○山田節男君 国有財産の問題について
質問申上げたいと思います。御
承知のように昨年の六月に旧軍港の転換法が制定されまして、爾来この四軍港の平和産業都市としての転換について
政府もこれに対していろいろ助力を仰いでおるわけであります。昨年末並びに今年の正月に舞鶴、佐世保、呉等の転換
状況の実際を見たのでありますが、その結果これは
大蔵大臣並びに会計検査院、それから
運輸大臣、いろいろ
質問をして所見を質さなく
ちやならんような事実がありますので、こういう点を中心として
質問いたしたいと思います。
御
承知のように何故旧軍港の転換法のようなものが制定されたかと申しますと、この横須賀を含めた四つの大軍港は日本のいわゆる軍国主義のはなやかな時代に大海軍建設のために一寒漁村からして発達したのであります。これらの四軍港都市はすべて海軍の発達に正比例して発展したものであります。ところが戰争によ
つてこれらの関係四軍港は存在の理由を失
つたのであります。これらの四軍港の厖大な軍工廠施設は国有財産となり
大蔵省の管下にある。それを一〇〇%この施設を発揮してこれらのさびれた都市の産業を開発せしめたいというのが転換法の根本精神であ
つたのであります。ところがこの国有財産の管理上いろいろな問題があります。御
承知のように転換法によ
つて審議会も設定されておりますが、根本的にはやはり国有財産法或いは会計検査院等の実際的な部面の何と申しますか処理、或いはその検査等において相当な隘路があるということを発見いたしましたので、実は
政府の所信を質したいと思うのであります。これらの四つの軍港は横須賀の旧軍港を除けまして、他は舞鶴におきましては飯野造船、呉におきましては播磨ドツク、それから佐世保におきましては佐世保船舶工業、この民間業者があの賠償工廠を保全管理してそうして経営をや
つておるわけであります。そういう
状態を実地に見まして、私どもこの転換法の根本精神から見て非常にハンディキャツプを覚えまして、経営困難な
状態にある。この点について先ず第一にお聞きしたいのでありますが、この旧海軍工廠がいわゆる賠償指定工場とな
つておるのでありますが、この管理について、勿論この賠償指定工場が国有財産であるのにつきましてはこれは国が管理しておるのであります。民間の賠償指定の工場についてはこれは民間がするのが当然であります。その国有財産の賠償の指定工場であ
つてもこれを一時使用の許可を得て使用しておるこれらの造船関係の会社が、その工場施設の使用率が三〇%を超えたものに対しては使用者が全部管理保全の負担をしなく
ちやならん、こういうことにな
つておるのであります。その実際を見ますると、先ず第一にこの賠償工場の管理の問題でありますが、この保全管理のためにはこれらの三つの工場にはいわゆる警備要員、ガードが置いてある。そうしてこれは従来終戰処理費の中から賠償のいろいろな管理のために金が出されてお
つたのであります。例えば、例えばじやございません、多くの工場において行われてお
つたのでありますが、昨年の六月二日に例のC・P・C(シビル・プロパティ・カストーデアン)でありますかの覚書が出まして、賠償施設の三〇%以上を使用しておるものは、この保全に必要な警備員を雇うに要する経費を全部負担せよ、こういうことにな
つて、又稼働率が三〇%以下であ
つても使用機械が工場の中心施設の重要機械である場合には、その工場は施設の三〇%以上を使用しておるものとみなされまして、全施設の保全に必要な全経費を負担すべしとこういうことにな
つておる。三〇%以下の場合にはこれは使用率に正比例してその管理費を負担する。こういうことになりました結果、これらの賠償工場を経営しておりまする諸会社は、従来終戰処理費によ
つて賄
つておりましたけれども、全部会社が負担しなければならないということにな
つたのであります。更に昨年十一月の三日付で、これは九州の民事部で佐世保船舶で出ていますが、これを見ますと今度は單に賠償工場の保安のみでなく建物の保守、こういうようなもの、或いは現在使
つてない機械をもこれを手入をしなく
ちやならんということになりまして、この場合におきまして三〇%或いはそれ以上の使用中の工場に対しては、建物の保守或いは使
つてない機械に対する手入もしなく
ちやならん。稼働率三〇%以下の工場はその稼働率に応じて手入、建物の修理の費用を分担することを要するとこういうような規定が出ておるのであります。かような結果、保安保守というような部面をこういうような会社が直接負担しなく
ちやならん。こういうような結果になりまして、いろいろこの経理
状態を我々行
つて調べてみますというとこれがために非常な負担になる。殊にこれは賠償指定にな
つておりまする機械の手入或いはこの警備要員を使
つて保全をするためには、一般の企業形態の通念からすれば実に低調極まることを要求されておるのであります。それがためにこれらの負担が非常に多いのでありまして、我々素人から見てもこれではとても経営がな
つて行かない。これは申すまでもなく賠償問題は国家の
責任である。賠償の対象物はこれは国有財産であります。当然これは国家が負担すべきものである。然るに実際においてそういう業者に負担さしておる。これも單なる覚書だとか指令的なものであ
つて 国内的には何らこれは業者に対して強制すべきものではない。それを
大蔵省では直接に工場にやらしている。こういうような点が私は経営上から見て非常に矛盾した点があるのではないか。殊に今日のようにあらゆる面において産業の復興開発が非常に強く要望されているのに、これがために非常な重荷を背負
つて、又ハンディキャップを負わされ、普通の会社経営としてはや
つて行けない。これは常識としてもわかるのでありますが、こういう点につきましてこの転換法の
趣旨から見ましても実際においてこの産業がこういう旧軍港市の発展しないような、
一つのチエックというようなことにな
つておりますが、こういうような点について
大蔵大臣はこの転換法の立法の精神に基きまして結果が非常にもと
つておるという点につきまして、
大蔵大臣はどういう御見解をお持ちになるか、先ずその点をお伺いしたいと思うのであります。