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1951-08-20 第11回国会 参議院 建設委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年八月二十日(月曜日)    午後一時十六分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○河川道路、都市及び建築等各種事  業並びに国土その他諸計画に関する  調査の件  (行政機構改革に関する件)  (災害一般及び平和池に関する件) ○理事補欠選任の件   —————————————
  2. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) これから委員会を開きます。  大臣は一時半からほかの委員会に御出席のようですから、大臣に対する御質問は成るべく早く願います。質問がなければ私が先ず質問したいのですが、よろしいですか。……ではこの席から甚だ済みませんが、行政機構問題について大臣質問と申しますか、この委員会の今までのあり方をお話申上げて、この上とも御再考を願いたい。御承知通りに、建設省ができる場合、即ち建設院建設省になる場合に、行政機構に関して非常に論議されました。丁度その際は国土計画委員会でありましたが、その際に少くとも農林省関係運輸省関係建設に関するものは、つまり建設省に持つて行くべきである、こういうことをやかましく言われたのです。そのときに大臣は一松さんが建設院総裁で、後に建設省大臣になりましたが、その際も内閣は今と違いますが、よくわかつた、行政機構の際にはこの委員会要望を容れて、必ずそういうふうにするからという条件の下に、実は建設院建設省になつたのであります。でどういうことをこの委員会として要望したかと申しますと、第一に、農林省砂防建設省砂防関係であります。御承知のように砂防明治十一年以来全部内務省でやつていました。ところが明治四十三年の第一回治水会議の結果、その委員の一部から、山を農林省が所管していながら、これに施す砂防工事内務省でやることは、どうもおかしいのではないか、少くとも農林省としてこれをせねばならないという議論が出まして、その結果あの森林法ができ、四十四年から農林省におきましても荒廃林地復旧工事という名前仕事をしました。ところが同じ流域に同じ工事をするから両省の間の関係はうまく行かない。或いは労力の奪い合い、或いは材料がますます高くなる、そういう弊害を来たす、のみならず、一つの渓流に系統的に仕事ができない。それでこれをどうしても一つの省に持つて来ねばいかないというのが輿論になつたのであります。これと同時に又一方においては、内務省においてはその当時別に中小河川という仕事がなかつたのでありますが、農林省用排水河川という名前で、今日の中小河川と同じような河川仕事をしていました。そこで昭和八年の治水会議の結果、初めて内務省においても中小河川という項目を作つてすべての大河川以外の中小河川はこれを内務省仕事をし得るということにして今日の中小河川状況にしたのであります。要するのに農林省砂防と、それから内務省砂防農林省用排水河川工事内務省中小河川工事、これは同じようなものでありながら二つの省にされて、こういうふうにしてはいかない。そこで昭和七年の閣議の結果、これを何とかまとめて欲しいというのが例の閣議申合せになつている。その結果、表面においては誠に両省がうまく統合して系統的に仕事をして行くように見えるが、実際仕事をしている部面に当つて詳細に検討しますと、なかなか予算関係もあるのでうまく行つていません。そこで私は、これはやはりこの前の先ほど申した建設院を省にした場合と同じように、つまり一つ河川に対する水の部面、これは農林省荒廃林地復旧工事も、それから建設省砂防工事も、これは不可分のものであるし、又建設省砂防工事とそれから河川工事、これも不可分のものであります。要するに治水に関しては山の上からして河口に至るまで一つ行政庁仕事をしてこそ初めて本当仕事ができる。なおこれに附加えるならば、あの水力発電、この事業も一緒にすべきである。それは先ほど申しました建設省になるときもそういう問題が起つたのであります。今行政庁において、この行政をどういうふうになさるか詳しいことは存じませんが、或いは国土省作つて今私の申すような意向になるというふうなことも新聞で見ましたのです。こういうふうに我々が長年この委員会のうちでも要望したものになるならば、これは非常に我々としては有難い、国民としても結構なことだと思うのであります。併しこれには一面において又猛烈な反対があることも承知しております。その点をよく大臣は、お考えになつて、やはり治水、利水、少くとも治水事業二つの省に分けることに如側に不合理があるか。これは申すまでもありませんから折角今行政審議会のあの草案にあるような線において、これを正しい線に改めて頂きたい、これか第一の要望であります。中には山林植林関係と、それから砂防関係とは不可分のものである、こういう議論をなさる人も多々あります。併し我々長年事業に当つた者といたしましては、植林関係と、いわゆる荒廃林地その他の砂防に類する仕事とは全然別個であります。これははつきり申上げることかできるのです。これを同じ部面であるということを言うのは、私はこれは実際を知らないで、ただ世間から言うならば、山の中にする植林と或いはその山の中にする荒廃林地復旧工事は同じものであるといつても、如何にもそうであるというふうに聞えますから、そういう議論があるかも知れませんが、実際は遥かに違う、これは二つに区別できる、こういうことを申上げます。なお山林行政全部を一つの省にまとめればなお結構でありますが、とにかくこういうふうな関係荒廃林地仕事砂防工事、これは不可分であるし、今申す山林行政、これとは又分ち得るということを申上げます。どうかこの点も我々が長年苦慮した点で特にお考え願いたい。なお又これに附加えまして、例の運輸省に参つている港湾事業、これももともと内務省にあつたことは大臣も御承知と思います。又漁港問題、これは今日やかましく言われておりますが、漁港と港湾両省に跨つて非常に困つておりますが、これもやはり一つの省にまとめていい、こういうふうな考えを持つております。でありますから折角行政機構を今度改革する場合には、小くともそういう行政部面において、いわゆる建設に関する部面一つの省にまとめて、これができた上は、又はかの省に別にしてもこの点を明らかにしたい。この委員会が長年要望しておつた点を特に御高配あるようにお願いするのであります。
  3. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 只今赤木さんから非常に御熱心な御意見の開陳を頂きまして、只今私のほうといたしましては、まだどういうふうに機構改革をするかということを、政府といたしまして具体的に取上げておりません。御承知のように、政令諮問委員会のほうで一応の答申がまとまつたと申しますけれども、それは新聞には部分的には出ておるようでありますが、政府としてはまだ正式には受取つておらないのではないかと思います。少くとも我我の手には渡つておりませんし、我々もその内容をよく知りません。こういうような状況であります。で建設行政の一元化ということにつきましては、只今必要なる所以と、従来の沿革等詳しいお話でございましたが、十分そういう点も頭に入れまして、今後の行政機構改革に対処して行きたいというふうに考えております。
  4. 田中一

    田中一君 私伺いたいことがあるのですが、時間が時間ですから、次の機会に譲ります。
  5. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) ではもう一つ。今予算編成期でありますが、特にお願いしたい点は、災害復旧規定によりまして、工作物はあれしていません。新たに仕事を要する部面で、それは災害復旧規定を広く見るというふうな関係でそれを採用されますが、例えて申しますと、全然仕事のなかつたときに、非常に被害をこうむつた山口県、京都府のごとき、こういう県に対しては、大臣承知通りに、昭和十年における京都、兵庫、岡山、鳥取、島根に百二十五万円の第二予備金を出しまして、そういう所の砂防工事を特にした。こういう例もありますから、こういう特別に被害をこうむつた場所については特に御高配を願うようにこの際にお願いしておきます。
  6. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) お話の点につきましては十分検討を加えたいと思います。
  7. 田中一

    田中一君 一つだけ。先般私社会党のほうから、二十七年度の住宅予算について、できるならば営繕工事を、官庁営繕を縮圧して、その予算庶民住宅のほうに向けてくれるようにという要望書を出しておきましたが、これに対して省内では、特に大臣の御意見としてはどうか、伺いたいと思います。
  8. 野田卯一

    国務大臣野田卯一君) 官庁営繕工事を圧縮いたしまして、その予算庶民住宅住宅問題を解決しようというお話があつたということだけを私は一度耳にしたことがございます。この問題は現在やつております官庁営繕工事を中途でやめるかどうかという問題があるのでありますが、この点につきましては、現在やつております官庁営繕工事全体の金額も、御承知のように余り大きな金額ではございません。それからもう一つ官庁営繕工事はどうしても絶対やらないと困るのでございます。その家がもう腐つて倒れかかつているとか、或いはその家を他のほうに使うので、どうしても出なければならない。或いは一つの役所が十数カ所、或いは二十カ所に分れておるので、各方面からいろいろと御注文があつて、早くまとめてもらいたいというような御要求があつて、やつておるものも止むなく圧縮されているから、その圧縮されている余り多くない営繕工事を打切れるかどうかということにつきましては、もう少し慎重に考えたいと思います。別途住宅の払底並びに一般大衆のかたがたが住宅の需要が非常に多いということはよく承知いたしておりますので、この方面予算を殖やすように極力努力したいと思つております。
  9. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) では大臣どうぞ……。   —————————————
  10. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) 理事選任についてお諮りしたいと思います。岩崎理事補欠指名委員長に一任願われましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) では田中委員理事にすることにいたしたいと思います。御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) では田中さんを理事に願います。  暫時休憩いたします。    午後一時二十九分休憩    ——————————    午後一時四十八分開会
  13. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) 休憩前に引続いて再会いたします。  建設省のほうからその後の災害状況を承わります。
  14. 賀屋茂一

    説明員賀屋茂一君) 只今資料を差上げたのでございまするが、これは七月三十一日現在でございまして、その後に秋田県が約三億ぐらい殖えております。これはまだ表になつておりませんが、そういたしますと、全体を通じまして二百五十七億かになると思います。これでこの二十二、三日頃までには、この全部を査定に今かかつておりますので、終結する見込でございます。それでこの限度までで予備費要求をいたしまして配分して工事の促進を図ろうと考えておるのでございます。それからまだ検査が済んでおりませんので、この現状で先般来二回、三回に亘りまして私のほうへ決定が来ておりますのは十三億余りでございますが、預金部融資をして頂きまして、被害の重大な県にはこれを配付、交付して頂きたいと思つております。まだ検査が全然まとまつておりませんので被害の詳しい結果は申上げかねるのでございますが、現在まとまりました状況はこの通りでございまして、これは六月以前の災害でこれは融雪その他でございます。それからケイト台風、それから八月になりましての梅雨期長雨によります災害、これを低気圧による災害といたしておりますが、これらは十日ばかりの長雨による災害でありまして、これが一番多かつたわけでございます。状況は以上の通りでございます。
  15. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) どなたか御質問ありませんか。
  16. 三輪貞治

    三輪貞治君 最近のマージ台風による鹿児島地方ですね、高潮の水害がございましたね、あれはわかつておりませんか。
  17. 賀屋茂一

    説明員賀屋茂一君) 今度の台風でございますが、今朝の状況ではこれは九州の西方になつておりますので、まだ多少進路を変えるかもわからぬという状況でございますが、大体中心から三百キロぐらいの圏内が暴風雨になつておりまして、現在では九州台風の圏外にあります。ずつと西のほうにございますので現在のところ、さつき福丘、熊本、長崎方面に電話したのでございますが、災害なしということでございます。ただ鹿児島が薩摩半島のほうに……、昨日の災害状況でございますが、海岸及び道路のほうに僅かに被害があつたようでございます。これも一千万円以下の災害でございまして、今まででは台風による被害が殆んどないという状況でございますし、気象台のほうの見通しも先ず逃げるだろうというふうな考え方でございます。
  18. 三輪貞治

    三輪貞治君 それからこの表の低気圧による被害ですが、これはさつきおつしやつたようにかなり多いのですが、炭鉱地帯炭鉱被害状況ですが、侵水とか坑木等の腐蝕による決壊とか、こういうものはありませんか、これはわかつておりませんか。
  19. 賀屋茂一

    説明員賀屋茂一君) これは福岡県の炭鉱地帯被害は……今年の災害は御承知のように炭鉱地帯が多いのでありますが、今のお尋ねのような、浸水による被害というのは実はわかつておりません。これは公共土木施設河川、堤防、道路、こういうふうな公共施設のみでありまして、わかつておりませんが、被害を申しますと福岡県の炭鉱地帯、それからあとは筑後川の下流地方があるようでございますが、その両地区が一番ひどいようでございます。
  20. 田中一

    田中一君 この四万二千個所のうちで、対象にならない十五万円以下の被害の件数と金額はどのくらいになりますか。
  21. 賀屋茂一

    説明員賀屋茂一君) お答えいたします。これは実は調べておりませんのでわかりませんのでございますが、大体これまでいわゆる県単独災害と申しますものは、金額にいたしまして国庫補助対象になりますものの大体一割か、せいぜい一割五分ぐらいのものが普通でございます。個所にいたしますと相当多い個所になります。二万とか三万のものがございますから個所とすれば相当多いのでございますが、総金額にいたしますと一割か、或いは多くて一割五分というくらいなものでございます。
  22. 田中一

    田中一君 そうするとここに四万二千余個所が上つておりますが、私先般京都に参りまして、京都には非常に小さい決壊個所なんかが多いのです。恐らくこれをまとめますと相当な数になると思うのです。その県単位負担とそれから国家負担の場合ですね、京都なんかの場合にはどのくらいな違いになつておりますか。どうも細かい決壊個所が多いのです。従来災害の場合の今おつしやつた一割か一割五分程度のものが、京都もやはり同じようにあの状態が一割五分というものなのか、自分の目で見て来たものから見て、京都の場合には検査に出してそういう程度か、ちよつと知りたいのですが。
  23. 賀屋茂一

    説明員賀屋茂一君) これは先ほど申しました一割か一割五分というのは、全国の平均を申上げたのでありまして、恐らく額といたしましても一割か一割五分程度では収まらないのじやないかと思います。今年の災害広島あたりもその例でありまして、細い個所が多い。それが時間的に非常に急激な雨が降つたのでございまして、上流のほうの小河川が非常に氾濫しましたけれども、下流の本川となりますと、殆んど水位が上つておらないというような出水の状態でありまして、上流近くの細かい所がばたばた行つたのでありまして、復旧といたしますと十五万円に足らない細かい個所が多い。又大体今年の災害の型かも知れませんが、今年は恐らく一割、一割五分見当というのが、これは予想が違うかも知れませんが、今までの結果から申上げるのでありますが、京都はその程度でないのが多いだろうと思います。
  24. 三輪貞治

    三輪貞治君 今のに関連して……。確かに今防災課長がおつしやつたように、今年の災害は短時間に多量の雨が降つたために、上流の谷間の小さい川が氾濫して、十五万円以下の小さい被害というものがかなりあつて、町村なんか廻つて見ますと、復旧工事に対して何とかしてくれという声が多い。建設省部内において何か取扱に一応の変更を加えるというように、従来と違つた考えがありますかどうか。地方を廻りますとそういう要望が強いのです。
  25. 賀屋茂一

    説明員賀屋茂一君) 我々もこの点は非常に心配を実はいたしているのでありますが、今といたしましてこれにすぐ手を打つという実は予算もないのでございます。それで御承知のように防災工事と称しておりますが、災害を事前に防ぐという費用がございます。これは本年でも河川におきまして、何百河川というものを、僅か七億くらいの費用でございますが、これを各所に撒いてやつているわけでございます。実はこういうふうな費用をそういうような所に使えるように現に予定しておりましたものは認可をしているのでありますが、そういう所が災害にかかりまして、そういうようなことができないような個所もありますので、いずれにいたしましても多少は変更しなければならない。それで災害の十五万円以下のものが生じたというような所にも、こういうものを少しでも振当てて行こう。これも勿論大事な個所だけしか行きませんが、できるだけこういうものを考え直して行きたいというように考えております。今のところはそのくらいの程度でございまして、それ以上には手を打つ方法がないのでございます。
  26. 田中一

    田中一君 今のに関連するのですが、そうした少しのものでもそうした措置がとれるということは、十五万円以下という金額規定が、或る場合によつては正しくないというような結論は浮ばないでしようか。先般この問題について相当論議された問題ですけれども、そういう個所が或いは五割、八割になつた場合に総額において小さい県が三億、四億、或いは十億、二十億になると、相当な負担になる。その場合に法律で定められたもの以外の手を打つという親切さはわかりましたけれども、これはして頂きたい。して頂きたいが、法律的の根拠と、その根拠はないけれどもやはりやらなければならないということなんです。十五万円という対象は正しくないというような考え方は出ないものかどうか、見解一つ聞かして下さい。
  27. 賀屋茂一

    説明員賀屋茂一君) 十五万円以下のお話でございますが、災害復旧を所管いたしております我々といたしましては、やはりこれは十五万は十万にも五万にも実は下げてもらつてつてもらいたいのです。そういたしませんといろいろ御心配なさるとおりに、これは細かい個所地方単独費ではなかなかやつて行けませんので、そのまま放任されまして、翌年に災害が又多くなりまして、十五万円になつてから災害を防ぐという場合が実は多いのであります。それで金額を成るべく下げる、そうして大事なものだけとつて行くということを実はやりたいのでありますが、本年法律を決定いたしてもらいますときも、こういう主張は担当者としては出したわけでございますが、国の財政の削減もありますが、実は大きなものですら御承知のように四年も五年もかからなければできないという支出の方法でございますので、細かいものまで取上げて見たところで、結局取上げて見ただけのことであつて、実は当てにならないのじやないかという結果になるのでありまして、大きなものだけでも早く済ます。細かいものは地方で何とか一つ考えてもらいたい。それが全体の工事費から見て十五万円ぐらいは止むを得ないのじやないかという実は結論になつておるのでありまして、これで我々といたしまして、あれか一番いい案だということは実は考えておらないわけであります。
  28. 田中一

    田中一君 それではこの表に現われたものだけで結構ですから、今度の災害で十五万円以下、いわゆる対象にならない工事金額個所というものと、なるものとに分類してその調査表作つて頂きたいと思うのです。この表で結構ですからこのうち対象になるものは、何県、何カ所、幾らというふうな分類をして頂きたいのです。どつちみち災害費に予定された準備金だけでは、災害復旧はできないのですから、補正予算要求しなければならないものとして、毎年そのように聞いておりますが、予算の面というよりも、別の観点から予算を捻出するという形で以て一応できるのじやないかと思います。さもなければ、大幅の預金部融資或いは起債の点を緩和するか、しなければいけない状態では、地方財政災害のために潰されてしまうという県が多いのじやないかと思います。起債の面については、防災課長意見としてはどうですか。あなたが廻つて歩いて、これはもうどうしても起債をしなければこの県財政は潰れてしまうというような点が多々あると思います。それはあなたは防災課長としての観点では返事できないかも知れないけれども、事実今度の災害というのは該当しない対象が多いと思う。そうすれば無論防災課長としては、そのくらいの気持があつていいと思います。その際あなた自身で見たものを報告しなければならないと思いますが、先ず第一には今の調査表を出して頂きたい。その該当しないものと該当するものとの個所金額府県別、それからあなた自身がこれは建設省としてもう起債を許さなければならないのじやないかという見解をお持ちかどうか、この実情を知らして頂きたいと思います。
  29. 賀屋茂一

    説明員賀屋茂一君) この表は、これは国庫補助対象になるものだけの実は控えでございますが、これは検査いたしますと多少増減して来ると思いますが、この中で十五万以下というものは実はないわけでありますから、十五万以下というものは、別に府県が調べなければなりませんのですが、今年の災害対象で十五万円以下というものを調べまして表を作ろうと思います。これは実はこの表は検査をいたしまして、検査の結果を差上げます。それで十五万円以下は多少ひまどるかも知れませんから、一つ……。
  30. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) 皆さんにお諮りいたします。安定本部から公共事業課長監督課長が見えております。今の予算とは最も関係がございますから御了承下さい。
  31. 三輪貞治

    三輪貞治君 防災課長ちよつとお伺いしますが、これは本当の文字通り災害を防ぐという立場から、私は日本のいろいろな今までの災害というものは必ずしも天災であつて不可抗力のものばかりじやないと思う。私のほうでも、自分の小さい地方を廻つて見ましても本当名前よりも違つた名前で呼んでいる場合があります。例えば私どもの所に千人寄り、これは千人寄らなければ復旧しないというので、いつも大きい災害を受けている個所にそういう名前がついている。或いは貧乏土堤、その土堤があるために貧乏する。そういうふうに大体やられる所はきまつている。そういうところを考えてみると、全国河川について防災課あたりでは、このぐらいの川ではこのぐらいの雨が降ればこれはやられるというものがありはしないかと思う。そういうものがあれば、又なければそういうものを防災課あたり要求になつて、そういう調査をされて、それについての災害を防止する組織的な一つの行動を起すということが、やられたあとでいつも復旧に追われているということよりも必要じやないかと思う。現在におけるあなたのほうでやられているそういう組織的な防災計画、そういうもの、又その基礎になるところの河川河床調査、こういうものはどの程度まで今進んでいるか。
  32. 賀屋茂一

    説明員賀屋茂一君) まあ災害を受けることがすでにきまつているというようなお話でありますが、この災害復旧賽河原みたいなもので、幾らつても又壊れるというふうな感じもするのでありますが、災害復旧を現在いたしました所で、これが壊れた例もあります。ありますが最近の災害復旧をいたしました所では先ず次の災害に引返るというような事例は少うございます。私のほうで河川とか道路、橋梁というものを所管しているのでございますが、非常に少うございます。それで勿論お話のような川にしましても、海岸にしましても、最も危いという所はあります。ここが一番危いのだということ、これはございます。それから今度工事となりますと、非常に改良的なことを加味してもよろしいということになつておりますので、更に旧来のような原形復旧というような一点ばかりじやなく、それに改良を加えたものを災害復旧として取上げるということになつておりますので、この復旧につきましては改良ということを更に強化して行くということを考えております。  それから各河川の現況の調べなんでございますが、これはもう非常に河川が多いのでございまして、実は細かく調べてございません。ただ防災工事を実施いたしておりますので、先ず百ミリ程度の雨が降つたならどういう所が危険かということは個所的に調べております。そうしてその個所を実は防災工事で、その個所の大事なものから毎年手を打つているのでございます。これが非常に多いのでございまして、年年五億や六億ぐらいの金を持込みましたのでは事前に手が打てる状態にはならないのでございますが、それでも重要な個所であるということで防災的な手を打つているわけであります。それで調査ということになりますと、各河川を、そういうふうな大出水がした場合に被害を受ける点はこういう点だ、なお七十ミリぐらいで被害を受けるものはどのくらい、百ミリぐらいで受けるものはどの程度というような調べ方をしておりまして、それを基本に改良を進めて行きたい、こういうような状況でございます。
  33. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) ちよつと私質問したいのですが、先ほど十五万以下の個所は防災費を以てこれに充てるというお話がありましたが、十五万以下の個所で新規災害復旧と申しますか、今まで工作物のなかつたものが新らしく、まあ災害と申すか、そういう被害を受けたときに、そういう個所にこの防災費をお充てになるのですかどうですか。
  34. 賀屋茂一

    説明員賀屋茂一君) 防災の費用は実は今までは施設のありますものに充当いたしたいのでありますが、施設がなくてもこれが一番被害を受けるもとだというときには、防災費は施設を新らしく造つてやろうという場合でも、実はその選考する中に入れておるわけでございますが、どちらもやつております。
  35. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) 重ねてお尋ねいたしますが、先ほど田中委員並びに三輪委員から御質問なつ通りに、京都災害個所を見ましても、小さい渓流が今まで工作物がなかつたものが非常に災害を受けておる。こういうものについては、一つの例を申しますと、昭和十年のあの大災害に対して京都、兵庫、岡山、鳥取、島根この一府四県に対しては第二予備金を百二十五万円支出して、そういう工作物のなかつた個所にすぐ手を打つて、そういう個所工事を施しております。この京都或いは山口県或いは秋田県の地区のごとき激甚な災害を受けた個所に対しては、災害規定には該当しませんが、今申した昭和十年のあの例にならつて新らしく予算要求されて仕事をなさる御方針でありますか。そういうものは全然予算がないという建前から、この際は補正予算にも組まないというふうな建前になつておりますか、そこはどうですか。
  36. 伊藤六三

    説明員(伊藤大三君) 只今のお尋ねでございまするが、災害復旧という私のほうの考えから行きますと、一応法規に合致するものを災害復旧といたしまして、法規に照してこれを査定し、そしてこの査定によつて行くというふうにいたしておるわけでございますが、工作物が全然ないというような所で、上流の何で、小さく壊れたものについてはどうするかということにつきましては、これはちよつと今の災害復旧規定では要求ができないというような現状になつております。併し災害復旧費は必ずしも法規に合つたものばかり出されておるという現状でもありませず、災害対策費といたしまして或る程度の余裕を持たされて出されておるような現状でもございまするので、実は私のほうといたしましても、例えば上流地方の非常に荒廃してしまつた、土砂で埋まつてしまつておるというような問題につきましては、これは何とか、補正予算でなければ、又は今の災害費のいわゆる予備費としてとつておられるものから、何とか考えて頂きたいというようなお話は今関係方面へ進めておる状況でございます。これは予算化するかどうかという問題は、これは今後の問題でございますが、そういう問題について一応手は打つておるのでございます。なお災害復旧と関連いたしまして、その河川災害激甚なものにつきましては、ただ災害復旧のみではいけない、災害復旧規定のみではどうにも処理ができない、併し災害復旧を入れるだけではなかなか問題が解決できんというものにつきましては、従来からございます災害助成というような問題につきまして、この災害査定と併せまして、まあそれも研究中でございまするが、今回の補正予算と、又勿論災害復旧費というものについての要求はいたしておりますが、来年度におきましてこの問題を考えたいと思つております。
  37. 田中一

    田中一君 京都の賀茂川の木橋が大抵流失しております。あれについて戦時中京都市が約百万の補助金を返還しておることは御承知通りであります。むろん今まで災害においても、一昨年、前々の災害においても、京都の賀茂川に架けられた木橋は大抵流失しておるのです。この際昨年の三条の大橋のように全部を永久橋に架け換えるというようなことを考えておらんかどうかお伺いいたします。
  38. 伊藤六三

    説明員(伊藤大三君) 災害復旧という言葉の何から行きまして、従来におきましては大体原形の復旧ということをまあ原則といたして参つて、それでは非常に今後の災害をなお繰返すという虞れのあるものにつきましては、或る程度の改良も加えて実施いたして来たわけであります。併し従来におきましては、原形復旧ということに非常に重きを置いておつたという若干のきらいもございまして、この点につきまして相当御批判も受けておつたわけでございまするが、今回の改正を機会といたしまして、この再度災害を受ける虞れが多いというような問題を含むものにつきましては、相当の改良もこの際考えるというような方針に進んで参つておるわけでございます。今問題の賀茂川の木橋の問題でございまするが、私のほうもまあ道路復旧の問題につきましても、もとより原形復旧ということを原則にいたしておりまするが、先ほど申上げましたように、相当の改良も加えるという方針で進んでおります。従つて道路橋梁につきましても、交通の相当に多いとか、重要な道路、特に市内の今の賀茂川沿いの道路というものは、相当重要性もございまするから、この際この橋梁の架け換えにつきましても相当改良という点も加味して、そしてこの問題を解決して参りたいと、こう存じておるわけでございます。
  39. 田中一

    田中一君 そうしますと京都の場合にですね、これは具体的にどういう方法で以て解決しようというような御意見ですか。
  40. 伊藤六三

    説明員(伊藤大三君) これにつきましては目下査定官が参りましていろいろとそのうちの細かい問題の審査をやつておるわけであります。だから今はつきりと申上げるのもどうかと思いまするが、根本の方針といたしまして、毎年流れるその木橋を又架け換えるということもどうかと思いまするので、できるだけこれを永久橋にいたして参りたい。なおそれと関連いたしまして、その工事の内容等も相当改良を加えて参りたいと思います。
  41. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) 農林大臣が見えられましたが、二十分ほどしか時間がないそうですから、先ず以て農林大臣に対する質問をお願いいたします。
  42. 田中一

    田中一君 先般の台風で、京都府下の平和池決壊した。これについて農林省の所管のように聞いておるのですが、現在までにその原因について報告になつておるところだけを一応伺つておきたいと思います。
  43. 根本龍太郎

    国務大臣(根本龍太郎君) この問題につきましては、実は相当科学的調査が必要なようであります。それを現在までに農林省に現地関係方面から来たところの状況報告を綜合いたしますれば、先ず第一にどうしても非常な、異常な降雨量が一時に参つたということが最大の原因のように見えます。それはこの前も本会議で三輪さんの御質問にお答えいたしましたように、過去五十年の雨量の実績を超えておる、こういうことが一つのまあ原因であります。従来はたしか五十年の実績に応じて設計されたと聞いておるのでありますが、細かいところは事務当局から御説明申上げますが、そのような状況一つの原因である。更にそれが短時日の間に急に参つたということと、而もそれに伴いまして水ばかりでなく、二百七カ所に亘つて山崩れがあつた、土砂が一緒にわつと参つたものですから、その圧力というものが非常に大きくなつたわけであります。たしかあれは十六万立方メートルの容量だと思いますが、それに対して三万五、六千立方メートルの土砂が一時に参つた、これが一つの原因であると今のところ考えております。それからもう一つは、あの溜池はこの前三輪さんの御指摘になつたように相当堰堤が高いのです。若し崩れたら下のほうが非常に困るというので、当時から非常に地元住民は危険を感じて反対運動があつたそうでありますので、特に管理については細かい規程を設けておつたようであります。それによりますれば、雨量の多い時期、いわば洪水期と申しますか、その時期においてはあの溜池を空つぽにしておく、こういう条件の管理規程があつたわけでありますが、丁度あたかもこの降雨が参ります前に相当日照りが続いておつたのと、そうしてあたかもこれが田植に遭遇しておりましたので、地元のこの管理者が善意の過失だと思いますが、水が枯れては困るという農民の要請を入れて相当満水になつておつた。而もそれが殆んど突如としてわつと来たので、調整する余地なく、オーバーしてしまつた。それが決潰の原因になつたと一応考えられております。  以上、これが今までの報告でございますが、設計そのものに非常に間違いがあつたか、或いは又設計はいいけれども、工事施行において手落ちがあつたかどうか、或いは又、勿論これは設計の一つになりますけれども、資材その他が設計通りにやられていたかどうか、こういろ問題に対しては非常にこれは科学的な現地調査を必要といたしますので、目下これは建設省並びに農林省はもとよりのこと、大学関係のほうからも人を出して頂いてその究明を図つておる、こういう状況であります。まだ的確なる結論は出ていない状態でございます。
  44. 田中一

    田中一君 今の大臣の御説明でわかりました。わかりましたが、ここに管理規程ができておつて、それを守らないのはいわゆる管理者の責任だというお言葉がありましたが、これは暴言だと思います。これは一面原因の科学的な調査をやつても原因がわからないというお話がありながら、そこに一応管理規程を示して、それによつて管理させておるので管理者の責任であるというお言葉がありましたが、これはお取消し願います。事実先般私は現地に行つて調べましたところ、二十五年の八月四日、京都府の農地部長から亀岡町長に対して管理についての一応の案を出し、こうして管理をしたらどうかという案が示された。それが正式に京都府の農地部長からこれを守るべし、或いは守らなければならないという指示がない、現在のところ……。それで今言うように二十五年八月四日に案として亀岡防水溜池管理要綱案として出ておるように聞いております。こういう点について、これは私は今日責任の所在をお伺いしておるのではないので、技術的にあの溜池そのものが、日本には試作として四つあるそうでありますが、これが竣工したのは二十四年で、二十五年の八月四日初めて京都府の農地部長から亀岡町長に示されておるが、これは決定しておりません。こういうものに対して今大臣の、管理の不行届という言葉はお取消し願いたいのであります。これは百何人かの人が死んでおりまして、気分もいらいらしておりますから、この言葉が亀岡町の人に聞えたならば……、これは大臣として軽卒な言葉ではないかと思います。一面この原因はわからないという口の下から管理問題を云々されることはどうも死んだ人や罹災者に対して不謹慎ではないかと思います。それでこの原因については、私はここで責任をどうこういうのではありません。ただこれと同じような設計によつて、同じようなアイデイアによつて実施されたいわゆるモデル・ケースがほかに四つございます。若し雨が五十五年振り、六十年振りに降つた場合には必ず決潰するというように断定された形になると思うのです。今五十年振りの雨だとあなたはおつしやるけれども、これは五十五年振りの雨が降つたらこれは必ず決潰するのだという説明をなさつたように聞えます。これは他にこういう類似のものがなければかまわないが、同じようなモデル・ケースが四つもあるのですから、只今のお言葉はお取消し願いたい。一応今日の段階において科学的調査をやつて現在わかつておる程度のものを伺いたいというのです。少し御批判が入つておつたことは遺憾と思います。残つておる四つの溜池についてはどういう方法を守ろうとしておるか、五十五年振りの雨が降つた時に、これをどう守ろうとしておるか、こういう点も伺いたいのであります。
  45. 根本龍太郎

    国務大臣(根本龍太郎君) 先ほど私がお答えしたのは結論でなく、結論はまだ出てなく現地の報告において、全然わからないというような答弁は政治的に申しかねます。そこで現地からこうしたことが大きな原因ではなかろうかと、こう言つて来ておりますので、そのまま卒直に申上げたのであります。なお管理規程につきましては事務当局から詳細に説明をいたさせますが、私はあの事件が起つた時にこれは重大問題である。今後折角防水のために作つたものが、こういうことになると、今後の災害防除の工事について重大な支障を来たすというので現地に係官を派遣すると共に、又災害の重大性に鑑みまして、私当時行けませんでしたので、政務次官に状況視察をさせまして、そうして聞いた状況が、概括的に申しますと、先ほどのような状況で、決定的のものでありません。ただ国会でございますので、皆様がいろいろ御心配をなされておるので、只今までに我々のところに届いたところの現地の報告は次のようであると、こう申上げただけでありまして、何も管理規程を厳守しなかつたとかどうというのでなく、管理規程が我々のほうで聞いておるところでは、あれは六月中はずつと空虚にしておくべきなのに、然るにそれが只今申上げましたような理由で満水になつておつた。これも一つの原因ではないかというような報告がありますので、その事実を今申上げた次第でございまして、私が断定したのではございません。なお管理規程問題については櫻井建設部長から答弁いたさせます。
  46. 櫻井志郎

    説明員(櫻井志郎君) 管理規程につきましては、京都府の農地部長が亀岡町長を管理者といたしまして、農林省から管理規程の雛型と申しますか、何分の指示があるまで暫定的にこの管理規程によれというふうに亀岡町長に管理規程を示しておつたという報告を承わつております。
  47. 田中一

    田中一君 それは私が調べて見ましたところでは、二十五年八月四日に農地部長から亀岡防水溜池管理要綱(案)というのが示されただけでありまして、今何分の指示があるまでとおつしやつたが、あとで実際の管理規程をお作りになつたですか。
  48. 櫻井志郎

    説明員(櫻井志郎君) 甚だ遺憾でございますが、まだ出しておりません。
  49. 田中一

    田中一君 それでは他の四つのモデル・ケースについてはどういう対策を講じていらつしやるか。
  50. 櫻井志郎

    説明員(櫻井志郎君) 他の四つのうち、一つは途中中止いたしまして三つございますが、これにつきましては、これのみになりませず一般の潅漑用の貯水池も含めまして、将来かようなことを引起すということは絶対避けなければいけないということで目下再検討いたしております。万一かような故障が来るということではいけないと思います。
  51. 田中一

    田中一君 再検討なすつておるということはどういうことですか。現地において一応それに対するモデル・ケースとして農林省が誇つてこれをお作りになつたと聞いております。よつてもうこれ以上は災害がないという見地から再検討しておるのか。或いはこの平和池の現状から見て技術的にこうしなければならないという結論が出たのか。或いはもう台風期に入つておりますので、いつそのうち台風は来るかも知れませんが、応急の措置をとられて然るべきと考えますが、この点をお伺いしたいと思います。
  52. 櫻井志郎

    説明員(櫻井志郎君) 平和池の問題は、これは決壊して非常な惨事を引起したのは甚だ遺憾でございますが、この設計者なり、或いは大学の援助を受けておりますが、いずれにいたしましても決壊するだろうという予想は誰も持つておらないので、先ず万全だということで出発したわけでありますが、他のいずれの溜池にいたしましても同様の考え方で出発いたしておるわけであります。平和池がそういう考えで出発したにもかかわらず、現実に、理由は別といたしまして、現実に壊れたこの現実を以てするならば、他のものも同様な考えで進んだにいたしましても、同じような現実が二度と繰返されるということはこれは申訳ない、こういう考えでございます。
  53. 田中一

    田中一君 それでどういう手を打つていらつしやるんですか、具体的に……。
  54. 櫻井志郎

    説明員(櫻井志郎君) 差当つては設計書を調べておるわけであります。現地に、一々調査というのはなかなか大変なもんですから今設計書を調べておるわけであります。それで若し結局まあ余水はけの能力の余裕の程度の問題でございますが、これも大臣から申上げました通り、過去五十年の記録というものを根拠として出発しておりますが、御指摘のように過去五十年の記録を超えるというものはないということはこれは断定できないわけでございます。その点を含めて余水はけの安全性ということが先ず一番で、これは個々のケースでその仕事状態なり何なりから判定して行かなければなりません。
  55. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) 一昨日の本会議におきまして、この防災堰堤の、あの平和池の三輪委員の御質問に対して、農林大臣から五十年以来の大洪水、又亀岡町が常に空にすべきをたまたま空にしていなかつた。無論その他の原因はなお今調査中でありますが、この二つのことを挙げられまして、聞いている我々からいたしますと、つまり予想以上の大洪水のためと、それから亀岡町の管理が悪かつた、この二つ災害の原因のように聞えるのでございます。このために私は特に大臣に御出席を願つて大臣から直接に御答弁願いたいと思うのです。それで私が第一に聞きたいことは、洪水が五十年以来の大洪水と言われますが、防災堰堤が築造してない場合にも、果してかような災害河川下流に起つてあの惨事を起したものでありましようかどうか。これに対するお答えを承わりたいと思います。若しも堰堤がなかつた場合に、あれほどの、五十年以来の雨とおつしやいますが、あの雨のために堰堤がなかつた場合においても今回と同じような災害下流部に起つたものと考えられますかどうでしようか。
  56. 根本龍太郎

    国務大臣(根本龍太郎君) これは断定はいたすことができないと思います。私の申したのは、先ほど申上げたように、あの設計が五十年の過去の災害状況を基礎として設計着工されたのだということであります。ところが今回の雨量並びにその時期的な集中の仕方は、五十年来の記録を超えておるということを申しただけでありまして、従いましてあの工事しないでおれば災害がなかつたとかあるとかいうことについては全然言及もしておりませんし、さようなことは考えておりません。
  57. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) それならそれでよろしゆうございます。五十年とおつしやいますと、明治三十三年、一体年谷川流域は以前もそれほど荒廃していなかつたものでしようかどうでしようか。これは過去の事実においてもはつきりわかつておるはずですから、それを御答弁願いたいと思います。
  58. 根本龍太郎

    国務大臣(根本龍太郎君) これは私実は正確なデータを持つておりませんので、相当技術的な問題に亘りまするので建設部長から答弁いたさせます。
  59. 櫻井志郎

    説明員(櫻井志郎君) 私どもが受けております報告は、そのような大きな荒廃はあつたという報告は受けておりません。
  60. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) 五十年以来の大洪水とおつしやいますが、恐らく明治二十九年が最もあの辺に大洪水があつたことと思います。明治二十九年は丁度今から申しますと五十四年前です。今おつしやる五十年前とちよつと当てはまりませんが、僅か三年、四年先きに大洪水があつたのに、何故それを調査根拠にせずに、単に五十年来の洪水と言うのかそれがわからないのです。
  61. 櫻井志郎

    説明員(櫻井志郎君) 御指摘の通り二十九年にさような大洪水があつたということは、これは誠に申訳ないことでありまするが、知りません。府からもそういう報告を受けておりません。設計書にも記載してございません。従つて知りません。
  62. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) 如何に年谷川が荒廃をしていたかは私どももこれはよく調べていて、現に年谷川の仕事に対しては内務省としては気をつけていました。そうして当時もう上流の荒廃地に対しても、明治四十一年からして大正七年まで継続的に山腹工事をやつていまして、荒廃地はたくさんあつたのであります。もう確たる事実があるにもかかわらずそのことを調べずにその計画を立てる、その意味がわからない。
  63. 櫻井志郎

    説明員(櫻井志郎君) 私ども、過去の計画を基調として京都府が提出いたしました報告書に記載しておりますこれを以て判断いたしたのであります。
  64. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) 京都府が提出したものにいたしましても、農林省でこれを計画なさる。而も防災堰堤として昭和二十年に初めてこういう堰堤を着手して、而も全国に五つ計画して、その中の一つがあるという場合には、少なくとも農林省が直轄においても京都府の調査に基いて仕事計画されるはずだと私は思います。僅かあの流域を踏査されたならどういうふうに破壊したか、あの事実を知つている者の言を以てしてもこういう事実があつたということははつきりわかつております。そういうことは京都府の調査に基いて、而も本省は知らないというのでは誠に責任の所在が不明だと思います。この点に対してどうお考えなんですか。
  65. 櫻井志郎

    説明員(櫻井志郎君) これは当然今から見れば結果論になりますけれども、農林省がもつと現地調査をすればよかつた、そうすれば御指摘の点は我我も判明したことと思いますが、今申上げました通り甚だ不行届であつたことは否めないと思いますが、現地調査農林省としてはいたさないで出発したわけであります。
  66. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) 私は実に意外のことを今聞くのであります。五ケ所を選定して模範的な仕事を、而し私はこれを聞いたところでは農林省が直轄の仕事、或いはこれは府でやつたか知りませんが、そういう計画で、而も初めは全部府でなすつたと聞いております。けれども現地の調査もせずして施行されるというのは誠に奇怪な感がするのであります。そういうことで一体農林省……私は責任は追及いたしません。この際は追及いたしませんが、農林省の施行というものは一体そんなものなんでしようか。農林省の直轄の仕事をなさる場合に、現地も何も調査もせずになさるということは、誠に何と申したらよいのでありますか、初めて聞くのでありますが、まあその点はそこで置いておきます。次に申したいことは、あの土堰堤のある個所の両岸は立派な岩盤であります。あの岩盤でありますから、万一土堰堤を水が越すような場合には、岩盤を切取つて、そこから余水はけを造つて置くのであるならば、まあ普通の常識でそういうふうにやつております。然るにかかわらずあの新らしい特設の施設をして余水を排しておりますが、なぜあの岩盤を切取られることを農林省はお考えにならなかつたのでしようか。
  67. 櫻井志郎

    説明員(櫻井志郎君) 直轄事業でも調査していないかという先ほどのお話でありますが、直轄事業については農林省は責任を持つて調査をしております。それから今の場合ですが、余水はけをなぜ地山に取付けた余水はけにしなかつたかという問題でございますが、実は私どももこの点について卒直に申上げますと、そうするほうがよかつたということを今考えております。当時の府の計画者の意見を徴しますと、まああのほうが安かつたという話なんであります。
  68. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) もう一つ承わりたいのは、竪樋によつて余水はけができておりますが、ああいう場合に、先ほども申した通りに、従来も崩壊地があつたということを考えるならば、あの竪樋の余水はけに、少くとも流木その他いろいろ上流から流れ来る水の流れの障害となるものがあの竪樋の入口に入らないように、スクリーンを設けて置くのが常識と思いますが、そのスクリーンを設けて置かないで、それがために竪樋にたくさんの障害のものが入つたことは、この写真を見ても明らかであります。これに対してなぜスクリーンを設けないか、これは技術上から見ても立派な欠陥と思いますが、これに対する御答弁を願いたい。
  69. 櫻井志郎

    説明員(櫻井志郎君) スクリーンの問題でありますが、スクリーンを付けて、そのスクリーンに今お話の流木その他が、引かかつて、却つてそれが通水能力を阻害すると、こういう意見と、今おつしやつたように、当然スクリーンを付けるべきだと、こういう意見とが計画の当時闘われた事実がございます。あとで調べました。ただ結論を申上げますと、スクリーンを付けないという意見が勝つたということだけ申上げて置きます。
  70. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) もう一つ承わりたい。このスクリーンに残つたごみの痕跡でどこまで洪水があつたかはつきりわかつておりますが、その痕跡とそれから土堰堤の残つた右岸の付け根の高さで洪水が土堰堤を越したか越さなかつたかははつきりわかるはずです。少くともすべての調査に先立つて先ずあの土堰堤を越水したかどうかは、これは素人でも考えるべきものと思いますが、従つてこれは当然御調査なすつておられると思いますが、どうですか。あの堰堤を洪水は越したものでありましようか、どうですか。
  71. 櫻井志郎

    説明員(櫻井志郎君) 越したものと判定いたしております。
  72. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) もう一つ土堰堤を築造中に、土堰堤の中にパイプを差し込んでブロツテイング・セメントを注入したと、こういうことを承わつておりますが、土堰堤の中にセメントを注入したのも、恐らく土堰堤築造後水がどこからか流れ出るために、これを防ぐためにされたものと思いますが、併しこれは何のためにそのセメントを注入したものか、なお農林省としてのお考えを承わりたい。
  73. 櫻井志郎

    説明員(櫻井志郎君) 築造後漏水を発見して、その漏水を防止するために注入したということを報告を受けました。
  74. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) そうすると、築造をした堰堤がやはり漏水したと、こういう事実ははつきりいたしました。その場合に、土堰堤の中にセメントを注入してそれで水の滲透して流れ出るのを防ぎ得ると農林省ではお考えでしようか。
  75. 櫻井志郎

    説明員(櫻井志郎君) 私今はつきり記憶いたしておりませんが、土堰堤の中の漏水をとめるためにこのブロツテイングをやつたか、或いは土堰堤と岩盤の継ぎ目の、その岩盤の切取りが不十分であるために、その岩盤のクラツクを抑えるためにブロツテイングしたか、たしかクラツクを抑えるためにブロツテイングしたというふうに記憶いたしておりますが、或いは私の記憶が間違いかも知れません。間違つておりましたら、後ほど訂正させて頂きます。
  76. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) 私はこれに関してなお多くの質問をしたいと思いますが、併し折角農林省調査中でありますから、御調査の結果を承わりまして、又私どももこれをできるだけ調査いたしまして、その際に改めてなお御質問申上げたいと思います。
  77. 田中一

    田中一君 私は今度の災害について技術的な……、大臣も御承知のように、科学的調査を十分おやりになつて、その結論を必ず委員会に御報告願いたい。同時に残された三つのモデル・ケースについては、ただ今図面の上において研究しておるという段階ではなくて、もう如何にすべきかということが具体的に措置されなければならない時期だと思うのです。今建設部長の話を聞くと、まだそこまで行つていないように感ぜられますが、これは甚だ遺憾に存じます。どうか急速にこの問題を実施するようにお取計らいを願いたいのです。  それからもう一点、管理要綱がまだできていないということは、甚だ遺憾を通り越して、馬鹿にし過ぎております。二十四年にできて、二十五年に示して、二十六年に災害があつて、現在一カ月以上を過ぎてなお且つ管理規程ができていない、こういうことは甚だ行政官として至らない、又とんでもない話です。そういうことが国会で論議せられるなんということはあり得ません。甚だ恥です。どうかこの点は急速に地元の管理者が安心して管理し得るような方法をとつて頂きたい。現に御承知通り、篠村と亀岡町との間にはそのために論議を起し、亀岡町の町長は自分の私財を擲つておる。私が行つたときにもハンストをやつておりましたが、亀岡町長から、この池を造ることは俺が命に賭て保証するという一札をとつておるそうであります。これはなぜかというと、農林省として絶対これは心配ないということを太鼓判を捺したからこそ初めて亀岡町長はその約束をしておる。その責任を追及して四、五十人の人間がハンストをやつておりましたが、これを慰撫しまして解散させましたけれども、これを見ましても、未だに管理要綱もなくて、管理者の亀岡町と災害を受けたところの篠村とが、常に仲のよい両町村がそうして血判してまで争つておる事実を見ても私はあえて大臣は責めませんが、係官のかたが晏如として管理規程も作らないで、このモデル・ケース三つについて何らの具体的措置をとらないということは怠慢です。至急にこの問題を再び前轍を踏まないように御措置を願いたいと思う。ただいろいろな結論の問題については、いずれ結果を見て伺いたいと思います。
  78. 根本龍太郎

    国務大臣(根本龍太郎君) 只今は赤木委員及び皆さんから、非常に事柄の重大性に鑑みまして適切なる警告並びに御忠言を頂いたことは、私にとりましても身に泌みてこの問題の処理をしなければならないという決意を改めさしたのであります。御承知のように最近における日本の災害は、過去の単なる統計資料だけでは処置しきれないような状況になつております。従いまして過去においてこれだけの設計で大丈夫であつたというものについても安心できない状況であるということが、これは溜池のみならず、全体の公共事業において起つておる現状だと私は考えます。従つて責任逃れとか、何とかいうことではなく、人命に関し、又同時に国民の経済生活に重大な、或いは又生命に関する重大な問題でありまするために、単なる過去の資料だけにとどまらず、今後におけるいろいろの予想さるべきところの災害の情勢をも考えて、補強並びに管理の徹底を期したいと存ずる次第であります。特に亀岡町の町長につきましては私も非常な同情を持つております。先ほど御指摘のように、これらの人々は恐らく技術的な何らの見解も持つていません。従いまして農林省なり、或いは府庁の技術官がこれは大丈夫だといえば、それを信じておるに違いありません。而もその結果についての責任はこれを指示したところの町長にすべてが参るということになりますれば、これは今後管理者になる人は恐らく非常な躊躇と不安を感ずるでありましようから、この点につきましてはどこまでも技術者が良心的に行政上の責任を持つて行けるということをはつきりさしておかなければならんと思います。その意味におきまして、今度の災害状況は、今後大きな問題が腹蔵されておる三つの同様のケースもありまするので、徹底的に調査し、そうしてこれは過去の経緯にとらわれず、技術的に全面的に改正すべきものは思い切つてやらなければなりませんし、補強程度でできるものは補強いたすというふうにいたさしたいと思います。  なお管理規程の問題につきましては、私も非常に不注意でございまして、私も実はこの問題が起つたときすぐに聞いたのであります。こういう問題については恐らく管理規程ができておろうが、それはできておるか、ちやんと立派にできておる、そうしてすでにそれは管理させておるのだ、こういうふうに聞いたので、当然それはしかあるべきはずだと存じたのであります。今聞いて見ますと、それは単なる案に過ぎなかつた。而もそれが権利については管理者並びに京都自身も確信を持つたものが出ていないということになりますと、これは非常な大きな行政上の誤りであります。速かにこれは事務当局をして是正させまして、この問題の解決に当りたいと存じます。特に申上げたいのは、この問題について責任の云々を考えて、いい加減にこの結論を出すことはいたしたくありません。これは今度の問題のみならず、今後のこうした同様の工事について国民に安心せしめる意味においても、徹底的に究明してやりたいと思います。なお又技術の問題についてでありまするが、これは私が今考えておる問題といたしましては、新らしい設計、新らしい工法というものは結構でありまするけれども、本当に実験的な成果のあるものでなければなかなかとるべきじやないというような感じもいたしているのであります。それがテスト・ケースになつて、普通の工場生産のようなものでなく、人命並びに経済上並びに治安上に大きなこれは影響をするような問題でありますので、特段に、今後は新らしい設計については十分実験的な成果が出たとき初めてこれを全面的に実施するようにいたしたいものだと、かように考えておる次第であります。
  79. 三輪貞治

    三輪貞治君 この平和池の罹災者に対する救援については、遺憾なきを期するという先日の御答弁が本会議で行われましたが、ただ抽象的にそれを伺つただけでは満足できない。具体的に現在においてどのような程度に救援がされておるか、現に亀岡の町長が私財まで擲つているということであつては、必らずしもこれは万全が期されていないということが考えられますので、現在においてどのような救援をされ、今後においてどれだけの御用意があるかということ。それからこれは要望でありますけれども、こういう問題が起りますと、何か技術者その他も消極的になりまして、そういう新らしい工事等について躊躇逡巡をするということがありがちである。併しながら高度な科学的な技術と、洗練された事務とがうまく結び付きましてやる場合には、決してこれは恐るべきものではないのでありまして、非は非として改めることにおいて、将来におけるいろいろな決定事項等については消極的になる必要はない、こういつたようなことを特に私は要望しておきたいと思うのであります。
  80. 根本龍太郎

    国務大臣(根本龍太郎君) 只今三輪さん、御指摘されました救援の問題でありますが、実際上は立法的には、こういう災害において人命その他の被害があつた場合に、その工事に伴うところの災害復旧はどんどんやりますけれども、直接のこの救済方法がありません。これは非常に遺憾なところです。これは今後政府考え、又立法府においても考えて頂かなきやならん点がたくさんあります。これは単にこういう溜池のみならず、一般の洪水、暴風、これに伴うところの災害救助が、殆んど立法的措置がございませんので、主として従来までは地方庁においてこれを実施をいたしまして、政府がそれに対して助成とか、何かの方法でやつているような姿に過ぎません。或いは又若干の見舞金をやるという程度でありまして、非常に足らない点があると思いまするが、今直接具体的にどうするというところまで私実は遺憾ながらまだできておりません。ちよつと速記をとめてもらいます。
  81. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  82. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) では速記を始めて下さい。昭和十年の大災害に鑑みまして農林省、当時の内務省技術官が集りまして高さ十メートル以上の堰堤に対しましては高堰堤規則というものを設けたのです。そうしてそういう堰堤にはどういう築造をしてはならんというお互いの取りきめがありました。併しこれも戦争後いろいろな関係で全然改つていない。殊に今仕事をされている個所は、丁度いずれも準用河川以上の地点でございますから建設省にあえてそういう協議をしなくてもいい、こういうお考えかも知れませんが、やはりそういう高い堰堤に関しては今まではそういう規定があつたのですから、私は技術的な観点から言うならば、よし準用河川以上の土地におきましても、その準用規定をお考え下さいまして、両省の技術者の協議をして頂くのがこれは先ず技術的責任じやないかと思います。それの今適用されていないというのは非常に遺憾に思います。これは大臣に特にこの点伺いたいと思います。
  83. 根本龍太郎

    国務大臣(根本龍太郎君) 私実はこの問題については本当の素人でありましてよくわかりませんが、少くとも政府で持つておる最高の技術をこれは動員すべきであると、こう私は考えます。そのためにセクシヨナリズムによりましてこれは俺のほうだからお前のほうの干渉は受けないとか何とかいうことは、これはとるべきことじやないと思います。よく事情を調べまして、少くともこういうような大きな工事につきましては政府の持てる、又民間人の持つているものでもできるだけ技術を動員しまして万全を期するように処置いたしたいと存じます。
  84. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) 大臣に対する御質問ありませんか。ついでに平和池に対する御質問はありませんか。……では農林省はこれで……。続いて安本のかたも見えておりますから、さつきの災害並びに平和池に対して安本のかたにお聞きになつても……、私中尾さんにちよつとお伺いしたいのですがね、この前の国会におきましても、昨年の国会におきましても防災堰堤に対して私は非常に疑問を持つていたのです。たまたま今回こういう不祥事を起しましたから、特に安定本部といたしましても二十年度から初めて防災堰堤ができたのでありますが、今後特別のお考えを願いたいと思います。私本年青森、山形に行つておりましたところが、山形の或る河川で、その河川上流三カ所に防災堰堤を作ることになつている、そうして仕事をする場所はまだ決定してないが、約一億の予算をこれに当てはめている、そういうことを言つていました。実際仕事しているのはどの辺か存じません。併し予定の個所を見て来ました。果してこれは防災堰堤でいいか悪いか当然砂防の堰堤と思うような所に計画していましたが、そういうこともありますから、格段の御注意をお願いしておく次第であります。
  85. 中尾博之

    説明員(中尾博之君) 災害に顧みまして、防災堰堤の今後の取扱い、その他慎重に技術的ないろいろの御検討を経て処理いたしたいと思つております。
  86. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) もう一つ中尾さんにお伺いしますが、先ほど河川局次長の御答弁がありましたが、災害復旧規定から申しますと、当然これは取上げるべきものでありません、工事でありませんから。併し京都府或いは山口のごとく、或いは秋田の一部のごとく格段の災害が起きた場所については何かの途を講じて頂かないと、或いは河川工事のごときは、これは経理超過と申しますか、改良工事と申しますか、災害を受けた場所をなお相当範囲拡大して仕事をしますが、砂防工事のごときはまあ、工作物がないという観点から全然仕事していない。そういう点がありますから、これには普通の予算を以てそこに当てますと、普通の仕事をする予算がますます減つてしまいますから、これについて特別の御考慮をお願いしたい。これも私お願いしておきます。
  87. 田中一

    田中一君 これはどつちになるか……伊藤さんにお伺いいたします。京都の木橋の問題ですが、どういう措置をするというお話でしたかな。今度の場合、そうすると原形復旧という原則を破るというのですか。それはそのままにしておいて、別途の方法で以てやるというのですか。
  88. 伊藤六三

    説明員(伊藤大三君) 普通に現在の災害復旧規定の範囲内で改良のできるものにつきましては、今後災害復旧費からこの原形復旧費も改良部分も一緒に出す。ただこれについてはスライドの関係が違いまするので、私のほうとしては費用の工面をしなければならない。そういうような何もありますが、具体的に何をやるか、改良をやる、改良をやるで、どういうことをやるか。具体的な細かい設計の問題につきましては、まあ向うで今まだ査定中であります。大体の方針といたしましては、例えば今のような木橋でありますれば、どうしても橋脚は多く立てなければならんというような問題もあり、かたがたまあよく流れるのはあぶないというようなことから橋脚を少くするような場合においても、例えばコンクリートの脚のようなもので以て、そうして深くする。底の根掘りを深くするというような改良工事程度でやらなければならん。その場合には木橋のほうを何本立てる、橋脚を立てるに対して例えばコンクリート橋ならばどれくらいとか、二つのものを比較して、余分に出て来る部分についてはこれも一つ改良費として災害費から出す。こういうようなやり方をやるつもりであります。それらの問題につきましては、まだはつきり査定して参つておりませんから、いずれが、皆永久橋で来ておるというようなことについてはまだ申上げかねます。
  89. 田中一

    田中一君 もう一遍伺いますが、そうすると結局賀茂川の主要橋梁に対しては永久橋にする方針を考究中であるということなんですね。
  90. 伊藤六三

    説明員(伊藤大三君) 要するに道路橋につきまして交通量が相当多いので、このような橋梁というようなものにつきましては、これは当然今後の問題を考えまして改良を加味して行くということでございます。
  91. 田中一

    田中一君 もう一つ、曾つてお墨付き九十何万円をお返しております。十九年、戦争末期に補助金を九十六万何千円というものを京都府は政府に返しておるのです。工事を中止するという意味において。私はそのお墨付はまだ生きておると思うのでありますが、これに対する考え方はどうでしよう。
  92. 賀屋茂一

    説明員賀屋茂一君) これは昭和十年の災害で賀茂川は、あれは一定の計画で、改良計画になつておりました。それでこれに伴いまして橋も全体計画では改良することになつておる地が多かつたのであります。それで戦争中にあの決戦非常措置という取扱になりまして、資材がたくさんかかるというようなものは実はやめさしたわけなんでございまして、やめさした結果、当初予定しておつた工費よりも工費が余つて来たわけでございます。それに対する国庫補助はしなかつたということなんで、京都府に出した金を戻さしたというわけでは実はないのでございまして、途中でやめさせまして、当初補助しようという計画のものを一部補助をあとで取消したという形なんです。それで実はこれで皆木橋になつておるわけなんでございますが、これは戦争中の災害で、強いて資材がなくて特に程度を下げた施工をやむを得ずさしたものにつきましては、今後資材が潤沢になり、財源もできて来た場合には別途に考えようということを実は申合せをしておるわけでございます。でございますが、まだ賀茂川の実はこの橋梁につきましては、これは全部そういう特別の措置をやるかどうかということになつておりませんので、今回の査定につきましては、日程に入つておりません。査定会議は大体永久で作る場合、或いは木造でもよいという見通しのものと数案作つてつて参りまして、全体的に協議して決定しようという段取りにいたしております。
  93. 田中一

    田中一君 そうすると、そういう申合せ規定は考慮に入れられないわけですか。
  94. 賀屋茂一

    説明員賀屋茂一君) それは別に入れられないわけではないのでございますが……。
  95. 田中一

    田中一君 入れられるのですか。
  96. 賀屋茂一

    説明員賀屋茂一君) これも併せて考えてやろうと……。
  97. 田中一

    田中一君 別途に考える。
  98. 賀屋茂一

    説明員賀屋茂一君) 別途に考えるのでありますが、前の案をすぐに生かしてやろうということじやないのでありまして、京都府も要望し、又必要であると認めれば別途に考えてやろうという通牒になつておるのでありまして、今我々の気持といたしませば、できるだけこれを活用して立派な橋が作りたいと、かように考えております。
  99. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) 別に御発言ありませんか。
  100. 小川久義

    ○小川久義君 これくらいで閉会しましよう。
  101. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) もう別に、よろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  102. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) では本日はこれを以て委員会を終了いたします。    午後三時十九分散会  出席者は左の通り    理事            赤木 正雄君            田中  一君            小川 久義君    委員            石川 榮一君            島津 忠彦君            三輪 貞治君            東   隆君   国務大臣    農 林 大 臣 根本龍太郎君    建 設 大 臣 野田 卯一君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君    常任委員会専門    員       菊池 璋三君   説明員    農林省農地局建    設部長     櫻井 志郎君    建設省河川局次    長       伊藤 大三君    建設省河川局防    災課長     賀屋 茂一君    経済安定本部建    設交通局公共事    業課長     中尾 博之君