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1951-08-18 第11回国会 参議院 議院運営・人事・法務・外務連合委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年八月十八日(土曜日)    午後三時三十三分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○講和全権委員任命につき国会の議  決を求めるの件   —————————————
  2. 山田佐一

    委員長山田佐一君) それでは只今から議院運営、人事、法務、外務の連合委員会を開会いたします。  先ず講和全権委員任命につき国会の議決を求めるの件、昨日に引続きまして質疑をいたします。先ず通告順によりまして許可いたします。吉田法晴君。
  3. 吉田法晴

    吉田法晴君 昨日から引続いて御質問を申上げるわけでありますが、昨日の浅井人事院総裁答弁に対する再質問と申しますか、そういうところから始めたいと思つたのでありますが、浅井人事院総裁がまだ行方不明のようでございますので、その点は留保いたしまして、これも人事院総裁に関連することと思いますけれども、その点は人事院総裁あとから御答弁頂くことにして、法制意見長官おいでになりますし、或いは官房長官なり、どちらかでも一つ答弁頂きたいと思いますが、人事院規則——八、第四条の規定によつて国家公務員法一般職に関する主要な規定が殆ど除外されておるわけであります。職階制任免採用方法分限給与懲戒保障その他殆んど大部分が、国家公務員適用する規定が除外されておるわけでありますが、そうするとあとに残るのはそれじや何かということになりますと、結局これはそういう職階制も、或いは分限も、給与も除いたということそれ自身が、特別職であるというこれは証左ではないかと考えられるのでありますが、その点についてはどういう工合考えておりましようか、承わりたいと思います。
  4. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 一応私からお答えいたします。御指摘通りに大部分の条文を除外しておりますけれども、どうも釈迦に説法を申上げるようで当然御承知でありましようけれども特例が設けられておりますのは、第三章の関係の中のものでありまして、ほかの一章、二章等は形式論的に申上げますれば、適用があることになつております。併し実際上特別職とどう違うかということになりますと、仰せの通り実際においてさほど違いはないとは申し得ると思いますけれども、この国家公務員法附則の十三条におきまして、これも御承知通りその職務特殊性に基いて最も適切なる特例を設けようということがありまして、人事院規則に委ねられておるわけであります。人事院においてその職務にふさわしい特例を設けるということは、法律が授権しておるところであります。この間申上げました通りに、例えば審議会委員というようなものも一般職になつておりますけれども、これもこの附則の十三条によりまして相当大きく特例が設けてあるわけであります。そこで結局程度問題ということに相成るのでありまして、本質問題ではなくて程度問題であるというふうに考えておる次第であります。
  5. 吉田法晴

    吉田法晴君 昨日も法制意見長官は両方に解し得る、これはまあ国会としての御判断、これは国会法の問題でもございましたが、そういう御意見もあつたようでございますので、問題はその辺人事院総裁が来られてもう一遍繰返すことにいたしまして、これは人事院規則が出て後の話になりますのでその点を一つつておきたいと思うのでありますが、一般公務員として、それはそれじや常勤であるか、非常勤であるかという問題と、それから一般職の職員の給与に関する法律適用せられるわけでありますが、そうするとこの給与法の二十二条のどの項目を適用するか、委員、顧問、参与、これに準ずる職という一項で行くのか、或いは二項の、前項以外の者、この前項以外の者というものは単純労務者、例えば林業労務者その他のような単純労務者でありますが、そういう予算の範囲内でという単純労務者給与規定した二項で行くのか、そうでなければ他に法律に別段の定めがない限りはどんな給与も支払い得ぬわけでありますが、どういう給与支払方をするのか、この給与についてどういう取扱をされるつもりなのか、承わりたいと思います。
  6. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 御指摘の第一項に該当するものと私ども考えております。即ち一日千八百何円とあるそれでございます。
  7. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうすると一日千八百五十円の委員、顧問同様の取扱をするということになるわけでありますが、その他の旅費等についてはどういうお考えでございますか。
  8. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) それは旅費法という法律で、普通の一般職として公務員同様の旅費が出るわけでございます。
  9. 吉田法晴

    吉田法晴君 浅人事院総裁が来られましたから、元に戻つて昨日の御答弁の続きから申上げますが、昨日私はこの全権或いは全権代理と申しますかこの仕事性質から、或いは国を代表するという点からいえば、国務大臣その他に相当するのではないか。或いは対外的には大使、公使と同じような仕事ではないか。仕事内容から特別職考えられるか、一般職考えられるか。こういう御質問を申上げましたのに対して浅井人事院総裁は、前に明治憲法以来特別立法をやつたことがないという事実を申述べられましたほかには、これは両様議論も立つと存じます。併しながら人事院といたしましては、国会が御制定になりました国家公務員法の下におきまして適切なる運用考えますならばこれは一般職でもあるこういうことでございますという御答弁をしておられるようであります。これは速記録によつたのでありますが、両様議論も立つと存じます。こういうことを言つておられます。それから適切なる運用考えますとこれは一般職でもある。特別職でもあるという意味でありますのかどうかわかりませんけれども浅井人事院総裁の御答弁はあいまいでありますが、仕事性質からして形式じやなくて、或いは特別職として規定がされておらんから一般職だ、こういう形式議論でなくつて仕事の本質からしてどちらに属すると考えられるか。それからこの特別職でないという実質的な議論も承わりたいと思います。
  10. 浅井清

    政府委員浅井清君) 吉田さんから特別職のほうがよかろうかという前提での御質問でございましたから、一応それはものの見方で特別職という論も立てば一般職という論も立とうかというお答えを申上げたまででございます。併しながら公務員法特別職の中には、このような恒久的なものでない官職一つも含んではおりません。それで一般職として取扱つてよろしいように考えております。
  11. 吉田法晴

    吉田法晴君 恒久的なものがないかどうかという一点だけで一般職であろうという御説明なのでありますが、それでは一般職、或いは特別職という分け方が恒久的なものであるかどうかということで分けておられるのでありましようか。私はそうは考えられないのでありますが、仕事性質からしてどちらに属するかということを検討をするならば、特別職とするのが妥当ではなかろうか。特別職でないというならば、その実体についてどういう理窟で、どういう理由でそれは特別職には該当しないのだという説明がなされなければならんが、その説明を承わりたいとこういうわけであります。
  12. 浅井清

    政府委員浅井清君) 公務員法上の特別職の標準は、決して吉田さんの御指摘になりましたような一色ではございません。御承知のごとく特別職には種々なものを含んでおりまして、国務大臣もおりますれば、失業者もおりますれば、進駐軍労務者もおるわけでございまするから、必ずしもそこは一本で貫いている線はないように存じます。
  13. 吉田法晴

    吉田法晴君 特別職の中に単純労務者が入つておることは勿論承知いたしております。併し問題は全権単純労務者であるかないかということはこれは議論の外だと思います。全権性質からいたしまして、どちらに属するかという実体論をする場合に、それは特別職でない、一般職だと言われるのだが、それはどういう職務内容だから一般職と、こういう規定をされたのか。その御説明を承わりたいと言うのであります。
  14. 浅井清

    政府委員浅井清君) 人事院といたしましては、現行法上特別職の中にこれは含まれていないのでございます。従いまして人事院としても全権に関する事務を処理いたしまする上には、一般職としてこれを処理いたすほか仕方がないということに相成ります。只今古田さんからだんだんお述べになりました特別職のほうがよかろうか、一般職のほうがよかろうかということは、これはいつまでここで御論議を申上げても尽きぬことかと存じます。(「進行」と呼ぶ者あり)
  15. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうすると結局この国家公務員法特別職として規定がないから一般職にしたのだ、こういう形式的な議論以外にはない、かのように思うのでありますが、そういう御見解なのでありましようか。再度念を押しておきます。
  16. 浅井清

    政府委員浅井清君) 国家公務員法国会の御意思でできておるということは申すまでもないことでございまして、我々はその国会の、御意思でできた公務員法運用いたしまする上において一般職として取扱うほかいたし方がない現状にあることを御了承願いたいと存じます。
  17. 吉田法晴

    吉田法晴君 国家公務員法国会によつて規定されておるからそれを運用することが人事院任務だと、こういう御答弁でございますがその点は勿論国会としてもそれではこの事態に対してどういう態度をとるかということについて判断をなし得ることは、これは人事院総裁の御忠告を待つまでもないのでありますが、昨日申しましたように、人事院としてもこうすべきであるという含みを持つておられるとするならば、全権なら全権の性格からして、仕事性質からして、どうこうというならば、御意見があるならば、それに従つて政府国会に対して御意見を出されるのが当然ではないか、こういうことで昨日も申上げたのであります。国会の御制定なつ国家公務員法を施行することだけが運用することだけが自分任務だと、こういうことで答弁をお逃げになることは、私は人事院としての職責を全くせられるものでないと考えられるのであります。その点はこれは議論をしておつても水掛論になりまするから、一応その点を指摘するにとどめるのでありますが、なお関連をいたしますけれども人事院規則——八、第四条の規定によつて一般職に関する主要な国家公務員法規定は殆んど除かれておるわけでありますが、例えば職階任免、或いは採用分限給与懲戒保障その他服務にしてもそうでありますが、殆んど大部分は除かれておるということは、そういう一般職に関する規定を除くような、除かなければならんような仕事であるという点をこれは逆に証明しておると思うのであります。そうすると更に元に戻りまするけれども規定精神考えると、そういう一般職に関するいろいろな基本的な規定を除かなければならん職と認められたことは明らかである、そうするとこの仕事実体特別職として取扱つたほうがよいと、こういうことになるのではないかと思うのでありますが、人事院総裁として如何よう考えておられますか。
  18. 浅井清

    政府委員浅井清君) 只今吉田さんは、この規則の第四条で多くの国家公務員法規定適用を排除いたしておる、即ちこれは特別職に近付いたものであるから特別職とすべきが適当であろうかということをお示しになりましたけれども、又一方から申しますれば、かような例外を設ける官職が現われるということは如何ほど論議をなされましても特別職一般職との間に截然たる区別がないということを証明することにも相成ろうかと存じます。そこで国家公務員法制定いたしました時に、附則第十三条の規定を設けまして、法律又は人事院規則を以ていろいろの特例を設けよう、即ち特別職に類似する一般職というような観念がその真中に来ることをも予想したわけでありますから、これは両様議論が立つかと存じます。
  19. 吉田法晴

    吉田法晴君 両様議論が立つということでやや含みを残して逃げられるのでありますが、それでは人事院としてこれは国家公務員法を守り、或いは公務員に関する現在の制度を維持する、こういう職責があると思うのでありますが、人事院規則——八というような規定によつてどうにでもなる、こういうことになりますならば、これは国家公務員法そのものが事実上どうにでも動かせるという結果になると思うのです。そういう意味において、公務員法の身分その他についても、公務員に関する規定法律によらなければならんと、こういう建前が崩れるこれは第一歩をなすのではないかと考えられるのでありますが、人事院規則によつて、この問題を処理されようとした人事院として、そういう心配はないのであるか。人事院規則で何でもやつて行けると、こういう工合にお考えになりますかどうか、その点承わりたいと思います。
  20. 浅井清

    政府委員浅井清君) 公務員法附則十三条は、法律又は人事院規則等によつて例外を認めることができるとありまして、人事院規則で以てこれをすることができるように相成つておりまするが、そこで人事院公務員制度全体を守る立場にあるということは、誠に御同感でございまするが、その人事院内閣とはやや独立性を持つた機関でございまして、人事院規則制定いたします場合は、何も内閣からの命令は受けないでできるのでございます。その人事院が差支えなしと認めて、この規則制定いたしましたものでございまするから、この規則制定によりまして、公務員制度の全体が崩れるというようなことはないかと存じます。
  21. 吉田法晴

    吉田法晴君 主として法の形式的な議論から御説明、御答弁になつておる。私はまあ実体的な点からお話を進めて参つておるのでありますが、公務員法附則十三条によつて云々という点は、私も承知をいたしておるのでありまするが、そうすると附則十三条但書には、第一条の精神に違背するものであつてはならないというように、これは「精神」が入つております。そうすると今のような形式議論から、附則十三条の但書によつてなすんだからいいではないか、こういうことでやつて参りました場合に、一条の精神が崩れるか崩れぬかという問題になるのであります。この人事院規則の一——八によつて、先ほど言われるような、明らかになりましたような、職階制或いは分限給与服務、その他にいたしましても、殆んど公務員適用されるべき、一般職適用されるべき、殆んどのものがなくなつてしまつて、言い換えるならば中間的なものと言われますけれども、どちらでもない変なものができ上る、こういうことなりますならば、公務員法全体の建前、或いは制度というものが壊れてしまつて、一条に言います精神に反する結果になるのではないかと思います。それは成るほど今の人事院総裁のような形式議論で終始されますならば、それは形式は壊れておらんかも知れない。併し公務員法全体の体系、その中には公務員には、或いは給与の問題についても、分限の問題についても、服務の問題についても、職階の問題についても、いろいろ付いておりますが、そういうものが壊れる結果になることは明らかであります。そうしますといわゆる公務員法精神というものが崩れる結果になるのじやないか。或いは人事院規則によつて法律が改廃せられ、法律によつてきめられるならばとにかくでありますけれども、そういう結果が招来せられるのではないかと思うのでありますが、その点はどういう工合考えておられますか。
  22. 浅井清

    政府委員浅井清君) 私の答弁形式的であるとのお叱りでございましたけれども法律論を申しますれば、もとよりすべて形式的なものでありまして、若し国会で政治論的に如何ということになりますれば、人事院として御答弁をいたすことは差控えたい、それは内閣からお答え申上げるべき筋かと思つております。又附則十三条によりまして、第一条の精神が紊れるとございますけれども、第一条には只今示し職階任用というようなことは何も書いてないのでございますからして、ただ民主的、能率的な方法において公務員制度運用せられるということが書いてあるのでございます。又全権委員等に関しまして、人事院規則例外を認めましたがために、公務員制度が潰れるというようなことは決してないのでございまして、むしろこれは民主的且つ能率的にものことが運ぶかと思つております。(「はつきりしたではないか」と呼ぶ者あり)
  23. 吉田法晴

    吉田法晴君 第一条の精神は、民主的な運用云々ということなのでありますが、その民主的な運用その他の問題が、或いは採用の問題について試験をするとか、或いはその他任用方法規定されておるのでありますが、民主的というても内容がないわけじやないのであります。ちやんと公務員法規定してある民主的な方法はある、言い換えますと民主的な方法というのが抽象的にあるのではなくて、具体的に公務員法規定してある。そうすると一条に書いてある文言だけで、いわば人事院総裁が文句だけでお話になるならば、それは全然人事院総裁関係のない或いは学者というか、或いは説明家がなすならば、それはそれでいいかも知れん。併し人事院総裁として公務員法運用しておられる浅井さんから民主的な方法……それはその言葉だけを考えればいいのであつて、その民主的な方法というものは公務員法というものが規定する、これは考えなくてもいいのだという御議論としか考えられませんけれども、そういうことになりますれば、私は公務員法精神は、実際に蹂躪せられざるを得ないと、こういう工合考えるのであります。この点はこれは議論になりますから、その辺で遠慮いたしますが、それでは人事院総裁おいでにならん前に、法制意見長官からちよつと伺つたのでありますが、全権委員一般職とされました以上、常勤と見るか或いは非常勤と見るかという問題があるかと思いますが、これはどういう工合に見ておられるのでありますか。
  24. 浅井清

    政府委員浅井清君) これは現行制度上は非常勤職だと考えております。なおちよつと附加えさして頂きまするが、ちよつと私が申しました民主的ということでございまするが、かようにして国家公務員法の多くの例外を設けましたからして、国会議員の各党派からも多数のかたを金権委員にお迎えすることができましようし、又民間から有識者を全権委員にお迎えすることができるのでございますから、このほうが民主的であり、国家公務員法任用試験等規定を全面的に適用いたしましたならば、このような民主的な全権団はできないかと存じます。
  25. 吉田法晴

    吉田法晴君 さつきは政治的な配慮は私の答弁する限りではないと言いながら、政治的な配慮を混えた御答弁をなさいましたことは、先ほどの御説明と私は矛盾をすると思うのであります。国家公務員法を守る人事院としての御説明だけをして頂けばよかつたと思うのであります。形勢が不利になると、自分でやらないと言われた政治的な御答弁で逃げられることは、甚だこれは残念に思うのであります。その点は抜きにいたしまして、非常勤として取扱うという御答弁がございましたが、そうしますとこの給與の問題でございますが、一般職給與に関する法律二十二条のどこで行くか、先ほど法制委員長官から御答弁を頂いたのでありますが、人事院としても同様の御意見でございますか。第一項という御説明でございましたが。
  26. 浅井清

    政府委員浅井清君) それは私出席前にお答えを申上げましたのと人事院も同様でございます。
  27. 山田佐一

    委員長山田佐一君) よろしうございますか吉田さん。
  28. 吉田法晴

    吉田法晴君 もう一点だけ。見解が分れたまま大体質疑を打切ることになるかと思うのでありますが、最後に、私は、これは希望になるかと思うのでありますけれども人事院としては或いは人事院総裁としてはこれは一般職にすることが妥当であるという政府にかかわりのない信念で以てやつたんだ、こういう御説明でございますし、その点それを反駁して参るということは非礼になるかと思うのでありますけれども、これは人事院それ自身が、現在自由党なり政府からいたしますというと、いろいろその存立についても批判がなされておる際でございますが、私どもといたしましては、これは人事院ができた歴史から見ましても、国家公務員政治活動の制限をいたしまして、その代り公務員の保護と申しますか、或いは団結権罷業権代りにできた人事院公務員法を守るについては歴史的の使命を持つておる人事院であると考えるのであります。その人事院が、それが信念であれば仕方がございませんけれども、邪道を踏んだ信念、私どもには、どうしても権道にしか行つておらん、或いは別の考えも立つということを一応言われましたけれども、結局客観的に見ますならば、或いは政府なり何なりの希望の線に従つて、実質的な議論からでなくて、強いて公務員法特別職としては規定がないから一般職だ、こういう説明だけから便宜主義的な措置をとられますことについては、これは法理上或いは国家公務員法運用上遺憾の点があるだけでなしに、私は公務員制度全体、或いは民主的な公務員制度を守る人事院使命からして非常なこれは汚点であり、或いはその存在について私どもをして疑わしめるものが生ずるという点を申上げ、もう少し人事院総裁が別の人であるならばとにかくでありますが、憲法学者としての浅井総裁であるならば、私はもつと基本的な議論形式的な議論から特別職と挙げられておらんから一般職だというような議論でなくて、実質的な議論から民主主義を守るという観点から解釈し、公務員法を改正すべきなら改正すべし、こういう御議論を出されることこそ、私は民心的な人事院使命だと思うのであります。その点について何と申しますか、瑕疵と申しますか、疵を付けられたような感じがするのであります。その点について遺憾の意を表しまして質問を打切りたいと思います。
  29. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 昨日本連合委員会において、本日は首相の御出席を頂けることと考えて用意をして参りましたところが、御病気で御出席にならないということでありますが、問題は非常に重要でありますので、官房長官首相代理として御出席なつたと思いますので伺いたいと思います。  最初にこのサンフランシスコ会議、今この全権を承認する案件になつておる目的のサンフランシスコ会議は、調印だけの会議だということを頻りと先日来政府はおつしやつている。この点について政府の正式の見解を伺つて置きたいのですが、講和会議調印だけのものであるのかどうか。それから敗戦国である敗戦条約であると言われるのでありますが、今日の国際常識において、敗戦国といえども如何なる無理にでも従わなければならないというように現在の政府はお考えになつておいでになるかどうか。敗戦国といえども、無理に従うということはできないのじやないか、或いは固有の権利、或いは事実上不可能な条件を受諾するということはできないのじやないか。私は古く歴史上はいざ知らず、近代史外交慣例では、敗戦国といえども如何なる無理にでも調印を強制されるということは、最近の国際的なモラルの上では認められていないのじやないか。従つてサンフランシスコ会議に上程されるもの、出されるものには何でも調印するのだというようにお考えになつておるのか。それとも出されたものには何でも調印するという理由はないというようにお考えになつているか。先ずこの点を伺つて置きたいと思います。
  30. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) これはアメリカ側でも言つていますように、講和条約調印する会議ということになつております。その前に総理が一昨日本会議で詳しく説明しましたように、日本側としては草案作製の当初から相談にあずかりまして意見を述べ、希望を述べて来たということは御承知通りであります。そこで総理も言いますように、この条約近代史上殆んど比類ないくらいに公正なものであると政府は信じております。そこで実質的には私ども条約草案にもはやかれこれ言う必要はないと考えておりますが、同時にアメリカ側意見によれば、この条約草案に対して重ねてサンフランシスコ審議をするのじやなく、これは各国多数の国と相談して出来上つた草案であるから最終案である。勿論この調印するかしないか、これは各国の選択に委されるでしよう。来たから調印しなければならないということはないでしようけれども条約そのものサンフランシスコ会議議論するのじやないと言つておりまして、我々もそうだと考えておる。従つて例えば今すでに発表されておる予定によりましても、各国全権も演説をすれば、日本の全権も演説することになるのだろうと思いますが、それは条約に対する意見をいろいろな見地から述べるのでありましようが、条約案そのものを変更し、審議するための会議でないと了解しております。
  31. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 今伺つた質問ちよつと誤解されたようなのでありますが、私のお伺いしましたのは、現在政府として一般に講和条約において、敗戦国がそこに提出されたものに、如何なるものであつてもそれに調印せなければならないというふうにお考えになつておられるか。それともそこに無理なものがあり、提出せられたものに講和条約として考えられないものがあるならば、それに対して署名を強制される理由はないというふうに一般的にお考えになつておられるかどうかという点なのであります。その点についてどうでしようか。
  32. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 今度の問題を話せば、できないものはできないのですからそういうことはありましよう。今度の場合を我々は今国会に提出しておるのでありまして、今度の特定の講和条約草案について申上げておる。
  33. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 最近首相答弁の間に、如何に寛大であり、和解的であるとはいえども、やはり敗戦条約だというようなふうに説明をされるときに、一般国民の間には無理でも何でも調印しなければならないのだというような感じが発生することは我々好しいことではないと思うのであります。そういう意味で、特に今の点についてのお答えをはつきり伺つておきたいというふうに思うのであります。で現在政府としては、これが敗戦国であるから提出されたものに対して調印しようとしているのじやないのだ。それが講和条約として公正なものであると考えるから調印しようと思つておるのである。従つて公正でないと考える場合には、調印する義務を感じないというふうにお考えになつておると了解してよろしいと考えて次の質問に移ります。  第二の質問は、只今お答えの中にございました来たるべきサンフランシスコ会議が、条約を変更するのでなくして、単にそれに調印するものであるという最近のさる方面からの声明に対しては、本日のニツポンタイムスにも、インドにこれは実にデプローラブルなインプレツシヨンを与える、歎げくべき印象を与えるということを発表しておられますが、今日本が過去のあらゆる関係を清算して、そして新らしい関係に入るべきサンフランシスコ会議が、日本とかなり密接な関係におかれておるところのインドなどに、今申上げたようなデプローラブルなインプレツシヨンという、そういう印象を与えて行くことを望ましいというようにお考えになつておりますか、どうでありますか。
  34. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) これは外国の意見はいろいろありましようけれども、我々は外国の意見に対して何かこちらから申すことは差控えるほうが適当であると思つております。
  35. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 伺つておりますのは、日本の運命を決定するサンフランシスコ会議が、重要な国々に対して歎くべき印象を与えることを望ましいとお考えになつておるか、お考えになつていないかという点なんであります。
  36. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 只今インドの例を引いて言われたのでありまして、我々はインドの考えに対して何ら批評をする立場にないということを申上げておるのです。
  37. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 それではそれ以上お答えないと思つて次の問題に移ります。  さてこのすでに発表されております日本に対する平和条約というものを仔細に検討して見ますと、その中に我々の国際的な常識から考えて、これが講和条約、純粋の講和条約であるのか、それとも純粋の講和条約以外のものを含むのではないかというように考える点がありますので、その点について政府のお考えを伺いたいと思うのであります。講和条約というものは、申すまでもなくその目的は、それ以前に行われた戦争の終結及びその戦争の引起した諸問題の解決ということにあるのであつて、決してそれらの問題の解決以前に次の問題を講和条約で解決すべきものではないというふうに考えられます。これはよく御承知のように、この十九世紀初頭以来の国際会議に対して、私がよく引用するのですが、ここでも許されたいと思いますが、カントが将来の戦争の予想の下に作られる講和条約というものは、講和条約という名を以て呼ばれておつても、実際は講和条約とみなすことができないということを、その後の各国政府に警告をしているのですが、事実これは昔の話ばかりじやなく、第一次欧洲大戦以後にも世界がにがい経験をなめ、又今日日本の場合においても若しそういうことがあると、前の問題が片付かないうちに次の問題が生じて来るというふうに憂うべきことがあると思うのであります。然るに今提出されております講和条約草案、或いはすでに草案という字を最近削られたということもあるそうですが、いずれにせよ草案でしよう、それを拝見しますと、日本が最近の過去において行なつた戦争の結果を完全に終結していないところがある。それは何であるかと言いますと、日本が降伏した降伏文書に署名したそれぞれの国との間に和解の関係を生じておりません。これは和解的という言葉が使われますけれども、日本としては当然最近において交戦状態にあつた国々のすべての国々と和解するということは、この講和条約の目的でなければならない。ところがそれが少くとも事実上において解決されない間にその降伏文書に署名しておる国のいずれかの国を仮想的な相手とみなすところの新らしい或いは対立、或いは戦争、或いは防衛ということを予想した、そういう条項を、御承知のようにこの第六条A項但書に含んでおる。そうするとこれはこの講和条約というものの中に講和条約でない別個のものを含んでおるというように理解しなければならないと思いますが、この点については政府はどういうふうにお考えになつておいでになりますか。
  38. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 講和条約というものは、最近の観念では戦争の跡始末と、その後における平和の維持、両方の意味が入つておると思います。多くは最近は平和条約と言つております。著しい例はヴエルサイユ平和条約のごときは、国際連盟の規約までその中に含んでおつたようなわけで、戦後の平和建設ということに力を入れておるのであります。今度の講和条約か、平和条約かどちらでもいいのですが、第六条をお話になりましたが、これも国際連合の世界平和維持の、何といいますか思想から、そうして国際連合に認めておるような二国間若しくは多数国間の安全保障に関する事項を規定しておるのでありまして、何ら特定国を相手にしてどうということにはなつておらないと我々は信じております。
  39. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 私の申上げたのは、その講和条約は戦争の跡始末をし、そうしてそういう戦争の、最近の観念では戦争犯罪、或いは犯罪戦争、侵略戦争というものが再び起らないという結末を付けた後に世界の平和なり何なりということが言えるのであつて、その前の結末を付けない間に次の問題に移つて行くということが許されることであろうかどうかという点であつたのであります。併しそれを更に具体的に伺いたいと思うのでありますが、これは必ずしもソ連或いは共産党というばかりでなく、官房長官もよく御承知のようにオーストラリアなどの方面においても、現在の対日講和条約というものに非常な不満の意を表して、且つその不満の原因として、これが新らしい戦争を誘発する虞れがある、又インドにもそういう意見がある、そうして特にその場合に日本の平和保障としては、この第五条のC項というもので十分であつて、第六条のA項の但書というものを似て、或る国が、日本に外国軍隊が駐在するということは戦争を挑発する虞れがあるというように考えておる。こういう意見が現在日本と和解の関係に入ることが望まれる国々に有力な意見としてあることを政府は無視されるおつもりですか。それとも慎重にお考えになるおつもりですか。
  40. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 政府各国の意向はできるだけ注意して研究はしておりますが、今度の講和条約草案は平和の維持についても、又戦争の跡始末についても、我々の考えておる最上のものと考えておりますから、この条約を中心として一日も早く一国とでも多く調印をいたしたい。これが念願であります。
  41. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 そうしますとこの条約が一日も早く一国でも多く調印せられることを願われるとするならば、あとからいずれかの国が参加することが不可能になるような条項は望まないというようにお考えになつておると考えてよろしゆうございましようか。
  42. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 無論そうでありまするが、更に附加えれば、そういうような条項は入つておらないと信じております。
  43. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 それではこの点について最後に、只今関係の問題については最後に伺つておきますが、(「簡單簡單」と呼ぶ者あり)この日本の降伏した降伏文書に署名した主要な国々と和解の関係に入る前に、それらの国々のいずれか一方を仮想する軍事協定に同意することは、降伏条件に対する違反であるという考え方が日本の専門家の中にもありますが、その点については政府はどういうふうにお考えになつていますか。
  44. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 私はそういうことはないと考えておりまするし、そういう専門家によく研究してもらえば事態がもつと明瞭になると思つております。
  45. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 今のお答え少し一般的過ぎたのですが、今の降伏文書に署名している国々と和解の関係に入る前に、そのいずれかの一方に対して軍事協定に日本が同意することは降伏条件の違反であるかどうかということを伺つているのですが。
  46. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 私はそんなような条項はないと思つております。
  47. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 それではこれ以上きつとお答えがないと思うので次の問題に移ります。次の問題は、今の問題とも関連をしますが、この講和条約が特に日本が極東或いはアジア或いは太平洋に惹き起した対立を解消することが先ず第一の前提の目的でなければならないと思うのであります。それがこの講和条約の第一の目的である。ところがこの講和条約がこれは今申上げて来ました点、日米軍事協定という点から申しましても、又中国の問題につきましても、この極東或いはアジア或いは太平洋の新らしいこの対立、或いは不満、そういうものを挑発する虞れがあるということを極東の諸国の中にそういう意見がある。而もそれについてなかんずくイギリスが非常に苦心をして、そしてこのいわゆる国民政府、国民党政権というものに決定しないで中共というものも考慮しなければならないというふうに言つておられるのに、現在政府が特にこの点において、昨日の池田大蔵大臣などの御答弁を伺つても、この中共との関係を殆んど放棄しておられるような答弁をしておられますが、私はこれは恐らくやはり失言であつたんじやないかと思う。で日本としては、やはり願わくば中共と友好関係に入りたいというふうに、それを最大の念願としておられるのだと思いますが、それとももうすでに日本としては中共との和解関係に入ることを放棄しておられるのですか、その点如何でしようか。
  48. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) それは政府はしばしば申上げておるように、できれば全部の国と講和を結びたい、できなければ仕方がない、こういうことであります。できれば全部の国と講和を結びたい、これが政府考えであります。
  49. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 そういう御答弁ではどうも我々ちよつと納得しかねるのですが、この問題はやはり国民が非常に関心を持つている問題であつて、やはり対日講和に中国が正式に参加することを国民は希望している。そして現在アメリカは台湾の政権をそれに参加させようとしている。併しイギリスはそれに中共を参加させようとしておる。そのためにイギリスは多大の苦心を払つておられる。それで日本の政府は一体どういう考えでこのサンフランシスコに臨もうとしておるのかということは国民の是非聞きたいと思つている点なので、もう少し今のような一般的のお答えではないお答えをして頂きたいと思うのですが、どうでしようか。
  50. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) であるから先ほど申したように、この条約案に中共がサインしてくれればなお結構であります。サインしてくれなければ仕方がない、そういうことであります。
  51. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 それらの点について、この第二の問題について極東に対立を挑発するような関係というものについては、やはり国民は是非ともそういうものは避けて頂きたいというふうに考えていると思うのであります。それで現在政府としては現在の草案には極東に対立を挑発するような条項は含んでいないというようなお考えであることはよくわかりました。併し我々は日々に学ぶのでありますから、今後極東各国意見というものもいよいよ出て来ることだと思いますし、それからこの条約についての政府の御研究ももうすでに全く完全で、これ以後研究する必要はないというふうにまさか独断的にお考えになつているわけじやないでしようが、ですから今後この現在の草案の中に、そして又現在の草案もすでに最終草案であるというふうに言われておりますから、後にも幾分ずつ手が加えられておるようにも伝えられてもおります。そういうわけですから、現在の草案の中に極東に対立を挑発する虞れがあるというふうに考えられる条項があるというふうに考えられた場合には、政府はそれを除かれることを希望されますか、如何でしようか。
  52. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 政府は先ほど申しましたように、この条約案の中には、そういう虞れのある条項はないと信じております。そこで只今おつしやつたのは、非常に政府考えと違う仮定の上に立つた御議論でありまして、それに対して答えることはちよつとできかねます。
  53. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 この問題に関連しまして、現在オーストラリア、ニュージーランドがアメリカと太平洋保障条約を締結しようとしておられる、この太平洋保障条約というものは一体何を意味するものであるかというと、事実の上において、それは日本の侵略を防ぐということを目的としておるということは明らかであります。そうしますと、現在我々の眼前で日本の侵略ということを予想した国際条約が結ばれているのを見るわけであります。而もこれは最初はこの対日講和と殆んど相前後して調印されるということがあり、それに対して最近のフランスの輿論などで余りにこれは露骨だ、カクテル・パーテイに人を呼んでおいて、それでホステスが自分で酔払つてしまうようなもので、講和会議といつて、そこに軍事協定を結ぶということは余りに露骨だというような批評もある。それから又御承知のように、先日日本に来られたオーストラリアの現在の外務大臣のケーシー氏が日本からの帰途において、日本の再軍備或いはその制限を設けるということについては失敗したということを語られたというふうに伝えられております。これらは或いはその報道の誤りがあるかも知れないけれども、太平洋保障条約というものが、日本の侵略を前提として結ばれているということは事実であります。今日世界のいずれの国が単なる仮想に基いて、仮定に基いて国際上の条約を結ぶものではないのでありますから、こういう太平洋保障条約というものが結ばれるという事実は、日本に侵略の虞れがあると判断されておると思うのであります。この点についてはどういうふうにお考えなんですか。
  54. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 私は太平洋保障条約と言われましたが、この条約なるものは何ら説明を受けておりません。私というのは、政府は……。そうしてこれは日本の関係したことでありませんから、我々としては説明のしようがないのであります。
  55. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 それではそれもきつとその程度の御答弁しか得られないと思うので、その問題に関して最後に、よく政府はどちらの方面から教えておもらいになつたか知りませんが、日本を真空状態に置いておくことはできないという議論をよくなさるようですが、現在の軍事技術の段階において、真実真空状態でない状態を日本に作るということが可能であるとお考えになつておられるのでしようか。日本を真空状態にそういうふうに置いておかないということであるならば、日本が現在の最高の軍事技術で守られなければならない、日本はそれだけの必要があるか。又その能力があるか。若しそういうことがあり得ないとするならば、現在の最高の技術の段階で以て多少の程度の武装をなすということは却つて破壊的幻想ではないか、そういう意味で、この日本を真空状態に置いておくということと、現在の軍事技術との関係はどういうふうにお考えになつておられますか。
  56. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 私は軍事技術のことはよく知りませんが、日本が全然防備がなくして且つ只今の占領軍が撤退したならば、やはりこれは真空状態であろうと思います。そこででき得る限り、これを防ぐために、アメリカの軍隊を一時的にでも駐屯してもらいたい、こういう希望であります。
  57. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 その今のお話の点ですが現在の軍事技術の段階で以て多少の軍備を持つということは挑発的になる場合がありやしないかということはお考えになつていませんか。
  58. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 只今のところ、日本が軍備を持つということは考えておりません。
  59. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 そうしますと、今度第三の問題に移らして頂きますが、この講和の要件としては、日本の平和主義、或いは民主三義ということが欠くべからざる要件であろうと思うのであります。それは、先ほど申上げました講和条約が本質的に如何なるものでなければならないか、つまり日本が過去において犯した戦争犯罪を繰返さない、その保障としては、日本の平和主義、民主主義の確立をなさなければならない、これに関する条項は講和条約のどこにあるでありましようか、それを伺います。
  60. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) これはポツダム宣言の最後の項を御覧になれば、日本に民主的な責任のある政府ができたときは占領軍を撤退すると書いてあります。そこで講和条約ができるということは、つまり民主的な責任政府ができる、できたということを認められたことになるのであります。改めて書く必要がないのじやないかと考えます。
  61. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 大変意外な御答弁を伺つて驚いているのでありますが、(「簡單簡單」と呼ぶ者あり)政府はそういうふうにお考えになつているというふうに了解します。それから、それではその次に、現在の講和条約の前文に、日本は日本自身の法制によつて確立した新らしい民主主義的な制度というものの実現及びその維持を守るということが書いてありますが、この点については政府はどういうふうにお考えになります。
  62. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) これは当然なことでありまして、羽仁さんに説教するわけじやありませんが、民主主義なるものは確立しても、これをよく守つて行かなければならん、又これをできるだけ推進して、時代に合うようにして行かなければなりませんから、今後も大いにその方面には努力するつもりでおります。
  63. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 その点において、現在の政府がとつておる政策ですが、日本の民主主義を守つて行くというのに第一に問題になるのは、世界の民主主義が危くなつて来るのは、いわゆるその左右の極端な、極右なり、極左なりというものの関係から民主主義が危くなつて来るということがある。極く最近トルーマン大統領自身が、反共の行過ということを戒めなければならないというふうに考えておる。政府はその点において、反共と言いますか、共産主義に対しては、なかなかいろいろとなさつておるようでありますが、その民主主義に対する右翼的な、反動的な動きに対してはどういうふうに現在お考えになつておりますか。
  64. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 政府は左右両方とも極端なる主義は反対であります。
  65. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 それから現在政府がいろいろと計画しておられるものの中に、これは計画されているのじやないかというふうに伝えられておる問題、例えば労働法の改訂であるとか、或いは言論、出版、集会、結社の自由の制限であるとか、或いは厚生省を廃止して保安省というものを作る、或いは地方自治というものの根本を覆えす、或いは自治体警察を統合する、或いはしばしば伝えられる人事院を廃止する六三制を実行しない、そういうようなことがしばしば伝えられておることに対して、現在政府はどういうふうにお考えになつておりますか。
  66. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 政府は、それらの問題については只今慎重に各般の事情を見て、現状に適するように、且つ民主主義をますます推進し得るように考究中であります。    〔鈴木恭一君発言の許可を求む〕
  67. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 発言中であります。(「発言中」と呼ぶ者あり)その点について、これは重ねてお伺いするようで恐縮でありますが、現在の講和条約というものは、現在政府の諒知しておるその限りでは、現在の日本国憲法と抵触するものではない。従つて現在の講和条約及び日米安全保障条約というものを受諾するということがあつても、それは日本国憲法の改変を意味するものではないというように政府はお考えになつておると了承してよろしいでしようか。
  68. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 講和条約草案についてはまさにその通りであります。日米安全保障協定につきましては、受諾するというのではなくして独立国になつ建前で、少し早いのでありますが、そのときを予想して対等にいろいろの話を進めておる。ですから受諾するのではなくてお互いの意見が一致したときにこの条約ができる、こういうわけであります。
  69. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 只今の御答弁で大変はつきりして有難いと思うのですが、前のほうはそのまま了承しますが、あとのほうは、非常に良心的にお答えになつて、少し早過ぎるというふうにおつしやいましたが、少し早過ぎるというふうに政府がお考えになつておるのはどういう点ですか。
  70. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) これは日本が独立国となつたときに成立すべき条約であります。それを今協議して、独立国になつた瞬間に、真空状態が起らないようにというので、すぐにこれが有効になるように前以て話をしておるわけであります。
  71. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 独立国になつたというようにおつしやるのは、現在の講和条約が批准を終つたときという意味ですか。
  72. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) その通りであります。
  73. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 そうすると、一つだけ最後に重要な問題を同つておきたいと思いますが、政府は現在サンフランシスコ会議が重大な支障なく完了するものという見通しの上に立つて政策を立てておいでになりますか。それとも非常に、相当な支障に遭遇するものと考えて考慮しておいでになりますか。いずれでありますか。
  74. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 支障なく終了するものと十分に確信しております。
  75. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 私はその支障なく終了するものと確信してこれにお臨みになつて、そうして支障があつて、終了しなかつた場合に、政府の責任を問おうと思つておるのではないのです。そうではなくして、そこに幾多の問題が起るということは、恐らく現在の政府としてもお考えになつておるじやないかと思うのであります。その場合に伺つて置きたいことが一つあるのでありますが、それは、このサンフランシスコ会議については、虚心坦懐に考えて、いろいろな無理があるじやないかというふうに考えますが、これは岡崎さんのようなかたは、外交上の識見にも富んでおられるから、よくおわかりだと思いますけれども、現在の世界の各地で行われておるローカルな問題の解決のし方の階段というものは、いずれも行詰つております。従つて、或いは願うべきではないかも知れませんが、サンフランシスコ会議においても、日本問題をローカルに解決しようというふうに考えることは、或いは不可能であるのかも知れない。即ちグローバルな問題がそこに随分入り込んでおる。又逆にいえば、これらの日本の問題、或いはドイツの問題、或いは朝鮮の問題、それらの問題を全部、グローバルに考えて、そうして対立した意見の調整を図るということのほうが却つて世界平和の達成には、そのほうが廻り道のようであつて速かであるということも或いは考え得るかも知れないと思うのであります。これらの点について、必ずしも政府は現在のサンフランシスコ会議のような方式が唯一の、絶対の、そうしてこれ以外のものでは考えられないというふうにお考えになつておるのではない、当面現在政府はこれを最も望ましいものだというようにお考えになつておるとしても、今後の事態の発展は、御研究、或いは世界の各国の主張というようなものによつて、或いはそれよりも更に望ましい形の平和の締結ということがあるならば、喜んでそれに応ぜられることだというように了承してよろしうございますか。
  76. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 大変むつかしい御質問で、政府としても、これはなかなか御返事もむつかしいかと思いますが、只今政府考えておりますことは、英米両国首脳部が、各国と相談しまして、その叡知を集めてできたのが今度の草案でありまして、政府から見ますると、これは史上比類なく公正なものであると信じておるのであります。そうして政府は他方において一日も早く一国でも多く講和条約を結びたいと希望しておるのでありますから、サンフランシスコにおいて会議を持つことについては、これ以上のいい方法はないと確信して、是非サンフランシスコにおいて早く講和条約の成立、調印ということを望んでおるばかりでありまして、ほかのことは考えておりません。
  77. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 その問題に関連いたしまして、本朝労農党の堀議員からの御質問に対しまして総理大臣がお答えなつた中に、二、三私の納得しかねる点がありますので、官房長官に代つてお答え願いたいと思うのでありますが、堀議員が、今度の講和条約草案に不幸にしていずれかの国が調印をされなかつた場合には、そうしてそれが降伏文書署名の国である場合には、その国とは日本は戦争状態が継続するのではないかという御質問に対して、総理は、技術的に申せばまさにその通りである、併しながらこの講和条約が成立することによつて日本がいずれかの国から、例えばそういう軍事的な行動を受けるというような虞れは全くないというように確信しておるという御答弁でありました。大変見事な御答弁でありましたが、その根拠をお示し願いたいと思います。
  78. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) この条約は和解の条約でありまして、どこの国からも非難される条項はないと確信しておりますから、仮に各国の中の利害の関係上一時調印をしない国があつても、日本に対して敵対行為といいますか、何かむずかしいような状態が起るような種類のものではこの条約はないと確信しておるから、そう申したのであります。
  79. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 これはさつきも伺つておいたことなんで、繰返しませんが、なかんずくこの講和条約と関連して軍事協定に日本が同意するということは、降伏条件に違反するものではないかという意見もあり、これについて官房長官の御答弁には、そういうかたは研究して頂けばいいということでありましたが、研究の結果、いろいろそういう意見が生ずるかも知れないのです。そういう点について、必ずしも政府が余りに独断的に万事をおきめになるのではなく、考えておいて頂きたいと思うのであります。  第二はやはり堀議員からの御質問に対して外国の軍隊が駐屯するということは独立を危くするものではない、若しそういう考え方ですれば、今日イギリスにはアメリカの軍隊が駐屯しておる、これはイギリスの独立を犯しておるものだと言わなければならないとお答えなつたと思います。これは残念ながら失言ではないかと思いますが、如何でしようか。
  80. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 私は失言じやないと思います。
  81. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 そうするとイギリスはいつ何どきアメリカと講和条約に基いて、或いはそれとの関連においてアメリカの軍隊の駐屯をお認めになつたのですか。
  82. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 別に総理は講和約によつて駐屯を認めたとは言つておりません。
  83. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 総理大臣の堀議員の質問の、日本の場合講和条約に関連してアリメカの軍隊の駐屯を認めたということに対するお答なんですが……。
  84. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 総理は、一国の領土内の軍隊の駐屯という事実について述べたに過ぎません。
  85. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 そうすると、日本の場合は何か講和条約或いはそれとの関連の条約に基いてそういうことが行われ、イギリスの場合は全く場合が違うということをお認めになりますか。
  86. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) イギリスの場合は、日本の場合と同じであります。
  87. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 イギリスの場合、やはり英米講和條約、それに関係するものですか。
  88. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 日本の場合は、講和条約によつてアメリカの軍隊に駐屯をされるのでなくして、講和後に独立した日本の国がアメリカと協定して軍隊の駐屯を依頼することで、同じことだと思います。
  89. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 そうすると、いわゆる政府講和条約第六条A項但書というものは削除されるというお考えですか。
  90. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 第六条によつて駐屯を認めるのでなくして、六条によつてそういうこともできるという規定があるだけでありまして、してもしないでもいいのであります。したほうがいいからしようと考えておるだけのことであります。
  91. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 そうするとイギリスとアメリカとは、何か条約の中に今日本が講和条約において受諾しようという六條A項但書のようなものはございましようか。
  92. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) これは羽仁さんもいろいろ専門家のようでおられますから、私から説明する必要もないと思いますが、今まで日本は占領されておつた国でありますから、そういう権利があるかないかという疑念があると考えまして、念のためにそういう規定を入れたに過ぎません。
  93. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 それでは大体日本の場合とイギリスの場合とは著しく場合を異にするというふうに了解いたします。それからやはり堀議員に対するお答の中に、日米安全保障条約については、いずれその形ができたら議会に協賛を願うという首相のお言葉があつたように思いますが、それはそのように了解してよろしうございますか。
  94. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 協賛という言葉は適当かどうか知りませんが、批准を求めるために議会の承認を受けることになると考えております。
  95. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 最後に伺つておきたいことがございますが、それはこの講和条約で日本の主権が回復をするという点についてでありますが、私もそれを願い、政府説明を伺いたいと考えておるのであります。併しそこにはいろいろの問題があつて政府も苦心せられる点だと思います。なかんずく、他の問題は一切省略いたしますけれども、本日の首相の御答弁のうちに、この対日講和条約署名に参加を要請せられるものは、現在の北京政権であるか、それとも台湾の政権であるかというような点についても、これは一体どういうことになるのか、そうして或いは現在の草案の基礎になつたいわゆる講和七原則というもののうちに、極東委員会或いはアメリカ及びイギリスが拒否権を持つというようなことについての決定というような問題がある。これらの問題について常に政府がとろうとしておる態度はどういう態度であるかということについて最後に伺つておきたい。政府はその際に日本の主権の回復ということと、それから極東及び世界の対立を挑発しないという方法において解決されることと思いますが、そう了解してよろしうございますか。
  96. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) それはその通りであります。
  97. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 私の質疑は終ります。
  98. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 時間も相当経過しておりますし、その後において議運で承認するかしないかの本審査をする時間も頂きたいと思いますので、この程度で連合委員会を閉じることの動議を出します。(「異議なし」「ちよつと質問がある」と呼ぶ者あり)
  99. 山田佐一

    委員長山田佐一君) 多くの賛成者があるようでありますから、只今の動議に対して採決をいたしたいと思います。
  100. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 未だ連合委員会では採決を以て議事進行をしたことがないので、これは各会派において一応の御了解もあるものでありますから、一、二のかたがたの御論議は何とか一つ御容赦願つて、この程度にして頂きたいと思います。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  101. 山田佐一

    委員長山田佐一君) 御了承願いまして、連合委員会はこれを以て終了することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  102. 山田佐一

    委員長山田佐一君) 御異議ないと認めます。それでは連合委員会はこれを以て終了いたします。    午後四時四十九分散会  出席者は左の通り。   議院運営委員    委員長     山田 佐一君    理事            鈴木 恭一君           小笠原二三男君    委員            上原 正吉君            加藤 武徳君            中川 幸平君            菊川 孝夫君            三輪 貞治君            森崎  隆君            杉山 昌作君            高橋 道男君            赤木 正雄君            小宮山常吉君            三浦 辰雄君            鈴木 清一君            兼岩 傳一君   人事委員    委員長     吉田 法晴君    委員            草葉 隆圓君            木下 源吾君   法務委員    委員長     鈴木 安孝君    理事      宮城タマヨ君    委員            長谷山行毅君            棚橋 小虎君            中山 福藏君            羽仁 五郎君            須藤 五郎君   外務委員    委員長     大隈 信幸君    理事      曾祢  益君    委員            金子 洋文君            岡田 宗司君            伊達源一郎君   —————————————    議長      佐藤 尚武君    副議長     三木 治朗君   —————————————   政府委員    内閣官房長官  岡崎 勝男君    内閣官房副長官 剣木 亨弘君    人事院総裁   浅井  清君    法制意見長官  佐藤 達夫君    外務政務次官  草葉 隆圓君    外務省政務局長 島津 久大君   事務局側    事 務 総 長 近藤 英明君    参     事    (事務次長)  芥川  治君    参     事    (記録部長)  小野寺五一君    参     事    (議事部長)  河野 義克君    参     事    (警務部長)  丹羽 寒月君    参     事    (委員部長)  宮坂 完孝君   法制局側    法 制 局 長 奧野 健一君    参     事    (第二部長)  岸田  実君