○菊川孝夫君 私は
講和全権委員並びに
全権委員代理の
任命につき
国会の
議決を求める件について、
承認することに賛成するものであります。併しこの際に明らかにしておかなければならん点が二、三ありますので、その点を更に申上げたいと思います。
第一には、公務員法に基くところの特別職の性格がはつきりしておりまするところの
講和全権につきまして、あえて
一般職として取扱うということについては、非常な無理があるということは昨日来の質疑応答の中でも私ははつきりしておると思うのであります。なぜかと申しますと、こうした
全権委員というようなものは、今後或いは航海
条約、通商
条約等の
調印のために、たびたび今後派遣しなければならんことになると思います。なおその際にはこれはどの
政党が政権を担当しておりましても、
国会議員の中からそうした有能な人間を派遣するという必要が生じて来ることは想像にかたくないのであります。今後国際生活に
日本が復帰する以上は当然起きることなのでありますが、その際にそれが今日のように臨時
国会をたとえ三日でも四日でも開いてこういう処置を講じなければならんということにつきましては、将来の問題としてこのような取扱を一々や
つて行くということについては、私は問題があろうと思うのであります。従いまして今後この公務員法の改正並びに
国会法の改正というような点について配慮しなければならん、而もこの際にそれをや
つておくのが、最も正しい行き方であり、又国のためにも、費用その他の点から考えましても一番正しい正当なるやり方ではなかろうか、我々はかように考えるのであります。それをあえて今日こういう処置をとられたということについて、極めて遺憾の意を表し、且つ将来におきまして
政府はこの点十分なる考慮をされんことを強く要望するものであります。第二に申上げたいことは、今回の
全権委員並びに
全権委員代理は、
日米安全保障条約にも
調印をするということは
官房長官の
答弁でも明らかにな
つておるのであります。大体そういうふうになるだろうということは想像されると思うのであります。そこで
日米安全保障条約については、それは平和
条約につきましては草案も発表されておりますが、
安全保障条約ということは、
講和条約とは更にそれ以上に国民にと
つて私は関心の深いものであろうと思うのであります。折角独立いたしましても外国の軍隊がとにかく
日本に駐留するということになるのであります。従いましてその兵力並びに駐留の期間、それから費用の負担、且つ国内に外国の軍隊が駐留いたしまする以上、いろいろな私は事故も当然起るだろうと思うのであります。
日本人が不用意に間違
つて何か問題を起したときに、将来これは軍法
会議に廻されるものであるか、
日本の国内法によ
つて処罰されるものであるかということについても、
日本人としてこれは独立国の国民として独立しながら、外国の軍隊の軍法
会議に廻されなければならんということになるか、ならんかということは大きな問題であります。又そういうことは私はないと確信いたしますが、又不幸にして進駐軍と
日本人との間に事故が起ることも考えております。そうした場合にこれを国内法によ
つて、
日本人が何らかの被害を受けたときに保護され、処罰され、向うの連中を処罰できるかどうか、これに対して
日本の警察権、行政権がどこまで及ぶかどうかということについては、
日本人として私は重大な関心をお互いに持
つておるものだと思います。従
つてこの点につきまして詳しく御
説明を承わりたい、
国会を通じて国民が知りたが
つておると思うのでありますが、この点についてお聞きいたしましたところ、大まかな構想はわか
つておるけれども、具体的なところはまだきま
つておらないと
言つて、具体的な御
説明はございません。併し構想がわか
つておる以上は、私はそうした基本的な問題については、
ダレスさんと
総理との間においても、或いは現在米国
政府との折衝中においても、大体私はわか
つておるのではないかと思うのでありますが、今日までその
説明を聞き得なか
つた、聞き得ないままにこの
全権委員の
承認ということを
議決しなければならんということは、国民と共に非常に悲しまなければならんと私は思うのであります。この点をはつきり申上げておきたいと思います。
なお第三点といたしまして、今日の
全権委員並びに
委員代理の
任命について
国会の
議決を求める件につきましては、これは單なる
国会法第三十九条に基くところの
承認であ
つて、若しこれが反対であるということに
なつたら、将来いろいろの
会議に
全権委員を
国会議員から出すということ、
国会議員を
任命するということ自体を否認するということになりますので、従いましてこれは單なる今回の
講和条約に対してこの
委員を
任命するという
意味でなしに、将来のことも考え、将来
全権として国際
会議に出るという慣例は認めるべきである、こういう基本的な態度。又單に
条約そのものと関連があるのでなくて、ここにもありますように、内閣の行政各部におけるところの各種の
委員、これに
国会議員が必要とあ
つた場合には参画できるものである、これに全然できんという慣例を作るのはおかしい。こういうような観点から、今回の
承認に賛成するのは三十九条によ
つて賛成するものであ
つて、その他何ら政治的なものを含んでおるものでない(「その
通り」と呼ぶ者あり)ということを我々はここにはつきりいたしまして、そうして賛成する次第であります。