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政府委員(斎藤昇君) 法務総裁は他の
委員会に御出席でありまするので、代りまして私から
お答えいたしたいと思います。
警察法の
改正問題は、
政府といたしましてはまだ決定はいたしておらないのであります。御
承知の
通り新聞等において
相当論じられておるのでありますが、我々
政府の事務部局を担当いたしております者といたしましていろいろ
考えておる点があるのでありまして、それらの点が
新聞に出ておるわけであります。従いましてさように
政府案として決定をされますか、まだその段階には至
つておりません。併しながら法務総裁の命を受けまして我々検討をいたしておりまする案の
内容と申しまするのは、
只今永井委員のお述べになりました
通り、現在の民主的警察の
性格を変更するという意図は毛頭
考えておらないのであります。主要な
改正点として我々検討いたしておりまする問題は、自治体警察が今日人口が当初設けられましたときよりも
相当異動を来しております。この場合に自治体警察の警察官の定員をどういうように調整をするかという問題が一点、この点は
警察法制定に関する元帥の手紙によりましても、自治体が警察の費用をみずから支弁するように
なつたときには、その定員は自治体側みずからがきめるべきものであるというように書かれてありまするし、極めて至当な事柄であると
考えまするので、自治体警察の警察官の定員は、自治体がその地方の実情によ
つて必要とするところによ
つて定める。従
つて国の法律その他によりましてこの制限をしない。総数として今日九万五千という制限を設けておりますが、これも撤廃したらどうであるか、かように
考えておるのであります。
次は中小自治体警察の存廃の問題でございますが、中小自治体警察につきましては、かねてからいろいろの論議がございます。財政負担の点、或いは警察能率の点、その他いろいろと論議の点があるのであります。
只今考えておりまする点は、自治体、中小の自治体警察町村の自治体警察は町村の意思により、或いは町村の住民投票というような方法によ
つて存廃を決定することが妥当ではなからうかというように
考えて研究をいたしておるのであります。
第三番目の点は、今日の
警察法は自治体の区域内におきまする警察活動というものは一切その自治体の自治警察に委任をしてあるというような形にな
つておるのであります。これが何らかの理由によりまして当然捜査すべき事件、或いは当然鎮圧すべき事件の捜査、或いは鎮圧、或いは予防をしない。こういう場合にその当該の住民とされまして関心を持たない。むしろ捜査、鎮圧がされないほうがよろしい、こう望んでおられましても、国全体として或いはもう少し広い範囲で
考えて見た場合に、それで放置して置いてよろしいかどうかという問題があるのであります。この点は今日の
警察法の盲点ではなかろうかと
考えておるのであります。この場合に自治体警察に代
つてどういう方法で誰がやるか、とにかくそうい
つた場合にこれは放置をして置けない。これをどう解決するかというのが一点でございます。これに関しましては
新聞等において伝えられておりまするのは、国家的な犯罪につきまして、当該自治体警察が当然行うべき捜査、或いは予防、鎮圧をやらないという合場に、国家地方警察が代
つてこれを行うというような点を
考えておるのであります。併しながらこれにつきましては国家的犯罪というものを限定をすることが果して妥当であるかどうか。いやしくも法律によ
つて定められた事柄を行わないということではそれは困るではないか。犯罪に国家的犯罪とそうでない犯罪との区別がないという議論もありますし、限定の仕方も非常にむずかしいという点がございます。
それから又国家地方警察をしてその事件を処理せしめますといたしましても、
只今永井委員の述べられました
通り、国家地方警察がむやみやたらに出て行くというようなことであ
つては、これは却
つて警察法自身の精神を紊る場合も起り得るかも知れない。そこに何らかの調整機関といいますか、そうい
つたものが必要であろうという点を研究をいたしておるのであります。
只今の
考え方といたしましては、さような場合に民主的に選ばれた、そうして又地方公共団体としてはやはり秩序の維持というものが、府県市町村にも適用をする潜在的な権限があるわけでありますから、知事の要求によりまして、さような場合に国家地方警察をしてその事件を処理せしめるというような方法が妥当ではなかろうかというように
考えておるような次第であります。 なお国家地方警察の定員の問題もあるわけでありまするが、これらもまだ
政府といたしましては、増員をするかしないか、増員をするとしてどれだけにするかということも、何ら決定をいたしておりません。警察当局といたしましては増員を
要望をいたしておるのでございます。
なお国家地方警察が自治体警察に応援に出かけました場合に、又国家地方警察の
要請でAの自治体警察がBの自治体警察に応援に出かけました場合、この場合の費用の負担につきましては、現在の法律では非常に不明確でありまして、法律解釈によりますると、むしろ応援
要請を受けた自治体の負担というふうにも解釈ができるのであります。併しながら国家地方警察は自治体警察の力の及ばない場合に応援をするというそういう
性格を持つ、そういう立て方にな
つておるのでありまするから、この場合にも費用の負担は国庫で負担をするのが適当ではなかろうか、かような点について
只今いろいろと研究審議をいたしておる次第であります。