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1951-08-16 第11回国会 参議院 人事委員会 第1号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十六年八月十六日(木曜日) 午後一時四十五分開会
—————————————
委員氏名
委員長
吉田
法晴
君
理事
加藤
武徳
君
理事
伊藤
保平
君
理事
千葉
信君
大野木秀次郎
君 草葉
隆圓
君
西川甚五郎
君 森田
豊壽
君
木下
源吾
君 森崎 隆君 小野 哲君 西田 天香君
紅露
みつ
君
—————————————
本日の
会議
に付した事件 ○
国家公務員
の給与問題に関する
調査
の件 (
調査報告書
に関する件) (
全権委員等
の
職務
の
特例
に関する 件) (
給与ベース改訂
に関する件) ○
継続調査要求
の件
—————————————
吉田法晴
1
○
委員長
(
吉田法晴
君) それでは
只今
から
委員会
を開会いたします。
議題
の
国家公務員
の給与問題に関する
調査
の件でありますが、
派遣議員
の
報告
につきましては追
つてお願い
をすることにいたしまして、
調査報告
を提出しなければならんのでございますが、
調査報告
は未了ということでございますので、御希望であれば読み上げてもいいのでありますが、その必要もないかと思われますが、
委員長
、
専門員
に御一任願
つて
如何でございましようか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
吉田法晴
2
○
委員長
(
吉田法晴
君) それでは御
異議
ないようでございますから、さよう取計らいます。 なお
報告書
には多数
意見者
の
署名
を附することにな
つて
おりますから、順次御
署名
願います。 多数
意見者署名
加藤
武徳
伊藤
保平
千葉
信
木下
源吾
紅露
みつ
—————————————
吉田法晴
3
○
委員長
(
吉田法晴
君) それから
継続調査
の
要求書
を提出しなければならんのでございますが、この点もこれは御
異議
ないものと思いますが、如何でございましようか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
吉田法晴
4
○
委員長
(
吉田法晴
君) それでは
委員長
において適当に取計らいます。
—————————————
吉田法晴
5
○
委員長
(
吉田法晴
君) 次には本
国会
の
一つ
の大きな
議題
であります
全権派遣
の問題に
関連
いたしまして、
人事院規則
が改正せられ、十五日から施行せられておるわけでございますが、この点について
人事院
の
説明
を聞き、質疑を行いたいと思います。 先ず
人事院法制局長
の御
説明
をお願いいたします。
岡部史郎
6
○
説明員
(
岡部史郎
君) それではこれから
人事院
が去る十五日に
制定
、同日から施行いたしました
人事院規則
一の八、
全権委員等
の
職務
と
責任
の
特殊性
に基く法の
特例
につきまして御
説明
申上げる次第でございます。 この
規則
を
制定
いたしました
趣旨
を、念のため一言申上げますと、この
規則
は言うまでもないことでありますが、決して或る
官職
を
人事院
が創設する、新たに作り出すとか、そういう
考え
ではございませんので、現にある
官職
につきまして、それに対して現在の
国家公務員法
のすべての
規定
を
適用
することになると、その
官職
の
職務
と
責任
の
特殊性
に基いて、どういう不都合な点があるであろうかということを
人事院
といたしまして検討いたしました。若しもその
官職
の
職務
と
責任
の
特殊性
に基きまして、
公務員法
の
規定
を
適用
することが不適当であるというような場合におきましては、その不適当な
規則
を外すような
規則
を
制定
することが、これは
人事院
としてとるべき態度であるわけであります。そのことは
公務員法
に
附則
の十三条に
規定
されてありまして、従来もいろいろな
官職
につきまして、不適当と思われる
公務員法
の
条項
の
適用
を除外して参つたわけであります。このたび
講和会議
に参列すべき
全権委員
につきまして、この点が問題に
なつ
たわけでありますが、それよりすでに一歩遡りまして、実は
全権委員
というものはどういうものであるか。これは一体
官職
であるのかないのか。殊に、單に
全権委員
というものは、
全権委任状
を持参して行けば誰でもいいわけであるから、これは
官職
と
考え
るべき
性質
のものではないのじやないかというような
議論
もあつたわけであります。そういう点につきましていろいろ問題があつたわけでございます。又
全権委員
というものは、これは当然
特別職
ではあるまいかというような御
議論
もあつたわけであります。ところで、そういうような問題が起きますと、
公務員法
の
建前
といたしまして、或る職が
国家公務員
の職であるかどうか、或いは又
国家公務員
の職であるといたしましても、それが
一般職
に嘱するのか、それとも
特別職
であるのか、これは
人事院
が決定しなければならないということにな
つて
おるわけであります。それでありまするから、
人事院
といたしまして、
全権委員
の
任命
につきまして、必ずそういう点が問題になるわけでありまするから、そういう点を
人事院規則
であらかじめ解決しておくことが適当であろう。こういう
考え
の下にこの
規則
が
制定
されたわけであります。従いましてその
趣旨
は、第一には
全権委員
というものは、これは従来
官制
上何らとるべき手がかりはないものであることは明らかであります。
従つて官制
上
全権委員
が
一つ
の
官職
であるということを
規定
した
規定
はございません。併しながら
全権委員
というものは、
明治憲法
以来しばしば
任命
された
地位
でありまして、御
承知
のように
国際会議
に参列いたしまして、
政府
を代表し
条約等
に調印するというような
職務
を持
つて
いる
地位
であります。で、このような
地位
を現在の
公務員法
の
建前
から
考え
てみますと、どうしてもこれを
官職
であるというように解釈するのが当然のことであろうと存じられるわけであります。従来の慣例に徴しましても、例えば一例を申上げますと、
昭和
五年の
海軍
の
軍縮会議
には
若槻禮次郎
さんが
海軍軍縮会議
に
全権委員
として参列を仰せ付けられているわけであります。この場合におきましても、
全権委員
というものが
一つ
のやはり
官職
というのが正しかろうと、
考え
られるわけであります。それでありまするから、
全権委員
と申しますのは、そのような
会議
が、
国際会議
が起るたびに
任命
されるわけでありまして、常時あるわけではございません。又
官職
の
性質
といたしまして、その
官職
は常に
任命
されているかされていないかは、問うところではないわけでありまして、普段現実に人が
任命
されていない場合においては、それは欠員にな
つて
おり、必要が起るたびに
任命
される
官職
である。こう
考え
るべきであると思うのであります。そういう
意味
におきまして、
全権委員
というものは、我が国において
慣習
上、即ち
官制
上ではないけれども、
慣習
上認められ、且つ
国際法
上当然に認められているところの
官職
である、こう解すべきものであろうと思うのであります。 その次に、然らばその
全権委員
は
国家公務員法
の
建前
で、
特別職
であるか
一般職
であるかという問題になります。これは申すまでもないことでありますが、
国家公務員法
の
建前
といたしまして、すべての
官職
を
特別職
か
一般職
かに分けまして、
特別職
でないものはすべて
一般職
、而も
特別職
というものは、これを同法の第二条で列挙いたしまして、列挙したものだけが
特別職
であるという
建前
をと
つて
おりまするから、列挙していないものはすべて
一般職
であるということになるわけであります。
一般職
のうちいろいろ事情その他の変更によりまして、これを
特別職
にすることが必要であるということになれば、立法措置によ
つて
これを
特別職
にして頂くよりほか方法はないわけであります。そういう
建前
から見ますと、二条の三項に列挙してあります十五の
特別職
の中にどれも入りませんから、これは
一般職
であるというよりほかこれは仕方がございません。そういう
意味
でこの第一条ができ上
つて
おるわけであります。で、
全権委員
若しくは
金権委員代理
、又はその随員を命せられた者、これを一括いたしまして
全権委員等
と申しますが、その
全権委員等
の
職務
は
一般職
であるというのが、その
趣旨
でございます。 次に然らばその
全権委員
というものは、これは誰が
任命
するのかという問題でございますが、これは
条約
の
締結権
が
内閣
に属しておるということから
考え
まして、
内閣
が固有の権限として持
つて
おる條約
締結権
を
全権委員
に
委任
するのであるから、これは
内閣
が
任命権
を持つと
考え
るのが正しかろう、こういう
考え
であります。このことは
任命権
に関する
公務員法
の五十五条の
規定
の
趣旨
から出て来ると
考え
られるのであります。その点を明らかにしたものであります。それが第二条の
全権委員等
の
任命権
は
内閣
に属するものとするとした
趣旨
であります。 次に
国家公務員法
の
建前
といたしまして、
職務
に専念する
義務
から、
一般職
の
職員
というものは強く兼職を
制限
されておりますので、
特定
の、
特別職
でありますところの
特定
の
大臣
であるとか、
国会議員
であるとか、或いは
一般職
である次官とか
長官
であるとかいうような職にある人は、
全権委員
を兼ねるというようなことは、
国家公務員法
の
建前
から行きますと、これは
支障
があるということに、少くとも拘束を受ける、
制限
を受けるということにな
つて
おりますので、その
制限
は外す、即ち
全権委員
は
一般職
でも、
特別職
でもこれを兼ねることができるのだという
建前
をここに明らかにした次第であります。そのように明らかになりました
全権委員
の
性質
から
考え
てみますと、
国家公務員法
の
規定
で一番最初に申上げましたように、外して
適用
する必要がないものが相当多いだろうということを検討してみまして、第四条におきまして
公務員法
を
適用
すべき、或いは
適用
すべき
公務員法
の
条文
をここに明らかにしたわけであります。それは
公務員法
の
規定
を
必要最小限度
に
適用
いたしまして、
全権委員等
の活動に
支障
がないようにしようという
趣旨
でございます。従いまして、
公務員法
の
規定
のうち、
官職
の
基準
に関する
規定
が問題になるわけでありますが、そのうちで
適用
することにいたしましたのは、第二十七条の
平等取扱
の
原則
であります。これは門地、家柄、信条というような事柄について差別してはならないという
平等取扱
の
原則
であります。次は二十八条、これは
公務員
の
欠格条項
でありまして、禁治産者とか、刑を受けた者とか、そういう類の者であります。これは当然であります。次に五十五条の
任命権
に関する
規定
、これも当然
適用
するのが当然であろうと
考え
ます。次に七十六条は、三十八条の
欠格条項
を持
つて
おる者は、在職中いつでもその
欠格条項
が発生をしたら失職するという
規定
でありますから、これも当然のことであろうと
考え
られます。次は第九十三条から九十六条まで
適用
することにいたしたのは、そのうち九十三条から九十五条までは
公務災害補償
の
規定
であります。これは
金権委員
に当然
適用
する必要があるという
規定
であるわけであります。それから九十六条、
公務員
が国民全体の
奉仕者
である、全体の
奉仕者
として
公務
に專念しなければならないという服務の
根本基準
を
規定
しておる
規定
でありますから、これも
適用
すべきものであると
考え
るわけであります。次の九十八条の第一項と申しますのは、
公務員
が法令及び
職務命令
に従わなければならない。
全権委員
が遠方に使いいたしまして、本国からの訓令、指示によ
つて
動くことは当然でありますから、この
規定
は
適用
する。それから第九十九条の
公務員たる
の信用を失墜してはならないという
規定
であります。これも
適用
するのが当然であろうと思うのであります。それから第百条は
公務員
としての
秘密保持
の
義務
を
規定
した
規定
であります。これも
適用
するのが当然だろうと存じますので、これらの
規定
を
適用
することにいたしまして、それ以外は一切外すことにいたした次第であります。
人事院規則
一の八の
制定
の
趣旨
は以上のような次第と存じております。
吉田法晴
7
○
委員長
(
吉田法晴
君) 御
質問
ございましたら……。
千葉信
8
○
千葉信
君 勿論今度
人事院
のほうで
制定
されましたこの一の八の
人事院規則
は、
国会議員
の中から
国会
の
承認
を経て、
全権
に代る者があるかも知れないということを予想されておるのですね。
岡部史郎
9
○
説明員
(
岡部史郎
君) 予想といいますか、そういう場合がありましても、
国家公務員法
、
人事院規則
の
建前
からは少しも
差支え
がないので、その問題は専ら
国会法
三十一条及び三十九条の問題として
考え
るべきものであろうという
建前
で
制定
してございます。
千葉信
10
○
千葉信
君 そこで
お尋ね
したいことは、
公務員法
の
関連
の事項については一応
只今
のお話でわかりますけれども、
国会法
第三十九条等の
関連
では、
一般職
に
規則
付けてしまうということに、いささか私疑義を生ずる点があると思うのです。それは御
承知
の
通り
第三十九条によりますと、「
内閣総理大臣
その他の
国務大臣
、
内閣官房長官
、
政務次官
及び別に
法律
で定めた場合を除いては、その
任期中国
又は
地方公共団体
の
公務員
と兼ねることができない。但し、
国会
の
議決
に基き、その
任期
中
内閣行政各部
における
各種
の
委員
、
顧問
、
参与
その他これに準ずる
職務
に就く場合は、この限りでない。」こういうふうにな
つて
いるわけでありまして、
国会議員
が仮に今度の場合、
各種
の
委員
というものに
なつ
た場合でも、
国家公務員法
第二条の第三項第九号によりますと、「
国会
の両院又は一院の
議決
又は
同意
によることを必要とずると、こうある。これは
特別職
であるということを
はつ
きりな
つて
いるわけであります。
従つて国会法
の
建前
から言いますと、
後段
に謳われております、
但書
以降に謳われておりまする
各種
の
委員
、
顧問参与
その他これに準ずる場合、こういう場合には
公務員法
の場合では、これは
特別職
というふう
はつ
きりな
つて
おります。而も今度の
講和条約
に関する
全権
の場合には、第三十九条のこの
承認
が
公務員
に関しては必要だということが
はつ
きり
国会法
に出ているわけであります。こういう場合に
国家公務員法
において
特別職
であるということを
はつ
きり謳
つて
いるにかかわらず、今度の
規則
では
一般職
であるということを
規則
付けているわけであります。この点についてはどうお
考え
でしようか。
岡部史郎
11
○
説明員
(
岡部史郎
君)
只今
の
千葉
さんの御
質問
にお答え申上げますが、実はこの
国家公務員法
二条三項九号では「就任について」云々、
国会
の
同意
又は承諾を要する
官職
が、これは
特別職
だと、こうありまするのは、この
国会法
三十九条の
後段
とは
関係
ないわけでありまして、どういう人が就任するについても、
国会
の
同意
を要することが要件となるような
官職
は
特別職
である。ところで、
国会法
三十九条のほうは、その
官職自体
は
一般職
であ
つて
、これは別にそれに就くことは
国会議員
以外の人はちつとも
差支え
ないのだけれども、
国会議員
がそれに就くのには
国会
の
議決
を要するのだと、こういうわけでありまして、その面が違うわけでございますから、これは
ちよ
つとこの
国会法
三十九条と
国家公務員法
二条三項九号とはそこに食い違い……、面が違うわけでございまして、さよう御了承頂きたいと思うのであります。
千葉信
12
○
千葉信
君 そうすると、
但書
以降の
各種
の
委員
、
顧問
、
参与
というものは抜きにして、三十九条の前段のほうの
国務大臣
であとるか、
内閣官房長官
であとるか、或いは
政務次官
、及び別に
法律
で定めた場合を除いては、
任期
中
公務員
と兼ねることができないと、こうな
つて
おりますが、今度の
金権
を
公務員
として、而も
—般職
となりますと、この点については
法律
できめる以外の
公務員
となることはできないと思いますが、その点如何ですか。
岡部史郎
13
○
説明員
(
岡部史郎
君) 私
お尋ね
の点が、或いは誤解かと思いますが、
金権委員
が、
法律
で定めなければそれは
公務員
とすることができない。こういう
趣旨
でございますが、その点につきまして或いは御
説明漏れ
だつたかと思いますので、申上げることにいたしますが、実は
一つ
の
官職
即ち
公務員
が占め、る職というものは、どういうようにして設定されるか、作り出されるかと申しますると、主として
法律
或いは
法律
の
委任
に基いて、政令で設けられることもあろうかと思うのでありますが、
千葉
さんの御指摘のように、
原則
としては
法律
によ
つて
制定
するのが正しかろうと思うのであります。そうしてその
官職
は例えば
各省設置法
でありまするとか、
国家行政組織法
によ
つて
その
官職
というものが
制定
されている、こう見るべきだろうと思うのであります。併しながら
官職
というものは必ずしも
法律
の
根拠
を要するものではないのでありまして、単に
予算
の
根拠
によ
つて任命権者
が設定する場合も多いわけでありまして、例えば
予算
に、
雇員給
、
傭員給
というようなものがございますならば、
法律
に、
雇員
、
傭員
につきましては何ら
根拠
がなくともこれを設定することができる。或いは
雇員
、
傭員
を例に引いたのは失礼かも知れませんが、大字の講師というような場合におきましても、
予算
さえあればこれを
任命権者
が設定する。即ち
任命権者
というものは場合によりましては
法律
の
根拠
なしに
官職
を作り出せるわけであります。殊にそれは
一般
の
非常勤
の
官職
について言えることであります。で、常勤の
官職
につきましては、
只今
のところ
法律
或いは
予算
の
根拠
がなければ
制定
できないという、そう解してよろしいかと思うのでありますが、
非常勤
の
官職
につきましては
任命権者
はかなり自由に作ることができる。
法律
で特にこういう
官職
を
作つて
はいけないと言われない限り、
非常勤
の
官職
はこれを作ることができるわけであります。併しそんな状態では困るじやないかという御
説明
があろうと思うのであります。
国家公務員法
はそういう
建前
でありまするから、
非常勤
の
官職
につきましても、
人事院規則
を
制定
いたしまして、
人事院規則
八の七というのがございますが、これは
非常勤
の
官職
の
任用
について
制限
してございます。即ち
非常勤
の
官職
について、
人事院
の
承認
を要する
官職
と要しない
官職
とに区別いたし、それをコントロールいたしているのでありますが、実は今度の
規則
はその点もすつかりそういう
任用
に関する
規定
を一切外しておりますので、
任命権者
たる
内閣
は、このような
非常勤
の
官職
を任意に創設できると
考え
てよろしかろうと思うのであります。それが
官職
の
制定
についてそういう
考え
方でありますが、実は先ほども御
説明
申上げました
通り
、
全権委員
というものは従来から常に存している
官職
である。ただそれが
非常勤
の
官職
であるから、必要が起きたときだけその
官職
に
特定
の人が
任命
されるので、その用務が終ればその
官職
というものは空位にな
つて
いる、ヴエイカント・チエアにな
つて
いるんだ、こう
考え
て行くべきだろうと存ずるのであります。
千葉信
14
○
千葉信
君 どうもあらゆる
角度
から御
説明
がありましたけれども、何と言いましても、
憲法
の第七十三条によりましても、
外交関係
を処理することであるとか、或いは
条約
を締結するということは、これは
内閣
の
行政事務
の一部のものです。そういう
行政事務
を担当し、而も今度の場合には
人事院自体
が
一般職
の
職員
であるというふうに
はつ
きりと
規則
も出しております。こういうことになりますと、これはたとえ
予算
上の問題がどうありましようとも、
任命権者
の問題について
法制局長
の
只今
の御意思見がどうありましようとも、この
講和全権
若しくは
全権代理
というものは、これは
公務員
であるということは
はつ
きりした問題だと思います。そうなりますと、
はつ
きりここに
国会法
の第三十九条に「
議員
は、
内閣総理大臣
その他の
国務大臣
、
内閣官房長官
、
政務次官
及び別に
法律
で定めた場合を除いては、その
任期中国
又は
地方公共団体
の
公務員
と兼ねることができない。」と、
はつ
きり出ているわけです。これは少くとも
国会法
上から言えば論議の余地のない問題じやないか、こう私は思うのです。併し、この点についてはこれ以上押問答いたしましても、
人事院当局
としても恐らく何かの苦しいお立場から、こういう
規則
を作られたというふうに私ども了解しておりますので、この点につきましては、私
ども委員会
として別な
角度
からこの問題を
考え
て行きたいと思います。かように思いますので、一応私の
質問
はこれで打切ります。
木下源吾
15
○
木下源吾
君 これは今の
人事院規則
をそのまま見て行けば、
全権委員
というのは
特別職
であるのが本当なんでしよう。
岡部史郎
16
○
説明員
(
岡部史郎
君)
全権委員
が
特別職
であるのが本当であるかどうかという
木下
さんの
お尋ね
でありましたが、それは成る
官職
を
特別職
にするかしないかということは、これは
公務員制度
に関する政策の問題であろうと思うのであります。それでありますから
特別職
にすることが適当だとお
考え
になれば、これは
特別職
にすべきものだろうと思うのであります。ただ
特別職
にするのには
法律
でそれをきめるよりほかないということは先ほど申上げた
通り
であります。
木下源吾
17
○
木下源吾
君 そうすると
税四条
でこういうこと……、これは
適用
する、これは
適用
しないということは余ほど芳しまぎれに、どうも
一般職
について
法律
を改正しないで間に合わせでやろうというところに真意があるわけでしよう。
岡部史郎
18
○
説明員
(
岡部史郎
君) この
規則制定
の
趣旨
は現在のところ
一般職
と
考え
るよりほかない。
全権委員
という
官職
につきまして、然らば
国家公務員法
の
規定
を全部
適用
して
支障
がないだろうかということを
考え
ますと、いろいろ
適用
しないほうがふさわしい
条文
が多いと
考え
られますので、
適用
するにふさわしい
条文
だけを選び出して
適用
する、その他は外すということにしたわけでありまして、このような
制度
は実は
公務員法
というものが緻密にな
つて
おりまして、個々の
官職
についてはすべての
規定
を
適用
するのが不適当な
官職
が多かろう、その場合においては遠慮なしに
附則
第十三条の
規定
に基いて、
法律
又は
人事院規則
を以て
適用
を外して
行つて
いいのだという
建前
にな
つて
おるわけであります。この
建前
を
とつ
たわけであります。必ずしも苦しまぎれという
考え
は当らないかと思うのであります。
木下源吾
19
○
木下源吾
君 そこでこの
金権委員
に似た
特別職
、これと同じような
特別職
には
大使
及び
公使
というのがある。これは
片一方
は始終あるわけなんですが、
片一方
はときたまよりない、こういうのだけれども、これは同じじやないか。
大使
、
公使
も
全権
も、国のすべてのいろいろのことをやる。こういう点については
政府
は研究したり考慮した何かないのですか。
岡部史郎
20
○
説明員
(
岡部史郎
君)
木下
さんの仰せの
通り
、
大使
、
公使
というものは、これは昔から
官制
上立派に設けられでおりますところの
外交官
の具体的な
官職
であるわけでありますこれは国際的にもきちんとその
地位
が固ま
つて
おりますが、これにつきまして
国家公務員法
の
一般職
に属すべきものではあるまいというのが、これは一致した
考え
だろうと思うのであります。この点におきまして
国家公務員法制定
以来、
大使
、
公使
に関しましては
一般職
の
取扱
をしておらないわけであります。
特別職
として
規定
されておるわけでありますが、
全権委員
につきましては、これを
大使
、
公使
と見ることは、
金権委員
を
大使
と解することは、これは無理であろうと思うのであります。
大使
はおのずからその性格について異なるわけでありますが、併し実質においては似たところはあるのじやないか。似たところをつかまえれば
特別職
もよかろうという御説も立とうと思うのであります。
特別職
としていいから
特別職
に
規定
すべきものであるとい
つて
、
法律
を改正して
特別職
にされるということは、これは十分
考え
られることであります。現在のこの
公務員法
の下においては、
全権委員
は
大使
、
公使
と違うのだから、
大使
、
公使
と同じように
特別職
として解釈することはできないというだけのことでございます。
—————————————
吉田法晴
21
○
委員長
(
吉田法晴
君) それでは次の問題に移るわけでありますが、次の問題に移ります前に、この問題についてどういうように
取扱
をするかということについて御相談をいたしたいと思うのでありますが、如何でしようか。 〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
吉田法晴
22
○
委員長
(
吉田法晴
君)
ちよ
つと
速記
をとめて。 〔
速記中止
〕
吉田法晴
23
○
委員長
(
吉田法晴
君)
速記
を始めて下さい。
千葉信
24
○
千葉信
君
山下人事官
に
お尋ね
したいと思うのですが、今日
総裁
、何かの所用でこちらのほうにおいでにならなかつたのか、その
理由
は何ですか。
山下興家
25
○
説明員
(
山下興家君
)
総裁
の来られないということは、どういう
理由
かということを私は知りません。とにかく
差支え
があ
つて
来られないから、私に代りに
行つて
くれという
要求
があつたから出て参りました。
千葉信
26
○
千葉信
君 そうすると、
総裁
は登庁をしてはおられるわけですか。
山下興家
27
○
説明員
(
山下興家君
) その
通り
でございます。
千葉信
28
○
千葉信
君 どういうわけか、
総裁
に対しては、参議院の人事
委員会
として特にできるだけこちらのほうも尊重して、衆議院と同様にせいぜい
委員会
に出席して頂くように、特に森崎
委員
なんかからも何回も浅井
総裁
にも直接
委員会
を通じてお願してあるんですが、特に今日のような非常に給与べースの問題にと
つて
重要な段階のときに、又ぞろ御出席にならないということは、私どもとして非常に不満でございますから、どうか私どもの浅井
総裁
に対するできる限り出席して頂きたいという要望を、
山下人事官
から特に浅井
総裁
に御伝言願うことを冒頭にお願しておきます。 御
質問
申上げたいことは、八月十日の衆議院における人事
委員会
で、人事
委員
諸君の
質問
に答えて、相当具体的な勧告内容等について御発表があつたようでありまするが、この際、私どもとしても、この問題は非常に
公務員
諸君の直接の利害に大きな影響を持
つて
おりますので、この際直ちに勧告してもらうことを先ず希望いたしまするけれども、若しその内容等について、衆議院の人事
委員会
で御発表になりました内容、若しくは又できればもつと具体的な御発表をこの際お願いしたいと思いますが、先ず概略の御
説明
をこの際承わりたいと思います。
山下興家
29
○
説明員
(
山下興家君
)
千葉
さんの御
質問
にお答えいたします。今月の十日でしたか、とにかく衆議院で一応の御
説明
はしたのでありますが、それを記憶を辿
つて
申しますから、若し足らないところがあつたら御
質問
になればお答えをしたいと思います。 それは、私どもは民間給与についていろいろ研究をいたしまして、最近の資料を求めた、それは最近と申しますと、本年五月が最近の資料とな
つて
おります。もう少し詳しく申上げますと、実は細かい資料は三月で締切
つて
調査
いたしたのでありますが、併し三月から五月までの間の上昇は、これは又もう一遍やりかえるということは困難でありますから、全産業の給与のベースの上り工合が、五月までの発表がありましたから、それで三月から五月まで上つたその割合で以て修正いたしまして、それで出ました答えは、先ず大体民間の給与にして五月の
調査
であるとお
考え
にな
つて
大差はないと思います。それで全体の資料はそういうふうにしまして、五月を基礎としたのでございます。それでその結果によりますと、平均一人当りの給与が一万一千三百円程度になるのであります。そういうふうに今のところ出ておるのでございます。それは、その中にはこの前の勧告のときにも書きましたように、石炭手当だとか、寒冷地手当、それから超過勤務手当は含んでおらないのでございます。実はこれはこの前衆議院で申上げるときに忘れまして、この話を申さなかつたのでありますが、これは含んでおりません。それは結局民間の給与を細かく調べましたあげく出たのでございます。で、いつもやりますように、理論生計費を研究しなければならんのでありますが、それは大体十八歳の男子が摂取しますカロリー、国民の平均のカロリーを摂取する者に土台を置きまして、そしてそれによ
つて
マーケツト・バスケツトをこしらえて、すつかり研究をいたしました。そしてそれと、衣料
関係
、そういうものも細かな
調査
をいたしましたあげく、勤務地手当が支給されておらない場所での給料は、四千二百円程度であるという結果に
なつ
たのでございます。その二つから結局曲線を描きまして、それによ
つて
五月から七月まで昇給いたしますから、七月末現在で切替えたとしたら、その表を出します。その切替表によ
つて
切替えたとすると、今のように一万一千三百円程度になるのであります。それで我々は八月一日からこれを実施されることを期待しておるということでございます。大体そういうところでございますが、まだほかに何でも……。
千葉信
30
○
千葉信
君 これはそのとき御答弁になりましたかどうか、今
速記
録は持ち合せておりませんけれども、何か今度の俸給表では、倍率が十倍強になるというような御発表があつたわけでございますが、これは事実でございますか。
山下興家
31
○
説明員
(
山下興家君
) そういう発表は実はしなかつたのでございます。併し実際約十倍になりますということは、この前は八・三であつたのが、今度十倍になるというのはどうしたのであるかというふうにもなると思います。けれどもこれは忠実に民間の給與を調べまして、今度の調べ方はこの前のように十八歳の人が一点と、十四級六号に相当するのが一点で、それを結び付けたのでなく、各級の
職務
分析をいたしまして、それに相当をする民間の企業の給與をきれいに洗いざらい調べて行きまして、そうしてその
一つ
ずつの細かな点をずつと画きまして、それを満足するような曲線を作つたのでございます。それでそれによ
つて
やつたのでありますから、これはどうも出たとこ勝負でございまして、この前のは昨年の五月の実態であつたので、今度のは今年五月の実態でありますから、その間にいろいろな給與の面は変
つて
来ておるだろうと思う。それで結局生活給からだんだん立ち直りまして、そうして能率給に民間の給與が変りつつあるということの実証ができるだろうと思うのでございます。
千葉信
32
○
千葉信
君 非常に巧妙な答弁ですけれども、この前の給與ベースの改訂の勧告の際には、確かこれが
国会
で問題になりました当時、
人事院
の主張としては現行の八・三倍という倍率は不当であるという意思表示を、これは非公式でしたかどうかわかりませんけれども、されたはずなんです。それが今度の場合には民間給與を調べたところが、もつと開いておるから、それを今度は十倍強にしたのだという御意見で、
人事院
は一定の識見を持たないで、
人事院
の基本的な主張や理想や意見というものを簡単に放棄するという結論にな
つて
来ておると思うのです。併しこのことは勧告が出ない先から論議しても仕方がないと思いますから、次の問題について御
質問
申上げたいと思います。家族給は今度の勧告では大体従来
通り
とお
考え
にな
つて
おるかどうか、それからもう
一つ
は、地域給は今度の増額された本俸、家族給等、従来と同じ支給率で
考え
られておるかどうか、この二点を……。
山下興家
33
○
説明員
(
山下興家君
) 扶養手当につきましては、研究をしたあげく、民間では少しずつ扶養手当が下りつつあるような傾向はあつたのでありますけれども、まだこれを改訂するほどの域に達しておらんということでございましたから、やはり今までのように六百円、四百円といつたようなものをそのまま使うということにいたしました。それから地域給の問題でございますが、地域給も実はだんだんと都会と田舎との差が減
つて
来そうな情勢であつたのでありますが、必ずしもそうでないような結論にも達しましたから、それでこの前勧告いたしました
通り
、二割五分、それから五階級ということにいたしました。
千葉信
34
○
千葉信
君 開会式の
関係
で時間がないようなんですが、最後に一点
お尋ね
したいことは、一体勧告はいつされるつもりか、臨時
国会
が済んでからでなければ出さないのだというような
考え
方のようだというような情報がありましたが、又その頃にならなければ浅井
総裁
も病気が治らないだろうというような……。一体いつ頃勧告をなされるつもりであるか、その点をこの際
はつ
きり承わりたい。
山下興家
35
○
説明員
(
山下興家君
) これは私どももできるだけ早くやりたいと思いまして非常に焦
つて
おるのでございます。併し事務の都合で、いろいろなことでごたごたしておりますので、まああと……とにかく最近に出しますから御了承願います。
木下源吾
36
○
木下源吾
君 ついでだからお聞きしておきますが、この前は勤務地手当はですね、勧告をこの前されたのですが、今後これはいつ頃又やられるかということに対して、ベースの勧告のときにこれはやろうという
考え
だ、こういうことで答弁されているのであります。そこで今度ベース勧告に、勤務地手当のあの勧告を更に検討してですね、勧告をされるというようなことを
考え
ておられるかどうか。
山下興家
37
○
説明員
(
山下興家君
) 地域給については相変らず研究しております。ただ今度ベースについての勧告をいたしましたのは、殊に非常に早くやらなければならんと思
つて
急いだのは、
予算
に問に合うようにという問題なんであります。それでどうせこれから続きまして
法律
案の、それが何になりますか、給与準則になるかならないかわかりませんが、とにかくそれを勧告したいと思
つて
いる。それまでの間は時期がまだありますから、
予算
に組込んで
考え
てもらいさえすれば、あとは又あとで
考え
られる、それまでの間に十分研究いたしまして、若し改訂すべきものがあるなら、その際改訂をするつもりであります。
木下源吾
38
○
木下源吾
君 この前の勧告ですね、地域給の勧告、その後各方面からいろいろ
人事院
にも情報も、或いは陳情、請願の形でいろいろ来ておると思うのですが、
国会
でも各
議員
から、いろいろ意見があるわけなんであります。これはどうしても
国会
ではやはり修正をするとか、或いは別の案で行こうというようなものが出て来るに違いないと思う。その場合には、やはりあなたの今言われる
予算
の問題、この前には約九億円の総額が要るという話だつたが、あのままで行くということになれば、九億円で釘付けにな
つて
、若し
政府
が
法律
を出そうとしても、法案を出そうとしてもそうなる。この
予算
の問題とからみ合わせて補正
予算
が今目先に見えておるのだから、これを修正をする。それがあるならば早くそれをする段取をしなければいかん。やはり
人事院
はこの前の案を修正するということは面子にかかわるということならば、これは
国会
のほうで相当不満があるのである、これをやり直せというような
一つ
の申合せをしてやつたら、私は
人事院
がやりいいだろう、こういうように
考え
る。ですから今度いつ頃その地域給の勧告を、あの勧告以外に勧告を又する機会があるならば、いつ頃するのだというようなことを聞いておいて、補正
予算
といものに対する、対応したような態度をやらなければいかんじやないか、こういうように
考え
てお聞きしておる。ざつくばらんに出さなければ出さない、出すつもりがないならば出すつもりはない、補正
予算
に間に合わすつもりなら間に合わすつもりのようにやるというようにお
考え
を願いたい。
吉田法晴
39
○
委員長
(
吉田法晴
君)
ちよ
つと途中ですが、時間がございませんので、実は明日午前十時から引続いてやるのですが、御答弁は明日に持ち越すことができるならば御了承願
つて
、又一点御相談しなければならぬことがありますので、今日はこの程度で散会したいと思います。明日
一つ
お願いしたいと思います。別に……、それでは今日の
委員会
はこれで散会いたします。 午後二時四十四分散会 出席者は左の
通り
。
委員長
吉田
法晴
君
理事
加藤
武徳
君
伊藤
保平
君
千葉
信君
委員
木下
源吾
君 小野 哲君
紅露
みつ
君 事務局側 常任
委員会
専門 員 川島 孝彦君 常任
委員会
専門 員 熊埜御堂定君
説明員
人 事 官 山下 興家君
人事院
事務総局
法制局長
岡部 史郎君