員(平田敬一郎君) これも一つ考え方だと思つて研究いたしておりますが、ただ相当複雑になりはしないかということを実は心配しておりまして、やはり先ほども大矢さんからお話がありましたが、余り税を複雑にすると却つて実情に副わない点がありますので、成るべく簡單な方法で目的を達するような解決案を作りたいと思つております。
  105. 松永義雄

    ○松永義雄君 法人税のことなんですけれども、曾つて税金が高いから税金を納めるくらいなら使つてしまえというので会社の金が濫費された。ところが最近は儲かり過ぎるから儲けたことが現われて来ると馬鹿を見るから使えるだけ使えと言つたような傾向も見えておるのであります。この間聞いた話ですけれども、或る重役が自分の会社法律的には巧みにやつておるのでありますが、月一で金を貸してやつておるということがあつて、あの手この手で会社の経理面を上げておるという傾向が見えるのであります。最低はどうですか、その点は。
  106. 平田敬一郎

    ○説明員(平田敬一郎君) 今の問題は確かに前にも松永さんと御議論したことを思い出すのでありますが、これはなかなか思うようにならんむずかしい問題でありまして、税が多過ぎると多いから濫費する、反対に軽くすれば軽いで余裕があるから金遣いが荒い、なかなか思うように行かん。考え方をどうするか、私たちも判断に困る一つの問題ですけれども、率直に申しまして最近は実情としまして法人のほうは相当景気がいいので金遣いが荒い点が見受けられるのであります。これを税の上におきましては一つ方法としては一時交際費の枠を作つたらどうか、というような意見があつたのでありますが、枠が非常にむずかしいので下手な枠を作るとみんなこれまでは逆に行つてしまうということできりがありません。今大蔵省で名案がなくて困つておるのでります。そういういろいろな点を考えまして何とかほどほどのところで解決を見るいい案があるかと思つておりますが、償却のほうにできるだけ振向けさせるということを今より一段考えたらどうか。昨年以来再評価をやると償却年限も全面的に検討いたしまして今年から新らしい償却をすることにいたしておりますが、それと特別措置法で新規購入しました機械類の特別償却を認めておりますが、そういう途でももう少し拡大すればおのずからそういう方向に金を使うようになつて来るといいのじやないかということも考えております。なかなかそういう問題はむずかしく税の上でこれという名案もないのであります。そういう問題も頭に置きつつ現在の法人課税問題をどうするかよく考えてみたいと思います。
  107. 松永義雄

    ○松永義雄君 只今棚卸資産の評価について伺つたのでありますが、どういうことか私よくわからないのでありますが、決算期なら決算期で品物が下る、先行き下るかも知れないからそのとき考慮する、併し上つた場合に上る見込みのある場合にはどういうことになるのでありますか。
  108. 平田敬一郎

    ○説明員(平田敬一郎君) これは上る見込のある場合には余り会社が評価減しない。それから会社によりますと、上つてあとで現実に売れますとその利益が出て来ますから、その際課税しなければならんとかいうことになりますが、これもやかましく会計学の原則から行きますとなかなか議論のあるところでございまして、まあ理窟からいうと私はやはり昨年の行き方、今の行き方がいいと思います。ただ日本の企業の実情に即するかどうか、決算の作り方その他の実際に即するかどうかということになりますと、どうもあまり理窟ばかり言つてもおれんというので少し検討いたしている程度でございます。
  109. 松永義雄

    ○松永義雄君 金のある者があの手この手と考え税金の少いことを望んでいるようですけれども、どうも我々としては遺憾とするということを表明して私の質問を終ります。
  110. 小串清一

    委員長小串清一君) いろいろ御質問もあるようですが、本日はこの程度で散会したいと思いますが如何ですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  111. 小串清一

    委員長小串清一君) それでは本日はこれを以て散会をしますが、明日は山際輸出銀行專務理事と太田開発銀行副総裁から、両銀行の現況及び法律改正についての意見を聞くつもりであります。なお午後は銀行局長から金融の状況及び改正法律案についての意見を聞こうと思います。それでなお各委員のほうからも質疑或いは要望の御開陳がおありだろうと思いますから、成るべく多数お出でを願いたいと思います。  これを以て散会いたします。    午後三時十二分散会  出席者は左の通り。    委員長     小串 清一君    理事            大矢半次郎君            伊藤 保平君            木内 四郎君    委員            黒田 英雄君            菊川 孝夫君            野溝  勝君            松永 義雄君            小宮山常吉君            小林 政夫君            田村 文吉君            櫻内 辰郎君            菊田 七平君            森 八三一君            木村禧八郎君   事務局側    常任委員会專門    員       木村常次郎君    常任委員会專門    員       小田 正義君   説明員    地方財政委員会    事務局財務部市    町村税課長   松島 五郎君    大蔵省主税局長 平田敬一郎君   参考人    税の懇談会委員    日本経済新聞社    顧問      小汀 利得君