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参考人(
伊東猪六君) 私副
会長の
伊東猪六でございます。私
ども協会のものとしましては、
一体講和後に
以西底曳網が
如何ようになるか、こうい
つた問題で非常に
心配をしたり、又
期待をかけたりいたしておりまするが、私
ども業者のものとしましては、どういうふうになるのだとい
つたような問題については、何ら
決定案を与えてくれるものがなく、誠に実は焦躁を感じております。従いまして長崎、
福岡、下関にこの
協会としましては三
地区の支部を持
つて、三
地区の
連合役員会というものがございます。そこで先般
福岡で三
地区の
連合会を開きまして、この問題について
自分たちとしていろいろ
お願いを申上げなければならんこともあるがどうしようかという
協議から、結局この問題は地方でかれこれ
協議して見たところでいたしかたない問題だし、
一つ中央に
行つて、そして
連合役員会を開いて、幸い
会長は
周東会長でございますが、
東京にいられるわけだし、山崎副
会長も
東京だから、
東京で開いて、そうして
対策を練ろうじやないかということになりまして、昨日
東京で
開会をいたしまして、その
開会の結果によりまして各御
関係筋のほうへ
お願いを申上げることにいたしておりましたところ、幸いに本
委員会で私
どもの
陳情をお聞き下さることをお許し下さいまして誠に有難うございます。かいつまんで
お願いを申上げる次第でございまするが、項目といたしましては本来実は永年
業者として
希望をいたしておりますることは、
マツカーサー・ラインの
撤回と申しますか、撤廃と申しますか、それを非常に
期待いたしております。この問題につきましては、実は昨年の春から
業者が総
司令部そのほかに対しまして
撤回と申すよりもむしろ拡張をして頂きたい、そうして
操業区域を拡げて頂きたい、こういう
運動を続けて参りまして、或る
程度総
司令部の
天然資源局の
水産課あたりでは何とか拡げられるのじやないか、こうい
つたような
業者にも或る
程度の
期待が持てるような口吻を漏らして頂いてお
つたようでございまして、大体拡張される時期は昨年の十二月の五日頃じやないか、こうい
つた予想を持
つてお
つたのでございまするが、到頭その問題はいろいろ特殊の
事情と申しますか、朝鮮の
事変関係も起
つたことでございますし、こちらの総
司令部といたしましては、私
どもの聞いておるところでは大体拡げてやろう、こうい
つたような御
気持であ
つた、ところが
ワシントン政府へ届いて、それは待てというようなことにな
つて拡がらなか
つたというような結果にな
つておりまするので、
業者といたしましては狭い地域の中で
操業をしなければならんことになりまするので、非常に苦しんでおりまして、何とか
一つ拡げて頂きたいという
期待を持
つておりながら歯が立たずにお
つたのでございます。で今度の
講和の
調印に対しましては、
調印後には
一つ何とか拡げて頂けそうなものだとい
つたようなことで、身勝手な話でございまするが、
期待を持
つておりましたのでございます。先般七月に私
どもやはり
連合役員会を
東京で開きまして、その筋へいろいろと
お願いを申上げましたときには、多少の何か
批准が済まなければ
効力が発生しないから、
効力が発生すると共に
マツカーサー・ラインがなくなるのだ、こういうふうに聞かされてはお
つたのでありまするが、それ以前にいわゆる
調印から
批准までの間に何かの
機会で拡げてなくなる、こうい
つたようなことの
機会がありそうだとい
つたような
期待を持
つて、実は帰
つておりました。
調印は済みましたが、
調印前に私
どもが実は
一つ東京へ
行つて又重ねて
お願いをしようじやないかという
業者からの
希望もございましたけれ
ども、これは自重しておかなければならんかというので、
調印の済むまでは実は何もせずにお
つた次第でございます。それで
調印になりましてから一日も早く
行つて、
一つ何とかして頂くということに
お願いしようじやないかというのが
業者の
希望でございます。それからこちらへ参りまして昨日の会合の結果、いろいろ御
関係のお役所の御意向なり何なりも多少伺
つて見まして、私
どもの
気持はいなかを出ますときの
気持と
東京へ来ましてからの
気持といたしましては多少変
つております。それは
マツカーサー・ラインの
撤回という問題は、これは
ひとり以西底曳網の
マツカーサー・ラインだけでなしに、全体の
マツカーサー・ラインの問題になることであるからして、
ひとり底曳網の
業者のみが
底曳網の
制約を受けておるところの
マツカーサー・ラインをこの際拡げて頂きたいとこういうことをやることは面白くないのじやないかとい
つたような実は私自粛的な感じを持ちまして、この点は
まぐろ漁業なり或いはすべてのこの
日本の
海洋漁業の
マツカーサー・ラインの問題に帰着することであるからして、特に
底曳網の問題だけを取上げて御審議を願うということでなくして、一括して
撤回して頂くという
運動に参加して行こう、同調して行こうということに実は考えております。そこでこの
マツカーサー・ラインの問題はどうか
一つ御
配慮によりまして、できるだけ早く
撤回して自由に
海洋漁業ができまするように御
配慮にあずかりたいと存じます。それで、ただ
マツカーサー・ラインの問題と、それから次に起ります問題は
海域におけるところの治安の問題でございまするが、
底曳網漁業の
操業しておりまする
以西底曳の
区域ではもうすでに皆様御承知の
通りだと思いますが、再三
不法拿捕事件が起
つております。この問題は
韓国から拿捕せられる問題、それから
中共から拿捕せられる問題、
中国、今の
台湾の
関係から拿捕せられる問題、まあ三つに分れておるわけでございます。それで
韓国の問題は幸いにして総
司令部の非常なる御尽力によりまして、大体船は帰
つて参りました。まだ帰してもらえないものは
李承晩政権が成立たない、成立しない前に拿捕せられたところの船が帰
つて来ないものが残
つておりまするけれ
ども、その後の拿捕せられた船は大体帰して頂いております。それから
台湾のほうの
関係は、これ又実は現在船が帰
つて参りませんものが二十九艘というものが
向うへ、
台湾へ取られたまま帰
つて参りません。これは
乗組員は全部帰してもら
つております。それで
中共の問題は実は非常に私
どもの歯の立たない
状態にございますので、現在までにこの二十七隻
中共に拿捕せられておりましたわけでございまするが、最近その上に九月の八日から今日までに更に又六艘の
不法拿捕事件が起
つております。この
拿捕事件の問題につきまして非常な不安を感じております。できるだけ
一つ私
どもが安心して
操業できるような
方法を講じて頂きたい。その点につきましては、結局
政府の力で
一つ保護して頂くということより私
どもには
考え方がないのでございます。そこで
水産庁なりそれぞれの保安庁なり、いろいろの御
関係におきまして
保護方法については御
研究も
願つておることだと存じまするか、今日までに出ておりましたところのものは、実は
監視船であ
つて、
不法拿捕に出て来るところの
海賊的行為をや
つて来るものに対して
保護の能力を持
つていない船だと私
どもは思いまして、実は甚だ安心ができないのであります。で、どうか
一つ一日も早くあの海面において私
ども海洋漁業、
底曳網漁業を
保護して頂く
方法をお立て願いたい。それにその
方法といたしては、いろいろ私
どもも、ああして頂いた
らいいだろう、こうして頂いた
らいいだろうとい
つたような
考え方もございますけれ
ども、これはいわゆる
考え方であ
つて、御決定下さることはすべて皆予算の
裏付関係がなくちやならない問題のみでございまするので、
政府のほうで
一つ御立案の上適当な
方法をお立て願いたいと存ずる次第でございます。聞きますところ
水産庁あたりでは新らしく優秀な
保護を
目的とした船を御建造下さるというような御計画もあるように伺
つております。非常に心強く感じてはおりますものの、これから船を造
つて頂くというようなことでは火急の間に合いませんので、将来におけるところの永久の
保護対策は立てて頂くと同時に現在を
保護して頂く、こうい
つた方法につきまして特別の御
配慮にあずかりたいと、こう二段に考えております。
次に実は
マツカーサー・ラインの問題で、いろいろの
制約が今度法律的にな
つておりまして、罰則なり何なりができております。
政令三百六号、こうい
つた問題は甚だしく実は
業者といたしまして困
つている問題になります。一例を挙げて申しますというと、仮りに
マツカーサー・ラインを幾らか違反事実がありまして、そうして摘発を受けるということになりますると、その
底曳網の生命であるところの
漁業許可がこの罪の軽重にもかかわらずともかくも処罰せられたるということによ
つて漁業許可がなくなることにな
つております。従いましてこの処罰せられたところの
漁船というものはもう
底曳網として復帰することができ得ない
状態にな
つております。これらのごときはやはり悪いことをしたという問題におきましても情状の問題もございましようし、幾らかそのときの
事情によりまして多少お加減の判断ができ得られるような
制度に変えて頂きたい。これも三百六号の改廃と申しますか、廃止せられますれば問題はないことでございますが、どうしても存置されなければならんということであるならばさように裁量のできるようなことに御
配慮を願いたい。なおもう
一つの問題は
漁船の
底曳に対して、五十トン以上の船に対しては
無線設備をしなければならんということによりまして、或いは
政令に基きまして
無線設備をいたしました。
無線設備をいたしましても実はその
無線通信士が足りない。
無線通信士が足りないためにまあ無理をして
通信士を雇
つて来て、そうしてや
つている。こういうような
事情でございまするが、無理でも都合のつく場合にはよろしうございますが、最近に至りましていろいろな
需要関係がございましようが、私の聞き及びますところでは
国家警察あたりで超短波の
設備を大体いろいろな面になされて、
通信技術員がいろいろな点において必要にな
つて来るというようなことで、
通信免状を持
つた者が海を止めて陸へ上る、こうい
つたような点もございまして急に足りなくな
つている。昨日も実は
水産庁の御
当局の
意見を聞いて見ますと約三百人ばかりの
通信士がたりない。そこで
業者の
対策といたしましてはできるだけ
一つ講習会なり何なりを開いて、そうして
短期養成という建前をと
つておりますけれ
ども、なかなか
無線の
免状というものは英語が入るという
関係がありまして、そう急に試験を受けて
免状を取るというわけに
行つてない
事情がございまして、少くとも六カ月なり一年なりの
講習を必要とする、そういう場合に
一体現状においては、どうな
つておりまするかというと、
政令によりまして、
無線通信士が乗
つていないと出帆ができないというような
関係で、船が立往生をしておるという
事情にございますので、従いましてこれらのごときは三百六号の
政令が改正せられまして、どうしても絶対数が足りないような
通信士の場合においては、何らかの特別のお
取扱いができるような途が開き得られれば誠に結構だと存じます。或いは又私
どもとしましては法規はそのままとしても、運営の面においてでもこの窮状を抜けて、そうして一
航海なり何なり、
事情止むを得ないものとして
通信士がなくても一
航海の漁が許される、こうい
つたようなこともお計
らいを願いたいものだと、こうい
つたようなことをこの三百六号に関連いたしましては感じておりまするので、実際面において文書がそういうような
関係にな
つておりますると同時に、又
政府のお
取扱いがそういうことにな
つております
関係上、非常に窮屈である、もう少しゆとりのあるようなことにお計
らいを願いたいと存ずるのであります。次はいわゆる前に戻るようでございまするけれ
ども、
拿捕船の
返還とい
つたような問題でございます。
中共に先ほど申上げましたように現在すでに最近に六艘拿捕せられ、現に二十七艘取られて、
乗組員だけでもまだ帰らない者が百三十人かちある、こういう
事情でございます。従いまして何かの直接御交渉の手はないとしたならば、
間接方法によ
つてでも
一つせめて私
どもとしましては人だけなりとも早く返して頂きたいという
希望を持
つておりまするのでございます。この点につきましても特に
一つ御
配慮を願いたい。
台湾のほうの
関係は、これはもう完全に終戦後に起
つたところの問題であ
つて、私
どもの船を仮に
マツカーサー・ラインの
内外にかかわらず捕まえてそのまま船を取上げる、こういう筋合いのものでないということを痛切に思うのでございます。どうか
一つその点につきましては幸い最近においては
中国関係は
台湾と
日本と
話合いができやすくな
つておるというようなことにも聞くのでございます。又この点については総
司令部の
水産の
担当部あたりでも大変に
心配をしてお骨折りを
願つておりますものの、まだ帰る埒があいておりません。聞いておりますところでは二十九艘のうちの四艘だけが行方不明で、
あとの船は現在
中国に現存しておる。それで一日も早くその船を帰して頂くように御
配慮を願いたい。重ねて要約いたしますれば、
中共に取られておるところのものはせめて人なりとも早く帰して頂きたいという問題、
台湾には船を至急に帰して頂きたい。人は全部
中国のほうは帰
つております。大体
お願いを申上げたいところの筋は大綱さようなものでございまするが、
業者といたしましてはそれに附帯はいたしておりませんけれ
ども、
海洋漁業といたしまして挙げて全体に亘る問題でございまするが、若しお許しがあるならば具体的に
お願いを申上げますけれ
ども、これは
海洋漁業の全体に亘る問題だからこの際は、例えば
指定遠洋漁業の
許可料を徴収せられるとい
つたような問題で、
底曳網漁業についてのみという意味でなしに、指定せられた
遠洋漁業に対しては
漁業許可料な課せられる。これは国の法律によ
つて皆さんがたがお取りきめにな
つておる
状態でございまするから、これを今私
どもが
お願いを申上げることは筋違いかも存じませんけれ
ども、二十七年度から
負担しなければならんというようなことにな
つておるので、
業者は非常にこれに対してどうして払おうかということを
心配をいたしておるような状況でございます。これらはひとり私
どものほうの
底曳だけの問題ではないのでございます。特にその点も併せて御免除ができれば御免除願いたい。
漁区は
制約を受けておる、更に新らしい税がかかるというようなことになりますることは非常に困るのでございます。どうか
一つよろしく御
配慮にあずかりたいと存ずるのであります。そのほかにいろいろと
お願いを申上げたいこともありますけれ
ども、小さい問題でありますので、この
程度で
お願いを申上げたいと思います。どうぞよろしく
お願いをいたします。