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1951-08-20 第11回国会 参議院 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

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  1. 在外同胞引揚問題に関する調査の件 (会議録情報)

    昭和二十六年八月二十日(月曜日)    午後一時三十八分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○在外同胞引揚問題に関する調査の件  (引揚者住宅予算に関する件)   —————————————
  2. 理事(紅露みつ君)(紅露みつ)

    理事紅露みつ君) それでは委員会を開会いたします。  委員会に先立ちまして今日は理事会が行われましたわけでございますが、理事会議題といたしましては、この間から懸案になつておりました細川委員からのこの間の外交白書に対する意見開陳ということでございますが、伺いますと大変に時間も長く要るということでございますので、突然そういう意見開陳をなさるよりも、当然それには論議もありましようし、質問の必要もあろうということでございまして、近く当局出席を求めまして、そして共に委員がその意見なり質問なりに対する理解を深めて置きまするために、その概要を細川委員から刷つて配り、その上で日をきめましてこれを議題に供するというようなお話し合いになつたわけでございます。  理事会はそれですみまして、委員会といたしましては公報にございますように、引揚者住宅問題について、それから在外公館借上金の問題について、これが議案でございますが、いずれも当局出席を求めておりましたところが、大蔵省のほうは今日所用がありましてどうしても出席ができないということでございますが、援護庁のほうからは山本指導課長出席しておられますので、住宅の問題について審議をお願いしたいと存じます。そこでどういたしましようか、引揚住宅につきまして補正予算なり、二十年度当初予算等の編成についての経過というようなことについて一応御説明を願つたほうがいいのではないかと存じますが、御異議がなければ……。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 理事(紅露みつ君)(紅露みつ)

    理事紅露みつ君) さようにいたします。指導課長一つ予算経過等について御説明願います。
  4. 説明員(山本浅太郎君)(山本浅太郎)

    説明員山本太郎君) 引揚者集団収容施設につきましては、当委員会といたしましても地方にわざわざお出向き願いまして見て頂きましたところ、まあ非常に悪いという御批判を頂きまして、私ども事務当局といたしましても常々この住宅を何とか整備したいと日夜念願しておつたのでございますが、取りあえず昭和二十六年度只今要求いたしてありまする補正予算の中に二千八百五十五戸、金額にいたしまして二億九千九百七十七万五千円要求いたしております。勿論これは今後年度内引揚人員相当まだ見込んでございますので、不幸にして年度内在外同胞を迎えることができませんような事態が将来年度末に亘りまして起り得るといたしますれば、なおこのほかに次に述べまするような集団住宅疎開及び補修の経費を捻出いたしたいというふうに考えております。これは流用の形になると思いますが、大体現在要求したいと考えておりますものは、疎開の二千八百五十五戸分の二億九千、これは半分ほど先ほど要求したのでありますが、只今残り疎開の二億九千と、補修の一億二千を年度末に更に要求いたしたい。なお二十七年度の当初予算におきましては、五千七百六戸、五億五千万円を要求いたしたい、これは現在大蔵当局説明もいたしまして、どのような査定が来るかわかりませんが、我々といたしましてはこれが絶対緊急なものであるということで強く説明をいたして置いたのであります。以上の現在大蔵当局に提出しておりまする疎開予算と、それから年度引揚人員が不幸にしてない場合に余剰が出る財源を目当てにいたしまして要求をいたすべく現在考えておりますものと、最後に申しました二十七年度の当初予算の五千七十六戸の疎開と、これで大体いろいろまあ理想を言いまするとまだ不十分ではございますが、おおむね現在の集団収容施設のうち、著るしく建物が腐朽し、或いは破損し、乃至衛生保安上極めて有害であると思われるものを除かれるものと、整備されるものと考えております。それから補修につきましても先ほど申しましたような数字で大体年度内に片付けて行きたい。勿論二十七年度以降におきましてもだんだんと傷んで来る点は考えられるのでありますが、基本的な補修はこれで一応終りにいたしまして、あと入居者家賃による、何といいますか、整備家賃から賄えるように考えて行きたいというふうに考えております。なお例年ございまする災害につきましては、その都度災害予算として要求し、昨年も所要の予算を得たのでありますが、先般の中国、四国、九州の水害におきましてもこのようなものはその都度要求を現在いたしておるのでありますし、が後もそうした災害方面の不測の事故が起りました場合には、それぞれ災害のほうで見てもらうように要求いたすように考えております。まあ、大体こういうふうな予算が認められるといたしますれば、現在の引揚者集団収容施設の面目は相当一新され、相当残ります集団収容施設恒久性のある建物であり、且つ基本的な整備が整うものであるというように判断いたしているような状況でございます。  なお、引揚者集団引揚げが将来ありました場合の住宅といたしましては、本年度から予備費に組むということで、不幸にして今年はまだ集団引揚がございませんので、そのような事態がございませんが、明年度以降におきましても、只今申上げました引揚者集団収容施設とは別途に個別住宅を緊急に建てて賄つて行きたいというふうに考えている次第でございます。 理事紅露みつ君) 引揚者住宅予算につきましては只今山本指導課長から、御説明がございましたが、これに対しての御質問をなさつて頂きたいと思います。
  5. 小酒井義男君(小酒井義男)

    小酒井義男君 これは直接の問題じやないかもわからんですが、この前東北へ参つたときに、現在の集団住宅施設警察予備隊収容に転用するかもわからないというような話があつたわけなんですが、そういう問題が具体的に起つて来ていることがあるかどうかということです。
  6. 説明員(山本浅太郎君)(山本浅太郎)

    説明員山本太郎君) 只今お尋ね東北地方におきまする警察予備隊宿舎転用というのは私どもまだ承知いたしておりません。ただ今まで警察予備隊関係のありましたのは、新潟の新発田市に昨年の暮に話がありまして、その当時丁度予算流用疎開をいたしているときでありましたので、まあ各地共非常に要望が強かつたのでありますが、警察予備隊は緊急でなければいけないという強い要求がございまして、私のほうの手持の予算の中から百三十戸を割愛いたしました。それからはなお新発田自体負担で百六十戸を疎開いたしました。ほぼ入居者三百世帯を片付けたいというようなことは一件だけございます。今後警察予備隊引揚者集団収容施設が要るというような場合には私どもといたしましては、当然警察予備隊関係で現在入居者を適当な地に疎開入居せしめるところの予算措置をとつて頂けることを期待しておるわけでございます。
  7. 小酒井義男君(小酒井義男)

    小酒井義男君 そうすると。先ほど説明のあつた補正予算要求にはそういうものは全然含れておらないのですか。
  8. 説明員(山本浅太郎君)(山本浅太郎)

    説明員山本太郎君) お説の通り予期されない事態でございますので当然こういうものは含んでございません。
  9. 森崎隆君(森崎隆)

    森崎隆君 今お話のございました数字を今一回お聞かせ願いたいのですが、最初の二千八百五十五戸分は予算は幾らでございましたか。
  10. 説明員(山本浅太郎君)(山本浅太郎)

    説明員山本太郎君) 二億九千九百七十七万五千円、大体三億円でございます。
  11. 森崎隆君(森崎隆)

    森崎隆君 これははつきりいたしておりますか。
  12. 説明員(山本浅太郎君)(山本浅太郎)

    説明員山本太郎君) はつきりいたしております。
  13. 森崎隆君(森崎隆)

    森崎隆君 それから次の同戸数に対する大体同額の分、補修分の一億七千万円ですがこの二つは集団引揚げが実際に不可能な場合、その予算の中から是非捻出したいという意向のものでございますね。
  14. 説明員(山本浅太郎君)(山本浅太郎)

    説明員山本太郎君) はあ。なお念のために申上げますと二千八百五十五戸分、約三億の二億九千九百七十七万五千円分は現在大蔵省に正式に要求しておるものでありまして、これがこの通り認めるという公式のまだ査定の返事が来る時期でございませんので、多分九月の中旬くらいにきまるだろうと思いますそれからなお補修及び半分の疎開の分は、恐らく十二月乃至一月頃に具体的な予算折衝段階になるかと存じます。
  15. 森崎隆君(森崎隆)

    森崎隆君 それについて大体可能性はあるとお考えなんですか。
  16. 説明員(山本浅太郎君)(山本浅太郎)

    説明員山本太郎君) これはまあ大蔵当局でないと何とも申上げられませんが、先ほどの二千八百五十五戸、約三億のものは取りあえず要求いたしておりまするが、これは相当見込みがあるのではないかと考えております若しこれもくれないというようなことでありますると、厚生省も責任上相当強くはね返しまして、是非ともこういう大きい問題について十分な考慮が払われるよう厳重な申入れをする所存であります。
  17. 森崎隆君(森崎隆)

    森崎隆君 最後の五千七百六戸分の金額は…
  18. 説明員(山本浅太郎君)(山本浅太郎)

    説明員山本太郎君) 五億五千万円でございます。
  19. 森崎隆君(森崎隆)

    森崎隆君 これは二十七年度の当初予算要求を提出する予定のものでございますか。
  20. 説明員(山本浅太郎君)(山本浅太郎)

    説明員山本太郎君) 提出いたしております。
  21. 森崎隆君(森崎隆)

    森崎隆君 提出いたしておるのですね。
  22. 説明員(山本浅太郎君)(山本浅太郎)

    説明員山本太郎君) はあ。
  23. 森崎隆君(森崎隆)

    森崎隆君 それからもう一つお尋ねいたしたいのですが、住宅をどしどし殖やす意味でこういう基本的な予算はどうしても獲得して頂かなければならないのですが、同時に現在建つておるこの集団引揚者住宅でございまするが、補修の分は勿論あるにはありまするが、どこに行きましてもあの住宅を見ますると、大体世界の最悪劣等の基準ではないかと思うのですが、あの中に現実として公務員のかたも相当おられまするし、その他相当のインテリと言われるかたも住んでおる。一方公務員自体に対する住宅というものは相当文化性の度合の高いものが相当建つておる。これと両方比較して同じものにしろという意向を別に持つておるわけじやございませんが、少くとも殖やせるという数の点も大切でございますが、同時に或る程度程度というものをもう少し上げて頂かなければ、どうもこのままではおかしいのじやないかという気がするのです。これはすでに建つたものに対して補修の際相当考えて頂けるという問題もございますし、もう一つ、今後この予算を取つて建てる場合、勿論坪単価等が最近相当上つておりまするから、この予算の枠ですら、予定通り戸数は建たないかと思いますが、それにも今の質の問題を或る程度取上げて頂くようにやはり私たちは熱望せざるを得ない。これにつきまして基本的にどんなお考えでございましようか。
  24. 説明員(山本浅太郎君)(山本浅太郎)

    説明員山本太郎君) 現在の非常に悪い集団住宅先ほど申しました戸数疎開したいという意味でございますが、疎開いたした後の一軒建又は二戸建の新らしい、「疎開住宅」と我々通称言つておりますが、このほうの住宅は例の庶民住宅に比べますと若干坪数が足りませんけれども、併し建物構造自体におきましては、普通の庶民住宅に比べまして決して遜色のない程度のものに今までもいたしておりますし、勿論今後もいたすつもりでございます。耐久年度は大体二十年ぐらいは持ち得るようにいたしてございまして、ただ普通庶民住宅のような床の間がない、或いは柱にいたしましても強い柱であるが節がある柱という、若干見ばえが落ちますが、実質的には落ちないようなものにして行きたい。ただ従来の疎開いたしました住宅、或いは単独の引揚者住宅につきましては、多少府県によりましては地元負担のつぎ足しが十分できないために、今御指摘通り若干不満な点も私ども見受けておるのでございますが、本年度補正要求いたしておりますもの、並びに明年度当初予算要求いたしておりまするものは相当坪単価を高く見ております。それから東京などの敷地に非常に困難を呈しておるような状況でありますので、用地費相当見込みまして、余り地元に御迷惑をかけなくても相当立派なものができるように予算単価の上に配意いたしております。
  25. 森崎隆君(森崎隆)

    森崎隆君 よくわかりました。もう一つ、大体二戸建だというと、庶民住宅と同じようでございますが、大体十坪ぐらいですか、大体の比較、それから坪単価は大体どのくらいに予定されておりますか。
  26. 説明員(山本浅太郎君)(山本浅太郎)

    説明員山本太郎君) 一戸当りにいたしますと建坪だけで七・五坪でございます。それから坪単価は一戸附帯工事を含めまして二万一千円でございます。それからそのほかにそれの七〇%補助ということにいたしております。但し北海道等特定地域につきましては、こうした地元負担は困難な地域がございます。例えば札幌郊外豊平町のごとき町自体が非常に貧弱であるにかかわらず非常に圧倒的多数の集団収容施設が密集しておるというような所につきましては、昨年度もこうした一般的な補助額より相当上廻つて高額の補助をいたしておりますが、今年もそのようにいたしたいと考えております。なおそのほかに用地費といたしまして四千二百円の半額、即ち二千百円程度補助考えて行きたい、大体一戸当り十万五千円程度補助をいたしたいというふうに考えております。
  27. 森崎隆君(森崎隆)

    森崎隆君 わかりました。
  28. 理事(紅露みつ君)(紅露みつ)

    理事紅露みつ君) 今の問題に関連して委員長から伺いたいのですが、集団疎開ですね。集団というあの状態がいつまでも続くということは、何か特殊な生活感情が生まれて来はしないかというような心配をいたしているのでございますが、疎開をいたします場合にも相当集団的な疎開をやつておられるようですが、ああいうのは、それは敷地関係もありましてそうばらばらにはいかないと思いますけれども、或る程度そういうことを一つ考えて頂くことと、それから敷地が、家は庶民住宅に近いようなものができるといたしましても非常に就職の上から見まして、これは前からも言われていることですが、見て歩きますと、如何にもそれが感じられるのです。非常に不便である。乗り物にも不便である。家はできたけれども、どうも仕事もできるとしても、とてもそんな遠くの不便なところでは通えないというような、交通上から考えられていない点が多いのですけれども、少しそういうことをお考えなつていらつしやいますか。
  29. 説明員(山本浅太郎君)(山本浅太郎)

    説明員山本太郎君) 御指摘通り、私どもも全く今御指摘になりました通り考えておりまして、何とか疎開をいたします場合には、そのような集団部落的な意識を解いてあげるようなふうな環境にして上げたいというふうに念願いたし、都道府県にもそのようにお願いいたしているのでありますが、これも委員長から御指摘のありましたように、努めてそのようにいたしたいのでありますが、難点から先に申しますと、第一は先ほど一例に挙げました札幌郊外豊平町のごときは、豊平町は自分のところの集団住宅疎開でありますから、非常に困難なところを敢えて若干の地元負担もしてくれるのでありますが、これが札幌へ持つて行きますと、札幌では新らしい住宅を引受けてくれないというような状況にあるわけであります。これを国及び都道府県で全額負担するといたしますれば結構でありますが、性質上全額国庫補助というわけに参りませんので、どうしても地元負担が伴いますので、旧来集団住宅のありました市町村におのずから限定されるということが、第一に大きく関係市町村にまでばらまけない一つの原因でございます。それから同じ市町村内におきましては、やはり御指摘のありましたように敷地関係でなかなかうまく行かない。併しあのような集団の部落の体を作ることは彼らの厚生の上からも決してよろしくない状況でありますので、できるだけ可能な限りは分散したいというふうに、市町村都道府県としては努めておりますが、以上申上げました状況で必ずしも万全に至つておりません。  それからもう一つ逆にこれは昨年ありました例でありますが、山口県の仙崎町は元仙崎引揚援護局のありました関係上、非常に多数の引揚者が居住しており、集団住宅があつたわけであります。これも引揚の人の甚だしいために昨年の暮に疎開さす方針をきめまして、山口県にも連絡し、山口県としても非常に好意を持ちまして下関とか、小野田方面に、就職もあちらのほうが将来有望であるからということで、就職は保証できないけれども、できるだけ斡旋に努めるということで、仙崎集団収容施設におりました人々に南のほうに分散移住するようにずい分説得したのでありますけれども、すでに五年六年の歳月を経て、そこに一応住んで一生の生業をしております引揚者にとりましては、ここを離れるのはいやだということでお聞きになりませんので遺憾だと思いましたけれども、新らしく仙崎町内の敷地で家を建てているという状況であります。できれば委員長お話のようなふうに行くことが理想でありますので、今後もつとめてそのように処置いたしたいと考えておりますが、中には以上申上げましたような諸般の事情や、或いは引揚者自身の希望によりまして、必ずしも集団の体が抜け切らないで、そのまま疎開されるという面も若干残るのかと思います。委員長の意を体してできるだけ指導いたしたいと考えます。
  30. 理事(紅露みつ君)(紅露みつ)

    理事紅露みつ君) まあそのおつもりで指導して頂くということは大切だと思いますが、今お話にありました北海道豊平は、あの小さな町でありますのに六千以上の引揚者収容しておるという状況でありますので、私どもも先般北海道を一巡いたして、その惨状を具さに見て参りました状態でありますけれども、その状態は、まだ三角兵舎というのにも入つております。その三角兵舎もできたてならばですけれども、もう朽ちて、屋根には小さな樹が生える。草蓬々生える。屋根は抜ける。これはもうとてもこのまま置けないということを痛切に感じて参りました。今まで各地を見まして、この集団施設が悪いということはよく存じておりましたけれども、私ども先般北海道を廻りまして、もうしみじみと感じて来たことです。ですから政府としてはどの面の予算を儉約いたしましても、この引揚者集団施設に代る疎開を是非これは実行しなくちやならん問題であると思うのですが、まあ幸いに補正見通しもついているということでございますけれども見通しで、その見通しが外れるということがあればこれは一大事であると思いますから、その点は一応政府部内でよく協議をされて、これだけのものは、僅かこれだけの予算でございますから、是非獲得して頂かなければならないと思います。それはそれはひどい状態でございまして、下駄で入りまして、三角兵舎でない所でも下駄で入りまして住いをいたしております。居間座敷兼用でそこの境がないような状態です。そうして旧兵舎を利用しているのですが、まん中に通路がありまして、建物が両側にあります。全く私なんか連れて行かれたのですが、まつ暗で危くて歩けない。一方から少しは光線が入るでしようが、まん中あたりでは全く光線がないという工合です。排水は悪い。井戸の水も蓋がない。そういうような不衛生な生活ですから、佝僂病という特殊な病気もしばしばあるのです。而も子供に多い非常に特殊な状態を呈しておりますので、これは何としてもこの問題から政府一つ解決してもらわなければならないと思います。敷地の都合なんかもありまして、どうも集団になり勝ちだということでございますけれども、又地方負担も今苦しい状態から捻出するのですから、そう強いことも地元に対して言えないかと思いますが、これは家を建てますというと、今もおつしやつた通り二十年は少くともこのままで維持できるという建築であつて見れば、当然これは恒久的な問題ですから、この際少々地元にも考えてもらいまして、なるべく分散をするということが大切だと思うのです。この疎開をやつたつて俄かに豊かな生活になるものではありませんが、そういうような片寄つた集団のままに置くということは、非常に私は将来思想的にも憂うべきものがあるのではないかと思います。感情的にもこれは悪いというふうに考えますので、なおその点については各地方援護庁から指令を出して、成るべく分散するということの御指示を願いたいと思います。とにかくこの予算については、一つしつかりとやつて頂きたいと思いますが……。
  31. 説明員(山本浅太郎君)(山本浅太郎)

    説明員山本太郎君) 恐れ入りますが、速記をとめて頂きたいのです。
  32. 理事(紅露みつ君)(紅露みつ)

    理事紅露みつ君) ちよつと速記を止めて頂きます。    〔速記中止
  33. 理事(紅露みつ君)(紅露みつ)

    理事紅露みつ君) 速記を始めて下さい。  只今引揚住宅に関する指導課長の心がまえといたしましては、大変に私ども満足するものでございます。従来当委員会は全く内輪の委員会として援護庁と緊密な連絡の下に、これまで引揚者住宅に関しての解決をして参つたのでございますが、先ほどから申上げまするように、なかなかこれが建築行政一本化というような、そんなところまでは解決しておりません。殊に北海道東北あたり惨状は全く目を蔽うものがある。で政府がやはり今お話のありましたように、終戦後六年だから、もういつまでも引揚げという問題を特殊に扱いたくない。一応理屈でございますのですけれども、全くこれはもうひどい状態で、これを一わたり解決いたしますればその後のことはもう引揚者がみずから起ち上るということでよかろうと思いますけれども、今なかなか一人で起ち上るというところまで行つておらない。先ず何よりも住宅だと思います。住宅の問題が解決いたしますれば、あとはしよいと思いますので、今ああした打ち明けたお話もございますので、委員の皆さんにも一つあとで御相談を申上げまして、委員会としましても活動のできます範囲で御協力をして参りたいと思います。住宅の問題につきまして御質問がございませんようでしたら、この問題を一応打切りたいと存じますけれども成瀬委員は先達て私同道で北海道を調査いたしましたので、何か御意見、御質問等もございましたら、この際おつしやつて頂きたいと思います。援護庁から指導課長が見えております。それから一緒に大蔵省にも御出席願つて、そうしてここでお話を進めたいと思いましたが、大蔵省のほうは今日補正予算の問題で非常に手が混んでおられるということで、出席がなかつたのでございまして、指導課長にだけ御質問申上げたわけでございます。  それでは住宅の問題はこれで打切りまして御異議ございませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 理事(紅露みつ君)(紅露みつ)

    理事紅露みつ君) それでは指導課長どうも御苦労さまでございました。
  35. 森崎隆君(森崎隆)

    森崎隆君 この際ちよつと釈明いたして置きたいと思います。それは去る第十一国会の終末におきまして、未帰還者引揚促進に関する決議案を上程するような実は運びになつていたようなわけなんです。この問題は、本当を申しますれば本委員会で各政党かたがた寄り集りまして、全会一致以つて当然まあ決議案というものは上程すべきものでありましたが、会期も短こうございましたし、ああいうまあ忙がしい中でございましたので、実は私たちのほうで議院運営委員会のほうの了解を実は得たわけでございます。そこで各政党かたがたの大らかな御同意を得まして、全会一致でこの決議案を上程しようということに実はなつていたわけなんです。ところが最終の段階になりまして突如自由党のかたがたからこういう決議案全権委員を拘束するものだからちよつと困るという話がございまして反対の意向が表明されました。仕方なく実は社会党だけの立場から一応ああいう案を出しまして、残念ながら否決されたわけでございます。これは別に私たち党利党略とかそういう問題はございませず、誰かが、みんなが忙がしくて忘れておる中で気が付いた者が口火を切れば、全員のかたがたに御同意頂けるものだという意味で、おこがましゆうございますが口火を切つたわけでございます。その内容も御存じのように講和全権委員をいよいよ派遣しようという最も意義深い時期におきまして、而も講和條約の草案中に最後案としてこの未帰還者引揚促進に関する條項が入れられた。これに対しまして実は連合国に対して感謝の意味も表したいし、同時に代表として行かれる全権委員たちをも激励したいし、更には強い要望以つて大きな期待をかけておるところの留守家族かたがたのこの要望にも応えるというそれだけの実は意義しかないわけです。ほかに何も他意なかつたのでございますが、今申しましたようにこの重大な問題だから委員会にかけなければならないという表向きの理由でございまするが、全権を拘束するという実質的な理由でこれがあのように否決になつたことは私たちは非常に残念に実は考える次第なのでございます。今後早急にこの問題は本委員会で取上げて頂きたいと思います。あの当時の委員会にすぐ上程して云々と申しましても、あと数時間を余すあの時間におきまして、委員会で審議をするというようなことは、実はどうしても不可能なことでありまして、その点を御了解願いまして別に他意はない、今申しました三つの点を要点といたしまして私たちが指導したに過ぎないわけでございます。この点一つ政党のかたも今後とも一つ絶大な御協力と御理解を頂きたいと思います。
  36. 理事(紅露みつ君)(紅露みつ)

    理事紅露みつ君) それについて私も一言申上げたいと思います。今伺いますと、その否決になりました委員会省略の否決になりましたことが全権を拘束するというようなことが言われたやに伺うのでございますが、私どもはそのお話を伺わないのであります。実はあちら衆議院のほうで決諸案が出るということにつきましては、この間の委員会におきましてもこれは同調すべきだということでお話をきめておつたわけでございます。ところが最後の日までそのお話がなくて最後の日にそういうお話が出て来ましたので、委員会をこれは非常に混乱の中だけれども委員会を招集すべきかということで考えておつたのでございます。ところがだんだんに時間が迫つて参りまして、午後夕方になつて、もう夜になつて来た。そこでどういうふうかと思つて情勢を聞きましたところが、衆議院はもう時間がないからやめたということであつたのです。これは情報ですよ。それではこれはいつも慣例としましても、同じ日に同じ国会の日に殆んど同じ文句で今までは参議院の決議案文、それをそのまま衆議院に廻して決議したというような今まで情勢です。そこで今度は向うが衆議院のほうが案文をこしらえてもらつたのであれば、そつくりそれをもらつてそうして委員会にかけて上程しましよう。こういうつもりでおりましたのです。ところが衆議院のほうで取やめになつたというものですから、時間もまあもらないことですし、御承知のように全権の問題で我が党も総会を開いておりましたし、その他どの会派もいろいろ複雑な動きがあつたようでございますので、これはとても委員会はできまい。而も向うがやめたというならば、こちらが今度は言い出したことでないので、やめてもいいのであろう、こういうつもりになつておつたところです。而もあれが委員会省略にかかつたというときにはまだ衆議院がかけたという情報が入つておりませんので、そうしてまあ多数党のほうからこの際衆議院と同じ歩調で行かないならばというようなお話もあつたのです。今まですべて委員会にかけてやつたのであるのに、非常に調子が違うというような単なるそういうような考えで私どもはこれが全権を拘束するというようなことも聞いておりませんし、考えてもおらなかつたところです。いずれにいたしましても、これが否決になる、否決といつても委員会省略ですが、委員会省略が否決になつてそのままお流れになつたということは遺憾なことだと思います。併し当委員会は全くこれは超党派の中でも最たるものだと思います。でこの問題について今後どうすべきかということにつきましては、今日は出席委員も少うございますから、追つてお打合せをいたしまして、如何ようにか取きめたいと考えますが、如何でございましようか。
  37. 森崎隆君(森崎隆)

    森崎隆君 それで結構でございまするが、どうもやはりこの引揚げに関するこういうような国民全体が一緒になつてやらなければいけない問題が御存じの、先には戦傷病者等対策審議会法案が折角参議院はあのように全会一致の御協力を頂いて通過いたしたのです。衆議院ではこれが握り潰しになる。今度の決議案の問題につきましても各党一緒になつてという意味でありましたのに、ああいうことで、まあ重大だからという形式上の理由で葬られたことは、非常に私たち遺憾に存じております。若しこういう点で他の政党かたがたが、例えば私の属している政党で指導することが不適当とおつしやれば、いつでも私たち追随的な立場をとりますから、どなたか指導して頂いて賛成いたしたいと考えております。今日は特に自由党のかたがたがおられませんから残念皆ございますけれども、いずれ又そういう人が来ましたらはつきりと申上げたい。今日はこの問題は一応私たちの立場だけを御了解を頂くという意味におきまして今後とも御協力を願いたいと思います。
  38. 理事(紅露みつ君)(紅露みつ)

    理事紅露みつ君) それでは大蔵省からの御出席もございませずいたしますので……。
  39. 森崎隆君(森崎隆)

    森崎隆君 田島さんがおられますので、何か最近の新らしい情報等ございましたらお聞かせ頂いて置きましたら……別になければ結構です
  40. 説明員(田島俊康君)(田島俊康)

    説明員(田島俊康君) 引揚問題につきまして特別な情報というのはございませんが、ただ先般いろいろ御心配頂きました、ビルマそれから英領マレー、香港等に残つておりました者が近く殆んど全員が引揚げて来るやに聞いておる。ビルマからの戦犯者はすでにマレーのほうに送られまして、シンガポールの出汎が大体二十三百ということに相成つておるように伺つております。そのほかには格別に今申上げるようなことはないのでございます。
  41. 森崎隆君(森崎隆)

    森崎隆君 今のは田島さん、戦犯者ですね。
  42. 説明員(田島俊康君)(田島俊康)

    説明員(田島俊康君) さようでございます。
  43. 理事(紅露みつ君)(紅露みつ)

    理事紅露みつ君) それでは今日はこれでしまいたいと思いますが、実は議題に上つております公館等借上金の問題もありますので……やはり大蔵省出席がないものですから……。実はこの間の臨時国会に大蔵省にあの準備案が付託されたということでございますが、これは会期末のことでございましたし、勢いこれは審議未了になつたことでありましようが、どういうふうな経過なつているか。それから内容につきましても、当委員会としてはいよいよこれが返済ということにはなつたものですから、大蔵委員会に付託されることでありましようけれども、全く初めから手懸けて参つた当委員会としましては、この内容についても大蔵省出席を求めて、或いはこちらから出向いてそしてこの内容を検討しなければならないと存じますので、これらについては委員会を閉じて更にお打合せをいたしたいと思います。  では委員会を閉じさせて頂こうと思いますが……。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 理事(紅露みつ君)(紅露みつ)

    理事紅露みつ君) 御異議ないようですからこれで散会にいたします。    午後二時三十二分散会  出席者左の通り。    理事            紅露 みつ君            森崎  隆君    委員            木村 守江君            草葉 隆圓君            長島 銀藏君            小酒井義男君            成瀬 幡治君            木内キヤウ君            堀  眞琴君            細川 嘉六君   説明員    厚生省引揚援護    局指導課長   山本太郎君    厚生省引揚援護   庁復員局復員課  田島 俊康君