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1951-03-17 第10回国会 参議院 予算委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月十七日(土曜日)    午前十時五十五分開会   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○本委員会運営に関する件 ○昭和二十六年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和二十六年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和二十六年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付) ○小委員の選任の件   ―――――――――――――
  2. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) それでは予算委員会に入ります。最初に、どうも予算委員会の進行が非常に遅れております。委員長として非常に残念な点なんでありますが、政府側がどうも協力しない。予算審議に……。(「その通り」と呼ぶ者あり)今日も午前十時から始めるということをちやんと通告してあるのに、今十時五十五分です。五十五分間我々を空費させておる。で、今郵政大臣が来られましたので、私から御質問申上げたいと思うのですが、国務大臣としての答弁を求めます。政府側一体この参議院予算委員会に対して、どういう態度をとつておられるのか、先ずお伺いしたい。
  3. 田村文吉

    国務大臣田村文吉君) 政府側予算委員会に対して甚だ冷淡ではないかというようなお尋ねでありまするが、決してそういうふうな気持は毛頭ないのであります。本日は私やむを得ない用がありまして遅くなりまして、その前にどなたか出ておられると、こう考えておつたのでありますので、ついやむを得ず遅くなりましたのでございます。決して政府としてはさような考えは毛頭ないことを申上げて置きます。
  4. 内村清次

    内村清次君 只今委員長の御発言は、これはもう当然なことであります。それに対する今郵政大臣お話個人答弁であるか、或いは又政府としての、これは一つの決して予算委員会を軽視しておらないというお話でありますか、まとまつた代表的なお話であるか、少しもわからない。それであなた自体はもうすでに五十分も遅れて来ていらつしやるし、而も発言の中でも、もう他の大臣が来ているだろうと思つて来たと、こういう御発言です。そういうように本当にまとまつた政府の御態度答弁であるか何かこれは明確にしてもらわなければ困る、政府としてそのようなことはないとおつしやるが、言葉は最初はきれいであるけたども、実際に連絡がとれておちない。この点を今一つ、これは代表としての政府の即ち一貫した方針としての御答弁であるかどうか、又個人的に決して予算委員会対するところの態度は軽視してはおらないという御答弁であるか、その点を明確にしてもらいたい。
  5. 田村文吉

    国務大臣田村文吉君) 只今申上げましたことは、私個人だけの問題ではありませんので、閣僚種々集まりました場合にも、常にそのことについての善処かたを要望もされ、又みんながそういうつもりでおるのであります。或いは行違い等がありまして、十分に皆さんの御満足の行くような企図された時間に出席できなかつたような場合もあるかも知れませんが、意思閣僚全般として尊重しなければならん、又できるだけ都合して出席することを考えていることを考えている、そういうことと御了承頂きたいと思います。
  6. 内村清次

    内村清次君 委員長が先ほど注意されたことは、これはよくよくのことです。もう委員長といたしまして、相当この閣僚出席問題については心配されている、而も又注意もされている。それはもう私も、又総理発言の問題から、又閣僚出席の問題から、相当私はこの委員会におきましては、注意を喚起しておるはずです。それがただあなたのおつしやることは、政府の一連として、そういう御態度であるというようなことであるとしたならば、委員長只今注意というものは、もうそれはなくして実行ができておるはずだと思うのです。それをよくよくの御注意に対して、あなたのほうでは、やはり現実におきまして、ほかの要求した大臣も出て来ない今日において、ただ政府を代表しておつしやるというようなその御態度は、一つ私は連絡がとれておらん証拠だと思うのです。これは一つ政府のほうにおきましても厳重に、もうすでに審議あと幾ばくもないという段階でありますから、この点は十分一つ注意をして頂きたいと思います。
  7. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 只今官房長官が見えましたから、ちよつと私から申上げたいのであります。今日午前十時から予算委員会開会するということは、もうずつと以前から政府連絡してある。そうして今日は大蔵大臣安本長官農林大臣文部大臣運輸大臣厚生大臣郵政大臣出席を求めておつたのであります。ところで我々十時に集まつてつておりましても、そうして再度事務当局を通じて出席を要求しておる。併し出て来ない、誰も……。農林大臣旅行中である。文部大臣病気である。運輸大臣病気である。運輸大臣はまだ一度もこの予算委員会には出席しておりません。待つうちに五十五分になつて郵政大臣が来られた。国務大臣としての郵政大臣に対して、参議院予算委員会政府側ではどう考えておるかという質疑委員長からした。それに対して軽視しているわけじやないという通り一遍の御答弁があつた。併し我々は五十五分間待つているわけなんでありますが、官房長官に今後どういうふうにこの予算委員会大臣出席させる努力をなされるかという点をお尋ねをしたいと思います。
  8. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 只今委員長の御発言に対しては誠に恐縮に存じます。ただ運輸大臣はずつと病気鉄道病院に入院しておりまして、まだ回復いたしておりません。この参議院予算委員会が始まりまする少し前から入院中であります。もう大変よくなつたとは言いますものの、まだ暫らく静養を要するので、未だに入院しております。文部大臣は少し風邪を引いたあとがラツセルが聞えるというので、医者から注意されまして、先週及び今週一ぱいこれは自宅で静養しておられますが、今のところは今週一ぱいで出られるのじやないかという見込みのようでありまして、今日明日たてばはつきりしたことはわかりますが、来週からは出られるのじやないかと思つております。農林大臣は昨日の晩から今日だと思いますが、何かよんどころないことで旅行に出かけたわけであります。ほかの閣僚が未だに出て来ないのは私甚だ申わけありませんが、ちよつとほかのことをしておりまして連絡しておりませんので、今お答えができませんが、至急探しまして連れて来るようにします。なおこれは私のほうからも内閣総務課長には申してあるのでございますが、委員会のほう、参議院事務のほうにも連絡してありまして、予算委員会に対しての閣僚出席要求は前に私のほうへ届けるようにということを言つておるのですが、ついてときどき連絡不十分で遅延していることがあるわけであります。誠に恐縮に堪えません。これからできるだけ気を付けて御趣旨に副うようにいたしたいと思います。
  9. 岩間正男

    岩間正男君 どうも只今官房長官答弁を聞いたのでありますけれども、政府側の誠意というものは感じられない。田村郵政相は尊重する意思だというようなことを先も言われたのでありますが、意思だとか、何だとかいうことは問題じやない。実際出て来なきやならない。而も今日は一昨日の理事会でも打合せしたのでありますけれども、最終なんです。通告質問最終日に当るのであります。昨日も続行しようかというような話があつたのでありますが、昨日は幣原前衆議院議長の葬儀に当つて恐らく閣僚においても都合があつて出席されないだろうというこつちの、当委員会の慮りの結果、これはもう委員会を一日休む、併し今日は全部集中して、全閣僚出席を求める。これは質問が全く今度の委員会質問というものは肝腎のところに触れていない。私に関する限りでありますが、自分で質問準備をしたものの五分の一も果していない。重要なことは殆んど触れていない。こういうことで本日を以て一般通告質問を終る、こういうことになるわけですから、質疑に全部力を集中してやつて頂きたいということを理事会では、これは委員長にもお願いしたわけです。只今聞きますと、事務のほうから通達をされた、然るに先ほどから問題になつているような状態であります。一体政府は本当に参議院予算審議というものに熱意を持つておられるのであるか、或いはもう二十八日が来れば、当然時間切れになるから、まあ何とかなるだろう。これが下の肚の底の考えであるか、只今ここに来て、この段階のところに来て言つているのは余り芳ばしくないのでありますけれども、もう一度政府のそういう一体肚はつきり聞いて置きたいと思う。やつぱり参議院審議無視はつきりした具体的な現われではないか。殊に病気というようなことを言われますが、病気大臣を無理に我々としては、そこまで出席を要求するつもりはないのでありますけれども、廣川農相のごときは病気ということを口実に何日か今までの出席に応じておらない。而も昨日なんか見るというと、ちやんと院内に現われて政治行動をやつている、登院している、甚だどうも滑稽と言わざるを得ない。公式の重要な審議に対しては、これはサボつて置いて、そうして党のそういうような仕事についてはやつている。そういうようなことは天下周知の事実なんです。こういう点に一体、こういう形でいいのかどうか、もう一回官房長官として責任ある答弁を願いたい。
  10. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 私の承知しておりますところでは、廣川農林大臣は最近ずつと余り健康は優れないのでありまして(笑声)ときどき腹痛を起したり、風邪を引いたり(笑声)これは事実そうなんであります。(「うまいことを言つている」と呼ぶものあり)或いはそういうことにぶつかつたこともあるのでありますが、今後は私が通告を受けました閣僚に対しては責任を以て出席をさせるように取計らうつもりでおります。
  11. 岩間正男

    岩間正男君 ときどき腹痛を起したりやるのは我々もそうなんだ。実際これはそんなに違いないと思う。相当無理して、注射を打つたりして、打ち続けてやつているのですから、お互いにやはり重要な問題を審議するためにやるのだから、これは是非励行してもらいたい。どうも併し我々の見るところでは腹痛を起しているにしては誠に元気がいい。 (笑声)どうも了承できない。(「共産党非合法か」と呼ぶ者あり、笑声)こういうことは、これは笑い話じやない。実際問題として甚だ怪しからん。
  12. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 私も重ねて今委員長あら言われましたことにつきまして、予算審議あとを顧みて見ますると、非常に遺憾な点が多いと思うのであります。岩間委員から病気大臣はしようがないというお話があつたのでありますが、運輸大臣衆議院におきましても殆んど御出席になつて答弁なすつていられません。それから参議院におきましては、一回ちよつとお現われになつたようでありますが、総理大臣質疑中に退席されて、一回もそのことについて御質疑に応じておられません。而も一方におきまして、船舶の増強は率直に申して現在一番重要な問題の一つであります。なお新線の計上も初めて本国会にお出しになつておるというふうな情勢で以て、これは一体どなたが責任をお負いになるのかという問題が起つて参ります。およそ予算審議に、国会におきまして責任を負うどなたか大臣がなくてはならないはずだ、私はこう思うのでありますが、会期中を通じましてお休みになつておる場合には、内閣として国会に対してその問題について責任を負う大臣がなくてはならないはずだ、こう思うのが第一点であります。第二点は、岩間委員が指摘されたのでありますが、予算に関連あります重要法案が出て参つておらないのであります。大蔵大臣はその施政方針におきまして、長期金融の柱として開発銀行を演説しておられるのであります。で、最近の予算審議を通じまして考えますことは、要するに予算そのものよりも、貿易から来ますとか、或いは金融問題から来ますとか、そういう国民経済との繋がりにおけるそういう問題が重要なんであります。で、それについて新聞紙はいろいろと伝えておるのでありますが、内容的なものはこの予算委員会については言つておられない。それから緊要物資輸入基金特別会計の問題につきましても、新らしく設置されておるのでありますが、この問題についても同様であります。殊に我々は事前に成るべく大臣出席の回数を少くして、事務の進捗を図ろうという考えかたから、事前審査を相当やつておるのでありますが、緊要物資輸入基金特別会計につきましては、通産省は事前審査において、これはまだ海のものとも、山のものともわからないのだ、内容は言えないのだ、言う段になつていないのだ、こう言われておるのでありますが、これも大蔵大臣財政演説については一つの大きな項目として取上げられておるわけであります。そのほか対日援助見返資金特別会計経済再建費、歳出の部の経済再建及び安定費七百五十四億というものは、まるで白紙委任状のごとくなつておる。全然内容も朗らかにされていない、こういうふうな状況であります。こういうことを数え挙げますると、たくさんございまするが、時間が長くなりまするからやめますが、併しこういうふうな重要な問題が今日から分科に入るという事前政府が出されておらないということは、私ども予算審議に忠実ならんとしても忠実なることができないのであります。その責任政府にありと断ぜざるを得ないと、こう私は考えるのであります。これらにつきまして、私は岡崎官房長官おいでになるのでありますが、第一、第二の点につきまして、ここで御答弁になる以外に、御答弁に一応なつて頂きたいと思いますが、委員長から更にこの問題につきましては、内閣に対して嚴重なる警告の下に、予算審議が円滑にできないときには、実際我々として、予算委員として忠実になろうとしてもできないということを申上げざるを得ないのであります。以上であります。
  13. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 只今堀木さんのお話の第一点につきましては、運輸大臣は突発的な病気になつたのでありまして、我々も今日よくなるか、明日よくなるかと思つてつておるような次第であります。恐らく今会期中には、無論恢復して登院されることを期待しております。そこで、その間はいろいろ重要な問題がありまして、政府としても困つておるのでありますが、幸いにして非常に有能な政務次官がおられますので、取りあえず政務次官大臣代理を勤めてもらうということにしております。なお第二の点につきましては、これは大蔵政府委員のほうで詳しくお話申上げることといたしますが、開発銀行法案等も今折角急いで準備中でありますので、これが順調に行けば来週中にも提出できるのじやないかと私は期待しております。その他の問題については、私よりも政府委員のほうが正確に御答弁できると思いますから、必要あらば政府委員一つ願いたいと思います。
  14. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 岡崎官房長官が何と申しますか、運輸大臣病気であるが、今出られるか、今出られるかと思つてつたら延びたと言われますが、少くとも内閣国会に対して責任があると思うのであります。そうすると、内閣はその大臣によつて構成されておるのですから、事務の如何に練達堪能な政府次官がおられましても、当然国務大臣としては、職務を執行される人がおいでになつて御説明にならなければならない問題だと思いますが、この点は如何ですか。
  15. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 原則的にはそのように考えておりますが、一時病気の場合には、これは政府次官十分代理を勤め得ることと思つております。
  16. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 国会は昨年の十二月から始まつておるのでありますが、運輸大臣は先ほど申上げた通り状態なのでありますが、それで以て一時的であると、こういうふうなお考えでしようか。そういうふうにあの憲法の規定をお考えになるのでしようか、その点を伺いたいと思います。
  17. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) やはり私は運輸大臣病気は一時的なものでありますので、先ほど申上げた通りで差支えないと考えております。
  18. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 そうすると、運輸大臣は必ず議会に出て、国務について責任を持つてなさる時間があるということを交渉し、はつきりさせた上でそれをおつしやるのでありましようか。どうでしようか。
  19. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 今日の様子では、運輸大臣は非常に快方に向われまして、あと一両日静養すれば、出席、登院できるような状態じやないかと考えております。それで来週の初めには登院されるものと思いますが、外出もできるものと期待しておりますので、さよう御承知願います。
  20. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 私は特に病気のどうしても出られない大臣に出てもらうということを要請しておるのではありませんが、内閣として、国会開会中にずつと責任ある御答弁ができない国務大臣がおられることは、内閣として当然処置すべきことがあるのじやないか、それこそ先ほど国会に対して責任を負い、国会審議を尊重するとおつしやつても、ずつと三ヵ月に亘つてそのままにあること自身が、お話になることと現実とが違つておるのじやないか、こういうふうに私は考えざるを得ない、こう思うのでありますが、今おつしやいましたのは、運輸大臣病気が軽微であつて、もうじき出られる、こういうふうなお考えでありましようか、どうでありましようか、或いは出られない場合には何らかの御措置をお考えになるでありましようか、その点について重ねてお尋ねいたします。
  21. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 先ほど申しましたように、運輸大臣は恐らく来週初めには登院できるという状況にあると思います。従つて一時は大分苦痛のようでありましたが、今はもう殆んど恢復に近い状況でありますので、これは一時的のものと考えます。従いまして運輸大臣代り閣僚を任命するという必要は今のところないと考えます。
  22. 岩間正男

    岩間正男君 今の問題は今後の問題というよりも、今までの態勢の問題だと思います。衆議院にも殆んど無関心で顔を見せられなかつた、それから当院の審議は殆んどもう終ろうとしておる、一般質問は……。あと分科会あとは総括、ですからもう非常に…、先ほど態勢を一時的というようなお話、これは非常に変じやないか、そんなに一時的ということは長いことですか、それについてちやんとした態勢をとられない、そこに問題があるのじやないのですか。これはどうなんですか、伺つて置きます。
  23. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 普通これを、例えば閣僚の一人が外国に出かける、何ヵ月かこれは国内におらないというようなことがはつきりいたします場合は、たとえこれが比較的短期であつても、はつきりこれだけの期間は国内におられないということになれば、代理閣僚を任命することは当然と思いますが、或いは当然といつては間違いかも知れませんが、代理閣僚が必要とあらば任命すべきでありましようが、病気の場合には我々は、速かに治ることを期待しておるのでありまして、それをもう治らないものとして代理を任命するというのは、甚だどうも病気大臣に対しても酷でありまし、又病気といえども、病状によりましては、病院の中で事務のことその他について指図も話もできるのであります。これは前例もありまするから、普通の病気のときは代り閣僚を任命する必要は今のところないと考えております。   ―――――――――――――
  24. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) それではこれより質疑に入ります。郵政大臣厚生大臣出席しております。
  25. 岩間正男

    岩間正男君 田村郵政相にお伺いしたいと思いますが、実はこの私の質問池田蔵相が見えられて立会の上でお聞きしたい、こういうふうにまあ考えておつたのでありますが、まだ蔵相が見えませんので、郵政相に取あえず聞きたいと思います。それはほかでもない、現在問題になつておりますところの預金部資金の問題でありますが、これが資金運用部というようなことになつて、この運用の仕方が全部従来の性格が一変されて来る問題でありますが、これに対しましては、これは郵政大臣としまして、大蔵省に全部このような零細な資金がまとめられて、そうして強力な今後運営措置がとられる、こういうことに対しましては、これは田村郵政相はどういうふうに考えておられるのでありますか。そうして又それに対してどのような対策をお持ちになつているのでありますか。先ずこの点をお伺いしたいと思います。
  26. 田村文吉

    国務大臣田村文吉君) 今岩間委員からお尋ねのありましたのは、資金運用部資金法案提出につきまして、郵政大臣はどう考えるかということでありますが、これは御承知通り、問題になつているのは簡易保険積立金運用問題であろうかと思います。これは御承知のように、昔は全部郵政省簡易保険局が主としてこれらの運用に当つてつたのでありまするが、戦時中資金を統一して運用する必要があるということで、全部大蔵省預金部にまとめて運用して参つたのであります。終戦になりましてからも、あちらさんからのメモランダムによりまして、引続き保険金大蔵省において、預金部において運用する、こういうふうの経過になつて今日に及んでおつたわけであります。その間国会におきましては、保険事業独立採算及び事業経営の本体から考えて、郵政省保険部において運用することが当然でないかということで、衆議院におきましても、参議院におきましても御決議がありまして、なおその線に従いまして、閣議でも二回そういうことで決定いたしたのであります。その趣旨に則りまして、昨年来、先に出ておりました司令部メモランダムの修正と申しますか、撤回して頂くように努力して参つてつたのでありましだが、逐にそのような運びに立至りませんで、昨年の十一月の二十一日にドツジ・メモランダムが発せられまして、引続きこれは大蔵省において運用する、而もその構成は在来の預金部を改めて資金運用部資金として統一して行くことが正しい、こういうようなメモランダムが参つたわけであります。そこで郵政省のほうから考えますというと、これは国会でも再度御決議願つた通り簡易保険金運用は、やはりその金を集めて来る保険局において運用する、即ち郵政省運用することがノーマルの状態である、こういうふうに考え、又そのことが保険事業を盛んにするためには必要である、こういうふうの考えかたで進んで参つてつたのでありましたが、たまたまさようなことでございまするので、やむを得ずこれは資金運用部において統一されて運用されるということにいたしまして、今般資金運用部資金法がその意味を含めて提出せられた、こういう次第であります。
  27. 岩間正男

    岩間正男君 これは郵政大臣としては、これに対しまして、何ですか、当然これはこの性格から見まして、零細な大衆のそういう預貯金である、そういう資金は一面から言つて、今後そういうような募集を強化する面からいつても、そういう当然大衆から集められたもので、大衆幅利増進、こういうものに使うのが本筋である。こういうような輿論が非常に、これは下から又関係者の間から広汎に起つておると思います。現に我々もそういうようないろいろな郵便局局長さんあたりからの、そういうような要請さえ受けておるわけなんです。是非これは簡單にやつてもらいたい、大臣としてはそれをどうお考えになつておりますか、その点先ず質して見たいと思います。
  28. 田村文吉

    国務大臣田村文吉君) 只今申上げました通りでありますが、今岩間さんの御質問のうちに、貯金の問題も含めてのお話があつたようですが、これは御承知通り昔からのこれはしきたりと申しますか、歴史から申しまして、いわゆる郵便貯金の金は預金部において過去ずつと運用して参つたのでありますが、今問題の多分各郵便局長あたりから陳情もありますということは、保険の金の問題じやないかと思います。こう考えるのであります。保険事業の上から申しますると、金を集めるところがこれを運用するということが普通の型でありますし、又今申上げたように、事業の発展のためにはそのほうがよろしい、こういうふうに考えておりますから、国会でも二回も両院で御決議もあつた、こういうことと承知しておるのであります。その点は無論そのほうがよろしいと私は考えておるのでありますが、今申上げましたように、大きな他の国の全体の資金計画の上から考えまして、資金部にまとめたほうがいい、こういうことでドツジ・メモランダムが出ましたので、それに従つてやむを得ない、こういうふうに考えておるわけであります。
  29. 岩間正男

    岩間正男君 やむを得ないというようなことで、これは郵政相はそこを努力される覚悟を持つていられないのでありますか。非常に大衆の要求は強いし、軍にこれはそういう預貯金者側の間でなくて、これに対しては関係者が皆そういう要求をしておると思います。これは実際集める側、それから今申しました郵便局の側、或いは又郵政省のそういう関係者も又皆そういうような意見を持つておると思います。更にこれは先ほどの説明にもありましたように、第五、第七国会なんかでは院議を以てとのことが決定されておる。そういうのに、これはそういうような要求に対しまして、郵政相としてはどうしてもこれはメモランダムの線でやつて行かなくちやならないのだ、何とも仕方がないのか、こういうふうにこれはお考えになりますか。
  30. 田村文吉

    国務大臣田村文吉君) その通りであります。
  31. 岩間正男

    岩間正男君 そうしますと、それによつて、いろいろなこの下の要求にそぐわない問題が非常に起つて来るのでありますけれども、そういう問題はどういうふうに処置されますか。
  32. 田村文吉

    国務大臣田村文吉君) 大きな国策の線から見てやむを得ないことであると、こう考えましたので、さようなことにして今度の法案を提出した次第であります。
  33. 岩間正男

    岩間正男君 その大きな国策というのはどういうことですか、大体そういうような方向で、これは貯金性格から、どうしてもこれは地方還元というような方向が殆んど今までの輿論としては大きく動いておる。然るにどうしてもこの大きな国策の面、こういう面からの要請があつて何ともならない、こういうお話なんでありますが、そうしますと、民主的に下からいろいろな輿論が起つて来て、殆んど国会におきましても、そういう意思がしばしば表明されておるのに対して、どうしても大きな国策というのですが、その国策そのものが納得行かない、我々の考えからしましても、当然これは大衆の預金を集めたものでありますから、これの福利増進のために使うのは当然である。殊に現在問題になつておりまするところの地方財政の逼迫の状況、こういうところに対して、これは公共事業費の立場なんかから言いまして、地方債の増額が非常に要求されておる、これに対しまして、大幅にこれは削減されておる、そういうような要求、更にまあ厚生とか、農林とか、こういうような面におきましても、地方財政の現状から鑑みまするときに、こういうような預金は当然還元される、こういうことが要望されていて、又これが最も正しい線じやないか、こういうふうに考えられるのでございますが、そういうような大衆のこの要求が無視されまして、大きな国策というのでありますが、大衆の要求から離れた国策というのは一体何でありますか、この性格が私たちはわからない、この点を納得の行くように一つ御説明を頂きたいのでありますが、そのいわゆる大きな国策の面からというもの、そうしてすでにまあ大体今まで郵政省としても、そういうような意向で下からの要求をどうしても貫徹するような方向で進んでおられたと思うのでありますけれども、ここに来て、これに何とも上からのそういう要請だから仕方がないということで逃げていられる、こういうことで、やはりこれは郵政の大きな大衆の要望を担つた仕事というものは果せない、こういうふうに私は考えるのでありますが、そこに何か橘勢の変化があるのでありますか、その点をはつきり我々の納得の行くように示して頂きたいと思います。
  34. 田村文吉

    国務大臣田村文吉君) 岩間さんの御納得の行くまでの御説明はできないかも知れませんけれども、これは資金を一ヵ所に統一して運用する、こういうことが根本のドツジ・メモランダム趣旨になつておりますので、これは在来も戦争中も戦争後の今日までも実はそうなつておるのであります。でありまするが、保険事業自体から考えるというと、自分で金を集めて自分で運用することのほうが事業自体としては自然であり、而も又事業を発展させることに都合がいい、こういうことでありますから、この業務に従つておるものとしては、みずから集め、みずから散ずる、こういうことをとりたい。こう考えるのでありますけれども、今の問題はさような大きな資金を統一して運用する、こういう過去にやつて来ておるそのままを依然として続けて行こう、よういうことにあるのでありまして、今の納得を、岩間さんがどの辺がどうということの御納得の問題は困難かも知れませんが、趣旨はそこにありますので、なお資金をなぜ統一して運用することが必要であるか、それにつきましては、なお大蔵大臣から詳細お聞取りを頂きたいと、こう考えます。
  35. 岩間正男

    岩間正男君 戦争中もそうであつて現在行われておる、だからまあやむを得ないじやないかというような御答弁のように聞いたのでありますが、これはどうも私は納得できない、戦争中は御承知のようにそういうような資金運用の仕方がやはり戦争と大きな関係があつて、これは問題になつて、そうしてその性格をだんだんこれは民主的に運用する方向に戻された、そこに大きな狙いがあつたと思うのでありますが、そうしますと、今の田村郵政相の御答弁では、やはり何ともこれはそういうような態勢に今なつておるのでやむを得ない、どうも国内態勢が再び戦争前のような態勢に戻つてつておるからやむを得ないのだ、こういうふうに聞えるのでありますけれども、この点如何ですか。
  36. 田村文吉

    国務大臣田村文吉君) さような今の非常事態が緊迫しておるから、どうこうというような意味では全然ありませんが、今の趣旨資金があそこからもここからも出る、今岩間さんの実例として挙げられました小さな、例えば地方の地方債の問題等でありますが、若し別にこれを運用したらばよく出るのじやないかというようなお考えもあるかも知れませんが、今日では地方債の額は幾らということで、大体大きな枠ができてやつているのでありまするから、仮に直接預金部運用するといたしましても、大きな国策を外してどうこうということには参るまい、こう考えております。
  37. 岩間正男

    岩間正男君 大体今の情勢によつて、どうしても大きな国策の立場というのでありますが、今度の運用部の資金計画を見ますというと、これは地方債には僅か四百億であります。併しながら特別会計への貸付、それから金融債への四百億、それから次年度繰越しの四百三十億、この金融債の問題につきましては、これは昨日の新聞あたりですか、これは幾分四百億より減額されるということが新聞に出ておつたのでありますけれども、これは河野主計局長から伺うとしまして、どうも性格が、地方の今申しました金融債とか、それから次年度繰越し、こういうような資金性格を見ますというと、これは直接国民の福利厚生、こういう面には余り影響のないような面、つまりむしろに逆にそれによつて金融を強化し、そうして日本産業を大きく新らしい態勢の中に統一して行く。こういうような金融強化の方向に資金部預金が利用されている、こういう性格はつきり出ているのでありますが、こういう点について田村郵政相はどういうふうに検討され、そうして只今のような頬かぶり答弁では私は納得できないのでありますけれども、こういうような性格につきまして、一体どういうふうに考えておられますか、この点を承わりたいと思うのであります。
  38. 田村文吉

    国務大臣田村文吉君) 頬かぶりも何もいたしておりませんが、今の資金運用についてのいろいろの御意見もあることと私は考えます。それにつきましての資金運用部資金法が提案されておりますけれども、国会において十分の御審議が願えればと考えておりますのでありまして、今のその先の地方債が幾らどうこということについての御答弁は、大蔵大臣からされることが穏当であると考えますので、私からの御答弁は差控えさして頂きます。
  39. 岩間正男

    岩間正男君 併しこれについては、やはりそういう担当しておる所管大臣責任におきまして、それがどう使われるか、こういう面につきまして、これは一つの意見を伺つて置きたいのでありますけれども、その点は如何でありますか。無論大蔵大臣にも伺いますけれども、今問題になつているこの点は論争の中心になつておるのでありましてて、これの資金運用性格が大きな問題になるというふうに考えられますが、これについて郵政相一体どういういうふうに思つておられるか、その点を伺いたい。
  40. 田村文吉

    国務大臣田村文吉君) 郵政省といたしましては、貯金事業にいたしましても、保険事業にいたしましても、これが一番先に考えられることは、第一に安全であるということ、それから第二に、それが有利に運用されまして、幾らかでも預貯金者或いは保険者の利益になるということが一番大事なことであるということは、これはドツジ、メモランダムにも、あるのであります。私もその点は同感であります。併しその資金をどう運用するかということにつきましては、資金部運用に関する審議会もでき上るのでありますし、その上に十分に検討し、又皆さんの意のあるところを尊重して運用さるべきだと、こういうふうに考えておりますが、それらの細かい問題は、やはり大蔵大臣から御答弁されたほうが適当と考えます。
  41. 岩間正男

    岩間正男君 私は細かい問題とは思つておりません。非常に大きな性格を含んでおると思つてつたのであります。非常にそれに対して具体的の御意見をお聞きすることができなくて、非常に要点を避けておられると思います。それでは大蔵大臣見えておりませんか……。資金運用内容について、大体見返資金に二百七十億肩代りされておる、これはなぜ一体こういう必要があるのか。それから金融債に四百倍運用されるのでありますが、これについてはどういうふうにこれはきまつたのでありますか。さつきもお聞きしたのですが、少し減るようなことが新聞に出ておつたのでありますが、それから四百三十億というような繰越金が見込まれておるのでありますが、これはなぜこんなに一方的に地方債に対する非常に大きな要望があつたにかかわらず、こういうような繰越金がここに大きく残されることが必要なんでありますか。 この点伺いたい。
  42. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 二百七十倍の肩代りは、これは鉄道通信で見返資金から借りておつたものであります。これを見返資金の一般の私企業の融資その他等に相当の金が要る、又かたがた預金部におきましても、相当の余裕金がございますので、これを預金部のほうで引取つて代りをいたしたわけであります。    〔委員長退席、理事 東隆君委員長席に着く〕  それから金融債の四百億でありますが、これは引受の対象になる銀行金融機関はいろいろございまして、時局的に考えまして、緊要な産業に資金を供給するため金融債の肩代りを引受けたわけであります。只今のところ四百億の内訳というものは特にきまつておるわけではないのであります。造船等のために相当の資金を必要といたしますので、その方面に向けるという部面も多少ございまして、目下改めて計画を検討しておる状態でございます。四百三十億の繰越しと申しますか、これは前年度におきましても、その程度の繰越しを持つてつたわけであります。今度は資金運用部になるわけでありますが、全然現金を持たずに仕事をして行くわけには行かないのでありまして、郵便貯金の払戻しもあり、その他の関係もあつて、或る度程の手許現金はどうしても必要なのであります。四百三十億というのは、たしか前年度の繰越しと大体同額でありますが、この金額でありましても、必ずしも岩間さんのおつしやるように遊んでおるわけでないのでありまして、食糧証券、外為証券というようなものも持つておるので、いわゆる短期の証券を直ちに現金化し得るというような態勢をとつておるわけであります。決して遊んでおる金ではないということを御了承願いたい。
  43. 岩間正男

    岩間正男君 見返資金の肩代りでありますが、なぜこのように預金部資金というようなものに肩代りして、見返資金のほうの運用余力というものを非常に増大させる傾向をとつておるのでありますか、こういう点が一点と、金融債については、どういうふうな使用方法をとるかということは明細にわからないというのでありますが、その一つとして造船なんかの例を挙げられたのでありますが、どこの銀行のどんなものを引受けになるのでありますか。更に融資の場合は銀行がこれは自由にやれるのであるか、それに対して紐付きになるのであるか、つりま金融債の運用に対してどういうふうにこれは今後運用されるのでありますか、そういう点についてお聞きしたいと思います。
  44. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 二百七十億の問題でありますが、見返資金から出しておりますのは、これは鉄道、通信とも公企業でありますから、これに対する貸付というものは一種の国債のようなものであります。国債に近いものであります。見返資金の性質が、まあこれはいろいろ考え方がありますが、日本経済の再建復興のために必要な資金ということになつておるので、その目的を限る必要は必ずしもないのでありまするが、預金部の従来の運用の行き方といたしましては、国債、地方債ということに原則的に限つてつたわけであります。従つて国債と殆んど同様に、通信事業に対するものは国債でありますし、鉄道に対するものは、これは形式上は国債とは言えませんかも知れませんが、従来で言えば国債と同じものであります。従つて預金部の従来の国債を運用するという方針から言つて、これは見返資金から出さずに預金部から出したほうがよかろう、こういうことにもなつたわけであります。又見返資金のほうにおいては、公企業支出その他一般私企業において相当の資金を必要とし、又預金部のほうにおきましては相当な余裕金があつた、こういうように現実の実情から来たわけであります。  それから金融債の問題でありますが、これは御承知のように、金融債、いろいろ従来の例で申しますれば、本年度は二百億やつておるわけでありますが、農林中央金庫或いは商工中央金庫、興業銀行、勧業銀行、北拓、そういつたようなところが、従来の特殊銀行、或いはそれに類したものが、大体の傾向として従来の実績を持つておりますし、従来そういうものに頼つてつたというような点もありますので、そういうようなところに大体多くは行かれるのじやないかというふうに思つております。これについて紐を付けるかということでありますが、これは金融債というものをどういうふうな目的のために発行するかという実情を見て金融するのでありまして、これに対して特に紐を付けてああやれ、こうやれということは、金融の本質上適当でないのじやないかと私は考えるのであります。私の直接の担当ではございませんが、そういうふうに考えるわけであります。
  45. 岩間正男

    岩間正男君 見返資金の肩代りの説明は私は納得できない。見返資金の大体これは繰越しから言いましても、非常にこれは多くの額がまだ残つておると思うのであります。前年度の繰越しが約一千一百億くらいにこれはなつておる。それなのにもかからわず、なおここで肩代りをさせろ、そうして見返資金をなぜここで大きく一体余力を蓄積して置かなければならないのであるか。どうも当然性格から言えば、これを預金部資金で賄うよりも当然見返資金で賄つたほうが日本経済のためになる。こういうようなものに対しましてここで肩代りしなければならないかという点が、只今の御説明だけでは我々は了承することができないと思うのであります。それから紐付きの問題でありますが、これはまあ今の説明で、大体どういうような方向にこれは投資される意向を持つておられるのであるか、そのときになつて見なければわからないというような御説明でありますけれども、これではやはり予算審議に当つては十分な資料になることはできないと思うのでありますが、大体の性格でもいいのですけれども、そういう場合についてもう一度お伺いしたいと思います。
  46. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 私は岩間さんが見返資金を公企業に出されることについて随分この前御反対があつたと思うのであります。鉄道について見返資金を出すと、これで紐が付くから困るというように御反対があつたことを覚えておるのであります。そういう御反対に対して答えたわけでは決してないので、ただ資金状況から考えて見返資金を、相当の余裕金がございますが、これとても決して遊んでおるわけではない。短期の証券を持つておりますし、それから金融全体の調節作用を営んでおるわけで、ただ形式的に金が余つているからといつて、これは余つておるんだというふうな考え方は私は取りたくないと思うのであります。理由として挙げましたことは、先ほど申上げた通りであります。  それから金融債の問題でありますが、これは私担当でないので正確に申上げかねるのでありますが、たしか債券発行に関する法律によりまして、資本金の二十倍でありましたか、そういつたことで金融債から出されるわけでありますが、これは従来出ておりますものにつきましては、農林中央金庫、これは債券を発行する場合、これがたしか二十数億でありましたか、それから商工中金でありますれば、中小企業の金融資金でありますとか、それから興銀等におきますれば、これは造船の資金、或は電力、そういつたものを選んで、まあ最近の情勢におきましては特に造船ということが緊要でありますので、二分の一は見返資金から出すけれども、あとの半分の金は金融債で以て優先的に引受けて行こう、こういうまあ政策的の方針はあるわけでありまして、又そういう方向で動いているわけでありますが、特にこれに紐を付けて干渉がましいことをするのは私は適当でないと、そう考えております。
  47. 東隆

    ○理事(東隆君) 岩間君にちよつと申上げますが、大蔵大臣は今郵政と大蔵の連合委員会出席しているので、もう十分ほどすると見える、こういうようなお話ですが、一応……。
  48. 岩間正男

    岩間正男君 それではこの問題は暫らく保留いたして置きまして、田村郵政相にお聞きしたいのでありますが、今度の予算につきまして、当然建設費の中にあります電通のほうの問題になりますが、この電通の建設費の資材の値上りということが非常に問題になつて来ると思います。これは工事量との連関で、資材の値上りをどの程度にこれはみておられるのでありますか、その点承わりたいと思います。
  49. 田村文吉

    国務大臣田村文吉君) この前の委員会で御答弁申上げて置きましたのですが、前年度の予算に三割一分ばかり、つまり昨年の八、九月頃の値上りの状況によりまして組んであります。
  50. 岩間正男

    岩間正男君 その程度でこれはまあこの前論議されたことであるのでしようが、私丁度おりませんでしたから詳しくはお聞きしないのでありますが、その程度で現在の値上りにはとても及びもつかない、そこで工事量が、非常に最初の予定より当然これは少くなると思うのでありますが、これはどの程度に見ておられますか。
  51. 田村文吉

    国務大臣田村文吉君) 電話の復旧は非常に遅れておりますが、この工事量を減らすことはしたくない、こういうのが私どもの第一の念願であります。その意味において、その後の値上りがたしか又二割くらい上つている。こういうふうに見られるのであります。この予算で取りあえず出発いたしますが、それによりましてやる上からは、在来持つております手持ちの在庫品、これをできるだけ使用する、それから古い、中古でありますが、これを或る程度まで利用を少し多くする、こういうことによつて物を節約する、こういうふうなことをできるだけいたしまして、工事量を減らさないようにしたい、こういうふうに考えております。万一なおこの物価騰貴の情勢が今後ずつと続きまして、これはとてもやれないというような場合が起りますれば、それはあとで補正予算等の必要が起るかも知れませんが、現在のところではそういう中古品の利用及び在庫品の使用、なお工事の合理化等によりまして工事量は減らさないようにして行きたい、こういう気持でおります。
  52. 岩間正男

    岩間正男君 只今の御策弁にもありましたように、それまでの値上りが二〇%、物によつてはもつとこれはオーバーしていると思うのでありますが、こういうことになりますと、只今の御趣旨のように、資材の運用とか、それから工事の合理化、節約、そういうような面で、すでにもうこれは吸収できない、こういうふうに考えられるのでありますが、こういう面からやはり現在のこれは予算に対しまして、すでにもうこれは問題が出たと思うのであります。そういう性格のあるところに、更に最近羽越とか北陸、山陽、豊後など、そういうようないわば軍関係と思われるようなものの電話の増設が非常に多いと聞いているのでありますが、それが一般工事に、非常に工事量からいいましても影響する面があると思いますが、こういう点につきましては郵政省はどういうふうに、電通省はどういうふうに見ておられますか。そういう事実についてどのような調査を用い、それが一般に及ぼすところの影響についてどういうふうにつかんでおるわけですか。
  53. 田村文吉

    国務大臣田村文吉君) まだ今岩間さんのおつしやつたようなことを私どもは何も聞いておりません。聞いておりませんが、或る程度の軍用のものもありますので、そういうようなものはあらかじめ予定したのでございます。別に現在、又特に最近の事情として統合……これを融合するとか、それがために一般の電話に不便を与えるとか、それの拡張工事ができないとかいうようなことは毛頭ないつもりでおります。
  54. 岩間正男

    岩間正男君 あらかじめ用意されているようなお話でありますが、どういうような形で用意されておるのでありますか。
  55. 田村文吉

    国務大臣田村文吉君) それは過去において、年々相当一般に殖えますものは殖えるとして計算しておりますし、さような意味でありまして、特別に用意しておるというようなことが、若し誤解をなさいますようでありますなら取消しますが、必要なもの、つまり一般に考えて必要なものが用意されておる、こういう意味でありますからさよう御了承願います。
  56. 岩間正男

    岩間正男君 どうもおかしいのです。私はまあそういうような例を挙げまして軍事的な設備についてお伺いしたのでありますが、そうすると今の御答弁だというと、一般用ということで、やはり軍事的なそういうような要求を充たすようなものをすでにあらかじめこれは予算の中に組んでおられると、そういうふうに確認していいわけでございましようか、そういうことになると思いますが。
  57. 田村文吉

    国務大臣田村文吉君) それは特に軍用という意味ではありませんが、米軍のほうで使われるものが或る程度あるわけです。これは毎年あるのでありまして、それが補修もあり、又場合によつては若干の殖やす点もある、さようなものは見込んで用意してある、こういう意味であります。特に軍用として、最近の情勢で統合、拡張する必要があるというようなことは何も承つておりませんし、用意もいたしておりません。
  58. 岩間正男

    岩間正男君 これは随分電通省はそういう点は認識不足じやないかと思うので、これはまあ関係者の話なんか聞きますというと、大部そういう面から、軍事用の面から大きく影響を受けている、制限されておる面があるのじやないか。現に東京あたりでも越中島と市ヶ谷、そういう所に五十四対くらいの電話線が増設される、こういうような計画についても我々はお聞きしておるのでありますけれども、これを今のような御答弁では、やはりどうも納得の行かないところがあるのであります。こういう点について、すでに既設のもの、それから今後そういうような予定については何か資料をお持ちになつているのでありましようか。それともそういうことはもうその都度々々何とか適宜に、臨機応変で処置されておるのでありましようか。どういうことになつておりますか、その点をお伺いいたしたい。
  59. 田村文吉

    国務大臣田村文吉君) 予算を出しますからには、明年度の詳細内訳を作りまして、よくお調べしておるのであります。若しなお細かい点につきましては、分科会等で政府委員から御説明申上げたいと思います。
  60. 岩間正男

    岩間正男君 御質問しますが、電話の新設料が今度値上げされると聞いておるのでありますが、これは事実でございますか。
  61. 田村文吉

    国務大臣田村文吉君) 只今法案を提出いたしておりまして、参議院でも予備審査に入つておるのでありますが、装置料のことだと思いますが、装置料は御承知のように外まで線が引いてございまして、それからその家なら家へ電話を引きますので、ドロップ・ワイヤーから電話を取付けるまでの工費と、それからそれにあとに役に立たなくなります消耗品、この費用は在来千五百円というものを実費の四千円に直したい、これのお話だろうと考えております。無論それに附属しましていろいろ細かい道具類の消耗品の価格の変更がございますけれども、要は今の装置料が千五百円のものを四千円に実費に直したい、そういうことであります。
  62. 岩間正男

    岩間正男君 じや使用料の値上げはどうなんでしようか。
  63. 田村文吉

    国務大臣田村文吉君) 現在では考えておりません。
  64. 岩間正男

    岩間正男君 これはこういうことで新設料が非常に値上げされるということで、やはり大衆需要が影響を受けて来ると思うのであります。こういう点と、只今一つの新らしい情勢に非常に適応するために、軍関係の需要を充たすということで、大衆の需要のほうが、民需面が非常に減る、こういうことのないようにどういうふうなこれは処置を考えておられますか。現在の情勢に適応してはそういうような対策もこれはお考えになつておられると思うのですが、その点を伺いたいと思います。
  65. 田村文吉

    国務大臣田村文吉君) 装置料の問題はこういう問題と全然関係ないのでございまして、在来の千五百円では、実は実費で工事費から消耗品も、つまりとても引合わなくなつて来ておるのでありますが、その実費四千円とちよつと百円くらいになりますが、四千円にしようということでございまして、そういう点には全然関係ないのであります。さつきの話は、繰返し御質問のようでありますけれども、今の軍云々というお話がありましたが、大体二十六年度の予算はそういう軍の、現在の米軍の御使用になつておりまする程度のものはこれは皆見込んで予算を組んでおりますが、特に変更するというような考え方は現在のところ何もございません。
  66. 岩間正男

    岩間正男君 次に伺いますが、見返資金の分が二十五年度二百億だつたですか、これは資金運用部で今度肩代りになると思うのですが、そういうときに融資條件、これは従来非常に厳重であつたのですが、預金部資金に肩代りになれば、どういうようなこれは條件が付くようになりますか、その点はどうなるのでありますか。
  67. 田村文吉

    国務大臣田村文吉君) これは利息を払わなければなりません。それだけが変ります。
  68. 岩間正男

    岩間正男君 利息だけですか。
  69. 田村文吉

    国務大臣田村文吉君) はあ。
  70. 岩間正男

    岩間正男君 ほかに何らかの條件というようなものはないのですか。
  71. 田村文吉

    国務大臣田村文吉君) 別に何も変つたことはないつもりであります。
  72. 岩間正男

    岩間正男君 つもりだけではこれは心細い。
  73. 田村文吉

    国務大臣田村文吉君) ないと私は信じております。
  74. 岩間正男

    岩間正男君 これはどうですか。…そこまで来られたのですから。
  75. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 何も條件はございません。
  76. 岩間正男

    岩間正男君 次にお聞きしたいのは、二十五年度の未収金四十億の内容でありますが、これはどういうことになつておりますか。
  77. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 未収金と申しますのは、どちらの会計でございましようか。
  78. 岩間正男

    岩間正男君 これはまあ連合軍関係が、十二億、これは宿舎の電話を取付けた分、それからPBXの工事費、これが十一億、それから雑収入の分が十一億、市街電話料金七億、こういうふうに我々聞いておるのでありますが、このうち軍関係の支払はどういうふうに現在なつておりますか。
  79. 田村文吉

    国務大臣田村文吉君) それは電通特別会計の勘定じやないかと思うのです。大体今お読み上げになりまして、或いはどこかで政府委員から御答弁申上げたかも知れませんが、私その詳細の数字をここに持つておりません。よく取調べまして後日資料なり、或いは口頭なりで御答弁申したいと思います。
  80. 岩間正男

    岩間正男君 それではこの点は分科会でなお細かく質問いたしたいと思うのでありますが、この軍の関係の支払状況が非常に遅れておる、こういうようなことを聞いておるのでありますが、これは一般の場合は、非常に滞納につきましては、まあ差押えされるというふうな形になつておると思うのであります、これは随分最近の電話料金なんかの差押えですね、これは厳重極まるものじやないかというふうに考えております。中には、この督促が、殆んど電通の労働者たちが、これに狩り出されて、まるで税務署みたいに督促をやつておる。そうしてそれに応じなければ差押える。又電話をとめてしまうということが非常に強硬だと思うのでありますが、こういう点について、どうも非常にこれは苛酷に過ぎるのじやないか、こういうふうに思われるのでありますが、これに対して電通相はどうお考えになつておるのでありますか。
  81. 田村文吉

    国務大臣田村文吉君) まあ電話の支払状況もよくないものですから、今までは金の集金のほうも少しルーズになり過ぎておりましたために、現在で二十億ばかりでございますか、滞納が残つておる。こういうことでありますので、これでは事業運営上非常に困りますので、そう無制限に、ただ金が入らんからと言うておるだけでは困るということで、少し昔あつたようにやはり料金を納めて頂かないととめますよというようなことも止むを得ないというわけで、たしか一ヵ月間の猶予か何か置いて、さような処置をとるようにいたしておると思います。でこれは今軍云々のお話がございましたが、軍の金は別に私のほうで請求を怠つておるわけではありませんで、一番早くもらうようにそのほうには随分遠慮なく、きつく請求いたしておりますので、或る特殊の継続工事その他のもので延びるようなこともないではありませんけれども、大体においては極めて早く金をもらうようにいたしております。なかなか工事の引懸り等になつております場合には停留しております。こういうことに御承知置き願いたいと思います。
  82. 岩間正男

    岩間正男君 我々の聞いたところでは、静岡あたりでは学生なんかも使つて、こういうようなことも強化されておるということを聞いておるのでありますが、そういう事実はあるのでありますか、どうですか。それから全般的に四月からもつとこの情勢が強化される、こういうことが言われておるのでありますが、これはどうでありますか。
  83. 田村文吉

    国務大臣田村文吉君) 特別に四月から強制するということもございませんし、そんなお問いのようなことは絶対にいたさぬつもりであります。併し料金がそう未納がたくさん重なるということは非常に困ることでありますから、やはり正当に払つて頂くということに、正当の督促と、我々としてどうしても払われない場合には電話をとめるというようなことも止むを得ない情勢であると御承知置き願いたいと思います。
  84. 岩間正男

    岩間正男君 次に電通それから郵政関係の労働者の待遇並びに労働條件でありますが、まあ時間がもうありませんので、この点簡單に御質問申したいと思うのでありますが、非常に最近簡保とか、それから年金、こういうようなものの募集のために、従業者の場合には非常にこれは労働強化が起つているのじやないか。現に我々の経験からいたしましても、この募集員は随分ひどい條件に落されているというふうに考えられるのであります。何回ももうこれは全く基準法を無視されたような形で、夜遅くまでこういう人が募集に出掛けて来る、或いは又一定の割当額がそこに強化されていて、その額を何とか果さなけりやならない。そこでそれがどんなに駈け廻つてもうまく行かないという場合には、まあ自分の俸給の中から一時そういうようなものを一回だけ払つて契約をして置く、そうしてあとはそれは二、三ヵ月でも掛け捨てにしても、その募集額を何とか充足して行く、こういうようなところの上からの押付けと言いますか、割当制によつて非常にそういうような面が労働強化されている面があると思うのでありますか、そういう点につきまして下の実際行われておる情勢につきまして、これはどういうふうにつかんでおられますか、これをお聞きします。
  85. 田村文吉

    国務大臣田村文吉君) さようなこともまま耳にしないではないのでありまするが、すでに事業運営するということになりますれば、その末端の人たちが一生懸命で努力する、これはその努力は大いに買つてやらなきやならんのでありまするが、省自体からしてそんなにこれを強制的にやつておるというようなことは毛頭ないのでありまするが、併しすでにその事業に携わる限りにおいては、本人自体が非常に熱心になる、こういうようなことは一面非常に事業愛の現われでありまするので、大いに買つて上げなきやならん点もあるのでありまするが、併し余りそれがために却つて保険をつけるかたがたに御迷惑をかける、こういうような場合もままありますので、さような強制的なことにはならないように戒めておる次第であります。併し大いに勉強することについては、これは非常に結構なことでありますので、決してこれをチエツクするというような考え方ではないのであります。
  86. 岩間正男

    岩間正男君 これはどうも実情に合つていないと思うのです。只今の御答弁、これは実際割当額というのは非常に強硬に押し付けられて来て、それを取らなければ実際成績に関係する。いろいろな面で、これは待遇が悪くなるとか、そういう事態ができて来る。場合によつては、これは成績によつては首切りというような、そういう点から強化されて来る。こういうところに落されておるのが現在のこれは従業者の立場じやないか。それからこれに対して、まあ電通相の只今の御答弁によりますと、非常に勤勉努力するのはこれは結構なことで、これについてはまあそこまでチエツクする考えはない、こういうことでありますけれども、実情全く無視の御答弁だと思うのでありますが、むしろそういうところにこれは落しておる。そうして又それに伴つて待遇の問題、定員の問題、こういうことが非常に関係して来るのでありますけれども、これは大体勤務時間、それから定員ですね、それから待遇の問題、こういう問題について大まかなところを伺つて置きたいと思います。
  87. 田村文吉

    国務大臣田村文吉君) 大まかに給与の問題になりまするというと、郵政、電通両方とも実は仕事の性質が、一般公務員とは大分性質が違うのでああります。こういう点については特別の給与方法を考えるべきじやないかということを考えておりますので、目下人事院その他関係方面と協議を進めておるのであります。何とかして郵政及び電通の従業員のような、現業であり、而もその仕事が課長、局長とそう進むことのできないような現業員、こういう人たちに対しては、長く勤めることによつて、当然に給与がどんどん上るというような制度になすべく努力をして参りたい、こういうことで目下検討中でございまして、御趣意もさような点にあろうかと考えますので、折角検討中でございます。
  88. 岩間正男

    岩間正男君 まあ待遇は何とか改善したいというようなお話でありますけれども、これは甚だ現在の従業員の立場からしますと、満足すべき状態になつていない。而も新しい状態としましては、定員は減らされておるが、これは臨時雇の人が最近非常に入つておるのじやありませんか。こういう人たちの大体賃金の状態、それからどういう仕事をやつているのでありますか。こういう点についてこれはお聞きいたしたいと思います。
  89. 田村文吉

    国務大臣田村文吉君) 臨時雇でありますから特に安くしておるというようなこともございませんし、恒久的に臨時雇で以て始終やつて行くという、こういう考え方ではないのでありまして、そのときそのときの必要止むを得ざる状況に応じて臨時雇を使う。かようなことに御了承願いたいと思います。
  90. 岩間正男

    岩間正男君 大体日給はどのくらいですか、臨時雇は、
  91. 田村文吉

    国務大臣田村文吉君) 私は資料を持つておりませんから、分科会等において詳しく御説明いたしたいと思います。
  92. 岩間正男

    岩間正男君 この臨時雇は、殆んどこれは常雇みたいな形になつておる臨時雇なんで、実は今の御答弁のようにそのときどきじやなくて、実は定員と大きな関係があるのだと思うのであります。これはこの予算の今まで折衝される間に、そういうことが起つたのじやないかと思いますが、これは最初の要求定員はどれくらいあつたのですか。電気通信省の要求、それに対しましての大蔵省の査定との間に相当食い遅いがあると思うのでありますが、これは数字がおわかりでなければ、あとでも結構でありますが、これは分科会でも結構ですが、大体併し大きいところはおわかりでしよう。
  93. 田村文吉

    国務大臣田村文吉君) 後で申上げますが、併し定員を減らしたというお話でありますが、定員の必要なものだけは確保いたしておるのであります。むしろその定員を充足するのに困難を感じておる実際の羽目に陥つておる例もあるのであります。大体さようなことであります。
  94. 岩間正男

    岩間正男君 仕事が減つて、それだけ大きく殖えておりますから、その面からの絶対量は殖えておるかも知れませんが、最初要求された、どうしてもこれだけ必要だ、こういうような面とは随分大きな食い違いがあるということを我々は聞いておるのであります。そういうところからどうしても臨時的な雇用をしなければならない。而もそれが先ほど申しましたように、殆んど常雇のような形になつておる。一定量のノルマをそこにきめてそれでやらしているという、そういうような態勢が非常に起つておる。而も日給そのものが非常に職安の労働者よりも安い。こういうような形で電通労働者並びに郵政労働者の全体のこれはやはり賃金にもそういう影響を持つておる。こういう形になつておるのでありますが、そういうことについては、これは郵政相はもう少し事態を把握して頂いて、そうして又こういう状態については、根本的に正しい公務員を本当に待遇する途であるというふうにお考えになつておられるのかどうか。こういう事態については、もつと定員を殖やすために努力される覚悟を持つておられるか。この点を伺いたいと思います。これは国鉄にも同じようなことが起つてると思う。相当大量に人員整理をやつて、そうして仕事の量は一向減らない。そうして仕事の内容については相当能率化する、機械化するというようなことを言われたのでありますが、それは十分できない。いろいろの面からそれはできない。そういう形で以て逆に一人一人の労働量が増加された。労働強化がそこに強行されて来ておる、こういう面が大きく起つておると思うのであります。そうしてそのために臨時という名前を以て実は常雇のような臨時の職員が雇われておる。こういう体制は甚だ何と言いますか、昔の請負制度みたいで面白くないところの体制ではないか。逆戻りではないか。こういうふうに思われるのでありますが、これに対しまして、こういう事態に対しましてこれは田村郵政電通相はどういうふうに考えておられますか、その点をお聞きしまして、私の質問を終ります。
  95. 田村文吉

    国務大臣田村文吉君) 給与の問題につきましては、現在の公務員全体が決して楽な状況でないということはよくわかつておるのでありまするので、何とかできるだけ給与の向上については努力して参りたいと思うのでありますが、今の本年度予算が若しかしたら職業安定所で出す給与よりも安いのではないかというお話でございましたが、さようなことが事実ございますれば人が来ないのであります。ほかに職があればどんどんそこへ行きますから、来ないのであります。現在の仕事をやる上においては別に差支えがない程度において運営しております。  それから今お話の中にありました仕事の分量が殖えたから、それに伴つて人員が殖えなければならんということは御尤もでありますが、併し一本の郵便が一軒の家に行くのが、二本の郵便が入つてつたからといつて、人員が殖えるわけではないのであります。現在は御承知のように郵便物というものは戦前に比べると半分しかないのであります。そうして人員は戦争前より多くなつておる。こういう状況でありますので、まだ仕事は少しぐらいは殖えても喜んで能率的に仕事がやれる、こういう点でどんどんカバーできるのであります。必ずしも仕事の量が倍になつたから定員が倍になると、こういうふうには解釈しておりません。
  96. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 岩間君の質問の中で簡易保険とか郵便年金なんかが問題になつておりましたが、郵政大臣は、これを一本のものにまとめてしまうことに大臣としては賛成でないらしい素振りであつたけれども、まあこれはドツジさんのラインだから仕方がないというので……今岩間君のお話のうちにも、全国的に各郵便局の従業員がこの問題に対てしは関心を持ち、反対しておるのでありますが、こういうことを強行して、政府の至上政策は資本蓄積だと言つておるのだが、果して今後そういう零細資金を集めようとして支障を来たすか来たさんか、相当の減少が見込まれる、こういうことに対して御感想はどうですか。
  97. 田村文吉

    国務大臣田村文吉君) 今の簡保積立金運用の問題でありますが、お話にありました通り、私どもとしては一つ事業をやつておるのであります。保険事業をやる、貯金をやる、セービング・バンクをやる。そういう場合において、そこで金を集め、そこで金を運用するということは自然の状態で、そこに合理化が起り、責任感が強くなる、こういう原則に対して私どもは異議はないわけであります。そういう意味で国会でもさようなことで御決議をなすつたということに私ども承知しておるのであります。併し今度ドツジ・メモランダム資金は全部統一して運用される。過去にやつてつたように、なおそれを今度資金運用部資金法においてこれを統一して置くと、こういうことでありますので、事業自体の上から見ますると、決してプラスでないのみならず、マイナスであります。マイナスでありますけれども、止むを得ざる措置としまして、又院議としてそういう決議を得ておるのでありますから、早晩これはやはり元の自然の姿に帰るというふうに私は考えております。そういう意味で現在の止むを得ざる状況考えまして、さような点に同意しておる次第であります。併し今お話のありました従業員自体が非常にこれは士気が沮喪しはせんか、そういうために仕事自体が危機に瀕するのではないか、こういうお話でありますが、御尤もでありますけれども、伸びるものも伸びることが少いということが起るであろうと考えられまするが、できるだけ国の大きな政策の上から止むを得ざる状況であるということに考えまして、そのために能率が落ちるようなことのないように、私どもとしては努力いたして参るという考えでおります。
  98. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 それでこれは恐らく問題は、その筋との交渉でしようけれども、こういう場合には、やはり郵政省でも、こうこうこういう理由によつてあちらさんも大いに奨励しておるところの資本蓄積がどの程度まで支障を来たすかということに対して十分な調査をし、資料を整える必要があると思うのでありますが、こういうことに対して工作をやつておるのでございますか。
  99. 田村文吉

    国務大臣田村文吉君) 十分に資料も用意してございまするのでありまして、国会の御審議上、これが適当であるとお考え頂きますれば、十分に資料も提供いたしたいと考えております。
  100. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 ついでにもう一つ聞きたいのですが、昨年は大分電話民営論が盛んでありまして、政府もこのような放送をしたようでありますが、この頃はちよつと下火になりましたが、これはやつぱり事情があつてのことなんですか。そのまま政府の意向は相当続いておるわけなんですか。
  101. 田村文吉

    国務大臣田村文吉君) 先に公共企業体に移行することについて審議会の答申もあり、又国会においても御決議があつたのでありまするが、関係方面で公共企業体に移行することについての御同意がないのでありますから、現在はそのままに留保しております。従いまして今日なおこれを進んで民営にするということは一応考えられることでありまするので、民営公共企業体、或いは今日国の企業として依然としてやつておるかということについては、目下研究中でございます。併し現在におきましては、たとえこれが国営企業でありましても、できるだけ民営の長所を取入れるようにいたしたい、こういうことで関係方面とも日夜、実際日夜折衝を重ねておるような状況でございます。
  102. 東隆

    ○理事(東隆君) 暫らく休憩いたします。午後は一時半から再開いたしす。    午後零時三十二分休憩    ―――――・―――――    午後一時四十八分開会
  103. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) それでは休憩前に引続き予算委員会を開きます。  最初にお諮りいたしたいことがございます。先日の予算委員会で決定いたしました地方財政平衡交付金に関する小委員会、この委員選定の件をお諮りいたします。委員の選定は委員長において指名いたしたいと思いますが、御異議ございませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 御異議ないものと認めまするそれでは委員長の指名する委員の氏名を参事をして読み上げさせます。    〔岡参事朗読〕    波多野 鼎君  佐多 忠隆君    永井純一郎君  安井  謙君    西郷吉之助君  新谷寅三郎君    菊田 七平君  矢嶋 三義君    木村禧八郎君  岩間 正男君   ―――――――――――――
  105. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 午前に引続いて質疑を続行いたします。
  106. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 私は最初に観光事業と国立公園及び温泉問題についてお尋ねしたいと思うのであります。終戦後期せずして観光事業の振興が叫ばれて、国並びに地方公共団体において積極的に乗出して来ましたことは、美しいところの国土の保持上からも、国民の保健上からも、貿易外収入の増加を図る上からも、又国際親善の上からも機宜に適したことと思うのでありますが、昨年中における観光による貿易外の収入がどのくらいであつたかということを先ず最初にお伺いしたいと思うのであります。
  107. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 運輸次官がいないそうでありますから後で一つ
  108. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 では答弁は後でお願いすることにいたします。  我が国では昭和九年の三月には瀬戸内海、雲仙、霧島の三カ所を国立公園に指定し、更に同年の十二月には阿寒、大雪山、日光中部山嶽、阿蘇の五カ所を、昭和十一年の三月には十和田湖、富士箱根、吉野、熊野、大山の四カ所を、昭和二十一年の十一月には伊勢志摩を、昭和二十四年の五月と九月とには支笏、洞爺と上信越高原とを、昭和二十五年の七月と九月とには秩父、多摩と磐梯、朝日を国立公園に指定せられておるのであります。これで国立公園といたしましては、十七カ所になつて来て観光上にも非常に効果を挙げておるのであります。そういうふうな次第で大いに奨励すべきものであると信ずるのであります。本年の三月六日現在の調査によつて見まするというと、国立公園指定の申請が四十一カ所から出ているのであります。いずれも国立公園として適当なものであると信ずるのでありますが、いつ頃になつたならばこれらの申請を国立公園と指定せられる御予定であるか。御予定があつたならば承わりたいと思うのであります。
  109. 黒川武雄

    国務大臣(黒川武雄君) お答えいたします。お説の通り今国立公園又国定公園に指定して貰いたいという希望の土地が四十件ばかりございますが、それについては昨秋来十分に検討中でございまして、この四月半ば前後には国立公園審議会を開きまして、そして十分に検討した上で決定したい、こういう考えであります。
  110. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 現在国立公園にはさつきも申上げたように、海に関係があるものは瀬戸内海と伊勢志摩の二カ所があるのであります。我が国の地勢から考えて見ましても、新たに国立公園を指定せられるような場合には海に関係があるところの地区を多く指定するのが適当であると考えるのでありますが、こういうふうな方面に対する厚生大臣の根本方針を承わりたいと思うのであります。
  111. 黒川武雄

    国務大臣(黒川武雄君) お説の通りでございます。海に関する国立公園を或いは国定公園を設定すべきであると私は考えております。
  112. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 次は温泉問題でありますが、温泉を保護し且つ適正なるところの利用方法を講ずることは国民の保健上からも、観光上からも必要であると思うのであります。現在これに対する保護利用について政府は如何な具体案を持つておられるのであるか。これを承わりたいと思うのであります。
  113. 黒川武雄

    国務大臣(黒川武雄君) 日本にとつて最も特殊な存在であります温泉については十分にこれを保護し、且つ善導する必要があると思います。温泉法の制定等について考えておりますが只今具体的の御答弁はできかねます。
  114. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 次は原子爆弾影響研究であります。原子爆弾の被害を蒙つたのは広島と長崎の二カ所であります。私は当時長崎におつて如何に原子爆弾の被害が悲惨であつたかということを承知しておるのであります。当日の被害が悲惨であつたのみならず、当日は何ら被害もないように見受けられたところのものが、あとから次々と死亡者が多く出て来て誠に原子爆弾の被害が甚大であるということを考えたのであります。又現在も考えつつあるのであります。そこで政府は原子爆弾の影響を研究中であるということでありますがどこでどんな方法で研究しておられるか。又研究の結果はどういうふうな成績を挙げておるのでおるか、承わりたいと思うのであります。
  115. 黒川武雄

    国務大臣(黒川武雄君) 原子爆弾の結果につきましての研究は只今広島で行なつておりますが、日本の予算としては甚だ少いものでございますが、私も先だつて原子爆弾研究所を視察いたしましたが、実に立派な設備でありまして、これはアメリカの経費を以て研究しておるとお答えすることができると思います。長崎にはまだ設けてございませんが広島におきまして今十分研究中でございます。その過程は存じておりませんが相当に進んでおることを信じております。
  116. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 昭和二十六年度の一般会計予算及び二十五年度の予算を拝見して見まするというと、その経費が非常に僅かであるのであります。これだけのものでは建物及び設備及び研究は十分でないと思つてつたのでありますが、幸いにして外国の御厚意によつて完全なる設備ができておるということは喜びに堪えないのであります。この予算に盛られておるところの経費では、然らばどんなことをされる御予定であるか。これを承わりたいと思うのであります。
  117. 黒川武雄

    国務大臣(黒川武雄君) それは人件費に使いますけれども、一遍広島の原子爆弾研究所を御覧になりましたならば、なかなかそれくらいの予算で仕事ができるということはお考えになれないほど、それはもう至れり盡せりの設備で至れり盡せりの仕事をしております。それはひとえに米国の御厚意によることと考えます。
  118. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 現在広島、長崎で研究をしておられるのであろうと思うのでありますが、この原子爆弾の研究のために団体の設備を使用しておられて、その使用されておるところの団体は非常に困つておるのでありますが、政府において、この原子爆弾の研究に使用しておるところの団体の設備をいつになつたらば払房してもらえるように考慮して頂けるのであるか、この点お伺いしたいと思うのであります。
  119. 黒川武雄

    国務大臣(黒川武雄君) 長崎のことと思いますが、せいぜい早く日本に返してもらつて向うの経費を以て十分の設備をしてもらいたい、こういう希望でございます。
  120. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 運輸次官は見えておりますか。
  121. 秋山龍

    ○説明員(秋山龍君) 来ております。
  122. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) それでは先ほどの国際観光事業による日本の事業収入はどれほどあつたかという質問について答弁して下さい。
  123. 秋山龍

    ○説明員(秋山龍君) 観光収入はいくらあつたかという御質問でございますが、只今ちよつと手許に資料がございませんので、只今取りにやつておりますので暫くお待ちを願いたいと思います。
  124. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 次は海洋気象台についてお尋ねしたいと思うのであります。気象台については前田委員から一応質問があつて答弁があつたのでありますけれど、別の観点からお尋ねしたいと思うのであります。気象台、殊に海洋気象台の活動が不十分と思われるのでありますが、その原因がどこにあるのであるか、それは設備が不十分で人間が不足しておるために海洋気象台の活動が十分にできないのであるかどうか、先ずこの点からお尋ねしたいと思うのであります。
  125. 秋山龍

    ○説明員(秋山龍君) お答えいたします。海洋気象台は只今神戸の気象台が主として海洋に関する気象を扱つておるのでありまして、この関係につきましては、いろいろとやりたいというような希望も事柄もあるのでありますが、何分諸般の事情に制約いたされまして未だ十分とは申上げかねると思うのであります。併し我々といたしましも十分にこれが機能を拡充いたしまするように努力いたしておるわけでございます。海洋におきまして特に気象として問題になりますのは、海洋における気象情報が非常に少いという点でありまして、この点につきましては船舶に海洋気象通報の義務を課しまして、各通過般における指定時間の海洋気象を通報ぜしめるような措置もいたしたのでありますが、何分にも海外に出ております船が従来に比べまして非常に少いということが一つの海洋気象の観測のデーターの十分でないという理由かと存ずるのであります。なおそのために海洋におきまして一種の定点を設けまして、そこの気象状況を系統的にとるという必要もございます。これらにつきましては目下関係方面とそれぞれ協議いたしておるような点もあるのでございまして、今後海洋気象の改善発達につきましては、いろいろと努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
  126. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 今お答えがあつた固定点の問題に移りますが、一九四七年七月に連合軍最高司令官代理であるR・M・レイブイ大佐殿から日本政府宛の海洋気象固定点設定に関する件は、その後の進行状態がどういうふうであるかということをお尋ねするのであります。又政府はこの固定点を観測しておるといたしましたならば何カ所くらい観測しておられるのであるか、又将来はどのくらいの固定点の観測をされる予定であるか、この点についてお尋ねしたいと思うのであります。
  127. 秋山龍

    ○説明員(秋山龍君) 海洋における定点観測は、只今までのところは我が国の置かれました特殊状態に鑑みまして、直接我が国の権利でもなければ義務でもない形になつているのでございますが、連合軍司令官の只今御指摘になりました覚え書によりまして、四点たしか観測してもいいということになつてつたのでございますが、諸般の都合で特にこれに要しまする船舶が非常に適性がございませんので、只今のところ二点観測をいたしているのであります。あと二点是非設けたいというのでございまして、関係方面におきましてもそれぞれ便宜の供与をする用意があるということございまして、その具体化について目下協議を進めているという状態でございます。
  128. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 東支那海の観測か我が国の気象観測上に特に重要であるのでありますから、私は第七回国会で速かにこの観測を実施するように要求したのであります。それに対して政府は国の予算が許されたらば是非そうしたいと考える、こういうふうな答弁をしておられるのでありますが、又一方においてはさつきの定点観測を、覚書にも関係があるのでありますが、政府は速かに東支那海におけるところの定点観測をやられる意思があるかどうかお尋ねしたいと思うのであります。
  129. 秋山龍

    ○説明員(秋山龍君) 東支那海の定点観測の気象上における重要性につきましては只今御指摘の通りだと思つております。併しこれをやりまするにつきましては、予算のみならず特に船舶の必要がございますので、是非実現いたしたいという意図のもとに関係方面と協議をいたしているような次第でございます。
  130. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 東支那海の定点観測をやるとしたならばどのくらいの船とどのくらいの費用が要る御予定であるか、先ずこれを承わりたいと思うのであります。東支那海の定点観測が各方面から見て特に重要であるのでありますから、関係方面としてもさつきも申上げたように速かにやるようにという督励中ではないかと考えるのでありますが、そういうふうなことがないのであるかどうか、この点も合せてお伺いしたいと思うのであります。
  131. 秋山龍

    ○説明員(秋山龍君) お答えいたします。一点の定点観測に大体千五、六百トンの船が三隻必要でございます。それから経費につきまして大体一億二、三千万円程度と考えております。なおこれが実施につきましては関係方面よりも勿論非常に熱意のある指導と御援助を頂いている次第でございます。
  132. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 東支那海の定点観測がいよいよ実施せられるというようなことに近い将来においてなるように今の答弁で想像されるのでありますが、若しそういうふうなことになつたらば、その基地は西日本の海洋気象台に置かなければできないのではないか、こう考えるのであります。そして幸いに現在の西日本の海洋気象台の敷地内には右拡充に対して必要とするところの敷地が残つているのであります。併し西日本海洋気象台の敷地は現在大蔵省の所管であつて、自由に西日本海洋気象台が処理することができないのでありますから、速かに運輸省の所管に移管して、将来における拡充に万遺憾なきを期すべきであるとこう考えるのでありますが、いつになつたらばこれを移管される状態であるか、大蔵省との交渉の進捗状況を承わりたいと思うのであります。
  133. 秋山龍

    ○説明員(秋山龍君) 新らしい定点観測をやります場合にどこを基地とするのが最もよろしいかということは、他の定点観測船隊との補給その他の関係がございまして、まだ私ども本省の耳にまでは達しておらないのであります。恐らく気象台当局におきましてはそれぞれ研究中と思うのでありますが、不幸にして私ども耳にはまだ達しておらないのであります。従つてお尋ね大蔵省との敷地その他の問題につきましこも、恐らく事勢的な交渉はいろいろあると思いますが、私まではまだ達しておらない次第でございまして、どらも残念ながらお答えできないのであります。
  134. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 只今耳には達していないというお話でありますが、これも第七国会で建物の大蔵省から運輸省移管のことは私質問しておるのであります。その当時答弁があつているのであります。ただその際においては取りあえずの問題として建物の移管の話を質問したのでありますが、現在においてはその建物の大部分というものは運輸 省が使用しておられるのでありますから、その建物を使用しておられるということであつたらば、その使用しておられるところの建物の所在するところの敷地も当然運輸省に移管せられるように政府のほうでは交渉すべきであると思うのでありますが、そういうふうなことはお聞きにならないのでありますか、重ねてお尋ねしたいと思うのであります。
  135. 秋山龍

    ○説明員(秋山龍君) 不幸にして私まだ聞いておりませんものでございますから、いずれ調査いたしまして御答弁をいたしたいと思います。
  136. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 終戰処理費の中に気象台に関する費用があるということを予算説明書には書いてあるのでありますが、どのくらいの費用が終戦処理費の中に含まれておるか。又その金はどんな方法でどこで使用するのであるかお尋ねしたいと思うのであります。
  137. 秋山龍

    ○説明員(秋山龍君) 金額の詳細につきましては調査してお答えいたしたいと存じますが、この終戦処理費の中に積算いたしております気象関係の経費は、一つは陸上の観測におきまして関係方面の要求のあります部分と、それから他の半分は先ほど申上げました定点観測の二点の経費でございます。
  138. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 よろしうございます。
  139. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 山田君、大蔵大臣出席しております。
  140. 山田節男

    ○山田節男君 私は大蔵大臣並びに運輸大臣……、運輸次官見えていますか。
  141. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 運輸次官は出席です。
  142. 山田節男

    ○山田節男君 国有財産の問題について質問申上げたいと思います。御承知のように昨年の六月に旧軍港の転換法が制定されまして、爾来この四軍港の平和産業都市としての転換について政府もこれに対していろいろ助力を仰いでおるわけであります。昨年末並びに今年の正月に舞鶴、佐世保、呉等の転換状況の実際を見たのでありますが、その結果これは大蔵大臣並びに会計検査院、それから運輸大臣、いろいろ質問をして所見を質さなくちやならんような事実がありますので、こういう点を中心として質問いたしたいと思います。  御承知のように何故旧軍港の転換法のようなものが制定されたかと申しますと、この横須賀を含めた四つの大軍港は日本のいわゆる軍国主義のはなやかな時代に大海軍建設のために一寒漁村からして発達したのであります。これらの四軍港都市はすべて海軍の発達に正比例して発展したものであります。ところが戰争によつてこれらの関係四軍港は存在の理由を失つたのであります。これらの四軍港の厖大な軍工廠施設は国有財産となり大蔵省の管下にある。それを一〇〇%この施設を発揮してこれらのさびれた都市の産業を開発せしめたいというのが転換法の根本精神であつたのであります。ところがこの国有財産の管理上いろいろな問題があります。御承知のように転換法によつて審議会も設定されておりますが、根本的にはやはり国有財産法或いは会計検査院等の実際的な部面の何と申しますか処理、或いはその検査等において相当な隘路があるということを発見いたしましたので、実は政府の所信を質したいと思うのであります。これらの四つの軍港は横須賀の旧軍港を除けまして、他は舞鶴におきましては飯野造船、呉におきましては播磨ドツク、それから佐世保におきましては佐世保船舶工業、この民間業者があの賠償工廠を保全管理してそうして経営をやつておるわけであります。そういう状態を実地に見まして、私どもこの転換法の根本精神から見て非常にハンディキャツプを覚えまして、経営困難な状態にある。この点について先ず第一にお聞きしたいのでありますが、この旧海軍工廠がいわゆる賠償指定工場となつておるのでありますが、この管理について、勿論この賠償指定工場が国有財産であるのにつきましてはこれは国が管理しておるのであります。民間の賠償指定の工場についてはこれは民間がするのが当然であります。その国有財産の賠償の指定工場であつてもこれを一時使用の許可を得て使用しておるこれらの造船関係の会社が、その工場施設の使用率が三〇%を超えたものに対しては使用者が全部管理保全の負担をしなくちやならん、こういうことになつておるのであります。その実際を見ますると、先ず第一にこの賠償工場の管理の問題でありますが、この保全管理のためにはこれらの三つの工場にはいわゆる警備要員、ガードが置いてある。そうしてこれは従来終戰処理費の中から賠償のいろいろな管理のために金が出されておつたのであります。例えば、例えばじやございません、多くの工場において行われておつたのでありますが、昨年の六月二日に例のC・P・C(シビル・プロパティ・カストーデアン)でありますかの覚書が出まして、賠償施設の三〇%以上を使用しておるものは、この保全に必要な警備員を雇うに要する経費を全部負担せよ、こういうことになつて、又稼働率が三〇%以下であつても使用機械が工場の中心施設の重要機械である場合には、その工場は施設の三〇%以上を使用しておるものとみなされまして、全施設の保全に必要な全経費を負担すべしとこういうことになつておる。三〇%以下の場合にはこれは使用率に正比例してその管理費を負担する。こういうことになりました結果、これらの賠償工場を経営しておりまする諸会社は、従来終戰処理費によつてつておりましたけれども、全部会社が負担しなければならないということになつたのであります。更に昨年十一月の三日付で、これは九州の民事部で佐世保船舶で出ていますが、これを見ますと今度は單に賠償工場の保安のみでなく建物の保守、こういうようなもの、或いは現在使つてない機械をもこれを手入をしなくちやならんということになりまして、この場合におきまして三〇%或いはそれ以上の使用中の工場に対しては、建物の保守或いは使つてない機械に対する手入もしなくちやならん。稼働率三〇%以下の工場はその稼働率に応じて手入、建物の修理の費用を分担することを要するとこういうような規定が出ておるのであります。かような結果、保安保守というような部面をこういうような会社が直接負担しなくちやならん。こういうような結果になりまして、いろいろこの経理状態を我々行つて調べてみますというとこれがために非常な負担になる。殊にこれは賠償指定になつておりまする機械の手入或いはこの警備要員を使つて保全をするためには、一般の企業形態の通念からすれば実に低調極まることを要求されておるのであります。それがためにこれらの負担が非常に多いのでありまして、我々素人から見てもこれではとても経営がなつて行かない。これは申すまでもなく賠償問題は国家の責任である。賠償の対象物はこれは国有財産であります。当然これは国家が負担すべきものである。然るに実際においてそういう業者に負担さしておる。これも單なる覚書だとか指令的なものであつて 国内的には何らこれは業者に対して強制すべきものではない。それを大蔵省では直接に工場にやらしている。こういうような点が私は経営上から見て非常に矛盾した点があるのではないか。殊に今日のようにあらゆる面において産業の復興開発が非常に強く要望されているのに、これがために非常な重荷を背負つて、又ハンディキャップを負わされ、普通の会社経営としてはやつて行けない。これは常識としてもわかるのでありますが、こういう点につきましてこの転換法の趣旨から見ましても実際においてこの産業がこういう旧軍港市の発展しないような、一つのチエックというようなことになつておりますが、こういうような点について大蔵大臣はこの転換法の立法の精神に基きまして結果が非常にもとつておるという点につきまして、大蔵大臣はどういう御見解をお持ちになるか、先ずその点をお伺いしたいと思うのであります。
  143. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 私はこのスキャッピンその他の文面をよく見ておりませんので政府委員から答弁をいたさせます。
  144. 吉田晴二

    政府委員(吉田晴二君) 只今の賠償のものについての管理の問題でございますが、これは只今お話通り民間に貸付けたもののうち三〇%以上を民間の工場が使つておる場合は、その管理関係の費用は民間工場が負担するという原則になつております。ただ従来はこれは保守手入に非常な費用を要したのでありますが、只今申しましたように昨年の六月一日以来は保守手入は非常に簡單なものでよい。特別に手入を要する場合はむしろそれは司令部のほうに申出てその許可を受けて手入をしなければならないということになつております。なおお話通りにガードがいるわけでございますが、これらの点も結局は会社のほうでそれだけの負担をするという條件のもとにその施設を借受けるということになつておるわけでありまして、何と申しますかこれを強制するというよりもそういうことに話合の上でなつておる。つまりそういうことが全体の條件の一つになつて、その施設の一時使用を受ける一つの條件になつておるという関係でございます。
  145. 山田節男

    ○山田節男君 先ほど質問を申上げたように、そういつたようなGHQの一部局の覚書或いは一地方の民事部の指令といいますか通告といいますか、こういうようなものが直ちにそのまま業者に直接に適用されて、その間に何ら国内法的な処置がないのですね。それが実際行われているわけですが、国内法的には何ら手続なくしてこういうことが行われ得るのかどうか、現在行われておりますけれども、それが正しいのかどうかということをお伺いいたします。
  146. 吉田晴二

    政府委員(吉田晴二君) その点はつまりメモランダムというものは政府のほうに来ておりまして、それに基いて政府はその会社との間に一時使用の契約ができておるということになつておるわけであります。
  147. 山田節男

    ○山田節男君 最初に申上げたようにこれらの四旧軍港はもうとてもやつて行けないというので、ああした特別法を作つてもらつたわけであります。その趣旨から行けばこれはもう当然何かの恩恵にあずかるということはもう当然であります。そうでなければ復活できないということになつて参ります。厖大なところにそのままものを使つて普通の経営としてはやつて行けない、そういう経営上の原則を無規してまで、何か金を儲けているだろうというような想像の下に或いは将来これは自分のものになるだろう、自分のものになるのだからというので多少我慢してやるだろうというような想像の下に今日までやらせておるということは、何ぼやらしても、うだつが上がらない、殊に昨年のごときは呉の播磨におきましては千六、七百人も首切り、佐世保におきましてはたしか九百名のものを首を切つております。内部においても倒れる寸前のような状態にあるのであります。そのようなことは私は立法趣旨からいつても非常に遺憾に堪えないのでありますが、そうすると今申上げた保全管理、或いは保守というようなものに対してはこれは最高の関係当局の意思によつて、将来も断じて曲げることができないという政府方針なのかどうか、これを一つ明確にお聞かせ願いたいと思います。
  148. 吉田晴二

    政府委員(吉田晴二君) 賠償管理であります以上これは何と申しますか、司令部のほうのむしろいろいろなスキャッピンでありますとか、覚書によりまして拘束せられておる部分が非常に多いのでございまして、そういう点についてはこれがなくなるまでは変更はちよつとむずかしいと思います。ただ実際問題といたしましてはこういう企業に対しまして貸付を差許しております間一時使用料を取つておりますわけでありますが、その一時使用料を取る場合にその機械であるとか、或いはその施設については料率だとか、或いは拘束されておる状況、そういう点をできるだけ斟酌いたしまして、より非常に適正なものにするというような方針考えております。
  149. 山田節男

    ○山田節男君 そうしますと、昨年の六月の賠償物件は国有財産であり、一部使用者というものは民間の業者でやる、そうしてそれに対して関係方面からの賠償工場であるというような関係方面の指令といいますか、覚書というものが、これが絶対的のものであつて、そうしてこういつたような処理は国内法的な……国内法のこれの、例えば関係当局の意思を法制化することなくして、直ちにこれがアツプライされて正しいのかどうか、これをもう一点確かめたいと思います。
  150. 吉田晴二

    政府委員(吉田晴二君) その点は先ほど申上げましたように、つまりこの一時使用を受けるということは、これは一種の会社のほうの別に義務ではございませんで、会社のほうでこれをやりたい、こういう條件の下にやりたいということでやつているわけでございますから、そこに特に主張するとか何とかいうような問題ではないというふうに考えます。
  151. 山田節男

    ○山田節男君 それからもう一つ、やはり現地に行つて見まして、経営者が非常に困つているというのは、固定資産税の問題であります。これはまあ昨年所得税法が改正されまして、固定資産税ができたわけでありますが、その前に建物の補修、それから機械の手入れ、こういうものに対して各会社とも非常に金を使つているわけであります。ところがこれを大蔵省の立場から言えば、そういうものは補修をし、或いは手入れをすれば、これは一つの固定資本の増加とみなして課税するのであります。ところがその原則は、勿論賠償工場にも適用されているわけでありますが、これらの賠償指定の物件、建物は、必ずしも現在そこを経営しておる者に払下げられるということははつきりしておるものでもない。又若しこれが現在担当している工場に払下げるにしても、これらの補修費、手入れ等を要したものに対して払下げる場合の時価から、これらのものを引くというようなことによつて……、こういうように考えますというと、先ほど来非常に保金管理の問題について負担を負わされる。なお又今度実際の固定資産税というような問題、或いは国家の他の税の関係から見ても非常にこの点が矛盾していると思うのであります。そうして実際見まするというと相当な金を取られている。こういう点に関して私は一時使用でも国有財産というものは、これは飽くまで民間財産とは異なるということは申すまでもない。而もそういう資本の増加することをしながらも、結局においてはその結果というものは保障されていない。而もそれは資本増加であるというので課税の対象になる。こういう点が非常に矛盾していると思うのであります。殊に旧軍港の転換法の建前から言えば、こういうようなことをせられることになりますというと、折角の特別措置法の立法趣旨は徹底しないということになりますが、こういう点につきまして大蔵省としては何らかの特別の措置ができないものかどうか、この点を一つお伺いしたいと思います。
  152. 吉田晴二

    政府委員(吉田晴二君) 只今の点も根本的には先ほど申上げましたように、会社が一時使用するということについて、そういう條件の下に一時使用しているのであるから止むを得ないということが根本的な問題である。ただ実際上の問題といたしましてはいろいろそういうような資本増加に当る部分、或いは累積資本を投ぜられた部分というものについては、払下げ條件においては十分考慮するということが実際上の取扱になつております。
  153. 山田節男

    ○山田節男君 一時使用の問題でありますが、これは委員長、会計検査院のかたは見えておりますか。
  154. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 来ております。
  155. 山田節男

    ○山田節男君 この一時使用をしている賠償の対象でありますが、これに対しては従来賠償指定工場になつているところの、何と申しますか、稼働係数というものを見て、そうして税金がかけられておつたのであります。ところが二十五年度からは稼働係数というものを見ない。先ほど申上げた保全、管理、補修、こういう場合にも稼働率というものを三〇%以下というふうにしてありますが、この場合には、稼働係数を見ないで一律にとつてしまうということになつているのでありますが、成るほど賠償指定工場にあつた機械だけを中小工業にこれを転換しまして使用する場合には、これは殆んど二十四時間ずつと使用している場合が多いと思う。ところがこれらの舞鶴、呉、佐世保のような厖大な場所に行きまするというと、勿論使用してない物がなくさんありますが、使用するものにしても、極端に言えば大きな二百五十トンのクレーンというものはこれは年に一度か二度しか使わない。殊に呉のように、昨年の六月にスキャッピンが出て、修理までも非常な制限を受けましてからは、そういうものを全然使わない。それにしても、やはりどうしても使用料を払わなくてはいけない、こういうことになつておりまして、これ又旧軍港のあとを経営する業者間の人と非常に不公平な結果になつているわけでありますが、会計検査院などではこういうような実際の矛盾を認めておられるのかどうか、これを先ずお聞きしたいと思うのです。
  156. 小峰保榮

    ○説明員(小峰保榮君) 只今の御質問にお答えいたします。昭和二十三年度までは、稼働率とか利用率とか、そういうものを見まして料金を取つていたのであります。但し全体につきまして料金を取つたのでありますが、二十四年度からは、個々の機械につきまして稼働率三〇%以下のものは全然料金を取らない、その代りに三〇%以上働いたものは特に料金を取る、こういう扱いにしておられるようであります。この機械、建物とかそういうものにつきましては、利用率というようなものを勘案していろいろ査定されているようでありますが、機械につきましては、そういう方針によらないで一律に取るというのが現在の政府方針のようであります。これにつきましてはいろいろ……、どんな方法によりましても若干の矛盾は出るかと思いますが、今のように、例えば二〇%、三〇%というような稼働率の低いものについては、全然料金を取らんというのが現在の方針でありまして、今のところ、私どもといたしましても、その政府方針によつてきめます貸付料とか一時使用料というものはお払い願うように、検査のほうもやつている次第であります。
  157. 山田節男

    ○山田節男君 今政府方針だということでありますが、政府と言えば、この国有財産で大蔵省は重大な責任を持つているわけでありますが、今の政府方針というのは、会計検査院のみでなくて大蔵省とも了解の上でそういうような方針をとつておられるのかどうか、この点一つお聞きしたい。
  158. 小峰保榮

    ○説明員(小峰保榮君) 御承知のように会計検査院は政府のきめましたことをあとから検査するわけでありますが、今のところ政府のおきめになりました方針というものにまあ異議を申してると申しますか、そういうようなことをする考えは今のところ持つておりません。
  159. 山田節男

    ○山田節男君 今の会計検査院の御意見ですが、これは管財局長に御質問申上げますが、先ほど来も重ねて申上げたように、これは私は何も転換を盾にとつて恩恵を受けようということを要求しているのではありませんが、先ほど来申上げたような実際上の非常に不公平な、この旧軍港の都市が発展しきれんような工合に、今どんどん押し付けられているわけでありますが、大蔵省、特に管財局として今の会計検査院のやつておられるようなことがやはり正しいと思われるのかどうか、この点を一つはつきりさせて頂へきたいと思います。
  160. 吉田晴二

    政府委員(吉田晴二君) 只今会計検査院から御答弁ございましたのでありますが、我々といたしましては機械の只今の利用率等の点については十分考慮をしているつもりでございますが、なお実情に副わない点は十分研究いたしまして、十分実情に副うようにいたしたいと思つております。
  161. 山田節男

    ○山田節男君 時間を余り取つても恐縮でございますから簡單に質問します。もう一つは例のこれらの四軍港、昨年の六月のたしか二十三日と思いますが、例のスキャッピンが出まして、そして佐世保、舞鶴それから呉、横須賀でしたか、二つのグループに分けられましたけれども、こういつたように造船で生きておつた軍港が、これによつて非常に制約を受けまして、そして改造修理というものに対しても、極度な制限を受けているのであります。例えばドックに、十五日以上中に入つておつちやいかんとか、その他さまざまの制約があるわけですが、今日こういうように日本の船舶が非常に払底して一日も早く船舶の復興拡充をしなければならんということになつているにもかかわらず、依然としてこれらの状態がそのままになつているわけであります。そのために本参議院におきましても、たしか二月の五日だつたと思いますが、船腹増強の決議案が通過されたような次第であります。なおその後におきまして日本船主協会、或いは船舶工業会等から、旧軍港における造船修理施設の利用制限緩和に関する要望、これは運輸大臣に出している。それから船舶工業会というのからは、転換工業が改進工事並びに長期修理を行い得るよる御高配かたお願いの件というのも、運輸大臣に対して出されているのでありまして、これはいずれも昨年の六月の下旬に出されたスキャッピンの適用の緩和を要望しているわけでありますが、船舶の造船或いは改造修理の要望が非常に今強くなつております。曾つては日本の経済力を以ては、現在の造船施設はあり余つているということも関係方面から直接私は聞いたのでありますけれども、今日の状況は、あらゆるものをこれは動員してこの船舶の拡充の要求に応じなくちやならんと思うのですが、こういうようなものが国会決議となり、又民間団体からも運輸大臣に重ねてお願いしてあるのでありますが、その後何らの反響がない。これらの四軍港のうち三軍港は非常にこれに対しまして何と言いますか、強い希望を持つているのでありますが、この点について運輸大臣のほうではどういう考えで今日までこれをチエツクしておられるか、この点を一つお聞きしたいと思います。
  162. 秋山龍

    ○説明員(秋山龍君) 運輸大臣病気でございますので、私から代りましてお答え申上げます。  各軍港の造船の施設をできるだけ高度に利用いたしまして、特に地方的な経済問題を解決いたしたいというのが運輸省としては堅くとつておる方針でございます。    〔委員長退席、理事藤野繁雄君委員長席に着く〕  その点から見まして、只今御指摘の昨年秋のスキャッピンでは大変困ることでありまして、スキャッピンが出ましてから、直ちに私どもといたしましては、さような民間の声の挙らないうちから、終始何とかしてこのスキャッピンの適用を緩和して欲しいということを熱心に懇請を続けて参つたのでありますが、新造船につきましては我が国の民間造船能力が、これもやはり旧海軍の注文を相当多量に受けて生きておりました工業でございまして、従いまして海軍のない今日、全部を商船建造だけでこなすには、実はこなし切れないだけの能力が実はあるのであります。その上に旧海軍の工廠でありましたこの四つの工廠を又新造船にも許してくれということは、数学的になかなか理由が立ちにくいのでありまして、その点私どもも実に閉口いたしておるわけであります。併しながらどうせ現在の能力も余つておるわけでありまして、これになお四つの工廠を加えても、競争は激化いたしますけれども、おのおの競争によりまして安くいい船ができるということは望ましいと考えるのでありますので、その点からもお願いをいたしておるわけでありますが、なかなかこの点は考慮してもらえないのであります。併し御指摘の後段の修繕、改造等に対する制限は、これは取つてもらうことができるならば、これは結構でありますが、従つて一般的な方針の緩和かたの懇請をいたしておるのでありますけれども、これは実は成功いたしません。併しながらこれは許可にかかつておりますので、最低限この工場の維持に必要な仕事だけは許可してやるから具体的な問題として持つて来たらどうか、こういうふうなお話でありまして、爾来この方針でやつております。従つて呉につきましてはこのスキャッピンが出ましてから二隻ばかり改造工事が許可になつておるのであります。それから舞鶴につきましては最近一隻、又佐世保につきましても昨日でありましたか、許可になりましたというようなわけで、どうにかこれらの工場が最低限の仕事だけは与えられておるような次第でございます。なおそういうような契約が船主と当該造船所との間に締結されました場合には、できるだけこれは許可してもらうように努力いたしたいと、かような方針でやつておる次第であります。
  163. 山田節男

    ○山田節男君 これは、今秋山次官が申されましたようなスキャッピンが出されましたことについて、殊に秋山次官に努力して頂いて事実上スキャッピンの内容を変えてまでこの改造修理ができるというようにして頂いたことにつきましては、非常に四軍港関係では感謝しておるのであります。先ほども申上げましたように、造船の場合においてもこういつたような船主協会とか船舶工業会というものは、普通、旧軍港が造船なんかするということには反対するのであります。従来反対しております。私が過去四年間のいろいろこの問題に関連しての関係方面の折衝においても、どうも民間の船を造る会社等が、旧軍港が余り出されるということは、どうしてもコストが安いというので、非常に反対しておるということを私は事実これを聞いてもおります。併しながら今日こういつたような造船に関する経営者団体が是非一つこれらの旧軍港を開放して、造船或いは改造というものにも乗り出すようにしてくれということを運輸大臣にお願いしておるわけでありますが、今の秋山次官の御説明によると、こういつたような船舶増強の必要な今日でありながら、関係当局は運輸省の非常な御折衝にもかかわらず、造船は勿論許されない、又今日厳然として残つておるスキャッピンというものは、これは到底政府の交渉を以てしてはこれは廃止するというようなことばできないという意味なのかどうか、これを一つお聞きしたい。
  164. 秋山龍

    ○説明員(秋山龍君) スキャッピンが廃止できるかどうかということはどうも私ちよつとお答えいたしかねる次第でございますけれども、まあ我々としましては占領下にあります事態に鑑みまして占領政策としてきめられましたことはこれはできるだけ忠実に実行いたさなければならんと存じておりますけれども、その間におきましておのずから成るべく具体的妥当な実施ができますように努力いたしたいと、かように考えておるわけでございます。従いまして只今のこの造船を非常に全力的にやらなければならん折であるからして、何とかしてやらなければならんという御趣旨かと存ずるのでありますが、実は民間の浩般能力がよほど堅く見積られました計算でも、約八十万総トンの能力がございます。この軍工廠能力はこれ又見方がいろいろございますが、先ず堅く見ましても三十万総トンはあると考えております。全体として百十一万総トンくらいの能力になるわけでありますが、現在の鋼材の生産能力或いは又金融能力といつたような方面からいたしまして、この全体を日本商船隊の建造だけに向けるということはなかなか困難ではないかというふうに考えておる次第でございます。
  165. 山田節男

    ○山田節男君 余り長くなりますからこれを最後としますが、そうすると、この四軍港のうちで例えば呉に新聞で見ますというと、アメリカのナシヨナル・バルク・キヤリヤ・コーポレーシヨンという会社が、呉の旧海軍工廠の全部ではないでありましようが、その一部を何でも買収して、あすこでタンカーを作るというようなことを聞いたのでありますが、こういうような形式になりますというと、先ほど来佐世保、舞鶴、呉の実情を申上げたことは一遍に消し飛んでしまうというようなことになるのですが、こういうようなことは先ほども申上げましたようなスキャッピンというものを事実上廃止される結果になるのであります。こういう点でこのN・B・Cの問題がどういうように取扱われるかということは、これは特に四軍港関係のものばかりでなくて、これは全国民がこれを注視しておるだろうと思いますが、このナシヨナル・バルク・キヤリコ・コーポレーシヨンが実除もう呉に来るように決定いたしたのかどうか。或いは若しまだ決定しておりませんならば、その見通しを簡單でよろしうございますからお聞きしたい。
  166. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) お話のN・B・Cから呉のドックの売払、條件付売払を申出ておるのであります。只今その條件等につきまして折衝をいたしておるのであります。今のところまだ決定的になつておりません。
  167. 山田節男

    ○山田節男君 今の大蔵大臣の御答弁がありましたので、重ねて御質問しますが、N・B・Cがあすこに来ることになれば、その国有財産を全部買取るというように、新聞で聞いておるわけでありますが、こういつた場合に、評価の値段において、評価の段になりますと、いろいろこれは見解が違うのじやないかと思うのですが、新聞で承わると、これは無償で返すというような條件で来るらしいというようなことも聞くのでありますが、そういつたような場合に、例えば佐世保とか舞鶴というような業者が、先ず不安に感じますことは、先ほど来重ねて申上げたいろいろな国有財産法によつて、或いは会計検査院によつていじめられた結果になつた。ですからこういうような工場は非常なハンディキャップを負いつ放しで、それでもうN・B・Cが来れば、例えばその評価が二十億であるものも三、四億円に払うというようなことになりますと、たとえ無償でこれを返すということの契約がありましても、私はやはり国有財産法の処理上から言えば非常に不公平に見えるのでありますが、N・B・Cのそういつたようなこと、そういう点に関しては飽くまで厳正に今の国有財産法によつて評価し、そうしてそれによつてこの売却ならば売却についておやりになるつもりかどうか、この点を一つお伺いしたい。
  168. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) N・B・Cとの話合いにつきましてはお話のような点もありますし、又地方の産業助長の点もありますので、適当なところで折合いをつけたいと考えております。何と申しましても、呉のドックは御承知通りに特殊のドックでございまして、六万トン、五万トンというのでございまして、世界にも余り例のないようなドック、而もこれを日本の会社が使えるかといつたらなかなか使えない。ここにいろいろな條件等を考えて、適正にきめたいと思つておるのでございます。
  169. 岩間正男

    岩間正男君 今のことにちよつと関連して……。
  170. 藤野繁雄

    ○理事(藤野繁雄君) あとであなたの時間がありますから……、堀木さんに次にお願いします。
  171. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 大蔵大臣にお聞きいたしたいのですが、御承知通り、まあ予算審議段階分科に入ることになつたわけですが、ここで、この委員会においてお話になりましただけでは、開発銀行も近くその内容について話することができるというお話があつたのでありますが、到頭分科に入るまでは、新聞等では私ども見ておるのでありますが、大蔵大臣からその内容についてまだ御説明がないわけであります。で、長期金融機関としての一つの大きな柱なんでございますので、この点については予算の進捗と見合わして、ここで御説明願わなければいかん問題でなかろうか。こういうふうに考えるのであります。  それから通産大臣がまだ今日お見えになつておりませんから。大蔵大臣のほうがおいでになつておりまするからお聞きいたしたいのですが、緊要物資輸入基金特別会計につきましても大体年四回百億、そうしてそれが特殊の政府買入を要する物資だということの御説明があつたのでありますが、実は事務当局からは、この点についてまだ内容的に何にもきまつていないというような、予備審査ときにお話があつたような次第でございます。それからもう一つ大蔵大臣がここでお話なつたうちで、近く解決を見たらお話になるという懸案になつておる問題といたしまして、農業関係として協同組合の再建整備法に関連いたしまして、この資金的な措置をどうするか、いろいろな説があるようでありますが、これも近く解決を見るはずだ。で農協或いは水産、林産関係の協同組合の再建整備に関しての資金的な措置、この問題についても近く御説明になる。こういうお話になつておりますが、これらにつきましてお見通しの点をはつきりして頂かんと予算審議上甚だ支障がある。こう考えるのでありますが、如何でありますか。
  172. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 日本開発銀行の設立に関しましては、大体、設立することには意見が一致しておるのでありまするが、その業務の内容等につきまして、只今折衝を重ねておるのであります。今国会に是非とも出したいというので進めております。予算的に見ますると、これは政府関係機関というのでございまして、丁度輸出銀行のようなことに相成ると思うのであります。次に緊要物資の特別会計につきましては、これは先ほど申上げました通り、今後どういう品物が来るか知りませんが、我々は只今のところ民間輸入ではちよつと困るような特殊の物資、例えば非鉄金属等の特殊の物資につきましては、これで輸入を図りたいと考えておるのであります。なお情勢によりまして只今申上げましたような民間輸入で困るというふうなものにつきましては、これでやるつもりであるわけであります。  次に、農業協同組合の再建整備に関しまする措置につきましては、大体昨日ぐらいでまとまりかけておりますが、農林省並びに大蔵省ばかりでなしに他の例えば民間の経験者の意見も聞いておりますので今明日中にはまとまると考えております。而してこれが予算的な措置の分につきましては、今直ちに金が要るという場合でなく、補正予算を組むようなことがあつた場合でいいのではないか。それは各農業協同組合の二千数百に亘りますものが、再建整備計画を立てて、その整備計画によつて金が要るということに相成りますので、整備計画ができてから……、従いまして今国会におきましては法案の御審議程度に終るのではないか。こういう見通しであるのであります。
  173. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 今の問題に関連して参りますと、開発銀行の問題も、この経済再建費の七百五十四億のうちからお出しになるように新聞では了承しておる。実はこの点につきまして、大蔵大臣に申上げたいのですが、この七百五十四億を如何にお使いになるか、七百五十四億を白紙委任状を出すというお考えなんでありますか、それとも内容をここで相当お挙げになるつもりでありましようか。その点今後予算審議して行く上において考えなければならん問題である。そう思うのであります。緊要物資特別会計の分は大臣としての構想枠はきまつておるようでありますが、実はその金額の裏付になつておる実際の問題は事務的にはまだきまつていないようでありますが、これは事務当局にお伺いいたしますが、ともかく差当り七百五十四億を如何にお考えになるつもりか、その点について御構想をもう少し具体的に明らかにして頂きたい。
  174. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 見返資金の中の七百五十四億につきましては、昭和二十六年度の経済金融の状況を見ましてきめたいと思うのであります。御承知通り昭和二十五年度の見返資金におきましても、当初は五百億円の債務償還をする。そういう計画で以て行つてつたのでありまするが、二十五年度の今までの状況から見まして、これは債務償還をせずに、そのまま見返資金から翌年度へ持越したほうがいいという結論で債務償還をしなかつたのであります。而して二十六年度の経済再建費をどういうふうに使うかという問題につきましては、一応二十六年度の経済界の状況を見てきめたいと思います。而して今開発銀行に対しまする、まだはつきりきまつておりませんが、百億円の出資という場合に、どこから出資をするかということになりますると、私は見返資金から出資するのが適当だろう。而して只今予定いたしておりまする私企業に対しましての四十五億円は、これは開発銀行から出す、残りの五十五億円はどこから出すかという問題になりますと、七百五十四億円の経済再建整備費から出すのが適当ではないかというくらいな心持でおるのであります。これはまだきまつたわけではございません。
  175. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 この見返資金なり、預金部資金運用については、最近新聞でも相当変更があるようにも聞き及ぶのでありますが、とにかくそういたしますると、端的に申しますと、大蔵大臣は、議会に対して七百五十四億円の再建整備費と、それからインベントリー・ファイナンス五百億、この二つが今後の経済の情勢、輸入の状況等によつて先ず考えて行こう、こういうふうなお考えだと考えられるのでありますが、そうでありましようか。
  176. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 外国為替特別会計へ一般会計から繰入れます五百億につきましては、只今の見通しでは、今の輸出入の貿易によりますと、これだけの金が是非必要だ、こういうのです。見返資金経済再建費のほうは、大体情勢によつて使つて行く。要らなければ翌年度に繰り越そう、こういうことであるのであります。
  177. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 なおそれらにつきましては、今後予算の進捗と睨み合せて、いろいろ前後の情勢と併せまして、更に御質問をいたしたい、こう考えておりますが、今日は一応分科に入ります前の必要な分だけお聞きいたしたいと思います。実は私ども初めて予算承知するのでありますが、国有鉄道に対しまして二十億の貸付金が一般会計からされておるわけであります。この御説明によりますと、これは無期限、無利子の金のようでありますが、こういう貸付金というものが今まで財政上あるのでありましようか、つまり一般会計から貸付けられる金だつて、無期限無利子で貸付ける……、先ずやつたのと同じことだと私は考えるのでありますが、何故にこれは無期限、無利子の貸付金なのか、先ずそれを承わりたい。
  178. 河野一之

    政府委員(河野一之君) どちらかと申しますと、これは国有鉄道の一種の赤字みたいなものであります。従いまして従来の建前から言いますと、国のほうにおきまして、補給をいたすというふうな建前であるわけでありますが、国有鉄道、いわゆる公社になりまして完全なる独立採算制というような建前からいたしまして、これはやはり将来返して頂くのが適当である。従つてこれが一般の国債でありまするならば別でありますが、一般会計から支給いたしております建前上、無利子で将来返還して頂く、こういう建前にいたしておるわけであります。
  179. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 こういう一般会計から無期限、無利子で貸付けるような方法が非常に発展されるということは、今後について非常に私は示唆に富むものである、こういうふうに考えておるのでありますが、幸いに蔵相おいでになりまするから、その点についてお聞きいたしたいのでありますが、その点につきましては、理由を拜見いたしますと、日本国有鉄道は、「最近における異常な駅頭滞貨の増加に鑑みて」こう書いてあるのでありますが、これは車輌増備のために貸付けられる、こういうふうな考え方にもなるのでありますが、これは蔵相の御意向はどこにあるのでありますか。
  180. 河野一之

    政府委員(河野一之君) この二十億の金はどこにどういう、いわゆる資本的な、資本勘定に対する貸付けであります。資本関係の貸付でありますので、これはどこにどうということはないのでありますけれども、御承知のように、最近の駅頭滞貨の増加に鑑みて主として車輌増備、成るいは新線の建設といつた面における費途に充てたいという建前で入れたわけであげます。御承知のように鉄道会計の、公社における資本の減価償却ということもまだ十分ではありませんので、こういつた資本充実の見地から一般会計から入れた、こういう建前でございます。
  181. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 そういたしますと、実はこれは車輛のためにお貸しになつたのなら、丁度基金会計のごとくして、回転をされると、車輛増備が相当できるのじやないか、こういうふうな考えをするものですからお聞きしたのでありますが、そうすると特別会計におきましては、新線の三線分ですか、それに対する財源としても、やはり組んで無利子でお貸付になる、無利子無期限でお貸付になる、こういう建前でしようか。
  182. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 新線の、最近鉄道でやつておりまする新線というのは必ずしもペイしないような、いろいろな線があるのでありまして、そういう趣旨の点も考えたのでありまするが、この新線を三線以上殖やすことにつきまして、いろいろ関係方面におきましても折衝の余地がございますので、差当り考えていますのは、この予算説明で考えておりますような理由で入れた次第でございます。
  183. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 それが今朝ほど私は運輸大臣おいでにならないと困ると言つたわけなんでありますが、実は運輸大臣代り政務次官が来られて大いに今後この方式によつて新線をやるがごとき施政演説をなすつたのであります。で、私はそれに関連して質問いたしたのでありますが、ここで実はそういう点がありますので、特に誰かお出かけになる必要があるじやないかということも一つの理由でありまして、無論ほかにもつと重要な問題があるわけでありますが、それでは秋山次官が折角おいでになつているようですから、ここでお聞きしたいと思うのでありますが、この新線につきましては運輸省の設置法第六條によりますると、運輸審議会にかける、こういうふうなことが要件になつております。それからまだ運輸省の規定を見ますと、敷設法が残つておるようにも考えられるのでありますが、こういう法的な処置をおとりになつてこの新線を計上なすつたのでありましようか、どうでありましようか。
  184. 秋山龍

    ○説明員(秋山龍君) お答えいたします。今提案いたしておりますのは予算でございますので、運輸審議会といたしましては、現実に着手いたします場合に他の私設鉄道におきまする新線認可と同じような形式でそこに諮問いたしたいと存じております。なお鉄道敷設法が残つておりますことは御承知通りでございまして、これは敷設法の範囲内と考えております。
  185. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 新たな線路に着手するということは、これはどうしても運輸省が勝手に自分の考えでおやりになるお仕事じやない、こう私は考えるのであります。予算が通つてからかけるというふうな性質のものでなしに、こういう計画でこうだというふうなことであるべきです。従来ともこの新線に関しては、これが非常に党利党略に用いられるのを避けるために、新たに着手するときには、非常に慎重な手続を経ておやりになつておるというのが従来の前例だと私は記憶しておりますが、そういう点につきまして御見解、事務的な御見解で結構であります、あと運輸大臣おいでになるそうですから、この問題も更に私は大臣にいろいろの角度からお聞きしたい、交通政策の角度からお聞きしたいと考える。事務的な点について御答弁を願います。
  186. 秋山龍

    ○説明員(秋山龍君) お答えいたします。鉄道の新線の建設につきましては、事務当局といたしましては極く限られたる国家の資金を使うのでありますからして、成るべく輸送上有効であるということ、又一面国土の開発、産業の振興に最も有益なところに使いたいということを考えておりますことは終始一貫同じでございます。それからなお本件は、この三線は、従来予算通りましてすでに着手されておりましたもののうち、非常に進捗程度の進んでおりますものを完成いたしたいというふうな見地で予算に計上されたものでございます。
  187. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 秋山次官にもう一度事務的にお聞きしますが、終戰後新線をおやりになつたことがございましようか。
  188. 秋山龍

    ○説明員(秋山龍君) 終戦後新線をやりましたのは一カ所ございます。花巻、釜石線をやりまして、これを完成いたしたことがございます。
  189. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 その場合もただ事務当局でおやりになつた。今の、今度の場合の通りにおやりになりましたのでありますか。その点をもう一度お伺いします。
  190. 秋山龍

    ○説明員(秋山龍君) お答えいたします。花巻線もやはり曾つて着手されておりました線の完成でございまして、山田線の非常に復旧困難になりました事情と考え合せまして急速に着手をいたしたような次第でございます。
  191. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 この問題についてのいろいろな法律解釈は分科会に譲りたいと思いますので、私今日御質疑することは以上にとどめて置きます。
  192. 岩間正男

    岩間正男君 運輸次官は帰られますか、まだおられますか……。じや先に先ほどの山田委員との関連の問題でお聞きしたいのでありますが、先ほどのN・B・Cとそれから播磨造船の話合はどういうふうになつたのですか。その中でお聞きしたいのは、第七次造船計画として六万五千重量トンのタンカー四隻をこれが何年かの計画で作られる、こういうことになつておると思うのでありますが、その計画はどういうことになつておるのでありますか。
  193. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) N・B・Cと播磨造船との関係は私はないと思います。N・B・Cのほうから国有財産である船のドックを使用するとか買うとか、こういうふうな申出があるので検討を今加えております。而してN・B・Cの作ろうといたしておりますタンカーは第六次造船、第七次造船には関係はございません。
  194. 岩間正男

    岩間正男君 政府との間の話合はどうなつたのですか。それはさつきちよつと話がありましたが、これはまだ結論を得ないのでありますか。
  195. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) まだ結論が得られません。
  196. 岩間正男

    岩間正男君 これは第七次造船というのは或いは我々の聞き違いかどうかあとで確めて見たいと思いますけれども、そういうようなことがしばしば報道されているのですが、こういう計画は進められておるのでありますか、どうなんですか、この点を伺いたと思います。直接大蔵省関係ではないと思いますが……。
  197. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 第七次造船は、見返資金に計上しておりまするところの昭和二十六年度の百十五億円のうちから第七次造船を計画いたしておるのであります。
  198. 岩間正男

    岩間正男君 これは運輸次官に今の点を伺いたいのですが、そういうような造船計画というものは、これは運輸省のほうとは関係はないのですか。
  199. 秋山龍

    ○説明員(秋山龍君) 造艦計画は運輸省の所管事務でございます。
  200. 岩間正男

    岩間正男君 今の問題はどうなんですか。このN・B・Cのほうとの厖大なタンカー四隻の造船計画ですね、これはどうなつていますか。
  201. 秋山龍

    ○説明員(秋山龍君) 第七次造船と申しますのは、昭和二十六年度における造船を一括して私どものほうではそういう俗称を使つておるわけでございますが、二十六年度におきまする造船計画といたしましては、油槽船は三隻以内ということを考えております。その合場の全体を、これは私どもだけの計画でございますが、大体二十六年度の造船をおよそ四十万トンという目標で進んでおるわけでございますが、そのうちタンカーが大体三隻、併し現在の船価と、只今大蔵大臣から御答弁のございました見返資金の差当り割り振りを受けております金額から見ますると、約半分程度しか着工できないのであります。従つてその中ではタンカーは一万二千総トンのタンカーを二隻建造することにいたしております。
  202. 岩間正男

    岩間正男君 これは第七次造船というのは、我々の情報聞き違いかどうか。その点確かめておるわけでありますが、第七次造船に必ずしもこだわらなくてもいいのですが、そういうような投資の面については、殊にN・B・Cのほうから投資されてそういう計画が進められておるということは、これはすでに新聞なんかにも報ぜられておる問題だと思いますが、そういう計画については、これは運輸省のほうでは、どういうふうにつかんでおられるのでありますか。
  203. 秋山龍

    ○説明員(秋山龍君) N・B・Cの計画は日本の海運とは全く関係はございません。N・B・Cはアメリカの大きなナシヨナル・バルク・キャリアーという言葉が示しますように、タンカー会社でございまして、自家用のタンカーを作りたいという計画でございます。
  204. 岩間正男

    岩間正男君 今の日本の計画と全然関係がないというのはちよつとおかしいんじやないかと思います。單にこれは実際問題としてこれの作業を始めると、当然日本のいろいろな労働者の問題、更に仕事を進める上において、結局播磨造船とか、そういうところが相当これに対して共同の仕事をやつて行く、こういうことでぽつんとアメリカから来てアメリカの資本でやられることはないと思います。これはやはり日本の造船計画に大きな影響を持つと思います。六万五千トン四隻と言いますと、相当厖大な、二十五万トンにもなるような造船計画なんであります。これは日本の造船計画とは関係はない。直接関係はないかも知れませんけれども、影響するところは大きいと思います。従つてその外国との計画、或いは日本との協力によつてやられる計画に対しまして、当然これは運輸省としましてこれに対していろいろな対策、意見があると思うのでありますが、そういう点は如何でございますか。
  205. 秋山龍

    ○説明員(秋山龍君) どうも御質問の御趣旨はよくわからないのでございますが、ナシヨナル・バルク・キャリアーは自家用のタンカーを作るという計画でございまして、呉におきましては現に相当の造船熟練工の失業者がたくさんございます。従つてナシヨナル・バルク・キャリアーの仕事が仮に実現いたすといたしましても、それがために日本の造船計画に影響を持つということは殆んど考えられないのであります。
  206. 岩間正男

    岩間正男君 今のような影響がないというようなことを言われるのでありますが、これはそうすると外国のそういう造船計画に対しては全然日本の政府としてはこれはこれは総合的に考えないのですか、その面からの影響は大きいと思います。二十五万トンものウエイトを持つたものが、先ほどあなたの説明では八十万トンというようなことを言われたと思いますが、併し現在これは操業できるのは五十万トン程度、造船についてはそういうふうに聞いておりますが、そうすると相当大きなウエイトを持つ。それが全然影響を持つて来ないということはちよつと考えられないのでありますが、この点はどうなんですか。
  207. 秋山龍

    ○説明員(秋山龍君) 二十何万トンとかといういろいろな数字を今お教え下さいましたが、あすこには建造のドックの大きなのは一本しかございませんので、それは一遍にやるわけではないと私は了解いたしております。従つて六万トンの船を一隻ずつ造つて行くのだろうと思いますが、私の聞いておりますところでは非常な高度の鎔接船でございまして、人間の力は割合に食わないのでございます。従つてあそこで一万トンのタンカの建造がずつと五年とか十年とかそれが行われるといたしましても、それが日本の造船能力に影響を持つ、或いは日本の造船計画に支障を来すということは運輸省としていろいろ分析いたしましたけれども、決してそういうことはないと、こういうふうに考えております。
  208. 岩間正男

    岩間正男君 これは事態が進行すればはつきりすると思うのでありますが、最初は全然あなたのほうではこれは知らないというような、殆んど考慮の中に入れておらないというような話から、今度は影響は別にないんだ、こういう話をされるわけであります。これは非常に問題だと思うのでありますが、殊に六万五千トンというようなタンカー、このタンカーというものは実はしばしば航空母艦にこれは改装される、非常にし易い、そういうような性格を持つものであります。こういう点でこれは外国のそういう要請があつたといつて、それに対して日本のそういう造船計画に相当の大きな影響を持つものをそのままこれは一つの日本の国策の中から関連させないで、別枠にして全然タッチしない。こういう点について非常に私は異様な感を持つのでありますが、この点はなお運輸大臣が見えてからお聞きしたいと思います。  その次に蔵相にお伺いしたいのは、先ほど資金運用部の問題について田村郵政相にお伺いしたのでありますけれども、そのときの話では、とにかく何といつてドツジ・メモランダムの線でこれを守らなくてはならない。大蔵省のほうで定めたところの一元化したところのそういう金融政策の面は、これはこれに対しては余り意見を述べられなかつたのであります。併しこれは一時的のものと理解して、近い将来においてはこれは戻つて来るんだ、そうして郵政省のほうでやはりこれは将来管理するんだ、こういうような了解の下にこういうところは一応承認したのだというような大体説明があつたと思うのであります。併し一時的と、言いましてもこれはどういうことになるのでありますか。大蔵大臣はそのように一時的なものとしてつかんでおられるのでありますが、すでにこの厖大な運用資金というようなものが一元化されて、而も現在の情勢からみますと、それが近い将来、一年や、二年後に再び郵政省に還元される、こういうふうにはちよつと考えにくいところであるのでありますが、この点どういうふうに、田村郵政相が答えられた線で大体蔵相考えておられるのでありますか、この点伺つて置きたいと思います。
  209. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 一時的という言葉が私にもはつきりしないのであります。これについては、歴史の示す通り、前は郵政省でやつていたので、戦争中、戦後大蔵省で今やつておるのであります。而して今回は資金が相当殖えて来ましたから、こういうことを一緒にして今まで通りにして参りたいという法案になつているのであります。それだつたら五年先、十年先はどなるかという問題になりますと、それはそのときに考えることで、一時的、今年度だけかというとこれもお約束はできません。こういう状況であります。
  210. 岩間正男

    岩間正男君 これは田村郵政相もここにおられるとよかつたのでありますが、田村郵政相の一時的という言葉は、少くとも今下からいろいろな要求が起つておる、これに対する反対運動が非常に起つておる。それから両院にいてはすでに決議も出ておるし、そういうような決議は第五国会、第七国会なんかでも強力にこれは政府に示されておる。こういうものに対する一時的な言い逃れというふうにしか聞こえないので、今蔵相が御答弁なさつたこれは何といいますか、非常に含みのある言葉かも知らんのでありますが、一時的というと、五年か十年かわからん或る場合には一年だかわからん、実に頼りのないことになるのでありますが、そうすると大体五年或いは十年先の問題で、情勢の変化によつてこれは変るのだ、こういうふうに我々は考えていいわけでありますか。只今蔵相の御答弁は……。
  211. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 情勢の変化によりまして早い機会に変る場合もあります。又このままで続ける場合もあるので、将来それは政府が早く変えようとすれば変えることでございます。又あなたがたのほうで変える必要ありと認められたら、法案を御提出なさることに相成るだろうと思う。今私はいつ変るとかいつまでは変えないとかいうことは議論にならんと思います。
  212. 岩間正男

    岩間正男君 とにかくこれは両省の間にこれは相当な食い違いがあると考えざるを得ない。食い違いがないとすれば、田村郵政相は一時逃れのそういう答弁をされたとしかこれは考えられないわけであります。併し見通しとしては、蔵相の見通しとしてはいろいろな情勢の変化ですね。殊に今新らしい日本の体制については当委員会でもしばしば論議されたところでありますが、そういう体制から考えれば、そういう一つの一元化、強力な体制というものはますます強化されこそすれ、それが還元される、大衆に還元されるというような方向は非常に困難だ。そういう條件こそたくさん上つておれ、逆の、反対の條件というものはなかなか考えられない、こういうふうに我々から見ると考えられるのでありますが、これはどういう見通しを持つておられますか。それが一点と、もう一つは、大体預金部資金性格からいつて大蔵省で一元的にぐつとこれを締める、そうして非常にこれを強力な金融操作の重要な動力にする、こういうのが正しいのであるか、それとも大衆の零細な預金から集めて、而もその集めるときに、これはやはり大衆の厚生、或いは保健、こういうような幅利増進のために使うのだということは、末端の募集員はそういう観点から勧誘してやつているのであります。従つて大衆はそういうことを考え、殊に地方財政の逼迫している現状においては、そういう要求を満そう、ころいう考えからこの運用については多くの意見を持つているのでありますが、そういう点から考えてどちらが一体本体であるか、この点について蔵相の見解を承つて置きたいのであります。
  213. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) いろいろな点を考慮いたしまして、この結論に至つたのであります。経過的にはほかの委員会で申しました通り簡易保険というものは保険事業自体として考える場合、又財政金融の政策から考える場合、いろいろな点があると思うのであります。私は他の委員会で二回ほど言つておりまするが、とにかく両院の決議もありますし、又閣議でも簡易保険のほうを郵政省で取扱うように一応はしたのでありまするが、その後金融の情勢等から考えまして、今回のような結論に至つた次第であるのであります。
  214. 岩間正男

    岩間正男君 見返資金の余力を非常に残して置いて、特にそのしわが預金部資金のほうに肩替りさせられる。金融債の面なんかの肩替りでは殊にその性格が大きく出るのでありますが、なぜそういう必要が出たのでありますか。なぜそういうような必要が特に強化されなければならないのですか。
  215. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 御質問の点がよくわかりませんが……。
  216. 岩間正男

    岩間正男君 見返資金でこういう長期の投資なんかはしたほうがよいと思うのでありますが、それが預金部資金の肩替りということで、見返資金のほうが非常に蓄積予備的な性格を持つて来るわけですね。先ほどの経済再建費運用の問題なんか見ておるわけですが、それについては余り明確ないろいろな明細な用途の方法は情勢によつてやるのだということで、非常に予備的な性格を持つている。然るにそれによつて預金部資金のほうがこれは肩替りさせられて行つて、こういう形が出て来ておると思うのでありますが、これはどうしてそういう必要が発生しているのか。
  217. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) どの問題をとらえておつしやつておられるか、見返資金から国鉄並び郵政のほうに昭和二十四年度で出しました二百七十億円は預金部の金が相当溜つて参りましたので、而もこれは国民大衆の零細な資金でありますので、運用を確実にするという意味におき幸して、見返資金から出しました、国鉄並びに電気通信への二百七十億円は本年度において組替えをしたこの問題をお取上げになつておるのならば、これは今の預金部の金が余り、そうして確実な先としては国債を発行していない場合におきましては、確実な先としては国鉄、電通への貸付金にしたほうがよいというのでやつたのであります。それからもう一つ、これを御質問なさつていらつしやるのではないかと思うことは、開発銀行の百億円の分の使い方で、四十五億円の私企業の分は、見返り資金のほうで計画しておりますが、その百億円出す場合の残りの五十五億円をどうするかという問題についての御質問ならば、先ほど申上げましたように、経済再建費から出す予定であるのであります。どつかの新聞に載つてつたかと思いまするが、その経済再建費の五十五億円の分については金融債の四百億円のうちで考える。こういうことになるということを前提になさつておるのならその前提はまだきまつておりません。
  218. 岩間正男

    岩間正男君 次に見返資金の前年度繰越額、これについてちよつと伺いたいのでありますが、これは五百二十七億ということになつておりますが、これはどうなんですか。
  219. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 前年度繰越というのは、昭和二十五年度から昭和二十六年度の分でございますか、昭和二十四年度から昭和二十五年度の分でございますか。昭和二十四年度から昭和二十五年度の分は、百五十二億円であつたと思います。それから昭和二十五年度から昭和二十六年度の分は大体五百数十億円だつたと思います。
  220. 岩間正男

    岩間正男君 これはもつと多いと思うのですが、どういうことになりますか、例えば債務償還費の五百億円ですね、それから経済再建費、これが前年度分が二百億はまだ残つている、こういうふうに思うのです。それから肩替り余裕分二百七十億その他を加えますと、相当な額になつているのではないかと思うのでありますが、予算説明書によりますと、五百二十七億、こういろふうに繰越分になつているのですが。ここのところが我々ちよつとよくわからないのですが。
  221. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) そのほかに債務償還予定の五百億円が加わりますから、二十六年度では千数十億円になると思います。
  222. 岩間正男

    岩間正男君 これは予算説明書になかつたと思うのでありますが、これは債務償還費の分は抜いて五百二十七億、こういうことになるわけですね。そうすると、これはなぜ予算説明書のほうになかつたかということがちよつとわからないのですが……。
  223. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 二十五年度におきまして見返資金から五百億円を債務償還するということは御審議つたのでありますが、只今のところ金融情勢その他から申しまして債務償還せずに繰越しする考えでおるのであります。
  224. 岩間正男

    岩間正男君 それでは見返資金につきましてはいろいろお伺いしたいことがありますが、今までのものとダブる分もあるので、省略して、この一点だけお聞きしたいと思いますが、援助資金はこれは債務だ、これは蔵相衆議院とかそのほかの場合に答えられたと思いますが、その点はそれでいいわけですね。
  225. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 衆議院で答えたのみならず、参議院におきましても而も岩間さんにもう二、三回答えております。その通りであります。
  226. 岩間正男

    岩間正男君 この債務はどういうふうにして、将来返済するということになりますか。具体的に言いますと、例えば終戰処理費なんかの関係はどうですか。
  227. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 講和成立後に、いろいろな情勢から適当な方法で返したいと考えております。
  228. 岩間正男

    岩間正男君 これは経験処理費と相殺すべきものだというふうに我々は考えるのでありますが、その点はどうですか、蔵相の見解としては……。
  229. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 私は必ずしもそう考えておりません。
  230. 岩間正男

    岩間正男君 その点やはり講和が迫つているわけで、そういう問題についてもこれは予算審議に関係がある問題で、大体今の見通しですね、どういうふうに考えているか。もう少し先の見通しをお聞きしたいと思います。
  231. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) これは事柄が違うのでございますので、一緒にすべき性質のものじやございません。この終戦処理費はあの終戦の場合に我々が無條件降伏をしたことによりまする日本国の負担であるのであります。而して援助資金というものはへーグの国際條約によつて占領軍が被占領国に必要な経費を貸す、こういうことになつているのであります。これをごつちや考えるということは適当じやないと考えます。
  232. 岩間正男

    岩間正男君 この点についても論議のあるところでありますが、これは又あとに譲り、その次にお聞きしたいのは、最近朝鮮事変による輸出の増加とか、特需なんかで非常に企業の利潤が上つて、相当まあ糸へん、金へんなどという言葉で、殆んど特需景気の問題が世上に言われているわけでありますが、これらの利潤の非常に高額な、殊に糸へん 金へんと言われるような企業に厖大な利潤が上つていると思うのでありますが、こういうものについて、大体どの程度に蔵相は利潤の程度をつかんでおると思いますか、この点伺いたい。
  233. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 糸へんと申しますか、糸へんにおきましても、パルプ関係とかいろいろありますし、又綿花関係もあり、而して又羊毛関係のものもあります。麻関係のものもあるのであります。又パルプ関係一紙もあります。おのおの状態が違つていると思います。
  234. 岩間正男

    岩間正男君 大体そういうような紡績関係というものでどれくらいにこれをつかんでおられますか。この利潤の程度ですね、大体の見通しでいいのですが、つかんでおられる程度を伺いたい。
  235. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) これは個々の会社によつて違いますので、私は何会社がどうだとかこうだとかということは適当でないと思います。ただ問題は紡績で申しますと、昨年の三月末の決算に対しまして九月末の決算は大体三、四倍になつております。平均三、四倍、昨年の三月末の利益状況と九月末の利益状況で三、四倍になつていると思います。而して九月末の決算と今年三月末の決算は、九月末の決算に対しまして倍或いは三倍になるのじやないかと予想しておりますが、まだ決算を締めておりません。会社が明年度の決算はいたしておりませんから、なんですが、私の見通しとしては九月に対しまして倍乃至三倍、このくらいになるのじやないかと思つております。而して今年の九月の紡績会社の決算はどうかということになりますと、この三月と同じか或いは下つて来るだろう、こういうふうな見通しを持つております。
  236. 岩間正男

    岩間正男君 大体のお話を伺つたのでありますが、最近のダイヤモンドなんかに発表された数字を見ますと、相当これは厖大な利潤が上つているというふうに我々も聞いておるのであります。例えば東洋レーヨンでは大体三三〇%、敷島紡績では七五二%、日清紡績が五七六%、これが前期の大体利潤であります。後期の予想としては、大体東洋紡績なんかでは八〇〇%、大体八倍、資本の八倍ということになつております。それから敷島なんかでは一〇〇〇%ですから十倍、こういうような額が言われております。人絹のほうでも新光レーヨンの大体一一二七%、東洋レーヨンの三二五%、日本毛織の三六四%、日本鋼管の二八八%、富士製鉄の三一八%、東京鋼材の七二〇%、実に尨大な我々の想像もつかないような利潤が非常に上つておる、こういうことが報じられておる。これがいわゆる特需景気の様相をなしていると思うのでありますが、そこでお聞きしたいのは法人税でありますが、注入税はこのように尨大な利潤が上つても一律にこれは三五%、こういうような線で抑えていると思うのでありますが、これはなぜこういうことが行われているのでありますか。資本蓄積というようなことが政府一つの政策ということで進められておるのでありますが、これは税負担の面から見ると、これは個人の税負担と法人の税負担というものを比較して考えるときに、ここに大きなまだらが出ておると思うのでありますが、これはどういう一体意見でありますか。
  237. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 個人と法人の負担というお話でございますが、法人の負担というお話でございますが、法人というものは、たびたび申上げますように、今の税法では個人の延長である、こういうふうに考えておるのであります。従いまして、法人と個人との負担関係は昔の税法のような考え方ではいけないと思うのであります。
  238. 岩間正男

    岩間正男君 何ですか今のところちよつとよくわからなかつたのですが、どういう返答ですか。個人と法人の関係は昔の考え方と違うと、こういう点ですね。もう少しそこを明細に言つて下さい。
  239. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 昔は法人擬制説によりまして、大陸系の考え方から、個人の出資払込でできておる法人が個人と別個の独立企業体という考え方で、両方に課税いたしておつたのであります。然るところ昨年来英米流の考え方にいたしまして、法人というものは個人の出資からなる、たまたま法人という形体であるのであるが、実質は個人のものである。かるが故に、法人において法人税を三五%取つておる。これは丁度源泉課税のようなものである。従いまして、配当を個人にいたします場合には、平均税率で二五%の金額を所得税から引く、こういうことになつておるのであります。こういうふうに変つて参りましたので、法人というものは個人の出店だ、こういうふうな考え方で行つておりますので、法人と個人と独立の企業主体として負担を比較することは当らない、こういうふうに考えるのであります。
  240. 岩間正男

    岩間正男君 ところで法人が非常にそういう点で擁護されていると、それが資本蓄積と深い関係を持つので、そういう一つの政策についてやはり問題があると思うのであります。まあこれは例でありますが、仮に個人と法人の場合を税負担の面を考えますと、仮に百万円というふうに見ますと、所得税、それから事業税、住民税、こういうものを加えますと、個人の場合ですと七十七万円、併し法人の場合は大体五十万円とこういうようなことで、そこに非常に差異が出て乗るのでありますが、どうしてこういうような一つの税の負担の均等でない條件が出て来るのでありますか。
  241. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 先ほど申上げた理由であるのであります。
  242. 岩間正男

    岩間正男君 どうもその点については、これは非常に問題のあるところじやないかと思います。
  243. 藤野繁雄

    ○理事(藤野繁雄君) まだありますか、大体約束の三十分経過しましたから……。
  244. 岩間正男

    岩間正男君 その次に伺いたいのは、賃金の問題でありますが、賃金は一方では非常に先ほど申しましたように企業の利潤が上つている。併しこれに対しては殆んど賃金は最近は抑えられている。ここに例を持つておりますが、これについてはもうくだくだ述べる必要もないと思いますが、そういうことによつてますますいわゆる政府の資本蓄積という線が強力に打出されて、それによつてますます大衆の負担が強化されている面が出て来ていると思うのであります。(「委員長、時間励行願います」と呼ぶ者あり)
  245. 藤野繁雄

    ○理事(藤野繁雄君) できるだけ簡單にお願いします。
  246. 岩間正男

    岩間正男君 それでこういうふうに非常に低賃金で抑えられておるばかりでなく、最近政府が減税のことを問題にしておるのでありまするが、この減税は、恐らく賃金が最近の物価の上昇と並行しないで抑えられておるということを前提としてのみ言い得ることと思うのであります。併しながら、その結果非常に生活水準というものは引下げられて来る。こういう結果が起つて来るのでありますが、こういう点についてこれは検討されておるのでありますか、政府の減税というものは一つの機械的な、そういうふうな賃金をストップした、殊に物価の引上げと伴わないところの賃金の形において、税法上の減税というような形で大きく宣伝されておると思うのでありますが、実際は一方で物価がものすごく上昇しておる、従つて当然それと並行して賃金が引上げられると、こういう形に、なれば当然これは税負担も大きくなると、こういうふうに思うのでありますが、こういう点についてはどういうふうに説明されますか。
  247. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 法人が非常な利潤だと言つておられまするが、一株五十円払込の株はそのままでありまして、何と申しますか、経済規模の膨脹によりまする資産再評価の分は資本に組入れてないから高率配当に見えるのでありますが、実際は大した高率配当ではないと私は言い得ると思います。  次に物価が上つただけ賃金が上つておるかどうかという問題であります。これは二月の分はわかりませんが、一月につきましては、先般ここの委員会で労働大臣が説明されたと思いまするが、速記録が御覧下すつたらわかると思います。古い数字で申しますると、昭和二十四年の工場賃金を一〇〇にいたしますと、昨年の十一月は一二五です。消費者物価指数は二十年を一〇〇にして九三か九七、そうすると実質賃金は一三五になる。一月におきましても、私の知り得た統計では一万一千三百円くらいではなかつたかと思います。昨年の五月が八千二百円か八千円、相当上つております。私は物価が上る程度には工場賃金も上つておると考えておりまするが、併しこれは一月々々見るのではなしに、或いは三月とか、半年とか、長い目で見て行かなければ議論にならんと思います。
  248. 岩間正男

    岩間正男君 今の説明は、非常にこれは議論のあるところだと思うのであります。賃金が物価の上昇に伴つておるかどうか、これにつきましては、論議の繰返しを避けまして、時間の関係もありますから分科会のほうに譲りたいと思うのでありますが、殊に公務員の賃金、こういうものについては、非常にこれは問題のあるところだと思うのであります。今大体一万円の夫婦者、そういうような場合を考えますと、これの税負担との関連であります。これは大体所得税で一千百四十五円、こういうふうになつて、負担率を計算して見ますと一一・四五%、こういうことになると思うのです。ところが、これが税法の改正で九百七十九円、九・七九%と下る、だからしてそこが減税だと、これが政府の説明だと思うのでありますが、併し物価が非常に上昇しておる。大月から十一月までで少くとも二〇%の上昇、これは政府資料でもそういうことになつておりますから、そうしますと若し実質賃金が、物価の上昇に伴つて賃金も上るということになると、当然大体一万二千円は取られなければならない。そうしますと、これが税制改正後においてどれだけの負担をしなければならないかというふうに見ますと、改正前においては、一万一千百四十五円が一千四百四円というふうになります。而も、それが單に額が多いというだけではなくて、負担率も一一・七%、つまり負担率から言いましても〇・二五%増す。ところが最近の物価指数を見ますと、大月から二月、本年の二月を見ますと大体四九%のこれは上昇を示しております。そうしますと大体一万円、去年の六月まで取つたところの、これは賃金生演者は当然一万五千円、これでなければやれないというのはこれはまあ常識になつていると思うのです。その場合の所得税を計算して見ますと二千七十五円、これは負担率におきまして一三・八三%でありますから当然税制改正前の負担率に比べて二・三八%増しておる、こういうような実質賃金が問題なんであつて、結局この税法上の減税というものは、こういうような点について実質賃金は上げない、これを釘付けして置く、そういうことによつてこういう形が生れていると思うのです。だからこれを極言すればこの労賃が物価に伴つて当然上らなくちやならない、スライドしなくちやならない、当然そういうような要求がこれは労働者の生活権擁護のために起るのは当然だと考えます。ところがそれを放棄して、飽くまでもこれは低い釘付けされた賃金で我慢している面だけにはこれは如何にも減税らしく見えますけれども、若しも正しくこれは人事院の線が守られて、物価の上昇が五%以上であつたならば勧告をすべきである、そうしてその勧告が実際政府によつて行われたというような場合には、この減税は一つの宣伝に過ぎないので、実際的には今この改正税法においても当然これは増税になるのだ、こういうような一つ考えが出て来るのでありますが、こういう点についてこれは今大蔵省のとつておる方策というものは全く賃金を抑える、こういう形によつて税法上の、名目だけのこれは減税ということを天下に宣伝しておるに過ぎない。こういう形が出て来るのでありますが、こういう問題について蔵相はどういうように考えておられますか。
  249. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 公務員の給与引上げに関する問題と、税負担の問題につきましては先般堀木委員と人事院総裁並びに私との応答で御覧頂きたいと思うのであります。なお又物価と賃金との関係、税との関係につきましては二週間ほど前にこの席上で木村禧八郎委員と私との議論をお続み下さればわかると思いますが、我々は物価が上つたために賃金が上るということはあり得ることであり常識でございます。それと税の負担の問題とは違う。税金負担の問題は負担の問題、物価が上つて賃金の上り工合によつて生活が苦しくなり、楽になあという問題は税金の問題とは別個の問題だと思います。
  250. 岩間正男

    岩間正男君 それは説明の問題で、別個の問題と言われますが、これは別個の問題とは考えられない相関した問題であります。そういう点については時間がないので、さつきから委員長注意を受けているからこれはまあ分科会のほうへ持込みたいと思います。
  251. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私は大蔵大臣並びに文部政務次官に教育財政を中心にしてお伺いいたしたいと思います。天野文部大臣が御病気で予備審査からずつと総括質問通告順の質問にずつとお見えになつていませんで今日が最後の旧でありまするのでお疲れと思いますけれども、少しお伺いしたいと思うのであります。と申しますとお疲れになつ大蔵大臣は、よし教育財政か、それならば財政の許す範囲内で答えようとそういうふうな腹をきめられたかと思うのでありまするが、丁度問題は、私病気で言えば教育とは内科で結核性のものであつて、他は外科であつたならば、化膿もすれば痛くもあるというので、適宜的確に手を打たれますけれども、教育の問題はまあ内科の結核の病気みたいなものあでりまして、なかなかすぐには痛痒を感じない、そのために手遅れになるということは、私は争われないと思う。而も今広汎に国の財政金融を握られておる大蔵大臣がやられておる教育財政政策というものもこれがいいか悪いかということを批判されるのは、後世の史家によつて批判されるのでありまして、そういう意味におきまして私は非常に重要だろうと思うのです。  もう一つ非常に今国民のあらゆる階層に大事な教育財政の問題が、教育の問題が、政策としても根本的に取上げられて対策が講じられないというところには、私が今右に申述べる……僻みでありましようか。私はこういうことを考えております。やはり人間はどうしても自己中心になりますので、立法府におられるようなかたは子供の教育はどのくらい苦労しておるかわからないと思う。学用品は立派なものが幾らでも入りますし、それから官立や国立であろうが私立であろうが、自分の子供を入れようと思えば適当なところに子供を入れられる。私立学校の施設が不十分であるからよいところに入れようと思えば私立学校のいいところに入れられる。そういうところに、下部の国民勤労大衆が可愛い我が子の教育ができんで非常に切迫感を感じておる。それに比して比較的に立法府あたりにおられるかたはそういう切迫感がなくて、ややもするとこれをおろそかにしがちであるというようにも私は考えるのでありますが、果してそれが私の僻みであろうかどうかということは、皆さんがたの御想像に任せます。その立場から私は先ず大蔵大臣にお伺いしたいのですが、大蔵大臣は第九臨時国会で明年度の予算においては教育予算は画期的予算を組まれる、こういうように御答弁なさつたわけでありますが、現在大蔵大臣考えられておる画期的予算とはどこを指示されておるのか。その点と、それから更に国の財政を預つておる大蔵大臣は国家財政及び地方財政の中における教育財政というものをどういうふうにお考えになつておるか、どうあるべきであるかとお考えになつてどういうふうに努力されるお考えであるか。その二点について先ずお伺いいたしたいと思うのであります。
  252. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 御質問の当初に申述べられました文教に対する考え方につきましては、全く私も同感であるのであります。内科的の結核性のようになかなか気が付く前が重大な問題だと言われたのは御説の通りと思います。私が第九国会におきまして、明年度におきましてはできるだけの、画期的と申しますとまあいろいろな程度があるのでありますが、今までにないほど予算を殖やした、五十数億円を殖やしたのでありますが、その前年に比べましてこのくらい殖やすことは殆んど私の記憶ではないと思います。而してこの学術研究費のほうにも相当国立学校のみならず、ほかの方面にも費用を殖やしております。又義務教育関係にいたしましても、今年四月から入られる小学生には教科書の大部分を地方団体と一緒で出そう、或いは義務教育費関係の職員が今まで再教育を受けますときには自腹であるとか、或いはPTAの関係であつたところでやつておられたのが国のほうから或る程度補助し、まあいろいろな点をやつておるのであります。又育英資金にいたしましても教育奨学生の支給率を五〇%から六〇%にしたと思います。又官立大学なり、大学におきましても育英資金の分をあれは倍ぐらいに殖やしたかと思うのであります。高等学校につきましても二〇%から三〇%くらい育英資金のほうにも相当出しておるのであります。そういうふうに私としては財政の規模は縮小いたしましたが、教育問題と社会保障問題につきましては特に力を入れたと言い得ると自負しておるのであります。  次に教育費の問題についてどうかということは、私は文教が文化国家建設に最も必要な費目であるという観点から、明年度の予算を説明いたしましたような気持で今後も進んで行きたいと思つております。
  253. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 大蔵大臣が申されておるように画期的というのにも程度もありましようが、大蔵大臣の画期的の予算というものは如何なるものであるかということは私もつかめたわけでありますが、併し私一昨日も総理にお伺いしたのですが、総理もこの文教の振興ということを事あるたびに申されるし、天野文部大臣も一生戦命やられ、なお大蔵大臣もそう言われますけれども、現実は決して生やさしいものではない。大蔵大臣が今挙げられました点につきましても私一つ一つ反駁はいたしませんけれども、決して安心していいような域ではない。安心どころではない、むしろ私は崩壊の一途を辿つているように考えている。そのうちの若干についてもう少し突込んでお伺いしたいと思うのですが、それは先ず科学の振興を図るための研究費でありますが、科学研究費は昨年度と同様に五億円にとどめてあります。併しこの大学の講座研究費は大幅に増加して合計は昨年度より二十四億増したと、二十四億と申しますと、約五割であると、こういうふうに本会議で大臣は言われておるのでありますけれども、この二十四億の中には人件費が非常に多うございます。更に研究資材の高騰と、そういうことを計算に入れますというと、大学講座の研究費の増額なんかというのは決して、文教科学の振興に十分に寄与できるという額ではありません。十分どころではなくて、研究者は恐らく杜絶えるだろうと、研究を中絶しなくちやなるまいという、こういうような意見さえ学術会議あたりから出ているわけであります。更にですね、この五億の研究費でありますが、これについては日本学術会議の答申によつて文部省が要求した科学研費究というのは十八億三千万を要求しているのに対しまして、これを大蔵大臣は僅か五億に抑えてしまつたわけでありますが、こういう予算で、資源の乏しい我が国は無から有を生み出すような科学の振興を図らなくてはならんと思うのですが、果して将来の見通しが立つかどうかという点について大臣から承わりたいと思います。
  254. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 文部省計上の五億円は前年通りでございます。然るところあなたは十八億円の要求に対して前年度通りにしたのは少な過ぎるのではないかと、こういうお話でございますが、文部省の科学研究費はその使途を御覧になりますと大学その他に行つた金額が相当あるのであります。従いましてその研究費を据置きにしましても、国立大学の研究費として相当出せば、出先は大体以ておるのであります。だから私は今の五億円を殖やすよりも、直接に国立学校等の研究費を増額したほうがいいという考えでやつておるのであります。而もあの五億円には他の省、多分通商産業省のほうへ出しておつた分が通商産業省のほうで別途計上されましたから実質的にも文部省の分は殖えておりませんが、計上の五億円は殖えておりませんが、よそへやる金が減つたから実質的に殖えております。而して今までの研究費は実は少し少な過ぎた。だから今向のように研究費を殖やしたのは去年にも一昨年にも、一昨々年と比べましてもないのであります。私は十分では勿論ないが、相当思い切つて殖やしたのであります。予算の要求を査定すると非常に切りつめたと言われまするが、公共事業費というものは初め三千数百億の要求を私は千数百億円でとどめましたが、要求したそのまま出したら一兆六千億になる。これはやはり国の財政から申しまして要求通りに行きませんから二、三カ月の徹夜で査定するというような状況であるのであります。私は文教につきましては先ほど申しましたようにできるだけのことはほかのものよりもよく見ておるという自信を持つておるのであります。
  255. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 説教されておるわけでありますが、(笑声)大学講座の研究費はそれは確かに増額されているのでありますが、その現場において如何なる状態にあるかということをお忙しいでしようが大臣、適当な時間に視察して頂きたい。人件費の増額と研究資材の価格の高騰によつて、あの程度の増額では科学者は科学の研究を継続できないという状況であります。これに関連して今度私は民間研究所をのことについて承わりたいと思うのでありますが、昨年あたり見ますというと、民間研究所は我が国に二百五十ばかりあります。これをAクラス、Bクラスと分けて見ますと、Aクラスが四十八、Bクラスが六十と、こういうことが統計に出ております。補助金をもつているのはAクラスが四十八であるのに、Bクラスは三十六個所しかもらつていない。而もその補助金というのは十万円から百万円程度しか補助を受けておりません。そこで民間科学研究所ではどういうことを要望されているかと申しますと、補助金の先ず増額でありますが、それよりも更に地方税の免除をして欲しい。地方税の免除をして欲しい。我々は研究した成果によつてはね返りもあるわけだから、そのとき返すこともできるのだから、現在研究ができないから、地方税の免除をして欲しい。それから補助金ができなければ資金貸付を是非欲しい。こういう要望がされているのでありますが、地方税の免除なんかについて大臣はどうお考えになるか。又更に資金の貸付につきましては教育金融金庫、近頃いろいろ金融金庫というのがはやりますが、教育金融金庫というものを創設して、そういう貸付措置をされるようなお考えはないかどうか、承わりたいと思います。
  256. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 民間研究に対しまして地方税の軽減というお話でございますが、地方税のうちどういう税金が問題になるのでございましようか。あとでお聞きしてそれによつてお答えしたいと思います。それから民間の教育振興のために教育金庫というような議がございましたが、私は金庫をこしらえましも、なかなかすぐ金は集まりにくいというので、予算に載つておりますように、十億円を一般会計から私立学校の振興に出すことにいたしたのであります。これも今まで数年間非常に議論になつたところで、災害復旧等に或いは二、三億出しておりましたが、本年度は思い切つて十億円出すことにしたのであります。私立学校の復興なんかに相当役立ち得ると思うのであります。御承知通りに私立学校に対しまする一般金融の融資はなかなか困難であります。いかゆる担保物件その他の関係において困難でありますが、私はこの私立学校のよくなつて行くように今後におきましても相当の一般会計からの支出を考えたいとう気持を持つているのであります。
  257. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それでは次に大臣にお伺いしたい点は、大臣が今度予算に特に考慮された部面の文教施設が挙げられたわけでありますが、文教の施設整備に必要な経費、それからいわゆる国立文教施設整備費、公立文教施設整備費、文教施設災害復旧費、これらは従来経済安定本部の所管において計上されて来たのを今度文部省所管のほうに変更されたわけでありますが、この理由はどういうところにあるのですか。
  258. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 文教関係の施設整備費というものは国土の総合開発保金というような、いわゆる公共事業の範疇において考慮するよりは、むしろ文教行政の立場でやつたほうがよいと考えまして、明年度より一般の公共事業から外しまして、文部省所管に移した次第であります。
  259. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 文教施設災害復旧費というところに本年度五億六千万円を組んでありますが、この内容は昨年以前に発生した云々と、こういうように書かれてあるわけです。今後災害が起つた場合、経済安定本部にあつたのを文部省のほうに移管して置きますというと、今後の災害復旧費の予備金というようなものはどういうふうになるのでございましようか。継子扱いにされるような虞れはありませんか。
  260. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 公共事業費の中にありまする予備費は御承知通り河川、道路、港湾等の災害でありまするが、文教関係の施設につきまして、そういうふうなことが起りました場合におきましては、一般会計に十億円の予備費が計上されてあるわけでありまして、その経費によつて処理し、又場合によつては、補正予算というようなことも考えられるだろうと思つております。
  261. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 文教関係の災害予備費十億というのは、来年度の文教だけの予備費が十億というわけですか。
  262. 河野一之

    政府委員(河野一之君) いいえ、そうではございません。今まで、明年の一般会計の下の一般の予備費が十億円でございまして、こういうようなここ数年来公共事業費一本になつている以前の制度におきましては、そういう経費を予備費の中から出しておつたのであります。そういう本来の姿に帰りたい、この文教関係の災害については……。こういう意味であります。
  263. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それでは次に大臣の画期的予算一つとして挙げられておる奨学資金についてお伺いたしたいのですが、最近非常に物価は高騰するし、生活水準は低下するし、まあ教育の機会均等というけれども、金持でなければ高等学校さえ出せない。まして大学にはやれないと、こういう状況下であります。こういうときに心身共に健全ならば、何%かの人間はたとえ貧しくても大学まで進学はできるというような政治というものを是非やつて頂きたい。さつき大臣からも申されましたように、大学のほうは一〇%のを二〇%に上げました。ベースも上つた今日です。一人宛月に千九百円となつているわけでありますが、この千九百円というものは当然引上げて、予算計上をさるべきではないか。その点と、これから文教の教員の加俸というものは非常に現在至難な現状にありますし、世界の軍拡経済に日本経済が非常に影響を受けて参りますというと、ますますこれの確保は困難になると思うのです。その義務教育のいわゆる教育奨学生というものは五〇%から六〇%になつておりますが、これを飛躍的に一〇〇%にするというような対策は大臣はどういうふうにお考えになつておりますか。昨年は十五億出して、今年は二十三億出しておりますが、こういうものに百億ぐらい出すのは国家の投資として考えても極めて適切な投資であると思いますが、そういうところに大臣は英断される意思がないかどうか、承わりたい。
  264. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 秀才教育というものにつきましては大いに考えなければならん点が多い。本当の秀才は何人のうちの幾人か、千人の中に一人か、五千人の中に一人かといういろいろの議論があるのでありますが、私は教育の機会均等とかいいましても、できるだけたくさんの人に金を出したいという気持につきましては、あなたと変りはない。併し片つ方では今議論になつておりますように、税金が高いという声が強いのです。こういう点を考えますと、理想はお話のような点にあると思うのでありますが、一人にやつておるわけではございません。そこで物価が上つたから千九百円に上ぼせという議論でしようが、そうすると千九百円によつて人員を殖やさないのかということがありますので、今のところ適当に一つ御了承を願いたいという気持であるのです。
  265. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私は一人の資金の單価を引上げて人員を減らすということを希望しておるわけではありませんで、千九百円は少くとも三倍ぐらに引上げをして、人類も少くも現状維持ぐらいで行きたいという気持でお伺いをしておるのですが、やはり教育のことだけではないのですから、大臣はいろいろ御心配もあると思いますけれども、私の希望は私一人の希望ではなくて、これは経済的に恵まれない多くの学生の希望でありますので、お耳に入れて置いて頂きたい。  もう一つだけお伺いいたします。それはもうこれは大臣は耳がたこになるようにお聞きになつておるでしようし、陳情も随分受けられておるだらうと思いますが、新制中学校の建築に四十三億を組まれたということを非常に宣伝されておりますけれども、実態はそういうもので決して解決されるものでないということと、それから地方財政が非常にその中でウエイトの大きい教育費から圧迫を受けて窮迫し、延いては義務教育が非常に困難な状況にあるというようなことも十分お聞きと思うのでありますが、ここでまあ大臣に私お伺いいたしたいのは、大臣は国家財政に、金融財政に非常に御苦労だと思いますけれども、地方財政平衡交付金を増額してやる涙はないかということなんですね。次の補正予算あたりで平衡交付金を増額する意思はないかということと、それに関連いたしまして、あのアメリカの教育使節団が残して行かれました教育平衝交付金というようなものに対して大臣はどうお考えになるか。この二点について承わつて私の大臣に対する質問を終りたいと思います。
  266. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 六三制の完全なる実施につきましては、相当の金が実は必要なのであります。我が国の財政経済から言いましてこの完全なる、即ちあなた方の御期待なさるような六三制の実施がすぐできるということはなかなか困難な点があると思います。従いまして今年度四十五億円、来年度四十三億円という計画を持つておりますが、これは程度問題でございまして、今後におきましても私は許す限りにおいては六三制のよりいい実施を考えたい。そこでそういう場合におきまして校舎の新築ということもさることございますが、教員の育成、先生のいい人をたくさん作るということが私は急務じやないかというような意見を持つているのであります。  次に平衡交付金を殖やす涙はないかと言われますが、私は涙を出さなくても殖やしたいという気持があります。併しその財源をどこから持つて来るか。これはやはり国民の負担になることでございます。そこで平衡交付金を殖やすとすれば、そうして国民に増税をしないとすればどこからか減らさなければならないのであります。或いは経済規模をより拡大して収入を殖やすということよりないと思いますが、只今のところ私は平衡交付金を殖やしたいという気持はありますけれども、御約束はできない。多分殖やせないだろうぐらいに思つているのであります。  次に教育に関しまする特別資金でございますか、私はアメリカの使節団の答申も十分に見ておりませんが、標準教育費の問題等もありまするが、いずれにいたしましても、教育というものは国家政治の根本でありますので、私はあらゆる点から検討いたしまして文教の刷新向上には努力いたしたいと考えておるのであります。
  267. 藤野繁雄

    ○理事(藤野繁雄君) 文部大臣は続けてやられますか。
  268. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 もう長くやりませんから……、すぐ終りますから……、丁度大蔵大臣がおられるので都合がよろしうございますので、国立国語研究所の件について御両人にお伺いしたいと思うのです。  先ず文部政務次官のほうにお伺いいたします。二十三年の十二月に国語に関する科学的総合的な研究機関として国立国語研究所が設けられたわけでありまして、その狙うところは、申すまでもなく、国民生活の能率化と文化の伸展には国語、国字の合理化、能率化が基礎的な要件だと、こういう明文を掲げられて発足をしたわけです。ところが現在ローマ字の問題とか、或いは極く最近やつた制限漢字の問題とか、又ぐらつき出して来ておる。こういう時に科学的にも根本的にしつかりした国語政策というものを研究して打出さなければならない。そういう段階において二つの点についてお伺いするのですが、一つはあの庁舎はどうされるのでありますか。御視察になればわかるのすが、とても国語の基本的な研究なんかやれるような環境ではない。それが一つ。それからもう一つは構成の中に研究第一部、第二部、第三部というのがある。この研究第三部、「国語の歴史的発達に関する調査、研究」という、こういう項目があるのですが、これについて所長は是非この第三部の予算的裏付けをしてやつて貰わなければならんということを所望しておるのでありますけれども、どうしても予算の裏付けをして頂けないというのですが、これは文部省としてはどうお考えになつておられるか。大蔵大臣はこの予算を削減されるとするならば、大蔵大臣はこの研究第三部についてどういうふうにお考えになつておるのか。私は大蔵大臣に是非予算措置をして研究第三部が発足できるように御配慮願いたいと思うのですけれども、先ず文部省のほうでも答弁願いたい。
  269. 水谷昇

    政府委員(水谷昇君) お答えいたします。国語研究所の只今使用しておる場所は絵画舘の一部を使用しておるのでありますが、お説の通りにここでは不十分でありますから、更に適当な場所を今考えておる次第であります。それから第三部のほうはまだ実現いたしておりません。今後近い将来にこれを実現さしたいと考えておる次第であります。
  270. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 文部省としては大蔵省に要求をやつておるのですか、どうですか。
  271. 水谷昇

    政府委員(水谷昇君) 要求はいたしております。
  272. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 非常に小さいことなんですが、併しこれは我が国の国語政策として極めて重大な問題でありますが、国立国語研究所の第三部の予算が毎年出しても大蔵大臣でずばり切られて、国語研究所が困るということを言つておるのでありますが、第三部の予算措置考える御意思はございませんか。
  273. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 何万件、或いは十何万件という項目がありますので、一々存じておりませんが、重要性のあることならば、重大な問題ならば今後も検討して行きたいと考えております。
  274. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 もう大蔵大臣には質問ございません。文部政務次官に一点お伺いいたします。それは六三建築についてはいろいろ不十分な点があると思いますが、私は最近この義務制の学校の火災もそうでありますが、国立の大学の文教施設も少し火災件数が多過ぎると思うのです。でどのくらいにそういう事件が起つているか。その原因はどこにあるのか。それからそれらに対する防災対策としてはどういうふうにお考えになつておるのか。その点と、それからもう一つは、やはりこの六三と関連しますが、地方では文教施設を相当に予備隊の宿舎に転用されて泣き寝入りをしておるというような問題が非常に多いわけでありますが、こういう問題について文部省としてはどういうような折衝を関係方面とされておるのか。文教施設の確保についてどういう決意を持たれているのか。この二点について承わりたいと思います。
  275. 水谷昇

    政府委員(水谷昇君) 火災の原因は、木造建築が多いので自然火災の被害が多いのであります。この点についま将来成るべく不燃焼建物にしたいということを考えております。件数その他につきましては局長からお答えをさして頂きたいと思います。
  276. 久保田藤麿

    政府委員(久保田藤麿君) 只今御指摘のように火災が誠に多いということは、私ども遺憾なことと思つておるのでございますが、二十四年度の件数で申しますと、二百二十九件、損害が約十億ということになつおります。これの原因が先ほどおつしやつたように木造だということが基本的な問題でございますけれども、むしろ非常にぼろな、又非常に怪しげな施設のままで補修関係が十分にできておらんということも事実でございまして、そのためにこれに対する手当の方法として防災のための経費を計上いたしております。それの主な仕事は配線の非常に怪しいものを直して行くとか、非常に火を使います関係の火気の多いものにはコンクリートを使うなり。鉄板を張るなり、そういう意味の、当然しなければならない意味での防災手当といつたことに緊急の仕事として一応の経費を見込んでおるわけでございます。それから予備隊の関係に学校が転用されたりしておることについて泣き寝入りをしておるのか。それともどうした態度でやつておるのかという御質問と伺いましたが、予備隊の関係の分はもともとが元軍隊の跡であつたような建物を使つておるというような件数が多いために、むしろそれを元に戻して利用するほうが便利ではないかというような所では、そういう話がかなりあつたように承知いたしております。その後私どもとしましては代りがあつてお譲りでたるのであれば、最も便利な所をお使いになることが穏当だと思いますけれども、何しろ代りがないという現情でございますので、そうした問題については学校は成るたけ使わないようにということで関係方面とも話合いができておりまするし、現にそのために泣き寝入りになつておるというようなものは、先ず返るように心掛けております。まだまだ話が係争中で、讓らなければならない、譲るについては、こういう話合いをしてはどうかという意味で懸案になつておるものも数件ございますが、幸いにそうした関係のものもだんだん話合いもできておりまして、泣き寝入りになつてつておるというようなものもそうございません。泣き寝入りの形のものも全然ございません。
  277. 岩間正男

    岩間正男君 時間が余りないようでありますし、文部大臣出席していられませんので、大体まあ問題は分科会のほうに譲りたいと思うのでありますが、二、三点だけお伺いしておきたいと思います。  その第一の問題は、この日本の教育予算の問題であります。この教育予算のパーセンテージでありますが、これはまあ地方財政というような平衡交付金のほうに繰込まれた面を加えますと少しは違うようでありますが、この国の予算として国立、文部省分は非常にこれは少いと、これはいずれも問題になるわけです。これはこの前も大蔵大臣もいられなくなつたから……、教育が生産費であるが、それから消費であるか、こういうような面の論議が継続されて来たのでありますが、少しも変らない。画期的な予算だなどといわれて来ておりますが、大体今年度四%こういうようなことになるのでありますが、こういうようなことで一体果して文教というようなものが完全にやれると思つておるかどうか。これは河野主計局長に伺つておきたいと思います。
  278. 河野一之

    政府委員(河野一之君) よく教育費が全体の予算に占めるパーセンテージがどうかというようなことが問題になるのでありますが、これはその予算の性質にもよることでありまして、むしろ最近ではそのパーセンテージは上つて来ておると思いますけれども、まあ予算の中に終戦処理費とか或いは価格調整費とか、そういつた経済の事情、或いは政治事情から見て大きく動く予算がある場合において、これに対して何%であるとかいうことは、これは單なる観念的なものではないか。むしろ教育の実質は、実質的な問題としては、パーセンテージだけでなしに、その経費がどういうような内容を持ち、どういうような積算であつて、どういうふうになつているかということが問題であると、私どもはさように考えます。これが重大ではないかと思つております。
  279. 岩間正男

    岩間正男君 これは今までそういう答弁をされるところに問題があるのです。これは非常に日本の教育行政というものは、観念的に行くのであります。金は少くてもこれをうまく使えばいい。使う性格によるのです。このことをこの前も池田蔵相は第九国会で答えられた。併し問題は金がないことで、一つといつてうまく行つていない。これは全く六三制始まつて、あなたがたはどう見ておられるか。これは分科会で細かくやりますけれども、問題にならないのです。何だか三大政策、研究費の問題だとか、それから育英資金と教科書の七十二円ずつ補助するやつ、こういうものを挙げて三大政策なんて言つておりますが、これは明後日の問題です。これは徹底的にやればどういうものが出るかはつきりしている。それでやはり国家予算の中でどれだけのパーセンテージを占めるか。これは何と言つても大きい。それを教育費を生産費と見るか、それから消費の、止むを得ない一つの対策費と見るか、そこが非常に違うところです。私は一つ例を挙げたいのですが、何と言つても世界の中でやはりこのパーセンテージを、教育費ですね、こういう文化費をとつているのはソ連だと思います。私はこういう例として、例えばソ連の国防費が最近去年の一八・五%から二一・三%に上つている。この面を新聞が非常に大きく出しております。そしてソ連の国防費は三%も大きく殖えているじやないか、これは軍備拡張だといつて大宣伝をしている。ところが大切なところが抜けている。なぜかと言えば、社会文化費に対しまして実はこれは二六%とつておる。それから国民経済費、こういうようなところで三八・二%、つまり人民大衆の直接必要な面で、これは軍事予算よりも遙かにオーバーしたところの予算がとられている。ここにはつきり文化それから厚生面に対しまして、大きな、国の予算の大部分、五〇%以上もそういうものにこれは使つておる。そういう検討が大きく何といつて性格を決定すると思う。ところが日本の文化費は、これは地方予算を含めましても、全体の一〇%足らずとこういうことになる。国家予算のそういう面だけ見ますと、これは四%であります。これでは問題にならないと思う。そうしてそれによつて、又一方これによつて軍事的なそういう費用とか、国連協力とかそういうような態勢、更に又経済再建費の名前で以て予備的に備蓄されているような性格、さつきから明らかにされないようでありますが、それからインペントリー・ファイナンスとか、更にこれは預金部資金運用部の四百三十億の予備費的な繰越金、こういうような費用、更に終戦処理費が幾ら使われている、それとの対比において教育予算がどうであるか、こういう点については、これは蔵相がおられないから議論の余地がなくなつたのでありますが、これは非常に不満だと思うのですが、こういう点はどうなんですか。文部省としては、文部次官は、どういうふうにこれを考えておられるか、それから主計局長、この二人に伺いたい。
  280. 水谷昇

    政府委員(水谷昇君) 教育費のパーセンテージを上げたいのは岩間さんと同感であります。併しながら只今岩間さんが全体の予算の四%というお話でありましたが、これは平衡交付金のほうに廻した教育費を混ぜますと八%ということになつております。その点だけ一つ御了承を頂きたいと思います。
  281. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 教育費の予算がどうかという問題につきましては、これはもうほうぼうで国柄が違うのでありまして、例えばソ連のごとく全部国家の予算で以て教育をやつている所におきましては、予算の総額に占めるパーセンテージが大きくなるのは当り前である。アメリカのように各州が殆んでやつております所におきましては、教育費というものは連邦予算に殆んどこございません。恐らく一パーセント以下だと思います。イギリスにおきましてもこれは八%か九%だと思います。併しこれは地方を入れて考えなければなりませんが、国家予算でその程度になつております。国のほうにおきましては、これは中央と地方を通じますれば恐らく九百億ぐらいのものが出ていると思います。国、地方を通じた予算の純計という言葉は適当かどうか知りませんが、恐らく一割になつている。税金に比較して見れば一二、三%というものは従来からの状況なんであります。教育費が、そういう比率で見た場合は何をとつていいかというこれは一定のけじめがあるわけじや決してないのでありまして、予算に対して八%がいい、九%がいいという形式だけで、教育の予算というものはきめられない、こう私は考えているのであります。
  282. 岩間正男

    岩間正男君 私は大枠について論じているので、金が足りなくて一体できるかできないか、今までそういうものをみんな、金が足りないことを精神主義に追込んで行つたところに問題がある。あなたの御答弁は非常に問わず語りにいつている。義務教育というものは日本の憲法でも無償ということになつているはずであるが、一八七十二円、一年生の子供に教科書を、今発行されているもので一番悪い質のものを買つて与えるというのが日本の建前ですから、そういうことになると思う。然るにこれは義務教育……、全く国家で保障する。給食の費用まで、或いは被服のようなものまで支給する態勢になれば、今言つたような厖な予算を組まなければならないし、それによつて何が起るかというと当然教育の平等というものができる。貧富の差によつて教育の差ができるというのではなくて、貧富を問わず人材を発掘することができる。ところが今の日本の形では、最初は六三制とか教育の機会均等と言つても、全部崩れて何一つできない。最近の私立学校の賄賂というのは大変だ。一人入学するためにどのくらいの金が使われているか、どのくらいの賄賂が出されているか。中には試験の問題なんか売つています。それは私はつきり指摘することができます。そういう学校で二万、三万、五万も売つている。だから貧乏人には入れないのです。殊に昔から何とか名前のついている私立学校なんかに至りましては、一人子供を小学校に入れ、中学校に入れれば先ず十万とか二十万とか、こういうような相場がある。これはなぜかと言えば、日本の教育が不完全である、全く完全に六三制なるものが行われない。本当に子供を愛する親だというと何とかこういう学校に、やはり少し何とか設備のいい名前のあるところに行きます。そうして金でも使つて……、こういうわけですから当然これは戰争前と同じように貧乏人は教育できない。育英資金も何しておりますけれども、この問題には触れません。全体の要求の人数から言つても問題にならんし、額からいつても全体の比率で言つても問題にならん。こういうものはむしろ一つのそういうものの身代り的な育英資金、こういう形で出されておる。もつと徹底的にこれは本当に教育を、吉田首相が言うように教育を二大政策と考えるならば、当然これに対して大きな予算が組まれるのが当然だと思いますが、それは掛ヶ声だけであつて実質的には何ら予算がこれに伴つていない。僅か五十何億の予算を組んで、これは均衡した予算だなどというべらぼうな熱を次いでおる。問題にならん。馬鹿げたことだ。(笑声)こういう恰好ですから、これは私は十分に論駁しなければならない。そこでもう一つ伺いたいのだが、平衡交付金がこういう恰好で行きますと非常にこれは削減されて来ます。それから又地方財政の今の状態を見ますというと、あらゆる面で掣肘を受けます、殊に教員の給与の問題、この給与を今の生活水準から考えて行けば、日教組なんかの計算ではどうしたつて一千億もこれが例えば地方公務員の増額をやることが必要だ、こういうふうに言われておるのでありますが、そのほかに子供の教育費の財担、標準需要費ですね、そういうようなものが非常に切り落されておる。そしていろいろな面で地方財政は苦しいですから、全部教育にこれは皺寄せになつて来るのでありますが、これに対して文部省としてどういうふうにこれはここのところを切り抜けられますか。この点だけ伺つて置きたいのであります。平衡交付金に対する対策、恐らく物凄い皺寄せが来ると思うのです。昭和の恐慌期の農村と同じような、これは俸給の不渡りとか、遅配欠配、こういう形が当然起ると思うのです。私はこれは見通しとしてはつきり言えると思うのです。二十六年度の財政は、これに対しては一体どういう決意を持つておられるか。この点次官に一つ決心のほどを示して頂きたい。こういうふうに思うのです。次官から一つお聞きしたい。大きいところだけでいいです。細かい技術的なことにつきましては、これは明日やりますから、その決意だけお伺いして置けばたくさんです。
  283. 水谷昇

    政府委員(水谷昇君) 給与ベースの改訂につきましては只今折衝中であります。なお俸給の遅配欠配のないように善処したいと考えております。
  284. 岩間正男

    岩間正男君 善処したいとおつしやいますが、どういうふうにして善処なさるのか。なかなか善処しにくい情勢がたくさん出ておると思うのでありますが、どういうふうにされますか。紐付きというふうにもならないし……そうしますと財政需要が非常に多いわけです。それからしばしば論議され、当委員会で小委員会も作つてこの問題ももつと検討されるわけでありますが、起債の面からも非常に少くて困る、公共事業費の面でも……。そういう問題が全部これは皺寄せになつて来ると思います。一方から税の徴収状況が非常に思わしくない。そこへ持つて来てこの中央の行政移管が非常に大幅になされて、そして交付金では僅かに十五億、十五億でありますが、物価の値上りから考えるとむしろ縮小であります、昨年から比べるとはつきり言えるこの問題については余り額だけ問題にいたしておりますけれども、物価の値上りから言えば一千八十五億、これが二十五年度の平衡交付金でありますが、これに対して一千百億の平衡交付金、二十六年度の平衡交付金というものは増額じやないと私は思う。物価の値上りの四五%、五〇%を見込むときには逆にこれはそれだけ物凄い減額、こういう形にたつて現われて来ると思うのでありますが、そうしますと、これはできるだけ善処するとおつしやつてもこの中でそういうような教育財政を守り抜くことは殆んど不可能じやないか。こういう條件が出て来ると思うのでありますが、これに対してどういうふうな決意を持たれますか、この点だけお伺いして置きたい。
  285. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 明年の平衡交付金の問題でありますが、従来のこの平衡交付金というものは総額の問題も勿論岩間さんあたり非常に問題にされておるわけでありますが、平衡交付金の従来の配分というものについても明年度は相当考えて参らなければならんのじやなかろうか。殊に平衡交付金の配分が市町村に相当多く行つておる。府県に比較して余計行つておるというような事情も相当考えて見なければならんじやないか。それから又標準教育費の問題にも触れるのでありますが、平衡交付金の配分の算定の基礎になる標準財政需要というものは今までは七〇であつたわけであります。これを現在提出いたしておりまする法案においては八〇%ということで、その標準財政需要の見方を大きくいたしましたので、従つてそういう教育費というものは、地方財政にとつて非常に大きな割合を占めるものでありますから、そういう面におきましては配分の方法が相当従来よりは変つて参る。同じ金額でも貧弱な、殊にそういう教育費の需要の大きい団体には相当余計に行くような建前に相成る、こういうようなことも考えまして、地方財政の個々の実態を見てよく善処して参りたい、こういうふうに考えるわけであります。
  286. 岩間正男

    岩間正男君 次官は……。
  287. 水谷昇

    政府委員(水谷昇君) 地方財政委員会と、それから地方自治庁等と折衝を只今いたしておりまして、人件費の問題については特に優先的に処理をして頂くように只今努力中であります。
  288. 岩間正男

    岩間正男君 そうするとこれは何ですね、我々が考えてもこれじや足りないと思うのですが、百九億の増額分を仮に認めない、認めないとどういうことが起るか。これは木村地方財政委員の意見ですが、これによつて非常に寄附が殖えるだろう。そのほか又二、三点言われておりますが、これは教育の場合なんか今まででさえも相当な寄附額があるのでありますが、その上更に殖えるだろう。こういう態勢になりますと、教育の実際の負担は国家財政でちよつぴりやる。それから地方財政でちよつぴりやる。そうして今度は三分の一ぐらいやはり父兄の寄附という形で、やはりこれはPTAとかそういうものを通じてとられる、それで地方なんかはPTA税務署という言葉を使つておる。(笑声)これは河野主計局長はよく聞いておいてもらいたい。PTA税務署はひどい。このPTA税務署というものは一番じわじわ来る。税務署だつたらこれは来たら払えないとか、それから條件を話すとか、それからいろいろ税に対して意見を申することができる。ところがそのPTA税務署に至つては真綿で首を締めるようなんです。毎朝子供が起きると、今日は五十円、今日はお母さん三十円要る、今日は百円給食費だ、そういうことになると、どうしても親としてはないところを隣りから借りて来る。或いは又配給をもらう金のとつておいたやつとか、臍繰りを出す。こういう形でじりじりと攻めて行つて、これは結局厖大な余計な金を出す。こういう形になつて、このPTA税務署を通じて本当にまるで親の弱点を突いて、そこに任せておけば教育費は何とか賄つて行ける。これは実に何といいますか、悲しい状況だと思います。まだ出せるうちはいいのだが、一方生活が逼迫して来る。公務員の給与が不均衡になる。一方では大量首切りがあり、そうして物価高、こういうところでこういうような寄附がますます大きくなつて行くといつたならば、そこに及ぼして来る影響、そうして教育の破壊的な状況というものは、これはとても忍び得ないものがあるというふうに、これははつきり考えられるのでありますが、こういう点についてどうなんですか。一体平衡交付金……なまやさしいものじやないと思うのですが、これはどうなのですか。このPTA税務署ということについては今までお聞きになりましたか、河野主計局長に伺つておきたい。とんでもない第二税務署、第三税務署なんです。
  289. 河野一之

    政府委員(河野一之君) PTA税務署というお話は余り聞いたことはございませんが、まあそういうようなことがあることがあるのかも存じませんが、ともかく私どもといたしましては、現在の平衡交付金で大体足りるという目算の下に現在の予算を出しておるわけであります。寄附を取ることが必ずしも悪いとのみは言えないと私は思うんでありまして、従来四百億という、まあ強制的な一種の税に類するような寄附金があつたということで、それを減らしたというのが今回の地方税制度の改革なんでございまして、そういうことがなきことを我々としては期しておるわけであります。
  290. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 一つだけお伺いします。私遅くなつたから気の毒だと思つてやめました。ところが岩間さん盛んにやつておりますが、(笑声一つだけお伺いします。それは次官、この終戰前にですね、この日本の教育者というのが非常に屈辱的であつた、非常に卑屈であつた教師が終戰後非常に自由調達になつて、私は自由な民主主義国家の建設の教職員として非常に顔色までが変つて来たと思うのです。ところがそれが最近では文部行政を大観したところ、どうも再び教師が卑屈に、萎縮するような政治の方向を辿つておると思うのですが、そういうように当局は気付かれておられないかどうか。なおそれに対してどういう対策を講じておられるかということを伺いたいのです。  それに関連してですね、一つだけお伺いしますが、それは私は民主主義を推進するということは勿論であります。それに反対をする者では決してないのです。けれどもこの予算書を見ますと、当初要求額よりも査定額が多くなつたことがたつた一つあるのです。こういうのはめつたにないと思うのです。大蔵大臣がおられたらいいのですが、おられない。教職員適格審査に関する必要な経費は当初要求額は三千九百万円、ところが査定したのは六千二百万円といつて倍になつておるのですね、これも私はやはり教職員を萎縮させる。この非常に自由潤達であつた教師、教育界うというものが逆行する一つの現象をここに見る。どうして当初要求額の倍になつたのかその理由と、さつき私が第一問として、質問した点について、まあ次官の政治的答弁を要望します。
  291. 水谷昇

    政府委員(水谷昇君) 只今お話でありますが、私の考えでは教育の民主化は相当よく進んでおるとこう考ております。只今予算の増額についてもその点が現れたのだと私は考えております。
  292. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 どうも次官の答弁私は納得できないのですが、繰返してお尋ねしますが、終戰後外国の人も日本の教師の顔色が変つて伸び伸びして来た。これは自由主義教育が行われるだろうと識者は評したのですが、最近は私は確かに教師は萎縮の一途を辿つておる。そこに私は自由主義教育の確立のために支障があると思うのですが、そういう政策の臭いが私は一貫しておると思うのですが、そういう点認められませんか。若しあつたとすれば、それでもよろしいとお考えになりますか。
  293. 水谷昇

    政府委員(水谷昇君) お答えいたします。私はやはり教育に相当経験があるんでありまして、私の現在の教職員に接する範囲では矢嶋さんのおつしやつたようなことは感じないのです。よほど私はよくなつたと考えております。殊に三重県のごときは私は三重大学の学芸部の会長もしたり、教職員等にも関係が多いのでありますが、その点は非常に朗かになつて来たように私は考えております。
  294. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それでは私の見たところだけを申上げて置きます。それは終戰後の一つの学校の経営でもこれは校長を中心に教職々員協議会でデイスカツシヨンを盛んにやつて、そうして校長のみならずみんなの教員の責任で以て学校の管理経営をして行くような方向を辿つてつたのが、最近は戰前と同様に殆んど校長のワンマンの恰好になつて、そうして教職員は校長の前ではものを言わない、全然ものを言わなくなつた、学校はこういう経営でこういうように生徒を指導すべきだというそういう信念を吐露し得ないで、校長に対して卑屈になり、蔭で抵抗するという戰前のいわゆる教員気質というものが再起しつつあるということを私は確信を以て申上げます。次官は校長階級の人だけ会つておられますからそう感じるかも知れませんが、実状は決してそうではないということを申上げる。それと六千二百万円も本当にこれは勿体ない金だと思うのでありますが、これはどういうふうに使われるのでありますか、当初要求は三千九百万円が六千二百万円、殆んど倍に増額になつた、こういうのはどこの予算を見てもないのであります。
  295. 相良惟一

    政府委員(相良惟一君) お答えいたします。只今御指摘になりましたのは適格審査に関する経費だと存じますが、これは従来地方にございました都道府県の教職員の適格審査会の事務に従事しております人件費を中央で見ておりませんでしたが、二十六年度から各府県五名ずつの公吏の人件費を中央で見ようというので、そういう金額が増加を見ておるわけであります。
  296. 岩間正男

    岩間正男君 たつた一つお伺いたします。今の問題はこれは我々も非常に問題のあるところで、いずれ分科会でやりますが、是非一つお聞きしようと思いましたことを聞き逃しておりましたから、この際にこの委員会の終りに臨みまして、是非お伺いして置きたいと思います。今まで日本の五十万の教職員は信念を持つて教えておつたのであります。そうして戰争の放棄ということが憲法の前文にある。世界に冠たる憲法だなんと言つて教えておつたのであります。私は現実に見たのであります。それを金沢の大学の先生が去年の夏やつた講習会で見ましたが、信念を持つて教えていた。我々は再び戰争をしないということで教えた。ところがこれに対して最近どうもそういうような平和を守る運動をやるというと、いろいろ弾圧をされておるという事実がある。中にはそのために非常に犠牲を払つて自殺をした生徒も出ております。こういうようなことは、生徒にもあるし、教員は非常に圧迫をされておる。これはそれ以上の問題です。そういうことを教えておるのでありますが、これは今の憲法を守つて平和主義に徹するのが日本の教育の終戰後一貫した方針である。こういうように我々は確信しておるのでありますが、そう考えてよろしいか。そうしてそれに逆の戰争論、或いは再軍備の問題そういう問題が出て来たので、天野文相のごときはそういう問題は政治問題であるから論議するななんと言つておられるが、併しこれは政治問題ではない、はつきり社会科という一科目の問題なんです。教科内容の問題なんです。そういう点が非常にぐらぐらして時局便乗的な権力の赴くままに昨日は右し、今日は左するということでは、日本の教育は非常に再び危い、これに対して実は天野文相の御答弁を求めたいところでありますが、これに対して水谷次官はどう考えられるのでありますか、文部省を代表してその点お答え願いたい。
  297. 水谷昇

    政府委員(水谷昇君) お答えいたします。憲法の大方針に対しましては同感であります。私はその考えにつきましては少しも変りはありません。文部省といたしましても当然その方針で進んでおります。
  298. 岩間正男

    岩間正男君 そうすると、これを彈圧するもののほうが不当なのでありますか、それからその彈圧に対してははつきり信念を持つて貫いてもいいわけでありますか、この点重ねて伺いたい。
  299. 水谷昇

    政府委員(水谷昇君) 私は岩間さんのおつしやるようなことを聞いておりませんが、よく調査をして見たいと思います。方針につきましては、変りはありません。
  300. 岩間正男

    岩間正男君 当然先の御答弁からすれば……これで終ります。……当然だと思うのでありますけれども、事態をお知りにならなければ、たくさん我々のほうに事例があります。挙げてもいいし、なお文部省でも調査して頂きたい。非常にこれは一つの日本の民主主義の擁護でありますから、こういう点については、文部省でもはつきりした指示を出してほしいと思います。文部大臣の過般出されたあの線は十分これは問題があると思います。殊にいろいろ政治論議はしていかんというようなことは、これは今まで出された極東委員会の教育指令とか、経験後の指令とも違反する面があるのであります。ころいう点についてはいずれ分科会で細かいことを申上げたいと思います。
  301. 藤野繁雄

    ○理事(藤野繁雄君) これを以て一般質疑を終了し、十九日の月曜日から各分科会に移し、審議いたしたいと思います。(「異議なし」と呼ぶものあり)  では、これで散会いたします。    午後五時十二分散会  出席者は左の通り。    委員長     波多野 鼎君    理事            石坂 豊一君            平岡 市三君            伊達源一郎君            藤野 繁雄君            櫻内 義雄君            東   隆君            岩間 正男君    委員            小野 義夫君            工藤 鐵男君            白波瀬米吉君            野田 卯一君            長谷山行毅君            一松 政二君            山本 米治君            岩崎正三郎君            内村 清次君            永井純一郎君            山田 節男君            高良 とみ君            西郷吉之助君            高橋龍太郎君            竹下 豐次君            菊田 七平君            一松 定吉君            堀木 鎌三君            矢嶋 三義君   国務大臣    大 蔵 大 臣 池田 勇人君    厚 生 大 臣 黒川 武雄君    郵 政 大 臣    電気通信大臣  田村 文吉君    国 務 大 臣 周東 英雄君   政府委員    内閣官房長官  岡崎 勝男君    大蔵政務次官  西川甚五郎君    大蔵省主計局長 河野 一之君    大蔵省管財局長 吉田 晴二君    文部政務次官  水谷  昇君    文部大臣官房会   計課長事務代理  相良 惟一君    文部省初等中等    教育局長    辻田  力君    文部省大学学術    局長      稻田 清助君    文部省社会教育    局長      西崎  惠君    文部省調査普及    局長      關口 隆克君    文部省管理局長 久保田藤麿君    厚生大臣官房国    立公園部長   森本  潔君    農林政務次官  島村 軍次君    運輸省船舶局長 甘利 昂一君   事務局側    常任委員会專門    員       野津高次郎君    常任委員会專門    員       長谷川喜作君    参     事    (委員部第一課    勤務)     岡  篤市君   説明員    運輸事務次官  秋山  龍君    会計検査院検査    第四局長    小峰 保榮君