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1951-03-03 第10回国会 参議院 予算委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月三日(土曜日)    午前十時二十二分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○農林委員会からの申入れに関する件 ○昭和二十六年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和二十六年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和二十六年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) それではこれより予算委員会を開きます。  最初に農林委員会から、決議に基きまして予算委員会申入の件がございます。農林委員三浦君にその趣旨の説明を願います。
  3. 三浦辰雄

    委員外議員三浦辰雄君) 先般参議院の農林委員会として、農林省林業試験場林産研究施設拡充予算確保方について、という問題について当委員会申入をしたのであります。この説明を、委員長は丁度今日はどうしても出席できませんので、私代つて説明申上げまして、是非特段の御配慮を得たい、かように存ずるのであります。  初めにも書いておきましたように、我が国経済自立の見地からするも、林産資源消費節減は、緊急重要事であるに鑑み、林産に関する基礎的試験研究を実施しつつある農林省林業試験場林産研究施設を、昭和二十六年度予箕を以て神奈川県大船に移転拡充する計画であつたが、移転先に予定した施設が総司令部の用途に供せられることとなり、右拡充計画は実施不能となつたので、これに代る計画に要する経費昭和二十六年度において確保せられたい。かような申入をしたわけであります。  その事情簡單に御説明申上げますと、今日日本の山林の状況は荒廃その極に達しておるのでございまして、毎年農耕地の流失、埋没するものも非常に多いのであります。二十五年度は幸いにしまして大した大きな台風もございません結果、四万七百七十町歩ぐらいで終りそうでありますが、昨年の二十四年度は、キテイ初め大きな災害がありましたので、農耕地が八万四千町歩というものが埋没、流失しておる、更に二十三年度においてはアイオン、その他で七万余が流失しておる、かような状況で非常に大きな災害を與えておることは御承知通りであります。更に電気の問題につきましても、今日山が完全に保たれておりません関係から、今日の自然洪水を含めてのキヤパシテイの十億立方のうちの一割がすでに土砂で埋まつておる。甚だしいのは岐阜県の庄川のダムなどは昭和十七年にできたのでありますが、五年の間に四五%四というものはすでに能力を喪失しておるという例があるのであります。全国的に見ますと三〇%以上が土砂の堆積でその機能を失つているというのが六十六ダムあるという二十四年度日発調査でございます。ために電力は六十七億キロワットというものが失われているという計算になるような、非常な影響をそこに示しております。  又一方木材の需給の問題を簡單に申しますると、今日日本自立経済を立てまする関係から、安定本部では二十六年度をおよそ九千二百万石はどうしてもほしいというのでありまするけれども、到底今日の林力はこれを許さない。そうしてこれを七千八百万石にしようとしておりまするけれども、誠にその需要を伐ることは困難であるという状況でございます。この日本林力資源から言いますというと、今日はせいぜい一億三千万石程度なら、伐れば伐れるのでありますけれども、事実は二億五千万石程度を伐つているという状況でありまして、この第十国会にも、政府森林法の改正を出してその資源の培養と確保を計ろうとしているのでありまするが、こういう一方において災害があつて、伐るなということが農民を初め非常に大きな声になつている。一方から言えば、産業の観点から言えばもつと多くこの際伐り続けろという声が多くなつている。これに対しまして農林委員会としてもいろいろ研究して、先ず第一番に植林を徹底的に実行する、又未利用でありまする約四割の残された林地に対して林道をつける、その他をいたしましてこれの開先を速かにすること。更に技術と経費を投入いたしまして、我が国の今日一町歩当り八石程度生長量でありますりを十四、五石にはどうしてもせねばならない。かような根本問題が言われておりますが、同時にこの日本事情から言つて木材が如何にも豊富にあつというような惰性からいたしまして、非常にその利用については粗末でございます。乱暴でございます。そうしてこれをもつと合理的に使うならば、非常に消費が節約されるという問題を強く取上げなければならない。これをうまく取上げればおよそ一千万という、今日七千万、九千万という中の一千万石余りが浮いて出るということが予想されるような状況でございます。ところがこれを研究いたしまする林業試験場拡充の問題がここに出たのは、従来林業試験場といたしましても、それぞれ支所或いは本部に一応の研究機関はございましたが、非常に貧弱なものであります。そこでむしろ設備と人とを集約的に使う。その成果を挙げる上から言つても一ヵ所に集中をして、そうして今日急いで解決しなければならない。木材消費節約合理化をするということは緊急のことであるというので、かねて大蔵省と農林当局は連絡をとつて大船にありまする海軍の燃料廠の跡に総合的に集めてやる計画を立てて、まさにそれを実現しようとしておる。従つて予算には二千八百万余りのものがその移転費として盛られておるのでありまするけれども、その後になつて賠償建物でありまする関係もあり、総司令部のほうとしてはあれを軍関係のものに使うことに変更されました結果、折角各試験場から、貧弱ながらあれだけの設備、又人員を集めてまさに取りかかろうとしたその総合的な研究機関が行き場所がない、こういうような状況でございます。この際是非ともこの森林の問題、それをめぐつて農業全体の問題、更には産業の基盤でありまする電気、或いは産業の重要な資源としての林産物の消費節約、更には輸入増強という問題、一部の特殊材増強という問題等を至急解決したいというために、かような申入れをして当委員会にお願いしたわけでございます。どうぞ各委員におかれましても是非この意味合いにおきまして、この目的が達成されまするよう、一つお骨折りを願いたいと存ずる次第でございます。  簡單でございまするが御説明申上げて、重ねて皆様がたの御支援をお願いする次第でございます。   —————————————
  4. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) それでは、只今出席しております政府委員は、安定本部長官周東国務大臣物価庁政務次官の郡君、それから特別調達庁長官も来ておられます。そこで昨日留保されました物価問題についての概略の質疑に入ります。
  5. 高良とみ

    高良とみ君 物価問題について安本長官の、大臣の御所見を伺いたいのであります。物価が非常に上つて来ておりますことは、昨日物価庁のかたがたから二、三のものについて極めて楽観的な御説明がありまして、石鹸とかその他二三のものという程度でございましたが、私ども生活面に触れておりますものにとりましては、およそ上つておらない物価はない、まあ主食が上つたばかりでなく、副食物、味噌醤油を初めとして、又木材によるところの住宅及び鍋、釜に至りまするまでこの統計に、内閣及び日銀等統計に現われておりまするものよりも、もつとひしひしと消費者はこれを感じておるわけであります。衣料については申すまでもないことであります。殊に賃金べースが抑えられておりまする俸給生活者その他生活の脅威の下にさらされておりまする者としましては、経済安定本部が、或いは物価庁が楽観的な意見を用いますることについて非常な不安を感じておるのであります。でその中で二、三特にお伺いしたいことは、昨日の説明にありました通り既契約物資が入つておるから、綿花及び羊毛等につきましては、これを順次放出して行くので必ず物価が下るだろうというようなお見通しのように伺うのでありまするが、安本の手配しておられるものにおいて、その他主に食料品方面におきまして、どのくらいの既契約のものがある状況でありましようか。生産物資につきましては新聞紙等においてその片鱗を見ておるのでありまするが、生活に直接関係のある消費財方面を安定させて行くのに対しまして、三ヵ月後、六ヵ月後の生活財物価見通しを伺いませんと、この一般消費者生活不安は解消されにくいと思うのであります。このことは、海外物価上つておるからという理由で以て、昨日も御説明のありました麦の七十九ドルが百五ドルに上つておるから、麦の物価もいずれ上げて行けば補給金も少くて済むだろうという御説明を伺いますれば、ますます麦の値段も上るだろうし、雑穀も上るだろう、延いては今日買溜めをしておる者が、売惜みをしておるものが結局得をしておるのだ。貧乏人はどこまでも損をするのだという感を消費者に與えておることは、政策上誠に好ましくないのではないかという点を案ずるものであります。殊に既契約のものは、船賃が上りその他に困難はあるにしても、すでに古い価格において買上げておるから今後安い物資を放出すると言われましても、これが食糧消費財関係の面ではどれほど私どもは安心していいかを伺いたいのであります。その理由は、我々日本のほうから出しまする物資につきましては、綿織物、小型機械その他の重要輸出物資につきましても、朝鮮事変以来、既契約のものであつてもこれを破棄して高く売つておる。そのために南方方面における輸出等に、海外において多大の困難を、或いは日本契約に対する不信任を買つておる実情などからいたしまして、こちらが約束しておるものは既契約であるから、食糧に対しても纎維品に対してもその値段で買入れるというふうに安心していいものか。更に日本はこれから輸出するものに対してもとめておるから、この海外物価の煽りは食わないというふうに安心していいものかどうかを私どもは疑問に思うのであります。  その二つの点につきまして、特に安本長官の御答弁を頂きたい。特に消費財についての今後の中年、できるならば一ヵ月先の見通しを伺いたいのであります。もつと具体的に申しますならば、豆或いは油乃至は麦雑穀等輸入に対し、或いはこれの既契約品数量に対してお示し願えますれば、多少なりとも安定感消費者に與えることができるのじやないかというふうに思うのであります。経済安定本部でありますから、国民生活の安定ということに対する多大の御関心を持たれることと信ずるのでありますが、昨日の御説明を聞いておりますと、そういう方面の安定に関することは余り心配しておられないかのような感をいたしたのであります。経済全般の発展には、重要なものはございましようけれども、我々大多数の消費者の要望につきましては、どうか安定本部生活安定本部であることを希望するのでありまして、不安定本部であつては困るという感じを持つのであります。(「異議なし」「その通り」と呼ぶ者あり)御所見を伺いたいのでございます。
  6. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) お答えをします。経済安定本部生活安定本部になつてもらいたいということでござい与が、私ども今いろいろ施策しておりまする内容につきましても、国民生活に必要な食糧衣料原料であるところの各種の纖維類というものについては、今お話のあつたような立場におきまして、その数量確保と、価格の動きについては非常に意を用いておるのであります。たまたま極く最近の状況で、食糧関係輸入余りうまく行かんじやないかという御心配があるようでありますが、実は私どものほうはそう悲観しておらなかつたのであります。衆議院でもいろいろ御意見が出ましたが、私ども一つ見込を持つて二十五会計年度における輸入見込数量から多少は下廻るということはありますが、二百七十万トン以上の確保は大体でき得るものと確信しておりましたが、途中少しばかり遅れて、心配をかけたことは申訳ありませんが、最近果して我々の希望通り二十五会計年度においての各月別最高記録である四十五万トン近くのものが入つたのであります。こういうような恰好で、私どもは一部の思惑のために多少味噌醤油原料たる豆が来ないとかいうことでかき乱されておる点もありますが、私どもはその点については或る程度の落着きを取りもどす、かように考えております。纖維については、殊に重要底問題であつて、私どもはたびたび繰返して申しておりますが、是非国民生活に必要な綿糸、綿布類については必要量確保することは勿論、内需要綿布等については、是非とも二十五年度における月別の三万七千梱というものの数量よりも多い数量確保いたしたいというつもりで今いろいろと折衝いたしております。これは恐らく近く相当数増加というものができる運びになるだろうと思つておりまして、確実にできますれば予算委員会等で近く御報告申上げ得るのじやないかと、かように思つておるのでありまして、決して国民生活については捨てて置いておるということではないのでありまして、数量確保の面から先ず力を注いでおるのであります。ただ、今お話価格がどうも上つて行くんじやないか、その価格の上る点について楽観的だというお話ですが、私ども決して価格はちつとも上らんだろう、或いは大丈夫だというようなことで楽観をしておりません。併し又今高良さんのお話のように、価格が上るとうことは、常に国民生活を脅威するというふうにすぐに裏返しに考えるのもどうかと思うのでありまして、今日の事態としては、よほど戰争中の事態とは違つておるのでありまして、それ自体数量確保ということがあれば、その間多少の値上りと申しますか、外国原料を仰いでおるものについては値上りがありましても、その値上りの幅というような問題と関連もいたし、又品物の種類によつて輸入に関して上つても、輸出に関して又相当価格で売れるということになれば、その関係のものについては間接的に多少の影響があつたとしても、価格影響が直接私は国民生活自体に及ぼすものではないので、多少の吸收はできるのじやないか、むしろ物が入ることによつて生産活動というものが活発になるということによつて国民経済全体を通じてのよさが出て来るということをこそむしろ望まなくちやならん、絶対に一つ価格が上らないようにせいとおつしやつても、それはむしろ物外国に仰いでおるものが入つて来るので、而うしてそれが外国原料を仰いでおる関係から、原価値上りということについての値上りは当然あるのであります。それが絶対にないようにせよということは私は無理だと思います。  又一面消費財関係においては、今申しましたように、その値上りの幅と申しましても、今日までにおきましても生産財のほうが幅が大きく上り、消費財はやや足が遅く動いておるというところを御覧になつても私はわかるのじやないかと思います。私ども物価政策に対する意の用い方は、いろいろ御指摘を受けて考えて参りたいと思いますが、私自身といたしましても、又政府としても積極的にこの面については絶えず意を用いて施策をいたしていることを申上げて置きます。
  7. 高良とみ

    高良とみ君 更に国際食糧争奪戰とでも言うべき苛酷な戰時気がまえと共に、麦その他の食糧を買い漁つておりまする際に、日本がこれから輸入して行く麦を、大麦にとつて見てもこういう価格になる、大麦にとつてもそういう価格になるということからいたしまして、海外のそういう食糧の必要な物資買付けについて早く手を打つて置かれて、そのために既契約のあるものがあるというようなお話があつたのでありますが、それがどのくらいの、何ヵ月分の既契約大麦、小麦、大豆等のものがあるかということを私は伺いたかつたのでありますが、更にこれらの御説明がありましたが、安本といたしましては、勿論自由経済建前でおられましようけれども自由経済基本にあり歯する私ども国民生活は、必ずしもアメリカと一体同心で、すべてアメリカにあるものは高くても日本に売つてくれるというわけには行かないのでありまするから、もつと端的に申しますれば、この小さな島国に大勢の人間が押し込まれておる実情からいたしまして、自由経済であるとはいうものの、その基本において国民生活最低食糧のみは確保するという計画的た建前を、そういう政策片鱗にても拝見したいのであります。つまり只今説明のあつた消費財確保するのに努めると言われますけれども、せめて三ヵ月後にこれだけのものがあり、先にはこれだけのものがあるという点かち、自由経済であるけれども基本においては最低線確保するというその計画性を伺いたいのであります。  更にもう一つ言いまするならば、手持の外貨はだんだん少くなつておりまする実情からいたしまして、輸出が盛んになればそれだけの金が潤い、生産が盛んになるという御説でありましたけれども、それはいわゆる自由経済を営んでおる人たちの面はそうでありましよう。併しどうしても考えなければならないのは、賃金ベース等によつて收入に限られておる君たちにとりましては、そういう御説明を伺いましても、それが我々に潤つて来るのは遥か彼方であるという暗示を與えると思うのであります。その点端的に賃金ベースを上げなければならない事態を招きつつあるというふうにお考えでありますか、そういうことも止むを得ないからそれもやるつもりで生活物資値上りはこれは制限はできないというお考えでありますか。その点二つの点について伺いたいのであります。
  8. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 第一の点でありますが、食糧とか衣料等につきましては、お話のように勿論政府といたしましては最低限において国民食糧を賄うについでどのくらいの量を目安に置き、国内生産とそれの不足分についての外国からの輸入計画を立てておることは御承知のはずだと思います。無計画外国からの輸入は、出たところ勝負で、来たらよいというのではなくて、二十五会計年度におきましても三百十万トン計画、それが種々の事情で少し減つておりますが、二百七十万トンの確保はこの三月末までにできるということの計画で進んでおります。又来年度、二十六年度においては、そういう同じ立場において輸入を三百二十万トンといたしておるのでありまして、そういう計画の下に関係国へ向つて買付をやつておるのでありまして、幸いにお話のように各諸国において買付競争が行われることがありとしても、おのずから日本に対する物の量というものは大したものでないのでありまして、これに対する買付見込は確実にあると私ども考えておりまするし、相当なその点に関する援助も受けられる見込であります。  又綿布についても、先ほどその点に一言触れており、近く確定したら申上げたいと思うのでありますが、国内確保数量というものを、月三万七千梱というものを相当数量に挙げて行くということが一つの目標になり、その裏に輸出さるべぎ綿布の量を考えての原綿購入計画をいたしておるのであります。これに対しても去年の原綿シーズン、綿のシーズンにおける出来栄えからの買付契約予想外によろしく、援助、協力を受けておりまするし、来年の問題についても、ともすれば早場販売をなし得るアメリカのテキサス州の植付も、今年非常によい天候に恵まれて植付が進んだという報告も受けておりまするので、来シーズンにおける綿の買付も望みがあるであろうということの見込を置いての来年の輸入数量を規定しておる、そういうふうな行き方をしておるわけであります。  それから私が先ほど申上げたのは、これは常に私ども俸給生活者のことを考えないわけじやないのであります。これは物価値上りが極端になれば、それは当然研究いたさなければならん点であります。これは私どもは決して考えないわけではないが、併し今お話のように、私ども一般経済界が振興するようになるためには、やはり必要な原材料確保される必要がある。その原材料の多くを外国に依存しておる現状においては、外国のコスト、原料価格が上ることによつて原料も上り、生産財も上るであろうということがあつても、やはりそれらを入れないということは消極的である。入れて而して鉱工業生産が上るということは、ともあれ日本産業界によい影響が来るだろうということを申上げて置きます。その結果一般物価が非常に上つて、そうして固定している俸給生活者の面に影響が及ぶということになれば、その場合においても当然研究をいたさなければならんが、だからといつて、高くなるからといつて鉱工業生産を控え目にするという必要はない。むしろそういうことでも一歩々々日本国全体の産業に及ぼす影響がよくなつて行くようにすれば、その方面における利益も上り、その方面における税金收入上つて来るとすれば、国の收入が殖える。これは一面国際物価が暴騰すれば、そうしてそれに応ずる財源が得られれば、賃金も上げられるというふうに、関連的に影響考えられる、ものごとは一面だけを考えて処すべきものではない、こういう意味であります。
  9. 高良とみ

    高良とみ君 もう一つ追加して、塩の輸入状況とその価格のことについて伺いたいのであります。私ども塩は今日消費者工業用の塩の安値の値段を背負い込むのじやないかというような不安を持つのであります。言うまでもなく船賃が上り、非常に遥かなる方面から塩を持つて来るの止むなきに至つた事情につきましては、中共貿易の禁止から推すことができるのでありますが、塩についての消費者の不安についてはどういうふうに考えておられるか伺いたいのであります。
  10. 高橋時男

    説明員高橋時男君) 代つてお答えいたします。  塩につきましては国内産が大体五十万トン、それから輸入が、来年度は大体百七十万トン程度予定されておりまして、食料用塩は大体内外合せまして百万トンちよつとくらい出たと思つております。正確な数字は覚えておりませんが、大体百万トンくらいだと思います。食料用塩は二十五年度も六年度も大体不安がないと信ずる次第であります。価格につきましては、先般一月でございますが、白塩白塩というのは内地で作りました白塩でございますが、これがトン当り一万七千円のものを一万四千円に引下げましたので、消費者はそれだけ安い塩を購入しておる現状でございます。只今工業用塩を安くするためにその結果消費者が高い塩をなめさぜられておる、こういう御指摘でございましたが、成るほど工業用塩は大体輸入原価が、現在のところ七千百円くらいになつておるのでございますが、これを三千円に供給いたしております。これは従来から重要工業資材たるソーダ灰、及び苛性ソーダの価格を引下げまして、これによつて日本重要物資価格水準を引下げるために資する、こういう建前でやつてつたのでありますが、最近の諸般の経済正常化というような立場から、こういうやや不自然な一時的な制度はやめまして、大体三千円の塩を輸入原価ストレートに引上げまして、消費者の負担をそれだけ軽減するというような方向へ持つて行くことに、新年度から考えております。併し三千円の塩を七千円とか幾らとかに上げるということによつて、それでは直ちに塩の消費者価格が下がるかと申しますと、今後の塩の輸入原価、特に船賃等関係もはつきりいたしませんので、只今のところ消費者価格を直ちにいじるということは考えておりません。
  11. 内村清次

    内村清次君 二十六年度予算説明の中の「予算の特色」の中に、「政府安宏政策の実施と共に、久しきに亘つたインフレーシヨンは收束し、生産もまた堅実な増加を示すに至つたのでありますが、殊に、朝鮮動乱以後の生産及び輸出増加は目ざましく、七月には援助輸入を含めても、なお且つ輸出超過を記録するに至り、更に十月に入つて鉱工業生産は、遂に戰前の水準を突破し、」、こういうような説明がなされてありまして、一方、動乱後の国内物価の騰貴が海外上昇率を多少上廻つている事実等に徴する時、引続き均衡予算の基調を堅持して、インフーレーシヨノの回避に努めねばならぬと考えられる。」こういうふうに結んであるのでありまするが、安本長官は、物価が漸騰をしておるというようなことは、昨日の政府委員説明も聞きまして、いわゆる生産財におきましても三四%、それから消費財においては一〇%、こういうような上昇率動乱以後においてなされておるというようなことで、この点は認めておられるようでありまするが、問題点は、今回のこの予算の遂行に当りまして、いわゆる世界の軍拡及び又国内的な軍拡によるところの影響からいたしまして、どうしても輸入の問題につきましても、先の見込といたしましては、非世帯に困難性があるように認めるのでありまするが、こういうような諸情勢を勘案いたしまして、日本に又イソーフレーシヨンの要因というものが胚胎しておるというようなことにつきまして、安本長官はどういうふうな御見解を持つておらるるのであるか。例えばこのインフレーシヨンの要因といたしましても、いわゆる貿易面から来るところのインフレーシヨンの要因、或いは余裕金の使途、こういう面、それから見返資金と余裕金との関連性、それから資金運用面から来るところのインフレーシヨン、それから国際物価のしわ寄せから来るところのインフレーシヨン、それから資本家が一様に考えておりまするインフレーシヨン歓迎の心、こういう点から来るところのインフレーシヨン要因につきまして、一つ具体的に、若しインフレーシヨンが必ず発生して来るのだという御観点の認識がありますれば、この点の御説明一つお願いいたします。
  12. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 現下の情勢から見て将来イソーフレーシヨン必至だというような御見解のようでありまするが、私どもは必ずしもそう思つておらんのであります。勿論今日のような状態の下において、輸出がどんどん殖えて輸入がこれに伴わず、物の不足ということが起り、そこに価格が非常に騰貴するということになれば、一つのこれは無論模範的なインフレの形が出て来ると思うのですが、私どもはそういうことの起らないようにするために、今日先ず物を生産し、増強する、そのために必要な原材料その他の物の輸入について力をいたすと共に、財政の面におきましても、御承知のように戰争終結後年々増加しておつたのを、歳出予算の面において、二十六年度予算をかなり切り詰めて、前年度よりも引締めて行くという処置をとり、いろいろと御批判もありますが、金融の面においても引締めを今までして来ておつたのは、その場合におけるインフレの要因の発生を防ぐということに意を用いている点であります。よく価格がえらくどんどん上るじやないか、上るからインフレと、価格の上昇ということイコール・インフレというふうな恰好に結付けられるかたもあるようでありますが、私ども価格は多少値上りをすることかあつても、それを裏付けると申しますか、その半面において必要物資、物の面における数量確保ということと、これに対して生産等に関する必要な資金面における出し方が適当な出し方でマッチして行つたならば、これは私はインフレというものの形は、この前のような形のよりには起つて来ないのじやないか、こういうふうに思う。そのことを冀うがために政府が手を打つているのです。こういうことが若しもできずに、輸入が少く、輸出ばかりどんどん出て、日本国内は空になるというような状態になればお話の点が起るかも知れませんが、そのことのないようにあらゆる点において努力しております。最近において、この前の臨時国会で申しましたが、輸入については確かに昨年四月をピークとして一時下りました。併しその後におけるあらゆる努力によりましてその効果が最近とにかく出て来ておると思うわけです。特に去年の九月以降におきましては、毎月輸入の額が殖えている。もとよりこの間における物価値上りによる金額の増加も伴つていることは見逃せませんが、数量的にもだんだん毎月殖えて来ておるということは見逃し得ない。この点について、私どもは努力及びその施策の途行が思うように行くことによつてインフレーシヨンは防ぎ得るものと考えております。
  13. 内村清次

    内村清次君 只今の御説明では、インフレーシヨンの要因のあることは若手認めておらるるようですが、併しこれは今後の施策によつてこれを防止して行くというお話でありまするが、今後の施策という面につきまして、一体どういうような政府は手を打つて行かれるか。この要因か確かにあるのであつて、即ち輸入は現在の、あなたの御答弁では、幾らか見直して来たのだが、併しながらどうしてもこれは世界の軍拡の余波、これはもう現に現れておる、食糧の面におきましても、一般原材料輸入確保の面につきましても、これは現に現われた問題でしよう、あなたのほうの今回の資料を出されておりまするところのこの資料によりましても、もうすでに物価騰貴の状態や、或いはそのために買付が非常に困難になつておる状態や或いは又この輸入の減少しておるところの状態につきましても、あなたのほうの資料にはつきり出しておられる、こういうような事実に基きましてやはり物の値段上つて来るとは、これはもう今現に現われた現象であります。いわゆる思惑買をしておる。或い隠退蔵をやりつつあるというようなことは、これは末端におきましてはもう現にこの事象が現われた問題ですから、どういうような具体的な手を打つてこれを防止して行くかというところが私たちの一番聞きたいところでありまして、その具体的な方法、これを一つ数字的にでも、或いは冬のいろいろな方策の樹立に対しましても、これを一つ詳細に説明して頂きたい。それでないと、ただ今後においてその何か手段を打つて行くということだけでは、もう現にこの予算の内容におきましても波状が来ておる、だからしてこういう点を一つ具体的に説明をされませんと、私たちは納得が行かないのです。
  14. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 私の言葉が少し足りませんでしたが、今のお話輸入の面について、私が一例を取つた中に、特殊な物について、まだ少し輸入の遅れておる物もあります。最近の情勢は、昨年の九月以降毎月殖えて来ており、食糧の面については、非常に御心配でありましたが、最近大量に輸入をしております。そういう輸入の面においても数量は減つておりません。そこにおける受入の最終の物について、最近の状況は変つております。私どもの言うのは、去年の臨時国会のときからいろいろお尋ねがありますが、成るほどあの当時輸入が初めの計画はなかなか進まず、遅々とした状態にあつたことは事実でありますが、当時もいろいろ輸入に関する手続きの改正、金資金の手当、内地における……、国内における輸入金融に対する手当、こうした各種の面の改正に伴つてそれが必ず効果を発して参りますということをここで申上げたんですが、そのことが事実になつて現われて来ておるということを申しておるわけであります。  なお内村さんの御心配のように、国際情勢からいろいろの買付がしにくくなるだろうということは、一般の常識なのでありまして、私どももその点について……御心配は無理からんことと思います。併しいろいろアメリカその他の民主的国家間における協力は、どういう事態が起りましても、日本に対する必要な物の割当等はできるものと確信しておるのであります。従つて輸入数量確保ということについては、一つ見通しを持つておるのであります。その点については私ども数量を以てインフレは或る程度防げる、こういうことを確信しておるわけであります。ただお話価格が上るだろうからインフレになるだろうという言葉がちよつと出ましたが、私はその点については多少意見を異にするのであります。それは戰争中のごとく物がだんだん無くなつてどんどん上るという時代と、物が入る、但し入るにせよ、物は国際的の影響を受けてだんだんとあらゆる物の価格上つて来るという場合が起ると思う。併し物というものが相当数量あれば、その間において物のない時代においてむちやくちやに価格上つたときにおけるようなインフレというような形は出て来ないのではないか、又来たしてはならんと考えております。
  15. 内村清次

    内村清次君 この今回の予算の中に、価格調整費といたしまして二百二十五億組んでありますが、これはこの食糧関係価格調整費に限定をされておるような状態であります。これは昨日の政府委員の答弁によりますると、この価格調整費がいわゆる米麦の値上りによつて、とにかくこれが不足して来るのだ。いわゆる百億くらいの今では不足を見通しておるというような答弁があつたのでありますが、この点は安本長官も認められておることでありますかどうか。この点が一点と、こういうようなもうすでに、現にですね、この買付価格輸入難のために上つておるという事態は、これはもうお互いこれを解消することのできない現象が起つておる問題ですから、こういうような情勢におきまして、すでに百億の調整費として不足しておるんだということを認めながら、政府はどのような手を打つてこの予算の辻棲を合わせて行こうとするのであるか、この点について御説明をお願いいたします。
  16. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 御尤もな御質問でありますが、今の状態におきましてはかなり上つておるのでありますが、その上り方の大きな点は運賃の値上りがかなり大きな部分を占めておる。従つて上つおるから今すぐに補給金増加するかどうかしなければならんじやないかというような御趣旨だと思いますが、この点につきましては、まだ四月以降にどれだけどういうふうに上るのかということはまだ確定した見通しはつかんと思います。又一面においては、是非とも小麦協定の参加を政府としては希望しておる。いろいろな條件があつたのでこの前入つておりませんが、そうなれば今度は、過去の事実によれば、入つた場合においてはトン当り十ドルも安く買えるというような状況で、今後の値上り状況なり、或いは小麦協定への参加がどうなるかというようなことを考えて行かないと、仮に補給金の増額を必要といたしたとしても、その額の決定が困難であります。もう少し事態の推移を眺めた上で研究したい、こういうふうなつもりでおります。
  17. 内村清次

    内村清次君 政府のほうで、これはまあ特にあなたのほうの立案でしようが、今後の我が国経済の自立を考えて三ヵ年計画の構想をやつておられるそうだが、その三ヵ年計画基本的内容の大綱に対しまして、二十六年度輸入を十三億五千八百万ドル、輸出が十億五千万ドル、こういうような御計画になつておる。即ち輸入のほうがこれは日本の即ち物価計画といたしましても、又安定計画といたしましても、先ず原材料の少いところの日本経済としては、輸入確保して行くということはこれはもう勿論なことであろうと思いますが、併しながら自立の観点からいたしましても、どうしてもやはりこの輸入貿易関係においては、輸入も額を大きくして、そうしてそれを立派な生産をして行くというようなことは、これは当然なことと思いまするが、こういうような一応の二十六年度の御計画がこのままスムースに、いわゆる輸入を上昇して行くか、こういうような見通しがおありになるでしようか。これを六月から、即ち朝鮮動乱以後から十二月までの統計を見ましても、もうすでに輸入のほうは減退しておる数字がはつきりしておる、カーブが。そういうようなことで計画というものは完全に実行して行かれる御確信があられるかどうか、先ずこの点一つ……。
  18. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 結論から申上げますと、確信を持つております。というのは、今私はあなたの質問ですが、高良さんでしたか、最初に申上げましたが、成るほど輸入は去年の四月から減つております。七、八月から減りました。ところが九月からいろいろな手を打つたのが効果を発揮して来たのでしよう、九、十、十一月と尻上り、十一月は恐らく一億一千万、一月はそれよりも恐らくもつと上つておる。私は先ほども申上げましたように、価格値上りが恐らくあるだろうから、金額だけで必ずしも言えないけれども、併しとにかく最近あれだけ食糧輸入心配していましたが、四十六万トシとかありました。今年の一番大きいのは三十九万幾らとかで、これを上廻つておるような状況です。これはいろいろな事情で、計画したものが船の関係なりいろいろな関係で遅れて来ておつたのですが、今漸く或るものは軌道に乗つて来たという恰好であります。そう私は心配することはないと思います。ひよつとすると自立経済計画の数字は物によつては上廻るのではないか。自立審議会の答申その他については前に断り書してありますように、あらゆる條件というものが変化すればこれは上下するだろうということは一つ基本ラインであります。この線に対する総合計画を立てたい。ひよつとすると価格の面なりいろいろな施策が充実して来れば或いは上廻るかも知れんとさえ思つているのでありまして、それだけの数字は実行できると確信いたします。
  19. 内村清次

    内村清次君 立案された建前から非常に楽観されたお話ですが、実際これはあなたのほうの、即ち衆議院におきましては、自由党関係でもこれを心配して、そうして衆議院のほうにおいては輸入確保の決議案を出そうと、こうまで考えている。あなたは非常に楽観的に考えているが與党さえもそういうお考えである。参議院におきましても、実は先行きの、即ち見通し困難の件につきましてやはりこういうような一つ決議案でも出して、そうして政府を鞭励して行こうというような空気があるのでありますが、あなたの今の御説明では、これは我々の見解と大きな開きがある。だからどういうふうな点においてその見通しがあるのだというようなことを先ず一つ具体的にはつきり言うてもらいたい。必ずこれよりか上廻るのだ、ただこういうような漠とした答弁ではどうも私たちは納得行きませんが、この点を一つ立案関係の誰でもいいですから、あなたが特別に数字的におつしやいませんでも、ほかのかたでも結構ですから、こういうような点で本当に安心できるのだというようなことをはつきりお示し願いたい。  それから生活水準の向上の問題ですが、これも先ほど高良委員からも非常に御心配……、これはもうお互い心配しております。いわゆろ生活水準があなたのほうの計画では、いわゆる戰前の九割までには是非とも回復するのだと大きくこれは打出しておられるようでありますが、こういうような、即ち生活水準が本当に現在のような状態で向上ができて行くかどうかという見通しですね、これをも一つ、これは現在の状況でもよろしうございます。必ずこれは各生活面に及ぼす影響というのは、自分たちがこういう施策を以て今後行くからして、これは安心してよろしいというような具体的な施策を発表して頂きたい。
  20. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) まあ輸入の問題でありますが、決して私そう手放しに楽観しておらないのであります。衆議院においても輸入を促進する決議案をお出しになるとやうお話、これは政府を鞭撻して頂き……、いやが上にも政策に粗漏なきようとの鞭撻であつたのは私どもは喜んでおります。併し今申しているのは、十二月頃まで、或いは最近までの食糧輸入状況なるものを見て、そういう御心配があつたことは決して私は無理からんと思うのでありますが、今申したように計画をしているものが、極く最近において食糧がはつきり月別の会計にもいろいろ余つて来たものが入つている事実を以て、この程度実行できるのではないかということを申上げているわけで、私どもも船なりいろいろな点から心配していろいろなことを施策して、その効果が出て来て現実に入つて来ておる数量であるということで、或る程度の希望を持つておる、こう考えます。ただ私ども計画の上だけでいいというのではなくて、実績を以て御答弁を申上げておるわけであります。  それから生活水準の問題でありますが、これはやはりかかつて鉱工業の生産指数の状況又農業関係における増産関係計画が進められることが前提でありまして、恐らく私どもは鉱工業関係においては、我々の計画は種々原材料輸入というものについて各方面とも話しております。その確保は或る程度期待を持ち得ると信じておるのでありまして、それができれば今の遂行はできるのではないかと思う。食糧の増産については、その計画の一年度に当りますが、ともかくも食糧増産についての初年度計画についての見通しも必ずしも私はあなたのように悲観をしていない。決して私は立案者だから頑張るというようなことはしないのであつて事情の変化によつてできるかできぬかということは言つておりますが、最近のいろいろな関係から見まして、その計画に盛つておるような内容ぐらいのことは、むしろ小さくないかとさえ思うくらいに思つておるのでありまして、そのくらいの程度はできるものと考えております。
  21. 内村清次

    内村清次君 国連当局に対しまして十二月に世界の経済情勢として報告しておるうちに、現在世界が直面しているところの経済上の重大問題は二つあるが、これはインフレの脅威と朝鮮動乱に伴ういわゆる物資の不足であるということをはつきり国連のほうには報告しているのですが、この点ははつきりと安定本部長官は認めておられるわけですが、こういうような関係からいたしまして、日英のいわゆる協定が昨年の十一月なされておつたはずですが、その後の推移からいたしまして、やはり協定の物価面に対するところの増額、これをも政府のほうでは約三千八百万ポンドの増額を認めて、そうして協定を更に確実ならしめて行くというような御方策のようですが、その点は事実でありますか。
  22. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) その点はまだ確定はいたしておりませんが、相互の間に増加の話合いを進めておることは事実であります。
  23. 内村清次

    内村清次君 そういたしますると、政府のほうでも物価騰貴が将来上つて来るということははつきり認めておられると思うが、今回の予算編成の一番重要な点は、結局いろいろなものの値段、即ち政府が今後施策をやつて行く土台になりますところのものの値段というものが漸騰している。而も最近において特に急激な変化がなされて来たというところで先ず先ほどの価格調整費の点も一つでありまするが、今一つ公共事業費の面におきましても、いわゆる鉄鋼、セメント、木材、こういうような政府買付の物件が、これがもう急激に値上りをしておる。而もこれは原材料が不足しているところの我が国といたしましては、あなたのほうの配付されたところの現在の買付価格値段を見ましても、やはり上つて来ておる。こういうような事態におきまして、これだけの公共事業費を以て政府考えておられるところの事業というものが確実になされて行くかどうか、この点につきまして御説明を願いたいと思います。
  24. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 公共事業費の途行に当つて、必要なる資材面においての値上りということは認めております。併しこれもものによつて違うのであります。今値上りがあつたからどれだけ事業分量が減るだろうという見通しはまだ立てておりません。
  25. 内村清次

    内村清次君 それではこの予算に要求されておりますところのこの全額を以ちまして、政府ではもうこの年度間におきましてはこれで結構だ、いわゆる考えておる事業は全部でぎるというような確信がおありでありますかどうか。
  26. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) その点についてはもう少し、先ほど料金について申上げたように、物価の推移を見た上で研究したいのでありますが、只今のところは現在の予算で遂行して行くつもりであります。
  27. 内村清次

    内村清次君 この三ヵ年計画の構想のうちに、特に又本院では、これは輸入確保の面も勘案いたしまして、現在の船舶不足の面からいたして、増強の決議案を出したのでありますが、その後政府はどういうような措置を以て船舶増強に力をいたしておられるかどうか、これが本当に計画通りに数学的に増強ができているかどうか、この推移について御説明願いたい。
  28. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 細かい数字は関係の省のかたにお願いいたしますが、大体最近におきまして買船傭船についての、民間の買船、傭船に関する必要な経費の運転に関して、政府も或る程度は考慮を加えて、実際上十一隻近くの買船の契約が成立したようであります。なお傭船については七隻ほどですが、契約が進んでおります。なお政府としての新造船に関しての第六次の追加というものについても、見返資金等のほうから増額をいたしまして、普通ならば来年度、二十六年度の見返資金の予定が百十億であつたと思うのでありますが、考えておりましたが、それだけでいたしますと二十六年度に着手する分というものは非常に少くなる。十一万トンくらいになる。これでは少いのでありますから、事実見返資金を増加いたしまして合計二十万トン余りが二十六年度に着工竣工、でき上るような措置をしております。その他A型の、職時の標準型船の改造という計画につきましても、それぞれ資金面の世話をいたして計画の途行に当つておるのであります。
  29. 内村清次

    内村清次君 吉田総理は、私たちが常に経済というものはやはり計画を立てて、そうしてその計画の下に一つの標準に近付くような努力をやはりして行かなければいけないということを常に要望いたしておつたにかかわらず、吉田総理は、いやこういう国際関係の変動している現在においては、計画というものは一年先もわからない、二年先もわからないと、こういうことを常に言つておられるけれども、一応あなたのほうでこういう自立三ヵ年計画というものを発表された。発表はされまして、そうして今回の予算を合理的にこれに合すような面を含めての、いわゆる政治的なこれは考え方だつたかも知れませんが、一応一方においては予算提出されと同時に、一方においてはこの三ヵ年計画を発表された。ところがこの三ヵ年計画は、あなたがたのほうではこの計画に基いて大体やつて行くのだということを言つておられるけれども、もうすでにその根抵から現実において崩れて来ておる。こういうような崩れているところの、もう足許が、第一年度がすでに崩れかかつているこの御計画を、政府は近いうちにこれを大変革するというようなお考えの構想があるかどうか。これは勿論私が質問する要点というものは、今回のダレス特使の来訪によつての吉田総理どの会談内容その他から、実は総理にもまだ質問したいのですけれども、こういうような世界の変化の情勢からして、これはもうすでに棄ててしまうのだと、そうして又別な大きな構想を自分たちは持つているというような考え方があるかどうか。そういう点で、これはもうお捨てになる、現にこれはもう足許が崩れてしまつているところのこの計画を、なおそういうような、即ち近い将来においてこれを捨ててしまうというお考えがあるかどうか、この点につきまして一つ確実な御答弁をお願いしたい。
  30. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 内村さんはえらく右と左というものをはつきり分けて考えようとなさるが、自立経済審議会の立てた案の前書を御覧頂くとわかりますが、我々は飽くまでも終戰後における、或いは敗戰後における日本経済を復興さぜ、他人の世話にならんようにして自立して行くための計画を総合的に立ててある。若し一定の総合的な計画でなく、業種別におのおの勝手な計画を立てられたのでは、貧乏国の中でどれもこれもちんばになつて、国の調整ある健全な復興はできないと私は思う。そういう意味合いにおいて、基本ラインとして統制ある総合計画が立てられることは必要でありまして、その面においてはこれは総理も賛成しておられる。実際この一つ基本ラインは飽くまで基本ラインであります。今後における国際情勢の変化によつて、或いは国内情勢の変化によつては、この計画は増減し得るということははつきり言つておられる。非常にうまく行けばこれは短くてやれるかも知れない。三ヵ年計画が二年くらいで終るかも知れない。まずく行けば、條件が惡くなれば三年が五年になるということをはつきり謳つてある。事柄は、情勢の変化に即応して案を進めることこそ政治の要諦であると私は考える。これをぽいと捨ててしまつて総合計画が立つかどうか。部分的に当然修正されなければならんものは修正されなければなりませんし、総合的に修正されるという点もあるかも知らんけれども、白と黒とはつきり分けて、白にあらずんば黒というふうに捨ててしまうということは、私は少し短気過ぎると思う。これはそこに調整ある形において基本ラインがあり、今後の情勢においてまだこれは変るかも知れないということに伸縮があると思う。
  31. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 それに関連して……只今周東長官から、この自立計画について内村氏の御質問に対して御答弁がありましたが、安本長官は最近の新らしく起つた事態について、もつと明確脚に国民の前に示されるほうがよろしいのではないかと思うのです。それは二月十九日に、周東長官及び池田蔵相がマーカット少将に呼ばれております。そうしてその指示された、或いは又会談の大体の輪郭が新聞に出ておるのです。若しこれが全然嘘でないとすれば、こういうような構想が、いわゆる日米経済協力体制の構想が事実だとすれば、日本経済に非常に大きな変化が来るはずであります。これまでの自立経済と質も違いますし、量的にも違つて来る。若しこれが事実とすれば、我々ここで二十六年度予算を審議していても、今後の見通しが非常に違つて来るわけであります。物価の問題も、金融の問題も、財政の問題も、インフレが相当進行するであろうというようなことも我々危惧されるのです。伝えられるところによれば、この資金は二兆億くらい資金が要るであろうというようなことが伝えられております。運転資金として五千億、設備資金として一兆五千億、而もこれは一九五一乃至一九五二会計年度、今年の七月から来年の六月までの間にこういう作業をやつて、こういう計画目標で生産増強するというのであれば、これは画期的な大きな問題です。これまで、自立経済で二十八年度までにやろうとしたことを上廻ることを、この二十六年乃至七年でやらなければならない、こういうことになつて来ると思うのです。そこで、事態が非常に変つて来ておる。日本経済実態が国際情勢の変化によつて非常に違つて来ておるのですから、この点についてやはり安本長官は、前の自立計画も、内村氏が今言われたように、それは土台にはなるでありましまうが、もうその構想では今後の経済情勢の判断ができないと思うのです。そういう意味で、今後の我々の予算審議の参考に、又国民に、今後非常に大きな経済情勢の変化が来ると予想されるのでありますから、これについて大体の構想なり輪郭というものをお話し願いたいと思うのです。
  32. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 今新聞で、マーケット氏に私と大蔵大臣が会つて、その内容が大体わかつておるというお話ですが、私は新聞にそういうことが書いてあるかも知れませんが、内容は違つておりますから、別に今すぐにどうこうということの御説明は申上げるわけには参りません。
  33. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 その違つておるというのは、どういう点が違つておるのか、別に私は追及するわけではないのです。これまでの自立経済の構想と今後こういうラインで示された産業政策の構想とどう違つているのか。自立経済とこの構想との調整をどういうふうにとつて行くか。又これに対しては、勿論日本経済力だけではできないのであります。恐らく援助とか何とかがあるに違いないと思うのです。相当援助というものが裏付けになるのではないかと思うのです。そうすると大きなラインでこれまではあの自立計画の線でやろうとしておつたのだけれども、それどころの騒ぎではないのだと、もつと重要な変化が来ているのですから、大体こういうような自立計画について変化が来るのであると、細かいことは勿論御発表できないと思います。ですから間違つておるならなお更のこと、こういう点が間違つておると、大きな線はこういうところにあるのだと、そうしませんと、我々この自立経済三ヵ年計画を示されまして、それに基いて二十六年度予算を編成されて、我々今ここに審議させられておりますが、何か現実はもつと非常に違つた方向に行くようになつてつて、まるで我々は現実と遊離した計画を見せられておるような、最初はそうでなかつたのでしようが、見通しとしてですね。予算ももうすでに物価関係では現実と相当遊離しつつあると思いますが、更にあの構想を見れば、全然間違いと言えるかどうか。その大きな方向においては、いわゆる日米経済協力体制としてはしばしば、こういう形ではありませんが、朝日新聞でも、その他の新聞でも、日本産業動員構想として、部分的にこれが伝えられておりましたが、併し我々今まで部分的でありましたので、余り注目しておりませんでしたが、こういうふうに今朝の日本経済新聞に相当総合的に出ておりますので、こういう作業が裏で行われておつて、そうしてこれがこういう構想を以て今後の自立計画その他が行われて行くということになると、何か我々現実と遊離したような予算を審議しておるような気がするのです。そこで間違つておるのはこういう点が間違つているので、こういう方向に行くのだということをお伺いしたい。特に又前に安本長官は、昨年かと思いますが、関西のほうへ族行されたときに、新聞記者にダレス氏が来たら政府は新経済政策を発表する、そうしてその経済構想について、いわゆる国連協力経済構想というものを新聞記者にお話になつています。そういうものと符合するのでありまして、前から安本長官はそういう点はお考えになつていたと思うのです。例えばその新聞報道では政治的中立や、外交的中立がなくなれば、経済的中立もあり得ない。従つて経済体制としてはこういう方向に行く。例えば国内の鉄鋼などの消費を削減しても協力国のために鉄鋼などを輸出しなければならない方向に行くであろうというようなことを申されておる。従つてそういう大きな方向について非常に重大な変化が生ずるように見受けられるのでありますが、それは国民にとつても重要な問題なのです。そういう意味で大きな方向だけで結構……こういう変化が生じつある、併しこういう点についてはまだ言えない。それで結構でございますから大きなラインだけでも、違つて来たラインだけでもここで明らかにされる必要があるのではないかと思うのです。
  34. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 今のお話でありますが、誰か人を間違えておられる。私はそういうことを新聞で言つたことはありません。それから只今お話でありますが、今のところ決して、遊離しておるというような御心配でありますが、そういうことはありません。只今のところ私どもまだそういう話も受けておらないし、まだ新らしい立場においてこれを変えるという具体的な構想にはまだ進んでおりません。将来いろいろな條件なりいろいろの事柄が確定して変化する必要があることになれば、そのとき勿論改めて御審議を願うということは起るかも知れませんが、只今のところでは別に大きな変化はございませんから、御了承を願います。
  35. 内村清次

    内村清次君 私は安本長官のみに対する質問は一応これで打切りますが、この給與と賃金の問題のときに、人事院総裁の御出席をお願いしたいのと同時に、又関連的にこれは安本長官にもお尋ねしなければならない。それから大蔵大臣は御病気らしいのですが、大蔵省の責任者を一つ呼んで頂きたい。これだけ一つお願いいたしまして、他の議員のかたがたに質疑を譲ります。
  36. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 それでは只今、二月十九日のマーカット、周東、池田会談と新聞に出ていることにつきましては御答弁困難のようでありますから、私はこれ以上御質問いたしません。ここで一つどうしてもお伺いしておかなければならぬことは、やはり物価の問題なんですが、昨日郡物価政務次官からのお話では、先行きは余り心配がない。又今日も周東安本長官からのお話でも、物が出て来れば心配ない、輸入すれば……、こう言われているのですが、どうも私は最近の経済の質的な変化ということについて、お考えが我々と違うのではないかと思うのです。成るほど物は物量としては殖えても、そのものがどつちに使われるかですね、再生産的に使われて行かなければ、やはり内需のほうは圧迫されて来ると思う。前には一応お伺いしましたが、いわゆる特需と輸出と内需との調整の関係ですね、この点が私は非常に重要だと思うのです。そこで結局輸入がどんどん仮に殖えるとしても、それがどんどん国防的な生産のほうに向いて行くと、仮にそれを輸出して外貨を得ても、生産水準はこんなに上つても、その上のほうの部分は常にそういう国民生活水準の向上にならないような方面に循環しておる。こういう経済構造の形になつて行くと、仮に生産が殖えても、国民生活は安定しないと思うのです。こういう意味で我々は非常に今後の消費財物価騰貴を心配せざるを得ない。それで昨日も郡次官に申上げたのですが、フアイン博士が日米協会で演説された結論としては、将来原料及び消費品の不足が増大するにつれて、インフレージヨンが或る程度ますます顯著に現われる可能性がある。従つて日本の現在の財政計画面において適当の調整が必要となるかも知れない、こういうことを言われているのですね。ですからやはりそういう面からのインフレの前途を相当心配していると思うのです。この感覚が当面の部分的な商品の価格騰貴というような形と考えている、やはり物価騰貴ですね。最近では全面的な騰貴になつている。それについてはもつと私は突込んで最近の日本経済の質的な変化という点から考えても、決して安本長官が言われているように、今年度は楽観できない、楽観できないという立場に立つて政策を行われるのが本当じやないかと思うのです。この点くどいようですが、もう一度見通しについてのお考えを承わりたい。
  37. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 木村さんの学問的立場、学者的見地での御心配、私は敬服しますが、その点は私も深く考えておるのであつて輸入がどんどんあつて、それが生産に向けられている。その生産がどんどん又輸出されてしまうのでは、これはやはり国民消費生活面に圧迫を受けるであろうということは同感です。従つて先ほど私それぞれお答えしておりますように、輸入の形においての産業構造が多少の変化を受けることがあるとしても、常に食糧なり衣料原料であるところの纎維類についての内需向けのものについては数量的に意を用いている。現に綿等については国民生活の必要物資として、とにもかくにもこれが内需の数量増加と、その確保ということを図ることが一面国内における消費生活に対する安定の方向に持つて行くゆえんである。これは常に併せて考えております。こういうことを申上げるのであります。この一端として御了承願いたいと思います。
  38. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 周東長官にちよつとお伺いしますが、先ほどの内村委員並びに木村委員の質疑の中で何度も触れられかけたのですが、日米経済協力関係という問題ですね。これについて一方には国内の遊休設備日本国内の遊休設備の調査が相当進められておると思うのです。と同時に又新聞紙の報ずるところによると、経済使節というものを政府からかどこからか知れないけれども、派遣されるというようなことも新聞で報道されておる、こういうことを併せ考えて行きますと、日本経済の今後のあり方と言いますか、行き方について相当大きな変化が来るのじやないかという気がしますが、その点皆さんが御心配といいますか、深く懸念になつておるので、どうかその点について差障りのない程度、ここで発表して頂きたい。例えば経済使節は一体どういう使命を持つて行くのかということ、具体的には……、そういう点についてできるだけの御説明を願いたいと思います。
  39. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 委員長のお尋ねですが、これは新聞にいろいろ出ておりますが、経済使節については私はまだ聞いていないのです。これはどこから出て来たか、第一ダレスさんが見えられたために民間の経団連のほうからそういうものを出してくれという希望が出たことを聞いておりますが、すぐもう近く出るような話が出ておりますが、これは私が非常に迂濶かも知れませんが、私はそれを聞いておりません。それから今の遊休設備の調査をやつておるということでありますが、これは新聞にも出ておりますが、これはいろいろな方面でやつております。これは大事な問題で日本の賠償問題とも、調査そのものが非常に密接な関連を持ちまして、これはもう前から調査しておることで、これが何というか調査しておることが何か意味があるようにとられておりますが、先ほど木村さんに申上げましたように、まだ特別に内需を起すというところまで具体的に行つておりませんから、申上げることができません。
  40. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 くどいようですが、安本長官は……、新聞に毎日のように具体的に出ておるわけです。例えば東京日日新聞の三月一日には相当具体的にいわゆるトツプ・レベル生産額、トップ・レベルがどのくらいするかということが出ておる。安本の調べでは、これによると銑鉄六百万トン、石炭五千万トン、鋼塊九百九十万トン、アルミニューム十一万トン、セメント六百万トン、硫黄四百三十万トン、板ガラス六百万ボックス、造船八十万トン、トラック三万六千台、銅十一万トン、こういうふうな大きな数字です。そうしてこの設備資金としては五千億円、運転資金一兆五千億円計二兆円を弾き出しておる。こういうふうに言われておる。これが全部当らないとしてもこういうことが伝えられておる。それから先ほどの日本経済新聞、それから朝日新聞にも日米経済協力構想、こういうものが次々と出て来ますので、やはり何らかの形で、これは間違いなら間違い、或いはそうでないと……、我々はこれを見て何か別の世界に住んでおるように、どんどん実際がそういうほうに進んで行つておるのじやないか、ところが安本長官にお伺いすると、いやそういうことはないのだと、何かそこに非常なズレがありますから、何か今すぐでなくともよろしいのですが、適当なる機会に三ヵ年計画はやはりこういうふうに変つて来るなら変つて来る、こういうふうに経済情勢は変化するというようなことについて御発表願いたいと思うのです、如何ですか。
  41. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 非常に御関心を持たれて、その御熱心には感謝しますが、実は本当の話どうも新聞の報道が、我々には非常に有難い話ですが、注意をされて取りまかれておりますが、決して私どもああいう数字のことも知りませんし、事実は事情が違つておると思いますので、実は甚だ迷惑しておるのですが、これははつきり申上げておきます。まだそういうふうになつておりません。
  42. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 先ほど周東長官は、国内遊休設備の調査なんということは賠償の関係もあり、次々に始終やつておるというのであるが、或いはそうかも知れない。併しそう毎年終戰後常にやつていたことが、この際特に新聞などの注意を引くゆえんは、この際一つ考えにならなければならないと思う。これは講和後の日本経済のあり方についていろいろの構想が出ておると思う。そういうことと関連さして誰でも考えるものですから、普段やつておることが特に注意を引くわけです。ですから今日とは申しませんけれども、講和後の日本経済のあり方というものと、それから経済自立計画、そういうものとの関連とか、又どんな新らしい構想が生れつあるのかというようなことについて、一応の説明は持つていて頂きたいと思うんです。
  43. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 実はそういう問題が明らかになりませんと物価見通しもわかりませんし、従つてこの予算が二十六年度予算として妥当かどうかも見当が本当はつかないわけなんです。併しそれはもう余りくどくなりますから成るべく、そういうことが明らかになるんでしたらこれは明らかにしておいて頂きたい。希望にとめておきます。  次にお伺いしたいのは、インフレ対策の問題ですが、昨日も郡次官にお伺いしたのですが、この物価騰貴の原因はいろいろ調べて見ますと、海外物価影響が非常に大きい。それから貿易バランスにおいて輸出超過になつて、そのためにいわゆる外為会計から来る撒布超過、その他いろいろある思いますが、何といつてもその対外面から来るインフレの波をかぶつておるということは、これはやはり非常に大きな要因になつていると思うんです。最初は貿易バランスの外為会計から来るインフレの要因というものを相当重視されましたが、これは輸入が順調に行けば調整される一時的な、短期的な信用インフレ的な程度考えておつたのですけれども、最近では海外インフレの波を非常に大きく受けるようになつた。まあこれは運賃の騰貴ということもありますが、そればかりでなく、やはり政府から頂いた資料によりましても各品目ごとに相当の騰貴が見られる。この海外インフレの波を受けることは受けつ放しでいいか、そうであるとすると、自立計画も何もなくなつちやう。日本経済の自主性というものは全くなくなる。こつちでこういう政策をやろうとしても海外のインフレの波をこうむつて日本政府政策が歪曲されちまう。何とかして海外インフレの波、これを防ぐ対策というものをお考えになつておらないか。昨日お伺いしたのですが、非常に消極的で納得行かないのですが、これはいろいろあると思うんです。第一に大切なこととしてお伺いしたいことは為替の問題です。これは私は非常に重要だと思うんです。衆議院予算公聴会でも都留重人氏が国内経済は自由にしておいて為替だけペツグして動かさないというのはおかしい。為替相場も自由経済なら自由経済の変動につれて動くのが当り前だ。特に最近では、今までは世界経済余り変動しなかつたのですけれども海外経済が非常に激動して来ているんですけれども、このまま海外経済影響を、日本が波を直接かぶつているのかどうか。それを総合的に防ぐ中には為替相場の再検討が必要だと思うんですが、その点一つと、それから為替相場をいじらないとすれば、例えばスエーデンがやつているといわれるような輸出関税ですね。輸出関税を取つて、それを輸入業者のほうに與えて、前の為替複数制みたいなふうに、こういうようなことになるかも知れませんが、そういうような点ですね。こういうような何か海外インフレの波を防ぐことを考えるこれをお考えにならなかつたら国内で幾らいろいろな対策を立ててもこのインフレ防止対策は徹底しないと思うんです。この点お伺いしたいんです。
  44. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 海外インフレのための為替相場の変動を考えないかというお尋ねですが、成るほど木村さんのような意見を以て尋ねる人はほかにもありますし、よく意見を聞くのでありますが、これはなかなか私は愼重に考慮しなければならん問題であつて海外における物価その他の関係が激動している際に、それじやどういう程度にこれを変えるかという問題もありますし、又極端に言つて、又為替というものは自然に毎日釘付けにしておく形にできるかどうかということを考えて見る場合には、これは日本経済といいますか、金本位国との関係において見れば、日本内地における金の保有ということがしつかりできて、もう少し国内信用ができなければこういうことは理論的にはできても国際的にはまだむずかしい。いわんや現在における国内状況では海外が非常にむずかしくて、日本のほうが堅実ならばまだ問題はあるが、私は一たび為替レートの変更を與えるということになると、まほど安定が得られる要因がないと絶えず変動しがちではないか。そこに私は為替レートを動かすということはよほど愼重に考えなければいけないんじやないかと、こういうふうに私は思つております。私はそれを変更しなければ輸出税をかけるかということでありますが、これもよくいわれますが、輸出税をかけて税をとつて、これを輸入関係で調整して行くと、これは木村さんも御承知のように、日本の状態として何としても経済の復興なり、国民生活安定の面からいつて相当外国から物を入れなければならん。その入れたものの決済は輸出によつてやるわけです。やはりお客さんに買つてもらわなければならんので、やつぱり輸出関税をやるとかいうことは貿易面に及ぼす影響もあるので、又すぐに輸出税をかけるとか、輸出関税を設けるとかいうことは私ども考えておりません。
  45. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 最近ですね、又バイヤーズ・マーケットからセーラース・マーケツトに変つていますので、為替問題にしても又税の問題でも前とは非常に違うのじやないかと思うのです。ですからそれは非常に検討の余地があるかと思うのです。ですが為替の問題は非常にデリケートですから、まあ軽軽に当局者からどうとは言えないと思うのですけれども、併し海外のインフレの波をどうして防止するかということについては何らか研究されなければならないと思うのですが、これまでのお話を伺いますと、どうも政府政策はこのドツジ・ラインから逆転して前の石橋蔵相当時の考え方に、物価上つて生産が殖えればいい、インフレになつて生産増強をすればいいというような考えに変りつつあるよりに考えられる。インフレは仕方がない、海外のインフレの波はかぶつても仕方がない。やはりインフレになつて生産が殖えればいいと、こういうふうにお考えが変つて来ているんじやないか。こういうふうに見られるのですが、その根本方針はどういうところにございましようか。
  46. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 私はインフレ防止は、根本はやはり生産増強することにあると思うのです。決して石橋財政が間違つておるとは思わない。但しあの当時私はその構想はよかつたけれども生産増強をすればいいといつて金をばらばら出したけれども、それに伴つて増強をなすべき原材料なり、設備の拡張ができずに、出した船が外へ流れたということがインフレを激化したのであつて、石橋さんの趣旨とは違つた形になつて来ておると思う。今日においてはその点或る程度経済界の態勢もあつて、それを見つ原材料等は終戰後一年のようなけわしい状態ではなくして、アメリカその他の国から逸ろう、輸出しようという恰好にありますので、その計画が実行されて来たならば、やはり生産増強によつて積極的に物を殖やしつ国民の需要に応ずるという恰好からして、インフレを防止するということがこれは原則でなければならんと思う。従つて政府のとりました地方の財政的なインフレ防止の立場でも、ドツジ・ラインのほうから、或る程度安定した経済産業界に積極的に原材料を廻して生産増強することは、これは根本的に私は間違いないと思うのです。
  47. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 それは物と金の面についてだけ見ればその通りと思うのです。石橋蔵相当時と最近変つて来ていることは、安本長官の言われる通りだと思う。ただ生産されたものが、さつきのあれのように、どつちに使えるかが問題で、この点は安本では特に民需の確保、特需と輸出と、これを相当真劍にやつてもらわなければならんと思うのです。これは議論になりますからよしますが、もう一つ具体的にお尋ねしたいのは大豆の問題ですね、先ほどもたびたび出ておりましたが、これは通産省にお伺いしたほうがいいかも知れませんが、併し生活安定の面から、やはり大豆の問題は非常に重要だと思うのですが、若しかわかりましたらお答え願いたいのです。食糧庁から我々に配付されたり資料を見ましても、「中共貿易の停止に伴う輸入先の変更について」と題する資料について、大豆をアメリカ輸入に振替えたけれども楽観を許さない、こういうふうにあるのです。ところが最近聞くところによりますと、これは業者のほうに入つた電報ではないのですが、アメリカ政府アメリカの業者に対してライセンスによる雑穀類の優先輸出を勧告した、そうしてオーストリア、西ドイツ、インドにこれを優先輸出すべきであるということを勧告した。こういう電報が来ている。このうちに日本が入つていない。そうするとこの資料にもあります通りアメリカは大豆の余力が約六十万トンしかないので、若しこれがトルーマン、アトリー会談によるあの資源割当協定ですか、ああいうものがだんだん具体化して、そうしてその結果としてこういうようなことが出て来たとしますと、非常にこれは重大な問題になると思うのです。そこでそういうことが事実であるかどうか。そうしてこの割当優先輸出のうちに日本が入つていないけれども、それは心配ないのであるかどうか、その点お伺いしたい。
  48. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) お話の点御尤もですが、私どももよく連絡して調べてありますが、これは心配ない、そうです。なぜかと言うと、大豆の点はそのお話にお挙げになりました関係輿には、大豆の問題は入つていないのです。それから日本に対するガリオアで送るという七万何千トンは、すでに買付を終つて日本に送り出す準備中であります。而してその他のコンマーシャル・ベースで買うものについては今度アメリカが自動許可制で買うことを許可してくれまして、現に買付を進めつありますので、大豆に関する問題については心配ないと思つております。
  49. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 最近の、闇と言いますか、思惑の問題です。相当これは我々の日常の生活を通して見ても、そういう傾向が顯著になつて来ていると思うのです。例えば石鹸なども問屋が卸さない。或いは味噌も、信州味噌を停止するとか、出荷しないとか、だんだんそういうふうなあれが顯著になつて来ておるように見えるのです。これに対して、これは物価庁としても相当真劍に考えなければならん問題で、このまままだ現在は大丈夫だ、まだ大丈夫だと言つているうちに、相当そういう点が激化する危險があるのではないかと思う。而も毎日、新聞にはもうインフレ必至のような、いろいろあれが出ておりますから、こうなれば今の経済機構として当然思惑が多くなるのはもう火を見るよりも明らかだと思うのです。これに対して何か相当徹底的な、事前に早く手を打つ必要があるのではないかと思うのですが、こういう点についてはどういうふうにお考えになりますか。
  50. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 御尤もな御質問でありますが、石鹸等にしましても、実はこれは相当分量があるのでして、かなり思惑があつた、殊に最近食用油脂の原料である大豆が入らなかつたということも一つの思惑でありまして、あなたのお話通り味噌醤油値上りもそうであります。これは今申しましたようにガリオアの買付が終つて七万トン余というものが積出し準備をしておりますし、これが来るとするならば安定しますし、石鹸等につきましては、大豆の関係じやなくて、例の鯨油の問題につきましては、相当量今捕鯨船が積んで帰つて来る。これを外国輸出するというような恰好がありましたが、それを差止めまして、むしろ油の将来の需要という面から考えまして、大事なものでありますから、これをとめる。こういう恰好になつております。そういうことから今度は恐らく落ち着いて来ると私は思うのです。ただそういう面だけの施策でなくて、かなり味噌醤油等につきましては、大豆が来ぬだろうというような立場から、思惑で売惜しみをしているというような面もある。これは消極的な面でありますが、こういう面を将来施策の参考にするために、今経済調査庁で如何なる形において思惑が行われ、売惜しみが行われ、どういうところへ保有されているかということを嚴重に調査いたしております。
  51. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 それからこれは具体的な問題なんですが、例えば最近呉工廠の拂下げの問題とか、或いは又八幡製鉄所に国防生産、デフエンス・オーダー・システムの注文が来たり、或いは日立製作所に約七千万トン、そういう注文が来たり、そういう生産方式というものが具体的に出て来ているのです。こういう生産方式が今日拡大するものかどうか。なぜ質問するかというと、これは日本で調整できない面が非常に出て来ると思う。資金の面についても資材の面について……、例えば仮に日立で二十億運転資金が要るとすれば、これを調達するのにいわゆる日銀の御厄介にならなければならない、こういうことになるとすればインフレの要因になつて来ると思う。これは極めて狭い範囲の部分的なものならばいいけれども、それがだんだんデフエンス・オーダー・システム、国防生産方式というものがだんだん拡大されて来ると、非常に重要な変化が来ると思うのです。資金面、資材面、それから日本産業構造の面にも影響が来ると思うが、それは心配する程度のものじやないのか、今後そういう形の経済になる可能性があるのかどうか。こういう点についてもお伺いしたい。
  52. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 八幡とか日立の問題は実は詳しく承知いたしておりません。その事実があるとすればその点についてのやり方には十分御心配のないように研究をいたしたいと思います。
  53. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 答えられない点が相当ありますので、そういう点についてもつと詳しく御質問したかつたのですが、私の質問は一応これで保留しておきまして、またの機会にいたします。
  54. 一松定吉

    ○一松定吉君 関連質問で、物価賃金或いは国民生活の問題を論ずるときに、物価が下つたりときにはおおむね問題にならないが、朝鮮事変を契機として物価がかなり上つた。或いは部分的には思惑のあつたものもあつただろうと思う。そうして一時は上つた物価もかなり又下りつつあるものもある。先ほど例に出ました石鹸のような問題も、昨年の今頃は果してどんな値段であつたかということが重大な問題になるのです。私は特に石鹸のほうに対して多少聞いてもおりますが、昨年のまだ公定価格のあつた時代と現在上つた相場がどの程度にあるか。去年石鹸業者が非常に混乱に陷つて、暴落を続けて行つて破産に瀕したものがたくさんある。特に物価の問題を論ずる場合には、朝鮮事変の二、三ヵ月を基準にしてものを論ずることは非常に間違いが起る。あの当時は日本経済は特にやかましかつた、ドツジ・ライン、池田ライン、超均衡予算というものが問題になつて、業者によつては殆んど破産に瀕したような業者がたくさんあるわけです。それが朝鮮事変のお蔭で生き戻つたり、或いは物価が元に回復してやや健全になつたものもある。ものによつてはかなり行き過ぎておるものもありましよう。私はそういう問題を論ずるに当つては、過去の一ヵ年乃至二ヵ年或いは今後の見通しという場合に、單に朝鮮事変の直前を基準にしてものを考えられることに対しては、私は深い一つの前提を以てものをお考え願いたいと思うのであります。その点に対して周東長官は如何にお考えになるか、その点だけを私は伺いたいのであります。
  55. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 国民生活の安定を期する上において、又企業における生産計画を立て進める上においても、価格の安定を考えるときに一、二ヵ月の短い期間における高低によつて一喜一憂するということについては私どももいけないと思います。常に全体、先を或る程度見通しつ、而も過去における一番高かつた時代、それから朝鮮事変の始まる直前、朝鮮事変の起つた以後を通じて眺めて施策をいたしておりますから、御了承を願いたいと思います。
  56. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) それでは暫らく休憩いたしまして、牛後は正二時から人事院総裁の出席を求めて会議を開きます。    午後零時十八分休憩    —————・—————    午後二時十七分開会
  57. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 休憩前に引続いて予算委員会を開きます。審議の順序は、給與問題を取上げることになつていましたが、人事院総裁はまだ出席がありません。今催促しておりますので、人事院総裁が来てから給與問題を取上げることにいたしまして、只今通産大塩並びに農林関係では農林政務次官が来ておられますので、先ず通産関係の質疑から始めることにいたします。御質疑のあるかたはどうぞ。  なお、お諮りしますが、予備審査のときに纎維関係の審査がまだ済んでおませんが、纎維局長も来ておりますから、初めに纎維に関する行政方針というものを聞くことにいたしましようか、どうしましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) それでは纎維局長から纎維に関する行政方針をちよつと説明をして頂きます。
  59. 近藤止文

    政府委員(近藤止文君) 纖維に関しまして通産省として今後とりたいと思つております方針、これを纖維の主な品目につきましての需給関係を御説明申上げまして、併せて将来の方針を申上げたいと存じます。  纎維につきましては、終戰後非常に一時生産が落ちておつたのでございますが、一昨年の後半期以降逐次急激に生産増加いたして参りまして、特に纖維は輸入原料に待つものが非常に多いのでございますが、その後原料輸入相当順調になつて参りまして、本年度におきましては、終戰後第一の生産を上げるものと予想されております。従いまして統制関係につきましても経戰後におきましては、殆んど全般の纖維につきまして相当嚴格な生産配給の統制を続けて参つたのでございますが、一昨年の六月以降逐次統制を解除いたしまして、現在は綿につきましての部分的な統制が残されておるだけでございまして、他の纖維につきましては全く統制のない自由な状態になつておるのでございます。  最初に、主な纖維の需給関係につきまして概略御説明を申上げます。  第一に纖維の中心をなしております綿でございますが、この綿の本年度の需給の予想につきまして概略御説明を申し上げまして、それからこれに伴いまして今後綿の統制の問題をどういうように持つて行くかということにつきまして、通産省の考えておりますところを御説明申上げます。綿は終戰後におきまして非常に欠乏いたしておつたのでございますが、一昨年から逐次アメリカ援助によりまして綿花の輸入増加いたして参りまして、昨年本年と相当大幅に原料輸入が増大いたしております。同時に紡績の設備につきましても、昨年四百万錘の枠が撤廃されまして、現在約四百五十万錘の錘数にまで増加いたしておりますが、設備的にも相当増産の可能な程度に達しておるわけであります。需給関係を概略申上げますと、原綿につきまして昨年の十二月末現在におきまして国内で手持いたしております在庫量は四十二万八千俵でございます。このうち三十一万二千俵という数字がアメリカの綿でございまして、そのほかにメキシコ、パキスタン、インド、そういつた地区の綿が入つております。この四十二万八千俵を以ちまして昨年の暮に本年に持ち越したわけでありますが、それでは本年どのくらいに綿花の輸入が予想されるかと申しますと、昨年のうちにすでに買付契約をいたしまして、そして本年に入りましてから入つて参りますもの、これがかなりの量に上つておりまして、米綿につきましては三月までに三十万二千俵、四月から六月の間に十八万三千俵の入荷が予定されておりまして、四十八万五千俵、パキスタンの綿が十四万七千俵、これは七月以降に多少かかりますが、七月中ぐらいに全部入荷完了の見込でございます。それからメキシコの綿が十六万五千俵、これも七月に三千俵持ち越されますが、七月中には入荷する見込でございます。そのほかにエジプト或いはインドのベンゴール、それからトルコ、ウガンダ、そういつた地区の綿花、それからブラジルの綿がございますが、これが十八万九千俵という数字になりまして、九十八万六千俵という数字が現有買付が済んでおりまして、一月以降に逐次入つて参るものでございます。そのほかに新たに入つて参ります数字が一月—三月で米綿につきましては十七万俵の割当がございましたが、そのほかに多少四月以降の割当を予想できますのと、それからもう一つ、すでに契約が完了いたしておるのでございますが、輸出許可書がまだ発行されませんので残つております分の十一万六千俵、こういうものが依然としてございますので、そういつた数字を合計いたしまして、それにこの八月にアメリカの新編が出廻るのでございますが、その新綿が本年中に日本に到着し得るもり、これを最低限度二十二万俵と見込みますと、百九十六万四千俵という数字が出て参るのでございます。この百九十六万四千俵という数字は、只今までの既契約の分と、もう一つアメリカの新綿が一体どのくらい来るかという見込の分が入つておるのでございますが、昨年のアメリカの新綿が昨年中に入りました数字は四十四万俵でございまして、この計算では二十二万俵つまり半数を見込んでおりますので、大体百九十六万四千俵という年間の数字はほぼ確実なものと見てよろしいと考えるのでございます。この場合に国内の綿製品の需給関係がどうなるかという問題でございますが、これは輸出にどれだけのものを充てるかということが第一の要件でございます。現在相当輸出契約が進捗いたしておりまして、昨年以上に今年は綿製品の輸出が伸びるものと考えられますが、それを一応綿布が十四億ヤール程度出るという計算にいたしまして、百五万七千俵というものが輸出に向けられるべき綿花の量というものに一応想定いたしますと、その残りといたしまして六十三万俵の綿花が国内向けのものとして充てられまして、そしてなお二十一万七千俵の持ち越しを以ちまして翌年に繰越されるということになるのであります。この六十三万俵という数字は大体平均いたしまして月に五万二、三千俵の数字になるのでございますが、一月二月が比較的生産の上昇が遅れておりまして、三月から四月以降にかけまして急速に増加することになりますので、四月以降におきましては大体毎月国内向けといたしまして五万五千梱ぐらいの数字を予定することができるのでございます。こういうことで、綿につきましての原料の手当は極めて順調に進捗いたしておりまして、なお同時に、この輸送の問題でございますが、綿或いは羊毛につきましてもそうでございますが、これは鉄鉱石、石炭等の輸送と違いまして、非常に値段の高い品物をきまつたベールによりまして輸送するということから、船を獲得することが比較的容易でありまして、この一月二月に入荷いたしました綿花も、毎月二十万俵を下らない数字になつておりますので、輸送の問題でこれらのものが入荷できないということはないと考えるのでございますが、将来相場の変動等が……アメリカの新綿がどの程度できるかということによりまして、今年の下半期におきましての綿花の価格の変動が相当あると思われます。その場合にすでに約了いたしましたものが無事に来るかどうかということが唯一の問題でございますが、只今見通しではこの程度の数字はほぼ確実に入つて来るのじやないかというように考えておるのでございます。そこでこういつた見通しの下に、綿につきまして今後統制の問題がどういうふうに持つて行かれるかという点でございますが、現在綿につきましては輸出向は全く自由になつておるのでございますが、国内向のものにつきまして綿糸につきましての配給統制と綿布の一部分、つまり綿布生産資材に充てられますものにつきまして配給統制が行われておるのでございます。一般消費者を対象といたします衣料切符制度或いはその小売までの段階に持つて参ります製造、卸、小売という段階規制、こういうものは現在停止になつておりまして、昨年の四月以降約一年間眠つておる形になつておるのでございますが、只今申上げましたような綿の需給関係から申しますと、この統制の問題につきましても、もう少し簡素と申しますか、場合によりましては相当大幅に統制を排除して行けるじやないかという見通しがあるのでございますが、この点は只今申上げましたような生産計画で参りますと、三月四月以降に増産されますので、そういつた増産されます時期を対象にいたしまして統制の方式の変更の問題を検討いたしておるわけでありまして、只今経済安定本部のほうにおきまして案を練つておりますが、最後的にどうするというところまで決定をしておりません。  なお、綿の価格の問題でございますが、これは国内向の綿製品の価格につきましては、国内向に充てられます綿の原料は従来全部政府の手持の綿でございまして、いろいろ買付けの値段はまちまちでございますが拂下をいたしますときにはこれを一般のプール価格にいたしまして出しておつたわけであります。従いましてその拂下価格を基準にいたしまして、原価計算式の積上げのマル公を設定いたしておるのでございますが、これが実は三月の末になりますと、政府の手持の綿花が全然なくなりまして、それ以降におきましては民間の業者が買付けました綿花を以ちまして国内用の綿を確保するということになるのでございます。この場合におきましてそれぞれの業者の買付けました原綿価格は非常にまちまちでございまして、四十セント程度のものもございますし、高いのは七十セントを超えるようなものもあるわけでございます。原価計算的なことをきめて参りますことは非常に困難でございます。然らばこれをマル公を外すかどうかという問題でございますが、この点は綿の国内の需給関係がやはり相当程度緩和されまして余り極端な窮屈さがないということになりませんと、非常に問題でございます。現在物価庁におきましていろいろ作業をいたしておりますが、結局従来やつておりますような原価計算式な算定はむずかしいことになると思いますので、結綿といたしましては綿製品の輸出価格というものが基準になると思うのでございますが、それを具体的にどういう線で引き、どういう形の価格をきめるかということにつきましては、目下物価庁で案をこしらえております。最後的の結論には達しておりませんが、今月の半ば頃にはその点につきましての方式がきまることになると存じております。いずれにいたしましても、若し今年のアメリカの新綿の生産が予想されますように千六百万俵というようなことになりまして、そうして国内におきましての紡績の生産増加計画通りに参りますならば、この秋におきましては大体綿糸の生産が月に十六万梱ぐらいに上る予定でございまして、そうなりますと、輸出相当量出しましても、国内にかなり潤沢な供給、戰前の約六割程度の供給が確保されるという形になると存ずるわけであります。  それから次に羊毛の関係につきまして、概略御説明を申上げますと、羊毛は御承知のように昨年の一月に全部統制を撤廃いたしました。現在残つておりますのは、アルゼンチンとオーストラリアから買付けます場合の為替資金の割当が残つておるだけであります。あと生産、配給価格につきまして一切統制がございません。羊毛の本年の計画を申上げますと、昨年の、二十五年の末におきまして持越しました羊毛の数量は六万八千俵でございます。この六万八千俵に、今後どれだけのものが入つて参るかという数字でございますが、これは昨年中に外貨の割当を受けまして買付けをいたしたもので、一月以降に入つて参ります予想のものが十四万六千九百三十俵、それから一—三月の為替によりまして買付けをいたしておりますのが十九万八千四百八十俵、四—六月で一応確定いたしました数学が一万五千俵で、合計いたしますと三十六万四百十俵という数字になるのでございます。これに羊毛が御承知のように八月からオーストラリアにおきましてオークシヨンが始まりまして、新らしい羊毛の売出しがあるわけでありますが、それを内輪に見まして、年内に十万俵買付けると計算いたしますと、四十六万俵という数字が出て参るわけであります。大体本年度の羊毛の消費の予定は三万二千五百俵を毎月使つて行くという計算でございますので、この四十六万俵という数字がございますと、大体或る程度特殊の需要が出て参りましても年末におきまして二月分の持越しの手持ができるという計算になるのでございまして、これは昨年一ヵ年間に使いました羊毛の数字が三十一万五千俵という数字になつておりますが、これに比べますと大体三割五分程度の、数子としては増産の割合になる見込であります。この原毛の買付けにつきましても現在大体もう買付けが済んでおりまして、あとはオーストラリアからこちらに運んで参ります輸送の問題が一月頃には相当に困難であつたのでございますが、その後非常に好転いたしまして、二月には六が俵の輸入を一ヵ月間にするというようなところになつて参りました。現在のところでは輸送の困難ということは殆んどないのでございます。この計画で参りまして一体羊毛がどのくらいできるかという数字でございますけれども、これはいろいろ混紡の割合なり、或いは梳毛と紡毛の工合によりましても数字が違うのでございますが、概略申上げまして一億ポンドの生産が本年度見込み得るのでございます。この数字は本年の数字と比べて見ますと、約三割の増加ということになるのでございまして、大体増加いたします割合は二割五分の比率で現在は殖えるのでございます。その混紛の割合が昨年よりは今年が一層、毛が余計使われるという見込でございますので、大体数字としての増加は三割ということでございます。その程度増加見込んでおるわけであります。この羊毛の点につきまして、将来統制の問題なり、或いはその他特別の需要の問題なりはどういうことになるかという点でございますが、この程度買付確保してございますと、大体非常に不確実な新毛の買付の数字を除きましても、本年の十一月末まで工場におきましては操業するに差支えないことになるのでございまして、新毛は不確実とは申せ、幾らかの数字は必ず入るのでございますので、そういつた点からは先ず生産の落ちる虞れもございませんし、それから又いわゆる特需の関係或いは警察予備隊等の需要でございますが、これは相当多量に見込みましても大体二万俵から三万俵程度でございますので、そういうものを優先確保する措置を場合によりましてはとらなければならんと思いますけれども、大体におきましてそれらの需要も現在におきまして割合に順調に調弁されておりますので、特に羊毛の問題につきまして今後統制を強化するというような問題は起らないと思うのであります。ただ問題は、大変に濠州の原毛の価格値上りいたしておりまして、昨年の一月に比べますと現在二倍半から、品種によりましては三倍くらいの値上りになつているのでありまして、この点でやはり国内における毛製品の価格が最近も相当著しく騰貴いたしているのでございます。ただ現在の国内価格は大体これらの値上り相当程度すでに織込み済でございまして、一般国民の購買力の問題等考え合せますと、もう今後におきましてはそう大きな値上りというものは期待できませんし、又大体現在の市場価格によりまして、値上りした原毛の価格相当部分、大体八割程度は織込み済であるというように考えられるわけでございます。  それから次に、化学纖維関係につままして概略御説明を申上げます。人絹スフの関係につきましては終戰当時は生産が非常に少かつたのでございまして、僅かに二千五、六百万ポンドの生産が年間にあつた程度でございます。昨年におきましてはその生産が二億五千二百万ポンドに上つております。本年におきましてはこの数字が大体三億九千万ポンドの線まで上り得ると予想いたしているのでありまして、そうなりますと昨年の供給に比べまして大体五割増の数字になるのでございます。この化学纖維を生産いたします場合の従来の大きな隘路は、人絹パルプが非常に輸入しにくいという点もあつたのでございますが、これは現在におきましては国産人絹パルプが相当急速に増産いたしまして、本年は人絹パルプの需要量を大体二十万五千トンと見ているのでございますが、このうち十四万五千トン程度は国産の人絹パルプで賄いまして、輸入のほうを六万トンくらいのところで行こうという計画に一応なつているのであります。これは実は輸入の人絹パルプの手当につきましては長期の為替資金をもらつて、長い期間、一年間を通じまして改革をするということに現在なつているのでございますが、この制度が認められましたのが非常に遅くなりまして結局買付をする時期を失しまして、現在カナダ、アメリカ、ノルウエー、スエーデン、こういつた人絹パルプの生産国におきまして売り意欲が非常に欠乏いたしておりまして、なかなか入手しにくい。最近に至りまして又幾らかずつ又新らしい約定があるのでございますが、予想いたしましたような八万五千トンの輸入というようなことはかなり困難があると思われるのでありまして、現在一応六万トン以内という程度で線を引きまして、それ以外の分は国産の人絹パルプで賄つて行きたい、かように存じているのであります。この人絹スフの関係が大体五割増産いたしますが、最近におきましては同時に輸出がかなり旺盛になつて参りまして、従来は生産のうちの一割乃至一割五分が輸出に向いておつたのでございますが、極く最近の数字で申しますと約三割から四割近くの輸出が毎月あるようになつているのであります。これは一つはイタリーの人絹の生産余り伸びませんので、新らしく輸出する余力がなくなつて来ているという点もございまして、イタリーの代りに日本の人絹糸を今後は買付けるというようなこと、そういつた現象もございまして殖えておるのでございますが、全般的に見まして人絹織物の輸出は非常に順調に伸びておりまして、これは今後におきましても相当大幅に伸びて行くものと考えられるのであります。従つて輸出のほうに或る程度出て参りますので、国内に供給されます数量は人絹、スフ合計いたしまして昨年の大体三割増という程度になるかと考えております。この人絹、スフの関係につきましては毛と同じように、現在統制は全くございません。特に最近の増産の趨勢が顯著でございますので、今後統制と申しますか、調整と申しますか、そういつた処置をする必要は全然ないように考えておるのであります。ただ最近輸出事情が非常に急激に好転いたしまして、売手市場ということになりまして輸出価格も急速に上つておりますので、国内価格もそれにつれて上つておるような状態でございますが、併し国内におきましては最終の、末端におきます需要余り急速には伸びておりません。現在人絹の平織なり、スフのモスリンの例をとつて見ましても、現在きめられておりますいわゆる輸出をベースにいたしました基準価格から計算いたしますと、織物の工賃はマル公で認められておりますものよりは、多少下廻るというような状態でございまして、これ以上そう大きな値上りをするということは将来においては余りないのじやないかというように考えられるわけでございます。  それから次に、麻の関係を極く簡單に申上げます。麻は御承知のように非常に種類がたくさんございまして、而も輸入いたします先がまちまちでございますので、非常に円滑に行つております面と、余り円滑に参らない面とあるのでございます。亜麻につきまして申上げますと、これは国産が相当ございますわけでございまして、その国産の足りませんところを輸入によりまして賄つておるのでございますが、これは現在ではベルギーから亜麻の買付をいたしております。これはすでに相当多量の契約をいたしまして、現在その契約で逐次輸入されつあるのでございますが、結局亜麻の年間におきましての生産でございますが、これは大体千三百六十五万ポンドの生産を今年は行いたいと、かように存じておるわけでございます。この亜麻の生産数量は昨年の生産数量と大体同じでございます。この亜麻につきましては特に需要面として新らしいものはございません。昨年統制を全然撤廃したのでございますが、需給関係もこれは大体均衡を保ちまして、余り極端な値上りもございません。むしろ値下りをしたような状況でございますので、本年も大体同じような生産をいたしたい、かように存じております。国産の足りませんところはベルギーから手当をいたしております。これは大体契約は済みまして、あとは残りを……契約を履行してもらうという段階に来ておるのであります。  それから次に苧麻でございますが、これは実は非常に計画も立てにくいものでございまして、これは主に支那から原料は入つて参るのでございますが、御承知のように、支那から直接来るという例は現在ではございません。また香港から現在でも相当申込もございますし、契約がすでにできておりまして、その履行されつあるものもあるわけでありますが、この点が非常に不確定でございまして、苧麻につきましての需給計画を立てますことは余り確実性がないのでございますが、私どもといたしましては大体昨年と同じように四百四十万ポンド程度生産を本年も見込んでおるわけであります。  それから次にジュートであります。これはパキスタンから入つて参りますのが大体主でございますが、これは非常に順調に入荷いたしまして、特に朝鮮の特需の関係がございまするので、司令部関係でも非常な援助をしてもらいましたので、相当多量の輸入がございます。大体生産は五千四百万ポンドの生産の予定でございまして、これは昨年に比べますと三割程度の増ということに相成りますが、同時に輸出及び特需の関係増加いたしておりますので、国内関係につきましては、昨年と大体同じような需給関係になつております。  それから次にマニラ麻の関係でございますが、これは現在マニラから麻を買付けますことが非常に困難でございまして、日本とフイリピンの貿易協定によりまして、或る程度数量は入ることになつておるのであります。現在では織物が非常に欠乏いたしまして、非常に困難をいたしております。ただ幸い従来政府買付けをいたしましたサイザルが相当量残つておりまして、これをマニラ麻の代りに代用できますので、これを使つて参りますと、本年度生産といたしましては、大体昨年とほぼ同様の生産を上げ得ることになつておるのでございます。ただ問題は、今後相当マニラからこの麻を買付けをいたしませんと、来年度の需給関係にかなり影響して来るのではないかと、かように思われるわけでございます。この麻の関係につきましては毛或いは化纖よりも一足先に一昨年の秋に統制を撤廃いたしまして、爾来統制を行わずに経過いたしておるのでございますが、只今考えております程度生産計画が途行できますれば、特に統制その他の手段をとる必要はないというように考えておるのでございます。なお、こういつた状況でございますので、現在通産省におきまして一番問題になつておりますのは、綿の今後の増乃至は需給の関係及びこれに伴いましての統制の問題をどういうように解決するかということでございますが、この点はまだ経済安定本部物価庁関係等と協議中でございまして、生産の上りますのは三月末、四月ということになりますので、まだ今日のところでは決定するに至つておりません。いずれ一、二ヵ月のうちにははつきりしたことがきまるものと考えております。  大変簡單でございますが、纖維の需給関係と統制とにつきましての見通しの問題について御説明いたしました。
  60. 内村清次

    内村清次君 通産大臣にちよつとお伺いします。中共の朝鮮介入後におきまして、トルーマン声明によつて経済的な生産と申しますか、そういうような意思表示がはつきりなされておりまするが、これは当事国といたしましては、互いに国内的にいろいろ資産の凍結、或いは又輸出の禁止、こういうような問題を取上げておるようでありまするが、我が国の貿易関係におきまして、又特に生産財が不足いたしておりまする我が国経済統制としては、やはりただ特定の国にのみこの貿易を依存して、そうして今後の日本経済を発展させて行くというようなことにつきましては、これは相当考えなくちやならない、こういう段階にありまするが、先ず第一にこういう中共対アメリカ、の問題の影響というものが、直接日本に対しまして、どういうような影響をこうむらしておるかどうか。具体的に申しますると、いわゆるオープン・アカウント地域の問題にいたしましても、香港を通じての貿易問題、こういう問題につきまして直接どういうような影響を及ぼしておるか、この点につきまして、御説明をお願いします。
  61. 横尾龍

    国務大臣(横尾龍君) 朝鮮動乱の結果、只今において国際情勢の影響相当にあるようであります。御存じの通り我が国は特に原料輸入しなければならない、ものによつて輸入超過になつておるものもあると思うのでありますが、こういうものに対して政府としては極力先方の了解を得て立てて行きたい。ニッケル、綿、これは非常に日本に不足しております。こういうものに対しても極力アメリカの了解を得たいということに努めておる次第であります。中共貿易に対しましては、これは私は成るたけ早くこういう動乱がやみまして、そうして正常なる貿易ができ得るような状態が来ることを一日も早く望むものでございます。併しながら現在私らがとつておりまする許可品目のようなものは、これは成るたけ国連協力のために止むを得ざるものであると思います。従つて中共から我が国に入れなければならん、殊に粘結炭のごときは、近くにある中共を頼ることが物価の上におきましても適当でありますけれども、先刻申上げまするような状態でありますので、こちらからの輸出も制限しております。従つて向うもそれに対しては或る程度の制限を加えることは当然かと思います。併しこれはこの際止むを得ない状況ではないかと思うのでありまして、それに対して各地から、粘結炭のごときはアメリカから入れることを要望して、現在の需要確保することに努力しているのでございます。その他の物品に対しましても、只今纖維局長が申しましたようなものも、或る程度香港を通じて入つて来るものもあり得るのでございますが、この輸入の面を極力いろいろの手を通じて確保して行きまして、そうして国内需要のみならず、外国貿易に要るところの品目を輸入をいたしまして、そうして現在の経済確保して行く、こういう考えであります。勿論先刻来申しますように、入つて来ることが確実であるかどうかということに対しては、船腹等に対して不安がありまするが、この際としてはいろいろの状況考え、又船腹の増強を図るということにしてやつて行きたいと思います。只今のところにおきましては、現在に至つて困難な状態にあるということは、お話通りでありますので、これを打開すべく努力して行きたいと思います。
  62. 内村清次

    内村清次君 只今中共貿易に対しまする通産大臣のお考え方につきましては、一応了解いたしますが、やはり近くに原材料を求める、而も又国際価が騰貴いたしておりまする今日において、影響を受けておりますのは日本だけであります。だからして特にこの影響を少くいたすためにも、やはりそういうような考え方を早く懇請をされて、而も打開さるるように行かれたほうが、これはあなたがたの出しておられまする自立経済計画にも合致する問題ではなかろうかと思うのでありまするが、ただここに今回の予算面に現われておりまする価格調整費であります。これも開らん炭や燐鉱石や、それから又銑鉄の価格調整費は四月から外してしまうのだ、そうすると、もうあとのほうはただ食糧関係だけであつて、あとはもう全部調整はなさないことになつてしまう。而も父御方針といたしましては、自由経済主義でありますからして、やはり物価の騰貴という問題が非常に或いは急に、或いは又はこれが或る品物につきましては非常に又緩慢になる。こういうようなことで、これはもう生活様式に対しましても非常に変動が来ておる。そのために国民は非常に悩んでおるわけですが、やはりこの御方針を押し通されて行くかどうか、同時に又急激な物価高に対しまして、こういうような補給金を出さないという方針をやはり堅持して行かれるかどうかということにつきましてのお考えを承わりたいと思います。
  63. 横尾龍

    国務大臣(横尾龍君) 補給金の問題であります。これは銑鉄に対しましては相当の問題があると思いますけれども、それはこの際各企業の立場において、そうして自由に能率を上げるなり、或いはいろいろの方式を考えるなりしてもらつてそうして行くことが、補助をなくして行つたほうが、却つて励みになつてそうして行きはせんかと考えるのでございます。燐鉱石につきましては、これはいろいろと困難なる面もありますので、折角今考究中でありますので、これは農林大臣、安本長官、大蔵大臣などとも相談いたしまして、その方法を討究すべく今やりつつあるのであります。補給金をやめるか、つけるかということは、今現在として申上げかねる状態にあるのであります。さよう御承知を願います。
  64. 内村清次

    内村清次君 これは本院でも決議になりました問題で、これは先刻安本長官に対しましても質問した問題です、が、いわゆる船舶の増強問題、これにつきまして、聞くところによりますると、運輸省案というもの、それからあなたのほうの案というものがなかなか対立しておるんだということも聞いておつたわけでありまするが、一旦決議をされました問題であるし、而も又これはちよつと緊急を要するところの問題でありまするが、今どういうような推移になつておるか。いわゆる見返資金の貸付額の獲得がどれくらいなされておる、或いは又船舶の総トン数が、どれくらいのトン数をもらうことができたんだというようなことがわかつておりまするならば説明を聞きたいと思います。
  65. 横尾龍

    国務大臣(横尾龍君) 船舶のデータのことについては、私は現在持合わせておりません。併し運輸省案と通産省案と違うということはないのでございます。ただ如何にして買、用船の資金を作るかということが非常な困難な問題でありまするが、運輸省としては、貿易特別会計のほうに多少の余裕があるだろうから、これを廻したらというような意見を出したことは知つております。但しこれに対してはまだなかなか向うから許可を得られるか、得られんかもわかりません。大蔵大臣はそれがなくてもほかの方法で金を作るということを言つておられるので、それに依存するほかないと考えます。新造船その他につきましては、これは私の所管ではないのでありまするが、丁度今日を締切日として、第七次の船舶の二十万トンの申込を受けておられるようであります。二十六年度においては四十万トンを作りたいという考えであります。差当り新造は急激にできないので、買、用船をしたいということは現在の情勢では望ましいことであります。ただ本当の海運政策から申しますれば、船を輸入するということは避くべきことかと思いますけれども、それは情勢にもよりますので、私は現在は是非或る程度のものは輸入して、或いはこれを用船して、今日の輸送の困難を打開するようなことを希望するものでありまするので、この方面是非運輸大臣にもお願いして、促進をすることにしておるのであります。詳しいデータその他は今持つておりません。今持つておりますのは、古いので申上げても却つて混乱を来すと思います。大体六次の、六次と申しますと、二十五年度であります。二十五年度の第二次と申しておりますが、初め何しまして、その次に追加したのがあります。それが漸く、まだ見返資金が決定しない、第二次のはしないかのように記憶しております。まだはつきりいたしませんが、聞いております。これらも決定いたしますと、三月中には起工することと思います。起工いたしますというと、遅くとも大きい船は来年の三月になりますれば、小型船はそうまでかからんでできると思いますが、年末には相当量の船腹ができるものと思います。御了承願います。
  66. 内村清次

    内村清次君 先ほど纖維関係につきまして政府委員の御説明がありましたのですが、最近の物価騰貴の品目の中におきましてもやはり纖維関係の騰貴が、これは今生産減という問題よりも、むしろ貿易関係や或いは特に消費者大衆に影響いたしておりますことは、これは何と申しましても思惑でありますとか、隠退蔵という問題が各所に起つておる問題であります。そこでこれは通産大臣といたしまして、一日も早く解消するようにしないと、国民生活の安定はこの面から非常に混乱性を加えて参るわけでありまするが、特にこの纖維類の騰貴率が今各生活の要素の中におきまして、被服費がこれは昭和二十五年の五月を九六・三といたしまして、十月には一九〇・七に跳ね上つておるのですね。ほかの光熱費、住居費、雑費というような面と比べましてこの面が一番上つておる。これがどうしても只今のような事態が各所に起つておるのです。これに対しましてやはり先ほどの御答弁によりますると、いわゆる政府計画しておるところの、生産高が、これを即ち上ぐることによつて、現在統制もなしにそのままの状態におつて、自由政策によつてこれが解消するのだというような御答弁でありまするが、併しこれは生産高が計画されたときにおいて、政府が言う自由経済ということになつて参るのでありましようが、現在の部面をどうやつて解消して行くか、それでこの面につきまして、これは閣僚中におきましても通産大臣は党派的な問題もないことでありますし、こういうあなたの所管するところの纖維類のマル公統制、即ち物調法の問題につきまして、品目を限定をしてでもよいが、是非価格の安定を期するという方針をとるように閣内において進言されるところの意思があるかどうか、どういう方法をとつてこの事態を解消して行かれるか、その点につきまして御説明をお願いします。
  67. 横尾龍

    国務大臣(横尾龍君) 生活必需品の騰貴ということに対しまして、非常にこれは考えなければならないことだと思います。政府といたしましてもこれをできるだけ防止することが、国民生活に資するものかと思います。お話通り綿類のごときものに至つても、買溜め或いは隠退というようなものが往往にしてあり得るのであります。昨年もそういうことがあつたので、物価統制令によつて処罰を断行したこともあるのでございます。政府といたしましては一面そういう不正な、或いは非常なアブノーマルの騰貴をいたしますならば、私は昨年やりましたと同様な手段を用いるよりほかないと、こう考えるのであります。併しただそれをやるだけではいけないので、先刻申上げたように国民の需要に対する生産を増して、そうして一面ではそれに報いて、一面では取締のできるものは取締る、こういうふうにしたいと思います。幸いに綿花の輸入相当になりましたので、折角国内需要として約五万俵か五万五千俵を是非国内需要に振向けてもらうように関係当局と交渉をしておりますので、それができまして、そうして生産もおのずから即応しますと、前よりもよくなりはしないかと思います。只今お話のように、或るところにおいてはスフの糸も隠されておるというような事情もありますので、こういうふうな事情につきましてはよく調査をいたしまして、然るべき措置を講じたいと思います。これは常に閣僚の間でもこういう話はありつつあるのでありますが、政府として等閑に附しておることではないのでありまするから、さように御了承をお願いいたしたいと思います。
  68. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) ちよつとお諮りいたしますが、各省別の質疑応答は、プログラムに出ているのは、今日で打切りたいと思つております。残つておりますのは給與関係と農林関係なのですが、人事院総裁はまだ参つておられませんので、農林関係の残つております分について説明を聽取いたしますか。
  69. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 今の問題でちよつと……。
  70. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) それではそれが済んでから伺うことにいたします。
  71. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 今、中共貿易の問題に関連してお話があつたのですが、大臣のお答えによると、現在のような状態においては止むを得なかつたのだというようなお話ですが、止むを得ないかどうか、止むを得ないような異常な状態を作つたのはむしろ日本側じやないかという問題もあると思うのですが、その問題をお尋ねする前に、一体中共に対する輸出をやめてしまつた、或いは制限してしまつた。そのために反対に向うからの輸入物資、例えば粘結炭にしても或いは鉄鉱石にしても、或いは大豆にしても、そういうものが入らなくなつた。そのために中国市場から期待すべきものをアメリカなりカナダなり、その他の市場に振向けたという事務当局の御説明つたのですが、そのために一体どれくらいの損失を日本経済は受けたことになるのか、今後受けることになるのか、それでその程度の損失ならば、この際止むを得ないという政治的な判断を、どういうことを根拠にしてお下しになつたのか、その点を先ずお聞きしたいのであります。
  72. 横尾龍

    国務大臣(横尾龍君) 数字的に金額がどれだけになるかということに対しましては、私ちよつと調査をしておりませんのであれでありますが、併しながらすべてをやめておるのではないのであります。或る一定のものをやめておりますので、そのほかの面に対しての向うからの物は多少は入りつつあるのであります。現に粘結炭のごときも全く入らんのではないのであります。幾らかは入つておるのであります。併しながら大部分のものは入つてないということは事実でありますので、これに対して現在遠方から買いますために価格的に損失をしておることは事実であります。併しながら政府といたしましては、これをすることが国連協力の一端であり、又そのことがやがては早くこういう国際情勢がやまる手段にもなりはせんかと私は考えるのであります。それで暫時この状態においては止むを得ない段階だと思うのであります。さよう御承知願います。
  73. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 併しそれが政治的に見て止むを得ないかどうかという問題は、少くとも輸入物資、粘結炭なり或いは鉄鉱石なり大豆等々をそういう措置をとらなかつたら、中国からこれだけは期待されるにかかわらず、止むなく政治的にそういう措置をとつたために他の市場に振向けて、それがこれこれの経済的な損失をもたらす、併しそういう経済的な損失があるにかかわらず、政治的に見てこれは止むを得ないのだという判断は、もう少し数字的に科学的になさるべき問題であると思うのですが、そういうことをしないで、ただ單に止むを得ないからこうしたのだということは余りに自信がなさ過ぎるし、自主性がなさ過ぎるのじやないか。更に国連協力の建前から、これは必要不可避であるとおつしやるのであるが、それは特定国との関連においては或いはそういうことも考えられるかも知れないけれども、もつと国連という問題を、例えばイギリスだとかその他の国との関連とも考えて見れば、御承知通りイギリスその他は国連の重要なメンバーであるにかかわらず、中国に対する経済制裁は、アメリカで主張されているような中国に対する経済制裁は、殆んど意味をなさないのだということで、今でも中国における市場の開拓の問題に相当積極的に努力をしていると思うのです。これは対外貿易を非常に重要な問題としているイギリスにおいては死活の問題でありましようし、その点から言うと、地理的な状態その他から言うと、イギリスと同じ地位に置かれる、或いは緊切の度から、重要度から言えば、イギリスよりも更に中国市場は重要性を置かなければならん。アメリカにとつては、成るほど海外市場はそれほど重要な問題でもないだろうし、わけても中国の市場の問題はさして大きくないであろうから、政治的な配慮から或いはそういうことを強行することも、それほどさして弊害にはならないかも知れないけれども日本から見れば、これは致命的な問題であると思うのです。その場合にそういう方法に同調するかどうかということは、もう少し日本の死命を制する問題として、独自的に考慮しなければならない問題じやないかと思うのですが、その努力が何ら拂われていないのじやないか。今の御答弁によれば、残念ながらその努力が少しもなされていないのじやないか。検討すらもおやりになつていないのじやないかと思うのです。私が聞くところによると、西ドイツあたりでは、同じ占領治下にありながら、嚴密な意味での戰略物資ば成るほど中国に出すことを遠慮しているかも知れませんけれども、占領国の要請なり勧告があつたにかかわらず、経済建直しのためには中国市場にレールその他を売ることも又止むを得ないのだと言うべきだと、そしてこのことは直接に中国の戰力の問題と関連する問題でないとして、日本からの輸出禁止に前後して、西ドイツからのレールの売込みその他が非常に発展していると聞いているのですが、西ドイツにおいてずらそういう態度をとつているときに、もつと緊切な、もつと重要性の多い日本において、ただ單に漠然ど国連協力という名の下にそういうことをやつておられるという点は、我々の理解しかねる点なんですが、それらの点をどう検討されたのか。どうお考えになつているのか。更に明確な御答弁を願いたいと思います。
  74. 横尾龍

    国務大臣(横尾龍君) 現在中共に対しては、戰略物資を要許可品目として考えて処理しているわけでございます。そのことがいいか惡いかということが、あなたと私の考えが多少違うので、これは私は現在の情勢においては、さようなものは多少の困難を来すといえども、いたしかたないと、こう考えております。
  75. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 その最後の結論において意見が違うことは、或いは止むを得ないかも知れませんが、なぜに、どういう計数的な根拠から、どういうそれに対する打開策があるからこれも止むを得ないのだということを具体的に検討されて、具体的に考究された上でそういう結論が出なければ、我々は納得しかねる。ただ意見が違うから止むを得ないのだということでは納得をしかねるのでありますが、我々が、国民が納得の行くようにその点を一つ説明を願いたい。
  76. 横尾龍

    国務大臣(横尾龍君) 現在の国際情勢においては、今私がやつておることが一番適当なりと、とう考えるのであります。その点先ほどから申上げますように多少の困難はあつても、併し全く貿易をとめておるのじやなしに、或る物は許可しておるのであります。ただ戰略物資に対してのみ禁止なり制限しておりますので、私は現在の段階をそのまま継続することが、我が国としては最もよいことだと考えるのであります。
  77. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 嚴密な意味における戰略物資についてはお説の通りであると思うのですが、今禁止なり或いは制限をしておるのは、そういう意味での、嚴密な意味における戰略物資に限らないで、もつと広く制限されておると思う。なぜそういうふうに広く解釈をされなければならないのかどうか、その点は日本経済自立という問題を独自にお考えになるのならば、もう少しその点を重要にお考えになる必要があるのじやないか、ただ諸般の世界的な、国際的な情勢から、それがよいと思うとおつしやるけれども、諸般の経済情勢、国際情勢というのは、何を具体的に意味されるのか、私は簡單ではあるが、イギリスにおける、西ドイツにおける状態を例を挙げて御説明をして、こういう諸国においてはこういう態度をとつておるのだが、それにもかかわらずもつとその問題を重要に考えなければならない。日本がそれをもあえて顧みずにこういうことをやらなければならないゆえんのもりがどここあるのか、国際情勢等々から考えて、もう少しその点をはつきりと御説明にならなければ、我々は納得が行かない。
  78. 横尾龍

    国務大臣(横尾龍君) これはいつまであなたと討論いたしましても、意見の相違でありますので、これは仕方がないと思います。私は今やつておりますことは、当然今やることが適当であると、こう考えるのでありますから、あなたは適当でないとおつしやる、その点の意見の相違はいたしかたないのでありますから、さよう御了承を願いたいと思います。
  79. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 あなたの御見解と私の考え方と、どちらが正当であるかということは、国民諸君によつて判断してもらわなければならないと思うのですが、ただ結論だけを、自分はこう考えて、お前と意見が違うのだということを言われるだけでは、私も不敏にして判断ができないし、まして国民諸君は、どつちに軍配を挙げたらよいかという判断は全然できないと思うのですが、少くとも民主政治であるならば、一応その理由、その経過をば詳しく御説明されて、かるが故に自分はお前の意見とは反対なんだということを説明されなければ、どちらが正しいという判断はできないのじやないかと思うのですが、その点については問答無用とお考えになるのかどうか。
  80. 横尾龍

    国務大臣(横尾龍君) 今のお話は、国民によつて批判ざれると思います鼻が、あなたのおつしやることも、国民は納得するものがあるだろうし、私の言うことも納得するものがあろうと思います。で先般申上げましたまうに現在の情勢を考えて、それが一番是なりと言ずるものであります。
  81. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 現在の情勢を考えてとか、或いは国際関係考えてとかということをおつしやるだけであつて、その考えておられる国際情勢なるものは、或いは現在の実情なるものはどういうふうにお考えになつておるかということを何ら御説明にならない。それを説明されなければ、国民はどつちがどうと判断ができないのじやないか、その点をしつこくお聞きしておるわけでずが、それを御説明願いたい。
  82. 横尾龍

    国務大臣(横尾龍君) 今のお話は、私が申上げるより国民がよく御存じかと思います。
  83. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 二つばかりお伺いしたいのです。先ほどから通産大臣は、今後の物価高或いはインフレを抑えるために、生産をうんと増すことが大切だと言われておるのですが、それは勿論のことですが、それに関連しましてですね、生産の問題に関連しまして、最近いろいろな情勢の変化によつて、これまでの経済三ヵ年計画というのは、自立三ヵ年計画相当それに再検討を加えるような情勢が出て来ているのではないか、むしろ相当大規模な生産計画をやらなければならないような情勢になりつつあるのではないか、そういう情勢が出て来ているのではないかと、こう思われるのですが、この点についてどうお考えですか。
  84. 横尾龍

    国務大臣(横尾龍君) いろいろの物資について不足もし、国内情勢においても非常な不足をしているというので、現在のままで生産がそれにマッチするかどうかというお話かと思います。私は現在の段階においては、原料を豊富にさえ入れればまだまだ生産確保ができ得る余地ありというふうに考えております。併しながらあなたのおつしやるように刻々といろいろ変りますので、これに対応して生産の上におきまして改善、或いは又能率、技術面においての技術の向上等も図らなけりやならんということは、私は深く考えるのでございます。
  85. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 今の御説明はそれで結構ですが、私のお伺いしているのは、そういう問題と又別です。これまで通産大臣も御承知のように二十六年度予算は、日本経済自立計画を本にしまして、それに基いて、それを基礎にして組まれておるわけですが、これは午前中安本長官にも伺つたんですが、恐らく通産大臣もですね、この点については何らかこれを知つておられると思うのですが、二月十九日にマーカツト経済科学局長ですかと、周東さんと池田さんですね、会われて、そうしてこのいわゆる日米経済協力態勢ですか、そういうものの一環として、その緊急経済政策の立案がまあ必要になうたから、政府では今後どのくらい生産のキヤパシテイがあるのか、どの程度に今後いわゆる生産のトップレベルはどのくらいに見込んだらいいのか、そういうようなことについて指示を受けて、通産省としてもそういう作業をいろいろ始められていると、こういうことが新聞に伝えられているのです。それから新聞のことだからといつて、みんなまあ嘘かというふうに我々は受取らないで、相当具体的に計数も挙げて報道されておるのです。それを見ますと、これまでの自立経済三ヵ年計画を本にして考えたときと、よほど違つた産業構造なり或いは生産規模なりそういうものが現われておる。又貿易計画なんかでも随分違つて来るのではないか。そういう点についてですね、通産大臣としてこれまでの三ヵ年計画とよほど違つて来る情勢が出て来るのではないかと、こういうようにお考えかどうですか。
  86. 横尾龍

    国務大臣(横尾龍君) 只今の御質問は、新聞で私も見たのであります。私はまだ安本長官或いは大蔵大臣が、如何なる指示を受けておるかということは聞いていないのであります。甚だ迂閣でありまするけれども、ただ新聞によつてああいうものが現われたということだげは承知しております。甚だ迂闊なようなことでありますが、その程度しきや私にはわからないのであります。惡しからず御了承下さい。
  87. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 それでは、通産大臣は迂闊で御存じないと言われますから、これは新聞記事であるからでたらめと言えばそれまでかも知れませんが、新聞の伝えるところによりますと、永山官房長が非常に極秘にですな、そういう調査作業を始められておるというわけです。極秘でありますから、我々それを特に内容に立ち至つてお聞きすることも差控えますが、ただ問題はですね、二十六年度予算考える場合に、今までのような三ヵ年計画と違つた、非常な量的にも質的にも違つたそういう経済変化が来るということが、ほぼ大きな線としてわかつていて、それが国民に知らされず、又我々にも知らされないでこの予算を審議しておると、何回も言うように、現実と遊離した予算を審議しておるように思われますので、それで官房長に、官房長お見えになつておりますか、官房長はそういうことが必要になつて来たので、そういう作業をやつておられるのかどうか、伺いたい。
  88. 横尾龍

    国務大臣(横尾龍君) これも甚だ迂闊なことでございますが、官房長がそういう調査を何のためにやつておるかということは、まだ報告を受げておりませんので、お答えし得ないのであります。その点惡しからず御了承願います。
  89. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 それでは後刻で結構でございますから、その点よくお調べになりまして、又安本長官、大蔵大臣ともお会いになつて、御相談になつて、どの程度に発表していいのか、又どの程度のものであるかということについてお差支えなかつたら、あとで結構でございますから、その点御報告願いたいと思いますが、よろしうございますか。
  90. 横尾龍

    国務大臣(横尾龍君) よく取調べましてお答えいたします。
  91. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 もう一つお伺いしたいのは、これは統制の問題なのですが、この統制の問題につきましても、すでにもう大臣はマーカット経済科学局長と二十八日ですか、お会いになつて、いろいろ会談されておるように新聞に伝えております。この統制の問題について大臣はどういうふうにお考えでしようか。これはいろいろ国内の統制の問題もありましようし、それから輸出統制などの貿易関係の統制の問題もあると思うのですが、私の見かたでは、今後統制は不可避だと思う。恐らく政府もそう思つておるのではないかと思います。その方法とか時期、そういうものに違いがあつて、恐らくこれから地方選挙がありますから、地方選挙の前にそういうことを言つては、選挙に不利になるので言いにくいのかも知れませんけれども、併しこれは国民にとつては重要な問題ですから、統制の時期或いは統制の方法ですね、いろいろ自主的統制とか或いは直接統制とかありますが、私は統制は不可避と思いますが、統制の時期、それから今後の統制の仕方、同じ統制をやるにしても、この前のような官僚統制ではいけないというようないろいろ非難もありますから、そういうようなことについてどういうふうにお考えか、お尋ねしたいのです。
  92. 横尾龍

    国務大臣(横尾龍君) 今の統制の話でありますが、実はマーカット会談で、統制をやるとするならば、どういう統制をやつたら一番いいか、どう考えるか、こういう質問を受けておつたのであります。それで統制をやると仮定してのお答えをいたしたのでございます。併し統制をやると仮定したのはやるという前提じやないということを側了承願います。御存じの通り統制は我々長い間苦しめられて来たのでありますから、これはできるだけ避くべきものなりと考えております。そのとき返答いたしましたのは、統制をやるにいたしましても、官僚統制はやりたくない。それから統制は避けたいので、これは先刻からたびたび申上げるように、成るべく生産を高めて、統制をやらんで済むように持つて行きたい。こういうことであるのであります。そして貿易に対しましては、これは国内の需給を第一位として、そして輸出にもその国内の需給を充たさんで、或る程度充たさんで輸出をやるということは、これは避けたいと思つております。それで又ものによつて輸出を禁止しなければならないものもあるように見ております。又国内統制はいたさんといたしましても、ものによつては、ニッケルのようなごときものは、これはときによつては或いは使用禁止というようなことも考えなければならん段階が来るかも知れないというような考えをしておるのであります。但し統制は極力避けるように努力したいという考えでおります。
  93. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 統制をやるにしても、これまでの統制のにがい経験があるから、官僚統制はしたくない、こういう御意見ですが、併しそうしますと、考え方が自主的統制と思うのですね、いわゆる自主的統制、こういう線で統制をやる場合には行きたい、こう考えられるわけですか。
  94. 横尾龍

    国務大臣(横尾龍君) お話のようにそういう趣旨でやつて行きたいということを返答して置いたのであります。
  95. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 そうしますと、それは独占禁止法とか事業者団体法、そういう統制はカルテル化と同じじやないか、同業者による統制ということはカルテル化になつて、これはやはり統制とは言えないのじやないかと思うのです。国全体の利益を図るためにやる場合の統制と違つて、カルテル、それはそういう意味の統制じやないのですか。
  96. 横尾龍

    国務大臣(横尾龍君) 事業者団体法等による制約もありますし、いたしまするので、これはどういうふうにして持つて行つたらよいかということは、実はいろいろと考究しつつあるのであります。簡單に自主的統制ということを申しましても、或いはこれはどういう形式で行くかということについては、今折角予備的に考えて置く必要があると思いまして、考えつあるのでございます。
  97. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 そうしますと独占禁止法、事業者団体法に触れるから、自主的統制では困難で、それでまあ何とか独占禁止法、事業者団体法を改正しないで、その枠内で自主的統制をやろう、こういうふうに受取れるのですが、今のお話ですと、事業者団体法とか或いは独占禁止法を変えなければ、自主的統制はできないと思うのですが、どうなんですか。そうすると結論は、自主的統制で行きたいんだが、やはり結局は直接統制、政府の直接統制にならざるを得ない、実際はそういうふうになるんじやないですか。
  98. 横尾龍

    国務大臣(横尾龍君) 今の団体法等による制限を考えて、自主的と申しますけれども、これは或いは自主的意味でする……、或いは又そういうことも考えて、価格の統制の必要があるのでやらなければならんというようなことは……、併しこれははつきり私は今、まだかくあるべしということはきめていないのであります。それから最もいい、官僚統制でない統制の方法を考えたいというのでございます。
  99. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 そこをまあお伺いしているんです。官僚統制でない統制をやれば、私はカルテルになると思うのですが、事業者団体法や独占禁止法を変えないで、官僚統制でない統制というものはできるのですかどうですか。
  100. 横尾龍

    国務大臣(横尾龍君) その点は、私どもまだよく討究しておりません。よく事務的に討究をさせて御返事をしたいと思います。
  101. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 じや、その点はよく研究し、事務当局のほうで結構ですが、はつきりお伺いしたいのです。自主的統制、自主的統制ということをよく言われておりますが、政府はそういう希望かも知れないですね、併し実際問題としてそれはできない。どうしても官僚統制にならざるを得ないと思うのです。そこで官僚統制はこれまで弊害があつたのですから、その弊害のないような官僚統制、どういう官僚統制をやるかということが具体的な問題で、自主的統制ということは、実際問題としてできないのです。ですから弊害のない官僚統制とは、どういうような統制のやりかたでやるかについて、これも後刻でいいのですが、はつきりわかる人から御答弁願いたいと思う。それからもう一つ統制の時期の問題ですが、政府は成るべくやりたくない、それから官僚統制も成るだけやりたくないと言うが、時期の問題は、早くやればやるほど効果が上がるのじやないか、遅れれば遅れるほど需給関係が逼迫したり、価格がどんどん上がつたりする場合、このままやつて行けば、実際問題として随分買溜めとかいろいろな思惑がどんどん出て来ておると思うのです。そこで、選挙でも終つたら、それがそういうふうにやれるのかどうか。その時期の問題、その時期の問題についてはどういうお考えですか。
  102. 横尾龍

    国務大臣(横尾龍君) 時期の問題に関しましては、いつからというような……成るたけやらないということを建前としておりますので、成るたけやらないような線に沿つて努力をしておりますから、いつ頃になつたらやるか、早くやつたらいいか遅くやつたらいいかというお話でありますが、併し、やらないで済ましたいという希望で努力しておりますので、今そんならいつやるというような考えは、現在していないのであります。
  103. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 これはもう通産大臣に御質問する勇気を失うのですが、やらないで済ますということは、今の世界の情勢からいつて、そういうことは子供騙しみたいなことで、アメリカでさえ問題になつて来ておるのでして、その他の国もこれだけの世界的な再軍備経済の情勢になつて、やらないで済まぜるといつても、これは余り子供騙しだと思うのです。もう不可避であるので、時期と方法が問題なんです。国民はそれを知りたいわけです。通産大臣が、やらないで済ませるというようなことは、これは本当の子供騙しだと思うのです。予算委員会では、そういうような気持はそうかも知れませんけれども、やはり本当のことを言つて頂きたいと思うのです。通産大臣は、大臣ですから大きなことだけで、細かいことはよくおわかりにならないようですから、そういう具体的なことについては次官でも結構ですから、それから官房長でも結構ですから、もう少しはつきりしたことを、今日でなくてもよろしうございますから、これまで御質問したことに対して答弁して頂きたいと思うのです。  それから最後に一つ、これはまあ非常に基本的な問題ですから、大臣で御答弁できると思うのですが、輸出の統制の問題です。ものによつて、先ほども御答弁がありましたが、国内価格と国際価格余り開いてあるので、まあ放つて置けばどんどん内需を無視して国外に出てしまうものがあるわけです。殊に鉄鋼関係ですね、非常な開きがある。これはこういう場合に内需を確保するために、さつき禁止する必要があるかも知れない、或いは制限する必要があるかも知れないと言われましたが、それは具体的にどういう品目で、それからどういうふうにして内需を確保されるつもりか、このままであつたら、どんどん内需は喰いつぶされて行つて相当やはり国内の需給関係は逼迫するようになると思う。もう現にそういう状態が出て来ておるのです。それはもう通産大臣は実際家ですから、非常によく御存じだと思うのです。一体これをどうするのか、殊に鉄鋼の問題、この点についてお伺いしたい。
  104. 横尾龍

    国務大臣(横尾龍君) 鋼材の輸出の問題かと思います。よく鋼片と申しますが、いわゆるビレットでありますが、この頃アルゼンチンあたりに輸出しておる……。それに対して輸出するかせんかというお話かと思いますが、併し又一面輸出せなければ向うから日本に必要なる……、先ずアルゼンチンからの注文は、これはアルゼンチンあたりからは小麦も買わなければならない状態です。或る程度は不便を忍んでも輸出せねばならん現在の状態にあるわけです。併し私は成るたけその原料、素材でやらないで、加工品で行きたいというふうに考えておりますので、そういう面から考えても、又あるときにおいては、銅材のごときは、不足しております鋼片のごときは、これは制限をする必要も生ずるのじやないかというような考えもあるのです。併し先刻申上げましたように、アルゼンチンのごときは、これを出さなければ小麦ももらえんというような段階にありますので、これは愼重に考えて処理せなければいかんじやないか、こういうふうに考えております。
  105. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 これは大臣でなくてよろしいですが、先ほど纖維のほうの御説明があつたのですが、量としては確保できても、価格が今後相当騰貴すると思うのです。それで価格の面については、通産省としてどういうふうにお考えか、量は仮にどんどん入つて来ても、すでに我々に配付された資料によりましても、綿花の輸入価格というものは随分高くなつて来ているのです。その纎維の量です。これは量をどんどん出せば、価格も騰貴しないで済むと言われるかも知れませんが、原料価格がどんどん上つて来るのですから、この纖維の価格の問題です。量の問題は今のお話で大体わかりますが、価格の問題をどういうふうにお考えか。国民生活の安定確保、こういう点から纖維の価格の問題です。どうお考えですか。
  106. 近藤止文

    政府委員(近藤止文君) 纖維の価格の問題でございますが、先ほど御説明申上げましたように纖維は原料が大部分輸入に仰いでおりますので、勢い原料が騰貴いたしますと、それを輸入して作りました製品の価格も騰貴して参るわけでございます。そこで現在毛の関係、それから化学纎維の関係におきましては、そういつた要素を相当程度織込みまして、かなり末端の価格も上昇いたしておるのでございますが、これらのものは大部分の原料の騰貴が織込まれておりますので、今後余り大きな値上りはないと考えておるのであります。ただ問題は綿の関係でございまして、これは現在国内できめられておりまするマル公が、大分前に政府輸入をいたしました安い原綿をベースにいたしておりますので、それが現在の輸出価格と非常に大きな開きがございますし、又今後輸入されます綿花の価格から考えて参りますと、かなり今後輸人されます綿花の価格は上昇するというように考えられるのでございます。そこでどうしても、併し原料を全部輸入に待つておるようなものでございますから、原料価格が勢い輸入価格ということにもなつて参りますので、結局綿につきましては、やはり輸出と内地の価格に大きな隔りを置いておくということは、非常に困難な情勢になつておるのであります。この点は只今物価庁のほうにおきまして愼重に検討をされておるのでございますが、恐らく製品の輸出価格というものが基準になりまして、綿の価格というものが改訂をされるものと考えておるのであります。ただその場合に徒らに国内価格が乱高下、乱高下と申しますよりは、輸出の情勢によりまして立ちどころに国内価格が変動するというようなことも如何かと思いますので、或る程度安定されました線で、綿につきましての国内価格の線を見出すというような結論になるのじやないかというふうに考えられますのでありますが、これは現在物価庁におきましていろいろ検討をし、作業されつあるのでございます。今後の見通しの問題でございますが、纖維の関係は、実はほかの品物とは多少ケースが違うかと思うのであります。と申しますのは、現在輸出されております纖維品は、大部分がいわゆるアジア方面、或いはアフリカ方面を市場にいたしておるのでありまして、どちらかと申しますと、日本よりも文明の程度の低い方面に出されておりまして、而もそれが纖略的ないわゆる軍需物資ということになつておりません。いわゆる消費者向けのものが出されておるのでございます。そういう点から考えますことと、それからもう一つは、今後におきましてのいわゆる纖維原料の需給の見通し、特に綿につきましては、昨年極端に米綿の減産がございましたのでありますが、本年は大体アメリカの当事者の予想でも、約千六百万俵というような予想をいたしております。そういつた情勢と睨み合わして考えますと、それが極端に高い、いわゆる闇価格というものが出るということも考えられないのでございまして、先ほど申上げました生産増加と相待ちまして、或る程度の線で安定線が見出される、かように考えておるわけであります。    〔委員長退席、理事佐多忠隆君委員長席に着く〕
  107. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 国内輸出価格の開きがどのくらいにあるのですか。
  108. 近藤止文

    政府委員(近藤止文君) 只今国内できめられております綿糸のマル公は二〇にいたしまして八万一千円でございます。輸出価格はいろいろ引受先によりまして、又品種によりまして違うのでございますが、大体十三万円から十四万円の間を動いておるものと考えております。従いまして約六万円近くの開きがあるということであります。
  109. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 通産大臣がおられる機会に……、先ほど聞くのを忘れましたが、補給金の問題です。これを新聞に伝えられたので、果して事実かどうかわかりませんが、新らしい補給金制度というものを考えておられるように伝えられていますが、そういうお考えがあるのですか。新らしい魚度からの補給金の問題……。
  110. 横尾龍

    国務大臣(横尾龍君) これは先刻もお答えしたと思います。今のお話は銀行資金の問題じやないかと思います。
  111. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 いや、そればかりじやないのです。それはこういう意味なのです。今後の物価騰貴を抑制する方法として、生産増強するということも一つの方法    〔理事佐多忠隆君退席、委員長着席〕 それからそれを他面から物価安定のために又いろいろな建築制限、或いはそういうような消費規正なども問題になるかも知れませんが、それと併せて基礎物資について新らしい補給金制度を設けて価格の安定を図る、今後インフレは相当高進する危險がある場合、インフレ防止の見地からそういう補給金制度をお考えになつているかどうか。
  112. 横尾龍

    国務大臣(横尾龍君) お答えいたします。現在のところでは補給金制度は考えておりませんです。
  113. 内村清次

    内村清次君 私は昨日委員長からも十分承わつたわけでありますが、本審査に入りましてからの日程というものは、これは極めて重要な日程であるからして、所管大臣は是非一つ出席して頂きたいということが一つでありまするが、今回のこの日程のうちに明らかにされておりまするように、給與問題につきましては、もうこれは前から委員長から御通達なさつておることであろうと思います。特に又昨日の私のこの要求に対しましても、委員長のほうでは連絡をとつておられたはずでありまして、先ほどの経過を聞いて見ますると、人事院総裁は、今日の二時にはこの委員会には出席をすると言つて確約をしたらしい。ところがすでに四時になんなんとしておりますが、只今まで姿がわからない。聞きますると、どこに行かれたかわからない。こういうようなことでは、私はこの人事院の、則ち重大な任務が務まらないと思う。そこで今日は是非一つ私たちは、この日程を残したくない。又明日はこれはこの国会も休みでありましようが、爾後の日程に変動を起す問題でありまするからして、どうしても私は今日この給與ベースの問題につきましては、人事院総裁、及び又連関しました各省の意見を聞かなくてはならん。そこで委員長におきまして、又私はこれは委員会といたしまして、一つ動議を提出いたすわけでありまするが、委員会の名において、人事院総裁をここに出席して来るように通告をして頂かられんことを、私はこの点は動議といたしまして附帯して要求いたす次第であります。
  114. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 只今内村委員から御発言の件でありますが、御承知のように前からこの日程は、人事院にも勿論促しておりまして、出席を求めております。昨日、特に又今日は出席するようにと、今日の午前中に出席するようにということは通じてあつた。ところが午前中に来ませんものですから、改めて又連絡をしました。そうしますと十二時ちよつと過ぎでしたが、午後には来る、二時から開くということまで念を押して、二時には来るようにと、こう通達して置いたのです。それがなかなか出て来ないものですから、又連絡さして見ますると、人事院にはいない。どつかへ出たということであります。で経過は以上の通りでありますが、今内村委員から、委員会の決議で以て人事院総裁の出席を促すという動議が出ておりますが、これは如何取計らいましようか。御異議ございませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  115. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) それでは、今日は先ほど内村委員も言われたように日程を上げたいと思つておりますので、只今から予算委員会の決議として、人事院総裁を直ちに出席するようにという連絡をとらせることにいたします。
  116. 東隆

    ○東隆君 先ほど木村君からお話のありました自主統制の問題でおりますが、これは終戰後に実は自主統制をやる形が生れかけたんであります。それは国家総動員法が廃止になつて、不足した物資の需給調整をやるために物調法ができ、これによつて民主的にそうして自主的にやり得る商工協同組合法が出て、とれでやつて行こうとしたと思うのであります。ところがこの商工協同組合の中に法人が加入をすることによつて、非常に商工協同組合法が民主的なものでなくなつて、そうしてこれによつて物資の需給調整をやることができなくなつて、そこで公団が生れたと、こう私ども考えております。従つて先ほどカルテルか、そうでなければ官僚統制か、こういう二つしか途がないじやないか、こういうふうに言われて、そうしてそれについて自主的統制の方法について研究をされておると、こういうお話でありましたが、私は自主的統制の方法は、協同組合を通してやるのが、これの系統を通してやるのが、これが本当の自主的統制だと私は考えておりますが、この面について通産大臣が十分に一つ研究を進められて、早く一つ自主統制をやつて頂きたいと、こう考えるのです。私は統制をやらなければこの事態は救われないと、こう考えておるのであります。その辺のことについて如何ようにお考えになりますか、お伺いいたします。
  117. 横尾龍

    国務大臣(横尾龍君) 只今の組合の問題も、これは問題になつて、今それも考究しつつあるのであります。今のお話のように成るたけ早くやるのが至当ではないかというようなお話でありまするが、先刻から抽象的に申しまして、いろいろと御批判もこうむりましたが、大体においてやらざることを希望として強く持つておりますので、併し一面においては事態が発生したときに備えるために、研究をして置くことも又これは当然でありまするので、或る時期については今私は成るたけやらないようにしたいというのと同時に、今のお的中のようなこともよく考究をいたして、やらなければならんことが起つたらいつでもやり得るように備えをして置きたいと考えております。さように御了承願います。
  118. 東隆

    ○東隆君 この自主統制の問題は、これは独禁法の中にも、協同組合は除外をされているはずであります。それから物調法の中にも除外をされておるのでありまして、これが本筋のものであると、こう私は確信をしておりますが、ここに立つて一つ速かに自主統制をやる形をとつて頂きたいと、こう考えます。  次に私は纖維局長さんの先ほどのお話を聞いているうちに、動物纖維のほうは、これはいろいろ問題があるのでありますが、植物纖維のうちで綿の関係は別として、麻の関係でありますが、これは大麻が麻葉の関係で以て栽培が禁止をされているわけであります。殆んど統制をされて、これは栃木その他各方面、大分栽培をしておつたのが、殆んどできなくなつたのではないか、ぞれから輸入します苧麻その他のものもこれは困難である。それで面麻は、これはベルギーから輸入をされる、こうなんでありますが、亜麻は北海道で以て栽培をしておりますか、これはどの程度のウエイトになるかわかりませんが、亜麻はこれは殆んど戰争作物と、こう称されておつたのです。大部分これは軍需関係のほうに使われておつたわけであります。輸入をして、恐らくこれは特需関係方面に行くんじやないか、こうも考えておりますが、これは私は国内生産される麻関係を纖維にしたところのものでは唯一のものだ、こう言つてもいいのじやないか、従つてこれは猛烈に生産をしなければならない、こういう考え方を持つのですが、この作物は、これは土まで持つて行くという作物で、非常に実は栽培が……、栽培いたしますと、土地が瘠せてしまうのであります。北海道ではこれは非常に困つた作物になつているわけであります。どうしてもこれを増産するということになりますれば、これは非常に外国関係原料輸入関係、そういうものと合わせて国内における生産価格相当上げることを考えなければならん、こう考えておりますが、特有作物として北海道ではこの問題を大分前から持出しておりますが、農林省のほうでは、これはなかなかこの問題は考えが進んでおらんのである。そういうような関係からこの亜麻の重要性ですね、それをどのように纖維局の方面考えておられるのか、通産省のほうでお考えになつておるか、お伺いいたしたい。
  119. 近藤止文

    政府委員(近藤止文君) 只今の亜麻につきましてのお話でございますが、実は戰争中は軍の需要が非常に多うございまして、殆んど全部軍のほうで需要いたしておつたのでございます。終戰後になりつましてから、まだ今日までのところでは、いわゆる軍需と申しまするよりなものがございませんのと、それからいわゆるアメリカの時需関係につきましても、亜麻の発注は現在つまでのところ殆んどございません。現布国内におきまして亜麻を纖維にいたしまして、生産いたしました生産量は九百四十万ポンド本年度見込んでいるのでございますが、実際は昨年あたりの需給関係で参りますると、大体本年度八百八十万ポンド程度見込んでおるわけでありますが、この数字を以ちまして実は価格関係、その他需給関係が比較的バランスがとれましたために、割合に伸びませんで、ほかの纖維よりはむしろ少し遅れて伸びて来るという形にあつたのであります。本年まだ現在のところでは、そういつた特殊な需要余り出ておりませんので、現在のところでは需給関係がそう甚だしく逼迫するとは考えておりませんが、これはいずれ近い機会におきまして相当大量の需要が出て来ると考えられます。従つて今日価格の問題につきましても、かなり強気の値段を出しつつあるのが現状でございまして、この価格が或る程度の線まで参りますれば、農家におきまして亜麻を栽培いたしまする場合におきましても、相当有利な作物ということになると思うのでありますが、終戰後におきましては余り有利な作物でございませんでしたので、亜麻の製造会社が直接農家に、紐付と申しますか、その農家の生産を培養するということで、会社自体が末端の農民のところまで資金の面その他も全部お世話するということでやつて参つたわけであります。本年におきましても、この方面をできるだげ強化いたしまして、北海道産の亜麻の増産を図りたい、かよに考えておるのでございます。
  120. 東隆

    ○東隆君 農林次官にお伺いをしますが、今纖維局長さんが話されましたことについて、植物纖維を日本生産をするに当つて、これは恐らく唯一のものと、こういうふうに考えますが、農林省はこの特用作物をどういうふうに考えるか、お伺いいたしたい。
  121. 島村軍次

    政府委員(島村軍次君) 特用作物のうち、殊に纖維作物につきましては、いろいろ地方的に事情もあることだと思うのでありますが、将来国内の需給情勢から考えて、それぞれの部面で、価格の点も、或いは又量の点も、適地適作に従つて大いに奨励を進めたいと、かように存じております。
  122. 東隆

    ○東隆君 纖維資源の中で、相当パルプその他で以て、国内における林産資源が非常にたくさん実は持つて行かれると、国土を売却すると、こういうようなことを言う人もあるのであります。我々はできるだけ国内で以て纖維を生産する場合に、長い間かかつて成長したものを消費すると、こういうような形をとらずに、やはり年々歳々取れる纖維、こういうようなものを考えなければならんと思うのですが、こういう意味で、農林省はもつとこの植物纖維の面を十分に考えなければならんし、羊毛は寒地の方面にはこれはどうしても欠くべからざるものでありますが、日本はどちらかと申しますと、温帶から亜熱帶というと語弊がございますけれども、温帶にあつて、濕度も高いところでありまして、どうしてもこの植物纖維が欠くべからざるもので、私は綿の代りに、綿で以て今補給をしておる面にすつと伸ばして行くべきものではないかと、こうも考えておるのでありまするが、こういう点で、只今お話なつたよりももつと実は大きくお考えになることが必要だと、こう考えておるのであります。そういうふうに一つ考えの上でいろいろな問題について当つて頂きたいと、こう思います。
  123. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) それでは次に農林関係の問題に入りまして、農政局長と林野庁長官にそれぞれの所管の事項についての方針を説明させることにいたします。
  124. 藤田巖

    政府委員(藤田巖君) 昭和二十六年度予算に直接関連をいたしまして農政局関係において現に要求をいたし、又取りたいと考えております施策の主なものを御説明申上げたいと存じます。  昭和二十六年度の農政局予算でございますが、これを前年度の当初予算と比較をいたしますると、当初予算が四十三億三千三百六十四万二千円、それから補正予算を含めまして五十六億五千百八十九万五千円あつたのでありまするが、今回要求中の昭和二十六年度農政局関係一般会計予算は、七十七億三千二百五十四万円に相成つております。農業生産力め増強並びに農家経営の安定ということは、これは農政の基本方針であるのでありまして、殊に食糧問題の解決ということが日本経済自立の前提要件でもあるわけであります。更に又最近の微妙な国際情勢を反映いたしまして、国内における食糧の増産を極力やつて行くということが緊急の必要になつておるわけであります。農政局関係予算は、この食糧増産に特に関係をいたしまして、主として耕種改善のほうから施策を進めようというわけであります。従いまして要求をいたしておりまするその予算の中で、時にこの食糧増産に関係いたします主な項目を申上げますと、主要食糧の農作物の種苗の対策、それから單作地帯の対策、それから特に又北海道の農業振興の問題、植物防疫の関係、主要食糧農作物の病害虫防除の問題、かようなことが直接食糧増産をいたします上の極めて必要な事項と考えております。そのほか農業委員会経費、或いは又災害が起ります場合の補償制度でありまするが、この補償制度を実施いたしまするところの経費、これが大体この農政局所管で予算上特に大部分を占め、これに重点を置いて今後進めて参る事項であります。以下食糧増産につきましてその項目別に簡單に御説明を申上げますと、第一に主要食糧作物の種苗対策でありますが、これにつきましては二億九千万円余の予算を計上いたしております。その内容は最近供出制度が始まりましてから品種改良という仕事が非常に遅れて参つた、これが又非常に品種の混淆を来たし雑駁になつておるのであります。食糧増産の耕種改善の面からの重要な事項といたしましては、やはり品種をできる限り改良して行き、これによつて増産を図りたいということであります。それに必要なものといたしまして稻、麦、大豆等の原採種圃の設置でありますとか、或いは玉蜀黍、馬鈴薯の原種圃の設置であります。それから又採種圃につきましては稻及び麦これについての採種圃の設置を補助いたしまして優良品種の育成を進めて行きたいと考えております。特に従来優良品種の育成の支障になつておりましたのは供出制度との関係であつたのでありますが、二十六年度からこの採種圃につきましては供出の対象から除外するというふうな取扱いを特に認めることといたしまして、それによつて品種の普及徹底の円滑に行きますように進めて参りたいと考えております。  それからその次は單作地帯の対策でございますが、これは五億七千六百万円余の予算を計上、要求中でございますが、この内容は従来昭和二十五年度もやつておりましたが、北海道におけるところの温床苗代の設置費それから又内地の單作地帯における保温折衷苗代の設置について菜種の播種についての助成をいたすということでございます。それから更に裏作物として維持資金の導入を図りますための紫雲英採種圃の設置費を計上いたしております。更に又昭和二十六年度から新らしく要求いたしております経費といたしまして菜種の共同育苗圃の施設ということで施設費の補助を考えております。これによつて地方維持のための緑肥作物の生産増植をやつて参りたいと考えておるわけであります。  それから北海道の農業振興の問題でございますが、これは北海道における特殊土壌地帯約一万六千町歩の地力の増進のために心土耕、混暦耕施設といたしましてトラクター用プラグカルテベーカーの助成をいたそうと考えておるわけであります。この経費といたしまして七千二百九十万円を計上いたしておるわけであります。  更に食糧増産に極めて必要な病害虫の防除の問題、これにつきましては植物防疫関係経費といたしまして一億五千万円余、それから主要食糧農作物の病害虫防除、つまり薬剤の購入費の助成でございますとか、或いは種子消毒の関係からいたしまして二億六千八百七十五万円これを計七いたしておるのであります。この植物防疫の関係経費の主なるものは、一定数量の防除器具を国が購入をいたしております。これを各所に、主なるところに分散配置をしておりまして、非常な病害虫の発生を見ました場合には、これを無償貸興によつて防除の徹底を期したいということであります。それから更に又二十六年度から動力防除器具の購入助成といたしまして、大体地方で約一千台の動力防除器具を購入いたします場合にそれを補助をいたしたいということを考えておりますわけであります。なお又この薬剤の補助の問題については、大体稻につきまして約三十一万町歩、麦につきまし約二十万町歩に亘りまして、稻は病害及び虫害、麦は白澁病、雪腐病、こういうようなものについて、あらかじめ防除のために薬剤を撒布する、そのための一回撒布のための費用としましてこれが補助をいたしたいということであります。更に又種子消毒を完全に励行させますための費用といたしまして、稻及び麦を対象といたしまして、その購入費についての助成を考えておりますわけであります。  只今申上げましたような事項が食糧増産に直接関連をいたしますところの経費でございますが、そのほかに農業委員会、従来ございましたところの農業調整委員会、農地委員会及び農業改良委員会。三つを統合いたしまして、新らしく農業委員会として出発するための必要な法案を現在御審議を頂いている途中でございます。それに対応いたしましての予算が農政局で組んでおりますものが約十八億ございます。  それから又災害の補償制度の関係で新らしく基金制度を二十五億認め、更に又事務費の負担でありますとか、末端におけるところの書記の補助というふうなことも前年度よりも拡充をいたして参りまして、その経費が約四十億計上されております。わけであります。  以上のような事柄で極力食糧増炭を励みたいと考えているわけであります。大体昭和二十六年産麦につきましては二千六百万石を増産目標として、二十六年産米につきましては六千五百万石を増産目標といたしまして、現在食糧増産興農運動を展開いたしておるわけであります。以上甚だ簡單でございますが、農政局関係予算の概要を御説明申上げた次第であります。
  125. 横川信夫

    政府委員(横川信夫君) 二十六年度の林野庁の予算森林資源の培養維持を図りまして林産物の十分なる供給をいたしまして国民生活に寄與して参りたいと思います。又荒廃林地の復旧を図りまして森林資源の培養々図りますと共に、治山の機能を十分発揮せしめますと共に、でき得ますだけ災害の被害を減少さして参りたいということが主眼になつているのでありまして、二十五年度に比較いたしまして十二億七千七百五十五万六千円の増加になつておりまして、要求決定額は二百三十八億七千六百余万円と相成つているのであります。その中公共事業につきましては、造林事業でございますが、造林面積が二十八万三千八百三十七町の造林を期待できるのでありますが、この金額が二十一億六千五百余万円であります。治山事業につきましては、四十億七千九百五十九万円でありまして、これによりまして国営の治山事業におきまして千八百六十五町、国営の海岸砂防が百六十七町、補助事業におきましては、二万四千五百二十六町の荒廃林地の復旧並びに災害防止林の施設が実行できることに相成るのであります。なお林道事業につきましては、十五億六千七百三十万六千円でございまして、これによりまして千九唐十七キロメートルの林道を施設いたしまして、十二万三千六百十一町の森林を開発し、そのために一千一百万石余の立木地域の開発を期待し得るのであります。  なお一般会計、一般費の中、特に重要なものにつきまして御説明を申上げますれば、民有林は昭和二十二年度から施業案を編成いたしまして、計画的な伐採を実施いたしているのでありますが、二十六年度を以て一応その計画を完了する予定でありまして、その経費が四億七千五百万円でございます。なお林業改良普及の経費は七千二百五十九万二千円でございまして、專門技術員を六百九十名、地区普及員を四百三十名それぞれ都道府県に設置いたしまして、林業技術の改良普及を実施する運びになつているのであります。なお目下森林法の改正を準備いたしているのでございますが、その従来の森林組合を協同組合的な加入脱退自由の組合に改組いたしまして、これの運営を円滑にして参りますために千四百三十余万円の経費を予定いたしているのであります。なお森林害虫の駆除、防除につきましては、特に関西、九州方面に跋届いたしておりました赤松まつ喰虫の防除のため、及び北海道におきます野鼠の害を駆除いたしますために、二億五千三百四十三万一千円を予定いたしているのであります。  そのほか特別会計におきましては、森林火災保險事業におきまして七千八百九十七万一千円の要求をいたしているのでありますが、これは前年度に比較いたしまして二千三十四万三千円の増加でありまするが、保險契約面積の三万七千一百二十二町の増加によりまして、二十一万八千九百町の加入者を予定いたしておりますための増加でございます。  なお国有林野事業特別会計は百四十四億三千余万円でございまするが、昨年度に比較いたしまして六億六千九百余万円の減少と相成つております。これは主として伐木事業におきまして十四万石の減少の計画でございますので、その結果の減少でございます。以上極めて簡單でございますが、二十六年度の林野関係予算説明を終ります。
  126. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) ちよつと委員長から質問して置きますが、先ほど参議院の農林委員会から農林委員会の決議として当委員会提出された事項があります。それは農林省林業試験場大船移転に関する問題なんでありますが、この大船移転がすでに方針として決定し、而も今年度予算移転費として二千何百万円かを計上いたしておつたところがこれが軍関係の要請によつて不可能になつた。而も林業試験場においては、北海道その他各支分場に散在しておつた林産研究に関する諸施設、機械を撤去して東京にすでに運搬しておる。これに関係する職員も東京に配置転換して昭和二十六会計年度開始と同時に大船移転を実施する準備を完了しておつたので、どうにもならん。今大船のほうが使えなくなつては……。そこでこの委員会に対しまして新たに研究所を設置する経費として三億八千四百八十万円を歳出予算に考慮してもらいたいという要請がありますが、この点についで農林当局はどういうふうにお考えになつておるか、その点を一つ伺いたい。
  127. 島村軍次

    政府委員(島村軍次君) 二十六年度予算編成の際には只今農林委員会の申出の通り移転費だけを計上いたしておつたのであります。その後大船の設置がその筋の要求によりましてGHQの関係に廻わさなければならないということになりしましたために移転不可能な情勢になりまして、農林委員会の申出は御尤もであると考えまして、農林省といたしましては目下この対策につきましてでき得るならばこの予算中に是非計上してもらいたいと考えておるのでございますが、併し三億数千万円の点につきましては、一般会計から支出することはなかなか大蔵省との間の折衝も困難でありますので、この点についてはむしろこの際見返資金等の方法によつてGHQの承認を得られるならば、それを支出してもらうのが妥当であるというような考え方で、目下交渉をいたしておりますが、まだ結論には達しておりませんが、さような措置によつて何とか打開をいたしたいと思うのであります。性質上は勿論一般会計で支出して頂くことを望んでおるし、又予算建前からもさようであるべきだと思うのでありますが、以上のような経過で折衝中であることを申上げて置きます。
  128. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 人事院総裁が出席されております。
  129. 内村清次

    内村清次君 国家公務員の給與水準に対しましては、人事院は昭和二十五年の五月の資料に基いて八月九日に国会及び内閣に職員の給與を受けるその平均月額を、八千五十八円のベース改訂を勧告せられたのでありまするが、当時低い給與水準であり、又この期間が相当長かつた、こういうような事態からいたしまして、職員の生計費に受けるところの不安というものは相当深刻でありましたが、この勧告に対しましては、一応この額において相当要求の差はあつたのでありまするけれどもが、これを支持しておつた。ところが政府のほうでは、この大蔵省案なるものを以て千円引上げ、即ち八千円ベースというような案で、今回一般職員に対するところの給與に関する法律が制定せられたわけでありまするが、この内容は非常に上級者には厚い、下級者に対しては極めて引上率が低いというような杜撰な内容を持つておるのですが、この点はあとに譲るといたしまして、ここで人事院の総裁にお尋ねいたしますることは、この勧告の即ち基礎になつておりまするところのいわゆる生計費、CPIの問題は五月を基礎にしておられる。五月を基礎にいたしておりまするが、これはもうこの委員会でも先ほどから、物価の問題につきましても相当政府所見を聞きますし、現実の事態におきましても、物価騰貴が非常に生計費を圧迫しておる事態、こういう事態につきましても、朝鮮動乱以後のこの状況につきまして、はつきりとこれを認識しておるわけでありまするが、政府のほうにおきましても大体二九・二だけは物価が騰貴しておるのだ。生産財におきましては四三%八、或いは消費財においては一三%の騰貴がなされておるということは、これは政府自体も確認したものである。これがいわゆるCPIに及ぼす影響というものは、これは相当現在の状況におきましても高いパーセンテージを出し ておるものであると私たちは考える次第であります。そこで丁度この勧告が ありました基礎の資料からいたしましても、今回の国家公務員法にあります る、即ち二十八條の問題を連関いたし て見ますると、いわゆる生計費に五% の差があつた場合のときにおいては、これを人事院は国会及び政府に対して、勧告せなくてはならないということ が、二十八條に明記してあります。そういたしますると、一年間を通じて、即ち今年め五月を通じまして、現在のCPIの向上の状態から勘案して見ますると、当然これは早く政府のほう、或いは国会のほうに勧告せなければならないと思う。その時期がもう来ておりはしないかと私たちは考える。同時に又今回のベース改訂というものが先ほど申したように、人事院の勧告よりも低い問題になつておるという段階にありまする以上は、人事院としては、当然こういうような即ち段階を経て来た人事院の総裁といたしましても、いわゆる人事院が操作しておるところのこの資料に基いて、早く勧告の態度を明確にせなければならん時期が来ておると思うが、この点につきまして御答弁をお願いしたいのと、それでは今人事院のほうでは、そういうような即ち操作がなされておるか、いわゆる研究がなされておるか、資料の收集ができておるかどうか、この操作の過程を一つ御発表願いたい。先ずこの二点から……。
  130. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 議事進行に関して……。今内村委員からの御質問でございますが、それにお答え願う前に、今までの通りに、一応人事院総裁からへ事院に関連する施政の状況、今後の方針、そういうことについて概括的な御説明を願つて、その上で今の問題を御説明願いたい。如何でしようか。
  131. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) どうですか、今質問が出たんですから、この答弁だけ済ませて……。
  132. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 内村さんにお答え申上げます。最初に人事院の勧告案と内閣の給與法の改正案との相違についてお示しがございましたが、成るほどその当時は、人事院の勧告案と内閣の案との間には相違がございまして、人事院といたしましては、その立場から種々これに対して国会において申上げた通りでございます。併しながら今日におきましては、もはや内閣案もなければ、人事院の勧告案もないのございまして、実は国会で御制定になりました給與法の改正法あるのみでございますからして、人事院といたしましては、国会の御意思を尊重いたし、この給與法を誠実に執行することは、これは憲法の條章に照らしましても、さようであるべきことかと存じておるので、今日の段階におきまして、国会の御制定になりました給與法の改正法を批判することは差控えたいと存じます。  第二の点といたしまして、二十八條の勧告との関係についてお尋ねがございましたが、人事院といたしましては、もとより当然に絶えずこの問題を研究いたしておるのございます。只今物価の騰貴その他のお示しがございましたが、人事院といたしましては、民間給與との権衡、それよりももつと重大な標準生計費、この二つのものを基礎として絶えず研究をいたしておる次第でございます。従いましてこの物価の騰貴という問題も、標準生計費のいわゆるマーケツト・バスケツトの中に入つて来る限りにおいて、これを取扱うほかございません。  次に将来如何に相成るかというようなことは、結局経済状態の将来の見通しの問題になつて参ると存ずるのでございまするが、この経済の将来の見通しということにつきましては、人事院はここで何も申上げる権限を持ちません。人事院といたしましては、すでに発表され、又は研究いたしました資料に基いて、標準生計費を計算をいたし、更に民間の給與との権衡を考えて、勧告いたす時期が参りますれば、勧告をいたしたいと思つておりまするが、今日のところ、二十八條により勧告をする意思を決定したことはございません。
  133. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) それでは人事院総裁のほうから、例えば地域差の問題とか、その他いろいろの問題がありましようから、そういう問題について、人事院はどういう方針で進めて行くかという概括的な御説明をお願いいたします。
  134. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 突然のお話でございましたので、実はうまく申上げられるかどうか存じませんが、人事院設置以来、国家公務員法の規定の逐次適用に顧みまして、漸次その方面の仕事をやつてつたのでございます。そこで只今最も問題となつておりまする諸点を挙げますれば、第一は、職階制の完成に近づきつつあるということでございます。御承知のごとく先般御制定になりました職階法に基きまして、この職階の実現に関する操作を只今つておるのが第一でございます。  第二は、給與法の規定に基きまして、地域給の支給区分に関し勧告をいたす準備を進行させておるのが第二点でございます。  第三点は、最近成案を得まして、国会及び内閣に勧告いたしました国家公務員災害補償法案、これは幸いに内閣より提出案として当院に提出されることに相成つておる次第でございます。  先ずこの三つが、只今人事院の取組んでおりまする大きな問題であろうかと存じます。
  135. 内村清次

    内村清次君 私は先ほどの質問の第二点の項の勧告の時期につきましては、大体御答弁があつたようでありまするが、このCPIの現在の調査研究はやつておるんだと、そのやつておるデータが一つもあなたのほうから出て参つておらない。そこでこれはあなたのほうの政府関係、事務関係のほうでもよろしいのですが、まあできればあなたのほうではつきりと出ておる数字がお持合せに相成つておるならばこれを一つ発表して頂きたい。
  136. 淺井清

    政府委員(淺井清君) お答えを申上げます。標準生計費について只今利用し得べきデータは昨年十一月までのものであろうと存じます。詳しいことはお尋ねがございますれば給與局長が参つておりまするから御説明申上げまするが、約大体三・五%くらいの標準生計費の上昇であろうかと存じております。  次に民間給與との権衡の問題でございまするが、これはただ民間の一般賃金が上昇したということではなくして、いわゆる標準職種、即ち国家公務員の職種と同じ六十六の職種について人事院といたしては調査いたしておりまするが、最近の結論はまだ出ていないように存じております。
  137. 内村清次

    内村清次君 先ほど勧告の時期についてはまだ今はつきりは明言できないような御答弁でありましたが、今回の予算面におきまして、官公吏の占めますところの給與額というものが約五百三十億ぐらいになつております。そこでこの予算はいわゆる会計年産間を通じての即ち予算であつて、先ほど総裁も言われましたように、先ず国会できめたところの新船與法の実施総額であるんだと、而もその内容についてはもう国会できめたからというようなことで、責任はもう国会のほうに全部あるようにおつしやつておるのですが、そういたしますると、この勧告の時期の問題につきまして、この年間を通じて当然私たちの考えでは、先ほど言つたように、このOPIというものが最近相当上つて来ておる。あなたは三%六ぐらいだと言つておられるが、これはあとでも申しますが、物価庁から出しております調査資料によりましても、相当私は上つておると思う。その点はあなたのほうでこれは是非給與局長か何かから説明をしてもらいたい、統計的の説明をしてもらいたい。こういうような観点からいたしますると、この予算会計年度におきまして、当然この二十八條の時期の問題というものが抵触して来る問題である。そうすると、その時期は現在は言われないけれども、もうすでに五月にはもう一ぱいです、二十八條の問題はもう一ぱいです。そうすると、私たちはこれを見越してこの予算を今後検討して行かなければならない責任を持つことになる。そういたしますると、総裁のお考えでは、この二十六年度会計年度期間中には、どうしてもこれを勧告するかどうかというその点が一点。そうすると、その大体の見通しというものが現在三%六といえば、あなたのお考えで三%六といえば、もうすでにあと一%四では当然この二十八條の問題に抵触して来る。物価はこれは先ほどから論議されておりまするが、うなぎ上りに上つておる、……実際において。いわゆる生活費のハクターになつておりまする各項目、衣料におきましても、それから電熱、光熱費におきましても、又聞の主食問題にいたしましても上つておる。上つておるこの事態をそのまま看過されて、時期の問題はまだ明確でないんだというようなことの一片なる即ち御答弁でよいのであるか。もうすでにこれは官公職は勿論でありまするが、現在の段階におきましてももう相当生計費の不安ということを訴えて来ておる事態を、総裁はよく認識しておられることであろうと存じますが、こういう点につきまして、今一つ明確なる、即ち時期の御認識、この点について御答弁をお願いしたい。
  138. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 折角のお尋ねでございまするけれども、人事院といたしましては、将来の騰貴を見越して勧告をするということはできないと存じております。即ち最前申上げましたごとく、入手し得べき資料を基礎にしてやるより仕方はございません。最近の物価が騰貴と仰せられまするけれども、人事院といたしましては、利用し得べき昨年十一月までのデータしか使えない状態でございまするから、その十一月現在においてものを言うほかはないのでございまして、その点はどうぞ惡しからず御了承を願いたいと存じております。  次に予算はすでに出ておるが、勧告のほうが遅れてどうなるかというお尋ねでございまするが、これは人事院といたしましては、予算とは関係なく勧告をこれまでもやつて参つたものでございまして、予算がすでにもうすぐきまるのであるから、それを見越して早目に勧告をしろと仰ぜになりましても、これは二十八條の條件を満すまでは勧告はできないもののように存じます。
  139. 内村清次

    内村清次君 総裁のお答えでは、十一月までの資料しか入手できないというようなことでありましようが、この政府の機関にすら、もうすでに一月までの統計が出ておる。こういうような、人事院はすべて国家公務員に対しましての、これは憲法十五條の問題と連関し、或いは又マツカーサー書簡と連関いたしまして、公務員を保護する立場にあられる大きな役割があるはずなんです。こういうような点から考えますると、而も又権威を一つ持たなくてはならない。常に人事院の勧告というものは一つの権威を持つて行かなくてはならないという、そういうような観点からいたしますると、やはり相当科学的な調査の機関そのものというものの能率関係も十分と総裁は管掌して行かなければならない義務があるはずなんです。それがそういうような遅い即ちデータしかない。而も又これは常に労働問題といたしましては一番大きな問題でありまするからして、現在の日本の国情の状態からいたしましてもよほど問題を、而も又時期を外すよらな遅れた勧告、そういう労働問題と非常にかけ離れたような勧告、こういうような責任逃れのような勧告の時期であつてはならないのです。やはり常に国会及び又政府に対しましてやはり人事院は一つの権能を持つた態度をとつて行かなくてはならないのでありますが、あなたの現在の状況といたしましては、これはもう今までベース改訂のときにおきまするところの人事院の態度というものは非常にマツチして行つておらない。こういう点をお考えなつたならば、もう少し積極的になぜこういう立派な機能を発揮してもらえないのか。而も相当人事院の中におきましてはエキスパートがおられるはずである。そういう人たちが日夜出しておるところのこういう研究資料に対しましても、率直に早く人事院のほうとして出さなくてはならん義務があると思うのですが、こういう点に対しまする一つの総裁の再認識の点をお願いしたいのと、それから第二点といたしましては、先ほど地域給の問題、即ち勤務地手当の問題につきましての御答弁はまだ詳しく申述べておられなかつたようでありまするが、今回の一般職員の給與に関するところの法律に基きましても、当然この地域給の問題につきましては、やはり法律として国会に提出しなくてはならない義務があるはずです。この問題もあとでみつちりと一つ質問いたしたいのでありますが、この問題の具体的な推移を併せて御答弁をお願いいたしたい。
  140. 淺井清

    政府委員(淺井清君) お答えを申上げます。人事院の給與に関する勧告がなされてないことは、人事院は国家公務員の保護を怠つておるのではないかというようなお尋ねでございましたが、これまでの人事院のやつて参りましたことに鑑みまして、決してさようなことはございません。ただ国家公務員の給與は、国民一般の負担でございまするからして、最も正確なる資料に基きまして、これを勧告すべきは勧告いたすのが我々の当然の職務であろうと存じておる次第でございます。なお地域給の問題についてお尋ねがございましたが、お示しのごとく地域給は給與法の規定に従いまして、近く国会及び内閣に対して勧告をいたしたいと存じておるのでございます。ただこの問題は非常に及ぼすところが広く且つ複雑をいたしておるのでございますることは御承知通りでございまして、今日まだ勧告をいたす段階に立ち至つてはおりません。これは決して我々が職務を怠つたわけではない。全国的に亘るのと、一カ所についての決定が直ちにそのバランスの上から他方に及ぼすというような状態で、非常にこの問題については苦心をいたしておる次第でございます。なお重ねてのお尋ねがございますれば更にお答え申上げたいと存じます。
  141. 内村清次

    内村清次君 地域給の問題につきましてはすでに人事委員会におきましても、総裁のほうでは現在大蔵省と折衝中であるのだというふうな御発言もあつたように聞いておるわけですが、今のお言葉では相当広範囲な調整をせなくてはならないというようなことで、今なお研究の過程にあるのだというようなことでは、相当食い違いがあるようでありますが、この点は如何でありましようか。
  142. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 只今のお尋ねのところに大蔵省と折衝中云々というようなお言葉がございましたが、そのようなことは私申上げなかつたように存じております。まだそのような段階には至つていないのでございます。この地域給の問題につきましては先ず第一は、特別消費者価格というものを基礎といたし、第二には各府県知事から提出して参りました資料によりまして、それを基礎としてやつておりまするが、必ずしもそればかりでは済むものではございませんで、そこに若干の給與政策的なものを入れなければならないのではないかと存じております。勿論かような政策的な方面は国会で御決定を願うべき問題であろうかと思いまするが、人事院といたしましてはこの点は非常に苦心をしておるわけでございます。それは政策的と申上げまするのは、即ち只今の国家公務員の給與におきまして、現在の地域給より更に切り下げるところができた場合に如何にすべきであるかという点でございます。
  143. 内村清次

    内村清次君 この地域給に、検討中の、又調整中の人事院といたしましては、この予算の枠、いわゆる地域給に配当されるところの予算の枠は一体幾らになつておりますか。
  144. 淺井清

    政府委員(淺井清君) これは私のほうから申上げるべきものでなくて、大蔵省からお答えを申上げるべきものでございましようが、私が大蔵省方面から承わりましたところでは七百円余りになつておるかと存じます。ただこの点について申上げたいと思いまするのは、人事院といたしましてはこの既定予算の枠内で操作はいたしておりません。若しそういうことにいたしますればよほど切り下げるところがなければ上げるところはできないというところになろうかと存じます。
  145. 内村清次

    内村清次君 この予算の枠内ではないということだけははつきりして頂いたわけですが、すでにこの地域給の問題につきましては、人事院では各地からの陳情が、非常な熱烈な陳情が出ておるというような状態はもう認識して、おられるはずでありますが、この陳情の一般的な状況といたしましては、現在の、即ち政府の暫定案と申しますか、案によつて、特地、甲地、乙地、丙地、こういうふうに五分だけ切り下げて暫定的な案をしておられる。そこで今回の給與法によりまして、十二條では先ずその骨格を、やはりここにありまするような五段階の即ち骨格にされるのであるかどうか。と同時に又調整の状態が、現在のこの配当を受けておりまするところのそういう地域をなくしてしまうというようなことがその操作の中に加つておるかどうか。その点が第二点ですが、そうすると一般にこれはパーセンテージが五%が上についたり、或いは下に引下つたりするところもあるのであるが、総体的な観点からいたしまして、この現在の給與、即ち給與から下廻つて来るという現実面ができるようなことがあるかどうか。この点につきまして……。
  146. 淺井清

    政府委員(淺井清君) この点は今回の勧告の実は重大な点になつておりまするために、まだこれは決定いたしておりませんが、これから、お答え申上げまするところはまだ未決定ではあるがという意味で一つお聞き流しを願いたいと思つております。先ず第一点といたしましては、これは給與法の規定通り五段階の勧告をいたすのでございます。これは社会党から御申入れもございましたが、六段階の勧告はいたしかねると存じます。これは人事院といたしましては現行法の下での勧告と、かように考えております。第二点といたしましては、過般の暫定案と申されましたが、現行の給與法で三割が二割五分と相成り、二割が一割五分と相成り、一割が五分となつておる。これを更に切下げる意向があるかどうかという問題でございまするが、これは科学的な操作と離れまして、給與政策の問題といたしまして、人事院といたしましてはこれは切下げたくない、さように考えております。そういたしますると只今の三段階を五段階にいたしまするためには、引上げられる者、或いは新たに支給される者のみがあつて、五段階になるような結果になろうかと思います。但しこれはまだ決定したのでございませんので、お尋ねがございましたから率直に一つ申上げた次第でございます。
  147. 内村清次

    内村清次君 これは当然この国会及び政府に勧告されるものはまあ先ほどの言明通りですが、この時期につきましてですね、大体この国会当初に、もう案を決定をされておるからして、来るものであるということで、各地から御承知のごとく陳情が非常に激しくなつたという事態は、これはもう先刻御承知であろうと思いますが、この時期の点ですが、又現在の或る筋からの話を聞いてみると、どうもこの問題は地方選挙と影響があるからして、選挙後にするのだ、こういうような政治的な含みを考えて今そつとして……、人事院総裁は何しておるのかどうか。いつこれは時期を勧告するかは、御承知のごとくこれは相当地域的にも、而も又この予算にも関係しておりまするから、将来又この地方平衡交付金その他の問題にも関係して来るということで、これは地域のただ官公庁の職員のみでなくして、もうすでにこれは地方の各種機関の者が非常に熱望しておる問題です。即ちこういうような状態を勘案されるなら、人事院は公正に早くやつてしまわないか。これを政治的になぜ引延すかということを私たちはこう考えておるわけですが、この点につきまして……。
  148. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 人事院がまだ勧告をいたしませんのは、何ら政治的意味は持つておりません。いろいろと流言浮説がございまして、実は甚だ迷惑をいたしております。人事院が勧告をまだいたしませんのは、まだ操作が済まないからでございます。只今一番一苦心いたしておりまするのは、高い割合で支給をされておりまする都市と、その隣接町村との問題で、全国的に亘りこの問題と取組んでおりまするので、実は遅れておる次第でございます。更に詳しく申上げますれば、大きな都市のすぐ隣接しておりまする町村が、何ら地域給を支給されないというようなことに相成りますると、非常に不公平になつております。そこでだんだんぼかして行くという操作がどうしても全国的に必要ではなかろうか、さように考えております。まあそういうような実は技術的な問題で非常に苦心をいたしておりますので、地方選挙云云と申しまするようなことは全然人事院としては考えたこともございませんし、これは無関係でございます。
  149. 内村清次

    内村清次君 時期の点につきまして、この国会中に勧告されるかどうか、この点を……、又いつ頃にその時期はなる見通しか、この点について……。
  150. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 実はその点でございまするが、この国会中に勧告し得る段階に達するかどうかはここで明言をいたしかねると存じます。ただ人事院といたしましては、できるだけ早く勧告をいたしたいと、かように考えておることは間違いないのでございます。
  151. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 人事院は、この間の人事院月報第五号で、昭和二十五年度予算における国家公務員一般職の職員一人一カ月当り平均給與額をお出しになつておりますが、今度提出されておる二十六年度予算について、これをどういうふうにお考えであるか、どう算定されたのかそれをお伺いしたいと思います。
  152. 淺井清

    政府委員(淺井清君) まだそういう計算をしたことはございません。
  153. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 その計算を早急にして頂いて、今はそれを出して頂かないと予算の審議に非常に差支えるのでありますが、早急に出して頂けるようにお願いします。
  154. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 折角のあれがございましたが、かようなことは人事院としてやるべきではなくて、むしろ大蔵省方面でやるべきことかと思つております。人事院といたしましては、大蔵省で以て現行の給與法に基いて組まれました予算に、何ら疑問を差挾んでおりませんので、さようなことを急速にやろうという考えかたは持つておりません。
  155. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 私の聞きたいのは、大蔵省にもその資料は要求いたしますが、人事院としても給餌行政の実施に当つておられる官庁でありますから、担当官庁として当然に二十六年度予算において、予算としてどの程度のものを確保されておるかということは御検討になつて然るべきだし、我々にもそれを是非お示しになる義務があると思いますが、如何でございますか。
  156. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 折角の御発言ではございましたが、人事院といたしましては、やはり政府機関の一部でございまするからして、予算説明というような意味の資料というのならば、これは大蔵省から御提出申上げるのが至当であろうかと考えます。
  157. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 では大蔵省にお伺いしますが、その資料を至急に出して頂けますか。
  158. 河野一之

    政府委員(河野一之君) おつしやる意味が私によくわかりかねるのでありますが、給與の單価は今回改正されました給與法に基いてやつたのでありまして、予算書の各日に現給單価積算が書いてございます。それで御覧頂きたいのでありますが、どういう意味でございましようか。
  159. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 各省別或いは各局別には單価が出ているか知れませんが、全体として国家公務員の一般職全体として平均当りどうなつておるか、例えば職員の基本給において、それからその他の諸手当において、基本給においても職員の俸給において、扶養手当において、勤務地手当においてどうなつているか。それが実は予算書で私若干拾つて見たのですが、よくわからないので、政府のほうから簡單なはつきりした見通しの資料を頂きたい。
  160. 河野一之

    政府委員(河野一之君) これは何と申しますか、なかなかむずかしいのでありまして、年度内に人員の増減がございまして、給與も、人が殖える場合におきましては、一年分組んでおるわけでもございませんし、そういつた関係で平均的な予算人員を出さないといかんわけです。これは相当手間をとりますが、方針といたしましてはこの前の国会において申上げましたように、昨年の暮における公務員全体の平均が六千九百七十三円、これを新給與法によつてやりますと七千九百八十一円ということで千八円殖えておる。そういうことで各省別をやつておるのでありますが、大体のところを申上げますと、先ず俸給が六千百七、八十円ではないかと思います。それから扶養手当が八百五、大十円、それから勤務地手当が七百六十円ぐらい、これに特殊勤務地手当が二百円余り、こういうふうなことになるのではないかと思います。これは、正確な計算については、相当時間を要しますので、大体の推定と御了承願いたいと思います。
  161. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 俸給が幾らですか。
  162. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 俸給が六千百八十円ぐらいであろうと思います。
  163. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それは一般会計、特別会計引括るめてですか。一般会計だけですか。
  164. 河野一之

    政府委員(河野一之君) いわゆる国家公務員としてのものでありまして、一般会計、特別会計を含めてであります。何と申しますか、一般職のものです。
  165. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうしますと、先も人事院総裁からのお話もあつたのですが、現在勤務地手当としては七百円程度だろう、或いは今の局長のお話によると七百六十円程度だというふうなお話でありますが、これは前の昭和二十五年度予算における平均は八百二十二円というふうになつておると思うのですが、それに比較して絶対的にも切下げられておるというふうに考えていいのかどうか。
  166. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 大体前の数字はその程度かも存じませんが、勤務地手当の率を御承知のように五%づつ下げましたので、それに同じ千円の中の配分の問題としては、勤務地手当が減つて俸給がより以上殖えているという関係になつております。扶養手当もその通りであります。
  167. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それから先ほど内村委員の質問に対して人事院総裁のお答えでは、CPI十一月までの数字しかわかつていないのでというお話ですが、その十一月のCPIを基礎にした場合に、職員が最低生活を営むために要する費用をどれぐらいと算定されるか。従つて俸給、扶養手当その他を引括るめた給與額の平均をどれぐらいとお考えになつておるか、その点を御説明願いたいと思うのであります。
  168. 瀧本忠男

    政府委員(瀧本忠男君) 先ほど総裁が答えられましたものは標準生計費でございます。CPIではないのであります。そのことを最初にお断わり申上げたいと思うのであります。で我々のほうにおきましては、給與ベースの勧告をいたします際の資料といたしまして、先ほど総裁のお話のありましたように、民間との給與の権衡ということを図ることと、それから標準生計費を算定することと、この二つによつてつておるのでありまするが、その数字がどうなつているかと申しますならば、昨年の五月におきまして三千三百四十円、これが今の日本経済の許します標準生計費というふうに考えております。十一月におきましてこれが三千六百八十円と相成つておるのであります。この上りが一〇・五%ということになつております。併しながらこの年間を通じまして、いろいろこういう生計費の変動を見ておりますると、季節変動というものがあるのであります。十一月頃におきましては、人事院の研究によりますると七%程度この年間の平均より上るというのが通常になつておりますので、これを差引いて見ますると三・五%程度の赤字になつておる、こういうふうに考えております。
  169. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それを基礎にしていわゆる給與月額を平均的に考えるとどれくらいになるのですか、どういうふうにお考えになりますか。
  170. 瀧本忠男

    政府委員(瀧本忠男君) 従いまして昨年の五月に八千五十八円の勧告をいたしたのであります。これが約三・五%ぐらい十一月現在においては増額になつておればいいのではないか。まあ併しながら人事院が勧告いたすということになりますると、国家公務員法二十八條の條章に照しまして、人事院が五%程度上げ下げする必要があると認めた場合に勧告いたすのであります。こういう統計数字の示しまする数字が五%になつたならばやるということにはなつておりません。
  171. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 十一月においてすでに仮に季節的な変動を除いて三・五%上りになつているとすれば、その後十二月にも相当上つているし、一月、二月は消費財の上昇が相当大きくなつていることがすでに統計的に現われているのですが、従つて三月年度末においてすでに五%程度のものは上ることは、季節的な変動を除いても確実だということに結論がなるのじやないかと思うのですが、従つてそうなると年度内或いは年度始め早々にもう一遍勧告をされなければならない必然があると思うのですが、その点はどういうふうに見通しておられるか。
  172. 淺井清

    政府委員(淺井清君) その点は度々お答えを申上げましたが、人事院といたしましては利用すべきデータでだけしかここでものを言うことはできないのであります。その後上つておるであろうとの御追及がございましたが、上つておるであろうということは人事院としてここで発言することはできません。それは結局物価の問題に相成つて来るわけでございます。この点はどうぞあしからず御了承を願いたいと存じます。
  173. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると私は物価上つているであろうというよりか、すでに物価調査そのものではすでに上つているのだが、更にどういう資料で、それじやそれが確定しなければ上らないというふうにお考えになつているか。或いはそういう間接的な資料では駄目なんでもう一遍実態調査をするということをお考えになつているのかどうか。
  174. 瀧本忠男

    政府委員(瀧本忠男君) 只今我々が入手しております資料は昨年の十二月までの資料を入手しております。目下そういう資料を入手しておりますので、同様の方法によつて当時の生計費を計算しております。併しこれはまだでき上つておりません。又一月以降の問題につきましては標準生計費を計算する資料をまだ入手しておらないのであります。従いましてそういうものができれば、勿論我々としまして標準生計費を計算いたしますから、その上で人事院が勧告するという、こういうことになる。
  175. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると必らずしも実態調査をおやりにならないで、そういう生計費、或いは一般物価消費財物価の調査から間接的にそういう最低生活費を出して、それで若し五%以上になつたら勧告するということに扱われるかどうか。
  176. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 実態調査というお尋ねがございましたが、只今給與局長の申上げましたのは、実は最も正確なる実態から出ている資料であるように思つておりますので、人事院は六千三百七円の勧告以来ずつと一定して使つておる権威ある資料がございまするので、これを離れて実態調査云々というようなことはないのでございます。
  177. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それは私は実態調査といつているのは、あなたがたのほうで去年五月民間の給與実態調査をなすつたのですが、そういうものは改めておやりにならなければできないというお考えなのか。それとも政府の諸種の間接的な資料の算出の七でそれがやれるとお考えになつているかどうかということであります。
  178. 瀧本忠男

    政府委員(瀧本忠男君) 民間の給與につきましては、昨年五月に実態調査をやつております。それから第四回分といたしまして昨年九月につきまして調査をやつております。これは目下集計中でございまして、恐らくは四月中旬ぐらいまでにその結果が判明するだろうと思つております。本年の五月分につきまして、六月にやはり定例的に民間の実態調査をやる予定でおります。
  179. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それでその実態調査を、例えば九月のものもまだ集計ができないようだし、或いは従つて又五月くらいのものはずつとあとにならないと実態調査の結果がわからないと思うが、そういうものがわからなければ勧告は出さないというふうにお考えになつているのか。それともそういう実態調査の結果を待つまでもなくその他の統計数字から最低生活費が出て来る。その計算的な最低生活費でも勧告をされる意思があるかどうか。
  180. 瀧本忠男

    政府委員(瀧本忠男君) 人事院といたしましては、従来勧告いたします際に、先ほど総裁からもお話がありましたように、民間給與の状態というものとの均衡をとるということと、それから標準生計費の問題と両方でやつております。従いましてこの資料か両方揃いませんとできないであろうというふうに考えております。
  181. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 ただその民間の資料が揃わなければということになると非常に遅くなると思うのだが、必ずしも実態調査でなくても、例えば賃金調査、その他があるので、そういうもので民間との均衡の問題もわかるわけなんです。そういうものでおやりになつて、時間的なズレを、非常に遅れてからでなければ勧告をしないというような、そういう何というのか、非常に遅れたやり方でなしに、もつと早く適正なものを出すというような御意思があるかどうか。
  182. 瀧本忠男

    政府委員(瀧本忠男君) 民間の給與調査があるというお話でございますが、これは労働省でやつております毎月の勤労統計というようなものがございます。併しながらこれはその傾向、民間給與がどういうふうに動いているかという傾向を見るに足る程度のもので断りまして、我々の方の資料といたしておりまするものは、これは職種別に、どういう職種がどういうふうな賃金の算定になつているかということを詳細に調査いたします。そういうものに基きまして、例えば公務員のうちの十五級に相当するもの、或いは十四級に相当する民間のもの、こういうような職種に芸当いたしておりますものの賃金がどういうふうになつているかということを詳細に調べまして、そうして両方の均衡をとるのでありますから、いろいろ給與調査はございまするが、我々の目的のためには使われないのではないかというふうに考えております、
  183. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると九月の実態調査をおやりになつて、それが二月も過ぎてもまだ計算が上つていないというようなことになると非常に遅れるわけですね。従つて今度五月におやりになつても、その結果がいつ頃わかるのか知らんが、すでに三月なり四月からは、そういう差が非常にひどくなつており、非常な、生活を守るという点においては片手落ちのあることが実際には行われておりながら、それがただ單に資料が揃わないからという意味において、その負担を数カ月国家公務員に負わすというような結果になるのじやないか。それでもいいというふうにお考えになつているかどうか。
  184. 淺井清

    政府委員(淺井清君) その点でございまするが、成るほど御尤もとは存じまするけれども、最前申しましたように国家公務員の給與というものは、国民全体の重い負担の中から出ておるということでございまするからして、正確な資料に基きまして給與の上げ下げをいたしませんと、これは政府といたしましては、納税者たる国民にも相済まざることのように思います。
  185. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) ちよつと附言いたします。今のを私が質問するのですが、勿論給與の問題、納税者からの問題ですが、ただ今までいろいろな質問を聞いておりまして、問題点はこういう点にあるのですよ。実態調査にしろ、実相の統計的な把握ですね、それをもう少し早くやれないか、三カ月も四カ月もこれをおいちや困るじやないか。これを一カ月か一カ月半ぐらいの間にやれないか、そういう心構えでやつておられるかどうかという点が質問の重点じやないかと思います。私から一つ質問します。
  186. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 誠に御尤ものお尋ねでございまして、できるだけ速かに集計はいたしておりまするが、正確なる集計というものは、決してすぐにできるものではないのでございまして、人事院といたしましては、お尋ねを待つまでもなく、できるだけ速かに結論に達したいということは少しも間違いのないところでございます。
  187. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それなら、手続の問題で正確に確定し得ないからきめられないというだけの問題であつて、その手続の問題故に国家公務員に犠牲を負わしていいということにはならない。従つて確定ができないならば、確定のきまつたときに更にそれは遡つて給與を支抑うように措置することを勧告さるべきだと思うのですが、そういうことまで配慮しておられるかどうか。
  188. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 甚だお言葉を返して恐れいるのでございますが、正確なる資料に基かざる我々が行動をいたしましたときは、これは国民全体の犠牲を増すことにも相成りまして、これは申し訳のないことだと我々のほうは考えております。
  189. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 だから私は不正確なものでやれとは言わない。併しきまつたならばすでに五月なら五月にそういう’ふうになつているということがはつきりわかつたならば、その結果がわかるのほ今のあれで言うと、九月のやつもまだ二月が過ぎてもわからないのだから、五月のやつは何月になるかわかりませんが、非常に遅れて出て来る。遅れて出て来てから、それを勧告されて、勧告と同時にそれが実施されるとか、或いは勧告されてから更にあとで実施されるとかということになつて、それまでの間は手続のために徒らに国家公務員に犠牲を負わしているということになるじやないか。それをどう補償しようとお考えになつているかという問題を聞いておるのです、
  190. 淺井清

    政府委員(淺井清君) もう一度お言葉を返すようなことに相成りまするが、手続の問題と仰せられましたが、これはどれほどの負担を国民に増させるかということをきめる手続でございますから、決して軽卒にはいたしかねると存じます。只今委員長から代表質問を頂きましたが、人事院が成るべく速かにこの結論を得たいということ は、少しもお尋ねとお答えとは齟齬していないと存じます。
  191. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 今統計的な数 字を整理するのに何カ月もかかつているようですが、これをもつと早くやつ て、公務員に無益な負担を負わせないように、而も正確にこれがやれて、国 民のほうにも不当の負担を負わせない、そういう途があると思いますが、それについてどういう御努力をされておられますか。
  192. 瀧本忠男

    政府委員(瀧本忠男君) 九月の資料は、これは少し範囲を拡げまして厖大なものをやつたのであります。実を申しますると、我々は給與準則というものを今後作らなければならない。これは先ほど総裁からお話がありましたように、職階制に基いて新たに給與準則というものが作られることになるのであります。その準備といたしまして九月に行いました。併しながらこれは人事院といたしましても懸命にやつておるのでありますが、やはり集計費の問題でありますとか、いろいろな関係がございまして、我々の力一ぱいやつて おるのでありますけれども、その集計がいささか遅れておる状況でございます。併し昨年の勧告は八月に行われたのでありまするが、そのときにはやはり昨年の五月に調査をいたしたのであります。これは非常に短時日でできております。我々が本年の五月に行いまするものも、予算関係で割合短時日にできるのではないかと思つております。
  193. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 先ほどから、給與敗訂の勧告をする場合基礎となるものは、標準生計費と、それから民間給與を睨み合せてやると、こういうお話でしたが、標準生計費ですね、これはどういうふうにして算定されるか、その算定の仕方をちよつと伺つて置きたい。
  194. 瀧本忠男

    政府委員(瀧本忠男君) それはもうすでにお手許に資料として御提出申上げてあるのでございますが、人事院月報にも載つておりますし、八千五十八円の勧告をいたしました際にも、詳細にわたりまして標準生計費の算出の方法の説明はいたしてあるのであります。簡單に申上げますと、やはり現在の、と申しまするか、国民が消費し得る量というものがあるわけであります。そういうものを基礎にいたしまして、そうしていろんな経済安定本部で策定しておりまする国民の攝取し得る量というものがございますが、そういうものを基礎にいたしてそれにCPSから求めます価格を導入いたしまして、そしてそれをお読み頂きますればよくわかるのでございまするが、標準生計費は算出しております。マーケツト・バスケツトと、いうものを作りまして……。
  195. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 そこで内閣統計局で作つておるCPIですか、これをやはりお使いになつておるわけですな。
  196. 瀧本忠男

    政府委員(瀧本忠男君) 標準生計費を算出いたしまする根幹には使つておりません。ただ標準生計費を算出いたしまする際に、食糧費以外のもの等につきまして若干そういうものを間接的に用いておる部分があります。併しなから我々が標準生計費に使つておりまするものは、価格そのものでございますから、CPIは余り関係がないというふうに存じております。
  197. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 政府生活扶助費の基準予算として算定しておるものがあるですね。そういうものは全然それと無関係なんですか。例えば生活扶助をやる場合の基準予算というのがあるですね。これは最低生活です。そういうものは、全然人事院は参考にされていないですか。
  198. 瀧本忠男

    政府委員(瀧本忠男君) そういうものは、参考にいたしておりません。
  199. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それから先ほど人事院総裁ば、国民の負担を考えると軽々にそういうものを出せないとおつしやつたのですが、そのことは一般の国民としてはわかるのですが、人事院総裁としてそういう予算の問題までお考えになる必要があるのかどうか。人事院総裁は責任を逃れる場合は、それは予算の問題ですから私の管掌するところでないから大蔵省にお尋ね願いたいとか、国会で適当におきめ願いたいとか言つておられると思うのですが、従つて私たちから言えば、人事院総裁はただ国家公務員の生活を如何に守つてやるかということに專念して頂けばいいので、それが国民の負担として妥当かどうかということは、おのずから別なところで判定すべき問題だと思うのですが、そういう見地から公務員の給與問題をきめようとしておられるのかどうか。そういう配慮を人事院総裁としてされることが妥当なのかどうか。その点をお答え願いたい。
  200. 淺井清

    政府委員(淺井清君) これはお尋ねが、私がお答え申しましたのと、少し外れておりはしないかと存じます。最前お尋ねの中で早く勧告をしなければ、公務員の犠牲が増すではないかと仰せられましたから、軽卒なる勧告をいたせば国民の犠牲が増すと申述べたばかりでございまして、人事院が公務員の立場を保護することにあることは申すまでもございません。
  201. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 若木君いいですか。
  202. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 いいです。
  203. 東隆

    ○東隆君 人事院総裁は、或いはそれは私の権限外だと、こういうふうに言われるかも知れませんが、私は治安の関係考えて見ますと、公務員の関係は非常に重大な関心があると思います。が、殊に警察官関係でございますが、これは再軍備ができない日本とすれば、警察予備隊、或いは地方の警官こういうようなものによつて今後の治安が護られて行くと、こう一応考えなければなりませんが、終戰後に一応警官関係は号俸ですか、こういうものが改訂をされてよくなつたように聞いておりましたが、今度の関係では殆んどこれは見られないので普通並みになつて、又昔のような状態に還つたのじやないかと、こういうことを一応考えるのでありますが、私は上級の者については余り多くの関心を持ちませんけれども、下級の警官等に対する或る程度の職務給、その他の方面においての待遇を考えなければ、これはなかなか今後の治安の維持、こういうようなものは私は困難じやないかとこう考えるのであります。殊に一般庶民に直接接して、そうして弱い者には権威を以て臨み、強い者にはおべつかをすると、こんなようなことになりましては、私は非常に困つたことになる。殊に暴動だの、何だのが起きたときには、私は民衆は逆に警官のほうに味方をしないようなことが起きるのじやないか。これは大きなマイナスになるとこう考えるのですが、この点についてこれらの下級の警官等に対してどういう考え方をお持ちになるか。又これともう一つ同じような問題でありますが、これは收税吏ですが、税金を取るほうの役人でありますが、これも下級の税金を取る者ですが、これが各方面を廻つて、そうしていろいろなことをやるわけであります。この場合にやはり弱い者には相当強く当つておるようでありますし、強い者にはこれはやはりおべつかをするような、或いはいろいろな忌わしいことが行われて、そうして合法的な脱税というようなものも行われる、こういうことがあるわけであります。こういう面を私はなくして行くためには、やはり相当待遇の面においても考えて行かなければならない。恐らく人をしよつ引いたり、岡つ引き根性でやられたり、或いは寄附をもらいに行くだけでも余りいい気持がしないのに、税金を取りに行くのは余りいい気持のものじやないと思います。こういうような場合に私は大分ほかの職種と違つておるところに働いておる人たちに、私は品性その他の方面においても相当な向上をしてもらわなければ、これは本物にならんとこう考えますが、そういう面において人事院総裁はどういうことをやればいいのか、こういう点についてお考えになつておると思うのですが、それをお聞かせ願いたい。
  204. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 只今警察官吏並びに税務官吏の規律についてのお尋ねがございましたが、これは私からお答えを申すべき筋合ではないと存じます。ただ待遇の問題に関しましては、すでに御承知のごとく給與法上この二つの職種は特別俸給表の適用を受けることになつておる。即ち優遇の途がそこに開かれておるということはお答え申上げることができると存じます。
  205. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 一つだけ……。先ほど来の質疑応答で明らかになつたわけでありますが、人事院のいわゆる絵與を上げる條件を定めるために相当の手続の期間を要する。ところが物価とか或いは標準生計費というようなものがどんどんどんどん先に走つて行く。そこに非常なギヤツプがあるということが明らかになつたと思うのであります。そうしますと人事院から勧告されるところの給與ベースというものは、極めてこれは権威のない、あてにならないものではないか、こういうふうにも考えられるのであります。人事院としては、この手続とかそういうことに捉われ過ぎて、このいわゆる公務員の生活の実態というふうなものに対しては、余りにも手続に捉われて同情がないように私は考える。その点について、実際今まで人事院でこういうふうな給與ベースを定めて、その点を考えて悩みがなかつたかどうか。或いは今後これを改正しなければならないかどうかということについてお考えがあるかどうか、その点についてお聞きしたい。
  206. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 只今の御主張を推し進めますれば、結局民間の会社でやつているようなスライド制を採用いたすほかはないところまで参るかと存じます。併しながら国家公務員の結與にスライド制を採用いたしまするということは、これは内閣予算編成権、或いは国会の予算審議権と抵触いたすようなことになろうかと存じます。只今人事院の勧告が遅れていることだけを御指摘に相成りましたが、仮に人事院の勧告制度がないといたしましても、やはり給與法の改正案を国会に提出いたし、或いは議員のほうからの御発案を待ち、これに対する予算を編成いたし、その間に物価はどんどんどんどん上つて行くではないかということにも相成りますので、これは国家の制度と民間の会社との違いのように存じます。
  207. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そうしますというと、今の御答弁から考えてみますれば、今の方法によるよりこれは是正する方法はあり得ない、こういうように総裁はお考えですか。
  208. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 只今国家公務員法二十八條の制度は、スライド制の精神を採り入れたものである、而もそれは憲法の許す範囲において採り入れられてあるように存じておりまするから、これはないより只今の方がよいかと存じます。
  209. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 昭和二十六年度のいわゆる政府賃金体系八千円ベース、これで以て実際において公務員は生活できるとお考えであるかどうか、その点についてお伺いします。
  210. 淺井清

    政府委員(淺井清君) その点は、ここに生活できるかどうかということは、来年のこの会計年度の終るまで生活ができるかどうかということであろうかと存じますが、それは将来のことは私は何とも申上げることはできません。併しながらこの点に関しましては、最前から縷々申上げましたように、人事院といたしましては、絶えず研究をいたしている次第でございます。
  211. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十八分散会  出席者は左の通り。    委員長     波多野 鼎君    理事            石坂 豊一君            平岡 市三君            佐多 忠隆君            伊達源一郎君            櫻内 義雄君            東   隆君            木村禧八郎君            岩間 正男君    委員            泉山 三六君            大島 定吉君            白波瀬米吉君            長谷山行毅君            一松 政二君            岩崎正三郎君            内村 清次君            加藤シヅエ君            山田 節男君            原  虎一君            若木 勝藏君            高良 とみ君            西郷吉之助君            新谷寅三郎君            高橋龍太郎君            深川タマヱ君            一松 定吉君            堀木 鎌三君   委員外議員            三浦 辰雄君   国務大臣    通商産業大臣  横尾  龍君    国 務 大 臣 周東 英雄君   政府委員    人事院総裁   淺井  清君    人事院事務総局    給與局長    瀧本 忠男君    特別調達庁長官 根道 廣吉君    特別調達庁長官    官房財務部長  川田 三郎君    大蔵省主計局長 河野 一之君    大蔵省主計局次    長       石原 周夫君    農林政務次官  島村 軍次君    農林省農政局長 藤田  巖君    農林省農地局長 平川  守君    農林省農業改良    局長      小倉 武一君    林野庁長官   横川 信夫君    通商産業省通商    纎維局長    近藤 止文君    経済安定本部総    裁官房次長   河野 通一君    物価政務次官  郡  祐一君    物価庁第一部長 渡邊 逸亀君    物価庁第二部長 長谷川 清君    物価庁第三部長 川上 為治君   事務局側    常任委員会專門    員       野津高次郎君    常任委員会專門    員       長谷川喜作君   説明員    物価庁第一部総    務課長     高橋 時男君