○竹下豐次君 いやそれでよろしうございます。農林
大臣と大蔵
大臣と御一緒にお願いしたのであります。それは
関係が非常に密接であるからでありますが、承わりますると農林
大臣は御病気で御出席ができないということでありまするので、これはもう止むを得ない
事情と思います。併し一応私はこの席で私の質問を速記にとめて貰いまして、後日なるべく早き適当な
機会において農林
大臣から私の質問に対する御
答弁を承わることのできるように
委員長からお取計らいをお願いしたいと存じます。今申しまする質問の中には大蔵
大臣と直接
関係のないこともたくさんあるのでありまするが、併し概念的に申しまするならば、結局大蔵省の金の問題で、農林
大臣に対する質問はすべて大蔵
大臣には直接間接の
関係があるのでありまするから、一応大蔵
大臣も御迷惑でありましようがお聞きとり願いまして、特に又本日お尋ねいたします次の大蔵
大臣中の分についてだけでも御
答弁を願えたら幸せだと存ずる次第であります。
戦争中から引続いての山林の濫材にとりまして、林野の荒廃は甚だしいと叶いうことは、今更私から申上げるまでもなく、十分御承知のことであります。この際、遡
つてそれではどうしてそういうことに
なつたのかということを検討してみる必要があると存ずるのであります。かようになりました原因の第一は、
戦争の要請に応ずるために、山林の伐採が非常に多か
つたということであるのでありますが、その原因は
戦争終了によ
つて自然消滅したのであります。第二の原因は農地
改革が余りにも無悪に行われましたために、この次には、山林の没收が始まるだろうという心配を森林所有者が挙
つていたしたのでありまして、山林造成の意欲を失
つたのであります。今のうちに伐
つてしまえというので濫伐が甚だしくなり、跡地の造林が行われなか
つたのでありますが、これもその後
政府におかれまして、たびたび
声明せられましたことによ
つて、まあその心配はないのだということがおぼろげながらわか
つて参りまして、漸く平静に帰する傾向にあ
つたのであります。然るに間もなく農産物増産
計画による、里山、特に幼齢林の強制伐採が行われたため、またまた森林所有者の不安を招くように相成りまして、更に税法の
改正によりまして、
〔
委員長退席、理事藤野繁雄君
委員長席に着く〕
山林
関係の税負担が加重されたために、いよいよ林業経営の意欲を失うように相成
つたのであります。そこで我我
国会議員及び
政府の協力、合作によりまするところの臨時緊急造林法の成立をみることに相成りまして、昨年から森林業者も幾らか元気付いて来たというのが昨年の夏頃の状況でありました。然るに今又近く
国会に
提出の噂に上
つておりまするところの
改正森林法案によりますれば、伐採制限の規定そのほか、官僚
主義と思われるような條項がたくさんありますので、この
法律は森林
国家管理に入る前提の
法律であるというような不安を抱く者が又相当に殖えて参りました。かような不安に不安を重ぬる林業政策が繰返されまするならば、二十年か三十年の間には全国がみんな禿山にな
つてしまうということは、これは火を見るような明らかであると思わるるのであります。従来の林業政策を通じて現われておりまする点は、山林事業は公共性を有するものであるから、公共の必要のある場合には森林所有者に犠牲を払わしむることは止むを得ないことであるという
政府の
考えかたであります。これは一面相当の理由のあることでありまするが、この理由でも
つて犠牲を強要しまするならば、反面において公共性を有する事業で、而も極めて低金利に相当する事業であるから、これに適当の保護助長を加えて、国土の保全を期すべきものであるという
考えが当然起
つて来なければないならのであります。然るに遺憾ながらこの
考え方は至
つて少い。これが山林荒廃の最も大きな原因に相成
つておると信じて疑わないのであります。
政府はこの際認識を新たにして、完全な助長政策を行う
考えはないか、その点をお伺いしたいのであります。
元来森林法案は山林の伐採を制限するほか、山林所有者に種々の義務を負担せしめ、農林
大臣及び知事の権限を拡大する條項がたくさんありますので、先ほど申上げましたように、本案は山林の
国家管理の前提法であるとの非難があります。このため又濫伐の兆があるのでありまするが、
政府はこれをどう見ておいでになりまするか、お伺いしたいと思います。
政府は十分に森林の損害を補填する
意味を以てこれを法文化する
考えがありますかどうか、それをお伺いしたいのであります。私は今日の木材の需給
関係と山林の保有量と睨み合わせまして、或る程度の伐採制限もその他の義務負担も必ずしも不当であるとは思
つていないのでありまするが、これを実施いたしまする場合におきましては、それと同時に適当の補償をなす方策を講ずることが当然だと思うのであります。
政府は十分に森林の損害を補填する
意味を以て、これを法文化する
考えがありますかどうか、それをお伺いしたいのであります。
いま少し具体的に申しまするならば、森林所有者の造林意欲を失わしめないで済む程度の相当多額の融資を行う等のことを
考えておられますかどうか、それが承わりたいのであります。尤も山林事業に対しまする融資は、現在におきましても農林中央金庫でなされておりまするが、その総額も少く、更に山林
方面に割当てられておりまする金額は甚だ僅少であ
つて、林業者は極めて不満であるのであります。
改正森林法の施行と併行して、是非とも山林事業のための融資の
制度を急速に創設されまして十分の融資をする必要があると存じます。
政府は果してその準備をしておられますか。あるといたしまするならば、来年度の予算面にどう現われておりますか、お示しを願いたいと思います。
この際附加えて申しまするが、伐採制限の問題は、山林所有者の生計にも重大なる
関係のあることを特に御考慮をお願いしたいと存ずるのであります。
次に木材需給の調整策をお伺いいたしますが、特に
三つの点につきまして
お答えを願いたいと思います。即ち第一には
政府におかれましては、森林法を
改正して
計画生産を行い、伐採量の抑制をしようとしておらるるようでありまするが、これによ
つて生ずる約二千万石の木材の不足に対して、如何なる措置を
考えておられますか。第二に木材の消費節約に関して施策がありますか、施策がありますならばそれを承わりたいのであります。第三に木材の輸入
計画はどうな
つておりますか、輸入の見込が相当にあるのであるかどうかこれもお伺いしたいのであります。
次に自作農創設及び農地拡充等に関し森林、原野、牧野の農耕地に
なつたものが相当にたくさんあります。未墾地開放に便乘して開墾不適地を相当抱き込んでおる向もあるのであります。これは森林所有者に迷惑をかけたいというばかりでなく、木材生産量にも大きな
影響を與えていると思うのでありまするが、
政府はこれに対して適当な修正案をお持ち合せにな
つておりますか。或いはすでに実行しておらるる向きもあるのでありますか、それは予算にどう現われておりますか、その点をお伺いしたいのであります。
次に森林に関しまする租税についてお尋ねいたします。民有林でその成績がよく、その目的を達しているのは比較的大面積を所有しておる人たちであります。これは林業の特徴でありまして、細分化した山林は概して成績が悪いようであります。然るに相続税、富裕税等において生産手段である森林財産を分割するような結果を来すところの現行の税制は、国土保安の上に大なる障害とな
つておると思うのであります。
政府はこれを
改正して森林所有者の税負担を軽減するお
考えはありませんが、承わりたいと存じます。
なおこれは地方税でありまするが、木材引取税は木材を買
つた者が支払う建前でありまするけれ
ども、市場価格から諸経費を差引かれて立木価を算定いたしまするので、自然引取税は生産者即ち森林所有者に転嫁されることとな
つております。結局この税金は山林所得税と重複する
性質のものであると思うのでありますが、
政府はこれをどうお
考えにな
つておりますか承わりたいと存じます。
次に官有林払下げはどの程度に行うお
考えでありますか。年度
計画があるならばそれをお示しを願いたい。これは地方民の非常な希望するところでありまするので、できるだけたくさんの払下げをして頂きたいというのは当然のことであります。従来たびたび払下げ、払下げという
言葉が使われておりまするが、思い切
つた払下げというものをなされたことは余り聞かないのであります。この際は大々的の払下げをされるのであるかどうか、それを承わりたいのであります。
なお官有林につきまして、その採伐、販売など官みずからおやりにな
つておる
部分が相当に多いのでありまするが、世評によりまするというと、その能率は余りよくないという噂が專らであります。成るべく民間の事業に移され、民営として能率の上る経営をなさしめるということは、ただ單に業者が喜ぶとかいうような問題でなくして、森林全体の問題からも見ましても結構なことであろうと思いまするが、
政府はどういうふうにお
考えにな
つておりますか、その点についてもお伺いしたいのであります。
最後にこれは或る地方にのみ行われておる
制度でありまするが、国有林の
部分林の
制度であります。この
部分林を伐採いたしました跡は、現在のところ元の
部分林所有者である民間人には再植を許さないということにな
つておるようであります。長い間数十年に亘
つて官有地に植林いたしまして、そうして相当の成績を挙げることに努めましたその山林所有者は、その土地につきまして非常な執着を持
つておるのであります。又伐採跡地に十分に植林をするだけの余力のあるものがたくさんあることを存じておるのであります。余り窮屈になされないでできるだけそういうものを利用して造林を奨励するということをお
考えになることが大事であろうと思うのでありますが、この点
政府はどういうふうにお
考えになりますか承わりたいと思うのであります。以上が私の質問の要点でありまするが、大蔵
大臣は特に金額の問題と租税の問題につきまして御
答弁をお願いいたしたいと存じます。