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政府委員(熊田克郎君) 先ほど対外
価格より非常に
日本が
上つているという点がありましたが、この問題につきましては対外
価格が事変前にどうであ
つたか、それから
日本の
物価の
動向がそれ以前にはどうであ
つたか、という点を少しく振返
つて見ますと、対外
価格のほうは
アメリカはそれ以前に相当
騰貴をいたしております。
日本は下
つております。
従つて相互間の開きが大きいという点もございますので、ちよつと補足して申上げたいと思います。それから今後
インフレになるのではないか、こういう憂慮すべきものがあるのではないかというような質問でありましたが、将来
国際物価がどうなるかということは別といたしましても今日のところ
価格騰貴をこの水準だけから見ますと相場は
上つておりますが、その場合に
輸入の
価格が上り、同時に
輸出の
価格が
上つておるというような点を
考えますと、いろいろ
インフレの
影響というようなことについて、個別的にどこに問題があるかということは、更に研究して見なければならん問題であると思うのでありまして、單に
上つたから、こう申してその
通りインフレであると申せるかどうか。即ち憂慮すべき
インフレであるかどうかという点について問題があろうかと存じます。今後のどうしたらいいかというような問題につきましては
輸入を増進する、それから
生産を増強する、それから多少
輸出が出過ぎるものについてはそれの調整を図るというようなことが
考えられておるわけでありまして、輸人につきましては御承知のようにいろいろな
輸入の
為替を附与する制度を強力に行いなして、それがなかなか効果を現わしませんでしたが、十一月以降
只今はつきりした
数字は出ておりませんが、相当
輸入増加にな
つておるように思います。尤もその間に
国際価格も
上つておるのであるから、
輸入の
数字が増加しているが、それほどには殖えておらんのではないかという点が問題になろうかと思いますけれ
ども、十二月頃に入るまでは既契約のものなどは安い物がありますし、又最近の
国際物価の
騰貴率、或いは船賃の
騰貴率ほどは
上つておりませんでしたので、金額の増加が或る
程度量の増加を反映しておるものと
考えられます。例えば綿花、羊毛のごとき相当の
輸入があ
つたことは御承知の
通りで、契約があり、船の調達もできておることは御承知の
通りでありますが更に
輸入の増加を背景といたしまして
生産を増強する。御承知のように昨年来
生産は非常に殖えまして、
安本の
生産活動の統計によりますと、
昭和七年——十一年を基準といたしました
数字は、二十四年度九六二十五年度が大体一一六、今年度におきまして一二八というふうに
考えられておりますが、この一一八がその
通り達成し得るかは別といたしまして、相当これに近いところまで達成し得るものである。
従つて相当
輸入を増進いたしましても、
国内の供給も十分
上つて行く、こう
考えられるわけでありまして、更に
輸入以外の
価格を
統制撤廃いたしまして、
国内の或る種の
商品の例えば
鉄鉱石であるとか、硫黄、硫化鉱というようなものの
増産を図ることを目途といたしておるわけでありまして、なお先ほどちよつと
輸出につきましてこの
余り出過ぎるために
国内の供給が十分でないと
従つて思惑の乗ずるところとなるというようなものにつきましては多少の調整を行う必要があるということを
考えて、そういう施策がとられるものと
考えます。
〔
委員長退席、理事藤野繁雄君
委員長席に着く〕
従つて全般的に、要するに
価格の点でなく
価格統制だけで事を処理しない、実際に
需給の面を調整することによ
つて、今の
マル公に比較しますと
騰貴はするかも知れませんが、全体の実効
価格において上げない。尤もその場合において
国際価格の変動とか或る
程度影響を、相当
影響することは勿論でありますが、実効
価格を不当に上がらないようにする、
需給面においてこれを調整するというふうに
考えておるわけであります。ところで
国際物価の問題はどうなるかということであります。これは大きな変動
原因であろうと
考えます。同時に船舶の問題も大きな
原因であり、
輸入の確保が困難ではなかろうかというようなことから
思惑が起
つておるということも
考えられるのでありますが、世界の
物価が大きな軍拡を背景としておる以上将来強気であることは勿論でありましようが、直ちにどんどん今までと同じ速度で上るということもどうかと思いますし、又最近の
価格騰貴の
原因であるところの船
運賃というものが十二月から一月にかけて相当上りましたけれ
ども、それがその
通り上がるということは
考えられませんし、最近は多少の
騰貴率の緩和を見ておりますので、どんどん上ることを
考えるのはどうかと、こういうふうに
考えます。