○羽仁
五郎君
委員長にお願いして置きたいのですが、実は時間も大分遅くなりましたのですが、いろいろ伺いたいことがあり、特に重大な本案件でありますので、願わくは明日でもこの案件の提出者であります
内閣総理大臣に御
出席を願
つてそうして
質問を許されたいと思うのであります。そうしてそれにつきまして、明日まで
官房長官から十分御相談を願
つてお答えを願いたい
意味において、本日次の三点についての
質問を許されたいと思う。
第一は、
政府は今締結されようとしております
講和条約なるものを、現在の
日本国
憲法の中に明記せられております
条約というもの、それに含まれるものという御
見解にお立ちにな
つておいでになるかどうかという点であります。この点については御
承知のように、学界に異論がございます。それで或いは
只今の
日本国
憲法に明記せられておる
条約というものは、この旧
憲法時代の
日本と新
憲法の時代の
日本との過渡期の
講和条約というものを含まないのだという有力な
意見が発表されております。従いまして我々としてはこの点について
政府はどういう所見をおとりにな
つておるのか。そうしてそれについても将来に対する
責任をおとりになろうというふうにお考えにな
つておるかということについて、本日でなくても結構でありますから、十分御
研究の上御
答弁を願いたいと思うのであります。そうしてその結果につきましては更にお伺いをいたしたいと思うのであります。
それから第二に伺いたいのは、この本
条約と並べて
予想せられております日米安定保障協定、これは
政府の
只今までの御
説明では
憲法に抵触しないというお考えでありましたが、この
憲法に抵触しないというのはどういう
意味において抵触しないというふうにお考にな
つておるか。これは具体的に申せば、この日米安全保障協定の内容の中で或いは抵触するのではないかと考えられておる条項について、これは抵触しないという御
説明を頂きたいのであります。更に具体的に申せば、日米安全保障協定は決して
日本の再軍備ということを
予想しているものではないということであれば、これは
憲法に抵触しない。
従つてそういうお考えであるかどうか。
それならば最後に、万一日米安全保障協定に
日本の再軍備が
予想せられているということがわか
つた場合には、
政府はこれに対しては
調印せられるのであるかどうか。
調印を辞退せられるのであるかどうか。若しそうでないとするならば、その場合に臨まれたこの
講和全権に対して、
国会が
国会から選定されますこのお二人のかたに対して、これを今日
承認する案件について我々が重大なる決意を持たなければならない。以上申上げました点についてどうか十分御
研究の上、
はつきりした我々のみならず国民が納得するようなお答を頂きたい。
それから第三には、この日米安全保障協定というものは、
只今我々の知
つておりますいわゆる対日
講和条約の第六条の後段に直接に含まれるものなのでありますか。それともそれとは別個のものなのでありますか。この点についてどうか明確にされないと、この
承認の案件を
審議するのに我々の知識が不十分であるというそしりを免れないと思うのであります。それで、若しこれが別個のものであるとするならば、これに対するその批准の条項というものが必要にな
つて来る。そして、これは総理も昨日演説の中にも批准条項は入るものと考えているというような御
説明があ
つたと思うのでありますが、この点につきましては、
只今政府は批准条項は入るものとお考えにな
つているという
程度では、
国会が本案件を
審議することができないのじやないか。どうかその点につきまして、これは時日をも若干要することかとも思いますので、明日御
答弁を願いますまでの間に、この批准条項が必らず入るというお見通しをお立てになりますか。それとも、この点についてはそういう見通しについては答えられない。ただ入るものと希望しておる。つまり、これは希望的観測であるか。それとも
政府の現在の
責任において批准条項は入るのだということを
責任を持
つて御
答弁になりますかどうか。それを明日までの間に
お答えを願いたい。
それで、この第三点の
質問につきましては、特にこれに批准条項が入るものと考えていたけれども、あちらへ行
つて見たらば批准条項が入らなか
つたという場合には
政府はどうなさいますか。これは
国会からこれについて
全権の委任を今日お求めになるのか。これは、その点については、
国会の問題でありますから、その場合には、これは批准条項が入るつもりでや
つて来たのだが、入らないということであ
つては、これは
調印することができないというような立場をおとりになりますか。これらの点について、どうか
只今の状態では恐らくは明確な
答弁は頂けないのじやないかと思いますので、明日、明確な
答弁を頂きたいというふうに考えているのであります。
それで、以上の問題を特にこの際本日から明日までの間に十分の御連絡をお遂げにな
つてお答えを頂きたいと思います。実は、この
条約の
全権の
任命について、
国会がどの
程度までの
責任を負うことができるか。若し負えないのならば、それは全
責任は現在の
政府がおとりになるおつもりであるかという点について、我々が本件を
審議いたします上に、以上の点についてはどうしても
はつきりした
お答えを頂きたいと思いますので、
只今直ちに御
答弁を頂きませんで結構でありますから、明日成るべく親切な
お答えを頂戴して置きたいと思うのであります。