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池田宇右衞門君 来年度
予算の特色として掲げておる
政府の狙いはおおむね妥当であ
つて、
政府の意図は諒とし、その努力を移とするところであります。然るに
政府のかかる意図及び努力にもかかわらず、
政府の方針に対する世論の批判はなかなか嚴しいものでありますので、
政府はこれらの批判に対して納得のできる説明をなし、理解を與え、以て協力を求むることが肝要であると
考えられます。かような
意味合いからここで、二、三の問題について質問を試みたいと存じます。
第一は、食糧の需給についてであります。伝えられるところによれば一九五一年米
国会計年度における外国食糧の
輸入は、今後の
見通しによれば二百八十七万トンがせいぜいであり、而もこのうち昨年七月から十二月まで六カ月に
輸入せられたものは約九十三万トンであ
つて、残りの約百九十四万トンが本年一月から六月までの六カ月に
輸入せられなければならないことにな
つております。去る一月二十六万トン、二月三十三万トン、三月四十万トンと、
輸入についても好調を辿りつつありますが、静かに内外の
事情を見るときに、多大の困難が伴
つておると
考えられるのであります。幸い今後二百八十七万トンが予定
通り輸入されたとしても、本年六月から七月に持越される手持量の
推定は、前年同期に比べて約百万トン近くの減少となると言われておる。かかる先行困難の
見通しにおいて、今後の食糧需給に関する
政府の楽観的見解及び食糧管理の緩和方針に対して、世論は
政府の反省を求めている声が高まりつつあるのであります。ついては次の諸点に関し
安本長官、
大蔵大臣及び
農林大臣から
政府の責任ある、
国民の納得の行く
答弁を求め、
国民をして拠るところあらしめたいのであります。
政府の食糧管理方式の検討は、本年六月末までの
見通しについて行われているようである。果して然りとせばかかる重要な問題が、かような目先の
見通しに基いて行われていることに、そもそも問題があると言われておるのである。そこで内外諸
情勢が急転換し、且つ今後の成行きの
見通しが至難なときにおいて、なお
政府がかねての方針を堅渇して、食糧統制方式を大幅に緩和せんとするその根拠をなす今後における食糧需給の長期
見通しを明示されたいのであります。
昭和二十六年度食糧管理特別会計において、外国食糧の
輸入価格は、一トン当り平均
小麦九一・四ドル、大麦七三・六ドル、米一三四・三ドルとして、これに基いて
価格差
補給金二百二十五億円が計上せられている。然るに本年一月における外国食糧の
輸入価格は、一トン当り
小麦は最低九四・三ドル、最高一〇二・二五ドル、大麦は最低八六・四三ドル、最高九〇・三ドル、米はシヤム米で最低一五一ドル、最高一五九ドルであ
つて、計画に比べて著しく
騰貴しているのであります。これについて予定の数量を買入れるとすれば、提案
予算では経費が不足することとなり、又提案
予算によれば予定の数量の買入れができないこととなる虞れがある。
昭和二十五年度既定
予算及び
昭和二十六年度提案
予算案について、その辺の
事情及びこれが調整に関する方針に如何に御処理なさるか、
輸入原価の高騰の結果、
価格差補給を据置くとせば、国内における主食の
消費者価格を
引上げなければならないこととなります。問題は一般
物価、延いて
賃金給與ベースに及び、又国内の
消費者価格の
引上げを阻止せんとせば、
補給金の増額が必要となるわけでありますが、これについても前同様実相及び方針を明らかにせられたいのであります。この問題に関連して
大蔵大臣は、たびたび国際
小麦協定に加入すれば安く
輸入ができる旨
答弁せられているが、昨今のような
国際情勢において、国際
小麦協定の存続性、我が国の加入の
可能性、加入したとして我が国に割当てらるべき数量等について、
政府の所見及び
見通しをお伺いいたします。
政府は去る一月一日から麦製品クーポン制を実施したのであるが、実施後月余にしてすでにこの
制度の崩壊が伝えられている。即ち地方によ
つては、押麦に対する需要が殺到し、その需給の均衡を失し、配給上混乱を来たし、
政府の食糧
政策の不備、杜撰を唱えられつありますが、それが延いて本年産の麦類の集荷にも暗影が投ぜられると思いますが、
政府においてその実相を如何に認識しておりますか。その対策として如何なる準備が進められておりますか。
政府は本年産麦から供出
制度を廃止して、自由販売とし、
政府においては六十キロ当り
小麦及び裸麦千五百七十八円余、昨年より僅かに七十円高であります。四十五キロ当り大麦千十五円余、昨年より僅か二十六円高、これで八百八十万石買上げせんとしておるのでありますが、最近、食糧
事情、アルコール原料
事情、飼料
事情及び
物価事情、特に飼料用米糠や「ふすま」が六十キロ千百数十円の高値を示しているとき、果して予定の買入れが実行可能と
考えておりますか。予定
通り買上げができなか
つた場合、食糧需給調整上の対策如何、若し予定
通りの買上げを実施せんとすれば、
一つは強制供出
制度の再現の虞れなしともいたしません。或いは買入れ
価格の
引上げを必要とし、いずれにしても先ず重大な結果を招来することとなるが、これに対する
政府の所見及び方針をお伺いいたします。
次に、
政府は目下興農増産運動を提唱し、米麦の一割増産を計画している。
政府は、一割増産は従来の増産運動と異な
つて、
予算の裏付けのある経済的
基礎に立脚したものであると
言つております。然るに本年度産米の増産計画は、
予算的裏付けのあるものといたしましては、土地拡張、改良で約三十万石、種子消毒で約五十三万石、病害虫防除で約四十五万石、保温折衷苗代で約二十六万石、計約百五十五万石で、三%の増産に過ぎないことにな
つております。これに対し
政府の御所見をお伺いいたします。
第二は飼料の問題についてであります。畜産の振興を図ることの必要は今更言うまでもないことであります。而して畜産振興のためには、先ず以て飼料の供給を豊富且つ円滑にしなければならないのであります。
政府は昨年四月一日飼料配給公団を廃止して、飼料の統制を撤廃することにしたのであるが、その際当時の諸
情勢を勘案して、米糠と大豆粕の二品目だけは飼料需給調整規則によ
つて、これが配給及び
価格の統制を継続していた。併しこれらも又本年一月一日から撤廃するに至
つた。統制が撤廃されるや、各種飼料の
価格は急激な高騰を示しました。即ち米糠及び大豆粕の小売
価格は今年一月の
指数は、昨年飼料配給公団廃止当時の公定
価格を一〇〇として見れば、米糠は二〇八、大豆粕は一九入とはね上り、とうもろこし一二五、ふすま二二九と、いずれも著しい
値上りであります。最近における飼料入札
価格を見ても、六千キロ当り米糠一月納三百九十五円、二月が千百三十円、大豆粕千九百八十円が三千七百二十円にはね上
つている状態であります。その上飼料は特殊需要者に偏在し、中間商人の思惑に利用せられ、元値に比べて実需者
価格は非常に釣上げられ、飼料の真の実需者は容易に飼料が手に入らず、又手に入るときも非常に高いものを手に入れなければならないことになり、この結果は食糧が飼料に転用せられ、又家畜の増殖が抑止されることとな
つて、まさに畜産の危機と言わなければならないのであります。
政府はこの事態をどう認識しているか。かかる事態に対して如何なる対策が実行せられ、又準備せられておりますか。
政府における飼料の拂下げを実需者団体に対して優先的に行い、中間取扱者の思惑を排除し、適期に適正なる
価格で実需者に供給されるよう措置する意思はないか。飼料の
輸入に対して、もつと力を入れる必要があると思うが、
政府の方針と見透し如何。国際
価格の現段階においては、飼料農産物であるこうりやん及びとうもろこしの
輸入に対しては暫く関税を免除ずる必要があると思われるが、
政府の所見をお伺いいたします。
第三に
肥料の問題についてであります。農林省は去る一月十日「最近の
肥料需給状況」と題して
肥料白書を発表した。これによれば、昨年八月乃至本年七月、即ち
昭和二十五
肥料年度における
肥料の需給は、窒素
肥料硫安換算、前
肥料年度からの繰越五十万六千トン、生産百九十九万七千トン、供給計二百五十万三千トン、これに対し消費二百十九万トン、輸出十一万六千トン、需要計二百三十万六千トン、翌
肥料年度への繰越十九万七千トン、
燐酸肥料過
燐酸換算、前
肥料年度からの繰越二十九万九千トン、生産百四十四万五千トン、供給計百七十四万四千トン、これに対し消費百五十七万トン、翌
肥料年度への繰越十七万四千トン、加里
肥料四〇%、加里塩換算前年度からの繰越十三万トン、期間供給二十二万五千トン、供給計三十五万五千トン、これに対し消費三十五万トン、翌
肥料年度への繰越五千トンということにな
つていて、年間需給については一応均衡を得ていることにな
つている。併しこの内容を点検すると、そこに種々な問題があるように思われます。
その一、二を拾
つて見ると、以上の需給は公団手持ち、窒素
肥料四十五万トン、
燐酸肥料二十三万トン、加里
肥料十三万トンを見込んでの上のことである。若し仮に公団手持ちがなか
つたとすれば、翌
肥料年度への繰越どころか、却
つて窒素
肥料二十五万三千トン、
燐酸肥料六万トン、加里
肥料十二万五千トンの不足ということになる。勿論これは繰越が全然なか
つたという極端な仮定に立
つているが、併し
肥料の供給は甚だ楽観を許さない
事情にあることは否定はできない。又農林省の計画によれば、本年一月から七月まで毎月、翌月へ
相当な繰越を余して、需給は余裕神々たるもののようであるが、併し最近の実情は需要が旺盛であ
つて、全く品がすれの様相を呈し、
価格む甚しい高騰を示し、各十貫一叺当り硫安約八百四十三円、過
燐酸約四百三十一円、加里塩約千二百十三円であ、
つて、法外な高値を唱えつあります。
これらの現実に当面して次のことについて冬主管
大臣から説明を求めた
い。
本年八月を以て始まる来
肥料年度の
肥料の需給計画はどんな
見通しを以て、どんなふうに策定されつありますか。
燐酸鉱石、及び加里塩の買付及び蔵入はどんな状態であ
つて、今後の
見通しはどうであるか。
肥料需給の現況に鑑み公団手持ちの
肥料を速かに、又安く且つ消費
農民に直結する団体を通じて放出することが、当面喫緊の要務と認められるが、
政府の方針は如何なされますか。
国際情勢の現況に鑑み、燐鉱石及び加里塩の
輸入を促進し、長期間の需要に応ずる備蓄々行うことが急務と思われるが、
政府は如何なる方策をとりつつありますか。食糧の国内自給を増強して、
農家経済の作興に資すると共に、民生の安定を期するためには、食糧生産の根源である
肥料の供給を、廉価且つ豊富ならしめることが最重要であります。然るに過
燐酸石灰について見れば、若し燐鉱石の
補給金が廃止せられると、船賃の高騰と共に、これが
価格は一躍五割以上もはね上ることとなり、加里
肥料についても同様な状態である。ついては
昭和二十六年度においても、燐鉱石及び加里塩の
補給金を継続する必要があると思うが、
政府の方針は如何であります。継続するとの方針を承かりましたが真実でありますか、重ねてお尋ねいたします。
第四は農業災害補償
制度の拡充についてであります。我が国は颱風地帯に位し、その地形が南北に細長く、且つ地質が不安定なため、自然的災害を受けることが極めて多く、我が国の農業の維持発展を図るためには、災害の防止と共に、農業災害補償
制度を整備することが極めて肝要である。農業災害補償
制度を整備するためには、先ず以てこの
制度運営の母体である共済組合及び共済組合連合会の健全なる育成発展を図ることが必要である。然るに共済組合連合会は本
制度が創設れたときと、その後では
事情が変化し、これがために
制度上の不備から、目下二十数億円の事業不足金から生じ重大な危機に逢着しているので、この不足金を整理することが当面緊要な問題であります。而してこの不足金は
政府の企画によるこの
制度上の不備に基くものであるから、国においても万般の処理を行うことが当然であ
つて、
政府に対していろいろ要望されておるのでありますが、これに対する
政府における作業はどの
程度まで進んでいるか。又いつ頃完成し、実施せられることになりますか。決定が遅れれば還れるだけ不足金は増加して来るから、至念処置せられたいのであります。以上につき関係
大臣各位から明快なる御
答弁を願います。