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1951-02-22 第10回国会 参議院 労働委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月二十二日(木曜日)    午後一時四十二分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○参考人の選定に関する件 ○労働行政実情に関する調査の件  (炭鉱ストライキに関する件)   —————————————
  2. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 只今より労働委員会を開会いたします。  最初に本日の日程に関し皆様にお諮りいたします。炭鉱ストの問題につきましては、すでにしばしば政府委員より経過説明を聴取して参り、一応政府に対する質疑打切つてつたのでございますが、この際炭鉱労務者賃金その他の労働條件に関する実情を調査して置きますことは、将来のこの種の企業労働関係考える上に貴重なる資料となるのではないかと思います。この点につきましては、すでに理事のかたがたに御相談申上げ、御承認も頂いてあるのでございますが、更に皆様の御賛成を得まして、本日並びに明日労使双方参考人を別々にお呼びいたしまして、御意見を承わりたいと思いますが、如何でございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 御異議なければさよう取計うことにいたします。  それから具体的なお話になりますが、参考人労使それぞれ四人以内といたしまして又どなたをいつお呼びするかという点に関しましては、種々折衝都合もありますので、御一任願いたいと思いますが、よろしうございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 御異議ないものと認めます。本日は先ず労働組合側意見をお聞きし、明日午後一時から再び委員会を開いて、そのときに使用者側の御意見を伺うこととにいたします。本日は準備の都合組合側かたがた四名にここにおいでを願つておりますが、お名前を御紹介申上げます。炭労本部執行委員中小炭鉱対策部長樋口明氏、北炭労働組合委員長杉淵徳治氏、九州共鬪委員会代表漆原光國氏、三菱連合会会長永尾浩氏、四名でございます。  それではこれより参考人より御意見を承わることといたします。時間は、大変勝手でございますが、お一人十分程度にお願いいたしたいと思うのでございますが、先ず樋口明氏から炭鉱労務者賃金その他の労働條件に関し御発言をお願いいたします。
  5. 樋口明

    参考人樋口明君) 炭鉱賃金につきまして御説明申上げます。炭労中央執行部執行委員樋口と申します。お手許に配付いたしました資料参考にいたしまして、炭鉱賃金が如何に低位付けられているかという点につきまして説明を申上げます。  第一表に載つておりますように、炭鉱賃金は他産業比較いたしまして著しく低位にあるのでありますが、若干説明をいたします。一番基準となりますところの公務員給與とこれを比較して見ますときに、公務員給與が屡次に亘つて累進いたしました過程におきましても、昭和二十三年十二月にきめられました炭鉱賃金は、現在に至るもなおそのまま低位付けられたまま現在に至つておる実情であります。具体的の数字を以て御説明申上げますと、元来二十三年の十二月にきめられました炭鉱賃金は、坑外夫で五千四百円という数字になつておるのでありますが、これは女子鉱員を含まないものでありますので、一般公務員或いは一般産業とこれを比較いたしますときに、全体を坑外鉱員、こういう形で以て数字を是正して見ますときに、その数字は四千七百円という数字になるわけであります。即ちそのときの公務員給與六千三百七円に比較いたしますと、相当の低い労働條件賃金炭鉱賃金であるという状態になつております。加えまして公務員におきましては今度七千九百八十一円のベース引上げになります際におきましても、炭鉱坑夫はそのまま四千七百円の低位ベースに釘付けさせられている、こういう状態であります。即ち数字を申しますと、裏に説明をつけておりますように、ベースのみでこれを見ますときには、公務員給與の約六〇%という給與炭鉱坑夫は支給されておる、即ち特殊の労働に従事し、基幹産業であるべき石炭産業の累進或いは再建に従事する炭鉱労働者は、一般産業並びに公務員比較いたしまして、約六〇%の賃金で以てその作業を強制せられている、これが炭鉱賃金現実であります。加えまして工業平均賃金とこれを比較いたしますと、次の表に提示して、下に説明を加えております通りこの低賃金生活環境にマツチさせるためには、必然にその形は強制労働によつてのみしか達成せられない。即ち日本の石炭産業が持つ特定の性格として考えられますところの超過労働と高能率によつてのみ、この低賃金炭鉱坑夫炭鉱労働者生活を維持して、ここに表に明示しております通りに一五乃至二〇%の超過労働を以て、他産業が僅か六、七%の超過労働に過ぎないものを一五乃至二〇の超過労働で以て生活を維持しておる。而も大体そういう超過労働によつて得た総收得の実績というものは、全産業平均賃金の八〇%程度にしかとどまつていない、こういう実情にあります。その具体的な数字につきましては、次の頁に数字並びにグラフを以て説明いたしております。即ち石炭産業賃金は、一時間当り賃金で見ますときに、全産業平均に遥かに下廻り、且つ各産業別平均を見ますときに、下から三番目の地位に置かれている。而もその下から一、二の数学におかれております産業木材工業と、女子多分に持ちますところの紡績産業、これと、支拂能力にさえ困る純然たる中小企業を除いて、基幹産業であるべき石炭産業がその次に低位を物語つておる、こういう状態石炭産業平均であります。加えまして炭鉱賃金は御承知のように能率によつて左右される形態多分に過去から有するものでありますが、この能率賃金比較を見ますときに、次の表にあります通り炭鉱能率というものは、いわゆる合理化或いは統制撤廃その他の問題、その他によりまして強制付けられた形における労働超過と、それによる能率の向上が飛躍しておるのでありますが、協定当時に比較いたしまして約四〇%に近い数字上昇を示しておるのに対しまして、賃金は、最近に至つて若干その協定時の賃金ベースよりも上つたという程度以外には何ら見るべきものがない。即ち能率賃金というものは、能率を上げて本来賃金が上るべき性格のものであるのに対しまして、現在の段階におきましてはもはや能率を上げてもその賃金は上らないというような現実をも示しておるのであります。もう一つ炭鉱産業形態特徴であります地下労働である、こういう面から見ますときに、一番端的な比較をされるものにいわゆる金属鉱山、こういう産業が同じ地下労働に従事しておるのでありますが、この金属鉱山労働者平均ベースというものか、現在は最低を八千九百円に置きまして最高一万二千円に亘る平均ベースを持つものであります。これに比較いたしまして炭鉱賃金は、実際の收得面におきまして七千九百円、即ちべースが一万円をオーバーする金属鉱山に比べまして、実收得において七千九百円にしか当らない。こういう同じ地下産業労働者でありながら、低位付けられておるのが現在の石炭産業能率給によるところの炭鉱鉱員給與であります。次の表に当りまして、今の説明は十分おわかりかと思いますので、かかる低位に置かれました石炭産業労働者団体であるところの炭鉱労働組合が、この状況を打開するために現在に至りました経過簡單に申上げたいと思うのであります。  即ち昨年の十一月以降、この低賃金である炭鉱生活水準をどうすべきであるかという点につきまして、全炭鉱労働者を挙げまして、この鬪争を、たまたま遭遇いたしました一月以降の賃金改訂期間におきまして取上げまして、その線によりまして一月一日以降の賃金につきまして、各社におきましてそれぞれの経営者団体交渉を行なつて来たのでありますが、かかる現実にもかかわらず、いわゆる支拂能力、或いは石炭産業の将来の見通し、こういう点を理由にいたしまして、経営者側は、その私たちのかかる低位にある労働條件を向上させ、或いは維持しようとする気持にもかかわらず、不当にこれを抑圧し、すでに御承知のようにこの労働條件、この低い労働條件を殊更に引下げようとするかの様相さえ示して来たのであります。かかる状態に立ちまして、組合側純然たる経済鬪争立場に立ちまして現在の段階を維持し、或いは向上さぜるために断固として実力の手段に訴えてこれの打開を企図いたしたのであります。即ち二月の七日以降におきまして、中央大手筋四社三井三菱井華北炭、これを中心といたしまして中央では一齊に共同の形におけるストライキ、無期限ストに突入したのであります。これに呼応いたしまして各地方大手も続々とその形の中に必然を余儀なくされまして、十二、十三日より地方大手以上が総体的にストライキに突入いたしまして、大体その数は二十万、一日当り減産が約十万トン内外の数字にあるという形の規模ストライキを続行いたしたのであります。かかる状態の中から、経営者はいろいろの形におきましてこの打開、或いはその折衝過程提示案を示したのでありますが、若干の組合はこの案によりまして一応結果的には妥結したのであります。即ち三井三菱井華が十七日以降引続き妥結を見まして、北炭が今朝八時半に至りまして遂に十数日のストライキ打切つて、一応の妥結点を見出した、併し石炭産業賃金かそれによつて解決されたという見方は全然考えられないのであります。即ち現在出されております賃金が、各社協定いたしました賃金が必ずしもベース・アツプにはならなかつた。即ち裏付けとするところの能率が、賃金ベース以上に不当に引上げられた。御承知のように炭鉱賃金能率によつて左右されるものでありますので、賃金の額が上りましても、基準となるべき能率が元の状態にあるときに初めて賃金が上るわけでありまして、能率がそれと同じ率で上つた、その場合には元々であり、且つ能率がそれ以上に上つた場合には賃金は実質的には下つて行くと、こういう傾向を生ずるものでありますが、この表の最後に付いております通りに、某社で見られます通り、実質的なその分析におきましても、賃金上つたけれども、結果においてはもらう実際の收得の面においては、労働の面から見るとこれは引下げられておるという現実さえあるのであります。即ち炭鉱賃金は上げるべく努力したものが、上る結果には至つていないという結果をさえ生じておる現実であります。加えまして現在かかる條件を最もひどく身に覚えておる炭鉱労務者は、その従事するところの地方大手産業及び中小炭鉱において最もひどい形態を持つものであります。即ちかかる状態におきまして、大手はとにかく、地方大手、或いはそれに繋がる中小炭鉱は目下深刻な様相におきましてこの打開に懸命の奮鬪をいたしておる実情であります。即ち十三日より突入いたしました九州地方大手炭鉱におきましては、現在に至るも会社側は何ら解決を見出すべき具体的な提案をいたさず、続行されておる次第であります。かかる現実九州におきますところの産業に及ぼす影響、延いては九州の持ちます産業特徴が、即ち朝鮮の動乱にも影響するという形においていよいよその深刻の度合いを加えて行くのであります。かかる状態に立つた経営者の誠意は何ら見ちれるべきものがなく、すでに本日に至りましても何ら解決方途も付かないという実情の中に戰つております。  以上大体炭鉱賃金の現在まで戰つて参りました推移、それから低位付けられておる実情をかいつまんでお話したものでありますが、具体的に各社代表によつてその実例を示してもらうと共に、質疑がありますれば、その際に説明を加えたいと思つております。陳述を終ります。
  6. 赤松常子

    委員長赤松常子君) それでは御質問は、皆さんがお済みになつたあとさして頂くことにいたしまして、次には三菱連合会会長永尾浩氏よりお願いいたします。
  7. 永尾浩

    参考人永尾浩君) 炭鉱賃金一般のことについては、炭労執行委員のほうから話されましたので、今次四社の共鬪がどういう中で進められたか。そうしてこれを三菱にとればどういうふうになつておるか。その概略を申上げたいと思います。従つて緊急でありましたので、三菱資料を作つて来ることができませんでしたことをお詑びいたします。ただ口頭で申上げたいと思います。  一般賃金論から始まりましたが、その中で特に注目しなければならないことは、昭和二十三年の十二月協定から今日まで、炭鉱能率がどうなつているか、こういう点であります。賃金は釘付けであり、而も先に申上げられました通り四千七百円、実はベースは五千四百円でありますけれども、実際は四千七百円ベースであつたということ、この賃金を以て二カ年、今日能率は約一五〇%の上昇を示しておるわけであります。企業整備、いろいろな状態からこの炭鉱の一人当り能率は、昭和二十五年度の十二月において、三菱ではすでに交叉の状態になつておる、こういうことであります。一人当り能率はぐんぐん上つてつておるにもかかわらず、三菱の場合は原料炭二六%、最高八千三百カロリーの、こうした硫黄分の最も少いいい石炭を出しているわけであります。併しながら賃金はすでにいろいろな面で制約を受け、特にレツド・パージ以降におきましては、いろいろな面で制約を受けて参りまして、今回四社共鬪が発足するに及びましたことも、特に加速度的に無期限ストライキに突入して行つたということも、平時における資本家が特に労働組合に対しまして、いろいろな面で圧迫を加えた、この反駁であるということが第一点に挙げられると私は考えております。従つて今日いろいろ問題の解決が、四社共鬪の中で賃金妥結したからといつて、決して十分にこれが完全に解除されたということではないということは、すでに述べられた通りであります。従つて細目におきましては、今後更に如何なる事態がこの四社の中で起きて来るか、このことは予断を許さない現状にあるわけであります。一度大枠がきまり、ストライキで解除いたしますや、いろいろな面で激突をすでにその日以後始めておるわけであります。今日も三菱は午後一時から団体交渉を持つておりますけれども、実際の細目はまるつきり問題にならない対立の状態にあるということを率直に申上げて置きたいと思います。  いろいろ組合鬪争によりまして疲弊をいたしましたが、なお且つこれに対しましては山元からいろいろの事情が伝えられて来、而もこのストライキを僅かとは我々の常識では考えられないのでありますけれども、山元といたしましては、このことはもつと強力に戰わなければならなかつたということで、非常な批判を受けておるわけであります。当初におきましても三井あたりは、特に熾烈にこの問題が唱えられて、而も無暴とも言うべきこの無期限ストライキに入つたという実態は、実に炭鉱賃金がこうした中に組立てられて、而も能率上昇し、それに対応した賃金が支拂われていない、こういう現実を見逃してはならないと思います。こういう点から今日も三菱といたしましても、細目に亘りましていろいろな点を会社折衝いたしまして、いろいろな交渉を持つておるわけでありますけれども、この問題の解決もまだいつなされるかということは、今から予断はできない。なお且つ今九州大手地方大手並びに日鉱に属する中小鉱山、こういうものがストライキに入つておる。明日から日鉱は入らんとしておる現状にあるわけでありますけれども、この日鉱といえども、その傘下の石炭の質、その能率、そういう面から考えますというと、やはりこれは長崎県の北松炭田と申しますれば原料炭生産地であります。ここの資本家にしてやはり中央大手四社に変らないところの態度を今日続けておるわけであります。従つて一歩も譲歩しない資本家に対しまして、いよいよ明日から日鉱数万が又更にこのストライキに参加して行くというような現状にあるわけでありまして、この問題の解決に対しましては、いろいろ当局並びに資本家も努力しておると思いますけれども、今日の状態では更に悪化の方向に行くと考えます。  簡單でありましたけれども、以上で陳述を終りたいと思います。
  8. 赤松常子

    委員長赤松常子君) それでは次に北炭労働組合委員長杉淵徳治氏にお願いいたします。
  9. 杉淵徳治

    参考人杉淵徳治君) 鬪争の概念的な経過につきましては、樋口さんから御報告がありましたので、北炭独自の立場から鬪争経過を御報告申上げたいと思います。  皆さんも御承知のように四社共鬪を主体といたしまして、無期限ストライキが七日より出発いたしまして十七日に一応休止符を打つたのでありますけれども、北炭は十八日まで一応無期限ストライキを続行いたしまして、後三井三菱井華妥結したのでありますけれども、北炭はなおどうしても戰わなければならないという考えの下に、四つの声明書を出しまして波状ストライキを敢行したわけであります。なぜ北炭がそういうような四社共鬪を一応休止符を打つたのちにおいても戰わなければならなかつたという実情につきましては、概算でありますけれども、当時の三井三菱井華妥結した当時の北炭状態というものは、作業量引下げとか或いは能率引上げ、こういうものによります概算でありますけれども、坑内夫において千二百円の現行より下廻る案が会社側で提示されておつたわけであります。坑外夫におきましては一応四百円程度の値上りでありましたけれども、これを差引き計算いたしましても八百円程度の全鉱員賃金引下げというような形が会社から出されておつたわけであります。こういう形におきましてどうして我々が承服できるかというような立場におきまして、北炭独自の戰いがなされなければならないというような宿命的な問題があつたわけであります。その後も波状ストライキの中にありましても一日も早く問題を解決したいという我々の念願でありましたので、いろいろ徹宵交渉を、連日交渉をいたしまして、その結果本朝会社側と或る一つ了解点に到達いたしまして妥結したわけであります。  その内容を具体的に申上げましてもなかなか時間的な問題がありますので、終末的に申上げまするならば、先ず坑内夫におきまして九百九十四円、これは概算でありますので、多少の計算の違いがあると思います。の賃上げ、坑外夫におきましては四百六十円程度引上げということによりまして、一応妥結せざるを得ない、一応ストを解かざるを得ないという段階に達したわけであります。この点につきまして、現在皆さんも御承知のように、物価が騰貴しまして、我々北海道におるのでありますけれども、日常の食糧が……日日の日用必需品が五割乃至十割上つている現状であります。そういうような段階で、家庭に非常に大きく響いておるような現状でありますので、下部におきましては一日も早く相当賃金を取つてもらいたいというような強い要望であつたのでありますけれども、我我が一応ストを解かざるを得ないという考えの根拠というものは、これ以上押しても大きなステツプはない。これは非常に我々として遺憾なことであり、残念なことであるのでありますけれども、こういう形でストライキを続行しても、これは今の社会的な面、或いはいろいろの情勢というものを考えた場合において、我々は涙を呑んでここに一応のストを解かざるを得ないのではないかという観点に立ちまして、誠に残念であつたのでありますけれども、そういうあらゆる角度の観点から一応ストを解いたような状態であります。併しながらこれが我々が円満に、満足に問題を解決したわけでありません。なおここに非常に疑問な点があるのでありますけれども、要点は、今度の作業量引上げとか、或いは能率引上げ能率引上げは総体的の従業員に関するものでありますけれども、作業量引上げというものは直接夫と言いまして、これは採炭夫とか掘進夫、充填夫運搬夫というような種類の者でありますけれども、これが坑内におきまして中心的に石炭を出している組合員であります。ところがこの組合員賃金会社は賃下げをしようというような意図と、それからそういうような形において一応総体的に賃金引下げようというような考え方がどうしても我々には納得できなかつたわけです。こういうようにいたしまして、最前線に働いている者の賃金引下げてどうして増産があり得るか。この点経営者はただ單に経理の面から出発いたしまして、かような方途をとるように考えておるりでありますけれども、我々はやはりその者は優遇というふうに考えておりません。やはり石炭がどのようにして出されるかというふうな考えを持つものであります。勿論我々の生活を保持するという考え方は、基本的な考えでありますけれども、労働組合といたしましては、ただ單に我々の生活が保持されればよろしいのだという考えでありません。やはりこの最前線に働いているこの直接夫というものが本当に働き得る、本当に石炭が出せるというような態勢をとるべきではないかというのが切なる我々の要求であるわけです。ところが今回の協定された事情というものが、この直接夫が一銭も賃金が上りません。このような形において止むを得ず締結しなければならない状態におきまして、非常に遺憾であり、残念と思うのであります。このことにおきましても下部に帰りまして組合員にいろいろ納得してもらわなければならないというふうに考えておるのでありますけれども、こういう姿が炭鉱賃金形態ということになれば、非常に将来の産業賃金の、炭鉱賃金形態というものが誠に憂慮されるということ、又このことによつて飛躍したところの増産というものが期待でき得ない。或いは或る場合においては非常に減産、或いは紛争の種を作るものであるというふうに考えておるわけであります。こういう観点からいたしまして、労働組合といたしましては、今日の妥結は非常に遺憾であり、非常に残念でありますけれども、いろいろの諸情勢考えた場合において、一応ストを解かざるを得ないという意味に考えたわけであります。  なお一応ストを解いても、具体的なもの、或いはいろいろの点におきましてたくさん残つておりますので、今後は平和的な交渉によりまして、このいろいろの矛盾を解きたいというふうに考えておりますけれども、これは今の諸情勢において非常に至難な点もあると思うのであります。よつて皆さんのいろいろのお力を今後借りなければならないというふうにも考えておるわけであります。  以上、北炭立場事情であります。
  10. 赤松常子

    委員長赤松常子君) それでは九州共鬪委員会代表漆原光國君にお願いいたします。
  11. 漆原光國

    参考人漆原光國君) 御紹介にあずかりました漆原です。二十日に上京いたしました。最も生々しい九州実情をお伝えして御善処方をお願いいたしたいと思います。  先ほど御説明ありましたように、三井三菱井華北炭が今暁妥結いたしましたので、一応炭鉱スト解決したかの観がありますが、実はそうではないわけです。九州におきましては、十三日以降九州大手六社がストライキに入つております。現在十日になりますが、ストライキ続行中です。この様子を話しますと、先ずこの炭鉱がどういう地位九州で占めておるかということから御説明いたします。この六社は北九州中心にしたいわゆる重工業原料補給炭鉱であります。従つて良質石炭を採掘しておりますし、ただ問題が九州にのみ炭鉱がある会社だ、こういうことで地方的な考えがありますが、規模は全国の大手炭鉱と匹敵するものであります。六社の現在ストライキに入つております従業員総数が約四万五千です。一日出炭が一万六千トンであります。而もこの一万六千トンが八幡製鉄を中心とする重工業に向げられる石炭である、こういうものを持つております。これが未だ解決されずにストライキを実行しておる。実に深刻なストライキ様相を呈しておるわけです。それで東京で大手の四社が解決したのであるから、石炭争議終つたのだということは言えないと思います。むしろそういうところに本当に石炭危機が叫ばれるような様相が出て来ておるのではないかと考えておるわけであります。  それではこの地方における問題がどうして解決しないかという問題について一応御説明いたしたいと思いますが、去年から炭労は、連盟下において全国的な集団交渉はやらないということをきめまして、先ず東京に本社がある炭鉱、これを集団的に一つ話合いをしようじやないか、地方地方で話合いなさい、こういう線が出たわけです。それで九州においては、九州のいわゆる大手炭鉱のみのこういう六社が集まりまして、それぞれの会社に対して団体交渉を申入れ、賃金値上げを要求したわけです。ところが会社側といたしましても、一応経営者連盟の中でこういうグループを作りまして、話合いをし、その結果で労働組合の要求に対して対処しておるという形がとられております。それで問題は個々の炭鉱ではなくて、石炭企業者の集団と地方石炭産業労働組合との間の交渉という形がとられておるわけです。従つてこの問題は一社々々の解決ということは至難であるし、政治的な大きな力を一つお借りいたしたい、こういうような要素が多分に含まれておる形であります。現在まで出されておりますこの六社に対する会社側考え方並びに組合側の態度等について、別紙プリントをお送りいたしました。「九州資本別共同鬪争委員会」という表題であります。その内容を極く簡單に御説明申上げたいと思います。これによりますと、現行に支拂われております鉱員賃金、それから現行採炭夫が一日に出炭しております石炭の量、いわゆる標準作業量と申しますが、これはいわゆる切羽で働いておる採炭夫が一日に出す出炭の量なんであります。それで坑内夫賃金に対しては、それぞれそこに出ておりますように、標準作業量と言いまして、これによつてこれだけの量を働いた場合にはこれだけの三百六十三円を拂おうという協定がなされておつたわけでありますが、これが昭和二十三年の十二月協定でありまして、以降本日に至るまで非常に能率を挙げまして、賃金のほうもそれぞれ上つたよりな傾向がとられております。特に能率が挙つたという所は、一六〇%も能率を挙げて、賃金はどうやら現状の線まで持つて来たという形がとられておる次第であります。ところが今度会社側は、組合側の賃上げ要求に対して支拂おうという意図は、その三百六十三円に協定されたときの能率を挙げて取つた金よりも低いものを支拂う、こういう案であります。それでこれを直しますと、今の能率で働いても今の賃金は取れない、こういう実績になるわけです。その内容が、各社別には多少は違いますが、総体的に見ますと只今申しましたような結果になるわけです。従つて組合側としては、先に御説明申しましたように、炭鉱賃金の五千四百円ベースの改訂をしてもらわなければならんということが全く容れられない状態になつて来ているわけであります。それで了承できるものではないということで、全面的にこれを拒否しております。従つて九州における十三日以降のストライキがいつ解決するかということも見通しがつかないような状態に立ち至つているというのが現情でございます。更に問題は、この九州地方における大手炭鉱の問題が解決しなければ、どうしても解決しないという小さな炭鉱があるわけです。従業員数にしまして、一万五千ばかりの従業員がおりますが、この従業員が十数日地方大手ストライキをやつているにもかかわらず、なお解決しないというのでストライキに入る気配が濃厚でおります。更に只今三菱代表のかたから話されましたように、日鉱と言いまして、炭労とは組織が別でありますが、この人たちも同じように会社の提案に不満であるということで明日からストライキに入ります。そうしますと全国の六割を占めます九州炭鉱が、大手を除いては全部出炭をとめるという形になりますので、これはただ九州だけの問題ではなくして、全国の石炭供給においては相当な問題を惹起するのではないかと考えております。只今申しましたような状況でありますが、この問題解決については、一社ではできないということは舌足らずで説明が十分ではないと思いますが、労働組合側もそういうふうに考えておる次第であります。それででき得べくんば議会等におきまして取上げられ、この解決に御盡力願いたいと希望するものであります。  参考までに申上げますが、ストライキの最終日における九州の貯炭状況は約三十万トンしかないわけであります。三十万トンの貯炭を食い潰すには約一週間でこれが終つてしまうという状態でありますから、今から一週間争議が続げば重工業における貯炭はなくなつてしまうという状態が生まれて来ております。そういう消費者における面並びに生産の重要性等を考えますと、問題を早期に解決しなければならないという必然性が考えられるのでありますが、今申しましたように、こういう会社側考え方は、炭鉱労働者として五千四百円ベース据置きという苛酷な状態に置かれることは必然でありますので、まさに血を血で洗うような鬪争が今後も繰返えされるであろうという公算が大であります。  只今御説明申上げましたことで十分ではないかと思いますが、九州炭鉱考えております問題を一つ考え願いたいと考える次第であります。
  12. 赤松常子

    委員長赤松常子君) どうもいろいろ有難うございました。それでは今お述べになりました各参考人の御意見に対する御質疑のございますかたは御発言をお願いいたします。
  13. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 先ず第一にお聞きしたいことは、炭鉱ストをするたびに賃金が切下がるというような統計がこの頂戴した表では出るのですが、何だか私ども不思議に思うのは、ストライキまで賭しておやりになつた賃金交渉が、何の理由でこういうふうにストをやつたたびに下つて行くんですか、その点の真相はどこにあるんですか。
  14. 樋口明

    参考人樋口明君) 只今の御質問に対して簡單に御説明申上げます。御承知のように戰争から終戰後におきまして極度に疲弊いたしました炭鉱が、その後に立直りますときに経営者考えておりますものは、やはり日本の石炭産業が過去から維持して来ましたところの低賃金と強労働によつてのみその維持育成を図つて行くことは何ら変つていないという事実があるわけであります。即ち各参考人から説明いたしましたように、能率はぐんぐん挙つてつておる、こういう形の中に賃金が置かれておるわけでありまして、私たちは常に働いただけの賃金、そうしてそれが生活を保障される賃金という形のものを考えておるわけであります。そういう点から推しますと、常に働きの量が増加して行くに従いまして私たちの賃金が上つて行くべきものであるものが、その率においては上つて行かない、能率事の挙り方に対してむしろ逆に下つて行く傾向がある。併しそれは生活を維持するために、どうしても超過労働なり或いはその他の方法によつて賃金を補つて生活を維持して行く、こういう傾向が見られるわけであります。加えまして炭鉱賃金が、過去から総体的に一般産業よりも低いということをさつき御説明申上げましたが、かかる中にあつて、その石炭産業の持つ性格から推しても、何とかこの点は打開しなければならないという形が、やはり純然たる経済的な感覚におきまして鬪争必然になつて現われておるわけであります。このことは、さつきの説明いたしました説明資料によつておのずから如何に低いかということはおわかりだと思います。そうしてその中で生活を維持して行くためには、その低い賃金では維持できませんので、必然的に超過労働と強制された労働であつたということは、その半面に必然に起りますところの超過労働によるところの罹病、或いは災害の増加ということか端的にこれを物語るものであります。即ち労働は一五乃至二〇%に近い他産業以上の労働時間を見られながら、賃金は他産業の八〇%しかもらつていないという事実が一つと、現在累次に増加いたしますところの炭鉱の災害というものが、如何に労働者自身が疲弊し、或いは強制の労働を強いられ、且つは意識してその労働に従事しておるかということは、おのずからそれを物語つておるのであります。かかる立場に立つて純然たる経済的な要求の観念に立ちまして戰つておるのでありますが、冒頭に申上げましたように、石炭産業そのものが復興期にあるという形におきまして、経営者自身はそれが当然である、又炭鉱能率というものを挙げて行くことによつて賃金をもらうことは当然であるという形が見られながら、その率においては、上つた率に対する賃金というものは何ら考えていない。即ち能率を挙げた分だけのものはそつくりそのまま経営者の懐ろに入つてしまう、賃金の面については考えていないという点が数字によつても明らかに現われております。かかる現実に立ちまして、さつきお話のありましたような理由はおのずから説明ができるのではないかと思います。
  15. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 今おつしやつたことは、この数字でよくわかるのですが、併しこういう御質問をするのは、率直に言えば、つまりこの経済鬪争の部面が、何らか不自然な力で妥結しなければならなかつたかどうか、そういう問題があつたのかなかつたのか、こういうことなのですね。もう少し端的に言いますと、いつのストでしたかね、二年ばかり前に一番問題が起つたと記憶しておるのですがね、その時分に大体能率給に切換えよう……二年ばかり前でしたかね、そのときには相当何というか單純な労使双方の力加減というものの中できまつたと思われない部分があつたと私は思うのです。今度の場合は全然ないわけですか。
  16. 樋口明

    参考人樋口明君) その点につきまして、昨年の賃上げの鬪争の際と、今日の鬪争比較簡單に申上げますと、昨年も全く同じ状態におきまして、全炭鉱労働者が一齊に立上つたわけでありますが、残念ながら、社会経済に及ぼす影響が重大であるという面におきまして、政府より強制的にこれを停止せしめられまして、そうして賃金は一銭も上がらなかつた、徒らな犠牲のみを強いられた、こういう結果が生々としたまだ現実で、私たちの間に残つておるわけであります。かかる情勢にもかかわらず、或いはそういうものを予期されるにもかかわらず、本年特にレツド・パージ後の萎縮した労働陣営の中からもあえて立上らざるを得なかつた現実は十分おくみ取りを願いたいと思うものでありますが、そういう点においてでも、今度はどうしてもそういう点を排撃してでもやらなければならない。むしろそういう点が将来の労働運動に対する異常なる彈圧になるのではないかという点を十分警戒しながら、今次鬪争は立上つておる。そこに定義付けられた石炭産業の低賃金必然様相が現在現われておると考えております。
  17. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 もう一点お聞きしたいのですが、と申しますのは、労使双方の力加減でストライキを賭してやつても、労働者の利益に解決しないというふうな過去の実績を持ちながら、どうして炭労のほうでは中央労働委員会とか地方労働委員会とかいうものの調停斡旋の機能を何といいますか、活用しないで、労使双方だけでものを解決しようとなさるのか、その点、その真相をはつきりさして頂きたい。
  18. 漆原光國

    参考人漆原光國君) 只今の点ですが、第三者の調停、いわゆる労働委員会、それから大臣等の調停ですね、実に労働者が苛酷な斡旋を受けた場合があるのです。それでこれはもう第三者に受けても駄目だという結論が一つ出ております。  それからもう一つストライキをなぜやるかということについては、今度もはつきりわかりまするように、ストライキをやらなければ会社側は案を出さないのです。団体交渉では幾ら賃金を拂うという案を出さないのです。だからストライキをやつたら始めて案が出るということでストライキをやるのです。そういう現象が生まれてくるのです。
  19. 永尾浩

    参考人永尾浩君) 昨年は中央労働委員会で末弘さんが御苦労されたと思うのです。併しながらこれは何にもならなかつたという、結局炭鉱争議の解決にはならなかつたという過去の実績もあろうかと思いますので、この点補足をして置きます。
  20. 山花秀雄

    ○山花秀雄君 ちよつとお尋ねしたいのですが、今堀木委員のほうから質問がありましたが、解決したときには賃金が下つているような報告が出ているが、少しおかしいじやないかという、そういう意味の質問だと思いますが、こういうことじやないかと私は考えるのですが、お答え願いたいと思います。これは卑近な、理解しやすい表現で話を進めて行きたいと思いますが、炭鉱で一人が仮に一日十トン掘るとして、賃金が十円取つておるとすれば、一トンあたり一円ということになるのでありますが、能率がぐんと上つて、十五トン掘つておる、当然これは十五円という賃金であるけれども、実際は十二円しかもらつていないということになると、一トン当り八十銭、こういう形で論議をなすつておるのじやないかというふうに想像できるのですが、若しそういう形で、それが間違いないとするならば、一トン当りの單価がどの程度に低下しておるかということを説明願えればよくわかると思うのですが……。
  21. 漆原光國

    参考人漆原光國君) 單価の問題については、全然経営者が、これは労働組合側に報告しないのです。いわゆる団体交渉で知らせないのです。
  22. 山花秀雄

    ○山花秀雄君 單価ではないのです。労賃の問題です。一トン当りの労賃が……。
  23. 漆原光國

    参考人漆原光國君) それは九州資本別の共同鬪争委員会という表を御覧。になりますると、この中で出ておるわけです。一番上段に三百六十三円に対。応する、一番真中のほうに標準作業量とありますが、これは採炭夫が一日にこれだけ、一トン四十四ですがを掘れば三百六十三円がもらえるわけです。例えば現在は一・八、二トン近く掘つているわけです。それについては四百六十三円をもらつているわけです。ところがその上昇率を見てみますと、能率のほうは一二五%になつておるわけです。これが賃金のほうでは、採炭夫は一二八%になつておりますが、全鉱員でしますと一一一%にしかならない、こういう実績になつて出て来るわけです。というのは、炭鉱には請負船者と定額給者がおるわけですが、請負給者は能率が上ればそれに対応して金がもらえるわけですが、定給者はそれにもかかわらず定給で抑えられるという形が出ているので、プールした場合には上つて来ない、こういう現象が出て来るわけです。
  24. 一松政二

    ○一松政二君 ちよつと伺いますが、能率上つた場合に、今山花さんの質問にもあつたように、前には一トン当り一円もらつていた。今の山花さんの仮定に従えば、能率が上つて一トンが八十銭になつたから、何だか賃金が切下げられたというようなふうにお感じのようですが、その場合に伺いたいことは、その能率が上るためにどれだけの労働力を、再び山花さんのたとえで一円であつたときの労働力と、八十銭になつた場合の労働力とがどんなふうにきまつておるか、合理化と機械化が進んで、それに人間がそこに結合して生産が出ているわけですが、人間の筋肉労働及び頭の注意その他技術上の問題がそこに加つて来るのですが、その個人個人の労働力は能率上つた割合と同様に、それだけの労働力を必要としているかどうか、それを伺いたい。
  25. 漆原光國

    参考人漆原光國君) 各社々々で内容は違いますが、傾向としてはこういうことが言えるのです。合理化によつて労働力が少くて、能率上つたか上らないかということが御質問の要点かと思いますが、その面も勿論あります。それで組合側としては、卑近な例をとりますと、例えばその表の最後にございます高松炭鉱の例でありますが、これは実に一六〇%の能率が上つています。昨日の回答案で、ペン書にしてあると思いますが、一六〇%能率が上つている。この内容分析をしますと、機械化その他によつて労働力を消費しなくて能率上つたと目されるものが一五%は含まれている、こういうことを言つております。それであとの四五%は労働密度の強化と時間延長、こういうもので賄われたものと結論を出しています。これは高松炭鉱の例でありますが、大体そういう傾向で各社とも分析してその内容はつかんでおるはずであります。それでこれを全国的に機械化の能率がどの程度に左右しているということは、なかなか出しにくいのでまとめてはおりません。
  26. 一松政二

    ○一松政二君 そこで今の労働強化、或いは能率に比例して賃金が上らないという問題が起つて来るわけです。それの分析がなかなか各会社、各山一様でない。それで今の能率の増加に比例して賃金が上るべきだという議論は、一応多少修正を要する問題だと思う。そこで私はこの問題が、非常に炭鉱労働者としては、先ほどの御説明にもありましたが、止むを得ざる事情によつてストライキを終止しなければならない羽目に陷つたとおつしやつていますが、日本の炭鉱は非常に來が多くて、層が薄くて、そうして貧弱で、而も老朽している。これは九州の昔の、今は何と言つていますか、互助会系のような炭鉱が最も深刻な問題だと思う。山自体の経営ができないというような問題が宿命的についている。私は今の三井三菱北炭のような、有力なそして優秀な炭鉱を持つている所はまだ問題はやさしいと思う。九州並びに北海道の五千トン、或いは三千トン、七、八千トンの低品位の山を受持つておられる労働組合のかたは、私はなお更矛盾に直面するだろうと思う。これは日本の他の面の、いわゆる中小企業の面にもあるので、なかなか名案が浮かんで来ない。お互いに悩みを持つているわけですが、そこでこれをストライキによつて解決するという行き方も一つの方法ですが、これを社会問題にして解決するということになると、これは政治問題が伴つて来るのですが、ストライキだけで解決できないので、止むを得ず涙を呑んでやめたというような、今四つの炭鉱の人は皆大体そういうお考えのようですが、九州の今私が後に例を引いた、或いは北海道の、或いは中小の炭鉱は、私は、又涙を呑んでやめなければ……どこからか補助金を出すか、金を政府がくれるか、社会がくれるか、どこかその炭鉱にやらなければ解決かつかん問題が起ろうと思うのです。そういう問題に対しては、特に私は漆原さんの意見一つ伺いたいと思うのです。
  27. 漆原光國

    参考人漆原光國君) 只今の御意見ですが、我々の見方は二つあります。只今炭鉱が経営上成り立たないから、そういう所はやつても駄目じやないか。この意見は、炭労も全くその通りだと認めております。従つてそういう所はストライキは事実上はやらしておりません。今ストライキをやつておる所は、我々が企業能力を見ても拂えるのではないか、それを拂えないというのはおかしいじやないかという要素がある所です。  それからもう一つは、炭鉱がそういう事態に置かれて拂えないということになつたのは、これは全く社会的な問題だ、炭鉱労働者がこの負担を一人のみで背負つてやるべき問題じやないのじやないか。そういう責任を経営者が果したかどうかということについて抗議しているのです。こういうまあ経済面でストライキをやつておるわけですから、あながち現在の経営それのみについてストライキをやらしたということはあり得ないと思います。更に中小で、今ストライキをやるならば潰れると言うが、労働者ストライキをやることを意思表示しているにもかかわらず、組織はそれをとめているという現状です。その点も十分お含み置き願いたいと思います。
  28. 一松政二

    ○一松政二君 よくわかりますが、それで伺いたいのは、私はこの全国のいわゆる炭鉱経営者と言いますか、これが関連産業に金を拂わずに、そうしてそれの犠牲において経営を続けて来ておる現状が随分伝えられて、もう何年にもなるわけです。その犠牲において経営して行つておる部門、或いは会社もかなりあるわけです。それで一方において、そういう場合坑木を倒してしもうとか、或いはいろいろな金具を買つておりながらその代金を延べるか、拂わないか、或いは拂わないで潰れた所もあるのか存じませんが、そういつたような犠牲を拂つてつて来ても、なお且つ経営が困難であつたのもあるのです。そこで今のお話の、経営者がまだ拂えるにもかかわらず拂わないのか。そこでその点を突いてストライキをされるということになれば、これは純然たる経営者労働者との二者の見解の相違で、これは二者のみによつて解決ができる問題だと思うのです。ところが社会的に訴えて解決しなければならん問題は、どういう問題であるか一つお伺いしたいと思います。
  29. 樋口明

    参考人樋口明君) 経営者の苦しい実態というものは、朧気ながらしか私たちにはわからない。なおその中に置がれておる私たち自身の状態はもつと苦しいことはさつき説明いたした通りであります。その中に立ちまして今の質問に答えたいと思うものでありますが、私たちにその苦しい実態があつて、本当にその経営を活かしたい、或いはその中から何とか他に打開したいという意向が経営者の中にあるならば、むしろ私たちに率直にその実態をえて、協力を要望するのが至当であるかと思うのでありますが、経営者も、さつきも参考人から申上げましたように、全然その資料を見せてくれない。特に中小炭鉱において必要とされる経営の開陳、或いは労働者の協力に対しては誠意を持つておるという態度を全然表明してくれないのであります。その半面に、経営者は自家用車を買い、家を建て、そうしていろいろの運動を行なつておる。その維持が何によつてなされておるかというと、端的に言つて資材代の不拂いである。こういう苦しい実態になつたのだが、それによつてカバーされる、と表面的に窺えるように見受けます。それにもかかわらず、そういう客観的な問題より、も、一に主体的に置かれておりますところの労働者賃金、或いは労働條件の中にもつと深刻な様相を描いてお用る、即ち日本の中小炭鉱の特質でありますところの低賃金強制労働、それの行詰つたところの首切り、これだけによつてのみ中小企業中小炭鉱の苦しい実態を切抜けて来て、現在もそういう状況下にあるということは、私たち自身が身を以て体験しておりますのて、口を憚らずに申上げることができるのであります。加えまして経営者がその上に立つてでもなおこんなに苦しんでいるという現実なら、そうしてその企業を何とか育成しなければならない、或いは自分の会社を何とか立直さなければならないという考えがあるなら率直にその具体的な実例を組合に示して、組合の協力を望むべぎ段階に今の中小炭鉱ばあるべきじやないかと、こう思うものでありますが、その点に対しましては何ら誠意あると認められる態度はとつて呉れない、こういうのが実情であります。
  30. 一松政二

    ○一松政二君 まあ九州、常盤、北海道、あなたのおつしやるような人もあるにはあるでしようが、そうでないのもあるでしよう。そこでやはり潰れるというので、現在組合としてはやりたいというやつを阻止されておる、これはよくわかつてそういう処置をされておると思うのですが、だからその問題は非常にややつこしい問題に入りますから、私はちよつとその問題から外れて、もう一つ尋ねたいのは、つまり先ほども申しました二十三年度ですか、二十三年度のやつが基準になつていると申しますが、まあ戰時中は非常に、これこそ本当に強制労働であつたろうが、能率を上げた。ところが終戰後非常に一時日本全体が虚脱状態に陷つて石炭も殆んど半死半生の状態になつて、それから又徐々に立ち直つて来たわけですが、二十三年の標準労働量と申しますか、あなたがたの今の能率の問題が、これが動かすべからざるもう基準として、日本の炭鉱労働者が誠心誠意、これは資本家とか或いは労務者という感じを離れて、日本人の一人として考えて、そうしてこの自立経済に向つて行かなければならん日本として、真に我々はこの労働が自分たちの体及び周囲ともマツチして、これ以上の労力はもう苛酷である、これがもう正真正銘の、一番標準のものであつたかどうかということに対して、私はその点を伺いたいわけなんです。大体それがいつも標準になつているようですから。
  31. 永尾浩

    参考人永尾浩君) その点ですがね、私は元石炭復興会議の委員でありましたけれども、そのとき二十三年の石炭復興会議は解散になつたと思いますが、その頃復興会議の内容がよくないということで、実は我々解散を命ぜられた。その中で何が一番問題であつたかというと、これは九州石炭復興会議で、あの三井の山の炭鉱に、山の研究所における日本の石炭の標準作業量地下産業の標準作業量を実は考えて、どれまで働けるか、どれまで能率が上げられるか、一つ基準をきめようという画期的な、九州石炭復興会議が考えた問題があつて、非常に労使が論争をやつで、そうしてこのことをなさんとしてならなかつた。このことがいち早く地方に伝わりまして、労使鬪争の場所では石炭復興会議はないのだ、こういうふうなことで、特に又その中におきまして経営者が一緒にこれは反対をして、この現実ではやはり作業量が二十三年度を基にすれば完全な基準とは言えないかも知れない。併しながらこの点が、或る画期的な仕事をあの山の研究所でなされたときに全経営者が反対した。こういうことは今日の基準が正しいか正しくないかは別として、こういうことをきめることこそ我々はよろしいかと考える。こういう点に協力されなかつた経営者諸君に、私は実はこういうことを申上げたいと思う。やはりこういう基準を日本に打ち立て、そうしてどこまで我々の能力が上げられるか、その標準或いは基準をきめることをなさなかつたという、こういうことは我々は非常に反省しなければならないと思う。二十三年度のこの基準が正しいということ、正しくないということを論ずる前に、こういうことに対して我々がなすべきことをなさなかつたということも反省しなければならない、私はかように考えております。従つて二十三年度の基準が、絶対的にこの作業量が正しいとは考えておりません。
  32. 一松政二

    ○一松政二君 ただ私がそれを伺うのは、二十三年はつまり丁度炭鉱国管とか、国管が実施になつたあとですから、非常に何かやかましい時代であつて、そうして諸事生活が非常に不如意であつた。食糧は足らん、衣服も足らん、何もかもいわゆる足らないずくめの時代であつて生活環境が非常に悪かつた。物価騰貴の問題は又別問題ですが、まあ今は総じて当時よりは生活は多少向上して来ている、そこでそういうこともやはり能率にも影響して来るものだと思うのですよ。そこで今二十三年度の標準量が絶対的のものでないというようにあなたはおつしやつたが、私もそうであろうかと思つて質問をしたのです。そこでこれは別問題かも知れませんが、日本の石炭が日本の工業の原動力になるが、その石炭のコストが高い。他国の、アメリカ等は特に安いが、英国の場合は石炭の危機を伝え、だんだん炭鉱労務者が減つて、国有になつたにもかかわらず、さつぱり所期の成績を挙げておりません。日本の石炭は、産業の動力としては非常に高い。殊に今の粘結炭の問題にしますると、アメリカから積んで来たもののほうが製鉄業者はこれを希望している。そういう一つの矛盾がありますので、あなたがたもこれは非常に苦労されるだろうと思いますが、それで止むを得ず打切りという問題も一つの、その中において解決し得ない一つの問題だと思いますが、又先ほど言われましたように、多少心得の余り感心しない経営者があるかも知れませんが、二十三年度のごときはいわゆる復興金融金庫があつて、対象の中には石炭がもう第一順位に置かれて、石炭といえば簡單に金の出たときで、それを中にはほかのものに使つたとか、或いは浪費したとかいろいろな噂も飛んでおりましたが、そういう時代から今抜け切れて、純然たる石炭企業がまさに昨年、一昨年でしたか、統制を外されてから、初めて企業らしくなつて行きつつあるところだと思うのです。そこでここで私がお伺いするのは、つまり採炭夫運搬夫、仕繰夫等が賃金を据置かれた、併しながら能率を挙げれば收入は増す。その人がたは今度のあなたがたの協定では特に賃金は上らないが、これは能率によつてどうにもなる。そのかたがたは他の人々を上げるために、他の人々を上げるために自分たちは一応犠牲になつても、一応ストライキを中止されたのだろうと思うのですが、その辺はその人がたはどういうふうにお考えになつているのですか。ということは、一時私どもが聞いているところによると、こういうことを言われているのであつて坑内に行くには、坑口に入る時から時間が始まつて、そうして坑外に出る時までが八時間のいわゆる時間であつて、中で働いておるのは、歩いて行く炭鉱であれば、非常に時間が短い。極端に言えば四時間くらいしかない。非常に時間が短くて、そうして相当賃金を取つている。非常に炭鉱労働者は優遇されているようなことをあの当時、あなたがたは反対かも知れませんが、そういうことも一部には言われておつた。非常に当時はかけ離れてそういう人のみがよかつたわけです。そこへ以て来て炭鉱の食糧事情がいいために非常に炭鉱に希望者が多くて、そうして素人が一時たくさん入つたことがあるわけです。そういうことで平均賃金が下つたのじやないか。それが今いわゆる能率が上つて来るというのは、人が減つて合理化と機械力によつて能率がよくなつておるというので、一人当り賃金は或いは標準量によつたら下るというような、あなたは北炭ですか、今の樋口さんは……。
  33. 樋口明

    参考人樋口明君) 私は中小炭鉱です。
  34. 一松政二

    ○一松政二君 今の採炭人夫、仕繰夫、運搬夫などは大体どのくらいとつでおるのですか、今の八時間の時間として……。
  35. 樋口明

    参考人樋口明君) 大体採炭、運搬、仕繰というのはさつき申上げましたよりに、今先生からも指摘されましたように大体能率で左右されております。それでこれは額としては或いは相当額取つておる者もおります。ところが問題はそれ以外の者にあるわけなのです。仰せられました通りむしろ定給者のものは、採炭夫なら採炭夫石炭を余計出しますと、どうしてもその処理はやはり、系統立てて申上げますと、その出した石を外へ運んで選炭して送らなければならん。そのコースにある者及び間接的に従事する者は、やはり石炭が余計出ると仕事の量が多くなり、それを定給で賄つておる。総体的な団体能率給というものを最近は考えられましたけれども、今まではそれがなかつたわけなのでありまして、そうして定給でずつと釘付けされてそれが二年も続いて来ておる。甚しきに至りましては坑外夫においてはそのままの状態であります。炭鉱は概念的に能率によつて左右される賃金であるが、石炭は復興して来ておるので、ベースは引据えられておるが、何とか掘つて来ておるではないかというような見方がされるかも知れませんが、事実坑外で働いております者は百何十円という賃金の者がおる。具体的な例、卑近な例を申上げますと、私は坑外の工作夫なのですが、炭鉱に帰りますと一日に百七十五円の日給なのです。炭鉱坑外夫に対しては非常に冷遇いたしますので、これが作業必然に時間内で制約される。従いまして時間外の労働その他によつて生活をカバーしようということもなかなか困難になつて来るわけです。それが二年間据え置かれまして、而も生活は楽になつたと言われましても、石炭産業はその頃はむしろ今よりも楽だつたのです。御承知のように物資は配給になりますし、家は保障されましたし、今は家賃も取られますし電燈代も取られますし、米の配給も悪くなつたし、優先して作業衣その他の配給があるというようなこともございませんし、むしろそれは実質的の生活賃金は低下して来ておる。それが現在の朝鮮動乱をきつかけにして物価が現在上昇しておる過程におきましても釘付けされておる、こういう現実の中に置かれております、もう一つ卑近な例を申上げますと、北炭が昨夜妥結いたしまして、昨日の具体的な救済事項どいたしまして、机上労働者が百五十円内外で一人前の男が労働しておる。これは官公庁のベースから比較して見ましても、一人前の仕事を持つた、机の上の仕事をする頭脳労働者が百五十円内外の給料で今仕事をしておる、こういう現実があるわけです。これを何とかしてやらなければならないというのが北炭解決策になつておりますが、さつき心配しておられましたように、中小炭鉱におきましてはこのべースが満足に拂われておるという炭鉱は例外を除いては殆んどないわけであります。これの八〇%乃至九〇%の賃金に置かれておる。特にその中で最も最低と見られます保護坑夫、いわゆる女子と十六歳未満の坑夫におきましては九十円、八十円という低い額でまだ働いておる人が相当おる。これは失業救済で政府がとつて来ておりますところの一般の日雇労務者の賃金比較いたしますとめちやくちやに低い賃金、これはもう何と申しましてもいわゆる貧民救済という形でこれが取上げられましたもりよりも遙かに低い形である。これがもう炭鉱労働者自身の現実に置かれておる状態であるわけであります。
  36. 一松政二

    ○一松政二君 今北炭の例をおつしやられたのでちよつと思い出しますが、戰前の、戦争中は特別ですから申上げませんが、戰前のいわゆる机上労務者と言いますか、事務者並びに営業者及び炭鉱の現場で働いていた人が非常に割合がたくさんになつておるそうです。戰後はそこで数が、石炭の採炭量は非常に戦前の標準にやや近くなりつつあるにもかかわらず、机上のほうは、出炭量はそんなに多くないのに、或る意味から言えば能率が非常に低下しているということになる。同じ量を殆んど倍かそれ以上の人間がやつておるそうです。それが私は低賃金になる原因の大きなもんじやないかと思うのですが、その点如何です。
  37. 樋口明

    参考人樋口明君) 石炭産業の復興におきましても、日本産業の復興におきましても、私たちの基本的に考えられますのは、その基礎になるところの人間の状態の復興のために行われるものであると考えております。そういう点から眺めますと、確かにそういう傾向が見られるといたしましても、それは取りも直さずその強制された労働が解放されたわけであります。即ち基準法ができ、そうして時間が規制され、坑内作業の密度というものが極度に人間の生命を保障し得ないような状態にあつた状態を解放された、或いは緩和されましたために、そういう現象も起つておりますが、現実机上労務者が殖えた原因云々につきましては、厖大なる政府関係の資料関係その他の事情によりまして、徒らに不必要なものを殖やした、こういう原因も見られるのでありますが、そういう点から行きまして、むしろ私たちの基本的に考えますものは、人間の生活環境或いは社会的な環境の上に立つて復興なり、或いは産業の維持というものが考えられるべきである。或いはそれの向上のために考えられるべき産業である、こういうふうになりますときに、私たちはむしろそれが当然であつて、その状態の中から復興が考えられなければならないのではないかと、こういうふうな感覚を持つております。
  38. 漆原光國

    参考人漆原光國君) 只今のことを数字で御説明いたしますと、一人炭鉱坑内夫が一カ月に出す量を比較して見ますと、戰時中の一番たくさん出たときは今の三倍出ておつたわけであります。今三分の一になつておるわけです。総体の数だけが合つて来たのではないかということについては、一人当りの掘る量が少いからん結局人間を殖やさなければ量が出ない、こういう現象が起つておる。全く一人当りつておらないじやないかということは、その通りなのです。ところが御存じの通りに日本の炭鉱は貧弱な鉱区でございまして、もう戰時中にいい所ばかり食つちまつておる。現在出すにも、その当時三倍出したときよりもたくさん労働者を使わなければならない、こういうような條件にあるわけであります。それで三倍出ておつたのが現在三分の一になつたから、三倍だけ單価を上げればいいじやないか、その單価が上げられんじやないか、こういうことが問題になつて、だから一応それをやるために企業合理化もやらなければならないし、資本家経営者考えなければいかんということを考えると同時に、労働者考えることになるわけです。ところがそれだけでは解決しないというのは、余りにも開きが大きいという現状じやないかと考える。そこに炭鉱の置かれた社会性があるのじやないか。これは絶対的な日本の資源の問題であると思うのです。一番わかりやすい例を言いますと、戰時中に八尺あつた石の層を掘つてつた、ところが今三尺の所を掘つておる、三尺の所で三分の一を出しても、八尺の所で三倍出したのと労力の比較からすると、現在でも骨を折つておる、こういう状態も生れておるわけであります。全く問題は單価を上げればいいじやないか。その單価が上げられないという経営者側の主張もわかるところでありますし、それが一応解決するとすれば、日本全体の問題として相当考えて行かなければならん点がありはしないかと考えておるわけであります。
  39. 杉淵徳治

    参考人杉淵徳治君) ちよつと北炭と言われましたので、説明をしたいと思うのでありますが、北炭の場合の賃金形態は、二十三年度から五千四百円の賃金が据え置きになつたということは、先ほど説明されたのですが、その後どういう形において賃金が推移して来たかということになれば、先ず二十三年度から二カ年間黙つてそのままの五千四百円で済まして来たかと言えば、御承知のようにそうではないわけです。ということは、皆さんも御承知通り、たびたび争議をやりまして、賃金獲得の鬪争をやりました。その時にどういう形が出されて来たかと言えば、やはり一時金的なもの、或いは精勤手当というような別枠的なもの、こういうものによりまして、一応或る点の金が満たされまして、坑外夫とか或いは坑内の間接夫とかいう者に、これは非常にその生活を満たすとか何とかいう金でなくして、これで我慢してくれという形の連続が今日までなされて来ておるわけです。飜つて直接はどういう形を持つてつたかと言えば、やはり二十三年度の棟準作業量に基きまして、やはり自分の生活を確保せんがために、全力を挙げて今日まで働いて来ておるわけです。その結果が、これは先ほど言つたように施設の改善とか何とかいうこともあるでしよう、けれども強力労働によりまして、現実は一三〇%或いは一五〇%という実績を挙げておるわけです。私の所でありますけれども、二十三年度は三トンの標準作業量を作りました。現在は四トン五分の出炭を見ております。併しこれが一五〇%という形になるのであります。けれども、賃金は一二〇%しかもらつておりません。これは炭鉱賃金の支給形態をよく説明しなければわからないと思うのでありますが、そういう形において現在直接夫はやはり働いて金を取ろうという形によつて現在まで来ております。ただ間接夫とか坑外夫はそういう鬪争の都度、一時金的なものをもらいまして、そうして生活の全面的には足しにはならないけれども、一応精神的な癒し、そういう形において現在まで来たのが現実の姿でございます。そうして直接夫が現在まで働いて来た高度というものは、もう労働力におきまして極限に来ておるというふうに我々は判定をしておるわけです。作業量、二十三年度の作業量を上げるということについては、私もやぶさかではありません。決して上げないと言うわけではないのでありますが、現在標準作業量というものは別の問題になつておるわけではないのです。というのは、働く実績がその賃金の総額になるのであつて、この作業量が変わろうとも、どうあろうともやはりその一つの基礎算定になるだけの作業量でありまして、我々が三トンの作業量であつても決して三トンでやめるということはできないわけです。ということは、三トンでやめれば三千四百円ベースのときの賃金でやらなければならない。そうすれば生活ができない。生活を保つためには、無理して働かなければならない。現在一三〇%或いは一五〇%という働きをしておるわけです。かような状態で今日賃金鬪争をやりまして、今までの一時金的な金、或いは多少こぶつきというようなものを全部基本給に含めまして、先ほど申しましたように我々若干の金をかち取りましたけれども、これは冷遇されましたところの間接夫、坑外夫を與えられるのでありますけれども、問題の間接夫は、より以上にこれだけの金は取りたい、取らなければならんという最低の目的であります。ただ採炭夫がこのままでいていいという考えではありません。採炭夫はフルに働いて現在これだけの金を取つておるのであります。それ以上にこの賃金が総体的に上るときに、採炭夫が全力を振つて自分の生活のために、明日の命も厭わずに働いておるという姿を見たときに、私は坑外夫或いは間接夫と同様な比率を以つて上げて行くということは考えておりませんけれども、やはり高度に働いておる者に若干でも賃金を上げるという考え経営者にあつて欲しい心ではないか。これと全然逆に引下げるという形が私は果して妥当であるかというふうに考えるわけであります。以上であります。
  40. 赤松常子

    委員長赤松常子君) いろいろまだ御質問もございましようが……。
  41. 原虎一

    ○原虎一君 明日は使用者側のほうの意見を聞くのでありますが。御承知のように我々は調停機関ではないので、どういう実情にあるかということをお聞きしておるのですが、今度の争議で立法府を構成する一員として一番考えなければならん点は、要するに中労委を、先ほどの言葉にありましたように中労委に対する信頼がないということ、これは我々立法府にある一員として、これが一番問題なんです。二十万からの者がストライキをやつて、それで一週間もやれば解決できるような問題を中労委へ持つて行くことができないでストライキになる、これは国家的な見地から見て非常に大きな問題である。そこが一番我々大事なことで、あなたがたに無理な要求があるかないかという問題は、私から言わせれば第二義的な問題です。事情はよくお聞きしなければ、なぜストライキになつたかということは、これは非常にいろいろな点をお聞きしなければわかりませんが、ストライキになつたかならなかつたかということを我々は問題にする前に、少くとも場合によれば公益事業として法の発動によつて決するというよりも、このような大きなストライキ労働委員会に対する信頼がないために起きたということは、これは我々が重要視すべきだと思うのであります。そこでお聞きすべき点は、そういうことになぜなつたか。端的に申しますれば、中労委を信頼してこれに提訴する気になれないとい点をお聞きしたい
  42. 永尾浩

    参考人永尾浩君) その前にちよつとこの前、昨年の争議のことを回顧いたしますというと、労使の中で十分盡されてない、今回も又その通りであります。而も労働組合賃金要求を出して、それに誠意を以て資本家が当つて、そうして論議が盡されておりますれば、これを中労委に出しても、只今言われるように、中労委としてもこれを扱うのに容易であり、結論も出すことができる。併しながら今次鬪争におきましても、我々が要求書を出して以来数カ月にもなるにもかかわらず、会社ストライキをやらなければ賃金案を、労働組合交渉に入れるだけの誠意あるものを出さなかつた、これはいろいろ見方もあろうかと思いますが、三菱におきましては、当初精勤手当を入れた三百九十五円、こういう案が出たわけでありますが、それから非常に中央において交渉が続けられたわけでありますけれども、結局最終の案は四百二十円であつたわけであります。ここにおいて会社に対して期限付きの回答を迫つたのでありますけれども、四百二十円、それが今日は四百四十五円できまつたわけであります。ところが考えていたのは、やはり四百五十円ぐらいは会社で出して来るのが現実の收入面から当然であろぅというふうに……会社ベース・アツプを約束していながら、現実に我々が要求しておる実收そのものに対する、我々のこれならば交渉に入つていいという案を示さない。要するに誠意がないといいますか、どうしても労使の間で十分論議が盡され、そうしてこの問題が解決できないという段階に至りますれば、これは中労委に提訴することも我々はやぶさかではないのであります。即ちこの公機を使つて社会的にきめてもらうことがよろしいのかと考えておりますが、現在までの間におきましては、争議を私幾多見て参りました。自分も体験もいたしましたが、今日まで労使の中で十分に盡されてないのです。昨年の炭鉱争議を出したことによつて、その具体的に問題の解決を図らなければならないことを、ただ單なる公式論でこのことを中労委も調停をしたかのように私考えておりました。これが解決に現われなかつたという現実は、やはり労使の間において誠意を落して十分交渉がなされてない、このことについて私たちは十分資本家が誠意を以て労働組合を認識し、相共に交渉を進めるべぎである、かように考えております。
  43. 原虎一

    ○原虎一君 そういたしますと、昨年の中労委が調停したあのやり方に対しての不信があつて、今年は中労委にかけることを望まなかつたというふうに伺つたのですが、その点はどうなんですか。
  44. 永尾浩

    参考人永尾浩君) そういう点は、やはり中労委が昨年強制調停をやりました問題の解決が、結論がなぜ出されなかつたかということに私は原因があると、こう言つているので、労使が十分に論議されていて、ここが問題の解決の焦点だということを、中労委は見極めることができなかつたということは、やはり労使の間で十分交渉が進んで行かなかつた、勢いストライキに持つて行かなければならなかつた。要するに今日においても、会社が誠意ある案を出さなかつたということに原因があるというとを私は申上げておるのです。
  45. 原虎一

    ○原虎一君 ちよつと私の質問の仕方が適当でなかつたと思いますが、私のお聞きしたい点は、昨年の炭労の争議のときの強制調停に対して、労働組合側は信頼を中労委にかけることができなかつたから、今年は労働組谷側から提訴するという意思になれなかつたのだ、こういうふうに聞けるような先ほど発言があつたので、その点はそうなんですかと聞いておるのです。
  46. 永尾浩

    参考人永尾浩君) それは、そういうふうなことは端的に私答えたつもりではいないのでありますが、やつぱりどうしても中労委が斡旋して焦点をつかみ得る段階にまで行つておらなければ、交渉が行つていなければ、中労委に提訴しても、丁度昨年の轍を踏むようなことになるのではないかということを私は申上げたのであります。
  47. 原虎一

    ○原虎一君 そこで団体協約は結ばれておつて、つまり労使間の折衝の機関というものは常置的であつて、それを活用されておるわけですか。
  48. 永尾浩

    参考人永尾浩君) 労使間における団体協約は、私のほうは過去三カ年この問題は続けておりますけれども、その協約の成立を見ておりません。従つて今回の……。
  49. 原虎一

    ○原虎一君 あなたのほうは別に三菱全体としては協約をやつておりますか。
  50. 杉淵徳治

    参考人杉淵徳治君) おりません。石炭の場合ですが、我々はあえて中労委を拒否しておりません。ただ経営者が賃下げを主張しておるという立場にあつて、現在中労委に提訴しても、今までの経過を顧みたときに、円満な解決は中労委においてなし得ないというように我々は断定しておるわけです。若し会社が成る程度の誠意を以て提案されるものがあるならば、我々は中労委にかけてもよろしいというふうに考えておりますけれども、経営者の態度というものは、先ほど申上げた通り、実力行使をやらなければその誠意を披瀝しないというような、非常に我々としては遺憾な点があるわけです。そういう点におきまして、どうも中労委の活用というものが円満に途行でき得ない。これは私、自己の弁護するわけではありませんけれども、我々は中労委というものは別に拒否しておりませんけれども、経営者がむしろそういうものを拒否するという考え方は、我々の考え方経営者考えと全く違つた形において中労委を拒否しているというふうに私は考えております。
  51. 原虎一

    ○原虎一君 石炭の場合も団体協約というものは締結されていないのですか。
  52. 杉淵徳治

    参考人杉淵徳治君) 労働協約ですか。
  53. 原虎一

    ○原虎一君 ええ。労働協約を結んでいないのですか。
  54. 杉淵徳治

    参考人杉淵徳治君) 労働協約は締結いたしました。
  55. 原虎一

    ○原虎一君 ちよつとお聞きしますが、ストライキをやるまで相当折衝がされたと思うのですが、どの程度の回数行われましたか。
  56. 杉淵徳治

    参考人杉淵徳治君) ストをやるまでには六十数回やつております。
  57. 原虎一

    ○原虎一君 六十数回やつたが、結局は先ほどお話のように、あなたたちの要求に対して二十円程度の増しかしなかつたということですか。
  58. 杉淵徳治

    参考人杉淵徳治君) 申上げます。最終のぎりぎりになつて、今朝その意見が出されただけで、それまでは始終一貫して賃下げであつた
  59. 原虎一

    ○原虎一君 それから能率を上げておる割に賃金は逆に下つて行く、これは先ほど一松委員から専門的の知識でいろいろ質問されておつたのですが、そういう点もあると思いますが、会社の昨年度における、或いはここ二カ年間ぐらいにおける経営状態、殊に利益率というような点は、その表に詳しく出ておりますか、ちよつと私探し当らないのですが、そういう点はおわかりになつておりますか。
  60. 樋口明

    参考人樋口明君) 先ほども申上げましたように、私たちのほうとしては、その資料の提出を幾度かに亘つて会社に各組合から請求するのでありますけれども、会社はそれには全然応じませんので、一般に市販に流れておりますもの、官庁から出ますところの資料その他によつて、これを分析する以外にないわけであります。我々として入手し得る範囲の資料に基きまして経営を分析いたしましたのがお手許に配付したものであります。なお私どもの聞く範囲におきましては、現在一割五分、二割に近い利益配当を年末に行なつております。加えまして現在トン当り三百円乃至四百円の利潤がある。経営者自身もその利潤が現在上つておる、赤字でないということは認めておりますが、それは過去における長期の負債の返済或いはこれらの長期資金の充足その他の面からどうしても賃金に向けることはできないということを申しております。
  61. 原虎一

    ○原虎一君 利益率などは、労働組合会社の株を持つということをされておれば、比較的真実に近いものがつかめるのではないかと思いますが、そういう方法はしておらないでしようか。  それからもう一つは、炭管法が存続しておりますれば、或る程度経営内容も或いはわかると思うのですが、この炭管法の当時と、その後の相違点の主な点を御説明願いたいと思います。
  62. 永尾浩

    参考人永尾浩君) 経営協議会では、やはり会社の経営権の面から只今説明いたしましたように経理面のことはどうしても十分でないことになるのであります。従つて国管法によりまして生産委員会というものになりましても、これは会社と馴れ合いになりますから、経営協議会と余り変りなく、いささかは前進していたかと思いますけれども、大して変らないような状態にあつたと私は記憶しております。これはいろいろ国管法の欠陷等もありまして、やはり会社は更にこれに……前に従業員であるという面からやはりその域を余り出ていなかつたというようなことは言えると思います。併しながら生産面に対してあらゆることが論議されて、形式的にも、実際的にも、又これは国管法があつた場合においてはやはり相談がなされておつたということは事実であります。従つてより以上に、国管法があつた場合のときは労使の間においては生産面にも、いろいろな面にも話合いが進められて、より民主的に運営されていたのじやないかしと私は考えております。
  63. 赤松常子

    委員長赤松常子君) 他に御質問ございませんでしようか。
  64. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 労働協約を結んでおられるときに、今までお話を聞いておると、作業量が上つて来ると総体の收入が殖えて来る、そうすると基準作業量をもつと上げてしまうという程度までずつと来ておるが、労働協約で、手取りがどのくらいずつになつて来たときに、それより一人の作業量の出来高が或る程度つて来たときに、その利益をまるまる資本家が取らないように労働者と配分のようなものを合理的にきめる、そういう規定はどこも作つていないかしら。
  65. 漆原光國

    参考人漆原光國君) 今のお説については、全くそういうことはないと思います。会社側は人事権と経営権については、飽くまでも会社の独占的なものであるということで、この面で労働協約は結ばれない、こういう状態が八割以上の現在の炭鉱実情であります。全くそういうことはありません。
  66. 永尾浩

    参考人永尾浩君) 特に申上げて置きたいのですが、炭鉱賃金の複雑性ということでありますけれども、我々が当初から今まで終始一貫主張いたしました能率は上がるけれども、賃金は釘付けだ、特に端的にここに数学的に一つ解明いたしたいと思いますが、先ず終戦後の労働組合が一カ月一人当り五トン掘つていた石炭の原価が二千円であつた場合の労賃は千円である。今日は九トンであるということになりますれば、その賃金の内訳はどういうふうになつているかというと、大体固定給、固定したものが六〇%であり、請負給が四〇%であるというところに問題があるわけであります。従つて五トンの場合にトン当り二千円と原価を踏みました場合に、一万円の中のその四千円は当然その労賃に拂われているわけでありますが、あとの三トンの六千円の中には幾らの労賃があるかと、こう言えばその四〇%しかないということ、こういうふうな炭鉱賃金組合せでありますので、一トンが或いは二トンになつたから、その倍の賃金がもらえるわけではないわけでありまして、従つて資本家の利益になるものはオーバー出炭に対しましてはその六〇%がまるまる入る形になります。こういう点が炭鉱賃金の中における複雑性であるわけでありまして、請負給という問題がここにあります。單に簡單一つやれば一つ分、二つやれば二つ分もらえてないという現実をよく御理解して頂きたいと思います。なおこれだけの能率が挙りましても、固定給者がありまして、固定給の賃金一つも上らない、こういうことも御認識して頂きたい、以上であります。
  67. 樋口明

    参考人樋口明君) 以上申上げました点から、概括的に私たちの立場におきますところの考え方を若干補足をして置きたいと思うわけでありますが、御承知のように石炭産業が日本の基幹産業であるということは衆目の見るところであります。その石炭産業の中におきまして、そのコストの中に占める労務費の割合は六〇%である、同時に日本の石炭産業性格というものはその立地條件、或いはその性質におきまして、どうしてもこれは人間の力によらなければ、機械化その他ではもはやこれ以上なし得ないというような限度さえも見られるのであります。即ち基幹産業であるところの石炭産業が、労働者自身の肩にかかつてこれが維持されておるという現実を十分お認め願いたい。同時にその石炭産業労働者自身のあり方がこの石炭産業を規正すると同時に、この石炭産業労働者が現在能率によつて云々され、或いはコストが高いことを強いられておる、或いは国際経済的に鞘寄せをするためには、どうしてもある程度止むを得んことでも合理化が行われておるという表面的なものも、もう何よりも過去歩み来つた石炭産業の宿命的な、現在は低賃金強制労働によつてのみその存在の価値を見出して来た、即ち日本の産業政策の封建的な感覚が現在の石炭産業に根強く存在して、その封建的な感覚と、その封建的に奴隷化された石炭産業労働者自身の状態が現在の石炭産業を維持しておる、或いは将来も維持されようとしておるということが、今縷々申上げました資料説明の中にも、これが明らかになつております。即ち他産業よりも低い賃金で以て力の労働に従事しておるこの現実、それから首切られ、低賃金に抑えられ、或いはこれを打開するために立上つたストライキも権力或いは力によつて不当に抑えられる、こういう実情の中に石炭産業の現在がある、而も将来基幹産業は飛躍しなければならない。この必然性を持つ石炭産業の、而も最大のウエイトを持つ石炭産業労働者がこういう状態にあるということは、その問題の本質が石炭産業労働者の本質であり、同時に日本の産業の本質であるということを十分御勘案願いまして、この点の打開はただ單なる表面的に現われた現象の打開よりも、先ず根にあるところの封建的な感覚と、日本の石炭産業の持つ性格打開政府みずからが、或いは立法機関である議会みずからが十分追及されることによりまして、将来の方向を規定付けられ、且つ改善さるべきものは改善して頂きたいという切なる要望を持つものであります。たまたま遭遇いたしました今次賃金鬪争が持つ性格と、そのあるべき姿を歴然と物語り、打開しなければならない必然を十分納得して頂いたものであると確信するものでありますが、これの打開のためにたまたま遭遇いたしました今次賃金鬪争を機会に十分御勘案頂きまして、善処方を要望いたし、且つ将来の石炭産業の繁栄と、その中に介在しますところの労働條件の改善、そうして総体的な国民の生活條件の向上のために、この石炭産業を通じて努力して頂かんことをお願いいたすものであります。
  68. 赤松常子

    委員長赤松常子君) ほかに御質疑ございませんでしようか。  では本日の石炭産業及びその賃金労働條件に関する参考人から御意見を伺う会はこれにて終ることにいたしますが、各参考人かたがたはお忙しいところをおいで下さいまして、有益なる御意見を御開陳下さいましたことを厚く御礼申上げます。  それで本日はまだ請願及び陳情に関する件及び雇用問題に関する件が残つておりますが、この案件は別の機会に譲ることにいたしまして、如何でござ  いましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 赤松常子

    委員長赤松常子君) それでは本日の委員会はこれにて散会いたします。    午後三時三十九分散会  出席者は左の通り。    委員長     赤松 常子君    理事            一松 政二君            原  虎一君    委員            片岡 文重君            中村 正雄君            山花 秀雄君            早川 愼一君            堀木 鎌三君   事務局側    常任委員会專門    員       磯部  巖君    常任委員会專門    員       高戸義太郎君   参考人    日本炭鉱労働組    合中小炭鉱対策    部長      樋口  明君    全国三菱炭鉱労    働組合連合会副    会長      永尾  浩君    北海道炭礦汽船    労働組合連合会    会長      杉淵 徳治君    九州資本別炭鉱    労働組合共同闘    争委員会代表  漆原 光國君