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1951-10-05 第11回国会 参議院 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月五日(金曜日)    午前十時五十一分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○在外同胞引揚問題に関する調査の件  (在外公館借入金返済に関する  件)   —————————————
  2. 紅露みつ

    理事紅露みつ君) それでは委員会を開会いたします。  本日は公報でお知らせ申上げましたように、在外公館等借入金返済準備に関する法律案、この問題につきまして御審議を願うことになつております。大蔵省から外債課長がお見えになつておりますので、一応この法案ができました経過大蔵省考え方、そういつたものについて御説明を願つたほうがいいと存じますが、如何でございましよう。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 紅露みつ

    理事紅露みつ君) それでは御異議がないようですから、上田外債課長説明一つ願います。
  4. 上田克郎

    説明員上田克郎君) 外債課長でございます。先頃の臨時国会でぎりぎりの日に司令部のOKが参りまして、在外公館等借入金返済準備に関する法律案を提出いたしたのでありますが、審議未了になりまして、この法律案を作りますまでの経過お話申上げたいと存じます。この法律案扱いでございますが、八月から現在まで相当時日が経つておりますし、附則の技術的な部面で幾らかの修正が加えられまして今度の国会に正式に又提出される、そういう扱いになる予定でございます。この法律案ができますまでには御承知のように、その前の国会借入金返済準備に関する法律案というものが出まして、それによりまして借入金現地通貨本邦通貨への評価基準をきめる評価審議会というものが設けられたのであります。この法律案の、主たる内容はその交換比率法律で定めることと、それから具体的な支払に当つてどの程度までの支払をするか、予算範囲内においてと前の法律案に書いてございまするので、予算範囲内においてどのような支払をするかということが骨子になつております。で第一の骨子ざごいます比率をきめることにつきましては、大蔵大臣からこの評価審議会諮問いたしまして、その答申に基いてその評価基準というものが定められたわけでございます。  答申内容を御説明申上げます。大蔵大臣から審議会諮問事項の第一として提出されましたものは、「終戦後における現地通貨制度変遷について」、これは一般的な問題として専門委員にお願いして提出して頂きました。これは直接関係がございませんで、そのバツク・グラウンドになつておるものでございます。それから、諮問事項の第二は「借入金表示する現地通貨本邦通貨評価する方法について」ということを諮問いたしました。これに対しまして委員会答申といたしましては、大要次のような答申が出ておるのであります。  異種の通貨価値比較は、購買力比較として物価指数、特に卸売物価指数基準とするのが本則であるが、終戦後の混乱時にあつて当該現地における的確な資料が得られないので、本件借入金の円に対する評価に当つては、先ず借入金表示する現地通貨流通地域区分従つて朝鮮満州関東州、華北華中華南タイ及び仏印区分により地域区分を設け、当該現地通貨の円に対する評価は、原則として各借入通貨ごと借入の最盛時における当該現地通貨の流通していた地域主要都市東京との米価比較によるものとし、なお実情に応じ、 (1) 華北における法幣については中国連合準備銀行券評価基準から終戦に伴い中国国民政府が法定した比率法幣中国連合準備銀行券一対五により裁定し、 (2) 中国中央儲備銀行券については、華中華南における法幣評価基準から終戦に伴い中国国民政府が法定した比率法幣中国中央儲備銀行券一対二〇〇により裁定し、 (3) 関金券については、華北及び華中華南における法幣評価基準から、中国国民政府が法定した比率法幣関金券二〇対一により華北及び華中華南地域ごとに裁定し、 (4) 華中における米ドル及び海南島における昭和十二年円表示軍票については、借入の最盛時におけるそれぞれの対法幣実際相場実勢を勘案し、 (5) ピアストルバートについては、借入の最盛時における為替相場実勢を勘案して評価するものとする。  これで大体評価基準につきましての一応のプリンシプルが示されております。これを少し御説明いたして見ますと、先ず現地通貨というものはそれぞれ通貨流通地域というものを持つておるわけでございますが、歴史的に見まして、例えば朝鮮銀行券朝鮮に主たる流通地域を持つと同時に関東州にも持つてつたわけであります。満州中央銀行券満州国が主たる流通地域であると同時に関東州にも流入しておつた、そういう状態がございます。併しながら終戦後の政治的な変動に基きまして、朝鮮関東州とでは全然経済圏政治圏も異なつて来たわけであります。従いまして同種の現地通貨でありましても、必ずしも一通貨について一評価ということが妥当でないという場合があるわけであります。従いまして先ず政治的、経済的な地域一つきめまして、それでその地域使用通貨について評価をきめよう、そういうプリンシプルがとられたわけであります。で、地続きであります満州関東州は、満州については当初国府、次にソ連共産系、そういうものが入りまして、関東州は初めからソ連が参りまして、全然政治的に分断され、あの国境と申しますか、関東州と満州とのあれには政治的な柵が設けられたという実情であつたのであります。従いましてここに今申上げましたように、朝鮮満州関東州、それから華北華中華南華中華南は大体儲備券が一緒に戦時中からなつておりましたので、華中華南は一本これにも広東と上海と違えたらとか、漢口をどうするかという議論もございましたが、改正において儲備券華中華南は一本でよろしかろうということに大多数の意見が一致したわけでございます。タイ仏印はそれぞれ通貨も違いますし、これには異存はない、そういうようなわけであります。  朝鮮満州関東州、華北華中華南タイ及び仏印というのがお手許にございます。この在外公館等借入金換算率表借入金提供地域という地域別が一番左に出ておりますのはその趣旨でございます。この地域区分はそのような趣旨でできております。  それから次の欄に現地通貨と書いてありますのは、従来外務省から確認を受けまして、確認証書が出ております券種でございます。従いまして朝鮮では朝鮮銀行券日本銀行券とが確認されておりまして、北鮮或いは一部分南鮮に参りましたソ連軍票朝鮮におけるソ連軍票はまだ確認されておりませんので、その答申案からは抜けております。これは法律的に確認の済んだものだけの通貨について答申するということになつておりますので抜けております。従いましてあとで申上げますが、審議会は将来そういう通貨確認されますと、再びこの別表改正法律案としてレートが提案されるという段取りになつております。そのほか例えば華北における連銀券法幣関金券とありますが、蒙疆地区における蒙疆銀行券、そういうものについての確認がまだ得られておりませんし、或いは南方地域における南発券というものがまだ確認を受けておりませんので、この表からは抜けております。フイリピンにおけるピアストル軍票も同様であります。  それからその次のプリンシプルといたしましては、借入というものは決して一時に行われたものでないことは御承知通りでありまして、終戦の年の九月から借入が行われまして、各地区によつて異なりますが、遅いのは二年、或いは二年半と満州なんかにおいては続いておりまして通貨価値が極端に申せば一日々々変動しておつたような時期に、満州につきましては、例えば昭和二十年の九月から始まつて二十三年の七月までも借入件数があつた朝鮮につきましては八月から始まつて翌年の十二月まで借入があつた華北についてはややその期間が短うございまして、終戦の十月から翌年の六月まで借入があつた。そういうふうに借入期間というものはそれぞれ違つております。そういたしますと、その提供されました通貨価値というものは、終戦直後の世界的な政治混乱、特にこの日本の占領いたしました地域政治的混乱は、その通貨価値を特に日本が尻押ししておりました通貨についておる価値変動というものは極めて激しくございまして、時期によつて、例えば半年も違えば異常な相違を示すというのが通常であつたようでございます。このような事態に対処いたしまして、現地通貨の円との比較をどういうふうにするかというためには、先ずいつの時期の価値をとらえるかということが方法論的に問題になつて来るわけであります。これに対しまして、委員会結論といたしましては、結局借入件数の最も多かつた時期ということが最も公平に近いであろうということになりまして、先ほど申上げました借入の最盛時における現地通貨価値というものと、その当時における円とを結び付ける、そういうことになつたのであります。それから大きく先ほど地域を分けましたが、同じ満州国でも、例えば錦州と奉天長春と吉林、或いは更に北のほうに行つてチチハルという所では、いわゆる通貨価値というものは平時にありましても或る程度変動はあるものでありますが、こういう非常時に際してはなかなか変動があつたものと予想されるのであります。併しながら同じ地域におきましては、満州中央銀行券について錦州における価値幾ら奉天における価値幾らというふうなレートをきめることは煩に堪えませんし技術的にも殆んど不可能であります。従いまして比較する場合には大体その地区の代表的の都市というものを一つ原則としてとる。ただ満州につきましては奉火と長春と新京とをとる。そういうようなことはいたしましたが、原則としては例えば中支につきましては上海北支につきましては北京というものと東京との比較をいたしたのであります。  次に問題になりますのはその比較基準でございますが、普通の場合でもいわゆる購買力平価というものはなかなか算定がむずかしいことは御承知通りでありますが、この非常時にありましては頼るべき卸売物価指数、或いは生活費指数、そういうような指数は完璧なものは殆んど見つかりません。地域によつては断片的にあるものもございましたけれども、原則としては平時状態にあつてすらむずかしい購買力比較をやるということはなかなか困難であるということは委員皆さんがお認めになつてつたのでありますが、結局これらの借入金が引揚の経費として使われます場合に、主たる用途は何と申しましても食糧品である。食糧品価値基準にとるということについては経済学一般法則といたしましてそれほど無理なことではないと存じます。それで結論といたしまして各地区に妥当するものとして米の値段をとろう、米の値段できめようということに意見が一致したわけでございます。これは生産地もありますし、消費地もありますし、成る地域にはブロックされている地域もありますので、不公平ではないか、理論的に妥当でないのではないかという議論も勿論ございましたが、結局それ以外に余り頼るべきものもないということで、米の値段できめて行こう、そうして他のいろんな係数はこれに対する補助的な要素として勘案して行こう、そういうことになつたわけであります。それで米の値段をとります場合に先ず第一に問題になりますのは、では東京の米の値段というものは一体何でとるのかという問題であります。現地自由価格下であるということは大体各地域に共通でありますが、東京は米の統制をやつておりまして、公定価格での配給というものをやつておりましたために、配給の米ということ、たけで価値比較をいたすことといたしますと、円の購買力が、余りにも強く表示されてしまう。現に或る筋によりますと、昭和二十二年になつてもなお東京市民のいわゆる自由市場で求める米というものと、配給によるものとの割合は、二十二年でありましてもなお約五割五分を公定あとの四割五分は自由価格、そういうもので苦労して求めておられたような実情のようでありますので、そこに何らか自由価格公定価格との間の調整をしなければいけないということで、それを類推いたしまして、二十一年の例えば最盛期がそれぞれ違つておりますが、朝鮮満州につきましては、二十一年六月が旧最盛期になりますし、華北華中におきましては、大体三十一年三月、三月というのがピークになつておりますので、その頃の東京では一体米公定価格と闇とでどのような比較であつたろうかということを推定いたしまして、公定配給を受けるものは全体の四で残りの六は何らかの方法によつて調達しておつたという推定をいたしました。ウエイトを公定四、自由価格六というような形で円の価値を不当に高く評価するようなことがないように配慮をいたしたのであります。それから各地区について申上げますと、資料がなかなか不備であることは全体について言えることでありますが、華北における米の値段或いはその他の一般物価というものは、連銀券表示資料がございます。従いまして直接連銀券との購買力比較をいたしまして、法幣に対しては国民政府がきめました一対五というので裁定いたしまして、法幣値段をきめたわけであります。それから中南支につきましては、法幣建のものの値段しか資料がなかつたのであります。従いまして先ず法幣と円との購買力比較をいたしまして、それに儲備券を出す場合には、政府が作りました一対二〇〇というオフイシアルのレートを適用したわけであります。このことは現に現地借入が行われました際に、法幣で提供した人も北支で一対五の割合連銀券で提供したような表示になつておりますし、中支においては法幣で提供したかたも、儲備券表示の場合には一対二〇〇で換算してあるという実情も考えまして、華北における一対五、華中華南における一対二〇〇という数字をとることは実情に即しておつたことと思います。併しながら今申上げましたように、華北においては先ず連銀券から法幣をとり、華中華南におきましては法幣から儲備券をとりましたために、同じ法幣につきまして価値差等ができて来たのであります。これにつきましては、地域を分けたことで一応別とは申しましても、同じ法幣違つているではないかという議論があると思いますが、これに対する考え方といたしましては、お米をとりましたことで、一つ華中華北とは、華北は御承知のように食糧はお米などは中支から入れております関係もありまして幾らか高いということはいたし方ない問題であろうということが一つと、それから専門委員お話によりますと、又委員お話に上りますと、中支における一対二〇〇という儲備券に対するオフイシァルのレート交換比率はどちらかと言えば懲罰的な意図がひどくあつた由であります。それに対しまして、不評判であつたために華北においては連銀券に対して相当好意的な比率をきめた。従いまして連銀券儲備券比較いたしますと、五対二〇〇、即ち一対四〇というケースは余りにも連銀券によ過ぎると申しますか、儲備券にひど過ぎると申しますか、そういう華中華北の振合の関係というものがある由でございまして、ここに出ております程度割合ならば、まあまあというところの御意見がございまして、恰好は同じ法幣でもレートが違うておりますけれども、地域が違うということで一応我慢して頂き、而も実際問題としては、それぞれの地区でそのレート扱つて法幣連銀券並びに儲備券換算をやつているという実状にも即するというようなことから、こういう答申なつたわけであります。それで関金券法幣との関係は、これは政府のきめました二〇対一というレートをそれぞれの地域別法幣から裁定したわけであります。海南島だけが終戦後十一月くらいまで軍票が流通しておつた由であります。従いまして海南島につきましては、軍票レートを作らなければいけないことになりまして、このようなレート表示されております。ピアストルバートにつきましては、終戦直後米ドルなどとの為替比率もありましたし、借入が大体終戦直後行われましたものが多うございます。為替相場自主性を勘案してその程度が最も妥当であり、当時の人たちの用にも合うということで、タイとビルマのピアストルバートパーできめられております。 それで更に審議会答申は、この問題につきまして次のようなことを申しておるのであります。而して評価の一方法として借入金表示する現地通貨(現在流通していないものについては、通貨改革変遷を辿つて、現在流通している現地通貨表示換算する)その現地通貨の弁済時の為替相場によつて本邦通貨換算する方法が考えられる。現在通貨がないものにつきましては、ずつと通貨交換の跡を辿つて現在の円との為替相場を考えてきめるという方法もある。併しその方法評価方法としては、より合理的な方法ではあるが、実行上の問題として、現在流通していない現地通貨を現在流通している現地通貨換算した場合、極めて不合理な結果となり、実情に合わないので、これらの現在流通していないものと現在流通しているものとの衡平のためにもこの評価方法をとらず、実際に借入れた最盛時における米価比較による方法によることを原則とした。と申しますのは、一応考え方といたしまして、現地通貨表示借入を行なつておりますので、外国通貨借入ということが一応考えられるわけであります。いわゆる借入ということに対しては、問題は法理論的にはございますが、一応現地通貨による借入ということに考えまして、その借入表示通貨を現在返すとすれば幾らの円を提供すべきであるか、為替はどうであつたかということを考えた場合に、例えば儲備券から法幣に変り、法幣から金円券に変り、金円券から更に現在の何と申しますか、毛政権の下の通貨に変つて来た、そういうような通貨変遷を辿りまして現在払えばどうなるかといつた計算でいいと思います。ところがこの政治的な一対二〇〇だとか、一対一五だとか、或いは又今度は鮮銀券人民券に変える場合のレートだとか、そういつたようないわゆる政権が変ることによる政治的なレートということも作用したのもありましようし、或いはそれ本来のインフレーションもありましようし、現在のいわゆるカレント・レートで結び付けますと、ひどく非常識なレートと申しますか、ものになつたわけであります。例えば儲備券で百億元以上の借入があるにもかかわらず、現在の円にこれを直しますと、千何百円にしかならないと、そういうような余りにも非常識な結果が出て参りますので、この方法はとらないということになつたわけであります。  それからこの問題が一番諮問の重要なポイントになりますので、これに対しましては委員会からこのような少数意見があつたことを附記されております。その第一は、朝鮮地区における日本銀行券現地通貨として取扱い本邦通貨差等を設けることには賛成しがたい。なお朝鮮銀行券評価基哨については、南鮮占領軍によつて設けれらた米ドル軍票鮮銀券との交換率同一時期における日本円と米ドル軍票との交換比率から裁定して一対一とすることを希望する。それから満州地区については、米価基準とすることなく、主食基準とする評価基準によることを希望する。こういうような少数意見があつたのでありますが、改正意見としてはここに表示されましたような形で一応落着いたわけであります。それで朝鮮地区における日本銀行券の問題は、委員会の多数の考え方といたしましては、終戦直後経済的な関係が切断されまして、いわゆる独立した経済圏なつた。そうして現地でバーで流通しておりました日本銀行券鮮銀券とはお互いに代替関係にある。従つて隔離されました日本銀行券鮮銀券とはパー関係にあるが、日銀券とは通貨価値においては違う形において存在するものである。言わば現地通貨であるというような結論というような結論に多数意見ではなつたわけであります。それから朝鮮銀行券につきましては、これは政治的にも独立地域でございまして、本来終戦まで日本の領土であり、それで条約が批准されるまではその政治的な立場は勿論明確にならないわけでありますが、一応事実の問題としては、曾つて日本のものであつたものが日本の手から離れているというような関係にございますし、特に中国などと違つて、今まで朝鮮銀行券日銀券とはパーであつたということを一番強く主張されておりまして、その一つの論拠としては、終戦後も米軍軍票を出す場合の、米軍内部交換比率に過ぎませんけれども、その比率から考えてやつぱりパーがよくないかというような意見が出たのであります。これはこの比率そのものがだた米軍内部比率であつて、いわゆる当時の朝鮮銀行券価値を表明するものではないという理由で、これも多数はこの案に賛成なさらなかつたわけであります。それから満州地区につきましては主食によることを希望するということは、これ米を全部各地区ごとにとつたという関係で、満州地区でも米をとつた場合と、それから高梁その他のことを勘案した場合、それは主食基準とする評価基準というのは高梁その他を勘案すると、それによることを希望するということを言つております。これについては理論的に考えまして、同じ一キロのものを食べる場合に、米を食つた場合と高菜を主として食つた場合に、勿論主食による評価基準の場合には、単純にこれは米ばかりでなくて、米の割合、甘藷の割合小麦粉割合というものを勘案したものと高梁とを比べたわけではございますが、そういう異質的なもので比べて、而も生活水準が例えば高梁を食うのと小麦粉、米、藷を食うのとではそこにおのずから差もあると思いまするので、やはり米で統一するということのほうが比較の場合よかろうと、勿論細かいモデイフイケーションのことを言つておりますと切りのないものでございますので、これも多数説はこれで我慢してもらおうということで、米価基準にすることに満州地区なつたわけであります。  諮問事項の第三は、各同一現地通貨について各地の地域差を設けることが妥当かどうかについて。これはすでに御説明申上げたこととダブるのでありますが、答申はこういうように出ております。実行上の問題として、同一通貨については原則として地域差を設ける必要を認めない。但し、鮮銀券、満銀券、及びソ連軍票については、例外的に、同一現地通貨であつても、朝鮮満州及び関東州の地域ごと差等を設けることとし、同一地域においては互いに等価とするものとする。これは先ほど御説明申上げた趣旨によるものであります。  それから諮問事項の第四は、次のような諮問でございます。各同一現地通貨の時期による価値の差について。それも先ほど申上げましたが、答申は、実行上の問題として、同一現地通貨については原則として借入の最盛時一本とし、時期による差を設けないものとする。但し満州においては、借入金が長期に亘り、この間の物価変動余りにも著しく、又関東州においては借入の行われた期間に急激な物価変動があつたので、提供者間の公平を保つために、右の二地域における現地通貨については左の期間区分して評価基準を定めることが妥当と思われる。なお関東州の時期区分については、昭和二十年十二月三十一日によつて区分することについては少数の異論があつたということによりまして、ここに表示されておりますように、別表満州関東州につきましてだけは、借入金提供時期というところにそれぞれ二つに時期が区分してございます。この趣旨は、この借入件数をグラフで書いて見ますと、満州につきましては、先ほども申上げましたように、時期が昭和二十年の九月から昭和二十三年の七月まででありまして、最初の山が二十一年の六月に来ております。ずつと七月、八月、九月と下つて行きまして、二十一年の一月に十一件、二月に三十一件、三月零というところで谷底まで来ております。それで四月から八十七件、二百二十五件、百四十三件、九百五十件というような形で、二十二年の七月に又ピークがちよつとありましてあとはずつと減つております。それで二十三年七月の七件というものを以て最終になつておるわけであります。ところがこの二つの山がございます場合に、二つのレートをどこで切るかということは、理論的にも技術的にも甚だ困難な問題でございます。それでできるだけ現地の人に有利であるためには、ピークの谷間までは前のほうにくつつけるということのほうが最も公平ではなかろうかという意見になりまして、二十二年の三月に谷間があつて而もそこが零であるというところをとりまして、ここに書いてあるような区分になされたわけであります。従いまして、この二十一年六月ではじき出されました交換比率がその年の十二月になりますと、本当はずつと変つてもよいはずなのであります。ところがそれは同一通貨で、例えばそれでは七月で切るか八月で切るかということになりますと、八月と九月との人の差が次のピークの人の差ほどあるかというと、それはなかなか困難であります。どうしても事実上借入が或るところで途絶えたというところまでは前のほうにくつつけるということのほうが実際的であろうということで、このような時期区分満州についてなされたわけであります。朝鮮につきましては殆んど一つのピークで、四月から八月までにピークがございますので、その中間をとりまして朝鮮はできております。これには問題がございませんが、問題は関東州であります。関東州につきましては、借入の行われました時期と申しますと、先ず九月の末頃になりまして約六十四口三百五十万円程度の大連日本人奉仕団というものの借入が十一月まであることになつております。これはそのあと杜絶えまして、十二月と一月は借入金がございませんで、二月から大連の日本人労働組合とそれから関東州庁とで借入が始つております。でそれぞれの金額を申しますと、労働組合の金額は九百二十五万円であり、関東州庁の金額は七百三十四万円でございます。ところが労働組合の借入はその翌年の二月から五月まで続いておりますが、関東州庁の借入は二月からその翌年の二月まで一年間続いております。その間に六月になりまして、大連の戦時食糧協議会というところの千三百九十万円の借入、そのうち世話人会が四百七十万円程度、口数にいたしまして五百九十口というものが六月に大連では現われておりまして十月に終つております。  次に住宅調整協議会というものが七月から借入を始めまして、百三十八万円程度借入金を十月まで行なつております。それから大連日本人引揚対策協議会というものの借入金がこの大連では最も多い借入金でありまして、六千二百五十九万円の借入金がございますが、それはそのうちの約四千万円程度、三千六百三十二口の借入金は八月から始つていると言われております。併し借入の口数の最も多かつたのは十月乃至十一月、そういうことであります。それから更にこれはまだ確認されておりませんが、申出のありましたものにつきましては、大連市の建設工事日僑引受委員会というものの三千万円というものがございます。併しこの金額が借入金として認定されるかどうかにつきましては現在のところ不明であります。従いましてこの三千万円を抜きにして考えましても、大体大連の借入の最盛時は口数から言いましても金額から言いましても、二十一年の十月から十一月にかけてということになります。従いまして大連につきましては、先ず先ほど御説明申上げましたプンリシプルから申上げますと、ピークはこの十月から十一月までにピークの大きなものが一つあるというだけで、前のほうは実は小山みたいな形になつている、そういうことになつている。それで主たる作業は、この十月、十一月の価値比較ということに集注されたわけでありまして、これが同じ大連と満州は陸続きでありながら、満州との比較が余りにひどいという一つの原因になりましたのは、こういう最盛時の違い、約半年違つております。この間の最盛時の違いということが主たる原因でございます。その次に違います原因は、ソ連軍隊によりまして完璧な封鎖を受けましたために、大連市に多数の日本人が集まつておりましたにもかかわらず、その主要食糧については不足を来たした、従つて主要食糧は他の価格に比較して上つていた。その点は原則的には認めなければならないのではないかと思います。それで満州との差はそこにも出て来たということは言えるだろうと思いますが、その資金の使途が主として主要食糧の供給にありました以上、それでとるということは理論的にはそれほど誤りであるということは勿論言えない問題でありまして、全体の価値比較の統一から見ましても主食比較し、これは高梁も米もとつておりましたが、米のほうがより有利でありますので、それをとつて、この時期は別表にありますような十という形になつたのであります。それで委員会といたしましては諮問事項第五で、通貨別、地域別、時期別の円評価基準についてという諮問に対しましては、ここに書いてある、別表に附いてございます地域別通貨別の答申案が出まして、それをそつくりそのままこの法律案に取入れられている次第でございます。  最後に委員会といたされましては、希望事項を申述べておられます。それは、以上の通り現地通貨を大邦通貨評価するに当りましては、現地における借入盛時評価の時期とした関係もあるので、実際の支払に関する法律の制定の際は、当時の本邦通貨価値支払時におけるその価値変動を考慮して支払金額の決定については借入金提供者の利益のために何らかの斟酌がなされることが望ましい。即ち返済が遅延したことについては少くとも法定利息の程度の割増を加算して返済することを希望するというような希望条項項を付けております。  御承知のようにこの審議会は飽くまででも政治的考慮なくして純経済的な立場から現地通貨本邦通貨を結びつける適正なレートを考えるという建前なつておりますので、例えば中支が二民十一年の二月、三月、それから満州が二十一年六月というようなときの円との結びつきを考えましたときに、その当時の円で借りたものと考えて見ますと、それから数年間たつておる。それでその数年間の支払遅延について何らかの斟酌が望ましいというのがその希望事項の趣旨であります。これに対しまして大蔵大臣としての提案では、三割の加算をするということでこの法律案の第四条に、「金額に換算した金額の百分の百三十に相当する金額」というもので、この要望には三割の割増ということで応えたのでございます。でこの三割と申しますのは、大体の考え方といたしましては終戦後六年、一年間の利息、法定利息五分と考えますと三割になりますが、大体そういつた肚積りでの数字でございます。別に利息というわけではございません、と申しますのは、二十一年の後半期に借入れをなさつたかたはやつぱり三十もらえますし、初めにお借りなさつたかたも三十もらえるということで利息ということではございませんが、考え方としてはその心組みで三割の加算をするということになつたわけでございます。で返済準備に関する法律では御承知通り第二条に、他の国民負担の公平を勘案して、ということがございまして、それの趣旨がここに書いてあります。一人について五万円で打切る、打切りと申しますか、五万円というふうに提案にあります趣旨はそのようなものでございます。御承知のように性質としてはこの公館借入金というものは他の在外財産の補償、或いは他の戦災関係の補償とは性質的には違うということは勿論私たちもさように考えておりますが、実際問題といたしましては他の補償事項が未解決であります。現在の国民負担の公平を考えますと、この程度が妥当であろうという政治的な判断で五万円とされたものと私たちは心得ております。で実際問題といたしまして、この表面に五万円と切られましたので表面上はひどく乱暴のように見えますが、実際問題といたしまして、現在ではどれくらいになりますかということを御参考までに申上げたいと存じます。  大体今度の補正予算に組まれます予算額は、私たちの承知いたしておりますところでは八億乃至八億二、三千万円程度になりはしないかと思いますが、その中に五万円までの借入金の金額は六億八千四百万円でございます。件数にいたしまして十三万五百四件という計算になつております。で総件数はどれだけかと申しますと十三万二千八百二件という計算が出て来ております。で殆んど大部分の人たちはこの三割を加算いたしまして、なお五万円以下である。従つて五万円で打切られるかたたちというものは、二千二百九十八件、約二千三百件に過ぎないということになるわけであります。それでこの十三万二千八百二件という件数は御承知のように確認が済んだ件数ではございません。確認はまだ正確な数字は手許にございませんが、約六万件程度済んでおります。もう少し済んでいたかと思いますが、そうしまして本年度中に大体確認が済みます件数の予想は全体で十一万程度、約二万程度は来年度に持越されるのじやなかろうかというような情勢でございます。この点につきましてはいずれ外務省のほうからお話があると思いますが、大体幾らかは相当馬力をかけましても残るであろうということになつております。併し予算といたしましては、この金額が確認されてもそれに間に合うような予算を一応要求してございます。恐らく予算原案としてはその要求が容れられるものと我々は考えております。  以上のような次第で、我々といたしましては評価審議会答申案に基づいて、それに三割を加算し、五万円を最高限度とするというような方法でこの法律案骨子を今度正式に提案されるわけでありますが、先国会では審議未了になりましたので、今度又改めて提案されるわけでありますが、その際に一つ問題と申しますか、一人当り五万円と切られましたために、何人もが一緒になつて一人の名前で確認書を請求している場合にどうなるかということが問題になつて来るわけであります。この点につきましては、この法律案では確認書を一件についてそれを名寄せをいたしましても、一人当り五万円ということになつておりますので、確認書が違う人の名前で確認ができる限りにおきましては、それを分解して各人の本当の権利者の名前で確認書が出る限りにおいては当然に払われるのであります。ここに十三万二千八百件と申しました件数が、その場合には一件として計算されておりますので、全体の金額では変りはありませんが、それが細かく分解されてこの二千二百九十八件という五万円を超える部分が幾らか又五万円以下のものに加わつて来るということは予想されるのでありますが、予算の点からはそれほどの大きな不足は来たさないであろうという予想であります。それでもし万一それによつて不足を来たすような場合は当然法律的の権利がございますので、予算措置はしなければならないのじやないかと私どもは考える次第であります。  以上でかなり長くなりましたが概況の説明を終ります。
  5. 紅露みつ

    理事紅露みつ君) 外債課長から大変詳細な御説明がございましたが、この問題は当委員会が初めからこれは審議して参りました問題でございまして、従つて第十国会におきましては、これが案が大体固まりかけたらば当委員会に連絡をとつてもらう、そうして委員会としてのこれまでの交渉経過から、委員会としての意見をその際に容れてもらうこともあると、こういうようなお約束を実はしてあつたはずでございます。御承知のかたもあると思いますが、ところがこういうふうに固まつて参りましてそうしてまあ第十一国会におきましては、先ほど伺つたものでございますけれども、衆議院のほうの引揚委員会からは連絡があつたので出て御説明なさつたということでございまするけれども、当委員会のほうにはそういう機会がなかつたといいますか、当然これは固まる前には御連絡が頂けるものと私どもは存じておりました。ところがこういうふうに固まつてしまつたということにつきましては、委員会としては非常に不満を持つているわけです。そうして委員の皆様がたのお手許にはその陳情が来ておると思いますが、引揚げております債権者と申しますか、かたがたが非常に不満を以て迎えられております。もう怨嗟の的、そういうような感じがいたします。表面五万円で切るというようなことで、大してそれは冷酷じやないというような御説明でありますけれども、当事者にとつてみるとこれは非常に冷酷な扱いだ、これを頼りにして来たので、これを考えて借財をしておるところもあるというような工合で、地方新聞なんかでは、私の選挙区なんかでは百万長者がざらにできるというようなことさえも言うて非常に喜んでおつた。それはちよつとひどいと思いますが、幾分の割引をされましても、こういうひどい結果になるというようなことは思つておらなかつたらしい。非常な幻滅を感じて、そうして毎日のように陳情が各委員のかたがたにもあると思いますが、而もこの問題はこれは大蔵省に廻るという法案なんでございますので、これまでの審議経過についても大蔵委員会のほうでは御承知もないでしようし、関心も従つて薄いのじやないかということを私どもは非常に危惧する。ですから、委員会としては又あとで懇談を申上げ、当委員会の態度ですね、これからの行動についてお打合せを申上げたいと存じますけれども、今御説明になりました時期のとり方とか、米価基準についてとかいうことについてもいろいろ委員の皆様にも御意見があると思いますが、時間もいろいろ委員のかたがたの御都合もありまして長くできないと思いますので、どうか一つ御質問をなさつて頂きたいと思います。
  6. 安井謙

    ○安井謙君 今委員長のお話、いろいろ委員会として根本的に考えなきやいかぬ問題があると思いますが、私技術的な点だけ一、二ちよつとお伺いいたします。この日本銀行券満州関東州にはレートに載つていないのはどういうわけですか、それを一つ……。
  7. 上田克郎

    説明員上田克郎君) 満州関東州には日本銀行券借入が現実にありましたかどうか、その点私詳らかにいたさないのでありますが、日本銀行券がここに表示されておりまする趣旨は、法定通貨としてそのときまでに合法的に流通しておつた地域だけについて日本銀行券現地通貨と見なす、例えば中国や特に華中、それから華北、そういうようなところで日本銀行券が当初使われましたその残存部分があつたとは思われますが、そのようなものは法的にも許されなかつたものでございますし、且つ又流通通貨としての一般性というものはなかつたものと思われますので、それはただ現地に残置された財産である、いわゆる借入金としての機能は果さないものである、そういう考え方がありまして、朝鮮日本銀行券だけがここに現地通貨として載せられた次第でございます。
  8. 安井謙

    ○安井謙君 相当流通しておりましたが、同じ関東州で日本銀行券が当時終戦後…。だからこれは全然抜きにするのは実際上はおかしいのじやないかと思うのですが、これはもう一度御調査願いたいと思います。これは素人のあれなんですが、これを見ますと、例えば朝鮮銀行券の当時一円五十銭が日本券で言う一円に当るという表示なんですね。
  9. 上田克郎

    説明員上田克郎君) さようでございます。
  10. 安井謙

    ○安井謙君 一円五十銭、そうすると、時期はその当時のレートとして上げられておるわけですね。
  11. 上田克郎

    説明員上田克郎君) さようでございます。
  12. 安井謙

    ○安井謙君 それから今日までの値上りその他については、金利のようなものを加算して三割を……。
  13. 上田克郎

    説明員上田克郎君) さようでございます。
  14. 安井謙

    ○安井謙君 当時の日本の円価から今日までのインフレの率と言いますか、これは三割や五割のものじやないのです。その三割という割増についても相当疑義があるのじやないかと思うのですが。
  15. 上田克郎

    説明員上田克郎君) 円価値の下落そのものを見るか見ないかという問題は、これはかなり重要な問題でございまして、円表示債権が、現在でも例えば昔の預金だとか、国債だとかというようなものがございますが、これに対しましても、その価値変動は見ておりません。御承知のように、それに若し円価値変動、そういうようなものを勘案するというような考え方でございますと、すべての円表示の債権債務についてそれを調整するような法律が出て初めて考えられる考え方だと思います。ここでは一応例えば国債にも金利が付いておつたという程度で置こう、こういうふうに考えたわけでございます。
  16. 安井謙

    ○安井謙君 もう一つ伺いたい。例えば満州満州中央銀行券の二十二年三月末と四月以降の差は余りにも大きいのですが。
  17. 上田克郎

    説明員上田克郎君) この点は先ほど御説明申上げましたように、最盛時をとるということにいたしますと、このグラフを書きましてずつと山ができます。件数が例えば或る時期だけにぽんと借入が行われますと割にいい。ところが件数のグラフをとりますと、ずつと山になつてずつと下つている。どこで切るか、山のところだけで切るというと、これは不公平です。前の日と明くる日でひどく違う。それで谷間のところで切つた。ですから満州で二十一年六月が一番山になつております。それからずつと減つて参りまして、翌年の三月で零になつております。それから又少し上り出すということになつております。ただこれは専門員のお話でもありますが、大体最初のピークで一応の本来の借入というものは終つたのだ、あとはまあ好意的と申しますか、何かそういうようなことで、それで初めの考え方では二十一年末頃まででもやつてくれればというお話でございましたけれども、途中で切るわけに参りませんので、延したような恰好になつております。
  18. 安井謙

    ○安井謙君 意味はよくわかりました。
  19. 内村清次

    ○内村清次君 これはもう確かに先ほど紅露さんからおつしやいましたような状態でございまして、ただ先ほどの説明の中に五万円を超える件数が二千二百九十八件、この二千二百九十八件の中に、現在の支払といたしまして一番大きい金額は、これは大体どれくらいになるか、この点が第一点です。それから第二点は、先ほどの御質問のありましたように、貨幣価値変動率を、説明者は何も法律的にはつきりしておらないからして、ただ利子だけを付けてこの換算率を決定したというようなお話ですが、これは非常に重要なことでありまして、無論これを公館に貸付けたかたがたは、当時の貨幣率からいたしまして、これは相当貴重な貨幣を貸付けたわけですから、現在の換算率はすでに日本銀行の換算もありますし、市場の換算も統計としては現われておる問題でありますから、これをどうして一つも見なかつたかということは、これはやはり私たちが今後そういう審査委員会のかたがたに対しまする大きな質問事項であろうと思うのであります。又政府もこれを一つもお考えにならなかつたということは、これは受くる人のためにもその原因をやはりはつきりと突きとめておかんと、私たちは相済まないと思いますが、その二点にきまして先ずお話を願いたい。
  20. 上田克郎

    説明員上田克郎君) 第一点につきましては、最高どれくらいになるかという点は、今までわかりましたところでは、最高七十万円見当であると大体思つております。併しこれも極く稀でありまして、一応五十万円程度が二、三件あつたように思います。これは或いはあとで調べまして、詳しく御報告を申上げたいと思います。大体の見当といたしましては、その程度であります。これは併し先ほど申上げましたように、何人でもが一緒になりまして、一件として出ておるものであるかも知れません。その点がまだはつきりいたしません。それから第二点でございますが、これは先ほども申上げましたように、確かに御疑問なさる点は心理的には私も同情いたすのでありますが、法律的に考えますと、そのときに円価表示の債権を日本政府が借りたというふうに考えますと、ここで若しその際にいわゆる物価指数をかけて現在の価値に引伸ばしますというようなことをいたしたといたしますと、単にこの問題に限らず、すべての日本の経済関係というものについて、その考慮をしてやらなければならないという問題が附随的に起つて来るだろう、その点が大きな問題ではなかろうかと存じます。
  21. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 今の第一点に関連してですが、第一点の問題ですが、つまり最高七十万円は一人か二人かあつたものと思う、五十万円が二、三人あつたかと思う、こういうお話ですが、これは二千三百件か幾らかですが、平均したら一体どのくらい切られたかといういことですね。これは全体の総数から言つて十三万の中で二千何件ということになりますが、切られた本人から言うと、一体どのくらい切られるかということは、本人にとつて非常に大きな利害関係があると思います。そういうようなこともこの次お話を願いたいと思います。今わかつておれば今でも……。
  22. 上田克郎

    説明員上田克郎君) 大体お話しできると思います。二千二百九十八件のかたたちの邦貨に換算いたしました金は、一億一千四百九十万円という一応の数字が出ております。従いまして一人当りの平均、件数当りの平均は約五十万円ぐらいになりしようか。
  23. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 そうすると、それが十分の一というわけですね。
  24. 上田克郎

    説明員上田克郎君) さようでございます。今のは五十万円でなく五万円でございました。
  25. 内村清次

    ○内村清次君 先ほどの課長の言われる円換算のこの換算率ですね。この率を見なかつたということは、これは政府のほうが突張つて見なかつたのか、審議会自体にはそういうような声は一つもなかつたかどうか。
  26. 上田克郎

    説明員上田克郎君) 審議会には勿論ございました。それで三割と言わず、六割でも、七割でも、或いはその物価指数でも見てくれんかというような御意見は勿論ございましたが、併しまじめな審議会答申としてそれを勘案ずべきであるというような考えは出ておりません。ただ気持として同情に値するから大いに考えてやつて欲しい。昔にもらつてつたらこうなつたであろうということもよく考えて欲しいという議論は勿論出ました。
  27. 紅露みつ

    理事紅露みつ君) 委員会としては、その審議委員そのものの人選についても相当強い要望を申上げてあつたはずなんです。ですから引揚者のこの債権者である人たちも、相当信頼できる人たちが選ばれておるのかと思つておりました。ところがさつぱりこの債権者である人たちはその人たちを信用しておらない。そうして我々の意向はさつぱり地区的にも聞かれちやいないのだ、ほかの補償と国家の総合的なほかの問題にも関係して来るというお話ですが、これはその都度申上げる通り借上金ですからね。貸した金ですからね。そういう観念は引揚げたこの債権者である人たちの頭には強くあるのですよ。ですから借金を踏み倒していいということを政府が範を示すならば我々もそういうふうで行つていいかという極論さえも持つて陳情に来ていますのですよ。ですから、これはその地区地区の少くとも代表的な人の意見を聞くということは、それだけの親切はあつてもよかつたと思うし、その審議委員という人たちを、なぜもつと皆が信頼しておる人を選ばなかつたかと私どもは思うのですね。それからもう一つ、五万円で切るというようなことを一方的にきめてしまつてですよ。一方的にきまつてしまつて、そうしてどうせ引揚の委員会にはかかるのじやないから、だからこんなものは見せないでおいて、そうして固めてしまつて、何か少々ぐらい言つたところで、付託されるのは大蔵委員会だというような、そういう態度のように見えるのですね。だから陳情の人たちの言うことも私どもは本当に尤もだと思うことがたくさんあるのですね。これはもう見せないでおいてですよ。見せるはずだつたでしよう、これは……。固める前に……。
  28. 上田克郎

    説明員上田克郎君) ちよつとその点で弁明させて頂きたいと思います。速記を一つとめて頂きたいのですが。
  29. 紅露みつ

    理事紅露みつ君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  30. 紅露みつ

    理事紅露みつ君) 速記を始めて下さい。  お米を基準にして、米価基準にしたなんて言いますけれども、この大連あたりの人の話を聞きますと、お米なんかは殆んど食べていなかつたというのです。高くてそんなものは食べられないのだ、我々の品に殆んど入つていないのだ、そういうものを基準にしてですよ、そうして計算するものだから、えらいことになつてそれが実際と離れてしまうことになるのですね。それからその五万円ですね。五万円というのはどういうことからその五万円というものが出て来たのですか。打切りの五万円というのは何を基準にしてそういうものをきめられたのですか。
  31. 上田克郎

    説明員上田克郎君) 関東地区のお米を食べなかつたのに、お米の値段は怪しからんとおつしやる問題につきましては、実は主要食糧はお米、まあ高梁が主要食糧であつたようでございますが、高梁につれてお米も大体殆んどスライディング・スケールみたいにして、一緒に変動しておりますので、形としてはお米をとりましても、主食でとつたのと大部分は殆んど変つておりません。でございますから、米を食わないのに米のレートをとつたというのは、ちよつと食つたものでやらなきやおかしいじやないかということになりますけれども、一応基準として各地区で米でとつた場合に、高梁でとらないで、米でとつても不公平には事実上なつていないのが関東州の実情でございます。それから五万円の金額の算定でございますが、これは打切るというような場合の、何と申しますか、例えば戦時補償の打切りが、返金、価額が一万五千円だつたかと記憶しておりますが、あとは十万円まで封鎖ということもありましたし、或いは一件一万円ということもございましたし、戦時非常措置でいろいろやられましたことなど勘案いたしまして、この程度ということがきめられたのでありまして、計算上こうなつたというような数字ではございません。
  32. 紅露みつ

    理事紅露みつ君) 戦時補償の打切りというと、あの火災保険ですね、あれなんか五万円でしよう。
  33. 上田克郎

    説明員上田克郎君) あとは封鎖になつております。
  34. 紅露みつ

    理事紅露みつ君) 併し五万円というのはやつたんですね。そこから割出して、それを基礎にしたということ自体がおかしいのですよ。今度のことは借りですよ。政府の借りですよ。借金ですよ。だからどうしてそれではそれと同じように扱われるか、どうもそれは私わからんと思うのですね。
  35. 上田克郎

    説明員上田克郎君) この確かにおつしやるようなケースが相当あると思います。本当に借金であるということが、これは併し法律的に申しますと、借金の追認というような法律的な性格を持つものだと思います。と申しますのは、いわゆる議会の承認を得た権限のある人が借金をしたのではなく、将来議会でああいうようなきめ方をして返してもらうように努力するという形で借金をしておるのです。これが国の借金となりまして、はつきり国の借金である。国の債務であるというふうに原則的に認められるといたしましたのは、例の審査会法と申しますか、外務省でやつておりますあの法律で、外務大臣が国の債務として確認するという問題が改めて法律的にできたのです。そのときのあれは飽くまでも国の債務として認められるのであつて幾らの金を幾らと仮定的な債務として認めるという、或いは払うかという問題は国の法律できめるのが、予算範囲内において法律の定めるところにおいてきめるのが、そういうような性質の債務なんです。でございますから、国が例えば国債を発行しましてそれで債務を負うというような性質とはこの性質は違つております。その点は普通の国の借金であるということは性質が違うということを一つお考え願いたいと思います。
  36. 紅露みつ

    理事紅露みつ君) 法律的には私わかりませんけれども、そういうむずかしい問題になりますと、わかりませんけれども、少なくとも金を出した人たちはこれを日本政府に貸す、又返すということを面接交渉に当つては言われておるのですから、法律によつてきめるということは、外務省が、政府が勝手に取りきめたと思うのです。いずれこれを法律化するということは、それは外務省、政府自体が言つているので、素人考えですから、法的な解釈になりますと、ちよつとわかりにくいのですが。
  37. 内村清次

    ○内村清次君 確かに公館借入金の計数というものは、大体二十万以上であつたと思いますね、そうしますと、現在十三万件で一億二、三千万円、そうすると、この金額について予想いたしまして、政府のほうでは未審理のものがありますが、大体幾らくらいの金額は完了するんだという見通しが付いておりますか。
  38. 上田克郎

    説明員上田克郎君) 実は二十数万件と申しますのは、何でもかんでも、ともかく政府に貸したと思われそうなものは全部申出て来い。そういう形で集められた計数でございます。十三万何千件と申しますのは、借入金の概念の中に、範疇の中に入りそうなものをとつたわけでございます。十三万件全部が確認されるかどうかは疑問なのです。現在まで集まりましたものについては、申請がすでに締切られておりますので、すでに集められた計数で行きますと、マキシマム八億数千万円でございます。先ほど申上げました小さな修正、例えば一件として計算したものが、実は何十人分にもわかれて、それが結局五万円以下の分として何件かになるということになりますと、多少の違いは出て参りますが、大体それだけの予算があれば、確認されるものについては全部払えるということになると思います。ただ残つておりますのは同じような性格のものでありながら、初め申込の期限が切れたために、まだ申込めないままでいるもの、それから二十数万件と、十三万余件との差額にあたるものの中で、例えば内地送金に際しての調整料の問題などが問題になるのです。このうち本年の調整料なら借入金にならない点で問題はないのですが、本質的には調整料ではなく、借入金であるとして今後確認されるものが出て来るなら、一部分プラスになることになると思います。ただそれについては殆んどそれほど大きな予算的な変動を来たすのではなかろうと大蔵省としては考えております。これは外務省とも今後緊密に連絡をいたしまして、審査状況の進捗に応じまして、或いは又お願いしなければならんことがあるかも知れませんが、現在のところでは、これで十分だろうと考えておりすす。
  39. 内村清次

    ○内村清次君 そうしますと、政府のほうでは財政的な問題を特に御考慮であろうと思うのですが、若しこの点が重点になつて、まあこうやつた無茶な値引を、まあ悪く言えば踏倒し、これをまあやられたと思うのですが、そうしますと、やはりこの法律審議いたします過程に、これは委員長のほうでも考えて頂かなければならんが、この整理される審査委員会の審査方法、それから代表のかたがたで公聴会を開くとか、証人喚問の形でやられるか、その点を一応当委員会としてはやつておかないと、将来に大きな物議があるのではないかと思いますから、一応そういう点を御考慮のほどを併せてお願いしたいと思います。
  40. 紅露みつ

    理事紅露みつ君) 御尤もです。そういう私も不安を持つておりますので、後刻その点で御相談をまとめておきたいと思います。私もこれまで審議をして参りました責任上、これは最近更に引揚者に対して、何といつてよいか、不結果に終つておりますので、責任を感じております。臨時国会に入りますと、非常に混雑して来ますので、御相談を早くまとめておきたいと思います。
  41. 上田克郎

    説明員上田克郎君) ちよつと杉山委員の御質問に対して、数字上間違えて御返答申上げましたので、訂正いたしておきます。先ほど五万円を超える件数二千二百九十八件に対する打切られる金額は幾らになるかというようなお話のときに、一億一千四百万円と申上げましたが、これはこの人たちに五万円ずつ与えた金額でございまして、間違つておりましたので訂正いたします。それで金額的には、全体が三割を加算いたしました場合の全所要額が十二億七千二百万円になりますので、それから五万円以下のかたたちの六億八千四百万円を引きまして、それを二千二百九十八で割れば、三割を加算した金額が出るということになります。これはいずれあとで又計算いたしまして、お届けをいたしたいと思います。
  42. 紅露みつ

    理事紅露みつ君) それでは資料を届けて頂きます。
  43. 森崎隆

    ○森崎隆君 公館審議会委員の構成ですね。一応結論を申上げますと、債権者の代表は一人も入つておりませんか。
  44. 上田克郎

    説明員上田克郎君) さようでございます。
  45. 森崎隆

    ○森崎隆君 即ち債務者のほうだけで委員を全部見ておるのですか。
  46. 上田克郎

    説明員上田克郎君) 債務者の代表であるとか、債権者の代表であるとかいうような形で選ばれたものじやございません。全部引揚者でございますので、それぞれまあ債権者の部類に入つておられるかたもあるはずでございます。ですから債権者の代表であるかどうかはわかりません。全部引揚者でございます。それを申上げておきます。
  47. 紅露みつ

    理事紅露みつ君) 法律的にこれが普通の借金でないという解釈によつて専門家でない私はそれほど太刀打ができないが、常識的に考えまして、金を借りたほうが、借りたほうの側だけ集まつて、そしてこれはこの辺で打切ろうじやないか、それで換算もここいらが一番支払が少ない時期だろうから、こいつを一つとろうじやないかというようなことで決定するというようなことは、もう国民の間には聞かない現象です。だからこの不満は何としたつて、もうこれを大蔵省はこの案を厳守するでしようし、又従来何にもこれに対する知識もないかたが、突然こうした非常にわかりにくい計算のその数字を示されて、それは大蔵委員ですから、そういう方面には通暁していられるでしようけれども、にわかにこういうものを出されて、そうしてこれはまあおよそこの程度のもので通るでありましようし、通るであろうことを期待しての大蔵省の行き方であろうと思われるのですが、その裏には、皆これはもう引揚者の一人々々が持つてこれから行くわけですが、これはもう非常に遺憾な状態だと私は思うのです。
  48. 森崎隆

    ○森崎隆君 それからもう一つ。さつきの質問に続いて、委員のかたは皆引揚者であるということはよくわかりましたが、併しその委員のかたがやはり債権者の立場におかれて、幾らかこの公館に貸付けた金額を持つておるのがあるのでありますか。
  49. 上田克郎

    説明員上田克郎君) その点私のほうで確認はまだしてございませんが、調査いたしまして御返答申上げます。
  50. 森崎隆

    ○森崎隆君 そういうことは是非聞きたいのです。それを聞きました上、又聞くことにします。
  51. 紅露みつ

    理事紅露みつ君) それでは申上げますが、外務省から池田室長が見えております。在外公館借上金審査室長の池田さんがお見えになつておりますので、あと確認書がどういうことになつておりますか、一応御説明伺いたいと思いますが、よろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 紅露みつ

    理事紅露みつ君) それでは外債課長御苦労様でした。  その後どういうふうに確認書が出ておりますか、簡単に一つ説明を願いたいと思います。
  53. 池田千嘉太

    説明員(池田千嘉太君) 簡単に申上げましよう。大体現在におきまして、確認書の出たものが五万七千七十六件出ております。それから確認しなかつたもの、これは証券類、郵便貯金、外国の郵便貯金でございますが、郵便貯金、そういつたもので借入金にならんだろうというので、一応出したのが、これはまあ少ないのですが、千百二十九件出しております。
  54. 紅露みつ

    理事紅露みつ君) これは駄目でね。
  55. 池田千嘉太

    説明員(池田千嘉太君) ええ、これはもう駄目なんです。それから昨日までに確認されるという、審査会のほうでよかろうといつたのがちよつと何ですが、一万五千件とお考え願つて結構です。それで合計確認の分に入るのが七万三千四百二十件ということになります。この最後の一万五千件というのは確数でないので……、そういうような数字でございます。それから今後処理を要するものとしましては、大体確認されるだろうと思うものが六万一千余件、これも概数ですが、それから確認されないだろうと思うのが四万三千ばかりあるのです。それから問題の調整料付送金小切手というのが、調べて見ましたら約二万四千件、それで総計二十幾らになりますか、二十万二千件ばかりになりますが、ほぼそんなものであります。それで確認審査事務の数字はそれだけであります。審査事務のほうでは、今職員も百名以上になつておりまして、一番馬力をかけております。委員会のほうも従来通り毎週一回程度を開きまして、促進しておりますと同時に、別に満州中国朝鮮というように地域的に分科会的なものを作りまして、残つておりまする非常に調査を要するものにはどんどん整理を進めておりますから、大体先ほど外債課長が言われましたように、確認すべきものが来年度にも少し残るだろうと言われました通り、来年は幾らか残りますけれども、請求されたおかたがたが、自分らは認められるだろうとお思いになつておるのが十二月頃と予想しております。次の確認書がはつきりできて、おおよそ処理が付く、それでその次に、以下に残るものは領収書が付いていなかつたり、或いはいろいろに請求書に欠陥のあるものは残るのじやないかと、そう考えております。審査会としては支払返済のほうがどんどん進行して行くのに応じまして、一つ最善を尽したいと思つております。大体現在の状況はそんなものであります。
  56. 内村清次

    ○内村清次君 そうすると、来年度は全部完了しますか。
  57. 池田千嘉太

    説明員(池田千嘉太君) 勿論来年度は完了します。
  58. 紅露みつ

    理事紅露みつ君) 調整料付の送金小切手というのは、これはどういうふうにしていらつしやいますか。
  59. 池田千嘉太

    説明員(池田千嘉太君) これは只今ほぼ整理が終りまして、今月中ぐらいに審査会としての結論を出したいと思つております。で、最近来週ぐらいに上海、徐州その他関係地区の取扱者、関係者に来て頂いて一つ実際の実情を十分聞きまして、委員たちの判断の資料にしたいという段取りを立てております。ここ一月ぐらいで何とか結論が出るのじやないかと思つております。
  60. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 遅刻して参りましたので、ダブると、ダブつた一つダブつたとおつしやつて頂かないと……。これは未確認のを非常なスピードでやつて結論をお出しになるようなふうに今承わつたところですが、仮に今若し実施に関する法律案が通過して、そうして支払が開始されるような場合は、確認書の出たものから、日本銀行は現金で以てさつさと払つて行くのが、おおよそ六ヵ月ということは出ておるわけですが、この公布の日から起算して六カ月を超えない期間内において政令で定める日から施行するということになつておるのですが、これをおおよそ目標を掲げて、これが六ヵ月と出ておるのが、これ以内に完了せなかつた場合は未確認のままで残しておいて、確認されたものだけはどんどん払つて行くという態度なのか、その点一つはつきりお答え願いたいと思います。
  61. 上田克郎

    説明員上田克郎君) 確認が済みました分につきましては、法律が通過いたしまして、公布になり、施行になり、それで予算案も同時にでき上りましたあとでは、可及的速かに済んだ分から払つて行くということにいたすつもりでおります。
  62. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 もう一つお尋ねしたいのは、この六カ月ということは、およそこれで全部完了してうという目標も入つているかどうかということです。
  63. 上田克郎

    説明員上田克郎君) その附則の六カ月は、今度の本格的な提案の場合は三カ月になる予定でございます。御承知のように、これは正式の提案でございませんので、前に審議未了なつたままの提案でございまして、その後事構も変りましたし、附則を少し直しまして、例えば準備審査会との関係、ここで六カ月というのを三カ月、大蔵省の設置法との関係その他技術的な訂正をいたしまして、提出いたす予定でおります。
  64. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 それからもう一つ日本銀行でということになりますと、例えばうんと田舎の人は郵便局でやつてもらつたほうが都合がいいというような場合は適当に便宜を図らわれるわけですか。飽くまでも中央に一つしかないようなところまで取りに行かなくちやならん、こういうことになるのですか。
  65. 上田克郎

    説明員上田克郎君) 確かに仰せのような不便な場合が起るかと思います。それで郵便局でとれるようなということも考えて見たのでございますが、政府資金を出します技術的な方法として、どうも郵便局を使うことはとてもできかねると思いますから、一応こういうふうにいたしました。我々の考え方としましては、地方に財務部というものが、ございまして、大蔵省の出張所ですが、そこからそれぞれのかたたちに郵便でこれだけの円をお払いしますという通知をいたします。それと外務省から出します確認書をお持ちになつて、もよりの日本銀行の支店乃至は代理店、代理店までできるだけ引継ぎたいと思いますが、来て頂くというふうに考えております。実際上或いは二、三百円の金をもらうのに百円以上使わなければならんということにならないように、何とかそこは簡単にとれるようにということができればと思つておりますが、現在のところ郵便局を使つてお払いをすることは一応考えては見ましたが、採用しないということになつております。
  66. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 もよりとおつしやいましたが、これは……。それでこれの最後の取扱いはどういうふうになるのですか。この法律の取扱いは……。
  67. 紅露みつ

    理事紅露みつ君) これは第十国会審議されました準備法案ですね。この前にもう一つ、この借上金の問題で、在外公館等借入金返済準備に関する法律案というのができておりまして、これは第十国会にできたので、次の国会に提案しなければならないということの規定がございますので、それで第十一国会にはちよつと顔を出したらしいのです、衆議院のほうへ……。それで無論審議未了になることは当然で、お終いの日に出たのですね。で、付託されるところは大蔵委員会です。そこが非常に私たちとしては責任を全うし得ないのです。従来ずつと審議を続けて来たのですけれども、これが大蔵委員会に付託されるということでありますので、先ほどもこの問題がダブつて出ました。当委員会としての態度を御懇談できめまして、内村委員からも要望がありまして、公聴会を開き、或いは参考人を喚ぶか、証人にするか、いずれにしても債権者側と思われる引揚者の当事者の気持や意見の発表をさせる機会を作らなければいけないじやないかと、私もそう考えておりますので、その点は一つ御懇談できめたいと思つております。
  68. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 結局それは在外だけでやろうとするのか、かかつて来る大蔵委員会と合同審査の下にやるのか。
  69. 紅露みつ

    理事紅露みつ君) ええ、そういうことも御懇談できめたいと思つております。考慮の中に入つております。  ではこれで今日は散会することにいたします。御苦労様でございました。    午後零時三十六分散会  出席者は左の通り。    理事            紅露 みつ君            森崎  隆君    委員            石川 榮一君            木村 守江君            安井  謙君            内村 清次君            成瀬 幡治君            杉山 昌作君            木内キヤウ君            堀  眞琴君   説明員    在外公館等借入    金整理準備審査    室室長     池田千嘉太君    大蔵省理財局外    債課長     上田 克郎君