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1951-03-31 第10回国会 参議院 予算委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月三十一日(土曜日)    午前十一時四分開会   —————————————   委員の異動 三月三十日委員松浦清一君辞任につ き、その補欠として原虎一君を議長に おいて指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十六年度政府関係機関予算補  正(機第一号)(内閣提出衆議院送  付)   —————————————
  2. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) それでは昨日に引続きこれより予算委員会を開きます。  大蔵大臣御出席になつておりますが、関係当局とのいろいろな折衝もございますので、向うからの連絡次第随時退席される場合があるかも知れませんので、一応そのことをお含みの上に御質疑をお願いしたいと思います。
  3. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちよつとその前に……大蔵大臣の退席されることは結構なんですけれども、若しか審議十分でないときですね、又あとで来て頂けますか。
  4. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 向うの話が済み次第にこつちに帰つて来ます。
  5. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 大蔵大臣説明によれば、日本開発銀行長期資金供給を行い、又は一般金融機関が行う長期資金供給を容易ならしめることにより、経済再建及び産業開発を促進するため、一般金融機関が行う金融を補完し又は奨励することを目的として設けたものであるということであるのでありますが、一般金融機関が行う長期資金供給を如何なる方法で容易ならしめられるか、具体的にこの点から説明をお願いしたいと思うのであります。
  6. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 開発銀行貸出につきましては、開発銀行自体で單独でやる場合もございますし、又資金の量によりまして普通の銀行とタイアップしてやる場合もある。こういう場合には普通の銀行貸出を奨励すると申しますか、容易ならしめるということに相成るわけなんでございます。  それから又既存の普通銀行からのうち、貸出状況によつて肩代りするというふうな場合もありまするし、いろいろな場合が起つて来ると思います。
  7. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そういたしますると一般金融機関が行う金融を如何にして補完し又は奨励するか、今ので大体説明があつたかも知れませんが、更に具体的に説明をお願いしたいと思うのであります。  又如何なる産業開発を促進せられるのであるか、産業種類を具体的に説明をお願いしたいと思うのであります。
  8. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 普通銀行貸出しておる場合の肩代りと或いは貸出しする場合の参加といろいろな具体的な場合が起ると思います。  それから如何なる産業にという御質問でございますが、日本経済自立産業開発ならば別に種類選びません。とにかくこれが一番経済自立のためになると思いますれば、鉄鋼石炭に限らず、例えば水産物冷凍というような問題に対しましても、繊維関係にいたしましても、化学薬品にいたしましても、その状況によりまして普通銀行がどんどん出せばよろしいのでございますが、普通銀行が出し澁る、而もこれが産業開発経済自立に必要だということになれば、資金の許す限りどしどし学ということになります。
  9. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 昭和二十六年度日本開発銀行事業計画によつて見まするというと、日本開発銀行貸付対象は、本邦における重要産業会社予定しておるということなのであります。そういたしますというと、その貸付けするところの会社はどんな会社予定しておられるのであるか、それを承わりたいと思うのであります。又会社でなかつたならば貸付対象にならないのであるかどうか。
  10. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) どんな会社対象にしておるかというのは、どんな産業対象にしておるのかという御質問と同じでありまして、先ほど申上げた通りでありまして、説明には重要会社なつておりますが、これはわかりいいようにと思つて書いたのでございます。個人には貸さんというわけのものではございません。個人経営でございましても、これが日本産業開発に必要ならば、何も貸出しを拒むものでない法人組織であろうが個人組織であろうが区別はしないのであります。如何なる産業ということは、一応優先的に普通銀行がやられるのが普通の場合であるのであります。やりにくいという場合にそれが出て来るのであります。重要産業といいますと、前から五大重点産業、こういつておりますが、私は何もそれに限つたことはないので、先ほど申上げました水産物高度利用、今までの民間資金からの農業開発にしても、こういうものが必要だという場合は出すのが結構だと思うのであります。ただそのときどきによりまして一般銀行が出すのを、競争してこれを出すわけには行きません。これが金融のむずかしいところで、而もこれが日本自立経済産業開発に必要たということになれば、資金の許す限り重点的に考えて行きたい、こう思つております。
  11. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は日本開発銀行貸付けるところの開発資金及び返済資金について、今までの説明で大体わかつたようでありますが、更に具体的に一つ御説明が願われたらばお願いしたいと思うのであります。
  12. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 具体的にいつても、金を借りに来なければ、こちらで貸してやるというわけのものではございません。借りに来た場合におきまして開発銀行総裁が、これは経済自立産業開発に必要だというときには出すと思うのであります。今まで見返資金から出ておりました事業の分は鉄鋼とか石炭とか、或いは化学薬品、或いは水産物高度利用冷凍とか、いろんな種類があるのであります。ただ問題は、普通の金融ベースによる場合はなかなか苦しいとか、貸出が足りないとかいう場合に出ておるわけでありまして、今度の見返資金からも当然出ますからそういう方向に持つて行くのではないかと思つております。
  13. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 銀行その他の金融機関から供給を受けることが困難であるが、併しその貸付金償還が確実であると認められた場合に限つて貸付けることができると、こういうふうになつているようでありますが、実際問題としては、この二つの点を認定することが非常に困難であると思われるのであります。そこで経済再建及び産業開発を促進するものであつたらば、幾分は貸倒れがあつても進んで貸すのだと、こういうふうに解釈せなくては、この両者が相対立するようになつて来ると思うのでありますが、これらの認定ついてどういうふうにお考えなつているか、この点をお尋ねしたいと思うのであります。
  14. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これは厄介な問題でございまして、貸倒れを覚悟して貸すということは、これはあり得ないことであります。併し貸した場合に貸倒れが出て来るということは、これは止むを得ない。この開発銀行でございましても貸倒れを覚悟して貸すということはあり得ない。ただそこが石橋を叩いて渡るようなやりかたでなくして、とにかく丸太橋でもこれは立派に歩けるのだという認定の問題でございまして、最初からこれを損してもいいんだということにはこれはいかないと思います。これは勿論大事な金でございますから、そこがやはり運用の妙味と申しますか、固い一方では産業は起りませんので、少しぐらい産業育成の意味において見通しをつけてやるくらいの気持になると御了承願えたらいいと思います。
  15. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) 大蔵大臣所用のためにちよつと退席したいと申しますから、退席を許してもよろしうございますか。
  16. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) それではすぐ帰つで参りますから、あと銀行局長から……。
  17. 岩間正男

    岩間正男君 大蔵大臣所用で退席されたようでありますが、今本会議で相当重要な法案がかかつておるのですがね、この委員会を一時休憩されて、それで大蔵大臣が戻られてから再開されることの動議を提出いたします。
  18. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) 只今一時休憩という動議が出ているのですが。如何いたしましようか。    〔「継続々々」と呼ぶ者あり〕
  19. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 僕のは大蔵大臣がいなくてもできる事項は質問したいと思いますから……。
  20. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) それでは大臣以外の質疑があるということですから、それを更に継続するということに……。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) それではさよう取計らいます。
  22. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 只今大蔵大臣の答弁で大体了承したのでありますが、日本開発銀行資金が、農林漁業の設備の取得、改良、又は補修に必要な資金があれば、又これが返済に必要な資金があつたならば、日本開発銀行がこういうふうなものに貸付けられる方針であるかどうか、漁業方面には貸付ける予定だと、こういうふうなことだつたが、農林漁業についてどういうふうにお考えなつているか、この点お伺いしたいと思うのであります。
  23. 河野一之

    政府委員河野一之君) 日本開発銀行産業開発のためでありまして、全般の産業について、この重要なるものについてやるのでありまして、農林漁業についてもやはり重要なものについては開発資金を出す、こういう建前にいたしております。
  24. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 日本開発銀行貸付利率はどのくらいを予定していられるか。法律第十九条には大体規定してあるのでありますが、具体的に説明をお願いしたいと思うのであります。
  25. 河野一之

    政府委員河野一之君) この問題はいろいろ市中金利等を見て考えなければならないのでございますが、この案にもあります通り復興金融金庫を将来吸収するのではございますが、復興金融金庫金利等も勘案してきめねばならんと考えております。現在復金金利平均九分九厘でありまして、そういうようなところに一応の基準がなるかと思います。まだそれは開発銀行ができまして総裁におきましていろいろ勘案されまして決定せられるというふうに考えております。
  26. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は「会社、或いは個人に対する場合におけるところの貸付最高限度というようなものを設けられる予定であるかどうか、又その貸付期限は一カ年以上ということであつて、最大限は定めてないのでありますか、一カ年以上であつたらば、何カ年くらいを予定していられるのであるかそれを具体的にお示しを願いたいと思うのであります。
  27. 河野一之

    政府委員河野一之君) 一人当り最高限度は特に定めておりません。これも業務方法書できまると思いますが、まあこういう銀行の性質上、非常に零細なものというわけにはなかなか参りかねるのではないかと思います。これは庶民金融や或いは中小企業金融の問題でございましよう。それから最高期限一年以上でありますが、この期限の問題につきましても、業務方法書におきまして定めることに相成るわけでございますが、現在復金のものを見ますと、五年、七年、十年、最高のものは十五年というふうに現在なつておりますので、その辺のところが一応の目安になるのではないかと一応考えますが、これも業務方法書によりましてきまることでありますので、的確にどうなるというふうに確答申上げるわけに行かんと存じます。
  28. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 日本開発銀行業務の運営に必要があるときは、その業務の一部を銀行委託する予定であるということなんでありますが、業務の一部とはどんなものであるか、こういうふうなことであります。又事業計画書によつて見ればそうであるが、法律第四十四条によつて見るというと、銀行のほかに商工中央金庫にも委託するようように書いてあるのでありますが、法律計画書と違つてるところの理由がどこにあるか、又銀行商工中央金庫二つ法律で定められて、その他のものを認められなかつたところの理由はどこにあるか、この点お伺いしたいのであります。
  29. 河野一之

    政府委員河野一之君) この銀行は大体支所を大阪、名古屋、福岡等に作る予定でございますが、そのほか必要に応じまして出張所も作るのでございますが、まあ全国にたくさんの貸付を、多数の件数の貸付をいたします場合におきましては、やはり市中銀行等を利用いたさなければならんかと考えております。人数も少く、現在の予定で百七十五人ということでございまするけれども、そういうふうな必要が実際上起つて参る。それで事務といたしましてはどういうものかと申しますとまあ考えられますことは貸付の審査でありますとか、その貸付けました金の管理、回収ということに主になるのではないかと考えております。  それから商工中金の問題でありますが、これは現在復興金融金庫貸付事務商工中金が一部を委託を受けてやつておりますので、将来これが一緒になつた場合のことを考えますと、商工中金委託機関として置いておく必要があると思つて、こういうふうにしておるわけであります。
  30. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 さつきからいろいろお尋ねしておりますというと、農林漁業に対してもこの金を貸すことができるというようなことであつたならば、なぜ農林中央金庫をこれに入れてないのであるか、ただ商工中央金庫のみ法律で定めておるということは片手落ではないかと考えられますが、農林中央金庫を入れられなかつた理由がどこにあるか、お尋ねしたいと思うのであります。
  31. 河野一之

    政府委員河野一之君) これは農林中金のほうは、御承知のように例の特別会計のほうの、農林漁業金融特別会計、あの六十億の金を、これを主として農林中金を通じて出されるものであります。それからこれのほうは御承知通り産業開発資金でありまして、一般銀行を通じてやつて行けるのじやないか、只今のところできるのじやないか、そういうことで、まあ一応農林中金だけ除外しておる、こういう関係でございます。必ずしもこれも絶対に排斥しなければならないという理由はなかろうかと存じますが、そういう考え方であります。
  32. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 日本開発銀行役職員に対する罰則を見てみますというと、体刑を規定してないのでありますが、こういうふうな重大な法律体刑を設けておらないということは、法律のほうの審議になりますけれども、おかしいじやないか、こう考えられるのでありますが、なぜ体刑を設けなかつたかということを一つお尋ねしたいと思うのであります。
  33. 河野一之

    政府委員河野一之君) これは輸出銀行の例もあるわけでございますが、開発銀行役員は、総裁以下役員という者は非常にフリーハンドと申しますか、自由な識見によつて貸付をいたすというふうな建前にいたしておりまして、法律に違反すると申しましても、これは政府に対する申請を怠つたとか或いは報告を怠つたとか、どつちかと申しますれば軽微なものでございますので、これは体刑ということもいささかどうであろうかというふうな考え方をしたわけでございます。勿論これについて、資金運用について不正かありその他の非違がございまするならば、これは一般の刑法上の問題でございまするが、銀行法といたしまして、そこまでのことは必要はあるまいか、こう考えた次第でございます。
  34. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 日本開発銀行設立に当つて届出主義をとられたところの理由はどこにあるかお尋ねしたいと思うのであります。
  35. 河野一之

    政府委員河野一之君) これも商法によりまする銀行設立等によりましては、やはりこれは大蔵大臣認可がいるので、届出というだけではいかないのでありますが、日本開発銀行、これは特殊の銀行で、初めから政府がこれを作るわけでありますから、予算で且つ法律で作るわけでありますから、当然認可ということは必要がない、ただ総裁総理大臣がおきめになりまして、そうして役員を選任し、国からの予算を出しまして、そうすれば当然設立があつたものと、こういうふうなことで、特にこれに対して認可をやるということは必要はあるまい、こういう趣旨で届出主義にした次第でございます。
  36. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は日本開発銀行総裁、副総裁監事理事参与というような者が非常に重大であると考えるのでありますが、現在のところでは、どの方面から任用される予定であるかどうか、大体の見当が立つておられましたならばお伺いしたいと思うのであります。
  37. 河野一之

    政府委員河野一之君) これも法律にございまするように、総裁内閣総理大臣が任命せられるというふうになつております。それで総裁が更に理事監事参与を任命されるのでありまして、これはどういうふうなかたをお選びになりますかというと、これは一切新らしく総裁になられるかたに御一任いたす次第であります。ただ参与は、この法律にもございますように、この資金運用についていろいろなまあ識見のあるかたの意見を聞く必要がございますので、一般産業界からそういうような学識なり御経験のあるかたを実際問題として総裁がお選びになるということに相成ろうかと考えます。
  38. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 復興金融金庫はいつ頃解散される予定であるか、予定の期日があつたならばお知らせ願いたいと思うのであります。
  39. 河野一之

    政府委員河野一之君) 只今理事監事と申しましたが、監事内閣総理大臣が任命いたすことになつております。訂正いたして置きます。  それから復興金融金庫解散の時期でございますが、これはちよつと予定いたしかねるのでございまするが、昭和二十七年の三月三十一日までという間におきまして、適当な時期を見計つてこれが移り変りが円滑に行くようにその時期を定めたい、こう考えておる次第であります。何しろ八百八十億に上る巨額の貸付復金がやつておりますので、そう簡単にすぐ移行ができないという理由もございますので、この辺の事情をよく勘案いたしまして、二十七年度中において解散し、新銀行に吸収せられるという措置をとりたいと思います。
  40. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 事業計画にありますところの百七十五人の予定職員という者は、初めからこれだけの者は要らないと思うのでありますが、どこからどういうふうな方法で採用せられる予定であるか現在或る職にあるところの者を採用されるのであるかどうか、又いつになつたならば百七十五人になる見込であるかどうか、こういうふうな点をお尋ねしたいと思うのであります。
  41. 河野一之

    政府委員河野一之君) 藤野さんのおつしやつたように、設立の当初から百七十五人要るのかというふうに御質問を受けますと、非常に何か困るのでありますが、百億の資金を以て貸付をいたしますると、一般金融機関のことを考えて見ましても、大体要るんじやなかろうかと、最初から、スタートから全部要るとは考えませんが、貸出が、これはできるだけ早く貸付を実行いたしたいというようなつもりで、年度当初からいつでもその人がとれるように実は予算のほうは積算いたした次第でございます。どういう職員を採用するか、これもたびたび逃げるようなことを申上げて恐縮なんでありますか、総裁が御採用になると思うのでありますが、併しこういう金融特殊性に鑑みまして、各方面からそういう経験のあるおかたをおとりになるのだろう、いきなりぽつと経験のないかたではなかなかこういう仕事はできないのではなかろうかと、私どもは推測いたす次第であります。
  42. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 役職員給与を、この予算において予定いたしたところの基準を濫りに超えてはいけないと、こういうふうなことが書いてあるのでございますが、幾らを基準給に定めておられるか、基準給をお尋ねいたしたいと思うのであります。
  43. 河野一之

    政府委員河野一之君) これもやはり銀行でありますから、相当給与は現在の状況からしてよくなければなりませんが、併し国の見返資金から出ました資金運用いたしますので、無制限に高いというわけに参りませんので、只今役職員につきまして、予算の上といたしましては平均一万七千五百円ということで組んでございます。
  44. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 職員だけですか。
  45. 河野一之

    政府委員河野一之君) 職員だけでございます。それから役員のほうにおきましては、総裁が年百二十万円、それから副総裁が百万円、理事八十方円、監事同じく八十万円、これらを年俸としてございます。
  46. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 これから先は余り小さくなりますけれども、最初予算なのでありますからお尋ねしたいと思うのでありますが、超過勤務手当の算出の基礎はどういうふうになつているか、又諸手当種類がどうなつているか、その金額がどうなつているか、別な予算であつたらば寒冷地手当であると、か、その他というようなものもまだあるのでありますが、そういうふうなことがなくて、諸手当とこういうふうなことになつているが、そういうふうなものも含んでいるかどうか、諸手当種類金額をお尋ねしたいと思うのであります。又年末手当がないのでありますが、年末手当も諸手当のうちに含むかどうか、この点もお尋ねしたいと思うのであります。
  47. 河野一之

    政府委員河野一之君) 超過勤務手当は月大体十時間程度に予定いたしております。そのほか諸手当、これはいろいろございますが、先ずお話がありました年末手当は、これは半月分で百二十万円ほど組んでございます。そのはか退職手当でありますが、退職は余り当初のことでありますまいと思いますが、退職手当、それから死亡手当公務災害補償金、そういつたものが入つておる次第でございます。
  48. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 役務費というのがどういうふうなものであるか、これには臨時雇というようなものも含んであるのであるかどうか、これをお尋ねしたいと思うのであります。
  49. 河野一之

    政府委員河野一之君) これは臨時職員費は組んでございません。印刷製本費でありますとか、通信運搬費光熱水料、それから借館料広告料、そういつたものでございます。
  50. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は小さくなつて、電話交換手であるとかタイピストとか、守衛とか、自動車運転手であるとかというような者も、それならば百七十五名の職員の中に入つているかどうか、又別な予算を見てみますと、タイピストであるとか守衛であるとかというような者には被服費予算に計上してあるのでございますが、この予算被服費が計上していないところの理由はどういうのであるかこれをお尋ねしたいと思うのであります。
  51. 河野一之

    政府委員河野一之君) やはりそういつたタイピストというような者も計上してございます。タイピスト六人、小使二人、自動車運転手三人というふなことで入つております。それから被服費物品費の中に当該職員の分を入れてある次第でございます。
  52. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 予算を見てみますというと、事務所の費用がないように考えられるのでありますが、事務所はどういうふうにされるのであるか、この点をお尋ねしたいと思うのであります。
  53. 河野一之

    政府委員河野一之君) 事務所をどこに構えるかということ、これも又発足に際しましてきめなければならんのでありますが、一応借入れをいたしますと考えまして、従来輸出銀行等の例を考えまして、職員一人当り大体三坪ということを予定しております。従つて五百数十坪のものにつきまして借館料予定いたしております。
  54. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 基本的な問題については大蔵大臣あとでお伺いしたいのですが、事務的な問題についてお尋ねしたいと思います。この銀行ができると同時に復金解散するわけですね。復金は、仮にこの銀行ができないとしました場合、復金はいつまで存続できることになつているのですか。
  55. 河野一之

    政府委員河野一之君) この法律ができない場合にはどうなるかという……、まあ復金には解散法律がございませんので、いつということを申上げかねるのでありますが、まあ回収、新らしい貸付補償債務履行以外にはなかつたわけでありますが、現存の貸付金の一番償還の長いものといいますと、十五年でございますから、放つとけば十五年経つた後においては自然に解散いたす、自然と申しますか、解散せざるを得ない、こういうことに相成るのではないかと思いますが、その間の事情の変更もございますから何とも申上げかねます。
  56. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 復金が今新しく貸出すことができなくなつていますが、復金性格ですね。それとこの開発銀行の違いですね。これはどういうところに違いがあるのですか。復金として、やはり一般金融機関が危険で投資できないところに復金復興のために貸付けるということが復金目的であつた。この開発銀行も、銀行がコムマーシヤルペースでやつても引合わないとか、或いは危険が非常に多い。そういうところに貸すのだと思う。復金開発銀行性格の違いですね。これはどういうところが……。
  57. 河野一之

    政府委員河野一之君) これは人々によつていろいろ見かたはあろうかと思うのであります。木村さんには又木村さんのお考えがあるかも存じませんが、先ず復金開発銀行とで性格上といいますか、一番違う点は、復金の場合でありますると、相当政府の監督が行つている。例の復金審議会がございまして、いろいろ貸出の枠をきめたり、大体又官庁におきまして、どういうところへきめるというようなことにつきまして相当統制があつたと思うのであります。日本開発銀行におきましては、これはもう一切開発銀行自体におきまして、これはやらせるということで、余り紐をつけないということが一つであろうと思います。それから復金の場合におきましては、復金債というものを発行いたしまして、これはまあ御承知のように日銀の引受で一切やられている。後において政府の出資がその債券引受のあとを追つかけて行く、こういう建前でありますが、それから補償債務の履行というようなこともございまして、日本開発銀行におきましては一切そういう日銀引受の債券は勿論のこと、債券自体についても現在は認めておらない。将来は別でございますが、今のところ認めておりません。それから復金の場合でありますと、設備資金のほかに運転資金を貸しております。これはまあ全体のボリウムとしては僅のものでありますが、とにかく運転資金も相当貸している。開発銀行でありますと運転資金考えておりません。開発資金及び返済資金というふうなことになつている。この三点くらいが性格と申しますか、違うというふうに思います。
  58. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それからもう一つ、復金には償還計画というものがあるわけですね。復金貸付けたものをだんだん整理して行かなければならない償還計画というものがあるわけですね。その復金償還計画はどうなつておるのですかね。
  59. 河野一之

    政府委員河野一之君) たしか復金は六千七、八百件現在貸しておると思うのでありますが、このものについてどういうふうに……、償還計画と申しましても、個々の産業で違い、業態によつて違い、個人によつて違うわけでございますので、ちよつとどういうふうに申上げたらいいのか存じませんが、大体年に六十億程度返つて来ておるのであります。でありますから、一覧表にしたような償還計画でありませんが、大体六十億くらいは毎年返つて来る。これは一種の償還計画と申上げれば申上げられるかと思います。
  60. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その復金の場合は、さつきのお話のように紐つきであるとかいうので、非常に監査が厳重であつたと思うのですが、復金の今まで貸しておるのはこれに振り替るわけですね。振り替つた場合は、復金の本来の貸付のあれと今度は違つて来るわけですね。ですから非常に紐つきでなくなる。今まで復金のほうは紐つきだつた。それが今度はこれは振り替つて紐つきでなくなりますから、今までの償還計画とか何とかは非常にルーズになつて来るのじやないですかね。
  61. 河野一之

    政府委員河野一之君) そういうことにもならんと思うのでありますが、復金回収金は、これは二十六年度は特別の例外的な措置をとつておりますが、復金の現在貸しておりますものはこれは返つて来ます。四半期ごとに返つて来ました場合に、それが開発銀行の資本ということになるわけであります。そのままの姿が、新らしい開発銀行の何といいますか、出資になるわけではないのでありまして、それまでの間は政府日本開発銀行に対する貸付金という恰好になるのでありまして、そのままの姿で、これが順々に引継がれるにいたしましても、出資の姿として……、多少紐つきというふうにも当らないと思うのでありますが……、どういう御趣旨でございますか、一応お伺いいたします。
  62. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その点は復金をどうしてこれに吸収する必要があるかということですね。復金復金として残して置いていいのじやないかと思うのですが、復金の整理は整理として置いて、それで開発銀行開発銀行として別に仮に発足するとして、そうしませんと、復金の跡仕末については国民が非常に重大な関心を持つておるわけですね。殊にああいう問題を起しただけに…、ですから、殊に復金貸出すときにいろいろとスキヤンダルがあつたのですけれども、回収のときには非常に問題があると思うのです。我々としては非常に厳重に監視しなければならないのです。ところが復金のほうをこつちへ吸収してしまつて、紐が切れてしまうということになると、そこに非常に我々としては何か割切れない点が出て来るのです。殊に紐つきでなくなるということになりますと、監査が十分でないし、本当は復金はすぐ解散しなくても、回収をだんだんやつてつてもいいという先ほどのお話なんですが、復金が直ちに解散しなければならないというのならば、これも吸収していいのですが、そうでない場合、非常にそこに我々としては割切れない点が出て来るのですよ。そういうことをお伺いしているわけです。
  63. 河野一之

    政府委員河野一之君) 大体御趣旨の点はわかつたのでありますが、復興金融金庫をこのままで行くといたしましても六十億といたしましても十数年はかかるわけであります。全然貸出をせずに、回収だけやるということになりますと、なかなかこの回収というものが実際うまく行かないという点はよくおわかり下さると思うのであります。従つて従来から復金の新規貸付をやつたらどうかと、随分議会でも御慫慂のあつたことでもあるわけであります。そういつた面からいつても、新銀行におきまして復金の、これは紐つきじや勿論ございませんけれども、そういつたような状況をも併せ考えて、新銀行で新らしいいろいろな貸付をするということは、單なる振り替りでは勿論ございませんけれども、そういう面において復金自身の回収というものを促進し、又従来言われておつた産業の積極的な復興開発資金供給する、まあ一石二鳥と申しますか、そういつた考えかたで、やはり復金というものを吸収と申しますか、債権債務を引継いで行くというのが妥当な行きかたじやないか、こういうふうに考えた次第であります。
  64. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そこが非常に問題だと思うのですよ。復金貸付とか回収については、やはり前に大蔵委員会でも随分問題になつたのですが、我々素人にはなかなかわからないのですが、どうも我々には今までの復金貸付その他が相当いろいろな欠陷があるのじやないかと思うのです。回収も困難になつて、或いは焦げついて参るのもあつて、本来なら将来国庫負担になるような、又損失補填をしなければならないような内容になつているものもあるのかも知れないように我々は推測するのですが、そういうものも開発銀行のほうに振り替つて、一時そういうものが温存されて行く、こういうようなことになるように我々は思えるのでして、復金の整理は整理として、飽くまでもこれはあれだけの疑惑を招いておるのですから、すつきりと復金の整理はすべきだと思うのです。そうして開発銀行開発銀行としてはつきりやつたらいいと思う。復金回収分を開発銀行に出資したらいい。それからこの貸付の今度は肩代りとか、それからその償還のために発行する社債等をここで引受けることができるのですから、復金を吸収するということは、どうもそこに疑惑の眼を我々向けざるを得ないのですね。なぜ別にしなかつたということが非常に我々疑問なんですが、これは主計局長にそういうことをお尋ねしても議論みたいになりますから、その点はこの程度で打切りまして、次にお伺いしたいのですが、日本開発銀行の資本金を殖やすときに、大蔵大臣認可を受けて資本金を殖やすことができる、この資本金を増加する場合には、予算の範囲内で開発銀行に出資するということになつておりますが、実際問題としては、この二十六年度は百億なら百億ときまれば、それ以上に資本金を殖やすということは差当りは起らない。こういうふうに見ていいのでありますか。
  65. 河野一之

    政府委員河野一之君) 復金についていろいろ議論がありましたことは、これは事実でありますが、それなら復金貸付というものは非常に悪い、焦げつきになつているかということになりますと、私は必らずしもそうでない、いろいろ御議論はありましようが、いわゆる貸倒れというものはどこの銀行でもありまして、先ほど藤野さんのお話もありましたが、とにかくコンマーシヤル、ベーシスのみによつてつても見込違いということがありまして、多少貸倒れということも止むを得ないと思います。この復金において勿論調査はいたしておりますが、普通の銀行に比較して多いということは言えない、むしろ少いのじやないかというふうに私どもは考えておるのであります。  それから資本金の問題でありますが、これは百億円で、そのほかにこの法律にありますように、昭和二十六年におきまして利益金の系統から四十五億、それから回収金の系統から七十六億というものを控除して、それ以上に復金のほうで出るものは、これは法定出資として二十六年度中に開発銀行の出資になる。それから二十七年度以降におきましては、毎四半期におきまして復金回収金が法定出資として殖えて行く。そのほかに今御指摘になりました予算の範囲内において大蔵大臣認可を得てという問題は、これは別に予算を組んで、そうして今の法定出資以外にやる、見返資金のこともございましようし、一般会計のこともあり、そのことを謳つておる次第であります。
  66. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それから「銀行法第四条第二項の規定は、日本開発銀行には適用しない。」これはどういう意味なんですか。
  67. 河野一之

    政府委員河野一之君) これは簡単な意味だと思いますが、銀行法に、銀行でない者はその商号中に銀行たることを示すべき文字を用いることを得ずということで、銀行法にいう銀行でないほかのものはすべて一応金庫とか何とかいうことで、銀行という名前を使えないわけでありますが、開発銀行性格銀行でありまするが、銀行法にいう銀行ではないわけであります。銀行法にいう銀行でありますならば、これは商法の規定の適用も受けまするし、又商事会社でもあり且つ株主総会もあり、そういつたような性格を持つわけでありますが、そういう法律的な性格日本開発銀行は持つておりませんがと併し機能としては銀行と同じようなものである。従つて銀行法の適用除外にして銀行という名前を使わせる、こういう趣旨でございます。
  68. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 次に八条ですが「解散については別に法律で定める。」となつております。これは存続期間のことだと思うのでありますが、これはどういうように予定されておりますか。
  69. 河野一之

    政府委員河野一之君) これは輸出銀行のときはたしか五年ときめましてこちらは「別に法律で定める。」というふうにしておりますのでありますが、まあ先ほど申上げましたように、復金回収にいたしましても、六十億とすれば十数年もかかりまするし、それから今後その時期というものもちよつと予測いたしかねまするのと、それについて一応見返資金から出資しておるという関係もありまして、その資産の帰属の問題もいろいろありましようし、まあその点については不確定の要素がございますので、こういうふうにいたしたわけであります。
  70. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 「別に法律で定める。」とありますから、それは何か予定しておられるわけじやないのですか。
  71. 河野一之

    政府委員河野一之君) これは別に予定いたしておりません。将来の情勢によりまして、単行法を出して、解散するなら解散する、そのときに財産の帰属をきめるというような考えであります。
  72. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この役員については国会の承認を得なくていいのですね。
  73. 河野一之

    政府委員河野一之君) さようでございます。
  74. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この第十八条ですか、「経済再建及び産業開発に寄与する設備の取得、改良又は補修に必妥な資金銀行その他の金融機関から決給を受けることが困難なもの」、この困難なものというのはどういう意味ですか。
  75. 河野一之

    政府委員河野一之君) これは「困難なものを貸し付ける」その困難ということは、結局、終局責任としては総裁の認定になるわけでありますが、これは質的なものと量的なものとあると思うのであります。昨日大蔵大臣もビニロンの話が出ましたが、それが適当とありますか、どうですか、そのほかに市中銀行なればこの程度のものならいい、それ以上は困るといつたような量的な問題と両方に考えております。
  76. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この復金の場合には、早く日本経済復興させなければいけないので、それでまあコマーシヤルベースによらないもの、或いは又リスクのあるものについて復金から金を貸すということについては、我々了解できたと思うのですが日本経済はもうだんだんに復金を一応整理して、そうしてまあだんだんコマーシヤルベースによつて開発をやるようになつて来ていると思うのです。それにもかかわらず、それに又ここで金融機関から供給を受けることが困難なものといわれますと、その困難なものが具体的にわかりませんと、我々了解できないのです、例えば国防経済的なものをやる場合、そういう場合には一つの困難ということになると思うのです。そういうこともいわゆる日米経済協力という形で今すぐ具体的に来ておりませんがそういうようなことはこれは予定されておるのですか。そういうような場合です。
  77. 河野一之

    政府委員河野一之君) これは大蔵大臣が申上げましたように、日米経済協力とか、そういつた国防経済とか、そういうことは全然関連のない問題として現われて来たものでありまして、現在の日本産業といたしましては、まだ産業の合理化、設備の改新というようなことは相当やつて行かなければならない。併し一般金融機関では、元ほど大蔵大臣も石橋を叩いて渡るというふうなことを言われましたのですか、なかなか思うに任せないところがめる、又現在一般市中銀行というものが、短期金融の形で長期金融を実質的にやつておるというようなところもめり、それが又商業銀行の本来の姿としてどうであろうかというようなことも、公開の席でいろいろ今まで言われて来たことであります。従つてそういう長期資金、そうして産業の積極的な開発資金で、勿論コマーシャルの建前で運営するわけでありますが、市中銀行のいわゆるコマーシャル・ベースというものではなかなかできない、又能力もないといつたようなものについて考えておるというふうに御了承を願いたいと思います。
  78. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、結局そういう日米経済協力態勢とか国防産業的なものに対するその設備資金の融通というものでないとしますと、結局資金の枠の問題になつて来るのですか、金融機関でそういう方面資金は、ボリウムとして余裕はないだから開発銀行というものを通じてそこで国家資金供給して行く、やはり枠の問題として、実際問題としては金融機関では枠として困難であるから、こういう国家資金供給する、そういう資金の量として主として考えておられるのですか。
  79. 河野一之

    政府委員河野一之君) 資本の蓄積が不足いたしておりますので、一般金融機関におきましても、勿論量的な制約はこれは十分ありますし、やつてやりたいのだけれども、自分のところじやできんというものも、これも当然あると思います。併しそのほかにやはり質的な問題として、金融機関として非常にまあいいとは思うけれども、なかなかはつきりそこのところの見通しが立たん、産業の設備の改良についてやれば勿論いいのだけれども、将来の予測がどうであろうか、そういうような質的の問題もあると思うのであります。私はむしろ質的のほうの問題が相当重要なんじやないかと思いますが、量だけの問題としておつしやる点につきましては必ずしもそうじやないのであるというふうに考えております。
  80. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 例えば銀行が貸してもいいんであるけれども、その銀行が国家補償でもしてくれれば銀行は貸せるけれども、国家補償がなければ貸せない。そういう場合に、銀行が貸す場合には国家補償がなければ、そつちのほうは貸さないけれども、こつちから貸せばそういう問題は起らない。こういうように解釈していいわけですか。
  81. 河野一之

    政府委員河野一之君) これは金融政策の問題で、いろいろ私適当であるかどうか知りませんが、それは国家補償を受けるというのは、金融の質的な問題であろうと思うのです。その考えかたもなくはないと思います。戦時中におきまして各種の国家が補償をするという制度がありましたので、そういつた質のものについて国家補償で行く考えも一つの行きかたです。併しそれによつて量的な面も解決されることは事実でありまして、どちらがどちらというわけには行かないのでありますが、只今のところの考えかたとしては、開発銀行に補償をするという考えかたをいたしておりません。それよりは貸付をいたすという考えかたで、勿論市中銀行との協調融資ということはあろうと思いますが、今そういうことは考えておらんのです。
  82. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは抽象的な議論をしてもわからないですが、資金計画でどういうところにどういうふうに貸すかということがはつきりわかればすぐ解釈がつくわけなんです。そこでこの補正第一号ですか、日本開発銀行事業計画書、この中に、第三、「本計画による貸付対象は本邦における重要産業会社予定している。」こういうふうになつておりますが、この資金計画が大体立つておるのですか、貸付資金計画です。
  83. 河野一之

    政府委員河野一之君) これは私冒頭に申上げましたように、予算を積算する上において一応のどう考えたかということでありますが、これも実ははつきりいたさないのでありまして、ただ百億の出資が一応各四半期において出るということにいたして、平均の収入を見まして何したわけでありまして、その百億のものがどういう産業に幾ら出るというふうな計画は、私ども予算の上としては立てておるわけではない、これは新銀行ができまして、そこにおいて問題になることでありましようし、今後それが或る程度のラインに乗りますれば、二十七年度予算或いは二十八年度予算においては、開発銀行側としての一応の計画というものはあろうかと思いますが、この予算としてはございません。
  84. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 随分私おかしいと思うのですが、政府復興三カ年計画を立てて置いて、二十六年度予算の裏付とし。の資金計画は一応あるわけですが、これについて大体でも三カ年復興計画に基く資金計画、いわゆる二十六年度予算の裏付としての資金計画というものはあるのですから、それに基いて産業別ぐらいにでも一応資金計画がなければ復興計画というものはこれは立たないわけですが、そのラフなのでもないですか。
  85. 河野一之

    政府委員河野一之君) これは昔のような統制経済と申しますか、そういう時代においてはそういう考えかたもなくはなかつたのでありますが、輸出銀行及びこの開発銀行につきましては、そういうことを一切フリーにして総裁において自由な判断に任せるという建前をとつておるのであります。実際問題としてはないのです。ただこういう銀行性格でありますから、国全体の産業政策、金融政策に即応しておやりになるということは、これは当然のことであろうと私は思いますけれども、併しそれならばどの産業に幾ら出すか、金利は幾ら幾らにせよということは、我々としてはそういう計画に関与する意思は毛頭ないのであります。
  86. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは非常におかしいのです。日本では資本の蓄積が乏しいからこういうことによつて長期資金の調達を行なつているのですが、ただ蓄積の乏しいところでそれだけの長期資金を調達しようという場合に、なお更やはり一つの計画がなければおかしいと思うのです。これで資本の蓄積になるかどうかは問題だと思うのですけれども、こういう機関を作つたから資本が新しく出て来るわけではないのであつて、ただ資本が、蓄積された資金の振り替え、長期的にそれを振り替えて蓄積するか、短期的に蓄積するかの振り替えかたに過ぎないのですが、だんだん自由経済になるから、一応総裁が大体考えて適当なところに投資するだろうこんな心細いことでは、それは大蔵省としても随分お考えが変り過ぎちやつて、自由党自体も自由主義経済と言うけれども、そんなに奔放じやない、でたらめじやない、或る程度の計画があるということを言つておるけれども、何か大体、例えば石炭にはどのくらいであるとか、造船にはどのくらいであるとか、或いは軽工業にはこのぐらいとか、紡績のあれの長期資金にはこのくらいと、大体のそういうものがあつて、二十六年度はこれぐらいの長期資金政府供給しなければ、民間だけではだめだろう、こういうようなお話ならわかるが、漠然とこれくらい計画して置いて、あと総裁がそれによつて大体適当であると思うところへ投資するでありましよう、こんなことでは我々承認できないのです。今非常に資本蓄積が乏しいと言つておるんですから、預金部の資金運用の問題でも地方財政のほうでもいろいろな問題かあるわけですから、そんな漠然たるものでないと思つておるんです。もう少し何かあると思うんです。何かあるのじやないでしようか。大体のその目途ですね、もう一度お伺いしたいのです。
  87. 河野一之

    政府委員河野一之君) それはないのでございます。造船に幾らとか電力に幾らとかいうことは全然ないのであります。こういうものは見返りのほうで出ましたから、恐らく大してこちらのほうではないと思いますが、とにかて農林業に幾ら或いは一般の繊維産業に幾ら、或いは金へんに幾らというようなものは全然ございません。これは法律の冒頭にありまするように、「一般金融機関が行う金融を補完し、又は奨励することを目的とする。」というふうに法律の冒頭にございますが、そういつた建前で、全般的の資金計画はございましようが、その一環としてこれが働いて行く。参与という制度がありまして、一般の民間の学識経験のある人の意見もそこに参酌して行つて、総合的にうまく行くと私は確信しておる次第であります。
  88. 野田卯一

    ○野田卯一君 木村さんにちよつとお伺いしますが、質問ずつと続きますか。
  89. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうたくさんじやないですが、続きます。
  90. 野田卯一

    ○野田卯一君 そうしますと私三分ぐらい時間を頂きまして……。この貸付金の利率ですが、これはどのぐらい予定しておられるか、予算の編成上計算したと思いますが、その計算は幾らになつておりますか。
  91. 河野一之

    政府委員河野一之君) 出資金百億につきまして、そのうち九十五億につきまして九分九厘、それからあとの五億はこれは手許現金として食糧証券を持つ予定でありますので、五億は有価証券のそれに対する利息というふうに計算しております。
  92. 野田卯一

    ○野田卯一君 それからこの銀行総裁、副総裁理事監事、それから職員は、これは国会議員とか地方の議会の議員になれる、兼職できるのですか。
  93. 河野一之

    政府委員河野一之君) これは国家公務員ではございませんが、従つていろいろな一般職その他の給与の規定の適用を受けるものではございませんが、他の法令の適用につきましては、国家公務員ともみなすことがございますので、国会議員なり地方議員にはなれないのではないかと考えております。
  94. 野田卯一

    ○野田卯一君 確めた上で、又あとで聞かせて下さい。それからこの銀行貸付は設備資金に限ちれるようにとられますがその点をお伺いいたします。
  95. 河野一之

    政府委員河野一之君) 設備資金だけでごいます。
  96. 野田卯一

    ○野田卯一君 それから設備資金の中で、災害を受けたとき、災害を復旧するような金は貸付けられるのですか。
  97. 河野一之

    政府委員河野一之君) これは補修の資金というものも出せるようになつておりますが、災害復旧の場合に、より以上価値を増加するかどうかというところにかかりますので、そういうところに開発資金の意義を求めておりますので、これは具体的な問題に当りませんと何とも申しかねます。
  98. 野田卯一

    ○野田卯一君 それから実際の例としてあるのですが、例えば製塩業者が昔本窯という非常に旧式な機械で塩を作つてつたのが、最近大蔵省の勧奨によつてこれを真空式に改めた。この金は設備資金事業その他は非常によくなるわけですが、その金を銀行から借りておる、それを銀行が二カ月か三カ月の期限でやつておるという実例かある。これは全国で数億になつておる。そういつた金は、これは開発銀行で取上げて融資の対象にし得るものと考えられるのですが、その点どうなんですか。
  99. 河野一之

    政府委員河野一之君) これは設備の改良でありまするので、建前上私はできると考えております。
  100. 野田卯一

    ○野田卯一君 この中に追加予算という言葉が出ておりますが、この頃は大体補正予算という言葉を使つておりますが、この追加予算というのはこれでいいのですか。
  101. 河野一之

    政府委員河野一之君) この予算は実質上は追加予算でございます。そのほかに修正予算といいますか金を減らして、甲の金額を減らす、或いは甲の名称を変更するという場合は修正になりますが、現在追加予算と修正予算を併せまして補正予算という名前をつけております。この予算性格といたしましては追加予算なつております。
  102. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 どうもこの開発銀行性格がよくわからないのですが、長期設備資金や何かは見返資金等でこれは貸出せることとなつているのですが、なぜこういう銀行をわざわざ作らなければならないかということがよくわからない。見返資金でも出るんでしよう。見返資金でも出るのに見返資金の枠の中から割いて、又こういう銀行を作つて……。なぜ作る必要があるのか。見返資金とこの銀行との相違ですね。
  103. 河野一之

    政府委員河野一之君) それはやはり見返資金というものも、まあ性質上いずれも経済再建のために必要な金融なのでありまするが、御承知のように三百五十億の投資の中に、まあ電力或いは海運というようなものも相当金額として重なつておるものでありますが、細かいいろいろなものにつきまして見返資金のような煩瑣な手続で政府が直接貸出すということよりは、やはり銀行自体の責任でそういう小さな、総体的な問題でありますが、ものについては銀行の責任においてやらしたほうが、実際問題として適当に行くんじやないか、これだけのことに相成ろうかと思います。
  104. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうするとこれの貸出のときには見返資金のときのように ○Kは要らないのですか。
  105. 河野一之

    政府委員河野一之君) 見返資金がいつまで続きますかという問題は、先ほど申上げた理由に一つ繋がるものだと思います。そうして百億の出資をいたすことについてはOKは要るわけでありますが、個々の貸付についてはそういうものは必要ないわけであります。
  106. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それから将来増資する場合、やはり見返資金の七百四十億ですか、ああいうところからだんだんこつちに振り替えて行くと、こういう含みがあるのですか。
  107. 河野一之

    政府委員河野一之君) これはもう法律上は一般会計で予算を出そうと思えば出せるし、今回もそうでありますが、見返資金経済再建費の中から出資するわけでありますが、これは行かんことはございません。ただ今年度において百億以上に経済再建費から更に出すことを予定しておるがどうかとおつしやいますと、それは今のところ考えておりません。将来の情勢如何によつては出せる次第であります。
  108. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) 木村さんにお尋ねしますが、まだ続きましようか。
  109. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大体いいです。
  110. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) 或いはなお質疑が残ると思いますので、午後更に継続したら如何かと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  111. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) それでは一応これで休みまして、午後更に継続してやることにいたします。    午後零時十六分休憩    —————・—————    午後二時十九分開会
  112. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) それでは午前に引続きまして質疑を再開いたします。
  113. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ここに日本開発銀行法をいろいろ検討して見ますと非常に重要な法案だと思うのですが、こんな会期が追つてから急に出されて面喰つておるのですが、これはどうしてもつと早く出されなかつたのか、この影響はいろいろ資金計画その他の方面とも関連して相当あると思うのですが、その間の事情、非常にもう迫つてからこういう重要な法案に関連する又予算を出された。この点はどういう事情なつているのですか。大蔵大臣ちよつとお尋ねしたいと思います。
  114. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 出資金の大きさその他業務資金源の問題で関係方面との折衝が大分長引いたのであります。
  115. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうすると折衝が長引いたというだけで、それだけで遅れたのですか。
  116. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) さようでございます。
  117. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 次にお伺いいたしたいのですが、この人事の問題ですが、この法案がまだ国会に提出されないうちから総裁が内定しているようなふうに聞いておるのですし、新聞にも出ておりましたか、その総裁は誰になるかということは、大体政府としては予定されておるのですか。
  118. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 総理大臣考えておられるようであります。
  119. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 総理大臣考えておられるかも知れませんが、もう新聞にも出ておるのですが、小林中氏がこの総裁に内定しておるのです。大蔵大臣関係大臣として十分御存じないはずはないと思いますが、そういうふうになるのでございますか。
  120. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 内定ということが、どの程度のものでございましようか、総理大臣が意向は聞かれたようでございます。それを内定というなら内定になりましよう。意向を聞いたから……意向を聞かれたことはあるようでございます。これにすると決定したわけではございません。その程度であろうかと思います。
  121. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これはこの法案によりますと、国会の承認を経なくていいことになつておりますので、人事の問題は非常に重要だと思うのですが、それで政党色を帯びた人、政党色を持つたような人が総裁になることは嚴に愼まなければならないと思うのです。今まで伝えられておるところによると、小林中氏は非常に政党色を持つておることは明らかである、顕著である。従つてそういうように小林中氏が総裁になるという含みがあるとすれば、我々はその一点でもこの法案が不明朗になると思うのです。従つてこの総裁の人選については公正な人選をしなければならないのです。特に又この法律案によりますと、あと紐がつかないのですから、この資金を自由に運用できるということになりますと、これはもう非常に重大だと思うのです。そういう意味で私は総裁が誰であるかということを一応確めて置かないと、この法案を我々は承認することができなくなると思うのであります。そういう意味で御質問しているのですが、大蔵大臣は政党色を持つた人を総裁にすることはいいと考えるかどうか。
  122. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 人物さえよければ、どの政党でもいいと思います。
  123. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 人物さえよければと言いますけれども、人物でも、政党色を持つた人がなれば、世間はこれは公正なものと言えないと思うのであります。もつと小さい信用協同組合あたりでも、あの法律に政党色のないことということを語つております。銀行局長がおられますが、特に入れたわけですね、政党色のないということを……。それほど厳密に金融機関なんかはすべきものである。それを人物さえよければ政党色が濃厚でもかまわないということは、これは非常に問題だと思うのですが、小林中氏は、どこでも世間一般において、いわゆる総理の側近派に属し、白洲氏あたりと非常に懇意である。そういうような若しか人事が行われましたら、非常に不明朗な、この銀行が何だか自由党銀行みたいな、自由党の政党銀行みたいなことになる危険を我々は感ずるのです。そうでなければいいのですけれども……。従つて政党色の強い人、非常にはつきりしている人は総裁にすべきでないと我々は考えるのですが、この点もう一度くどいようですが、大蔵大臣の御意見を伺いたいと思います。
  124. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) いろいろな考え方があると思いますが、私は政党色があつても、人物さえよければ差支えないと思います。
  125. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは銀行局長にちよつとお尋ねしたいのですが、銀行局長はどうお考えですか。これはこの開発銀行ばかりでないと思うのです。金融機関についてのそういう総裁ですね、そういう非常に重要な責任者の任命につきまして、そういう人事、政党色の強い人、そういう人を任命することは妥当とお考えか、協同組合のあの法律にも特にそれを謳つて、その説明銀行局長もされたのを覚えておりますが、その点どうですか。政党色の問題とそういう金融機関の首脳を任命することですね。原則論としてどうお考えですか。
  126. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 開発銀行法案に、この総裁内閣総理大臣が任命することになつておるのでありましてそれ以上のことは何とも申上げる必要はないと考えます。
  127. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは申上げる必要はないというのでなく、金融行政を担当しておる銀行局長として考え方がなければならんはずだと思うのです。その開発銀行に捉われないで、原則論としてどうなんですか。政党色を帶びた人を、そういう非常に公共性を持つておる金融機関の首脳にするということ、そういうことはいいことであると考えるか、悪いことであると考えるか。開発銀行に捉われないで、金融行政を担当しておる局長として原則論、これを答弁する必要がないというのでは済まされないと思います。その原則についてはお考えなつていなければいけない。若しかないとすれば、そういう無原則で金融行政を担当されては国民は非常に迷惑です。
  128. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 銀行総裁としての適任者であることは必要でありますが、特にそれ以上私から申上げることはございません。
  129. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その政党色の問題、政党色についてはどうですか。前に協同組合のときに、あの法律案の中に入れたのじやないですか。そのときに銀行局長はそれについて説明されたわけですね。それを覚えておられると思うのですがね。政党色が濃厚な人をそういう首脳にしていいとお考えですか。
  130. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 一般金融機関の場合では、政党色のある人はこれを避くべきであると存じますが、この場合は、内閣総理大臣の御決定に任せるより仕方がないと思います。
  131. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでわかりましたが、この場合と言つても、この開発銀行は非常に重要な銀行でありますので、まずまず今銀行局長が言われたことは、この開発銀行にも当てはまらなければならない。ただこの規定では総理大臣が任命するとなつておりますけれども、そんなに広汎な、自由に、政党色の著しく濃厚な人までも任命していいというように規定することは間違いであつてやはりこの法案にはそういう政党色が濃厚な人は任命してはいけないというようなものをいれなければ、これは自由党の自由になるような銀行になる危険性があると、そう言われても仕方がなくなると思う、人選如何によつては……。今後非常に世間にも疑惑を起すでしようし、国民としても割切れない。恐らくこういうことに対して大蔵省が、事務当局がこれに対して私は賛成はしてはいないと思うのです。こういう人事の扱いについて……。若しかしておるとしたら、大蔵省の役人の常識を疑うのです。恐らくこれはそうではないと思うのです。その大体の総裁になる人がわからなければ、あとで非常に重大な問題になるのです。どうして大蔵大臣は、総裁は国会の承認を得るというようにしなかつたのかその点をお伺いしたいのです。
  132. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 国会の承認を得る必要はないと思うのです。
  133. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはどういう理由でですか。
  134. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 今まででも輸出銀行の頭取につきましても、大蔵省は国会の承認を得ておりません。内閣総理大臣が任命することを以て適当と考えております。
  135. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この開発銀行はその性質からいつても非常に重要でありますし、先ほど主計局長から伺つても、今年度はこの程度見返資金のほうから出すやに聞きましたが、次の年度においては政府出資、或いは又見返資金のほうから出資を殖やして、資本金を増加させるかも知れないというふうになつているのでして、この銀行の性質から私は非常に重要だと思うのです。而もあとで御質問したいのですが、この銀行性格復金と違つて、全然その後において紐がつかない、政府のほうの監督がされない。而も資金計画につきましても全然プランがないのだ、これから考えるのだ、そういうようなことになつておるのですから、その総裁が若し非常に党派に偏したり何かしているような場合には、非常に重大な影響を及ぼすと思うのです。それにもかかわらず国会の承認を得ないことになれば非常に弊害を伴う。輸出銀行がそうでないと言つても、私はあれも本当は原則としては承認を得るようにすべきだと思う。大蔵大臣は人物さえよければいいと言うなら、それを実証するためには、いい人物ならば国会の承認を得る場合に、国会で承認するはずだと思うのです。従つて国会の承認を求めるということはちつとも悪いことじやないと思う。ますます公正ないい人をそこに選ぶ意味において、国会の承認を得るようにすべきだ。こういうふうに思うのですが、大蔵大臣はやはり承認を得なくていい、こういうふうにお考えですか。
  136. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) その通りでございます。あなたとは意見が違つております。
  137. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私はそれでは承服できないのです。大体先ほど大蔵大臣の御答弁で、内定という意味がはつきりしないけれども、大体小林中氏あたりに落着くような見通しである。こういうふうに見てよろしいのでございますか。
  138. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 交渉があつたことは聞いておりますが、承諾があつたことは聞いておりません。
  139. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私はこれは非常に問題になると思うのです。聞くところによると、これは一万田総裁の留任との取引じやないか、こうまで言われております。金融界においてもこれには賛成していないというふうに我々は聞いております。併しながら一万田日銀総裁がこれに反対すると、日銀総裁の地位が又更迭されると困るというので強く反対できなかつた。それで日銀総裁は留任するということの代りに小林中氏の総裁を承認するであろう、妥協したのであろう、こういうふうにまで言われておるのです。併しこれは巷間伝わるところでありますから、どこまで真実かわかりませんが、そういうようないろいろな噂がここに飛んでおるのです。非常にその間には私は不明朗だと思うのです。こういう意味で、大蔵大臣が飽くまでも明朗な人事に上ないということについては、我々承服できないのですが、この点については議論になりますからやめます……。  次にお伺いいたしたいのでありますが、我々に配付されました補正予算案の事業計画の三に、「本計画による貸付対象は本邦における重要産業会社を予想している。」こうなつておりますが、この点については先ほど主計局長にお尋ねしたのですが、資金計画は立つていない、全然そういう案はない、こういうお話なんですが、政府の全体の資金計画との関係ですね。これはいろいろ農林関係にも影響があるでしようし、運輸関係にも通産関係にもいろいろ影響があると思うのですが、その間の調整ですね。全然資金計画がないと言われておるのですが、本当に大蔵大臣としては、まあ非常なラフでも、どの産業にどのくらい、産業別にでもそういう資金計画が予定されておらないのでございますか、この点お伺いしたいのです。
  140. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 予定いたしておりません。そのときの情勢によつて首脳者が適当におやりになることを期待しております。
  141. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうなりますと、二十六年度予算の裏付として資金計画というものを我々聞いたのですが、非常に狂つてしまうのじやないですか。支障はないのでございますか。二十六年度予算を裏付ける資金計画というものが出ておつて、それから自立復興三カ年計画というのがあつて資金計画というのがあるのですが、非常に資金計画が狂つて来るとお考えじやないのですか。
  142. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 狂つては来ないと思います。あなたの資金計画というのは、どの資金計画をおつしやつておられるのですか。大蔵省で出しておるのは、大体産業資金として長期資金、短期資金くらいのものしか出ていなかつたと思います。何の産業にどれだけということは出しておりません。
  143. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 例えば百億というものを出す場合に、見返資金においては私企業四十五億というものを開発銀行のほうに振り向け、残り五十五億は七百四十億の経済再建費、あのほうから廻して、そうしてその代りに預金で引受ける金融債の枠をそれだけ減らす、こういうことになるわけでしよう。それだけでも資金計画が非常に違うのじやないですか。非常に狂つて来るのじやないですか。
  144. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 資金計画というのは、どこからどれだけ金が出るかということでございますか、あなたのおつしやる資金計画は……。
  145. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それもあります。
  146. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) それは今の見返の経済再建費から百億円出して、私企業の四十五億円は不要だと一応なる。今の五十五億円を預金部から出すか出さんかということはまだきまつておりませんが、全体の資金計画としましては、預金部から四百億円、或いは見返から四十五億円ひつぱり出そうとこうなつておりますので、資金計画を前と同じようにするとすれば、経済再建費は一応出ることで、これはこの前の資金計画には立つておりません関係から、前と同じようなことにすれば五十五億のほうは、預金部の金融債引受はそれだけ少くなると思うのです。そういうふうにして行けば、全体の資金計画というものは、見返は今度は多くなつて、金融債のほうは少くなると、こういうことになるのであります。
  147. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そこで非常に資金の……資金計画というのは資金運用をする方向ですが、そういうものが変つて来ると思います。私企業分をこちらに充てれば、私企業分として予定しておる分は予定したほうに行かないと思います。金融債四百億のほうから五十五億、これを開発銀行に廻せば、今までの、四百億金融債を廻す方面がそれだけ圧縮される。例えば農林中金とか或いはその他の金融債を引受けるはずであつたのが、そつちのほうが減らされれば、農林金融というのはそれだけそつちのほうに皺が寄つて行く、こういう影響が出て来ると思います。又私企業分が開発銀行のほうに行けば、私企業分のほうがそれだけ金融が圧縮される、皺寄せされる。だからそうでないというなら、変らないというなら、この本計画の貸付対象、これをはつきりと出して下さらなければわからない。どうなるかわからないじやそれじや資金計画も当にならないわけです。この結果として農林漁業金融が圧迫されるのではないか、中小企業金融のほうが圧迫されるのじやないか。この銀行を設けたためにその織が或いは農林漁業金融とか中小企業金融のほうに激寄せて来る危険があるのではないか。私はそういうふうに感ぜられるので、この資金をどういう方面に投資するのか、大体の産業別なりその計画がないというのは私はおかしいと思う。それでそういう影響は起らないと、こういうふうに大蔵大臣はお考えになるのですか。
  148. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 農林中金或いは商工中金の発行いたします金融債の引受は、これがありました場合、異状のないようにしてやりたいと考えております。
  149. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私企業分のほうはどうですか。私企業のほうは、経済再建でなく、見返資金のほうの四十五億、あれはどういうことになるのですか。
  150. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) あれはこの百億円で肩替りするようになります。
  151. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その預金部のほうの四百億で肩替りと、こういう意味ですか。
  152. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 開発銀行の百億で肩替りすることになります。
  153. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) ちよつと皆さんにお諮りいたしますが、本会議のほうで財政平衡交付金の改正案の記名投票が始まるそうです。一時休憩して再開することにいたしたいと思います。如何でしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  154. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) それじやちよつと休みまして十分か二十分したら再開いたします。    午後二時四十五分休憩    —————・—————    午後三時二十五分開会
  155. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) それでは先ほどに引続きまして再開いたします。
  156. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 先ほど大蔵大臣にお伺いしたのですが、まだよく納得できない点があるのです。それはこの出資金なんですが、見返資金のほうから私企業分に四十五億をこつちに充てるという場合一応見返資金で私企業分に融資するということになつていたものが取りやめになつて、この開発銀行のほうの出資になると、融資の対象が違つて来ると思うのですが、その点が一つよくわからないのと、もう一つ預金部のほうの金融債引受の枠が五十五億だけ少くなつて、五十五億見返で持つておる恐らく食糧証券とかそういうものを預金部で持つて、そうしてその五十五億が見返の経済再建費のほうですかそれからこの開発銀行のほうの出資になると、こういうふうに思うのですが、その場合預金部の四百億のほうで金融債引受で融資するはずになつていた五十五億が、ほかの方面に投資されるようになる。合計百億がこれまで予定されていた資金運用と違つた方面に投資されることになるのではないか。こういうふうに我々は考えているのですが、そう了解してよろしいわけなんですか。
  157. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 四十五億円の貸出先はきまつてはいないのであります。貸出先はきまつてはおりません。従いましてただ一応の枠というのが予算の中に申上げた通りでありますが、どこのどの事業のほうに行くということは実はまだきまつておりません。だから初めの質問はそれでおわかりでしよう。見返から四十五億円私企業に出すというのが、これが一応不用額に立つ見込です。それで開発銀行が代つて出すことになると思います。それから金融債の四百億円のうち五十五億円減るか減らんかということはまだきまつておりません。ただ政府のこの前資金見込を出すときは、二十億の引揚超過に全体ではなるのですが、それをそのまま維持するとすると四百億円の金融債が五十五億円減るようになるかも知れませんが、これもきまつておりません。
  158. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 四十五億、これは見返資金のほうでもどこへ貸すかわからない。併しそれを開発銀行で肩替りして貸すのだから変らない。そういうのなら、何も開発銀行を作る必要はないと思います。その四十五億についてはこの見返資金で貸したらいいと思うのです。そこのところはどうして四十五億わざわざ開発銀行のほうに廻して、そうして同じことをやるのか、そこがわからないのです。今まで四十五億というものは私企業投資と言つておりますけれども、それは全然どつちの方面に投資するのかわかつておらなかつたのかどうか。全然変りないなら、なぜ開発銀行のほうに四十五億を出資してやるのか、意味がわからないのです。その点はどうなんですか。
  159. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 開発銀行をこしらえて、ああいう説明したような趣旨でやつて行くことが合理的であり、効果的であるという考え方開発銀行を置くことにしたのであります。
  160. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと見返資金で融資する場合と開発銀行で融資する場合は融資対象が違つて来るのではないか、こういうふうにまあ質問しているわけです。で、四十五億はどこにどれだけ貸すということははつきり予定されていなかつたかも知れませんが、大体併しまあどの方面へ貸すということはこれはあつたと思うのですね。それがなければ漫然と四十五億組むはずがないと思うのです。ですから、同じならば何も開発銀行に私は出資をする必要はないと思う。必要があるというのは、今大蔵大臣が言われたように、開発銀行の趣旨に基いて運用すると言えば、結局見返資金予定していた方面と融資の方向が違つて来ると、こういうふうに了解せざるを得ないのですが、そうでないのですか。やつぱり同じと見てよろしいのでございますか。
  161. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) どこへ出すということがきまつていないのですから、同じところへ出すとか、違うところへ出すとかいうことは言えんと思います。御承知通りに四十五億円を私企業へ出す場合におきましては、閣議決定をして、そうして個々の会社で一一向うの許可を得てから出す、そういう手数がなくなつたわけであります。
  162. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 どうもそれだけではよくわからないのです。開発銀行を作つた趣旨がですね、どうもそれではよくわからない。預金部資金のほうの五十五億、それはそれだけ金融債引受の枠が減るということになれば、金融債四百億で出してこれを融資しようと予定していた方面、それがそれだけ枠が減ると、こういうふうになるのではないですか。
  163. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 若し五十五億円だけ四百億円の枠を減らすとすれば、私企業に対する金融債引受による分が減つて参りますから、違つて来るようになりますが、併し四百億円の枠といつても、その金はどこへ出すということはきまつていないのです。銀行金融債を引受けるということだけです。従つてあなたの先ほどの質問で、商工中金農林中金のほうが減りやせんかと、こう申されますから、私はそれを減らさないように例えば勧銀とか興銀のほうに若し割込むとすればそうなると、こういう意味で申上げているのであります。
  164. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それからこれは金融債券が発行できるようなことになつておりますが、そうしてそれを預金部で引受けるということになつておりますが、どの程度の金融債券を発行する予定なつておりますか。
  165. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 開発銀行は債券を発行することにはなつておりません。
  166. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは間違いました。さつき日本開発銀行法案の政府の提案理由説明の中で、これまでの長期産業資金対策として金融債の発行を認め、預金部資金で引受けを行うことにしたと、これを開発銀行と私は見誤つたのですが、これは私の間違いです。ですから、それはそれでわかりました。  最後にお伺いしたいのですが、この開発銀行で全然資金計画を立ててない、そこでこれは総裁が適当に必要な方面にこれを貸出すということになると、こういう先ほどの答弁でありましたが、そうしますと、この全体の資金計画との調整の問題、これは通産関係もありましようし、農林関係もありましようし、運輸関係もありましようが、その調整はどういうふうになるのか、全体の資金計画とこの開発銀行の投資というものとの関係はどういうふうになるのですか、この点をお伺いいたします。
  167. 杉山知五郎

    説明員(杉山知五郎君) この設備資金供給の源泉といたしましては、御承知通り現在金融債によりまして興銀、勧銀等で投資いたしますものもございます。又そのほかに電力、造船等につきまして見返資金から出すものもございます。或いは又農林漁業金融特別会計から六十億出るものもございます。それからそのほかに又金融機関が定期預金と見合いまして長期の融資をいたすものもございます。幾多の源泉がございますので、これと開発銀行の出しまする資金とどう調整をして参りますか、今後この銀行役員かたが他の源泉の分とそれぞれ調整を図られて決定をされて行くということにいたしております。
  168. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは全体の民間の資金との調整までも入れてのお話ですが、大体政府としては、政府資金の使い方についての計画があるはずだと思うのですね。それとの調整の問題です。
  169. 杉山知五郎

    説明員(杉山知五郎君) 政府の出しまする金といたしましては、例えば見返資金或いは住宅金融公庫の金とかいろいろございますが、主として競合が起りますのは見返資金からのものでございます。これにつきましては、見返資金から主として電力、造船に金が出るわけでございますが、見返資金で電力、造船に大幅の金が出るからといつて、新銀行はそういう方面に全然金を出さないでもよいかと申しますると、これはやはりそのときどきの情勢に応じまして、或いは電力、造船にもこの銀行から金を出すということもあるかと存じます。さようでございますので、やはりそのときどきの情勢によりまして、どういう方面産業自立に金が要るのか、開発に金が要るのかということを見まして、この銀行役員かたが適当に勘案をされること、こういうふうに規定しております。
  170. 櫻内義雄

    ○櫻内義雄君 只今の御答弁でございましたが、先般予算委員会において大蔵大臣は、開発銀行からは電力、海運には出せないということを御答弁をされておりますが、只今の御答弁とどういう関係になりますかちよつとお伺いいたします。
  171. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私は開発銀行からそういうものには絶対に出せないとは言つておりません。今杉山説明員の言つた通りで、他の機会に、昨日も佐多君の質問に対してここで申上げたと思いますが、一応は水力、造船業は見返資金から出す、従つて開発銀行からはそれは一応出さない、併し情勢によつては船をぜひとも必要だという場合には、余つた金があれば船に出すかもわからない、そういうふうに初めからきめる必要はない。これは昨日佐多君の質問にも私がそう答えたのであります。又こういうことも言つております。造船のほうに出す金があるときは造船に出すが、それはやはり見返を使つてから後の問題でしようということを昨日答えたのであります。速記をお調べ頂けばわかると思います。
  172. 櫻内義雄

    ○櫻内義雄君 只今の御答弁で了承するのでありますが、私の記憶では、堀木委員質問に、明瞭に一応お出しにならんということを言われたように記憶しておつたのでお尋ねしたのであります。そこで電力、海運には情勢によつてはお出しになるということは、これは新銀行発足後のその当事者の協議によつてでありますか、或いは政府の方針としてでありますか。
  173. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 開発銀行の当事者がきめる問題だと思います。堀木委員質問に答えるときにも、私は一応は出さない、片一方が出しますから、片一方にあるときは……、造船資金に見返から出ていないときにこつちのほうから出す、競合的に出すということではございません。
  174. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 先ほどの説明員のお話では、一番競合関係の生ずるのは見返資金だというのですが、それは政府資金の使い方について、大体各省との間にあらかじめ計画において調整が取られてなければならないはずだと思うのです。その点はどうなんですか。それはあとで調整すると言つても、そうすると非常に今度は各省ともそこで競合で、非常な争いになると思うのですが、それはとにかくとして、一応自立三カ年計画というものがあるのですし、それに基いた大体の資金計画というものがあるでしようし、そういうものとの関係で、大体どこの省へはこれだけの融資をするのか、大体私はわからなければならないはずだと思いますが、その点は全然問題にならなかつたのですか。
  175. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) どこの省関係産業にどれだけ出すというふうなことはきめておりません。
  176. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それからもう一つお伺いしたいのですが、農林漁業金融のほうの六十億ですね、特別会計で今度は資金を融通することになつていますが、あれはこれまで預金部から出していたのが出せなくなる、見返から出すのが出せなくなる。その身代りとしてこういう六十億出したことになつたと思うのですが、実質的にこの六十億は、従来の金融にどの程度プラスされるものか、この点をお伺いしたいのです。
  177. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 従来の金融に六十億程度プラスになると思います。
  178. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私はそうじやないと思うのです。この特別会計の提案の理由の中にも、これまで預金部で融資したと、それができなくなつた、それから見返資金のほうでできなくなつたからこういう特別会計を作つて、そうして六十億融資するということになつたのでありますから、私はそれは全然六十億プラスになつたのはおかしいと思うのです。その点はそれでよろしいのですか、全然六十億プラスになつたのですか。
  179. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) それでいいと思います。
  180. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 主計局長に伺いますが、それでよろしいのですか。
  181. 河野一之

    政府委員河野一之君) 預金部は別に農林漁業方面に出しておりませんので、大臣の申されたことでいいと思います。
  182. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 見返資金のほうについてもそうですか。これまで出しておつたのが出せなくなつたので、こういう特別会計を作つたと思うのですけれども、そうじやないのですか。
  183. 河野一之

    政府委員河野一之君) そういうわけではないのであります。農林漁業資金というものは、なかなか従来出にくい資金でありましたので、こういう特別会計を作りまして出すことにいたしたのであります。
  184. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでは我々に配付した予算説明書にはそういうふうに言つてないのです。これまでそういうふうなルートでやつてつたけれども、できなくなつたからそういう特別会計を作つて、そうして一般会計二十億ですかあとは四十億で、六十億を融資するといつた予算説明をしておるのです。この我々に配付された予算説明書の二十七頁、農林漁業金融特別会計(新設)「預金部資金が直接農林漁業運用し得なくなり、農林中金も特殊銀行としての性格を失つたので、農林漁業用の長期資金を低利に調達することは困難となつている。」従つてこの「新設の農林漁業金融特別会計はこのような長期かつ低利な資金供給することを目的としており、」こういうふうに言つておるわけです。ですから若し預金部が直接農林漁業運用することができ、農林中金も特殊銀行として農林漁業用の長期資金を融通できたら、そういうことができたらこれは必要ないわけです。ですから新たに全然六十億というこの農林漁業資金というものが出て来たのではなくて、これまで資金を出していたけれども、そういう出し方ができなくなつたのでこういう特別会計という形で出すということになつたのじやないですか。
  185. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) それに書いてあるのも誤りはございませんし、主計局長の答えにも誤りがないのであります。できなくなつたときがいつかということをお考え願えれば、これは戰争中、それ以前には預金部からそういう農林関係の分の貸付はできておつたのでありますが、敗戦後預金部の運用は国債と地方債に限られておつた。ただ例外は一昨年の暮の百億円の銀行預託だけであつた。こういう事情から考えますと、長い間、終戰後預金部から直接農林漁業に投資することができなくなつた。それで今まで五、六年我慢したのだが、今度こういう農林漁業金融特別会計を作つて出そうというのであります。去年、一昨年あたり出していないということは、木村さんもよく御存じだと思います。昔のことを言つておるのであります。
  186. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 わかりました。
  187. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) ほかにございませんか。ちよつと私から運輸大臣がお見えになつておるので、海事金融金庫というか、海事金融機関が運輸大臣のほうでいろいろ問題になつておると思うのですが、今度開発銀行ができますと、今海事金融金庫でお考えなつていたものは、全部開発銀行に肩代りというか、背負つてもらつて、おのずからスムースに行くというふうなお考えなのかどうか。
  188. 山崎猛

    国務大臣(山崎猛君) 運輸省で考える海事金融の機関は、狙いは低利、長期の造船資金を調達することを狙いとしておるのであります。今度の開発銀行は、運輸省の狙いとしておる長期低利の造船資金をこの銀行によつて充たすということは、まだ私は考えられないと、こう思つております。只今丁度大蔵当局と木村君との間に問答がありましたが、造船資金は大体将来出すこともあるかも知れないが、現在においてはまあその外に置かれてあるというふうに問答があつたようでありますが、私どもは造船資金は外にあつて、これまでの方針で進んで行きたい。  それから海事金融の機関を設けるということは、運輸当局としてはぜひこれを設けたいということを考えて、それぞれ構想は持つておるのでありますけれども、まだ具体的にそれを推し進めるという段階には参つておりません。調査研究すると共に状況を判断して、将来そのことを考えたいと思います。併し又開発銀行の行き方次第によつては、そういうものを固執している必要がないのであります。国家に屋上屋を架するような複雑な機関を成るべく設けないほうがいいかと考えます。現在においてはそういう状態であります。
  189. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) そうすると、それに関連しまして大蔵大臣ちよつとお尋ねしたいのですが、この間予算審議いたしておるときに、運輸省当局から見返の百十五億の海運資金以外に七十億更に増す、而してそれを経済再建費から出すことに大体話合いがついておるというお話だつたのですが、その七十億は経済再建費から出すとして、今百億開発銀行にお出しになるものとは別途お考えなつているのか、それともその七十億も開発銀行貸出の中に籠めてお考えなつているのか。
  190. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私は第七次造船の完成のための融資五十数億円その他を合せまして七十億円足らずの金は経済再建費から出すとは言つておりません。預金部のほうで考えたい。そうして預金部で考える場合におきましては、金融債の引受の紐つきになるだろう、こう申しておるのであります。
  191. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) 別にございませんか……。今大蔵大臣は実は大蔵委員会のほうから呼びに来ておりますので、一応そつちのほうに渡したら……さつきから呼びに来ておりますので。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  192. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) それじやどうぞ。政府委員はおりますから若し事務的な御質問でしたらそれに譲りまして、いずれ又後ほどこつちへ来るとは思いますが……。運輸大臣も衆議院のほうで今呼びに来ておりますが、ちよつとそちらのほうに行きたいとおつしやつておりますが、よろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  193. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) それじやどうぞ。あと政府委員は主計局長、それから銀行局の総務課長の杉山君、それから経済安定本部の財政金融局次長の西原君がおられますので、それらのかたがたへの御質問がありましたら……。
  194. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 事務当局に伺いますが、開発銀行は政令で業務を開始する日をきめることになつておりますが、政府予定では大体それはいつですか。
  195. 河野一之

    政府委員河野一之君) 法律で来年の三月三十一日までとなつて汚りまして、只今いつこれを解散するかということは予定いたしておりません。御承知のように非常に厖大な貸付金を持つておるのでありまして、これが円滑に移行し得るようにいたしたいと思つておる次第でありまして、只今からいつというふうな特に計画を持つておるわけではございません。
  196. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) それじや、なお質疑は残つておりまするが、必要な大臣が見えておりませんので、ここで一応もう一遍休憩いたしまして、適当に後刻再開することにいたしたら如何と思いますが。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  197. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) それじや一応これで休憩いたします。    午後三時五十六分休憩    —————・—————    午後四時四十三分開会
  198. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) それでは引続き委員会を開会いたします。
  199. 岩間正男

    岩間正男君 私はこの開発銀行の問題につきまして二、三点お伺いするのであります。  その第一は、この前日米経済協力と関連しましてお伺いしたときに、多分池田蔵相だつたと思いますけれども、この開発銀行については、これとは別に関係はないのだ。自分はもう先からこういうような構想については当初から考えていたのだ。まあこういうお話であつたのであります。そこでお伺いいたしたいのでありますが、その当初からこれが考えられておつた構想と、今度提案されました構想というものは、これは同じなのであるか、或いはそこに変更が加えられておるのであるか、その辺まあお伺いしたいと思います。
  200. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 当初考えておつた構想と申しますると、これは問題は業務の範囲、資金源でございます。業務の範囲は、当初は日本の商業銀行が長期金融をやつているということはよくないから、いわゆる融資の肩代りということを主にするか、或いはそれを従にして新規貸付を主にするかという問題で、これは結論を得ませんでしたが、いずれにしてもいい、で問題はこの出資金をどの程度にするかというところで、私は出資金は百億円までなくても、少くとも債券の発行ということを認めたらどうかという考えでいつておりましたが、いわゆる債券の発行をこの際やめて、出資金を多くしたほうがいい、こういうことに変つて来たのであります。
  201. 岩間正男

    岩間正男君 そのときの出資金の大体枠はどのくらいに考えられておつたか。
  202. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) まあ四、五十億で出発しても、債券の発行ができれば百五十億くらいに資金を持ちたいという気持だつたのであります。
  203. 岩間正男

    岩間正男君 それではさつきから問題になつておるのですが、今度の見返資金の百億の投資の中で、私企業のその他の四十五億ですね。これは何ですか、当初から大体この開発銀行というようなものに考えておられたのであるかどうか、その点承わりたいと思います。
  204. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これはそのほうが……、予算が先に大体話合いがつきましたので、こつちのほうかあとであつたのであります。
  205. 岩間正男

    岩間正男君 何だか今ちよつとわからなかつたのでありますが、考えておられなかつたのですか、おられたのですか。
  206. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 予算の枠がきまりましてから後に開発銀行ということを考えたのであります。
  207. 岩間正男

    岩間正男君 そうするとあとでそういうことになつたというわけで、予算のほうが先だと、こういうわけですか。大分蔵相のお話では……、これは開発銀行の問題について質しましたときには、自分としてはこういう構想は先から持つていたんだというようなお詰があつたのでありますが、この点ちよつと今のお話とは違つたように聞いておつたのでありますが如何ですか。
  208. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 違いません。ずつと先から考えていたというのは、一応いつ頃と想像なさるか……昨年の暮頃から考えて、一月の十日頃に発表する……予算の枠は大体十一月頃きまつておるものであります。
  209. 岩間正男

    岩間正男君 それでは次に伺いたいのでありますが、四十五億、その他と申すのは、これはただ漫然と置かれたのじやなくて、少くともどんな心構えがあつて、私企業投資の、仮に予備金なら予備的な性格として置かれたと思うのでありますが、これがなくなるということによつて、そうすると今後私企業のそういうような一つの予備的なものですね、こういうものはなくなるわけでありますけれども、こういう点はどういうふうに処置されるのでありますか。御意見を伺いたいと思います。
  210. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 御承知のごとく私企業の融資は、今年度におきましても当初補正のときには四十三億だつた、それに十七億殖やしまして六十億にいたしたのでありますがで、今年度の当初程度にというので四十五億をきめたのであります。而してこの四十五億で出すべきもの、即ちどれで出すかわかりませんが、私企業の産業資金として出す分は開発銀行から出ることになると想像できまするので、一応この予算は不用額になるのではないかという考えを持つておりますのであります。
  211. 岩間正男

    岩間正男君 それから大体この大分性格が、開発銀行の場合と見返資金の私企業投資という点では違つて来るのじやないかと、こういうふうに考えられるのでありますが、その変更はどういうふうにして説明されるのでありますか、ちよつと……。
  212. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 性格といいますとどうなんでございますか、私は産業資金として出るのでございますから、性格は大体同じだと思います。出すところは見返資金から直接出るのと、開発銀行を以て開発銀行から直接出すところと違いますが、資金性格としては私企業の投資でございます。変りないと思います。
  213. 岩間正男

    岩間正男君 なおこの点は論議になりますから、性格といつてもやはり見返資金として出される場合と、それから開発銀行というような、殊に市中銀行も引受けない長期資金、こういう点の性格は一応似ておる面もありますが、やはり建前としては変つて来るのではないか。この点が、今度はそういう点も開発銀行のほうで何とか考えると、こういうような御説明でありますが、その点の建前についてちよつと十分に了解することができないのでありますが、この点は議論になりますから保留します。  その次にもう一点お伺いしますが、この資金供給につきまして、この説明書を見ますと、なお必要があるときは大蔵大臣認可を受けて予算の範囲内でその資本金を増加することができるとなつておるのであります。こういうことでありますが、大体今年度の見込ですね、取あえず今年度の見込として、大体どのくらいこれは要るというふうに考えておられるのであるか、そうしてその場合当然これは予算の範囲内でどういうような措置をされるのでありますか、見通しについてお伺いしたいと思います。
  214. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 今年度百億の出資以外でどれだけ出すか、今わかつておるのは、復興金融金庫回収金の増が三十億程度予定しておりますが、これは当然法律上入りますが、そのほかには私は今どれだけある、新たに出資するかどうかということもきめておりません。又従つてどれだけやるかということも考えていないのです。金融経済状況によりまして適当な措置を講じよう、こう考えております。若し出すとすればということになりますと、見返資金経済再建費のほうから出すということになつております。
  215. 岩間正男

    岩間正男君 そういう厳密な何ではでき得ないそういう見通しがつかないということは考えられるのでありますが、大体併し経済三カ年計画なんかの、連関においてこういう問題が出て来ておりまして、そうすれば一つの見通しというものが大体立てられておるのではないかということを考えられるのですがそれとも又見通しのつかないような今後の情勢が予想されるのですか、何か新らしいそういうような状態について予想されるから、只今のような御答弁があるのであります。この点一つの今までの安定計画の、三カ年計画の線から立つた答弁ができるのではないか、こういうことをお伺いしたいと思います。
  216. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 大体は出さんつもりでございます。出すような場合があつたときを予想いたしまして規定を置いておるのであります。これはやはり資本の蓄積がどれくらいできるか、預金がどれくらい殖えて、銀行がどういう方面へどれだけ貸出しをするか、こういうことと睨み合せて考えるべき問題であります。今はどちらかと言えば、百三十億円ぐらいはやつて行けるのではないかと考えております。
  217. 岩間正男

    岩間正男君 これについては無論見通しの問題でありますから、議論して見ても仕方のない問題と思うのですが、併し担当資金の百三十億程度のものでは欠乏が起るのではないか造船計画だけでも相当なことになると思うのです。そういう場合に当然今の御説明では経済再建費から出す、こういうことでありますが、経済再建費はどの程度ぐらいまでこれは出される見通しを持つておられるのでありますか、その点……。
  218. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 先ほど答えたように見通しは持つて、おりません。
  219. 岩間正男

    岩間正男君 それでは最後にお伺いしますが、公債発行ですね、これができなくなつたというお話でありますが、これができなくなつた原因ですね、これはどうなんですか。
  220. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) この開発銀行が債券を出すという問題でございますが、これはいわゆる長期金融機関として興銀或いは勧銀等で相当金融債も出しておりますので、まあ一応百三十億円を調達して、様子を見たらどうかということで、借入金も債券発行も今のところは規定いたしておらないのであります。
  221. 岩間正男

    岩間正男君 情勢の変化によつてはこの公債の発行も考えることはあり得ると、こういうような御答弁だと思いますが、そう考えてよろしいですか。
  222. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 今のところは発行しないことになつております。情勢が変化すればそういうことも考えられると思います。
  223. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今金融債のことで、先ほど金融債は発行しないと、情勢の変化によつてやるという御答弁ですが、これは法律を改正しなければできないと思うのですが、その点どうなんですか。
  224. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 勿論その通りでございます。
  225. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 もう一つお伺いしたいのですが、この前は銀行法の改正が問題になつておりましたようですが、日本金融機構ですね、金融機構として長期金融機関、それから又短期金融機関等について、この金融機関の整理の問題ですね、それとこの開発銀行との関係です。銀行法の改正は一体どういうふうになつたのか、一向出て来ませんが、その銀行法の改正がどうなつたかということ、それから銀行法の改正と関連して日本金融機関、特に長期金融機関、これがまあ大体開発銀行というものがそれの中心に今後なつて行くのかどうか、そうして前に大蔵大臣ちよつと伺いましたが、従来の特別銀行ですか、特殊銀行といいますか長期金融機関は、今後まあ普通銀行という形になつて、この開発銀行というものが今後長期機関の中枢となつて行くと、こういうような構想であるのか、その全体の金融機関の整備の問題と開発銀行との関係ですね。この点をお伺いいたしたいと思います。
  226. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) この問題につきましては只今愼重に検討中でございます。まだ発表の段階に至つておりません。銀行法も検討を加えておるのでございます。
  227. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 銀行法は早く出るようなお話ですが、改正は……、これは当分出ない、やめたわけじやないのでございますか、やめたわけじやないかどうか。近くこれは国会に提出されるつもりで研究されておるのでございますか。
  228. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 今国会には提案しないつもりであります。併し今のお話のようないろいろな金融制度全体の問題といたしましては、検討を加えて出したいというのでございます。それじや来国会に出すかと申しますると、約束はできませんが、とにかく全体につきましては検討を加えておる。立派なものができましたら出そうという考えであります。
  229. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この日本銀行法が今急に改正が出ない前に、大分総司令部のほうからの指示によつて随分検討しておつたんですが、それが未だに出て来ないんですが、来国会に出るかもわからない、その間に日本開発銀行というものが出て来まして、これが非常に大きな資金を、長期金融としてこれに投資して行くということになると、この日本金融機構の形として、これは一時的なものならとにかく、相当長期的なものになると思うんですが、そうなるとこれとの関連で、日本金融機構のありかたですね、これについて当然構想がなければならんはずだと思う。ただ愼重にするというだけでなく、現実に非常に金融機構に大きな変化が出て来るのでありまして、従つて先ほどお尋ねしましたのは、従来の特殊銀行としての長期金融機関普通銀行になりましたので、これが今度開発銀行というものが中心になつて行つて、これを頂点として長期金融機構というものを考える。それから市中銀行はやはり短期金融のほうに、短期金融といつてもすぐにこれが市中銀行が短期融資だけするというわけには行かないかも知れませんが、全体としての今後の金融機構のありかたと睨み合してこの銀行考えなければならんと思うのです。その大体の構想についてお伺いいたしたいと思うのですが。
  230. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 重要な問題でございますので、今折角検討中でございます。私の構想を今申上げる段階に至つておりません。
  231. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 御答弁願えなければいたし方ございませんが、もう一つお伺いいたしたいのですが、先ほどこれは河野主計局長からも御答弁があつたのですが大蔵大臣も言われたと思うのですが、農林漁業のほうにもこの金は融資される、こういうふうに了解してよろしいのですか。
  232. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私はそういうことを期待いたしております。今の見返資金につきましても、水産物高度利用には出しておりますし、又農業関係のほうにも前に出ておつたと記憶いたしております。
  233. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それからもう一つ先ほど預金部で引受ける金融債四百億の中から五十五億、これを開発銀行に廻すことに、まだ確定したのではないようですが、大体その予定のようでありますけれども、その場合農林中金とか、そういう方面金融債の枠が減らないようにしたい。成るべくならば興銀のほうの金融債の枠の中に入つて行くようにしたいというお話ですが、そうなると今度興銀のほうの、中小金融のほうの枠が縮まつて来ると思うのですが、それに対しては何か別途対策をお考えなつておりますか。
  234. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 興銀のほうは別に中小企業を主としてやつておるのではございません。大企業が多いと思います。従いまして開発銀行ができましたら、興銀と競合するような場合があるかも知れませんが、これはやはり興銀のほうが貸付け困難であるというような場合に開発銀行で行く、こういうふうなことに相成ると思うのです。
  235. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それからこれは非常に将来のことになると思うのですが、見返資金との関係ですが、大体その構想は、対日援助がなくなつた場合、見返資金がどうなろかということが問題ですが、だんだんそれを日本開発銀行に振替えて行く、こういう構想を持つておられるのですか。
  236. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 考え方はそういう考え方もあろうと思いまするが、私はそう決心したとは申上げられません。
  237. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 併しこれはしばしば巷間で伝えられているのですが、これも将来の問題かも知れませんが、将来アメリカの輸出入銀行との関係で、外資の受入れの機関としての機能を果す、こういうような含みがあるやに伝えられておるのですが、この点はどうなんですか。
  238. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 将来のことでございまして、そういう問題が起つたら検討して見たいと思います。
  239. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) 他に御質疑もなければこれで質疑を終り、直ちに討論に入ることに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  240. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) 御異議ないものと認め、これより討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。
  241. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は本案に反対いたします。日本開発銀行を設けるという趣旨は私は了承できるのであります。日本開発銀行法案の提案理由説明によりましても、抽象論としては了承できるのであります。即ち我が国の経済基盤を育成し、その将来における自立を安定した基礎の上に招来するためには、重要基礎産業の所要資金、なかんずく長期設備資金供給を円滑ならしめる必要がある。そういう趣旨から提案されたことについては了承できるのであります。なお長期設備資金の調達というものが、日本自立経済計画達成の上に、日本経済復興のために非常に重要であり、現在日本経済の一つの大きな課題になつておることは、これは周知の通りであります。従いましてこの趣旨は、我々趣旨には反対するものでないのでありますけれども、これを具体化する中身を検討して見ますと、我々承服しがたい点があるのであります。特にこれは将来のことを考えますと、非常に重要な機関でありまして、そうしてこういう非常に重要な法案を、会期が追つてもう今日一日しかない、こういうときにこういうものを提案され併しこれを裏付けとする予算はここに提出されたのでありますが、その点についても非常に私は遺憾であると思うんです。もつとこういう重要な法案は十分に準備して、そうして国会でも十分に各いろいろな角度から、これを妥当であるかどうか検討する余裕を与えなければならないのじやないかと思うのでありますが、非常に短期間にぎりぎりに会期が迫つてから出されたことに対して、先ず遺憾の意を表さなければならんと思います。  それから次にこの法案に反対する理由は、この銀行性格について承服しがたい点があるのでございます。即ちこの銀行復金を吸収することになるのでありますが、我々の見るところによれば、なぜこの復金を吸収しなければならないか了解に苦しむのであります。復金復金として一応整理を行いながら、それで復金において回収された資金をこの銀行のほうにこれを出資すればいいのであつて、若しそうしないとなると、これまで復金融資につきましては、又復金の吸収問題につきましては世上いろいろな疑惑を以て見られておる。事実そうでないかも知れませんが、この前ああいう事件もあつたのでありますから、従つて復金の整理というものは、これはすつきりとしなければならない。従つてこの復金をこの銀行に吸収するということについてはどうしても承服しかたい。吸収しなくとも、復金復金として整理をやつて行きながら、回収資金をこの開発銀行に出資せしめれば、何ら私は支障はないと思う。にもかかわらず復金を吸収することになつた。更に又この復金を吸収することにより、復金開発銀行との相違点が、これは大蔵大臣説明された通り復金においてはこれまで委員会というものがありまして、その融資についても十分な監査といえば、これは政府です、政府がこれを監督することができたわけです。いわゆる紐がついておつたわけです。併しな、からこの銀行になりますと、今度は一切紐をつけない。政府の監督がなくなるわけです。総裁及び役員に任されるのです。その限りにおいては一応非常に融資その他は能率的になる点はこれは認め得るのでありますが、併しながら非常にたくさんの国民の金を、非常に大切な金を使うについて、全然紐をつけないで、そうして総裁なり重役に一切貸出しをさせるということになりますと、これは私は非常に弊害が出て来るのではないか。極論すれば、或いは復金の二の舞ということが生じないとも限らないのです。従いましてこれまで非常に紐がついて厳重に融資され、或いは又その回収も監査され監督されておつたのが、この銀行復金が吸収されるとなるとそうでなくなつてしまうのです。そこでこの復金回収なり或いはこの新銀行貸付ける場合、そういうものが紐つきでないとなると、これはどうなつているのか、監督、監査の機会が非常に乏しくなつて、国民の納得するような資金運用を確保しがたいのではないか。こういうふうに思うのであります。こういうこの銀行性格から見ましても、私は承服しがたいのです。  それから第三の反対理由は、先ほどいろいろお伺いしましたが、資金計画が全然ないということです。復金とは違いまして、機動性を持つて、今後非常に激変する経済金融情勢に対応して民間の金融機関の補助的な機能を果すという、その趣旨はわかるのでありますけれども、蓄積資金が非常に乏しい日本におきまして、その資金の使途というものは非常に有効に、効率的に使われなければならないのであります。これに対して、全然資金計画がない、こういう資金計画を我々聞くことなしに、この案に賛成することはできないのです。そのためにいろいろな支障が生ずると考えられますので、この資金計画が全然ない、又非常にラフでいいからどの産業にどの程度に貸すのか、こういうラフな計画でもあるのではないかという質問に対しても、全然ないと言われているのでありまして、こういう無責任な計画に対して、我々は計画というよりも、計画が全然ないと、こういうような法律案並びにそれに対する予算案には我々は承服することができないのであります。それから最後に最も我々が承服できない点はこの人事の問題であります。この銀行性格が先ほど申上げましたように、全然政府の監督がなくなり、それで紐がつかない、それから資金の計画もない、一切これは総裁及びその役員に任されるということになりますと、その総裁役員の人事が非常に重要になつて来ると思う。若しその総裁なり或いは役員が、これが不当な資金運用をすることになりますと、これは重大な弊害が生ずる。先ほど申上げましたように復金の二の舞を生ずるかも知れないのでありまして、従いまして若し、銀行のいろいろな性格上、或いは資金計画の上に割り切れない不明朗な点があるのでありますが、それを補う意味においてこの人事、この点をしつかりすれば、そういう欠陷は除けるかも知れないが、その一番重要な人事におきまして、これは総理大臣が任命しまして国会がこれを承認しなくともいいということになつておる。伝えられるところによりますれば、小林中氏がこの総裁になるやに伝えられております。大蔵大臣質問いたしましたところ、内定とか確定とかいうことは言えないけれども、交渉はしておる。併しながら先方で引受けるかどうかはわからない。こういうお話でありましたが、大体小林中氏にきまるように観測されるそうしますと、小林中氏は非常に政党色が濃厚な人でありまして自由党色の濃厚であることは、これはもう周知の事実であります。こういうような人がこの総裁になりましたならば、この資金運用の仕方はどうなるでありましようか。大蔵大臣は人物さえ立派であれば、政党色があつてもかまわないというお話でありますが、これは以てのほかであります。それで曲解すれば、この小林中氏は自由党色が非常に濃厚でありますから、それを通じてこの日本開発銀行資金運用が、自由党資金部のような形になつてはならないのであります。そういう危険も我々感ぜられる。そういう危惧を感ぜられる。ですからそういうような危惧を感ぜられるような形でこの法案を作るということはこれは最も悪いのでありまして、もつと明朗にするのならばそういうようなことはないと、こういうのならば、なぜこの総裁を任命する場合、これを国会が承認するという形に持つて行けないか。そういう立派な人であるならば国会でも勿論これは反対しないと思う。こんなに重要な法案でありながら、そうしてそれは一に総裁によつてこの資金運用がきまる、こういうような形になつておるのに、この総裁の任命が国会の承認を得ないでもよい。総理大臣の任命だけでよい、国会の承認を得ないでもよいこういうような私は形においてこの資金運用されるということは、どうしても国民として我々承服できがたい。  以上の理由によりましてこの開発銀行を設ける趣旨は誠にいいのでありますが、その中身が、実体がどうしても我々は承服できない。而もこの開発銀行資金を調達する上におきまして、それが延いては金融が、非常な大企業本位に流れ、偏してしまつて、中小企業とか農林金融とかを、直接ではありませんが、間接にこれをやはり圧迫する。こういう危惧も我々は持つておるのでありまして、先ほど大蔵大臣政府委員から説明は一応伺いましたが、まだ十分我々納得できないのであります。こういう理由を以ちまして本予算案に遺憾ながら反対する次第であります。
  242. 平岡市三

    ○平岡市三君 私は自由党を代表いたしまして、日本開発銀行の裏付となりますところの昭和二十六年度政府関係機関予算補正に賛成いたします。
  243. 岩間正男

    岩間正男君 私は日本共産党を代表いたしまして、只今の補正第一号に反対するものであります。  反対の第一の理由は、この法案の出し方が極めて非民主的、独善的である。国会を無視しておるということであります。これは先ほども木村議員から言われたのでありますが、政府は二十六年度予算審議中に補正予算は出さない出さないと言つてつたのに、ところが二十八日に予算が通過しますと、まだその言葉が乾かないうちに本法案を提出して来たこの予算を提出して来た。これに必要な予算を組んで、僅か一日しか審議させずして、そうしてこういう形で通過させようとしておるのであります。こういうようなやり方というものは、非常にこれは参議院の今までの予算審議の経過から見ますというと、これは国会の審議権に対して考えさせられる問題があると思うのです。それは何かと申しますと、参議院の予算委員会では、地方財政の窮迫化を黙視することはできない。そこで平衡交付金の百九億というものを、これは小委員会でそのことが諮られて増額が決定し、又この委員会におきましても自由党を除く圧倒的多数で地方債百五十億と平衡交付金の増額が決定されたのであります。で、若し補正予算を組むとすれば、私は当然これにこの要望を充たすところのものが先ず組まれなくちやならない、こういうふうに考えるのでありますが、そういうような要求に対しましてはこれを殆んど考慮することなく、開発銀行のこの補正を出して来た。この点は今までの経緯から見て先ず第一に賛成することができないのであります。  それから反対の第二点は、この開発銀行が今後どういうふうに運営されるか、果してこれが日本人民のために運用されるものであるか、或いは又外国の支配がこれによつて強化されるのじやないか、こういう点であります。大体この開発銀行がこんなに急速に具体化されて来たという点については、池田蔵相はさつきから自分が考えておつた構想だというように言われておるのでありますが、まあダレス氏が来朝された、こういうことが非常に一つの契機になつておるようにも思われるのであります。この資金の面について見ましても、この百億は、これは今まで紐つき融資であるところの見返資金から出されて、更にその上に今後資金の中、に繰入れられますところの復金回収金でありますが、これは例のまあ伏魔殿として大いに問題になつたところのものであります。日本の大資本家は、約一千四百億にも余るところの復金融資でさんざん甘い汁を吸つたあげくに、これによつて生じたいわゆる復金インフレの尻拭いはすべて国民の税金で行われた。でそれらに貸付けられた金は回収して資本になつている。返せばその金は国民のふところには全然返つて来ないで、このような開発銀行を通じて再び大資本のふところに入つて行く、でこういうふうな形におきまして、全く犠牲になるのはすべて大衆であります。  更に又一部の観測によりますと、この開発銀行は数百億の債券を発行して、資金運用部に引受けさせようとする構想もあるやに聞かれるのであります。そうなると、地方債の増額を要求しても、資金運用部からは出せないということが、この委員会の論議のうちでもこれは問題になつたのでありますが、併しながらこの外国と非常に関係の深い、又軍事的性格を将来持つであろうところのこの開発銀行には莫大な資金が出されることになるのであります。こうして国民の貯金が、大衆の要求を無視したほうに注ぎ込まれる、こういう形で、いろいろなそういう点を総合して考えますと、大衆のこのような犠牲によつて注ぎ込まれた形が、市中銀行では貸せない、つまり採算の合わないという、こういうような時局緊急産業のほうに融資されるということになるのでありますから、これは全く大衆収奪による資本の蓄積という形が、最も露骨に現われたものと見なければならないのであります。  反対の第三の理由は、この銀行を通じて日本経済はますます外国に隷属する。そうしてこの全部の源を外国に握られると、そういう方向になると思う。そうして平和産業の発展とはまるで逆な方向に日本経済を導く危険が非常に多い。開発銀行は、すでに述べたように復金回収金或いは見返資金、更にまあ予想される資金運用資金、こういうような国家資金が一手に集中されて、これによつて時局産業に注ぎ込まれる性格が極めて濃厚である。日本産業が日米経済協力の体制に再編されつつあることが大きな問題になつております今日におきまして、時局産業とは申すまでもなくアメリカの軍拡経済の下請となる軍需産業を意味することは明らかであります。伝えられるところによれば、更に将来この銀行は外債を発行する、外債を発行するというような方法で外資導入の受入機関になるのではないか、こういうことも言われているのであります。このようにしまして開発銀行は、曾ての日本の対満支援投資機関、或いは朝鮮、台湾における拓殖銀行のように、帝国主義者の軍事殖民地化を促進する道具となる嫌いがあるのであります。これは国際開発銀行日本支店ではないか、こういうことも考えられるのであります。政府開発銀行は自主的に運用できると言つているのでありますが、先ほども木村氏からも述べられました点、そのほかいろいろな機構の面から考えまして、非常にこれは外国の隷属機関としての性格を強く持つのではないか、これは国際情勢の現段階を検討することによつて、こういう性格を我々に明らかにすることができると思うのであります。従いましてこのような予算に対しましては我々は賛成することは出来ない。日本共産党はこの予算に対しまして反対するものであります。
  244. 山田節男

    ○山田節男君 只今上程されておりまする昭和二十六年度の政府関係機関予算補正(機第一号)によつて日本開発銀行設立せしめまする本案に対して日本社会党は賛成いたします。以下、賛成でございまするが、我々の条件乃至希望を申述べたいと思います。  先ほど木村委員からも御指摘になつたのでありまするが、かような重要な法案を会期追つた最後の日に出されたということは、我々国会といたしまして、国会を軽視するということについては、嚴に私どもは戒告したいのであります。聞くところによるとこの法案については、過去数カ月間に亘つて大蔵省当局は関係当局と折衝審議したということであります。然るに国会、僅か二日においてかような法案を出したということにつきましては、非常に私どもとしては遺憾とするのであります。それからこの日本開発銀行につきましては、昨日も大蔵大臣が言われましたように、この開発に長期の金融をする、投資をする、或いは一般金融機関を通じての長期投資を、金融供給するというのでありますが、その決定が総裁乃至役員に決定権を委ねられておるということは、これは私は先ほど木村委員の言われたと同じような意味において、この銀行性格が、目的と非常に異るのじやないか、昨日大蔵大臣の御説明によりますると、参与を設けて、そうしてこの参与がそういうポリシーの決定についても相当な発言権を持つというようなことを言われておりますけれども、例えば日本銀行において政策委員会があり、その他のものにおいてもかような制度が行われることが民主的であるという建前におきまして、この日本開発銀行の主たる任務といたしまする長期の金融投資、これが役員によつてのみ決定されるということは非常な私どもは危険を感ずるのであります。それと同時に、この銀行ができたということは、私はすでに遅きに失するのではないか。自由党内閣が出現しましてすでに二年有半であります。然るに自由党は自由主義経済を奉じております。十九世紀的な自由経済主義でありまするが、アメリカを含んだすべての近代国家におきましては、殊に戰後の経済再建産業復興ということにつきましては計画経済をとつておる。これが常識であります。然るに日本のみが自由党内閣によつてこういう十九世紀的な自由主義経済の政策をとつておる。そこにこの日本開発銀行というものが設けられ、而もその機構を見まするときに、第二の復興金融公庫のごときいろいろなスキャンダル、こういうことが起りはしないかということを杞憂いたしますので、この点は政府は嚴に監督する必要があると思うのであります。  なおこの問題につきまして我々として強く批判し、又希望しまする点は、資本金が見返資金を以て充当されておるわけでありますけれども、僅かに百億円の資本金でこれを始めておる。成るほど大蔵大臣が必要と認めた場合には、予算の範囲内において資金の増加かできるということを言つておりますけれども、債券を発行することはでさない、借入金も当分やらないという大蔵大臣説明でありまするが、この僅か百億円の金を以てこの日本産業開発経済再建についてどれだけの効果があるか。昨日も大蔵大臣が言われましたけれども、例えばビニールの増産計画にいたしましても、電源開発だけでも百億の金を数倍する資金が必要なのであります。かような意味から見て、この日本開発銀行が意図する点は非常に立派でありますけれども、資金計画において極めて消極的である。従つてその活動が我々の希望するほど活発に行われないのじやないかという不安を持つておるのであります。  最後にこの日本開発銀行は、今アメリカにありまする後進国の開発金融機関復興金融金庫を含めた、類似したものと私は思うのでありまするが、このF・R・C、即ちアメリカにおきましてこの復興金融金庫日本開発銀行のあいのこのようなものでありますか、このF・R・C、フィナンシヤルレコンストラクシヨン・コーポレーシヨン、これは非常に政治的に利用されまして、いわゆる政治的なスキャンダル、官僚の腐敗堕落ということにこれに非常に大きな禍いをなしておることは周知の事実であります。先ほど木村委員からも指摘されましたが、とかくこの種の金融機関は、政治的に濫用さ為る虞れが多分にあるのであります。復興金融金庫におきまする昭和電工事件のごとき、こういうような事態が再ひ惹起せられないように政府は十分な監督をせられる、こういつたような希望乃至条件を付しまして、本法案に日本社会党は賛成いたす次第であります。
  245. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 一般金融機関が個々の長期資金供給を容易ならしめることによつて経済再建及び産業開発を促進するため一般金融機関が行う金融を補完し、又は奨励することを品的として日本開発銀行設立せらるるに至りましたことは、機宜に適した処置であると考えまして、次のような希望を付して昭和二十六年度政府関係機関予算補正(機第一号)に賛成するものであります。  農地改革により農民にとつては唯一の長期資金の担保物であつた耕地が担保力を失つてから、農業の改良発達に一大頓挫を来し、食糧の増産に支障を与えておることは御承知通りでありますから、農林漁業等の設備の取得、改良又は補修に必要な資金及びこれが返済に必要な資金にも日本開発銀行資金を融通せられたい。日本開発銀行業務銀行及び商工組合中央金庫のほかに農林中央金庫も加えられたい。日本開発銀行役員は、我が国の経済再建及び産業開発促進に重大な影響を及ぼすものでありますから、その人選につきましては特に留意せられたい。  以上の希望を述べまして私の賛成討論を終ります。
  246. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 私は国民民主党を代表たしまして本昭和二十六年度政府関機関予算補正(機第一号)に賛成するのであります。  本案は現在の時宜に適した法案でありますが、先ほど他の委員から申されました通り、余りに議会の切羽詰まつたときにこういう法案を出しますことに対しましては、我々は遺憾の意を表するのであります。併し本銀行は、復金時代の世界情勢とは違つた情勢にありますので、この点につきましては我々はいろいろな文句を言いません。併しよくこれが運用せられることを希望するものであります。特に見返資金でこれをやる、そうして復金回収資金をこれに繰入れてやるということに対しましては、直ちに国民の金を使うのではない——というような点も考えまして、誠にいい点であります。又資金、特にこの銀行が、何々委員会、何々審議会などという屋上屋を重ねるような、今までの誠に非能率的なものでなくてただ参与がありましてやるという点につきましては、誠にいい点である、かように考えます。資金計画におきましても、余りに拘束せられるものでありましては何もやることができない。妙味がありまして、なかなかいい点があります。併しこの点につきまして私が特に希望するのは、現在の日本は、戰争によつて科学産業におきまして二十年から遅れておる。こういう工業その他をやりますときにおきまして、それは必ずしもこれが採算がとれるかどうかを考えますときに、非常に考えなければならん。こういうことを考えますときにおきまして、私は科学と申しますか、精密機械その他の工業に対しましては特に力を入れてやつて頂きたい。又これが運営につきましては非常に妙味がありますが、その人物によりまして如何にもなるのでありますから、私が特に自由党の総裁或いは大蔵大臣にお願いしたいのは、人格、識見、力量のしつかりした人でありまして、ああ、成るほどあの人ならばというような人を特にお選び下さいまして、これが総裁或いはその他の役員に選任せられたいという希望を述べまして私は賛成いたします。
  247. 東隆

    ○東隆君 私は第一クラブの者といたしまして、昭和二十六年度政府関係機関予算補正(機第一号)に賛成を表します。  併し条件乃至希望を申述べたいと思うのであります。それは長期金融、殊に不動産銀行といいますか、そういうようなものは性格を全部変えてしまつた今日でありますので、この種のものができて、……大きく産業開発のためにできることは、これはもう当然なのであります。併し今回のこの審議の期間は甚だしく短縮をされておるわけでありまして、十分に検討が加えられないということ、それから又復金解散をされた後において、その回収だの何だのそういうような問題が、非常に今までのものよりもまだ監督されない下において行われるという心配が、これは多分にあるわけであります。又資金運営の方面における計画は、これは示されておりませんし、その他の関係で恐らくその局に当る者が政治的ないろいろな方面に煩わされて、非常に不幸ないろいろな問題を惹起する可能性が非常に多いと考えるわけであります。これは各委員かたからそういう点、か申されておりますが、私もその点を非常に心配をいたします。又総裁の人事はもうきまつておるようなことが伝えられておるのでありまて、こういうようなことは、私は、議会でまだきまらないうちに総裁がきまつた、こんなようなことは不見識なことだ、こう考えますので、こういうような点で将来において是正さるべきものは速かに是正して行かなければならない、こういうことを附加えまして賛成をいたします。
  248. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) 他に御発言もなければ、これで討論を終局し、直ちに採決に入ることに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  249. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) 御異議ないものと認めます。それではこれより昭和二十六年度政府関係機関予算補正(機第一号)について採決いたします。本案に賛成のかたの起立を求めます。    〔起立者多数〕
  250. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) 起立者過半数と認めます。よつて本案は可決すべきものと決定いたしました。  なお本会議における委員長の口頭報告は、委員長において本案の内容、委員会における質疑応答並びに討論の要旨及び表決の結果を報告することとして御承認を願うことに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  251. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) 御異議ないものと認めます。これより委員長が議院に提出する報告書に多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     西郷吉之助  竹下 豐次     飯島連次郎  岡崎 真一     古池 信三  一松 政二     野田 卯一  小野 義夫     泉山 三六  新谷寅三郎     高橋龍太郎  高瀬荘太郎     前田  穰  堀木 鎌三     竹中 七郎  原  虎一     山田 節男  下條 恭兵     藤野 繁雄  平岡 市三     白波瀬米吉 池田宇右衞門     東   隆  櫻内 義雄     石坂 豊一
  252. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) 署名漏れはありませんか。……なしと認めます。  これを以て散会いたします。    午後五時四十八分散会  出席者は左の通り。    理事            石坂 豊一君            平岡 市三君            佐多 忠隆君            藤野 繁雄君            櫻内 義雄君            東   隆君            木村禧八郎君            岩間 正男君    委員           池田宇右衞門君            泉山 三六君            小野 義夫君            岡崎 真一君            古池 信三君            白波瀬米吉君            野田 卯一君            一松 政二君            安井  謙君            岩崎正三郎君            内村 清次君            下條 恭兵君            山田 節男君            原  虎一君            森崎  隆君            飯島連次郎君            西郷吉之助君            新谷寅三郎君            高瀬荘太郎君            高橋龍太郎君            竹下 豐次君            前田  穰君            竹中 七郎君            堀木 鎌三君            矢嶋 三義君   国務大臣    大 蔵 大 臣 池田 勇人君    運 輸 大 臣 山崎  猛君   政府委員    大蔵省主計局長 河野 一之君    大蔵省銀行局長 舟山 正吉君    経済安定本部財    政金融局次長  西原 直廉君   事務局側    常任委員会專門    員       長谷川喜作君   説明員    大蔵省銀行局総    務課長     杉山知五郎君