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1951-05-28 第10回国会 両院 教育公務員特例法の一部を改正する法律案両院協議会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月二十八日(月曜日)     午前十一時九分開会     —————————————  出席委員   衆議院側    議長 石田 博英君    副議長 倉石 忠雄君       福永 健司君    吉武 惠市君       橋本 龍伍君    佐藤 重遠君       若林 義孝君    寺本  齋君       岡延右エ門君   参議院側    議長 堀越 儀郎君    副議長 矢嶋 三義君       荒木正三郎君    成瀬 幡治君       波多野 鼎君    若木 勝藏君       梅原 眞隆君    山本 勇造君       大隈 信幸君  委員外出席者         国 務 大 臣         文 部 大 臣 天野 貞祐君  政府委員         地方自治政務次         官       小野  哲君         地方自治庁公務         員課長     藤井 貞夫君         文部政務次官  水谷  昇君         文部事務官         (文部大臣官房         会計課長事務代         理)      相良 惟一君         文部省大学学術         局長      稲田 清助君         文部省調査普及         局長      關口 隆克君   衆議院事務局側         参     事         (委員部長)  鈴木 隆夫君         常任委員会専門         員       石井  勗君   参議院事務局側         常任委員会専門         員       石丸 敬次君         常任委員会専門         員       竹内 敏夫君   参議院法制局側         参     事         (第二部長)  岸田  實君     ————————————— 本日の会議に付した事件 ○教育公務員特例法の一部を改正する法律案     ————————————— 会議
  2. 石田博英

    議長石田博英君) それではこれより教育公務員特例法の一部を改正する法律案両院協議会を開きます。  国会法第九十条の規定によりまして、私が本日の議長を勤めますから御了承願います。一昨日に引続き御協議を願いたいと存ずるのでありますが、協議会要求によりまして天野文部大臣出席されておりまするから、疑義のある問題について説明を承わりました上、御協議を願いたいと存じます。なお本日御要望によつて出席いたしておりまする政府委員文部大臣天野貞祐君、地方自治庁政務次官小野哲君、文部省調査普及局長關口隆克君、地方自治庁公務員課長藤井貞夫君、文部省大学学術局長稲田清助君の五名でございますが、なお水谷文部政務次官所管事項でございまするので出席をいたしております。これを御了承願いたいと存じます。文部大臣に対する質問がございましたらこれを許します。
  3. 波多野鼎

    波多野鼎君 それでは私から昨日の両院協議会衆議院側から一つ案が出ました、それを協議の議題として頂きたいと思います。ところがその案について多少疑義があるので、それを確めておきたいので御協議を願つたわけであります。その問題になつた点は、教員組合の組織に関する件でありますが、衆議院側では今年の十月三十一日まで現状維持なんであります。ところがその十月三十一日という日を切られた理由について納得が行かない点があつたわけなんであります。それは衆議院側説明によると、十月三十一日までに大体市町村条例ができて、そうして教員組合交渉相手について、つまり教員組合交渉相手として市町村が立ち行く条件が整うものといたしまして、その勤務状況について市町村条例ができるから、だからそれまでの準備期間として十月三十一日に日を切つたんだ、こういうふうにおつしやるのですが、その給与条件についての市町村条例というものが政府側において考えられておるかどうか、どういう見地に立つて考えられたかという点についてわからない点があつたのですから、改めて一応あなたにお聞きしたいのです。
  4. 天野貞祐

    ○国務大臣天野貞祐君) 私はこの法案につきましては、十分研究いたしました上この原案がよいという考えをいたしております。ですから今の点については、私はどうしてそういう理由になるかということは自分は考えないで本案を提出して、今もそれを用意しております。詳しい点については政府委員説明いたさせます。
  5. 石田博英

    議長石田博英君) 政府委員から一応御説明願いまして、なお重ねて文部大臣にお聞きの点がありましたら……。
  6. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) 地方公共団体職員団体として、教職員団体結成するまでの手続について一応簡単に先に申しますが、市町村ごと条例を作るということでございます。条例市町村条例という言葉の中に二つ考えられますが、一つは、給与その他の勤務条件に関する条例でありまして、なおもう一つは、直接にこの問題と関係のある団体結成、それを登録するということに関する手続上の条例でございます。問題になりますのは、そのあとの団体登録する手続に関する条例の点でございます。以上で一応御答弁にいたします。
  7. 波多野鼎

    波多野鼎君 そんなに固くならなくてもいい。問題は市町村単位教員組合を是非作らなければならぬ。そのほうがいいんだという話なんです。ところで市町村単位組合を作つて見たところで、給与その他の勤務条件について交渉相手として市町村が適格じやない、今のままじや……。だからそういうものを作つたつてしようがないじやないかという意見参議院側ではあるんです。ところが衆議院側ではそれじやない。今年の十月三十一日までにはそういう市町村勤務条件その他について交渉相手となり得るようなそういう条例を作るから、それでいいんじやないか、こうおつしやるわけなんです。そこで政府側では勤務条件その他についての市町村条例を作るお考えがあつて、そういう点を述べられたかどうかということを聞いておるわけです。
  8. 石田博英

    議長石田博英君) ちよつと失礼でありますが、今の衆議院側の主張の本年十月三十一日まででどうだという論点は、只今波多野さんのおつしやつた点と違いますね、ちよつとその点を……。
  9. 橋本龍伍

    橋本龍伍君 私から説明をいたします。こういうことですか、今の文部省側説明もよく私にはつきりしないのでありますが、私らがこの問題について研究しておる点は、こう考えておるのであります。違つておる点があつたら文部省政府委員から訂正してもらいたいのでありますが、要するに地方公務員法ができまして、市町村に身分のある職員については、市町村ごと職員団体を作る。これは公務員法施行後四十日以内に大体作る。元のやつは四十日過ぎたら一つ団体としての正式の資格がなくなるということを私は考えるのであります。これが根本原則従つて今日の場合において、その教員組合についても公務員法施行後六十日以内に市町村ごと団体がでまなかつたのだから、今日はこの教員団体というものは、その正式のものとしてはなくなつておるという状態だと私は思う。ただこの教員団体については、市町村ごとのだけのものでは、その給与条件について府県教育委員会が持つておる建前上、これでは不便だというのでそこで教育公務員特例法が出て、教育公務員については連合体結成するというふうになつておる。それが今国会に早くからかけられてもつと早く通ればよかつたのでありますが、通らなくて長くここへ来ておるから教職員団体についても、地方公務員法施行後四十日以内に市町村ごとにできるのが筋だけれども、併しどうせ特例法でこの連合体教職員組合については認めなければなりません。それが国会にかかつているのだから、時期の帰趨を見極めるよりほかしようがないので大目に見ておるというふうな今日の状態にある教職員組合については、全然組合結成準備ができていない。それで今日教育公務員特例法ができ上りましたら、そこで初めて市町村ごと組合結成が始まり、従つて連合体結成もその後更にできるという、この教育公務員特例法ができ上つてから組合結成されて仕事のできるようになるまでは、若干のゆとりを置かなければならんのじやないのか。これは三カ月がいいか、二カ月がいいかは別問題として、その必要がありはしないかというのが問題の一点です。それで大体私どもの理解しておるところでは、先ずこの地方公務員法原則に対して例外になるのは連合体結成だけであつて手続の問題については、地方公務員法原則に当てはまる。地方公務員法原則によつて個々組合を作る場合には、先ず市町村において人事委員会を作らなければならん。その人事委員会を作る条例が先ず必要だ。それから今度その教職員組合と言わず、一般職員組合と言わず、その組合を作るためには人事委員会登録しなければならんというので、今言つた人事委員会そのもの条例のほかに、組合登録や何かの条例が必要なので、そいつができたところで、この教職員組合なら組合結成されて、それを登録し、それから更にその連合体登録ができるということであつて、不幸にしてこの教育公務員特例法は早く国会には出たけれども施行が非常に遅れたから、そういう意味において私どもは若干の余裕を実施までの間においたらどうか。それはまあせいぜいこれから後二、三カ月たつたところでいいのじやないか。十月三十一日と申上げたのはそういう意味で、二、三カ月考えれば、どこに日切りを置いてもいいけれども、たまたま参議院側で来年の十月三十一日と言われたから、一年というわけでこの案を出されたわけです。給与実体実施状況、これはもう現にこの府県条例として現実に活きているので、それによつて給与が行われている。今後給与の引上げの要求とか何とか出て来たときには、予算と見合せて実体条例改正が行われるまでの対策は、要するに現行通りというだけの話だ、私はこういうふうに考えておるのです。私のほうで持出した今年の十月三十一日ではどうだ。それには手続的な期間を置かなければいかんからと、そういう意味です。
  10. 石田博英

    議長石田博英君) 先ほどの波多野議員の御質問に対してお答えを願います。
  11. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 先ほど大臣からお答え申上げました通り政府といたしましては原案を用意いたしまして、それによつて支障なく行き得ると考えたのでございまするけれども只今橋本委員からのお話のように、一般地方公務員法との時期の食違い等もございまするので、そこに多少のゆとりを認めることも又一案だと考えております。
  12. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 昨日の協議会文部大臣に来て貰つて明らかにしたいと言つている問題は、岡さんのお話なつた十月頃までにはそういう条例ができる、又それくらいの期間をとらないと無理だろう、こういうお話があつたから、そこで波多野氏のほうから、そういう条例というのはできるようになつているのかどうか明らかにしたい、こういうことで来て貰つたのですから、その点を明快にしてもらつたら、来てもらつた意義は達成すると思います。
  13. 小野哲

    政府委員小野哲君) 私からお話を申上げておきます。只今橋本さんからのお話もありましたし、又先ほど波多野さんから御質問があつたわけですが、教育公務員特例法によりまして、教育公務員職員団体を作るためには登録手続をとつて行かなければならない。従つてそれに必要な条例もきめる必要があるわけであります。と同時に現在の教育公務員経費負担府県ということになつておるのであります、この給与に関する条例はこれは府県条令で定めることになるわけでありまして、従つて条例と申しましても二種類ある、かように考えなければいかんかと思います。そこで然らば経費負担の問題と、それから職員団体結成の問題とおのずから両様の建前から円滑に進行して行かなければならんわけでありますので、従つて政府原案にありますように、市町村等単位団体結成して、それから連合体を法的に認めまして、これを交渉団体として認めて行く、こういうことにしておるのは、そこにあるわけであります。ただ問題は地方公務員法施行とそれから教育公務員特例法施行とが時間的にズレが生ずるわけでありますので、従つて現状を見ながら、又教育公務員特例法の趣旨をも活かして行くという両方から考えますと、その間に何がしか暫定的な措置を講じなければならない場合も起つて来るのじやないか。こういう点につきましては、今文部省政府委員説明いたしたところと私どもも同感の要素を持つておるわけであります。そんなふうな関係でありますので、従つて給与に関する条例の制定は府県がやる、こういう建前であることを私からも御参考までに申述べて置きたいと思います。
  14. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今の橋本委員並びに政府委員説明で、昨日岡委員のほうから申されました条例という意味ははつきりして来たと思つております。どういう気持で言われたかということは大体わかつております。私はこの点に関する質問はこの辺で打切つて、この際両院協議会を持つておるわけでございますが、衆議院のほうも強硬なようでございますし、参議院のほうも強硬でありますから、この法案廃案になるような場合がありはしないか。これから妥結点を見出すように努力するわけでありますが、若しも廃案なつたような場合、この法律実施せられないと教職員にどういう影響があるか。或いは行政府としてもこれが廃案になる場合どういう支障を来たすかということにつきまして、一応私はこの際政府の御意見を承わつて、今後の調整上の参考にしたいと思つております。如何でしよう。     (「異議なし」と呼ぶ者あり)
  15. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) お答えいたします。教育公務員特例法地方公務員法特例であるということを大かた明かにしなければならないわけでございますが、若しこの特例法が修正が通らないということになりますと、その点明らかでなくなつて参ります。それが原則的に困つた点だと思います。  次に少しく具体的な例を申上げます。給与勤務時間その他の勤務条件でございますが、これはお話のように都道府県負担しておるのに、然るに市町村条例で定めるごとになりますから、給与負担している都道府県教育委員会は、市町村条例によつて給与を支給するというようなことが起つて参りまして、そこに齟齬が生ずるかと思います。次に分限懲戒及び服務の点でございますが、教育委員会の置かれていない地方公共団体の設置している学校職員分限懲戒服務、それは設置者である地方公共団体で定めることになります。そうしますと任命権者である都道府県教育委員会市町村条例によらなければ人事運用ができないということになつておりますので、管理上困難を生ずると思います。次に不利益処分の問題でございますが、不利益処分請求を、教育委員会の置かれていない市町村立学校職員は、市町村人事委員会或いは公平委員会請求することになります。この点が処分者のほうと訴える所が違つてしまうという点に困難を生ずると思います。職員団体の点につきましては、地方公務員法だけで参りますというと、市町村、これの職員団体だけしか認められませんから、県と一方的に交渉することはできないのであります。次に運用の点でございますが、これは先の地方公務員法で、先のほうへ行つて実施することになつておりまするけれども競争試験教員に対しても行わなければならないということになつて参ります。それから社会教育主事、これは先般すでに公布されました社会教育法の一部改正法律、これでこの事項はこの公務員法と同時ということになつておるわけですが、この点で支障を生ずると思います。次に職階制の問題でございますが、これも先へ行つて起ることでございますけれども地方公務員法原則通りとなりますと、人事委員会を置く地方公共団体勤務している教育公務員だけが職階制を置くということになりまして、同じ教員でありながら、人事委員会を置いてあるか置いてないかによつて、或いは職階制を置く、或いは置かないということになりまして、そこに不都合を生ずる。以上が主だつた点であります。
  16. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは一点お伺いいたしますが、国家公務員である大学教職員公開審理というのは、現在どういうふうになつておるか、この法律が不成立になつた場合にどうなるかということをお聞きしたい。
  17. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 只今質問の点でございますが、従来一、二の大学におきまして、すでにいわゆる事前審査と申しますか、公開審査が行われておるのでありますが、現在施行されております法律が必ず公開しなければならないという一点と、それから今一つは、請求者要求がありましたならば、限りなく代理人或いは弁護人等に陳述せしめるというような規定がありますので、各大学の学内におきましていわゆる訴訟法廷に類するような形態において非常に月を経、年に互つて長い期間かかつて審理が続けられながら、何ら解決の曙光が見出だされないというような状況がありまして、これは学園という性質から見まして、又人事行政に関する能率というような点から見ましても大いに欠陥があると考えまして、その点改正案を提出いたしたのでありまするが、若しこれが成就いたしませんといたしますれば、そうしたような学園の弊害を除去することができない憾みが残ると思います。
  18. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私がお伺いしたい点は、これが成立するだろうというような予想の下に、今審理をストップしているのでしようか。それとも更に当局に対して公開審理をなお続けろ続けろというような要望があつてごたごたしているかいないかという二つの点を伺いたい。
  19. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 只今東大の例から見ますと、法案提出後といえども、毎月一回、二回公開審理は継続いたしております。ただ実際上の進行につきましては、或いは当事者双方審理のうちに、こうした法案が提出されているから、多少訂正を見るというようなことがあるかも測りがたいと思います。
  20. 石田博英

    議長石田博英君) 他に御質疑はございませんか。じや政府委員はよろしゆうございますね。ではこれで質疑を打切ります。暫次懇談に入ります。     午前十一時三十三分懇談会に移る      ————◇—————     午前十一時三十四分懇談会を終る
  21. 石田博英

    議長石田博英君) 懇談を閉じまして、暫次休憩をいたします。     午前十一時三十五分休憩      ————◇—————     午後四時三十二分開会
  22. 石田博英

    議長石田博英君) それでは休憩前に引続いて会議を開きます。  午前中で文部大臣等に対する質疑を終了いたしましたので、引続き御協議を願いたいと存ずるのでありますが、これは教育公務員職員一般にも極めて密接な関係を有すると共に、午前中の御質疑でも御剣明通り政府といたしましても非常に希望いたしておるようでありますので、できるだけ成案を得たいと存じます。この際懇談の形式で御協議を願つたほうがよろしいと思いますから、これより懇談会にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 石田博英

    議長石田博英君) それではこれより懇談会を開くことにいたします。     午後四時三十三分懇談会に移る      ————◇—————     午後四時五十九分懇談会を終る
  24. 石田博英

    議長石田博英君) 只今懇談会お話を願いましたことに基きまして、本日はこの程度でこのまま休憩にいたしまして、会期が五日間延長することに決定いたしました場合は、本日の会議はそのまま散会いたしまして、次回は堀越議長と御相談申上げまして公報を以て御案内をいたすということにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 石田博英

    議長石田博英君) それではさよう決定いたします。暫時休憩をいたします。     午後五時休憩     〔会期延長につきこのまま散会〕