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1951-02-20 第10回国会 参議院 予算委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月二十日(火曜日)    午後一時四十九分開会   —————————————   本日の会議に付した事件昭和二十六年度一般会計予算内閣  送付) ○昭和二十六年度特別会計予算内閣  送付) ○昭和二十六年度政府関係機関予算  (内閣送付)   —————————————
  2. 東隆

    ○理事(東隆君) それではこれから会議を開きます。  今日は日程から申しますと、文教治安でありますが、文教関係はまだ見えておりません。それで治安関係のはうで見えておりますので、法務総裁大橋武夫君、それから警察予備隊本部次長の江口見登留君、それから法務庁経理部長岡原昌男君、それで例によりまして法務総裁のほうから御説明を願います。
  3. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 治安関係の問題につきまして大体の御説明申上げます。順序といたしまして先ず法務府所管の部分から申上げたいと思います。  法務府の所管におきましては先ず検務局の関係でございまするが、検察に関しましては、勿論検察の機能を整備充実し、且つその運用を機動的ならしめまして、いり如何なるときにおきましても、事件の発生に対処し得るようにいたしますることが肝要だと存ずるのであります。そのためには第一に検察庁の職員の員数を充実いたすということ。第二には検察庁物的施設を充実いたすということ。第三には検察庁の全般的の予算を充実いたし、且つその運用をできるだけ機動的ならしむるというこの三つの事柄が必要だと存じたのであります。今回の予算案におきましては、このような考えの下に立案いたしたのでありまするが、もとより財政今般の事情もありまして、結果は十分とは申しがたいのでありまするが、足らざるところは運用の工夫によりまして対処いたしたいと存ずるのであります。先ず人員の充実につきましては、消極面の対策といたしましては直接予算と関係がないのでありまするが、戰後におきまする検察庁の手不足ということは顯著な現象でございまして、この原因は、一つは犯罪の激増であり、他は簡易裁判所に対応いたしまするところの区検察庁というものが新たに設けられまして、検察の機能が全国各地の辺鄙な地方にまで分散をいたしたいということであります。簡易裁判所の新設は、以前の警察官による違警罪即決の弊害を除き、新憲法におきまして、身柄の拘束について令状主義をとりましたことに即応いたして行われたのでございまするが、その結果は必ずしも検察官一人前の仕事のない地域にも一人は検察官を配置しておかなければならない。そのために検察の力が分散いたし、且つ或る意味で無駄を生じたのであります。これは誠に勿体ないことでありまして、前の臨時国会におきまして御審議を願つた裁判所法の一部改正は、簡易裁判所従つて区検察庁管轄事件の範囲を拡張し、一面事件処理簡易化を図りますと共に、他面このような無駄を省き、両者を以て今般的な審理の促進を図ることを目的といたしたものであります。即ち限られた人員を最も有効に使うということでございまして、これが先に申上げました人員拡充消極面の対策であります。  次に、人員充実積極面の対策といたしましては、増員でございまするが、本予算案におきましては、副検事四十四名の増加をお願いいたしているのであります。ここで最近の犯罪情勢について一言申上げますると、終戰後毎年検察庁において受理いたしまする被疑者の総人員は、昭和二十一年約七十万人でありましたのが、漸次増加して昭和二十五年には三倍の約二百十万人となつており、戰前の例えば昭和元年から昭和十九年までの平均でありますが、約五十九万人に比較いたしますと、実に驚くべき増加であると存ずるのであります。尤も一般的の犯罪は昨年あたりから若干減少し、且つ強窃盗が減少し、その余分を以て詐欺横領等知能犯の検挙が前より活溌に行われるという傾向を示しておるのであります。これは終戰後の異常な状態から次第に平常時の犯罪の構成に返りつつある徴候と見られるのでありまして、やはり経済の安定に伴い人心も又幾分なりとも落着いて参つておると存ずるのであります。併しその半面御承知のように最近共産党員及びこれと同調する一部の朝鮮人等の策動が惡質化して参りまして、これらによる暴力主義的犯罪が多数発生を見るに至りまして、且つこの状態は今後も或る期間続くものと予想いたしております。これは国家治安の上から申しまして極めて重大なことでありまして、これらの事案に対しましては的確にこれを鎮圧処断することが最も大切でありますので、警察力の充実もさることながら、検察庁も又十分の体制を整えなければならないのであります。これが検察庁の増員を不可欠とする理由であります。そしてこの際検察官の中でも、検事の増員が望ましいのでありますが、給源の関係で差当り不可能でありますので、次善の策といたまして副検事四十四名を増加いたしたのであります。  第二に、検察庁の庁舎及び物的施設の充実につきまして申上げます。  さて以上申上げましたように人員の面で窮屈でありますので、この限られた人員で多くの能率を挙げますためには、どうしても物的施設の整備が必要と考えられるのであります。その主なものは四つありまして、第一が庁舎、第二が通信施設、第三が運輸施設、第四が簡易な科学的捜査の施設であります。先ず庁舎関係から申しますと、検察庁は新憲法施行と共に裁判所から分離いたしましたが、従来の庁舎新営費が極めて少額でありましたので、未だ裁判所より名実共に分離したとは言い得ない段階にあるのであります。裁判所と同居の庁舎にありましては、お互いに執務上狭隘を告げ、中には裁判所より立退きを迫られている所もあり、又区検察庁至つては未だ開設を見ずに民衆に多大の不便をかけている所もあるような始末であります。庁舎が整備せぬために検察活動にも支障を来たしている実情なので、取りあえず二十六年度におきましても若干の庁舎整備を続行いたす考えであります。  次に通信施設につきましては、幸いにも昭和二十二年以来毎年度各位の御賛成を頂きまして、継続して参りました法務專用電信が昭和二十五年度中に各地方検察庁本庁と若干の支部に開通するに至りましたので、昭和二十六年度におきましては、とれを更に約十カ所の支部にも延長すべく計画し、その予算を計上いたしてあります。  次に運輸施設でありますが、これは主として自動車の問題であります。自動車は現在全国地方検察庁の本庁に平均二、三台と、二、三の大きに支部に一台程度の配置状況でありまして、検察の機動力発揮の観点よりすれば、誠に心細いものを感じておるのであります。例えば、事件が発生した現場へ検察官が出張いたしますのに、それが新聞記者現場到着よりも本遥かに遅れるというような事例も従来稀ではないのであります。又、先般来ときどき重大事犯の発生を見ております地方検察庁の支部、例えば福島検管内の平支部のごときも自動車を全然持つておらないのであります。そこで、検察庁にできる限り多くの自動車を配置いたしますことは今日の最も重要な問題の一つと考えるのでありますが、物が物だけに多数を一気に入手しがたく、又相当に経費もかかりますので、重点的に逐次整備して行く方針をとりまして、大蔵当局とも協議の上、昭和二十六年度予算中には地方検察庁に対し三十一台の購入経費を計上した次第であります。  次に、簡易な科学的捜査施設の点であります。御承知のごとく最近の犯罪者の中には、例えばいわゆる黙秘権の行使によりましてその氏名さえも判明しない者の数がますます多きを加えて行くように思われるのでありまして、かかる者に対して犯罪を捜査し、公訴を執行いたしますためには、検察庁におきましても写真撮影等簡易な科学的捜査施設の必要を感じておるわけであります。のみならず、すでにこの種施設を試験的に運営いたしました若干の地方検察庁におきましては、予想以上の成績を收めているのであります。このような考慮から、一昨年度予算以来の継続とも申上げられるのでありますが、昭和二十六年度におきましても若干の科学的捜査施設の経費を計上いたした次第であります。  第三に、検察庁のその他の予算について申上げます。その他の予算中検察庁の活動に極めて重要なものは検察費でありまして、捜査活動及び公判立会に要する費用はこの項目に含まれておるのであります。本予算におきまして、これは約四億円計上されており、これは二十五年度とほぼ同額であります。従いまして大体本年度と同程度の活動が可能と思うのでありまするが、本来これはその性質上予め予測することの困難な経費でありまして、若し不測の事態に立至り、年度の中途において不足を告げまする場合におきましては、大蔵省と協議の上予備費の使用の承認を受けて対処する考えでございます。  次に、これは会計の技術面に亘ることでございまするが、検察費は二十六年度予算案におきましては、部局を分けることなく、すべて声最高検察庁の部局一本に統合いたし、経費の支出を機動的に運用し得るように配慮いたしたのであります。なお検察関係の経費につきまして二、三つけ加えて御説明すべき点がございまするが、それは第一は密出入国及び密貿易関係の経費、第二はいわゆるマツカーサーライン違反及び麻薬事件関係の経費、第三は司法警察職員の指導に要する経費でございます。御承知のごとく近年密出入国密貿易等外国人が関係する犯罪が多くなつておるわけであります。一方日本人により犯されまする犯罪の中にも或いは漁船のマツカーサーライン侵犯といい、或いは麻薬事犯といい、その影響するところが国際的分野に亘る新たなる犯罪の発生がますます多きを加えつつあり、講和会議を目前に控えましてこれらの事犯に対する取締の成否が極めて重要な意味を持つことは申上げるまでもございません。このような観点から、二十六年度予算案中には国際犯罪取締に必要な経費及び麻薬事犯取締に必要な経費という名称の下にそれぞれ若干の予算を計上いたした次第であります。  次に、司法警察職員指導訓練の経費でございまするが、検察官といたしましては、全国の司法警察職員に対しまして第一次的な指導教養訓練の責任を負担いたしておるというわけではございませんが、併し司法警察職員の捜査の巧拙並びに当否は、それが人権に影響いたしまするところ大であることは勿論、検察官公訴維持に極めて重要な影響を持つものでありまするが故に、昨年度と同様一項目を設けてこの費用を計上いたしたのであります。  最後に、これは現在の予算案に直接関係ある話ではございませんが、目下准行中の刑事関係法律の立案又は改正と、それに要する経費につきまして多少御説明を申上げます。  刑事訴訟法及び少年法は過去二年間の運用に鑑み多少改正を要すべき点を認められるに至りまして、前者については目下着々改正を準備中であり、後者についてはこの国会において御審議を受けたいとかように存じておるわけであります。なお過去二年間の経験に徴しますると、刑事被告人中には時に法廷において裁判長の訴訟指揮権に服従せず、裁判所を侮辱し、法廷の秩序を欄乱することを以て得々たる者も見らるるに至りましたので、目下法務府におきましては、訴訟促進裁判所権威保持のために英米の裁判所侮辱制度に類似する法制を最高裁判所と協議の上立案中でございます。これらの法律改正又は制定が行われました曉には、多少の予質的措置を必要とするかと考えまするが、目下のところそれらの経費は必ずしも多額に上るとも考えられませんので、差当り予算案中には計上いたしておりません。将来補正予算予備費使用、その他の方法により対処いたしたいと考えておるわけであります。  次に特別審査局関係の事項について申上げます。我が国の自立を目前に控えまして、国民の民主的覚醒は高揚されつあるのでありまするが、現下の国際情勢の目まぐるしい変遷に伴いまして、直接間接その影響を受け、極右極左分子の蠢動を見ますことは、ようやく建設の緒に付きました我が国民主的再建を阻害するものでありまして、法務府におきましては、団体等規正令及び公職追放令により嚴にこれが動向を査察いたしまするは勿論のこと、各般の情報資料を蒐集検討いたしまして、綿密な調査を遂げた上、迅速且つ適切な措置を講じなければならないのであります。これに関する来年度の予算措置として次の諸点を申述べておきたいと存じます。  御承知のごとくこの両法令に関する事務は、その性質上政治、経済、文化等社会各般に亘り極めて複雑広範囲でありまするばかりでなく、対象となる団体及び個人は全国各地方に分布し、中には秘密潜行するものも少からぬ状況にありますので、職員を常時全国各地に配置し、随時随所に出張せしめることが必要であります。これがため昨年八月同局の職員を定員五百三十八名より千百四十五名に増加いたしたのでありまするが、来年度におきましても、この定員を承継いたし、機構を整備してその事務の遂行を期しておるのでありまするが、その後今日までの国家内外情勢の激変によりまして、本事務の万全を期するためには、近き将来更に同局に所要の増員をしなければならないように存ずる次第であります。  又特別審査局の発足は御承知のように昭和二十一年でありまして、日極めて浅く、且つ終戰後国家財政逼迫の実情に鑑み、これまで最低予算を以て処理し来つたのでありまするから、調査の機動的科学的設備や旅費が極めて不備不足でありました。この点本予算におきましても十分計上することができなかつたのは遺憾であります。早急にこれらの施設の繁備及び旅費の増額を図り、能率の向上を期するととが必要と存ずるのであります。  次は、都道府県知事に対しまして右法令に基き登録及び調査事務の一部を委任いたしておるのでありますが、これらに要する費用といたしまして、国より交付する補助金につきましては、国家財政緊縮の折柄止むを得ず大体前年度予算を踏襲いたしておるのでありますが、全国各都道府県市町村側からは切実な増題の要求を寄せられており、更に予算編成時以後におきまする事務量の急激な増加に鑑みまして、明年度はこの予算により果して賄い得るや否や疑いなきを得ない実情にありますので、事情によりましては、将来所要の追加措置を講じなければならないのではないかと存ずる次第であります。  なおここに附加えて申上げなければなりません点は、特別審査局におきましては、法務府設置法所定所管事務のほか連合国最高司令官の直接の命令にかかる特殊事務、例えば特定機関紙発行停止処分のごとき專務を担当いたしておるのでありますが、この事務については予算編成当時全く予想し得ないものであります。而してこれらの費用は結局既定の経費で賄なわなければならない事情にありますので、この点に同局の予算運用上特に御注意を煩わしたいと存ずる点であります。  第三に、矯正保護局関係について申上げますと、本年一月末日における刑務所收容者は九万五千五百十九名でございまして、本年度工事完了のものを見込みましても、收容定員はようやく七万二千六百二十五名に過ぎず、なお可なりの過剩拘禁の状態であります。明年度刑務所関係官庁営繕費によりまして二千四百五十八名分の増設を見る予定でございますが、今後とも各位の御協力を得まして、この過剩状態の改善緩和に努力いたしたいと存じておる次第であります。  昨年来目立つて参りました現象として、集団示威炭鉱争議占領目的違反完全就労官庁占拠生活保護、レツド・パージ、平和の声解散というような事件によりまして、全国的にこれらの集団事犯関係者を收容いたしておることであります。これらの收容者中には行刑施設内部におきまする秩序の撹乱を図る者があり、又同調者が外部から妨害するということもございまして、誠に容易ならざる時機に際会いたしておるのでありますが、各刑務所におきましては非番職員を動員いたし、又関係官庁の協力を得てその鎭圧に努めつある次第でありまして、こうした事態の推移を考慮いたしまして、昭和二十六年度予算案編成に当つてこれに対する要求をいたしましたところ、その一部といたしまして、重警備刑務所設置のための工事費四千万円、職員十八名及び警備機具整備費八百三十七万円について一応大蔵当局の予解を得た次第であります。なお法務府といたしましては、今後更に一層その措置拡充の必要を痛感いたしておる次第であります。施設の充実は刑務所治安重要條件ではありますが、予算の制約もございまするので、更にこれに従事する職員の数とその質の両面が相待つて初めてその完璧を期し得る次第であります。明年度予算編成におきましては、大蔵省と折衝の結果二百三十五名の増員の承認を得たのでありますが、現下の情勢から見て、これだけでは決して十分とは申し得ませんので、将来においても更にその増員を考慮いたさなければならんと考えております。これと同時にその素質向上に努め、数の不足を補うという必要を感じますので、中央及び地方の保護研修所におきまする養成訓練を更に一層充実いたすことにいたしておる次第であります。  次に、少年法対象少年は、その年齢を十八歳未満から二十歳未満に引上げることにつきましては、昨年来国会に対する固いお約束もありまして、いよいよ本年一月一日よりこれを断行いたした次第であります。その実施に当りましては、大蔵当局の理解あるお取計らいによりまして、少年院の教官その他四百六十人名の増員が認められましたが、受入態勢はなお決して十分とは申し得ないのであります。一面少年犯罪の最近の惡質化の状況をも考慮いたしまして、少年刑務所内に特別少年院を併置し得る措置をなお二カ年間延長いたしますると共に、十八歳以上の少年に限つていわゆる検事先議の処置を講じまして、施設人員の不備による不便を補ない、且つは治安の万全を期て参りたいと考えておる次第であります。  次に国家地方警察に関する予算についてそり大要を申上げます。要求予算の総額は百二十一億五千八百万円でありまして、前年度に比較いたしますと、十一億一千九百万円の増と相成つておるのであります。何分警察予算はその約半分が人件費でございますので、この増加額の大半は政府職員の一般給與改善に伴うものでありますが、これを別といたしまして、政府において特に重点を置きました点は次の諸点と相成つております。第一は新事態に応じます警察の能率を高めて参るために緊急の施設といたしまして、通信施設並びに機動力を強化いたしたいといろ点でございます。警察通信は警察の神経系統とも申すべきものでありまして、在来の有線電話施設の外に一応本部と管区本部、各府県相互の間に短波無線電信を設備した次第でありまするが、今後の治安状況からみまして、各県本部と各地区警察署の間、及び各地区警察署警邏自動車の間に超短波を装置することによりまして、常時本部と通信連絡を保ちつつ警邏いたしまするほか、犯罪現場に急行いたし直ちに本部との通信を確保すをことのできまするよう、又予想されるところの有線の故障とか妨害に備えることにいたしたいので、今年度実施いたしました四府県に引続き明年度においては十県に超短波を設置いたすことといたしたのであります。  次に、通信と並び警察活動に欠くことのできないところの機動力につきましては、明年度輸送車百三十七輌を中心といたしまして三百八十八輌を購入することとし、第一線の老朽車を変えて車輌の整備をいたしたいと存じておるのであります。第二には鑑識施設の強化であります。犯罪捜査科学化と申しますか、人権を尊重しつつ犯罪を撲絶いたしますためには是非とも犯罪鑑識施設を強化いたさなければならんと存じまして、指紋、手口、写真、法医、理化の方面に亘ります施設器材の強化を図りたいと存じまして、これに三億五千万円の経費の計上をいたした次第であります。第三は捜査並びに取締活動活撥化でございますが、旅費、捜査費等を中心といたしまして、警察官が取締及び捜査の実地の活動をいたしまするために九億八千三百万円を計上いたしました。第四は、警察官教養の拡充でございますが、何と申しましても、権力を行使いたします警察官が人格、技能にしつかりした教養を身に付けなければならんということは当然でございますが、警察大学幹部教養と相並びまして、管区警察学校及び府県警察学校におきまする新任巡査の教育並びに現任警察官の教育には十分力を注ぎたいと存じまして、これに五億六千五百万円を計上いたしたのであります。以上のごとく重点的な予算を組んだのでありますが、差迫つた事態につきまして考えますると、なお十分とは申し得ないのでありますが、併し一方におきまして財政上の制約を免れぬわけでございますから、この予算をお認め願いました上は、これが使用に当り一段と工夫を重ねまして、有効に活用いたしたい、かように存じておる次第であります。  最後に警察予備隊の概況について申し上げたいと存じます。昨年八月中旬、隊員の募集の開始と同時に全国において異常な反響を呼び、選抜に関しまして応募者総数約三十八万人を超えるに至つたのであります。これらの応募者に対しまして選抜試験を実施いたし、その合格者を昨年八月二十三日を第一回とし、隊次国家地方警察の各管区警察学校に入隊せしめ、十月十二日の第十一回の入隊を以つて七万四千余名の入隊を終つたのであります。その後病気その他の理由による退職者が相当数に達しましたので 昨年十二月中旬、右の補欠員の中から補欠募集を行い、約五百名を追加いたしました。これらの一般隊員警察学校より全国の予備隊訓練キャンプに隊次移転いたし、仮編成を行いまして各種の訓練を実施中であります。一般隊員の年齢といたしましては、十八才より三十五才までであり、このうち中等学校以上の学歴を有しまする者が総員の約半数でありまする三万六千各、又従軍の経歴のありまするものも約半数の三万八千各ということに相成つておりますります。  次に、幹部隊員の充員につきましては、二等警察士以上約五千人を予定いたし、そのうち上級幹部約二百はその職責に鑑み、特別選考により募集し、中級幹部のうち約八百は一般隊員同様一般募集を行い、選抜試験による合格者のうちより任用いたし、残余約四千の幹部はすでに一般隊員として入隊いたしておりまする者の中から、資格のある者に対して予備隊において昇任試験を実施して任用する方針の下に手続を進め、現在各階級別に見まするというと、これは一月十九日の現在でございまするが、二等警察士以上が約三千五百名、こういう幹部の充員の状況でございます。現在なお任用手続といたしましては続行中でありまして、三月末を目途として、階級別の充員を一応完了いたす予定と相成つております。特に現在なお部隊外から募集をいたしております者は、先般特に追放解除になりました若い海軍兵学校及び陸軍士官学校卒業者のうちで、希望者は特にニカ月間の訓練をいたしました後に幹部に任用いたしたいと、これが募集を目下やつておるところでございます。警察予備隊の編成の大綱を申上げますると、部隊の編成といたしましては、総隊、これは七万五千の部隊全体を一つの部隊と見まして、これを総隊と名付けています。そのうちには管理補給隊があり、これは物資の補給管理というような特別の任務を持つたところの特別の部隊でございます。それから管区隊、連隊、大隊、中隊、小隊、分隊、こういうことに相成つております。全国に四管区が配置せられまして、その管区総監部は札幌、東京、伊丹、福岡四ヶ所に置く予定でございます。各管区隊は、普通科連隊三連隊、特科連隊一連隊、及び特科大隊二大隊、これを以て編成いたし、部隊におきまする最高の警察官でありまする総隊総監は、本部長官の統轄の下に全部隊を統率するという仕組に相成つておるのであります。なお各総監部の機構は、一般幕僚機関として人事、調査、訓練及び管理の四部と、特別幕僚機関として十余りの科を設置いたし、おのおの職務を分担途行いたすことに相成つておるのであります。編成機構の概要はこの通りでございますが、現在のキャンプの配置は、一部を除いては收容施設の不足いたしておりまする関係から、止むを得ず暫定的の配置と相成つておるのであります。即ち現在は予備隊本部及び総嫁総監部は深川越中島に設置され、第一管区隊所属のキャンプといたしまして七カ所、第二管区隊所属のキャンプ六カ所、第三管区隊所属のキャンプ十カ所、第四管区隊所属のキャンプ七カ所、合計三十カ所のキャンプが置かれておるのでありまするが、なお警備防衞の観点から恒久配置がすべて決定されるに至りますまでは、若干の営舎の新築或いは修築を行いまして、漸次配置転換を行わなければならないという状況でございます。  次に訓練の現況について申上げますると、予備隊はその設置の当初におきまして、正式編成機構の決定及び幹部任用に先だちまして、一般隊員を早急に募集採用いたしました関係上、従来各キャンプにおきましては、米軍将校数名の指導によつて仮幹部が任命され、中隊長、小隊長が置かれ、中隊編成として訓練いたして参つたのであります。昨年十二月初旬、各そのキヤンフの部隊長及び副部隊長が正式に任命され、ここに各部隊の責任者が確定し、この部隊長の指揮の下に、目下日本人の幹部の手によつて訓練その他各般の整備が推進されておる次第でございます。訓練の内容につきましては、一般隊員に対しましては、各キャンプにおいて十三週間の基礎訓練計画に基く各個教練及び密集教練、カービン銃の取扱及び射撃訓練、徒歩行進、暴動鎭圧、戰闘体形、体育、救急法等の訓練が行われたのであります。この訓練はできるだけ理論的なことを避け、実地訓練が主となつておるのでありまして、チーム・ワークと協力の重要なることが強調され、毎朝午前八時から午後五時までを原則として日課の訓練を実施したのでありますが、この訓練は大体昨年末を以て終了し、隊員個々の基本訓練は一応完成いたしましたので、第二期の訓練といたしまして、今年一月十五日より十八週間の訓練を実施中でございます。この訓練は大隊以下の小部隊の訓練を中心とし、これに医科及び工科の特科訓練を加えたものであります。以上のほか警察次長級の幹部級及び部隊の維持管理に必要な各種特科の訓練を並行して実施いたしております。なお訓練は実地訓練に重点を置いておるために、幹部に必要な部数のみ教材を配布いたしたのであります。訓練用教材につきましては、従来使用されておりまするものの中には適切を欠くものが多いのであります。従いまして二十六年度においては更に検討を加えて修正統一をいたしまして、各隊員に行き渡るようにいたしたい、かように存じておるのであります。警察予備隊はその性格上部隊編成をとり、常時団体訓練を行い、その任務遂行に当つては統一ある団体行動をとらなければならないのであります。このような組織におきましては、規律、風紀の維持ということが何にも増して重要であることは言をまたないのでございまして、ただこの場合に注意しなければならん点は、旧軍隊におけるような、隊員各自の人間性を無視しがちな封建的な規律、專ら権威主義に基くところの支配隷属関係を再現することになつてはならない、かような点であると存ずるのであります。新らしい警察予備隊におきまする規律は、予備隊の性格と任務を理解いたし、団体組織と階級制による秩序を尊重し、自主的に職務を遂行し、責任を盡すというところの隊員各自の自覚を基盤とするものでなければならないと考えるのであります。  このような自覚ある隊員を育成し、それによつて規律を維持することは、制服を着てただ指示のみを待ついわゆる盲従的な兵隊を編成することに比べますというと、遥かに困難であると存ずるのでありまするが、この困難を克服して初めて民主主義のために、即ち正義と自由のための警察予備隊ができ上がる、こういうふうに考えておる次第であります。予備隊における具体的な規律、風紀の状況といたしましては、現在概して良好であると判断をいたしております。昨年九、十月頃の編成当初におきましては、給與の未拂による不満或いは不安を主との、階級の定つていないこと、幹部の手不足、絶えざる宿舎の移動というようなことのために、必ずしも満足すべき規律を維持していたとは言えないのでありまするが、その後このような問題が逐時解決をいたし、一応の編成を終り、新らしい幹部によりまして本格的の訓練を開始いたしておりまする現在におきましては、一部の偶発的な非行事件を除きましては、概して良好な風紀を保つように相成つて参つたのであります。非行事件につきましては、その都度規定に照して処断をいたし、諸般の編成が漸次整備して参りまする今後におきましては、隊における規律、風紀は一層振粛されるものと確信をいたしておる次第であります。現在まで非行によつて懲戒処分を受けた者は約三十数件、五十名ばかりと相成つております。予備隊の武器の現状といたしましては、カービン銃及び機銃若干が米軍側から貸與されておるのであります。通信装備の計画といたしましては、先ず通信幹線網の整備に重点を置いて、これらに要する機材の購入契約をできるだけ早く完了したい考えであります。なおこの幹線網と並行いたしまして、訓練用の機材、小型携帯無線電信機等の無線電信機等の整備を行いたいと考えておるのであります。そしてこれらの通信機材はできるだけ国産品で充当する予定でありまするが、性能その他の関係で国産品で賄えないときは輸入に待つ方針であります。車輌の整備状況でありますが、すでに購入契約済の数は乗用車十一輌、トラツク百輌でありまするが、なお今年度中三月までに更に約千五百輌の乗用車、四輪自動車、トラツクを含めまして購入いたす予定に相成つております。特殊規格の車輌につきましては、目下種々施策を実施中であります。  最後に経理状況でありまするが、昭和二十五年度の経費は、一般会計における国債費の中から二百億を移用することに相成つており、二十五年度においては隊員の宿舎、被服装備等に多額の初度的経費を要し、なお今後三月まで要するものと思われるものでありますが、昭和二十六年度の予算は百六十億といたし、前年度に比して四十億減少いたしておるわけでありますが、この減少の理由は装備、機材、宿舎の設備というような初度的な経費を君しく減少するその結果であるわけでございます。以上簡單でございまするが、治安関係の予算について一応御説明を申上げた次第でございます。
  4. 東隆

    ○理事(東隆君) ちよつと皆さんにお諮りいたしますが、只今見えておりますのは、先ほど申上げました法務総裁、それから予備隊本部次長の江口美登留君、それから法務庁経理部長岡原昌男君、それから今追加いたしますが、特別審査局長の吉河光貞君、国家地方警察本部会計課長の三輪良雄君、海上保安庁次序柳澤米吉君、法務検務局長高橋一郎君、これだけ見えております。詳細な御報告があつたわけでありますから、なお詳細に亘つて若し聞く必要がありましたら、予備隊その他について聞きますか、お諮りしますがどういたしましよう。直ちに質疑に入りましようか。
  5. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 質疑に入つたらどうですか。
  6. 東隆

    ○理事(東隆君) 質疑に入つたほうがいいというお話でありますから、直ちにこれから質疑に入ろうと思います。御質問のかたはどうぞ。それから国警本部の次長が参つておられます。
  7. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 只今共産党の幹部に対する逮捕状が出ておつて、まだ解決していないのですが、この問題につきまして従来の経過並びに総裁のへ後の見通しについて伺いたいと思います。
  8. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 共産党の幹部に対しまする逮捕状は、すでに昨年の夏発せられまして、その後九名のうち春日正一一名逮捕せられたのであります。これは団体等規正令違反といたしまして、起訴いたしまして第一審の判決を終つた次第でございますが、他の八名につきましても引続き特審局、検察庁警察当局相協力して捜査を継続いたしておる次第でありますが、只今のところ、いつ逮捕になるかということについて見込を申上げる段階になつておらないのであります。
  9. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 先般総理が演説をされた中に、国内治安の問題については何ら心配することは要らんというようなととを繰返し言つておられましたけれども、国が逮捕状を出した人を、今に至るも逮捕し得ないということは、すでに治安が非常に弛んでいるというのか、治安状況が惡いということの証拠じやないかと思うのですが、その点どうなんです。
  10. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 逮捕状が出まして、その被疑者の逮捕できないということは、他にもときどきあることでございます。先般総理が治安については安心できる状態である、かような趣旨を申上げておりましたのは、いわゆる国内治安の撹乱をいたしまして、国内におきまする集団暴力的な行為、或いは騒擾事件的な行為、こういつた性質のいわゆる社会の治安を撹乱いたしまする個人的な犯罪のほかに、こうした集団的な暴力的な犯罪、例えば騒擾とか或いは集団暴力であるとか、こういうような犯罪の鎮圧ということについては万全の体制が整つている、従いましてこういうような面について特に現在心配すべき状態は、治安上全くない、こういう趣旨を申上げた次第であると存じます。
  11. 山田節男

    ○山田節男君 今の波多野委員の質問に関連してでありますが、この八名の共産党員の逮捕ができない、これはもう検察庁或いほ警察のほうで全力を盡しておられることは十分わかるのでありますが、併しすでにもう半歳を経てなお今日跡方もわからないというような、こういつた法務府の管下にある警察網を以てしてということは、吉田総理が曾つて参議院の本会議において治安において心配することはないということと全然違う そこでさつき法務総裁から言われた地方警察職員教養訓練ということに対して二千万円計上しておりますが、非常に今の法務府管下にある検察警察の間に、若しそういつたような非常な労力と金をかけながら、今日に至るまで跡方もわからないこの醜態の原因は、やはり法務庁の中に、それを能率的に捜査し逮捕し得るような人ということについて欠けているのじやないか、もつと具体的に言えば、民間産業公企業等においてもすでにレツド・パーヂが続々行われている。特審局のある法務府においてそういつたことが末端に至るまで徹底しないからこの醜態を演じているのじやないかと、こう思うのですが、今の総裁の答弁によつて発見できないとおつしやるが、その隘路がどこにあるのか、国警と自治警察との横の連絡が惡いのか、金がないのか、或いは科学的捜査をするための金が足りぬのか、この点をはつきりお答え願いたいと思います。国務大臣(大橋武夫君) お説の通り特審局の人的機構という点につきましては、必ずしも今日とれを以て万全であると考えるものではございません。終戰後の特に共産党の関係対策機構といたしましては、従来戰時中或いほ戰前におきまして、この方面の特別の仕事を担当いたしておりましたるいわゆる各警察における特高警察関係者というものは、これはいわゆる公職追放の取扱を受けておりまして、特審局において使用ずることができないのであります。従いましてこの特審局の今日の人員といたしましても、この仕事についての執練者、エキスパートというような人たちは殆んど現在はまだないのであります。少くとも従来からのエキスパートではない、特審局と共にこの仕事に入り、そうしてこの仕事の今後熟練の途中にあるという人たちばかりであります。従いまして一部の説といたしましては、従来特高警察において相当訓練を積んだところの昔の特高警察職員相当この中へ取入れてはどうか。そういう説もあるわけでありまして、成るほどこれらの人々を使用することによりまして、或る程度の効果は差当り期待できるかも知れませんが、併しながらこれとても今日と戰時中或いは戰前とは共産党員の数というものが全く違つておりまして、その多数の人たちの庇護の下に、いわゆる潜行運動をいたしておる、これらの中から的確な情報をとり、そうしてこの足跡をつかむということは従来の特高のエキスパートを連れて来ても今日の共産党に対処いたしましては、余り効果は期待できないのではないか、かようにも考えられるわけでありまして、かたがたいろいろな関係から特審局の方針といたしましては、新らしい将来伸び得る人たちをこの新らしい機構に取入れ、これに対しまして今日の実情に適合したような基礎的な訓練を施して、真にこういつた特別捜査任務の熟練者を作り上げて参りたい、こういう方針でやつておるような次第でございます。従いまして、かような方針の下におきまして、現在充員をいたしておるのでございまするから、これらの人が特高の経歴がないという点は、私は必らずしも特審局の欠陷と目すべきものではない、特審局のこうした行き方にもそれだけの理由は十分にあるものと考えておるのであります。結局どこにそれでは欠陷があるかということになりますると、要は終戰後非常に大きくなりました共産党というものに対する機構としては、特審局の機構というものが必ずしも今日人員の点においても経費の点においても十分でないのではないか、この点があると思うのであります。ただ併し今も申上げました通り、特審局というものはこれは特殊の仕事に従事せしむるのでございまするから、職員訓練相当の期間を要するわけでございます。一時に多額の定員をとり、又経費を作りましても、これが急に膨脹いたしましたからそれに即応して十分に活動ができるかと申しますると、この点は必ずしもそうは行かない。やはり徐々にその規模を拡大し、徐々に充員をし、そうして相当年数をかけて機構全体の充実を図つて行く。こういう行き方でなければにわかごしらえに大膨脹をやりましたところで必ずしも効果はなかろうと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  12. 山田節男

    ○山田節男君 今の私の質問の重要な点を回答願えないのですが、私のポイントとして質問したことは、成るほどこの特審局のほうにおいてエキスパートがない。これは私了解し得るのでありますが、今日こういつたような我々が法務府の機能を信頼できないというような、むしろ醜態を演じなくちやならんという根本的な問題として、法務府管下或いは警察等において共産党のやはり細胞というものがあつて、党員はいなくても同調者はいるかも知れない。こういつた意味法務府自体の粛正が徹底的にできていないところに非常なる私は大きな何があるのではないか。過日法務総裁は関西に行かれたときに、車中で共産党は近く非合法化するということを説明された。併し今日に至るまで何らその処置をとられない。これはいろいろ国際的な考慮もあるだろうと思うけれども、法務総裁がそれほどの覚悟をして、而もこれを車中談として世間に発表しながら何らその後の処置をとらない。こういつたようなところに私は今法務府があれはど名も売れ、顔も売れておると共産党の幹部を半歳以上かかつてもなお逮捕し得ない、それは熟練者がないということは大きな原因であるかも知れませんけれども、私はもつと根本問題は法務府の中にそういつた細胞がおつて自由自在に活躍し得るような余地があるから、法務府の折角の努力が水泡に終つておるのではないか。この粛正が法務総裁としてあなたの管下の警察の末端に至るまでこれが十分粛正ができておるということの席上で断言できるかどうか、こういうことをお答え願いたいと思います。
  13. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 法務府といたしましては、昨年の春におきまして法務府の中に入り込んでおりました共産党の細胞を探知いたしましたので、これを全員退職せしめました。従いまして今日におきましては法務府管下の各官庁を通じまして、全国において党員はおらないと、こういうふうに確信をいたしております。
  14. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 この法務府の予算を我々が考える場合に一番問題となる点は、こういう予算法務府に與えても、今問題になつておる共産党の幹部の問題とか、或いは又地方へ行きますと、非常にボスの勢力が強くて警察力なんかまるであつてないようなものなんです。事実そういうのがたくさんある。つまり日本全体を見渡して見て警察力の及ばん世界が二つあると思のです。いわゆる極左の世界と極右の世界なんです。これだけは及ばないのです、暗黒の世界なんです。そうしていわゆる善良な国民を以て構成されている世界だけが及ぶかも知れない。而も無用に及んでおるのです。無用に及んでいる部面が非常に多い。そうして一番大事な極左の世界と極右の世界には警察力を及ばない。こういつたような馬鹿げた機構では治安が確保されているとか、いや集団的な暴動行為はないのだとか何とかそういうことを言つておることがおかしいのです。実際おかしいのです。警察力さえ及ばないような世界が右と左に二つあるということ、そういう事情の下ではいつどんなことが起きるかも知れやしないのです。そこで法務総裁に聞きたいのは、こういう予算要求されておりますが、治安の問題についてどういう確信を持つておられるのかということなんです。今山田委員から問題になつた例えば特審局の問題にしましても、特審局の中はエキスパートがいないのだから、先ず五年か六年かかつて養成して行きましようといつたようなことに聞えるのです。そんなことをやつてつていいのかどうか。そんな悠長なことを育つてつていいのかどうか。どういう確信を持つてこの司法行政をやつて行こうとしておられるかということをお聞きしたい。
  15. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 私どもといたしましては、この治安関係につきましては、特審局、検察庁又このほかに警察もあるわけでございます。これらの関係機関におきまして従来最も伴い易い弊害といたしましては縄張争い、いわゆる協力の不完全という点であるわけでございまして、これがいろいろな面におきましてそれぞれの能率を十分に発揮することを妨げるという事態が従来往々にしてあつたわけでございます。私はこの治安問題におきましては、かような各種の関係機関というものが同じ治安のための協力すべき職分を持つておるという自覚に基きまして、できるだけ一体として動き得るような、協力の実を挙げるという面の指導が必要であるとかように考えまして、今日その面において力を入れておるわけでございます。従いまして、かような協力が完成いたしまするならば、これは必ずや現在の治安関係機構なり、或いは人員以つていたしましても従来以上の成績を挙げ得るというふうに確信をいたしますが故に、今後ともかような各機関の連絡調整、協力の実を挙げるようにいたしたいとかように考えるのであります。而して治安の点につきましては、特に最近におきまする各種の犯罪状況から考えまして、諜報機関というものが非常に必要でありまして、犯罪に関しまする各種の情報をできるだけ十分にとり、又これを的確に判断をいたす、こういうことが必要でございますので、この点につきましても重点を置いてやらなければならないかように存ずるのであります。なお今後の問題といたしましては、警察制度の改正、或いは又警察官人員増加といつたよな機構の力を全般的に量的に増大させるという面も必要かと存じまするが、これらを取り合せて十分に能率を挙げるように努めたいとかように考えておる次第であります。
  16. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 ちよつとお伺いしますが、先はど我々に参考資料を配付されましたがそれを見ますと、法務総裁説明にもありましたが、犯罪が非常に殖えておる。昭和二十一年に約七十万、二十五年約二百十万に殖えている。これは大変な激増なわけでありますが、この内容につきまして、犯罪別な資料があつたらお出し願いたいと思います。それから原因につきましても、どうして犯罪がこのように殖えたか。この配付された資料によりますと、最近共産党員及びこれと同調する一部朝鮮人等の策動が惡質化し、暴力主義的犯罪が多数発生するに至つたと、これが主たる原因のように受取られるのですけれども、それにしても余りに犯罪数が非常に多いと思うのです。我々にやはりこういう犯罪の全部と言ませんが、多くの原因が経済的な生活の上にあると思うのです。生活の面から来る犯罪相当あると思うのです。ですから我々としては、政府経済政策のやり方の間違つているような点から起つている、激増している犯罪相当あると思うのです。そういう意味でその判断は我々がやるのですけれども、その資料としたいために犯罪別の統計を欲しいと思うのです。それから原因につきましては、法務総裁はどういうようにお考えか、五答弁願えれば御答弁願います。
  17. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 資料の点につきましては、至急提出いたしたいと思います。  犯罪増加の原因でございまするが、終戰後におきまして、社会的にも又経済的にも非常な激変を蒙りました我が国の社会といたしましては、自然経済的生活苦もございまするし、又社会不安もございまするし、殊に青少年に対しましては、国家の前途ということに対する光明を失つたような気持と申しまするか、いわゆる自暴自棄的な気持、かような精神的な面も相当あると存じまして、これらの各種の原因が相競合いたしまして、相当犯罪増加を醸成いたしたものと考えておるのであります。而してこれらの一般的の犯罪につきましては、最近インフレが漸次安定いたしまするに伴いまして、経済も多少安定に向つたというようなことともございまするので、その発生というものも従来から見ますると。最近におきましては少し減つて来ておるような状態であります。大体これは昨年あたりからさような傾向を示しておるのであります。一面におきまして、共産主義者並びに同調者によりまする集団暴行事件、その他特殊の犯罪につきましては、朝鮮事変以後において特に著しい激増を見ておるというような次第でございます。
  18. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 次にお伺いしたいのですが、予算参照書を見ますと、二十六年度警察予備隊費は計上されていますが、二十五年度予備隊費は零になつているのですが、これはどういうわけなんですか。
  19. 江口見登留

    政府委員(江口見登留君) 二十五年度予算が零になつているというのは、何を御覧になつているのか存じませんが、二十五年度は御承知の通り二百億の予算目下支出中でございまして、二月十六日現在で百十一億円を支出いたしております。
  20. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 我々に配付されました昭和二十六年度一般会計予算、その予算参照書というのです。この二百十七ページ、この総理府所管の項を見ましてもこれが零になつております。何か二十五年度警察予備隊費は特別の扱いをしているのかどうか、その点を伺います。
  21. 東條猛猪

    政府委員(東條猛猪君) 予算編成の技術的の問題でございますから、便宜私からお答えさせて頂きます。この予算参照書の前年度予算額の欄は国会において議決して頂きました本予算補正予算を合せました金額を計上いたしております次第でございます。只今江口次長が申上げましたように、二百億の予算は木村委員御承知のように予算実行上の移用の措置によりまして支出いたしましたので、前年度予算額は便宜只今申上げましたように国会において議決頂いたものを比較対照の上で計上いたした次第でございまして、若し予算実行をも合せまして、前年度幾ら、本年度幾らというお話でございますれば、この予算参照書の作り方を変えまして、予備金の支出でありますとか、或いは移用、流用の結果を合せましたものを織込みまして、前年度予算額に計上いたすことになるのでありますが、従来ともこの予算参照書の上におきましては、前年度予算額はこういう予算実行上のいろいろなことは入れないで、国会において議決を頂きましたものと補正予算を合せたものを計上いたしております。かように御了承頂きたいのであります。
  22. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 そうしますと決算書にはそういうふうに出て来るけれども、予算としてはその項目は債務償還費のうちにあるわけですか。
  23. 東條猛猪

    政府委員(東條猛猪君) 仰せの通りでございまして、決算書にはいわゆる予算決定後のいろいろ実行上の変化をも織込みましたものが上るのであります。決算書におきましては今仰せの通りでありまして、予算書におきましては、私の今申上げた通りであります。こういうふうに御了承願います。
  24. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 わかりました。国会承認を得なかつたから、こういうふうになつておる。こういう意味だと思いますが、次にお伺いいたしたいのは、警察予備隊の人数でございます。七万五千人となつておりますが、先ほど幹部の話があつて約五千人と言われたが、これは七万五千人の中に入つておりますか、それ以外ですか。
  25. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 警察予備隊の官制上の定員は正確に申上げますると七万五千百となつております。この百名は部隊隊員即ち制服を着た人たちでなく、管理に当ります行政事務職員でございます。これは警察予備隊本部と称します官庁に所属いたしておりまする職員で、これは本部長官以下百名でございます。その他に部隊七万五千が官制上の定員ということになつておりまして、このうちには総監以下すべての幹部を包含いたしております。
  26. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 もう一つお伺いしたいのですが、最近警察予備隊の増強ということがいろいろ問題になつておりますが、これは講和後において問題になるのか、講和前において問題になるのですか、講和の一つの前提として問題になつておるものか、或いは更につき詰めますと、昭和二十六年にはそういうことが起る公算があるかどうか、  この点をお伺いしたい。
  27. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 警察予備隊の増強と申しまする言葉の中には先ず二つの意味がございます。一つはこの警察予備隊の各種の装備、即ち武器及び機動力通信、かような面を増強いたすことによりまして、現在の七万五千の人たちによるところの警察力を実質上それ以上にして行く、いわゆる機械化の問題でございます。もう一つは七万五千の定員増加するという問題であります。現在政府といたしましては、七万五千の人員増加するという点につきましては、何ら考えておりませんのです。專ら警察予備隊の増強ということはますます機会化を進めて行くということ、並びに訓練充実するということによりまして、七万五千の定員のままでその力をできるだけ増強いたしたい、こういうことを考えておるわけであります。従いまして、政府といたしまして考えております点は、人員増加ではなく、その実力の増強という面でございます。これは講和会議までの間の措置といたしましては、当然日本政府が本来自主的に作つたと申しますばかりでなく、これは最高司令官の指令によりまして創設いたしたものでございますが、当時の指令が七万五千ということでございましたから、現在はその数を動かすということは政府としては今日考えておらない点であります。
  28. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 そうしますと、予算関係から行きますと、今お話のような人数の増加でなく、機械化その他の装備ですか、そういうようなものの充実によるというお話ですが、予算関係では二十六年度予算には大体そういうものは含まれておるのか、或いは今後そういう費用の追加が出て来るものと見てよろしいのかどうか。
  29. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 実は本年度予備隊が創設せられましたのは八月からでございまして、八カ月の間に二百億という経費使用する予定になつております。これに対しまして、来年度は十二ヵ月でありながら百六十億ということで、本年度より逆に減つておるのでありますが、この減つておりまする原因は、先ほども申述べましたる通り、当初予算におきましては先ず宿舎を新規に造る。これは進駐軍の兵舎を借りたものも多いのでございますが、その足らざる部分といたしましては、新らしく従来遊休の建物を隊のために使用することとし、これを修繕、或いは一部改修いたしまするために相当費用を使つております。それから何しろ何もないところへこれができましたものでございますから、車輌とか、或いは又通信機関、こういうようなものは全然今年度においては初度調弁として調達して行かなければならない。それから隊員使用いたしまするいろいろな被服とか或いは物件、こういうようなものの新らしい購入、これらは主として今年度において行うことにいたしておりまするが、来年度におきましても、若干は自動車を追加する、通信の器具、器材を追加するという経費も見込んでおるのであります。特に武器の点でございまするが、武器は今後におきましても引続きこれを強化するような措置を只今講じつあるのでありまするが、これらはいずれも連合軍から貸與されるまでの実情でございまするし、今後におきましても当分の間はそういう方法によるものという見込によりまして、予算編成いたした次第でございます。
  30. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 私のお聞きしたいのは、ダレス氏が見えまして、講和の問題が相当論議されて、大体明らかになつたことは、直ぐ再軍備という問題は起らない、その前に国内的な、対内的な治安ですか、それに対応するためには警察予備隊の増強ということが中心になつて行くというように見られておりますが、昭和二十六年度に講和がだんだん具体化して行くという場合に、この程度予算で、百六十億なら百六十億で済むりかどうか、そういう点なのです。これは経済全体としての問題と無論関連して来るのでありまして、今後の経済を見る上にそういろ費用が多くなるということは、インフレの問題その他でいろいろ関連して来ますので、そういうものが予算上どの程度の比重を持つて来るものと考えていいのか、池田大蔵大臣はそういうものが起つて来ても、国民所得の大体四%程度であるから大したことはない、こういうようなことを言つていたようでありますけれども、四%にしてもこれは相当の金額と思うのですが、そういう角度から質問しているのでありまして、二十六年度は百六十億ここに出ているから、これで済むとそう簡單に考えていいかどうか。只今武器などは貸與されると言われましたけども、先ほどのお話ですと一人数を増すのではなく、機械化その他によつて実力を非常に強化するというお話ですが、そういうような今後のことも、そう先のことまでわかりつこないので、御質問しても無理なのですけれども、二十六年度においてそういう追加措置みたいなことが出て来ないだろうか、こういう点なのです。それからずつと講和前まで七戸五千、この現状でやつて行かれるのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  31. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 只今のところ政府といたしましては、これを増加するという予定はございません。従いまして当分のうち七万五千でやつて行くということになると考えるのであります。
  32. 山田節男

    ○山田節男君 警察予備隊の問題ですが、先ほど総裁が警察予備隊隊員訓練ということについては、各自が自覚ある、いわゆる社会奉仕といいますか、奉仕の念に燃える自覚ある隊員を目がけて養成しておる、こういうお話でございましたが、一体こういう警察予備隊の使命から言つても、ただ單に社会奉仕の自覚を高めるというだけでは、これは私は戰闘的な部隊にならないと思うのです。やはりその裏にはイデオロギーがなくちやいけない、愛国の観念であるとか、或いはそういう公共的な治安維持のために自分の生命を賭して奉仕するという観念がなくちやいけない、ですからそういつたようなことから考えて見て、現在の警察予備隊員の訓練、殊に精神訓練上どういつたようなイデオロギーの下に、又どういう方法で、例えばどういう教材でやつておられるかということを具体的に一つお伺いしたい。  それからもう一つ、こういう規律を保たなくちやならん性質のものでありますれば、命令ということが大きな問題になると思う。私は丁度終戰直後北ボルネオで、濠洲第九師団の軍事裁判の主任弁護士を四ヵ月ばかりやつた経験があります。その間私が痛感しましたことは、従来の日本の殊に陸軍における命令という観念、これは陸軍刑法並びに軍隊内務令等にきめられた命令、殊に直属上司の命令というものが非常に嚴格なもので、英米法の陸軍刑法等を調べて見まするというと、英米法の陸軍刑法による軍隊の命令は、たとえ直属上司の命令であつても、その命令が不当であり、又不道徳であつた場合にはこれに従わなくてもよいということがはつきり法文上訓つてある。然るに日本の陸軍刑法の確か三十五條だつたと思いますが、それによると、例えば戰場において直属上司の命令を聞かない場合には死刑に処すということによつて、こういつたような部隊内における上司の命令というものを絶対的のものにしておる。これがために、例えば南方において多数の戰犯者を出しておるということは、上司の命令によつて強姦し、上司の命令によつて掠奪したことによつて戰犯者になつておる者が多々あるのであります。こういうよろなことから見て、今日の憲法の精神から見ましても、この従来の日本の世界に類を見ないような命令の本質を持たすということは非常に危險だと思う。これは申すまでもなく、法務総裁並びに警察予備隊の当面の最高責任者は十分自党しておられるだろうし、又自覚していなければならんものであると思うのですが、こういろ訓練紀律を保つための命令の定義、即ちデフイニシヨンというものをどういうふうに見ておられるか、この二点をお伺いしたいと思います。
  33. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 予備隊員の精神訓練と申しますか、或いは精神指導と申しますか、これにつきましては、特別の学科或いは特別の課業を設けまして、そうしてそういつた点を指導するというようなことはなさずに、各種の訓練を通じまして、予備隊員に予備隊員としての必要なる精神的訓練を施すというやり方を用いておるのであります。そうしてその内容といたしまして考えておりまするところは、この警察予備隊の本来の性格から考えまして、文化国家、平和国家、民主国家としての日本の治安を全力を盡し、全責任を以て確保するという点を主眼といたしておるのでありまして、同胞に対しまするところの国民としての感情、又この祖国に対しまするところの熱烈なる愛国心というものを基礎といたしまして、飽くまでもこの国を平和と文化、民主主義の国としてどこまでも守る、こういう点を眼目といたしまして精神的な指導をいたしておる次第でございます。  第二点の命令の性質という御質問の点でございまするが、この命令というものにつきましては、旧軍隊におきまするがごとき特別な性質を付したものとは考えておりません。これは公務員の上下の間において行われまするところの通常の命令と同様な性質を持つものであります。ただそれが部隊組織の中において行われまするが故に、それに即応いたしました相当な重みを持つたものとしては考えられると思いますが、特に旧軍隊におきまして行われましたような特別な命令とは考えておりません。
  34. 山田節男

    ○山田節男君 最後にお伺いしたいことは、現在まで、又将来も今の総裁の答弁によるとそうであるように見られるのでありますが、今予備隊員が使用している武器ですね。武器が今日まで貸與の形式になつておる。将来も貸與であろうというお話でありますが、これは最も肝腎な武器を貸與されておる、国のものでない、よそからの物を借りておるということは、換言すれば日本の警察予備隊は單なる傭兵に過ぎない。これは私が先ほど来やかましく言つておる予備隊の精神的訓練においても、余ほど大きな負担になるだろうと思う。この貸與ということは、金がかかるから貸與を受けて、而もこれを無償で貸與されておるのか。或いは日本の警察予備隊というものが、或いは又日本全体が武器の所有権を持たせるというのは安心ならんという信頼がないために貸與の形式をとつておるのか、この点を一つ明らかにして頂きたい。
  35. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 武器が現在米軍から貸與されておりまするのは、日本の負担の点から考えまして、今日好意的に貸與されておるものと私どもは考えております。
  36. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 今の問題に関連いたしますが、警察予備隊の装備、特に武器の経費は先ほど頂いた資料によりますと、物品費二十五年度百十一億という数字がありますが、この中から賄われているのかどうか、或いはそのほかの費目で賄われているのかどうかという点お伺いしたいと思います。
  37. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 武器に対しましては、只今申上げましたるごとく、すべての武器及び弾薬はことごとく貸與を受けておるという実情でございまするので、予算の中には一円も入れてございません。
  38. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それでは、そのアメリカから貸與されておる武器を日本の金に換算して、経費としてどれくらいのものを貸與されて使用しておるのか。
  39. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 誠に申訳ない次第でございまするが、その点を今まで計算いたして見たことはございません。
  40. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 その点をどれと対比すればよいかよくわからないのですが、二百億に対比すべきか、或いは物品費百十一億に対比すればいいのか、その辺がよくわかませんので、第一にその質問をいたしたのですが、どれに対比するかは別問題として、一つ今貸與されておる武器を換算したらどれぐらいになるかという資料を早急に御提出を願いたいと思います。
  41. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうしますと、只今の資料に関しまして、同時に貸與されておる武器の種類、それから彈薬の数量、こういうものを一緒に頂きたいと思います。
  42. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) この中で彈薬の数量のごときものは果してお示しができるかどうかわかりませんが、よく関係当局と相談いたしまして、公表できるものだけは至急提出いたしたいと思います。
  43. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それから先ほども警察予備隊の今年度二百億の金につきまして、初度的な経費があるので相当殖えておるというようなお話でありましたが、それにしても相当多過ぎたのではないかと思いますし、従つて年度中には使い切らないのじやないか。そこで今大体今年中に使い切るだろうという契約その他も含めて結構でございますが、今年度一応使用済みになるものを大体今のところどのくらいと予定せられているか、その点を伺いたい。
  44. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) この二百億の中に初度的な経費といたしまして、相当多額の物品を購入いたす予定に相成つております。勿論これらの多数の物品の中には今年度内に納入をいたし、今年度内にこの代金の決済をすることは事実上できないというものも相当あると思います。併しながらこの二百億の経費につきましては、これが根拠となつておりまするポツダム政令におきまして、今年度中に契約が取結ばれました場合におきましては、その支拂いのために必要なる経費は来年度に繰越使用することを免許せられておるのでございまして、この方法によりまして来年度に繰越使用される分をも加算いたしまするというと、二百億は殆んど全額消費することと思うのであります。
  45. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それからもう一点、この間対日理事会で、日本の非武装化の問題が論議されたときにいろいろ議論があつたと思うのですが、その中に、特にイギリス代表が警察予備隊の装備、武装化の問題に対しては相当問題があるので、問題を残して更に検討をしたいというような留保を付けたように新聞で報ぜられているのですが、対日理事会は恐らく公開だと思いまするが、そのときの審議状況、特にイギリス側の発言の内容等について、少し詳しく御説明を願いたいと思います。
  46. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 実は外国関係の事柄でございまするので、私どもから申上げかねるのであります。その面のかたにお聞き頂いたら仕合せでございます。
  47. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 外国関係のものでその面と言いますと、どこでしようか。
  48. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 外務省か或いは終戰連絡事務局か、そちらのほうにお聞き願いたいと思います。
  49. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 併しこれは渉外的な問題というよりか、一般に公開しているわけですから、もう所管の所でも、そういう問題が問題になるとすれば、必ずどなたか聞きに行つておられるはずです。そういう意味法務総裁のほうでお答えあつて然るべぎだと思うのですが、どうでございましよう。
  50. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 対日理事会につきましては、法務府といたしましても、警察予備隊といたしましても、聞きに行つたことはございません。
  51. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 併し非常に重要な問題として、警察予備隊の武装の問題等々が論ぜられておるので、そうだとすれば一般の人でも行くのだから、然るべくそういうものはちやんと傍聴なり何なりして、その返の状況をはつきりお調べになつていて然るべきだと思いますが、その点どうお考えになりますか。
  52. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 只今のところ私どものほうで一々調べておりませんです。
  53. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 じや恐らく速記録その他何かあると思いますし、当時の新聞でも報ぜられていることでありますので、渉外関係のことを通じるまでもなく、法務総裁のほうで適当な調査をして一つ御報告を願いたいと思います。
  54. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 早速取調べまして、わかります限り御報告いたします。
  55. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 ちよつとお伺いしますが、現在警察予備隊使用しております建物はどういうものを使つておられますか。
  56. 江口見登留

    政府委員(江口見登留君) 警察予備隊の設立は非常に急ぎました関係上、当初は米軍が使つておりますキャンプを使つたものもございます。或いは旧日本の軍関係の建物を使つておるものもございます。或いは全然新らしい民間の会社の建物を借受けまして、修繕を加えて使つたものもございます。
  57. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そうしますと、現在においては学校の建物等を使用に充てておるという事例はありませんか。
  58. 江口見登留

    政府委員(江口見登留君) 従来の教育関係の方面におきまして使用しておりました建物を、予備隊のほうで引継いだものもございます。併しその際は教育関係当局とも十分懇談を重ねまして、その後円満に使用している状態でございます。
  59. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そういう関係の建物がどういう数に上つておりますか。
  60. 江口見登留

    政府委員(江口見登留君) 只今従前教育関係方面で使つておりました建物をどのくらい使つておるかということは、まだ調べておりません。何なら資料として後ほど提出いたします。
  61. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 資料をお願いいたします。
  62. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 折角法務総裁が来ておられるのですから、一つ法務総裁にお伺いしたいと思います。  どうもこの警察予備隊といろものがこの紙二枚で審議することに非常に無理がある。殊にこの前昨年は国債費のはうからマツカーサーの書簡によつて急速にできましたもので、我々としては前年度から今年度にかけて、実際の内容的のものがどういうふうになつておるのかということを細かく調査しなければならんと思いますが、ここでは特に法務総裁にお聞きいたしたいと思いますことは、ともかくも現在の国警なり地方警なりのほかに七万五千人なりというものが国内治安上必要とするということは、どういう根拠で、どういう考えでできて来ておるものか。この問題がはつきりしないのでございます。ただ国内治安治安だとおつしやるのだが、治安に対して七万五千人というものがどうして出て来ておるのか。こういう点について実情に即して法務総裁から御説明を願いたいのです。私ちよつと遅れて参りましたので、或いは御説明があつて、重ねて御質問するようになつては惡いと思いますが、併しともかくその点について認識が本当ははつきり誰にもできておらない。何しろ七万五千人だということなんですが、この七万五千人がそれらに対応して国内治安に照してそれだけが要るのだという何らかの事情がはつきりあると違いないのです。その点をあえて御説明願いたいと思います。細かいことはあとで事務当局に伺います。それからもう一つは、さつき武器は全部アメリカから受けておる。こう言つて、今も今後もそうだろう。こういうようなことをお話になりましたのですが、御承知の通りに講和が近いとすれば、日本が独立して以後もこの武器貸與を受けて参るのか、卒直に申しますと、講和の時期をいつに見込むかによつて予算問題との関連も出て参るわけでありますから、ともかくも時期はわからないとしても、総理大臣も大体の見当は話しておられる、そうすると今からこの問題に対する措置をどうするとか、それに対して予算的にどう考えるとかということは、お考えのうちにもうまとめられても早過ぎはしない、遅いと思うのであります。もう一つこの点について御説明を願いたいと思うのは、先ほども他の議員から質問がありましたが、一体武器貸與をいつまでも受けて、これに伴つて使用方法なり、そうして或いはそれに伴つて訓練なり指導をいつまで受けて行くつもりか、そうなつて行くと武器貸與というものが單純な武器貸與でなくなつて来る。日本の独立、日本の主権回復といろ点から見ますと、この問題は十分考えられなければならない問題でなかろうかと、こう考えるのでありますが、法務総裁は如何にお考えになりますか。  それから第三段にお聞きいたしますことは、ともかくも今卒直に言いますと、この七万五千人があるのでどれだけ治安が確保されているかという問題になりますと、現在殆んどないと思います。訓練中だということも言い得るのだと思うのですが、併し独立を回復いたしましたあとのこの警察予備隊につきましてどうお考えになるか、少くとも現在の状況は非常に、卒直に申しますと、アメリカ軍というものが相当駐屯している、そうしてその権力と申しますか、権威というものが一つの肯景になつて相当治安が保たれていると、こう言えば言えるのであります。独立後真空状態になるのを避けて、そうしてアメリカが駐屯するというお話は、大体もう総理大臣もそうなるのだと言つておられるのですが、そのときにこの警察予備隊というものをどうお取扱いになるか、この問題も今からお考えになつて決して早くない。少くとも講和が本年中にはできるお見込みも持つておられるだろうと思うのですが、今この予算審議しているときには、この問題について十分なお考えがあるはずだと思うのでありますが、以上三つの点について法務総裁からお答えを願いたいと思います。
  63. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) なぜ警察予備隊は七万五千人になつておるかという第一の点でございますが、これは昨年警察予備隊創設の際のマツカーサー元帥の指令に七万五千、こういうことになつておりまして、政府といたしましては、それに従つて七万五千入を定員といたしておるのであります。  それから第二点の武器の貸與がいつまでも続くか、又将来講和会議後になつたらばどうなるかという御質問でございますが、この点は講和会議におきまして、或いは講和会議後の状況によつて定まるわけでありまして、只今におきましてはこれに対しまして、先ずそれまでは武器が引続き貸與されるというふうに考えておるのでございます。その後も恐らく引続き貸與されるのではないかという期待の下に、今年度においては武器の購入の経費は入れてございません。併しこれが講和條約或いは又その際に必要となりますると、安全保障に関連しまするいろいろな條約の結果によりまして、その後武器が果して貸與されるものやら、或いは又有償で提供されるのやら、それらの事柄が確定されると思いますので、その点は確定いたしました曉において十分に考慮をいたしたいと考えるのであります。  それから独立回復後においては予備隊はどうなるかという第三点の御質問でございますが、これもその際のいろいろな実情を基礎といたしまして適切な計画を立てたい、こういうふうに考えております。
  64. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 どうも重ねて御質問せざるを得ないので、御迷惑だと思いますが、もう一度今の御答弁について御質問いたしますが、七万五千はマツカーサーの指令によつてできたことは私も知つているのであります。併しこの七万五千が、マツカーサーが七万五千と言われたから法務総裁はもう七万五千は何にも根拠はわからないのだ、ともかく書面だけで七万五千だとおつしやる必要はないのじやないか、少くともこの問題について、法務総裁としてはこの七万五千をどう考えて、どういうふうな状態訓練している、この目的がなくちや私は七万五千ときまつて来ないのであつて、その点については法務総裁としては、マツカーサーの命令だとおつしやつて、内容的なものをおつしやらないということはどうか。又おつしやるべき責任もおありだと私は思うのであります。それからどうもお話を承つているとみな受動的で、自分でどうだというお考えよりは、こういう話だつたからこうだというふうなお答えに聞えるのでありますが、無論先ほどの殊にお話承わつて不思議に思いましことは、講和会議の内容によつてきまる、或いは講和会議と申しますか、或いはアメリカその他の防衞に関するところの保障によつてきまると、こうおつしやるのでありますが、これは国内治安警察であつて軍備じやないということは、内閣としてしばしばおつやつておるのだと私は思うのであります。そういう観念でこれができていると思うのであります。そうすると、これは全く国内の治安のために作るるだから、その点については講和條約によつて規定さるべきものじやなかろうか、若しも講和條約によつて規定されるべきものならば、それは警察予備隊でなくて軍隊なんだというふうにならざるを得ないんじやなかろうか、その点につきまして、法務総裁の御意向を聞いていると、どうもお話を承わつていると、非常にこれが対外的な問題として、日本の戰力と申しますか、そういうものとみなされるというふうな観点でお話になつているように思うのでありますが、その点につきまして、私は吉田内閣で、吉田総理が言つておられる、又あなたがふだんから言つておられる形ならば、この問題は講和條約の問題にはなり得なくて、日本が自主的にきめ得る問題である。こういうふうに考えるのでありますが、この点についてどうお考えになりますか。
  65. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 講和條約或いはその際にいろいろな取きめによつてきまると申し上げておりまするのは、武器が将来とも引続き現在同様貸與されるものであるか、或いはそうでなく、独立後はもはや貸與は許されない、こちらで購入しなければならんということになるか、或いは又国内において製造できるというようなことになるか、その辺のところは、今日のところではまだ確定した見通しを立て得ないという趣旨を申上げた次第であります。
  66. 岩間正男

    ○岩間正男君 私も前の諸君の質問と関連して二、三点お伺いしておきます。それは武器の貸與を受けたのですが、そのとき何らの條件もなかつたのか、こういう点であります。この点について何の話合もなかつたのか。その点先ず伺います。
  67. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) これは事実上無條件に貸與を受けております。
  68. 岩間正男

    ○岩間正男君 その点について話合、つまり無條件であるかどうかという、これも一つの無條件という條件なんですが、そういう形で向うから提案されて来ておるのでありますか。それとも何んら話合なしにこの武器貸與を受けたのでありますか。その点伺います。
  69. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) これは話合というものはなく、事実行為といたしまして、隊員を收容いたしておりまするキャンプに武器が送られ、これを訓練しろと、こういうふうに言われまして、事実使つておるわけであります。
  70. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうもおかしい形ですな。我々ちよつと了解できないのですが、そうすると、いつの間にかこれは一方的に送られて来た。このとき大体法務総裁並びに予備隊の人たちは疑問を起さなかつたですか。日本の憲法はやはり一つの武器……武器の種類によりますけれども、これはあとでお聞きしますが、武器を持つというのですからね、それがやはり日本の軍備、こういうものと関係がないと言つても出て来る。そうしますときにポツダム宣言の精神とか、日本憲法との精神においてそこに何らかのおかしい問題が起る。こういうことは当然日本の憲法治下において行政をやつておる当局者として頭に上るべきだ。上らないとすればこれは甚だおかしいのです。当然この問題について何らか向うに問い質されるとか、そういうことがあつたというふうに考えますれども、憲法護持の立場と、それから今のような甚だ珍妙な形で武器が知らん間にこれは向うさんからキャンプに持ち込まれたと、こういう形についてこれはどういう措置がされたかどうか。この点伺つておきたいと思います。
  71. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) これは口頭を以て武器についてほ自分のほうで一切心配するということを言われ、そうしてその後そういう形で貸與されておるのでありまして、その外には何らの條件というものはございません。そうして私どもほ警察予備隊の性格というものから考え、又現在貸興せられておりまする武器の機能程度から考えまして、これは憲法上文はポツダム宣言の受諾をいたしたる立場から申しまして、何ら差支えないものであると、かように確信をいたしてそのまま貸與を受けておる次第であります。
  72. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、現在予備隊で使われておる武器の種類というのはどういうふうになりますか。それからもう一点伺いたいのは、先ほど予備隊を増強しなくちやならない。当方面の方針としては数の増強ということは考えていないが、予備隊員の質的な増強、つまり非常に武器や装備を増強する、並びに訓練強化する、こういう話がなされたのでありますが、そうしますと、それをも含めてどういう武器が現在予備隊に渡り、又この増強と見合してどういうふうな種類の武器が與えられる、こういうふうに考えておられるのでありますか。
  73. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 現在におきまして武器として貸與を受けておりまするものは、小型の小銃並びに軽機関銃でございます。そうして将来におきましては現在よりも更に相当数の機関銃を増加されるものと予想いたしております。特に増強といたしましては、軽機関銃を現在以上に増加をいたすという点と、それから通信、或いは機動力という面におきまする機械力の使用増加するという点を考えておるわけであります。
  74. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあ対戰車砲とか迫撃砲、こういうようなものについては話がないようでありますが、そういう相当な軍装備、中装備、そういうような装備についてしばしば我々は耳にするのでありますが、そういうものは全然事実無根でありますか。
  75. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 一時そういう話とか申しますか、これは一般の風評としてそういうことを聞いたこともありますが、現在の警察予備隊として正式に貸與を受けておりますのは、先ほど申しました通りカーバイソ並びに軽機関銃でございます。
  76. 岩間正男

    ○岩間正男君 正式というお話ですけれども、正式でないのはあるのですか。そういうことじやないでしような。
  77. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) それ以上の話は承知いたしておりません。
  78. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあこの問題は又保留して我々もこれは明らかにしなくちやならんと思つておるのですが、そこでさつきの問題に戻りますが、無償だ、それでいつの間にかそういう貸與を受けた、こういうふうになるのですが、こういうことになつて実は私どももこれはどうも一般の常識でも非常に、やはり先に行つてどうもこれは気味惡いというような感じがするのですが、無償で武器を借りた、貸與を受けた、それで以て訓練をする、こういう形で、先にこれは全く不明瞭なあいまいなことが生じて来ないという保証をどういうふうに大橋総裁は持つておられますか。これは非常に場合によつてはこの無償というやつは恐いです。これは下世話に言うのですが、いつでもただもらうというやつぐらい恐いことはない。この代償は案外恐い。こういう問題について少くとも政府として、これから日本の民族の将来の重大問題に関連する問題でありますから、これらは当然政府でも考えておられることだろうと思いますが、当面の責任者である法務総裁においては当然この問題が頭に上つて来る、こういうふうに我々は考えます。そう信頼する。そういう意味において私はお聞きしておるのでありますが、これはどういろ保証があるのですか。つまり絶対無償で安全であるという保証です。この点伺いたい。
  79. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 警察予備隊は日本政府管理をいたしておるのであります。借受けたる武器は日本政府におきましてこれは警察予備隊において使用いたして差支えない、かような判断の下に使用せしめておるのでございます。借りることは無償で借りておりますが、借りたのは日本政府が借りた、この借りた武器を日本政府隊員使用せしめる、こういうような次第でございまして、政府におきましては常に如何なる武器が使用されておるかということは政府の責任によつて決定されておるわけでございます。
  80. 岩間正男

    ○岩間正男君 私が聞いておるのは、先のそういう事態が少くとも起ることは望ましくないことなのですが、それに対する保証はお持ちかということです。政府は責任を持つておやりになるのでしようと思うのですが……。
  81. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 政府といたしましては、隊員使用する武器というものは如何なる武器であるかということは政府が決定をいたしておるのであります。ただ政府が決定をして使用せしめる武器を貸興するについて、予備隊員に使用せしめるについて事実上米軍から無償を以て貸與を受けてこれを使用せしめておる、こういうわけであります。
  82. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、将来どんな條件もこれはお考えにならないわけですね。その確信を持つておられるわけですね。例えばこれは私の一つの推量に過ぎないのでありますが、とにかく今まで武器を貸したのだ。それで一つのそういう装備をしたので、その見合として当然こつちにそういう警察予備隊を提供して欲しい、こういう要請が事実ないとは言えないのであります。そういうときは断乎としてこれは断わられる肚がなければ、今のような御答弁はないと思うのでありますが、そういう点についてはどういうふうにお考えですか。
  83. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 強いて條件と申しまする條件を考えて見まするというと、この武器は警察予備隊使用せしめる以外には用いるべきでないとい條件は、これは当然この武器が提供されておりまするいきさつから見て考えられるところであります。それ以外に條件というものはないわけであります。従いまして、この日本政府がこれは予備隊において使用せしめるということを決定いたしまして、その武器を借受けているわけであります。これを無償で借受けたということは、これによりまして警察予備隊にこれを使用せしめ、そして警察予備隊をして国内治安の確保に当らしめる上から言つてできるだげこれを有効に活用するという以外には、何らの條件は考え得られないところであります。
  84. 岩間正男

    ○岩間正男君 私はそういう事態の起つた場合の法務総裁の肚を聞いているのであります そんなことを聞きたくないのですが、実はもつと大きくこれを信頼したいのですが、どうもこれは借りるとき黙つて無條件でいつの間にかキャンプに来ているというふうな借り方で借りている。これでは又事態発生してどうしてもそういうのつぴきならないところにこれは追い込まれた場合に、又同じようなことをこれは無條件で承諾すると、うことが、残念ながらどうもそういう事態が起こらざるを得ないのじやないか、法務総裁は少くとも決断を持つておられるだろうと思いますから、先ほどからの御答弁と連関して、そういろ事態が起つたときは断乎として、やはり軍備的な少くとも兵力的なものにかり立てられるということについては断乎として、それを拒否するということをここで明言して頂きたい、当然そうだと思いますが……。
  85. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) この無償で貸與を受けておりまする武器につきまして、ただより恐いものはないと、こういうふうなお考えでございますが、私どもはこの警察予備隊は、警察予備隊本来の使命にのみ出動ずるのでございまして、それ以外の場合においては絶対に活動するものではないとこういう確信を持つておりますから、私どものこれからの武器を無償で借り受けましても、別に恐いとは考えておりません。
  86. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 政府では警察制度を改めようとしておられるようでありますが、若し国家警察と自治体警察とを或る程度変更せられるというようなことであれば、それに対する予算はどういうふうにお考えになつておるのであるか。又警察力強化するために人員増加を計画しておられるようでありますが、そういうふうなものは二十六年度予算に計上されてあるかどうか、お尋ねしたいと思うのであります。
  87. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 政府といたしましては、警察制度の改善ということにつきまして現に研究をいたし、又関係方面と話合を進行中でございます。これがいよいよ方針が定まりまして実施をいたすということになりますると、これを本年度内に実行いたします場合におきましては、お話のごとく自治体警察の返上の問題、或いは増員の問題というような点におきましては、当然本年度内において経費要求をしなければならんことになるのでございますが、只今まだそこまで決定をいたすところになつておらないわけであります。いずれ案がきまり次第政府といたしまして、財政的な面はどうするかということを考えて、それによつてこの法案をいつから実施すべきであるかというような点を決定したい、こう考えるわけであります。
  88. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 次に私は海上保安庁のことでお尋ねしたいと思うのでありますが、この間材料を頂戴したのによつて見るというと、拿捕せられた漁船がソ連関係で九十五隻、中国関係で四十六隻、韓国関係で四十一隻計百人十二隻というようなものが拿捕されておるのでありますが、これは海上保安隊が十分な活動ができない結果ではなかろうかと考えるのであります。而して運輸大臣の説明によつて見ると、二十六年度ではいろいろと強力な施策を講じておられるのでありますが、これだけの計画で密貿易であるとか、或いは不当の入出国であるとか、その他あらゆる海上の保安ができるお考えであるかどうか、この点お尋ねしたいのであります。
  89. 柳澤米吉

    政府委員(柳澤米吉君) 近来拿捕船も各所において起つております。これに対しまして、海上保安庁といたしましては、二十五年度におきまして二十九隻の新造船を現在作りつつあるのであります。そのほか昨年のマ書簡によりまして、補正予算といたしまして約八十隻の新造船の計画をこれに追加しておるのであります。現在海上保安庁の就艇状況は巡視船といたしまして六十隻を見ておる次第であります。そのほかに救難曳船といたしまして二隻、港内艇といたしまして百五隻、その他掃海艇或いは測量艇、燈台業務船等合せて三百二十九隻でございます。主として巡視に当りますのは、最初に申上げました現在保有いたしております六十隻で当つておりますが、非常に手薄でございます。この点は誠に申訳ない次第でございますが、指定を頂きました二十五年度予算の二十九隻ができ、或いは今年十月にはマ書簡による約八十隻の船艇が整備いたしますれば、或る程度御期待に副い得るかとかように考える次第であります。
  90. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 戰時中に敷設せられたいろいろの機雷あたりがときどき浮上つて非常な損害を與えておるような現在の状況であるのでありますが、こういうふうなものを全部なくしてしまうような時期が、どういうふうにいつ頃までのうちに機雷のようなものをなくしてしまうような繰作ができるのであるか、若しそういうふうな具体的計画があつたらお尋ねしたいと思うのであります。
  91. 柳澤米吉

    政府委員(柳澤米吉君) 海上保安庁といたしまして、現在掃海艇を用いまして機雷の処理に当つておるわけであります。その隻数は現在七十三隻をもつて掃海に当つております。瀬戸内その他に現在におきましても戰時の残りの機雷が多少残つております。これらに対しましての掃海は、主要港湾に対する航路及び瀬戸内を巡航いたしまする航路の掃海はすでに終つておる次第であります。併しながら海面全体に亘る完全な掃海完了ということは相当時日を要するものとかように考える次第であります。なお日本近海における主要港湾は殆んどこれに対する航路の掃海というものは大体において完了しておるものと考えております。
  92. 東隆

    ○理事(東隆君) 私ここから甚だ何ですが、先ほどお話がありましたときに、検事になる者がないから副検事を殖やそうとしておるというお話があつたのですが、私は検事のような仕事を希望しないで弁護士のような仕事はこれは希望する、職業関係、そういうような関係で何か検事に対する待遇その他の方面においていろいろ問題が起るのじやないかと、こう考えるのですが、如何ように考えますか。
  93. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 実は新憲法の際におきまして裁判官の待遇が改善せられましたが、従来判検事は同一待遇を以て遇せられておりましたものが判事のほうが多少待遇がよくなつておる、こういうような関係上、最近におきましては検事の志願者よりも判事の志願者のほうが多い、従いまして毎年検事のほうの欠員の補充ということが円滑を欠いておつた次第でございます。併しながらこの点につきましては漸次若い人たちとしましても、検事という職務の重要性が認識せられるに至りまして、最近におきましては一両年前に比べますと、比較的検事志願者も殖えつあると存ずるのであります。かような次第を以ちまして、検事の志願者も多少増加いたしておりますが、その増加は現在検察庁といたして補充をいたしまするところの欠員の全部を直ちに補充し得るというだけの十分の志願者ではないわけであります。従いまして、検事増員いたしましてもこれを充足するととが事実上できないで、来年度におきましては副検事だけを増員するということを考えた次第であります。お話のごとく検事の待遇という問題はいろいろな点から十分考えなければならん問題である、かように考えまして、当局といたしましてもいろいろと研究を進めておつたわけではございますが、只今のところはさような実情でございます。
  94. 東隆

    ○理事(東隆君) それではその次に、私は実は末端のほうの警察関係、これのやはり充実といいますか、量より質の充実をやらんければ私は治安関係は非常に困難ではないか、こう考えるのであります。そういうことを考えて参りますと、今の警察力の何といいますか、質的な向上を図るために、実際のことを申しますと 上のほうの関係の人はこれは相当な質的な人がおられるのでありますが、下級のほうはこれは非常に惡いのじやないか、昔のような役得とかそんなようなものもないので、いろいろな面で弊害を起しておる向きもたくさんあります。私は講和後において武装をすることのできない日本においては警察予備隊と、それから一般の警察官、これによつて治安を維持して行かなければならん、こう考えますので、その意味において下級の警察官その他に対する待遇上について今のままではちよつといけないのじやないか、こういう点……というのは大体このままで推移して行きますと、私は大衆に接するところの警官が却つて治安関係の場合にマイナスの形を起したりするようなことが起るのじやないかということを心配するのですが、その点どうお考えか、お聞きしたいと思います。
  95. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 警察官の待遇という問題は、警察官の質的な向上の上から申しまして非常に重要な点であることは申すまでもないことと存ずるのでございます。政府といたしましては、警察官につきましては特にさような点を考えまして、新警察制度の発足の際におきましては、国家地方警察警察官につきまして、特に一般官吏に比較いたしまして特別の給與制度を設けまして、三号乃至五号くらい高い、いわゆる特別号俸というものを定めまして、これによりまして、一般官吏より警察官吏の待遇を比較的高い水準に置くことにいたしたわけであります。昨年暮に実施いたしましたるところのいわゆる賃金ベース、給與ベースの改訂に際しましては、この特別の給與を制定いたしましたる当時に比較いたしまして、一般官吏の勤務時間が延長いたしておるということを主たる理由といたしまして、警察官につきましては、一般の官吏の給與ベースの改善の率に比べましてやや低い率で引上げることに相成つたのであります。この結果から心配しておりましたところの一般公務員とこの警察官との給與の差額というものが非常に幅が狭められるということになつたのでありますが、幸いにこの度の給與法におきましては、昇給という点が従来と比べまして非常に條件が緩和せられておりまするので、当局といたしましてはできるだげ昇給を進めて行くということによりまして、できるだけ従来と同様の給與の幅を事実上保ち得るようにいたしたい、かような方針を立てておるような次第でありまして、差当り措置といたしましては、かような措置によつてできるだけ従来からの警察官の給與の高い、その高さを維持するように努めたい、こういうふうに考えておるのであります。併しながら根本的の問題といたしましては、下級警察官の勤務が最近におきまして、特に警邏制度の採用によりまして非常に勤務が激しくなり、又いろいろ時局の関係その他から考えましても危險の度か高くなつた、こうした特殊の勤務の性質を十分に考えまして、将来におきましてはできるだけこれが改善に努力いたしたい、かように存じておるような次第であります。
  96. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 先ほど警察制度の改善について、その筋といろいろ交渉しておられるというようなお話があつたが、勿論交渉するにはこちらでもいろいろ腹案を持つて進めておられると思います。特に地方自治警察の問題は小さな所ではいろいろ問題を起しておるけれども、又これは地方予算にも関連する問題でございまして、成るべく早くその構想を完全なものではなくても知つておくことは、国民としても期待しておると思うのです。でき得べくんば、どんな構想を持つて御考慮しておるか、お伺いしたいと思います。
  97. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 警察制度の改正につきまして、主要なる点といたしましては、第一は現在の国家地方警察定員は只今三万ということで法律がきまつておるのでございまするが、最近におきまするいろいろな事情等を考え合せまするというと、自治体警察に対しまして、要請に応じて応援をしなければならないという国家地方警察予備隊的な性格等から考え合せまして、もう少し十分の警察力の必要がありはしないか、これも二万程度増員してはどうかという点が第一の点でございます。  それから第二の点といたしましては、現在国家地方警察と自治体警察というものは、それぞれ管轄を、区域をはつきり区別いたしておりまして、国家地方警察は自治体警察の要請がなければ自治体警察の区域内に入りまして、警察権を行使することは全然ないという建前になつておるのであります。併しながら最近におきまする国家的な犯罪、主として国の治安であるとか、或いは外患であるとか、或いは外交というようなことに関連いたしましたところの特別の犯罪につきましては、これは利害の関するところは国家全体であり、而も自治体の利害ということを越えておりますので、力のない自治体警察といたしましては、これに対して十分なる活動をするところの熱意もないし、文事実力もないという場合が多いのであります。而もこれの活動に対する熱意のない結果といたしまして、当然国家地方警察の応援を要請すべき場合であるにもかかわらず事実上応援の要請をしないこの結果何ごともこの自治体警察の区域内において行われまするこの種の犯罪について警察力を行使できないということ自体もございますので、さような特別の限られたる犯罪に対しましては、国家地方警察が自治体警察の要請を待たずに応援という形でなく、自分の仕事としてその区域に入つて活動するというような関係考える必要があるのではないか、これが第二点であります。つまり国家地方警察が自治体警察の区域について或る特殊の限られたる治安については、警察力を行使し得るような権限を持つということ、  それから第三点といたしましては、現在自治体警察定員は法律によりまして全国を通じて九万五千ということに相成つておるのでありまして、そうしてこれは同じく法律によりまして将来自治体の財政が確立いたした場合におきましては、自治体の任意に定めるところによると、こういう趣旨に相成つておるのであります。この警察制度が布かれましてすでに三年に相成りまするし、又地方財政というものも或る程度の目安というものも立つておる今日でございますから、この九万五千という制限は撤廃いたしまして、各自治体警察において持つところの警察官定員は自主的に定めるところにしては如何かと、これが第三点であります。  第四点をいたしましては、自治体警察が発足いたしまして以来の実情等を考えますというと、特に小さな自治体の警察というものは、平常は必要以上の警察官がおりながら、何か事件が起るというと到底これは足りないというようなことが実際でございまして、この際そのような自治体警察というものは不経済でもあるし、又微力でもあるし、それが国家の警察力全体を眺めました場合におきまして、警察力の盲点となるという慮れもありますので、これらを考えまして、若し自治体の住民が希望いたしまする場合におきましては、これが廃止を認めるととにいたしては如何か、その廃止になりました際には、これは国家地方警察の管轄にして行く、又地方の住民が重ねて希望する場合においては、さような自治体警察を改めて作るということも認める、こういうふうにしてはどうであろうか。これは市についてはかようなことは差当り考えるところまで行つておりませんが、少くとも町村の自治体警察についてはそういうことをしてはどうであろうか、これが第四点であります。  第五点といたしましては、犯罪の情報につきまして、自治体警察から国家地方警察に情報を入れる、又国家地方警察から必要な情報を自治体警察に入れる、この相互の情報の交換を義務的な制度として認めるととにいたしたい。  それから第六点といたしましては、今日自治体警察警察力不足いたしまする際におきましては、国家地方警察に対して応援を要請することになつております。この場合におきまして、国家地方警察が自分の警察官以外に、他の自治体に重ねて依頼をいたして、その自治体の警察官を応援を求めた自治体に廻す、そういう応援の方法が許されているかいないか、これは法律上いさかいがありますが、事実はさような場合が実際したくさんありますし、これを法律上明確に許すということが適当であると思いますので、さようにしてはどうか。  そうして又第七点といたしまして、これらの場合における応援の経費、これは小さな自治体につきましては非常に大きな負担になりますから、国家の負担ということにすることが適当であろう。  又第八点といたしましては、現在においては公安委員は、従来において職業的公務員であつた人はすべて排斥されることになつております。併しながらいろいろな関係上この適格條項を嚴格に適用いたしますというと、小さな自治体におきましては適当なろ公安委員を得ることは困難でございますから、この資格の制限を多少緩和してはどうであろうか。少くとも最近十年以上職業的公務員でなかつたもの、或いは過去において警察官としての公務員の経歴を持つたことのないものというような、そういつた或る税度年限を緩和して、警察官以外の公務員であつたものは認めるようにしてはどうか。例えば公立小学校の教職員をしたかたがたであるとか、或いは公立病院の医官をした人であるとか、こういつた警察関係のない、又一般の役場の吏員とか、そういつた警察関係のない公務員は、十年ぐらい昔の経歴のあるものを欠格條項と考えないで見てもいいのじやないか、こういうような点が主として改正の必要な重点と考えまして、只今関係当局と打合せをいたしておる次第であります。この他にも実施に際しましては、数点事務的な改正をいたしたいと思いますが、主要な点は只今申上げました各点でございます。
  98. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 公安委員の点でございますが、特に地方自治体の、小さな町村自治体の公安委員というものは、やはり市町村長の任命で市町村議会の承認を得てされておるようですが、これにはいろいろ弊害があると思うのでございますが、或る場合にほこういうものを一般公選で公安委員を選ぶというような考えはございませんか。
  99. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 只今のところ選任方法につきましては、法はこの機会に改正したいという意向は持つておりません。
  100. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 保安庁のほうにこの際ついでに伺いたいことは、先ほども拿捕船が相当あつたということですが、これにはそれぞれの理由があつたと思いますが、なかなかこの理由も遠い海上で行われておることでわからないこともあるだろうし、又いつかの新聞で見ますと、中共地区で拿捕された船が又返してもらつたというお話もありますが、かようなたくさんの船が拿捕されているのに対して、勿論その原因についてはできるだけ調査をしておられると思いますが、かような調査の上に立つて又不当な拿捕もあるやと思いますので、そういうものに対してこれを返還をお願いしておるようなことがありますか。又そらして返還してもらつたことがありますか。この点を……。
  101. 柳澤米吉

    政府委員(柳澤米吉君) 拿捕舶に関しましては、拿捕船の起ります区域は東支那海方面、或いは北海道方面というふうになつております。北海道方面で拿捕されましたものは、これは漁業関係のものが非常に多いのでございます。東支那海におきましても主として漁業関係のものでございます。これが拿捕されましても、大体北海道関係のものはそのまま抑留されて、三カ月その他の懲役或いは罰金というもので、大体その後に帰つて参るのが多いのであります。東支那海関係におきましては、拿捕されまして、身柄は大体帰還しておりますが、船自体は帰還する率ほ割合少いということになつております。
  102. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 それに対しては、その努力はしないのですか、返してもらうような。
  103. 柳澤米吉

    政府委員(柳澤米吉君) 海上保安庁といたしましては、出入国管理庁、外務省等と連絡いたしまして、これに対します措置を講じておりますが、同時に監視船その他によりましてこれが拿捕の起きないようにという警戒を行なつております。なお主として漁船でございますので、漁船に対しましては、拿捕される個所、或いは多く起る個所に出漁します際、そういう事故の起らんように注意事項を書渡しまして、徹底を期してそれを戒めている次第であります。
  104. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 話がはんぱになつたが、こちらが返還をお願いして返還してもらつたことがありますか。
  105. 柳澤米吉

    政府委員(柳澤米吉君) こちらがお願いいたしまして、返還して頂いたことがあるかという御質問でございますが、我々のほうで努力いたしました結果かどうかはつきりは存じませんですが、我々が努力した結果、努力しているうちに帰つて来た船が相当ございます。
  106. 東隆

    ○理事(東隆君) お諮りしますが、今日ほこれくらいで閉会いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  107. 東隆

    ○理事(東隆君) それでは今日はこれで会を閉じます。  明日の日程について申しますが、明日は午前十時から開会をして、そうして総理大臣が出席をされます。ちよつと附加えておきます。    午後四時二十五分散会  出席者は左の通り。    委員長     波多野 鼎君    理事            石坂 豊一君            佐多 忠隆君            伊達源一郎君            藤野 繁雄君            櫻内 義雄君            東   隆君            木村禧八郎君            岩間 正男君    委員           池田宇右衞門君            泉山 三六君            野田 卯一君            一松 政二君            岩崎正三郎君            下條 恭兵君            永井純一郎君            山田 節男君            原  虎一君            若木 勝藏君            高橋龍太郎君            前田  穰君            菊田 七平君            堀木 鎌三君            矢嶋 三義君   国務大臣    法 務 総 裁 大橋 武夫君   政府委員    警察予備隊本部    次長      江口見登留君    警察予備隊本部    経理局長    窪谷 直光君    国家地方警察本    部次長     溝淵 増已君    国家地方警察本    部総務部会計課    長       三輪 良雄君    法務総裁官房経    理部長     岡原 昌男君    法務検務局長 高橋 一郎君    法務府矯正保護    局長      古橋浦四郎君    法務府特別審査    局長      吉河 光貞君    大蔵省主計局次    長       東條 猛猪君    海上保安庁次長 柳澤 米吉君   事務局側    常任委員会專門    員       野津高次郎君    常任委員会專門    員       長谷川喜作君