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1951-08-16 第11回国会 衆議院 地方行政委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年八月十六日(木曜日)     午後一時四十三分開議  出席委員    委員長 前尾 繁三郎君    理事 河原伊三郎君 理事 野村專太郎君    理事 藤田 義光君       池見 茂隆君    尾関 義一君       大泉 寛三君    床次 徳二君       山手 滿男君    大矢 省三君       久保田鶴松君    立花 敏男君       中西伊之助君  出席政府委員         地方自治政務次         官       小野  哲君         大蔵事務官         (主計局長)  河野 一之君  委員外出席者         地方財政委員会         委員      木村 清司君         地方財政委員会         事務官     立田 清士君         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 本日の会議に付した事件  地方財政に関する説明聴取     —————————————
  2. 前尾繁三郎

    前尾委員長 これより会議を開きます。  まず最初に、一昨日床次委員等からお話がありました平衡交付金基準算定等に関して、木村地方行政委員から発言を求められておりますのでこれを許します。
  3. 木村清司

    木村(清)説明員 平衡交付金の分配の基準に関する規則に関しては、ただいま昨年度分の実施の状況にかんがみまして、多少の変更をいたしたいと思つております。それはおもに基準財政収入につきましては、税の見積り方につきまして、実績よりも客観的標準に基いてこれをきめたいというように目下とりまとめております。なお基準財政需要の方につきましては、一号の補正係数・三号の市町村規模による補正係数及び寒冷度積雪度による補正係数等につきましても、人事院の勧告等を考慮いたしまして研究中でありますが、実はまだはなはだ恐縮でありますが、とりまとまつておりませんのでありますが、この規則につきましては当委員会といたしましては仮決定で一度公表いたしまして、そうして都道府県市町村について計算をいたしまして、計算の結果を見ましてなお皆様方大方の御批判を得て、本決定をいたしたいというつもりでおります。従つて遅くも今月中にはとりまとめた仮決定案を公表いたしまして、またこれに基いて都道府県全部及び市町村等につきましても計算をいたしまして、そうしてまた計算の結果の妥当性をも考慮し、また大方の御批判を得て本決定をいたしたい、こう考えているのでありまして、実はきようまでもその仮決定の案をつくりたいと努力いたしたのでありますが、何分にも仮決定案をつくるにつきましてもある程度の試算をしてみて、仮決定をしておるというようなこともありまして、その点実はただいまのところとりまとめてないことは、はなはだ申訳ないと存じておりますが、できる限りすみやかにとりまとめまして、皆様方のお手元に差上げておきたいと思いますが、なおこの際、従来の税の作定方法ないしは補正係数等につきまして、お気づきの点があれば御注意くだされば、非常に仕合せだと思います。  なお当局としましてどういう点を昨年度にかんがみて考慮しているかという点につきましては、立田事務官が同伴しておりますから、詳細の点については立田事務官からお希望によつて申し上げたいと考えておる次第であります。どうぞあしからず御了承願いたいと思います。
  4. 床次徳二

    床次委員 ただいま木村委員からお話がありましたが、この問題はむしろ仮決定を公表されない前に具体的な数字になりませんでも、大体のことを承つた方が将来のためにいいのではないかと思うのでありますが、なお今事務官の方からいろいろ御説明を承れれば、この際ひとつ説明を承りたいと思います。
  5. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それではその説明はあとまわしにいたしまして、ちようど河野主計局長がお見えになつておりますから、平衡交付金の問題について、大蔵省算定あるいはこれに対処する方針等についての御説明を承りたいと存じます。河野主計局長
  6. 河野一之

    河野(一)政府委員 平衡交付金の問題については、前国会以来いろいろ御議論がありまして、今年の四月以来地方財政実態調査を実施いたしております。調査は二つの面についてやつたので、ございまして、歳入歳出についてでありますが、これは全都道府県それから市につきましては百六十、町村については千百六十箇町村ばかりのものについて、個々昭和二十四年度決算昭和二十五年度決算見込み、それから昭和二十六年度の当初予算そういつたものを当つてみたのであります。それから前国会において公務員給与が問題になりました。この給与調査も別途いたしたわけであります。  申し遅れましたが、地方財政歳入歳出決算についての調査は、大体各府県とも集まつたのでありますが、非常に正確な点において多少問題の府県があるようでございます。たとえて申しますれば、決算見込み歳入歳出とも同額というようなものは、ほんとうを申すと予算を扱つておるものの立場から見ればおかしいのでありますが、そういう点は除外いたしまして一応まとまりました。  それから給与の問題でありますが、給与は全都道府県、市は全部、それから農山漁村におきましては、必ずしも国家公務員給与制度におよりになつておられないようなところもありますので、人口七、八千ぐらいの代表的な町村、これはみな府県知事から選んでいただきまして、調査いたしたわけであります。東京都はお出しになりませんが、そのほかの都道府県は大体お出しいただきました。大分遅れましたが調査集計が全部集まりましたのはまだできておりません。  それから市につきましても、お出しにならぬ市が相当ございます。これは相当複雑な調査でありますので、手間を食いましたか、あるいはどういう事情か存じませんが、お出しにならぬところが相当ございます。それからまたお出しなつても不備なものもございます。そういうふうな調査をやりまして約七十万人ほどについて調べております。そのうち約七万人につきましては、個人別カード別調査をいたしました。経験年数学歴等、これは全部府県知事の方からお出しくださいました個人別カードによつて調べる。私の方で恣意的に任意的にピック・アツプ調査したものではございません。そういうものを調査いたして、目下いろいろ結論出したいというふうに今考えておる段階であります。  都道府県の方につきましては、昭和二十四年の決算見込み額というものを基礎にいたしまして、昭和二十五年の平衡交付金算定をいたしたのでありますが、決算確定数字で行きますと、五十億ほど歳入歳出とも実態調査の結果の方が多いようであります。それから二十五年度決算見込みでいいますと、大体前年に比較いたしまして、約五百億ほど歳入歳出がふくれております。われわれが二十六年度補正予算を立てましたときの数字に比較いたしましても、約二百七十億ばかり多いのであります。この原因がどこにございますか、歳入歳出とも多いのでありますが、歳入の問題につきましては、これは決算見込みを拝見いたしますと、翌年度歳入の繰上げ流用の県が十六県ございます。総額で二十八億であります。歳入歳出とも多かつたけれども、これは翌年度歳入繰上げ流用したというようなことでつじつまを合せたので、必ずしも府県財政実態を示していないというような議論も一応できるわけでありますが、個々歳入歳出にわたつてみますと、臨時費が非常にふえているようであります。給与費も非常にふえております。そういうようなことでありますので、まだ実はしさいに検討いたしておるのでなかなか結論が出ない段階でございます。また本年度においては、一方租税自然増収というものも考えねばならぬのでありましてわれわれの見方ではいろいろありすが、本年度自然増収が—これはまだはつきり確定的に出ておりませんが、地方財政委員会のお見込みでは、二百八十億というようなことを言つておられます。そのほか、大蔵省見方としてはもう少し多いのでありますが、かりに二百八十億は最低限度あるわけでありますが、そのうち都道府県の分がその二百八十億を基礎にいたしますと、百九十億ということに相なろうかと思います。それを個々都道府県歳入歳出二十五年度決算に比較いたしまして、当然増加すべきもの、減るものがあるわけでありますから、個々都道府県についてこれをやつてみまして、そうして個々でこぼこを見なければならぬわけであります。  それからこれは都道府県の例でありますが、東京大阪といつたようなところにつきましては、平衡交付金が参りませぬので、その自然増収がロスになる面もございます。しかしそれ以外の府県においては、みな平衡交付金配分を受けておられますので、今後ベースアップもございましようし、それからベースが千円というのがあるいは少かつたというような御議論もあつたのであります。こういう点を検討いたしまして、はたしてどの程度にすべきかということを、目下検討中であるわけであります。ただいま都道府県知事が来ておられまして、けさほども多少お話合いをいたしたのでありますが、現在地方財政委員会、それから都道府県知事の方と私の方とただいまいろいろ御相談をいたして、府県知事側のおつしやるような数字について、検討いたしておるわけであります。従いまして現在の段階において平衡交付金をどうするかということにつきましては、まだ予算折衝の最中でもありますので、申し上げられない段階でございますので、御了承を願いたいと思います。
  7. 藤田義光

    藤田委員 ただいま主計局長の御説明がありましたが、今補正予算局長手元で審議中のようでございまして、この補正予算はごく最近の機会に一応成案を得たいというようなことを拝聴いたしておりますが、そうしますると、今知事から出ております資料に基く新たな事態におきまして、補正予算の必要が起きた場合は、その後に追加されるごとになりますかどうか。一応仮定の問題ではありますが、お伺いしておきたいと思います。
  8. 河野一之

    河野(一)政府委員 今度の補正予算は総理が講和会議に行かれる前に内定をいたしたいというようなつもりでおります。しかしその点はどういうことになるか私存じませんが、その際に平衡交付金の問題も解決いたしたいというふうに思うのでありますが、県知事から出された資料検討いたしておりますが、なかなか合理的な結論は私は事務的には得られないと思うのであります。と申しますことは、昭和二十四年度都道府県決算が二千二百九十八億、これに対して約八百億ほどの歳出増加を見ておられます。私どもとしましては、前年の二十五年の決算に比較して三割も都道府県歳出がふえるというような数字は、なかなか是認いたしがたいのであります。そのほか給与経費なんかの御計算もございますが、実を申しますと、都道府県あるいは、町村は何とも申し上げられませんけれども、われわれがカード別調査いたしました結果によりますと、相当高いのでございます。この高いのはいろいろ理由がございますが、少くとも国家公務員と同じベースに立つたといたしまして、経験年数とかあるいは学歴とかいうような点につきまして、同じベースに立つて七万人のカード別調査をやつたのでありますが、比較いたしましても、相当私は高いと思うのであります。そういう高いベースでやりましたものを、そのまま平衡交付金算定する基礎に置いて、つまり国庫から財源を交付する場合において、それを算定基礎としてとつてよいのかどうか、私は多少疑問があると思うのであります。もちろん高いのがいい、いけないというわけではございませんので、国としてはそれをとやかく非難すべき筋合いはないのでありますけれども財政交付金を交付する建前としてどうであろうかというような考え方を私は持つております。そういつた意味合いで、そういう点についての関係地財委都道府県の方々ともよくお話合いをしてみたい、こう思うのであります。
  9. 藤田義光

    藤田委員 これは非常に資料が不足しておりまして、大蔵省関係資料が少いために、やや片寄つた意見になることを極力警戒いたしておりますが、昭和二十四年度という年は、御存じ通り地方配付税が半分に減らされた変態的な年でございまして、この年度中心に論議することは非常に危険ではないかというふうな気もいたします。地財委といたしましては、昭和二十二年を基準としてそれの算定、三、四倍ないし七倍というような方式をとつておりますが、これもまた根拠が非常に弱いそれでどうしても二十六年度の新しい対策を研究するのには、新しい地方財政方式、たとえば新しい地方税法が確立された後の事態基準にしたら、最も正確な結論を得るのじやないかというふうに考えておりますが、この点と、それからもし科学的に検討されまして、公正な結論として出さなければいかぬというようなことになつた際におきましては、財源は十分ございますか、この点をお伺いしておきませんと、論議だけしましても財源がないということになると、問題が全然別個になりますので、この二点をお伺いします。
  10. 河野一之

    河野(一)政府委員 平衡交付金は二十五年度から始つたのでありますが、そのときに二十二年度決算でありましたか、それを基礎にしてやられたことは事実なのであります。私どもそのときに昭和二十四年の決算いかようになるであろうということ、つまり四千三百二十億という額を基礎としてすべてのスタートをしたわけであります。これは地方財政委員会も私の方も一致した点でありまして、別にそこに作為も何もない。その結果に比較して二十四年の決算税収なんかも五十億ふえているようであります。その年がいけないか、いいか、これはいろいろな議論がありますが、それに対してさらに平衡交付金というものを幾らにするかということも、いろいろ事務の方もありますし、それから財源の方もありますし、そういうふうにして算定したので、これが非常にきゆうくつであつたということもあるかも存じませんが、二十四年から二十五年に対してのふえ方というものは、決算の確定されたもので見ますと、相当問題がありはせぬかという気がするのです。これはよく話合いをしてみなければいけませんが、そこに五百億ばかりふえております。給与経費だけでも百十五億ふえております。百十五億と言いますと、六三ベースから八千円ベースに改訂されたのは、ことしの一月からでございまして、原則的には二十四年と二十五年との間に給与ベースの差がなかつた。三箇月だけ影響している。人員は四万七千二百人がふえておるのでありますが、それを十万円と計算しても四十億にしかならない、ベースアップ影響は二十五年度については一月から三月、これだけの影響とすれば三、四十億くらい、ところがこの三、四十億も決算見込においてふえているということは問題があろうかと思います。これなんかも検討がいることでありまして、二十五年度割合にその点において楽だつたとは決して申せませんが、少くとも二十四年度とは大分財政状況がかわつておるのじやないか。千百億という平衡交付金のために違つておるのじやないかという感じを持つておりますが、この点は検討いたさねばならぬと思つております。  それから財源の問題でありますが、額にもよることでありまして、何とも申し上げられませんけれども、なかなかそう簡単に—国財政の方は御承知の通り租税自然増収もございますし、八百億というふうになつておりますが、減税という問題だけでも四百億くらいいるわけであります。このほかベース・アツプもございますし、講和会議に伴う経費も相当かさむことであります。また肥料の問題、糸価の問題、いろいろあるようでございます。それから食管会計への繰入れも百億程度あるのでありまして、その点を考えまして必ずしも財源が豊富であるというふうに私は考えておらないのであります。と申しまして出さないという結論を初めからつけて、この問題にかかつておるわけでも必ずしもない。しかし私の立場からいろいろ検討した結果—これは個々府県については問題がございます。たとえば自然増収で今後の給与ベースアップ、その他でもつてまかない得ない府県をここにあげてみますと、二十七、八府県あるようでございますが、しかしこれは平衡交付金配分でもつて相当調整し得るのじやないかというような感じを私は持つておるのであります。しかしこれは私だけの独断でなしに、皆さんの御意見を聞いてやるのが至当であろうというふうに思つて、現在いろいろな案を練つております。省議においてもまだこの問題について黒とも白ともきめておるわけではないのでも御了承願いたいと思います。
  11. 藤田義光

    藤田委員 ことしの地方財政がいわゆる非常に窮迫したというようなことがそのまま真相とすれば、二十五年度平衡交付金配分に関しても、何かそこにいま少しく改善の余地があつたのではないか、たとえば市町村分を多少府県費に加えるというようなこと、あるいは新税法一つ資料になりました寄付金を四百億と算定したところにも、何か少し冒険があつたのではないかというようなこと、それから二十五年度地方税徴収成績がものすごく悪い、このしわ寄せが二十六年度に来ておるというようなことも考えられますが、大蔵省の見地から寄付金根拠あるいは昨年の平衡交付金配分、それからもし徴税成績が少くとも調定額の九〇%ぐらいあつた場合、現在の地方財政のいわゆる赤字というものにどの程度影響を来すか、こういう点をわれわれまだ数字的に検討しておりませんが、何か御研究がありましたらお話願いたい。
  12. 河野一之

    河野(一)政府委員 実は四十六都道府県、百六十市、それから千百六十箇町村、これは非常に厖大なる資料でありまして、ようやく最近歳入歳出集計が出て、この中の分析を今やつておるわけであります。滞納の状況等につきましても、個々府県についてあたつております。その結果をもう少しお待ちいただきませんと、私がここでもつてどうだという感じを申し上げても非常に独断になります。ただ傾向としては考え方を持つておるのでありますが、個々府県によつて、違いますので、非常に徴収成績のいいところもございますし、また悪いところも相当あるようなのであります。しかし私の大体の感じとして税収見方割合に少い、自然増収見方が各府県とも非常に少いという感じを持つております。それからもう少し徴収把握をされたらいいだろうという感じは持つております。しかし今個々府県について申し上げられませんので……。
  13. 藤田義光

    藤田委員 先般大蔵省から出されました地方財政問題点のうち、最後の点は、大体われわれは全面的に賛成であります。特にわれわれの所属しておる生まれ故郷は農業県税法の欠陥がだんだんわかつて来ております。特に所得割あるいは法人課税等中心とした地方税種目に非常な矛盾が生まれて来ておるのでございます。従いまして、この農業県と大都会を擁する府県こういうものとの区別を相当大幅にこの際検討する必要がある。これはとうてい現在のわく内で平衡交付金だけでは是正できないのじやないか、どうしても地方債わくで考慮していただく、平衡交付金配分に関しては、地財委が全責任を持ちますが、地方債に関しましては、御存じ通り閣議決定で、資金運用部地財姿相談なつておりますので、この点で相当大幅な修正をやつてもらいたいという声が非常にございますが、この点に関してはどういうお考えでございましようか。
  14. 河野一之

    河野(一)政府委員 私ども地方財政を見た感じといたしまして、率直に申し上げて、地方債わくが少いために窮迫いたしているという点は、相当認めざるを得ないと思うのであります。ただそこのところに問題があるのでありますが、たとえば先ほど十六府県が繰上げ充用をしておる、県まで全部わかつておりますが、大部分が臨時費なのであります。もしそれが起債においてまかなわれておつたならば繰上げ充用をなさらなかつたであろうという感じを持つのであります。つまりその仕事はやらなければならぬが、起債で行かないので、平衡交付金なり、税なりの一般財源によらなければならなかつたために繰上げ充用なつたという点は、ある程度どもは認めざるを得ないと思うのであります。しかしこの点についてまだ検討も十分でないのでありますけれども起債配分についても相当問題があるのでないであろうかという気がすることが一つ、これは絶対額が少いところにそんなことを言つてもしようがないという議論もございましようが、それもあろうかと思います。それから事業について、国で四百億ときめておれば、四百億程度規模でやつていただきたいというのが、国庫当局希望であろうと思います。しかしまあ、給付した額をそのまま載せずにおけないというところもあるので、その額が絶対的に不足するのはどの程度であるかということは、これはなかなか算定がむずかしいので、われわれとしましても、現在の情勢からどうということはなかなか申し上げにくいのでありますが、起債の増額の問題については相当真剣に考慮しなければならぬという感じを私どもとしては持つております。総合予算の均衡の建前からこれをいかに解決するか、これは別途の問題でありますが、私自身率直にそういう考えを持つておるということを申し上げておきます。
  15. 藤田義光

    藤田委員 偶然主計局長も言われたのですが、実はこの起債配分に関しまして、例が妥当でないかもしれませんが、今年の単独事業交通費起債配分を見ますと、東京都と大阪と五大都市で十億のわくのうち八億をとつてしまつておる。残る二億を約四十の中小都市配分するというような状態でございまして、税制は大都市中心なつており、起債配分もややともすればそういう傾向が現われておるということは、これは否定できないのではないかと思います。それでもし真剣にこのわくの問題をお考えになりますならば、配分に関しましても、現在の地方財政でこぼこ平衡交付金だけでなくて、地方債の面でも補正するという点を、ぜひとも大蔵省当局においては考慮していただきたい。これはおそらく全国の町村長等はその感を深くしておることであろうと思います。それで起債というものが、最近一般財源的な性格を持つて参りまして、何と申しますか、政治力の旺盛なる大都会地、特に交通機関が多くてゴー・ストップもなかなか渡れないような大都会がますますトレーラー・バスその他の建造をやる、農村で、交通機関の非常に不足しておるところには、起債はほとんど行かぬというような矛盾した現象がだんだん深刻に地方に反映して参りますと、大都会中心地地方との妙な感構の対立が起きはしないかということをわれわれは憂慮しておるのでございます。これはお願いでございます。それからシヤウプ勧告の線でいろいろやつて参つたのでございますが、その一つの大きな柱でありました事務の再配分というのがほとんど行われないで、ほかの一面は多少前進した施策が具体化しておるということで、びつこの状態でございます。事務は再配分しないで、財源だけが市町村中心なつたというようなことをよく言われるのでございますが、この再配分に関しましては、主計局でも何か検討中であるというようなことを聞きましたので、この点に関しまして簡単に概況を御説明願えれば幸いと存じます。
  16. 河野一之

    河野(一)政府委員 起債配分については、こまかいことを私は存じ上げないのでありますが、おつしやるような点がありますれば、これは是正した方がいいと思います。それから藤田さんのおつしやいますように、今までの財源配分が、事務配分とは別個に、事務配分のことを考えずに、従来の制度の上に、そのまま、財源だけはそういう考えでなしに配分したという点が、私はずいぶんあるのじやないかと思うのであります。早い話が、シヤウプ勧告にも、教育なんか市町村がやるべきだというような議論もあつたかと思うのでありますが、依然として俸給費の負担は府県でやる。そうして府県職員八十万のうちの六十万が教育職員でありますから、ベースアップによる圧迫を受けるのが府県が一番大きかつたのは、いなむべからざる事実であります。それから、今後事務配分についてどう考えて行くかということでありますが、これは結局市町村の性格をどう判断し、府県というものをどうあるものとして持つて行くかということに結局は私は帰着するのではないかと思うのであります。地方行政調査委員会議から一応の勧告が出ておりますが、私は個人の意見でありますが、率直に申し上げまして、あの通りは理想ではありますけれども、一時にそういうふうには参らないのじやないかというような、漠たる感じを持つております。これは個人の意見でありますから何でありますが、やはり現在府県というものが相当市町村に対して補完的な仕事をしておるという事実は、認めざるを得ませんので、これを現在の小さい市町村個々にならした場合に、はたして効果的であり、効率的な行政ができるかどうかという点もあると思うのであります。それから、何としても、これも私の個人の考え方でありますが、府県というものはやはり経済団体であり、それから市町村というものは生活団体であるというふうな考え方でおるのでありますが、つまりわれわれの公私の生活で申しますれば、われわれの公の生活が府県立場であり、それから自分からのプライヴェートの生活が市町村立場、そういう行政のわけ方ができないであろうか、つまり経済というものはだんだんと広域にわたるのでありますから、広域にわたつて一本に施策しなければならぬようなところは、府県の方が適当でないだろうかという感じを持つております。ただ日常のサービスであるとか、あるいは福祉であるとかいうようなものは、これはお互いに直接した問題でありますので、そういう点は市町村にゆだねておく。但し能力のないものはやはり府県へ持つてつてやらせる。たとえば病院であるとか何とかいうような施設、現在府県の施設と市の施設がどこでも相重なつておるのでありますが、そういう点はほんとうを言えば適当でないので、いなかの町村における病院であるとかいうようなものは、病院としては町村では持てないから、結局府県でやつてやるというような方法ができはしないだろうか。現在これは非常に重複し合つているので、その点府県市町村の性格というものをどう判断するかによつてかわつて来るのではないか。これは非常におこがましいことを申すのでありますが、これには各省いろいろの御意見もありますので、確定的なことを申し上げるわけには行かないのでありますが、調査委員会議の勧告を原則的には尊重し、また事態に合わないところについては、政府としてある程度の調整を加えることに相なるであろう、こういうふうに考えておるわけであります。
  17. 藤田義光

    藤田委員 地方自治体という一つわくの中に、市町村府県と同列に並んでおるところに、現在の行政の難点があるという点はまつたく同感でございます。特に都道府県の性格を一応再検討してみる必要がある。法律上も何か少しかえる必要があるのではないかというふうに、私も個人としては考えておりますが、この点は今後の問題といたしまして、平衡交付金配分に関しまして、毎年院内外でいろいろ問題を起しておりますが、従来の地方配付税の利点をこの際活用いたしまして、何とか国税あるいはその他のものに対する一定の比率を法文化いたしまして、それによつて自動的に予算わくがきまるというような方法をこの際考えてみたらどうか、そうすれば中央依存というようなこともなくて当初予算からそのわく内で計画が立つということが考えられて来ます。市町村長あたりの意見を聞きましても、大体地方配付税時代の方が予算計画が事前にはつきり立つて、しかも途中において足らぬでも何とか埋め合せて予算の執行ができたということを、盛んに言われて来ております。この点に関しまして、何か大蔵省で御意見がありましたならば、お伺いしておきたいと思います。
  18. 河野一之

    河野(一)政府委員 地方財政制度、ことに平衡交付金制度を改正したいということは、これは天下の輿論になつておりまして、税制懇談会においてもある程度の案がございます。それから各政党においても相当な案があるようであります。大体一致していることは、平衡交付金をもう少し、減らして、実質的な財源を与えるようにしようということのようであります。私もほんとうにごもつともだと思うのであります。平衡交付金制度を全然なくするということができるかどうか、これはもちろん検討を要しますが、現在の平衡交付金というものは、二つの役割があると思うのでありまして、一つ地方における財源の絶対的な不足を補う、つまり税制の中央集権化と申しますか。国民経済の流通が広域的になるに従つて、税源の所在が割合に集中する。それから税制というものは、全国的に税源を追つかける建前において、どうしても中央集権的にならざるを得ない。従つてどうしても国税として持つて行かれる可能性が多い。これは所得税中心主義の問題でありますが、そういう点からして、つまり税源が中央に移行することに伴つて地方財源が不足して来る。その不足を補つてやる性質のものが一つと、それからもう一つは、同じ税制のもとにおいても、東京とか大阪とかいうような所に富が偏在する、それによる税源の偏在、地方団体間における税源の偏在というような面があると思うのであります。これは多分に観念的なものでありますが。その二つの役割を少くとも平衡交付金制度は果すべきものであろうと思うのであります。従つて今度配付税制度をどう考えて行くか、いろいろ問題がありますが、つまりこの二つの目的を持つておる平衡交付金制度というものを、知らず知らずの間にうまく運用せられておるのかもしれませんが、これを配付税制度の一本で行くのがいいか、あるいは二本で行くのがいいか、あるいは平衡交付金制度というものをもう少し改革して、日本の財政需要と云々ということも、もう少し合理的に行くという点もあると思うのでありますが、少くともこの二つのものは観念的に分離して制度考えたらどうか、私どもは実はそう思つておるのであります。これはまだ研究段階で、昭和二十七年度予算の際におきましては、決定しなければならぬことだと思いますが、そういう点もあわせて考えておる次第であります。観念的のことばかり申し上げて恐縮でございますが、そういう段階であります。
  19. 藤田義光

    藤田委員 起債わくの増大とか、平衡交付金の増額というような当面の要望はとにかくとしまして、この際われわれは国民所得の実力と、それから国、地方団体、こういうものの行政事務の限界をはつきりきめまして大体国と地方財源わくというものもきめ、それに基いて一切の問題を処理して行くということでないと、なかなか当面の現象だけを追つかけて論議しても、根本的な解決がつかぬのじやないか。戦争前から戦争中の国家財政地方財政わくの歴史を見ましても、情勢が激変しておりますから、ほとんど参考にはならぬと思いますが、昔は地方財政の方が大きい部門を予算的に占めておりました。この国力の低下した日本において国家財政地方財政規模、行政事務の範囲、限界というものをマッチさせた一つの基本策、根本的な問題の解明をするためには、この点をまず大体大筋をきめてから具体策を研究する、こういう段階に立至つておるのではないかと思いますが、大蔵省ではおそらく安本あたりと御相談の上、何かお考えなつてはおらぬかとも思いますので、この際お伺いしたいと思います。現行制度のもとにおけるいろいろな論議は、もう大体出尽しております。この際全面的に再検討する事態に立至つておるのではないか。シヤウプ博士には非常に御苦労さんでございましたが、この勧告の線もいろいろあつたうちで、具体化したもので非常に問題を多く生じまして、全部御破算にして根本的に考え直すというようなことも、必要ではないかという事態に突入していやしないかと考えますが、この点に関する見解をお伺いしておきたい。
  20. 河野一之

    河野(一)政府委員 財政は国民所得の再配分でありますが、国民所得に対して、国の財政地方財政がどの程度であるべきかということは、実は非常に重要なことでありますが、なかなか簡単に結論は出ないのであります。これは各国とも非常にそういう研究をやつておるようでありますが、その国国の財政政策、つまり完全雇用という政策をとるか、あるいは景気の変動というものを見て、長期の均衡をとるか、あるいは国民所得の再配分ということを非常に大きくして、つまり財政が占める割合を大きくして、国民全体の所得の平均化をはかるか、そのときの財政政策のあり方によつてきまるものだと私は思うのでありまして、これは絶対に何割でなければならぬ、国に対して地方はこれだけでなければならぬという原則的なものは、学者なら別として、政治の問題としては出ないんじやないかと思うのであります。昭和七年ごろの歳出は約二十億程度でありますが、物価で換算すれば四千億。現在の六千五百億は、軍事費のない時期において非常に大きいのじやないかというような議論、すなわちもう少し行政規模を圧縮しなければならぬ。これも確かに一つ議論ではありますが、その間における財政の持つておるあり方というものが非常にかわつて来ておる。公共事業費も、物価換算で行けば、当時に比較して非常にふえておる。ことに社会福祉的な国家になりまして、昔は救護法あるいは軍事扶助というものは五百万円程度であつたものが、現在は約四百億にもなつておる。物価換算をしても何百倍になつておるというような財政のあり方の問題でありまして、そういうことをやらぬでもいいということになれば、財政規模は非常に減るわけであります。また地方においても、事務をどうするかによつても減るわけで、これは財政わくだけでは簡単にできないと思いますが、ただ前の年に比較して、来年は投資を重んずるか、あるいは国民の消費をもう少し考えて行くべきかという点においては、ある程度割合は減るのじやないかと思うのでありますが、しかしこれも物価水準の問題、国民所得の計算自体が、なかなか問題が多いのでありまして、軽々に現在の段階としてこれから割合論を出す、結論をつけるということはまだ尚早の段階ではないかと考えております。しかしこの面の研究を怠つておるというわけでは決してないのであります。
  21. 藤田義光

    藤田委員 終戦後の変態的な財政のあり方でありました終戦処理費とか、あるいは価格調整費というものが、経済統制の撤廃、講和条約の成立とともに、ほとんど影をひそめて参ります。従いまして国家財政の大きい部分に一つの空白が出て参ります。ところが地方自治体にはそういう大きな変動は、今のところ予想されません。新制中学の問題に関しましても、〇・七坪の整備が大体終りに近づいておりますが、これではどうしても必要な施設もできておらぬ。内部の施設は何もできておらぬ。〇・九坪を小学校、中学校に当てましても、まだ約三百万坪の増築の必要があるということもいわれておるのでありますが、国家財政は、先ほど申し上げました終戦処理費と価格差補給金がなくなることによつて、国税の減税が実施せられ、一方地方自治体におきましては、財政需要が少しも減らぬで、むしろふえて行く。こういうところから、税制の体系に非常なでこぼこが国と地方ではできて来る。この間に何か国全体として、いわゆる政府あるいは自治体というような差別を設けずに、一貫した税制の体系を打ち立てる必要があるのではないか。地方自治体の自主性を侵害しないで、国家全体の財政措置として何か考えないと、国税の減税と矛盾した事態があるために、地方自治体の執行者というものが非常にやりにくくなつて来る。こういうことに関しまして何か大蔵省で名案を考えておられますかどうか、伺いたい。
  22. 河野一之

    河野(一)政府委員 地方自治の基礎としては、地方財政が確立しなければいかぬ。しかし、地方財政の確立ということを完全にやるならば、国から全然金をもらわずにやる、これが確立であることにきまつておりますが、そういうふうに行かないのが、現在の地方財政の実情なのであります。しかし私どもは国税だけ減税して、地方税は何もやらぬ、仕事ばかり命じておつて、ますます地方税が重くなるというようなお言い分も、ある程度もつともだと思いますが、結局税金を払うのは国民であるのでありまして、国税であろうが、地方税であろうが、払うところは一つなので、どちらで軽くするか、どちらで重くするかという問題であろうと思うのであります。五千億に達する地方財政において地方税というものが現在二千百億くらいでありますが、これ以上重くできないことは当然でありましようが、五千億の歳出の四割程度の税でいいのかどうか、この点も相当問題があると思います。軽くするということも、場合によつては必要でありますが、しかし今まで税制改正をやりました場合において、決して国税だけがいい子になつておるというわけではないのでありまして、皆様もよく御承知のように、法人税と事業税の関係、あるいは住民税と、所得税の関係というものについては、もちろん十分な考慮が払われて来たわけであります。今後において現在のあり方、体系がいいか悪いか、これは批判の余地があるのでありまして、今後の税制改正の問題は、国税、地方税を通じて十分検討しなければならないと私も考えております。
  23. 床次徳二

    床次委員 河野局長にお尋ねいたしたいのですが、先ほど実態調査お話がありました。実態調査の結果がいかようになるかということは、われわれ地方財政を論ずるものにとつて、根本問題だと思います。大蔵省としても御検討になるし、また地財委市町村府県側もそれぞれ研究されると思いますが、ぜひとも三者がそれぞれの立場において十分意見を発表してもらつて、早くその結論出していただきたい。そうして来るべき新予算審議の際の材料になるようにしていただきたいと思います。これはどうも往々にして、結果において大蔵省が最後の意見を述べるだけで、ほかの方の意見は泣き寝入りになるというような実際上の取扱いがあるようでありまして、かかることのないように、材料を十分三者がさらけ出して、そして結論がどうなつたのだということを見せていただきたいと思います。私どもはそれによつて最後の判断をいたしたいと思います。現在までの実態調査の審査の方角は、その三者がいかようなつてやつておられるか、その点を伺いたいと思います。
  24. 河野一之

    河野(一)政府委員 私ども独断で事をきめようというつもりはないのでありまして実は御想像いただけるように、非常に厖大な資料で、これを分析すること自体なかなか容易でないのであります。ただいまも大体の計数を申し上げたのであります。本日都道府県会館において知事地財委の方、それから私の方が出て、資料の交換をして、検討をしておる段階であります。私どもに間違いの点があればお話を聞くにやぶさかでありませんで、知事さん方のお教えをいただいております。われわれも多分に疑問を持つておるところがあります。決して独断ということはございません。
  25. 床次徳二

    床次委員 第二にお尋ねしたい。今日の地方財政の現状から見まして、平衡交付金の所要額に対する見方が、著しく三者が異なつておるということは事実なのであります。私どもは一番地方財政上困るのは、一つのものに対して見方が数種類出ておるという点が、一番問題がある。しかも一番額が少くきまることによつて、現在の地方財政の大きな問題が出て来ておるのだと思います。しかし最近ぐらいその差額が大きくなつて来ると、簡単に事実収拾ができなくなつて来ておる現況であります。とりもなおさず平衡交付金制度が、すでにその当初の目的を失い始めておるのじやなかろうかと考えておるのであります。大蔵省において依然として、平衡交付金制度が目的通り動いておるという見方をもつて今日当つておられるのか、あるいは平衡交付金制度は相当欠陥が多いということをすでに認識しておられるのか、その点お尋ねしたいのであります。
  26. 河野一之

    河野(一)政府委員 床次さんのおつしやる点は確かにポイントだと思います。この制度に欠陥があるのか、あるいは運用が悪いのか、その点は私ども判断をいたしかねるのであります。まだ実施後一年、二年目の配付の基準のきまらないような段階でありまして、軽々に申し上げることは何でありますが、とにかくトラブルが多いということは、率直に認めざるを得ないと思います。それで私見は私差控えたいと思いますが、問題は、やはり四十六都道府県一万一千ばかりの市町村、これが個々的に非常に財政規模が違う。農山漁村もあるし、いろいろ経済単位も、人口も、地域も違う。これをある程度画一的な標準と申しますか、財政需要の標準単位なり、そういうふうなところで、やはりかゆいところに手が届かないというようなところが相当あるのじやないか。これは運用をよくして行けばいいのかもしれませんが、早い話が、私ども補助金は公共事業費を別にして、なお約三百億ぐらい持つております極端にいえば、この補助金を全部平衡交付金にぶつこんでしまつて、国は全然地方に補助金を出さないというのが、一つの行き方だろうと思います。しかし床次さんも御承知のように、児童福祉法であれだけの問題を起しておることを見ますと、やはり平衡交付金ではうまく行かない面がある。それは一つの例でありますが、そういう点が相当あるのではなかろうか。従つて補助金制度もある程度考え合せて行かなと、実態に合わない。こういう客観的な標準をとるということは、いろいろな請託を免れる、あるいは個人の恣意的な判断というものを排除する上において、非常にいいことだと思います。その反面に客観的、機械的になる。ことに現在の市町村というものは、経済規模、人口等が違う上に、制度的に一本になつておる。そこに制度が一本であつて、受ける態様は、貧乏人もあれば金持もあつて、それぞれ違う。それはやはり平衡交付金制度が全面的とは言いませんが、ある程度どうしてもあるということは認めざるを得ない。これをどういうふうに是正して行くか。これはここに木村委員もおられますから、私どもつてに申し上げることはできませんが、まだ早急に捨てるのは早いと思います。検討を要する点も確かにあります。この点についてどういうふうに運営いたしますか、皆さんの意見を聞いて、あるいは自治庁なり、地方財政委員会でありますか、御検討になるだろうと期待しおるわけであります。
  27. 床次徳二

    床次委員 ただいまお話がありましたように、大体そういう時期に到達しているのじやないか。しかしながらこの平衡交付金制度の現在までの運営の実際を見て参りますと、政府においても平衡交付金の総額の決定に対して、非常な独断があつたのじやないかと思いますし、また地方団体の方におきましても、歳出の面において、かなり恣意的なところもあるのじやないか、直すべき点もあるのじやないか。どうも平衡交付金制度が予想通り動いていないということは、明らかな事実だと思います。もうこれを直そうというお気持があることはけつこうであります。私どもも直すべき時期に達しておるのだと思いますが、ひとつこの際お考えを伺つてみたいのですが、いろいろの歳出の中で、たとえば教育費のごときものは非常にはつきりしたものであります。こういう一部のものからこれを固定して、これを一つの企画に乗せて行くということは、確かに解決の一方法だと思います。地方財政の独立ということを固めて参ります場合に、全額については困難でありますが、しかし教育費というようなことからやるならば、これは比較的取上げやすいということが言えるだろうと思います。その意味において、たとえば今の教育費に対して、年額別の負担制度を設けるということを、ひとつ考えになる必要があるのではないか。これに対して今日どういうふうなことを考えておられますか伺いたい。
  28. 河野一之

    河野(一)政府委員 教育費というものが全体で九百億ぐらいあると思いますが、これが各府県において非常な負担になつておる。ことに農村県について大きな負担になつておることはおつしやる通りであります。都会地であろうと農村県であろうと、児童一人当りの経費はそう大してかわらないはずでありますから、貧弱県に至るほど非常な負担になつておる。そこのところを一律に頭を切つてやることによつて、つまり国が負担してやることによつて財政負担は相当かわつて来ると思います。しかしこの点についていろいろ考えなければならぬことがありますことは、税制というものが、都道府県なら都道府県、あるいは市町村なら市町村に画一的に適用せられる。つまり東京都に対しては税はこうでなければならぬ、あるいは山梨県についてはこうでなければならぬというふうにかえるわけには行かない。従つてそうすることによつて、国が—東京とか大阪の例を出してははなはだ恐縮でありますが、負担することによつて、かえつてそつちの方の税収がよけいあるというふうな点も考えなければならぬ。一律の負担がいいのかどうか、これは私は相当疑問があると思います。先ほど申し上げました百九十億の自然増収の中で、東京大阪だけで七十七億になります。これだけが現在の平衡交付金制度ではロスになつて行く。今後教育費負担制度をどう考えて行くかということは問題でありますが、そういつた地方財政の問題、補助金制度の問題、税制の問題、あるいは平衡交付金制度の問題、三者からみ合せて、地方団体が相互に異常なるアンバランスなしにやつて行けるというのには、どの辺のところがいいのであろうか、これは理論の問題でなしに、実際の計数に当つての問題になるだろうと思います。そういう考え方は非常に貴重な御意見でありまして、地財当局はもちろんでありますが、私どももそういうことを現在問題にしておる段階にあることを申し上げておきます。
  29. 床次徳二

    床次委員 なお一つ承りたいのは、補助金制度、たとえば地方配付税の問題が先ほどありましたが、今日地方配付税が、非常に固定財源として地方の独立に望ましいもののように考えられるのでありますが、往々にしてこういうような政府の恣意によつて、わがままな方針によつて動かされる、私は平衡交付金も確かにその一例じやないかと思います。金額をかつてに査定するという点もその一例であると思いますが、地方配付税の問題におきましても、財政の都合によつてその配分率を半減してしまつたという過去の実例がある。かようなことがありますと、地方財政が確立しようと思つても、なかなか確立できないのが、今日の日本の現状だと思います。やはり将来の問題を解決しますためには、一箇所固定してこしらえておいて、よりどころをこしらえておいて、問題を次々に解決して行くということが必要だと思います。三つ、四つの分子がそれぞれ移動しておつたのじや、いつまでたつても解決しないと思います。少くとも政府自体においては、この問題だけは動かさないということをはつきりしておいて、そして次の新しい地方村政確立のために努力してもらいたい。この間シヤウプ氏が来られまして、地方財政が確立できたという建前なつておるにかかわらず、たとえば平衡交付金数字の面において、見方が違うばかりに地方財政が非常な困難に陥つて起債わくも、必要だけもらえないというふうになつておるのでありますから、やはり一箇所固定しておいて、そして地方財政がとにかくよりどころがあるような方法を立てる必要がある。このためにはやはり相当政府も誠意を持つて地方財政の確立のために考えていただく必要があるだろうと思います。平衡交付金等に関して、政府の過去にとられた態度というものは、はなはだ感心しないと私は思つておるのでありますが、今度の補正予算、また来年度予算というものに対しては、ぜひ政府としても、将来の地方財政を確立するという立場において、よくひとつ考えおきをいただきたいということをお願いしておきます。
  30. 河野一之

    河野(一)政府委員 御批判は十分甘受いたしますが、要するに問題は、経済が安定しないがためで、戦時中も毎年配付税の率が動かされておつたのでありまして、やはり経済が安定するについては、そういつたような配分といいますか—それはいろいろ見方もございましようが、私ども決して非常に無理をしたというふうに思わないのでありますが、やはり経済が安定して、税収も順調に延びて行く、そういつたような時期においては、そういつた問題が円満に解決されるというふうに思うのであります。しかし御趣旨の点は私どもも非常に同感のところがありまするので、十分検討いたすことだけは異存はございません。
  31. 山手滿男

    ○山手委員 簡単にお聞きしたいと思いますが。地方財政の計画を立てます上において、何といつて平衡交付金起債わくの問題が大きな問題になるのでありますが、と同時にやはり今年度の当初予算あたり以後の、地方税自然増収というふうなものを、どういうふうに見積つて行くか、これもたいへん重要な問題になつて来ると思うのであります。これは地方府県の見ておる数字とそれからの地財の方で見ていらつしやる数字、あるいは今承りますと、大蔵省の方の当局の方々はもつと多いように見ておられるというふうにお考えでございますが、私はよほどこの自然増収というものを正確に見ておいていただかぬと、問題が残ると思うのでありますが、大蔵省がもつと多いというふうにお考えなつていらつしやるということについての、もう少し詳細の御説明を承りたいと思います。
  32. 河野一之

    河野(一)政府委員 これは大蔵省でも、私は直接関与いたしておりませんので、何でございましたら、主税局の方に御説明いたさせますが、私はやはりこういつたような自然増収というような見方は、統一的な見方をする場合において、初めて割合に正鵠を期し得るのではないか。私先ほど、県の見積りが割合にわれわれの考えているより少いということを申し上げたのでありますが、やはり国民経済の状況というものは、広い目で見ていただいた方が割合に正確なものができるのじやないか。現実に、二十四年の税収についても、とれないとれないとおつしやつたのでありますが、やはり百二十億ぐらい実はふえているので、私ども見方の方がいばるわけじやありませんが、正しかつたというふうに私ども思つておるのであります。国の方でも八百億の自然増収がありますが、その中の四百億程度は法人税でありまして、今年度から事業税については、申告納税の制度なつたので、一緒に納め得る建前になるのでありますが、そういう点から考えましても、相当自然増収はあるものだ—その額には多少の違いがあるとは思いますけれども、私はわれわれの見方についてある程度の自信を持つているつもりであります。詳細な計算の方法については、ただいま手元に持つておりません。
  33. 山手滿男

    ○山手委員 今お話のありました自然増収の面で、法人の関係が非常に多いということでありますが、私はどうもそれがさほど多くないようなふうに考えております。これは主税局の方の方方の御意見を、少し確めてみたいと思つておるのでありますが、一ぺんこういうこともよく考えてやつていただきたいと思うのであります。  それから平衡交付金中に組み入れられましたところの、政府の施策のための、いわゆるひもつきの経費が二百四、五十億あるように私は思つておるのでありますが、このひもつきの経費関係で、府県だけとつて考えてみましても、二百億近い負担を加重しておるというような気がするのでありますが、その点についてどういうふうにお考えでございましようか。
  34. 河野一之

    河野(一)政府委員 ひもつきの経費と申しますが、私どもは実はそんなにひもをつけておるとは思わないのであります。いろいろ問題になる単価が低いとか、何か地方で負担しておるということも必ずしもなくはないと思いますが、それは単価的にはそれに近いようにすべきだとは思います。しかし一般的に考えていただきたいことは、補助金にしても、平衡交付金にしても主として人件費でありますが、国が考えておる規格において、あるいは給与の水準においてやつていただきたいということが、われわれの考え方なんでありまして、地方でやらなかつたからという場合において、それだけの理由で単価を直すとか何とかいうことにすぐ参るとは私は思わないのであります。しかし多少そういう点につきましては、われわれとしては是正するにやぶさかではないつもりでおります。
  35. 前尾繁三郎

    前尾委員長 これで本日は散会いたします。   (午後二時五十二分散会)