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国務大臣(
池田勇人君) これはいろいろな仕事がございまして、大事な
預金を預
つている
銀行家としては、よほど
石橋を叩いて渡るような
傾向が多いのでございます。それならば渡ろうとするその橋が
石橋であ
つて絶対に大丈夫だ、誰が見ても大丈夫だというところばかり金が出ると何といいますか、
危險性があるような場合に、この
事業の
見通しは十分ではないけれども、まあ大丈夫だというときに金が出んようなことがあるのでありまして、これを例をと
つて申上げるとどうかと思いまするが、相当の
資本があ
つて、例えばこれはまあ單なる例でございますが、
ビニロンをやるというときに、これは五万トンばかりの單位ではなかなか毛や人絹に対抗できませんが、十万トン、二十万トンの
設備でやるということになりますと、相当採算がよくな
つて来る。併しこれは
銀行でやろうというと、
ビニロンの将来ということを
考えると危惧の念を起すという場合に、よく研究してこれならば当座はあれだけれども、四、五年先、七、八年先は
繊維関係に非常に好影響を及ぼすというふうなこともあるのであります。そこで
只今御
説明申上げましたように、
一般の
銀行がこれは危ないというときに、
開発銀行が調査して、よし一緒にやろうということになれば
開発になるわけなんです。それでそういうものは他の
銀行の融資を奨励するということになります。それからこれは
資金の性質でございますが、今度は
資金の量から申しまして、
一つの
銀行がそんなにたくさん出ない、ほかの
銀行とシンジケートで出そうかというと、それもむずかしい。こういうときに
開発銀行が、俺のところの金を少しそつちへ廻そうというようないろいろな
方法、單なるコンマーシヤル・ベースだけでなしに、大きい
国策という
意味からい
つて是非必要があるという
事業があるわけであります。そういうときにはこの
開発銀行を……、こう申しますと
危險なところでも出すかというと、
危險なところへ出すというわけではありません。有効なところに大担に出そうというのがこの
考え方であります。