○
川村委員 さんま
漁業の問題について大体
長官から
説明があ
つたのでありますが、もちろん漁期
決定に至りますまでにいろいろな経緯を経て、波瀾曲折があ
つて、ようやく八月二十五日にきま
つた。一口に言えばそういうよう
なことに相な
つたのでありますけれ
ども、そこに至るまでには相当の長い期間といろいろな角度から論議のあ
つたことは御承知の
通りでありますそこで一応きま
つたことはやむを得ないのでありますけれ
ども、海況、漁況その他を調査いたしまして、漁期の変更もすることができるような省令にな
つておりますが、
北海道におきましては、八月十一日に試験場からの発表によ
つて、海況、漁況等を調査した結果、潮流が今急に変化があ
つて、ただちにさんまがその方面にいなくなるようなことがないから、繰上げる必要がない、ゆつくりと
つても十分にとれるのだというような発表があ
つて、二十五日から解禁をすることに確定したようなことに相な
つたのであります。そこで私は沿岸
漁業という角度から、簡単に、さんま
漁業と関連して伺
つてみたいのであります。
御承知の
通り今や日本の沿岸
漁業は衰退の一途であります。なぜかというと、これは一口に言えば資源がなく
なつたということに尽きておるのでありますけれ
ども、沖合
漁業が非常に発展したので、いわゆる回遊
漁業等は、沿岸に来ない前にとられてしまうということが一つと、それからせつかく沿岸に来ましても、現在の零細漁民の漁掛
方法、さんま
漁業でいうならば、十トンか二十トンの船で操業するような零細漁民が、とるところまでせつかく来てお
つても、他の
漁業に略奪されるためにとれないとい
つたようなこともあります。もちろん海況、漁況その他、いろいろな潮流等の
関係もありますけれ
ども、こうした先ほど申し上げたような
事情が最も大きな原因をなしておると
考えておるのであります。そこでわれわれ零細の沿岸漁民とすれば、特に定置
漁業のごとき、あるいは十トン、十五トンの船で、
ほんとうの沿岸を操業する漁民は、沿岸に来たときにとるということでなければ
——せつかく魚がそこに来ても漁期が到来しないためにとれなか
つた、そのうちにいろいろな潮流の変化等によ
つて沖合いに出てしま
つた、前沖にはあるけれ
ども、陸岸から距離が遠く
なつたといういう場合には、魚を見つつもとれないということが、今日までの常識であり、またこれからもおそらく私はあることだと思うのであります。そこで試験の結果、さんまが来ておるということは明らかであります。それからさらに
松田委員長代理が班長とな
つて、特に釧路、根室にさんま
漁業の調査に
行つたのであります。私も同道して行きました。その際に流し網をや
つておる。すなわちさけ、ますの流し網をや
つておる人たちのことを聞きましても、あるいは試験船の
お話を聞きましても、相当に魚が来ておる。今出れば、ただちに大漁をするのだ。しかし漁期がまだ来ておらないので、遺憾ながら出漁させることができないし、出漁することができないために、さんまをとることができないという
お話があ
つたのでありますけれ
ども、われわれは波瀾曲折があ
つたとはいえ、一旦八月の二十五日に
北海道は解禁するということに
決定した以上は、魚をと
つて来いと言うことができなか
つたのであります。もう少しわかりやすく言うならば、法律が定ま
つた以上は、法律を犯してまでもと
つて来いと言うことができない。
立場が
立場だけに遺憾ながらそう皆さんに言わざるを得ない。皆さんの気持はわかる。しかしながら
水産庁の腹も実は八月の十五日、遅くとも二十日には許すということであ
つたのでありますけれ
ども、前農林大臣が突如として八月二十五日に
決定しろということに
なつたために、八月二十五日に今の農林大臣も
決定せざるを得なく
なつたという経過がありましたので、試験場並びに道庁と相談をして、業者は同じ漁獲をするのにも、そこに違反行為の成立しないようにと
つてもらいたい。極端に言うならば、五日や七日は、
ほんとうに魚が来ておるならば、試験的に繰業をすることも、やはり相談の結果ならいいでしよう。但しこの魚は内地の方に出してはいけないぞ、こういうことを言
つて来たのであります。
漁業は御承知の
通り、網をつくると、まず試験をしてみなければ
なりません。陸上で網をさしたくらいでは、網はささりませんし、流し網でも陸上では試験できません。それから棒受網でも、陸上ではしつかりした網にな
つておるけれ
ども、これを海へ行
つて試験してみなければ、
はつきりわからぬ。いき
なり行
つて、もし網のこしらえ方が悪か
つたために、魚がとれないというと、改造するのに何日も手間がかかるので、そうしたようなこともあるし、また集魚燈をつけましても、やはり試験をしてみなければならぬ。その他エンジンの
関係とかあるいはモーターの
関係とかありますので、そうした試験操業に少しくらい早く出てもいいのではないかということを
松田委員からも言われたので、そうしたようなことを守れるものである、かように
考えて来たのであります。
そこで何かのいきさつでありましよう。高橋課長が協議会を招集して、そこで八月二十五日前は絶対まかりならぬ、片一方は、今魚が来ているのだからすぐとらせろとい
つたような議論があ
つたそうでありますが、高橋課長はこの試験場の意見を採択して、絶対まかりならぬ、二十五日以前はこれは取締るぞとい
つたようなことを言
つて来たと思います。その間の会議の模様等は私は知る由もないのでありますけれ
ども、とにかく魚がたくさん来ている、さんまが近海に回遊をしているのにと心せないという方針をと
つたことは間違いないのであります。法律はたといあ
つたとしても、来ていることはわか
つている。それを二十五日までとらせないということを協議会で発表したことは事実でありましよう。いろいろないきさつがあ
つたのでありましようけれ
ども、とにかく
北海道ではもうすでに出漁したということを承
つておるのでありまして、はたして出漁したかどうか、それから出漁するまでにいろいろないきさつがあ
つたか、その間のいきさつがどういうことにな
つて爆発して、集団的に出たかどうかとい
つたような問題も、私らは詳細に知りたいのであります。もちろん
水産庁としては違反した者は取締る、この一本で行くだろうけれ
ども、取締るにも取締りの仕様もあるし、また指導の
方法一によ
つて再び違反のないようにすることもできるでありましよう。わずかのいきさつからわずかな違反を犯したからとい
つて断罪をするということは、必ずしも私は本筋ではないと
考えますので、そうした集団出漁をするに至
つた経過等が知り得ればたいへんけつこうでありますし、それによ
つてまたわれわれも
水産庁並びに取締り
当局等とも相談して、最善の
方法でこの問題を解決して行きたいと思うのでありますから、詳細な御
説明を高橋課長から承りたいと思います。
なおまた傍聴席には
北海道庁の野口取締官も来ておられるようでありますので、必要に応じては
委員長から野口取締官の発言を求めて、ここで皆さんに御報告を願えればけつこうだと思います。