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1951-10-05 第11回国会 参議院 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 閉会後第4号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十六年十月五日(金曜日) 午前十時五十一分開会 ————————————— 本日の会議に付した事件 ○
在外
同胞引揚問題に関する調査の件 (
在外公館借入金
の
返済
に関する 件) —————————————
紅露みつ
1
○
理事
(
紅露みつ
君) それでは
委員会
を開会いたします。 本日は公報でお知らせ申上げましたように、
在外公館等借入金
の
返済
の
準備
に関する
法律案
、この問題につきまして御
審議
を願うことにな
つて
おります。
大蔵省
から
外債課長
がお見えにな
つて
おりますので、一応この法案ができました
経過
、
大蔵省
の
考え方
、そうい
つた
ものについて御
説明
を願
つた
ほうがいいと存じますが、如何でございましよう。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
紅露みつ
2
○
理事
(
紅露みつ
君) それでは御
異議
がないようですから、
上田外債課長
御
説明
を
一つ
願います。
上田克郎
3
○
説明員
(
上田克郎
君)
外債課長
でございます。先頃の
臨時国会
でぎりぎりの日に
司令部
のOKが参りまして、
在外公館等借入金
の
返済
の
準備
に関する
法律案
を提出いたしたのでありますが、
審議未了
になりまして、この
法律案
を作りますまでの
経過
を
お話
申上げたいと存じます。この
法律案
の
扱い
でございますが、八月から現在まで
相当時日
が経
つて
おりますし、附則の技術的な部面で
幾ら
かの修正が加えられまして今度の
国会
に正式に又提出される、そういう
扱い
になる予定でございます。この
法律案
ができますまでには御
承知
のように、その前の
国会
で
借入金
の
返済
の
準備
に関する
法律案
というものが出まして、それによりまして
借入金
の
現地通貨
の
本邦通貨
への
評価基準
をきめる
評価審議会
というものが設けられたのであります。この
法律案
の、主たる
内容
はその
交換比率
を
法律
で定めることと、それから具体的な
支払
に当
つて
どの
程度
までの
支払
をするか、
予算
の
範囲
内においてと前の
法律案
に書いてございまするので、
予算
の
範囲
内においてどのような
支払
をするかということが
骨子
にな
つて
おります。で第一の
骨子
で
ざごいます比率
をきめることにつきましては、
大蔵大臣
からこの
評価審議会
に
諮問
いたしまして、その
答申
に基いてその
評価基準
というものが定められたわけでございます。
答申
の
内容
を御
説明
申上げます。
大蔵大臣
から
審議会
に
諮問事項
の第一として提出されましたものは、「
終戦
後における
現地
の
通貨制度
の
変遷
について」、これは
一般
的な問題として
専門委員
にお願いして提出して頂きました。これは直接
関係
がございませんで、そのバツク・グラウンドにな
つて
おるものでございます。それから、
諮問事項
の第二は「
借入金
を
表示
する
現地通貨
を
本邦通貨
に
評価
する
方法
について」ということを
諮問
いたしました。これに対しまして
委員会
の
答申
といたしましては、
大要次
のような
答申
が出ておるのであります。 異種の
通貨
の
価値
の
比較
は、
購買力
の
比較
として
物価指数
、特に
卸売物価指数
を
基準
とするのが本則であるが、
終戦
後の
混乱
時にあ
つて当該現地
における的確な
資料
が得られないので、
本件借入金
の円に対する
評価
に当
つて
は、先ず
借入金
を
表示
する
現地通貨
の
流通地域
の
区分
に
従つて
、
朝鮮
、
満州
、
関東
州、
華北
、
華中
、
華南
、
タイ
及び
仏印
の
区分
により
地域区分
を設け、
当該現地通貨
の円に対する
評価
は、
原則
として各
借入通貨ごと
に
借入
の最
盛時
における
当該現地通貨
の流通していた
地域
の
主要都市
と
東京
との
米価
の
比較
によるものとし、なお
実情
に応じ、 (1)
華北
における
法幣
については
中国連合準備銀行券
の
評価基準
から
終戦
に伴い
中国国民政府
が法定した
比率
、
法幣
対
中国連合準備銀行券
一対五により裁定し、 (2)
中国中央儲備銀行券
については、
華中
、
華南
における
法幣
の
評価基準
から
終戦
に伴い
中国国民政府
が法定した
比率
、
法幣
対
中国中央儲備銀行券
一対二〇〇により裁定し、 (3)
関金券
については、
華北
及び
華中
、
華南
における
法幣
の
評価基準
から、
中国国民政府
が法定した
比率
、
法幣
対
関金券
二〇対一により
華北
及び
華中
、
華南
の
地域ごと
に裁定し、 (4)
華中
における
米ドル
及び
海南
島における
昭和
十二年
円表示軍票
については、
借入
の最
盛時
におけるそれぞれの対
法幣
実際
相場
の
実勢
を勘案し、 (5)
ピアストル
、
バート
については、
借入
の最
盛時
における
為替相場
の
実勢
を勘案して
評価
するものとする。 これで大体
評価基準
につきましての一応の
プリンシプル
が示されております。これを少し御
説明
いたして見ますと、先ず
現地通貨
というものはそれぞれ
通貨
の
流通地域
というものを持
つて
おるわけでございますが、歴史的に見まして、例えば
朝鮮銀行券
は
朝鮮
に主たる
流通地域
を持つと同時に
関東
州にも持
つて
お
つた
わけであります。
満州中央銀行券
は
満州国
が主たる
流通地域
であると同時に
関東
州にも流入してお
つた
、そういう
状態
がございます。併しながら
終戦
後の
政治
的な
変動
に基きまして、
朝鮮
と
関東
州とでは全然
経済圏
も
政治圏
も異な
つて
来たわけであります。従いまして同種の
現地通貨
でありましても、必ずしも一
通貨
について一
評価
ということが妥当でないという場合があるわけであります。従いまして先ず
政治
的、経済的な
地域
を
一つ
きめまして、それでその
地域
の
使用通貨
について
評価
をきめよう、そういう
プリンシプル
がとられたわけであります。で、地続きであります
満州
と
関東
州は、
満州
については当初国府、次に
ソ連
と
共産系
、そういうものが入りまして、
関東
州は初めから
ソ連
が参りまして、全然
政治
的に分断され、あの国境と申しますか、
関東
州と
満州
とのあれには
政治
的な柵が設けられたという
実情
であ
つたの
であります。従いましてここに今申上げましたように、
朝鮮
と
満州
と
関東
州、それから
華北
、
華中
、
華南
、
華中
と
華南
は大体
儲備券
が一緒に戦時中からな
つて
おりましたので、
華中
、
華南
は一本これにも広東と
上海
と違えたらとか、
漢口
をどうするかという
議論
もございましたが、
改正
において
儲備券
の
華中
、
華南
は一本でよろしかろうということに大多数の
意見
が一致したわけでございます。
タイ
と
仏印
はそれぞれ
通貨
も違いますし、これには異存はない、そういうようなわけであります。
朝鮮
、
満州
、
関東
州、
華北
、
華中
、
華南
、
タイ
及び
仏印
というのがお手許にございます。この
在外公館等借入金換算率表
の
借入金提供地域
という
地域別
が一番左に出ておりますのはその
趣旨
でございます。この
地域
の
区分
はそのような
趣旨
でできております。 それから次の欄に
現地通貨
と書いてありますのは、従来外務省から
確認
を受けまして、
確認証書
が出ております
券種
でございます。従いまして
朝鮮
では
朝鮮銀行券
と
日本銀行券
とが
確認
されておりまして、
北鮮或い
は一
部分南鮮
に参りました
ソ連軍票
、
朝鮮
における
ソ連軍票
はまだ
確認
されておりませんので、その
答申案
からは抜けております。これは
法律
的に
確認
の済んだものだけの
通貨
について
答申
するということにな
つて
おりますので抜けております。従いまして
あと
で申上げますが、
審議会
は将来そういう
通貨
が
確認
されますと、再びこの
別表
の
改正法律案
として
レート
が提案されるという段取りにな
つて
おります。そのほか例えば
華北
における
連銀券
と
法幣
と
関金券
とありますが、蒙疆
地区
における蒙
疆銀行券
、そういうものについての
確認
がまだ得られておりませんし、或いは
南方地域
における
南発券
というものがまだ
確認
を受けておりませんので、この表からは抜けております。フイリピンにおける
ピアストル軍票
も同様であります。 それからその次の
プリンシプル
といたしましては、
借入
というものは決して一時に行われたものでないことは御
承知
の
通り
でありまして、
終戦
の年の九月から
借入
が行われまして、各
地区
によ
つて
異なりますが、遅いのは二年、或いは二年半と
満州
なんかにおいては続いておりまして
通貨価値
が極端に申せば一日々々
変動
してお
つた
ような時期に、
満州
につきましては、例えば
昭和
二十年の九月から始ま
つて
二十三年の七月までも
借入
の
件数
があ
つた
。
朝鮮
につきましては八月から始ま
つて
翌年の十二月まで
借入
があ
つた
。
華北
についてはややその
期間
が短うございまして、
終戦
の十月から翌年の六月まで
借入
があ
つた
。そういうふうに
借入
の
期間
というものはそれぞれ
違つて
おります。そういたしますと、その提供されました
通貨
の
価値
というものは、
終戦
直後の世界的な
政治
の
混乱
、特にこの
日本
の占領いたしました
地域
の
政治的混乱
は、その
通貨価値
を特に
日本
が尻押ししておりました
通貨
についておる
価値
の
変動
というものは極めて激しくございまして、時期によ
つて
、例えば半年も違えば異常な相違を示すというのが通常であ
つた
ようでございます。このような事態に対処いたしまして、
現地通貨
の円との
比較
をどういうふうにするかというためには、先ずいつの時期の
価値
をとらえるかということが
方法
論的に問題にな
つて
来るわけであります。これに対しまして、
委員会
の
結論
といたしましては、結局
借入
の
件数
の最も多か
つた
時期ということが最も公平に近いであろうということになりまして、先ほど申上げました
借入
の最
盛時
における
現地通貨
の
価値
というものと、その当時における円とを結び付ける、そういうことにな
つたの
であります。それから大きく先ほど
地域
を分けましたが、同じ
満州国
でも、例えば錦州と
奉天
と
長春
と吉林、或いは更に北のほうに
行つてチチハル
という所では、いわゆる
通貨
の
価値
というものは
平時
にありましても或る
程度
の
変動
はあるものでありますが、こういう
非常時
に際してはなかなか
変動
があ
つた
ものと予想されるのであります。併しながら同じ
地域
におきましては、
満州中央銀行券
について錦州における
価値
が
幾ら
、
奉天
における
価値
が
幾ら
というふうな
レート
をきめることは煩に堪えませんし技術的にも殆んど不可能であります。従いまして
比較
する場合には大体その
地区
の代表的の
都市
というものを
一つ
一
原則
としてとる。ただ
満州
につきましては奉火と
長春
と新京とをとる。そういうようなことはいたしましたが、
原則
としては例えば中支につきましては
上海
、
北支
につきましては北京というものと
東京
との
比較
をいたしたのであります。 次に問題になりますのはその
比較
の
基準
でございますが、普通の場合でもいわゆる
購買力平価
というものはなかなか算定がむずかしいことは御
承知
の
通り
でありますが、この
非常時
にありましては頼るべき
卸売物価指数
、或いは
生活費指数
、そういうような
指数
は完璧なものは殆んど見つかりません。
地域
によ
つて
は断片的にあるものもございましたけれども、
原則
としては
平時状態
にあ
つて
すらむずかしい
購買力
の
比較
をやるということはなかなか困難であるということは
委員皆さん
がお認めにな
つて
お
つたの
でありますが、結局これらの
借入金
が引揚の経費として使われます場合に、主たる用途は何と申しましても
食糧品
である。
食糧品
を
価値
の
基準
にとるということについては
経済学
の
一般法則
といたしましてそれほど無理なことではないと存じます。それで
結論
といたしまして各
地区
に妥当するものとして米の
値段
をとろう、米の
値段
できめようということに
意見
が一致したわけでございます。これは
生産地
もありますし、
消費地
もありますし、成る
地域
にはブロックされている
地域
もありますので、不公平ではないか、理論的に妥当でないのではないかという
議論
も勿論ございましたが、結局それ以外に余り頼るべきものもないということで、米の
値段
できめて行こう、そうして他のいろんな係数はこれに対する補助的な要素として勘案して行こう、そういうことに
なつ
たわけであります。それで米の
値段
をとります場合に先ず第一に問題になりますのは、では
東京
の米の
値段
というものは一体何でとるのかという問題であります。
現地
が
自由価格下
であるということは大体各
地域
に共通でありますが、
東京
は米の統制をや
つて
おりまして、
公定価格
での
配給
というものをや
つて
おりましたために、
配給
の米ということ、たけで
価値
の
比較
をいたすことといたしますと、円の
購買力
が、余りにも強く
表示
されてしまう。現に或る筋によりますと、
昭和
二十二年にな
つて
もなお
東京市民
のいわゆる
自由市場
で求める米というものと、
配給
によるものとの
割合
は、二十二年でありましてもなお約五割五分を
公定
、
あと
の四割五分は
自由価格
、そういうもので苦労して求めておられたような
実情
のようでありますので、そこに何らか
自由価格
と
公定価格
との間の調整をしなければいけないということで、それを類推いたしまして、二十一年の例えば
最盛期
がそれぞれ
違つて
おりますが、
朝鮮
、
満州
につきましては、二十一年六月が旧
最盛期
になりますし、
華北
、
華中
におきましては、大体三十一年三月、三月というのがピークにな
つて
おりますので、その頃の
東京
では
一体米
は
公定価格
と闇とでどのような
比較
であ
つた
ろうかということを推定いたしまして、
公定
で
配給
を受けるものは全体の四で残りの六は何らかの
方法
によ
つて
調達してお
つた
という推定をいたしました。ウエイトを
公定
四、
自由価格
六というような形で円の
価値
を不当に高く
評価
するようなことがないように配慮をいたしたのであります。それから各
地区
について申上げますと、
資料
がなかなか不備であることは全体について言えることでありますが、
華北
における米の
値段
或いはその他の
一般
の
物価
というものは、
連銀券表示
で
資料
がございます。従いまして直接
連銀券
との
購買力
の
比較
をいたしまして、
法幣
に対しては
国民政府
がきめました一対五というので裁定いたしまして、
法幣
の
値段
をきめたわけであります。それから
中南支
につきましては、
法幣建
のものの
値段
しか
資料
がなか
つたの
であります。従いまして先ず
法幣
と円との
購買力
の
比較
をいたしまして、それに
儲備券
を出す場合には、
政府
が作りました一対二〇〇というオフイシアルの
レート
を適用したわけであります。このことは現に
現地
で
借入
が行われました際に、
法幣
で提供した人も
北支
で一対五の
割合
で
連銀券
で提供したような
表示
にな
つて
おりますし、中支においては
法幣
で提供したかたも、
儲備券
の
表示
の場合には一対二〇〇で
換算
してあるという
実情
も考えまして、
華北
における一対五、
華中
、
華南
における一対二〇〇という数字をとることは
実情
に即してお
つた
ことと思います。併しながら今申上げましたように、
華北
においては先ず
連銀券
から
法幣
をとり、
華中
、
華南
におきましては
法幣
から
儲備券
をとりましたために、同じ
法幣
につきまして
価値
の
差等
ができて来たのであります。これにつきましては、
地域
を分けたことで一応別とは申しましても、同じ
法幣
で
違つて
いるではないかという
議論
があると思いますが、これに対する
考え方
といたしましては、お米をとりましたことで、
一つ
は
華中
と
華北
とは、
華北
は御
承知
のように
食糧
はお米などは中支から入れております
関係
もありまして
幾ら
か高いということはいたし方ない問題であろうということが
一つ
と、それから
専門委員
の
お話
によりますと、又
委員
の
お話
に上りますと、中支における一対二〇〇という
儲備券
に対するオフイシァルの
レート
、
交換比率
はどちらかと言えば懲罰的な意図がひどくあ
つた由
であります。それに対しまして、不評判であ
つた
ために
華北
においては
連銀券
に対して相当好意的な
比率
をきめた。従いまして
連銀券
を
儲備券
と
比較
いたしますと、五対二〇〇、即ち一対四〇というケースは余りにも
連銀券
によ過ぎると申しますか、
儲備券
にひど過ぎると申しますか、そういう
華中
、
華北
の振合の
関係
というものがある由でございまして、ここに出ております
程度
の
割合
ならば、まあま
あと
いうところの御
意見
がございまして、恰好は同じ
法幣
でも
レート
が違うておりますけれども、
地域
が違うということで一応我慢して頂き、而も実際問題としては、それぞれの
地区
でその
レート
を
扱つて
、
法幣
と
連銀券
並びに
儲備券
の
換算
をや
つて
いるという実状にも即するというようなことから、こういう
答申
に
なつ
たわけであります。それで
関金券
と
法幣
との
関係
は、これは
政府
のきめました二〇対一という
レート
をそれぞれの
地域別
に
法幣
から裁定したわけであります。
海南
島だけが
終戦
後十一月くらいまで
軍票
が流通してお
つた由
であります。従いまして
海南
島につきましては、
軍票
の
レート
を作らなければいけないことになりまして、このような
レート
が
表示
されております。
ピアストル
、
バート
につきましては、
終戦
直後
米ドル
などとの
為替比率
もありましたし、
借入
が大体
終戦
直後行われましたものが多うございます。
為替相場
の
自主性
を勘案してその
程度
が最も妥当であり、当時の
人たち
の用にも合うということで、
タイ
とビルマの
ピアストル
、
バート
は
パー
できめられております。 それで更に
審議会
の
答申
は、この問題につきまして次のようなことを申しておるのであります。而して
評価
の一
方法
として
借入金
の
表示
する
現地通貨
(現在流通していないものについては、
通貨改革
の
変遷
を辿
つて
、現在流通している
現地通貨表示
に
換算
する)その
現地通貨
の弁済時の
為替相場
によ
つて本邦通貨
に
換算
する
方法
が考えられる。現在
通貨
がないものにつきましては、ずつと
通貨交換
の跡を辿
つて
現在の円との
為替相場
を考えてきめるという
方法
もある。併しその
方法
は
評価
の
方法
としては、より合理的な
方法
ではあるが、
実行
上の問題として、現在流通していない
現地通貨
を現在流通している
現地通貨
に
換算
した場合、極めて不合理な結果となり、
実情
に合わないので、これらの現在流通していないものと現在流通しているものとの衡平のためにもこの
評価方法
をとらず、実際に
借入
れた最
盛時
における
米価
の
比較
による
方法
によることを
原則
とした。と申しますのは、一応
考え方
といたしまして、
現地通貨表示
で
借入
を行な
つて
おりますので、
外国通貨
の
借入
ということが一応考えられるわけであります。いわゆる
借入
ということに対しては、問題は法理論的にはございますが、一応
現地通貨
による
借入
ということに考えまして、その
借入表示通貨
を現在返すとすれば
幾ら
の円を提供すべきであるか、
為替
はどうであ
つた
かということを考えた場合に、例えば
儲備券
から
法幣
に変り、
法幣
から
金円券
に変り、
金円券
から更に現在の何と申しますか、
毛政権
の下の
通貨
に変
つて
来た、そういうような
通貨
の
変遷
を辿りまして現在払えばどうなるかとい
つた
計算でいいと思います。ところがこの
政治
的な一対二〇〇だとか、
一対一
五だとか、或いは又今度は
鮮銀券
を
人民券
に変える場合の
レート
だとか、そうい
つた
ようないわゆる
政権
が変ることによる
政治
的な
レート
ということも作用したのもありましようし、或いはそれ本来のインフレーションもありましようし、現在のいわゆるカレント・
レート
で結び付けますと、ひどく非常識な
レート
と申しますか、ものに
なつ
たわけであります。例えば
儲備券
で百億元以上の
借入
があるにもかかわらず、現在の円にこれを直しますと、千何百円にしかならないと、そういうような余りにも非常識な結果が出て参りますので、この
方法
はとらないということに
なつ
たわけであります。 それからこの問題が一番
諮問
の重要なポイントになりますので、これに対しましては
委員会
からこのような
少数意見
があ
つた
ことを附記されております。その第一は、
朝鮮地区
における
日本銀行券
を
現地通貨
として取
扱い
、
本邦通貨
と
差等
を設けることには賛成しがたい。なお
朝鮮銀行券
の
評価基哨
については、
南鮮占領軍
によ
つて
設けれらた
米ドル軍票
と
鮮銀券
との
交換率
と
同一
時期における
日本
円と
米ドル軍票
との
交換比率
から裁定して
一対一
とすることを希望する。それから
満州地区
については、
米価
を
基準
とすることなく、
主食
を
基準
とする
評価基準
によることを希望する。こういうような
少数意見
があ
つたの
でありますが、
改正
の
意見
としてはここに
表示
されましたような形で一応落着いたわけであります。それで
朝鮮地区
における
日本銀行券
の問題は、
委員会
の多数の
考え方
といたしましては、
終戦
直後経済的な
関係
が切断されまして、いわゆる独立した
経済圏
と
なつ
た。そうして
現地
でバーで流通しておりました
日本銀行券
と
鮮銀券
とはお互いに
代替関係
にある。
従つて
隔離されました
日本銀行券
は
鮮銀券
とは
パー
の
関係
にあるが、
日銀券
とは
通貨価値
においては違う形において存在するものである。言わば
現地通貨
であるというような
結論
というような
結論
に多数
意見
では
なつ
たわけであります。それから
朝鮮銀行券
につきましては、これは
政治
的にも
独立地域
でございまして、本来
終戦
まで
日本
の領土であり、それで条約が批准されるまではその
政治
的な立場は勿論明確にならないわけでありますが、一応事実の問題としては、
曾つて日本
のものであ
つた
ものが
日本
の手から離れているというような
関係
にございますし、特に
中国
などと
違つて
、今まで
朝鮮銀行券
と
日銀券
とは
パー
であ
つた
ということを一番強く主張されておりまして、その
一つ
の論拠としては、
終戦
後も
米軍
が
軍票
を出す場合の、
米軍
の
内部
の
交換比率
に過ぎませんけれども、その
比率
から考えてやつ
ぱりパー
がよくないかというような
意見
が出たのであります。これはこの
比率そのもの
がだた
米軍内部
の
比率
であ
つて
、いわゆる当時の
朝鮮銀行券
の
価値
を表明するものではないという理由で、これも多数はこの案に賛成なさらなか
つた
わけであります。それから
満州地区
につきましては
主食
によることを希望するということは、これ米を全部各
地区ごと
にと
つた
という
関係
で、
満州地区
でも米をと
つた
場合と、それから
高梁
その他のことを勘案した場合、それは
主食
を
基準
とする
評価基準
というのは
高梁
その他を勘案すると、それによることを希望するということを言
つて
おります。これについては理論的に考えまして、同じ一キロのものを食べる場合に、米を
食つた
場合と高菜を主として
食つた
場合に、勿論
主食
による
評価
の
基準
の場合には、単純にこれは米ばかりでなくて、米の
割合
、甘藷の
割合
、
小麦粉
の
割合
というものを勘案したものと
高梁
とを比べたわけではございますが、そういう異質的なもので比べて、而も
生活水準
が例えば
高梁
を食うのと
小麦粉
、米、藷を食うのとではそこにおのずから差もあると思いまするので、やはり米で統一するということのほうが
比較
の場合よかろうと、勿論細かいモデイフイケーションのことを言
つて
おりますと切りのないものでございますので、これも多数説はこれで我慢してもらおうということで、
米価
を
基準
にすることに
満州地区
も
なつ
たわけであります。
諮問事項
の第三は、各
同一現地通貨
について各地の
地域差
を設けることが妥当かどうかについて。これはすでに御
説明
申上げたこととダブるのでありますが、
答申
はこういうように出ております。
実行
上の問題として、
同一
通貨
については
原則
として
地域差
を設ける必要を認めない。但し、
鮮銀券
、満
銀券
、及び
ソ連軍票
については、例外的に、
同一現地通貨
であ
つて
も、
朝鮮
、
満州
及び
関東
州の
地域ごと
に
差等
を設けることとし、
同一
地域
においては互いに等価とするものとする。これは先ほど御
説明
申上げた
趣旨
によるものであります。 それから
諮問事項
の第四は、次のような
諮問
でございます。各
同一現地通貨
の時期による
価値
の差について。それも先ほど申上げましたが、
答申
は、
実行
上の問題として、
同一現地通貨
については
原則
として
借入
の最
盛時
一本とし、時期による差を設けないものとする。但し
満州
においては、
借入金
が長期に亘り、この間の
物価
の
変動余り
にも著しく、又
関東
州においては
借入
の行われた
期間
に急激な
物価
の
変動
があ
つたの
で、
提供者
間の公平を保
つた
めに、右の二
地域
における
現地通貨
については左の
期間
に
区分
して
評価基準
を定めることが妥当と思われる。なお
関東
州の時期
区分
については、
昭和
二十年十二月三十一日によ
つて
区分
することについては
少数
の異論があ
つた
ということによりまして、ここに
表示
されておりますように、
別表
の
満州
と
関東
州につきましてだけは、
借入金提供
時期というところにそれぞれ二つに時期が
区分
してございます。この
趣旨
は、この
借入
の
件数
をグラフで書いて見ますと、
満州
につきましては、先ほども申上げましたように、時期が
昭和
二十年の九月から
昭和
二十三年の七月まででありまして、最初の山が二十一年の六月に来ております。ずつと七月、八月、九月と下
つて
行きまして、二十一年の一月に十一件、二月に三十一件、三月零というところで
谷底
まで来ております。それで四月から八十七件、二百二十五件、百四十三件、九百五十件というような形で、二十二年の七月に又ピークがちよつとありまして
あと
はずつと減
つて
おります。それで二十三年七月の七件というものを以て最終にな
つて
おるわけであります。ところがこの二つの山がございます場合に、二つの
レート
をどこで切るかということは、理論的にも技術的にも甚だ困難な問題でございます。それでできるだけ
現地
の人に有利であるためには、ピークの谷間までは前のほうにくつつけるということのほうが最も公平ではなかろうかという
意見
になりまして、二十二年の三月に谷間があ
つて
而もそこが零であるというところをとりまして、ここに書いてあるような
区分
になされたわけであります。従いまして、この二十一年六月ではじき出されました
交換比率
がその年の十二月になりますと、本当はずつと変
つて
もよいはずなのであります。ところがそれは
同一
通貨
で、例えばそれでは七月で切るか八月で切るかということになりますと、八月と九月との人の差が次のピークの人の差ほどあるかというと、それはなかなか困難であります。どうしても事実上
借入
が或るところで途絶えたというところまでは前のほうにくつつけるということのほうが実際的であろうということで、このような時期
区分
が
満州
についてなされたわけであります。
朝鮮
につきましては殆んど
一つ
のピークで、四月から八月までにピークがございますので、その中間をとりまして
朝鮮
はできております。これには問題がございませんが、問題は
関東
州であります。
関東
州につきましては、
借入
の行われました時期と申しますと、先ず九月の末頃になりまして約六十四口三百五十万円
程度
の大連
日本
人奉仕団というものの
借入
が十一月まであることにな
つて
おります。これはその
あと
杜絶えまして、十二月と一月は
借入金
がございませんで、二月から大連の
日本
人労働組合とそれから
関東
州庁とで
借入
が始
つて
おります。でそれぞれの金額を申しますと、労働組合の金額は九百二十五万円であり、
関東
州庁の金額は七百三十四万円でございます。ところが労働組合の
借入
はその翌年の二月から五月まで続いておりますが、
関東
州庁の
借入
は二月からその翌年の二月まで一年間続いております。その間に六月になりまして、大連の戦時
食糧
協議会というところの千三百九十万円の
借入
、そのうち世話人会が四百七十万円
程度
、口数にいたしまして五百九十口というものが六月に大連では現われておりまして十月に終
つて
おります。 次に住宅調整協議会というものが七月から
借入
を始めまして、百三十八万円
程度
の
借入金
を十月まで行な
つて
おります。それから大連
日本
人引揚対策協議会というものの
借入金
がこの大連では最も多い
借入金
でありまして、六千二百五十九万円の
借入金
がございますが、それはそのうちの約四千万円
程度
、三千六百三十二口の
借入金
は八月から始
つて
いると言われております。併し
借入
の口数の最も多か
つたの
は十月乃至十一月、そういうことであります。それから更にこれはまだ
確認
されておりませんが、申出のありましたものにつきましては、大連市の建設工事日僑引受
委員会
というものの三千万円というものがございます。併しこの金額が
借入金
として認定されるかどうかにつきましては現在のところ不明であります。従いましてこの三千万円を抜きにして考えましても、大体大連の
借入
の最
盛時
は口数から言いましても金額から言いましても、二十一年の十月から十一月にかけてということになります。従いまして大連につきましては、先ず先ほど御
説明
申上げましたプンリシプルから申上げますと、ピークはこの十月から十一月までにピークの大きなものが
一つ
あるというだけで、前のほうは実は小山みたいな形にな
つて
いる、そういうことにな
つて
いる。それで主たる作業は、この十月、十一月の
価値
の
比較
ということに集注されたわけでありまして、これが同じ大連と
満州
は陸続きでありながら、
満州
との
比較
が余りにひどいという
一つ
の原因になりましたのは、こういう最
盛時
の違い、約半年
違つて
おります。この間の最
盛時
の違いということが主たる原因でございます。その次に違います原因は、
ソ連
軍隊によりまして完璧な封鎖を受けましたために、大連市に多数の
日本
人が集ま
つて
おりましたにもかかわらず、その主要
食糧
については不足を来たした、
従つて
主要
食糧
は他の価格に
比較
して上
つて
いた。その点は
原則
的には認めなければならないのではないかと思います。それで
満州
との差はそこにも出て来たということは言えるだろうと思いますが、その資金の使途が主として主要
食糧
の供給にありました以上、それでとるということは理論的にはそれほど誤りであるということは勿論言えない問題でありまして、全体の
価値
の
比較
の統一から見ましても
主食
で
比較
し、これは
高梁
も米もと
つて
おりましたが、米のほうがより有利でありますので、それをと
つて
、この時期は
別表
にありますような十という形にな
つたの
であります。それで
委員会
といたしましては
諮問事項
第五で、
通貨
別、
地域別
、時期別の円
評価基準
についてという
諮問
に対しましては、ここに書いてある、
別表
に附いてございます
地域別
、
通貨
別の
答申案
が出まして、それをそつくりそのままこの
法律案
に取入れられている次第でございます。 最後に
委員会
といたされましては、希望事項を申述べておられます。それは、以上の
通り
現地通貨
を大邦
通貨
に
評価
するに当りましては、
現地
における
借入
最
盛時
を
評価
の時期とした
関係
もあるので、実際の
支払
に関する
法律
の制定の際は、当時の
本邦通貨
の
価値
と
支払
時におけるその
価値
の
変動
を考慮して
支払
金額の決定については
借入金提供
者の利益のために何らかの斟酌がなされることが望ましい。即ち
返済
が遅延したことについては少くとも法定利息の
程度
の割増を加算して
返済
することを希望するというような希望条項項を付けております。 御
承知
のようにこの
審議会
は飽くまででも
政治
的考慮なくして純経済的な立場から
現地通貨
と
本邦通貨
を結びつける適正な
レート
を考えるという建前な
つて
おりますので、例えば中支が二民十一年の二月、三月、それから
満州
が二十一年六月というようなときの円との結びつきを考えましたときに、その当時の円で借りたものと考えて見ますと、それから数年間た
つて
おる。それでその数年間の
支払
遅延について何らかの斟酌が望ましいというのがその希望事項の
趣旨
であります。これに対しまして
大蔵大臣
としての提案では、三割の加算をするということでこの
法律案
の第四条に、「金額に
換算
した金額の百分の百三十に相当する金額」というもので、この要望には三割の割増ということで応えたのでございます。でこの三割と申しますのは、大体の
考え方
といたしましては
終戦
後六年、一年間の利息、法定利息五分と考えますと三割になりますが、大体そうい
つた
肚積りでの数字でございます。別に利息というわけではございません、と申しますのは、二十一年の後半期に
借入
れをなさ
つた
かたはやつぱり三十もらえますし、初めにお借りなさ
つた
かたも三十もらえるということで利息ということではございませんが、
考え方
としてはその心組みで三割の加算をするということに
なつ
たわけでございます。で
返済
の
準備
に関する
法律
では御
承知
の
通り
第二条に、他の国民負担の公平を勘案して、ということがございまして、それの
趣旨
がここに書いてあります。一人について五万円で打切る、打切りと申しますか、五万円というふうに提案にあります
趣旨
はそのようなものでございます。御
承知
のように性質としてはこの公館
借入金
というものは他の
在外
財産の補償、或いは他の戦災
関係
の補償とは性質的には違うということは勿論私たちもさように考えておりますが、実際問題といたしましては他の補償事項が未解決であります。現在の国民負担の公平を考えますと、この
程度
が妥当であろうという
政治
的な判断で五万円とされたものと私たちは心得ております。で実際問題といたしまして、この表面に五万円と切られましたので表面上はひどく乱暴のように見えますが、実際問題といたしまして、現在ではどれくらいになりますかということを御参考までに申上げたいと存じます。 大体今度の補正
予算
に組まれます
予算
額は、私たちの
承知
いたしておりますところでは八億乃至八億二、三千万円
程度
になりはしないかと思いますが、その中に五万円までの
借入金
の金額は六億八千四百万円でございます。
件数
にいたしまして十三万五百四件という計算にな
つて
おります。で総
件数
はどれだけかと申しますと十三万二千八百二件という計算が出て来ております。で殆んど大部分の
人たち
はこの三割を加算いたしまして、なお五万円以下である。
従つて
五万円で打切られるかたたちというものは、二千二百九十八件、約二千三百件に過ぎないということになるわけであります。それでこの十三万二千八百二件という
件数
は御
承知
のように
確認
が済んだ
件数
ではございません。
確認
はまだ正確な数字は手許にございませんが、約六万件
程度
済んでおります。もう少し済んでいたかと思いますが、そうしまして本年度中に大体
確認
が済みます
件数
の予想は全体で十一万
程度
、約二万
程度
は来年度に持越されるのじやなかろうかというような情勢でございます。この点につきましてはいずれ外務省のほうから
お話
があると思いますが、大体
幾ら
かは相当馬力をかけましても残るであろうということにな
つて
おります。併し
予算
といたしましては、この金額が
確認
されてもそれに間に合うような
予算
を一応要求してございます。恐らく
予算
原案としてはその要求が容れられるものと我々は考えております。 以上のような次第で、我々といたしましては
評価審議会
の
答申案
に基づいて、それに三割を加算し、五万円を最高限度とするというような
方法
でこの
法律案
の
骨子
を今度正式に提案されるわけでありますが、先
国会
では
審議未了
になりましたので、今度又改めて提案されるわけでありますが、その際に
一つ
問題と申しますか、一人当り五万円と切られましたために、何人もが一緒にな
つて
一人の名前で
確認
書を請求している場合にどうなるかということが問題にな
つて
来るわけであります。この点につきましては、この
法律案
では
確認
書を一件についてそれを名寄せをいたしましても、一人当り五万円ということにな
つて
おりますので、
確認
書が違う人の名前で
確認
ができる限りにおきましては、それを分解して各人の本当の権利者の名前で
確認
書が出る限りにおいては当然に払われるのであります。ここに十三万二千八百件と申しました
件数
が、その場合には一件として計算されておりますので、全体の金額では変りはありませんが、それが細かく分解されてこの二千二百九十八件という五万円を超える部分が
幾ら
か又五万円以下のものに加わ
つて
来るということは予想されるのでありますが、
予算
の点からはそれほどの大きな不足は来たさないであろうという予想であります。それでもし万一それによ
つて
不足を来たすような場合は当然
法律
的の権利がございますので、
予算
措置はしなければならないのじやないかと私どもは考える次第であります。 以上でかなり長くなりましたが概況の
説明
を終ります。
紅露みつ
4
○
理事
(
紅露みつ
君)
外債課長
から大変詳細な御
説明
がございましたが、この問題は当
委員会
が初めからこれは
審議
して参りました問題でございまして、
従つて
第十
国会
におきましては、これが案が大体固まりかけたらば当
委員会
に連絡をと
つて
もらう、そうして
委員会
としてのこれまでの交渉
経過
から、
委員会
としての
意見
をその際に容れてもらうこともあると、こういうようなお約束を実はしてあ
つた
はずでございます。御
承知
のかたもあると思いますが、ところがこういうふうに固ま
つて
参りましてそうしてまあ第十一
国会
におきましては、先ほど伺
つた
ものでございますけれども、衆議院のほうの引揚
委員会
からは連絡があ
つたの
で出て御
説明
なさ
つた
ということでございまするけれども、当
委員会
のほうにはそういう機会がなか
つた
といいますか、当然これは固まる前には御連絡が頂けるものと私どもは存じておりました。ところがこういうふうに固ま
つて
しま
つた
ということにつきましては、
委員会
としては非常に不満を持
つて
いるわけです。そうして
委員
の皆様がたのお手許にはその陳情が来ておると思いますが、引揚げております債権者と申しますか、かたがたが非常に不満を以て迎えられております。もう怨嗟の的、そういうような感じがいたします。表面五万円で切るというようなことで、大してそれは冷酷じやないというような御
説明
でありますけれども、当事者にと
つて
みるとこれは非常に冷酷な
扱い
だ、これを頼りにして来たので、これを考えて借財をしておるところもあるというような工合で、地方新聞なんかでは、私の選挙区なんかでは百万長者がざらにできるというようなことさえも言うて非常に喜んでお
つた
。それはちよつとひどいと思いますが、幾分の割引をされましても、こういうひどい結果になるというようなことは思
つて
おらなか
つた
らしい。非常な幻滅を感じて、そうして毎日のように陳情が各
委員
のかたがたにもあると思いますが、而もこの問題はこれは
大蔵省
に廻るという法案なんでございますので、これまでの
審議
経過
についても大蔵
委員会
のほうでは御
承知
もないでしようし、関心も
従つて
薄いのじやないかということを私どもは非常に危惧する。ですから、
委員会
としては又
あと
で懇談を申上げ、当
委員会
の態度ですね、これからの行動についてお打合せを申上げたいと存じますけれども、今御
説明
になりました時期のとり方とか、
米価
の
基準
についてとかいうことについてもいろいろ
委員
の皆様にも御
意見
があると思いますが、時間もいろいろ
委員
のかたがたの御都合もありまして長くできないと思いますので、どうか
一つ
御質問をなさ
つて
頂きたいと思います。
安井謙
5
○安井謙君 今
委員
長の
お話
、いろいろ
委員会
として根本的に考えなきやいかぬ問題があると思いますが、私技術的な点だけ一、二ちよつとお伺いいたします。この
日本銀行券
が
満州
、
関東
州には
レート
に載
つて
いないのはどういうわけですか、それを
一つ
……。
上田克郎
6
○
説明員
(
上田克郎
君)
満州
と
関東
州には
日本銀行券
の
借入
が現実にありましたかどうか、その点私詳らかにいたさないのでありますが、
日本銀行券
がここに
表示
されておりまする
趣旨
は、法定
通貨
としてそのときまでに合法的に流通してお
つた
地域
だけについて
日本銀行券
を
現地通貨
と見なす、例えば
中国
や特に
華中
、それから
華北
、そういうようなところで
日本銀行券
が当初使われましたその残存部分があ
つた
とは思われますが、そのようなものは法的にも許されなか
つた
ものでございますし、且つ又流通
通貨
としての
一般
性というものはなか
つた
ものと思われますので、それはただ
現地
に残置された財産である、いわゆる
借入金
としての機能は果さないものである、そういう
考え方
がありまして、
朝鮮
の
日本銀行券
だけがここに
現地通貨
として載せられた次第でございます。
安井謙
7
○安井謙君 相当流通しておりましたが、同じ
関東
州で
日本銀行券
が当時
終戦
後…。だからこれは全然抜きにするのは実際上はおかしいのじやないかと思うのですが、これはもう一度御調査願いたいと思います。これは素人のあれなんですが、これを見ますと、例えば
朝鮮銀行券
の当時一円五十銭が
日本
券で言う一円に当るという
表示
なんですね。
上田克郎
8
○
説明員
(
上田克郎
君) さようでございます。
安井謙
9
○安井謙君 一円五十銭、そうすると、時期はその当時の
レート
として上げられておるわけですね。
上田克郎
10
○
説明員
(
上田克郎
君) さようでございます。
安井謙
11
○安井謙君 それから今日までの値上りその他については、金利のようなものを加算して三割を……。
上田克郎
12
○
説明員
(
上田克郎
君) さようでございます。
安井謙
13
○安井謙君 当時の
日本
の円価から今日までのインフレの率と言いますか、これは三割や五割のものじやないのです。その三割という割増についても相当疑義があるのじやないかと思うのですが。
上田克郎
14
○
説明員
(
上田克郎
君) 円
価値
の下落そのものを見るか見ないかという問題は、これはかなり重要な問題でございまして、円
表示
債権が、現在でも例えば昔の預金だとか、国債だとかというようなものがございますが、これに対しましても、その
価値
変動
は見ておりません。御
承知
のように、それに若し円
価値
の
変動
、そういうようなものを勘案するというような
考え方
でございますと、すべての円
表示
の債権債務についてそれを調整するような
法律
が出て初めて考えられる
考え方
だと思います。ここでは一応例えば国債にも金利が付いてお
つた
という
程度
で置こう、こういうふうに考えたわけでございます。
安井謙
15
○安井謙君 もう
一つ
伺いたい。例えば
満州
の
満州中央銀行券
の二十二年三月末と四月以降の差は余りにも大きいのですが。
上田克郎
16
○
説明員
(
上田克郎
君) この点は先ほど御
説明
申上げましたように、最
盛時
をとるということにいたしますと、このグラフを書きましてずつと山ができます。
件数
が例えば或る時期だけにぽんと
借入
が行われますと割にいい。ところが
件数
のグラフをとりますと、ずつと山にな
つて
ずつと下
つて
いる。どこで切るか、山のところだけで切るというと、これは不公平です。前の日と明くる日でひどく違う。それで谷間のところで切
つた
。ですから
満州
で二十一年六月が一番山にな
つて
おります。それからずつと減
つて
参りまして、翌年の三月で零にな
つて
おります。それから又少し上り出すということにな
つて
おります。ただこれは専門員の
お話
でもありますが、大体最初のピークで一応の本来の
借入
というものは終
つたの
だ、
あと
はまあ好意的と申しますか、何かそういうようなことで、それで初めの
考え方
では二十一年末頃まででもや
つて
くれればという
お話
でございましたけれども、途中で切るわけに参りませんので、延したような恰好にな
つて
おります。
安井謙
17
○安井謙君 意味はよくわかりました。
内村清次
18
○内村清次君 これはもう確かに先ほど紅露さんからおつしやいましたような
状態
でございまして、ただ先ほどの
説明
の中に五万円を超える
件数
が二千二百九十八件、この二千二百九十八件の中に、現在の
支払
といたしまして一番大きい金額は、これは大体どれくらいになるか、この点が第一点です。それから第二点は、先ほどの御質問のありましたように、貨幣
価値
の
変動
率を、
説明
者は何も
法律
的にはつきりしておらないからして、ただ利子だけを付けてこの
換算
率を決定したというような
お話
ですが、これは非常に重要なことでありまして、無論これを公館に貸付けたかたがたは、当時の貨幣率からいたしまして、これは相当貴重な貨幣を貸付けたわけですから、現在の
換算
率はすでに
日本
銀行の
換算
もありますし、市場の
換算
も統計としては現われておる問題でありますから、これをどうして
一つ
も見なか
つた
かということは、これはやはり私たちが今後そういう審査
委員会
のかたがたに対しまする大きな質問事項であろうと思うのであります。又
政府
もこれを
一つ
もお考えにならなか
つた
ということは、これは受くる人のためにもその原因をやはりはつきりと突きとめておかんと、私たちは相済まないと思いますが、その二点にきまして先ず
お話
を願いたい。
上田克郎
19
○
説明員
(
上田克郎
君) 第一点につきましては、最高どれくらいになるかという点は、今までわかりましたところでは、最高七十万円見当であると大体思
つて
おります。併しこれも極く稀でありまして、一応五十万円
程度
が二、三件あ
つた
ように思います。これは或いは
あと
で調べまして、詳しく御報告を申上げたいと思います。大体の見当といたしましては、その
程度
であります。これは併し先ほど申上げましたように、何人でもが一緒になりまして、一件として出ておるものであるかも知れません。その点がまだはつきりいたしません。それから第二点でございますが、これは先ほども申上げましたように、確かに御疑問なさる点は心理的には私も同情いたすのでありますが、
法律
的に考えますと、そのときに円価
表示
の債権を
日本
政府
が借りたというふうに考えますと、ここで若しその際にいわゆる
物価指数
をかけて現在の
価値
に引伸ばしますというようなことをいたしたといたしますと、単にこの問題に限らず、すべての
日本
の経済
関係
というものについて、その考慮をしてやらなければならないという問題が附随的に起
つて
来るだろう、その点が大きな問題ではなかろうかと存じます。
杉山昌作
20
○杉山昌作君 今の第一点に関連してですが、第一点の問題ですが、つまり最高七十万円は一人か二人かあ
つた
ものと思う、五十万円が二、三人あ
つた
かと思う、こういう
お話
ですが、これは二千三百件か
幾ら
かですが、平均したら一体どのくらい切られたかといういことですね。これは全体の総数から言
つて
十三万の中で二千何件ということになりますが、切られた本人から言うと、一体どのくらい切られるかということは、本人にと
つて
非常に大きな利害
関係
があると思います。そういうようなこともこの次
お話
を願いたいと思います。今わか
つて
おれば今でも……。
上田克郎
21
○
説明員
(
上田克郎
君) 大体
お話
しできると思います。二千二百九十八件のかたたちの邦貨に
換算
いたしました金は、一億一千四百九十万円という一応の数字が出ております。従いまして一人当りの平均、
件数
当りの平均は約五十万円ぐらいになりしようか。
杉山昌作
22
○杉山昌作君 そうすると、それが十分の一というわけですね。
上田克郎
23
○
説明員
(
上田克郎
君) さようでございます。今のは五十万円でなく五万円でございました。
内村清次
24
○内村清次君 先ほどの課長の言われる円
換算
のこの
換算
率ですね。この率を見なか
つた
ということは、これは
政府
のほうが突張
つて
見なか
つたの
か、
審議会
自体にはそういうような声は
一つ
もなか
つた
かどうか。
上田克郎
25
○
説明員
(
上田克郎
君)
審議会
には勿論ございました。それで三割と言わず、六割でも、七割でも、或いはその
物価指数
でも見てくれんかというような御
意見
は勿論ございましたが、併しまじめな
審議会
の
答申
としてそれを勘案ずべきであるというような考えは出ておりません。ただ気持として同情に値するから大いに考えてや
つて
欲しい。昔にもら
つて
お
つた
らこう
なつ
たであろうということもよく考えて欲しいという
議論
は勿論出ました。
紅露みつ
26
○
理事
(
紅露みつ
君)
委員会
としては、その
審議
委員
そのものの人選についても相当強い要望を申上げてあ
つた
はずなんです。ですから引揚者のこの債権者である
人たち
も、相当信頼できる
人たち
が選ばれておるのかと思
つて
おりました。ところがさつぱりこの債権者である
人たち
はその
人たち
を信用しておらない。そうして我々の意向はさつぱり
地区
的にも聞かれちやいないのだ、ほかの補償と国家の総合的なほかの問題にも
関係
して来るという
お話
ですが、これはその都度申上げる
通り
借上金ですからね。貸した金ですからね。そういう観念は引揚げたこの債権者である
人たち
の頭には強くあるのですよ。ですから借金を踏み倒していいということを
政府
が範を示すならば我々もそういうふうで行
つて
いいかという極論さえも持
つて
陳情に来ていますのですよ。ですから、これはその
地区
地区
の少くとも代表的な人の
意見
を聞くということは、それだけの親切はあ
つて
もよか
つた
と思うし、その
審議
委員
という
人たち
を、なぜもつと皆が信頼しておる人を選ばなか
つた
かと私どもは思うのですね。それからもう
一つ
、五万円で切るというようなことを一方的にきめてしま
つて
ですよ。一方的にきま
つて
しま
つて
、そうしてどうせ引揚の
委員会
にはかかるのじやないから、だからこんなものは見せないでおいて、そうして固めてしま
つて
、何か少々ぐらい言
つた
ところで、付託されるのは大蔵
委員会
だというような、そういう態度のように見えるのですね。だから陳情の
人たち
の言うことも私どもは本当に尤もだと思うことがたくさんあるのですね。これはもう見せないでおいてですよ。見せるはずだ
つた
でしよう、これは……。固める前に……。
上田克郎
27
○
説明員
(
上田克郎
君) ちよつとその点で弁明させて頂きたいと思います。速記を
一つ
とめて頂きたいのですが。
紅露みつ
28
○
理事
(
紅露みつ
君) ちよつと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
紅露みつ
29
○
理事
(
紅露みつ
君) 速記を始めて下さい。 お米を
基準
にして、
米価
を
基準
にしたなんて言いますけれども、この大連あたりの人の話を聞きますと、お米なんかは殆んど食べていなか
つた
というのです。高くてそんなものは食べられないのだ、我々の品に殆んど入
つて
いないのだ、そういうものを
基準
にしてですよ、そうして計算するものだから、えらいことにな
つて
それが実際と離れてしまうことになるのですね。それからその五万円ですね。五万円というのはどういうことからその五万円というものが出て来たのですか。打切りの五万円というのは何を
基準
にしてそういうものをきめられたのですか。
上田克郎
30
○
説明員
(
上田克郎
君)
関東
州
地区
のお米を食べなか
つたの
に、お米の
値段
は怪しからんとおつしやる問題につきましては、実は主要
食糧
はお米、まあ
高梁
が主要
食糧
であ
つた
ようでございますが、
高梁
につれてお米も大体殆んどスライディング・スケールみたいにして、一緒に
変動
しておりますので、形としてはお米をとりましても、
主食
でと
つたの
と大部分は殆んど変
つて
おりません。でございますから、米を食わないのに米の
レート
をと
つた
というのは、ちよつと
食つた
ものでやらなきやおかしいじやないかということになりますけれども、一応
基準
として各
地区
で米でと
つた
場合に、
高梁
でとらないで、米でと
つて
も不公平には事実上な
つて
いないのが
関東
州の
実情
でございます。それから五万円の金額の算定でございますが、これは打切るというような場合の、何と申しますか、例えば戦時補償の打切りが、返金、価額が一万五千円だ
つた
かと記憶しておりますが、
あと
は十万円まで封鎖ということもありましたし、或いは一件一万円ということもございましたし、戦時非常措置でいろいろやられましたことなど勘案いたしまして、この
程度
ということがきめられたのでありまして、計算上こう
なつ
たというような数字ではございません。
紅露みつ
31
○
理事
(
紅露みつ
君) 戦時補償の打切りというと、あの火災保険ですね、あれなんか五万円でしよう。
上田克郎
32
○
説明員
(
上田克郎
君)
あと
は封鎖にな
つて
おります。
紅露みつ
33
○
理事
(
紅露みつ
君) 併し五万円というのはや
つた
んですね。そこから割出して、それを基礎にしたということ自体がおかしいのですよ。今度のことは借りですよ。
政府
の借りですよ。借金ですよ。だからどうしてそれではそれと同じように扱われるか、どうもそれは私わからんと思うのですね。
上田克郎
34
○
説明員
(
上田克郎
君) この確かにおつしやるようなケースが相当あると思います。本当に借金であるということが、これは併し
法律
的に申しますと、借金の追認というような
法律
的な性格を持つものだと思います。と申しますのは、いわゆる議会の承認を得た権限のある人が借金をしたのではなく、将来議会でああいうようなきめ方をして返してもらうように努力するという形で借金をしておるのです。これが国の借金となりまして、はつきり国の借金である。国の債務であるというふうに
原則
的に認められるといたしましたのは、例の審査会法と申しますか、外務省でや
つて
おりますあの
法律
で、外務大臣が国の債務として
確認
するという問題が改めて
法律
的にできたのです。そのときのあれは飽くまでも国の債務として認められるのであ
つて
、
幾ら
の金を
幾ら
と仮定的な債務として認めるという、或いは払うかという問題は国の
法律
できめるのが、
予算
の
範囲
内において
法律
の定めるところにおいてきめるのが、そういうような性質の債務なんです。でございますから、国が例えば国債を発行しましてそれで債務を負うというような性質とはこの性質は
違つて
おります。その点は普通の国の借金であるということは性質が違うということを
一つ
お考え願いたいと思います。
紅露みつ
35
○
理事
(
紅露みつ
君)
法律
的には私わかりませんけれども、そういうむずかしい問題になりますと、わかりませんけれども、少なくとも金を出した
人たち
はこれを
日本
政府
に貸す、又返すということを面接交渉に当
つて
は言われておるのですから、
法律
によ
つて
きめるということは、外務省が、
政府
が勝手に取りきめたと思うのです。いずれこれを
法律
化するということは、それは外務省、
政府
自体が言
つて
いるので、素人考えですから、法的な解釈になりますと、ちよつとわかりにくいのですが。
内村清次
36
○内村清次君 確かに公館
借入金
の計数というものは、大体二十万以上であ
つた
と思いますね、そうしますと、現在十三万件で一億二、三千万円、そうすると、この金額について予想いたしまして、
政府
のほうでは未審理のものがありますが、大体
幾ら
くらいの金額は完了するんだという見通しが付いておりますか。
上田克郎
37
○
説明員
(
上田克郎
君) 実は二十数万件と申しますのは、何でもかんでも、ともかく
政府
に貸したと思われそうなものは全部申出て来い。そういう形で集められた計数でございます。十三万何千件と申しますのは、
借入金
の概念の中に、範疇の中に入りそうなものをと
つた
わけでございます。十三万件全部が
確認
されるかどうかは疑問なのです。現在まで集まりましたものについては、申請がすでに締切られておりますので、すでに集められた計数で行きますと、マキシマム八億数千万円でございます。先ほど申上げました小さな修正、例えば一件として計算したものが、実は何十人分にもわかれて、それが結局五万円以下の分として何件かになるということになりますと、多少の違いは出て参りますが、大体それだけの
予算
があれば、
確認
されるものについては全部払えるということになると思います。ただ残
つて
おりますのは同じような性格のものでありながら、初め申込の期限が切れたために、まだ申込めないままでいるもの、それから二十数万件と、十三万余件との差額にあたるものの中で、例えば内地送金に際しての調整料の問題などが問題になるのです。このうち本年の調整料なら
借入金
にならない点で問題はないのですが、本質的には調整料ではなく、
借入金
であるとして今後
確認
されるものが出て来るなら、一部分プラスになることになると思います。ただそれについては殆んどそれほど大きな
予算
的な
変動
を来たすのではなかろうと
大蔵省
としては考えております。これは外務省とも今後緊密に連絡をいたしまして、審査状況の進捗に応じまして、或いは又お願いしなければならんことがあるかも知れませんが、現在のところでは、これで十分だろうと考えておりすす。
内村清次
38
○内村清次君 そうしますと、
政府
のほうでは財政的な問題を特に御考慮であろうと思うのですが、若しこの点が重点にな
つて
、まあこうや
つた
無茶な値引を、まあ悪く言えば踏倒し、これをまあやられたと思うのですが、そうしますと、やはりこの
法律
を
審議
いたします過程に、これは
委員
長のほうでも考えて頂かなければならんが、この整理される審査
委員会
の審査
方法
、それから代表のかたがたで公聴会を開くとか、証人喚問の形でやられるか、その点を一応当
委員会
としてはや
つて
おかないと、将来に大きな物議があるのではないかと思いますから、一応そういう点を御考慮のほどを併せてお願いしたいと思います。
紅露みつ
39
○
理事
(
紅露みつ
君) 御尤もです。そういう私も不安を持
つて
おりますので、後刻その点で御相談をまとめておきたいと思います。私もこれまで
審議
をして参りました責任上、これは最近更に引揚者に対して、何とい
つて
よいか、不結果に終
つて
おりますので、責任を感じております。
臨時国会
に入りますと、非常に混雑して来ますので、御相談を早くまとめておきたいと思います。
上田克郎
40
○
説明員
(
上田克郎
君) ちよつと杉山
委員
の御質問に対して、数字上間違えて御返
答申
上げましたので、訂正いたしておきます。先ほど五万円を超える
件数
二千二百九十八件に対する打切られる金額は
幾ら
になるかというような
お話
のときに、一億一千四百万円と申上げましたが、これはこの
人たち
に五万円ずつ与えた金額でございまして、間
違つて
おりましたので訂正いたします。それで金額的には、全体が三割を加算いたしました場合の全所要額が十二億七千二百万円になりますので、それから五万円以下のかたたちの六億八千四百万円を引きまして、それを二千二百九十八で割れば、三割を加算した金額が出るということになります。これはいずれ
あと
で又計算いたしまして、お届けをいたしたいと思います。
紅露みつ
41
○
理事
(
紅露みつ
君) それでは
資料
を届けて頂きます。
森崎隆
42
○森崎隆君 公館
審議会
の
委員
の構成ですね。一応
結論
を申上げますと、債権者の代表は一人も入
つて
おりませんか。
上田克郎
43
○
説明員
(
上田克郎
君) さようでございます。
森崎隆
44
○森崎隆君 即ち債務者のほうだけで
委員
を全部見ておるのですか。
上田克郎
45
○
説明員
(
上田克郎
君) 債務者の代表であるとか、債権者の代表であるとかいうような形で選ばれたものじやございません。全部引揚者でございますので、それぞれまあ債権者の部類に入
つて
おられるかたもあるはずでございます。ですから債権者の代表であるかどうかはわかりません。全部引揚者でございます。それを申上げておきます。
紅露みつ
46
○
理事
(
紅露みつ
君)
法律
的にこれが普通の借金でないという解釈によ
つて
専門家でない私はそれほど太刀打ができないが、常識的に考えまして、金を借りたほうが、借りたほうの側だけ集ま
つて
、そしてこれはこの辺で打切ろうじやないか、それで
換算
もここいらが一番
支払
が少ない時期だろうから、こいつを
一つ
とろうじやないかというようなことで決定するというようなことは、もう国民の間には聞かない現象です。だからこの不満は何とした
つて
、もうこれを
大蔵省
はこの案を厳守するでしようし、又従来何にもこれに対する知識もないかたが、突然こうした非常にわかりにくい計算のその数字を示されて、それは大蔵
委員
ですから、そういう方面には通暁していられるでしようけれども、にわかにこういうものを出されて、そうしてこれはまあおよそこの
程度
のもので通るでありましようし、通るであろうことを期待しての
大蔵省
の行き方であろうと思われるのですが、その裏には、皆これはもう引揚者の一人々々が持
つて
これから行くわけですが、これはもう非常に遺憾な
状態
だと私は思うのです。
森崎隆
47
○森崎隆君 それからもう
一つ
。さつきの質問に続いて、
委員
のかたは皆引揚者であるということはよくわかりましたが、併しその
委員
のかたがやはり債権者の立場におかれて、
幾ら
かこの公館に貸付けた金額を持
つて
おるのがあるのでありますか。
上田克郎
48
○
説明員
(
上田克郎
君) その点私のほうで
確認
はまだしてございませんが、調査いたしまして御返
答申
上げます。
森崎隆
49
○森崎隆君 そういうことは是非聞きたいのです。それを聞きました上、又聞くことにします。
紅露みつ
50
○
理事
(
紅露みつ
君) それでは申上げますが、外務省から池田室長が見えております。
在外
公館借上金審査室長の池田さんがお見えにな
つて
おりますので、
あと
確認
書がどういうことにな
つて
おりますか、一応御
説明
伺いたいと思いますが、よろしうございますか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
紅露みつ
51
○
理事
(
紅露みつ
君) それでは
外債課長
御苦労様でした。 その後どういうふうに
確認
書が出ておりますか、簡単に
一つ
御
説明
を願いたいと思います。
池田千嘉太
52
○
説明員
(池田千嘉太君) 簡単に申上げましよう。大体現在におきまして、
確認
書の出たものが五万七千七十六件出ております。それから
確認
しなか
つた
もの、これは証券類、郵便貯金、外国の郵便貯金でございますが、郵便貯金、そうい
つた
もので
借入金
にならんだろうというので、一応出したのが、これはまあ少ないのですが、千百二十九件出しております。
紅露みつ
53
○
理事
(
紅露みつ
君) これは駄目でね。
池田千嘉太
54
○
説明員
(池田千嘉太君) ええ、これはもう駄目なんです。それから昨日までに
確認
されるという、審査会のほうでよかろうとい
つたの
がちよつと何ですが、一万五千件とお考え願
つて
結構です。それで合計
確認
の分に入るのが七万三千四百二十件ということになります。この最後の一万五千件というのは確数でないので……、そういうような数字でございます。それから今後処理を要するものとしましては、大体
確認
されるだろうと思うものが六万一千余件、これも概数ですが、それから
確認
されないだろうと思うのが四万三千ばかりあるのです。それから問題の調整料付送金小切手というのが、調べて見ましたら約二万四千件、それで総計二十
幾ら
になりますか、二十万二千件ばかりになりますが、ほぼそんなものであります。それで
確認
審査事務の数字はそれだけであります。審査事務のほうでは、今職員も百名以上にな
つて
おりまして、一番馬力をかけております。
委員会
のほうも従来
通り
毎週一回
程度
を開きまして、促進しておりますと同時に、別に
満州
、
中国
、
朝鮮
というように
地域
的に分科会的なものを作りまして、残
つて
おりまする非常に調査を要するものにはどんどん整理を進めておりますから、大体先ほど
外債課長
が言われましたように、
確認
すべきものが来年度にも少し残るだろうと言われました
通り
、来年は
幾ら
か残りますけれども、請求されたおかたがたが、自分らは認められるだろうとお思いにな
つて
おるのが十二月頃と予想しております。次の
確認
書がはつきりできて、おおよそ処理が付く、それでその次に、以下に残るものは領収書が付いていなか
つた
り、或いはいろいろに請求書に欠陥のあるものは残るのじやないかと、そう考えております。審査会としては
支払
の
返済
のほうがどんどん進行して行くのに応じまして、
一つ
最善を尽したいと思
つて
おります。大体現在の状況はそんなものであります。
内村清次
55
○内村清次君 そうすると、来年度は全部完了しますか。
池田千嘉太
56
○
説明員
(池田千嘉太君) 勿論来年度は完了します。
紅露みつ
57
○
理事
(
紅露みつ
君) 調整料付の送金小切手というのは、これはどういうふうにしていらつしやいますか。
池田千嘉太
58
○
説明員
(池田千嘉太君) これは只今ほぼ整理が終りまして、今月中ぐらいに審査会としての
結論
を出したいと思
つて
おります。で、最近来週ぐらいに
上海
、徐州その他
関係
地区
の取扱者、
関係
者に来て頂いて
一つ
実際の
実情
を十分聞きまして、
委員
たちの判断の
資料
にしたいという段取りを立てております。ここ一月ぐらいで何とか
結論
が出るのじやないかと思
つて
おります。
成瀬幡治
59
○成瀬幡治君 遅刻して参りましたので、ダブると、ダブ
つた
ら
一つ
ダブ
つた
とおつしや
つて
頂かないと……。これは未
確認
のを非常なスピードでや
つて
結論
をお出しになるようなふうに今承わ
つた
ところですが、仮に今若し実施に関する
法律案
が通過して、そうして
支払
が開始されるような場合は、
確認
書の出たものから、
日本
銀行は現金で以てさつさと払
つて
行くのが、おおよそ六ヵ月ということは出ておるわけですが、この公布の日から起算して六カ月を超えない
期間
内において政令で定める日から施行するということにな
つて
おるのですが、これをおおよそ目標を掲げて、これが六ヵ月と出ておるのが、これ以内に完了せなか
つた
場合は未
確認
のままで残しておいて、
確認
されたものだけはどんどん払
つて
行くという態度なのか、その点
一つ
はつきりお答え願いたいと思います。
上田克郎
60
○
説明員
(
上田克郎
君)
確認
が済みました分につきましては、
法律
が通過いたしまして、公布になり、施行になり、それで
予算
案も同時にでき上りました
あと
では、可及的速かに済んだ分から払
つて
行くということにいたすつもりでおります。
成瀬幡治
61
○成瀬幡治君 もう
一つ
お尋ねしたいのは、この六カ月ということは、およそこれで全部完了してうという目標も入
つて
いるかどうかということです。
上田克郎
62
○
説明員
(
上田克郎
君) その附則の六カ月は、今度の本格的な提案の場合は三カ月になる予定でございます。御
承知
のように、これは正式の提案でございませんので、前に
審議未了
に
なつ
たままの提案でございまして、その後事構も変りましたし、附則を少し直しまして、例えば
準備
審査会との
関係
、ここで六カ月というのを三カ月、
大蔵省
の設置法との
関係
その他技術的な訂正をいたしまして、提出いたす予定でおります。
成瀬幡治
63
○成瀬幡治君 それからもう
一つ
。
日本
銀行でということになりますと、例えばうんと田舎の人は郵便局でや
つて
もら
つた
ほうが都合がいいというような場合は適当に便宜を図らわれるわけですか。飽くまでも中央に
一つ
しかないようなところまで取りに行かなくちやならん、こういうことになるのですか。
上田克郎
64
○
説明員
(
上田克郎
君) 確かに仰せのような不便な場合が起るかと思います。それで郵便局でとれるようなということも考えて見たのでございますが、
政府
資金を出します技術的な
方法
として、どうも郵便局を使うことはとてもできかねると思いますから、一応こういうふうにいたしました。我々の
考え方
としましては、地方に財務部というものが、ございまして、
大蔵省
の出張所ですが、そこからそれぞれのかたたちに郵便でこれだけの円をお払いしますという通知をいたします。それと外務省から出します
確認
書をお持ちにな
つて
、もよりの
日本
銀行の支店乃至は代理店、代理店までできるだけ引継ぎたいと思いますが、来て頂くというふうに考えております。実際上或いは二、三百円の金をもらうのに百円以上使わなければならんということにならないように、何とかそこは簡単にとれるようにということができればと思
つて
おりますが、現在のところ郵便局を使
つて
お払いをすることは一応考えては見ましたが、採用しないということにな
つて
おります。
成瀬幡治
65
○成瀬幡治君 もよりとおつしやいましたが、これは……。それでこれの最後の取
扱い
はどういうふうになるのですか。この
法律
の取
扱い
は……。
紅露みつ
66
○
理事
(
紅露みつ
君) これは第十
国会
の
審議
されました
準備
法案ですね。この前にもう
一つ
、この借上金の問題で、
在外公館等借入金
の
返済
の
準備
に関する
法律案
というのができておりまして、これは第十
国会
にできたので、次の
国会
に提案しなければならないということの規定がございますので、それで第十一
国会
にはちよつと顔を出したらしいのです、衆議院のほうへ……。それで無論
審議未了
になることは当然で、お終いの日に出たのですね。で、付託されるところは大蔵
委員会
です。そこが非常に私たちとしては責任を全うし得ないのです。従来ずつと
審議
を続けて来たのですけれども、これが大蔵
委員会
に付託されるということでありますので、先ほどもこの問題がダブ
つて
出ました。当
委員会
としての態度を御懇談できめまして、内村
委員
からも要望がありまして、公聴会を開き、或いは参考人を喚ぶか、証人にするか、いずれにしても債権者側と思われる引揚者の当事者の気持や
意見
の発表をさせる機会を作らなければいけないじやないかと、私もそう考えておりますので、その点は
一つ
御懇談できめたいと思
つて
おります。
成瀬幡治
67
○成瀬幡治君 結局それは
在外
だけでやろうとするのか、かか
つて
来る大蔵
委員会
と合同審査の下にやるのか。
紅露みつ
68
○
理事
(
紅露みつ
君) ええ、そういうことも御懇談できめたいと思
つて
おります。考慮の中に入
つて
おります。 ではこれで今日は散会することにいたします。御苦労様でございました。 午後零時三十六分散会 出席者は左の
通り
。
理事
紅露 みつ君 森崎 隆君
委員
石川 榮一君 木村 守江君 安井 謙君 内村 清次君 成瀬 幡治君 杉山 昌作君 木内キヤウ君 堀 眞琴君
説明員
在外
公館等
借入
金整理
準備
審査 室室長 池田千嘉太君
大蔵省
理財局外 債課長 上田 克郎君